JP5381939B2 - ノルボルネン系開環共重合体水素化物からなるフィルム - Google Patents
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Description
しかしながら、この3元系ノルボルネン系開環共重合体水素化物は、防湿性に優れるものの、ガラス転移温度が100℃以下と耐熱性が低く、実質的に低温環境下での使用に限定されるという問題を有していた。
通常、ノルボルネン系単量体を開環重合する場合、α−オレフィンを分子量調整剤として用いる。α−オレフィン存在下に開環重合すると、重合体末端にα−オレフィンが結合する。
しかしながら、実際に分子量調整剤として炭素数14〜40の直鎖α−オレフィンを用いて得られたノルボルネン系開環共重合体水素化物から得られたフィルムは、透明性が維持されたまま、むしろ防湿性が向上していることを見いだし、本発明を完成するに至った。
前記ノルボルネン系開環共重合体水素化物のガラス転移温度は、100〜200℃であることが好ましい。
また、本発明によれば、前記フィルムからなる包装材料、及び電子デバイス用封止材料が提供される。
本発明で用いるノルボルネン系開環共重合体は、直鎖α−オレフィン存在下、ノルボルネン系単量体を開環重合して得られる。
ノルボルネン系単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:エチリデンノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、などの2環式単量体;トリシクロ[4.3.01,6.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)及びその誘導体、などの3環式単量体;7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名メタノテトラヒドロフルオレン:1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン及びその誘導体、などの4環式単量体;などが挙げられる。
置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基、アルキリデン基などが例示でき、上記ノルボルネン系単量体は、これらを2種以上有していてもよい。具体的には、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
これらのノルボルネン系単量体は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも耐熱性の面から、全単量体中に含まれる2環式単量体の量は、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0〜15重量%であり、全体量体に含まれる3環及び4環式単量体の合計量は、好ましくは70〜100重量%、より好ましくは85〜100重量%である。特に耐熱性が要求される分野においては、4環式単量体4環式単量体の量は、好ましくは40〜100重量%である。
本発明で用いる直鎖α−オレフィンは炭素数14〜40、好ましくは炭素数20〜36のものである。これらの直鎖α−オレフィンは、通常ティグラー法など公知の方法にてエチレンより商業的に製造されているものであり、リニアレン(登録商標;出光興産社製)、ダイアレン(登録商標;三菱化学社製)等の商品名で市販されているものである。
ノルボルネン系単量体の開環重合は、メタセシス重合触媒を用い、公知の方法に従って行うことができる。メタセシス重合触媒としては、特に限定はなく公知のものが用いられる。具体的には、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金などから選ばれる金属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系;チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステンおよびモリブデンから選ばれる金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、助触媒の有機アルミニウム化合物とからなる触媒系;あるいは、特開平7−179575号、J.Am.Chem.Soc.,1986年,108,p.733、J.Am.Chem.Soc.,1993年,115,p.9858、およびJ.Am.Chem.Soc.,1996年,118,p.100などに開示されている公知のシュロック型やグラッブス型のリビング開環メタセシス触媒などを用いることができる。
