JP2011111573A - 非晶質環状オレフィン重合体及び結晶性ノルボルネン系重合体からなる樹脂組成物。 - Google Patents

非晶質環状オレフィン重合体及び結晶性ノルボルネン系重合体からなる樹脂組成物。 Download PDF

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剛 平田
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Abstract

【課題】非晶質環状オレフィン重合体の透明性、耐熱性及び機械的物性といった特性を維持しつつ、熱インプリント性をさらに改善する。
【解決手段】非晶質環状オレフィン重合体100重量部に対し、2−ノルボルネンが75〜100重量%と置換基含有ノルボルネン類が25〜0重量%とを含有してなる重合性単量体を開環重合し、水素添加して得られる、融点が55〜145℃である結晶性ノルボルネン系重合体を1〜10重量部含有する樹脂組成物からなるフィルムであり、非晶質環状オレフィン重合体の重量平均分子量をMw、結晶性ノルボルネン系重合体の重量平均分子量をMwとしたとき、0.6≦Mw/Mw≦1.0であることを特徴とする樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明性、機械的物性、耐熱性といった非晶質環状オレフィン重合体の特性を維持しつつ、熱インプリント性を改善したフィルムに好適な樹脂組成物に関する。
ノルボルネン系開環重合体水素化物やノルボルネン系付加共重合体などの非晶質環状オレフィン重合体は、透明性や低複屈折性などの光学特性、機械的物性、耐熱性、流動性、低吸水性、防湿性、低吸着性、成形性などに優れ、光学レンズや光学ディスクなどの光学材料; シリンジ、バイアル、輸液バッグなどの医療用途; 包装シート、食品容器などの食品用途; 電子絶縁部材などの電子・電気部品用途; などの様々な用途の樹脂材料に有用であると提案されている。
近年、光学分野や半導体分野などで、薄肉かつ表面に微細構造を持つ成形体の重要性が高まっている。薄肉かつ表面に微細構造を有する成形体を製造する方法としては、フィルムに、ガラス転移温度以上に加温した微細構造を有する金型を押し当てて、溶融した樹脂表面に金型の微細構造を転写するといった熱インプリント法が提案されている。このような方法で微細構造を持つ成形体を精度良く製造する為に、非晶質環状オレフィン重合体の熱インプリント性をさらに改善することが望まれている(例えば特許文献1)。
非晶質環状オレフィン重合体の熱インプリント性を向上させる方法としては、重合体のガラス転移温度を下げたり、分子量を下げて樹脂の流動性を向上させることがあげられる。しかしながら、これらの方法では得られる成形品の耐熱性や機械的物性が下がるという問題が生じる。
また、非晶質環状オレフィン重合体に可塑剤や滑剤などの低分子添加剤を添加して、組成物としての流動性を向上させる方法も挙げられる。例えば、特許文献2には、流動性を向上させるために、非晶質環状オレフィン重合体に可塑剤として脂環構造を有するオリゴマーを添加する方法が開示されている。しかしながら、このような方法では、得られる成形品の機械的物性や透明性が下がるという問題を生じる。
特許文献3には、非晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物に結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物を配合した組成物が透明性と耐ソルベントクラック性に優れていることが開示されている。
特許文献4には、2−ノルボルネンが90〜100重量%と置換基含有ノルボルネン類が10〜0重量%とを含有してなる重合性単量体を開環重合し、水素添加して得られる、融点が110〜145℃、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が50,000〜200,000、重量平均分子量/数平均分子量が1.5〜10.0である結晶性ノルボルネン系開環重合体と、特定の非晶性脂環構造含有重合体とを、90/10〜50/50(重量比)の割合で含有する重合体組成物を用いると、透明性に優れ、かつ、水蒸気透過度が低いフィルムが得られることが開示されている。
特許文献5には、特定の非晶性脂環構造含有重合体と、2−ノルボルネンが90〜100重量%と置換基含有ノルボルネン類が10〜0重量%とを含有してなる重合性単量体を開環重合し、水素添加して得られる、融点が110〜145℃、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が50,000〜200,000、重量平均分子量/数平均分子量が1.5〜10.0である結晶性ノルボルネン系開環重合体とを、90/10〜60/40(重量比)の割合で含有する重合体組成物が、溶融した樹脂を射出成形する方法において、微細凹凸形状の形成が可能な樹脂材料であることが開示されている。
特開2009−013277 特開平9−324082 特開2007−016102 特開2009−179650 特開2009−185134
本発明は、非晶質環状オレフィン重合体からなるフィルムの透明性、耐熱性及び機械的物性といった特性を維持しつつ、熱インプリント性がさらに改善されたフィルムが得られる樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らの検討によれば、特許文献3の実施例において具体的に採用されている割合で結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物を配合した組成物、並びに、特許文献4及び特許文献5に開示されている樹脂組成物、からなるフィルムでは、熱インプリント法により金型の微細構造を転写した際に、金型から離型後の成形品の凸部上面及び凹部下面などの平面部に突起や引けが生じ易く、光学材料などの高い精度を要求される分野に用いる場合には、熱インプリント性が十分とはいえず、また、透明性も十分なレベルではないことが判った。
そこで本発明者らは、非晶質環状オレフィンと結晶性ノルボルネン系重合体とのブレンドに着目し、さらに検討したところ、オレフィン非晶質環状オレフィン重合体に、特定の結晶性ノルボルネン系重合体を少量配合した樹脂組成物からなり、非晶質環状オレフィン重合体の重量平均分子量と、結晶性ノルボルネン系重合体の重量平均分子量との比が特定の割合である樹脂組成物が、非晶質環状オレフィン重合体の透明性、機械的物性及び耐熱性といった特性を維持しつつ、熱インプリント性をさらに改善したフィルムを得られる樹脂組成物であることを見出し、その知見に基づき本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、非晶質環状オレフィン重合体100重量部に対し、2−ノルボルネンが75〜100重量%と置換基含有ノルボルネン類が25〜0重量%とを含有してなる重合性単量体を開環重合し、水素添加して得られる、融点が55〜145℃である結晶性ノルボルネン系重合体を1〜10重量部含有する樹脂組成物であり、
非晶質環状オレフィン重合体の絶対分子量の重量平均分子量をMw、結晶性ノルボルネン系重合体の重量平均分子量をMwとしたとき、
0.6≦Mw/Mw≦1.0
であることを特徴とする樹脂組成物が提供される。
また前記樹脂組成物は、前記樹脂組成物のガラス転移温度をTg℃としたとき、回転型レオメーターで歪み0.1%及び周波数1.0rad/sの条件で測定した前記樹脂組成物の(Tg+50)℃における複素粘度が、170〜300kPa・sであることが好ましい。
さらに、本発明によれば、前記樹脂組成物からなるフィルム、及び該フィルムを熱インプリントしてなる光学材料に好適な成形体が提供される。
本発明によれば、非晶質環状オレフィン重合体からなるフィルムの透明性、耐熱性及び機械的物性といった特性を維持しつつ、熱インプリント性がさらに改善されたフィルムが得られる樹脂組成物が提供される。
本発明の樹脂組成物は、非晶質環状オレフィン重合体に特定の結晶性ノルボルネン系重合体を少量配合させてなる。
1.非晶質環状オレフィン重合体
本発明で用いられる非晶質環状オレフィン重合体は、主鎖および/または側鎖に環状構造を有し融点を有さないことが好ましい。
環状構造としては、飽和環状炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和環状炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられるが、機械的強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造を有するものが最も好ましい。
環状構造を構成する炭素原子数は、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械的強度、耐熱性、および成形性の特性が高度にバランスされ、好適である。
発明で用いられる非晶質環状オレフィン重合体の環状構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上である。非晶質環状オレフィン重合体中の環状構造を有する繰り返し単位の割合が過度に少ないと耐熱性に劣り好ましくない。非晶質環状オレフィン重合体中の環状構造を有する繰り返し単位以外の残部は、格別な限定はなく、使用目的に応じて適宜選択される。
この非晶質環状オレフィン重合体の具体例としては、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素系重合体、及び(1)〜(4)の水素化物などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系重合体及びその水素化物、又はビニル脂環式炭化水素重合体の水素化物が好ましい。
