JP2012066518A - マイクロチップ基板の接合方法 - Google Patents

マイクロチップ基板の接合方法 Download PDF

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Masatsugu Kato
昌嗣 加藤
Yohei Koide
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Abstract

【課題】基板と蓋との密着性が良好で、かつ外観不良のないマイクロチップを提供する。
【解決手段】表面に流路を有するマイクロチップ基板及び/又は当該基板と密着する平面を有する蓋に有機溶剤を塗布した後、前記基板と前記蓋とを重ね合わせて、両者を接合する方法であって、前記基板及び前記蓋が、いずれも極性基を有しないノルボルネン系重合体からなるものであり、前記有機溶剤として溶解パラメータ(SP値)が8〜9であるエーテル化合物を用いる接合方法により、マイクロチップを製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、微細流路を有するマイクロチップ基板の接合方法に関する。
核酸や蛋白質などの分析、合成等に広く利用されているマイクロチップは、微細な流路を有するマイクロチップ基板と、当該基板と密着する平面を有する蓋とを接合して製造される。
マイクロチップは、その生産性の良好さから、近年ガラス製に代わりプラスチック製が主流となっている。
基板と蓋との接合に際しては、接着剤を用いる方法が一般的に採用されているが、接着剤による内壁の汚染や流路の閉鎖の問題があり、有機溶剤のみを用いて基板と蓋とを融着する方法が提案されている(特許文献1)。特許文献1には飽和環状ポリオレフィン樹脂製マイクロチップに対してシクロヘキサンを用いている例が具体的に記載されている。また、溶剤としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、アルキルケトン、酢酸エステル、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘプタン、アセトンが例示されている。
特開2007−240461号公報
本発明者は、特許文献1に従って、極性基を有しないノルボルネン系重合体からなるマイクロチップ基板と蓋とを接合するために、シクロヘキサンを用いたところ、十分な接着が得られず、また、1週間後には接合部にクラックが発生することを確認した。
そこで本発明者は、極性基を有しないノルボルネン系重合体製のマイクロチップ基板と蓋との接合に好適な有機溶剤を得るべく鋭意検討した結果、溶解パラメータ(SP値)が8〜9の範囲にあるエーテル化合物を用いると、基板と蓋との密着性が良好で、かつ外観不良もなく、しかも、熱圧着が可能であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、表面に流路を有するマイクロチップ基板及び/又は当該基板と密着する平面を有する蓋に有機溶剤を塗布した後、前記基板と前記蓋とを重ね合わせて、両者を接合する方法であって、
前記基板及び前記蓋が、いずれも極性基を有しないノルボルネン系重合体からなるものであり、
前記有機溶剤が、溶解パラメータ(SP値)が8〜9であるエーテル化合物である
ことを特徴とする接合方法、及び当該接合方法により得られたマイクロチップが提供される。
エーテル化合物は、シクロペンチルメチルエーテル又は2−メチルテトラヒドロフランであるのが好ましい。
重ね合わせた後、以下の条件で熱圧着するのが好ましい。
(1)温度:40〜100℃
(2)圧力:1〜5MPa
(3)時間:3〜10分
本発明の接合方法においては、マイクロチップ基板と、当該基板と密着する平面を有する蓋とが用いられる。
マイクロチップ基板には、流路が形成されている。
蓋は、当該流路を有するマイクロチップ基板の流路を覆うことができる様、基板と密着する平面を有する必要はあるが、平面があり基板と密着可能であれば、蓋自体にも流路があることを妨げない。
本発明において、表面に流路を有するマイクロチップ基板(以下、単に「基板」ということがある)と、当該基板と密着する平面を有する蓋(以下、単に「蓋」ということがある)とは、いずれも、極性基を有しないノルボルネン系重合体から得られる。
1)極性基を有しないノルボルネン系重合体
極性基を有しないノルボルネン系重合体は、極性基を有しないノルボルネン系単量体を開環重合した後水素化し、又は、極性基を有しないノルボルネン系単量体とα−オレフィンとを付加重合して得られる。
強度および高温高湿下におかれた後の透明性の観点から、極性基を有しないノルボルネン系単量体を開環重合した後水素化して得られる、極性基を有しないノルボルネン系開環重合体水素化物がより好ましい。
・極性基を有しないノルボルネン系単量体
極性基を有しないノルボルネン系単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:エチリデンノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、などの2環式単量体;トリシクロ[4.3.01,6.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)及びその誘導体、などの3環式単量体;7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名メタノテトラヒドロフルオレン:1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン及びその誘導体、などの4環式単量体;などが挙げられる。
