JP3120459B2 - 改質された熱可塑性ノルボルネン系ポリマーの製造方法 - Google Patents

改質された熱可塑性ノルボルネン系ポリマーの製造方法

Info

Publication number
JP3120459B2
JP3120459B2 JP03064061A JP6406191A JP3120459B2 JP 3120459 B2 JP3120459 B2 JP 3120459B2 JP 03064061 A JP03064061 A JP 03064061A JP 6406191 A JP6406191 A JP 6406191A JP 3120459 B2 JP3120459 B2 JP 3120459B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
norbornene
ring
parts
dcp
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP03064061A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04277519A (ja
Inventor
禎二 小原
享 保坂
伊男 夏梅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Zeon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Zeon Corp filed Critical Zeon Corp
Priority to JP03064061A priority Critical patent/JP3120459B2/ja
Publication of JPH04277519A publication Critical patent/JPH04277519A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3120459B2 publication Critical patent/JP3120459B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、改質された熱可塑性ノ
ルボルネン系ポリマーに関し、さらに詳しくは、耐熱性
が改善された熱可塑性ノルボルネン系ポリマーおよびこ
れを水素添加して得られる熱可塑性飽和ノルボルネン系
ポリマーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ノルボルネン系モノマーの開環重
合体の水素添加物やノルボルネン系モノマーとエチレン
との付加型コポリマーなどの熱可塑性飽和ノルボルネン
系ポリマーが、光ディスクなどの光学用プラスチック成
形材料として注目を浴びてきている(特開昭60−26
024号、特開昭60−168708号、特開昭61−
115912号、特開昭61−120816号、特開昭
63−218727号、特開昭63−3717520
号、特開昭64−24826号、特開平1−13262
6号、特開平1−168724号、特開平1−1687
25号、特開平1−172422号など)。これらの熱
可塑性飽和ノルボルネン系ポリマーは、透明性に優れ、
複屈折が小さく、耐熱性、耐吸水性等にも優れており、
光学用に極めて有用な材料である。さらに、該ポリマー
は、強度、耐水性、電気絶縁性、耐溶剤性、耐薬品性に
も優れており、光学用途以外にも、電気絶縁材料、容器
やフィルム等の耐湿包装材料としても有用である。
【0003】ところで、光ディスクなどの光学用プラス
チック成形材料は、ポリマーのガラス転移温度が100
℃以上、好ましくは110℃以上の耐熱性を有すること
が望ましい。そこで、耐熱性に優れた熱可塑性飽和ノル
ボルネン系ポリマーを得るために、原料のノルボルネン
系モノマーとして、例えば、テトラシクロドデセン類の
ごとき4環体以上の多環ノルボルネン系モノマーが主と
して使用されている。しかしながら、4環体以上の多環
ノルボルネン系モノマーを工業的に入手することは、現
状では必ずしも容易ではなく、価格も高い。
【0004】一方、ノルボルネン系モノマーとして、ノ
ルボルネンのごとき2環体やジシクロペンタジエンのご
とき3環体は、工業的に入手が容易であるが、これらの
2〜3環体のノルボルネン系モノマーを主成分として得
られる熱可塑性ノルボルネン系ポリマーおよびこれを水
素添加して得られる熱可塑性飽和ノルボルネン系ポリマ
ー〔以下、両者を合わせて「熱可塑性(飽和)ノルボル
