JP6331560B2 - 開環重合体水素化物 - Google Patents
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(1)下記式(I)で表される化合物を含む単量体を開環メタセシス重合して得られる開環重合体の、炭素−炭素二重結合の70%以上を水素化して得られる開環重合体水素化物。
(3)前記単量体が、さらに、前記式(I)で表される化合物と開環メタセシス重合による共重合可能な他の化合物を含むものである、(1)または(2)に記載の開環重合体水素化物。
前記式(I)中、R1は、炭素数1〜10の炭化水素基(好ましくは炭素数1〜5の炭化水素基)、ハロゲン原子、及びハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基(好ましくはハロゲン原子で置換された炭素数1〜5の炭化水素基)からなる群から選ばれる置換基を表す。
R1のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
R1のハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基としては、クロロメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
10,11−エポキシペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−4−エン、10,11−エポキシ−4−クロロペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−4−エン等の、式(I)中のnが2の化合物;
14,15−エポキシヘプタシクロ[10.5.1.13,10.15,8.013,17]エイコサ−6−エン、14,15−エポキシ−6−クロロヘプタシクロ[10.5.1.13,10.15,8.013,17]エイコサ−6−エン等の、式(I)中のnが3の化合物;が挙げられる。
これらの中でも、入手容易性の観点、及び目的の開環重合体水素化物が効率よく得られることから、nが1の化合物が好ましく、4,5−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エンがより好ましい。
これらの環状オレフィン化合物は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ルテニウムを中心原子とする錯体としては、カルベン化合物がルテニウムに配位してなるルテニウムカルベン錯体が好ましい。ここで、「カルベン化合物」とは、メチレン遊離基を有する化合物の総称であり、(>C:)で表されるような電荷のない2価の炭素原子(カルベン炭素)を持つ化合物をいう。
L1及びL2の少なくとも一つは、ヘテロ原子含有カルベン化合物である。ヘテロ原子とは、周期律表15族及び16族の原子を意味し、具体的には、窒素原子(N)、酸素原子(O)、リン原子(P)、硫黄原子(S)、砒素原子(As)、及びセレン原子(Se)等が挙げられる。これらの中でも、安定なカルベン化合物が得られる観点から、N、O、P、及びSが好ましく、Nが特に好ましい。
メタセシス重合触媒の含有量は、モル比(メタセシス重合触媒中の金属原子:単量体全体)で、通常、1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
これらの溶媒は、1種単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の開環重合体水素化物において、炭素−炭素二重結合の水素化割合(水素化率)は、70%以上である
用いる水素化触媒は、均一系触媒、不均一系触媒等、特に限定されず、オレフィン化合物の水素化に際して一般的に用いられているものを適宜使用することができる。
(2)開環重合体水素化物のガラス転移温度は、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「EXSTAR DSC6220」)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
(3)開環重合体水素化物の水素化率は、開環重合体の1H−NMRスペクトルにおける炭素−炭素二重結合に由来するピーク強度と、開環重合体水素化物の1H−NMRスペクトルにおける炭素−炭素二重結合に由来するピーク強度の積分比から算出した。
温度計、滴下漏斗及び撹拌機を備えた3口反応器内を窒素ガスで置換し、この反応器内で、ジシクロペンタジエン50.0g(378.2mmol)とヘキサデシルピリジニウムクロリド一水和物3.39g(9.46mmol)をクロロホルム250mlに溶解させた。次いで、反応器内容物を攪拌しながら、これに、12−タングスト(VI)リン酸n水和物5.45gを、30%過酸化水素水42.88g(378.2mmol)に溶解させて得た溶液を30分かけて滴下し、その後、そのまま室温(25℃、以下にて同じ)で3時間攪拌を続けた。次いで、反応器内容物に、蒸留水150mlと飽和食塩水100mlを加え、分液操作を行うことにより有機層を分取した。得られた有機層に、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥させた後、硫酸ナトリウムをろ別した。ろ液を濃縮して得た濃縮液を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=1.5:18.5(体積比、以下にて同じ))で精製することにより、4,5−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン26.3gを白色固体として得た(収率47%)。