置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルキリデン基などのヘテロ原子のない炭化水素基が例示でき、上記ノルボルネン系単量体は、これらを2種以上有していてもよい。具体的には、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
これらの極性基を有しないノルボルネン系単量体は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも耐熱性の面から、全単量体中に含まれる2環式単量体の量は、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0〜15重量%であり、全体量体に含まれる3環及び4環式単量体の合計量は、好ましくは70〜100重量%、より好ましくは85〜100重量%である。特に耐熱性が要求される分野においては、4環式単量体の量は、好ましくは40〜100重量%である。
・開環重合方法
極性基を有しないノルボルネン系単量体の開環重合は、メタセシス重合触媒を用いた、公知の方法に従って行うことができる。メタセシス重合触媒としては、特に限定はなく公知のものが用いられる。具体的には、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金などから選ばれる金属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系;チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステンおよびモリブデンから選ばれる金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、助触媒の有機アルミニウム化合物とからなる触媒系;あるいは、特開平7−179575号、J.Am.Chem.Soc.,1986年,108,p.733、J.Am.Chem.Soc.,1993年,115,p.9858、およびJ.Am.Chem.Soc.,1996年,118,p.100などに開示されている公知のシュロック型やグラッブス型のリビング開環メタセシス触媒などを用いることができる。
これらの触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。触媒の使用量は、重合条件等により適宜選択されればよいが、全単量体量に対するモル比で、通常1/1,000,000〜1/10、好ましくは、1/100,000〜1/100である。
さらに、極性化合物を加えて、重合活性や開環重合の選択性を高めることができる。極性化合物としては、例えば、分子状酸素、アルコール、エーテル、過酸化物、カルボン酸、酸無水物、酸クロリド、エステル、ケトン、含窒素化合物、含硫黄化合物、含ハロゲン化合物、分子状ヨウ素、その他のルイス酸などが挙げられる。
含窒素化合物としては、脂肪族または芳香族第三級アミンが好ましく、具体例としては、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、α−ピコリンなどが挙げられる。これらの極性化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。その用量は、適宜選択されるが、上記触媒中の金属との比、すなわち、極性化合物/金属の比(モル比)で、通常1〜100,000、好ましくは5〜10,000の範囲である。
重合反応は、通常2−ヘキセンなどのα−オレフィンに代表される分子量調節剤(極性基を有しないノルボルネン系単量体100モルに対して、通常0.1〜3モル程度)存在下、有機溶媒などの溶媒中で行われる。溶媒としては、重合反応に不活性なものであれば格別な制限はないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;n−ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン、ビシクロノナンなどの脂環族炭化水素;ジクロルエタン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;などが挙げられる。
開環重合する形態に格別な制限はないが、一括重合法(バッチ法)、モノマー連続添加法(モノマーを連続添加して重合を進めていく方法)等が挙げられ、特にモノマー連続添加法を用いるとよりランダムな連鎖構造を有し好ましい。
分子量調節剤の添加方法としては、溶媒に全量の分子量調節剤を添加した後に、ノルボルネン系単量体を連続添加していく方法、ノルボルネン系単量体と分子量調節剤とを同時に連続添加していく方法等が挙げられ、特にノルボルネン系単量体と分子量調節剤とを同時に連続添加していく方法がランダムな連鎖構造を有して好ましい。
重合温度は、通常−50℃〜250℃、好ましくは−30℃〜200℃、より好ましくは−20℃〜150℃の範囲である。重合圧力は、通常0〜50kg/cm、好ましくは0〜20kg/cmの範囲である。重合時間は、重合条件により適宜選択されるが、通常30分〜20時間、好ましくは1〜10時間の範囲である。
