JP3050196B2 - ノルボルネン系開環重合体 - Google Patents
ノルボルネン系開環重合体Info
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- JP3050196B2 JP3050196B2 JP9368863A JP36886397A JP3050196B2 JP 3050196 B2 JP3050196 B2 JP 3050196B2 JP 9368863 A JP9368863 A JP 9368863A JP 36886397 A JP36886397 A JP 36886397A JP 3050196 B2 JP3050196 B2 JP 3050196B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子量であっ
て、分子量分布がシャープで、ゲルを含まない溶媒可溶
性のノルボルネン系開環重合体に関する。本発明のノル
ボルネン系開環重合体は、特に光学材料として好適であ
る。
て、分子量分布がシャープで、ゲルを含まない溶媒可溶
性のノルボルネン系開環重合体に関する。本発明のノル
ボルネン系開環重合体は、特に光学材料として好適であ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、光学用高分子材料としてポリメタ
クリル酸メチルやポリカーボネート等が使用されてきた
が、前者は、吸水性が比較的大きく、また、後者は、ベ
ンゼン環をもつ基本構造とともに、溶融粘度が高いこと
に起因する複屈折を生じ易いという問題を抱えており、
ますます高度化する要求に応えることが困難になってき
ている。近年、これらの欠点を改良した高分子材料とし
て、多環ノルボルネン系モノマーを用いた重合体が開発
されている。例えば、特開昭60−26024号公報に
は、テトラシクロドデセン類とノルボルネン類との開環
共重合体の水素化物が、透明性、耐水性、耐熱性に優れ
ていることが記載されている。また、特開昭60−16
8708号公報および特開昭61−292601号公報
には、テトラシクロドデセン類またはそれ以上の多環ノ
ルボルネン系モノマーとα−オレフィンとの付加共重合
体が、透明性、耐熱性、耐薬品性、耐水性などに優れて
いることが開示されている。このように、多環ノルボル
ネン系モノマーの重合体は、光学用高分子材料として優
れた特性を有している。ところで、アルキリデン基を有
し、下記一般式(1)で表わされるノルボルネン系モノ
マーは、シクロペンタジエンと鎖状共役ジエンとをディ
ールス・アルダー反応したのち二重結合を移動すること
により容易に入手可能である。
クリル酸メチルやポリカーボネート等が使用されてきた
が、前者は、吸水性が比較的大きく、また、後者は、ベ
ンゼン環をもつ基本構造とともに、溶融粘度が高いこと
に起因する複屈折を生じ易いという問題を抱えており、
ますます高度化する要求に応えることが困難になってき
ている。近年、これらの欠点を改良した高分子材料とし
て、多環ノルボルネン系モノマーを用いた重合体が開発
されている。例えば、特開昭60−26024号公報に
は、テトラシクロドデセン類とノルボルネン類との開環
共重合体の水素化物が、透明性、耐水性、耐熱性に優れ
ていることが記載されている。また、特開昭60−16
8708号公報および特開昭61−292601号公報
には、テトラシクロドデセン類またはそれ以上の多環ノ
ルボルネン系モノマーとα−オレフィンとの付加共重合
体が、透明性、耐熱性、耐薬品性、耐水性などに優れて
いることが開示されている。このように、多環ノルボル
ネン系モノマーの重合体は、光学用高分子材料として優
れた特性を有している。ところで、アルキリデン基を有
し、下記一般式(1)で表わされるノルボルネン系モノ
マーは、シクロペンタジエンと鎖状共役ジエンとをディ
ールス・アルダー反応したのち二重結合を移動すること
により容易に入手可能である。
【0003】
【化2】 (式中、R1及びR2は、互いに同一または相異なり、水
素原子またはアルキル基を示し、mは、0〜2の整数を
示す。) これらの中でも、特に、アルキリデン基としてエチリデ
ン基を有するノルボルネン系モノマーは、エチリデンノ
ルボルネンがエチレン−プロピレン−ターポリマー用の
コモノマーとして大量に生産されていることから、他の
ノルボルネン系モノマーに比較して、はるかに入手容易
である。そして、上記一般式(1)で表わされるノルボ
ルネン系モノマーの開環重合体は、その構造から見て、
透明性などの光学特性に優れ、また、水素添加すること
によりさらに光学用材料に適したポリマーであることが
期待される。ところが、従来、このモノマーを使用し
て、架橋やゲル化がなく、光学用材料の原料として有用
な物性を有する開環重合体を製造する方法は、知られて
いなかった。
素原子またはアルキル基を示し、mは、0〜2の整数を
示す。) これらの中でも、特に、アルキリデン基としてエチリデ
ン基を有するノルボルネン系モノマーは、エチリデンノ
ルボルネンがエチレン−プロピレン−ターポリマー用の
コモノマーとして大量に生産されていることから、他の
ノルボルネン系モノマーに比較して、はるかに入手容易
である。そして、上記一般式(1)で表わされるノルボ
ルネン系モノマーの開環重合体は、その構造から見て、
透明性などの光学特性に優れ、また、水素添加すること
によりさらに光学用材料に適したポリマーであることが
期待される。ところが、従来、このモノマーを使用し
て、架橋やゲル化がなく、光学用材料の原料として有用
な物性を有する開環重合体を製造する方法は、知られて
いなかった。
【0004】従来、この一般式(1)で表わされるノル
ボルネン系モノマーを、メタセシス触媒の存在下に、金
型内で塊状・開環重合することは公知である。例えば、
特開昭63−97611号公報には、5−エチリデン−
2−ノルボルネンを、メタセシス触媒の存在下、金型内
で反応射出成形(RIM)法により塊状重合させる方法
が開示されている。また、特開昭63−37108号公
報(欧州特許第251033号公開公報)には、6−ア
ルキリデン−2−テトラシクロドデセンを同様にRIM
法で塊状重合する方法が開示されている。しかし、これ
らRIM法により得られる塊状の開環重合体は、いずれ
も架橋ポリマーであり、光学用材料としては不適当なも
のである。
ボルネン系モノマーを、メタセシス触媒の存在下に、金
型内で塊状・開環重合することは公知である。例えば、
特開昭63−97611号公報には、5−エチリデン−
2−ノルボルネンを、メタセシス触媒の存在下、金型内
で反応射出成形(RIM)法により塊状重合させる方法
が開示されている。また、特開昭63−37108号公
報(欧州特許第251033号公開公報)には、6−ア
ルキリデン−2−テトラシクロドデセンを同様にRIM
法で塊状重合する方法が開示されている。しかし、これ
らRIM法により得られる塊状の開環重合体は、いずれ
も架橋ポリマーであり、光学用材料としては不適当なも
のである。
【0005】ところで、特開昭63−37108号公報
には、6−アルキリデン−2−テトラシクロドデセンの
メタセシス重合を溶液重合の如く温和な条件で行なう
