JP2012149121A - 押出ラミネート用樹脂組成物及び積層体 - Google Patents
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Abstract
成形性及びヒートシール性に優れる結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物を含む押出ラミネート用樹脂組成物、及びこの樹脂組成物を押出ラミネートして得られる積層体を提供する。
【解決手段】
2−ノルボルネンが90〜100重量%、脂肪族性の炭素−炭素二重結合を含まない置換基を有する2−ノルボルネン0〜10重量%からなるノルボルネン系単量体を開環重合して得られる開環重合体の、炭素−炭素二重結合の80%以上を水素添加してなる、融点が110〜145℃、分岐指数が0.3〜0.98、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が20,000〜60,000の結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物を含むことを特徴とする押出ラミネート用樹脂組成物、及び、この樹脂組成物を押出ラミネートして得られる積層体。
【選択図】 なし。
Description
(1)2−ノルボルネンが90〜100重量%、脂肪族性の炭素−炭素二重結合を含まない置換基を有する2−ノルボルネン0〜10重量%からなるノルボルネン系単量体を開環重合して得られる開環重合体の、炭素−炭素二重結合の80%以上を水素添加してなる、融点が110〜145℃、分岐指数が0.3〜0.98、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が20,000〜60,000の結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物を含むことを特徴とする押出ラミネート用樹脂組成物。
(2)前記開環重合体が、分岐剤の存在下に、前記ノルボルネン系単量体を開環重合して得られるものであることを特徴とする(1)に記載の押出ラミネート用樹脂組成物。
(3)分岐剤が、末端に、脂肪族性の炭素−炭素二重結合を含む置換基を有する脂環式構造含有単量体であることを特徴とする(2)に記載の押出ラミネート用樹脂組成物。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物を基材フィルムに押出ラミネートして得られる積層体。
本発明の樹脂組成物は、2−ノルボルネンが90〜100重量%、脂肪族性の炭素−炭素二重結合を含まない置換基を有する2−ノルボルネン0〜10重量%からなるノルボルネン系単量体を開環重合して得られる開環重合体の、炭素−炭素二重結合の80%以上を水素添加してなる、融点が110〜145℃、分岐指数が0.3〜0.98、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が20,000〜60,000の結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物を含むことを特徴とする。
本発明に用いるノルボルネン系単量体は、オレフィンとメタセシス反応により分岐構造を生成しない、ノルボルネン構造を有する単量体であり、2−ノルボルネンと、脂肪族性の炭素−炭素二重結合を含まない置換基を有する2−ノルボルネンで構成される。
5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(5−フェニル−2−ノルボルネン)等の芳香環を有するノルボルネン類;
5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン)、5−エトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニル−5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、2−メチルプロピオン酸5−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、2−メチルオクタン酸5−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ジ(ヒドロキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシイソプロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−カルボキシ−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等の酸素原子を含む極性基を有するノルボルネン類;
5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−カルボキシ−5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等の窒素原子を含む極性基を有するノルボルネン類;等が挙げられる。
具体的には、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン等のジシクロペンタジエン類;
テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンとも言う)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン(「1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセン」ともいう。)等の芳香環を有するノルボルネン類;
テトラシクロドデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキシルテトラシクロドデセン、8−シクロペンチルテトラシクロドデセン等の無置換又はアルキル基を有するテトラシクロドデセン類;
8−フェニルテトラシクロドデセン等の芳香環を有するテトラシクロドデセン類;
8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−ヒドロキシメチルテトラシクロドデセン、8−カルボキシテトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸無水物等の酸素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;
8−シアノテトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸イミド等の窒素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;
8−クロロテトラシクロドデセン等のハロゲン原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;
8−トリメトキシシリルテトラシクロドデセン等のケイ素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;
ヘキサシクロヘプタデセン、12−メチルヘキサシクロヘプタデセン、12−エチルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロヘキシルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロペンチルヘキサシクロヘプタデセン等の無置換又はアルキル基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;
12−フェニルヘキサシクロヘプタデセン等の芳香環を有するヘキサシクロヘプタデセン類;
12−メトキシカルボニルヘキサシクロヘプタデセン、12−メチル−12−メトキシカルボニルヘキサシクロヘプタデセン、12−ヒドロキシメチルヘキサシクロヘプタデセン、12−カルボキシヘキサシクロヘプタデセン、ヘキサシクロヘプタデセン12,13−ジカルボン酸、ヘキサシクロヘプタデセン12,13−ジカルボン酸無水物等の酸素原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;
12−シアノヘキサシクロヘプタデセン、ヘキサシクロヘプタデセン12,13−ジカルボン酸イミド等の窒素原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;
12−クロロヘキサシクロヘプタデセン等のハロゲン原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;
12−トリメトキシシリルヘキサシクロヘプタデセン等の、ケイ素原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;等が挙げられる。
脂肪族性の炭素−炭素二重結合を含まない置換基を有するノルボルネン単量体は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
分岐剤は、カルベン錯体触媒存在下、2種のオレフィンの結合の組み替えが起こり、新たなオレフィンが生成するオレフィンメタセシス反応に寄与する物質である。
脂肪族性の炭素−炭素二重結合を含む置換基としては、炭素数が通常2〜20、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜4のアルケニル基が挙げられる。具体的には、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、5−ヘプチル基等である。これらの中でも、より流動性に優れるノルボルネン系開環重合体水素化物が得られることから、末端に炭素−炭素二重結合を含む、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、ビニル基とアリル基が特に好ましい。
また、脂環式構造としては、シクロアルカン構造又はシクロアルケン構造が挙げられる。
exo−trans−exo−ペンタシクロ[8.2.1.14,7.02,9.03,8]テトラデカ−5,11−ジエン(以下、「NB−dimer」ということがある。)、4,4a,4b,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ビスメタノ−1H−フルオレン、1α,4α:5α,8α−ジメタノ−1,4,4a,5,8,8a,9,9a,10,10a−デカヒドロアントラセン、5,5’−ビ(ノルボルナ−2−エン)、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4,9−ジエン、1,4,4a,5,8,8a,9,9a,10,10a−デカヒドロ−1,4:5,8:9,10−トリメタノアントラセン等のような分子内に2つのノルボルネン構造を有する単量体;
1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、4−(2−プロペニル)−1,6−ヘプタジエン、3−ビニル−1,4−ペンタジエン、3−ビニル−1,5−ヘキサジエン、1,3,5−トリビニルベンゼン、1,2,4−トリビニルベンゼン、1,2,4,5−テトラビニルベンゼン等のような分子内に3つ以上の末端炭素−炭素二重結合を有する単量体;等が挙げられる。
すなわち、2−ノルボルネン(2−NB)と5−ビニルノルボルネン(VNB)が開環メタセシス反応を起こしてポリマー鎖(1)を生じ、これに別のポリマー鎖(2−1)がメタセシス反応することで、3分岐のポリマー(3)が生成する。
すなわち、2−ノルボルネン(2−NB)とNB−dimerが開環メタセシス反応を起こしてポリマー鎖(4)を生じ、これに別のポリマー鎖(2−1)がメタセシス反応することで、ポリマー鎖(5)が生成する。さらに、これに2−ノルボルネン(NB)がメタセシス反応を起こすことで、4分岐ポリマー(6)が生成する。
すなわち、2−ノルボルネン(2−NB)から得られるポリマー鎖(2)と、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン(TVC)の3つのビニル基とがそれぞれメタセシス反応を起こして、3分岐のポリマー(7)が生成する。
ノルボルネン系単量体の開環重合に用いるメタセシス重合触媒としては、例えば、特公昭41−20111号公報、特開昭46−14910号公報、特公昭57−17883号公報、特公昭57−61044号公報、特開昭54−86600号公報、特開昭58−127728号公報、特開平1−240517号公報等に記載された、本質的に(i)遷移金属化合物触媒成分と(ii)金属化合物助触媒成分からなる一般のメタセシス重合触媒;シュロック型重合触媒(特開平7−179575号公報、Schrock et al.,J.Am.Chem.Soc.,1990年,第112巻,3875頁〜等)や、グラブス型重合触媒(Fu et al.,J.Am.Chem.Soc.,1993年,第115巻,9856頁〜;Nguyen et al.,J.Am.Chem.Soc.,1992年,第114巻,3974頁〜;Grubbs et al.,WO98/21214号パンフレット等)等のリビング開環メタセシス触媒;等が挙げられる。
これらの中でも、得られる重合体の分子量分布を好適な範囲に調節するには、(i)遷移金属化合物触媒成分と(ii)金属化合物助触媒成分とからなるメタセシス重合触媒が好ましい。
具体例としては、TiCl4、TiBr4、VOCl3、WBr3、WCl6、WOCl4、MoCl5、MoOCl4、WO3、H2WO4等が挙げられる。なかでも、重合活性等の点から、W、Mo、Ti、又はVの化合物が好ましく、特にこれらのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、又はアルコキシハロゲン化物が好ましい。
具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等の有機アルミニウム化合物;テトラメチルスズ、ジエチルジメチルスズ、テトラブチルスズ、テトラフェニルスズ等の有機スズ化合物;n−ブチルリチウム等の有機リチウム化合物;n−ペンチルナトリウム等の有機ナトリウム化合物;メチルマグネシウムイオジド等の有機マグネシウム化合物;ジエチル亜鉛等の有機亜鉛化合物;ジエチルカドミウム等の有機カドミウム化合物;トリメチルホウ素等の有機ホウ素化合物;等が挙げられる。これらの中で、第13族の金属の化合物が好ましく、特にAlの有機化合物が好ましい。
開環重合においては、反応系に分子量調節剤を添加することができる。分子量調節剤を添加することで、得られる開環重合体の分子量を調整することができる。
開環重合は、ノルボルネン系単量体、分岐剤、メタセシス重合触媒、及び所望により分子量調節剤を混合することにより開始させることができる。
重合時間は、特に制限はなく、通常1分間から100時間である。
重合時の圧力条件は特に限定されないが、加圧条件下で重合する場合、加える圧力は通常1MPa以下である。
反応終了後においては、通常の後処理操作により目的とするノルボルネン系開環重合体を単離することができる。
得られたノルボルネン系開環重合体は、次の水素添加反応工程へ供される。後述するように、開環重合を行った反応溶液に水素添加触媒を添加して、ノルボルネン系開環重合体を単離することなく、連続的に水素添加反応を行うこともできる。
触媒の使用量は、ノルボルネン系開環重合体100重量部に対し、通常0.05〜10重量部である。
凝固法は、重合体溶液を重合体の貧溶媒と混合することにより、重合体を析出させる方法である。用いる貧溶媒としては、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;等の極性溶媒が挙げられる。
凝固して得られた粒子状の成分は、例えば、真空中又は窒素中若しくは空気中で加熱して乾燥させて粒子状にするか、さらに必要に応じて溶融押出機から押し出してペレット状にすることができる。
直接乾燥法は、重合体溶液を減圧下加熱して溶媒を除去する方法である。この方法には、遠心薄膜連続蒸発乾燥機、掻面熱交換型連続反応器型乾燥機、高粘度リアクタ装置等の公知の装置を用いて行うことができる。真空度や温度はその装置によって適宜選択され、限定されない。
以上のようにして、本発明の結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物を得ることができる。
本発明に用いる結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物は、ノルボルネン系開環重合体中の炭素−炭素二重結合の水素添加率が通常80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上、特に好ましくは99.9%以上である。上記の範囲にあると、樹脂焼けに起因する着色が抑えられ好ましい。
結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物の水素添加率は、溶媒に重クロロホルムを用い、1H−NMRにより測定して求めることができる。
[η]Braは分岐状の結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物の極限粘度、[η]Linは同一の重量平均分子量である直鎖状の結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物の極限粘度である。ここで極限粘度[η]は、シクロヘキサンに溶解した試料を60℃で測定した値である。
Mw/Mnが狭すぎると、該重合体の温度に対する溶融粘度が敏感に変化し易くなるため、フィルム、シート等の成形品の加工性が悪化するおそれがある。また、Mw/Mnが広すぎると、成形品の機械的特性が低下するおそれがある。
本発明の積層体は、本発明の樹脂組成物を基材に押出ラミネート成形して得られるものである。
すなわち、本発明の押出ラミネート用樹脂組成物を、従来公知の方法、例えば、本発明の押出ラミネート用樹脂組成物を、Tダイキャスト成形などの押出成形することによって単層フィルムにし、あるいは他の樹脂と共押出成形することによって多層の共押出フィルムにし、次に、これら単層あるいは多層フィルムを、押出コーティング法やサンドイッチラミネーション法などにより各種基材と積層する方法をあげることができる。
押出ラミネート層の厚みは、一般に10〜100μm、好ましくは15〜50μm、特に好ましくは3〜40μmである。
基材の厚みは、通常3〜2000μm、好ましくは5〜2000μm、より好ましくは5〜1000μmである。
なかでも、食品分野、医療分野、エネルギー分野、ディスプレイ分野等の用途に適している。
食品分野としては、ハム、ソーセージ、レトルト食品、冷凍食品等の加工食品、乾燥食品、特定保険食品、米飯、菓子、食肉、ラップフィルム、シュリンクフィルム等の食品包装袋、ブリスター・パッケージ用フィルム等として使用できる。
医療分野では、薬栓、輸液用バッグ、点滴用バッグ、プレス・スルー・パッケージ(PTP)用フィルム、ブリスター・パッケージ用フィルム等で使用できる。
エネルギー分野では太陽光発電システム周辺部材、燃料電池周辺部材、アルコール含有燃料系統部材及びそれらの包装フィルム等として使用できる。
ディスプレイ分野では、バリアーフィルム、位相差フィルム、偏光フィルム、光拡散シート、集光シート等として使用できる。
(1)ノルボルネン系開環重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、トルエンを溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値として測定した。
測定装置として、GPC−8020シリーズ(DP8020、SD8022、AS8020、CO8020、RI8020、東ソー社製)を用いた。
標準ポリスチレンとしては、標準ポリスチレン(Mwが500、2630、10200、37900、96400、427000、1090000、5480000のものの計8点、東ソー社製)を用いた。
サンプルは、サンプル濃度1mg/mlになるように、測定試料をトルエンに溶解後、カートリッジフィルター(ポリテトラフルオロエチレン製、孔径0.5μm)で濾過して調製した。
測定は、カラムに、TSKgelGMHHR・H(東ソー社製)を2本直列に繋いで用い、流速1.0ml/min、サンプル注入量100μ1、カラム温度40℃の条件で行った。
サンプルは、サンプル濃度1mg/mlになるように、60℃にて測定試料をシクロヘキサンに加熱溶解させて調製した。
測定装置として、Mode1350HTGPC(Viscotek社製)を用いた。
測定は、カラムに、TSKgelG2000HHR、TSKgelG4000HHR、TSKgelG4000HHR(東ソー社製)を3本直列に繋いで用い、流速1.0ml/min、サンプル注入量100μ1、カラム温度60℃の条件で行った。
ちなみに、31.8ppmピークは、該重合体中の2−ノルボルネンの繰り返し単位のシス体由来のもの、33.0ppmピークは、該重合体中の2−ノルボルネンの繰り返し単位のトランス体由来のものである。
極限粘度[η]は、シクロヘキサンに溶解した試料を、60℃下、ウデローデ粘度計を用いる多点法により、濃度調整4点の粘度を測定し、各測定点の関係を濃度ゼロに外挿した。
同じ重量平均分子量の直鎖状のノルボルネン系開環重合体水素化物の極限粘度は、4点以上の異なる絶対重量平均分子量の直鎖状のノルボルネン系開環重合体水素化物の極限粘度を[η]Lin=KMwa(ここで、[η]Linは極限粘度、Mwは絶対平均分子量、K、aは定数である)で近似し、内挿することで求めた。
直鎖状のノルボルネン系開環重合体水素化物は、オレフィンメタセシス反応しうる置換基を有する化合物(「分岐剤」)の非存在下、分岐状のノルボルネン系開環重合体水素化物と同一の単量体を共重合後、水素添加することで得ることができ、分子量調節剤の量を変えることで異なる重量平均分子量の直鎖状のノルボルネン系開環重合体を得た。
(開環重合)
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン700重量部に、1−ヘキセン0.92重量部、ジイソプロピルエーテル1.06重量部、トリイソブチルアルミニウム0.34重量部、及びイソブチルアルコール0.13重量部を室温で反応器に入れ混合した。そこへ、2−ノルボルネン(2−NB)250重量部、5−ビニル−2−ノルボルネン(以下、「VNB」とすることがある。)1.28重量部及び六塩化タングステン1.0重量%トルエン溶液26重量部を、65℃に保ちながら、2時間かけて連続的に添加し、重合を行った。重合転化率は、ほぼ100%であった。
得られた開環重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、33,500、分子量分布(Mw/Mn)は3.5であった。
上記で得た重合反応液を耐圧の水素化反応器に移送し、そこへ、ケイソウ土担持ニッケル触媒(T8400、ニッケル担持率58重量%、ズードヘミー触媒社製)1.0重量部を加え、200℃、水素圧4.5MPaで6時間反応させた。この溶液を、珪藻土を濾過助剤としてステンレス製金網を備えた濾過器により濾過し、触媒を除去した。
得られた反応溶液を3000重量部のイソプロピルアルコール中に撹拌下に注いで水素化物を沈殿させ、濾別して回収した。さらに、アセトン500重量部で洗浄したの
ち、0.13×103Pa以下、100℃に設定した減圧乾燥器中で48時間乾燥して、開環重合体水素化物(A)を190重量部得た。
得られた開環重合体水素化物(A)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は、38,300、分子量分布(Mw/Mn)は3.0、異性化率は6%、融点は135℃、分岐指数は0.82、MFRは36であった。
得られた開環重合体水素化物(A)100重量部に酸化防止剤(テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、イルガノックス(登録商標)1010、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)(以下「酸化防止剤(A)」と略す。)0.1重量部を加え、2軸混練機(TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化して樹脂組成物(A)を得た。
得られた樹脂組成物(A)を、65mmφの押出機とダイ幅500mmのTダイを有する住友重機社製ラミネーターを用いて、基材である50g/m2のクラフト紙上に、押出ラミネートして積層体(A)を得た。
・エアギャップ:130mm
・樹脂温度:280℃
・引取速度:40m/minのとき、膜厚が30μmになるように設定した。
引取サージング発生速度及び膜切れ速度と、積層体(A)のヒートシール強度を表1に示す。
(開環重合)
実施例1において、1−ヘキセンを0.55重量部、VNBを1.91重量部用いた以外は実施例1と同様にして開環共重合体(B)を得た。重合転化率は、ほぼ100%であった。
開環共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)は、50,200、分子量分布(Mw/Mn)は4.7であった。
実施例1と同様にして、得られた開環共重合体(B)を水素添加して開環重合体水素化物(B)を得た。
開環重合体水素化物(B)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は、56,700、分子量分布(Mw/Mn)は4.1、異性化率は8%、融点は136℃、分岐指数は0.73、MFRは14であった。
得られた開環重合体水素化物(B)から、実施例1と同様にして樹脂組成物(B)を得た。
得られた樹脂組成物(B)から、実施例1と同様にして積層体(B)を得た。引取サージング発生速度及び膜切れ速度と、積層体(B)のヒートシール強度を表1に示す。
(開環重合)
実施例1において、VNBを3.83重量部用いた以外は実施例1と同様にして開環共重合体(C)を得た。重合転化率は、ほぼ100%であった。
開環共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)は、35,100、分子量分布(Mw/Mn)は3.6であった。
実施例1と同様にして、得られた開環共重合体(C)を水素添加して開環重合体水素化物(C)を得た。
開環重合体水素化物(C)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は、39,200、分子量分布(Mw/Mn)は3.1、異性化率は8%、融点は129℃、分岐指数は0.48、MFRは38であった。
得られた開環重合体水素化物(C)から、実施例1と同様にして樹脂組成物(C)を得た。
得られた樹脂組成物(C)から、実施例1と同様にして積層体(C)を得た。引取サージング発生速度及び膜切れ速度と、積層体(C)のヒートシール強度を表1に示す。
(開環重合)
実施例1において、モノマーを、NBを245重量部、ジシクロペンタジエン(以下「DCP」と略すことがある。)5重量部とし、1−ヘキセンを1.75重量部、VNBを1.90重量部用いた以外は実施例1と同様にして開環共重合体(D)を得た。重合転化率は、ほぼ100%であった。
開環共重合体(D)の重量平均分子量(Mw)は、24,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.9であった。
実施例1と同様にして、得られた開環共重合体(D)を水素添加して開環重合体水素化物(D)を得た。
開環重合体水素化物(D)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は、24,800、分子量分布(Mw/Mn)は2.6、異性化率は7%、融点は126℃、分岐指数は0.71、MFRは58であった。
得られた開環重合体水素化物(D)から、実施例1と同様にして樹脂組成物(D)を得た。
得られた樹脂組成物(D)から、実施例1と同様にして積層体(D)を得た。引取サージング発生速度及び膜切れ速度と、積層体(D)のヒートシール強度を表1に示す。
(開環重合)
実施例1において、モノマーを、NBを240重量部、DCPを10重量部とし、VNBを2.52重量部用いた以外は実施例1と同様にして開環共重合体(E)を得た。重合転化率は、ほぼ100%であった。
開環共重合体(E)の重量平均分子量(Mw)は、37,200、分子量分布(Mw/Mn)は3.5であった。
実施例1と同様にして、得られた開環共重合体(E)を水素添加して開環重合体水素化物(E)を得た。
開環重合体水素化物(E)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は、38,500、分子量分布(Mw/Mn)は3.0、異性化率は6%、融点は130℃、分岐指数は0.67、MFRは34であった。
得られた開環重合体水素化物(E)から、実施例1と同様にして樹脂組成物(E)を得た。
得られた樹脂組成物(E)から、実施例1と同様にして積層体(E)を得た。引取サージング発生速度及び膜切れ速度と、積層体(E)のヒートシール強度を表1に示す。
(開環重合)
実施例1において、VNBを添加しなかった以外は実施例1と同様にして開環共重合体(F)を得た。重合転化率は、ほぼ100%であった。
開環共重合体(F)の重量平均分子量(Mw)は、36,200、分子量分布(Mw/Mn)は2.9であった。
実施例1と同様にして、得られた開環共重合体(F)を水素添加して開環重合体水素化物(F)を得た。
開環重合体水素化物(F)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は、37,100、分子量分布(Mw/Mn)は2.4、異性化率は7%、融点は138℃、分岐指数は1.0、MFRは48であった。
得られた開環重合体水素化物(F)から、実施例1と同様にして樹脂組成物(F)を得た。
得られた樹脂組成物(F)から、実施例1と同様にして積層体(F)を得た。引取サージング発生速度及び膜切れ速度と、積層体(F)のヒートシール強度を表1に示す。
(開環重合)
実施例1において、1−ヘキセンを0.43重量部、VNBを1.60重量部用いた以外は実施例1と同様にして開環共重合体(G)を得た。重合転化率は、ほぼ100%であった。
開環共重合体(G)の重量平均分子量(Mw)は、59,100、分子量分布(Mw/Mn)は6.7であった。
実施例1と同様にして、得られた開環共重合体(G)を水素添加して開環重合体水素化物(G)を得た。
開環重合体水素化物(G)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は、68,200、分子量分布(Mw/Mn)は5.2、異性化率は7%、融点は136℃、分岐指数は0.77、MFRは3であった。
得られた開環重合体水素化物(H)から、実施例1と同様にして樹脂組成物(H)を得た。
得られた樹脂組成物(H)から、実施例1と同様にして積層体(H)を得た。引取サージング発生速度及び膜切れ速度と、積層体(H)のヒートシール強度を表1に示す。
(開環重合)
実施例1において、VNBを6.38重量部用いた以外は実施例1と同様にして開環共重合体(H)を得た。重合転化率は、ほぼ100%であった。
開環共重合体(H)の重量平均分子量(Mw)は、39,500、分子量分布(Mw/Mn)は2.8であった。
実施例1と同様にして、得られた開環共重合体(H)を水素添加して開環重合体水素化物(H)を得た。
開環重合体水素化物(H)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は、40,600、分子量分布(Mw/Mn)は2.3、異性化率は8%、融点は126℃、分岐指数は0.15、MFRは22であった。
得られた開環重合体水素化物(H)から、実施例1と同様にして樹脂組成物(H)を得た。
得られた樹脂組成物(H)から、実施例1と同様にして積層体(H)を得た。
引取サージング発生速度及び膜切れ速度と、積層体(H)のヒートシール強度を表1に示す。
一方、比較例1の分岐指数が0.98より大きい直鎖状の開環重合体水素化物(F)は、膜切れ速度が高いものの、引取サージング発生速度が低く、生産性に劣っていた。
比較例2において、分子量が高い開環重合体水素化物(G)は、膜切れ速度が小さく、生産に劣り、得られる積層体のヒートシール性に劣っていた。
比較例3において、分岐剤の量を多くして、分岐指数を0.11まで小さくした開環重合体水素化物(H)は、膜切れ速度が小さく、ラミネート加工性に劣っていた。
以上のことから、実施例のラミネート用樹脂組成物及び積層体は、近年の情報分野、食品分野、医療分野、土木分野等において要求される、加工性、ヒートシール性の面で優れているといえる。
Claims (4)
- 2−ノルボルネンが90〜100重量%、脂肪族性の炭素−炭素二重結合を含まない置換基を有する2−ノルボルネン0〜10重量%からなるノルボルネン系単量体を開環重合して得られる開環重合体の、炭素−炭素二重結合の80%以上を水素添加してなる、融点が110〜145℃、分岐指数が0.3〜0.98、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が20,000〜60,000の結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物を含むことを特徴とする押出ラミネート用樹脂組成物。
- 前記開環重合体が、分岐剤の存在下に、前記ノルボルネン系単量体を開環重合して得られるものであることを特徴とする請求項1に記載の押出ラミネート用樹脂組成物。
- 分岐剤が、末端に、脂肪族性の炭素−炭素二重結合を含む置換基を有する脂環式構造含有単量体であることを特徴とする請求項2に記載の押出ラミネート用樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物を基材フィルムに押出ラミネートして得られる積層体。
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