JP5707940B2 - ノルボルネン系開環重合体水素化物 - Google Patents
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Description
結晶性樹脂では、その結晶化度や結晶核の大きさによって性能が異なるために、特許文献1では、核剤を入れることによって、水蒸気バリア性や透明性を制御している。しかしながら、結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物単独では、機械的強度が必ずしも十分ではない。
特許文献2では、結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物に非晶性脂環構造含有重合体を配合することで、水蒸気バリア性や透明性に優れた樹脂組成物を得ている。この方法では、樹脂を配合するために混練を行うので、熱による樹脂の分解や添加剤の揮発を招き、樹脂本来の性能を損なう可能性がある。
ノルボルネン系開環重合体水素化物の強度を向上させるために、特許文献3では、融点を持つ結晶性セグメントと非晶質重合体セグメントとが結合したブロック共重合体を用いる方法が示されている。この方法は、透明な非晶質重合体に、耐熱性と耐油性を向上させる目的で、具体的に開示されている共重合体は、結晶性セグメントの割合が、50重量%以下のものである。
また非特許文献1には、ノルボルネンとエチリデンノルボルネンとのメタセシス開環ブロック共重合体の水素化物が報告されており、ノルボルネン系開環重合体水素化物セグメントが結晶性である旨記載されている。しかしながら、エチリデンノルボルネン開環重合体水素化物セグメントは、ガラス転移温度(Tg)が室温以下のゴム状重合体である。
前記ノルボルネン系単量体(A)は、2−ノルボルネンを90〜100重量%含有するノルボルネン系単量体である。
前記ノルボルネン系単量体(B)は、ガラス転移温度が50〜300℃のである非晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物を与えるノルボルネン系単量体である。
全ノルボルネン系単量体に対して、前記ノルボルネン系単量体(A)の割合は60〜99重量%、前記ノルボルネン系単量体(B)の割合は1〜40重量%である。
前記メタセシス重合触媒が、遷移金属化合物触媒成分と金属化合物助触媒成分との組み合わせからなるものであるのが好ましい。
ノルボルネン系単量体(A)を開環重合する工程と、ノルボルネン系単量体(B)を開環重合する工程との順番は特に制限されず、どちらの単量体を先に開環重合させても構わないが、一方の単量体の開環重合の次に他方の単量体の開環重合を行うに当たっては、先に開環重合した単量体の重合転化率は90%〜100%、好ましくは95%〜100%の時点で、後に開環重合する単量体の添加を開始するのが好ましい。重合転化率がこの範囲の時に次の単量体の開環重合を開始すると得られるノルボルネン系開環重合体水素化物の融点が高くなり、水蒸気バリア性や耐熱性に優れるので好ましい。
重合転化率とは、用いた単量体の重量から未反応の単量体の重量を引いた値を、用いた単量体の重量で除した値である。重合転化率は、重合反応液をガスクロマトグラフィーにより分析することで、測定することができる。
また、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンとも言う)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセンとも言う)等の芳香環を有するノルボルネン誘導体も挙げることができる。
テトラシクロドデセン類の具体例としては、テトラシクロドデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキシルテトラシクロドデセン、8−シクロペンチルテトラシクロドデセン等の無置換又はアルキル基を有するテトラシクロドデセン類;8−メチリデンテトラシクロドデセン、8−エチリデンテトラシクロドデセン、8−ビニルテトラシクロドデセン、8−プロペニルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキセニルテトラシクロドデセン、8−シクロペンテニルテトラシクロドデセン等の環外に二重結合を有するテトラシクロドデセン類;8−フェニルテトラシクロドデセン等の芳香環を有するテトラシクロドデセン類;8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−ヒドロキシメチルテトラシクロドデセン、8−カルボキシテトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸無水物等の酸素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−シアノテトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸イミド等の窒素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−クロロテトラシクロドデセン等のハロゲン原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−トリメトキシシリルテトラシクロドデセン等のケイ素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類等が挙げられる。