と、鎖状のポリマーの得られることが示唆されている。
しかしながら、該公報には、そのような鎖状ポリマーを
得たとしても、成形加工性に乏しく、実用性のない旨が
指摘されている。具体的に、該公報の実施例11には、
エチリデンテトラシクロドデセンをジエチルアルミニウ
ム/六塩化タングステン系触媒を用いて溶液重合を行な
った実験例が示されている。しかし、この実験例によれ
ば、モノマー濃度が10%以下と希薄な条件下であるに
もかかわらず、生成物は、ゲル状物(すなわち、反応系
は均一ではない)であったと記載されている。該公報に
は、生成物のIRスペクトルが示されており、この生成
物は、開環重合体であると記載されている。しかし、そ
のIRスペクトルによれば、主鎖中の二重結合を示す9
50〜1000cm-1の吸収(Makromol.Ch
em.,78,231,196年)が弱く、その反面、
約1700cm-1近辺に帰属不明の強い吸収が出てお
り、このようなIRスペクトルからは、生成物が開環重
合体であることさえも明らかではない。また、本発明者
らが、このモノマーを、有機アルミニウム化合物とタン
グステンまたはモリブデンなどの遷移金属化合物とを組
合わせた従来の開環重合触媒を用いて重合させたとこ
ろ、得られた生成物は、ゲル化するか、あるいは分子量
分布が大きく、光学用材料として不適当なポリマーしか
得ることができなかった。
には、6−アルキリデン−2−テトラシクロドデセンの
メタセシス重合を溶液重合の如く温和な条件で行なう
と、鎖状のポリマーの得られることが示唆されている。
しかしながら、該公報には、そのような鎖状ポリマーを
得たとしても、成形加工性に乏しく、実用性のない旨が
指摘されている。具体的に、該公報の実施例11には、
エチリデンテトラシクロドデセンをジエチルアルミニウ
ム/六塩化タングステン系触媒を用いて溶液重合を行な
った実験例が示されている。しかし、この実験例によれ
ば、モノマー濃度が10%以下と希薄な条件下であるに
もかかわらず、生成物は、ゲル状物(すなわち、反応系
は均一ではない)であったと記載されている。該公報に
は、生成物のIRスペクトルが示されており、この生成
物は、開環重合体であると記載されている。しかし、そ
のIRスペクトルによれば、主鎖中の二重結合を示す9
50〜1000cm-1の吸収(Makromol.Ch
em.,78,231,196年)が弱く、その反面、
約1700cm-1近辺に帰属不明の強い吸収が出てお
り、このようなIRスペクトルからは、生成物が開環重
合体であることさえも明らかではない。また、本発明者
らが、このモノマーを、有機アルミニウム化合物とタン
グステンまたはモリブデンなどの遷移金属化合物とを組
合わせた従来の開環重合触媒を用いて重合させたとこ
ろ、得られた生成物は、ゲル化するか、あるいは分子量
分布が大きく、光学用材料として不適当なポリマーしか
得ることができなかった。
【0006】一般式(1)で示されるノルボルネン系モ
ノマーの中で5−メチリデンノルボルネンの溶液重合
は、公知である(Makromol.Chem.Rap
idCommun.,1,467−472,198
0)。しかし、このモノマーは、特殊なメタセシス触媒
でなければ開環重合体にはならず、例えば、トリエチル
アルミニウム/四塩化チタン系触媒を用いた場合には、
溶剤可溶性ポリマーが生成しないと報告されている。
ノマーの中で5−メチリデンノルボルネンの溶液重合
は、公知である(Makromol.Chem.Rap
idCommun.,1,467−472,198
0)。しかし、このモノマーは、特殊なメタセシス触媒
でなければ開環重合体にはならず、例えば、トリエチル
アルミニウム/四塩化チタン系触媒を用いた場合には、
溶剤可溶性ポリマーが生成しないと報告されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高分
子量であって、分子量分布がシャープで、ゲルがなく、
加工性が良好な、光学用材料の原料に適したノルボルネ
ン系開環重合体を提供することにある。本発明者らは、
上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、前記一般式
(1)で表わされるノルボルネン系モノマー単独または
それを主成分として含むモノマー混合物を、鎖状オレフ
ィンの存在下に、特定の開環重合触媒を用いて開環重合
することにより、アルキリデン基の付加反応を併発して
ゲル化することなく、高分子量で、分子量分布がシャー
プなノルボルネン系開環重合体を得ることができること
を見出した。得られたノルボルネン系開環重合体は、そ
れ自身光学用材料としてとして有用であるとともに、そ
れを水素化することにより、耐熱劣化性、耐光劣化性、
光学的特性がさらに優れた水素添加物を得ることができ
る。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至っ
たものである。
子量であって、分子量分布がシャープで、ゲルがなく、
加工性が良好な、光学用材料の原料に適したノルボルネ
ン系開環重合体を提供することにある。本発明者らは、
上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、前記一般式
(1)で表わされるノルボルネン系モノマー単独または
それを主成分として含むモノマー混合物を、鎖状オレフ
ィンの存在下に、特定の開環重合触媒を用いて開環重合
することにより、アルキリデン基の付加反応を併発して
ゲル化することなく、高分子量で、分子量分布がシャー
プなノルボルネン系開環重合体を得ることができること
を見出した。得られたノルボルネン系開環重合体は、そ
れ自身光学用材料としてとして有用であるとともに、そ
れを水素化することにより、耐熱劣化性、耐光劣化性、
光学的特性がさらに優れた水素添加物を得ることができ
る。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至っ
たものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、一般式(2)で表される繰り返し単位を有し、
ば、一般式(2)で表される繰り返し単位を有し、
【0009】
【化3】 (式中、R1及びR2は、互いに同一または相異なり、水
素原子またはアルキル基を示し、mは、0〜2の整数を
示す。)数平均分子量Mnが10,000〜50,00
0で、かつ、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量
Mwの比(Mw/Mn)が3以下の溶媒可溶性ノルボル
ネン系開環重合体が提供される。
素原子またはアルキル基を示し、mは、0〜2の整数を
示す。)数平均分子量Mnが10,000〜50,00
0で、かつ、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量
Mwの比(Mw/Mn)が3以下の溶媒可溶性ノルボル
ネン系開環重合体が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。 (ノルボルネン系モノマー)本発明で用いるアルキリデ
