JP3696372B2 - 環状オレフィン系開環メタセシス重合体の精製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、環状オレフィン系単量体の開環メタセシス重合体及び該重合体水素添加物の精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
環状オレフィン系単量体の開環メタセシス重合体及び開環メタセシス重合体水素添加物は優れた光学特性、電気特性、高剛性、耐熱性及び耐候性を有する樹脂として注目をあび各種の開環メタセシス重合体及び当該重合体水素添加物の製造方法が提案されている。
【0003】
しかしながら、開環メタセシス重合体及び該重合体水素添加物中に開環メタセシス触媒または水素添加触媒に由来する金属及び金属化合物成分が残留していると樹脂の着色及び分解劣化が起こり、上記の優れた特性が得られないという問題点を有している。
【0004】
従来、樹脂から金属及び金属化合物成分を除去する方法として、重合体溶液を多量の貧溶媒中に排出し重合体を凝固、濾別、回収し、洗浄を繰り返す方法が用いられてきたが、この方法は多量の貧溶媒が必要であり工業的実施に於いて、大規模な設備を必要とするうえ、回収された重合体は必ずしも充分に金属及び金属化合物成分が除去されたものではないという問題点を有している。また、特開昭49−130500号公報に於いては、極性基置換環状オレフィン系重合体を含む系に、アルコール系化合物、フェノール系化合物、ニトリル系化合物等の処理剤を加えて接触処理した後、水、またはキレート結合を形成する化合物を含む水溶液で処理する方法が提案されている。更には、特開平8−208742号公報に於いては、環状オレフィン系重合体の良溶媒による溶液に乳酸等の有機酸と貧溶媒と水とを添加し、この系を常温下或いは加温下に於いて攪拌混合処理する方法が提案されている。しかしながら、これらの方法に於いては水の添加が必須であるので、洗浄後の混合溶媒の精製処理及び回収された重合体の乾燥工程等が煩雑になるうえ、必ずしも重合体中の金属及び金属化合物成分が充分に除去されず、特に開環メタセシス重合体及び当該重合体水素添加物がニトリル基を有する場合は金属及び金属化合物成分の除去が非常に困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決した新規な環状オレフィン系開環メタセシス重合体及び該重合体水素添加物の精製方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題点を解決した環状オレフィン系開環メタセシス重合体及び該重合体水素添加物の精製方法について鋭意検討し、本発明を完成した。
【0007】
本発明の環状オレフィン系開環メタセシス重合体の精製方法は、一般式[1]
【0008】
【化2】
(式中、R1〜R4はそれぞれ同一であっても異なってもよく、水素、炭素数1〜12のアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、ニトリル基、カルボキシル基またはアルコキシカルボニル基から選ばれ、xは0〜3の整数を表す。)
で表される環状オレフィン系単量体の開環メタセシス重合体または該重合体の水素添加物から、その中に含有される重合触媒または水素添加触媒に由来する金属及び金属化合物成分を、水と接触させることなく、塩基性化合物に接触させて処理した後に、或いは塩基性化合物に接触させて処理するのと同時に、酸性化合物に接触させて処理することによって除去することを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明における一般式[1]で表される環状オレフィン系単量体としては、xが0であるビシクロヘプトエンの誘導体、xが1であるテトラシクロドデセンの誘導体、xが2であるヘキサシクロヘプタデセンの誘導体、xが3であるオクタシクロドコセンの誘導体等が挙げられる。R1〜R4はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素、炭素数1〜12であるメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル等のアルキル基、フェニル、ナフチル等のアリール基、ベンジル、フェネチル、フェニルイソプロピル、2−ナフチルメチル、2−ナフチルエチル、2−ナフチルイソプロピル等のアラルキル基、メトキシ、エトキシ、メントキシ等のアルコキシ基、塩素、臭素、沃素またはフッ素等のハロゲン、フルオロメチル、クロロメチル、ブロモメチル、ジフルオロメチル、ジクロロメチル、ジブロモメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル等の炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、ニトリル基、カルボキシル基またはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メントキシカルボニル等のアルコキシカルボニル基であり、特に、R1 〜R4 のうち少なくとも1つがニトリル基であるものが好ましく用いられる。
【0010】
