JP2009143573A - 局所刺激剤含有製剤封入用包装体 - Google Patents

局所刺激剤含有製剤封入用包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】 サリチル酸メチル、メントール及びカンフル等の局所刺激剤の吸着が少なく、アルコールバリア性に優れた局所刺激剤含有製剤封入用包装体を提供する。
【解決手段】 2−ノルボルネンが90〜100重量%と置換基含有ノルボルネン類が10〜0重量%とを含有してなる重合性単量体を開環重合し、水素添加して得られる、融点が110〜145℃、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が50,000〜200,000、重量平均分子量/数平均分子量が1.5〜10.0である結晶性ノルボルネン系開環重合体(A)を含有する樹脂組成物を成形してなる層を少なくとも一層有するフィルムからなる、局所刺激剤含有製剤封入用包装体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、サリチル酸メチル、メントール、カンフル、アルコールなどの局所刺激剤を含有する製剤の封入用包装体に関し、さらに詳しくは、結晶性ノルボルネン系開環重合体を含有してなる樹脂組成物を成形してなる局所刺激剤含有製剤封入用包装体に関する。
ローション剤、リニメント剤、芳香水剤、貼付剤、パップ剤、軟膏剤などの外用剤には、サリチル酸メチル、メントール、カンフル、アルコールなどの局所刺激剤を含有するものが多い。局所刺激剤は特に樹脂製品への吸着が起こりやすいため、これらを吸着しない樹脂包装体が検討されている。
例えば、特許文献1は、水素添加率95%以上のノルボルネン系開環重合体水素添加物(A)と高密度ポリエチレン(B)とを96/4〜60/40(重量比)である樹脂組成物を用いれば、l−メントール、サリチル酸メチル、カンフル等の局所刺激剤の吸着が少なく、内容物の視認性が高く、強度が高く、かつ皮脂による亀裂が発生しない包装体が得られることを開示している。
また、特許文献2は、非晶性のノルボルネン系重合体がメタノールバリア性を有することを開示している。
更に、特許文献3には、ジシクロペンタジエンを用いた結晶性のノルボルネン系重合体がアセトンやトルエンのような溶剤、塩酸やアンモニア水などの酸性又はアルカリ性液などに対する耐薬品性のあるフィルムを与えることが実施例において開示されている。しかしながら、このような結晶性のノルボルネン系重合体は、融点が高く、ヒートシールにより薬袋を形成することは困難である。
特開2005−255222号公報 特開2007−080650号公報 特開2002−194067号公報
しかしながら、発明者が特許文献1や2に記載された重合体を用いた成形体を検討した結果、これらの成形体は、高温条件下ではメントール、サリチル酸メチル、カンフル等の局所刺激剤の吸着が多くなるものや、アルコールバリア性に劣るものであることが判った。
本発明者は、特許文献3の実施例において具体的に開示されたものとは異なる、ある種の結晶性ノルボルネン系開環重合体水素添加物(A)を含有する樹脂組成物を成形してなる層を少なくとも一層有するフィルムからなる、局所刺激剤含有製剤封入用包装体は、40℃でも安定した局所刺激剤の非吸着性を有し、更に優れたアルコールバリア性をも有することを見出し、本発明を完成させるに到った。
かくして本発明によれば、2−ノルボルネンが90〜100重量%と置換基含有ノルボルネン類が10〜0重量%とを含有してなる重合性単量体を開環重合し、水素添加して得られる、融点が110〜145℃、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が50,000〜200,000、重量平均分子量/数平均分子量が1.5〜10.0である結晶性ノルボルネン系開環重合体水素添加物(A)を含有する樹脂組成物を成形してなる層を少なくとも一層有するフィルムからなる、局所刺激剤含有製剤封入用包装体が提供される。
本発明の局所刺激剤含有製剤封入用包装体は、局所刺激剤がサリチル酸メチル、l−メントール、カンフル又はアルコール(医薬品、医薬部外品、化粧品等で通常用いられる炭素数1〜4のアルコール)であるときに好適である。
本発明の局所刺激剤含有製剤封入用包装体は、結晶性ノルボルネン系開環重合体水素添加物(A)を成形してなる層を少なくとも一層有するフィルムからなる。
(結晶性ノルボルネン系開環重合体水素添加物)
本発明に用いる結晶性ノルボルネン系開環重合体水素添加物(1)は、2−ノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)が90〜100重量%と置換基含有ノルボルネン類が10〜0重量%とを含有してなる重合性単量体を開環重合し、水素添加して得られる、融点が110〜145℃、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が50,000〜200,000、重量平均分子量/数平均分子量が1.5〜10.0である。特に開環重合後の水素添加によって、開環重合体の、炭素−炭素二重結合の80%以上を水素添加することにより得られるものが好ましい。
2−ノルボルネン又は2−ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体からなる単量体混合物を、メタセシス重合触媒の存在下に開環重合することにより2−ノルボルネン単独開環重合体又は2−ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体の開環共重合体を得ることができる。
2−ノルボルネンは公知の化合物であり、例えば、シクロペンタジエンとエチレンとを反応させることにより得ることができる。
置換基含有ノルボルネン系単量体は、分子内にノルボルネン骨格を有する化合物である(ただし、2−ノルボルネンを除く)。本発明に用いる「置換基含有ノルボルネン系単量体」には、置換基を有する2−ノルボルネン誘導体のほか、縮合した環を有するノルボルネン化合物も含まれる。
置換基含有ノルボルネン系単量体としては、分子内にノルボルネン環と縮合する環を有しないノルボルネン系単量体、及び3環以上の多環式ノルボルネン系単量体等が挙げられる。
前記分子内にノルボルネン環と縮合する環を有しないノルボルネン系単量体の具体例としては、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(5−メチル−2−ノルボルネン)、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−デシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のアルキル基を有するノルボルネン類;5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(5−エチリデン−2−ノルボルネン)、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロペンテニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のアルケニル基を有するノルボルネン類;5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(5−フェニル−2−ノルボルネン)等の芳香環を有するノルボルネン類;5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン)、5−エトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニル−5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、2−メチルプロピオン酸5−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、2−メチルオクタン酸5−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ジ(ヒドロキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシイソプロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−カルボキシ−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等の酸素原子を含む極性基を有するノルボルネン類;5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−カルボキシ−5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等の窒素原子を含む極性基を有するノルボルネン類;等が挙げられる。