本発明で用いられる極性基を有しないノルボルネン系開環共重合体の数平均分子量(Mn)は、通常、5,000〜100,000、好ましくは6,000〜70,000であり、より好ましくは7,000〜60,000である。重量平均分子量(Mw)は、通常、10,000〜350,000、好ましくは12,000〜245,000、より好ましくは14,000〜210,000である。分子量は、シクロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定され、標準ポリイソプレン換算値として表す。分子量が、これらの範囲にあるとき機械的強度と成形性とのバランスに優れる。分子量の分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4の範囲である。
・水素化触媒および水素化方法
前記の極性基を有しないノルボルネン系開環共重合体中の炭素―炭素の二重結合を、常法に従って、水素化触媒の存在下に極性基を有しないノルボルネン系開環共重合体を水素と接触させ水素化することによって極性基を有しないノルボルネン系開環重合体水素化物が得られる。
水素化触媒としては、特開昭58−43412号公報、特開昭60−26024号公報、特開昭64−24826号公報、特開平1−138257号公報、特開平7−41550号公報などに記載されているものを使用することができる。
触媒は均一系でも不均一系でもよい。均一系触媒は、水素化反応液中で分散しやすいので添加量が少なくてよく、また、高温高圧にしなくとも活性を有するので重合体の分解やゲル化が起こらず、低コスト性および品質安定性などに優る。不均一系触媒は、高温高圧下に高活性となり、短時間で水素化でき、さらに除去が容易であるなど、生産効率の面で優る。
均一系触媒としては、例えば、ウィルキンソン錯体、すなわち、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I);遷移金属化合物とアルキル金属化合物の組み合わせからなる触媒、具体的には、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウム等の組み合わせが挙げられる。
不均一系触媒としては、例えば、Ni、Pd、Pt、Ru、Rh等の水素化触媒金属を担体に担持させたものが挙げられる。特に、不純物等の混入が少ないほど好ましい場合は、担体として、アルミナや珪藻土等の吸着剤を用いることが好ましい。
水素化反応は、通常、有機溶媒中で実施する。有機溶媒としては、触媒に不活性なものであれば格別な限定はないが、生成する水素化物の溶解性に優れていることから、通常は炭化水素系溶媒が用いられる。炭化水素系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;n−ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン、ビシクロノナン等の脂環族炭化水素類;などを挙げることができ、これらの中でも、シクロヘキサノンなどの低沸点の脂環族炭化水素類が好ましい。
これらの有機溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。通常は、重合反応溶媒と同じでよく、重合反応液にそのまま水素化触媒を添加して反応させればよい。
本発明に係る極性基を有しないノルボルネン系開環重合体水素化物が、芳香族環を有する繰り返し単位を有する場合には、主鎖構造中の炭素−炭素二重結合の水素化反応において、側鎖の芳香環族構造を残存させることもできるが、完全に水素化しても構わない。なお、H−NMRによる分析により、主鎖構造中の炭素−炭素二重結合は、芳香族環構造中の不飽和結合と区別して認識することができる。
水素化反応は、常法に従って行えばよい。
水素化触媒の種類や反応温度によって水素化率は変わり、極性基を有しないノルボルネン系単量体が芳香族環を有する場合、芳香族環の残存率も変化させることがでる。上記の水素化触媒を用いた場合、芳香族環の不飽和結合をある程度以上残存させるためには、反応温度を低くしたり、水素圧力を下げたり、反応時間を短くする等の制御を行えばよい。
水素化反応終了後、触媒は、遠心、ろ過等の常法にしたがって除去することができる。必要に応じて、水やアルコール等の触媒不活性化剤を利用したり、活性白土やアルミナ等の吸着剤を添加したりしてもよい。医療用器材等、残留した遷移金属が溶出するのが好ましくない用途では、実質的に遷移金属が残留しないようにする。そのような重合体水素化物を得るためには、特開平5−317411号公報などで開示されているような、特定の細孔容積と比表面積を持ったアルミナ類等の吸着剤を用いたり、重合体溶液を酸性水と純水で洗浄したりすることが好ましい。
遠心方法やろ過方法は、用いた触媒が除去できる条件であれば、特に限定されない。ろ過による除去は、簡便かつ効率的であるので好ましい。ろ過する場合、加圧ろ過しても、吸引ろ過してもよく、また、効率の点から、珪藻土、パーライト等のろ過助剤を用いることが好ましい。
本発明に用いる極性基を有しないノルボルネン系開環重合体水素化物の数平均分子量は、通常5,000〜100,000、好ましくは6,000〜70,000であり、より好ましくは7,000〜60,000である。重量平均分子量は、通常10,000〜350,000、好ましくは12,000〜245,000、より好ましくは14,000〜210,000である。分子量は、シクロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定され、標準ポリイソプレン換算値として表す。分子量が、これらの範囲にあるとき溶液安定性、機械的強度と成形性とのバランスに優れる。分子量の分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4の範囲である。