具体例としては、5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ジシアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−ベンジルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−シクロヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のシアノビシクロヘプトエン類、8−シアノテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−シアノ−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−ジシアノテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−メトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−カルボニキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−シアノテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−ベンジルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−シクロヘキシルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン等のシアノテトラシクロドデセン類、11−シアノヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−11−メチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、11−ジシアノヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−メチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−メトキシヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−カルボニキシメチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−カルボキシヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−シアノヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−トリフルオロメチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−フルオロヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−ジフルオロヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−フェニルヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−ベンジルヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−シクロヘキシルヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン等のシアノヘキサシクロヘプタデセン類、14−シアノオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、14−シアノ−14−メチルオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、14−ジシアノオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、14−シアノ−15−メチルオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、14−シアノ−15−メトキシオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、14−シアノ−15−カルボキシメチルオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、14−シアノ−15−カルボキシオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、14−シアノ−15−シアノオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、14−シアノ−15−トリフルオロメチルオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、14−シアノ−15−フルオロオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、14−シアノ−15−ジフルオロオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、14−シアノ−15−フェニルオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、14−シアノ−15−ベンジルオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、14−シアノ−15−シクロヘキシルオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン等のシアノオクタシクロドコセン類等を挙げることができる。
【0011】