3環以上の多環式ノルボルネン系単量体とは、分子内にノルボルネン環と、該ノルボルネン環と縮合している1つ以上の環とを有するノルボルネン系単量体である。その具体例としては、下記に示す式(1)又は式(2)で示される単量体が挙げられる。
Figure 2009143573
(式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基;又はケイ素原子、酸素原子もしくは窒素原子を含む置換基;を表し、互いに結合して環を形成していてもよい。Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の炭化水素基である。)
Figure 2009143573
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基;又はケイ素原子、酸素原子もしくは窒素原子を含む置換基;を表し、RとRは互いに結合して環を形成していてもよい。mは1又は2である。)
式(1)で示される単量体としては、具体的には、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:2−ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン等を挙げることができる。また、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンとも言う)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセンとも言う)等の芳香環を有するノルボルネン誘導体も挙げることができる。
式(2)で示される単量体としては、mが1であるテトラシクロドデセン類、mが2であるヘキサシクロヘプタデセン類が挙げられる。
テトラシクロドデセン類の具体例としては、テトラシクロドデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキシルテトラシクロドデセン、8−シクロペンチルテトラシクロドデセン等の無置換又はアルキル基を有するテトラシクロドデセン類;8−メチリデンテトラシクロドデセン、8−エチリデンテトラシクロドデセン、8−ビニルテトラシクロドデセン、8−プロペニルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキセニルテトラシクロドデセン、8−シクロペンテニルテトラシクロドデセン等の環外に二重結合を有するテトラシクロドデセン類;8−フェニルテトラシクロドデセン等の芳香環を有するテトラシクロドデセン類;8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−ヒドロキシメチルテトラシクロドデセン、8−カルボキシテトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸無水物等の酸素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−シアノテトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸イミド等の窒素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−クロロテトラシクロドデセン等のハロゲン原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−トリメトキシシリルテトラシクロドデセン等のケイ素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類等が挙げられる。
ヘキサシクロヘプタデセン類の具体例としては、ヘキサシクロヘプタデセン、12−メチルヘキサシクロヘプタデセン、12−エチルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロヘキシルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロペンチルヘキサシクロヘプタデセン等の無置換又はアルキル基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−メチリデンヘキサシクロヘプタデセン、12−エチリデンヘキサシクロヘプタデセン、12−ビニルヘキサシクロヘプタデセン、12−プロペニルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロヘキセニルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロペンテニルヘキサシクロヘプタデセン等の環外に二重結合を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−フェニルヘキサシクロヘプタデセン等の芳香環を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−メトキシカルボニルヘキサシクロヘプタデセン、12−メチル−12−メトキシカルボニルヘキサシクロヘプタデセン、12−ヒドロキシメチルヘキサシクロヘプタデセン、12−カルボキシヘキサシクロヘプタデセン、ヘキサシクロヘプタデセン12,13−ジカルボン酸、ヘキサシクロヘプタデセン12,13−ジカルボン酸無水物等の酸素原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−シアノヘキサシクロヘプタデセン、ヘキサシクロヘプタデセン12,13−ジカルボン酸イミド等の窒素原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−クロロヘキサシクロヘプタデセン等のハロゲン原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−トリメトキシシリルヘキサシクロヘプタデセン等のケイ素原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類等が挙げられる。これらのノルボルネン系単量体は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、上記した2−ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体とを組み合わせて用いることもできる。
2−ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状ジエン及びその誘導体;等が挙げられる。
単量体の組成は、2−ノルボルネンが、通常90〜100重量%、好ましくは95〜99重量%、より好ましくは97〜99重量%であり、置換基含有ノルボルネン系単量体は、通常0〜10重量%、好ましくは1〜5重量%、より好ましくは1〜4重量%である。
