JP3050196B2 - ノルボルネン系開環重合体 - Google Patents

ノルボルネン系開環重合体

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JP3050196B2
JP3050196B2 JP9368863A JP36886397A JP3050196B2 JP 3050196 B2 JP3050196 B2 JP 3050196B2 JP 9368863 A JP9368863 A JP 9368863A JP 36886397 A JP36886397 A JP 36886397A JP 3050196 B2 JP3050196 B2 JP 3050196B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子量であっ
て、分子量分布がシャープで、ゲルを含まない溶媒可溶
性のノルボルネン系開環重合体に関する。本発明のノル
ボルネン系開環重合体は、特に光学材料として好適であ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、光学用高分子材料としてポリメタ
クリル酸メチルやポリカーボネート等が使用されてきた
が、前者は、吸水性が比較的大きく、また、後者は、ベ
ンゼン環をもつ基本構造とともに、溶融粘度が高いこと
に起因する複屈折を生じ易いという問題を抱えており、
ますます高度化する要求に応えることが困難になってき
ている。近年、これらの欠点を改良した高分子材料とし
て、多環ノルボルネン系モノマーを用いた重合体が開発
されている。例えば、特開昭60−26024号公報に
は、テトラシクロドデセン類とノルボルネン類との開環
共重合体の水素化物が、透明性、耐水性、耐熱性に優れ
ていることが記載されている。また、特開昭60−16
8708号公報および特開昭61−292601号公報
には、テトラシクロドデセン類またはそれ以上の多環ノ
ルボルネン系モノマーとα−オレフィンとの付加共重合
体が、透明性、耐熱性、耐薬品性、耐水性などに優れて
いることが開示されている。このように、多環ノルボル
ネン系モノマーの重合体は、光学用高分子材料として優
れた特性を有している。ところで、アルキリデン基を有
し、下記一般式(1)で表わされるノルボルネン系モノ
マーは、シクロペンタジエンと鎖状共役ジエンとをディ
ールス・アルダー反応したのち二重結合を移動すること
により容易に入手可能である。
【0003】
【化2】 (式中、R1及びR2は、互いに同一または相異なり、水
素原子またはアルキル基を示し、mは、0〜2の整数を
示す。) これらの中でも、特に、アルキリデン基としてエチリデ
ン基を有するノルボルネン系モノマーは、エチリデンノ
ルボルネンがエチレン−プロピレン−ターポリマー用の
コモノマーとして大量に生産されていることから、他の
ノルボルネン系モノマーに比較して、はるかに入手容易
である。そして、上記一般式(1)で表わされるノルボ
ルネン系モノマーの開環重合体は、その構造から見て、
透明性などの光学特性に優れ、また、水素添加すること
によりさらに光学用材料に適したポリマーであることが
期待される。ところが、従来、このモノマーを使用し
て、架橋やゲル化がなく、光学用材料の原料として有用
な物性を有する開環重合体を製造する方法は、知られて
いなかった。
【0004】従来、この一般式(1)で表わされるノル
ボルネン系モノマーを、メタセシス触媒の存在下に、金
型内で塊状・開環重合することは公知である。例えば、
特開昭63−97611号公報には、5−エチリデン−
2−ノルボルネンを、メタセシス触媒の存在下、金型内
で反応射出成形(RIM)法により塊状重合させる方法
が開示されている。また、特開昭63−37108号公
報(欧州特許第251033号公開公報)には、6−ア
ルキリデン−2−テトラシクロドデセンを同様にRIM
法で塊状重合する方法が開示されている。しかし、これ
らRIM法により得られる塊状の開環重合体は、いずれ
も架橋ポリマーであり、光学用材料としては不適当なも
のである。
【0005】ところで、特開昭63−37108号公報
には、6−アルキリデン−2−テトラシクロドデセンの
メタセシス重合を溶液重合の如く温和な条件で行なう
と、鎖状のポリマーの得られることが示唆されている。
しかしながら、該公報には、そのような鎖状ポリマーを
得たとしても、成形加工性に乏しく、実用性のない旨が
指摘されている。具体的に、該公報の実施例11には、
エチリデンテトラシクロドデセンをジエチルアルミニウ
ム/六塩化タングステン系触媒を用いて溶液重合を行な
った実験例が示されている。しかし、この実験例によれ
ば、モノマー濃度が10%以下と希薄な条件下であるに
もかかわらず、生成物は、ゲル状物(すなわち、反応系
は均一ではない)であったと記載されている。該公報に
