JP3072329B2 - ノルボルネン系重合体及びその水素添加物の製造方法 - Google Patents

ノルボルネン系重合体及びその水素添加物の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はノルボルネン系開環重合体及びその水素添加
物の製造方法に関し、さらに詳しくはノルボルネン系モ
ノマーを開環重合した後、開環重合体溶液に触媒不活化
剤を添加して触媒残渣を析出させ、該触媒残渣を濾過ま
たは遠心分離により除去することを特徴とするノルボル
ネン系開環重合体及びノルボルネン系開環重合体水素添
加物の製造方法に関する。
〔従来の技術〕
近年、テトラシクロドデセン、そのアルキル置換体、
エステル型置換体などに代表されるノルボルネン系モノ
マーの開環重合体水素物は、光学材料などを透明性が要
求される成形品の原料として注目されている(例えば特
開昭60−262024号、特開昭63−317520号、特開平1−13
2626号など)。
ノルボルネン系開環重合体の製造においては、重合後
に触媒残渣を除去する必要があるが、その方法として従
来から重合溶液にアルコール系化合物等を加えて処理し
た後にキレート化剤を含む溶液で処理する方法(特開昭
49−130500号)、トリエタノールアミン水溶液で処理す
る方法(特開昭54−99198号)、重合反応終了後の重合
体溶液を有機酸の酸性水溶液で処理する方法(特開平2
−24319号)などが知られている。しかし、これらの方
法では、重合触媒を含む水溶液が重合体溶液中に細かく
分散して分離することが難しかつたり、触媒を十分除去
するには何回も水洗・分離を要し分離操作が繁雑になっ
たり、また、分離される重合体溶液の回収率が低いなど
の問題があった。
開環重合体を製造した後、個の重合体を水素添加して
水素添加重合体を製造する際に、重合溶媒と水素添加溶
媒を同じ溶媒とし、重合反応終了後の重合体溶液を、前
記方法により処理して、引続き水素添加反応する方法が
特開平1−311120に開示されているが、製造操作上の問
題に関しては、従来技術と同様である。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、ノルボルネン系開環重合体中に残存
する重合触媒残渣を簡単な操作で効率よく除去するノル
ボルネン系ポリマーの製造方法を提供することにあり、
また上記方法を活用することにより着色がなく透明性に
優れたノルボルネン系開環重合体水素添加物を効率よく
製造する方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の第一の目的はメタセシス触媒を用いてノルボ
ルネン系モノマーを開環重合して得られた重合体溶液に
触媒不活化剤を添加して触媒残渣を析出させ、該触媒残
渣を濾過または遠心分離により除去した後、重合体溶液
からノルボルネン系開環重合体を回収することにより達
成される。また本発明の第二の目的は前記の如き方法で
触媒残渣を除去した重合体溶液に水素添加触媒を加えて
水素の存在下に重合体の水素添加を行った後、ノルボル
ネン系開環重合体水素添加物を回収することにより達成
される。
以下、本発明の構成について詳述する。
(ノルボルネン系モノマー) 本発明で用いるノルボルネン系モノマーの具体例とし
ては、例えば、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノ
ルボルネン,5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エ
チル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネ
ン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどのごとに二
環体モノマー、ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロ
ジシクロペンタジエン、およびこれらのメチル、エチ
ル、プロピル、ブチル等のアルキル置換体などのごとき
三環体モノマー、ジメタノオクタヒドロナフタレン、6
−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オ
クタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタ
ノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6