ン基を有するノルボルネン系モノマーは、前記一般式
(1)で表わされるノルボルネン系モノマー(A)であ
る。一般式(1)中、R1およびR2の具体例としては、
水素原子、あるいはメチル、エチル、プロピル、ブチル
などのアルキル基が挙げられる。ノルボルネン系モノマ
ー(A)の具体例としては、5−エチリデン−2−ノル
ボルネン、5−プロピリデン−2−ノルボルネン、5−
ブチリデン−2−ノルボルネン、6−エチリデン−2−
テトラシクロドデセン、7−エチリデン−ヘキサシクロ
ヘプタデセンなどを挙げることができる。
ン基を有するノルボルネン系モノマーは、前記一般式
(1)で表わされるノルボルネン系モノマー(A)であ
る。一般式(1)中、R1およびR2の具体例としては、
水素原子、あるいはメチル、エチル、プロピル、ブチル
などのアルキル基が挙げられる。ノルボルネン系モノマ
ー(A)の具体例としては、5−エチリデン−2−ノル
ボルネン、5−プロピリデン−2−ノルボルネン、5−
ブチリデン−2−ノルボルネン、6−エチリデン−2−
テトラシクロドデセン、7−エチリデン−ヘキサシクロ
ヘプタデセンなどを挙げることができる。
【0011】これらのノルボルネン系モノマー(A)
は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組合わせて用
いることができる。これらのノルボルネン系モノマー
(A)の中でも、特に、四環体が、ガラス転移温度(T
g)や加工性の点で好ましく、また、モノマーの入手の
容易さからエチリデン置換体が好ましい。本発明におい
て、ノルボルネン系モノマー(A)は、所望により開環
共重合可能な他のノルボルネン系モノマー(B)ととも
に用いてもよい。共重合可能な他のノルボルネン系モノ
マー(B)としては、例えば、ノルボルネン、ジシクロ
ペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、テトラ
シクロドデセン、シクロペンタジエン三量体、これらの
アルキル置換体などが挙げられる。両モノマーの使用割
合は、経済性の見地から、ノルボルネン系モノマー
(A)を50重量%以上、更に好ましくは70重量%以
上とすることが望ましい。
は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組合わせて用
いることができる。これらのノルボルネン系モノマー
(A)の中でも、特に、四環体が、ガラス転移温度(T
g)や加工性の点で好ましく、また、モノマーの入手の
容易さからエチリデン置換体が好ましい。本発明におい
て、ノルボルネン系モノマー(A)は、所望により開環
共重合可能な他のノルボルネン系モノマー(B)ととも
に用いてもよい。共重合可能な他のノルボルネン系モノ
マー(B)としては、例えば、ノルボルネン、ジシクロ
ペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、テトラ
シクロドデセン、シクロペンタジエン三量体、これらの
アルキル置換体などが挙げられる。両モノマーの使用割
合は、経済性の見地から、ノルボルネン系モノマー
(A)を50重量%以上、更に好ましくは70重量%以
上とすることが望ましい。
【0012】(その他のモノマー成分)本発明の開環重
合体は、開環重合体の開環重合に際して、鎖状のモノオ
レフィン、鎖状の非共役ジオレフィン、シクロオレフィ
ン等を添加して、分子量や物性を調節することができ
る。具体例としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−
ヘキセン、1−オクテン、1−ブテン、2−ペンテン、
1,4−ヘキサジエン、シクロペンテンなどが挙げられ
る。これらのモノマーの中でも、鎖状オレフィンを使用
すると、得られるポリマーの物性を好ましく調節するこ
とができる。その他のモノマー成分は、ノルボルネン系
モノマー(A)および(B)の合計量に対し、通常、1
0重量%までの範囲で用いられる。
合体は、開環重合体の開環重合に際して、鎖状のモノオ
レフィン、鎖状の非共役ジオレフィン、シクロオレフィ
ン等を添加して、分子量や物性を調節することができ
る。具体例としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−
ヘキセン、1−オクテン、1−ブテン、2−ペンテン、
1,4−ヘキサジエン、シクロペンテンなどが挙げられ
る。これらのモノマーの中でも、鎖状オレフィンを使用
すると、得られるポリマーの物性を好ましく調節するこ
とができる。その他のモノマー成分は、ノルボルネン系
モノマー(A)および(B)の合計量に対し、通常、1
0重量%までの範囲で用いられる。
【0013】(開環重合触媒)本発明で使用する開環重
合触媒は、(a)周期律表第I〜III族に属する金属
の有機化合物、(b)四ハロゲン化チタン、および
(c)アミン系活性化剤からなるチーグラー型開環重合
触媒である。
合触媒は、(a)周期律表第I〜III族に属する金属
の有機化合物、(b)四ハロゲン化チタン、および
(c)アミン系活性化剤からなるチーグラー型開環重合
触媒である。
【0014】以下に、(a)成分ないし(c)成分の具
体例を挙げる。 (a)有機金属化合物 有機金属化合物の具体例は、有機アルミニウム化合物、
有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物などであ
り、これらの中でも有機アルミニウム化合物が好まし
い。有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメ
チルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n
−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウ
ム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミ
ニウム、トリオクチルアルミニウム、トリフェニルアル
ミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジエチルアルミ
ニウムモノクロリド、ジ−n−ピロピルアルミニウムモ
ノクロリド、ジ−イソブチルアルミニウムモノクロリ
ド、ジ−n−ブチルアルミニウムモノクロリド、ジエチ
ルアルミニウムモノブロミド、ジエチルアルミニウムモ
ノイオジド、ジエチルアルミニウムモノヒドリド、ジ−
n−プロピルアルミニウムモノヒドリド、ジイソブチル
アルミニウムモノヒドリド、メチルアルミニウムセスキ
クロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド、イソブ
チルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウム
ジクロリド、エチルアルミニウムジブロミド、プロピル
アルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジク
ロリド、エチルアルミニウムジブロミド、エチルアルミ
ニウムジイオジド等が挙げられる。有機リチウム化合物
