JP5942539B2 - 光学用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
特許文献1では、接着性と透明性に優れたノルボルネン系重合体組成物として、当該ノルボルネン系重合体と非相溶なゴム質重合体などを、ノルボルネン系重合体100重量部に対して、0.08重量部以下の量を配合することが提案されている。また、ノルボルネン系重合体とゴム質重合体との屈折率差が大きいと、ゴム質重合体の配合量が多い場合に透明性を確保しにくくなることも記載されている。
また、特許文献2では、ICトレー成形用品や薬品包装用のシートとして、ノルボルネン系重合体などの非晶性ポリオレフィンとエラストマーとを99:1〜60:40(重量比)の割合で配合し、それぞれの屈折率の差が0.03以内であるように組み合わせた、外観、透明性、成形性、防湿性、耐衝撃性に優れた樹脂組成物が提案されている。
この問題を解決するために、ノルボルネン系重合体に配合するスチレン−共役ジエンブロック共重合体を2種類併用し、量比を変化させることで、ノルボルネン系重合体とスチレン−共役ジエンブロック共重合体との屈折率差を一定にする手法が考えられる。
前記スチレン−共役ジエンブロック共重合体が、
(1)スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物は、スチレン含量差が10重量%以上である、2種類のスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物であり、
(2)スチレン含量の多いスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(b1)の重量平均分子量(Mwb1)と、スチレン含量の少ないスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(b2)の重量平均分子量(Mwb2)が、(0.9×Mwb1)≦Mwb2≦(2.5×Mwb1)である
ことを特徴とする樹脂組成物が提供される。
前記スチレン含量の多いスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(b1)のスチレン含量が50重量%以上であり、前記スチレン含量の少ないスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(b2)のスチレン含量が50重量%未満であるのが好ましい。
更に、樹脂組成物は、酸化防止剤及び/又は離型剤を、その合計量で0.01重量%以上3重量%以下の割合で含有するのが好ましい。
前記スチレン含量の多いスチレン含量の多いスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(b1)と、前記スチレン含量の少ないスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(b2)の重量比が、35/65〜65/35であるのが好ましい。
前記ノルボルネン系開環重合体水素化物(A)の、波長が588nmである光の屈折率(nD(A))が1.532〜1.547であり、このnD(A)と、前記スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(B)の波長が588nmである光の屈折率(nD(B))との関係が、|nD(A)−nD(B)|<0.003であるのが好ましい。
本発明に用いるノルボルネン系重合体は、ノルボルネン系単量体の重合体であり、具体的には、ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体とα−オレフィンとの付加型重合体、及びこれらの水素化物である。
本発明で用いるノルボルネン系開環重合体は、ノルボルネン系単量体を開環重合して得られる。
ノルボルネン系単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:エチリデンノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、などの2環式単量体;トリシクロ[4.3.01,6.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)及びその誘導体、などの3環式単量体;7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン:1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン及びその誘導体、などの4環式単量体;などが挙げられる。
置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基、アルキリデン基などが例示でき、上記ノルボルネン系単量体は、これらを2種以上有していてもよい。具体的には、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
このほか、ノルボルネン系単量体と開環重合しうる、シクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロオクテン、及びシクロドデセン等の単環シクロオレフィン等の単量体を、コモノマーとして用いてもよいが、その割合は、全モノマー中10重量%以下の範囲とするのが、得られる成形体の耐熱性の観点から好ましい。
これらのノルボルネン系単量体及びこれと共重合しうる単量体は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも耐熱性の面から、全ノルボルネン系単量体中に含まれる2環式単量体の量は、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜15重量%であり、全ノルボルネン系単量体に含まれる3環式以上の単量体の合計量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。特に耐熱性が要求される分野においては、4環式単量体の量は、好ましくは40〜100重量%である。