(1)ノルボルネン系重合体
ノルボルネン系重合体は、ノルボルネン骨格を有する単量体であるノルボルネン系単量体を重合してなるものであり、開環重合によって得られるものと、付加重合によって得られるものに大別される。
開環重合によって得られるものとして、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環重合体、ならびにこれらの水素化物などが挙げられる。
付加重合によって得られるものとしてノルボルネン系単量体の付加重合体及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体などが挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系単量体の開環重合体水素化物およびノルボルネン系単量体の付加重合体が、耐熱性、機械的強度等の観点から好ましい。
ノルボルネン系単量体
ノルボルネン系単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、トリシクロ[4.3.01,6.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)及びその誘導体、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名メタノテトラヒドロフルオレン:1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)及びその誘導体、などが挙げられる。
置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基、アルキリデン基などが例示でき、上記ノルボルネン系単量体は、これらを2種以上有していてもよい。具体的には、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
これらのノルボルネン系単量体は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体
ノルボルネン系単量体の開環重合体、又はノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環重合体は、単量体成分を、公知の開環重合触媒の存在下で重合して得ることができる。開環重合触媒としては、例えば、ルテニウム、オスミウムなどの金属のハロゲン化物と、硝酸塩又はアセチルアセトン化合物、及び還元剤とからなる触媒、あるいは、チタン、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物又はアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いることができる。
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体などを挙げることができる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体水素化物
ノルボルネン系単量体の開環重合体水素化物は、通常、上記開環重合体の重合溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素化触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を水素化することにより得ることができる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体水素化物が融点を有さない為には、2−ノルボルネン由来の構造単位が50重量%以下であることが好ましい。
ノルボルネン系単量体の付加重合体
ノルボルネン系単量体の付加重合体、又はノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体は、これらの単量体を、公知の付加重合触媒、例えば、チタン、ジルコニウム又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いて重合させて得ることができる。
ノルボルネン系単量体と付加共重合可能なその他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン、及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン、及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンが特に好ましい。
これらの、ノルボルネン系単量体と付加共重合可能なその他の単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。ノルボルネン系単量体とこれと付加共重合可能なその他の単量体とを付加共重合する場合は、付加重合体中のノルボルネン系単量体由来の構造単位と付加共重合可能なその他の単量体由来の構造単位との割合が、重量比で通常30:70〜99:1、好ましくは50:50〜97:3、より好ましくは60:40〜95:5の範囲となるように適宜選択される。
これらの中でも、耐熱性、機械的強度、成形性等の観点から、ノルボルネン系単量体とこれと付加共重合可能なその他の単量体とを付加共重合することが好ましく、ノルボルネン系単量体とエチレンとの付加共重合体が特に好ましい。
(2)単環の環状オレフィン系重合体
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの、単環の環状オレフィン系単量体の付加重合体を用いることができる。
(3)環状共役ジエン系重合体
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−又は1,4−付加重合した重合体及びその水素化物などを用いることができる。
(4)ビニル脂環式炭化水素重合体
ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族系単量体の重合体の芳香環部分の水素化物;などが挙げられ、ビニル脂環式炭化水素重合体やビニル芳香族系単量体と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体などの共重合体及びその水素化物など、いずれでもよい。ブロック共重合体としては、ジブロック、トリブロック、又はそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロック共重合体などが挙げられ、特に制限はない。
本発明で使用される非晶質環状オレフィン重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、重量平均分子量(Mw)で、通常20,000〜150,000、好ましくは25,000〜100,000、より好ましくは25,000〜60,000、特に好ましくは30,000〜40,000の範囲である。Mwがこの範囲にあれば、機械的強度と成形加工性とが高度にバランスし、好適である。
尚、ここでいう重量平均分子量(Mw)は、直角レーザー光散乱検出器を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したものである。
本発明で使用される非晶質環状オレフィン重合体のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて単量体組成などにより適宜選択されればよいが、通常50〜200℃、好ましくは60〜180℃、特に好ましくは65〜170℃の範囲である。Tgがこの範囲であれば、耐熱性と成形加工性とが高度にバランスし、好適である。
本発明で使用される非晶質環状オレフィン重合体の複素粘度は、使用目的に応じて単量体組成や分子量などにより適宜選択されればよいが、回転型レオメーターで歪み0.1%及び周波数1.0rad/sの条件で測定した、(Tg+50)℃での複素粘度の値で、通常100〜500kPa・s、好ましくは200〜450kPa・s、特に好ましくは300〜400kPa・sである。この範囲であるときに、機械強度と成形加工性とが高度にバランスし、好適である。
ちなみに、これら非晶質環状オレフィン重合体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
2.結晶性ノルボルネン系重合体
本発明に用いる結晶性ノルボルネン系重合体は、2−ノルボルネンが75〜100重量%と置換基含有ノルボルネン類が25〜0重量%とを含有してなる重合性単量体を開環重合し、水素添加して得られる、融点が55〜145℃のものである。
2−ノルボルネンは公知の化合物であり、例えば、シクロペンタジエンとエチレンとを反応させることにより得ることができる。
置換基含有ノルボルネン系単量体は、分子内にノルボルネン骨格を有する化合物であって、置換基を有するものである。本発明に用いる「置換基含有ノルボルネン系単量体」には、置換基を有する2−ノルボルネン誘導体のほか、縮合した環を有するノルボルネン化合物も含まれる。
置換基含有ノルボルネン系単量体としては、分子内にノルボルネン環と縮合する環を有しないノルボルネン系単量体、及び3環以上の多環式ノルボルネン系単量体等が挙げられる。