更には、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ベンジルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−クロロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のビシクロヘプトエン誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−カルボキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−ベンジルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−クロロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−ブロモテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−エトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−9−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン等のテトラシクロドデセン誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、11−メチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、11−エチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、11−カルボキシヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .010,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、11−ベンジルヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .010,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、11−カルボキシメチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、11−メトキシヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、11−エトキシヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、11−メチル−12−カルボキシメチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン等のヘキサシクロヘプタデセン誘導体、オクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、14−メチルオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、14−エチルオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、14−カルボキシオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、14−ベンジルオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、14−カルボキシメチルオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、14−メトキシオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、14−エトキシオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、14−メチル−15−カルボキシメチルオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン等のオクタシクロドコセン誘導体が挙げられる。モノ環状オレフィンとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のシクロオレフィン類、更には、シクロペンタジエンの二量体を挙げることができる。特にニトリル基を含むものを開環メタセシス重合体とした時、物性が良好で好ましい。
【0012】
これらの環状オレフィン系単量体は必ずしも単独で用いられる必要はなく、二種以上を任意の割合で用いて開環共重合することもできる。
【0013】
また、本発明に使用される重合触媒としては、開環メタセシス重合する触媒であればどのようなものでもよいが、開環メタセシス重合触媒の具体例としては、W(N−2,6−C6 H3 Pri 2)(CHBut )(OBut )2 、W(N−2,6−C6 H3 Pri 2)(CHBut )(OCMe2 CF3 )2 、W(N−2,6−C6 H3 Pri 2)(CHBut )(OCMe2 (CF3 )2 )2 、W(N−2,6−C6 H3 Pri 2)(CHCMe2 Ph)(OBut )2 、W(N−2,6−C6 H3 Pri 2)(CHCMe2 Ph)(OCMe2 CF3 )2 、W(N−2,6−C6 H3 Pri 2)(CHCMe2 Ph)(OCMe2 (CF3 )2 )2 、(式中のPri はiso−プロピル基、But はtert−ブチル基、Meはメチル基、Phはフェニル基を表す。)