JP5003219B2 - 多孔質フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ノルボルネン系開環重合体水素化物を含有する樹脂組成物よりなる多孔質フィルム及びその製造方法に関する。
多孔質フィルムは、微細孔を有する高分子フィルムであり、その構造的特徴を活かして、半導体用フィルター、電池用セパレーター、医療用材料、衛生材料、衣料材料、包装材料、建築材料等として、広く使用されている。
多孔質フィルムは、通常、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物を成形して得られる。熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のポリオレフィン樹脂が知られている。
例えば、特許文献1には、PP、PE、PTFE等を用いた、特定の厚み、空孔率、ガーレ式透気度、及び接触角を有する多孔質樹脂膜が記載され、特許文献2には、特定のポリエチレン系樹脂を含有する多孔質フィルムが記載されている。特許文献3には、特定のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる多孔質膜が記載されている。
しかしながら、PP、PE等を用いて形成された多孔質フィルムは、低沸点の有機物(アウトガス)を発生するという問題があった。例えば、このような多孔質フィルムを、半導体用フィルターに用いると、発生したアウトガス成分が半導体製品表面に付着し、性能劣化の原因となる場合があった。
また、PTFEを用いて形成された多孔質フィルムは、アウトガスの発生は少ないが、加工性が悪く、フッ素原子を含有しているため、焼却廃棄時に腐食性ガスを発生するという問題があった。
また、多孔質化する際、PTFEは高融点であるために、無機充填材を含有する樹脂組成物を延伸して多孔質化する方法を採用することができず、潤滑剤を含有する樹脂組成物を延伸して多孔質化する方法により製造されている。しかし、この方法では、後に潤滑剤を抽出、または蒸発する操作が必要となるため、操作が煩雑で、また抽出操作による揮発成分が残留する場合があり問題となっていた。
特開平11−300180号公報 特開2006−241276号公報 特開平5−202217号公報
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、アウトガスの発生が少なく、焼却しても腐食性ガスを発生することがない多孔質フィルム、及び簡便に製造することができる多孔質フィルムの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究した結果、2−ノルボルネン、又は2−ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体からなる単量体混合物を開環重合し、次いで水素化して得られるノルボルネン系開環重合体水素化物であって、2−ノルボルネン由来の繰り返し単位(A)、及び置換基含有ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位(B)の存在割合が特定範囲にあり、かつ、特定の融点を有するノルボルネン系開環重合体水素化物を含有する樹脂組成物を用いると、アウトガスの発生がなく、焼却廃棄時に腐食性ガスが発生することがない多孔質フィルムが簡便に得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、2−ノルボルネン、又は2−ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体からなる単量体混合物を開環重合して得られる開環重合体の、炭素−炭素二重結合の80%以上を水素化することにより得られるノルボルネン系開環重合体水素化物であって、2−ノルボルネン由来の繰り返し単位(A)の全繰り返し単位に対する存在割合が90〜100重量%、置換基含有ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位(B)の全繰り返し単位に対する存在割合が0〜10重量%であり、かつ、融点が110〜145℃の範囲であるノルボルネン系開環重合体水素化物を含有する樹脂組成物からなる多孔質フィルムが提供される。
本発明の多孔質フィルムにおいては、前記樹脂組成物が、前記ノルボルネン系開環重合体水素化物、および該ノルボルネン系開環重合体水素化物100重量部に対し、前記ノルボルネン系開環重合体水素化物に非相溶な成分5〜300重量部を含有することが好ましい。
本発明の多孔質フィルムにおいては、前記ノルボルネン系開環重合体水素化物に非相溶な成分が無機充填剤であることが好ましく、前記無機充填剤が炭酸カルシウムであることがより好ましい。
また、前記ノルボルネン系開環重合体水素化物100重量部と、該ノルボルネン系開環重合体水素化物に非相溶な成分5〜300重量部とを含有する樹脂組成物を成形して未延伸フィルムを得た後、該未延伸フィルムを少なくとも一軸延伸することを特徴とする多孔質フィルムの製造方法が提供される。
本発明の多孔質フィルムは、アウトガスの発生が少ないため、その成分が製品表面に付着して、製品の性能を劣化させるという心配がない。
本発明の多孔質フィルムは、焼却廃棄時に腐食性ガスが発生することがないため、環境にやさしいものである。
本発明の多孔質フィルムの製造方法によれば、上記のような多孔質フィルムを簡便に製造できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の多孔質フィルムは、2−ノルボルネン、又は2−ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体からなる単量体混合物を開環重合して得られる開環重合体の、炭素−炭素二重結合の80%以上を水素化することにより得られるノルボルネン系開環重合体水素化物であって、2−ノルボルネン由来の繰り返し単位(A)の全繰り返し単位に対する存在割合が90〜100重量%で、置換基含有ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位(B)の全繰り返し単位に対する存在割合が0〜10重量%であり、かつ、融点が110〜145℃の範囲であるノルボルネン系開環重合体水素化物を含有する樹脂組成物からなる。
本発明に用いるノルボルネン系開環重合体水素化物は、(i)2−ノルボルネンを、メタセシス重合触媒の存在下に開環重合することにより、2−ノルボルネン単独開環重合体を得た後、得られる開環重合体の炭素−炭素二重結合の80%以上を水素化して得られるものであるか、(ii)2−ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体からなる単量体混合物を、メタセシス重合触媒の存在下に開環重合することにより、2−ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体の開環共重合体を得た後、得られる開環共重合体の炭素−炭素二重結合の80%以上を水素化して得られるものである。
2−ノルボルネンは、公知の化合物であり、例えば、シクロペンタジエンとエチレンとを反応させることにより得ることができる。
置換基含有ノルボルネン系単量体は、分子内にノルボルネン骨格を有する化合物である(ただし、2−ノルボルネンを除く)。本発明に用いる「置換基含有ノルボルネン系単量体」には、置換基を有する2−ノルボルネン誘導体のほか、縮合した環を有するノルボルネン化合物も含まれる。
置換基含有ノルボルネン系単量体としては、分子内にノルボルネン環と縮合する環を有しないノルボルネン系単量体、及び3環以上の多環式ノルボルネン系単量体等が挙げられる。
