JP2008013604A - テトラシクロドデセン含有開環重合体水素化物、光学樹脂材料および光学成形体 - Google Patents

テトラシクロドデセン含有開環重合体水素化物、光学樹脂材料および光学成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】
室温でのシクロヘキサン等の一般有機溶媒に対する溶解性が高く、かつ光学材料として十分な流動性、低複屈折性を持つテトラシクロドデセンとメタノテトラヒドロフルオレンとの開環共重合体水素化物を構成成分とする光学材料を提供する。
【解決手段】
分子内に、テトラシクロドデセン由来の繰り返し単位(A)を10〜95モル%、及びメタノテトラヒドロフルオレン由来の繰り返し単位(B)を5〜90モル%含有する開環共重合体水素化物であって、繰り返し単位(A)のラセモダイアッドとメソダイアッドの比(ラセモダイアッド/メソダイアッド)が、65/35〜100/0であることを特徴とするテトラシクロドデセン含有開環重合体水素化物、このテトラシクロドデセン含有開環重合体水素化物を含有する光学樹脂材料、及びこの光学樹脂材料を成形してなる光学成形体。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、流動性、低複屈折性、溶解性に優れるテトラシクロドデセン含有開環重合体水素化物、この水素化物を含有する光学樹脂材料、及びこの光学樹脂材料を成形して得られる光学成形体に関する。
熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、透明性、低複屈折等の光学特性、耐湿性、耐熱性、低吸水性等の耐候特性、低誘電率、低誘電正接等の電気特性等に優れているため、これらの特性を活かして、様々な用途分野での成形材料として使用されている。
なかでも、テトラシクロドデセンを開環(共)重合し、主鎖中の炭素−炭素二重結合を水素化して得られるテトラシクロドデセン開環重合体水素化物は、耐熱性、光学特性、成形性、耐湿性等に優れていることが報告されている(特許文献1、2参照)。
しかし、これらの文献に記載されたテトラシクロドデセン開環重合体水素化物は、有機溶媒に対して室温では不溶又は難溶であるため、水素化反応後、反応器内や移送途中に析出したり、溶液が固化したりする場合があった。また一方で、それらは材料としての流動性が低かったり、複屈折性が高いため光学成形体用材料として十分な物性を示すことができない場合があった。
これらの問題を解決すべく、特許文献3には、有機溶媒に対する溶解性に優れる重合体として、テトラシクロドデセンを含む共重合体水素化物が提案されている。しかしながら、この文献に記載された水素化物は、低複屈折性に対しては十分な物性を有するものではなかった。
特開昭64−24826号公報 特開平1−168725号公報 特開平10−139865号公報
本発明はこのような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、溶解性、流動性、透明性及び低複屈折性等に優れるテトラシクロドデセン含有開環重合体水素化物、この水素化物を含有する光学樹脂材料、及びこの光学樹脂材料を成形して得られる光学成形体を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、タングステンフェニルイミドテトラクロリド・ジエチルエーテル錯体等の周期表第6族遷移金属イミド錯体を用いて、ある一定の比率でテトラシクロドデセンとメタノテトラヒドロフルオレンとを共重合した後水素化した重合体水素化物は、驚くべきことに一般の有機溶剤に極めて溶解性が高く、かつ流動性が高く、低複屈折性を示すことを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
かくして本発明の第1によれば、分子内に、テトラシクロドデセン由来の繰り返し単位(A)を10〜95モル%、及びメタノテトラヒドロフルオレン由来の繰り返し単位(B)を5〜90モル%含有する開環共重合体水素化物であって、繰り返し単位(A)のラセモダイアッドとメソダイアッドの比(ラセモダイアッド/メソダイアッド)が、65/35〜100/0であることを特徴とするテトラシクロドデセン含有開環重合体水素化物が提供される。
本発明のテトラシクロドデセン含有開環重合体水素化物においては、周期律表第6族遷移金属原子にアルキルイミド又はアリールイミドが結合してなる周期律表第6族遷移金属化合物を含む重合触媒の存在下に、テトラシクロドデセン及びメタノテトラシクロドデセンを開環共重合してテトラシクロドデセン含有開環共重合体を得た後、得られたテトラシクロドデセン含有開環共重合体の炭素−炭素二重結合を水素化して得られたものであるのが好ましい。
本発明の第2によれば、本発明のテトラシクロドデセン含有開環共重合体水素化物を含有する光学樹脂材料が提供される。
本発明の第3によれば、本発明の光学樹脂材料を成形してなる光学成形体が提供される。
本発明によれば、室温(20℃)におけるシクロヘキサン等の一般有機溶媒への溶解性に優れるため取り扱いが容易で、高い流動性及び低複屈折を示すテトラシクロドデセン含有開環重合体水素化物が提供される。
本発明の光学樹脂材料は、本発明のテトラシクロドデセン含有開環共重合体水素化物を構成成分とするものであるので、取り扱いが容易で、流動性、透明性及び低複屈折性に優れている。
本発明の光学成形体は、本発明の光学樹脂材料を成形して得られるものであるので、透明性及び低複屈折率性に優れている。
以下、本発明を、1)テトラシクロドデセン含有開環重合体水素化物、2)光学樹脂材料、及び、3)光学成形体に項分けして詳細に説明する。
1)テトラシクロドデセン含有開環重合体水素化物
本発明の第1は、分子内に、テトラシクロドデセン由来の繰り返し単位(A)を10〜95モル%、及びメタノテトラヒドロフルオレン由来の繰り返し単位(B)を5〜90モル%含有する開環共重合体水素化物であって、繰り返し単位(A)のラセモダイアッドとメソダイアッドの比(ラセモダイアッド/メソダイアッド)が、65/35〜100/0であることを特徴とするテトラシクロドデセン含有開環重合体水素化物(以下、「TCD含有開環重合体水素化物」ということがある。)である。
ここで、テトラシクロドデセン由来の繰り返し単位(A)とは、下記式(1)で示される繰り返し単位である。
Figure 2008013604
該繰り返し単位(A)は、式(2)で示されるテトラシクロドデセンを開環重合した後、主鎖中の炭素−炭素二重結合を水素化することによって得られる。
Figure 2008013604
また、メタノテトラヒドロフルオレン由来の繰り返し単位(B)とは、下記式(3)で表される繰り返し単位である。
Figure 2008013604