メタセシス重合触媒としては、例えば、特公昭41−20111号公報、特開昭46−14910号公報、特公昭57−17883号公報、特公昭57−61044号公報、特開昭54−86600号公報、特開昭58−127728号公報、特開平1−240517号公報等に記載された、本質的に(a)遷移金属化合物触媒成分と(b)金属化合物助触媒成分からなる一般のメタセシス重合触媒;シュロック型重合触媒(特開平7−179575号公報、Schrock et al.,J.Am.Chem.Soc.,1990年,第112巻,3875頁〜等)や、グラブス型重合触媒(Fu et al.,J.Am.Chem.Soc.,1993年,第115巻,9856頁〜;Nguyen et al.,J.Am.Chem.Soc.,1992年,第114巻,3974頁〜;Grubbs et al.,WO98/21214号パンフレット等)等のリビング開環メタセシス触媒;等が挙げられる。
これらの中でも、得られる重合体の分子量分布を好適な範囲に調節するには、(a)遷移金属化合物触媒成分と(b)金属化合物助触媒成分とからなるメタセシス重合触媒が好ましい。
前記(a)遷移金属化合物触媒成分は、周期律表第3〜11族の遷移金属の化合物である。例えば、これらの遷移金属のハロゲン化物、オキシハロゲン化物、アルコキシハロゲン化物、アルコキシド、カルボン酸塩、(オキシ)アセチルアセトネート、カルボニル錯体、アセトニトリル錯体、ヒドリド錯体、これらの誘導体、これら又はこれらの誘導体のP(C等の錯化剤による錯化物が挙げられる。
具体例としては、TiCl、TiBr、VOCl、WBr、WCl、WOCl、MoCl、MoOCl、WO、HWO等が挙げられる。なかでも、重合活性等の点から、W、Mo、Ti、又はVの化合物が好ましく、特にこれらのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、又はアルコキシハロゲン化物が好ましい。
前記(b)金属化合物助触媒成分は、周期律表第1〜2族、及び第12〜14族の金属の化合物で少なくとも一つの金属元素−炭素結合、又は金属元素−水素結合を有するものである。例えば、Al、Sn、Li、Na、Mg、Zn、Cd、B等の有機化合物等が挙げられる。
具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等の有機アルミニウム化合物;テトラメチルスズ、ジエチルジメチルスズ、テトラブチルスズ、テトラフェニルスズ等の有機スズ化合物;n−ブチルリチウム等の有機リチウム化合物;n−ペンチルナトリウム等の有機ナトリウム化合物;メチルマグネシウムイオジド等の有機マグネシウム化合物;ジエチル亜鉛等の有機亜鉛化合物;ジエチルカドミウム等の有機カドミウム化合物;トリメチルホウ素等の有機ホウ素化合物;等が挙げられる。これらの中で、第13族の金属の化合物が好ましく、特にAlの有機化合物が好ましい。
また、前記(a)成分、(b)成分の他に第三成分を加えて、メタセシス重合活性を高めることができる。用いる第三成分としては、脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、分子状酸素、アルコール、エーテル、過酸化物、カルボン酸、酸無水物、酸クロリド、エステル、ケトン、含窒素化合物、含ハロゲン化合物、その他のルイス酸等が挙げられる。
これらの成分の配合比は、(a)成分:(b)成分が金属元素のモル比で、通常1:1〜1:100、好ましくは1:2〜1:10の範囲である。また、(a)成分:第三成分がモル比で、通常1:0.005〜1:50、好ましくは1:1〜1:10の範囲である。
また、重合触媒の使用割合は、(重合触媒中の遷移金属):(全単量体)のモル比で、通常1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:1,000〜1:20,000、より好ましくは1:5,000〜1:8,000である。触媒量が多すぎると重合反応後の触媒除去が困難になったり、また、分子量分布が広がるおそれがあり、一方、少なすぎると十分な重合活性が得られない。
開環重合は無溶媒で行うこともできるが、適当な溶媒中で行うことが好ましい。用いる有機溶媒としては、重合体及び重合体水素添加物が所定の条件で溶解もしくは分散し、かつ、重合及び水素添加反応に影響しないものであれば特に限定されないが、工業的に汎用されている溶媒が好ましい。
このような有機溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シクロオクタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル等の含窒素炭化水素;ジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン等のエ−テル類等の溶媒を使用することができる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、工業的に汎用されている芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素及びエーテル類が好ましい。
重合を有機溶媒中で行う場合には、単量体の濃度は、1〜50重量%が好ましく、2〜45重量%がより好ましく、3〜40重量%が特に好ましい。前記モノマー混合物の濃度が1重量%より小さいと生産性が低くなるおそれがあり、50重量%より大きいと重合後の溶液粘度が高すぎて、その後の水素添加反応が困難となるおそれがある。
開環重合においては、反応系に分子量調節剤を添加することができる。分子量調節剤を添加することで、得られる開環重合体の分子量を調整することができる。
用いる分子量調節剤としては特に限定されず、従来公知のものが使用できる。例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン類;スチレン、ビニルトルエン等のスチレン類;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のエーテル類;アリルクロライド等のハロゲン含有ビニル化合物;グリシジルメタクリレート等酸素含有ビニル化合物;アクリルアミド等の窒素含有ビニル化合物;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン等の非共役ジエン、又は1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン等を挙げることができる。これらの中で、分子量調節のし易さから、α−オレフィン類が好ましい。
分子量調節剤の添加量は、所望の分子量を持つ重合体を得るに足る量であればよく、(分子量調節剤):(全単量体)のモル比で、通常1:50〜1:1,000,000、好ましくは1:100〜1:5,000、より好ましくは1:300〜1:3,000である。
開環重合は、単量体と重合触媒とを混合することにより開始される。
開環重合を行う温度は、特に限定されないが、通常−20〜+100℃、好ましくは10〜80℃で重合を行う。温度が低すぎると反応速度が低下し、高すぎると副反応により、分子量分布が広がるおそれがある。
重合時間は、特に制限はなく、通常1分間〜100時間である。
重合時の圧力条件は特に限定されないが、加圧条件下で重合する場合、加える圧力は通常1MPa以下である。
反応終了後においては、通常の後処理操作により目的とするノルボルネン単量体開環重合体を単離することができる。
得られたノルボルネン単量体開環重合体は、次の水水素添加反応工程へ供される。
また後述するように、開環重合を行った反応溶液に水素添加触媒を添加して、ノルボルネン単量体開環重合体を単離することなく、連続的に水素添加反応を行うこともできる。