含窒素化合物としては、脂肪族または芳香族第三級アミンが好ましく、具体例としては、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、α−ピコリンなどが挙げられる。これらの極性化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。その用量は、適宜選択されるが、上記触媒中の金属との比、すなわち、極性化合物/金属の比(モル比)で、通常1〜100,000、好ましくは5〜10,000の範囲である。
本発明に用いるノルボルネン系開環共重合体水素化物は、前記のノルボルネン系開環共重合体中の炭素―炭素の二重結合を水素化することによって得られる。
水素化は、常法に従って、水素化触媒の存在下にノルボルネン系開環共重合体を水素と接触させて行うことができる。水素化触媒としては、特開昭58−43412号公報、特開昭60−26024号公報、特開昭64−24826号公報、特開平1−138257号公報、特開平7−41550号公報などに記載されているものを使用することができる。
触媒は均一系でも不均一系でもよい。均一系触媒は、水素化反応液中で分散しやすいので添加量が少なくてよく、また、高温高圧にしなくとも活性を有するので重合体の分解やゲル化が起こらず、低コスト性および品質安定性などに優る。不均一系触媒は、高温高圧下に高活性となり、短時間で水素化でき、さらに除去が容易であるなど、生産効率の面で優る。
これらの有機溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。通常は、重合反応溶媒と同じでよく、重合反応液にそのまま水素化触媒を添加して反応させればよい。
水素化触媒の種類や反応温度によって水素化率は変わり、ノルボルネン系単量体が芳香族環を有する場合、芳香族環の残存率も変化させることがでる。上記の水素化触媒を用いた場合、芳香族環の不飽和結合をある程度以上残存させるためには、反応温度を低くしたり、水素圧力を下げたり、反応時間を短くする等の制御を行えばよい。
遠心方法やろ過方法は、用いた触媒が除去できる条件であれば、特に限定されない。ろ過による除去は、簡便かつ効率的であるので好ましい。ろ過する場合、加圧ろ過しても、吸引ろ過してもよく、また、効率の点から、珪藻土、パーライト等のろ過助剤を用いることが好ましい。
ノルボルネン系開環共重合体水素化物のガラス転移温度は、示差走査熱量分析計を用いてJIS K 7121に基づいて測定することができる。
ノルボルネン系開環共重合体水素化物の水素化率は、溶媒に重クロロホルムを用い、1H−NMRにより測定して求めることができる。
本発明のフィルムは、前記ノルボルネン系開環共重合体水素化物を成形して得られるものである。
(1)その他の高分子材料
その他の高分子材料としては、例えば、(イ)ゴム質重合体や(ロ)その他の熱可塑性樹脂が挙げられる。
ゴム質重合体としては、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム;エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体ゴム;エチレン−メチルメタクリレート、エチレン−ブチルアクリレートなどのエチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体;エチレン−酢酸ビニルなどのエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体;アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリルなどのアクリル酸アルキルエステルの重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンまたはスチレン−イソプレンのランダム共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル−スチレン共重合体などのジエン系ゴム;ブチレン−イソプレスチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体などの芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合体、低結晶性ポリブタジエン樹脂、エチレン−プロピレンエラストマー、スチレングラフトエチレン−プロピレンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、エチレン系アイオノマー樹脂などを挙げることができる。
これらの熱可塑性エラストマーのうち、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体などが好ましく、具体的には、特開平2−133,406号公報、特開平2−305814号公報、特開平3−72512号公報、特開平3−74409号公報などに記載されているものを挙げることができる。