等のタングステン系アルキリデン触媒、W(N−2,6−Me2 C6 H3 )(CHCHCMePh)(O−But )2 (PMe3 )、W(N−2,6−Me2 C6 H3 )(CHCHCMe2 )(O−But )2 (PMe3 )、W(N−2,6−Me2 C6 H3 )(CHCHCPh2 )(O−But )2 (PMe3 )、W(N−2,6−Me2 C6 H3 )(CHCHCMePh)(OCMe2 (CF3 ))2 (PMe3 )、W(N−2,6−Me2 C6 H3 )(CHCHCMe2 )(OCMe2 (CF3 ))2 (PMe3 )、W(N−2,6−Me2 C6 H3 )(CHCHCPh2 )(OCMe2 (CF3 ))2 (PMe3 )、W(N−2,6−Me2 C6 H3 )(CHCHCMe2 )(OCMe(CF3 )2 )2 (PMe3 )、W(N−2,6−Me2 C6 H3 )(CHCHCMe2 )(OCMe(CF3 )2 )2 (PMe3 )、W(N−2,6−Me2 C6 H3 )(CHCHCPh2 )(OCMe(CF3 )2 )2 (PMe3 )、W(N−2,6−Pri 2C6 H3 )(CHCHCMePh)(OCMe2 (CF3 ))2 (PMe3 )、W(N−2,6−Pri 2C6 H3 )(CHCHCMePh)(OCMe(CF3 )2 )2 (PMe3 )、W(N−2,6−Pri 2C6 H3 )(CHCHCMePh)(OPh)2 (PMe3 )、(式中のPri はiso−プロピル基、But はtert−ブチル基、Meはメチル基、Phはフェニル基を表す。)等のタングステン系アルキリデン触媒、Mo(N−2,6−Pri 2C6 H3 )(CHBut )(OBut )2 、Mo(N−2,6−Pri 2C6 H3 )(CHBut )(OCMe2 CF3 )2 、Mo(N−2,6−Pri 2C6 H3 )(CHBut )(OCMe(CF3 )2 )2 、Mo(N−2,6−Pri 2C6 H3 )(CHCMe2 Ph)(OBut )2 、Mo(N−2,6−Pri 2C6 H3 )(CHCMe2 Ph)(OCMe2 CF3 )2 、Mo(N−2,6−Pri 2C6 H3 )(CHCMe2 Ph)(OCMe(CF3 )2 )2 、(式中のPri はiso−プロピル基、But はtert−ブチル基、Meはメチル基、Phはフェニル基を表す。)等のモリブデン系アルキリデン触媒、Re(CBut )(CHBut )(O−2,6−Pri 2C6 H3 )2 、Re(CBut )(CHBut )(O−2−But C6 H4 )2 、Re(CBut )(CHBut )(OCMe2 CF3 )2 、Re(CBut )(CHBut )(OCMe(CF3 )2 )2 、Re(CBut )(CHBut )(O−2,6−MeC6 H3 )2 、(式中のBut はtert−ブチル基を表す。)等のレニウム系アルキリデン触媒、Ta[C(Me)C(Me)CHMe3 ](O−2,6−Pri 2C6 H3 )3 Py、Ta[C(Ph)C(Ph)CHMe3 ](O−2,6−Pri 2C6 H3 )3 Py、(式中のMeはメチル基、Phはフェニル基、Pyはピリジン基を表す。)等のタンタル系アルキリデン触媒、Ru(CHCHCPh2 )(PPh3 )2 Cl2 、(式中のPhはフェニル基を表す。)等のルテニウム系アルキリデン触媒やチタナシクロブタン類が挙げられる。上記開環メタセシス触媒は、単独にまたは2種以上混合してもよい。
【0014】
また、上記の他に、Olefin Metathesis(Kenneth J Ivin,Academic Press,New York 1983)に記載されているような、遷移金属化合物と助触媒としてのルイス酸との組合せによる開環メタセシス触媒系、例えば、モリブデン、タングステン、バナジウム、チタン等の遷移金属ハロゲン化物と助触媒として有機アルミニウム化合物、有機錫化合物またはリチウム、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、ホウ素等の有機金属化合物とから成る開環メタセシス触媒を用いることもできる。
【0015】
遷移金属ハロゲン化物の具体例としては、MoBr2 、MoBr3 、MoBr4 、MoCl4 、Mocl5 、MoF4 、MoOCl4 、MoOF4 等のモリブデンハロゲン化物、WBr2 、WBr4 、WCl2 、WCl4 、WCl5 、WCl6 、WF4 、WI2 、WOBr4 、WOCl4 、WOF4 、WCl4 (OC6 H4 Cl2 )2 、等のタングステンハロゲン化物、VOCl3 、VOBr3 、等のバナジウムハロゲン化物、TiCl4 、TiBr4 、等のチタンハロゲン化物等が挙げられる。
【0016】
また、助触媒としての有機金属化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジ−n−ブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノブロミド、ジエチルアルミニウムモノイオジド、ジエチルアルミニウムモノヒドリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等の有機アルミニウム化合物、テトラメチル錫、ジエチルジメチル錫、テトラエチル錫、ジブチルジエチル錫、テトラブチル錫、テトラオクチル錫、トリオクチル錫フルオリド、トリオクチル錫クロリド、トリオクチル錫ブロミド、トリオクチル錫イオジド、ジブチル錫ジフルオリド、ジブチル錫ジクロリド、ジブチル錫ジブロミド、ジブチル錫ジイオジド、ブチル錫トリフルオリド、ブチル錫トリクロリド、ブチル錫トリブロミド、ブチル錫トリイオジド等の有機錫化合物、n−ブチルリチウム等の有機リチウム化合物、n−ペンチルナトリウム等の有機ナトリウム化合物、メチルマグネシウムイオジド、エチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムブロミド、n−プロピルマグネシウムブロミド、t−ブチルマグネシウムクロリド、アリルマグネシウムクロリド等の有機マグネシウム化合物、ジエチル亜鉛等の有機亜鉛化合物、ジエチルカドミウム等の有機カドミウム化合物、トリメチルホウ素、トリエチルホウ素、トリ−n−ブチルホウ素等の有機ホウ素化合物等が挙げられる。
【0017】
環状オレフィン系単量体と開環メタセシス触媒のモル比は、環状オレフィン単量体100モルに対してタングステン、モリブデン、レニウム、タンタル、またはルテニウム等のアルキリデン触媒やチタナシクロブタン類の場合は、0.01〜10モル、好ましくは0.1〜5モルである。また、遷移金属ハロゲン化物と有機金属化合物からなる開環メタセシス触媒では、遷移金属ハロゲン化物は0.001〜5モル、好ましくは0.01〜3モル、助触媒としての有機金属化合物は0.005〜10モル、好ましくは0.02〜5モルとなる範囲である。