−エチリデン−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a
−オクタヒドロナフタレンなどのごとき四環体、シクロ
ペンタジエンの三〜四量体、例えば、4,9:5,8−ジメタ
ノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾ
インデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−3a,4,4a,5,5a,
6,9,9a,10,10a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペン
タアントラセンなどのごとき五環体以上の多環体モノマ
ーが例示される。また、ノルボルネン系モノマーは、シ
クロアルキル基やアリール基を有するもの、あるいはハ
ロゲン原子、エステル型残基、エーテル型残基、シアノ
基、ピリジル基などのごとき極性基を有するものであっ
てもよい。これらのモノマーは、単独で用いても二種以
上を組み合せて使用してもよい。
また、共重合成分として、他のシクロオレフィン類、
例えば、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテ
ン、シクロヘプテン、シクロオクテン、5,6−ジヒドロ
ジシクロペンタジエン等を、得られる重合体の性質が重
合体の使用目的に適している限りにおいて、用いること
ができる。
さらに、分子量調節剤として、非環式オレフィン、好
ましくはα−オレフィンを、通常、10モル%までの範囲
で用いてもよい。
(メタセシス重合触媒) 本発明に用いられるメタセシス重合触媒はノルボルネ
ン系モノマーの開環重合用として公知のものであれば、
特に限定されない。通常は、遷移金属化合物と周期律表
第I〜IV族金属の有機金属化合物とから本質的になるも
のである。
用いる遷移金属化合物としては、チタン、バナジウ
ム、タングステン、モリブテン等の遷移金属化合物が好
ましく、例えば、これら遷移金属のハロゲン化物、オキ
シハライド、酸化物、カルボニル化合物、有機アンモニ
ウム塩等が挙げられる。具体的には、TiCl4、TiBr4、VO
Cl3、VOBr3、WBr2、WBr4、WBr6、WCl2、WCl4、WCl5、WC
l6、WF4、WI2、WI4、WOBr4、WOCl4、WOF4、MoBr2、MoBr
3、MoBr4、MoCl4、MoCl5、MoF4、MoOCl4、MoOF4、WO2
H2WO4、NaWO4、K1WO4、(NH42WO4、CaWO4、CuWO4、Mg
WO4、(CO)5WC(OCH3)(CH3)、(CO)5WC(OC2H5
(CH3)、(CO)5WC(OC2H5)(C4H5)、(CO)5MoC(O
C2H5)(CH3)、(CO)5Mo=C(OC2H5)(N(C2H5
)、トリデシルアンモニウムモリブテン酸塩、トリデ
シルアンモニウムタングステン酸塩等が挙げられる。
また、用いられI〜IV族金属の有機金属化合物として
は、例えば、有機アルミニウム化合物、有機スズ化合物
あるいはリチウム、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛、
カドミウム、ホウ素等の化合物等が挙げられる。具体的
には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリイソブチルアンモニウム、トリヘキシルアルミ
ニウム、トリオクチルアルミニウム、トリフェニルアル
ミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジエチルアルミ
ニウムモノクロリド、ジ−n−ブチルアルミニウムモノ
クロリド、ジエチルアルミニウムモノブロミド、ジエチ
ルアルミニウムモノイオジド、ジエチルアルミニウムモ
ノヒドリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチ
ルアルミニウムジブロミド等のごとき有機アルミニウム
化合物;テトラメチルスズ、ジエチルジメチルスズ、テ
トラエチルスズ、ジブチルジエチルスズ、テトラブチル
スズ、トリエチルスズフルオリド、トリエチルスズクロ
リド、トリエチルスズブロミド、トルエチルスズイオジ
ド、ジエチルスズジフルオリド、ジエチルスズジクロリ
ド、ジエチルスズブロミド、ジエチルスズジイオジド、
エチルスズトリフルオリド、エチルスズトリクロリド、
エチルスズトリブロミド、エチルスズトリイオジド等の
ごとき有機スス化合物;その他のものとしては、n−ブ
チルリチウル、n−ペンチルナトリウム、メチルマグネ