前記分子内にノルボルネン環と縮合する環を有しないノルボルネン系単量体の具体例としては、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−ブチルノルボルネン、5−ヘキシルノルボルネン、5−デシルノルボルネン、5−シクロヘキシルノルボルネン、5−シクロペンチルノルボルネン等のアルキル基を有するノルボルネン類;5−エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−プロペニルノルボルネン、5−シクロヘキセニルノルボルネン、5−シクロペンテニルノルボルネン等のアルケニル基を有するノルボルネン類;5−フェニルノルボルネン等の芳香環を有するノルボルネン類;5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−エトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−エトキシカルボニルノルボルネン、ノルボルネニル−2−メチルプロピオネイト、ノルボルネニル−2−メチルオクタネイト、5−ヒドロキシメチルノルボルネン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ノルボルネン、5,5−ジ(ヒドロキシメチル)ノルボルネン、5−ヒドロキシイソプロピルノルボルネン、5,6−ジカルボキシノルボルネン、5−メトキシカルボニル−6−カルボキシノルボルネン、等の酸素原子を含む極性基を有するノルボルネン類;5−シアノノルボルネン等の窒素原子を含む極性基を有するノルボルネン類;等が挙げられる。
3環以上の多環式ノルボルネン系単量体とは、分子内にノルボルネン環と、該ノルボルネン環と縮合している1つ以上の環とを有するノルボルネン系単量体である。その具体例としては、下記に示す式(1)又は式(2)で示される単量体が挙げられる。
Figure 0005003219
(式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基;又はケイ素原子、酸素原子もしくは窒素原子を含む置換基;を表し、互いに結合して環を形成していてもよい。Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の炭化水素基である。)
Figure 0005003219
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基;又はケイ素原子、酸素原子もしくは窒素原子を含む置換基;を表し、RとRは互いに結合して環を形成していてもよい。mは1又は2である。)
式(1)で示される単量体としては、具体的には、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン等を挙げることができる。また、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンともいう)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセンともいう)、等の芳香環を有するノルボルネン誘導体も挙げることができる。
式(2)で示される単量体としては、mが1であるテトラシクロドデセン類、mが2であるヘキサシクロヘプタデセン類が挙げられる。
テトラシクロドデセン類の具体例としては、テトラシクロドデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキシルテトラシクロドデセン、8−シクロペンチルテトラシクロドデセン等の無置換又はアルキル基を有するテトラシクロドデセン類;8−メチリデンテトラシクロドデセン、8−エチリデンテトラシクロドデセン、8−ビニルテトラシクロドデセン、8−プロペニルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキセニルテトラシクロドデセン、8−シクロペンテニルテトラシクロドデセン等の環外に二重結合を有するテトラシクロドデセン類;8−フェニルテトラシクロドデセン等の芳香環を有するテトラシクロドデセン類;8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−ヒドロキシメチルテトラシクロドデセン、8−カルボキシテトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸無水物等の酸素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−シアノテトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸イミド等の窒素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−クロロテトラシクロドデセン等のハロゲン原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−トリメトキシシリルテトラシクロドデセン等のケイ素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類等が挙げられる。
ヘキサシクロヘプタデセン類の具体例としては、ヘキサシクロヘプタデセン、12−メチルヘキサシクロヘプタデセン、12−エチルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロヘキシルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロペンチルヘキサシクロヘプタデセン等の無置換又はアルキル基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−メチリデンヘキサシクロヘプタデセン、12−エチリデンヘキサシクロヘプタデセン、12−ビニルヘキサシクロヘプタデセン、12−プロペニルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロヘキセニルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロペンテニルヘキサシクロヘプタデセン等の環外に二重結合を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−フェニルヘキサシクロヘプタデセン等の芳香環を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−メトキシカルボニルヘキサシクロヘプタデセン、12−メチル−12−メトキシカルボニルヘキサシクロヘプタデセン、12−ヒドロキシメチルヘキサシクロヘプタデセン、12−カルボキシヘキサシクロヘプタデセン、ヘキサシクロヘプタデセン12,13−ジカルボン酸、ヘキサシクロヘプタデセン12,13−ジカルボン酸無水物等の酸素原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−シアノヘキサシクロヘプタデセン、ヘキサシクロヘプタデセン12,13−ジカルボン酸イミド等の窒素原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−クロロヘキサシクロヘプタデセン等のハロゲン原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−トリメトキシシリルヘキサシクロヘプタデセン等のケイ素原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類等が挙げられる。これらのノルボルネン系単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、上記した2−ノルボルネン、又は2−ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体と、2−ノルボルネン及び/又は置換基含有ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体とを組み合わせて用いることもできる。