ノルボルネン系単量体の開環重合は、メタセシス重合触媒を用い、公知の方法に従って行うことができる。メタセシス重合触媒としては、特に限定はなく公知のものが用いられる。具体的には、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金などから選ばれる金属のハロゲン化物、硝酸塩又はアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系;チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン及びモリブデンから選ばれる金属のハロゲン化物又はアセチルアセトン化合物と、助触媒の有機アルミニウム化合物とからなる触媒系;あるいは、特開平7−179575号、J.Am.Chem.Soc.,1986年,108,p.733、J.Am.Chem.Soc.,1993年,115,p.9858、及びJ.Am.Chem.Soc.,1996年,118,p.100などに開示されている公知のシュロック型やグラッブス型のリビング開環メタセシス触媒などを用いることができる。
含窒素化合物としては、脂肪族又は芳香族第三級アミンが好ましく、具体例としては、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、α−ピコリンなどが挙げられる。これらの極性化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。その用量は、適宜選択されるが、上記触媒中の金属との比、すなわち、極性化合物/金属の比(モル比)で、通常1〜100,000、好ましくは5〜10,000の範囲である。
・水素化触媒及び水素化方法
水素化は、常法に従って、水素化触媒の存在下にノルボルネン系開環重合体を水素と接触させて行うことができる。水素化触媒としては、特開昭58−43412号公報、特開昭60−26024号公報、特開昭64−24826号公報、特開平1−138257号公報、特開平7−41550号公報などに記載されているものを使用することができる。
触媒は均一系でも不均一系でもよい。均一系触媒は、水素化反応液中で分散しやすいので添加量が少なくてよく、また、高温高圧にしなくとも活性を有するので重合体の分解やゲル化が起こらず、低コスト性及び品質安定性などに優る。不均一系触媒は、高温高圧下に高活性となり、短時間で水素化でき、さらに除去が容易であるなど、生産効率の面で優る。
これらの有機溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。通常は、重合反応溶媒と同じでよく、重合反応液にそのまま水素化触媒を添加して反応させればよい。
水素化触媒の種類や反応温度によって水素化率は変わり、ノルボルネン系単量体が芳香族環を有する場合、芳香族環の残存率も変化させることがでる。上記の水素化触媒を用いた場合、芳香族環の不飽和結合をある程度以上残存させるためには、反応温度を低くしたり、水素圧力を下げたり、反応時間を短くする等の制御を行えばよい。
遠心方法やろ過方法は、用いた触媒が除去できる条件であれば、特に限定されない。ろ過による除去は、簡便かつ効率的であるので好ましい。ろ過する場合、加圧ろ過しても、吸引ろ過してもよく、また、効率の点から、珪藻土、パーライト等のろ過助剤を用いることが好ましい。
ノルボルネン系開環重合体水素化物のガラス転移温度は、示差走査熱量分析計を用いてJIS K 7121に基づいて測定することができる。
ノルボルネン系開環重合体水素化物の水素化率は、溶媒に重クロロホルムを用い、1H−NMRにより測定して求めることができる。
ノルボルネン系単量体の付加重合体、又はノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体は、これらの単量体を、公知の付加重合触媒を用いて重合させて得ることができる。
これらの、ノルボルネン系単量体と付加共重合可能なその他の単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。ノルボルネン系単量体とこれと付加共重合可能なその他の単量体とを付加共重合する場合は、付加重合体中のノルボルネン系単量体由来の構造単位と付加共重合可能なその他の単量体由来の構造単位との割合が、重量比で通常30:70〜99:1、好ましくは50:50〜97:3、より好ましくは70:30〜95:5の範囲となるように適宜選択される。
共重合反応は炭化水素溶媒中で行い、触媒としてこの炭化水素溶媒に可溶性のバナジウム化合物及び有機アルミニウム化合物から形成されるバナジウム系触媒、チタン化合物及び有機アルミニウム化合物から形成されるチタン系触媒、又は少なくとも2個の共役シクロアルカジエニル基が低級アルキレン基を介して結合した多座配位性化合物を配位子とするジルコニウム錯体及びアルミノオキサンから形成されるジルコニウム系触媒を用いて製造することが好ましい。
本発明に用いるスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物は、スチレン系単量体由来の繰り返し単位を主成分とするスチレンブロックと、共役ジエン単量体由来の繰り返し単位を主成分とするジエンブロックとを有するスチレンブロック−共役ジエンブロック−スチレンブロックのトリブロック共重合体を水素化したものである。