該繰り返し単位(B)は、下記式(4)で示されるメタノテトラヒドロフルオレンを開環重合した後、主鎖中の炭素−炭素二重結合及び芳香環を水素化することによって得られる。
Figure 2008013604
本発明のTCD含有開環重合体水素化物において、前記式(1)のテトラシクロドデセン由来の繰り返し単位(A)の含有量は、通常10〜95モル%、好ましくは20〜93モル%、より好ましくは30〜90モル%である。また、前記式(3)のメタノテトラヒドロフルオレン由来の繰り返し単位(B)の含有量は、通常5〜90モル%、好ましくは7〜80モル%、より好ましくは10〜70モル%である。
前記式(1)のテトラシクロドデセン由来の繰り返し単位(A)及び前記式(3)のメタノテトラヒドロフルオレン由来の繰り返し単位(B)の含有量がこのような範囲にあると、溶解性を維持したまま、高い流動性と低複屈折性を有するポリマーが得られる。
本発明のTCD含有開環重合体水素化物は、有機溶剤に対して高い溶解性を示し、かつ低複屈折性を示す。前記TCD含有開環重合体水素化物のテトラシクロドデセン由来の繰り返し単位(A)のラセモダイアッドとメソダイアッドの比(ラセモダイアッド/メソダイアッド)が、65/35〜100/0、好ましくは70/30〜100/0、より好ましくは75/25〜100/0である。
本発明のTCD含有開環重合体水素化物は、立体構造が制御されたポリマーである。
前記繰り返し単位(A)のラセモダイアッドとメソダイアッドの比は、重水素化オルトジクロロベンゼンを溶媒として100℃で測定した13C−NMRスペクトルにおけるラセモダイアッド由来のシグナルとメソダイアッド由来のシグナルの強度比から計算される。例えば、TCD含有開環重合体水素化物がテトラシクロドデセン単独開環重合体水素化物である場合、ラセモダイアッド由来のシグナルは51.82ppm、メソダイアッド由来のシグナルは51.77ppmであり、メタノテトラヒドロフルオレンとの開環共重合体水素化物の場合では、組成比や測定条件によりシグナルの位置は若干変化するが、基本的にはテトラシクロドデセン単独開環重合体水素化物の場合に対応するシグナルの強度比と同様に計算することができる。
本発明のTCD含有開環重合体水素化物のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより求められる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で、通常5,000〜100,000、好ましくは10,000〜50,000、より好ましくは15,000〜40,000、更に好ましくは20,000〜35,000の範囲である。重量平均分子量がこの範囲にあると、ポリマーの流動性と強度とのバランスがとれ好ましい。
本発明のTCD含有開環重合体水素化物は、前記繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)とを所定の割合で含有し、前記繰り返し単位(A)のラセモダイアッドとメソダイアッドの比(ラセモダイアッド/メソダイアッド)が、65/35〜100/0であるものであれば、その製造方法に制限されない。
なかでも、周期律表(ここで、周期律表は長周期型のものである。)第6族遷移金属原子にアルキルイミド又はアリールイミドが結合してなる周期律表第6族遷移金属化合物を含む重合触媒の存在下に、テトラシクロドデセン及びメタノテトラシクロドデセンを開環共重合してテトラシクロドデセン含有開環共重合体を得た後、得られたテトラシクロドデセン含有開環共重合体の炭素−炭素二重結合の80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは99%以上を水素化して得られたものであるのが好ましい。
得られたTCD含有開環重合体水素化物の水素化率が100%に満たない場合は、テトラシクロドデセンの開環重合体単位由来の主鎖中の炭素−炭素二重結合や、メタノテトラヒドロフルオレンの開環重合体単位由来の主鎖中の炭素−炭素二重結合、芳香環由来の二重結合が未反応二重結合として存在する。
この製造方法によれば、本発明のTCD含有開環重合体水素化物を収率よく工業的に有利に製造することができる。
アルキルイミド又はアリールイミドが結合した周期律表第6族遷移金属化合物は、周期表第6族遷移金属がアルキルイミド又はアリールイミドを配位子として有する化合物で、例えば、式(5)で示すことができる。
Figure 2008013604
式(5)中、Mは周期表第6族遷移金属原子を表し、Lは中性配位子を表し、Xはアニオン性配位子を表す。Rは、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
aは0、1又は2であり、bは1〜4の整数である。
aが2のとき、L同士は同一であっても相異なっていてもよく、L同士が一緒になって結合してキレート配位子を形成していてもよい。
bが2以上のとき、X同士は同一であっても相異なっていてもよく、X同士が一緒になって結合してキレート配位子となっていてもよい。
また、RがL、及び/又はXと結合してキレート配位子となっていてもよい。
前記Mは周期表第6族遷移金属原子の具体例としては、Cr、Mo、Wから選ばれる金属原子が挙げられる。これらの中でも、Mo、Wが好ましく、Wが特に好ましい。
の中性配位子は、中心金属から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子である。その具体例としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、シクロヘキサノン等のケトン類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;トリエチルアミン、N,N−ジエチルアニリン等のアミン類;ピリジン、ルチジン等のピリジン類;トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;シクロオクタジエン;水;一酸化炭素;トルエン、キシレン等のアレーン類;トリフェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド類;エチレンカーボネート等の炭酸エステル類;エチルアセテート等のエステル類;等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
これらの中でも、安定な遷移金属錯体を形成する観点から、エーテル類、ピリジン類、ニトリル類が好ましい。