ノルボルネン単量体開環重合体の水素添加反応は、ノルボルネン単量体開環重合体の主鎖又は/及び側鎖に存在する炭素−炭素二重結合に水素添加する反応である。この水素添加反応は、ノルボルネン単量体開環重合体の不活性溶媒溶液に水素添加触媒を添加し、反応系内に水素を供給して行う。
水素添加触媒としては、オレフィン化合物の水素添加に際して一般に使用されているものであれば、均一系触媒、不均一系触媒のいずれも使用することができる。得られる重合体中の残留金属の除去等を考慮すると、不均一系触媒が好ましい。
均一系触媒としては、例えば、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウム等の組み合わせ等の遷移金属化合物とアルカリ金属化合物の組み合わせからなる触媒系;ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリド等の貴金属錯体触媒;等が挙げられる。
不均一触媒としては、例えば、ニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナ等の、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、又はこれらの金属をカーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタン等の担体に担持させた固体触媒系が挙げられる。
触媒の使用量は、ノルボルネン単量体開環重合体100重量部に対し、通常0.05〜10重量部である。
水素添加反応に用いる不活性有機溶媒としては、前述した2−ノルボルネンと置換基含有ノルボルネン系単量体との開環重合において用いることができる有機溶媒として例示したものと同様の、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン系芳香族炭化水素、含窒素炭化水素、エーテル類等が挙げられる。
水素添加反応の温度は、使用する水素添加触媒によって適する条件範囲が異なるが、水素添加温度は、通常−20℃〜+300℃、好ましくは0℃〜+250℃である。水素添加温度が低すぎると反応速度が遅くなるおそれがあり、高すぎると副反応が起こる可能性がある。
水素圧力は、通常0.01〜20MPa、好ましくは0.1〜10MPa、より好ましくは1〜5MPaである。水素圧力が低すぎると水素添加速度が遅くなり、高すぎると高耐圧反応装置が必要となるので好ましくない。
結晶性ノルボルネン系開環重合体は、重合体中の炭素−炭素二重結合の水素添加率が通常80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上、特に好ましくは99.9%以上である。上記の範囲にあると、成形体の樹脂焼けに起因する着色が抑えられ好ましい。
結晶性ノルボルネン系開環重合体の水素添加率は、溶媒に重クロロホルムを用い、H−NMRにより測定して求めることができる。
水素添加反応終了後は、反応溶液から水素添加触媒等を濾別し、濾別後の重合体溶液から溶媒等の揮発成分を除去することにより、目的とする結晶性ノルボルネン系開環重合体を得ることができる。
溶媒等の揮発成分を除去する方法としては、凝固法や直接乾燥法等公知の方法を採用することができる。
凝固法は、重合体溶液を重合体の貧溶媒と混合することにより、重合体を析出させる方法である。用いる貧溶媒としては、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;等の極性溶媒が挙げられる。
凝固して得られた粒子状の成分は、例えば、真空中又は窒素中若しくは空気中で加熱して乾燥させて粒子状にするか、さらに必要に応じて溶融押出機から押し出してペレット状にすることができる。
直接乾燥法は、重合体溶液を減圧下加熱して溶媒を除去する方法である。この方法には、遠心薄膜連続蒸発乾燥機、掻面熱交換型連続反応器型乾燥機、高粘度リアクタ装置等の公知の装置を用いて行うことができる。真空度や温度はその装置によって適宜選択され、限定されない。
以上のようにして得られる結晶性ノルボルネン系開環重合体の2−ノルボルネン由来の繰り返し単位(A)の全繰り返し単位に対する存在割合が、通常90〜100重量%、好ましくは95〜99重量%、より好ましくは97〜99重量%であり、置換基含有ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位(B)の全繰り返し単位に対する存在割合が、0〜10重量%、好ましくは1〜5重量%、より好ましくは1〜4重量%である。
繰り返し単位(B)の存在割合が多すぎると、成形体の耐熱性や水蒸気バリア性が悪化するおそれがある。繰り返し単位(B)の存在割合が上記範囲であると、水蒸気バリア性に優れ、また、成形体の機械的特性にも優れ好適である。また、繰り返し単位(B)の存在割合が少なすぎると、機械的特性が低下するおそれがある。
得られる結晶性ノルボルネン系開環重合体は、その重量平均分子量(Mw)が、1,2,4−トリクロロベンゼンを溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算で、好ましくは50,000〜200,000、より好ましくは70,000〜180,000、さらに好ましくは80,000〜150,000である。
Mwがこの範囲にあると、成形加工し易く、得られた成形体は十分な機械的特性を有し、耐油性にも優れるため好ましい。一方、Mwが高すぎると、成形し難く、フィルム、シートにした場合、膜厚ムラを生じ易い。また、Mwが低すぎると、成形体の機械的特性が低下し、耐油性も劣るおそれがある。
得られる結晶性ノルボルネン系開環重合体は、その分子量分布(Mw/Mn)が、好ましくは1.5〜7.0、より好ましくは2.0〜6.5、さらに好ましくは2.5〜6.0、特に好ましくは2.5〜5.5である。
Mw/Mnが狭すぎると、該重合体の温度に対する溶融粘度が敏感に変化し易くなるため、成形品の加工性が悪化し、厚みムラが発生するおそれがある。また、Mw/Mnが広すぎると、成形品の機械的特性が低下するおそれがある。ちなみに、Mnは1,2,4−トリクロロベンゼンを溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算として測定した数平均分子量である。
得られるノルボルネン結晶性ノルボルネン系開環重合体の融点は、通常110〜145℃、好ましくは120〜145℃、より好ましくは130℃〜145℃である。
融点が上記の範囲にあると、成形品の耐熱性に優れるため好ましい。特に、融点が130〜145℃の範囲においては、医療用成形品において行われるスチーム滅菌にも耐えうるため好ましい。
なお、ノルボルネン結晶性ノルボルネン系開環重合体の融点は、ノルボルネン結晶性ノルボルネン系開環重合体の分子量、分子量分布、異性化率、組成比率などにより制御できる。
前記結晶性ノルボルネン系開環重合体は、融点を有する重合体、すなわち結晶構造を形成する重合体であるので、成形体内部に結晶部を形成し、これと非晶部とが相俟って成形品の機械的特性が向上する。それでいて、しかも結晶が大きくないので透明性の良さをも与えるのである。
得られる結晶性ノルボルネン系開環重合体の異性化率は、通常40%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。異性化率が高すぎると、該重合体の耐熱性が低下するおそれがある。異性化率は、溶媒に重クロロホルムを用い、13C−NMRにより測定した33.0ppmピーク積分値/(31.8ppmピーク積分値+33.0ppmピーク積分値)×100から算出することができる。ちなみに、31.8ppmピークは、該重合体中の2−ノルボルネン由来の繰り返し単位のシス体由来のもの、33.0ppmピークは、該重合体中の2−ノルボルネン由来の繰り返し単位のトランス体由来のものである。