本発明に用いるスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物は、スチレン含量の異なる2種類のスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物であり、そのスチレン含量差が10重量%以上、好ましくは15重量%〜40重量%である。スチレン含量差が大きすぎると、スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物同士の相溶性が低下するため、成形品の透明性が低下する傾向であり、小さすぎると混合比を後で確認することが困難になるためノルボルネン系重合体との屈折率調整が困難になるため材料ロット間で透明性に差が生じてしまう場合がある。そしてスチレン含量の多いスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(b1)の重量平均分子量(Mwb1)と、スチレン含量の少ないスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(b2)の重量平均分子量(Mwb2)が、(0.9×Mwb1)≦Mwb2≦(2.5×Mwb1)、好ましくは、(0.95×Mwb1)≦Mwb2≦(1.75×Mwb1)である。
スチレン含量の多いスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(b1)のスチレン含量は50重量%以上のものが好ましく、スチレン含量の少ないスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(b2)のスチレン含量は50重量%未満であるのが好ましい。
また、2種類のスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物の合計である、全重合体ブロックに対するスチレンブロックの割合は、好ましくは45〜80重量%、より好ましくは50〜65重量%である。
前記スチレン含量の多いスチレン含量の多いスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(b1)と、前記スチレン含量の少ないスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(b2)の重量比が、35/65〜65/35であるのが好ましい。
また、スチレンブロック中には、スチレン系単量体由来の繰り返し単位以外に、その他のビニル化合物由来の繰り返し単位や鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を含むことができる。但し、その含有量は、全スチレンブロックに対して、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
また、スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物の分子量分布(Mw/Mn)を、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、特に好ましくは1.5以下にする。Mw及びMw/Mnが上記範囲となるようにすると、本発明の樹脂組成物の機械強度や耐熱性が向上する。
本発明の樹脂組成物は、上述した(A)ノルボルネン系重合体と、(B)スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物とを含有するものである。
(A)ノルボルネン系重合体と(B)スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物との配合割合は、ノルボルネン系重合体100重量部に対して、スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物は0.01〜0.5重量部、好ましくは、0.08〜0.25重量部である。スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物の割合が少なすぎると、(A)ノルボルネン系重合体に含まれる添加剤のブリードアウトによる金型汚れを発生させるおそれがあり、逆にスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物の割合が多すぎると、320℃など高温成形時に(B)スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物の凝集による透明性の低下を発生させるおそれがあり、いずれも好ましくない。
ノルボルネン系開環重合体水素化物(A)の、波長が588nmである光の屈折率(nD(A))が1.532〜1.547であり、このnD(A)と、前記スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(B)の波長が588nmである光の屈折率(nD(B))との関係が、|nD(A)−nD(B)|<0.003であるのが透明性の観点から好ましい。
添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、滑剤、離型剤などが挙げられる。特に酸化防止剤と離型剤は、光学用樹脂組成物に好ましい添加剤である。
添加剤の配合量は、添加剤の使用目的に応じて適宜設計できるが、ノルボルネン系重合体に対して、通常0.001〜1重量%であり、酸化防止剤と離型剤とは、ノルボルネン系重合体に対してその合計量で0.01重量%以上3重量%以下の割合で配合するのが好ましい。
混練では、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、フィーダールーダーなどの溶融混練機等を用いることができる。混練温度は、160〜300℃の範囲であると好ましく、180〜280℃の範囲であるとより好ましい。また、混練する際に、各成分を一括添加しても良いし、数回に分けて添加しても良い。また添加順序も特に制限されない。スクリュの回転数は、ポリマーが分解しない程度に回転数を高め、せん断をかけて混練した方が好ましい。目安として設定温度に対して5℃以上の発熱(実測値)が得られる条件が好ましく、40℃以上発熱が見られる場合は、ポリマーが分解する可能性が高いため、発熱量が5〜40℃の範囲で混練するのが好ましい。また、系内に窒素を導入し、酸化劣化を抑制した方が好ましい。窒素の封入方法は、例えばホッパー部などに導管を設置し窒素ガスなどを流すことで対応できる。
