JP3259476B2 - シクロオレフィン系開環重合体水素添加物の製造方法 - Google Patents
シクロオレフィン系開環重合体水素添加物の製造方法Info
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Description
重合体水素添加物の製造方法に関し、さらに詳しくは反
応性の高いハロゲン化水素の発生しにくいシクロオレフ
ィン系開環重合体水素添加物の製造方法に関する。
換体、エステル型置換体などに代表されるシクロオレフ
ィン系単量体の開環重合体水素添加物は、透明性、耐熱
性、低吸湿性等に優れており、光学材料等様々な分野に
使用されている。
は、一般に、遷移金属ハロゲン化物と有機金属化合物か
ら成るメタセシス重合触媒を用いてシクロオレフィン系
単量体を開環重合し、重合体溶液から触媒を除去した
後、重合体を水素添加触媒の存在下に水素と接触させて
製造される。
メタセシス触媒の不活性化剤を含む溶液で重合反応溶液
を洗浄し分離する方法や、固形の触媒残渣とした後で濾
過または遠心分離等により除去する方法がある。しか
し、これらの方法において、触媒残渣を完全に除去する
ことは難しく、触媒残渣が水素添加工程に混入すること
が、しばしば発生する。このような場合、水素添加工程
において、触媒残渣が加水分解してハロゲン化水素が発
生し、反応容器を腐食することがあった。
残渣を除去することなく、重合反応溶液を直接水素添加
工程に供給する方法が提案されている(特開平2−28
6712号公報)。この方法は、製造工程が簡略化され
るため、生産効率に優れるという利点があるが、重合触
媒や重合触媒残渣を含んでいるため、ハロゲン化水素の
発生が多く、腐食が著しいという問題があった。
媒に遷移金属ハロゲン化合物を用いても、ハロゲン化水
素が発生しないシクロオレフィン系単量体の開環重合体
の水素添加方法の開発をめざして鋭意努力の結果、水素
添加反応時に酸捕捉化合物を存在させることにより、ハ
ロゲン化水素の発生を抑制できることを見い出し、本発
明を完成させるに到った。
移金属ハロゲン化物と有機金属化合物から成るメタセシ
ス重合触媒を用いてシクロオレフィン系単量体を開環重
合して得られた重合体溶液を水素添加触媒の存在下に水
素と接触させるシクロオレフィン系開環重合体水素添加
物の製造方法において、水素添加触媒と共に酸捕捉化合
物を存在させることを特徴とするシクロオレフィン系開
環重合体水素添加物の製造方法が提供される。
いるシクロオレフィン系単量体の具体例として、例え
ば、ノルボルネン、そのアルキル、アルキリデン、芳香
族置換誘導体およびこれら置換または非置換のノルボル
ネン系単量体のハロゲン、エステル基、アルコキシ基、
シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基等の極性基置
換体、例えば、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノ
ルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5
−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボ
ルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メト
キシカルボニル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−
ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−
2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、
5,6−ジエトキシカルボニル−2−ノルボルネン、
1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−
9H−フルオレン等; ノルボルネンに一つ以上のシク
ロペンタジエンが付加した単量体、その上記と同様の誘
導体や置換体、例えば、1,4:5,8−ジメタノ−
1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナ
フタレン、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−
1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナ
フタレン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−
1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナ
フタレン、6−エチリデン−1,4:5,8−ジメタノ
−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロ
ナフタレン、6,6−ジメチル−1,4:5,8−ジメ
タノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒ
ドロナフタレン、6−メチル−6−メトキシカルボニル
−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,
7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、4,9:5,
8−ジメタノ−2,3,3a,4,4a,5,8,8
a,9,9a−デカヒドロ−1H−ベンゾインデン等;
シクロペンタジエンの多量体である多環構造の単量
体、その上記と同様の誘導体や置換体、例えば、ジシク
ロペンタジエン、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエ
ン、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,
8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾイン
デン等; シクロペンタジエンとテトラヒドロインデン
等との付加物、その上記と同様の誘導体や置換体、例え
ば、1,4−メタノ−1,4,4a,4b,5,8,8
a,9a−オクタヒドロ−9H−フルオレン、5,8−
メタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オ
クタヒドロ−1H−ベンゾインデン、1,4:5,8−
ジメタノ−1,2,3,4,4a,4b,7,8,8
a,9a−デカタヒドロ−9H−フルオレン、1,4−
メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン
等; その他のシクロオレフィン、その上記と同様の誘
導体や置換体、例えば、シクロブテン、シクロペンテ
ン、シクロヘキセン、シクロオクテン、5,6−ジヒド
ロシクロペンタジエン、3a,4,7,7a−テトラヒ
ドロインデン、4−エチルシクロヘキセン等; 等が挙
げられる。これらの単量体は、単独で用いても二種以上
を組み合わせて使用してもよい。
式オレフィン、好ましくはα−オレフィン、例えば、エ
チレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、スチレ
ン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン等をコモノマー
として、通常、10モル%までの範囲で用いてもよい。
るメタセシス重合触媒は、本質的に遷移金属ハロゲン化
物と有機金属化合物とから成る。
ハロゲン化物としては、バナジウム、タングステン、モ
リブデン、チタン等の遷移金属ハロゲン化物が好まし
く、具体的には、TiCl4、TiBr4、VOCl3、
VOBr3、WBr2、WBr4、WCl2、WCl4、W
Cl5、WCl6、WF4、WI2、WI4、WOBr4、W
OCl4、WOF4、MoBr2、MoBr3、MoB
r4、MoCl4、MoCl5、MoF4、MoOCl4、
MoOF4、WCl4(OC6H4Cl2)2等が挙げられ
る。
〜IV族金属の有機金属化合物としては、例えば、有機
アルミニウム化合物、有機スズ化合物あるいはリチウ
ム、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、ホ
ウ素等の有機金属化合物が挙げられる。具体的には、ト
リメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ
イソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、
トリオクチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウ
ム、トリベンジルアルミニウム、ジエチルアルミニウム
モノクロリド、ジ−n−ブチルアルミニウムモノクロリ
ド、ジエチルアルミニウムモノブロミド、ジエチルアル
ミニウムモノイオジド、ジエチルアルミニウムモノヒド
リド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアル
ミニウムジクロリド等のごとき有機アルミニウム化合
物; テトラメチル錫、ジエチルジメチル錫、テトラエ
チル錫、ジブチルジエチル錫、テトラブチル錫、テトラ
オクチル錫、トリオクチル錫フルオリド、トリオクチル
錫クロリド、トリオクチル錫ブロミド、トリオクチル錫