本発明に用いる極性基を有しないノルボルネン系開環重合体水素化物のガラス転移温度(Tg)は、通常100〜200℃、好ましくは110〜170℃である。Tgが低いと耐熱性が低く使用環境が制限される恐れがあり、Tgが高いと流動性が低下し成形性が悪化する恐れがある。
ノルボルネン系開環重合体水素化物のガラス転移温度は、示差走査熱量分析計を用いてJIS K 7121に基づいて測定することができる。
本発明に用いる極性基を有しないノルボルネン系開環重合体水素化物は、重合体中の主鎖二重結合の水素化率は、通常80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上、特に好ましくは99.9%以上である。水素化率が高いと、耐熱性および防湿性に優れ、成形する際に樹脂焼けが起こり難く、特にフィルム成形する際には、ダイラインの発生を抑制することができる点で、好ましい。
極性基を有しないノルボルネン系開環重合体水素化物の水素化率は、溶媒に重クロロホルムを用い、H−NMRにより測定して求めることができる。
・α−オレフィン
上述した、極性基を有しないノルボルネン系単量体と付加重合するα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられる。
・付加重合方法
極性基を有しないノルボルネン系単量体とα−オレフィンとを付加重合する方法としては、例えば特開平05-310845に記載されているように、炭化水素溶媒中で、(i)可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とから形成される触媒系または(ii)周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物とから形成される触媒系の存在下でエチレンと、芳香族含有ノルボルネン誘導体とを共重合させることによって製造することができる。
炭化水素溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素およびそのハロゲン誘導体、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素およびそのハロゲン誘導体、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素およびクロロベンゼンなどのハロゲン誘導体などが用いられる。これら溶媒は混合して用いてもよい。
付加重合は、バッチ法、連続法いずれにおいても実施することができる。この際用いられる触媒の濃度は以下のとおりである。触媒(i)が用いられる場合には、重合系内の可溶性バナジウム化合物は、重合容積1リットル当たり、通常、0.01〜5mmol、好ましくは0.05〜3mmolの量で、また、有機アルミニウム化合物は、重合系内のバナジウム原子に対するアルミニウム原子の比(Al/V)で、2以上、好ましくは2〜50、さらに好ましくは3〜20の量で供給される。また可溶性バナジウム化合物は、重合系内に存在する可溶性バナジウム化合物(共重合が連続法で実施される場合には)の濃度の10倍以下、好ましくは1〜7倍、さらに好ましくは1〜5倍の濃度で供給されることが望ましい。
可溶性バナジウム化合物および有機アルミニウム化合物は、通常、それぞれ液状の単量体および/または上述の炭化水素溶媒で希釈されて重合系に供給される。この際、該可溶性バナジウム化合物は上述した濃度に希釈されることが望ましいが、有機アルミニウム化合物は重合系内における濃度のたとえば50倍以下の任意の濃度に調製して重合系内に供給されることが望ましい。
触媒(ii)が用いられる場合には、重合系内のメタロセン化合物は、重合容積1リットル当たり、通常約0.00005〜0.1mmol、好ましくは約0.0001〜0.05mmolの量で、有機アルミニウムオキシ化合物は、メタロセン化合物中の遷移金属原子1モルに対して、有機アルミニウムオキシ化合物中のアルミニウム原子が、通常約1〜10000mol、好ましくは10〜5000molとなるような量で用いられる。
上記のような触媒(i)または(ii)の存在下に行なわれる共重合反応は、通常、温度が-50℃〜150℃、好ましくは-30℃〜100℃、さらに好ましくは-20℃〜70℃で、圧力が0超過4.9MPa(50Kgf/cm、ゲージ圧)以下、好ましくは0超過2.0MPa(20Kgf/cm、ゲージ圧)以下の条件下で行われる。また反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、用いられる単量体の種類、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常2分〜5時間、好ましくは5分〜3時間である。
極性基を有しないノルボルネン系単量体とα−オレフィンとは、目的とする共重合比となるよう供給量を設計する。
付加重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
上記のようにして極性基を有しないノルボルネン系単量体とα−オレフィンとを付加重合させると、通常極性基を有しないノルボルネン系単量体とα−オレフィンとの付加重合体を含む重合液として得られる。この重合液は常法により処理され、付加重合体が得られる。