また、混練によって樹脂組成物を調製する場合、添加剤はノルボルネン系開環重合体水素化物に添加してからスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物と混練する;スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物に添加してから、ノルボルネン系開環重合体水素化物と混練する;ノルボルネン系開環重合体水素化物とスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物とを混練する際に添加剤を添加する;いずれでも良い。
(1)分子量
・ノルボルネン系開環重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒にしてゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値として測定した。
測定装置として、GPC−8020シリーズ(DP8020、SD8022、AS8020、CO8020、RI8020、東ソー社製)を用いた。
標準ポリスチレンとしては、標準ポリスチレン(Mwが500、2,630、10,200、37,900、96,400、427,000、1,090,000、5,480,000のものの計8点、東ソー社製)を用いた。
標準ポリスチレンとしては、標準ポリスチレン(Mwが988、2,580、5,910、9,010、18,000、37,700、95,900、186,000、351,000、889,000、1,050,000、2,770,000、5,110,000、7,790,000、20,000,000のものの計16点、東ソー社製)を用いた。
測定装置として、HLC8121GPC/HT(東ソー社製)を用いた。
・水素添加率は、溶媒に重クロロホルムを用い、1H−NMRにより測定して求めた。
・ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量分析計(製品名「DSC6220SII」、ナノテクノロジー社製)を用いて、JIS K 6911に基づいて測定した。
(2)屈折率
JIS K 0062 5に従い25℃において測定した。装置はカルニュー屈折計(島津製作所社製、製品名「KPR−200」)を用い小数点以下4桁目まで求めた。
ノルボルネン系重合体の屈折率は、厚み5mmの成形品をTg−20℃で24時間アニール処理しデシケーター内で25℃、3日間静置した後に25±0.1℃に設定したVブロックプリズムに設置して測定した。
スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物は、Vブロックプリズムに入れるのに適した成形品の形成が困難なため、次の溶液法にて屈折率を測定した。すなわち、トルエンに、0%、10%、20%、30%、50%になるようにスチレン−共役水素化物ジエン系共重合体水素化物を溶解させ、溶液測定用のVブロックプリズムに溶解した溶液を入れ、25℃にて測定した。5点の測定点を濃度に対する屈折率でプロットし、直線性が0.995以上である検量線から、濃度100%のスチレン−共役ジエンブロック共重合体の屈折率を求め、これをスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物の屈折率とした。2種類のスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物を混合したものについても、屈折率は上記方法を用いて小数点以下4桁目まで求めた。
(3)透明性
透明性は、成形体を用いて、光路長3mmの650nmにおける光線透過率を日本分光社製の製品名「UV−VIS V570」を用いて測定した。また、HAZE(濁度)は、日本電色工業社製の製品名「NDH2000」を用いて求めた。
(4)金型汚れ性
射出成形機(ファナック社製、型締力100t、ROBOSHOT(登録商標)α−100B)により、シリンダー温度をノルボルネン系重合体のTg+150℃、金型温度をTg−30℃に設定し、射出圧70MPaにて、長さ65mm、幅65mm、厚さ3mmの金型を用い、500ショット連続成形後の金型に付着した白点の有無で金型汚れを評価した。
<ノルボルネン系重合体(A)>
・COC(1)
APEL(登録商標)6509T〔三井化学社製〕;nD=1.5353、Tg=80℃
・COP(1)
ZEONOR(登録商標)1600〔日本ゼオン社製〕;nD=1.5345、Tg=160℃
<スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(B)>
・SEPS(1)
セプトン(登録商標)2104〔クラレ社製〕、スチレン含量65%、nD=1.5490、Mw=4.6万
・SEPS(2)
セプトン(登録商標)2002〔クラレ社製〕、スチレン含量30%、nD=1.5081、Mw=4.0万
・SEPS(3)
セプトン(登録商標)2004〔クラレ社製〕、スチレン含量18%、nD=1.4930、Mw=7.1万
・SEBS(1)
タフテック(登録商標)H1043〔旭化成ケミカルズ社製〕、スチレン含量67%、nD=1.5512、Mw=3.5万
・SEBS(2)
セプトン(登録商標)8104〔クラレ社製〕、スチレン含量60%、nD=1.5435、Mw=7.4万
・SEBS(3)
タフテック(登録商標)H1051〔旭化成ケミカルズ社製〕、スチレン含量42%、nD=1.5237、Mw=5.8万
・SEBS(4)
セプトン(登録商標)8004〔クラレ社製〕、スチレン含量31%、nD=1.5116、Mw=8万
・SEEPS(1)
セプトン(登録商標)4055〔クラレ社製〕、スチレン含量30%、nD=1.5081、Mw=20万