イオジド、ジブチル錫ジフルオリド、ジブチル錫ジクロ
リド、ジブチル錫ジブロミド、ジブチル錫ジイオジド、
ブチル錫トリフルオリド、ブチル錫トリクロリド、ブチ
ル錫トリブロミド、ブチル錫トリイオジド等のごとき有
機錫化合物; その他、n−ブチルリチウム、n−ペン
チルナトリウム、メチルマグネシウムイオジド、エチル
マグネシウムブロミド、メチルマグネシウムブロミド、
n−プロビルマグネシウムブロミド、t−ブチルマグネ
シウムクロリド、アリルマグネシウムクロリド、ジエチ
ル亜鉛、ジエチルカドミウム、トリメチルホウ素、トリ
エチルホウ素、トリ−n−ブチルホウ素等; が挙げら
れる。
り、重合活性を調整し、開環重合の選択性を向上させた
メタセシス重合触媒として用いることができる。そのよ
うな第三成分としては、例えば、分子状酸素、アルコー
ル、エーテル、過酸化物、カルボン酸、酸無水物、酸ク
ロリド、エステル、含窒素化合物、含硫黄化合物、含ハ
ロゲン化合物、その他のルイス酸等が挙げられる。これ
らの中でも、エーテル、エステル、第3級アミン等、具
体的には、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテ
ル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、パラアルデヒド、酢酸メチル、酢酸エチル、
酢酸ブチル、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミ
ン、ピリジン等が好ましい。
ィン系単量体100モルに対して、遷移金属ハロゲン化
物は0.001〜5モル、好ましくは0.01〜2.5
モル、有機金属化合物は0.005〜10モル、好まし
くは0.02〜5モル、必要に応じて第三成分は0.0
01〜10モル、好ましくは0.01〜5モルを用い
る。
ィン系単量体の開環重合は、通常のメタセシス重合反応
条件で行われ、不活性ガスや溶媒を用いなくても可能で
あるが、通常、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気
中、不活性溶媒中で実施する。
ましく、その中でも生成するシクロオレフィン系開環重
合体の溶解性に優れた環状炭化水素系溶媒が特に好まし
い。不活性溶媒の具体例として、ベンゼン、トルエン、
キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;
n−ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水
素; シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロ
ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキ
サン、デカリン、エチルシクロヘキサン等の環状炭化水
素系溶媒; メチレンジクロリド、ジクロロエタン、ジ
クロロエチレン、テトラクロロエタン、クロロベンゼ
ン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲ
ン化炭化水素系溶媒等が挙げられ、これらの2種以上を
混合して使用することもできる。
単量体1重量部に対する溶媒の使用量は、1〜20重量
部、好ましくは2〜10重量部である。
限はなく、−20℃〜150℃、通常、0〜120℃、
好ましくは10〜90℃の任意の温度を選択できる。
cm2、通常は0.5〜10kg/cm2、好ましくは1
〜5kg/cm2の範囲から選択する。
反応溶液中に水素添加触媒と共に酸捕捉化合物を存在さ
せ、重合反応溶液と水素を接触させて、重合体の水素添
加させる。
の加水分解などで発生するハロゲン化水素と反応するも
のであり、具体例として、エチレンオキサイド、プロピ
レンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセン
オキサイド、スチレンオキサイド、メチルグリシジルエ
ーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジル
エーテル、フェニルグリシジルエーテル、エチレングリ
コールジグリシジルエーテル、エポキシ樹脂等のエポキ
シ化合物; 水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、
酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の塩基性化合物;
マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄等の粉末状、
粒状、リボン状の金属等; 等が挙げられる。これらの