その場合のゴム質重合体の配合割合は、ノルボルネン系開環共重合体水素化物100重量部に対して、通常0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜3重量部の範囲である。
その他の熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等の異種の熱可塑性樹脂、及び前記のノルボルネン系開環共重合体水素化物以外のノルボルネン系開環共重合体の水素化物などが挙げられる。
必要に応じて配合される添加剤としては、適用する用途分野で一般的に使用されているものであれば特に制限なく用いることができる。このような添加剤としては、例えば、安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、塩酸吸収剤、帯電防止剤、染料、顔料、有機または無機の充填剤、スリップ剤、防曇剤、天然油、合成油、ワックス、難燃剤、難燃助剤、相溶化剤、架橋剤、架橋助剤、可塑剤、などが挙げられる。
安定剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、1,2−ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩;フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。
滑剤としては、脂肪族アルコールのエステル、多価アルコールのエステルあるいは部分エステル等の有機化合物や無機微粒子等を用いることができる。
有機化合物としては、例えば、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等が挙げられる。
無機微粒子としては、IA族、IIA族、IVA族、VI族、VIIA族、VIII族、IB族、IIB族、IIIB族、IVB族元素の酸化物、水酸化物、硫化物、窒素化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、燐酸塩、亜燐酸塩、有機カルボン酸塩、珪酸塩、チタン酸塩、ホウ酸塩、及びそれらの含水化合物、それらを中心とする複合化合物、天然鉱物粒子を示す。無機微粒子の平均粒径は、特に制限はないが、好ましくは、0.01〜3μmである。
有機または無機の充填剤としては、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、塩基性炭酸マグネシウム、ドワマイト、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などを例示できる。これらの充填剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて添加することができる。
充填剤の配合割合は、ノルボルネン系開環共重合体水素化物100重量部に対して、通常0.1〜50重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
ゴム質重合体を配合剤とする場合には、例えば二軸混練機などでノルボルネン系開環共重合体水素化物を溶融状態で混練する方法、適当な溶剤に溶解して分散混合した後に、溶媒を凝固法、キャスト法、または直接乾燥法により溶剤を除去する方法などがある。
本発明のフィルムは、通常はシート状になっているが、チューブ状になっていてもよい。
成形時の圧力は、通常0.5〜100MPa、好ましくは1〜50MPaである。
厚さ100μmのフィルム換算の透湿度=Y/(X/100)
ヒートシールする方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法が挙げられる、例えば、バーシール法、回転ロールシール法、ベルトシール法、インパルスシール法、高周波シール法、超音波シール法などである。本発明の包装部材には、ワンピースタイプ、ツーピースタイプなどの注入口や、開閉用ジッパーなどを取り付けることもできる。
(1)分子量
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(MWD)はシクロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による、標準ポリイソプレン換算値として測定した。標準ポリイソプレンとしては、東ソー社製標準ポリイソプレン、Mw=602、1,390、3,920、8,050、13,800、22,700、58,800、71,300、109,000、280,000の計10点を用いた。