【0018】
開環メタセシス重合において用いられる溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、デカリンなどの脂肪族環状炭化水素、メチレンジクロリド、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、テトラクロエタン、クロルベンゼン、トリクロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素等が挙げられ、これらは2種以上混合して使用してもよい。
【0019】
さらに、分子量を制御するために、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、スチレン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン、ヘキサジエン等のオレフィン存在下で開環メタセシス重合を行ってもよい。
【0020】
開環メタセシス重合では、単量体の反応性および重合溶媒への溶解性によっても異なるが、単量体/開環メタセシス触媒の溶媒中の濃度は0.1〜100mol/Lの範囲が好ましく、通常−30〜150℃の反応温度で1分〜10時間反応させ、アルデヒド類、ケトン類、アルコール類等の失活剤で反応を停止し、開環メタセシス重合体溶液を得ることができる。
【0021】
以上の様な方法で得られる開環メタセシス重合体は、水素添加触媒を用いて水素添加することができる。
【0022】
環状オレフィン系単量体の開環メタセシス重合体の水素添加反応における水素添加触媒としては、公知のものが使用できる。具体例として不均一触媒では、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの金属をカーボン、シリカ、アルミナ、チタニア、マグネシア、ケイソウ土、合成ゼオライト等の担体に担持させた担持型金属触媒、及び均一触媒では、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロテトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(トリフェニレンホスフィン)ルテニウム等が例示できる。
【0023】
開環メタセシス重合体の水素添加反応に於いて用いられる溶媒としては開環メタセシス重合体を溶解し溶媒自体が水素添加されないものであればどのようなものでもよく、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、デカリンなどの脂肪族環状炭化水素、メチレンジクロリド、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、テトラクロロエタン、クロルベンゼン、トリクロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素等が挙げられ、これらは2種以上混合して使用してもよい。
【0024】
環状オレフィン系開環重合体水素添加物の製造は、開環メタセシス重合体溶液から開環メタセシス重合体を単離した後再度溶媒に溶解しても可能であるが、単離することなく、上記水素添加触媒を加えることにより水素添加を行う方法を採用することもできる。
【0025】
開環メタセシス重合体の水素添加反応は、水素圧力が通常、常圧〜300kg/cm2 、好ましくは20〜200kg/cm2 の範囲で行われ、その反応温度は、通常0〜200℃の温度であり、好ましくは室温〜150℃の温度範囲である。
【0026】
一般に、開環メタセシス重合体と水素添加触媒の重量比は100:0.005から100:100であり、好ましくは100:0.01から100:10である。
【0027】
環状オレフィン系単量体の開環メタセシス重合体溶液及び該重合体水素添加物から金属及び金属化合物成分を除去する方法としては、上記重合体溶液または水素添加物の溶液またはスラリーに、塩基性化合物を接触させて処理することにより行われるが、塩基性化合物で接触処理した後に、或いは接触処理と同時に酸性化合物を接触させて処理することにより金属及び金属化合物成分の除去効率を向上させることが可能となる。
【0028】
塩基性化合物としては、メチルアミン、トリエチルアミン、トリメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジメチルアミン等の脂肪族アミン化合物、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、O−フェニレンジアミン等の芳香族アミン化合物、ピリジン、ビペリジン等の環状アミン化合物、エタンジアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化化合物等を挙げることができる。
【0029】
また、酸性化合物としては、ギ酸、酢酸、酪酸、シュウ酸等の脂肪族カルボン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシ脂肪族カルボン酸、安息香酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸等の酸性有機化合物を挙げることができ、更にはこれら酸性有機化合物の金属塩または塩酸、硫酸等の酸性無機化合物を用いてもよい。
【0030】
これらの塩基性化合物と酸性化合物は、それぞれ2種以上任意の割合で併用することもできる。また添加量は、環状オレフィン系単量体の開環メタセシス重合体または該重合体水素添加物に対して重量比で100:0.001から100:100であり、好ましくは、100:0.01から100:10である。