異性化率を上記範囲にするためには、ノルボルネン単量体開環重合体の水素添加反応において、反応温度を好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜170℃、特に好ましくは130〜160℃とし、かつ、使用する水素添加触媒の使用量を、ノルボルネン単量体開環重合体100重量部に対し、好ましくは0.2〜5重量部、より好ましくは0.2〜1重量部とする。このような範囲にあると、水素添加反応速度と得られるポリマーの耐熱性のバランスに優れ、好適である。
(ポリエチレン)
本発明においては、強度向上や柔軟性付与などを目的として、ポリエチレン(高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE);好ましくは高密度ポリエチレン、特に高密度ポリエチレンの中でも、好ましくはエチレン単独重合体またはエチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとの共重合体)(B)を結晶性ノルボルネン系開環重合体(A)に、(A)/(B)(重量比)で95/5〜60/40、好ましくは90/10〜70/30、より好ましくは85/15〜75/25の割合で配合することができる。ポリエチレン(B)の割合が多すぎると局所刺激剤の吸着量が増加する傾向にあり好ましくない。
本発明に用いられる樹脂組成物は、必要に応じて、その他の公知の添加剤(C)を発明の効果が損なわれない範囲で含有されていてもよい。その他の公知の添加剤としては、ブロッキング防止剤、滑剤や分散助剤、潤滑剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、防曇剤、顔料、有機物充填材、中和剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止材、抗菌剤やその他の樹脂、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
ブロッキング防止剤としては、シリカ、シリカアルミナ、天然ゼオライト、合成ゼオライト、カオリン、タルク、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、溶融シリカ、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ハイドロタルサイト系等の微粒子等が挙げられる。
滑剤としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の脂肪酸; 脂肪酸とリチウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等の金属とからなる脂肪酸金属塩;オレイン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、エルカ酸アマイド、ベヘニン酸アマイド、ステアリルエルカマイド、オレイルパルミトアマイド等の脂肪酸アマイド等が挙げられる。中でも、脂肪酸金属塩が好ましく、特にステアリン酸カルシウムが好ましい。
分散助剤としては、シラン系又はチタン系カップリング剤等が挙げられる。
潤滑剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレン等のポリオレフィンワックス類;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、ホホバ等の植物系天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラクタム等の石油系ワックス及びその変性ワックス;フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックス;ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサミリステート及びジペンタエリスリトールヘキサパルミテート等の多官能エステル化合物;等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、有機ホスファイト系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系安定剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等が挙げられる。
帯電防止剤としては、ノニオン系帯電防止剤、カチオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤等が挙げられる。
分散剤としてはビスアミド系分散剤、ワックス系分散剤、有機金属塩系分散剤等が挙げられる。
難燃剤としては、リン酸系難燃剤、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、マグネシウムの炭酸塩、赤リン等が挙げられる。
その他の樹脂としては、非晶性樹脂が挙げられる。
非晶性樹脂としては、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、テルペン系樹脂、クマロン−インデン系樹脂、及びこれらの水素添加物、非晶性ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート−スチレン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−スチレン共重合体、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンエーテル等が挙げられるが、包装体の防湿性、機械強度等の観点から、、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、テルペン系樹脂、クマロン−インデン系樹脂、及びこれらの水素添加物、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ポリフェニレンエーテルが好ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)、及びこれらの水素添物等が挙げられる。
樹脂組成物はその調製法によって特に限定されない。
脂環式構造含有重合体樹脂(A)、必要に応じて用いる高密度ポリエチレン(B)や添加剤(C)の混合方法は特に限定されないが、例えば脂環式構造含有重合体樹脂(A)と、必要に応じて用いる高密度ポリエチレン(B)や添加剤(C)とをヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー、コニカルブレンダー等の混合器を用いて混合することによって、又は更にこの混合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー等により溶融混練することによって樹脂組成物が得られる。
樹脂組成物の形状は、特に限定されないが、フィルムを成形しやすいように、造粒あるいは粉砕、又はペレット化すると好ましい。
本発明の包装体は、その製造方法により限定されないが、樹脂組成物をフィルムに成形し、該フィルムをヒートシールして貼り合わせることによって得ることができる。
本発明に用いられる、樹脂組成物からなるフィルムの成形方法は特に限定されないが、例えばTダイ法、インフレーション法、プレス成形法等公知の方法によって得られる。フィルムの厚さは特に限定されないが、5〜500μmの範囲であると好ましく、40〜300μmの範囲であるとより好ましい。
本発明においてフィルムは、樹脂組成物の層(I)だけからなる単層フィルムであっても良いし、他の樹脂からなる層(II)を積層した積層フィルムでもよい。積層フィルムの積層態様は包装体とした場合に最内層が樹脂組成物の層となれば特に限定されないが、例えば層(I)/層(II)、層(I)/層(II)/層(I)のように積層することもできる。更に、前記積層フィルムは層(I)と層(II)の間に接着層を含