のアニオン性配位子は、中心金属から引き離されたときに負の電荷を持つ配位子である。その具体例としては、F、Br、Cl、I等のハロゲン原子;ヒドリド;アセチルアセトネート等のジケトネート基;置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基;置換基を有していてもよいアリル基;アルケニル基;アルキル基;置換基を有していてもよいアリール基;アルコキシ基;置換基を有していてもよいアリールオキシ基;アルコキシカルボニル基;カルボキシル基;アルキルスルフォネート基;置換基を有していてもよいアリールスルフォネート基;アルキルチオ基;アルケニルチオ基;置換基を有していてもよいアリールチオ基;アルキルスルホニル基;アルキルスルフィニル基;等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
これらの中でも、安定な遷移金属錯体を形成する観点から、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基が好ましい。
のハロゲン原子を置換基として有してもよい炭素数1〜20のアルキル基の具体例としては、メチル基、クロロメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基等の分岐状アルキル基;ベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基等の芳香環を置換基として有するアルキル基;シクロヘキシル基、アダマンチル基等の環状アルキル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリール基の具体例としては、フェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、4−クロロフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、2−ナフチル基、4−ビフェニル基等の2,6位に置換基を有しないフェニル基;2−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,6−ジ(イソプロピル)フェニル基、2,6−ジ(t−ブチル)フェニル基、1−ナフチル基、2−ビフェニル基等の2,6位に置換基を有するフェニル基等が挙げられる。これらの中でも、直鎖状のアルキル基、2,6位に置換基を有しないフェニル基が、重合体のラセモダイアッドの割合が特に高くなるので好ましい。
前記式(5)で示される周期表第6族遷移金属化合物の具体例を、周期表第6族遷移金属原子がW原子である化合物(W化合物)を例にして以下に示す。
ここでは例示を省略するが、周期表第6族遷移金属原子が、W以外のCr、Moである化合物についても、以下に示すW化合物と同様の構造を有するものを例示することができる。
タングステン(エチルイミド)(テトラクロリド)(ジエチルエーテル)、タングステン(エチルイミド)(t−ブトキシド)(トリクロリド)、タングステン(エチルイミド)[ジ(t−ブトキシド)](ジクロリド)、タングステン(エチルイミド)[トリ(t−ブトキシド)](クロリド)、タングステン(エチルイミド)[テトラ(t−ブトキシド)]、タングステン(エチルイミド)(フェノキシド)(テトラクロリド)(ジエチルエーテル)、タングステン(n−ブチルイミド)(テトラクロリド)(テトラヒドロフラン)、タングステン(n−ヘキシルイミド)(テトラクロリド)(ジエチルエーテル)、タングステン(イソプロピルイミド)(テトラクロリド)(ジエチルエーテル)、タングステン(シクロヘキシルイミド)(テトラクロリド)(ジエチルエーテル)、タングステン(アダマンチルイミド)(テトラクロリド)(ジエチルエーテル)、タングステン(ベンジルイミド)(テトラクロリド)(ジエチルエーテル)、タングステン(フェニルイミド)(テトラクロリド)(ジエチルエーテル)、タングステン(フェニルイミド)(テトラクロリド)(テトラヒドロフラン)、タングステン(2,6−ジメチルフェニルイミド)(テトラクロリド)(ジエチルエーテル)、タングステン[2,6−ジ(イソプロピル)(フェニルイミド)](テトラクロリド)(ジエチルエーテル)等が挙げられる。
これらのほか、前記式(5)で示される遷移金属イミド化合物の複数個が、Rを介して結合した複核錯体も、アルキルイミド又はアリールイミドが結合した周期表第6族遷移金属化合物に含まれる。
前記式(5)で表される遷移金属化合物は、公知の方法、例えば、特開平5−345817号公報に記載されている方法で製造することができる。例えば、Wイミド化合物は、タングステンオキシテトラクロリドと目的の置換基を有するイソシアネートを反応し、精製・単離することによって製造することができる。
また、本発明においては、単離精製した遷移金属イミド化合物を重合触媒として用いることもできるし、遷移金属イミド化合物を精製することなく用いることもできる。上記のタングステンイミド化合物を例にしていえば、タングステンオキシテトラクロリドと置換イソシアネートとの反応物を触媒成分として用いることができる。さらに、タングステンオキシテトラクロリドの合成原料である六塩化タングステンとオキシ化剤(たとえば、シロキサン化合物やケトン化合物)とを反応させた反応液に置換イソシアネートを混合し、反応した溶液を触媒成分として用いることもできる。
テトラシクロドデセン及びメタノテトラシクロドデセンの混合物(以下、「モノマー混合物」ということがある。)に対する重合触媒の使用割合は、モル比で(重合触媒中の遷移金属:モノマー混合物)が、通常1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:200〜1:1,000,000、より好ましくは1:500〜1:500,000である。触媒量が多すぎると触媒除去が困難となり、少なすぎると十分な重合活性が得られない。
本発明においては、前記遷移金属化合物をメタセシス開環重合触媒として用いることができるが、このものを有機金属還元剤と組み合わせることにより、高活性な重合触媒として用いることができる。
用いる有機金属還元剤としては、炭素数1〜20の炭化水素基を有する周期表第1、2、12、13、14族の有機金属化合物が挙げられる。なかでも、有機リチウム、有機マグネシウム、有機亜鉛、有機アルミニウム、有機スズが好ましく、有機リチウム、有機アルミニウム、有機スズが特に好ましい。
有機リチウムとしては、n−ブチルリチウム、メチルリチウム、フェニルリチウム、ネオペンチルリチウム、ネオフィルリチウム等を挙げることができる。
有機マグネシウムとしては、ブチルエチルマグネシウム、ブチルオクチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、エチルマグネシウムクロリド、n−ブチルマグネシウムクロリド、アリルマグネシウムブロミド、ネオペンチルマグネシウムクロリド、ネオフィルマグネシウムクロリド等が挙げられる。
有機亜鉛としては、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛等を挙げることができる。