【0031】
接触処理を行う温度は通常−30℃〜150℃であり、好ましくは、0℃〜100℃である。また、処理時間は通常1分間〜12時間であり、好ましくは5分間〜3時間である。
【0032】
接触処理はどのような雰囲気下で行ってもよいが通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行われるが、水素ガス、炭酸ガス、及び空気等の雰囲気下で行ってもよい。
【0033】
上記の塩基性化合物と酸性化合物で接触処理を行った開環メタセシス重合体溶液またはスラリーまたは該重合体水素添加物溶液またはスラリーから重合体の回収法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば溶液の場合は、攪拌下の貧溶媒中に排出し開環メタセシス重合体または該重合体水素添加物を凝固させ濾過法、遠心分離法、デカンテーション法等により回収する方法が挙げられる。またスラリーの場合は、濾過、遠心分離等により回収する方法が挙げられる。
【0034】
以上の環状オレフィン系単量体の開環メタセシス重合体または該重合体水素添加物を、水との接触なしに塩基性化合物と酸性化合物を接触処理することにより金属及び金属化合物成分を極めて高い効率で除去することができ、優れた光学特性、高剛性、耐熱性及び耐候性を有する開環メタセシス重合体または該重合体水素添加物を回収することができる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例にて本発明を詳細に説明するが、本発明がこれらによって限定されるものではない。
【0036】
なお、実施例において得られた重合体の物性値は、以下の方法により測定した。
【0037】
平均分子量;GPCを使用し、得られた環状オレフィン系開環メタセシス重合体または該重合体水素添加物をクロロホルムに溶解し、検出器として日本分光製830−RIおよびUVIDEC−100−VI、カラムとしてShodex k−805,804,803,802.5を使用し、室温において流量1.0ml/minでポリスチレンスタンダードによって分子量を較正した。
【0038】
ガラス転移温度;島津製作所製DSC−50により、窒素中10℃/分の昇温速度で、3.5mgの環状オレフィン系開環メタセシス重合体または該重合体水素添加物の粉末を用いて測定した。
【0039】
モリブデン及びタングステン濃度;精秤した環状オレフィン系開環メタセシス重合体または該重合体水素添加物の粉末を500℃のオーブンで3時間熱分解させ、残った金属をチオシアン酸吸光光度法により定量した。
【0040】
ルテニウム濃度;マイクロウエーブ式湿式灰化装置を用いて環状オレフィン系開環メタセシス重合体水素添加物の粉末を灰化させ、ICP測定装置による定量を行った。
【0041】
水素添加率;環状オレフィン系開環メタセシス重合体水素添加物の粉末を重水素化クロロホルムに溶解し、90MHz−NMRを用いてδ=4.5〜6.0ppmの主鎖の炭素−炭素二重結合に帰属するピークが、水素添加反応によって減少する大きさを算出した。
【0042】
実施例1
窒素雰囲気下で磁気攪拌装置を備えた50mlのフラスコに8−シアノテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン(3.0g、16.26mmol)をテトラヒドロフラン(120ml)に溶解し攪拌を行った。これに開環メタセシス重合触媒としてMo(N−2,6−C6 H3 Pri 2)(CHCMe2 Ph)(OBut )2 (90mg、0.162mmol)を加え室温で1時間反応させた。その後、ベンズアルデヒド(84mg、0.810mmol)を加え30分間攪拌し、反応を停止させた。
【0043】
この開環メタセシス重合体溶液にトリメチレンジアミン(120mg、1.62mmol)を加え室温で30分間攪拌した後、メタノール(600ml)中に加えて開環メタセシス重合体を析出させ、濾別分離後真空乾燥を行い、再び重合体をテトラヒドロフラン(60ml)に溶解しクエン酸(310mg、1.62mmol)を加えた。このまま室温で30分間攪拌した後、メタノール(300ml)中に加えて開環メタセシス重合体を析出させ、濾別分離後真空乾燥を行うことにより白色粉末状の開環メタセシス重合体を得た。この回収した開環メタセシス重合体のGPCで測定した重量平均分子量Mwは17200、数平均分子量Mnは17130、Mw/Mnは1.00であり、DSCで測定したガラス転移温度は243℃であった。またモリブデン金属濃度は30ppmであった。
【0044】
実施例2
開環メタセシス重合触媒としてMo(N−2,6−C6 H3 Pri 2)(CHCMe2 Ph)(OBut )2 に代えてW(N−2,6−C6 H3 Me2 )(CHCHCMePh)(OBut )2 (PMe3 )(100.43mg、0.162mmol)を用いて実施例1と同様に開環メタセシス重合及び金属化合物成分の除去を行った。
【0045】
回収した開環メタセシス重合体のGPCで測定した重量平均分子量Mwは18500、数平均分子量Mnは18450、Mw/Mnは1.00であり、DSCで測定したガラス転移温度は245℃であった。またタングステン金属濃度は19ppmであった。
【0046】
実施例3
実施例1と同様に開環メタセシス重合を行い、トリメチレンジアミン(120mg、1.62mmol)及びクエン酸(310mg、1.62mmol)を同時に添加処理した。回収した開環メタセシス重合体のGPCで測定した重量平均分子量Mwは17600、数平均分子量Mnは17530、Mw/Mnは1.00であり、DSCで測定したガラス転移温度は243℃であった。またモリブデン金属濃度は27ppmであった。
【0047】
実施例4