んでも良い。
前記層(II)に用いる他の樹脂としては、低密度又は高密度ポリエチレン系結晶性樹脂、ポリプロピレン系結晶性樹脂、ポリエステル系結晶性樹脂、ポリアミド系結晶性樹脂、フッ素系結晶性樹脂及び、その他の結晶性樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレン系結晶性樹脂およびポリプロピレン系結晶性樹脂が、フィルムの防湿性、機械強度等のバランスの点で良好である。
接着層を構成する接着剤としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂接着剤、ポリビニルエーテル、アクリル樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体等の熱可塑性樹脂接着剤、ポリアミド樹脂系ホットメルト接着剤、ニトリルゴム等のゴム系接着剤等が挙げられる。
前記積層構造のフィルムは、製法によって特に限定されない。
例えば、(ア)樹脂組成物の単層フィルムに、他の樹脂からなるフィルムを貼合することによって、(イ)樹脂組成物の単層フィルムに他の樹脂からなる溶液を塗布して、乾燥することによって、又は、(ウ)樹脂組成物と他の樹脂とを共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等の方法で共押出することによって得ることができる。
前記樹脂組成物の層(I)と他の樹脂からなる層(II)の厚さの比は特に限定されないが、例えば、層(I)/層(II)で1/16〜8/1であると好ましい。
本発明に用いられる積層フィルムの厚さは、5〜500μmの範囲であると好ましく、40〜300μmの範囲であるとより好ましい。厚さがこの範囲にあると、耐裂性、透明性が良好である。
前記フィルムには、印刷加工を施すことができる。印刷加工の方法は特に限定されず公知の方法を使用すればよく、例えば、凸版印刷、凹版印刷、平板印刷が挙げられる。
印刷に適用される印刷インキは、前記印刷の方法に応じて最適なものを選択して使用すればよい。例えば、凸版インキ、フレキソインキ、ドライオフセットインキ、グラビアインキ、グラビアオフセットインキ、オフセットインキ、スクリーンインキ等が挙げられる。
印刷インキは、色料、ビヒクル、及び補助剤からなるものが好ましく、印刷される本発明のフィルムを構成する脂環式構造含有重合体水素添加物樹脂の種類、フィルムの使用目的に応じて、印刷インキの種類及び組成は適宜選択される。
色料としては、顔料、染料等が挙げられる。
ビヒクルは、油脂、樹脂、及び溶剤との混合物で、油脂としては乾性油、半乾性油、不乾性油、加工油等;樹脂としては一般的な天然樹脂、合成樹脂;溶剤としては炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、水系溶剤等が挙げられる。
補助剤としては、コンパウンド類、ドライヤー類、その他分散剤、反応剤、消泡剤等の添加剤等が挙げられる。
また、印刷する前に、インクの密着性を高めるために本発明のフィルムを表面処理することが好ましい。
表面処理の方法としては、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、火炎処理、エンボス加工処理、サンドマット加工処理、梨地加工処理等が挙げられる。
フィルムのヒートシール条件は、特に限定されないが、例えば、ヒートシールテスター(TP−701−B、テスター産業社製)及び万能引張り圧縮試験機(TCM−200、新興通信工業社製)を使用して最大強度が得られる温度、シール時間、シール圧力を測定し、その条件でヒートシールすることが好ましい。
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて、より具体的に説明する。本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において、部及び%は、特に断りがない限り、重量基準である。以下の実施例及び比較例において、各種物性の測定法は、次のとおりである。
(1)ノルボルネン単量体開環重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、トルエンを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による標準ポリスチレン換算値として測定した。
測定装置としては、東ソー社製GPC−8020シリーズ(DP8020、SD8022、AS8020、CO8020、RI8020)を用いた。標準ポリスチレンとしては、東ソー社製の標準ポリスチレン、Mw=500、2630、10200、37900、96400、427000、1090000、5480000の計8点を用いた。
サンプルは、サンプル濃度1mg/mlになるように、測定試料をトルエンに溶解後、カートリッジフィルター(孔径0.5μmの多孔質ポリテトラフルオロエチレン製フィルター)でろ過して調製した。
測定は、カラムとして東ソー社製TSKgel GMHHR・Hを2本直列に繋いで用い、流速1.0ml/分、サンプル注入量100μml、カラム温度40℃の条件で行った。
(2)ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、1,2,4−トリクロロベンゼンを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による標準ポリスチレン換算値として140℃において測定した。測定装置としては、東ソー社製HLC8121GPC/HTを用いた。
標準ポリスチレンとしては、東ソー社製標準ポリスチレン、Mw=988、2580、5910、9010、18000、37700、95900、186000、351000、889000、1050000、2770000、5110000、7790000、20000000の計16点を用いた。
サンプルは、サンプル濃度1mg/mlになるように、140℃にて測定試料を1,2,4−トリクロロベンゼンに加熱溶解させて調製した。
測定は、カラムとして東ソー社製TSKgel GMHHR・H(20)HTを3本直列に繋いで用い、流速1.0ml/分、サンプル注入量300μml、カラム温度140℃の条件で行った。
(3)ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物の水素添加率は、溶媒として重クロロホルムを用いて、H−NMRにより測定した。
(4)ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物の異性化率は、溶媒として重クロロホルムを用い、13C−NMRにより測定した31.8ppm及び33.0ppmのピーク値から、式[(33.0ppmピーク積分値)/(31.8ppmピーク積分値+33.0ppmピーク積分値)]×100により算出した。
31.8ppmのピークは、開環重合体水素添加物中の2−ノルボルネン由来の繰り返し単位のシス体由来のものであり、33.0ppmのピークは、開環重合体水素添加物の2−ノルボルネン由来の繰り返し単位のトランス体由来のものである。
(5)融点Tmは、示差走査熱量分析計(DSC6220SII、ナノテクノロジー社製)を用いて、JIS K 7121に基づき、試料を融点より30℃以上に加熱した後、冷却速度−10℃/分で室温まで冷却し、その後、昇温速度10℃/分で昇温する過程で測定した。
(6)ガラス転移温度Tgは、示差走査熱量分析計(DSC6220SII、ナノテクノロジー社製)を用いて、JIS K 6911に基づいて測定した。
(7)メタノールバリア性は、JIS K7126−1に基づいて温度:50℃の条件下のメタノール透過度を差圧式ガス・蒸気透過率測定装置(GTR−30XAD、G6800T・F(S)、GTRテック社製)で測定した。メタノール透過度(g/(m・24h))が小さいとメタノールバリア性が良好であることを示す。