ネン系ポリマー」と略記する〕は、ガラス転移温度が低
く、耐熱性が不充分なものである。しかしながら、従
来、2〜3環体のノルボルネン系モノマーを用いて得ら
れる熱可塑性(飽和)ノルボルネン系ポリマーの耐熱性
を改善する方法は提案されていない。また、4環体以上
の多環ノルボルネン系モノマーを用いて得られる熱可塑
性(飽和)ノルボルネン系ポリマーは、耐熱性に優れて
いるが、特に最近の光学分野における高性能化の要求に
より、さらに耐熱性の高い光学用プラスチック成形材料
が求められている。しかし、このような耐熱性の熱可塑
性(飽和)ノルボルネン系ポリマーの耐熱性をさらに改
善する方法については知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐熱
性が改善された熱可塑性(飽和)ノルボルネン系ポリマ
ーを提供することにある。本発明者らは、前記従来技術
の有する問題点を克服するために鋭意研究した結果、ノ
ルボルネン系モノマーを開環重合して得られる開環重合
体(すなわち、熱可塑性ノルボルネン系ポリマー)とジ
シクロペンタジエン(以下、「DCP」と略記)類を含
む混合物を加熱すると、該開環重合体が改質され、その
結果、耐熱性が改善された熱可塑性ノルボルネン系ポリ
マーの得られることを見出した。ノルボルネン系モノマ
ーの開環重合体とDCP類を含む混合物を180〜25
0℃に加熱すると、DCPが熱分解してシクロペンタジ
エン(以下、「CPD」と略記)類を生成し、このCP
D類が開環重合体に付加するものと推定される。そし
て、このCPD類の付加反応により、開環重合体の構造
がより一層多環体化して、耐熱性が向上するものと考え
ることができる。
【0006】そこで、例えば、DCPのような3環体の
ノルボルネン系モノマーの開環重合体とDCP類を含む
混合物を加熱して反応させると、CPD類が付加して4
環体上のノルボルネン系モノマーの開環重合体に類似し
た構造のポリマーが生成し、耐熱性が改善されるものと
思われる。また、4環体以上の多環ノルボルネン系モノ
マーの開環重合体の場合にも、CPD類の付加反応によ
って、より一層多環体化して耐熱性が向上するものと思
われる。もちろん、本発明の範囲は、このような理論に
よって限定されるものではない。また、このようにして
改質された熱可塑性ノルボルネン系ポリマーに水素添加
すれば、耐熱性が向上した熱可塑性飽和ノルボルネン系
ポリマーを得ることができる。
【0007】従来、ノルボルネン系モノマーの開環重合
体とDCP類を含む混合物を加熱し反応させると、耐熱
性が向上したポリマーの得られることは知られていなか
った。また、このような方法により、開環重合体にCP
D類が付加することも知られていなかった。したがっ
て、このような簡単な方法により、開環重合体の耐熱性
を改善できることは予期し得ないことであった。本発明
は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体とジシクロペ
ンタジエン類を含む混合物を180〜250℃に加熱す
ることを特徴とする改質された熱可塑性ノルボルネン系
ポリマーの製造方法が提供される。また、本発明によれ
ば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体とジシクロペ
ンタジエン類を含む混合物を180〜250℃に加熱す
ることにより改質された熱可塑性ノルボルネン系ポリマ
ーに、水素添加することを特徴とする熱可塑性飽和ノル
ボルネン系ポリマーの製造方法が提供される。以下、本
発明について詳述する。
【0009】(ノルボルネン系モノマーの開環重合体)
本発明で使用するノルボルネン系モノマーの開環重合体
は、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン(DCP)、
テトラシクロドデセンなどのノルボルネン類、および、
これらのノルボルネン類がアルキル基、アリール基、ア
ルキリデン基、あるいはシアノ基、ハロゲン原子、アル
コキシ基、アルコキシカルボニル基、ピリジル基などの
極性基で置換されたものを開環重合することにより得ら
れる開環重合体である。
【0010】ノルボルネン系モノマー ノルボルネン系モノマーの具体例としては、ノルボルネ
ン、ジシクロペンタジエン、1,4−メタン−1,4,
4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレ
ン、1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,