前記分子内にノルボルネン環と縮合する環を有しないノルボルネン系単量体の具体例としては、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(5−メチル−2−ノルボルネン)、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−デシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のアルキル基を有するノルボルネン類;5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(5−エチリデン−2−ノルボルネン)、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロペンテニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のアルケニル基を有するノルボルネン類;5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(5−フェニル−2−ノルボルネン)等の芳香環を有するノルボルネン類;5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン)、5−エトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニル−5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、2−メチルプロピオン酸5−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、2−メチルオクタン酸5−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ジ(ヒドロキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシイソプロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−カルボキシ−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等の酸素原子を含む極性基を有するノルボルネン類;5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−カルボキシ−5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等の窒素原子を含む極性基を有するノルボルネン類;等が挙げられる。
3環以上の多環式ノルボルネン系単量体とは、分子内にノルボルネン環と、該ノルボルネン環と縮合している1つ以上の環とを有するノルボルネン系単量体である。
具体的には、、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン等をジシクロペンタジエン類;テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンとも言う)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセンとも言う)等の芳香環を有するノルボルネン誘導体;テトラシクロドデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキシルテトラシクロドデセン、8−シクロペンチルテトラシクロドデセン等の無置換又はアルキル基を有するテトラシクロドデセン類;8−メチリデンテトラシクロドデセン、8−エチリデンテトラシクロドデセン、8−ビニルテトラシクロドデセン、8−プロペニルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキセニルテトラシクロドデセン、8−シクロペンテニルテトラシクロドデセン等の環外に二重結合を有するテトラシクロドデセン類;8−フェニルテトラシクロドデセン等の芳香環を有するテトラシクロドデセン類;8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−ヒドロキシメチルテトラシクロドデセン、8−カルボキシテトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸無水物等の酸素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−シアノテトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸イミド等の窒素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−クロロテトラシクロドデセン等のハロゲン原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−トリメトキシシリルテトラシクロドデセン等のケイ素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類等が挙げられる。
これらのノルボルネン系単量体は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、上記した2−ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体とを組み合わせて用いることもできる。
2−ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状ジエン及びその誘導体;等が挙げられる。
また、本発明においては、結晶性ノルボルネン系重合体のポリマー鎖に分岐構造を導入する目的で、分岐剤を共重合しても良い。分岐剤としては、国際公開WO2009/107784号公報に記載の、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどが挙げられる。
単量体の組成は、2−ノルボルネンが、通常75〜100重量%、好ましくは80〜100重量%、より好ましくは90〜99重量%であり、特に好ましくは95〜99重量%である。置換基含有ノルボルネン系単量体は、通常0〜25重量%、好ましくは20〜0重量%、より好ましくは1〜10重量%、特に好ましくは1〜5重量%である。
メタセシス重合触媒としては、例えば、特公昭41−20111号公報、特開昭46−14910号公報、特公昭57−17883号公報、特公昭57−61044号公報、特開昭54−86600号公報、特開昭58−127728号公報、特開平1−240517号公報等に記載された、本質的に(a)遷移金属化合物触媒成分と(b)金属化合物助触媒成分からなる一般のメタセシス重合触媒;シュロック型重合触媒(特開平7−179575号公報、Schrock et al.,J.Am.Chem.Soc.,1990年,第112巻,3875頁〜等)や、グラブス型重合触媒(Fu et al.,J.Am.Chem.Soc.,1993年,第115巻,9856頁〜;Nguyen et al.,J.Am.Chem.Soc.,1992年,第114巻,3974頁〜;Grubbs et al.,WO98/21214号パンフレット等)等のリビング開環メタセシス触媒;等が挙げられる。
これらの中でも、得られる重合体の分子量分布を好適な範囲に調節するには、(a)遷移金属化合物触媒成分と(b)金属化合物助触媒成分とからなるメタセシス重合触媒が好ましい。
前記(a)遷移金属化合物触媒成分は、周期律表第3〜11族の遷移金属の化合物である。例えば、これらの遷移金属のハロゲン化物、オキシハロゲン化物、アルコキシハロゲン化物、アルコキシド、カルボン酸塩、(オキシ)アセチルアセトネート、カルボニル錯体、アセトニトリル錯体、ヒドリド錯体、これらの誘導体、これら又はこれらの誘導体のP(C等の錯化剤による錯化物が挙げられる。
具体例としては、TiCl、TiBr、VOCl、WBr、WCl、WOCl、MoCl、MoOCl、WO、HWO等が挙げられる。なかでも、重合活性等の点から、W、Mo、Ti、又はVの化合物が好ましく、特にこれらのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、又はアルコキシハロゲン化物が好ましい。
前記(b)金属化合物助触媒成分は、周期律表第1〜2族、及び第12〜14族の金属の化合物で少なくとも一つの金属元素−炭素結合、又は金属元素−水素結合を有するものである。例えば、Al、Sn、Li、Na、Mg、Zn、Cd、B等の有機化合物等が挙げられる。
具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等の有機アルミニウム化合物;テトラメチルスズ、ジエチルジメチルスズ、テトラブチルスズ、テトラフェニルスズ等の有機スズ化合物;n−ブチルリチウム等の有機リチウム化合物;n−ペンチルナトリウム等の有機ナトリウム化合物;メチルマグネシウムイオジド等の有機マグネシウム化合物;ジエチル亜鉛等の有機亜鉛化合物;ジエチルカドミウム等の有機カドミウム化合物;トリメチルホウ素等の有機ホウ素化合物;等が挙げられる。これらの中で、第13族の金属の化合物が好ましく、特にAlの有機化合物が好ましい。
また、前記(a)成分、(b)成分の他に第三成分を加えて、メタセシス重合活性を高めることができる。用いる第三成分としては、脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、分子状酸素、アルコール、エーテル、過酸化物、カルボン酸、酸無水物、酸クロリド、エステル、ケトン、含窒素化合物、含ハロゲン化合物、その他のルイス酸等が挙げられる。
これらの成分の配合比は、(a)成分:(b)成分が金属元素のモル比で、通常1:1〜1:100、好ましくは1:2〜1:10の範囲である。また、(a)成分:第三成分がモル比で、通常1:0.005〜1:50、好ましくは1:1〜1:10の範囲である。
また、重合触媒の使用割合は、(重合触媒中の遷移金属):(全単量体)のモル比で、通常1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:1,000〜1:20,000、より好ましくは1:5,000〜1:8,000である。触媒量が多すぎると重合反応後の触媒除去が困難になったり、また、分子量分布が広がるおそれがあり、一方、少なすぎると十分な重合活性が得られない。