酸捕捉化合物の中でも、水素添加反応器の気相と接触す
る部分の腐食を防止する効果が高く、水素添加触媒の活
性低下を起こさないエポキシ化合物が特に好ましい。
たメタセシス重合触媒の加水分解により発生し得るハロ
ゲン化水素の最大量、すなわち化学量論量に対し0.5
当量以上、好ましくは1〜100当量、さらに好ましく
は2〜10当量である。例えば、六塩化タングステンと
トリエチルアルミニウムから成るメタセシス重合触媒を
用いた場合、トリエチルアルミニウムからはハロゲン化
水素は発生しないが、六塩化タングステン1モルに対
し、塩化水素が最大6モル発生し得る。酸捕捉化合物と
して3価の金属イオンとなるアルミニウムの粉末を用い
る場合、酸捕捉化合物の使用量は、六塩化タングステン
1モルに対して1モル(6モル÷3×0.5)以上を用
いる。なお、水素添加触媒がハロゲン化物を含有してい
る場合は、水素添加触媒から発生し得るハロゲン化水素
の最大量に対し0.5当量以上、好ましくは1〜100
当量、さらに好ましくは2〜10当量をさらに添加す
る。
後水素添加反応開始前であれば、水素添加触媒を添加す
る前あるいは後のいずれであってもよいが、反応器の腐
食をできる限り抑制し、水素添加触媒の活性を高く維持
するためには、水素添加触媒を添加する前が好ましい。
が不均一系触媒である場合、重合反応終了後、水素添加
触媒を添加する前に、重合体溶液に重合触媒不活性化剤
を添加し、重合触媒の分解により発生するハロゲン化水
素を酸捕捉化合物と反応させておくと、ハロゲン化水素
により水素添加触媒の活性低下を抑制しやすい。そのた
め、重合反応液に酸捕捉化合物、重合触媒不活性化剤を
添加して、十分に反応させた後に水素添加触媒を添加す
ることが好ましい。
する化合物が好ましく、例えば、水、アルコール、カル
ボン酸、フェノール類等が挙げられる。具体的には、メ
タノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパ
ノール、1−ブタノール、2−ブタノール、エチレング
リコール、1、4−ブタンジオール等のアルコール類;
酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、クエン酸、フタル
酸等; フェノール類としては、フェノール、クレゾー
ル、キシレノール等のカルボン酸類; 等が挙げられ
る。これらの触媒不活性化剤は単独で、または2種以上
を同時に使用することができる。
するには、通常、0〜150℃、好ましくは10〜10
0℃で、重合触媒不活性化剤を、重合触媒の分解に必要
な化学量論量に対し、好ましくは1〜20当量、より好
ましくは2〜10当量添加して、好ましくは0.1〜1
0時間、より好ましくは0.5〜5時間攪拌する。温度
が低すぎると十分な反応がおこらず、温度が高すぎると
反応が激しすぎたり、エネルギー効率が悪くなる。重合
触媒不活性化剤の量が少なすぎると添加する効果が小さ
く、多すぎると無駄になる。なお、不活性化剤を除去し
ないままの重合反応液を水素添加工程に供する場合、均
一系の水素添加触媒を用いると過剰の重合触媒不活性化
剤の存在が活性低下の原因となることがあるので、均一
系の水素添加触媒を用いる場合は、過剰の不活性化剤を
存在させないようにすることが好ましい。反応時間が短
すぎると反応が十分に完了せず、長すぎると生産効率に
劣る。
エチルアルミニウム1.5モルからなるメタセシス重合
触媒をメタノール用いて分解した場合、化学量論上は、
メタノールは、WCl61モルに対して6モル、トリエ
チルアルミニウムに対して3モルが必要となるので、重
合触媒の分解に必要なメタノールの化学量論量は10.
5モルとなる。
添加触媒と共に酸捕捉化合物の存在下に、重合反応液を
水素と接触させて重合体を水素添加する。重合触媒ある
いは不活性化剤によって重合触媒が分解されて生じた重
合触媒残渣の存在下にそのまま水素添加工程に供するこ
とができ、その場合、除去工程が省かれるため、生産効
率に優れる。
素の存在下に行う。水素添加触媒としては、オレフィン
化合物の水素化に際して一般に用られているものであれ
ば使用可能である。例えば、ニッケル−珪藻土、ニッケ
ル−アルミナ、ニッケル−アルミナ−マグネシア、ニッ
ケル−シリカ、ニッケル−カーボン、パラジウム−珪藻
土、パラジウム−アルミナ、パラジウム−アルミナ−マ
グネシア、パラジウム−シリカ、パラジウム−カーボ
ン、ルテニウム/カーボン、白金−カーボン等の不均一
系担持型触媒、ウィルキンソン錯体、酢酸コバルト/ト
リエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート
/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド
/n−ブチルリチウム、チタニウムテトライソプロポキ
サイド/n−ブチルリチウム等の均一系触媒を挙げるこ
とができる。これらの水素添加触媒の中でも、不均一系
担持型触媒は、重合触媒不活性化剤を添加した場合にも
水素添加触媒活性の低下が少なく好ましい。なお、チタ
ノセンジクロリドのようにハロゲンを含む化合物を水素
添加触媒として使用する場合は、前述のように、使用量
に応じて酸捕捉化合物の量を増加させる。
下、0〜250℃で、用いる水素添加触媒に適した条件
下で行う。例えば、担持型のニッケル触媒を用いる場合
は、通常10〜200気圧、好ましくは20〜100気
圧の水素圧下、100〜250℃、好ましくは200〜
240℃で行い、均一系触媒であるニッケルアセチルア
セトナート/トリイソブチルアルミニウム触媒を用いる
場合は、通常1〜20気圧、好ましくは2〜10気圧の
水素圧下、20〜100℃、好ましくは30〜80℃の
条件で行う。
観点から、95%以上、好ましくは99%以上、特に好
ましくは99.9%以上とする。水素添加率は、触媒
量、水素圧力、反応温度などにより制御することができ
る。
回収する方法は特に限定されない。通常、濾過、遠心分
離等の方法により重合触媒残渣および水素添加触媒残渣
を除去した後、水素添加物の溶液から溶媒を直接乾燥に
より除去する方法、水素添加物の溶液を水素添加物の貧
溶媒中に注ぎ水素添加物を凝固させる方法等が適用でき
る。
去方法としては、例えば、水素添加触媒が不均一触媒で
ある場合、水素添加触媒を濾過などの方法で除去でき、
通常、重合触媒残渣も水素添加触媒と共に除去される。
具体例として、重合触媒にWCl6とBu4Snを使用し
て重合反応を行った後、酸捕捉化合物としてブチルグリ
シジルエーテルおよび水素添加触媒としてニッケル−ア
ルミナを添加して水素添加を行った場合、水素添加後に
濾過することにより重合触媒残渣および水素添加触媒残
渣はほぼ定量的に除去され、得られる重合体中の金属含
有量は1ppm以下となる。水素添加触媒が均一触媒な
どで、濾過などの触媒除去方法でも重合触媒あるいは水
素添加触媒の残渣が除去できない場合でも、周知の重合
触媒除去方法、すなわち、水溶液による洗浄、吸着剤な
どによる沈澱化等の方法で除去することが可能である。
ン系開環重合体水素添加物は、透明性、耐熱性、低不純
物性等に優れており、射出成形、押し出し成形、キャス
ト成形、インフレーション成形、ブロー成形、インジェ
クションブロー成形、プレス成形、回転成形、切削成
形、真空成形、圧延成形、カレンダー加工等の周知の成
形方法により成形加工することができる。
レフィン系開環重合体水素添加物は、成形加工にあたっ
てはは、成形性、帯電性、溶融流動性、機械的強度、柔
軟性、耐衝撃性、コート剤の密着性、耐候性、遮光性、
難燃性、耐クリープ性、表面硬度、熱膨張性、弾性等の
物性を改良する目的でフェノール系、燐系等の酸化防止
剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、紫外線吸収剤、耐光安
定剤、色素、顔料、難燃剤、スリッピング剤等の添加
剤; シリカ、アルミナ、タルク、水酸化アルミニウ
ム、カーボン、無定形炭素、グラファイト、炭酸カルシ
ウム等の微粒子状充填剤; ガラスファイバー、カーボ
ン繊維、ボロン繊維、炭化珪素繊維、気相成長法カーボ
ン繊維、アスベスト繊維、チタン酸カリウム結晶微細繊
維、石英繊維、金属繊維、カーボンフィブリル、ポリア
ミド繊維、ポリエステル繊維、フッ素樹脂繊維、綿繊
維、セルロース繊維、珪素繊維等の繊維状充填剤; 等
を配合することができる。
ン系開環重合体水素添加物あるいは上記した添加剤や充
填剤を配合したシクロオレフィン系開環重合体水素添加
物組成物は、光学材料をはじめとして各種成形品として
広範な分野において有用である。例えば、光ディスク、
情報ディスク、磁気ディスク、ハードディスク、光カー
ド、光学レンズ、プリズム、光学ミラー、光ファイバ
ー、ビームスプリッター、液晶表示素子基板、導光板、
偏光フィルム、位相差フィルム、OHP用フィルム、光
拡散板、発光素子封入型光拡散板、液晶用バックライ
ト、蛍光灯用管材等の光学部品; 薬液容器、バイア
ル、アンプル、プレフィルドシリンジ、輸液用バッグ、
固体薬品容器、点眼薬容器、像映剤容器、プレススルー
パッケージ等の液体または固体の薬剤容器、血液検査用
サンプリング容器、検査用セル、採血管、検体容器等の
サンプル容器、注射器、医療器具の滅菌容器、ビーカ
ー、シャーレ、フラスコ、試験管、遠心管、コンタクト
レンズケース、輸液チューブ、配管、継ぎ手、バルブな
どの医療用器具、義歯床、人工心臓、逆流防止弁、人造
歯根等の人工臓器やその部品などの医療用器材; ウェ
ハーキャリアー、タンク、ハードディスクキャリアー、