6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、4,9:
5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,
9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン、5,
8−メタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a
−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン、1,4−メタ
ノ−1,4,4a,4b,5,8,8a,9a−オクタ
ヒドロ−9H−フルオレン、1,4:5,8−ジメタノ
−1,4,4a,4b,5,6,7,8,8a,9−デ
カヒドロ−9H−フルオレン等、および、これらのノル
ボルネン系モノマーが、例えば、アルキル基、アリール
基、アルキルデン基、あるいはシアノ基、ハロゲン原
子、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ピリジル
基などの極性基で置換されたものが挙げられる。
【0011】これらのノルボルネン系モノマーの中で
も、DCP、ノルボルネン、置換ノルボルネンなどは、
工業的に入手が容易であり、とりわけDCPを主成分と
するノルボルネン系モノマーを用いることが好ましい。
DCPを主成分とするノルボルネン系モノマーの開環
(共)重合体は、DCPを少なくとも50重量%以上、
好ましくは70重量%、さらに好ましくは80重量%以
上使用し、複屈折や耐熱性を改善する目的で、共重合成
分としてノルボルネン、テトラシクロドデセン、トリシ
クロペンタジエン、およびこれらの置換体などを50重
量%未満、好ましくは30重量%未満、さらに好ましく
20重量%未満使用して、公知の開環重合法により製造
される。もちろん、本発明の製造方法は、4環体以上の
ノルボルネン系モノマーの開環重合体に適用して、耐熱
性をさらに改善することができる。
【0012】本発明においては、本発明の効果を実質的
に妨げない範囲において開環重合可能な他のシクロオレ
フィン類を併用することができる。このようなシクロオ
レフィンの具体例としては、例えば、シクロペンテン、
シクロオクテン、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエ
ンなどのごとき反応性の二重結合を1個有する化合物が
例示される。さらに、開環重合に際して、1−ブテン、
1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1,4−
ヘキサジエン、ビニルシクロヘキサン、4−ビニルシク
ロヘキセン、1,3−ペンタジエンなどのオレフィン、
ジオレフィン類を分子量調節のために10モル%程度ま
での範囲、好ましくは0.01〜5モル%の範囲で添加
することが望ましい。
【0013】開環重合 本発明で使用するノルボルネン系モノマーの開環重合体
は、通常のノルボルネン系モノマーの開環重合法により
製造することができる。開環重合触媒としては、特に限
定されず、例えば、白金族金属化合物または遷移金属化
合物と周期律表第I−IV族の有機金属化合物の系など
が挙げられ、この触媒系に第三級アミンなどの第三成分
を組み合わせてもよい。
【0014】開環重合触媒について、さらに詳しく説明
すると、白金族金属化合物としては、ルテニウム、ロジ
ウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金など
のごとき白金族金属化合物(例えば、特公昭46−14
910号)が、また、遷移金属化合物としては、チタ
ン、バナジウム、タングステン、モリブデン等の遷移金
属のハロゲン化物、オキシハライド、酸化物、カルボニ
ル化合物、有機アンモニウム塩等が挙げられる。有機金
属化合物としては、例えば、有機アルミニウム化合物、
有機スズ化合物、あるいはリチウム、ナトリウム、マグ
ネシウム、亜鉛、カドミウム、ホウ素等の化合物があ
る。これらの触媒系に第三成分を加えて、重合活性を高
め、開環重合の選択性を向上させることができる。具体
例としては、分子状酸素、アルコール、エーテル、過酸
化物、カルボン酸、酸無水物、酸クロリド、エステル、
ケトン、含窒素化合物、含硫黄化合物、含ハロゲン化合
物、分子状ヨウ素、その他のルイス酸等が挙げられる
(例えば、特公昭41−20111号、特公昭57−1