2−ノルボルネン及び/又は置換基含有ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体(以下、「その他の単量体」ということがある。)としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状ジエン及びその誘導体;等が挙げられる。
また、本発明の多孔質フィルムが焼却時に腐食性ガスを発生しない点で、置換基含有ノルボルネン系単量体、及びその他の単量体は、炭化水素のみからなることが好ましい。
2−ノルボルネン、又は2−ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体からなる単量体混合物の組成は、2−ノルボルネンが、通常、90〜100重量%、好ましくは95〜99重量%、より好ましくは97〜99重量%であり、置換基含有ノルボルネン系単量体は、通常、0〜10重量%、好ましくは1〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%である。
用いるメタセシス重合触媒としては、例えば、特公昭41−20111号公報、特開昭46−14910号公報、特公昭57−17883号公報、特公昭57−61044号公報、特開昭54−86600号公報、特開昭58−127728号公報、特開平1−240517号公報等に記載された、本質的に(a)遷移金属化合物触媒成分と(b)金属化合物助触媒成分からなる一般のメタセシス重合触媒;シュロック型重合触媒(特開平7−179575号公報、Schrock et al.,J.Am.Chem.Soc.,1990年,第112巻,3875頁〜等)や、グラブス型重合触媒(Fu et al.,J.Am.Chem.Soc.,1993年,第115巻,9856頁〜;Nguyen et al.,J.Am.Chem.Soc.,1992年,第114巻,3974頁〜;Grubbs et al.,WO98/21214号パンフレット等)等のリビング開環メタセシス触媒;等が挙げられる。
これらの中でも、得られる重合体の分子量分布を好適な範囲に調節するには、(a)遷移金属化合物触媒成分と(b)金属化合物助触媒成分とからなるメタセシス重合触媒が好ましい。
前記(a)遷移金属化合物触媒成分は、周期律表第3〜11族の遷移金属の化合物である。例えば、これらの遷移金属のハロゲン化物、オキシハロゲン化物、アルコキシハロゲン化物、アルコキシド、カルボン酸塩、(オキシ)アセチルアセトネート、カルボニル錯体、アセトニトリル錯体、ヒドリド錯体、これらの誘導体、これら又はこれらの誘導体のP(C等の錯化剤による錯化物が挙げられる。
具体例としては、TiCl、TiBr、VOCl、WBr、WCl、WOCl、MoCl、MoOCl、WO、HWO等が挙げられる。なかでも、重合活性等の点から、W、Mo、Ti、又はVの化合物が好ましく、特にこれらのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、又はアルコキシハロゲン化物が好ましい。
前記(b)金属化合物助触媒成分は、周期律表第1〜2族、及び第12〜14族の金属の化合物で少なくとも一つの金属元素−炭素結合、又は金属元素−水素結合を有するものである。例えば、Al、Sn、Li、Na、Mg、Zn、Cd、B等の有機化合物等が挙げられる。
具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等の有機アルミニウム化合物;テトラメチルスズ、ジエチルジメチルスズ、テトラブチルスズ、テトラフェニルスズ等の有機スズ化合物;n−ブチルリチウム等の有機リチウム化合物;n−ペンチルナトリウム等の有機ナトリウム化合物;メチルマグネシウムイオジド等の有機マグネシウム化合物;ジエチル亜鉛等の有機亜鉛化合物;ジエチルカドミウム等の有機カドミウム化合物;トリメチルホウ素等の有機ホウ素化合物;等が挙げられる。これらの中で、第13族の金属の化合物が好ましく、特にAlの有機化合物が好ましい。
また、前記(a)成分、(b)成分の他に第三成分を加えて、メタセシス重合活性を高めることができる。用いる第三成分としては、脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、分子状酸素、アルコール、エーテル、過酸化物、カルボン酸、酸無水物、酸クロリド、エステル、ケトン、含窒素化合物、含ハロゲン化合物、その他のルイス酸等が挙げられる。
これらの成分の配合比は、(a)成分:(b)成分が金属元素のモル比で、通常、1:1〜1:100、好ましくは1:2〜1:10の範囲である。また、(a)成分:第三成分がモル比で、通常、1:0.005〜1:50、好ましくは1:1〜1:10の範囲である。
また、重合触媒の使用割合は、(重合触媒中の遷移金属):(全単量体)のモル比で、通常、1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:1,000〜1:20,
000、より好ましくは1:5,000〜1:8,000である。触媒量が多すぎると重合反応後の触媒除去が困難になったり、また、分子量分布が広がるおそれがあり、一方、少なすぎると十分な重合活性が得られない。
開環重合は無溶媒で行うこともできるが、適当な溶媒中で行うことが好ましい。
用いる有機溶媒としては、重合体及び重合体水素化物が所定の条件で溶解もしくは分散し、かつ、重合及び水素化反応に影響しないものであれば特に限定されないが、工業的に汎用されている溶媒が好ましい。
このような有機溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シクロオクタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル等の含窒素炭化水素;ジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン等のエ−テル類等の溶媒を使用することができる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、工業的に汎用されている芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素及びエーテル類が好ましい。
重合を有機溶媒中で行う場合には、2−ノルボルネン及び所望により2−ノルボルネンと開環共重合可能なその他の単量体、又は2−ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体からなる単量体混合物、並びに所望によりこれらと開環共重合可能なその他の単量体(以下、これらをまとめて「単量体」ということがある。)の濃度は、1〜50重量%が好ましく、2〜45重量%がより好ましく、3〜40重量%が特に好ましい。前記単量体の濃度が1重量%より小さいと生産性が低くなるおそれがあり、50重量%より大きいと重合後の溶液粘度が高すぎて、その後の水素化反応が困難となるおそれがある。
開環重合においては、反応系に分子量調節剤を添加することができる。分子量調節剤を添加することで、得られる開環重合体の分子量を調整することができる。
用いる分子量調節剤としては特に限定されず、従来公知のものが使用できる。例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン類;スチレン、ビニルトルエン等のスチレン類;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のエーテル類;アリルクロライド等のハロゲン含有ビニル化合物;グリシジルメタクリレート等酸素含有ビニル化合物;アクリルアミド等の窒素含有ビニル化合物;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン等の非共役ジエン、又は1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン等を挙げることができる。これらの中でも、分子量調節のし易さから、α−オレフィン類が好ましい。