有機アルミニウムとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムメトキシド、メチルアルミニウムジメトキシド、ジメチルアルミニウムブトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、エチルアルミニウムジエトキシド、ジイソブチルアルミニウムイソブトキシド等のアルキルアルミニウムアルコキシド;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジメチルアルミニウムフェノキシド、ジイソブチルアルミニウムフェノキシド等のアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等のアルキルアルミニウムハライド;有機アルミニウムと水との反応によって得られる従来公知のアルミノキサン、例えば、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン;等が挙げられる。
有機スズとしては、テトラメチルスズ、テトラ(n−ブチル)スズ、テトラフェニルスズ等を挙げることができる。
有機金属還元剤の添加量は、用いる有機金属還元剤によって異なるが、遷移金属化合物の中心金属原子に対して、0.1〜1,000倍モルが好ましく、0.2〜500倍モルがより好ましく、0.5〜200倍モルが特に好ましい。添加量が0.1倍モル以下では重合活性が向上せず、1,000倍モル以上であると、副反応が起こりやすくなる。
本発明においては、前記遷移金属化合物及び有機金属還元剤に加えて、重合速度や得られる開環重合体の分子量分布を制御することを目的として、第三成分としてルイス塩基を添加することもできる。
添加するルイス塩基としては、特に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、シクロヘキサノン等のケトン類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;トリエチルアミン、N,N−ジエチルアニリン等のアミン類;ピリジン、ルチジン等のピリジン類;トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;トリフェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド類;エチルアセテート等のエステル類;等が挙げられる。これらの中でも、エーテル類、ピリジン類、ニトリル類が好ましい。
ルイス塩基の添加量は、遷移金属化合物の中心金属に対して、0.1〜1,000倍モルが好ましく、0.2〜500倍モルがより好ましい。
テトラシクロドデセン及びメタノテトラシクロドデセンの開環共重合反応は、有機溶媒中で行われる。用いる有機溶媒としては、重合体が所定の条件で溶解もしくは分散し、重合に影響しないものであれば、特に限定されないが、工業的に汎用なものが好ましい。
このような有機溶媒としては、具体的には、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シクロオクタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル等の含窒素炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;アニソール、フェネトール等の芳香族エーテル系溶媒;等の溶媒を使用することができる。
これらの中でも、工業的に汎用な、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、脂環族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族エーテル系溶媒が好ましい。
また、本発明においては、得られる開環重合体の分子量を調整する目的で、ビニル化合物又はジエン化合物等の分子量調整剤を、重合反応系に適当量添加することができる。
分子量調整に用いるビニル化合物としては、ビニル基を有する有機化合物であれば、特に限定されない。例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフイン類;スチレン、ビニルトルエン等のスチレン類;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のエーテル類;アリルクロライド等のハロゲン含有ビニル化合物;酢酸アリル、アリルアルコール、グリシジルメタクリレート等酸素含有ビニル化合物、アクリルアミド等の窒素含有ビニル化合物等が挙げられる。
用いるジエン化合物としては、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン等の非共役ジエン;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン;を挙げることができる。
分子量調整剤の添加量は、求める分子量により、単量体に対して、0.1〜10モル%の間で任意に選択することができる。
モノマー混合物、重合触媒、並びに、所望によりルイス塩基及び分子量調整剤を、有機溶媒中で混合することにより、重合反応を開始させることができる。
モノマー混合物の有機溶媒中の濃度は、溶液中1〜50重量%が好ましく、2〜45重量%がより好ましく、3〜40重量%が特に好ましい。モノマーの濃度が1重量%以下の場合は生産性が悪く、50重量%以上の場合は重合後の溶液粘度が高すぎて、その後の水素化反応が困難となる。
モノマー混合物と重合触媒(前記遷移金属化合物及び所望により有機金属還元剤)を混合する順序は特に限定されない。すなわち、遷移金属化合物と有機金属還元剤との混合物をモノマー混合物に添加して混合してもよいし、モノマー混合物と遷移金属化合物との混合物に有機金属還元剤を添加して混合してもよく、また、モノマー混合物と有機金属還元剤との混合物に遷移金属化合物を添加して混合してもよい。なお、第三成分として添加するルイス塩基、分子量調整剤は、上記のどの溶液に添加しても構わない。
重合温度は特に制限はないが、通常、−30℃〜+200℃、好ましくは0℃〜180℃である。
重合時間は、通常1分間〜100時間である。
本発明のテトラシクロドデセン含有開環重合体水素化物の製造方法は、前述の方法により製造したテトラシクロドデセン開環重合体の、主鎖中の炭素−炭素二重結合、及び芳香環の二重結合を水素化するものである。
水素化反応は、通常、有機溶媒中で実施する。有機溶媒は生成する水素化物の溶解性により適宜選択することができ、前記重合溶媒と同様の有機溶媒を使用することができる。したがって、重合反応後、溶媒を入れ替えることなく、そのまま水素化触媒を添加して反応させることもできる。