本発明に用いる極性基を有しないノルボルネン系単量体とα−オレフィンとの付加重合体の数平均分子量は、通常5,000〜100,000、好ましくは6,000〜70,000であり、より好ましくは7,000〜60,000である。重量平均分子量は、通常10,000〜350,000、好ましくは12,000〜245,000、より好ましくは14,000〜210,000である。分子量は、シクロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定され、標準ポリイソプレン換算値として表す。分子量が、これらの範囲にあるとき溶液安定性、機械的強度と成形性とのバランスに優れる。分子量の分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4の範囲である。
本発明に用いる極性基を有しないノルボルネン系単量体とα−オレフィンとの付加重合体のガラス転移温度(Tg)は、通常100〜200℃、好ましくは110〜170℃である。Tgが低いと耐熱性が低く使用環境が制限される恐れがあり、Tgが高いと流動性が低下し成形性が悪化する恐れがある。
極性基を有しないノルボルネン系単量体とα−オレフィンとの付加重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量分析計を用いてJIS K 7121に基づいて測定することができる。
・配合剤
本発明に用いる基板と蓋との製造に当たっては、上記極性基を有しないノルボルネン系重合体に、その他の高分子材料、各種添加剤などを配合することができる。
(1)その他の高分子材料
その他の高分子材料としては、例えば、(イ)ゴム質重合体や(ロ)その他の熱可塑性樹脂が挙げられる。
イ)ゴム質重合体
ゴム質重合体としては、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム;エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体ゴム;エチレン−メチルメタクリレート、エチレン−ブチルアクリレートなどのエチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体;エチレン−酢酸ビニルなどのエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体;アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリルなどのアクリル酸アルキルエステルの重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンまたはスチレン−イソプレンのランダム共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル−スチレン共重合体などのジエン系ゴム;ブチレン−イソプレスチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体などの芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合体、低結晶性ポリブタジエン樹脂、エチレン−プロピレンエラストマー、スチレングラフトエチレン−プロピレンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、エチレン系アイオノマー樹脂などを挙げることができる。
これらの熱可塑性エラストマーのうち、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体などが好ましく、具体的には、特開平2−133406号公報、特開平2−305814号公報、特開平3−72512号公報、特開平3−74409号公報などに記載されているものを挙げることができる。
マイクロチップ基板と蓋とは、一般には、スチーム滅菌(蒸気滅菌)等の加熱加圧処理時に、透明性を低下させないことが要求されるが、ゴム質重合体を配合することにより蒸気滅菌時の白化を効果的に防ぐことができる。
その場合のゴム質重合体の配合割合は、極性基を有しないノルボルネン系開環重合体水素化物100重量部に対して、通常0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜3重量部の範囲である。
(ロ)その他の熱可塑性樹脂
その他の熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等の異種の熱可塑性樹脂、及び前記のノルボルネン系開環重合体水素化物以外のノルボルネン系開環共重合体の水素化物などが挙げられる。
これらのその他の熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。その他の熱可塑性樹脂の配合割合は、ノルボルネン系開環重合体水素化物100重量部に対して、通常0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜70重量部、より好ましくは1〜50重量部の範囲である。
(2)各種添加剤
必要に応じて配合される添加剤としては、適用する用途分野で一般的に使用されているものであれば特に制限なく用いることができる。このような添加剤としては、例えば、安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染料、顔料、有機または無機の充填剤、などが挙げられる。
(イ)安定剤
安定剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、1,2−ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩;フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。