分子量調節剤の添加量は、所望の分子量を持つ重合体を得るに足る量であればよく、(分子量調節剤):(全単量体)のモル比で、通常、1:50〜1:1,000,000、好ましくは1:100〜1:5,000、より好ましくは1:300〜1:3,000である。
開環重合は、単量体と重合触媒とを混合することにより開始される。
開環重合を行う温度は、特に限定されないが、通常−20〜+100℃、好ましくは10〜80℃である。開環重合を行う温度が低すぎると反応速度が低下し、高すぎると副反応により、分子量分布が広がるおそれがある。
重合時間は、特に制限はなく、通常1分間から100時間である。
重合時の圧力条件は特に限定されないが、通常、0〜1MPaの加圧下で重合を行う。
反応終了後においては、通常の後処理操作により目的とするノルボルネン系開環重合体を単離することができる。
得られたノルボルネン系開環重合体は、次の水素化反応工程へ供される。
また後述するように、開環重合を行った反応溶液に水素化触媒を添加して、ノルボルネン系開環重合体を単離することなく、連続的に水素化反応を行うこともできる。
ノルボルネン系開環重合体の水素化反応は、ノルボルネン系開環重合体の主鎖及び/又は側鎖に存在する炭素−炭素二重結合を水素化する反応である。この水素化反応は、ノルボルネン系開環重合体の不活性溶媒溶液に水素化触媒を添加し、反応系内に水素を供給して行う。
水素化触媒としては、オレフィン化合物の水素化に際して一般に使用されているものであれば、均一系触媒、不均一系触媒のいずれも使用することができる。得られる重合体中の残留金属の除去等を考慮すると、不均一系触媒が好ましい。
均一系触媒としては、例えば、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド/分−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウム等の組み合わせ等の遷移金属化合物とアルカリ金属化合物の組み合わせからなる触媒系;ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等の貴金属錯体触媒;等が挙げられる。
不均一触媒としては、例えば、ニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナ等の、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、又はこれらの金属をカーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタン等の担体に担持させた固体触媒系が挙げられる。
水素化触媒の使用量は、ノルボルネン系開環重合体100重量部に対し、通常、0.05〜10重量部である。
水素化反応に用いる不活性有機溶媒としては、前述した2−ノルボルネンと置換基含有ノルボルネン系単量体との開環重合において用いることができる有機溶媒として例示したものと同様の、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン系芳香族炭化水素、含窒素炭化水素、エーテル類等が挙げられる。
水素化反応の温度は、使用する水素化触媒によって適する条件範囲が異なるが、水素化温度は、通常、−20℃〜+300℃、好ましくは0℃〜+250℃である。水素化温度が低すぎると反応速度が遅くなるおそれがあり、高すぎると副反応が起こる可能性がある。
水素圧力は、通常、0.01〜20MPa、好ましくは0.1〜10MPa、より好ましくは1〜5MPaである。水素圧力が低すぎると水素化速度が遅くなり、高すぎると高耐圧反応装置が必要となるので好ましくない。
ノルボルネン系開環重合体水素化物(以下、「開環重合体水素化物」ということがある)は、重合体中の炭素−炭素二重結合の水素化率が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上、特に好ましくは99.9%以上である。上記の範囲にあると、得られる多孔質フィルムは、耐熱性及び機械的特性に優れる。
開環重合体水素化物の水素化率は、溶媒に重クロロホルムを用いる、H−NMR測定により求めることができる。
水素化反応終了後は、反応溶液から水素化触媒等を濾別し、濾別後の重合体溶液から溶媒等の揮発成分を除去することにより、目的とする開環重合体水素化物を得ることができる。
溶媒等の揮発成分を除去する方法としては、凝固法や直接乾燥法等公知の方法を採用することができる。
凝固法は、重合体溶液を重合体の貧溶媒と混合することにより、重合体を析出させる方法である。用いる貧溶媒としては、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;等の極性溶媒が挙げられる。
凝固して得られた粒子状の成分は、例えば、真空中又は窒素中若しくは空気中で加熱して乾燥させて粒子状にするか、さらに必要に応じて溶融押出機から押し出してペレット状にすることができる。
直接乾燥法は、重合体溶液を減圧下加熱して溶媒を除去する方法である。この方法には、遠心薄膜連続蒸発乾燥機、掻面熱交換型連続反応器型乾燥機、高粘度リアクタ装置等の公知の装置を用いて行うことができる。真空度や温度はその装置によって適宜選択され、限定されない。
凝固法や直接乾燥法により溶媒を除去した後、さらに減圧下で加熱して乾燥することが好ましい。その際の圧力は、通常10kPa以下、好ましくは3kPa以下である。加熱温度は、通常200℃以上、好ましくは220℃以上、より好ましくは240℃以上である。このような条件で乾燥すると、重合体中に未反応単量体や溶媒がほとんど残らないので、多孔質フィルムから揮散する有機物が少なくなる。
以上のようにして得られる開環重合体水素化物の2−ノルボルネン由来の繰り返し単位(A)の全繰り返し単位に対する存在割合は、90〜100重量%、好ましくは95〜99重量%、より好ましくは97〜99重量%であり、置換基含有ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位(B)の全繰り返し単位に対する存在割合は、0〜10重量%、好ましくは1〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%である。
繰り返し単位(B)の存在割合が多すぎると、均質な多孔質フィルムを得難くなる。一方、繰り返し単位(B)の存在割合が少なすぎると、得られる多孔質フィルムの機械的特性が低下するおそれがある。
得られる開環重合体水素化物は、その重量平均分子量(Mw)が、1,2,4−トリクロロベンゼンを溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)による標準ポリスチレン換算で、通常、50,000〜200,000、好ましくは70,000〜180,000、より好ましくは80,000〜150,000である。
Mwが高すぎると、均質な多孔質フィルムを得難くなる。また、Mwが低すぎると、多孔質フィルムの機械的特性が低下したり、開環重合体水素化物が溶剤から析出し易くなって、ポリマー精製が困難になるおそれがある。
得られる開環重合体水素化物は、その数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)が、通常、1.5〜10、好ましくは1.5〜5.0、より好ましくは1.5〜4.5、さらに好ましくは2.0〜4.0、特に好ましくは2.5〜4.0である。
Mw/Mnが狭すぎると、該重合体の温度に対する溶融粘度が敏感に変化し易くなるため、均質な多孔質フィルムを得難くなる。また、Mw/Mnが広すぎると、多孔質フィルムの機械的特性が低下するおそれがある。