としては、例えば、n−ブチルリチウム、n−ヘキシル
リチウムなどが挙げられる。有機マグネシウム化合物と
しては、例えば、メチルマグネシウムイオジド、エチル
マグネシウムブロミド、メチルマグネシウムブロミド、
n−プロピルマグネシウムクロリド、t−ブチルマグネ
シウムクロリド、アリルマグネシウムクロリドなどが挙
げられる。
体例を挙げる。 (a)有機金属化合物 有機金属化合物の具体例は、有機アルミニウム化合物、
有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物などであ
り、これらの中でも有機アルミニウム化合物が好まし
い。有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメ
チルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n
−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウ
ム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミ
ニウム、トリオクチルアルミニウム、トリフェニルアル
ミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジエチルアルミ
ニウムモノクロリド、ジ−n−ピロピルアルミニウムモ
ノクロリド、ジ−イソブチルアルミニウムモノクロリ
ド、ジ−n−ブチルアルミニウムモノクロリド、ジエチ
ルアルミニウムモノブロミド、ジエチルアルミニウムモ
ノイオジド、ジエチルアルミニウムモノヒドリド、ジ−
n−プロピルアルミニウムモノヒドリド、ジイソブチル
アルミニウムモノヒドリド、メチルアルミニウムセスキ
クロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド、イソブ
チルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウム
ジクロリド、エチルアルミニウムジブロミド、プロピル
アルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジク
ロリド、エチルアルミニウムジブロミド、エチルアルミ
ニウムジイオジド等が挙げられる。有機リチウム化合物
としては、例えば、n−ブチルリチウム、n−ヘキシル
リチウムなどが挙げられる。有機マグネシウム化合物と
しては、例えば、メチルマグネシウムイオジド、エチル
マグネシウムブロミド、メチルマグネシウムブロミド、
n−プロピルマグネシウムクロリド、t−ブチルマグネ
シウムクロリド、アリルマグネシウムクロリドなどが挙
げられる。
【0015】(b)四ハロゲン化チタン 四ハロゲン化チタンの具体例としては、四塩化チタン、
四臭化チタンなどを挙げることができる。 (c)アミン系活性剤 アミン系活性剤としては、脂肪族、脂環族、芳香族第3
級アミン、複素環アミンなどがある。具体例としては、
トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルア
ミン、ジメチルアニリン、トリ−n−ブチルアミン、ピ
リジン、α−ピコリンなどが挙げられる。これらの化合
物(a)、(b)および(c)は、通常、(b)/
(a)=1/1〜1/500(モル比)で、(c)/
(a)=1/2〜10/1(モル比)の範囲で用いられ
る。
四臭化チタンなどを挙げることができる。 (c)アミン系活性剤 アミン系活性剤としては、脂肪族、脂環族、芳香族第3
級アミン、複素環アミンなどがある。具体例としては、
トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルア
ミン、ジメチルアニリン、トリ−n−ブチルアミン、ピ
リジン、α−ピコリンなどが挙げられる。これらの化合
物(a)、(b)および(c)は、通常、(b)/
(a)=1/1〜1/500(モル比)で、(c)/
(a)=1/2〜10/1(モル比)の範囲で用いられ
る。
【0016】本発明で使用する触媒系は、特公昭57−
17883号公報に記載されているように、ジシクロペ
ンタジエンの開環重合触媒として公知のものであるが、
本発明では、この触媒系を、アルキリデン基を有するノ
ルボルネン系モノマー(A)に転用することにより、高
分子量であって、分子量分布がシャープで、ゲルのない
開環重合体を得たのであり、他のタングステンやモリブ
デン系開環重合触媒では、前記したとおり、ゲル化の防
止ができないか、あるいは分子量分布の広い光学用には
不適当なポリマーしか得られない。
17883号公報に記載されているように、ジシクロペ
ンタジエンの開環重合触媒として公知のものであるが、
本発明では、この触媒系を、アルキリデン基を有するノ
ルボルネン系モノマー(A)に転用することにより、高
分子量であって、分子量分布がシャープで、ゲルのない
開環重合体を得たのであり、他のタングステンやモリブ
デン系開環重合触媒では、前記したとおり、ゲル化の防
止ができないか、あるいは分子量分布の広い光学用には
不適当なポリマーしか得られない。
【0017】(溶 媒)本発明において、開環重合体の
重合は、溶媒を用いなくても可能であるが、通常、不活
性有機溶媒中で実施する。有機溶媒の具体例としては、
ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;
n−ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水
素;シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;メチレンジ
クロリド、ジクロルエタン、ジクロルエチレン、テトラ
クロルエタン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、ト
リクロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;等が挙げ
られる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で、あるい
は2種以上を組み合わせて使用することができる。
重合は、溶媒を用いなくても可能であるが、通常、不活
性有機溶媒中で実施する。有機溶媒の具体例としては、
ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;
n−ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水
素;シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;メチレンジ
クロリド、ジクロルエタン、ジクロルエチレン、テトラ
クロルエタン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、ト
リクロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;等が挙げ
られる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で、あるい