7883号、特公昭57−61044号、特開昭54−
86600号、特開昭58−12772号など)。
【0015】ノルボルネン系モノマーの開環重合は、溶
媒を用いなくても可能であるが、通常、不活性有機溶媒
中で実施する。溶剤の具体例としては、ベンゼン、トル
エン、キシレンなどの芳香族炭化水素;n−ペンタン、
ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキ
サンなどの脂環族炭化水素;メチレンジクロリド、ジク
ロルエタン、ジクロルエチレン、テトラクロルエタン、
クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼ
ンなどのハロゲン化炭化水素;等が挙げられ、これらの
二種以上を混合して使用してもよい。開環重合の温度条
件については、特に制限はないが、通常、−20℃〜1
00℃、好ましくは10〜50℃の任意の温度を選択す
る。重合圧力は、通常、0〜50Kg/cm2の範囲か
ら選択することが好ましい。
【0016】(開環重合体とDCP類との加熱反応)本
発明においては、ノルボルネン系モノマーの開環重合体
とジシクロペンタジエン(DCP)類を含む混合物を1
80〜250℃に加熱することにより、改質された熱可
塑性ノルボルネン系ポリマーを製造する。この加熱反応
は、通常、前記と同様の不活性有機溶媒中で実施するこ
とが好ましい。本発明にいうDCP類とは、DCPやそ
のアルキル置換体等をいい、具体例としてはDCP、メ
チルDCP等を挙げることができる。また、CPD類と
は、CPDやそのアルキル置換体等をいい、具体例とし
てはCPD、メチルCPD等を挙げることができる。
【0017】例えば、シクロペンタジエン(CPD)
は、室温で容易に二量化してDCPとなるが、このDC
Pを熱分解させるとCPDが再生される。CPDを開環
重合体に付加させるには、前記混合物をDCPが熱分解
してCPDを生じる温度、通常、180〜250℃、好
ましくは190〜240℃、さらに好ましくは200〜
230℃に加熱する。加熱温度が低すぎると、DCPの
熱分解が生じにくくなり、反応性が低下する。逆に、加
熱温度が高すぎると、反応の制御が困難となる。反応の
圧力条件は、特に制限はないが、通常1〜50kg/c
2の範囲から選択することが好ましい。
【0018】ノルボルネン系モノマーの開環重合体とD
CP類との使用割合は、通常、開環重合体100重量部
に対し、DCP類1〜100重量部、好ましくは2〜8
0重量部、さらに好ましくは5〜50重量部である。D
CP類の使用割合が少なすぎると、耐熱性の向上効果が
小さい。逆に、DCP類の使用割合が多すぎると、開環
重合体へのCPD類の付加反応とともにCPD類自身の
多量化反応も進行して、除去し難い不純物となり、光学
的物性をはじめとする諸物性が低下する。
【0019】(水素添加)かくして得られた改質された
熱可塑性ノルボルネン系ポリマーは、水素添加してその
オレフィン系不飽和基(主鎖の二重結合および不飽和環
の二重結合)の一部または全部を飽和させることにより
熱可塑性飽和ノルボルネン系ポリマーとすることができ
る。水素添加することにより、ポリマーの耐熱劣化性や
耐光劣化性をさらに改善することができる。水素添加率
は、任意に選択できるが、耐熱劣化性や耐光劣化性を向
上させるためには、主鎖二重結合の50%以上を水素添
加することが好ましい。特に、熱可塑性飽和ノルボルネ
ン系ポリマーを光学用途に用いる場合には、水素添加率
を90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは
99%以上とすることが望ましい。水素添加反応は、通
常の方法により行なうことができる。
【0020】水素化触媒は、オレフィン化合物の水素化
に際して一般に使用されているものが使用でき、特に制
限されないが、例えば、次のようなものがある。不均一
系触媒としては、ニッケル、パラジウム、白金またはこ
れらの金属をカーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミ
ナ、酸化チタン等の担体に担持させた固体触媒、例え
ば、ニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、パラジ
ウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケ
イソウ土、パラジウム/アルミナなどが挙げられる。ま
た、均一系触媒としては、周期律表第VIII族の金属