これらのノルボルネン単量体は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
共重合可能なその他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状ジエン及びその誘導体;などが挙げられる。
(a)遷移金属化合物触媒成分は、デミングの周期律表第IVB、VB、VIB、VIIB、又はVIII族の遷移金属の化合物である。例えば、これらの遷移金属のハロゲン化物、オキシハロゲン化物、アルコキシハロゲン化物、アルコキシド、カルボン酸塩、(オキシ)アセチルアセトネート、カルボニル錯体、アセトニトリル錯体、ヒドリド錯体、これらの誘導体、これら又はこれらの誘導体のP(C6H5)5等の錯化剤による錯化物が挙げられる。
これらの中でも、工業的に汎用されている芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、エーテル類が好ましい。
分子量調整剤としては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン類;スチレン、ビニルトルエン等のスチレン類;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のエーテル類;アリルクロライド等のハロゲン含有ビニル化合物;グリシジルメタクリレート等酸素含有ビニル化合物;アクリルアミド等の窒素含有ビニル化合物;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン等の非共役ジエン、又は1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエンなどが挙げられ、特にα−オレフィン類が好ましい。
分子量調節剤の添加量は、所望の分子量を持つ重合体を得るに足る量であればよく、(分子量調節剤):(ノルボルネン系単量体)のモル比で、通常1:50〜1:1,000,000、好ましくは1:100〜1:5,000、より好ましくは1:300〜1:3,000である。
開環重合を行った反応溶液に水素化触媒を添加して、ノルボルネン系開環重合体を単離することなく、連続的に水素化反応を行うこともできる。
均一系触媒としては、例えば、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウム等の組み合わせ等の遷移金属化合物とアルカリ金属化合物の組み合わせからなる触媒系;ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリド等の貴金属錯体触媒;等が挙げられる。
不均一触媒としては、例えば、ニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナ等の、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、又はこれらの金属をカーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタン等の担体に担持させた固体触媒系が挙げられる。
水素圧力は、通常0.01〜20MPa、好ましくは0.1〜10MPa、より好ましくは1〜5MPaである。水素圧力が低すぎると水素添加速度が遅くなり、高すぎると高耐圧反応装置が必要となるので好ましくない。
凝固して得られた粒子状の成分は、たとえば真空中又は窒素中若しくは空気中で加熱して乾燥させて粒子状にするか、さらに必要に応じて溶融押出機から押し出してペレット状にすることができる。
得られるノルボルネン系開環重合体水素化物のガラス転移温度は、通常40℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上である。これらの温度以下であると強度や水蒸気バリア性に劣る。
(1)ノルボルネン系開環重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、トルエンを溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値として測定した。
測定装置として、GPC−8020シリーズ(DP8020、SD8022、AS8020、CO8020、RI8020、東ソー社製)を用いた。