は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】(重合温度)開環重合の温度条件について
は、特に制限はないが、−20℃〜100℃の任意の温
度を選択するのが通常である。 (重合圧力)重合圧力の条件は、通常0〜50Kg/c
m2の範囲から選択することが好ましい。
は、特に制限はないが、−20℃〜100℃の任意の温
度を選択するのが通常である。 (重合圧力)重合圧力の条件は、通常0〜50Kg/c
m2の範囲から選択することが好ましい。
【0019】(開環重合体)本発明で得られる開環重合
体は、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1
0,000〜50,000、好ましくは10,000〜
45,000、さらに好ましくは15,000〜35,
000の比較的高分子量のポリマーであり、かつ、数平
均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比
(Mw/Mn)が3以下、好ましくは2.5以下、さら
に好ましくは2.3以下の分子量分布の狭いポリマーで
ある。分子量および分子量分布が上記範囲にあることに
よって、水素添加した後のポリマーの加工性および複屈
折が良好である。本発明における開環重合体は、ゲルの
生成がなく、かつ、非晶性であり、室温においてベンゼ
ン、トルエン、シクロヘキサン、四塩化炭素、二硫化炭
素などの有機溶媒に可溶性である。そのため、水素添加
反応を有機溶媒中の均一系で効率よく実施することが可
能である。
体は、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1
0,000〜50,000、好ましくは10,000〜
45,000、さらに好ましくは15,000〜35,
000の比較的高分子量のポリマーであり、かつ、数平
均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比
(Mw/Mn)が3以下、好ましくは2.5以下、さら
に好ましくは2.3以下の分子量分布の狭いポリマーで
ある。分子量および分子量分布が上記範囲にあることに
よって、水素添加した後のポリマーの加工性および複屈
折が良好である。本発明における開環重合体は、ゲルの
生成がなく、かつ、非晶性であり、室温においてベンゼ
ン、トルエン、シクロヘキサン、四塩化炭素、二硫化炭
素などの有機溶媒に可溶性である。そのため、水素添加
反応を有機溶媒中の均一系で効率よく実施することが可
能である。
【0020】本発明の方法により得られる開環重合体
は、モノマー組成によって異なるが、ガラス転移温度
(Tg)が通常80℃以上であり、モノマーとして四環
体を用いると150℃以上となる。2種以上のノルボル
ネン系モノマー(A)の併用、あるいはノルボルネン系
モノマー(B)との併用により、Tgを100℃以上、
好ましくは120〜200℃、さらに好ましくは150
〜200℃の範囲に制御することが可能である。好まし
い開環重合体の具体例としては、アルキリデンテトラシ
クロドデセンのホモポリマー、アルキリデンテトラシク
ロドデセンと、他のアルキルテトラシクロドデセン、D
CPD、またはノルボルネンとのコポリマー等を挙げる
ことができる。
は、モノマー組成によって異なるが、ガラス転移温度
(Tg)が通常80℃以上であり、モノマーとして四環
体を用いると150℃以上となる。2種以上のノルボル
ネン系モノマー(A)の併用、あるいはノルボルネン系
モノマー(B)との併用により、Tgを100℃以上、
好ましくは120〜200℃、さらに好ましくは150
〜200℃の範囲に制御することが可能である。好まし
い開環重合体の具体例としては、アルキリデンテトラシ
クロドデセンのホモポリマー、アルキリデンテトラシク
ロドデセンと、他のアルキルテトラシクロドデセン、D
CPD、またはノルボルネンとのコポリマー等を挙げる
ことができる。
【0021】本発明の開環重合体は、それ自体で優れた
光学特性を有するが、光学用材料として用いるには、水
素添加して、耐熱劣化性や耐光劣化性をさらに改善する
ことが好ましく、その見地からこの開環重合体は、光学
用材料の中間原料として有用である。本発明のノルボル
ネン系開環重合体は、後記の実施例1において、プロト
ンNMRによる解析の結果、δ=5.0〜5.4ppm
の間にオレフィン二重結合プロトンに起因する吸収が認
められ、その吸収強度が理論値とほぼ一致したこと、さ
らには、IRスペクトルによる解析の結果、約975c
m-1近辺に主鎖中のトランス二重結合に基づく強い吸収
が認められたことから、下記の一般式(2)で表される
繰り返し単位を有する開環重合体であることが明らかで
ある。
光学特性を有するが、光学用材料として用いるには、水
素添加して、耐熱劣化性や耐光劣化性をさらに改善する
ことが好ましく、その見地からこの開環重合体は、光学
用材料の中間原料として有用である。本発明のノルボル
ネン系開環重合体は、後記の実施例1において、プロト
ンNMRによる解析の結果、δ=5.0〜5.4ppm
の間にオレフィン二重結合プロトンに起因する吸収が認
められ、その吸収強度が理論値とほぼ一致したこと、さ
らには、IRスペクトルによる解析の結果、約975c
m-1近辺に主鎖中のトランス二重結合に基づく強い吸収
が認められたことから、下記の一般式(2)で表される
繰り返し単位を有する開環重合体であることが明らかで
ある。
【0022】
【化4】 開環重合体が共重合体である場合には、コモノマーに基
づく繰り返し単位をも有する。
づく繰り返し単位をも有する。
【0023】(水素添加)本発明の開環重合体は、水素
添加してその二重結合の一部または全部を飽和させるこ
とにより水添物とすることができ、それによりポリマー
の耐熱劣化性や耐光劣化性を改善することができる。水
素添加率は、開環重合体のすべての二重結合が水素添加
により飽和された場合を100%とすると、理論的には
0〜100%の範囲があり、実際にも、その範囲で任意
に選択できるが、耐熱劣化性や耐光劣化性を向上させる
ためには、二重結合の50%以上が水素添加されること
が好ましい。この開環重合体の水素添加反応は、通常の
方法により、有機溶媒中、水素化触媒の存在下に、分子
状水素を用いて、炭素−炭素二重結合の少なくとも一部
を水素添加することにより行われる。水素化触媒として
は、オレフィン化合物の水素化に際して一般に使用され
ているものであれば使用可能であり、特に制限されない
が、例えば、次のようなものがある。
添加してその二重結合の一部または全部を飽和させるこ
とにより水添物とすることができ、それによりポリマー
の耐熱劣化性や耐光劣化性を改善することができる。水
素添加率は、開環重合体のすべての二重結合が水素添加
により飽和された場合を100%とすると、理論的には
0〜100%の範囲があり、実際にも、その範囲で任意
に選択できるが、耐熱劣化性や耐光劣化性を向上させる
ためには、二重結合の50%以上が水素添加されること
が好ましい。この開環重合体の水素添加反応は、通常の