を基体とするもの、例えば、ナフテン酸ニッケル/トリ
エチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチル
リチウム、ニッケルアセチルアセトネート/トリエチル
アルミニウムなどのNi、Co化合物と周期律表第I〜
III族金属の有機金属化合物からなるもの、あるいは
Rh化合物などが挙げられる。
【0021】水素添加反応は、触媒の種類により均一系
または不均一系で、1〜150気圧の水素圧下、0〜2
80℃、好ましくは20〜230℃で行われる。水素添
加率は、水素圧、反応温度、反応時間、触媒濃度などを
変えることによって任意に調節することができる。
【0022】〔改質された熱可塑性(飽和)ノルボルネ
ン系ポリマー〕本発明の製造方法により得られる改質さ
れた熱可塑性(飽和)ノルボルネン系ポリマーは、25
℃、トルエン中で測定した極限粘度〔η〕が、通常、
0.1〜10dl/g、好ましくは0.2〜5dl/
g、さらに好ましくは0.3〜2dl/gのものであ
る。極限粘度〔η〕が高すぎたり、あるいは低すぎたり
すると、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、加工性または機
械特性が低下する。本発明により製造される改質された
熱可塑性ノルボルネン系ポリマーは、未変性のポリマー
と比較して、ガラス転移温度が高く、しかもこれを水素
添加して得た熱可塑性飽和ノルボルネン系ポリマーは、
光ディスクなどの光学用成形品とした場合に、複屈折が
充分に小さく、良好な光学特性を有するものである。本
発明の熱可塑性(飽和)ノルボルネン系ポリマーのガラ
ス転移温度は、加熱反応に用いるDCP類の量が多いほ
ど高くなる。ガラス転移温度は、好ましくは100℃以
上、さらに好ましくは110℃以上である。
【0023】本発明においては、ノルボルネン系モノマ
ーとして安価なDCPを主成分として使用しても、耐熱
性に優れた熱可塑性(飽和)ノルボルネン系ポリマーを
得ることができるため、工業的に有利である。また、4
環体以上の多環ノルボルネン系モノマーの開環重合体に
ついても、DCP類を用いて加熱反応させるだけで、さ
らに耐熱性を上げることができる。本発明の水素添加物
(熱可塑性飽和ノルボルネン系ポリマー)は、耐熱劣化
性や耐光劣化性がさらに改善されているだけではなく、
未変性の開環重合体を水素添加した飽和ポリマーと比較
して、複屈折が大幅に改善されている。本発明の熱可塑
性(飽和)ノルボルネン系ポリマーは、射出成形、押出
成形、圧縮成形など周知の方法により成形加工して、各
種用途に用いることができる。また、成形加工にあたっ
ては、各種添加剤、例えば、無機および有機の充填剤、
安定剤、帯電防止剤、滑剤などを添加してもよい。
【0024】本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系ポリ
マーは、ガラス転移温度が高く、しかも不飽和基が水素
添加されていることからも明らかなように耐熱劣化性・
耐光劣化性に優れており、かつ光学的特性に優れ、透明
性や耐水性、耐薬品性、機械的特性などのバランスがと
れたポリマーであるから、各種の成形品として広範な分
野において有用である。例えば、光学用レンズ、光ディ
スク、光ファイバー、ガラス窓用途などの光学分野、電
気アイロンの水タンク、電子レンジ用品、液晶表示用基
板、プリント基板、高周波用回路基板、透明導電性シー
トやフィルムなどの電気分野、注射器、ピペット、アニ
マルゲージなどの医療、化学分野、カメラボディ、各種
計器類ハウジング、フィルム、シート、ヘルメット、ス
ピーカーコーンなど種々の分野で利用できる。
【0025】
【実施例】以下に実施例および比較例を挙げて、本発明
についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実
施例のみに限定されるものではない。なお、部は、特に
断りのない限り重量基準である。
【0026】[参考例1](開環重合体の合成例1) 充分乾燥し、窒素置換した反応器に、ジシクロペンタジ
エン(DCP)20部とトルエン400部を仕込んだ。
ついでトリエチルアルミニウム1.6部、トリエチルア
ミン2.2部および1−ヘキセン0.42部を加えた。
反応系の温度を10℃に保ちながら、DCP80部およ
び四塩化チタン0.55部を1時間にわたって連続的に
反応系に添加し、重合を行なった。添加終了後、DCP
の重合体への転化率は81%となった。この反応系に、
さらに6塩化タングステン0.015部をトルエン1.