これらの安定化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。安定化剤の配合割合は、ノルボルネン系開環重合体水素化物100重量部に対して、通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。
(ロ)滑剤
滑剤としては、脂肪族アルコールのエステル、多価アルコールのエステルあるいは部分エステル等の有機化合物や無機微粒子等を用いることができる。
有機化合物としては、例えば、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等が挙げられる。
無機微粒子としては、IA族、IIA族、IVA族、VI族、VIIA族、VIII族、IB族、IIB族、IIIB族、IVB族元素の酸化物、水酸化物、硫化物、窒素化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、燐酸塩、亜燐酸塩、有機カルボン酸塩、珪酸塩、チタン酸塩、ホウ酸塩、及びそれらの含水化合物、それらを中心とする複合化合物、天然鉱物粒子を示す。無機微粒子の平均粒径は、特に制限はないが、好ましくは、0.01〜3μmである。
これらの滑剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。その滑剤の配合割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、例えば本発明の成形材料をフィルムとする場合の配合割合は、ノルボルネン系開環重合体水素化物100重量部に対して、通常0.001〜5重量部、好ましくは0.005〜3重量部である。
(ハ)有機または無機の充填剤
有機または無機の充填剤としては、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、塩基性炭酸マグネシウム、ドワマイト、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などを例示できる。これらの充填剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて添加することができる。
充填剤の配合割合は、ノルボルネン系開環重合体水素化物100重量部に対して、通常0.1〜50重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
これらのその他の高分子材料や各種配合剤の添加方法は、これらの配合成分がノルボルネン系開環重合体水素化物中で十分に分散する方法であれば格別な限定はなく、例えば、重合中の任意の過程で添加するか、あるいは溶融押出する任意の過程で添加する方法で行われる。
ゴム質重合体を配合剤とする場合には、例えば二軸混練機などでノルボルネン系開環重合体水素化物を溶融状態で混練する方法、適当な溶剤に溶解して分散混合した後に、溶媒を凝固法、キャスト法、または直接乾燥法により溶剤を除去する方法などがある。
本発明に用いる基板と蓋とは、板状、シート状、フィルム状など、マイクロチップとして機能する形状であれば良い。操作性、経済性の観点から、一般的には、いずれも厚みが0.05〜3mmとなる範囲である。
基板と蓋との成形方法に格別な制限はなく、一般的な熱可塑性樹脂の成形方法、例えば、射出成形、押し出し成形、熱プレス成形、溶剤キャスト成形、インフレーションなどによって成形することができる。
基板と蓋との接合に際しては、いずれか一方に有機溶剤を塗布後、両者を重ね合わせるが、マイクロチップの内壁汚染を考慮すると、流路のない部分にのみ、有機溶剤を塗布するのが一般的である。
接合に用いる有機溶剤は、溶解パラメータ(SP値)が8〜9であるエーテル化合物である。具体的には、シクロペンチルメチルエーテル(SP値=8.4)、2−メチルテトラヒドロフラン(SP値=8.52)などが挙げられる。
尚、溶解パラメータは1cmの液体が蒸発するために必要な蒸発熱の平方根(cal/cm1/2から計算される、正則溶液論により定義された値である。
塗布する有機溶剤の量に格別な制限はないが、生産効率の観点から、一般的には、0.01〜0.04g/cmである。
塗布時の環境温度は、用いる有機溶剤の沸点を考慮し任意に設定することができる。
溶剤塗布後は、基板と蓋とを重ね合わせて接合する。
通常、重ね合わせた後、有機溶剤を乾燥除去する。乾燥方法に格別な制限はなく、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥いずれでも良いが、生産性の観点から、加熱乾燥が好ましい。
また、接合強度の確保の観点から両者を加圧するのが好ましい。
これらのことから、基板と蓋とを重ね合わせた後、熱圧着を行うと、高品質のマイクロチップが効率よく得られるので好ましい。
基板と蓋とを熱圧着により貼り合わせる方法としては、有機溶剤の塗工直後、基板と蓋とを熱プレス機にて加圧して貼り合せる。更に、貼り合わせた後に、赤外線ヒーター、誘導加熱、熱ロール等を用いて加熱を行い、乾燥しても良い。加熱後の冷却は、貼り合せた基板と蓋とを金属プレート上に置き冷却する。
熱圧着する場合、温度条件は通常40〜100℃、好ましくは40〜60℃、圧力条件は通常1〜5MPa、好ましくは1〜3MPaで、通常3〜10分、好ましくは3〜7分、熱圧着を行う。
