JPH0819219B2 - 新規な開環重合体の水素添加物 - Google Patents

新規な開環重合体の水素添加物

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JPH0819219B2
JPH0819219B2 JP29099186A JP29099186A JPH0819219B2 JP H0819219 B2 JPH0819219 B2 JP H0819219B2 JP 29099186 A JP29099186 A JP 29099186A JP 29099186 A JP29099186 A JP 29099186A JP H0819219 B2 JPH0819219 B2 JP H0819219B2
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義一 西
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、耐熱性に優れており、かつ透明性、耐薬品
性、耐溶剤性、誘電特性および剛性などの機械的性質等
の諸特性のバランスがとれた新規な開環重合体の水素添
加物に関し、更に詳しくは、ペンタシクロペンタデセン
をモノマーとする開環重合体の水素添加物に関する。
従来の技術 耐熱性および透明性に優れた合成樹脂として、ポリカ
ーボネートやポリエチレンテレフタレートが知られてい
る。ポリカーボネートは、耐光性大、透明度良好、耐衝
撃性がことにすぐれており、耐水性や耐酸性も良いが強
アルカリに侵され易く、耐薬品性に劣る。また、ポリエ
チレンテレフタレートは、機械的性質にも優れている
が、強酸や強アルカリに対し抵抗性が小さく、加水分解
され易い欠点を有する。これらの他に、例えば、ポリメ
タクリル酸メチルは、光の透過率の点ではガラスより優
れているが、傷がつき易く、耐熱性も低く、しかも酢酸
エチル、アセトン、1,2−ジクロルエタン、トルエン、
酢酸、ぎ酸などに溶け、エーテル中で膨潤する欠点を有
する。ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフ
ィンは、機械的性質に優れ、強酸、強アルカリにも強
く、通常の溶剤に不溶であるが、耐熱性や透明性に劣
る。
発明が解決しようとする問題点 本発明者らは、前記欠点のない合成樹脂を開発すべく
鋭意研究した結果、特定の構造を有する多環式モノマ
ー、すなわちペンタシクロペンタデセンを開環重合して
得られる開環重合体の水素添加物が熱的性質に優れ、か
つ透明性、耐薬品性、耐溶剤性、誘電特性および剛性な
どの機械的性質等のバランスがとれた重合体であって、
各種成形品として有用であることを見出し、本発明を完
成するに至った。
問題点を解決するための手段 本発明の要旨は、主要な繰返し単位が下記一般式
(I)で表わされ、かつ、25℃、トルエン中で測定した
極限粘度[η]が0.01〜20dl/gであるペンタシクロペン
タデセン開環重合体の水素添加物にある。
本発明に使用する開環重合体は、単量体としてペンタ
シクロペンタデセンを用い、ジシクロペンタジエンなど
環状オレフィンの公知の開環重合法により製造すること
ができる。また、この開環重合体の水素添加物について
も、通常の水素添加反応方法を利用して行なわれる。
以下、本発明の各構成要素について詳述する。
(単量体) 本発明に使用する単量体は、下記一般式(II)で表わ
される多環式モノマーのペンタシクロペンタデセン(1,
4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,4b,5,8,8a,9a−デカヒド
ロ−9H−フルオレン)である(以下、この単量体を「PC
PE」と略称する。) このPCPEは、シクロペンタジエンとジヒドロジシクロ
ペンタジエンとを次式(III)に示すように反応させ、
反応混合物から蒸留などの手法によって分離することに
より得ることができる。
(重合触媒) PCPEの開環重合体は、通常のノルボルネン類の重合法
により製造されるが、重合触媒としては、例えば、ルテ
ニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウ
ム白金などのごとき白金属化合物(例えば、特公昭46−
14910号)または、チタン、バナジウム、モリブデン、