開環重合は無溶媒で行うこともできるが、適当な溶媒中で行うことが好ましい。用いる有機溶媒としては、重合体及び重合体水素添加物が所定の条件で溶解もしくは分散し、かつ、重合及び水素添加反応に影響しないものであれば特に限定されないが、工業的に汎用されている溶媒が好ましい。
このような有機溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シクロオクタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル等の含窒素炭化水素;ジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン等のエ−テル類等の溶媒を使用することができる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、工業的に汎用されている芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素及びエーテル類が好ましい。
重合を有機溶媒中で行う場合には、単量体の濃度は、1〜50重量%が好ましく、2〜45重量%がより好ましく、3〜40重量%が特に好ましい。前記モノマー混合物の濃度が1重量%より小さいと生産性が低くなるおそれがあり、50重量%より大きいと重合後の溶液粘度が高すぎて、その後の水素添加反応が困難となるおそれがある。
開環重合においては、反応系に分子量調節剤を添加することができる。分子量調節剤を添加することで、得られる開環重合体の分子量を調整することができる。
用いる分子量調節剤としては特に限定されず、従来公知のものが使用できる。例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン類;スチレン、ビニルトルエン等のスチレン類;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のエーテル類;アリルクロライド等のハロゲン含有ビニル化合物;グリシジルメタクリレート等酸素含有ビニル化合物;アクリルアミド等の窒素含有ビニル化合物;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン等の非共役ジエン、又は1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン等を挙げることができる。これらの中で、分子量調節のし易さから、α−オレフィン類が好ましい。
分子量調節剤の添加量は、所望の分子量を持つ重合体を得るに足る量であればよく、(分子量調節剤):(全単量体)のモル比で、通常1:50〜1:1,000,000、好ましくは1:100〜1:5,000、より好ましくは1:300〜1:3,000である。
開環重合は、単量体と重合触媒とを混合することにより開始される。
開環重合を行う温度は、特に限定されないが、通常−20〜+100℃、好ましくは10〜80℃で重合を行う。温度が低すぎると反応速度が低下し、高すぎると副反応により、分子量分布が広がるおそれがある。
重合時間は、特に制限はなく、通常1分間〜100時間である。
重合時の圧力条件は特に限定されないが、加圧条件下で重合する場合、加える圧力は通常1MPa以下である。
反応終了後においては、通常の後処理操作により目的とするノルボルネン単量体開環重合体を単離することができる。
得られたノルボルネン単量体開環重合体は、次の水素添加反応工程へ供される。また後述するように、開環重合を行った反応溶液に水素添加触媒を添加して、ノルボルネン単量体開環重合体を単離することなく、連続的に水素添加反応を行うこともできる。
ノルボルネン単量体開環重合体の水素添加反応は、ノルボルネン単量体開環重合体の主鎖又は/及び側鎖に存在する炭素−炭素二重結合に水素添加する反応である。この水素添加反応は、ノルボルネン単量体開環重合体の不活性溶媒溶液に水素添加触媒を添加し、反応系内に水素を供給して行う。
水素添加触媒としては、オレフィン化合物の水素添加に際して一般に使用されているものであれば、均一系触媒、不均一系触媒のいずれも使用することができる。得られる重合体中の残留金属の除去等を考慮すると、不均一系触媒が好ましい。
均一系触媒としては、例えば、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウム等の組み合わせ等の遷移金属化合物とアルカリ金属化合物の組み合わせからなる触媒系;ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリド等の貴金属錯体触媒;等が挙げられる。
不均一触媒としては、例えば、ニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナ等の、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、又はこれらの金属をカーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタン等の担体に担持させた固体触媒系が挙げられる。
触媒の使用量は、ノルボルネン単量体開環重合体100重量部に対し、通常0.05〜10重量部である。
水素添加反応に用いる不活性有機溶媒としては、前述した2−ノルボルネンと置換基含有ノルボルネン系単量体との開環重合において用いることができる有機溶媒として例示したものと同様の、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン系芳香族炭化水素、含窒素炭化水素、エーテル類等が挙げられる。
水素添加反応の温度は、使用する水素添加触媒によって適する条件範囲が異なるが、水素添加温度は、通常−20℃〜+300℃、好ましくは0℃〜+250℃である。水素添加温度が低すぎると反応速度が遅くなるおそれがあり、高すぎると副反応が起こる可能性がある。
水素圧力は、通常0.01〜20MPa、好ましくは0.1〜10MPa、より好ましくは1〜5MPaである。水素圧力が低すぎると水素添加速度が遅くなり、高すぎると高耐圧反応装置が必要となるので好ましくない。
結晶性ノルボルネン系重合体は、ノルボルネン単量体開環重合体中の炭素−炭素二重結合の水素添加率が通常80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上、特に好ましくは99.9%以上である。上記の範囲にあると、成形体の樹脂焼けに起因する着色が抑えられ好ましい。
結晶性ノルボルネン系重合体の水素添加率は、溶媒に重クロロホルムを用い、H−NMRにより測定して求めることができる。
水素添加反応終了後は、反応溶液から水素添加触媒等を濾別し、濾別後の重合体溶液から溶媒等の揮発成分を除去することにより、目的とする結晶性ノルボルネン系重合体を得ることができる。
溶媒等の揮発成分を除去する方法としては、凝固法や直接乾燥法等公知の方法を採用することができる。
凝固法は、重合体溶液を重合体の貧溶媒と混合することにより、重合体を析出させる方法である。用いる貧溶媒としては、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;等の極性溶媒が挙げられる。
凝固して得られた粒子状の成分は、例えば、真空中又は窒素中若しくは空気中で加熱して乾燥させて粒子状にするか、さらに必要に応じて溶融押出機から押し出してペレット状にすることができる。
直接乾燥法は、重合体溶液を減圧下加熱して溶媒を除去する方法である。この方法には、遠心薄膜連続蒸発乾燥機、掻面熱交換型連続反応器型乾燥機、高粘度リアクタ装置等の公知の装置を用いて行うことができる。真空度や温度はその装置によって適宜選択され、限定されない。
以上のようにして得られる結晶性ノルボルネン系重合体の2−ノルボルネン由来の繰り返し単位(A)の全繰り返し単位に対する存在割合が、通常75〜100重量%、好ましくは80〜100重量%、より好ましくは90〜99重量%であり、特に好ましくは95〜99重量%である。置換基含有ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位(B)の全繰り返し単位に対する存在割合が、常0〜25重量%、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%、特に好ましくは1〜5重量%である。
繰り返し単位(B)の存在割合が多すぎると、成形体の耐熱性が悪化するおそれがある。繰り返し単位(B)の存在割合が上記範囲であると、流動性に優れ、また、成形体の機械的特性にも優れ好適である。また、繰り返し単位(B)の存在割合が少なすぎると、機械的特性が低下するおそれがある。
結晶性ノルボルネン系重合体の、重量平均分子量(Mw)は、通常25,000〜100,000、好ましくは30,000〜80,000、さらに好ましくは35,000〜60,000、特に好ましくは40,000〜50,000である。
Mwがこの範囲にあると、成形加工し易く、得られた成形体は十分な機械的特性を有するため好ましい。一方、Mwが高すぎると、流動性が悪く、熱インプリントした際に金型の微細構造の奥まで樹脂が充填され難い傾向にある。また、Mwが低すぎると、成形体の機械的特性が低下し、非晶質ノルボルネン系重合体との相溶性が悪化する恐れがある。
結晶性ノルボルネン系開環重合体は、その分子量分布(Mw/Mn)が通常1.5〜10.0、好ましくは2.0〜8.0、さらに好ましくは2.5〜6.0、特に好ましくは2.5〜5.5である。
Mw/Mnが小さすぎると、該重合体の温度に対する溶融粘度が敏感に変化し易くなるため、成形品の加工性が悪化するおそれがある。また、Mw/Mnが大き過ぎると、成形品の機械的特性が低下するおそれがある。