測定には、東ソー社製HLC8120GPCを用い、カラムとして東ソー社製TSKgel G5000HXL、TSKgel G4000HXLおよびTSKgel G2000HXLを3本直列に繋いで用い、流速1.0ml/分、サンプル注入量100μml、カラム温度40℃の条件で行った。
(2)水素化率
ノルボルネン系重合体における、主鎖及び環状炭化水素構造の水素化率は、1H−NMRスペクトルを測定し算出した。
(3)ガラス転移温度(Tg)
Tgは示差走査熱量分析計を用いて、JIS K 7121に基づいて測定した。
(4)全光線透過率
全光線透過率は、ASTM D 1003に基づき、分光光度計を用いて測定した。
(5)透湿度
透湿度は厚さ100μmとなるよう成形したフィルムを試験片とし、JIS K 7129(A法)に基づいて、温度40℃、湿度90%RHの条件下で水蒸気透過度テスター(LYSSY社製;「L80−5000型」)を用いて測定した。透湿度の値が低いものは、水蒸気透過性が低く、防湿性が高い。
ジシクロペンタジエン(以下、DCPと略記)50重量%、テトラシクロドデセン(以下、TCDと略記)35重量%、及びメタノテトラヒドロフルオレン(以下、MTFと略記)15重量%を混合して、ノルボルネン(NB)系単量体混合物を調製した。前記ノルボルネン系単量体混合物100モルに対して、1−ドコセン(C22)を0.85モル添加して滴下用単量体混合物を調整した。
次いで、反応系を55℃に保持し、攪拌しながら、前記重合反応器中に滴下用単量体混合物693部と六塩化タングステン0.77%シクロヘキサン溶液72部を各々150分かけて連続的に滴下し、さらに滴下終了後30分間攪拌した後にイソプロピルアルコール1.0部を添加して重合反応を停止させた。ガスクロマトグラフィーによって重合反応溶液を測定したところ、モノマーの重合体への転化率は100%であった。
水素化反応終了後、珪藻土(昭和化学工業社製;「ラヂオライト(登録商標)♯500」)をろ過床として、加圧ろ過器(IHI社製;「フンダフィルター」)を使用し、圧力0.25MPaで加圧ろ過して、ノルボルネン系開環共重合体水素化物の無色透明な溶液を得た。
次いで、得られた溶液に、ノルボルネン系開環共重合体水素化物100重量部に対して、酸化防止剤として、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;「イルガノックス1010」)0.5部を加えて溶解させた。
この溶液を金属ファイバー製フィルター(ニチダイ社製、孔径0.4μm)にてろ過して異物を除去した。
このノルボルネン系開環共重合体水素化物の分子量はMw=35,000、Mw/Mn=2.2であり、水素化率は99.7%、Tgは124℃であった。
乾燥し、窒素置換した重合反応器に、実施例1で調製したノルボルネン系単量体混合物を7重量部(重合に使用する単量体全量に対して1%)、脱水したシクロヘキサン1,600部、ジイソプロピルエ−テル1.3部、イソブチルアルコール0.33部、トリイソブチルアルミニウム0.84部、使用するノルボルネン系単量体混合物100モルに対して0.85モルの1−ドコセン、並びに六塩化タングステン0.66%シクロヘキサン溶液30部を入れ、55℃で10分間攪拌した。
次いで、反応系を55℃に保持し、攪拌しながら、前記重合反応器中に実施例1で調整したノルボルネン系単量体混合物と六塩化タングステン0.77%シクロヘキサン溶液72部を各々150分かけて連続的に滴下し、さらに滴下終了後30分間攪拌した後にイソプロピルアルコール1.0部を添加して重合反応を停止させた。ガスクロマトグラフィーによって重合反応溶液を測定したしたところ、モノマーの重合体への転化率は100%であった。
水素化反応終了後、珪藻土(昭和化学工業社製;「ラヂオライト(登録商標)♯500」)をろ過床として、加圧ろ過器(石川島播磨重工社製;「フンダフィルター」)を使用し、圧力0.25MPaで加圧ろ過して、ノルボルネン系開環共重合体水素化物の無色透明な溶液を得た。
次いで、得られた溶液に、ノルボルネン系開環共重合体水素化物100重量部に対して、酸化防止剤として、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;「イルガノックス1010」)0.5部を加えて溶解させた。
この溶液を金属ファイバー製フィルター(ニチダイ社製、孔径0.4μm)にてろ過して異物を除去した。
このノルボルネン系開環共重合体水素化物の分子量はMw=32,000、Mw/Mn=2.1であり、水素化率は99.7%、Tgは123℃であった。
1−ドコセン(C22)の変わりに、1−ヘキサデセン(C16)を0.9モル用いた以外は実施例1と同様にして、ノルボルネン系開環共重合体水素化物を得た。このノルボルネン系開環共重合体水素化物の分子量はMw=32,000、Mw/Mn=2.1であり、水素化率は99.8%、Tgは125℃であった。