タングステンなどの遷移金属化合物と周期律表第I−IV
族の有機金属化合物の系などが挙げられ、この触媒系に
第三成分を組み合わせてもよい(例えば、特公昭41−20
111号、特公昭57−17883号、特公昭57−61044号、特開
昭54−86600号、特開昭58−127728号など)。
重合触媒は、PCPEの開環重合が可能な金属化合物であ
れば特に制限されないが、好ましくは、遷移金属化合物
と有機金属を含む触媒系あるいは、これに第三成分を組
み合わせた触媒系である。
以下に、重合触媒の具体例を挙げる。
遷移金属化合物 金属化合物としては、チタン、バナジウム、タングス
テン、モリブデン等の遷移金属化合物が好ましく、具体
的には、これら遷移金属のハロゲン化物、オキシハライ
ド、酸化物、カルボニル化合物、有機アンモニウム塩等
がある。
具体例として、 TiCl4、TiBr4、VOCl3、VOBr3、WBr2、WBr4、WBr6、WC
l2、WCl4、WCl5、WCl6、WF4、WI2、WI4、WOBr4、WOC
l4、WOF4、MoBr2、MoBr3、MoBr4、MoCl4、MoCl5、Mo
F4、MoOCl4、MoOF4、WO2、H2WO4、NaWO4、K2WO4、(N
H42WO4、CaWO4、CuWO4、MgWO4、(CO)5WC(OCH3
(CH3)、(CO)5WC(OC2H5)(CH3)、(CO)5WC(OC2
H5)(C4H5)、(CO)5MoC(OC2H5)(CH3)、(CO)5M
o=C(OC2H5) (N(C2H5)、トリデシルアンモニウムモリブデ
ン酸塩、トリデシルアンモニウムタングステン酸塩等が
ある。
有機金属化合物 有機金属化合物としては、周期律表の第I族から第IV
族までの有機金属化合物、例えば有機アルミニウム化合
物、有機スズ化合物あるいはリチユウム、ナトリウム、
マグネシウム、亜鉛、カドミウム、ホウ素等の化合物が
ある。
有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミ
ニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピル
アルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイ
ソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、ト
リオクチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、
トリベンジルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノ
クロリド、ジ−n−ピロピルアルミニウムモノクロリ
ド、ジ−イソブチルアルミニウムモノクロリド、ジ−n
−ブチルアルミニウムモノクロリド、ジエチルアルミニ
ウムモノブロミド、ジエチルアルミニウムモノイオジ
ド、ジエチルアルミニウムモノヒドリド、ジ−n−プロ
ピルアルミニウムモノヒドリド、ジイソブチルアルミニ
ウムモノヒドリド、メチルアルミニウムセスキクロリ
ド、エチルアルミニウムセスキブロミド、イソブチルア
ルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロ
リド、エチルアルミニウムジブロミド、プロピルアルミ
ニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジクロリ
ド、エチルアルミニウムジブロミド、エチルアルミニウ
ムジイオジド等がある。
有機スズ化合物としては、テトラメチルスズ、ジエチ
ルジメチルスズ、テトラエチルスズ、ジブチルジエチル
スズ、テトラブチルスズ、テトライソクミルスズ、テト
ラフェニルスズ、トリエチルスズフルオリド、トリエチ
ルスズクロリド、トリエチルスズブロミド、トリエチル
スズイオジド、ジエチルスズジフルオリド、ジエチルス
ズジクロリド、ジエチルスズブロミド、ジエチルスズジ
イオジド、エチルスズトリフルオリド、エチルスズトリ
クロリド、エチルスズトリブロミド、エチルスズトリイ
オジドなどがあげられる。その他n−ブチルリチウム、
n−ペンチルナトリウム、メチルマグネシウムイオジ
ド、エチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウム
ブロミド、n−プロピルマグネシウムクロリド、t−ブ