方法により、有機溶媒中、水素化触媒の存在下に、分子
状水素を用いて、炭素−炭素二重結合の少なくとも一部
を水素添加することにより行われる。水素化触媒として
は、オレフィン化合物の水素化に際して一般に使用され
ているものであれば使用可能であり、特に制限されない
が、例えば、次のようなものがある。
【0024】不均一系触媒としては、ニッケル、パラジ
ウム、白金またはこれらの金属をカーボン、シリカ、ケ
イソウ土、アルミナ、酸化チタン等の担体に担持させた
固体触媒、例えば、ニッケル/シリカ、ニッケル/ケイ
ソウ土、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、
パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナなどが
挙げられる。均一系触媒としては、周期律表第VIII
族の金属を基体とするもの、例えば、ナフテン酸ニッケ
ル/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n
−ブチルリチウム、ニッケルアセチルアセトネート/ト
リエチルアルミニウムなどのニッケル、コバルト化合物
と周期律表第I族〜第III族金属の有機金属化合物か
らなるもの、あるいはロジウム化合物などが挙げられ
る。水素添加反応は、触媒の種類により均一系または不
均一系で、1〜150気圧の水素圧下、0〜250℃、
好ましくは20〜200℃で行われる。水素添加率は、
水素圧、反応温度、反応時間、触媒濃度などを変えるこ
とによって任意に調節することができるが、水添物が優
れた耐熱劣化性及び耐光劣化性を示すためには、重合体
中の二重結合の50%以上が水素添加されることが好ま
しく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは9
0%以上の水素添加率とされる。
ウム、白金またはこれらの金属をカーボン、シリカ、ケ
イソウ土、アルミナ、酸化チタン等の担体に担持させた
固体触媒、例えば、ニッケル/シリカ、ニッケル/ケイ
ソウ土、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、
パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナなどが
挙げられる。均一系触媒としては、周期律表第VIII
族の金属を基体とするもの、例えば、ナフテン酸ニッケ
ル/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n
−ブチルリチウム、ニッケルアセチルアセトネート/ト
リエチルアルミニウムなどのニッケル、コバルト化合物
と周期律表第I族〜第III族金属の有機金属化合物か
らなるもの、あるいはロジウム化合物などが挙げられ
る。水素添加反応は、触媒の種類により均一系または不
均一系で、1〜150気圧の水素圧下、0〜250℃、
好ましくは20〜200℃で行われる。水素添加率は、
水素圧、反応温度、反応時間、触媒濃度などを変えるこ
とによって任意に調節することができるが、水添物が優
れた耐熱劣化性及び耐光劣化性を示すためには、重合体
中の二重結合の50%以上が水素添加されることが好ま
しく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは9
0%以上の水素添加率とされる。
【0025】(成形加工)本発明の方法により得られる
開環重合体およびその水素添加物は、周知の方法によっ
て成形加工することができる。成形加工にあたっては、
所望により、各種添加剤、例えば、無機または有機の充
填剤、安定剤、帯電防止剤、滑剤などを添加してもよ
い。
開環重合体およびその水素添加物は、周知の方法によっ
て成形加工することができる。成形加工にあたっては、
所望により、各種添加剤、例えば、無機または有機の充
填剤、安定剤、帯電防止剤、滑剤などを添加してもよ
い。
【0026】(用 途)本発明の方法により得られる開
環重合体は、ガラス転移温度が高く、また、その水素添
加物は、炭素−炭素二重結合が水素添加されていること
からも明らかなように、耐熱劣化性・耐光劣化性に優れ
ており、しかも、透明性、耐水性、複屈折などの光学特
性に優れた重合体であるから、各種の成形品として広範
な分野において有用である。例えば、光学用レンズ、光
ディスク、光ファイバー、ペリクル、ガラス窓用途など
の光学分野、電気アイロンの水タンク、電子レンジ用
品、液晶表示用基板、プリント基板、高周波用回路基
板、透明導電性シートやフィルムなどの電気分野、注射
器、ピペット、アニマルゲージなどの医療、化学分野、
カメラボディ、各種計器類ハウジング、フィルム、シー
ト、ヘルメットなど種々の分野で利用できる。
環重合体は、ガラス転移温度が高く、また、その水素添
加物は、炭素−炭素二重結合が水素添加されていること
からも明らかなように、耐熱劣化性・耐光劣化性に優れ
ており、しかも、透明性、耐水性、複屈折などの光学特
性に優れた重合体であるから、各種の成形品として広範
な分野において有用である。例えば、光学用レンズ、光
ディスク、光ファイバー、ペリクル、ガラス窓用途など
の光学分野、電気アイロンの水タンク、電子レンジ用
品、液晶表示用基板、プリント基板、高周波用回路基
板、透明導電性シートやフィルムなどの電気分野、注射
器、ピペット、アニマルゲージなどの医療、化学分野、
カメラボディ、各種計器類ハウジング、フィルム、シー
ト、ヘルメットなど種々の分野で利用できる。
【0027】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定され
るものではない。
的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定され
るものではない。
【0028】[実施例1]開環重合体の製造 充分乾燥し、窒素置換した500mlセパラブルフラス
コに、6−エチリデン−2−テトラシクロドデセン(以
下、ETDと略記)13.5g、1−ヘキセン1.0m
mol、トルエン60mlを加えた。さらに、トリエチ
ルアルミニウム1.5mmol、四塩化チタン0.30
mmolおよびトリエチルアミン1.5mmolを加
え、25℃で撹拌下4時間反応させた。反応後、アセト
ン/イソプロピルアルコール(1/1)混合溶剤で目的
物を沈澱させ、濾過後、再びトルエンに溶解した。さら
に、アセトン/イソプロピルアルコール(1/1)混合
溶剤で沈澱、濾過し、乾燥することによって、目的物を
得た。反応生成物中にゲル状物は見られなかった。得ら
れた重合物のプロトンNMRによる解析の結果、δ=
5.0〜5.4ppmの間にオレフィン二重結合プロト
ンに起因する吸収が認められ、その吸収強度が理論値
(16.7%)とほぼ一致したことから、上記ポリマー
が開環重合していることが確認された。この開環重合体
について、下記条件で物性を測定し、その結果を第1表
に一括して示す。この開環重合体は、室温において、ベ
ンゼン、トルエン、シクロヘキサン、四塩化炭素、およ
び二硫化炭素に可溶性であった。参考のために、上記ポ
リマーのIRスペクトルを第1図に示すが、このスペク
トルによっても、約975cm-1近辺に主鎖中のトラン