標準ポリスチレンとしては、標準ポリスチレン(Mwが500、2,630、10,200、37,900、96,400、427,000、1,090,000、5,480,000のものの計8点、東ソー社製)を用いた。
サンプルは、サンプル濃度1mg/mlになるように、測定試料をトルエンに溶解後、カートリッジフィルター(ポリテトラフルオロエチレン製、孔径0.5μm)で濾過して調製した。
測定は、カラムに、TSKgel GMHHR・H(東ソー社製)を2本直列に繋いで用い、流速1.0ml/min、サンプル注入量100μml、カラム温度40℃の条件で行った。
サンプルは、サンプル濃度1mg/mlになるように、140℃にて測定試料を1,2,4−トリクロロベンゼンに加熱溶解させて調製した。
標準ポリスチレンとしては、標準ポリスチレン(Mwが988、2,580、5,910、9,010、18,000、37,700、95,900、186,000、351,000、889,000、1,050,000、2,770,000、5,110,000、7,790,000、20,000,000のものの計16点、東ソー社製)を用いた。
測定装置として、HLC8121GPC/HT(東ソー社製)を用いた。
測定は、カラムに、TSKgel GMHHR・H(20)HT(東ソー社製)を3本直列に繋いで用い、流速1.0ml/min、サンプル注入量300μml、カラム温度140℃の条件で行った。
(4)融点は、示差走査熱量分析計(製品名「DSC6220SII」、ナノテクノロジー社製)を用いて、JIS K 7121に基づき、試料を融点より30℃以上に加熱した後、冷却速度10℃/minで室温まで冷却し、その後、昇温速度10℃/minで測定した。
(5)ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量分析計(製品名「DSC6220SII」、ナノテクノロジー社製)を用いて、JIS K 6911に基づいて測定した。
(6)水蒸気バリア性評価試験は、JIS K 7129(A法)に基づいて温度40℃、湿度90%RHの条件下の水蒸気透過度を水蒸気透過度テスター(製品名「L80−5000型」、LYSSY社製)で測定した。水蒸気透過度(g/(m2・24h))が小さいほど、水蒸気バリア性が良好であることを示す。
(7)ヘイズの測定は厚さ100μmのフィルムサンプルを作製し、ヘイズメータ(製品名「NDH2000」、日本電色工業社製)を用いて測定した。ヘイズ(%)が小さいほど、透明性が良好であることを示す。
(8)引張強度、引張伸びは、ISO 527に基づき、フィルムから作成した形状1B型の試験片を、引張速度200mm/分の条件でオートグラフ(製品名「AGS−5kNH」、島津製作所製)により測定した。
(開環重合)
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500部に、1−ヘキセン0.55部、ジイソプロピルエーテル0.30部、トリイソブチルアルミニウム0.20部、及びイソブチルアルコール0.075部を室温で反応器に入れ混合した。そこへ、単量体(A)として2−ノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)(以下、「2−NB」という。)150部及び六塩化タングステン1.0%トルエン溶液9部を、反応器温度を55℃に保ちながら、2時間かけて連続的に添加した。
添加終了後、ノルボルネン系単量体(A)の重合転化率が97%となった時点(ここまでが一段階目の重合)で、ノルボルネン系単量体(B)として2−NBとトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(以下、「DCP」という。)とテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以下、「TCD」という。)との混合物(重量比:2−NB/DCP/TCD=7/53/40;ガラス転移温度(計算値)111℃のノルボルネン系開環重合体水素化物を与える単量体)100部及び六塩化タングステン1.0%トルエン溶液6部を、反応器温度を55℃に保ちながら、1時間かけて連続的に添加し、二段階目の重合を行った。
得られたノルボルネン系開環重合体の重量平均分子量(Mw)は、79,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。ノルボルネン系単量体(A)とノルボルネン系単量体(B)の合計の重合転化率は、ほぼ100%であった。
(水素添加反応)
上記で得た重合反応液を耐圧の水素添加反応器に移送し、そこへ、ケイソウ土担持ニッケル触媒(製品名「T8400」;ニッケル担持率58%、ズードヘミー触媒社製)0.6部を加え、200℃、水素圧4.5MPaで6時間反応させた。
(重合体物性)
得られたノルボルネン系開環重合体水素化物の水素添加率は99%、重量平均分子量(Mw)は、80,700、分子量分布(Mw/Mn)は2.9、融点は123℃、Tgは105℃であった。