シウムイオジド、エチルマグネシウムブロミド、メチル
マグネシウムブロミド、n−プロピルマグネシウムクロ
リド、t−ブチルマグネシウムクロリド、アリルマグネ
シウムクロリド、ジアチル亜鉛、ジエチルカドミウム、
トリメチルホウ素、トリエチルホウ素、トリ−n−ブチ
ル−ホウ素等が挙げられる。
さらに遷移金属化合物と周期律表第I〜IV族金属の有
機金属化合物のほかにその他の成分を加えることによ
り、重合活性を高め、開環重合の選択性を向上させたメ
タセシス重合触媒として用いることができる。そのよう
な成分としては、例えば、分子状酸素、アルコール、エ
ーテル、過酸化物、カルボン酸、酸無水物、酸クロリ
ド、エステル、ケトン、含窒素化合物、含硫黄化合物、
含ハロゲン化合物、分子状ヨウ素、その他のルイス酸等
が挙げられる。特に、脂肪族または芳香族第三級アミン
が好ましく、具体例としては、トリエチルアミン、ジメ
チルアニリン、トル−n−ブチルアミン、ピリミジン、
α−ピコリン等が挙げられる。
このメタセシス重合触媒は、ノルボルネン系モノマー
100モルに対して、遷移金属化合物は0.005〜5モル、好
ましくは0.02〜2.5モル、第I〜IV族金属の有機金属化
合物は0.1〜10モル、好ましくは0.5〜5モル、その他の
触媒成分を加える場合は0.2〜20モル、好ましくは1〜1
0モル用いて開環重合を行う。
(重合方法) 本発明におけるノルボルネン系モノマーの開環重合
は、溶媒を用いなくても可能であるが、通常、不活性有
機溶媒中で実施する。
有機溶媒としては、炭化水素系溶媒が好ましく、その
中でも生成するノルボルネン系開環重合体の溶解性に優
れた環状炭化水素系溶媒が特に好ましい。
具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エ
チルベンゼン等の芳香族炭化水素;n−ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン等の脂肪族酸化水素;シクロペンタン、シ
クロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロ
ヘキサン、デカリン等の脂環族炭化水素;メチレンジク
ロリド、ジクロルエタン、ジルロルエチレン、テトラク
ロルエタン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリ
クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられ、
これらの2種以上を混合して使用することもできる。
溶媒を使用する場合、ノルボルネン系モノマー1重量
部に対する溶媒の使用量は、1〜20重量部、好ましく
は、2〜10重量部である。
開環重合の温度条件については、特に制限はなく、−
20℃〜100℃、通常、0〜100℃、好ましくは10〜80℃の
任意の温度を選択できる。
重力圧力の条件は、0〜50kg/cm2、通常は常圧〜10kg
/cm2、好ましくは5kg/cm2以下の範囲から選択する。ま
た、開環重合は、一般に窒素やアルゴン等の不活性ガス
雰囲気中で行う。
(触媒不活化剤) 本発明においては、こうして得られた重合体溶液に触
媒不活化剤を添加し、触媒残渣を析出させ機械的手段に
より該残渣の選択的除去が行われる。
触媒不活化剤は、水酸基を有する化合物が好ましく、
例えば、水、アルコール、カルボン酸、フェノール類等
が挙げられる。具体的には、アルコール類としては、メ
タノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパ
ノール、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル
−1−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2
−プロペン−1−オール、1,2−エタンジオール、1,2−
ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサン
ジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2−エ
トキシエタノール、2,2−ジクロロ−1−エタノール、
2−ブロモ−1−エタノール、2−フェニル−1−エタ
ノール等の脂肪族、脂環族、芳香族のモノ、ジまたはポ
リアルコール類が挙げられ、カルボン酸類としては、ギ
酸、酢酸、トリクロロ酢酸、アクリル酸、シュウ酸、マ
レイン酸、プロパントリカルボン酸、酒石酸、クエン
酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボ
ン酸、安息香酸、フタル酸、ピロメリット酸等の、脂肪
族、脂環族、芳香族のモノ、ジまたはポリカルボン酸類
が挙げられ、フェノール類として、フェノール、クレゾ
ール、キシレノール等が挙げられる。
これらの触媒不活化剤は単独で、または2種以上を同
時に使用することができる。
これらの水酸基を有する化合物のうち、水または水溶
性の化合物(例えば炭素数4以下の化合物)は、重合体
溶液に対する溶解性が低く、重合体中に残存しにくいの
で好ましい。中でも水または低級アルコール類が好まし
いが、特に水とアルコール類を同時に使用すると水を単
独で用いる場合に比して触媒不活性化の効率が良好であ
り、またアルコールを単独で用いる場合に比較して触媒
残渣の析出が容易になる。水とアルコールの好ましい使
用比率は、水1重量部に対してアルコール類が0.1〜5
重量部、特に、0.2〜2重量%である。
本発明において用いる不活化剤の量は触媒を不活化
し、かつ選択的に触媒を析出させるのに充分な量であ
る。これは実験で容易に決定できる。例えば、触媒不活
化剤が水酸基を有する化合物である場合は、開環重合触
媒であるI〜IV族金属の有機金属化合物の金属の酸化数
とモル数の積、及び遷移金属化合物の金属の酸化数とモ
ル数の積との合計の値に対し、水酸基含有化合物の水酸
基の当量の合計の値が0.5〜10倍となる範囲で使用され
る。特に1〜3倍の範囲で使用された場合、重合触媒を
良好に不溶化させ且つ重合体中に残存しにくいので好ま
しい。
さらに、重合体溶液に触媒不活化剤を添加した結果析
出する不溶解成分の凝集核または凝集助剤として、活性
白土、タルク、けいそう土、ベントナイト、合成ゼオラ
イト、シラカゲル粉末、アルミナ粉末などを添加しても
良い。添加量の範囲は任意だが、好ましくは重合触媒の
約0.1〜10倍の範囲である。
本発明においては、触媒残渣が析出するのに必要な範
囲で触媒不活化剤を使用すればよく、それを過剰に添加
すると析出した触媒残渣が過剰分の触媒不活化剤に再溶
解して二層分離を起こしやすい。しかし、その場合で
も、従来技術に比較して、添加量がはるかに少ないの
で、周知の脱水剤、例えば、無水硫酸マグネシウム、無
水硫酸ナトリウム、無水塩化カルシウム、無水硫酸カル
シウムなどを添加することにより水分を除去し、後述の
触媒残渣の除去工程で残渣を効率よく除去することがで
きる。
重合体溶液に対する触媒不活化剤の添加は、0℃以上
100℃以下の任意の温度、好ましくは30℃以上80℃以
下、0kg/cm2以上50kg/cm2以下の任意の圧力、通常は常
圧以上10kg/cm2以下、好ましくは5kg/cm2以下の範囲で
行い、その条件下で、0.5時間以上10時間以下、好まし
くは1時間以上3時間以下反応させ、不溶解生成物を形
成させる。不溶解生成物は、濾過、または遠心分離によ
って重合体溶液から除去することができる。濾過は、例
えば加圧濾過器を用いて、通常0.5以上10kg/cm2以下程
度の加圧で、濾過層あるいは濾紙を用い、必要に応じて
ケイソウ土などの濾過助剤を用いて行うことにより不溶
解生成物が除去できる。遠心分離は、例えば、10G以上5
00G以下で1時間程度行うことにより不溶解生成物が除
去できる。
目的の生成物が未水添の重合体である場合には、触媒
残渣を除去した重合体溶液から常法に従って重合体が回
収される。その方法は特に限定されないが、一般的に
は、重合体の貧溶剤であるイソプロピルアルコール、ア
セトンなどと混合して重合体を凝固させる方法が用いら
れる。
このようにして重合し、回収された開環重合体中に残
留する金属量は通常50ppm以下である。
(水素添加反応) 目的とする重合体が水添物である場合には、触媒残渣
を除去した重合体溶液をそのまま水添工程に供すること
ができる。
水添触媒として、オレフィン化合物の水素化に際して
一般に使用されているものであれば使用可能であり、例
えば、ウィルキンソン錯体、酢酸コバルト/トリエチル
アルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイ
ソブチルアルミニウム、パラジウム−カーボン、ルテニ
ウム−カーボン、ニッケル−けいそう土等を上げること
ができる。
水素化反応は、触媒の種類による均一系または不均一
系で、1〜200気圧の水素圧下、0〜250℃で行なわれ
る。
水素添加率は、耐熱劣化性、耐光劣化性などの観点か
ら、90%以上、好ましくは95%以上、特に好ましくは99
%以上とする。
この方法によれば、未水添の重合体を単離せずに水添
工程に供するために重合体の劣化を防止することがで