ス二重結合に基づく強い吸収が認められ、上記ポリマー
が開環重合体であることが確認された。このIRスペク
トルは、前記特開昭63−37108号公報に記載のI
Rスペクトルとは著しく異なったものである。
コに、6−エチリデン−2−テトラシクロドデセン(以
下、ETDと略記)13.5g、1−ヘキセン1.0m
mol、トルエン60mlを加えた。さらに、トリエチ
ルアルミニウム1.5mmol、四塩化チタン0.30
mmolおよびトリエチルアミン1.5mmolを加
え、25℃で撹拌下4時間反応させた。反応後、アセト
ン/イソプロピルアルコール(1/1)混合溶剤で目的
物を沈澱させ、濾過後、再びトルエンに溶解した。さら
に、アセトン/イソプロピルアルコール(1/1)混合
溶剤で沈澱、濾過し、乾燥することによって、目的物を
得た。反応生成物中にゲル状物は見られなかった。得ら
れた重合物のプロトンNMRによる解析の結果、δ=
5.0〜5.4ppmの間にオレフィン二重結合プロト
ンに起因する吸収が認められ、その吸収強度が理論値
(16.7%)とほぼ一致したことから、上記ポリマー
が開環重合していることが確認された。この開環重合体
について、下記条件で物性を測定し、その結果を第1表
に一括して示す。この開環重合体は、室温において、ベ
ンゼン、トルエン、シクロヘキサン、四塩化炭素、およ
び二硫化炭素に可溶性であった。参考のために、上記ポ
リマーのIRスペクトルを第1図に示すが、このスペク
トルによっても、約975cm-1近辺に主鎖中のトラン
ス二重結合に基づく強い吸収が認められ、上記ポリマー
が開環重合体であることが確認された。このIRスペク
トルは、前記特開昭63−37108号公報に記載のI
Rスペクトルとは著しく異なったものである。
【0029】水素添加物の製造 上記の開環重合体3gをシクロヘキサン30mlに溶解
したものを、パラジウムカーボン0.3gと共に、容量
100ccのステンレス製アンプル中に入れ、混合後、
アンプル中の空気を水素で置換して水素圧を50Kg/
cm2Gとし、10℃で撹拌しつつ30分間保持した。
その後、120℃に昇温して18時間撹拌し後、溶液を
1μmのフィルターで濾過し、メタノール中で生成物を
再沈させて、乾燥し、精製した。1H−NMRの解析に
より、二重結合に起因するδ=5.0〜5.4ppmの
吸収が消えており、ほぼ完全に水添されていることが確
認された。この水素添加物の物性を表1に示す。
したものを、パラジウムカーボン0.3gと共に、容量
100ccのステンレス製アンプル中に入れ、混合後、
アンプル中の空気を水素で置換して水素圧を50Kg/
cm2Gとし、10℃で撹拌しつつ30分間保持した。
その後、120℃に昇温して18時間撹拌し後、溶液を
1μmのフィルターで濾過し、メタノール中で生成物を
再沈させて、乾燥し、精製した。1H−NMRの解析に
より、二重結合に起因するδ=5.0〜5.4ppmの
吸収が消えており、ほぼ完全に水添されていることが確
認された。この水素添加物の物性を表1に示す。
【0030】<物性の測定方法>分子量および分子量分布 :GPC法により、東洋曹達社
製HLC802A型を使用し、シクロヘキサン中で、ポ
リスチレン換算の数平均分子量(Mn)、及び分子量分
布(Mw/Mn)を測定した。溶融粘度 :島津製作所社製フローテスターCFT−50
0型で測定した。押出ダイス径1mmφ、長さ10m
m、荷重50kgf、300℃での流出量より計算し
た。光線透過率 :島津製作所社製全光線透過率測定器にて、
波長830nmでの透過率を測定した。ガラス転移温度(Tg) :セイコー電子工業社製DSC
20型を用いて、10℃/分の昇温速度で測定した。複屈折 :日本電子光学社製全自動複屈折測定器にて、波
長633nmでのシングルパスで測定した。耐湿性 :JIS K6911の耐湿性試験法に従い、吸
水率(重量%)を測定した。成形法 :水素添加物を、名機社製M−70A−DM型射
出成型機にて、樹脂温度330℃、金型温度90℃の条
件で射出成形し、径130mm、厚み1.2mmの円板
を成形した。得られた円板を用いて、光線透過率、複屈
折、および吸水率を測定した。
製HLC802A型を使用し、シクロヘキサン中で、ポ
リスチレン換算の数平均分子量(Mn)、及び分子量分
布(Mw/Mn)を測定した。溶融粘度 :島津製作所社製フローテスターCFT−50
0型で測定した。押出ダイス径1mmφ、長さ10m
m、荷重50kgf、300℃での流出量より計算し
た。光線透過率 :島津製作所社製全光線透過率測定器にて、
波長830nmでの透過率を測定した。ガラス転移温度(Tg) :セイコー電子工業社製DSC
20型を用いて、10℃/分の昇温速度で測定した。複屈折 :日本電子光学社製全自動複屈折測定器にて、波
長633nmでのシングルパスで測定した。耐湿性 :JIS K6911の耐湿性試験法に従い、吸
水率(重量%)を測定した。成形法 :水素添加物を、名機社製M−70A−DM型射
出成型機にて、樹脂温度330℃、金型温度90℃の条
件で射出成形し、径130mm、厚み1.2mmの円板
を成形した。得られた円板を用いて、光線透過率、複屈
折、および吸水率を測定した。
【0031】[実施例2〜3]1−ヘキセンの使用量を
0.4mmol(実施例2)または0.1mmol(実
施例3)に変えたこと以外は実施例1と同様にして実験
を行ない、EDTの開環重合体を得た。得られた開環重
合体は、いずれも前記のすべての有機溶剤に可溶性であ
った。これらの開環重合体を実施例1と同様にして水素
添加して、水素添加物を作製した。開環重合体および水
素添加物の物性について、実施例1と同様の方法で測定
し、測定結果を表1に一括して示す。
0.4mmol(実施例2)または0.1mmol(実
施例3)に変えたこと以外は実施例1と同様にして実験
を行ない、EDTの開環重合体を得た。得られた開環重
合体は、いずれも前記のすべての有機溶剤に可溶性であ
った。これらの開環重合体を実施例1と同様にして水素
添加して、水素添加物を作製した。開環重合体および水
素添加物の物性について、実施例1と同様の方法で測定
し、測定結果を表1に一括して示す。
【0032】
【表1】
【0033】[実施例4]EDTに代えて、EDT75
重量%とエチリデンノルボルネン25重量%との混合モ
ノマーを用いたこと以外は実施例1と同様に実験を行な
い、開環重合体を得た。得られた開環重合体は、前記の
すべての有機溶剤に可溶であり、数平均分子量(Mn)
は21,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は
2.2で、ガラス転移温度(Tg)は130℃であっ
た。この開環重合体を実施例1と同様に水素添加(水添
率100%)して、水素添加物を作製した。得られた水
素添加物の複屈折は、5であった。
重量%とエチリデンノルボルネン25重量%との混合モ
ノマーを用いたこと以外は実施例1と同様に実験を行な
い、開環重合体を得た。得られた開環重合体は、前記の
すべての有機溶剤に可溶であり、数平均分子量(Mn)
は21,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は