(樹脂組成物の調製)
水素添加反応液に、重合体固形分100部当り、酸化防止剤(テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン;製品名「イルガノックス(登録商標)1010」、チバガイギー社製)0.1部、及び結晶核剤(日本タルク社製;食添タルクMS;長径15μm)0.5重量部を加え、溶解させた。
(乾燥)
この溶液を金属ファイバー製フィルター(孔径0.5μm、ニチダイ社製)にて濾過した後、濾液を「ゼータプラス(登録商標)フィルター30S」(孔径0.5〜1μm、キュノ社製)で濾過し、さらに、金属ファイバー製フィルター(孔径0.2μm、ニチダイ社製)で濾過して異物を除去した。得られた濾液を予備加熱装置で200℃に加熱し、圧力3MPaで薄膜乾燥機(日立製作所社製)に連続的に供給した。薄膜乾燥機の運転条件は、圧力13.4kPa下、内部の濃縮された重合体溶液の温度を240℃とした(第一段階乾燥)。
次に、濃縮された溶液を、薄膜乾燥機から連続的に導出し、さらに同型の薄膜乾燥機に温度240℃を保ったまま、圧力1.5MPaで供給した。運転条件は、圧力0.7kPa、温度240℃とした(第二段階乾燥)。
(ペレット化)
溶融状態の重合体を、薄膜乾燥機から連続的に導出し、クラス100のクリーンルーム内でダイから押し出し、水冷後、ペレタイザー(製品名「OSP−2」、長田製作所社製)でカッティングして樹脂組成物のペレットを得た。
(フィルム化)
得られた樹脂組成物のペレットを、スクリュー径50mmφ、圧縮比2.5、L/D=30のスクリューを備えた樹脂溶融混練機を有するハンガーマニュホールドタイプのTダイ式フィルム溶融押出成形機を使用して、以下の成形条件でTダイ成形を行い単層フィルム(1)(厚さ100μm)を得た。
ダイリップ:0.8mm
溶融樹脂温度:210℃
Tダイ幅:300mm
冷却ロール:40℃
キャストロール:40℃
得られた単層フィルム(1)の、水蒸気バリア性、ヘイズ及び引張強度を評価した。評価結果を表1に示す。
第一段階目の重合において、ノルボルネン系単量体(A)を2−NB 200部とし、六塩化タングステン1.0%トルエン溶液の量を12部とし、これらの滴下時間を1時間30分とし、ノルボルネン系単量体(A)の重合転化率が99%の段階で、第二段階の重合を開始し、第二段階の重合において、ノルボルネン系単量体(B)を2−NBとDCPとの混合物(重量比:2−NB/DCP=20/80;ガラス転移温度(計算値)68℃のノルボルネン系開環重合体水素化物を与える単量体)50部、六塩化タングステン1.0%トルエン溶液の量を3部、これらの滴下時間を30分とした他は実施例1と同様に行い、ノルボルネン系開環重合体水素化物(Mw=81,600、Mw/Mn=3.0、融点=135℃、Tg=64℃)を得、単層フィルム(2)(厚さ100μm)を得た。
得られた単層フィルム(2)の、水蒸気バリア性、ヘイズ及び引張強度を評価した。評価結果を表1に示す。
第二段階目の重合において、ノルボルネン系単量体(B)を2−NBとDCPとTCDとの混合物(重量比:2−NB/DCP/TCD=7/53/40)50部としたほかは実施例2と同様に行い、ノルボルネン系開環重合体水素化物(Mw=80,200、Mw/Mn=3.0、融点=135℃、Tg=107℃)を得、単層フィルム(3)(厚さ100μm)を得た。
得られた単層フィルム(3)の、水蒸気バリア性、ヘイズ及び引張強度を評価した。評価結果を表1に示す。
第二段階目の重合において、ノルボルネン系単量体(B)をテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(以下、「MTF」という;ガラス転移温度(計算値)155℃のノルボルネン系開環重合体水素化物を与える単量体)50部にしたほかは実施例2と同様に行い、ノルボルネン系開環重合体水素化物(Mw=84,100、Mw/Mn=3.2、融点=135℃、Tg=148℃)を得、単層フィルム(4)(厚さ100μm)を得た。
得られた単層フィルム(4)の、水蒸気バリア性、ヘイズ及び引張強度を評価した。評価結果を表1に示す。
第一段階目の重合において、ノルボルネン系単量体(A)を2−NB 225部、六塩化タングステン1.0%トルエン溶液の量を13.5部とし、これらの滴下時間を1時間30分とし、ノルボルネン系単量体(A)の重合転化率が98%の段階で、第二段階の重合を開始し、第二段階の重合において、ノルボルネン系単量体(B)を2−NBとDCPとTCDとの混合物(重量比:2−NB/DCP/TCD=7/53/40)25部、六塩化タングステン1.0%トルエン溶液の量を1.5部とし、これらの滴下時間を30分としたほかは実施例1と同様に行い、ノルボルネン系開環重合体水素化物(Mw=81,200、Mw/Mn=3.0、融点=140℃、Tg=107℃)を得、単層フィルム(5)(厚さ100μm)を得た。評価結果を表1に示す。