情報ディスク基板用キャリアー、液晶基板用キャリア
ー、磁気ディスクキャリアー、ICトレイ、ICキャリ
アテープ、セパレーションフィルム、シッパー、超純水
用配管、パイプ、チューブ、バルブ、流量計、フィルタ
ー、ポンプ、サンプリング容器、レジスト容器、レジス
ト容器用内袋等の電子部品処理用器材; 電線被覆材、
電子機器・複写機・コンピューター・プリンター等のO
A機器部品、計器類、レーダー、アンテナ、照明器具用
ランプシェード等用の一般絶縁体; プリント基板、フ
レキシブルプリント基板、多層プリント基板、高周波回
路基板等の電気部品; 透明導電性フィルム用基材;
トランジスタ・IC・LSI・LED・光拡散板やレン
ズを一体成形したLED等の封止材; モーター・コン
デンサー・スイッチ・センサー等の電気・電子部品用封
止材; テレビ、ビデオカメラ、カメラ等のハウジング
材; ルームミラー、ドアミラー、ヘッドランプカバ
ー、テールランプカバー、ヘッドアップディスプレイ用
光学部品、窓材、サンルーフ等の自動車・航空機・船舶
用部品; ショーウィンドー材、ショーウィンドーケー
ス、サンルーフ材、窓材、下水用配管、水道配管、パイ
プ、壁材、床材、天井材等の建築部材; などが挙げら
れる。
げて本発明をさらに具体的に説明する。
1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナ
フタレン10重量部に、シクロヘキサン300重量部、
1−ヘキセン0.48重量部、テトラブチル錫0.30
重量部を加え、40℃に保ち、撹拌しながら、6−メチ
ル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,
6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン90重量部
および六塩化タングステン0.5重量%シクロヘキサン
溶液32.0重量部を60分に渡り、連続的に加えた。
その後、1時間反応させ、開環重合体溶液424重量部
得た。
合体溶液を分析したところ、残留する単量体は検出され
ず、ポリマーへの転化率はほぼ100%であった。
メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,
5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン3.0
重量部に、シクロヘキサン250重量部、1−ヘキセン
0.59重量部、テトラオクチル錫0.60重量部を加
え、40℃に保ち、撹拌しながら、ジシクロペンタジエ
ン63重量部と6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ
−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロ
ナフタレン27重量部の混合物、及び六塩化タングステ
ン0.5重量%シクロヘキサン溶液39.0重量部を6
0分に渡り、連続的に加えた。その後、1時間反応さ
せ、開環重合体溶液382重量部得た。
体溶液を分析したところ、ジシクロペンタジエン、6−
メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,
5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレンのいず
れの単量体も検出されず、ポリマーへの転化率はほぼ1
00%であった。
グリシジルエーテル0.14重量部およびニッケル−ア
ルミナ触媒(日揮化学製、N163A)0.63重量部
を添加し、SUS−316製耐圧反応器に入れ、水素を
導入して、圧力45kg/cm2、温度210℃で6時
間水素添加反応を行った。反応終了後、シクロヘキサン
65重量部を加えて希釈し、濾過により触媒残渣を除去
し、開環重合体水素添加物溶液158重量部を得た。
をイソプロピルアルコール150重量部中へ撹拌しなが
ら注ぎ、開環重合体水素添加物を凝固させた。凝固した
開環重合体水素添加物を濾過して回収し、イソブロピル
アルコール100重量部で洗浄した後、減圧乾燥器中で
1Torr以下、120℃で40時間乾燥し、6−メチ
ル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,
6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン開環重合体
水素添加物7.0重量部を得た。
ミエーション・クロマトグラフィーによるポリスチレン
換算値で数平均分子量29,000、重量平均分子量子
量65,000、1H−NMRスペクトルによる水素添
加率99.8%以上、指差走査熱量分析によるガラス転
移温度151℃であった。