0部に溶解して添加し、引き続き30分間反応を行なっ
た。DCPの重合体への転化率は99%となった。反応
系に濃アンモニア水0.60部を加えて反応を停止し、
生じた不溶解物を濾別した後、反応溶液をイソプロピル
アルコール1500部中に注いで、開環重合体を凝固さ
せた。凝固した開環重合体を濾別し、60℃で48時間
真空乾燥して、DCP開環重合体95部を得た。
【0027】得られたDCP開環重合体の25℃、トル
エン中で測定した極限粘度〔η〕は0.52dl/gで
あった。得られたDCP開環重合体20部をトルエン8
0部に溶解し、平滑なガラス板上に塗布した。これを窒
素雰囲気下で、30℃で2日間、60℃で1日間乾燥し
た後、水中に浸漬してDPC開環重合体のフィルムを剥
がし、さらに窒素雰囲気下で、100℃で2日間乾燥し
た。得られたフィルムは、厚さ20μm、軟化温度13
0℃、光線透過率92%であった。
【0028】[実施例1]参考例1で得られたDCP開
環重合体100部とDCP10部をシクロヘキサン40
0部に溶解し、得られた混合物を加熱して、温度220
℃、圧力18kg/cm2で3時間反応させた。反応溶
液を、イソプロピルアルコール1500部中に注ぎ、重
合体を凝固させ、濾別した後、60℃で48時間真空乾
燥した。得られた重合体は、収量が103部で、極限粘
度〔η〕が0.54dl/gであった。この重合体のベ
ンゼン溶液での 1 H−NMRスペクトルを測定したとこ
ろ、5.0〜6.0ppmにオレフィン性プロトンおよ
び30.2〜3.0ppmに飽和炭素に結合したプロト
ンにもとづく吸収が31:69の面積比で観測された。
この結果から開環重合体へのシクロペンタジエン(CP
D)付加量は約8重量%と推定された。ここで得られた
反応生成物20部をトルエン80部に溶解し、参考例1
と同様に処理してフィルムを作成した。得られたフィル
ムは、厚さ20μmで、無色透明で強靭であった。この
フィルムの軟化温度は140℃で、光線透過率は92%
であった。
【0029】[実施例2]実施例1で得られた反応生成
物100部をシクロヘキサン400部に溶解させ、この
溶液にPd−カーボン触媒(Pd担持量5%)1部を加
えて、140℃、水素圧力70kg/cm2で水素添加
反応を4時間行なった。反応終了後、濾過して水素添加
触媒を除去し、重合体溶液をイソプロピルアルコール1
500部中に注ぎ、重合体を凝固させた。凝固した重合
体を濾別し、80℃で48時間真空乾燥して、水素添加
重合体91部を得た。この水素添加重合体のガラス転移
温度は110℃、極限粘度は0.54dl/gであっ
た。 1H−NMRスペクトルの解析によると、オレフ
ィン性プロトンに基づく吸収は完全に消失しており、ほ
ぼ完全に水素添加されていることが確認された。
【0030】得られた水素添加重合体100部に対し
て、酸化防止剤としてテトラキス〔メチレン−3−
(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート〕メタン0.02部を添加し、押出
機で240℃にて溶融混練りし、ペレタイザーでペレッ
ト状に成形した。このペレットを射出成形機(住友重機
械工業社、DISC−5)により、樹脂温度330℃、
金型温度90℃の条件で、直径130mm、厚さ1.2
5mmの光ディスク基板を成形した。得られた光ディス
ク基板は、無色透明で外観上の異状は認められず、83
0nmにおける光線透過率は91%で、複屈折値(半
径:25〜60mmの範囲)は25nm以下であった。
【0031】[比較例1]参考例1で得たDCP開環重
合体100部をシクロヘキサン400部に溶解し、Pd
−カーボン触媒(Pd担持量5%)1部を加えて、14
0℃、水素圧力70kg/cm2で水素添加反応を4時
間行なった。反応終了後、濾過して水素添加触媒を除去
し、重合体溶液をイソプロピルアルコール1500部中
に注ぎ、重合体を凝固させた。凝固した重合体を濾別
し、80℃で48時間真空乾燥して、水素添加重合体9
3部を得た。この水素添加重合体のガラス転移温度は9
5℃で、極限粘度は0.53dl/gであった。
【0032】H−NMRスペクトルの解析によると、
オレフィン性プロトンに基づく吸収は完全に消失してお
り、ほぼ完全に水素添加されるていることが確認され
た。この水素添加重合体を用い、実施例2と同様にして
光ディスク基板を作成した。得られた光ディスク基板
は、830nmにおける光線透過率は91%で、複屈折
値(半径:25〜60mmの範囲)は10nm以上70
nm以下であった。
【0033】[実施例3]DCP10部にかえてDCP
20部を使用する以外は実施例1と同様にして、DCP
開環重合体とDCPを含む混合物の加熱反応を行ない、
ついで得られた反応溶液にPd−カーボン触媒(Pd担
持量5%)1部を加えて、140℃、水素圧力70kg
/cm2で水素添加反応を4時間行なった。反応終了
後、実施例2と同様にして、生成物を単離し水素添加重
合体95部を得た。この水素添加重合体のガラス転移温
度は116℃、極限粘度は0.53dl/gであった。
1H−NMRスペクトルの解析によると、オレフィン
性プロトンに基づく吸収は完全に消失しており、ほぼ完
全に水素添加されていることが確認された。得られた水