ちなみに、Mnは1,2,4−トリクロロベンゼンを溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算として測定した数平均分子量である。
開環重合体水素化物の融点は110〜145℃、好ましくは120〜145℃、より好ましくは、130℃〜145℃である。上記の範囲にあると、多孔質フィルムの耐熱性に優れるため好ましい。また、融点を持たない非晶質体は、多孔質化することが困難である。
ちなみに、開環重合体水素化物の融点は、開環重合体水素化物の分子量、分子量分布、異性化率、組成比等により変化する。
開環重合体水素化物の異性化率は、通常、0〜40%、好ましくは0〜20%、より好ましくは1〜10%、特に好ましくは3〜9%である。
異性化率は、溶媒に重クロロホルムを用い、13C−NMRにより測定した33.0ppmピーク積分値/(31.8ppmピーク積分値+33.0ppmピーク積分値)×100から算出することができる。
ちなみに、31.8ppmピークは、該重合体中の2−ノルボルネンの繰り返し単位のシス体由来のもの、33.0ppmピークは、該重合体中の2−ノルボルネンの繰り返し単位のトランス体由来のものである。
本発明では、開環重合により、実質的にシス体である開環重合体を合成し、これを水素化して開環重合体水素化物とすることが好ましい。水素化反応の際に、通常、トランス体への異性化が生じるが、この異性化を抑制して、トランス体の含有量を低く抑えることが好ましい。
開環重合体水素化物の異性化率が高すぎると、耐熱性が低下するおそれがある。一方、異性化率が低すぎると、開環重合体水素化物の有機溶剤に対する溶解性が低下し、析出するおそれがある。そのため、開環重合体水素化物の異性化率は、0%であってもよいが、10%以下の範囲内である程度の異性化率を示すものであることが好ましい。
異性化率を上記範囲にするためには、開環重合体の水素化反応において、反応温度を好ましくは120〜170℃、より好ましくは130〜160℃とし、かつ、使用する水素化触媒の使用量を、開環重合体100重量部に対し、好ましくは0.2〜5重量部、より好ましくは0.2〜1重量部とする。
本発明の多孔質フィルムは、上述したノルボルネン系開環重合体水素化物を含有する樹脂組成物を成形して得ることができる。
用いる樹脂組成物としては、少なくとも前記ノルボルネン系開環重合体水素化物を含有するものであればよいが、前記ノルボルネン系開環重合体水素化物100重量部に対し、前記ノルボルネン系開環重合体水素化物に非相溶な成分(以下、「非相溶成分」ということがある。)5〜300重量部を含有するのが好ましい。
非相溶成分は、前記ノルボルネン系開環重合体水素化物と混合したとき、両者が互いに溶解せず相分離するか、混合溶融混練したのちも均一とならず、ノルボルネン系開環重合体水素化物中に島成分(粒子状)となって存在する成分をいう。
用いる非相溶成分としては、無機充填材、ゴム質重合体、熱可塑性樹脂、潤滑剤等が挙げられる。これらは、多孔質フィルムを製造する方法などにより適宜選択される。なかでも、延伸法により容易に多孔質フィルムが得られること、及び、扱いが容易で、後に抽出、蒸発等の操作が不要で、揮発成分が残存するおそれがないことから無機充填材が好ましい。
無機充填材としては、無機物質であれば、特に制限されない。例えば、タルク、マイカ、カオリン、クレイ、シリカ、バーミキュライト、セリサイト、合成ハイドロタルサイト、アルミナ、モンモリロナイト、黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ホウ素、ガラス繊維、ボロン繊維、カーボンファイバー;炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の金属硫酸塩;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の金属酸化物;及び有機金属塩;等が挙げられる。これらの無機充填材は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、入手容易性及び製造コストの観点から、炭酸カルシウムが特に好ましい。無機充填剤を用いる場合は、通常、多孔質化を後述する延伸法で行うことができる。
炭酸カルシウムとしては、純度の良好なカルサイト型の結晶質の石灰石を、機械的に粉砕、分級して得られる重質炭酸カルシウムや、炭酸ガス化合法、塩化カルシウムソーダ法、石灰ソーダ等の湿式化学反応により得られる軽質炭酸カルシウムを好適に使用することができる。
無機充填材の平均粒子径は、特に制限されないが、通常、0.01〜100μm、好ましくは0.1〜10μmである。この範囲にあると、フィルム成形時、多孔質体成形時に破れ等が発生し難く、かつ延伸成形により良好な多孔質体を得ることができる。
無機充填材を用いる場合、無機充填材分散剤を併用することができる。無機充填材分散剤としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の脂肪酸;脂肪酸と、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等の金属とからなる脂肪酸金属塩;オレイン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、エルカ酸アマイド、ベヘニン酸アマイド、ステアリルエルカマイド、オレイルパルミトアマイド等の脂肪酸アマイド;等が挙げられる。
ゴム質重合体としては、例えば、エチレン−α−オレフィン系ゴム;エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体ゴム;エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体等のエチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレンと脂肪酸ビニルエステルとの共重合体;ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸ヘキシル、ポリアクリル酸2−エチルヘキシル、ポリアクリル酸ラウリル等のアクリル酸アルキルエステルの一種又は二種以上から得られる(共)重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレンとブタジエン又はイソプレンとのランダム共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル−スチレン共重合体等のジエン系ゴム;ブチレン−イソプレン共重合体;スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体等の芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合体;低結晶性ポリブタジエン樹脂;エチレン−プロピレンエラストマー;スチレングラフトエチレン−プロピレンエラストマー;熱可塑性ポリエステルエラストマー;エチレン系アイオノマー樹脂;等が挙げられる。これらのゴム質重合体は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。ゴム質重合体を用いる場合は、通常、多孔質化を後述する延伸法又は抽出法で行うことができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、水素化ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。熱可塑性樹脂を用いる場合は、通常、多孔質化を後述する延伸法又は抽出法で行うことができる。