第一段階目の重合において、ノルボルネン系単量体(B)を2−NBとDCPとTCDとの混合物(重量比:2−NB/DCP/TCD=7/53/40)50部とし、六塩化タングステン1.0%トルエン溶液の量を3部とし、これらの滴下時間を30分とし、ノルボルネン系単量体(B)の重合転化率が96%の段階で、第二段階の重合を開始し、第二段階の重合において、ノルボルネン系単量体(A)を2−NB 200部、六塩化タングステン1.0%トルエン溶液の量を12部、これらの滴下時間を1時間とした他は実施例1と同様に行い、ノルボルネン系開環重合体水素化物(Mw=82,300、Mw/Mn=2.9、融点=135℃、Tg=107℃)を得、単層フィルム(6)(厚さ100μm)を得た。
得られた単層フィルム(6)の、水蒸気バリア性、ヘイズ及び引張強度を評価した。評価結果を表1に示す。
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500部に、1−ヘキセン0.55部、ジイソプロピルエーテル0.30部、トリイソブチルアルミニウム0.20部、及びイソブチルアルコール0.075部を室温で反応器に入れ混合した。そこへ、2−NB 250部及び六塩化タングステン1.0%トルエン溶液15部を、55℃に保ちながら、2時間かけて連続的に添加し、重合を行った。
重合以降は、実施例1と同様にして、ノルボルネン系開環重合体水素化物(Mw=82,200、Mw/Mn=2.9、融点=140℃)を得、単層フィルム(7)を得た。
得られた単層フィルム(7)の、水蒸気バリア性、ヘイズ及び引張強度を評価した。評価結果を表2に示す。
第一段階の重合において、2−NB 100部のノルボルネン系単量体(A’)を、六塩化タングステン1.0%トルエン溶液の量を7.5部とし、これらの滴下時間を1時間とし、第二段階の重合において、2−NBとDCPとTCDとの混合物(重量比:2−NB/DCP/TCD=7/53/40)100部のノルボルネン系単量体(B’)を、六塩化タングステン1.0%トルエン溶液の量を7.5部とし、これらの滴下時間を1時間としたほかは実施例1と同様に行い、ノルボルネン系開環重合体水素化物(Mw=85,000、Mw/Mn=3.2、融点=118℃、Tg=103℃)を得、単層フィルム(8)を得た。
得られた単層フィルム(8)を評価した。評価結果を表2に示す。
第二段階目の重合において、2−NBとDCPとの混合物(重量比:2−NB/DCP=40/60;ガラス転移温度(計算値)41℃のノルボルネン系開環重合体水素化物を与える単量体)のノルボルネン系単量体(B’)の量を50部としたほかは実施例2と同様に行い、ノルボルネン系開環重合体水素化物(Mw=80,200、Mw/Mn=2.9、融点=133℃、Tg=30℃)を得、単層フィルム(9)(厚さ100μm)を得た。
得られた単層フィルム(9)を評価した。評価結果を表2に示す。
撹拌機付きガラス製反応器に、タングステン(フェニルイミド)テトラクロリド・ジエチルエーテルを0.060部とシクロヘキサン1.0部を入れ、ここに、ジエチルアルミニウムエトキシド0.047部をヘキサン0.50部に溶解した溶液を添加して、これを室温にて30分撹拌した。得られた混合物に、DCP 7.5部、シクロヘキサン27.0部、1−オクテン5.0部を添加し、50℃において重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。3時間撹拌後、反応液に大量のイソプロピルアルコールを注いで沈殿物を凝集させ、濾別洗浄後、40℃で24時間減圧乾燥してノルボルネン系開環重合体を714部得た。得られたノルボルネン系開環重合体のMnは3,800、Mwは13,000であった。
次いで、撹拌機付きガラス製反応器に、得られたノルボルネン系開環重合体3部、トルエン24.0部及びMTF 3.0部を入れ、ここに、ベンジリデン[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロトリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム0.0039部をトルエン0.1部に溶解した溶液を添加して、60℃において2時間重合反応を行った。得られたノルボルネン系開環重合体のMnは6,600、Mwは18,000であった。
水素添加反応は実施例1と同様に行い、水素化反応液を大量のイソプロピルアルコールに注いでポリマーを完全に析出させ、濾別洗浄後、40℃で24時間減圧乾燥して、ノルボルネン系開環重合体水素化物(Mw=18,800、Mw/Mn=2.8、融点=240℃、Tg=135℃)を3部得た。
このノルボルネン系開環共重合体水素化物を用いてフィルム化を行ったところ、樹脂の融点が高いため、フィルムを得ることが出来なかった。