水素化反応は、水素化触媒の存在下に水素を導入し、テトラシクロドデセン含有開環重合体の主鎖中の炭素−炭素二重結合及び芳香環を飽和単結合に変換する反応である。水素化触媒は特に限定されず、オレフィン化合物の水素化に際して一般的に使用されているものを適宜採用すればよい。
そのような水素化触媒としては、例えば、酢酸コバルトとトリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナートとトリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリドとn−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリドとsec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネートとジメチルマグネシウムのような遷移金属化合物とアルカリ金属化合物の組み合わせからなるチーグラー系触媒;
ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム;特開平7−2929号公報、特開平7−149823号公報、特開平11−209460号公報、特開平11−158256号公報、特開平11−193323号公報、特開平11−209460号広報等に記載されるルテニウム化合物からなる貴金属錯体触媒;等の均一系触媒が挙げられる。
また、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム等の金属を、カーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタン等の担体に担持させた不均一触媒、例えば、ニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナ等を用いることもできる。
これらの中でも、水素化反応後に反応溶液を濾別することに水素化触媒を容易に除去できるので、担持型不均一触媒が好ましい。
水素化反応条件は、使用する水素化触媒の種類に応じて適宜選択すればよい。反応温度は、通常−20〜+250℃、好ましくは−10〜+220℃、より好ましくは0〜200℃である。−20℃未満では反応速度が遅くなり、逆に+250℃を超えると副反応が起こりやすくなる。
水素の圧力は、通常0.01〜10.0MPa、好ましくは0.05〜8.0MPa、より好ましくは0.1〜5.0MPaである。水素圧力が0.01MPa未満では水素化速度が遅くなり、10.0MPaを超えると高耐圧反応装置が必要となる。
水素化反応の時間は、水素化率をコントロールするために適宜選択される。反応時間は、通常0.1〜50時間の範囲である。
この水素化反応により、重合体中の主鎖の炭素一炭素二重結合及び芳香環のうち80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上を水素化することができる。
水素化反応終了後は、反応液をろ過して触媒を除去した後、ろ液を大量のアルコール中に注いで、析出する沈殿をろ取・乾燥することにより、目的とするTCD含有開環重合体水素化物を単離することができる。
本発明のTCD含有開環重合体水素化物は、透明性、低吸水性、成形性に加え、高流動性、低複屈折性に優れるため、後述するように、光学樹脂材料として好適である。
2)光学樹脂材料
本発明の第2は、上述した本発明のTCD含有開環重合体水素化物の一種または二種以上を含有する光学樹脂材料である。
本発明の光学樹脂材料は、本発明のTCD含有開環重合体水素化物以外に、用途分野に応じて、その他の高分子材料、各種添加剤等を配合することができる。
その他の高分子材料としては、例えば、ゴム質重合体やその他の熱可塑性樹脂が挙げられる。ゴム質重合体は、ガラス転移温度(Tg)が40℃以下の重合体であって、通常のゴム状重合体及び熱可塑性エラストマーが含まれる。ゴム質重合体のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、使用目的に応じて適宜選択され、通常、5〜200である。
ゴム状重合体としては、例えば、エチレン−α−オレフイン系ゴム質重合体;エチレン−α−オレフイン−ポリエン共重合体ゴム;エチレン−メチルメタクリレート、エテレン−ブチルアクリレート等のエチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体;エチレンー酢酸ビニル等のエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体;アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2一エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等のアクリル酸アルキルエステルの重合体;ポリブタジェン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン又はスチレン−イソプレンのランダム共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル−スチレン共重合体等のジェン系ゴム;ブチレン−イソプレン共重合体等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体等の芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合体、低結晶性ポリブタジエン樹脂、エチレン−プロピレンエラストマー、スチレングラフトエチレン−プロピレンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、エチレン系アイオノマー樹脂等を挙げることができる。これらの熱可塑性エラストマーのうち、好ましくは、水素化スチレンーブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体等である。
より具体的には、特開平2−133406号公報、特開平2−305814号公報、特開平3−72512号公報、特開平3−74409号公報等に記載されているものを挙げることができる。
これらのゴム質重合体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。ゴム質重合体の配合割合は、使用目的に応じて適宜選択される。
その他の熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフイド、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、及び本発明以外のノルボルネン系重合体等が挙げられる。