潤滑剤としては、用いる樹脂の分解温度以下で蒸発、又は抽出などにより除去されるものが使用できる。例えば、ソルベントナフサ、ホワイトオイルなどの炭化水素系油;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系油;アルコール類;ケトン類;エステル類;シリコーンオイル;フルオロカーボンオイル;クロロカーボンオイル;界面活性剤を含む水溶液;などが挙げられる。潤滑剤を用いる場合は、通常、多孔質化を後述する抽出法又は加熱処理する方法で行うことができる。
非相溶成分の配合量は、前記の開環重合体水化物100重量部に対して、好ましくは5〜300重量部であるが、より好ましくは40〜200重量部、さらに好ましくは60〜150重量部である。この範囲にあると、フィルム成形時、多孔質体成形時に破れ等が発生し難く、かつ良好な多孔質フィルムを得ることができる。
用いる樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記ノルボルネン系開環重合体水素化物、及び非相溶成分以外に、他の成分を配合することができる。他の成分としては、酸化防止剤(安定剤)、紫外線吸収剤、耐候安定剤、帯電防止剤、顔料、可塑剤、ワックス;等が挙げられる。
これらの他の成分の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択される。
上記の樹脂組成物は、樹脂組成物を構成するノルボルネン系開環重合体水素化物、所望により前記非相溶成分、及び/又は他の成分を混合することによって調製することができる。例えば、単軸押出機、2軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラーミキサー等を用いてこれらの成分を混合した後、高混練タイプの2軸押出機、タンデム型混練機等を用いてストランドカット、ホットカット、アンダーウォーターカットしてペレット化し、ペレット状の樹脂組成物を得ることができる。
得られた樹脂組成物を用いて多孔質フィルムを得る方法としては、特に制約はなく、例えば、延伸法、抽出法、加熱処理する方法、又はこれらの方法を組み合わせる方法などが挙げられる。
延伸法により本発明の多孔質フィルムを得る方法としては、先ず、樹脂組成物を成形して未延伸フィルムを得た後、このものを少なくとも一軸延伸する方法が好ましい。
未延伸フィルムが延伸されることにより微細孔が形成される(多孔質フィルムが得られる)機構は、次のように考えられる。
すなわち、前記非相溶成分を含有しない樹脂組成物を用いた場合、延伸がなされると、樹脂組成物中の樹脂のラメラ層(結晶構造を有する層)と非晶性部分が延伸され、一部ラメラの解除が起こり、構造的に弱い非晶性部分が特に引き伸ばされて、ミクロフィブリル(小繊維)を形成しながら、ラメラの間に微細孔が形成される。
また、前記非相溶成分を含有する樹脂組成物を用いた場合、延伸がなされると、ポリマーと非相溶成分との界面が剥離され、微細孔が形成される。
微細孔が形成されていることは、走査型電子顕微鏡により確認することができる。
なお、抽出法により本発明の多孔質フィルムを得る方法としては、例えば、無機充填剤、熱可塑性樹脂、ゴム質重合体、潤滑剤等の溶剤溶出性配合剤を配合してペレット化した樹脂組成物をフィルム成形し、フィルム中の溶剤溶出性配合剤を溶剤を介して抽出除去する方法が挙げられる。その操作は、従来の抽出法に準じることができる。
前記抽出用の溶剤としては、溶剤溶出性配合剤を溶解し、かつ、前記開環重合体水素化物を溶解しないか溶解し難いものを適宜用いることができる。
加熱処理により本発明の多孔質フィルムを得る方法としては、例えば、潤滑剤等の加熱により蒸発する配合剤を配合してペレット化した樹脂組成物をフィルム成形し、重合体の分解温度以下の温度に加熱して、フィルム中の前記配合剤を蒸発させて除去する方法が挙げられる。
上記の方法のなかでも、簡便で、かつ安定的に多孔質フィルムを製造できる点で、延伸法が好ましく採用できる。
本発明の多孔質フィルムの製造方法は、前記ノルボルネン系開環重合体水素化物100重量部と、該ノルボルネン系開環重合体水素化物に非相溶な成分5〜300重量部とを含有する樹脂組成物を成形して未延伸フィルムを得た後、該未延伸フィルムを少なくとも一軸延伸することを特徴とする。
ノルボルネン系開環重合体水素化物に非相溶な成分としては、前述のものが用いられるが、より簡便に多孔質フィルムを製造できる点で、無機充填剤が好ましく、炭酸カルシウムがより好ましい。
未延伸フィルムは、例えば、樹脂組成物を、Tダイ法やインフレーション法等の公知のフィルム成形法により成形して得ることができる。なかでも、成形安定性を高めることができることから、Tダイ法によるのが好ましい。
得られる未延伸フィルムを延伸する方法としては、例えば、ロール延伸法、テンター延伸法等の公知の方法が挙げられる。延伸は、少なくとも一軸延伸していれば良く、得られる多孔質フィルムの強度を高くするために、二軸方向に延伸することがさらに好ましい。
延伸倍率は、特に制限されることはないが、フィルムの流れ方向(MD方向:Machine Direction)の延伸倍率が好ましくは1.1〜3.0倍、その垂直方向(TD方向:Transverse Direction)の延伸倍率が好ましくは1.1〜2.0倍である。
延伸するときの温度は、通常、15℃以上、樹脂の軟化点未満である。また、必要に応じて延伸後に熱処理を行っても良い。
また、前記の延伸法により得られた多孔質フィルムを、前記した抽出法により処理を行い、多孔質フィルム中の非相溶成分を除くこともできる。
以上のようにして、本発明の多孔質フィルムを得ることができる。
本発明の多孔質フィルムの平均孔径は、用いる非相溶成分の種類、成形条件などで適宜調整できる。多孔質フィルムの平均孔径は、通常、0.01〜50μm、好ましくは0.05〜20μm、さらに好ましくは0.1〜10μmである。
多孔質フィルムの平均孔径は、例えば、ASTM F316−86に準拠し、バブルポイント法により測定することができる。
本発明の多孔質フィルムの通気度は、用いる非相溶成分の種類、成形条件などで適宜調整できる。多孔質フィルムの通気度は、通常、1〜1000(秒/ml)、好ましくは5〜500(秒/ml)、より好ましくは10〜200(秒/ml)である。
多孔質フィルムの通気度は、例えば、JIS P 8117に準じて王研式通気度計にて測定することができる。
本発明の多孔質フィルムの厚みは、フィルム製膜条件、延伸条件等などで適宜調整できる。多孔質フィルムの厚みは、通常、0.1〜1000μm、好ましくは1〜500μm、より好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは10〜100μmである。多孔質フィルムの厚みがこのような範囲にあると、通気性が高く、かつ強度も高くなり、多孔質体としての機能に優れる。
多孔質フィルムの厚みは、例えば、公知のマイクロゲージを用いて測定することができる。
本発明の多孔質フィルムは適度な融点を有するため、加工性に優れる。
本発明の多孔質フィルムは、アウトガス(有機物成分)の発生が少ないものである。そのため、アウトガス成分が製品表面に付着して、製品の性能を劣化させるという心配がない。
アウトガスの発生が少ないことは、例えば、クリーンルーム(クラス1000)内において、多孔質フィルム5gを、多量の超純水で洗浄後、表面に吸着していた水分や有機物を完全に除去したガラス製の試料容器に入れ、その試料容器を80℃で60分間加熱し、試料容器から出てきた気体を熱脱着ガスクロマトグラフィー質量分析計により測定することによって、確認することができる。この試験において、本発明の多孔質フィルムからのアウトガスは、通常、20ng/g以下である。
また、本発明の多孔質フィルムは、PTFEのようにフッ素原子を含まないので、焼却廃棄時に腐食性ガスを発生させることがない。