実施例1と同様にして厚さ100μmのフィルムを得て、得られたフィルムの透湿度と全光線透過率を測定した結果を表1に示した。
ノルボルネン系単量体混合物を、DCP40重量%、MTF20重量%、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(以下、ETDと略す)40重量%とし、1−ドコセン(C22)の変わりに、1−トリアコンテン(C30)を1.0モル用いた以外は実施例1と同様にして、ノルボルネン系開環共重合体水素化物を得た。このノルボルネン系開環共重合体水素化物の分子量はMw=29,000、Mw/Mn=2.3であり、水素化率は99.8%、Tgは118℃であった。
実施例1と同様にして厚さ100μmのフィルムを得て、得られたフィルムの透湿度と全光線透過率を測定した結果を表1に示した。
ノルボルネン系単量体混合物を、TCD40重量%、MTF60重量%とし、1−ドコセン(C22)を1.2モル用いた以外は実施例1と同様にして、ノルボルネン系開環共重合体水素化物を得た。このノルボルネン系開環共重合体水素化物の分子量はMw=35,000、Mw/Mn=2.4であり、水素化率は99.4%、Tgは152℃であった。
実施例1と同様にして厚さ100μmのフィルムを得て、得られたフィルムの透湿度と全光線透過率を測定した結果を表1に示した。
ノルボルネン系単量体混合物を、MTF90重量%、2−ノルボルネン(以下、「NB」と略記)10重量%とし、1−トリアコンテン(C30)を1.2モル用いた以外は実施例4と同様にして、ノルボルネン系開環共重合体水素化物を得た。このノルボルネン系開環共重合体水素化物の分子量はMw=34,000、Mw/Mn=2.4であり、水素化率は99.9%、Tgは132℃であった。
実施例1と同様にして厚さ100μmのフィルムを得て、得られたフィルムの透湿度と全光線透過率を測定した結果を表1に示した。
ノルボルネン系単量体混合物を、DCP70重量%、ETD30重量%とし、1−ドコセン(C22)の変わりに、C32〜C36のα−オレフィン混合物を0.6モル用いた以外は実施例1と同様にして、ノルボルネン系開環共重合体水素化物を得た。このノルボルネン系開環共重合体水素化物の分子量はMw=38,000、Mw/Mn=2.8であり、水素化率は99.4%、Tgは101℃であった。
実施例1と同様にして厚さ100μmのフィルムを得て、得られたフィルムの透湿度と全光線透過率を測定した結果を表1に示した。
1−ドコセン(C22)の変わりに、1−ヘキセン(C6)を用いた以外は実施例1と同様にして、ノルボルネン系開環共重合体水素化物を得た。このノルボルネン系開環共重合体水素化物の分子量はMw=34,000、Mw/Mn=2.3であり、水素化率は99.7%、Tgは129℃であった。
実施例1と同様にして厚さ100μmのフィルムを得て、得られたフィルムの透湿度と全光線透過率を測定した結果を表1に示した。
1−ドコセン(C22)の変わりに、1−ドデセン(C12)を用いた以外は実施例1と同様にして、ノルボルネン系開環共重合体水素化物を得た。このノルボルネン系開環共重合体水素化物の分子量はMw=34,000、Mw/Mn=2.2であり、水素化率は99.7%、Tgは128℃であった。
実施例1と同様にして厚さ100μmのフィルムを得て、得られたフィルムの透湿度と全光線透過率を測定した結果を表1に示した。
1−ドコセン(C22)の変わりに、C32〜C36のα−オレフィン混合物0.8モルを用いた以外は実施例4と同様にして、ノルボルネン系開環共重合体水素化物を得た。このノルボルネン系開環共重合体水素化の分子量はMw=33,000、Mw/Mn=2.2であり、水素化率は99.6%、Tgは114℃であった。
実施例1と同様にして厚さ100μmのフィルムを得て、得られたフィルムの透湿度と全光線透過率を測定した結果を表1に示した。
直鎖α−オレフィンの炭素数が低いと、透湿度が高くなり防湿性に劣る(比較例1、2)。
直鎖α−オレフィンの炭素数が高いと、全光線透過率が低下し、透明性に劣る(比較例3)。
本発明のノルボルネン系開環共重合体水素化物は、防湿性と透明性のバランスに優れる。(実施例1〜7)。
Claims (4)
- 炭素数14〜40の直鎖α−オレフィン存在下、ノルボルネン系単量体を開環重合して得られるノルボルネン系開環共重合体を水素化することにより得られるノルボルネン系開環共重合体水素化物からなるフィルム。
- ノルボルネン系開環共重合体水素化物のガラス転移温度が100〜200℃であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
- 請求項1又は2に記載のフィルムからなる包装材料。
- 請求項1又は2に記載のフィルムからなる電子デバイス用封止材料。
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