これらのその他の熱可塑性樹脂は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合割合は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択される。
本発明の光学樹脂材料に必要に応じて配合される添加剤としては、適用する用途分野で一般的に使用されているものであれば特に制限なく用いることができる。
このような添加剤としては、例えば、安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ剤、防曇剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、結晶核剤、塩酸吸収剤、難燃剤、難燃助剤、相溶化剤、架橋剤、架橋助剤、可塑剤、有機又は無機の充填剤等が挙げられる。
安定剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、1,2−ヒドロキシステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、ペンタェリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステル;フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられ、これらの中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、従来公知のものが使用できる。例えば、2−t一ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアタリレート等の、特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されるアタリレート系化合物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデン−ビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−5一メチルフェニル)メタン、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシー5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン[すなわち、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕]、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)、トコフェロール等のアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン基含有フェノール系化合物;等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、一般の樹脂工業で通常使用されているものであれば格別な制限はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン等のモノホスファイト系化合物;4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(ジフェニルモノアルキル(C12〜C15)ホスファイト)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(イソデシルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(ノニルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト)、サイクリツクネオペンタンテトライルビス(2,4−ジメチルフェニルホスファイト)、サイクリツクネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト)等のジホスファイト系化合物等が挙げられる。
これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等が特に好ましい。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル 3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル 3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル 3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル 3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオェチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
これらの酸化防止剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸化防止剤の配合割合は、TCD含有開環重合体水素化物100重量部に対して、通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。
滑剤としては、脂肪族アルコールのエステル、多価アルコールのエステルあるいは部分エステル等の有機化合物や無機微粒子等を用いることができる。
有機化合物としては、例えば、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等が挙げられる。
無機微粒子としては、IA族、IIA族、IVA族、VIA族、VIIA族、VII1族、IB族、IIB族、IIIB族、IVB族元素の酸化物、水酸化物、硫化物、窒素化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、燐酸塩、亜燐酸塩、有機カルボン酸塩、珪酸塩、チタン酸塩、ホウ酸塩、及びそれらの含水化合物、それらを中心とする複合化合物、天然鉱物粒子等が挙げられる。