し、硫酸に溶解してICP分析により分析した結果、開
環重合体水素添加物中のタングステン原子量は25pp
b(検出限界)以下、錫原子量は25ppb(検出限
界)以下、ニッケル原子量は25ppb(検出限界)以
下であった。
た。4回の水素添加反応の終了後、耐圧反応器の内部を
検査したが、腐蝕等の異常は認められなかった。
リシジルエーテル0.14重量部およびイソプロピルア
ルコール0.081重量部を添加し、50℃で4時間撹
拌して重合触媒を不活性化した。その後、ニッケル−ア
ルミナ(N163A)0.50重量部を添加し、実施例
1と同じ耐圧反応器に入れ、水素を導入して、圧力45
kg/cm2、温度210℃で6時間水素添加反応を行
った。反応終了後、シクロヘキサン65重量部を加えて
希釈し、濾過により触媒残渣を除去し、開環重合体水素
添加物溶液159重量部を得た。
を実施例1と同様にして凝固、乾燥し、6−メチル−
1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,
7,8,8a−オクタヒドロナフタレン開環重合体水素
添加物7.1重量部を得た。
開環重合体水素添加物は、数平均分子量29,000、
重量平均分子量子量65,000、水素添加率99.8
%以上、ガラス転移温度151℃であった。また、この
開環重合体水素添加物中のタングステン原子量は25p
pb(検出限界)以下、錫原子量は25ppb(検出限
界)以下、ニッケル原子量は25ppb(検出限界)以
下であった。
を4回連続して実施した。4回の水素添加反応の終了
後、耐圧反応器の内部を検査したが、腐蝕等の異常は認
められなかった。
リシジルエーテル0.19重量部およびイソプロピルア
ルコール0.11重量部を添加し、実施例2と同様にし
て重合触媒を不活性化した。その後、水素転化触媒とし
てニッケル−アルミナ(N163A)0.57重量部を
添加し、実施例1と同じ耐圧反応器に入れ、水素を導入
して、圧力45kg/cm2、温度210℃で6時間水
素添加反応を行った。反応終了後、シクロヘキサン90
重量部を加えて希釈し、濾過により触媒残渣を除去し、
開環重合体水素添加物溶液180重量部を得た。
を実施例1と同様にして凝固、乾燥し、6−メチル−
1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,
7,8,8a−オクタヒドロナフタレン開環重合体水素
添加物7.1重量部を得た。
開環重合体水素添加物は、数平均分子量27,000、
重量平均分子量子量57,000、水素添加率99.8
%以上、ガラス転移温度105℃であった。また、この
開環重合体水素添加物中のタングステン原子量は25p
pb(検出限界)以下、錫原子量は25ppb(検出限
界)以下、ニッケル原子量は25ppb(検出限界)以
下であった。
加反応を4回連続して実施した。4回の水素添加反応の
終了後、耐圧反応器の内部を検査したが、腐蝕等の異常
は認められなかった。
イド0.065重量部を用いる以外は実施例2と同様に
して、重合触媒不活性化および水素添加を行ない、開環
重合体水素添加物溶液155重量部を得た。
を実施例1と同様にして凝固、乾燥し、6−メチル−
1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,
7,8,8a−オクタヒドロナフタレン開環重合体水素
添加物6.9重量部を得た。
開環重合体水素添加物は、数平均分子量29,000、
重量平均分子量子量65,000、水素添加率99.8
%以上、ガラス転移温度151℃であった。また、この
開環重合体水素添加物中のタングステン原子量は25p
pb(検出限界)以下、錫原子量は25ppb(検出限
界)以下、ニッケル原子量は25ppb(検出限界)以
下であった。
加反応を4回連続して実施した。4回の水素添加反応の
終了後、耐圧反応器の内部を検査したが、腐蝕等の異常
は認められなかった。
0重量部を用いる以外は実施例2と同様にして、重合触
媒不活性化および水素添加を行ない、開環重合体水素添
加物溶液158重量部を得た。
を実施例1と同様にして凝固、乾燥し、6−メチル−
1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,
7,8,8a−オクタヒドロナフタレン開環重合体水素
添加物7.0重量部を得た。
開環重合体水素添加物は、数平均分子量29,000、
重量平均分子量子量65,000、水素添加率99.8
%以上、ガラス転移温度151℃であった。また、この
開環重合体水素添加物中のタングステン原子量は25p
pb(検出限界)以下、錫原子量は25ppb(検出限
界)以下、ニッケル原子量は25ppb(検出限界)以
下、亜鉛原子量は25ppb(検出限界)以下であっ
た。