チルマグネシウムクロリド、アリルマグネシウムクロリ
ド、ジエチル亜鉛、ジエチルカドミウム、トリメチルホ
ウ素、トリエチルホウ素、トリ−n−ブチル−ホウ素な
どがあげられる。
第三成分 上記触媒系に第三成分を加えて、重合活性を高め、開
環重合の選択性を向上させることができる。具体例とし
ては、分子状酸素、アルコール、エーテル、過酸化物、
カルボン酸、酸無水物、酸クロリド、エステル、ケト
ン、含窒素化合物、含硫黄化合物、含ハロゲン化合物、
分子状ヨウ素、その他のルイス酸等が挙げられる。
(溶媒) 本発明に使用する開環重合は、溶媒を用いなくても可
能であるが、不活性有機溶媒中でも実施することができ
る。
具体例として、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの
芳香族炭化水素、n−ペンタン、ヘキサン、ヘプタンな
どの脂肪族炭化水素、シクロヘキサンなどの脂環族炭化
水素、メチレンジクロリド、ジクロルエタン、ジクロル
エチレン、テトラクロルエタン、クロルベンゼン、ジク
ロルベンゼン、トリクロルベンゼンなどのハロゲン化炭
化水素等が挙げられ、これらの二種以上を混合して使用
してもよい。
(重合温度) 開環重合の温度条件については、特に制限はないが、
−20℃〜100℃の任意の温度を選択するのが通常であ
る。
(重合圧力) 重合圧力の条件は、通常0〜50Kg/cm2の範囲から選択
することが好ましい。
(開環重合体) 本発明で使用する新規開環重合体およびその水素添加
物は、25℃、トルエン中で測定した極限粘度[η]が0.
01〜20dl/gである。[η]が上記範囲にあることによっ
て、耐熱性、加工性および機械的特性が良好である。
また、本発明に使用する開環重合体は、重合するに際
し、鎖状のモノオレフィン、鎖状の非共役ジオレフィ
ン、シクロオレフィン等を添加して、分子量や物性を調
節することもできる。具体例として、ブテン−1、ペン
テン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、ブテン−2、
ペンテン−2、1,4−ヘキサジエン、シクロペンテン、
ノルボルネンなどが挙げられる。
(水素添加) 本発明に使用する開環重合体は、水素添加してその二
重結合を飽和させ、耐熱劣化性や耐光劣化性を改善する
ことができる。水素添加率は、開環重合体のすべての二
重結合が水素添加により飽和された場合を100%とする
と、理論的には0〜100%の範囲があり、実際にも、そ
の範囲で任意に選択できるが、耐熱性や耐光性を向上さ
せるためには、主鎖二重結合の50%以上が水素添加され
ることが好ましい。
この開環重合体の水素添加反応は通常の方法により行
われる。水素化触媒としては、オレフィン化合物の水素
化に際して一般に使用されているものであれば使用可能
であり、特に制限されないが、たとえば次のようなもの
がある。不均一系触媒としては、ニッケル、パラジウ
ム、白金またはこれらの金属をカーボン、シリカ、ケイ
ソウ土、アルミナ、酸化チタン等の担体に担持させた固
体触媒、例えばニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ
土、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラ
ジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナなどが挙げ
られる。また、均一系触媒としては、周期律表第VIII族
の金属を基体とするもの、例えば、ナフテン酸ニッケル
/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブ
チルリチウム、ニッケルアセチルアセトネート/トリエ
チルアルミニウムなどのNi,Co化合物と周期律表第I〜I
II族金属の有機金属化合物からなるもの、あるいはRh化
合物などが挙げられる。
水素添加反応は、触媒の種類により均一系または不均
一系で、1〜150気圧の水素圧下、0〜180℃、好ましく
は20〜100℃で行われる。水素添加率は、水素圧、反応
温度、反応時間、触媒濃度などを変えることによって任
意に調節することができるが、水添物が優れた耐熱劣化
性及び耐光劣化性を示すためには重合体中の主鎖二重結
合の50%以上が水素添加されることが好ましく、より好
ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上の水添率
とされる。
(成形加工) 本発明の開環重合体の水素添加物は、周知の方法によ
って成形加工することができる。また、成形加工にあた
っては、各種添加剤、例えば、無機および有機の充填
剤、安定剤、帯電防止剤、滑剤などを添加してもよい。
(用途) 本発明の開環重合体の水素添加物は、ガラス転移温度
が高いことからも明らかなように耐熱性に優れており、
かつ透明性や耐薬品性、機械的特性などのバランスがと
れた重合体であるから、各種の成形品として広範な分野
において有用である。
例えば、光学用レンズ、光ディスク、光ファイバー、
ガラス窓用途などの光学分野、電気アイロンの水タン
ク、電子レンジ用品、液晶表示用基板、プリント基板、
高周波用回路基板、透明導電性シートやフィルムなどの
電気分野、注射器、ピペット、アニマルゲージなどの医
療、化学分野、カメラボディ、各種計器類ハウジング、
フィルム、シート、ヘルメットなど種々の分野で利用で
きる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明す
る。
合成例1 充分乾燥し窒素置換した500mlセパラブルフラスコにP
CPEを15gとトルエン60mlを加えた。更に続けてトリエチ
ルアルミニウム1.5mmol、四塩化チタン0.30mmolを加え2
5℃で撹拌下4時間反応させた。その後、アセトン/イ
ソプロピルアルコール(1/1)で目的物を沈澱させ、ろ
過後、再びトリエンに溶解した。更にアセトン/イソプ
ロピルアルコール(1/1)溶剤で沈澱、ろ過し、乾燥す
ることによって、目的物を得た。収率は15%であった。
得られた重合物のプロトンNMRによる解析の結果、δ=
5.0〜5.4ppmにオレフィン二重結合プロトンに起因する
吸収が認められ、その吸収強度が全プロトン由来の吸収
強度に対する理論値(10.0%)とほぼ一致したことか
ら、上記ポリマーが開環重合していることが確認され
た。この開環重合体のガラス転移温度(DSCによる)は1
97℃であり、25℃トルエン中で測定した極限粘度は、0.
84dl/gであった。また、この重合体は、室温においてベ
ンゼン、トルエン、シクロヘキサン、四塩化炭素、二硫
化炭素に可溶であった。
実施例1 合成例1で得られた重合体3gをシクロヘキサン30mlに
溶解したものをパラジウムカーボン0.3gと共に容量100c
cのステンレス製アンプル中に入れ、混合後、アンプル
中の空気を水素で置換して水素圧を50Kg/cm2Gとし10℃
で撹拌しつつ30分保持した。その後50℃に昇温して18時
間撹拌したところ沈澱物が得られた。この沈澱物をトル
エンに溶解させその溶液を1μのフィルターでろ過した
後、メタノール中で再沈させ乾燥、精製した。
このもののガラス転移温度は202℃であった。NMRの解
析により、二重結合に起因するδ=5.0〜5.4ppmの吸収
が消えており、ほぼ完全に水添されていることが確認さ
れた。
発明の効果 本発明の新規な開環重合体の水素添加物は、耐熱性に
優れ、かつ透明性、耐薬品性、耐溶剤性、誘電特性およ
び剛性などの機械的なバランスがとれた重合体であっ
て、光学分野をはじめ広範な分野で利用可能であるとい
う優れた効果を有するものである。
フロントページの続き (72)発明者 松井 利又 神奈川県川崎市川崎区夜光1−2−1 日 本ゼオン株式会社技術開発センター内 (56)参考文献 特開 昭63−264626(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主要な繰返し単位が下記一般式で表わさ
    れ、かつ、25℃、トルエン中で測定した極限粘度[η]
    が0.01〜20dl/gであるペンタシクロペンタデセン(1,4,
    5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,4b,5,8,8a,9a−デカヒドロ
    −9H−フルオレン)開環重合体の水素添加物。
JP29099186A 1986-12-06 1986-12-06 新規な開環重合体の水素添加物 Expired - Lifetime JPH0819219B2 (ja)

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