より具体的には、フッ化リチウム、ホウ砂(ホウ酸ナトリウム含水塩)等のIA族元素化合物;炭酸マグネシウム、燐酸マグネシウム、酸化マグネシウム(マグネシア)、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、フッ化マグネシウム、チタン酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、珪酸マグネシウム含水塩(タルク)、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、亜燐酸カルシウム、硫酸カルシウム(石膏)、酢酸カルシウム、テレフタル酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、フッ化カルシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、炭酸バリウム、燐酸バリウム、硫酸バリウム、亜燐酸バリウム等のIIA族元素化合物;二酸化チタン(チタニア)、一酸化チタン、窒化チタン、二酸化ジルコニウム(ジルコニア)、一酸化ジルコニウム等のIVA族元素化合物;二酸化モリブデン、三酸化モリブデン、硫化モリブデン等のVIA族元素化合物;塩化マンガン、酢酸マンガン等のVIIA族元素化合物;塩化コバルト、酢酸コバルト等のVII1族元素化合物;ヨウ化第一銅等のIB族元素化合物;酸化亜鉛、酢酸亜鉛等のIIB族元素化合物;酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化アルミニウム、フッ化アルミニウム、アルミノシリケート(珪酸アルミナ、カオリン、カオリナイト)等のIIIB族元素化合物;酸化珪素(シリカ、シリカゲル)、石墨、カーボン、グラファイト、ガラス等のIVB族元素化合物;カーナル石、カイナイト、雲母(マイカ、キンウンモ)、バイロース鉱等の天然鉱物;等が挙げられる。
無機微粒子の平均粒径は、特に制限はないが、好ましくは、0.01〜3μmである。
これらの滑剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
滑剤の配合割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、例えば本発明の光学樹脂材料をフィルムとする場合の配合割合は、TCD含有開環重合体水素化物100重量部に対して、通常0.001〜5重量部、好ましくは0.005〜3重量部である。
紫外線吸収剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、4−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)−1−(2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のヒンダードアミン系紫外線吸収剤;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−シ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のべンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のべゾエート系紫外線吸収剤;等が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤は一種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
紫外線吸収剤の配合割合は、TCD含有開環重合体水素化物100重量部に対して通常0.001〜5重量部好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。
結晶核剤としては、例えば、安息香酸の塩、ジベンジリデンソルビトール類、燐酸エステルの塩、あるいはポリビニルシクロヘキサン、ポリ−3−メチルブテン、結晶性ポリスチレン類、トリメチルビニルシラン等の融点の高いポリマー類が好ましく、また、タルク、カオリン、マイカ等の無機化合物も好ましく使用できる。
これらの結晶核剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
結晶核剤の使用割合は、TCD含有開環重合体水素化物100重量部に対して、通常0.0001〜1重量部の範囲である。
塩酸吸収剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩;エポキシ化ステアリン酸オクチル、エポキシ化大豆油等のエポキシ系化合物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ハイドロタルナイト等の無機化合物等が挙げられる。
これらの塩酸吸収剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
塩酸吸収剤の配合割合は、TCD含有開環重合体水素化物100重量部に対して、通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。
帯電防止剤としては、例えば、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の長鎖アルキルアルコール;アルキルスルホン酸ナトリウム塩及び/又はアルキルスルホン酸ホスホニウム塩;ステアリン酸のグリセリンエステル等の脂肪酸エステル;ヒドロキシアミン系化合物等;無定形炭素、酸化スズ粉、アンチモン含有酸化スズ粉等のフィラー等を例示することができる。
着色剤や帯電防止剤を添加する場合、その添加割合は、TCD含有開環重合体水素化物100重量部に対して、着色剤が、通常0〜5重量部、帯電防止剤が、通常0〜5重量部の範囲である。
有機又は無機の充填剤としては、例えば、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、塩基性炭酸マグネシウム、ドワマイト、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等が挙げられる。
これらの充填剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて添加することができる。
充填剤の配合割合は、本発明の目的を損ねない範囲で、それぞれの機能及び使用目的に応じて適宜定めることができる。
これらのその他の高分子材料や各種配合剤の添加方法は、これらの配合成分がTCD含有開環重合体水素化物中で十分に分散する方法であれば格別な限定はなく、例えば、重合中の任意の過程で添加する方法や、溶融押出する任意の過程で添加する方法が挙げられる。
例えば、ゴム質重合体を配合剤とする場合には、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、二軸混練機等で樹脂を溶融状態で混練する方法や、適当な溶剤に溶解して分散混合した後に、溶媒を凝固法、キャスト法、又は直接乾燥法により溶剤を除去する方法等が挙げられる。
3)光学成形体
本発明の第3は、本発明の光学樹脂材料を成形して得られる光学成形体である。
本発明の光学成形体は、本発明の光学樹脂材料を、公知の成形方法により所望の形状に成形して製造することができる。