は、生成物のIRスペクトルが示されており、この生成
物は、開環重合体であると記載されている。しかし、そ
のIRスペクトルによれば、主鎖中の二重結合を示す9
50〜1000cm-1の吸収(Makromol.Ch
em.,78,231,196年)が弱く、その反面、
約1700cm-1近辺に帰属不明の強い吸収が出てお
り、このようなIRスペクトルからは、生成物が開環重
合体であることさえも明らかではない。また、本発明者
らが、このモノマーを、有機アルミニウム化合物とタン
グステンまたはモリブデンなどの遷移金属化合物とを組
合わせた従来の開環重合触媒を用いて重合させたとこ
ろ、得られた生成物は、ゲル化するか、あるいは分子量
分布が大きく、光学用材料として不適当なポリマーしか
得ることができなかった。
【0006】一般式(1)で示されるノルボルネン系モ
ノマーの中で5−メチリデンノルボルネンの溶液重合
は、公知である(Makromol.Chem.Rap
idCommun.,,467−472,198
0)。しかし、このモノマーは、特殊なメタセシス触媒
でなければ開環重合体にはならず、例えば、トリエチル
アルミニウム/四塩化チタン系触媒を用いた場合には、
溶剤可溶性ポリマーが生成しないと報告されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高分
子量であって、分子量分布がシャープで、ゲルがなく、
加工性が良好な、光学用材料の原料に適したノルボルネ
ン系開環重合体を提供することにある。本発明者らは、
上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、前記一般式
(1)で表わされるノルボルネン系モノマー単独または
それを主成分として含むモノマー混合物を、鎖状オレフ
ィンの存在下に、特定の開環重合触媒を用いて開環重合
することにより、アルキリデン基の付加反応を併発して
ゲル化することなく、高分子量で、分子量分布がシャー
プなノルボルネン系開環重合体を得ることができること
を見出した。得られたノルボルネン系開環重合体は、そ
れ自身光学用材料としてとして有用であるとともに、そ
れを水素化することにより、耐熱劣化性、耐光劣化性、
光学的特性がさらに優れた水素添加物を得ることができ
る。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至っ
たものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、一般式(2)で表される繰り返し単位を有し、
【0009】
【化3】 (式中、R1及びR2は、互いに同一または相異なり、水
素原子またはアルキル基を示し、mは、0〜2の整数を
示す。)数平均分子量Mnが10,000〜50,00
0で、かつ、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量
Mwの比(Mw/Mn)が3以下の溶媒可溶性ノルボル
ネン系開環重合体が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。 (ノルボルネン系モノマー)本発明で用いるアルキリデ
ン基を有するノルボルネン系モノマーは、前記一般式
(1)で表わされるノルボルネン系モノマー(A)であ
る。一般式(1)中、R1およびR2の具体例としては、
水素原子、あるいはメチル、エチル、プロピル、ブチル
などのアルキル基が挙げられる。ノルボルネン系モノマ
ー(A)の具体例としては、5−エチリデン−2−ノル
ボルネン、5−プロピリデン−2−ノルボルネン、5−
ブチリデン−2−ノルボルネン、6−エチリデン−2−
テトラシクロドデセン、7−エチリデン−ヘキサシクロ
ヘプタデセンなどを挙げることができる。
【0011】これらのノルボルネン系モノマー(A)
は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組合わせて用
いることができる。これらのノルボルネン系モノマー
(A)の中でも、特に、四環体が、ガラス転移温度(T
g)や加工性の点で好ましく、また、モノマーの入手の
容易さからエチリデン置換体が好ましい。本発明におい
て、ノルボルネン系モノマー(A)は、所望により開環
共重合可能な他のノルボルネン系モノマー(B)ととも
に用いてもよい。共重合可能な他のノルボルネン系モノ
マー(B)としては、例えば、ノルボルネン、ジシクロ
ペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、テトラ
シクロドデセン、シクロペンタジエン三量体、これらの
アルキル置換体などが挙げられる。両モノマーの使用割
合は、経済性の見地から、ノルボルネン系モノマー
(A)を50重量%以上、更に好ましくは70重量%以
上とすることが望ましい。
【0012】(その他のモノマー成分)本発明の開環重