COP(1)100部、スチレン−共役ジエンブロック重合体としてSEBS(1)0.15部、SEBS(2)0.15部、酸化防止剤としてテトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−第三−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(BASF社製、製品名「イルガノックス(登録商標)1010」)0.4部及び離型剤としてエチレンビスステアリン酸アマイド0.5部を十分ドライブレンドし、二軸混練機(東芝機械社製、製品名「TEM−35B」、スクリュ径37mm、L/D=32、スクリュ回転数150rpm、樹脂温度260℃、フィードレート15kg/時間)で混練し、ストランド状に押し出した。これを水冷してペレタイザーで切断し、ペレット化した。
得られたペレットを、窒素を流通させた熱風乾燥器を用いて100℃で4時間乾燥して水分を除去した後、射出成形機(ファナック社製、型締力100t、製品名「ROBOSHOT(登録商標)α−100B」)により、シリンダー温度310℃、金型温度130℃、射出圧70MPaにて、長さ65mm、幅65mm、厚さ3mmの2キャビティ金型を用いて成形体を得た。得られた成形体を用いて透明性の評価を行った。結果を表1に示す。
SEBS(1)を0.13部、SEBS(4)を0.07部としたこと以外は、実施例1と同様にして、各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
SEBS(2)を0.23部、SEBS(4)を0.07部としたこと以外は、実施例1と同様にして、各種評価を行った。結果を表1に示す。
ノルボルネン系重合体として、COC(1)を用い、スチレン−共役ジエン重合体水素化物としてSEPS(1)を0.23部、SEPS(3)を0.07部とし、COC(1)のTgに合わせて二軸押出機の樹脂温度を210℃に、熱風乾燥器の温度を80℃に、成形時のシリンダー温度を240℃(Tg+150℃)、金型温度を60℃(Tg−30℃)に設定した以外は実施例1と同様にして、各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
SEPSの代わりにSEBS(1)を0.16部、SEBS(3)を0.14部とした以外は、実施例4と同様にして、各種評価を行った。結果を表1に示す。
特開平7−238190号公報実施例7の配合例を参考に、COC(1)91部に対して、SEPS(1)を6部(COC(1)100部換算で6.6部)、SEPS(2)を3重量部(COC(1)100部換算で3.3部)とした以外は、実施例4と同様にして、各種評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
SEPS(1)を0.2部、SEPS(2)を0.1部とした以外は、実施例4と同様にして、各種評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
SEBS(1)を0.2部、SEEPS(1)を0.1部とした以外は、実施例1と同様にして、各種評価を行った。結果を表1に示す。
以上の結果より以下のことが分かる。
ノルボルネン系重合体とスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物の屈折率差を0.003以下に合わせても、ブレンドするスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物の分子量が所定の範囲に入っていない場合は白濁することがわかる(実施例1〜5、比較例1〜3)。
Claims (3)
- ノルボルネン系重合体(A)100重量部と、スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(B)0.01〜0.5重量部とを含む樹脂組成物であって、
前記スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(B)が、
(1)スチレン含量が50重量%以上である、スチレン含量の多いスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(b1)と、スチレン含量が50重量%未満である、スチレン含量の少ないスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(b2)の、2種類のスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物であり、かつ、前記スチレン含量の多いスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(b1)と、前記スチレン含量の少ないスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(b2)とのスチレン含量の差が15重量%〜40重量%であり、
(2)前記スチレン含量の多いスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(b1)の重量平均分子量(Mwb1)と、前記スチレン含量の少ないスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(b2)の重量平均分子量(Mwb2)が、(0.9×Mwb1)≦Mwb2≦(2.5×Mwb1)であり、かつ、それぞれの重量平均分子量(Mwb1、Mwb2)が30,000〜200,000である
ことを特徴とする樹脂組成物。 - 更に、酸化防止剤及び/又は離型剤を、その合計量で、ノルボルネン系重合体に対して0.01重量%以上3重量%以下の割合で含有する請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記スチレン含量の多いスチレン含量の多いスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(b1)と、前記スチレン含量の少ないスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素化物(b2)の重量比が、35/65〜65/35である請求項1又は2に記載された樹脂組成物。
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