本発明の多孔質フィルムは、電気分野、医療分野、食品分野など様々な分野で用いられる。具体的には、IC、LSIなどの半導体用フィルター;ハイブリッドIC、液晶表示素子、発光ダイオードなどの電子部品製造に用いるエアフィルター;電池用セパレーター;導電・圧電材、低誘電性材;光学材料;浄水器;通気を必要とする各種物品の包装材料;医療用フィルター、人工器官、ベット用シーツ、枕カバー、手袋等の各種医療用材料;衛生ナプキン、紙おむつ等の衛生材料用防水透湿シート;雨具用衣類等の衣料材料;乾燥剤や使い捨てカイロ等の機能性包装材料;ハウスラップ等の建築材料;インクジェット印刷用シート;等に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、部又は%は、特に断りがない限り、重量基準である。
以下の実施例及び比較例において、各種物性の測定法は次のとおりである。
(1)開環重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、トルエンを溶離とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値として測定した。
測定装置として、GPC−8020シリーズ(DP8020、SD8022、AS8020、CO8020、RI8020、東ソー社製)を用いた。
標準ポリスチレンとしては、標準ポリスチレン(Mwが500、2630、10200、37900、96400、427000、1090000、5480000のものの計8点、東ソー社製)を用いた。
サンプルは、サンプル濃度1mg/mlになるように、測定試料をトルエンに溶解後、カートリッジフィルター(ポリテトラフルオロエチレン製、孔径0.5μm)で濾過して調製した。
測定は、カラムに、TSKgel GMHHR・H(東ソー社製)を2本直列に繋いで用い、流速1.0ml/min、サンプル注入量100μml、カラム温度40℃の条件で行った。
(2)開環重合体水素化物の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、1,2,4−トリクロロベンゼンを溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値として測定した。
測定装置として、HLC8121GPC/HT(東ソー社製)を用いた。
標準ポリスチレンとしては、標準ポリスチレン(Mwが988、2580、5910、
9010、18000、37700、95900、186000、351000、889000、1050000、2770000、5110000、7790000、20000000のものの計16点、東ソー社製)を用いた。
サンプルは、サンプル濃度1mg/mlになるように、140℃にて測定試料を1,2,4−トリクロロベンゼンに加熱溶解させて調製した。
測定は、カラムに、TSKgel GMHHR・H(20)HT(東ソー社製)を3本直列に繋いで用い、流速1.0ml/min、サンプル注入量300μml、カラム温度140℃の条件で行った。
(3)開環重合体水素化物の水素化率は、溶媒に重クロロホルムを用い、H−NMRにより測定した。
(4)開環重合体水素化物の異性化率は、溶媒に重クロロホルムを用い、13C−NMRにより測定した33.0ppmピーク積分値/(31.8ppmピーク積分値+33.0ppmピーク積分値)×100から算出した。ちなみに、31.8ppmピークは、該重合体中の2−ノルボルネンの繰り返し単位のシス体由来のもの、33.0ppmピークは、該重合体中の2−ノルボルネンの繰り返し単位のトランス体由来のものである。
(5)融点は、示差走査熱量分析計(SIIナノテクノロジー社製、DSC6220)を用いて、JIS K7121に基づき、試料を融点より30℃以上に加熱した後、冷却速度−10℃/minで室温まで冷却し、その後、昇温速度10℃/minで測定を行った。
(6)ガラス転移温度は、示差走査熱量分析計(SIIナノテクノロジー社製、DSC6220)を用いて、JIS K6911に基づいて測定した。
(7)アウトガスの発生量(有機物放出量)は、クリーンルーム(クラス1000)内において、成形した多孔質フィルムを5g採取し、多量の超純水で洗浄後、表面に吸着していた水分や有機物を完全に除去したガラス製の試料容器に入れ、その試料容器を80℃で60分間加熱し、試料容器から出てきた気体を熱脱着ガスクロマトグラフィー質量分析計(アジレント・テクノロジー社製、TDS−GC−MS)により測定した。
(8)フィルムの厚みは、マイクロゲージを用いて測定した。
(9)平均孔径は、ASTM F316−86に準拠し、バブルポイント法により、Perm−Porometer(PMI社製)にて測定した。
(10)通気度は、JIS P 8117に準じて王研式通気度計にて測定した。
[実施例1]
(開環重合)
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500重量部、1−ヘキセン0.40重量部、ジイソプロピルエーテル0.31重量部、トリイソブチルアルミニウム0.20重量部、及びイソブチルアルコール0.08重量部を攪拌器付ステンレス鋼製オートクレーブに入れ攪拌混合した後、攪拌下で55℃に保ちながら、2−ノルボルネン245重量部と5−メチル−2−ノルボルネン5重量部とからなる単量体混合物、及び六塩化タングステン1.0重量%トルエン溶液15重量部を3時間かけて反応液に連続添加した。さらに1時間攪拌し重合反応を完了し、開環共重合体(A)を得た。
重合転化率は、ほぼ100%であった。得られた開環共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、103,000で、分子量分布(Mw/Mn)は、1.9であった。
(水素化反応)
上記で得た開環共重合体(A)を含む重合反応液を耐圧の水素化反応器に移送し、そこへ、ケイソウ土担持ニッケル触媒(日産ズードヘミー社製、T8400、ニッケル担持率58重量%)0.5重量部を加え、160℃、水素圧4.5MPaで6時間反応させた。この溶液を、ラジオライト#500(昭和化学社製)を濾過床として、加圧濾過器(石川島播磨重工社製、フンダフィルター)を使用し、圧力0.25MPaで加圧濾過して、開環共重合体水素化物(A)の無色透明な溶液を得た。
得られた開環共重合体水素化物(A)の水素化率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は100,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.9、異性化率は8%、融点は136℃であった。
(樹脂組成物(A)の調製)
得られた開環共重合体水素化物(A)を含む溶液に、重合体固形分100部当り、酸化防止剤(テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、イルガノックス1010、チバガイギー社製)(以下、「酸化防止剤(A)」と略す。)0.1重量部を加え、溶解させた。
この溶液を金属ファイバー製フィルター(ニチダイ社製、孔径0.5μm)にて濾過した後、ろ液を「ゼータプラスフィルター30S」(キュノ社製、孔径0.5〜1μm)で濾過し、さらに、金属ファイバー製フィルター(ニチダイ社製、孔径0.2μm)で濾過して異物を除去した。得られたろ液を予備加熱装置で200℃に加熱し、圧力3MPaで薄膜乾燥機(日立製作所社製)に連続的に供給した。薄膜乾燥機の運転条件は、圧力13.4kPa下、内部の濃縮された重合体溶液の温度を240℃とした(第一段階乾燥)。
次に、濃縮された溶液を、薄膜乾燥機から連続的に導出し、さらに同型の薄膜乾燥機に温度240℃を保ったまま、圧力1.5MPaで供給した。運転条件は、圧力0.7kPa、温度240℃とした(第二段階乾燥)。
溶融状態の重合体を、薄膜乾燥機から連続的に導出し、クラス100のクリーンルーム内でダイから押し出し、水冷後、ペレタイザー(長田製作所社製、OSP−2)でカッティングしてペレット化した。
このもの50重量部に、無機充填材としてCaCO(商品名:LAC2000、カルファイン社製、平均粒径2μm)50重量部を加え、二軸混練機(東芝機械社製、TEM35)で混練した後、ペレット化し、樹脂組成物(A)を得た。