(8)局所刺激剤の吸着性試験
フィルムを切断して幅100×150mmの2枚のフィルムを得、ヒートシールテスター(TP−701−B、テスター産業社製)を用いて150〜300℃、0.2MPa、2秒、シール幅10mmの条件でヒートシールを行い三方シールパウチを作成した。得られた三方シールパウチの重量を測定後、l−メントールを2g入れ、開口部をヒートシール(シール幅10mm)によって閉じた。密閉容器中に23℃の恒温条件で2週間静置し、次いで開封し、l−メントールを取り出し、再度シールパウチの重量を測定し、重量変化から吸着率を求めた。サリチル酸メチル、dl−カンフルの吸着率についても同様の方法を用いた。
(9)耐油性は、フィルム表面にサラダ油を塗布し、60℃に加温されたオーブンに入れ、白化するまでの時間を測定した。
[製造例1]
(開環共重合)
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500部に、1−ヘキセン0.55部、ジイソプロピルエーテル0.30部、トリイソブチルアルミニウム0.20部、イソブチルアルコール0.075部を室温で反応器に入れ混合した後、55℃に保ちながら、2−ノルボルネン(以下、「2−NB」という)250部及び六塩化タングステン1.0%トルエン溶液6部を2時間かけて連続的に添加し、重合した。得られた開環重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、83,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.8であった。
(水素添加反応)
上記で得た開環重合体(A)を含む重合反応液を耐圧の水素添加反応器に移送し、珪藻土担持ニッケル触媒(T8400、ズードケミー触媒社製、ニッケル担持率58%)0.5部を加え、160℃、水素圧4.5MPaで6時間反応させた。この溶液を、珪藻土をろ過助剤としてステンレス製金網を備えたろ過器によりろ過し、触媒を除去した。
得られた反応溶液を3000部のイソプロピルアルコール中に撹拌下に注いで水素添加物を沈殿させ、ろ別して回収した。さらに、アセトン500部で洗浄した後、0.13×10Pa以下、100℃に設定した減圧乾燥器中で48時間乾燥し、開環重合体水素添加物(A)を190部得た。
(重合体物性)
得られた開環重合体水素添加物(A)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は、82,200、分子量分布(Mw/Mn)は2.9、異性化率は5%、融点は140℃であった。
(樹脂の調製)
開環重合体水素添加物(A)100部に酸化防止剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製;イルガノックス1010、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)0.1部を加え、二軸混練機(TEM−35B、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂(A)を得た。
[製造例2]
(開環共重合)
製造例1において、モノマーを2−NB 240部、ジシクロペンダジエン(以下、「DCP」という)10部とし、1−ヘキセン0.55部、ジイソプロピルエーテル0.40部、トリイソブチルアルミニウム0.27部、イソブチルアルコール0.10部、六塩化タングステン1.0%トルエン溶液20部とした以外は実施例1と同様にして、重合を行った。得られた開環重合体(B)の重量平均分子量(Mw)は、83,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.7であった。重合添加率は、ほぼ100%であった。その後、製造例1と同様にして、水素添加反応を行い、開環共重合体水素添加物(B)を190部得た。
(重合体物性)
得られた開環共重合体水素添加物(B)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は、81,300、分子量分布(Mw/Mn)は3.8、異性化率は9%、融点は134℃であった。
(樹脂の調製)
開環共重合体水素添加物(B)を用いたこと以外は、製造例1と同様にしてペレット化した樹脂(B)を得た。
[製造例3]
(開環共重合及び水素添加反応)
製造例1において、モノマーを、2−NB 245部と5−メチル−2−ノルボルネン(以下、「MNB」という)5部とし、1−ヘキセン0.40部、ジイソプロピルエーテル0.31部、トリイソブチルアルミニウム0.20部、イソブチルアルコール0.08部、六塩化タングステン1.0%トルエン溶液15部とした以外は製造例1と同様にして、開環共重合を行った。重合転化率は、ほぼ100%であった。得られた開環共重合体(C)の重量平均分子量Mwは、103,000で、分子量分布(Mw/Mn)は、1.9であった。その後、製造例1と同様にして、水素添加反応を行い、開環共重合体水素添加物(C)190部を得た。
(重合体物性)
得られた開環共重合体水素添加物(C)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量Mwは100,000、分子量分布Mw/Mnは2.9、異性化率は8%、融点は136℃であった。
(樹脂の調製)
開環共重合体水素添加物(C)を用いたこと以外は、製造例1と同様にしてペレット化した樹脂(C)を得た。
[製造例4]
窒素雰囲気下、攪拌機付きオートクレーブに、70%の2−NBのトルエン溶液33.4部、DCP 2.86部と1−ヘキセン0.020部、シクロヘンサン49.3部を加えて攪拌した。続いてビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリド0.023部を8.6部のトルエンに溶解した溶液を加えて、60℃にて30分間反応させた。重合転化率は、ほぼ100%であった。得られた開環重合体(E)の重量平均分子量(Mw)は、81,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.6であった。
(水素添加反応)
上記で得た重合溶液にエチルビニルエーテル0.020部を加えて攪拌した後、水素圧力1.0MPa、150℃で20時間水素添加反応を行なった。その後、室温まで冷却させ、活性炭粉末0.5部をシクロヘキサン10部に懸濁させた溶液を添加し、水素圧力1.0MPa、150℃で2時間反応させた。次いで反応液を孔径0.2μmのフィルターでろ過し、活性炭粉末を除去した。反応溶液を大量のイソプロパノールに注いでポリマーを完全に析出させ、ろ別して回収した。さらに、アセトンで洗浄した後、0.13×10Pa以下、100℃に設定した減圧乾燥器中で48時間乾燥し、開環共重合体水素添加物(D)を得た。
(重合体物性)
得られた開環共重合体水素添加物(D)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は、85,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.9、融点は101℃であった。
(樹脂の調製)
開環共重合体水素添加物(D)を用いたこと以外は、製造例1と同様にしてペレット化した樹脂(D)を得た。
[製造例5]
(開環重合)
窒素雰囲気下、攪拌機付きオートクレーブに、タングステン(フェニルイミド)テトラクロリド・ジエチルエーテル1.1部とシクロヘキサン18.5部を添加した。さらにジエチルアルミニウムエトキシド0.87部をヘキサン9.26部に溶解した溶液を添加して、室温にて30分攪拌した。得られた混合物に、DCP 139部、1−ヘキサン0.33部を添加し、50℃で3時間重合反応を行なった。得られた開環重合体(E)の重量平均分子量(Mw)は、78,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.5であった。