き、また工程をきわめて簡略化することができる。また
触媒不活化剤としてアルコールを用いる場合には重合体
溶液中にこれらが残存していても水添反応を阻害するこ
とがなく、むしろ反応を促進するという利点を有する。
水素添加反応の反応液から、水素添加物を回収方法は
特に限定されない。一般に、水素添加反応液から水素触
媒を除去し、溶液をそれと同量以上、通常2〜3倍のケ
トンまたはアルコールと触媒させることによってノルボ
ルネン系開環重合体水素添加物を析出単離させる方法
や、触媒を除去した反応液から揮発成分を減圧下に加熱
して蒸発させることにより水素添加物を単離する方法が
用いられる。
〔発明の効果〕
本発明の方法によれば、ノルボルネン系モノマーをメ
タセシス重合触媒を使用して得られる重合体溶液から重
合触媒残渣を簡単な操作で効率良く除去でき、またその
ようにして触媒残渣を除去した重合体溶液を直接水素添
加反応に供することにより簡単なプロセスで効率よく透
明性に優れ、着色しにくい水添重合体を得ることができ
る。
〔実施例〕
以下に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具
体的に説明する。なお、部は、特に断りのない限り重量
基準である。
(参考例) 6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a
−オクタヒドロナフタレン60部をシクロヘキサン200部
に溶解し、分子量調節剤として1−ヘキセンを1部添加
した。この溶液を、30℃で、重合触媒として15%トリエ
チルアルミニウム・シクロヘキサン溶液10部(13mmo
l)、トリエチルアミン5部(50mmol)、および20%四
塩化チタン・シクロヘキサン溶液10部(11mmol)を添加
して、開環重合を開始した。
重合開始30分後、転化率85%の時点で0.5%六塩化タ
ングステン・シクロヘキサン溶液10部(0.13mmol)を添
加し、更に30分間攪拌し、濃褐色の濁った、重合体溶液
296部を得た。
高速液体クロマトグラフィで測定したところ、単量体
の重合体への転化率は99%であった。得られた重合体の
固有粘度はトルエン中、25℃で0.4dl/gであった。
(実施例) 参考例で得られた開環重合体溶液100部に、触媒不活
化剤としてメタノール1.0部(31mmol)、水1.0部(56mm
ol)及び凝集助剤としてけいそう土(ラジオライト#30
0、昭和化学製)1.5部を添加し、80℃で1時間攪拌し
た。
反応終了後、無水硫酸マグネシウム3部を添加して30
℃でさらに1時間撹拌した。溶液は淡黄色で黒褐色の細
かい沈殿で分散した状態であった。静置すると沈殿は沈
降し、溶液はいく分濁りのある淡黄色を程したものであ
った。不溶化した触媒の析出した開環重合体溶液を、10
0Gで1時間遠心分離したところ、析出した不溶化触媒は
沈澱し、淡黄色透明の重合体溶液95部が得られた。この
溶液の一部をロータリー・エバポレーターを用いて、70
℃、10mmHgにて濃縮、120℃、1mmHgにて乾固し、19部の
重合体を得た。得られた重合体の一部をシクロヘキサン
に溶解させ、原子吸光法で金属量を測定したところ、得
られた重合体中の残留金属量は、アルミニウム15ppm、
チタン5ppmであり、タングステンは検出されなかった。
(実施例2) 触媒不活化剤としてクエン酸一水和物1.0部(4.8mmo
l)を水1.0部(56mmol)に溶解させたものを使用する以
外は実施例1と同様に処理した。重合体中の残留金属量
は、アルミニウム7ppmで、チタンおよびタングステンは
検出されなかった。
(実施例3) 参考例で得られた重合体溶液100部に、イソプロピル
アルコール1.0部(17mmol)を添加し、室温で10分間攪
拌した。さらに蒸留水を1.0部(56mmol)添加して、80
℃で1時間攪拌した。反応終了後、無水硫酸マグネシウ
ム3部を添加し、溶液を室温まで放冷し、ラジオライト
#800(昭和化学製)を濾過層として不溶化物を含んだ
溶液2.0kg/cm2に加圧して濾過し、無色透明の重合体溶
液94部を得た。この溶液の一部をロータリー・エバポレ
ーターを用いて、70℃、10mmHgにて濃縮、120℃、1mmHg
にて乾固し、重合体19部を得た。得られた重合体をシク
ロヘキサンに溶解させ、原子吸光法で金属量を測定した
ところ、得られた重合体中の残留金属量は、アルミニウ
ム5ppmで、チタン、タングスチンは検出されなかった。
(実施例4) 実施例3で得られた重合体を含む濾液500部に、パラ
ジウム−カーボン触媒1部を添加して、オートクレーブ