2.2で、ガラス転移温度(Tg)は130℃であっ
た。この開環重合体を実施例1と同様に水素添加(水添
率100%)して、水素添加物を作製した。得られた水
素添加物の複屈折は、5であった。
【0034】[実施例5]EDTに代えて、EDT70
重量%とメチルテトラシクロドデセン30重量%との混
合モノマーを用いたこと以外は実施例1と同様に実験を
行ない、開環重合体を得た。得られた開環重合体は、前
記のすべての有機溶剤に可溶であり、数平均分子量(M
n)は20,000で、分子量分布(Mw/Mn)は
2.1、ガラス転移温度(Tg)は183℃であった。
この開環重合体を実施例1と同様に水素添加(水添率1
00%)して、水素添加物を作製した。得られた水素添
加物の複屈折は、5であった。
重量%とメチルテトラシクロドデセン30重量%との混
合モノマーを用いたこと以外は実施例1と同様に実験を
行ない、開環重合体を得た。得られた開環重合体は、前
記のすべての有機溶剤に可溶であり、数平均分子量(M
n)は20,000で、分子量分布(Mw/Mn)は
2.1、ガラス転移温度(Tg)は183℃であった。
この開環重合体を実施例1と同様に水素添加(水添率1
00%)して、水素添加物を作製した。得られた水素添
加物の複屈折は、5であった。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、高分子量であって、分
子量分布がシャープで、ゲルを含まない加工性の良好な
ノルボルネン系開環重合体を効率よく得ることができ
る。本発明の開環重合体は、光学用材料として工業的に
広範な分野で好適に用いることができる。
子量分布がシャープで、ゲルを含まない加工性の良好な
ノルボルネン系開環重合体を効率よく得ることができ
る。本発明の開環重合体は、光学用材料として工業的に
広範な分野で好適に用いることができる。
【図1】図1は、実施例1で得られた開環重合体の赤外
線吸収スペクトル(IRスペクトル)である。
線吸収スペクトル(IRスペクトル)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 夏梅 伊男 神奈川県川崎市川崎区夜光1−2−1 日本ゼオン株式会社研究開発センター内 (56)参考文献 特開 平2−133413(JP,A) 特開 昭63−37108(JP,A) 特開 昭50−70500(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 61/00 - 61/08 CA(STN) REGISTRY(STN)
Claims (1)
- 【請求項1】 一般式(2)で表される繰り返し単位を
有し、 【化1】 (式中、R1及びR2は、互いに同一または相異なり、水
素原子またはアルキル基を示し、mは、0〜2の整数を
示す。)数平均分子量Mnが10,000〜50,00
0で、かつ、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量
Mwの比(Mw/Mn)が3以下の溶媒可溶性ノルボル
ネン系開環重合体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9368863A JP3050196B2 (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | ノルボルネン系開環重合体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9368863A JP3050196B2 (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | ノルボルネン系開環重合体 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7169302A Division JP2783194B2 (ja) | 1995-06-12 | 1995-06-12 | ノルボルネン系開環重合体水素添加物の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10152549A JPH10152549A (ja) | 1998-06-09 |
JP3050196B2 true JP3050196B2 (ja) | 2000-06-12 |
Family
ID=18492950
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9368863A Expired - Fee Related JP3050196B2 (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | ノルボルネン系開環重合体 |
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JP (1) | JP3050196B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7709583B2 (en) | 2005-05-24 | 2010-05-04 | Tosoh Corporation | Sulfur-containing cyclic olefin resin and its production method |
US7838088B2 (en) | 2005-11-09 | 2010-11-23 | Fujifilm Corporation | Cyclic olefin-based polymer, and optical material, polarizing plate and liquid crystal display device using the same |
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JP2001329088A (ja) | 1999-10-18 | 2001-11-27 | Nippon Sheet Glass Co Ltd | 二酸化珪素被覆ポリオレフィン樹脂及びその製造方法 |
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1997
- 1997-12-26 JP JP9368863A patent/JP3050196B2/ja not_active Expired - Fee Related
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US7709583B2 (en) | 2005-05-24 | 2010-05-04 | Tosoh Corporation | Sulfur-containing cyclic olefin resin and its production method |
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JPH10152549A (ja) | 1998-06-09 |
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