合体は、開環重合体の開環重合に際して、鎖状のモノオ
レフィン、鎖状の非共役ジオレフィン、シクロオレフィ
ン等を添加して、分子量や物性を調節することができ
る。具体例としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−
ヘキセン、1−オクテン、1−ブテン、2−ペンテン、
1,4−ヘキサジエン、シクロペンテンなどが挙げられ
る。これらのモノマーの中でも、鎖状オレフィンを使用
すると、得られるポリマーの物性を好ましく調節するこ
とができる。その他のモノマー成分は、ノルボルネン系
モノマー(A)および(B)の合計量に対し、通常、1
0重量%までの範囲で用いられる。
【0013】(開環重合触媒)本発明で使用する開環重
合触媒は、(a)周期律表第I〜III族に属する金属
の有機化合物、(b)四ハロゲン化チタン、および
(c)アミン系活性化剤からなるチーグラー型開環重合
触媒である。
【0014】以下に、(a)成分ないし(c)成分の具
体例を挙げる。 (a)有機金属化合物 有機金属化合物の具体例は、有機アルミニウム化合物、
有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物などであ
り、これらの中でも有機アルミニウム化合物が好まし
い。有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメ
チルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n
−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウ
ム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミ
ニウム、トリオクチルアルミニウム、トリフェニルアル
ミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジエチルアルミ
ニウムモノクロリド、ジ−n−ピロピルアルミニウムモ
ノクロリド、ジ−イソブチルアルミニウムモノクロリ
ド、ジ−n−ブチルアルミニウムモノクロリド、ジエチ
ルアルミニウムモノブロミド、ジエチルアルミニウムモ
ノイオジド、ジエチルアルミニウムモノヒドリド、ジ−
n−プロピルアルミニウムモノヒドリド、ジイソブチル
アルミニウムモノヒドリド、メチルアルミニウムセスキ
クロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド、イソブ
チルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウム
ジクロリド、エチルアルミニウムジブロミド、プロピル
アルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジク
ロリド、エチルアルミニウムジブロミド、エチルアルミ
ニウムジイオジド等が挙げられる。有機リチウム化合物
としては、例えば、n−ブチルリチウム、n−ヘキシル
リチウムなどが挙げられる。有機マグネシウム化合物と
しては、例えば、メチルマグネシウムイオジド、エチル
マグネシウムブロミド、メチルマグネシウムブロミド、
n−プロピルマグネシウムクロリド、t−ブチルマグネ
シウムクロリド、アリルマグネシウムクロリドなどが挙
げられる。
【0015】(b)四ハロゲン化チタン 四ハロゲン化チタンの具体例としては、四塩化チタン、
四臭化チタンなどを挙げることができる。 (c)アミン系活性剤 アミン系活性剤としては、脂肪族、脂環族、芳香族第3
級アミン、複素環アミンなどがある。具体例としては、
トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルア
ミン、ジメチルアニリン、トリ−n−ブチルアミン、ピ
リジン、α−ピコリンなどが挙げられる。これらの化合
物(a)、(b)および(c)は、通常、(b)/
(a)=1/1〜1/500(モル比)で、(c)/
(a)=1/2〜10/1(モル比)の範囲で用いられ
る。
【0016】本発明で使用する触媒系は、特公昭57−
17883号公報に記載されているように、ジシクロペ
ンタジエンの開環重合触媒として公知のものであるが、
本発明では、この触媒系を、アルキリデン基を有するノ
ルボルネン系モノマー(A)に転用することにより、高
分子量であって、分子量分布がシャープで、ゲルのない
開環重合体を得たのであり、他のタングステンやモリブ
デン系開環重合触媒では、前記したとおり、ゲル化の防
止ができないか、あるいは分子量分布の広い光学用には
不適当なポリマーしか得られない。
【0017】(溶 媒)本発明において、開環重合体の
重合は、溶媒を用いなくても可能であるが、通常、不活
性有機溶媒中で実施する。有機溶媒の具体例としては、
ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;
n−ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水
素;シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;メチレンジ
クロリド、ジクロルエタン、ジクロルエチレン、テトラ
クロルエタン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、ト
リクロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;等が挙げ
られる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で、あるい
は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】(重合温度)開環重合の温度条件について
は、特に制限はないが、−20℃〜100℃の任意の温
度を選択するのが通常である。 (重合圧力)重合圧力の条件は、通常0〜50Kg/c
2の範囲から選択することが好ましい。
【0019】(開環重合体)本発明で得られる開環重合
体は、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1
0,000〜50,000、好ましくは10,000〜
45,000、さらに好ましくは15,000〜35,
000の比較的高分子量のポリマーであり、かつ、数平
均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比
(Mw/Mn)が3以下、好ましくは2.5以下、さら
に好ましくは2.3以下の分子量分布の狭いポリマーで
ある。分子量および分子量分布が上記範囲にあることに
よって、水素添加した後のポリマーの加工性および複屈
折が良好である。本発明における開環重合体は、ゲルの
生成がなく、かつ、非晶性であり、室温においてベンゼ
ン、トルエン、シクロヘキサン、四塩化炭素、二硫化炭
素などの有機溶媒に可溶性である。そのため、水素添加
反応を有機溶媒中の均一系で効率よく実施することが可
能である。
【0020】本発明の方法により得られる開環重合体
は、モノマー組成によって異なるが、ガラス転移温度
(Tg)が通常80℃以上であり、モノマーとして四環
体を用いると150℃以上となる。2種以上のノルボル
ネン系モノマー(A)の併用、あるいはノルボルネン系
モノマー(B)との併用により、Tgを100℃以上、
好ましくは120〜200℃、さらに好ましくは150
〜200℃の範囲に制御することが可能である。好まし
い開環重合体の具体例としては、アルキリデンテトラシ
クロドデセンのホモポリマー、アルキリデンテトラシク
ロドデセンと、他のアルキルテトラシクロドデセン、D
CPD、またはノルボルネンとのコポリマー等を挙げる
ことができる。
【0021】本発明の開環重合体は、それ自体で優れた
光学特性を有するが、光学用材料として用いるには、水
素添加して、耐熱劣化性や耐光劣化性をさらに改善する
ことが好ましく、その見地からこの開環重合体は、光学
用材料の中間原料として有用である。本発明のノルボル
ネン系開環重合体は、後記の実施例1において、プロト
ンNMRによる解析の結果、δ=5.0〜5.4ppm
の間にオレフィン二重結合プロトンに起因する吸収が認
められ、その吸収強度が理論値とほぼ一致したこと、さ
らには、IRスペクトルによる解析の結果、約975c
-1近辺に主鎖中のトランス二重結合に基づく強い吸収
が認められたことから、下記の一般式(2)で表される
繰り返し単位を有する開環重合体であることが明らかで
ある。
【0022】
【化4】 開環重合体が共重合体である場合には、コモノマーに基
づく繰り返し単位をも有する。
【0023】(水素添加)本発明の開環重合体は、水素
添加してその二重結合の一部または全部を飽和させるこ
とにより水添物とすることができ、それによりポリマー
の耐熱劣化性や耐光劣化性を改善することができる。水
素添加率は、開環重合体のすべての二重結合が水素添加
により飽和された場合を100%とすると、理論的には
0〜100%の範囲があり、実際にも、その範囲で任意
に選択できるが、耐熱劣化性や耐光劣化性を向上させる
ためには、二重結合の50%以上が水素添加されること
が好ましい。この開環重合体の水素添加反応は、通常の
方法により、有機溶媒中、水素化触媒の存在下に、分子
状水素を用いて、炭素−炭素二重結合の少なくとも一部
を水素添加することにより行われる。水素化触媒として
は、オレフィン化合物の水素化に際して一般に使用され
ているものであれば使用可能であり、特に制限されない
が、例えば、次のようなものがある。
【0024】不均一系触媒としては、ニッケル、パラジ