内部を窒素置換したガラス反応器に2,6−ジイソプロピルフェニルイミドネオフィリデンモリブデン(VI)ビス(t−ブトキサイド)0.28部を添加した後、トルエン28部を加えて溶解した。次に2−NB 2.7部及びトリフェニルホスフィン1.4部を加え、室温で1時間撹拌した。重合転化率が99%の時点で、反応液に5−エチリデン−2−ノルボルネン(ガラス転移温度(計算値)15℃のノルボルネン系開環重合体水素化物を与える単量体)0.3部を添加して室温で1日間放置した。得られたノルボルネン系開環重合体の重量平均分子量(Mw)は、80,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.1、融点は140℃、Tgは14℃であった。
その後の操作は実施例1と同様に行い、単層フィルム(10)を得た。
得られた単層フィルム(10)を評価した。評価結果を表2に示す。
窒素で置換した反応器に、2−NB、DCP及びTCDとの混合物(重量比:2−NB/DCP/TCD=7/53/40)700部とシクロヘキサン1600部を加え、トリイソブチルアルミニウム0.55部とイソブチルアルコール0.21部、反応調整剤としてジイソプロピルエーテル0.84部、及び分子量調節剤として1−ヘキセン3.94部を添加した。ここに、シクロヘキサンに溶解させた0.65%の六塩化タングステン溶液63部を添加して、55℃で1時間30分かけて連続的に添加し重合を行った。重合転化率はほぼ100%であった。
得られた開環重合体(D)の重量平均分子量は20,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。
その後は実施例1と同様に行い、樹脂組成物のペレットを得た。ガラス転移温度(Tg)は111℃であった。
この樹脂組成物のペレット30部と、比較例1で得た樹脂組成物のペレット70部をブレンダーで混合した。次いで、二軸混練機(製品名「TEM−35B」、東芝機械社製)により、以下の混練条件でペレットを混練し、押し出し、重合体組成物(D)のペレットを得た。
スクリュー径:37mm、L/D=32
スクリュー回転数:250rpm
樹脂温度:200℃
フィードレート:15kg/時間
フィルム化は実施例1と同様に行い、単層フィルム(11)を得た。単層フィルム(11)の透湿度は0.36g/m2・day、ヘイズは18%、引張強度は30MPa、引張り伸びは8%だった。
本発明のノルボルネン系開環重合体水素化物を用いて得られたフィルムは、水蒸気バリア性が良好で、透明性に優れ、かつ引張強度、引張伸びが高いことが判る(実施例1〜5)
それに対し、2−ノルボルネン単独開環重合体水素化物(比較例1)や単量体(A)の量が少ないもの(比較例2)、請求項1の要件のいくつかを満足していてもガラス転移温度が40℃よりも低いルボルネン系開環重合体水素化物(比較例3、5)では、水蒸気バリア性、透明性または引張強度が劣ることがわかる。
2−ノルボルネン単独開環重合体水素化物と非晶性のノルボルネン系開環重合体水素化物との混練品は引張り伸びに劣る。
ノルボルネン系開環重合体水素化物の単量体(A)にあたる組成がDCP100%で、融点が240℃と本発明よりも100℃高温のものでは、フィルムを作製することができなかったため、水蒸気バリア性、ヘイズ及び引張強度の評価ができなかった(比較例4)。
2−ノルボルネン単独開環重合体水素化物と非晶性のノルボルネン系開環重合体水素化物との混練品では水蒸気バリア性、透明性または引張強度は変わらないものの、引張り伸びに劣ることがわかる(比較例6)。
Claims (2)
- メタセシス重合触媒を用いて下記ノルボルネン系単量体(A)を開環重合する工程(1)と、メタセシス重合触媒を用いて下記ノルボルネン系単量体(B)を開環重合する工程(2)とからなる開環重合工程を経た後、得られた開環重合体を水素添加する工程を経て得られた、融点が110〜145℃、ガラス転移温度が40〜300℃のノルボルネン系開環重合体水素化物であって、
前記ノルボルネン系単量体(A)は、2−ノルボルネンを90〜100重量%含有するノルボルネン系単量体であり、
前記ノルボルネン系単量体(B)は、分子内にノルボルネン骨格を有する化合物であって、2−ノルボルネン系誘導体、及び/又は、縮合した環を有するノルボルネン化合物のうち、単独で、開環重合、水素化を行って、得られたノルボルネン系開環重合体水素化物について測定したガラス転移温度を元に、単量体の混合比から計算したガラス転移温度が50〜300℃である非晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物を与えるノルボルネン系単量体であり、かつ、
全ノルボルネン系単量体に対して、前記ノルボルネン系単量体(A)の割合は60〜99重量%、前記ノルボルネン系単量体(B)の割合は1〜40重量%である
ノルボルネン系開環重合体水素化物。 - メタセシス重合触媒が、遷移金属化合物触媒成分と金属化合物助触媒成分との組み合わせからなるものである請求項1に記載のノルボルネン系開環重合体水素化物。
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