(水素添加反応)
上記で得られた重合溶液にビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリド0.87部及びエチルビニルエーテル20.4部をシクロヘキサン650部に溶解した水素添加触媒溶液を添加し、水素圧1.0MPa、160℃で20時間水素添加反応を行なった。反応溶液を大量のイソプロパノールに注いでポリマーを完全に析出させ、ろ別して回収した。さらに、アセトン500部で洗浄した後、0.13×10Pa以下、100℃に設定した減圧乾燥器中で48時間乾燥し、開環重合体水素添加物(E)を130部得た。
得られた開環重合体水素添加物(E)は、GPCの溶剤に溶解せず、分子量の測定はできなかった。また、融点は273℃であった。
(樹脂の調製)
開環重合体水素添加物(E)を用いたこと以外は、製造例1と同様にしてペレット化した樹脂(E)を得た。
以下に、各製造例で得られた重合体の物性をまとめた。
Figure 2009143573
[実施例1]
(フィルム成形)
スクリュー径20mmφ、圧縮比2.5、L/D=25のスクリューを備えたハンガーマニュホールドタイプのTダイ式フィルム溶融押出成形機(据置型、GSIクレオス社製)を使用し、以下の条件で、製造例1で得られた樹脂(A)を、下記の成形条件によるTダイ成形を行い、フィルムA(膜厚:100μm)を得た。
<成形条件>
ダイリップ:0.8mm
溶融樹脂温度:180℃
Tダイの幅:300mm
Tダイ温度:190℃
冷却ロール:80℃
キャストロール:90℃
得られたフィルムAのメタノールバリア性、局所刺激剤の吸着性、耐油性を評価した。評価結果を表2に示す。
[実施例2]
樹脂(A)の代わりに樹脂(B)を用いた以外は実施例1と同様にしてフィルムB(膜厚:100μm)を得た。得られたフィルムBのメタノールバリア性、局所刺激剤の吸着性、耐油性を評価した。評価結果を表2に示す。
[実施例3]
樹脂(A)の代わりに樹脂(C)を用いた以外は実施例1と同様にしてフィルムC(膜厚:100μm)を得た。得られたフィルムCのメタノールバリア性、局所刺激剤の吸着性、耐油性を評価した。評価結果を表2に示す。
[実施例4]
(ブレンド物の作成)
製造例1で得られた樹脂(A)のペレット70部と、高密度ポリエチレンHY540(日本ポリエチレン製、密度0.960、メルトーフローレート1.0g/10分(温度190 ℃、荷重21.168N 、融点135℃))のペレット30部とを、ブレンダーで混合した。次いで、二軸混練機(TEM−35B、東芝機械社製)により、以下の混練条件で混練し、押し出し、ペレット化し、ブレンド物(A)のペレットを得た。
<混練条件>
スクリュー径:37mm
L/D:32
スクリュー回転数:250rpm
樹脂温度:200℃
フィードレート:15kg/時間
樹脂(A)の代わりにブレンド物(A)を用い、以外の条件にてフィルムD(膜厚:100μm)を得た。得られたフィルムDのメタノールバリア性、局所刺激剤の吸着性、耐油性を評価した。評価結果を表2に示す。
[比較例1]
樹脂(A)の代わりにノルボルネン系重合体(ゼオノア1020R:日本ゼオン社製:登録商標;Tg102℃)を用い、フィルム成形条件を以下のように変更した以外は実施例1と同様にしてフィルムE(膜厚:100μm)を得た。
<成形条件>
ダイリップ:0.8mm
溶融樹脂温度:230℃
Tダイの幅:300mm
Tダイ温度:260℃
冷却ロール:136℃
キャストロール:140℃
得られたフィルムEのメタノールバリア性、局所刺激剤の吸着性、耐油性を評価した。評価結果を表2に示す。
[比較例2]
樹脂(A)の代わりに樹脂(D)を用いた以外は実施例1と同様にしてフィルムF(膜厚:100μm)を得た。得られたフィルムFのメタノールバリア性、局所刺激剤の吸着性、耐油性を評価した。評価結果を表2に示す。
[比較例3]
(フィルム成形)
樹脂(A)の代わりに樹脂(F)を用い、フィルム成形条件を以下のように変更した以外は実施例1と同様にしてフィルムGを得た。
<成形条件>
ダイリップ:0.8mm
溶融樹脂温度:310℃
Tダイの幅:300mm
冷却ロール:220℃
キャストロール:230℃
得られたフィルムGのメタノールバリア性、耐油性を評価した。局所刺激剤の吸着性は、3方シールパウチが得られず評価できなかった。評価結果を表2に示す。
[比較例4]
樹脂(A)の代わりにノルボルネン系重合体(ゼオノア1020R:日本ゼオン社製:登録商標;Tg102℃)を用いた以外は実施例4と同様にしてブレンド物(B)、フィルムH(膜厚:100μm)を得た。得られたフィルムHのメタノールバリア性、局所刺激剤の吸着性、耐油性を評価した。評価結果を表2に示す。
Figure 2009143573
この結果から以下のことがわかる。
本発明の包装体は、2−ノルボルネンが90〜100重量%と置換基含有ノルボルネン類が10〜0重量%とを含有してなる重合性単量体を開環重合し、水素添加して得られる、融点が110〜145℃、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が50,000〜200,000、重量平均分子量/数平均分子量が1.5〜10.0である結晶性ノルボルネン系開環重合体水素添加物(A)を含有する樹脂組成物を成形してなる層を少なくとも一層有するフィルムからなる、局所刺激剤含有製剤封入用包装体である。
本発明の樹脂組成物を用いて得られた包装体は、メタノールバリア性が良好で、かつ、局所刺激剤の吸着性が低く耐油性に優れる(実施例1〜4)。
それに対して、融点を有しないノルボルネン系単量体開環重合体水素添加物を用いた場合は、メタノールバリア性、及び耐油性が劣る(比較例1)。また融点を有しないノルボルネン系単量体開環重合体水素添加物と高密度ポリエチレンのブレンド物を用いて得られたフィルムは、メタノールバリア性が劣り、かつ、40℃における局所刺激剤の吸着性が高い(比較例4)。
2−ノルボルネン由来の繰り返し単位(A)の全繰り返し単位に対する存在割合が90〜100重量%の範囲にない2−ノルボルネン開環重合体水素化物を用いた場合は、メタノールバリア性、及び局所刺激剤の吸着性が高い(比較例2)。
また、融点が110〜145℃の範囲にない2−ノルボルネン開環重合体水素化物を用いた場合は、シールができず、包装体が得られなかった(比較例3)。

Claims (2)

  1. 2−ノルボルネンが90〜100重量%と置換基含有ノルボルネン類が10〜0重量%とを含有してなる重合性単量体を開環重合し、水素添加して得られる、融点が110〜145℃、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が50,000〜200,000、重量平均分子量/数平均分子量が1.5〜10.0である結晶性ノルボルネン系開環重合体水素添加物(A)を含有する樹脂組成物を成形してなる層を少なくとも一層有するフィルムからなる、局所刺激剤含有製剤封入用包装体。
  2. 局所刺激剤が、サリチル酸メチル、メントール、カンフル及びアルコールからなる群より選ばれる1以上の化合物である請求項1記載の包装体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016194554A1 (ja) * 2015-06-03 2016-12-08 ポリプラスチックス株式会社 貼付剤用基材
WO2017057109A1 (ja) * 2015-09-28 2017-04-06 日本ゼオン株式会社 樹脂組成物、微多孔膜、セパレータ、及び二次電池

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