ウム、白金またはこれらの金属をカーボン、シリカ、ケ
イソウ土、アルミナ、酸化チタン等の担体に担持させた
固体触媒、例えば、ニッケル/シリカ、ニッケル/ケイ
ソウ土、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、
パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナなどが
挙げられる。均一系触媒としては、周期律表第VIII
族の金属を基体とするもの、例えば、ナフテン酸ニッケ
ル/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n
−ブチルリチウム、ニッケルアセチルアセトネート/ト
リエチルアルミニウムなどのニッケル、コバルト化合物
と周期律表第I族〜第III族金属の有機金属化合物か
らなるもの、あるいはロジウム化合物などが挙げられ
る。水素添加反応は、触媒の種類により均一系または不
均一系で、1〜150気圧の水素圧下、0〜250℃、
好ましくは20〜200℃で行われる。水素添加率は、
水素圧、反応温度、反応時間、触媒濃度などを変えるこ
とによって任意に調節することができるが、水添物が優
れた耐熱劣化性及び耐光劣化性を示すためには、重合体
中の二重結合の50%以上が水素添加されることが好ま
しく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは9
0%以上の水素添加率とされる。
【0025】(成形加工)本発明の方法により得られる
開環重合体およびその水素添加物は、周知の方法によっ
て成形加工することができる。成形加工にあたっては、
所望により、各種添加剤、例えば、無機または有機の充
填剤、安定剤、帯電防止剤、滑剤などを添加してもよ
い。
【0026】(用 途)本発明の方法により得られる開
環重合体は、ガラス転移温度が高く、また、その水素添
加物は、炭素−炭素二重結合が水素添加されていること
からも明らかなように、耐熱劣化性・耐光劣化性に優れ
ており、しかも、透明性、耐水性、複屈折などの光学特
性に優れた重合体であるから、各種の成形品として広範
な分野において有用である。例えば、光学用レンズ、光
ディスク、光ファイバー、ペリクル、ガラス窓用途など
の光学分野、電気アイロンの水タンク、電子レンジ用
品、液晶表示用基板、プリント基板、高周波用回路基
板、透明導電性シートやフィルムなどの電気分野、注射
器、ピペット、アニマルゲージなどの医療、化学分野、
カメラボディ、各種計器類ハウジング、フィルム、シー
ト、ヘルメットなど種々の分野で利用できる。
【0027】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定され
るものではない。
【0028】[実施例1]開環重合体の製造 充分乾燥し、窒素置換した500mlセパラブルフラス
コに、6−エチリデン−2−テトラシクロドデセン(以
下、ETDと略記)13.5g、1−ヘキセン1.0m
mol、トルエン60mlを加えた。さらに、トリエチ
ルアルミニウム1.5mmol、四塩化チタン0.30
mmolおよびトリエチルアミン1.5mmolを加
え、25℃で撹拌下4時間反応させた。反応後、アセト
ン/イソプロピルアルコール(1/1)混合溶剤で目的
物を沈澱させ、濾過後、再びトルエンに溶解した。さら
に、アセトン/イソプロピルアルコール(1/1)混合
溶剤で沈澱、濾過し、乾燥することによって、目的物を
得た。反応生成物中にゲル状物は見られなかった。得ら
れた重合物のプロトンNMRによる解析の結果、δ=
5.0〜5.4ppmの間にオレフィン二重結合プロト
ンに起因する吸収が認められ、その吸収強度が理論値
(16.7%)とほぼ一致したことから、上記ポリマー
が開環重合していることが確認された。この開環重合体
について、下記条件で物性を測定し、その結果を第1表
に一括して示す。この開環重合体は、室温において、ベ
ンゼン、トルエン、シクロヘキサン、四塩化炭素、およ
び二硫化炭素に可溶性であった。参考のために、上記ポ
リマーのIRスペクトルを第1図に示すが、このスペク
トルによっても、約975cm-1近辺に主鎖中のトラン
ス二重結合に基づく強い吸収が認められ、上記ポリマー
が開環重合体であることが確認された。このIRスペク
トルは、前記特開昭63−37108号公報に記載のI
Rスペクトルとは著しく異なったものである。
【0029】水素添加物の製造 上記の開環重合体3gをシクロヘキサン30mlに溶解
したものを、パラジウムカーボン0.3gと共に、容量
100ccのステンレス製アンプル中に入れ、混合後、
アンプル中の空気を水素で置換して水素圧を50Kg/
cm2Gとし、10℃で撹拌しつつ30分間保持した。
その後、120℃に昇温して18時間撹拌し後、溶液を
1μmのフィルターで濾過し、メタノール中で生成物を