窒素雰囲気下で磁気攪拌装置を備えた500mlのフラスコに8−シアノテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン(10.00g、54.20mmol)をテトラヒドロフラン(400ml)に溶解し攪拌を行った。これに開環メタセシス重合触媒としてMo(N−2,6−C6 H3 Pri 2)(CHCMe2 Ph)(OBut )2 (300mg、0.540mmol)を加え室温で1時間反応させた。その後、ベンズアルデヒド(252mg、2.700mmol)を加え30分間攪拌し、反応を停止させた。
【0048】
この開環メタセシス重合体溶液をメタノール(2000ml)中に加えて開環メタセシス重合体を析出させ、濾別分離後さらに、メタノール(1000ml)で洗浄を行った後真空乾燥して10.00gの開環メタセシス重合体粉末を得た。
【0049】
その後、5000mlのオートクレーブにこの開環メタセシス重合体粉末10.00gと水素添加触媒としてジヒドリドテトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(0.050g、0.043mmol)をテトラヒドロフラン(880ml)に溶解して、水素圧85kg/cm2 、100℃で5時間水素添加反応を行った後、温度を室温まで戻し水素ガスを放出した。
【0050】
この開環メタセシス重合体水素添加物溶液を半分の容量に濃縮を行いトリメチレンジアミン(400mg、5.40mmol)に加え室温で30分間攪拌した後、メタノール(2000ml)中に加えて開環メタセシス重合体水素添加物を析出させ、再び重合体をテトラヒドロフラン(300ml)に溶解しクエン酸(1.033g、5.40mmol)を加えた。このまま室温で30分間攪拌した後、メタノール(1500ml)中に加えて開環メタセシス重合体水素添加物を析出させ、濾別分離後真空乾燥を行うことにより白色粉末状の開環メタセシス重合体水素添加物を得た。得られた開環メタセシス重合体水素添加物の 1H−NMRから算出した水素添加率は主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定した重量平均分子量Mwは18100、数平均分子量Mnは18020、Mw/Mnは1.00であり、DSCで測定したガラス転移温度は206℃であった。またモリブデン金属濃度は27ppm、ルテニウム金属濃度は52ppmであった。
【0051】
比較例1
実施例1と同様に開環メタセシス重合を行い、得られた開環メタセシス重合体溶液をメタノール(600ml)中に加えて開環メタセシス重合体を析出させ、濾別分離後さらに、メタノール(300ml)で洗浄を行った後、真空乾燥して開環メタセシス重合体粉末を得た。回収した重合体のGPCで測定した重量平均分子量Mwは17500、数平均分子量Mnは17410、Mw/Mnは1.00であり、DSCで測定したガラス転移温度は236℃であった。またモリブデン金属濃度は430ppmであった。
【0052】
比較例2
実施例1と同様に開環メタセシス重合を行い、得られた開環メタセシス重合体溶液をメタノール(600ml)中に加えて開環メタセシス重合体を析出させた。回収した重合体を1,2−ジクロロエタン(100ml)に溶解し、1重量%のニトリロトリ酢酸三ナトリウムの水溶液(100ml)を加え室温で30分間攪拌した。静置した後、1,2−ジクロロエタン相と水相に分離し水相を除去した。この操作を3回繰り返した後、水洗を3回行いメタノール(500ml)中に加えて開環メタセシス重合体を析出させ、濾別分離後さらに、メタノール(300ml)で洗浄を行った後、真空乾燥して開環メタセシス重合体粉末を得た。
回収した重合体のGPCで測定した重量平均分子量Mwは17470、数平均分子量Mnは17400、Mw/Mnは1.00であり、DSCで測定したガラス転移温度は236℃であった。またモリブデン金属濃度は437ppmであった。
【0053】
比較例3
実施例4と同様に開環メタセシス重合及び水素添加反応を行い、開環メタセシス重合体水素添加物溶液を得た。
【0054】
この開環メタセシス重合体水素添加物溶液を半分の容量に濃縮を行い、メタノール(2000ml)中に加えて開環メタセシス重合体水素添加物を析出させ、濾別分離後真空乾燥を行うことにより淡黄色粉末状の開環メタセシス重合体水素添加物を得た。得られた開環メタセシ重合体水素添加物の 1H−NMRから算出した水素添加率は主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定した重量平均分子量Mwは18200、数平均分子量Mnは18150、Mw/Mnは1.00であり、DSCで測定したガラス転移温度は202℃であった。またモリブデン金属濃度は445ppm、ルテニウム金属濃度は366ppmであった。
【0055】
【発明の効果】
本発明の精製方法により回収された環状オレフィン系開環メタセシス重合体及びその水素添加物は、着色及び分解劣化の原因となる金属及び金属化合物成分の残存量が極めて少ない為、優れた光学特性、電気特性、高剛性、耐熱性及び耐候性等を有する。
Claims (3)
- 一般式[1]
で表される環状オレフィン系単量体の開環メタセシス重合体または該重合体の水素添加物から、その中に含有される重合触媒または水素添加触媒に由来する金属及び金属化合物成分を、水と接触させることなく、塩基性化合物に接触させて処理した後に、或いは塩基性化合物に接触させて処理するのと同時に、酸性化合物に接触させて処理することによって除去することを特徴とする環状オレフィン系開環メタセシス重合体の精製方法。 - 塩基性化合物がアミノ化合物である請求項1に記載の方法。
- 酸性化合物がカルボン酸化合物である請求項1に記載の方法。
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