尚、ここでいう重量平均分子量(Mw)と分子量分布(Mw/Mn)は、直角レーザー光散乱検出器を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したものである。
結晶性ノルボルネン系開環重合体の融点は55〜145℃、好ましくは110〜145℃、より好ましくは130℃〜145℃である。
融点が上記の範囲にあると、成形品の耐熱性に優れるため好ましい。特に、融点が130〜145℃の範囲においては、得られる成形体の耐熱性が高いので好ましい。
なお、結晶性ノルボルネン系開環重合体の融点は、結晶性ノルボルネン系開環重合体の分子量、分子量分布、異性化率、組成比率などにより制御できる。
結晶性ノルボルネン系開環重合体の異性化率は、通常40%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。異性化率が高すぎると、該重合体の耐熱性が低下するおそれがある。異性化率は、溶媒に重クロロホルムを用い、13C−NMRにより測定した33.0ppmピーク積分値/(31.8ppmピーク積分値+33.0ppmピーク積分値)×100から算出することができる。
ちなみに、31.8ppmピークは、該重合体中の2−ノルボルネン由来の繰り返し単位のシス体由来のもの、33.0ppmピークは、該重合体中の2−ノルボルネン由来の繰り返し単位のトランス体由来のものである。
異性化率を上記範囲にするためには、ノルボルネン単量体開環重合体の水素添加反応において、反応温度を好ましくは100〜250℃、より好ましくは120〜230℃、特に好ましくは150〜200℃とし、かつ、使用する水素添加触媒の使用量を、ノルボルネン単量体開環重合体100重量部に対し、好ましくは0.2〜5重量部、より好ましくは0.5〜2重量部とする。このような範囲にあると、水素添加反応速度と得られるポリマーの耐熱性のバランスに優れ、好適である。
3.樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、前記非晶質環状オレフィン重合体100重量部に、前記結晶性ノルボルネン系重合体を1〜10重量部、好ましくは2〜9重量部含有させてなる。結晶性ノルボルネン系重合体の量が少ないと、得られる樹脂組成物の流動性が低く、金型の微細構造の奥まで樹脂が充填され難い。結晶性ノルボルネン系重合体の量が多いと、ヘイズが悪化し透明性に劣り、成形品の凸部上面及び凹部下面などの平面部に突起や引けが生じ易い。
非晶質環状オレフィン重合体と結晶性ノルボルネン系重合体の分子量の関係は、直角レーザー光散乱検出器を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される、非晶質環状オレフィン重合体の重量平均分子量をMw、結晶性ノルボルネン系重合体の重量平均分子量をMwとしたとき、0.6≦Mw/Mw≦1.0であり、好ましくは0.65≦Mw/Mw≦0.90を満足する範囲である。
Mw/Mwが大きいと、熱インプリントした際に成形品の凸部上面及び凹部下面などの平面部に突起や引けが生じる。
Mw/Mwが小さいと、熱インプリントした際に金型の微細構造の奥まで樹脂が充填され難く、ヘイズが悪化し透明性に劣る。
また、本発明の樹脂組成物は、前記樹脂組成物のガラス転移温度をTg℃としたとき、回転型レオメーターで歪み0.1%及び周波数1.0rad/sの条件で測定した(Tg+50)℃における複素粘度が、通常170〜300kPa・s、好ましくは180〜280kPa・s、より好ましくは190〜260kPa・s、特に好ましくは200〜230kPa・sである。
複素粘度が高すぎると流動性が低くなり、熱インプリントした際に金型の微細構造の奥まで樹脂が充填され難い傾向にある。複素粘度が低すぎると、熱インプリントした際に成形品の凸部上面及び凹部下面などの平面部に突起や引けが生じ易い傾向にある。
前記樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて非晶質環状オレフィン重合体のガラス転移温度などにより調整し適宜選択されればよい。例えば光源近傍で使用される光学材料の場合、通常100〜200℃、好ましくは120〜160℃、特に好ましくは130〜150℃の範囲である。
前記樹脂組成物のJIS K7127に基づく引張強度は、通常40MPa以上、好ましくは45MPa以上であり、通常80MPa以下である。引張強度が低いと、フィルムが脆く、熱プリントし金型から離型する際にフィルムが破損する恐れがある。
前記樹脂組成物の製法に限定はないが、上述した各成分を溶融状態で混練する方法が好適な方法として挙げられる。溶融混練装置としては、開放型のミキシングロールや非開放型のバンバリーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミキサー等の公知のものを使用することができる。
前記樹脂組成物には、必要に応じて配合剤を添加することができる。配合剤としては、酸化防止剤、ゴム質重合体、紫外線吸収剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、防曇剤、染料、顔料、着色剤、天然油、合成油、可塑剤、有機又は無機の充填剤、抗菌剤、消臭剤、脱臭剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、その分子量が600以上であるものが好ましい。酸化防止剤の分子量が低すぎると、成形品から酸化防止剤が溶出したり、成形時に酸化防止剤が揮散し金型を汚染するおそれがある。
酸化防止剤が融点を持つ場合は、融点が135℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましく、125℃以下が特に好ましい。融点が高すぎると酸化防止剤が凝集し分散性が悪化し、酸化防止効果が悪くなる恐れがある。
酸化防止剤の具体例としては、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、等のフェノール系酸化防止剤;テトラキス(2,4−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4‘−ジイルビスフォスフォナイト、等のリン系酸化防止剤;テトラキス[メチレン−3−(ドデシルチオ)プロピオネート]メタン、等のイオウ系酸化防止剤;等が挙げられる。これらの酸化防止剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましい。
酸化防止剤の配合量は、前記非晶質環状オレフィン重合体及び前記結晶性ノルボルネン系重合体の合計量100重量部に対し、通常0.01〜1重量部、好ましくは、0.05〜0.5重量部である。酸化防止剤の添加量が少なすぎると、成形品にやけが生じるおそれがある。一方、添加量が多すぎると、成形品が白濁したり、成形品から酸化防止剤が溶出するおそれがある。
ゴム質重合体は、ガラス転移温度が40℃以下の重合体である。ゴム質重合体にはゴムや熱可塑性エラストマーが含まれる。ブロック共重合体のごとくガラス転移温度が2点以上ある場合は、最も低いガラス転移温度が40℃以下であればゴム質重合体として用いることができる。ゴム質重合体のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常5〜300である。
ゴム質重合体としては、例えば、エチレン−α−オレフィン系ゴム;エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体ゴム;エチレン−メチルメタクリレート、エチレン−ブチルアクリレート等のエチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体;アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等のアクリル酸アルキルエステルの重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレンとブタジエン又はイソプレンとのランダム共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル−スチレン共重合体等のジエン系ゴム;ブチレン−イソプレン共重合体;スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体等の芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合体、低結晶性ポリブタジエン樹脂、エチレン−プロピレンエラストマー、スチレングラフトエチレン−プロピレンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、エチレン系アイオノマー樹脂等が挙げられる。
ゴム質重合体の配合量は、使用目的に応じて適宜選択される。耐衝撃性や柔軟性が要求される場合にはゴム質重合体の量は、前記非晶質環状オレフィン重合体及び前記結晶性ノルボルネン系重合体の合計量100重量部に対し、通常0.01〜100重量部、好ましくは、0.1〜70重量部、より好ましくは、1〜50重量部の範囲である。
紫外線吸収剤及び耐候安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−{2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のヒンダードアミン系化合物;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物;2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベゾエート系化合物等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤及び耐候安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。紫外線吸収剤及び耐候安定剤の量は、前記非晶質環状オレフィン重合体及び前記結晶性ノルボルネン系重合体の合計量100重量部に対し、通常0.001〜5重量部、好ましくは、0.01〜2重量部の範囲である。
帯電防止剤としては、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の長鎖アルキルアルコール;アルキルスルホン酸ナトリウム塩及び/又はアルキルスルホン酸ホスホニウム塩;ステアリン酸のグリセリンエステル等の脂肪酸エステル;ヒドロキシアミン系化合物;無定形炭素、酸化スズ粉、アンチモン含有酸化スズ粉等を例示することができる。帯電防止剤の量は、前記非晶質環状オレフィン重合体及び前記結晶性ノルボルネン系重合体の合計量100重量部に対し、通常0.001〜5重量部の範囲である。
5.成形体
本発明の樹脂組成物は、非晶質環状オレフィン重合体の透明性、機械的物性及び耐熱性を維持しつつ、熱インプリント性に優れる為、熱インプリント用のフィルムに好適であるが、それ以外にも種々の成形体に適用できる。
成形体としては、薄肉構造かつ表面に微細パターンを持つものに好適である。具体的には、導光板、拡散板、回折格子、フレネルレンズ、光ディスク、プリズムシートなどの光学分野;バイオチップ、マイクロ分析チップ、マイクロリアクターなどのマイクロテクノロジー分野;光又は磁気記録ディスク用のスタンパー、一般回路基板(硬質プリント基板、フレキシブルプリント基板、多層プリント配線板等)、高周波回路基板(衛星通信機器用回路基板等)等の回路基板;透明導電性フィルム(液晶基板、光メモリー、面発熱体等)の基材;半導体封止材(トランジスタ封止材、IC封止材、LSI封止材、LED封止材等)、電気・電子部品の封止材(モーター封止材、コンデンサー封止材、スイッチ封止材、センサー封止材等)の封止材などの電気電子分野;などが挙げられ、プリズムシートや導光板などの光学材料に好適であり、特に熱インプリント用フィルムに好適である。
また、厚肉の成形品においても、射出成形によって生じるポリマー鎖の配向や残留応力が少なくなる為、成形品の応力割れが低減したり、光学素子の複屈折や屈折率変化が低下すると考えられ、ボトル、リターナブルボトル、哺乳瓶、フィルム、シュリンクフィルム等の食品包装分野、液体、粉体、又は固体薬品の容器(注射用の液体薬品容器、アンプル、バイアル、プレフィルドシリンジ、輸液用バッグ、密封薬袋、プレス・スルー・パッケージ、固体薬品容器、点眼薬容器等)、サンプリング容器(血液検査用サンプリング試験管、薬品容器用キャップ、採血管、検体容器等)、医療器具(注射器等)、医療器具等の滅菌容器(メス用、鉗子用、ガーゼ用、コンタクトレンズ用等)、実験・分析器具(ビーカー、シャーレ、フラスコ、試験管、遠心管等)、医療用光学部品(医療検査用プラスチックレンズ等)、配管材料(医療用輸液チューブ、配管、継ぎ手、バルブ等)、人工臓器やその部品義(歯床、人工心臓、人造歯根等)等の医療分野、処理用又は移送用容器(タンク、トレイ、キャリア、ケース等)、保護材(キャリアテープ、セパレーション・フィルム等)、配管類(パイプ、チューブ、バルブ、流量計、フィルター、ポンプ等)、液体用容器類(サンプリング容器、ボトル、アンプルバッグ等)の電子部品処理用器材;被覆材(電線用、ケーブル用等)、民生用・産業用電子機器匡体(複写機、コンピューター、プリンター、テレビ、ビデオデッキ、ビデオカメラ等)、構造部材(パラボラアンテナ構造部材、フラットアンテナ構造部材、レーダードーム構造部材等)等の電気絶縁材料等の電気電子分野、ルームミラーやメーター類のカバー等自動車用内装材料;ドアミラー、フェンダーミラー、ビーム用レンズ、ライト・カバー等の自動車分野などの多岐の用途にも利用することができる。
成形方法としては、特に限定されていないが、熱可塑性樹脂の一般的成形方法、例えば、射出成形法、ブロー成形法などにより金型の微細構造を直接転写しても良いし、インフレーション成形法、押出成形法、カレンダー成形法、溶液流延法などで製造したシート又はフィルムを、熱インプリント法などより表面に微細構造を転写しても良い。
6.フィルム
本発明のフィルムは、前記樹脂組成物を成形してなる。成形方法としては、特に限定されていないが、インフレーション成形法、押出成形法、カレンダー成形法、溶液流延法などの公知の成形方法を採用することが出来る。
本発明のフィルムの厚みは特に限定されないが、通常1μmから20mm、好ましくは5μmから5mm、より好ましくは10μmから2mmである。
本発明のフィルムにおいては、本発明の重合体組成物を含有する層と、家電、食品分野、医療分野などで一般に使用される公知の重合体を含有する層とを有する積層体であってもよい。
積層する層の数は、通常2 層又は3 層であるが、更に多層の積層体とすることができる。3 層以上の多層における重合体種による層の配置順序は、目的や用途により決めることができる。
本発明のフィルムは機械的特性に優れる。本発明のフィルムが機械的特性に優れることは、例えば、本発明のフィルムの形状1B形、厚さ250μmの試験片での、JIS K7127に基づいた引張速度200mm/分の条件でオートグラフ(AGS−5kNH、島津製作所社製)により引張り強度を測定することにより評価することができる。
本発明のフィルムの引張り強度は、通常40MPa以上、好ましくは45MPa 以上であり、通常60MPa以下である。
本発明のフィルムは、食品分野、医療分野、ディスプレイ分野、エネルギー分野、光学
分野、電気電子分野、通信分野、自動車分野、民生分野、土木建築分野等の多岐の用途で
利用することができる。中でも、ディスプレイ分野、光学分野の用途に適している。
特に、導光板、位相差フィルム、偏光フィルム、光拡散シート、集光シート、液晶表示素子基板、フレネルレンズ、レンズアレイ、光ディスク、プリズムシート、光導波路、回折格子などのディスプレイ分野及び光学分野用成形体を、熱インプリント法により製造するのに好適である。
熱インプリントを行う方法としては、本発明のフィルムをガラス転移温度以上まで加熱し、軟化させた後、微細構造を有する金型を押し付け、冷却することで微細パターンを転写する方法、又は、本発明のフィルムに、フィルムのガラス転移温度以上まで加温した微細構造を有する金型を押し付け、冷却し金型から離型することで微細パターンを転写する方法をとることができる。
金型の微細パターンとしては、凸部及び凹部の幅が、通常10nm〜500μm、好ましくは100nm〜500μm、凹凸部の高さが通常10nm〜1mm、好ましくは50nm〜500μm、より好ましくは100nm〜100μmである。
熱インプリントする際のフィルム又は金型の加熱温度は、通常(Tg+20℃)〜Tg(+100℃)、好ましくは(Tg+30℃)〜Tg(+80℃)、より好ましくは(Tg+40℃)〜Tg(+60℃)である。また、金型を押し付ける際の圧力は、通常10kPa〜10MPa、好ましくは100kPa〜1MPaであり、金型を押し付ける時間は、通常10〜1000sec、好ましくは30〜300secである。
熱インプリントした後に、フィルムを金型から離型する際のフィルム又は金型の温度は、通常(Tg−30℃)以下、好ましくは樹脂組成物の室温〜(Tg−50℃)である。
熱インプリントを行う環境としては、異物混入の面でクリーンブース又はクリーンルームで行うのが好ましく、気泡混入の面で減圧下で行うことが好ましい。
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて、より具体的に説明する。本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において、部及び%は、特に断りがない限り、重量基準である。
以下に各種物性の測定法を示す。
(1)非晶質環状オレフィン重合体および結晶性ノルボルネン系重合体の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)は、直角レーザー光散乱検出器及び示差屈折率検出器を備えたGPC(Viscotek社製 Model 350 HTGPC及びModel TDA302)を用い、カラムとして東ソー社製TSKgel G5000HXL、TSKgel G4000HXLおよびTSKgel G2000HXLを3本直列に繋いで用い、流速1.0ml/分、サンプル注入量100μl、カラム温度60℃の条件で行った。サンプルは、濃度4mg/mlになるように、60℃にて測定試料をシクロヘキサンに加熱溶解させて調製した。
ここで、各溶出時間の、直角レーザー光散乱検出器の検出感度をLS、重合体の絶対分子量をMW、重合体の濃度をcとした時、下記式が成り立つ。
LS=k×MW×(dn/dc)×c
kは機器定数であり、分子量既知の標準サンプル(ここでは分子量109000の標準ポリイソプレンを使用した)よりkを求めることができる。
(dn/dc)は重合体特有の光学定数であり、重合体濃度を振った4点のサンプルからを求めることができる。
GPCに注入した重合体量と、溶出時間と示差屈折率強度の関係より、各溶出時間の重合体濃度cを求めれば、上記式より各溶出時間の絶対分子量を求めることが出来る。
重量平均分子量及び分子量分布は、各溶出時間の絶対分子量と示差屈折率検出器の各溶出時間の強度から、通常のGPC法と同様な方法で求めることができる。
(2)非晶質環状オレフィン重合体及び結晶性ノルボルネン系重合体の水素添加率は、溶媒として重クロロホルムを用いて、H−NMRにより測定した。
(3)非晶質環状オレフィン重合体のガラス転移温度Tgは、示差走査熱量分析計(DSC6220SII、ナノテクノロジー社製)を用いて、JIS K 6911に基づいて測定した。
(4)結晶性ノルボルネン系重合体の異性化率は、溶媒として重クロロホルムを用い、13C−NMRにより測定した31.8ppm及び33.0ppmのピーク値から、式[(33.0ppmピーク積分値)/(31.8ppmピーク積分値+33.0ppmピーク積分値)]×100により算出した。
31.8ppmのピークは、開環重合体水素添加物中の2−ノルボルネン由来の繰り返し単位のシス体由来のものであり、33.0ppmのピークは、開環重合体水素添加物の2−ノルボルネン由来の繰り返し単位のトランス体由来のものである。
(5)結晶性ノルボルネン系重合体の融点Tmは、示差走査熱量分析計(DSC6220SII、ナノテクノロジー社製)を用いて、JIS K 7121に基づき、試料を融点より30℃以上に加熱した後、冷却速度−10℃/分で室温まで冷却し、その後、昇温速度10℃/分で昇温する過程で測定した。
(6)複素粘度は、回転型レオメーター(ARES、レオメトリクス社製)を用いて、パラレルプレートジオメトリー(直径25mm、ギャップ1.5mm)、歪み0.1%、周波数1.0rad/s、樹脂組成物のガラス転移温度+50℃の条件にて測定した。
(7)引張強度は、オートグラフ(AGS−5kNH、島津製作所製)を用いて、JISK7127に基づいて、サンプル形状JIS 1B型、引張速度200mm/min、チャック間距離115mmの条件で測定した。
(8)ヘイズの測定は厚さ300μmのシートサンプルを作製し、JIS K7129(A法)に基づき、ヘイズメータ(NDH2000、日本電色工業社製)を用いて測定した。ヘイズ(%)が小さいほど、透明性が良好であることを示す。
(9)樹脂シートの熱インプリント性
スクリュー径50mmφ、圧縮比2.5、L/D=30のスクリューを備えた樹脂溶融混練機を有するハンガーマニュホールドタイプのTダイ式フィルム溶融押出成形機を使用して以下の成形条件でTダイ成形を行い厚さ300μmの樹脂シートを得た。
成形条件;ダイリップ : 0.8mm
溶融樹脂温度 : 樹脂組成物のガラス転移温度+80℃
Tダイ幅 : 300mm
冷却ロール : 樹脂組成物のガラス転移温度−100℃
キャストロール : 樹脂組成物のガラス転移温度−100℃
樹脂シート、及び金型(100mm×100mm、ニッケル製、凹パターン(幅500nm、深さ1000nm、ピッチ500nm))を樹脂組成物のガラス転移温度+50℃に加熱し、シートと金型の凹凸面を接触させて15MPaでプレスし、そのまま120秒保持した。その後ガラス転移温度−50℃までに冷却後プレスから取り出し、金型から離型して転写シートを得た。
走査型原子間力顕微鏡(デジタルインスツルメンツ社製、製品名「NanoScope IIIa」)を用い、転写シートの凸部の形状を30箇所測定した。
各所の凸部の高さの最大値を求め、その平均値をHdとし、金型キャビティ凸部高さHsより以下の式から「充填率(%)」を算出した。
充填率(%)=Hd/Hs×100
また、各所の凸部の上面の形状と金型キャビティ凸部上面の形状の差分の最大値を求め、その絶対値の平均値を「表面粗さ(nm)」とした。
「充填率(%)」が高く「表面粗さ(nm)」が低いほど、熱インプリント性に優れる。
(10)耐熱性
作製したプリズムシートを80℃のオーブンに300時間入れ、シートに反りが見られなかったものを○、見られなかったものを×とした。
[製造例1]
乾燥し、窒素置換した重合反応器に、ノルボルネン(以下、NBという)、ジシクロペンタジエン(以下、DCPという)、及びテトラシクロドデセン(以下、TCDという)(重量比5/45/50)の単量体混合物7部(重合に使用するモノマー全量に対して1%)、脱水したシクロヘキサン1,600部、分子量調節剤として1−ヘキセン3.5部、ジイソプロピルエ−テル1.3部、イソブチルアルコール0.33部、トリイソブチルアルミニウム0.84部並びに六塩化タングステン0.66%シクロヘキサン溶液30部を入れ、55℃で10分間攪拌した。
次いで、反応系を55℃に保持し、攪拌しながら、前記重合反応器中に前記単量体混合物693部と六塩化タングステン0.77%シクロヘキサン溶液72部を各々150分かけて連続的に滴下し、さらに滴下終了後30分間攪拌した後にイソプロピルアルコール1.0部を添加して重合反応を停止させた。ガスクロマトグラフィーによって重合反応溶液を測定したところ、モノマーの重合体への転化率は100%であった。
次いで、上記重合体を含有する重合反応溶液300部を攪拌器付きオートクレーブに移し、シクロヘキサン100部および珪藻土担持ニッケル触媒(日揮化学社製;「T8400RL」、ニッケル担持率58%)2.0部を加えた。オートクレーブ内を水素で置換した後、180℃、4.5MPaの水素圧力下で6時間反応させた。
この溶液を珪藻土(昭和化学工業社製;ラヂオライト#500)をろ過助剤としてステンレス製金網をそなえたろ過器によりろ過し、触媒を除去した。得られた反応溶液をイソプロピルアルコール8000部中に撹拌下に注いで水素化物を沈殿させ、濾取した。さらに、アセトン500部で洗浄した後、0.13×10Pa以下、100℃に設定した減圧乾燥機中で、24時間乾燥し、非晶質環状オレフィン重合体(A)を得た。
得られた非晶質環状オレフィン重合体(A)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は、31100、分子量分布(Mw/Mn)は2.4、複素粘度は319kPa・s、ガラス転移温度(Tg)は125℃であり、融点は観測されなかった。
尚、特許文献5に記載された、1,2,4−トリクロロベンゼンを溶離液とするゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)法による非晶質環状オレフィン重合体(A)の重量平均分子量は30900であった。
[製造例2]
1−ヘキセンの量を4.0部とした以外は製造例1と同様にして非晶質環状オレフィン重合体(B)を得た。
重合反応溶液のモノマーの重合体への転化率は99.9%であった。得られた非晶質環状オレフィン重合体(B)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は、26800、分子量分布(Mw/Mn)は2.0、複素粘度は176kPa・s、ガラス転移温度(Tg)は121℃であり、融点は観測されなかった。
尚、特許文献5に記載された、1,2,4−トリクロロベンゼンを溶離液とするゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)法による非晶質環状オレフィン重合体(B)の重量平均分子量は27100であった。
[製造例3]
単量体混合物をNB、DCP及びTCD(重量比5/68/27)とした以外は製造例1と同様にして非晶質環状オレフィン重合体(C)を得た。
重合反応溶液のモノマーの重合体への転化率は99.9%であった。得られた非晶質環状オレフィン重合体(C)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は、30800、分子量分布(Mw/Mn)は2.3、複素粘度は288kPa・s、ガラス転移温度(Tg)は108℃でであり、融点は観測されなかった。
尚、特許文献5に記載された、1,2,4−トリクロロベンゼンを溶離液とするゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)法による非晶質環状オレフィン重合体(C)の重量平均分子量は31500であった。
[製造例4]
乾燥し、窒素置換した重合反応器に、NB単量体3部(重合に使用するモノマー全量に対して1%)、脱水したシクロヘキサン1,600部、分子量調節剤として1−ヘキセン0.4部、ジノルマルブチルエ−テル1.68部、イソブチルアルコール0.14部、トリイソブチルアルミニウム0.36部並びに六塩化タングステン0.66%シクロヘキサン溶液13部を入れ、65℃で10分間攪拌した。
次いで、反応系を65℃に保持し、攪拌しながら、前記重合反応器中に前記単量体297部と六塩化タングステン0.77%シクロヘキサン溶液31部を各々140分かけて連続的に滴下し、さらに滴下終了後30分間攪拌した後にイソプロピルアルコール1.0部を添加して重合反応を停止させた。ガスクロマトグラフィーによって重合反応溶液を測定したところ、モノマーの重合体への転化率は99.9%であった。
製造例1と同様にして、水素添加反応、触媒除去を行い、結晶性ノルボルネン系重合体(D)を得た。
得られた結晶性ノルボルネン系重合体(D)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は、35100、分子量分布(Mw/Mn)は2.6、融点(Tm)は140℃であった。
尚、特許文献5に記載された、1,2,4−トリクロロベンゼンを溶離液とするゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)法による非晶質環状オレフィン重合体(D)の重量平均分子量は53100であった。
[製造例5]
単量体をNB及びDCP(重量比92/8)の単量体混合物とし、分子量調節剤として1−ヘキセン0.2部とした以外は製造例4と同様にして、結晶性ノルボルネン系重合体(E)を得た。
重合反応溶液のモノマーの重合体への転化率は99.9%であった。得られた結晶性ノルボルネン系重合体(E)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は、48200、分子量分布(Mw/Mn)は2.8、Tm(融点)は128℃であった。
尚、特許文献5に記載された、1,2,4−トリクロロベンゼンを溶離液とするゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)法による非晶質環状オレフィン重合体(E)の重量平均分子量は86200であった。
[製造例6]
分子量調節剤として1−ヘキセン0.1部とした以外は製造例5と同様にして、結晶性ノルボルネン系重合体(F)を得た。
重合反応溶液のモノマーの重合体への転化率は99.9%であった。得られた結晶性ノルボルネン系重合体(F)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は、59200、分子量分布(Mw/Mn)は3.3、Tm(融点)は127℃であった。
尚、特許文献5に記載された、1,2,4−トリクロロベンゼンを溶離液とするゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)法による非晶質環状オレフィン重合体(F)の重量平均分子量は114100であった。
[製造例7]
分子量調節剤として1−ヘキセン0.6部とした以外は製造例5と同様にして、結晶性ノルボルネン系重合体(G)を得た。
重合反応溶液のモノマーの重合体への転化率は99.9%であった。得られた結晶性ノルボルネン系重合体(G)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は、30300、分子量分布(Mw/Mn)は2.4、Tm(融点)は129℃であった。
尚、特許文献5に記載された、1,2,4−トリクロロベンゼンを溶離液とするゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)法による非晶質環状オレフィン重合体(G)の重量平均分子量は40400であった。
[実施例1]
製造例1で得られた重合体(A)100部に、製造例4で得られた重合体(D)を1部、および酸化防止剤(ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;「イルガノックス1010」)0.1部を加え、二軸混練機(TEM−35B、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物の、ヘイズ、ガラス転移温度(Tg)、引張強度、複素粘度、熱インプリント性、耐熱性の測定を行った、その評価結果を表1に示す。
[実施例2]
重合体(D)の代わりに、製造例5で得られた重合体(E)を3部使用した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物の、ヘイズ、ガラス転移温度(Tg)、引張強度、複素粘度、熱インプリント性、耐熱性の測定を行った、その評価結果を表1に示す。
[実施例3]
重合体(D)の量を5部とした以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物の、ヘイズ、ガラス転移温度(Tg)、引張強度、複素粘度、熱インプリント性、耐熱性の測定を行った、その評価結果を表1に示す。
[実施例4]
重合体(E)の量をを9部とした以外は、実施例2と同様にして、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物の、ヘイズ、ガラス転移温度(Tg)、引張強度、複素粘度、熱インプリント性、耐熱性の測定を行った、その評価結果を表1に示す。
[比較例1]
重合体(D)を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を得た。重合体(D)の量を5部とした以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物の、ヘイズ、ガラス転移温度(Tg)、引張強度、複素粘度、熱インプリント性、耐熱性の測定を行った、その評価結果を表1に示す。
[比較例2]
重合体(D)の量を12部とした以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の、ヘイズ、ガラス転移温度(Tg)、引張強度、複素粘度、熱インプリント性、耐熱性の測定を行った、その評価結果を表1に示す。
[比較例3]
重合体(A)の代わりに重合体(B)を使用した以外は、比較例1と同様にして、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物の、ヘイズ、ガラス転移温度(Tg)、引張強度、複素粘度、熱インプリント性、耐熱性の測定を行った、その評価結果を表1に示す。
[比較例4]
重合体(A)の代わりに重合体(C)を使用した以外は、比較例1と同様にして、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物の、ヘイズ、ガラス転移温度(Tg)、引張強度、複素粘度、熱インプリント性、耐熱性の測定を行った、その評価結果を表1に示す。
[比較例5]
重合体(D)の代わりに、滑剤(アルコンP−100、荒川化学工業製)を3部使用した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物の、ヘイズ、ガラス転移温度(Tg)、引張強度、複素粘度、熱インプリント性、耐熱性の測定を行った、その評価結果を表1に示す。
[比較例6]
重合体(D)の代わりに重合体(F)を使用した以外は、実施例2と同様にして、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物の、ヘイズ、ガラス転移温度(Tg)、引張強度、複素粘度、熱インプリント性、耐熱性の測定を行った、その評価結果を表1に示す。
[比較例7]
重合体(D)の代わりに重合体(G)を使用した以外は、実施例3と同様にして、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物の、ヘイズ、ガラス転移温度(Tg)、引張強度、複素粘度、熱インプリント性、耐熱性の測定を行った、その評価結果を表1に示す。
[表1]
Figure 2011111573
この結果から以下のことがわかる。
結晶性ノルボルネン系重合体を含有させない場合には、充填率が低く熱インプリント性に劣る(比較例1)。
結晶性ノルボルネン系重合体を多く含有させると、充填率は高いが、ヘイズが高く透明性にも劣り、表面粗さも悪化する(比較例2)。
非晶質環状オレフィン重合体の分子量を小さくすると、結晶性ノルボルネン系重合体を含有させなくとも、充填率が高く表面粗さが小さく熱インプリント性に優れるが、強度に劣る(比較例3)。
非晶質環状オレフィン重合体のガラス転移温度(Tg)を低くすると、結晶性ノルボルネン系重合体を含有させなくとも、充填率が高く表面粗さが小さく熱インプリント性に優れるが、耐熱性が悪化する(比較例4)。
結晶性ノルボルネン系重合体の変わりに滑剤を添加した樹脂組成物は、充填率が高く表面粗さが小さく熱インプリント性に優れるが、強度に劣る。(比較例5)。
非晶質環状オレフィン重合体の重量平均分子量と、結晶性ノルボルネン系重合体の重量平均分子量の比が小さいと、ヘイズ高く透明性に劣る(比較例6)。
非晶質環状オレフィン重合体の重量平均分子量と、結晶性ノルボルネン系重合体の重量平均分子量の比が大きいと、表面粗さが悪化する(比較例7)。
本発明の結晶性ノルボルネン系重合体を1〜10重量部含有し、非晶質環状オレフィン重合体の重量平均分子量と、結晶性ノルボルネン系重合体の重量平均分子量の比が所定の範囲にある樹脂組成物は、透明性、耐熱性、強度に優れ、充填率が高く表面粗さが小さく熱インプリント性にも優れる。(実施例1〜4)。

Claims (5)

  1. 非晶質環状オレフィン重合体100重量部に対し、2−ノルボルネンが75〜100重量%と置換基含有ノルボルネン類が25〜0重量%とを含有してなる重合性単量体を開環重合し、水素添加して得られる、融点が55〜145℃である結晶性ノルボルネン系重合体を1〜10重量部含有する樹脂組成物であり、
    非晶質環状オレフィン重合体の重量平均分子量をMw、結晶性ノルボルネン系重合体の重量平均分子量をMwとしたとき、
    0.6≦Mw/Mw≦1.0
    であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記樹脂組成物のガラス転移温度をTg℃としたとき、回転型レオメーターで歪み0.1%及び周波数1.0rad/sの条件で測定した(Tg+50)℃における複素粘度が、170〜300kPa・sであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2記載の樹脂組成物からなるフィルム。
  4. 請求項3に記載のフィルムを熱インプリントしてなる成形体。
  5. 光学材料である請求項4に記載の成形体。
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JP2009271069A Pending JP2011111573A (ja) 2009-11-30 2009-11-30 非晶質環状オレフィン重合体及び結晶性ノルボルネン系重合体からなる樹脂組成物。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2013028398A1 (en) * 2011-08-19 2013-02-28 Avery Dennison Corporation Barrier films
JPWO2017006600A1 (ja) * 2015-07-09 2018-04-19 日本ゼオン株式会社 樹脂組成物、樹脂成形体、及び光学部材
US10335308B2 (en) 2011-12-22 2019-07-02 Avery Dennison Corporation Flexible barrier films containing cyclic olefins
JP2019151723A (ja) * 2018-03-02 2019-09-12 三井化学株式会社 環状オレフィン系樹脂を含む成形用材料および成形体
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