中に入れ、攪拌混合後に中の空気を水素で置換して、水
素圧を70kg/cm2、温度30℃で攪拌しつつ30分間保持し
た。その後140℃に昇温して3時間反応させた。反応終
了後、溶液を室温まで放冷し、ラジオライト#300を濾
過層として不溶化物を含んだ溶液を2.0kg/cm2に加圧し
て濾過し、触媒を除去した後、イソプロピルアルコール
2000部中に撹拌しながら注入し、重合体水素添加物を乾
固させた。重合体水素添加物を400メッシュのステンレ
スフィルターで濾過して回収し、アセトン500部で洗浄
した後、温度100℃、圧力1mmHgで20時間減圧乾燥し、固
形の水添重合体93部を得た。
この重合体水素添加物のプロトンNMRスペクトルによ
る解析の結果、二重結合に起因するプロトンの吸収が消
失しており、99%以上水素添加されていることが確認さ
れた(水添率は99%以上)。示差走査熱量分析によるガ
ラス転移温度は142℃であった。
(実施例5) 実施例4で得た重合体水素添加物100部に、酸化防止
剤としてペンタエリスリチル=テトラキス〔3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕0.02部を配合し、押し出し機で230℃で溶融押
し出しし、ペレタイザーでカッティングして成形用ペレ
ットとした。このペレットを用いて射出成形機(DISK−
5、住友重機械工業社製)で樹脂温度330℃、金型温度1
10℃の条件で、直径13cm、厚さ1.25mmの光ディスク基板
を成形した。得られた光ディスク基板は無色透明で、40
0nmおよび700nmにおける光線透過率は90.0%および91.5
%であり、透明性に優れていた。
(比較例1) 参考例で得られた重合体溶液を、500Gで1時間遠心分
離したところ、淡褐色の懸濁溶液が得られた。この溶液
を実施例1と同様に、濃縮、乾固して、得られた重合体
中の残留金属量を測定したところ、アルミニウム2500pp
m、チタン1700ppm、タングステン300ppmであった。ま
た、この溶液を実施例4と同様に水素添加したところ、
水素添加率は約45%であった。この水素添加物を実施例
1と同様にペレットを作製したところ、著しく黄色く着
色しており、光学材料として不適当なものであった。
(比較例2) 参考例で得られた重合体溶液を、室温まで放冷し、ラ
ジオライト#800を濾過層として不溶化物を含んだ溶液
を2.0kg/cm2に加圧して濾過し、目詰まりを起こし、濾
液は得られなかった。
(比較例3) 参考例で得られた開環重合体溶液100部にクエン酸2
部を水100部に溶解した水溶液を加え、1時間、30℃で
激しく撹拌した。乳濁した混合溶液を50℃で5時間、さ
らに室温で1日静置したところ、上層に無色透明な重合
体のシクロヘキサン溶液層、中間に水溶液が分散し乳濁
した重合体シクロヘキサン層、下層に無色透明な水溶液
層の3層に分離した。この3層を分液し、水溶液92部、
乳濁液70部、透明な重合体のシクロヘキサン溶液32部を
得た。乳濁液を100Gで1時間遠心分離したところ、上層
に透明な溶液と下層に乳濁液が分離した。上層を分液し
て、49部の透明な重合体のシクロヘキサン溶液を得た。
静置分離と遠心分離によって回収された透明な重合体の
シクロヘキサン溶液を混合した。混合溶液から実施例1
と同様にして重合体を回収し、16部の重合体を得た。
この回収量は実施例1に比較して劣っていた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 61/00 - 61/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メタセシス触媒を用いてノルボルネン系モ
    ノマーを開環重合して得られた重合体溶液に、触媒不活
    化剤を添加して触媒残渣を析出させ、該触媒残渣を濾過
    または遠心分離により除去した後、重合体溶液から重合
    体を回収することを特徴とするノルボルネン系開環重合
    体の製造方法。
  2. 【請求項2】メタセシス触媒を用いてノルボルネン系モ
    ノマーを開環重合して得られた重合体溶液に、触媒不活
    化剤を添加して触媒残渣を析出させ、該触媒残渣を濾過
    または遠心分離により除去した後、重合体溶液に水素添
    加触媒を加えて水素の存在下に重合体の水素添加を行っ
    た後、水素添加物を回収することを特徴とするノルボル
    ネン系開環重合体水素添加物の製造方法。
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