もちろん、自然乾燥の場合は、温度は室温であり、圧力は大気圧である。乾燥時間は溶剤の沸点に応じて任意に設計されるが、シクロペンチルメチルエーテルを用いた場合、一般的には60〜120分程度を要する。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。以下において、部または%は、特に断りが無い限り重量基準であり、圧力はゲージ圧力である。
なお、各種の物性の測定は、下記の方法に従って行った。
(1)分子量
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(MWD)はシクロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による、標準ポリイソプレン換算値として測定した。標準ポリイソプレンとしては、東ソー社製標準ポリイソプレン、Mw=602、1,390、3,920、8,050、13,800、22,700、58,800、71,300、109,000、280,000の計10点を用いた。
測定には、東ソー社製HLC8120GPCを用い、カラムとして東ソー社製TSKgel G5000HXL、TSKgel G4000HXLおよびTSKgel G2000HXLを3本直列に繋いで用い、流速1.0ml/分、サンプル注入量100μml、カラム温度40℃の条件で行った。
(2)水素化率
主鎖及び環状炭化水素構造の水素化率は、H−NMRスペクトルを測定し算出した。
(3)ガラス転移温度(Tg)
Tgは示差走査熱量分析計を用いて、JIS K 7121に基づいて測定した。
(4)メルトマスフローレート(MFR)
JIS K 7210に準拠して、280℃、2.16kg荷重で測定した。
[製造例1]
(樹脂の製造方法)
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500部に、1−ヘキセン0.82部、ジブチルエーテル0.15部、トリイソブチルアルミニウム0.30部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(以下「DCP」と略すことがある)76部、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(以下、「MTF」という。)54部、及びテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以下、「TCD」という)70部からなるノルボルネン系モノマー混合物と、六塩化タングステン(0.7%トルエン溶液)40部とを、2時間かけて連続的に添加し重合した。重合溶液にブチルグリシジルエーテル1.06部とイソプロピルアルコール0.52部を加えて重合触媒を不活性化し重合反応を停止させた。得られた開環重合体(A)の重量平均分子量は32,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。重合添加率は、ほぼ100%であった。その後、得られた開環重合体を含有する反応溶液100部に対して、シクロヘキサン270部を加え、さらに水素添加触媒としてニッケル−アルミナ触媒(日揮化学社製)5部を加え、水素により5MPaに加圧して撹拌しながら温度200℃まで加温して4時間反応させ、DCP/MTF/TCD開環重合体水素添加物を20%含有する反応溶液を得た。得られた反応溶液から濾過により水素添加触媒を除去した。
次いで前記水素添加物100部あたり0.5部の酸化防止剤:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカル社製、製品名「イルガノックス(登録商標)1010」)を、得られた溶液に添加して溶解させた。
次いで、上記溶液を、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所社製)を用いて、温度270℃、圧力1kPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を除去し、濃縮機に直結したダイから溶融状態でストランド状に押出し、冷却後ペレット化して開環共重合体水素添加物のペレット(A)を得た。
得られた開環共重合体水素添加物の水素添加率は99.8%、重量平均分子量は33,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.5、水素添加率は99.5%、ガラス転移温度は134℃であり、MFRは2.1g/10分であった。
[製造例2]
(樹脂の製造方法)
シクロヘキサン258リットルを装入した反応容器に、常温、窒素気流下でビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(以下、「NB」という)(120kg)を加え、5分間撹拌を行った。さらにトリイソブチルアルミニウムを系内の濃度が1.0ml/リットルとなるように添加した。続いて、撹拌しながら常圧でエチレンを流通させ系内をエチレン雰囲気とした。オートクレーブの内温を70℃に保ち、エチレンにて内圧がゲージ圧で6kg/cmとなるように加圧した。10分間撹拌した後、予め用意したイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリド及びメチルアルモキサンを含むトルエン溶液0.4リットルを系内に添加することによって、エチレン、NBの共重合反応を開始させた。このときの触媒濃度は、全系に対してイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリドが0.018mmol/リットルであり、メチルアルモキサンが8.0mmol/リットルである。
重合中、系内にエチレンを連続的に供給することにより、温度を70℃、内圧をゲージ圧で6kg/cmに保持した。60分後、イソプロピルアルコールを添加することにより、重合反応を停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、その後、水1mに対し濃塩酸5リットルを添加した水溶液と1:1の割合で強撹拌下に接触させ、触媒残渣を水相へ移行させた。この接触混合液を静置したのち、水相を分離除去し、さらに水洗を2回行い、重合液相を精製分離した。
次いで精製分離された重合液を3倍量のアセトンと強撹拌下で接触させ、共重合体を析出させた後、固体部(共重合体)を濾過により採取し、アセトンで十分洗浄した。さらに、ポリマー中に存在する未反応のモノマーを抽出するため、この固体部を40kg/mとなるようにアセトン中に投入した後、60℃で2時間の条件で抽出操作を行った。抽出処理後、固体部を濾過により採取し、窒素流通下、130℃、350mmHgで12時間乾燥し、エチレン・NB共重合体を得た。得られたエチレン・NB共重合体100重量部、酸化防止剤(イルガノックス(登録商標)1010)0.1重量部を2軸混練機で混練して、ペレット(B)を得た。
以上のようにして、得られたエチレン・NB共重合体のTgは137℃であり、NB単位含量は51モル%であった。
[実施例1]
(マイクロチップ基板の成形)
製造例1で得られたペレット(A)を使用して、溝幅100μm、溝深さ100μmのパターンを有する金型を装着した射出成形機(FUNUC社製、製品名「ROBOSHOT(登録商標) S−2000i 100B」)を用い、長さ70mm×幅20mm×厚み1mmの微細流路を有するマイクロチップ基板を成形した。このときの成形条件としては、樹脂温度は280℃、金型温度は120℃とした。
また、パターンが無い金型を使用した以外は上記と同様にして、マイクロチップの蓋部材を成形した。
(マイクロチップ基板の貼り合せ)
次に、得られたマイクロチップ基板の流路を有する面の流路が無い部分にシクロペンチルメチルエーテル0.2gをコートし、コート後30秒間放置した後にマイクロチップ蓋部材を重ね合わせた。重ね合わせ後は、80分間の自然乾燥によりシクロペンチルメチルエーテルを乾燥除去し、マイクロチップ(1)を得た。
(マイクロチップの評価)
得られたマイクロチップ(1)の微細流路にシリンジポンプにより蒸留水を流しながら微細流路部から水漏れが無いかを観察した。
また、貼り合せ後の気泡、微細流路の変形の有無、また一週間経過後のクラック発生の有無について光学顕微鏡にて検査した。
以上の結果を表1に示した。
[実施例2]
シクロペンチルメチルエーテルの代わりに2-メチルテトラヒドロフランをコートした以外は実施例1と同様にしてマイクロチップ(2)を得た。得られたマイクロチップ(2)の水漏れ、気泡、変形の有無、クラックの発生の評価結果を表1に示した。
[実施例3]
製造例2で得られたペレット(B)を使用した以外は実施例1と同様にしてマイクロチップ(3)を得た。得られたマイクロチップ(3)の水漏れ、気泡、変形の有無、クラックの発生の評価結果を表1に示した。
[実施例4]
実施例1と同様にしてマイクロチップ基板とマイクロチップ蓋部材を重ね合わせた後、熱プレス機(テスター産業社製、製品名「SA−303」)を使用して、温度50℃、圧力2MPa、時間5分で熱圧着を行い、マイクロチップ(4)を得た。得られたマイクロチップ(4)の水漏れ、気泡、変形の有無、クラックの発生の評価結果を表1に示した。
[比較例1]
シクロペンチルメチルエーテルの代わりにシクロヘキサンをコートした以外は実施例1と同様にしてマイクロチップ(4)を得た。得られたマイクロチップ(4)の水漏れ、気泡、変形の有無、クラックの発生の評価結果を表1に示した。
[比較例2]
シクロペンチルメチルエーテルの代わりにテトラヒドロフランをコートした以外は実施例1と同様にしてマイクロチップ(5)を得た。得られたマイクロチップ(4)の水漏れ、気泡、変形の有無、クラックの発生の評価結果を表1に示した。
Figure 2012066518
本発明のマイクロチップは、接着性が良好で接合部からの流体の漏れが無く、気泡、変形、クラックなどの外観不良が発生しない。(実施例1〜4)。
溶解度が非常に高いシクロヘキサンを使用した場合、クラックの発生がみられ、その部分からの流体の漏れが発生した。(比較例1)。
SP値が9以上の環状エーテル系のTHFを使用した場合、溶解性が不足し十分な接着性が得られず、流体の漏れが発生した。(比較例2)。

Claims (4)

  1. 表面に流路を有するマイクロチップ基板及び/又は当該基板と密着する平面を有する蓋に有機溶剤を塗布した後、前記基板と前記蓋とを重ね合わせて、両者を接合する方法であって、
    前記基板及び前記蓋が、いずれも極性基を有しないノルボルネン系重合体からなるものであり、
    前記有機溶剤が、溶解パラメータ(SP値)が8〜9であるエーテル化合物である
    ことを特徴とする接合方法。
  2. エーテル化合物が、シクロペンチルメチルエーテル又は2−メチルテトラヒドロフランである請求項1記載の接合方法。
  3. 重ね合わせた後、以下の条件で熱圧着する請求項1又は2記載の接合方法。
    (1)温度:40〜100℃
    (2)圧力:1〜5MPa
    (3)時間:3〜10分
  4. 請求項1〜3のいずれかの方法により接合されたマイクロチップ。
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