素添加重合体を用い、実施例2と同様にして光ディスク
基板を成形した。得られた光ディスク基板の830nm
における光線透過率は91%、複屈折値(半径:25〜
60mmの範囲)は25nm以下であった。
【0034】[参考例2](開環重合体の合成例2) 充分乾燥し、窒素置換した反応器に、DCP16部、6
−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,
5,6,7,8,8a,−オクタヒドロナフタレン(以
下、「ETD」と略記)4部とトルエン400部を仕込
んだ。ついでトリエチルアルミニウム1.6部、トルエ
チルアミン2.2部および1−ヘキセン0.42部を加
えた。反応系の温度を10℃に保ちながら、DCP64
部、ETD16部および四塩化チタン0.55部を1時
間に渡って連続的に反応系に添加し、重合を行なった。
添加終了後、この反応系に、さらに6塩化タングステン
0.015部をトルエン1.0部に溶解して添加し、引
き続き30分間反応を行なった。反応系に濃アンモニア
水0.60部を加えて反応を停止し、生じた不溶解物を
濾別した後、重合体溶液をイソプロビルアルコール15
00部中に注ぎ、開環重合体を凝固させた。凝固した開
環重合体を濾別し、60℃で48時間真空乾燥して、開
環重合体96部を得た。得られたDCP/ETD開環共
重合体の25℃、トルエン中で測定した極限粘度〔η〕
は0.50dl/gであった。また、この開環共重合体
を用い、参考例1と同様に処理して厚さ20μmのフィ
ルムを作成した。このフィルムの軟化温度は約150℃
で、光線透過率は92%であった。
【0035】[実施例4]参考例1で合成したDCP開
環重合体のかわりに、参考例2で合成したDCP/ET
D開環共重合体を用い、実施例1と同様にして、該DC
P/ETD開環共重合体100部とDCP10部をシク
ロヘキサン400部に溶解し、得られた混合物を加熱し
て、温度220℃、圧力18kg/cm2で3時間反応
させた。実施例1と同様に処理して、CPD付加物を得
た。このCPD付加物を用いて、実施例2と同様にして
水素添加重合体92部を得た。この水素添加重合体のガ
ラス転移温度は115℃、極限粘度は0.55dl/g
であった。1H−NMRスペクトルの解析によると、オ
レフィン性プロトンに基づく吸収は完全に消失してお
り、ほぼ完全に水素添加されていることが確認された。
この水素添加重合体を用いて、実施例2と同様にして光
ディスク基板を作成した。得られた光ディスク基板の8
30nmにおける光線透過率は91%、複屈折値(半
径:25〜60mmの範囲)は25nm以下であった。
【0036】[実施例5]参考例1で合成したDCP開
環重合体のかわりに、参考例2で合成したDCP/ET
D開環共重合体を用い、実施例3と同様にして、該DC
P/ETD開環共重合体100部とDCP20部を加熱
反応させ、ついで同様に水素添加して水素添加重合体9
5部を得た。この水素添加重合体のガラス転移温度は1
21℃、極限粘度は0.56dl/gであった。1H−
NMRスペクトルの解析によると、オレフィン性プロト
ンに基づく吸収は完全に消失しており、ほぼ完全に水素
添加されていることが確認された。実施例2と同様にし
て光ディスク基板を成形した。得られた光ディスク基板
の830nmにおける光線透過率は91%、複屈折値
(半径:25〜60mmの範囲)は25nm以下であっ
た。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、耐熱性が改善された熱
可塑性ノルボルネン系ポリマーおよびそれを水素添加し
た熱可塑性飽和ノルボルネン系ポリマーの製造方法が提
供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 夏梅 伊男 神奈川県川崎市川崎区夜光一丁目2番1 号 日本ゼオン株式会社 研究開発セン ター内 (56)参考文献 特開 昭64−9219(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 61/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノルボルネン系モノマーの開環重合体と
    ジシクロペンタジエン類を含む混合物を180〜250
    ℃に加熱することを特徴とする改質された熱可塑性ノル
    ボルネン系ポリマーの製造方法。
  2. 【請求項2】 ノルボルネン系モノマーの開環重合体と
    ジシクロペンタジエン類を含む混合物を180〜250
    ℃に加熱することにより改質された熱可塑性ノルボルネ
    ン系ポリマーに、水素添加することを特徴とする熱可塑
    性飽和ノルボルネン系ポリマーの製造方法。
JP03064061A 1991-03-05 1991-03-05 改質された熱可塑性ノルボルネン系ポリマーの製造方法 Expired - Fee Related JP3120459B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03064061A JP3120459B2 (ja) 1991-03-05 1991-03-05 改質された熱可塑性ノルボルネン系ポリマーの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03064061A JP3120459B2 (ja) 1991-03-05 1991-03-05 改質された熱可塑性ノルボルネン系ポリマーの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04277519A JPH04277519A (ja) 1992-10-02