得られた生成物の構造は1H−NMRで同定した。
窒素置換したガラス反応器に、製造例1で得た4,5−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エンを1.18部、ジシクロペンタジエンの70%シクロヘキサン溶液を28.6部、1−ヘキセン0.134部、トルエン86.8部を加え、60℃に加熱した。次に、メタセシス重合触媒として、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド0.0136部を、5.9部のトルエンに溶解させて触媒液を調製した。得られた触媒液を、反応器に添加して重合反応を開始させた。60℃で1時間撹拌後、重合反応液をトルエンで希釈し、多量のメタノール中に滴下してポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾別し、アセトンで洗浄した後、40℃で24時間減圧乾燥し、開環重合体1を得た。
実施例1において、4,5−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エンの使用量を2.5部に、1−ヘキセンの使用量を0.142部に、トルエンの使用量を92.2部に変更し、メタセシス重合触媒として、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド0.0144部を、6.25部のトルエンに溶解させた触媒液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、開環重合体水素化物2、及び片面易接着処理ポリエチレンテレフタレートフィルム上の開環重合体水素化物2の塗膜を得た。得られた開環重合体水素化物2の数平均分子量(Mn)は1.2×104、重量平均分子量(Mw)は4.5×104、ガラス転移温度は111℃、水素化率は83%であった。これらの結果は表1に示す。
実施例1において、4,5−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エンの使用量を5.6部に、1−ヘキセンの使用量を0.159部に、トルエンの使用量を105.1部に変更し、メタセシス重合触媒として、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド0.016部を6.94部のトルエンに溶解させた触媒液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、開環重合体水素化物3、及び片面易接着処理ポリエチレンテレフタレートフィルム上の開環重合体水素化物3の塗膜を得た。得られた開環重合体水素化物3の数平均分子量(Mn)は1.1×104、重量平均分子量(Mw)は5.0×104、ガラス転移温度は113℃、水素化率は80%であった。これらの結果は表1に示す。
実施例1において、4,5−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エンを1.18部、ジシクロペンタジエンの70%シクロヘキサン溶液を28.6部、1−ヘキセン0.134部、トルエン86.8部の代わりに、ジシクロペンタジエンの70%シクロヘキサン溶液を28.6部、1−ヘキセン0.127部、トルエン77.9部に変更し、メタセシス重合触媒として、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド0.0124部を5.56部のトルエンに溶解させた触媒液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、開環重合体水素化物1r、及び片面易接着処理ポリエチレンテレフタレートフィルム上の開環重合体水素化物1rの塗膜を得た。得られた開環重合体水素化物1rの数平均分子量(Mn)は1.0×104、重量平均分子量(Mw)は3.2×104、ガラス転移温度は99℃、水素化率は98%であった。これらの結果は表1に示す。
片面易接着処理ポリエチレンテレフタレートフィルム上の開環重合体水素化物の塗膜の上から、下のフィルムに達するように1mm間隔で格子状に縦横に6本ずつの切れ込みを入れた。その上にセロハンテープを貼り、その後セロハンテープを剥離し、25マスのうち剥離する部分があるかないかを評価した。評価は以下の基準で行った。
○:全く剥離が無い。
×:完全に剥離したマスがある。
Claims (3)
- 下記式(I)で表される化合物を含む単量体を開環メタセシス重合して得られる開環重合体を水素化して得られる開環重合体水素化物であって、前記開環重合体の 1 H−NMRスペクトルにおける炭素−炭素二重結合に由来するピーク強度と、前記開環重合体水素化物の 1 H−NMRスペクトルにおける炭素−炭素二重結合に由来するピーク強度の積分比から算出される水素化率が70%以上である開環重合体水素化物。
- 前記式(I)で表される化合物が、4,5−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エンである、請求項1に記載の開環重合体水素化物。
- 前記単量体が、さらに、前記式(I)で表される化合物と開環メタセシス重合による共重合可能な他の化合物を含むものである、請求項1または2に記載の開環重合体水素化物。
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