加反応を4回連続して実施した。4回の水素添加反応の
終了後、耐圧反応器の内部を検査したが、腐蝕等の異常
は認められなかった。
と同様にして水素添加反応を行ない、開環重合体水素添
加物溶液154重量部を得た。
を実施例1と同様にして凝固、乾燥し、6−メチル−
1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,
7,8,8a−オクタヒドロナフタレン開環重合体水素
添加物7.2重量部を得た。
開環重合体水素添加物は、数平均分子量29,000、
重量平均分子量子量65,000、ガラス転移温度15
1℃であったが、水素添加率は98.5%であった。ま
た、この開環重合体水素添加物中のタングステン原子量
は25ppb(検出限界)以下、錫原子量は25ppb
(検出限界)以下、ニッケル原子量は25ppb(検出
限界)以下であった。
実施した。4回の水素添加反応の終了後、耐圧反応器の
内部を検査したところ、反応器上部および水素添加反応
液が接触した反応器下部と反応液が接触しない上部の境
界付近の壁面に微小な腐蝕が認められた。
応器内部がハロゲン化水素により腐食することを防止で
き、さらに、重合触媒や重合触媒残渣を除去する工程を
省くこともでき、そのため工業生産的にきわめて有利で
ある。
Claims (3)
- 【請求項1】 遷移金属ハロゲン化物と有機金属化合物
から成るメタセシス重合触媒を用いてシクロオレフィン
系単量体を開環重合して得られた重合体溶液を水素添加
触媒の存在下に水素と接触させるシクロオレフィン系開
環重合体水素添加物の製造方法において、水素添加触媒
と共に酸捕捉化合物を存在させることを特徴とするシク
ロオレフィン系開環重合体水素添加物の製造方法。 - 【請求項2】 重合体溶液に水素添加触媒を加える前
に、重合触媒不活性化剤と酸捕捉化合物を添加する請求
項1記載のシクロオレフィン系開環重合体水素添加物の
製造方法。 - 【請求項3】 酸捕捉化合物がエポキシ化合物である請
求項1、または2記載のシクロオレフィン系開環重合体
水素添加物の製造方法。
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JP26961993A JP3259476B2 (ja) | 1993-09-30 | 1993-09-30 | シクロオレフィン系開環重合体水素添加物の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH07102042A JPH07102042A (ja) | 1995-04-18 |
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ID=17474878
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---|---|---|---|
JP26961993A Expired - Lifetime JP3259476B2 (ja) | 1993-07-30 | 1993-09-30 | シクロオレフィン系開環重合体水素添加物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3259476B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019004333A1 (ja) * | 2017-06-30 | 2019-01-03 | Mcppイノベーション合同会社 | ビニル芳香族重合体成分を含む重合体、およびその製造方法 |
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KR101408611B1 (ko) * | 2009-10-21 | 2014-06-17 | 미쓰이 가가쿠 가부시키가이샤 | 폴리머의 정제 방법 및 폴리머 |
US20170218191A1 (en) * | 2014-07-28 | 2017-08-03 | Zeon Corporation | Resin molded article |
-
1993
- 1993-09-30 JP JP26961993A patent/JP3259476B2/ja not_active Expired - Lifetime
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WO2019004333A1 (ja) * | 2017-06-30 | 2019-01-03 | Mcppイノベーション合同会社 | ビニル芳香族重合体成分を含む重合体、およびその製造方法 |
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