JP3120459B2 true JP3120459B2 (ja) 2000-12-25

Family

ID=13247201

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP03064061A Expired - Fee Related JP3120459B2 (ja) 1991-03-05 1991-03-05 改質された熱可塑性ノルボルネン系ポリマーの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3120459B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19654076A1 (de) * 1996-12-23 1998-06-25 Bayer Ag Transparente Werkstoffe aus hydrierten Produkten von ringgeöffneten Metathesepolymeren mit polaren Substituenten

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04277519A (ja) 1992-10-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0430585B1 (en) Hydrogenated ring-opening polymer and process for producing same
EP1238996B1 (en) Norbornene open-ring polymers, products of hydrogenation thereof and processes for the production of both
US5191026A (en) Ring-opening hydrogenated copolymer and process for producing the same
US5905129A (en) Ring-opening polymer hydrogenation products
US5599882A (en) Ring-opening polymer and a process for production thereof
US5580934A (en) Ring-opening hydrogenated copolymer and process for producing the same
JPH0816129B2 (ja) ノルボルネン系開環重合体の製造方法
EP1364975B1 (en) Processes for producing cycloolefin addition polymer
EP1550679B1 (en) Cycloolefin copolymer formed by ring-opening polymerization, process for producing the same, and optical material
JP2003040930A (ja) 環状オレフィン付加重合体の製造方法
JP3120459B2 (ja) 改質された熱可塑性ノルボルネン系ポリマーの製造方法
JPS63145324A (ja) 新規な開環重合体の水素添加物
JP2534086B2 (ja) 開環共重合体水素添加物およびその製造方法
JP3073228B2 (ja) 開環重合体水素添加物およびその製造方法
JP2783194B2 (ja) ノルボルネン系開環重合体水素添加物の製造方法
JPS63264626A (ja) 開環重合体およびその製造方法
JP2010132600A (ja) 含フッ素環状オレフィン化合物とその製造方法、含フッ素環状オレフィン開環重合体、および含フッ素環状オレフィン開環重合体水素化物
JPH01158029A (ja) 開環重合体水素添加物およびその製造方法
JP3050196B2 (ja) ノルボルネン系開環重合体
EP0375780A1 (en) Ring-opening polymers and process for their production
JPH07121981B2 (ja) 開環重合体水素添加物およびその製造方法
JP4075687B2 (ja) 環状オレフィン系開環共重合体およびその製造方法並びに光学材料
JPH01172422A (ja) 開環共重合体水素添加物およびその製造方法
JP3928407B2 (ja) 開環重合体および開環重合体水素化物の製造方法
JPH07103223B2 (ja) 開環共重合体水素添加物およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees