JP2014148635A - 樹脂組成物及びその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】 液体内容物への溶出の少ない液体用容器などの成形体を与える樹脂組成物及び該樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 2−ノルボルネンが90〜100質量%と置換基含有ノルボルネン系単量体が10〜0質量%を含有してなる重合性単量体を開環重合し、水素添加して得られる、融点が110〜145℃、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が50,000〜200,000、重量平均分子量/数平均分子量が1.5〜10.0である結晶性ノルボルネン系開環重合体100質量部に対し、及びアミド系核剤0.03〜0.5質量部を含有する樹脂組成物から、液体用医療用容器を成形する。
【選択図】なし

Description

本発明は、液体内容物への溶出の少ない容器などの包装材料となる樹脂組成物及びそれからなる成形体に関する。
結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物は、防湿性、耐熱性、耐油性、機械的物性、加工性等の優れた性能を有し、情報分野、食品分野、医療分野等の包装体等として有用な当該樹脂からなるフィルムが検討されている。
そして結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物からなるフィルムの透明性と防湿性を改善するため、結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物を核剤存在下で結晶化したフィルムが検討された(例えば、特許文献1参照)。
更に、フィルムの成形時の操作性を向上させ、かつ剛性と防湿性にも優れたフィルムを与える樹脂組成物として、非晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物に結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物を配合することが検討されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2009−084332号公報 特開2011−006498号公報
係る従来技術の下、本発明者は、特許文献2に記載された樹脂組成物を用いて液体を封入する医療用容器を検討したところ、容器からの有機物の溶出があることを確認した。
そこで本発明者は、この問題を解決するために鋭意検討した結果、核剤として、特定のものを用いることで溶出を高度に抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
かくして本発明によれば、2−ノルボルネンが90〜100質量%と置換基含有ノルボルネン系単量体が10〜0質量%を含有してなる重合性単量体を開環重合し、水素添加して得られる、融点が110〜145℃、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が50,000〜200,000、重量平均分子量/数平均分子量が1.5〜10.0である結晶性ノルボルネン系開環重合体100質量部に対し、及びアミド系核剤0.03〜0.5質量部を含有する樹脂組成物が提供される。
前記樹脂組成物は、更にガラス転移温度が50℃以上で融点を有しない非晶性ノルボルネン系開環重合体10〜100質量部を含有するのが好ましい。
また、本発明によれば上記樹脂組成物を成形してなる成形体が提供される。この成形体は、液体用医療用容器に好適である。
本発明の樹脂組成物は、結晶性ノルボルネン系開環重合体に、非晶性ノルボルネン系開環体と核剤を含有させてなる。
(1)結晶性ノルボルネン系開環重合体
本発明に用いる結晶性ノルボルネン系開環重合体は、2−ノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)が90〜100質量%と置換基含有ノルボルネン系単量体10〜0質量%とを含有してなる重合性単量体を開環重合し、水素添加して得られ、融点が110〜145℃、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が50,000〜200,000、重量平均分子量/数平均分子量が1.5〜10.0である。
2−ノルボルネンは公知の化合物であり、例えば、シクロペンタジエンとエチレンとを反応させることにより得ることができる。
置換基含有ノルボルネン系単量体は、分子内にノルボルネン骨格を有する化合物であって、置換基を有する。本発明に用いる「置換基含有ノルボルネン系単量体」は、置換基を有する2−ノルボルネン誘導体のほか、縮合した環を有するノルボルネン化合物も含む。
置換基含有ノルボルネン系単量体の具体例は、分子内にノルボルネン環と縮合する環を有しないノルボルネン系単量体、及び3環以上の多環式ノルボルネン系単量体等である。
前記分子内にノルボルネン環と縮合する環を有しないノルボルネン系単量体の具体例は、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(5−メチル−2−ノルボルネン)、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−デシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のアルキル基を有するノルボルネン類;5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(5−エチリデン−2−ノルボルネン)、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロペンテニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のアルケニル基を有するノルボルネン類;5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(5−フェニル−2−ノルボルネン)等の芳香環を有するノルボルネン類;5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン)、5−エトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニル−5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、2−メチルプロピオン酸5−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、2−メチルオクタン酸5−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ジ(ヒドロキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシイソプロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−カルボキシ−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等の酸素原子を含む極性基を有するノルボルネン類;5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−カルボキシ−5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等の窒素原子を含む極性基を有するノルボルネン類;等である。
3環以上の多環式ノルボルネン系単量体は、分子内にノルボルネン環と、該ノルボルネン環と縮合している1つ以上の環とを有するノルボルネン系単量体である。その具体例は、下記に示す式(1)又は式(2)で示される単量体である。
Figure 2014148635
(式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基;又はケイ素原子、酸素原子もしくは窒素原子を含む置換基;を表し、互いに結合して環を形成していてもよい。Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の炭化水素基である。)
Figure 2014148635
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基;又はケイ素原子、酸素原子もしくは窒素原子を含む置換基;を表し、RとRは互いに結合して環を形成していてもよい。mは1又は2である。)
式(1)で示される単量体の具体例は、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:2−ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン等を挙げることができる。また、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンとも言う)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセンとも言う)等の芳香環を有するノルボルネン誘導体である。
式(2)で示される単量体の具体例は、mが1であるテトラシクロドデセン類、mが2であるヘキサシクロヘプタデセン類である。
テトラシクロドデセン類の具体例は、テトラシクロドデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキシルテトラシクロドデセン、8−シクロペンチルテトラシクロドデセン等の無置換又はアルキル基を有するテトラシクロドデセン類;8−メチリデンテトラシクロドデセン、8−エチリデンテトラシクロドデセン、8−ビニルテトラシクロドデセン、8−プロペニルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキセニルテトラシクロドデセン、8−シクロペンテニルテトラシクロドデセン等の環外に二重結合を有するテトラシクロドデセン類;8−フェニルテトラシクロドデセン等の芳香環を有するテトラシクロドデセン類;8−メトキシカルボニルテラシクロドデセン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−ヒドロキシメチルテトラシクロドデセン、8−カルボキシテトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸無水物等の酸素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−シアノテトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸イミド等の窒素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−クロロテトラシクロドデセン等のハロゲン原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−トリメトキシシリルテトラシクロドデセン等のケイ素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類等である。
ヘキサシクロヘプタデセン類の具体例は、ヘキサシクロヘプタデセン、12−メチルヘキサシクロヘプタデセン、12−エチルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロヘキシルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロペンチルヘキサシクロヘプタデセン等の無置換又はアルキル基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−メチリデンヘキサシクロヘプタデセン、12−エチリデンヘキサシクロヘプタデセン、12−ビニルヘキサシクロヘプタデセン、12−プロペニルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロヘキセニルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロペンテニルヘキサシクロヘプタデセン等の環外に二重結合を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−フェニルヘキサシクロヘプタデセン等の芳香環を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−メトキシカルボニルヘキサシクロヘプタデセン、12−メチル−12−メトキシカルボニルヘキサシクロヘプタデセン、12−ヒドロキシメチルヘキサシクロヘプタデセン、12−カルボキシヘキサシクロヘプタデセン、ヘキサシクロヘプタデセン12,13−ジカルボン酸、ヘキサシクロヘプタデセン12,13−ジカルボン酸無水物等の酸素原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−シアノヘキサシクロヘプタデセン、ヘキサシクロヘプタデセン12,13−ジカルボン酸イミド等の窒素原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−クロロヘキサシクロヘプタデセン等のハロゲン原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−トリメトキシシリルヘキサシクロヘプタデセン等のケイ素原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類等である。これらのノルボルネン系単量体は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用い得る。
上記した2−ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体とを組み合わせて用いることもできる。
2−ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体の具体例は、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状ジエン及びその誘導体;等である。
単量体の組成は、2−ノルボルネンが、通常90〜100質量%、好ましくは95〜100質量%、より好ましくは97〜100質量%、特に好ましくは98〜100重量%であり、置換基含有ノルボルネン系単量体は、通常0〜10質量%、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜3質量%、特に好ましくは0〜2重量%である。
メタセシス重合触媒の具体例は、特公昭41−20111号公報、特開昭46−14910号公報、特公昭57−17883号公報、特公昭57−61044号公報、特開昭54−86600号公報、特開昭58−127728号公報、特開平1−240517号公報等に記載された、本質的に(a)遷移金属化合物触媒成分と(b)金属化合物助触媒成分からなる一般のメタセシス重合触媒;シュロック型重合触媒(特開平7−179575号公報、Schrock et al.,J.Am.Chem.Soc.,1990年,第112巻,3875頁〜等)や、グラブス型重合触媒(Fu et al.,J.Am.Chem.Soc.,1993年,第115巻,9856頁〜;Nguyen et al.,J.Am.Chem.Soc.,1992年,第114巻,3974頁〜;Grubbs et al.,国際公開第98/21214号パンフレット等)等のリビング開環メタセシス触媒;等である。
これらの中でも、得られる重合体の分子量分布を好適な範囲に調節するには、(a)遷移金属化合物触媒成分と(b)金属化合物助触媒成分とからなるメタセシス重合触媒が好ましい。
前記(a)遷移金属化合物触媒成分は、周期律表第3〜11族の遷移金属の化合物である。例えば、これらの遷移金属のハロゲン化物、オキシハロゲン化物、アルコキシハロゲン化物、アルコキシド、カルボン酸塩、(オキシ)アセチルアセトネート、カルボニル錯体、アセトニトリル錯体、ヒドリド錯体、これらの誘導体、これら又はこれらの誘導体のP(C等の錯化剤による錯化物が挙げられる。
前記(a)遷移金属化合物触媒成分の具体例は、TiCl、TiBr、VOCl、WBr、WCl、WOCl、MoCl、MoOCl、WO、HWO等である。なかでも、重合活性等の点から、W、Mo、Ti、Vの化合物が好ましく、特にこれらのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、アルコキシハロゲン化物が好ましい。
前記(b)金属化合物助触媒成分は、周期律表第1〜2族、及び第12〜14族の金属の化合物で少なくとも一つの金属元素−炭素結合、又は金属元素−水素結合を有する。前記(b)金属化合物助触媒成分の具体例は、Al、Sn、Li、Na、Mg、Zn、Cd、B等の有機化合物等である。
前記(b)金属化合物助触媒成分の具体例は、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等の有機アルミニウム化合物;テトラメチルスズ、ジエチルジメチルスズ、テトラブチルスズ、テトラフェニルスズ等の有機スズ化合物;n−ブチルリチウム等の有機リチウム化合物;n−ペンチルナトリウム等の有機ナトリウム化合物;メチルマグネシウムイオジド等の有機マグネシウム化合物;ジエチル亜鉛等の有機亜鉛化合物;ジエチルカドミウム等の有機カドミウム化合物;トリメチルホウ素等の有機ホウ素化合物;等である。これらの中で、第13族の金属の化合物が好ましく、特にAlの有機化合物が好ましい。
前記(a)成分、(b)成分の他に第三成分を加えて、メタセシス重合活性を高めることができる。用いる第三成分の具体例は、脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、分子状酸素、アルコール、エーテル、過酸化物、カルボン酸、酸無水物、酸クロリド、エステル、ケトン、含窒素化合物、含ハロゲン化合物、その他のルイス酸等である。
これらの成分の配合比は、(a)成分:(b)成分が金属元素のモル比で、通常1:1〜1:100、好ましくは1:2〜1:10の範囲である。(a)成分:第三成分がモル比で、通常1:0.005〜1:50、好ましくは1:1〜1:10の範囲である。
重合触媒の使用割合は、(重合触媒中の遷移金属):(全単量体)のモル比で、通常1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:1,000〜1:20,000、より好ましくは1:5,000〜1:8,000である。触媒量が多すぎると重合反応後の触媒除去が困難になったり、分子量分布が広がるおそれがあり、一方、触媒量が少なすぎると触媒の十分な重合活性が得られない。
開環重合は無溶媒で行うこともできるが、好ましくは適当な溶媒中で行う。用いる有機溶媒は、重合体及び重合体水素添加物が所定の条件で溶解もしくは分散し、かつ、重合及び水素添加反応に影響しないものであし、特に限定されないが、工業的に汎用されている溶媒が好ましい。
このような有機溶媒の具体例は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シクロオクタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル等の含窒素炭化水素;ジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン等のエ−テル類等である。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、工業的に汎用されている芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素及びエーテル類が好ましい。
重合を有機溶媒中で行う場合、単量体の好ましい濃度は1〜50質量%であり、より好ましい濃度は2〜45質量%であり、特に好ましい濃度は3〜40重量%である。前記モノマー混合物の濃度が1質量%より小さいと生産性が低くなるおそれがあり、50質量%より大きいと重合後の溶液粘度が高すぎて、その後の水素添加反応が困難となるおそれがある。
開環重合時、分子量調節剤を反応系に添加することができる。分子量調節剤の添加は、得られる開環重合体の分子量の調整を可能にする。
分子量調節剤は特に限定されず、従来公知のものが使用できる。分子量調節剤の具体例は、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン類;スチレン、ビニルトルエン等のスチレン類;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のエーテル類;アリルクロライド等のハロゲン含有ビニル化合物;グリシジルメタクリレート等酸素含有ビニル化合物;アクリルアミド等の窒素含有ビニル化合物;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン等の非共役ジエン、又は1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン等である。これらの中で、分子量調節のし易さから、α−オレフィン類が好ましい。
分子量調節剤の添加量は、所望の分子量を持つ重合体を得るに足る量であればよく、(分子量調節剤):(全単量体)のモル比で、通常1:50〜1:1,000,000、好ましくは1:100〜1:5,000、より好ましくは1:300〜1:3,000である。
開環重合は、単量体と重合触媒の混合により開始される。
開環重合温度は、特に限定されないが、通常−20〜+100℃、好ましくは10〜80℃である。温度が低すぎると反応速度が低下し、高すぎると副反応により、分子量分布が広がるおそれがある。
重合時間は特に制限されず、通常1分間〜100時間である。
重合時の圧力条件は特に限定されないが、加圧条件下で重合する場合、加える圧力は通常1MPa以下である。
反応終了後、通常の後処理操作により目的とするノルボルネン単量体開環重合体を単離することができる。
得られたノルボルネン単量体開環重合体は、次の水素添加反応工程へ供される。後述するように、開環重合を行った反応溶液に水素添加触媒を添加して、ノルボルネン単量体開環重合体を単離することなく、連続的に水素添加反応を行うこともできる。
ノルボルネン単量体開環重合体の水素添加反応は、ノルボルネン単量体開環重合体の主鎖又は/及び側鎖に存在する炭素−炭素二重結合に水素添加する反応である。この水素添加反応は、ノルボルネン単量体開環重合体の不活性溶媒溶液に水素添加触媒を添加し、反応系内に水素を供給して行われる。
水素添加触媒は、オレフィン化合物の水素添加に際して一般に使用されているものであれば、均一系触媒、不均一系触媒のいずれも使用することができる。得られる重合体中の残留金属の除去等を考慮すると、不均一系触媒が好ましい。
均一系触媒の具体例は、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウム等の組み合わせ等の遷移金属化合物とアルカリ金属化合物の組み合わせからなる触媒系;ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリド等の貴金属錯体触媒;等である。
不均一触媒の具体例は、ニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナ等の、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、又はこれらの金属をカーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタン等の担体に担持させた固体触媒系である。
触媒の使用量は、ノルボルネン単量体開環重合体100質量部に対し、通常0.05〜10質量部である。
水素添加反応に用いる不活性有機溶媒の具体例は、前述した2−ノルボルネンと置換基含有ノルボルネン系単量体との開環重合において用いることができる有機溶媒として例示したものと同様の、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン系芳香族炭化水素、含窒素炭化水素、エーテル類等である。
水素添加反応温度は、使用する水素添加触媒によって適する条件範囲が異なるが、通常−20℃〜+300℃、好ましくは0℃〜+250℃である。水素添加温度が低すぎると反応速度が遅くなるおそれがあり、高すぎると副反応が起こる可能性がある。
水素添加反応圧力は、通常0.01〜20MPa、好ましくは0.1〜10MPa、より好ましくは1〜5MPaである。水素添加反応圧力が低すぎると水素添加速度が遅くなり、高すぎると高耐圧反応装置が必要となるので好ましくない。
ノルボルネン単量体開環重合体中の炭素−炭素二重結合の水素添加率は、通常80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上、特に好ましくは99.9%以上である。上記の範囲にあると、成形体の樹脂焼けに起因する着色が抑えられる。
結晶性ノルボルネン系開環重合体の水素添加率は、溶媒に重クロロホルムを用い、H−NMRにより測定して求めることができる。
水素添加反応終了後、反応溶液から水素添加触媒等を濾別し、濾別後の重合体溶液から溶媒等の揮発成分を除去し、目的とする結晶性ノルボルネン系開環重合体を得ることができる。
溶媒等の揮発成分を除去する方法として、凝固法、直接乾燥法等公知の方法を採用することができる。
凝固法は、重合体溶液を重合体の貧溶媒と混合し、重合体を析出させる方法である。用いる貧溶媒の具体例は、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;等の極性溶媒である。
凝固して得られた粒子状の成分は、例えば、真空中又は窒素中若しくは空気中で加熱して乾燥させて粒子状にするか、さらに必要に応じて溶融押出機から押し出してペレット状にすることができる。
直接乾燥法は、重合体溶液を減圧下加熱して溶媒を除去する方法である。この方法は、遠心薄膜連続蒸発乾燥機、掻面熱交換型連続反応器型乾燥機、高粘度リアクタ装置等の公知の装置を用いて行われる。真空度と温度はその装置によって適宜選択され、限定されない。
以上のようにして得られる結晶性ノルボルネン系開環重合体の2−ノルボルネン由来の繰り返し単位(A)の全繰り返し単位に対する存在割合は、通常90〜100質量%、好ましくは95〜100質量%、より好ましくは97〜100質量%、特に好ましくは98〜100重量%であり、置換基含有ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位(B)の全繰り返し単位に対する存在割合は、0〜10質量%、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜3質量%、特に好ましくは0〜2重量%である。
繰り返し単位(B)の存在割合が多すぎると、本発明の成形体の耐熱性と防湿性が悪化するおそれがある。繰り返し単位(B)の存在割合が上記範囲であると、成形体の防湿性及び機械的特性が優れる。
得られる結晶性ノルボルネン系開環重合体の重量平均分子量(Mw)は、1,2,4−トリクロロベンゼンを溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算で50,000〜200,000、好ましくは60,000〜150,000、さらに好ましくは70,000〜120,000である。
Mwがこの範囲にあると、成形加工し易く、得られた成形体は十分な機械的特性を有し、当該成形体の耐油性も優れる。一方、Mwが高すぎると、成形し難く、成形可能な粘度にするため温度を上げる必要があり、樹脂が酸化されやすい。Mwが低すぎると、成形体の機械的特性が低下し、当該成形体の耐油性も劣るおそれがある。
得られる結晶性ノルボルネン系開環重合体の分子量分布(Mw/Mn)は1.5〜10.0、好ましくは2.0〜8.0、さらに好ましくは2.5〜6.0、特に好ましくは2.5〜5.5である。
Mw/Mnが狭すぎると、該重合体の温度に対する溶融粘度が敏感に変化し易くなるため、成形体の加工性が悪化し、厚みムラが発生するおそれがある。Mw/Mnが広すぎると、成形体の機械的特性が低下するおそれがある。なお、Mnは1,2,4−トリクロロベンゼンを溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算として測定した数平均分子量である。
得られる結晶性ノルボルネン系開環重合体の融点は110〜145℃、好ましくは120〜145℃、より好ましくは130℃〜145℃である。
融点が上記の範囲にあると、成形体の耐熱性が優れる。特に、融点が130〜145℃の範囲にある場合、医療用成形体はスチーム滅菌に耐え得る。
なお、結晶性ノルボルネン系開環重合体の融点は、結晶性ノルボルネン系開環重合体の分子量、分子量分布、異性化率、組成比率などにより制御される。
得られる結晶性ノルボルネン系開環重合体の異性化率は、通常40%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。異性化率が高すぎると、該重合体の耐熱性が低下するおそれがある。異性化率は、溶媒にクロロホルムを用い、13C−NMRにより測定した33.0ppmピーク積分値/(31.8ppmピーク積分値+33.0ppmピーク積分値)×100から算出される。なお、31.8ppmピークは、該重合体中の2−ノルボルネン由来の繰り返し単位のシス体由来のもの、33.0ppmピークは、該重合体中の2−ノルボルネン由来の繰り返し単位のトランス体由来のものである。
異性化率を上記範囲にするため、ノルボルネン単量体開環重合体の水素添加反応温度を好ましくは100〜250℃、より好ましくは120〜230℃、特に好ましくは150〜200℃とし、かつ、使用する水素添加触媒の使用量を、ノルボルネン単量体開環重合体100質量部に対し、好ましくは0.2〜5質量部、より好ましくは0.5〜2質量部とする。このような範囲にあると、水素添加反応速度と得られるポリマーの耐熱性のバランスが優れる。
(2)アミド系核剤
アミド系核剤としては、ジカルボン酸アミド系化合物、トリカルボン酸アミド系化合物等を使用することができる。
ジカルボン酸アミド系化合物は、下記一般式(3)で表されるアミド系化合物である。
−NHCO−R−CONH−R (3)
式(3)中、Rは、炭素数1〜24の飽和若しくは不飽和の脂肪族ジカルボン酸残基、炭素数4〜28の飽和若しくは不飽和の脂環族ジカルボン酸残基又は炭素数6〜28の芳香族ジカルボン酸残基を表す。R及びRは同一又は異なって、炭素数3〜18のシクロアルキル基、又は、下記の一般式(a)、一般式(b)、一般式(c)又は一般式(d)で示される基を表し、
Figure 2014148635
一般式(a)〜(d)において、Rは水素原子、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基又はフェニル基を表し、Rは炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表し、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。
ジカルボン酸アミド系化合物としては、N,N’−ジフェニルヘキサンジアミド、N,N’−ジシクロヘキシルテレフタルアミド、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド、N,N’−ジシクロヘキシンカルボニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジベンゾイル−1,5−ジアミノナフタレン、N,N’−ジベンゾイル−1,4−ジアミノシクロヘキサン及び、N,N’−ジシクロヘキサンカルボニル−1,4−ジアミノシクロヘキサン、N−シクロヘキシル−4−(N−シクロヘキサンカルボニルアミノ)ベンズアミド及びN−フェニル−5−(N−ベンゾイルアミノ)ペンタンアミド等が挙げられる。
トリカルボン酸アミド系化合物は、上記一般式(4)で表される化合物である。
Figure 2014148635
(式(4)中、Rはプロパン−1,2,3−トリイル基又はブタン−1,2,3,4−テトライル基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、Rがプロパン−1,2,3−トリイル基であるときkは3であり、Rがブタン−1,2,3,4−テトライル基であるときkは4であり、そして複数存在するRはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。)
このような化合物(4)の具体例としては、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミド、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラシクロヘキシルアミド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−メチルシクロヘキシルアミド)等を挙げることができる。
市販のアミド系核剤としては、例えば、新日本理化社製「リカクリア(登録商標)PC1」(1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、新日本理化社製「エヌジェスター(登録商標)NU−100」(N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド)、新日本理化社製「エヌジェスター(登録商標)TF−1」(N,N’,N”−トリシクロヘキシル−1,3,5−ベンゼントリカルボキサミド)等が挙げられる。
このようなアミド系核剤は、前記結晶性ノルボルネン系開環重合体100質量部に対して、通常0.03〜0.5質量部、好ましくは0.05〜0.5質量部である。アミド系核剤の割合が少なすぎると、改質効果が不十分なため、防湿性が悪化してしまい、逆に多すぎても、配合量に見合うだけの改質効果が得られず、不経済であり、いずれも好ましくない。
(3)非晶性ノルボルネン系開環重合体
本発明の樹脂組成物は、更に非晶性ノルボルネン系開環重合体を含有するのが好ましい。本発明で用いる非晶性ノルボルネン系開環重合体は、ガラス転移温度が50℃以上で、融点を有しない。本発明の樹脂組成物が含有する非晶性ノルボルネン系開環重合体は、重合性単量体を公知の方法により開環重合して得られる開環重合体、又はこの開環重合体を、公知の方法により水素添加して製造される開環重合体水素添加物である。
非晶性ノルボルネン系開環重合体を得るために用いられる重合性単量体の具体例は、2−ノルボルネン化合物、ジシクロペンタジエン化合物、テトラシクロドデセン化合物及びテトラシクロドデセン化合物以外の3環以上の多環式ノルボルネン系単量体等である。
2−ノルボルネン化合物は、2−ノルボルネン又は置換基を有する2−ノルボルネンを意味する。置換基を有する2−ノルボルネンは、上述した置換基含有ノルボルネン系単量体であって、分子内にノルボルネン環と縮合する環を有しないノルボルネン系単量体である。
テトラシクロドデセン化合物は、テトラシクロドデセン又は置換基を有するテトラシクロドデセンを意味する。
ジシクロペンタジエン化合物は、ジシクロペンタジエン又は置換基を有するジシクロペンタジエンを意味する。置換基を有するジシクロペンタジエンの具体例は、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン等である。
これらの置換基は、上述した置換基を有する2−ノルボルネンの置換基と同様である。
非晶性ノルボルネン系開環重合体のガラス転移温度(Tg)は、通常50℃以上、好ましくは55℃以上、より好ましくは60℃以上である。Tgが低くなると、成形体の防湿性が低下する傾向にある。
非晶性ノルボルネン系開環重合体のTgは、上記単量体の組成により適宜調整される。2−ノルボルネン化合物が多いとTgが低くなる傾向にあり、ジシクロペンタジエン又は3環以上の多環式ノルボルネン系単量体が多いとTgが高くなる傾向にある。
非晶性ノルボルネン系開環重合体の重量平均分子量(Mw)は、1,2,4−トリクロロベンゼンを溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算で通常20,000〜60,000、好ましくは25,000〜50,000である。
Mwが高すぎると成形可能な粘度にするために温度を上げる必要があり、樹脂の酸化が起こりやすくなり、Mwが低すぎても、得られる成形体の機械強度が低下するおそれがある。
非晶性ノルボルネン系開環重合体の分子量分布(Mw/Mn)は通常1.5〜5.0、好ましくは1.8〜4.0、さらに好ましくは2.0〜3.0である。
Mw/Mnが狭すぎると、該重合体の温度に対する溶融粘度が敏感に変化し易くなるため、成形体の加工性が悪化し、厚みムラが発生するおそれがある。Mw/Mnが広すぎると、成形体の機械的特性が低下するおそれがある。なお、Mnは1,2,4−トリクロロベンゼンを溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算として測定した数平均分子量である。
本発明の樹脂組成物が含有する非晶性ノルボルネン系開環重合体の配合量は、前記結晶性ノルボルネン系開環重合体100質量部に対して、好ましくは10〜100質量部、より好ましくは20〜90質量部、特に好ましくは30〜80質量部である。
非晶性ノルボルネン系開環重合体の割合が少なすぎると、成形体の剛性が低くなり、機械強度が低下する傾向にある。一方、非晶性ノルボルネン系開環重合体の割合が多すぎると、成形体の防湿性が低下する傾向にある。
(4)樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、前記結晶性ノルボルネン系開環重合体100質量部に、前記アミド系核剤0.03〜0.5質量部、必要に応じて、前記非晶性ノルボルネン系開環重合体を混合して調製される。
本発明の樹脂組成物の製法は限定されないが、上述した各成分を溶融状態で混練する方法が、生産性の観点から好適である。溶融混練装置の具体例は、開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミキサー等である。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて配合剤を含有する。配合剤の具体例は、酸化防止剤、ゴム質重合体、紫外線吸収剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、防曇剤、染料、顔料、着色剤、天然油、合成油、可塑剤、有機又は無機の充填剤、抗菌剤、消臭剤、脱臭剤等である。
好ましい酸化防止剤の分子量は600以上である。酸化防止剤の分子量が低すぎると、成形体から酸化防止剤が溶出したり、成形時に酸化防止剤が揮散し金型を汚染するおそれがある。
酸化防止剤が融点を持つ場合、好ましい融点は135℃以下、より好ましい融点は130℃以下、特に好ましい融点は125℃以下である。酸化防止剤の融点が高すぎると、酸化防止剤が凝集し分散性が悪化し、酸化防止効果が悪くなる恐れがある。
酸化防止剤の具体例は、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のフェノール系酸化防止剤;テトラキス(2,4−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4‘−ジイルビスフォスフォナイト等のリン系酸化防止剤;テトラキス[メチレン−3−(ドデシルチオ)プロピオネート]メタン等のイオウ系酸化防止剤;等である。
これらの酸化防止剤を1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましい。
酸化防止剤の配合量は、前記結晶性ノルボルネン系開環重合体100質量部に対し、通常0.01〜1質量部、好ましくは、0.05〜0.5質量部である。酸化防止剤の添加量が少なすぎると、成形体にやけが生じるおそれがある。一方、酸化防止剤の添加量が多すぎると、成形体が白濁したり、成形体から酸化防止剤が溶出するおそれがある。
ゴム質重合体は、ガラス転移温度が40℃以下の重合体である。ゴムと熱可塑性エラストマーがゴム質重合体に含まれる。ブロック共重合体のごとくガラス転移温度が2点以上ある場合、最も低いガラス転移温度が40℃以下であれば、ゴム質重合体として用いることができる。ゴム質重合体のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常5〜300である。
ゴム質重合体の具体例は、エチレン−α−オレフィン系ゴム;エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体ゴム;エチレン−メチルメタクリレート、エチレン−ブチルアクリレート等のエチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体;アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等のアクリル酸アルキルエステルの重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレンとブタジエン又はイソプレンとのランダム共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル−スチレン共重合体等のジエン系ゴム;ブチレン−イソプレン共重合体;スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体等の芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合体、低結晶性ポリブタジエン樹脂、エチレン−プロピレンエラストマー、スチレングラフトエチレン−プロピレンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、エチレン系アイオノマー樹脂等である。
ゴム質重合体の配合量は、使用目的に応じて適宜選択される。耐衝撃性と柔軟性が要求される場合、ゴム質重合体の量は、前記結晶性ノルボルネン系開環重合体100質量部に対して、通常0.01〜100質量部、好ましくは、0.1〜70質量部、より好ましくは、1〜50質量部の範囲である。
紫外線吸収剤及び耐候安定剤の具体例は、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−{2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のヒンダードアミン系化合物;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物;2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベゾエート系化合物等である。これらの紫外線吸収剤及び耐候安定剤を、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。紫外線吸収剤及び耐候安定剤の量は、前記結晶性ノルボルネン系開環重合体100質量部に対して通常0.001〜5質量部、好ましくは、0.01〜2質量部の範囲である。
帯電防止剤の具体例は、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の長鎖アルキルアルコール;アルキルスルホン酸ナトリウム塩及び/又はアルキルスルホン酸ホスホニウム塩;ステアリン酸のグリセリンエステル等の脂肪酸エステル;ヒドロキシアミン系化合物;無定形炭素、酸化スズ粉、アンチモン含有酸化スズ粉等である。帯電防止剤の配合量は、前記結晶性ノルボルネン系開環重合体100質量部に対して、通常0.001〜5質量部の範囲である。
本発明の樹脂組成物の成形性は優れ、フィルム、シート、ボトル容器等の各種の成形体が、本発明の樹脂組成物から製造される。成形方法は特に限定されていないが、熱可塑性樹脂の一般的成形方法、例えば、射出成形法、ブロー成形法、インフレーション成形法、インジェクションブロー成形法、回転成形法、真空成形法、Tダイ押出成形法、カレンダー成形法、溶液流延法などが可能である。成形体を本発明の樹脂組成物製造時に直接成形加工してもよい。
本発明の樹脂組成物からなる成形体の透明性及び防湿性は優れるため、本発明の樹脂組成物は食品分野、医薬品分野、半導体分野の包装体として好適であり、特に、高温環境下での保管や蒸気滅菌において、液体内容物への有機物の溶出が少ないことから、液体用の医療用容器などの包装体として好適に用いることができる。
本発明の成形体は、本発明の樹脂組成物からなる樹脂層のみからなるものであっても、少なくとも1層の本発明の樹脂組成物からなる樹脂層以外に、ガスバリア性、耐油性、柔軟性、耐衝撃性、耐熱性などの向上を目的として、少なくとも1層のその他の樹脂を含有する合成樹脂層をさらに有する多層体であってもよい。
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて、より具体的に説明する。本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において、部及び%は、特に断りがない限り、質量基準である。
以下に各種物性の測定法、評価法を示す。
(1)水素添加反応前の重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、トルエンを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による標準ポリスチレン換算値として測定した。
測定装置としては、東ソー社製GPC−8020シリーズ(DP8020、SD8022、AS8020、CO8020、RI8020)を用いた。標準ポリスチレンとしては、東ソー社製標準ポリスチレン、Mw=500、2630、10200、37900、96400、427000、1090000、5480000の計8点を用いた。
サンプルは、サンプル濃度1mg/mlになるように、測定試料をトルエンに溶解後、カートリッジフィルター(孔径0.5μmの多孔質ポリテトラフルオロエチレン製フィルター)でろ過して調製した。
測定は、カラムとして東ソー社製TSKgel GMHHR・Hを2本直列に繋いで用い、流速1.0ml/分、サンプル注入量100μl、カラム温度40℃の条件で行った。
(2)水素添加反応後の重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、1,2,4−トリクロロベンゼンを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による標準ポリスチレン換算値として140℃において測定した。測定装置としては、東ソー社製HLC8121GPC/HTを用いた。
標準ポリスチレンとしては、東ソー社製標準ポリスチレン、Mw=988、2580、5910、9010、18000、37700、95900、186000、351000、889000、1050000、2770000、5110000、7790000、20000000の計16点を用いた。
サンプルは、サンプル濃度1mg/mlになるように、140℃にて測定試料を1,2,4−トリクロロベンゼンに加熱溶解させて調製した。
測定は、カラムとして東ソー社製TSKgel GMHHR・H(20)HTを3本直列に繋いで用い、流速1.0ml/分、サンプル注入量300μl、カラム温度140℃の条件で行った。
(3)水素添加率は、溶媒として重クロロホルムを用いて、H−NMRにより測定した。
(4)結晶性ノルボルネン系開環重合体の異性化率は、溶媒として重クロロホルムを用い、13C−NMRにより測定した31.8ppm及び33.0ppmのピーク値から、式[(33.0ppmピーク積分値)/(31.8ppmピーク積分値+33.0ppmピーク積分値)]×100により算出した。
31.8ppmのピークは、開環重合体水素添加物中の2−ノルボルネン由来の繰り返し単位のシス体由来のものであり、33.0ppmのピークは、開環重合体水素添加物の2−ノルボルネン由来の繰り返し単位のトランス体由来のものである。
(5)融点Tmは、示差走査熱量分析計(製品名「DSC6220SII」、ナノテクノロジー社製)を用いて、JIS K 7121に基づき、試料を融点より30℃以上に加熱した後、冷却速度−10℃/分で室温まで冷却し、その後、昇温速度10℃/分で昇温する過程で測定した。
(6)ガラス転移温度Tgは、示差走査熱量分析計(製品名「DSC6220SII」、ナノテクノロジー社製)を用いて、JIS K 6911に基づいて測定した。
(7)水分保持率は、インジェクションブロー成形にて作成したボトル(全体高さ170mm、胴部高さ140mm、胴部直径60mm、平均壁面厚さ2mm、内容積360mL)に蒸留水340gを入れた後、密栓をして30℃、湿度75%の恒温恒湿槽内に静置し、直後の重量A(g)及び60日後の重量B(g)から水分保持率を測定した。
水分保持率(%)={1−[(A−B)/340]}×100
(8)溶出試験は、第十六改正日本薬局方に記載の「プラスチック製医薬品容器試験法」溶出物試験の方法に基づき、抽出温度100℃、2時間で抽出したときの試験液の紫外可視吸光スペクトルにおける波長220〜240nm及び241〜350nmの最大吸光度を測定した。
製造例1
開環重合
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500部に、1−ヘキセン0.55部、ジイソプロピルエーテル0.30部、トリイソブチルアルミニウム0.20部、イソブチルアルコール0.075部を室温で反応器に入れ混合した後、55℃に保ちながら、重合性単量体としてビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(以下、「2−NB」という。)250部及び重合触媒として六塩化タングステン1.0%トルエン溶液15部を2時間かけて連続的に添加し、重合した。得られた開環重合体(A)の重量平均分子量は、83,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.8であった。
水素添加反応
上記で得た開環重合体(A)を含む重合反応液を耐圧の水素化反応器に移送し、珪藻土担持ニッケル触媒(製品名「T8400」、ズードケミー触媒社製、ニッケル担持率58%)0.5部を加え、160℃、水素圧4.5MPaで6時間反応させた。この溶液を、珪藻土をろ過助剤としてステンレス製金網を備えたろ過器によりろ過し、触媒を除去した。
得られた反応溶液を3000部のイソプロピルアルコール中に撹拌下に注いで水素添加物を沈殿させ、ろ別して回収した。さらに、アセトン500部で洗浄した後、0.13×10Pa以下、100℃に設定した減圧乾燥器中で48時間乾燥し、結晶性ノルボルネン系開環重合体(A)を190部得た。
得られた結晶性ノルボルネン系開環重合体(A)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量は82,300、分子量分布(Mw/Mn)は2.9、異性化率は5%、融点は140℃であった。
製造例2
開環共重合及び水素添加反応
製造例1において、重合性単量体として、2−NB 250部の替わりに、2−NB 240部とトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(以下、「DCP」という。)10部の混合モノマーとし、1−ヘキセンの量を0.55部、ジイソプロピルエーテルの量を0.40部、トリイソブチルアルミニウムの量を0.27部、イソブチルアルコールの量を0.10部、六塩化タングステン1.0%トルエン溶液の量を20部に変更した以外は製造例1と同様にして、重合を行った。得られた開環重合体(B)の重量平均分子量は、82,500、分子量分布(Mw/Mn)は2.6であった。重合添加率は、ほぼ100%であった。その後、製造例1と同様にして、水素添加反応を行い、結晶性ノルボルネン系開環重合体(B)を190部得た。
得られた結晶性ノルボルネン系開環重合体(B)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量は81,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.7、異性化率は9%、融点は134℃であった。
製造例3
開環共重合及び水素添加反応
製造例1において、重合性単量体として、2−NB 250部の替わりに、
DCP 225部とメチルテトラシクロドデセン(以下、「MTD」という。) 25部の混合モノマーとし、1−ヘキセンの量を0.50部、ジイソプロピルエーテルの量を0.40部、トリイソブチルアルミニウムの量を0.27部、イソブチルアルコールの量を0.10部、六塩化タングステン1.0%トルエン溶液の量を20部に変更した以外は製造例1と同様にして、重合を行った。
得られた開環重合体(C)の重量平均分子量は、51,600、分子量分布は2.8であった。重合添加率は、ほぼ100%であった。その後、製造例1と同様にして、水素添加反応を行い、結晶性ノルボルネン系開環重合体(D)を190部得た。
得られた非晶性ノルボルネン系開環重合体(C)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量は52,400、分子量分布は3.0、ガラス転移温度は99℃であり、融点は観察されなかった。
製造例4
開環共重合及び水素添加反応
製造例1において、重合性単量体として、2−NB 250部の替わりに、2−NB 40部とDCP 160部の混合モノマーとし、1−ヘキセンの量を0.82部、ジイソプロピルエーテルの量を0.40部、トリイソブチルアルミニウムの量を0.27部、イソブチルアルコールの量を0.10部、六塩化タングステン1.0%トルエン溶液の量を20部に変更した以外は製造例1と同様にして、重合を行った。得られた開環共重合体(D)の重量平均分子量は、41,200、分子量分布は2.7であった。重合添加率は、ほぼ100%であった。その後、製造例1と同様にして、水素添加反応を行い、結晶性ノルボルネン系開環重合体(D)を190部得た。
得られた非晶性ノルボルネン系開環重合体(D)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量は43,100、分子量分布は2.8、ガラス転移温度は70℃であり、融点は観察されなかった。
製造例1〜4で得られた重合体(A)〜(D)について、表1にまとめた。
Figure 2014148635
[実施例1]
製造例1で得られた結晶性ノルボルネン系開環重合体(A)100部と製造例3で得られた非晶性ノルボルネン系開環重合体(C)のペレット50部、核剤としてエヌジェスター(登録商標)NU−100を0.1部、酸化防止剤(テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(製品名「イルガノックス(登録商標)1010」、チバ・ジャパン社製、融点110〜125℃)0.1部とを、ブレンダーで混合した。次いで、二軸混練機(製品名「TEM−35B」、東芝機械社製)により、以下の混練条件で混練し、押し出し、ペレット化し、重合体組成物(1)のペレットを得た。
混練条件;スクリュー径37mm、L/D=32
スクリュー回転数250rpm
樹脂温度220℃
フィードレート20kg/時間
得られた重合体組成物(1)のペレットを、インジェクションブロー成形機(製品名「ASB−12N」、日精ASB社製)を使用して以下の成形条件でTダイ成形し、ボトル(1)を得た。
成形条件;バレル温度:220℃
射出金型温度:60℃
射出圧力:5.0MPa
加熱ポット温度:350℃
ブロー金型温度:220℃
得られたボトルの水分保持率、溶出試験の吸光度を測定した。評価結果を表2に示す。
[実施例2〜7、比較例1〜10]
表2記載の種類と量の結晶性ノルボルネン系開環重合体、非晶性ノルボルネン系開環重合体、核剤、及び酸化防止剤を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてボトルを得た。得られたボトルの水分保持率と溶出試験の吸光度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2014148635
<考察>
本発明の重合体組成物を用いて得られた容器は、水分保持率が高く、かつ、溶出性が低いことが判る(実施例1〜7)。
それに対し、ソルビトール系核剤を含有する重合体組成物を用いて得られた容器は、水分保持率が高いものの溶出性が高い(比較例1、2)。
また、他の核剤を用いた樹脂組成物から得られた容器は、溶出性は低いものの、水分保持率が低いことが判る(比較例3〜9)。これは、比較例10の核剤が含有していない重合体組成物から得られた容器の水分保持率と差がないことから、比較例3〜9の場合では核剤として結晶化度を高める効果が小さいため、水分が透過し易いためと推測される。

Claims (4)

  1. 2−ノルボルネンが90〜100質量%と置換基含有ノルボルネン系単量体が10〜0質量%を含有してなる重合性単量体を開環重合し、水素添加して得られる、融点が110〜145℃、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が50,000〜200,000、重量平均分子量/数平均分子量が1.5〜10.0である結晶性ノルボルネン系開環重合体100質量部に対し、及びアミド系核剤0.03〜0.5質量部を含有する樹脂組成物。
  2. 更にガラス転移温度が50℃以上で融点を有しない非晶性ノルボルネン系開環重合体10〜100質量部を含有する請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
  4. 前記成形体が、液体用医療用容器である請求項3記載の成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113881179A (zh) * 2021-11-09 2022-01-04 无锡大诚高新材料科技有限公司 一种医用包装材料及其制备方法和应用

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