再沈させて、乾燥し、精製した。1H−NMRの解析に
より、二重結合に起因するδ=5.0〜5.4ppmの
吸収が消えており、ほぼ完全に水添されていることが確
認された。この水素添加物の物性を表1に示す。
【0030】<物性の測定方法>分子量および分子量分布 :GPC法により、東洋曹達社
製HLC802A型を使用し、シクロヘキサン中で、ポ
リスチレン換算の数平均分子量(Mn)、及び分子量分
布(Mw/Mn)を測定した。溶融粘度 :島津製作所社製フローテスターCFT−50
0型で測定した。押出ダイス径1mmφ、長さ10m
m、荷重50kgf、300℃での流出量より計算し
た。光線透過率 :島津製作所社製全光線透過率測定器にて、
波長830nmでの透過率を測定した。ガラス転移温度(Tg) :セイコー電子工業社製DSC
20型を用いて、10℃/分の昇温速度で測定した。複屈折 :日本電子光学社製全自動複屈折測定器にて、波
長633nmでのシングルパスで測定した。耐湿性 :JIS K6911の耐湿性試験法に従い、吸
水率(重量%)を測定した。成形法 :水素添加物を、名機社製M−70A−DM型射
出成型機にて、樹脂温度330℃、金型温度90℃の条
件で射出成形し、径130mm、厚み1.2mmの円板
を成形した。得られた円板を用いて、光線透過率、複屈
折、および吸水率を測定した。
【0031】[実施例2〜3]1−ヘキセンの使用量を
0.4mmol(実施例2)または0.1mmol(実
施例3)に変えたこと以外は実施例1と同様にして実験
を行ない、EDTの開環重合体を得た。得られた開環重
合体は、いずれも前記のすべての有機溶剤に可溶性であ
った。これらの開環重合体を実施例1と同様にして水素
添加して、水素添加物を作製した。開環重合体および水
素添加物の物性について、実施例1と同様の方法で測定
し、測定結果を表1に一括して示す。
【0032】
【表1】
【0033】[実施例4]EDTに代えて、EDT75
重量%とエチリデンノルボルネン25重量%との混合モ
ノマーを用いたこと以外は実施例1と同様に実験を行な
い、開環重合体を得た。得られた開環重合体は、前記の
すべての有機溶剤に可溶であり、数平均分子量(Mn)
は21,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は
2.2で、ガラス転移温度(Tg)は130℃であっ
た。この開環重合体を実施例1と同様に水素添加(水添
率100%)して、水素添加物を作製した。得られた水
素添加物の複屈折は、5であった。
【0034】[実施例5]EDTに代えて、EDT70
重量%とメチルテトラシクロドデセン30重量%との混
合モノマーを用いたこと以外は実施例1と同様に実験を
行ない、開環重合体を得た。得られた開環重合体は、前
記のすべての有機溶剤に可溶であり、数平均分子量(M
n)は20,000で、分子量分布(Mw/Mn)は
2.1、ガラス転移温度(Tg)は183℃であった。
この開環重合体を実施例1と同様に水素添加(水添率1
00%)して、水素添加物を作製した。得られた水素添
加物の複屈折は、5であった。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、高分子量であって、分
子量分布がシャープで、ゲルを含まない加工性の良好な
ノルボルネン系開環重合体を効率よく得ることができ
る。本発明の開環重合体は、光学用材料として工業的に
広範な分野で好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で得られた開環重合体の赤外
線吸収スペクトル(IRスペクトル)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 夏梅 伊男 神奈川県川崎市川崎区夜光1−2−1 日本ゼオン株式会社研究開発センター内 (56)参考文献 特開 平2−133413(JP,A) 特開 昭63−37108(JP,A) 特開 昭50−70500(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 61/00 - 61/08 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(2)で表される繰り返し単位を
    有し、 【化1】 (式中、R1及びR2は、互いに同一または相異なり、水
    素原子またはアルキル基を示し、mは、0〜2の整数を
    示す。)数平均分子量Mnが10,000〜50,00
    0で、かつ、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量
    Mwの比(Mw/Mn)が3以下の溶媒可溶性ノルボル
    ネン系開環重合体。
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