(フィルム(A)の作製)
樹脂組成物(A)を、スクリュー径20mmφ、圧縮比3.1、L/D=30のスクリューを備えたハンガーマニュホールドタイプのTダイ式フィルム溶融押出成形機(GSIクレオス社製、据置型)を使用してTダイ成形を行い、未延伸フィルム(A)(厚み50μm)を得た。
上記成形は、ダイリップを1.0mm、Tダイの幅を300mm、溶融樹脂温度を180℃、冷却ロール温度を80℃、キャストロール温度を130℃にして行った。
(多孔質フィルム(A)の作製)
フィルム(A)を、105℃に加温しMD方向に2.0倍に延伸した後、115℃に加温しTD方向に1.3倍に延伸し、多孔質フィルム(A)を作製した。
得られた多孔質フィルム(A)の厚み、平均孔径、有機物放出量を測定した。その結果を下記第1表に示す。
[実施例2]
(樹脂組成物(B)の調製)
実施例1において、CaCOに代えてタルク(日本タルク社製、MICRO ACE P−6、平均粒径4μm)を使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物(B)を得た。
(フィルム(B)の作製)
実施例1において、樹脂組成物(A)に代えて樹脂組成物(B)を用いた以外は、実施例1と同様にしてフィルム(B)を得た。
(多孔質フィルム(B)の作製)
実施例1において、フィルム(A)に代えてフィルム(B)を用いた以外は、実施例1と同様にして多孔質フィルム(B)を得た。
得られた多孔質フィルム(B)の厚み、平均孔径、有機物放出量を測定した。その結果を下記第1表に示す。
[比較例1]
(開環共重合及び水素化反応)
実施例1において、2−ノルボルネン245重量部と5−メチル−2−ノルボルネン5重量部の代わりに、トリシクロ[4.3.0.12,6]デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)38重量部、テトラシクロ[4.4.12,6.17,10]ドデカ−3−エン35重量部、及び7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.02,6.12,5]デカ−3−エン27重量部を用い、1−ヘキセンを0.60重量部用いた以外は、実施例1と同様にして、開環共重合を行い、開環共重合体(C)を得た。重合転化率は、ほぼ100%であった。
得られた開環共重合体(C)の重量平均分子量(Mw)は、24,200で、分子量分布(Mw/Mn)は、1.7であった。
さらに、実施例1と同様にして、得られた開環共重合体(C)を水素化して開環重合体水素化物(C)を得た。
得られた開環重合体水素化物(C)の水素化率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は30,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.4、ガラス転移温度は136℃であり、融点は観測されなかった。
(樹脂組成物(C)の調製)
実施例1において、開環重合体水素化物(A)に代えて開環重合体水素化物(C)を使用した以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物(C)を得た。
(フィルム(C)の作製)
実施例1において、樹脂組成物(A)に代えて樹脂組成物(C)を用いた以外は、実施例1と同様にしてフィルム(C)を得た。
(多孔質フィルム作製の試み)
実施例1において、フィルム(A)に代えてフィルム(C)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行ったが、多孔質体とはならず、多孔質フィルムは得られなかった。
得られた延伸フィルム(C)の厚み、平均孔径、有機物放出量を測定した。その結果を下記第1表に示す。
[比較例2]
(樹脂組成物(D)の調製)
実施例1において、開環重合水素化体(A)に代えて低密度ポリエチレン(プライムポリマー社製、MORETEC0168N)を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物(D)を得た。
(フィルム(D)の作製)
実施例1において、樹脂組成物(A)に代えて樹脂組成物(D)を用い、冷却ロール温度を60℃、キャストロール温度を110℃とした以外は、実施例1と同様にしてフィルム(D)を得た。
(多孔質フィルム(D)の作製)
実施例1において、フィルム(A)に代えてフィルム(D)を用いた以外は、実施例1と同様にして多孔質フィルム(D)を得た。
得られた多孔質フィルム(D)の厚み、平均孔径、有機物放出量を測定した。その結果を下記第1表に示す。
[比較例3]
(フィルム(E)の作製)
4フッ化エチレン樹脂ファインパウダー(旭ガラス社製、CD−4、分子量50万)100重量部に対し、潤滑剤(エッソ石油社製、アイソバーM、炭化水素油)20重量部を加えて均一に混和し、ペースト押出機により押出し、その後、加熱ロールを通して潤滑剤を除去した厚み200μmのシートを作製した。このシートを350℃の加熱炉中30分間加熱し焼結させて、フィルム(E)を得た。
(多孔質フィルム(E)の作製)
フィルム(E)を、150℃に加温しMD方向に2.0倍に延伸した後、115℃に加温しTD方向に3.0倍に延伸し、多孔質フィルム(E)を作製した。
得られた多孔質フィルム(E)の厚み、平均孔径、有機物放出量を測定した。その結果を下記第1表に示す。
Figure 0005003219
第1表から、実施例1,2の多孔質フィルムは、有機物放出量が少ないものであった。
また、実施例1、2の多孔質フィルムは、炭化水素のみからなるノルボルネン系開環重合体水素化物を含有する樹脂組成物を成形して得られたものであるから、該多孔質フィルムを焼却処理した際に腐食性ガスを発生しないものである。
一方、樹脂組成物に非晶質なノルボルネン系開環重合体水素化物を用いた比較例1においては、多孔質フィルムを作製することができなかった。樹脂組成物にPEを用いた比較例2の多孔質フィルムは、有機物放出量が著しく多かった。
また、比較例3の多孔質フィルムは、樹脂組成物に高融点のPTFEを用いているため、非相溶成分として無機充填材ではなく潤滑剤を用いて多孔質化を行わなければならなかった。そのため、潤滑剤の除去等の操作をしなければならず、操作が煩雑であった。

Claims (3)

  1. 2−ノルボルネン、又は2−ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体からなる単量体混合物を開環重合して得られる開環重合体の、炭素−炭素二重結合の80%以上を水素化することにより得られるノルボルネン系開環重合体水素化物であって、2−ノルボルネン由来の繰り返し単位(A)の全繰り返し単位に対する存在割合が90〜100重量%、置換基含有ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位(B)の全繰り返し単位に対する存在割合が0〜10重量%であり、かつ、融点が110〜145℃の範囲であるノルボルネン系開環重合体水素化物100重量部と、該ノルボルネン系開環重合体水素化物に非相溶な成分5〜300重量部とを含有する樹脂組成物を成形して未延伸フィルムを得た後、該未延伸フィルムを少なくとも一軸延伸することを特徴とする多孔質フィルムの製造方法。
  2. 前記ノルボルネン系開環重合体水素化物に非相溶な成分が、無機充填剤であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質フィルムの製造方法。
  3. 前記無機充填剤が、炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項2に記載の多孔質フィルムの製造方法。
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