成形方法としては、例えば、射出成形法、エクストルージョンブロー成形法、インジェクションブロー成形法、二段ブロー成形法、多層ブロー成形法、コネクションブロー成形法、延伸ブロー成形法、回転成形法、真空成形法、押出成形法、カレンダー成形法、溶液流延法、熱プレス成形法、インフレーション法等があるが、これらのうち、透明性に優れた光学成形体を得ることができるので、射出成形法が好ましい。
成形条件は、特に制限されないが、たとえば、射出成形を行う場合の樹脂温度は、通常200℃〜400℃、好ましくは210℃〜350℃である。また金型を使用する場合の金型温度t(℃)は、使用する重合体のガラス転移温度をt℃とすると、通常、室温<t<(t+15)℃、好ましくは(t−30)<t<(t+10)℃、より好ましくは(t−20)<t<(t+5)℃である。ただし、(t−30)<室温、あるいは(t−20)℃<室温である場合は、室温<t℃とする。
成形時の樹脂温度、金型温度がこの範囲であると、離型性の点で好ましい。
本発明の光学成形体としては、本発明の光学樹脂材料を成形して得られるものであれば、特に制限されない。例えば、光ディスク、光ファイバー、光コネクター、ポリゴンミラー等の反射デバイス、光カード、光学レンズ、回折格子、光学ミラー、液晶表示素子基板、導光体、光拡散板、偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散シート、プリズムシート、自動車の窓材、航空機用窓材、自動車販売機用窓材ショーケース材等が挙げられ、光学レンズが特に好ましい。
本発明のテトラシクロドデセン含有開環重合体水素化物を成形してなる光学レンズとしてより具体的には、ピックアップ対物レンズ、コリメータレンズ、カメラ用撮像レンズ、望遠鏡レンズ、レーザービーム用fθレンズ、セルフォックレンズ等が挙げられる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。実施例中の「部」及び「%」は、特に断りのない限り重量基準である。
(1)開環重合体及び開環重合体水素化物の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、クロロホルムを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン換算値として求めた。
(2)開環重合体の組成比及び開環重合体水素化物の水素化率は、H−NMR測定により求めた。
(3)開環重合体水素化物のメソダイアッド/ラセモダイアッド比は、13C−NMR測定により求めた。
(4)開環重合体水素化物のガラス転移温度(Tg)及び融点(Tm)は、示差走査熱量計を用いて、10℃/分で昇温して測定した。
(5)開環重合体水素化物のMI(メルトフローレイト)は、JIS−K6719に基づいて、280℃、2.16kgfの荷重で測定した。
(6)開環重合体水素化物の成形体の複屈折は、屈折計(KOBRA−CCD、王子計測社製)により、測定波長650nmの条件でのレターデーションを測定して求めた。
[実施例1]
攪拌機付きガラス製反応器に、タングステン(フェニルイミド)テトラクロリド・ジエチルエーテルを0.23部、及びトルエン10部を添加した。さらにそこへ、ジエチルアルミニウムエトキシド0.22部をヘキサン5.0部に溶解した溶液を添加して、全容を室温にて30分撹拌した。得られた混合物に、テトラシクロドデセン(TCD)0.34部、メタノテトラヒドロフルオレン(MTF)0.51部、シクロヘキサン270部、1−ヘキセン1.7部を添加し、全容を50℃で5分間撹拌した。その後直ちに撹拌したまま、重合反応器中にテトラシクロドデセン(TCD)33.7部、メタノテトラヒドロフルオレン(MTF)50.5部、及びタングステン(フェニルイミド)テトラクロリド・ジエチルエーテルを0.34部をそれぞれ等速度で30分間連続的に加え、滴下終了後さらに30分間撹拌した。反応終了後、重合反応液に大量のイソプロピルアルコールを注いで沈殿物を凝集させ、濾別洗浄後、40℃で24時間減圧乾燥して、TCD含有開環重合体を60部得た。得られた重合体の組成比は、TCD/MTF=43.5/56.5(モル%/モル%)であった。
続いて、撹拌機付きオートクレーブに、得られたTCD含有開環重合体60部を撹拌器付きオートクレーブに移し、シクロヘキサン240部、ニッケルアセチルアセトナート0.6部、及びイソブチルアルミニウム20%含有シクロヘキサン溶液9.0部を加えた。オートクレーブ内を水素置換した後、撹拌しながら160℃、4MPaの反応条件下で6時間反応させた。反応終了後、イソプロピルアルコール1部及び活性白土2部を加えて、80℃で1時間撹拌した。得られた反応液をケイソウ土をろ過助剤としてポアサイズ1μmのろ紙でろ過した。得られたろ液を大量のイソプロピルアルコール中に攪拌下に注いで水素添加樹脂を沈殿させ、ろ別して回収した。さらに、アセトン500部で洗浄した後、1.33×10Pa以下、100℃に設定した真空乾燥器中で24時間乾燥し、目的とするTCD含有開環重合体水素添加物(1)を得た。
得られたTCD含有開環重合体水素化物(1)の分子量は、Mn=12,600、Mw=26,700であった。
H−NMR測定においては、炭素−炭素二重結合由来のピークは観測されず、水素化率は99%以上であった。
TCD由来の繰り返し単位のラセモダイアッド/メソダイアッド比は、80/20であった。融点(Tm)は観測されず、ガラス転移温度(Tg)は152℃であった。MI(メルトフローレイト)は23(g/10分)であった。
次いで、上記で得たTCD含有開環重合体水素物(1)50部に対し、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体(商品名:セプトン2104;結合スチレン量65%、クラレ社製)0.15部、老化防止剤(商品名:イルガノックス1010、チバガイギー社製)0.025部を添加し、2軸混練機(TEM−35B、スクリュー径37mm、L/D=32、スクリュー回転数250rpm、樹脂温度270℃、フィードレート10kg/時間東芝機械社製)で混練・押出しをし、ペレットとした。得られたペレットを120℃、4時間で加熱乾燥した。これをペレット(1)とする。
次いで、射出成形装置(α−100B、ファナック社製)を用いて、ペレット(1)を射出成形して、厚さ3mm、縦横65mmの直方体状の成形体(1)を得た。成形条件は、金型温度145℃、シリンダー温度280℃とした。成形体(1)の中心部の複屈折を測定したところ、レターデーションは30nmであった。
[実施例2]
実施例1において、テトラシクロドデセン(TCD)の初期添加量と後添加量をそれぞれ、0.76部、75.8部、メタノテトラヒドロフルオレン(MTF)の初期添加量と後添加量をそれぞれ0.08部、8.42部とした以外は、実施例1と同様にして重合した。得られた重合体の組成比は,TCD/MTF=91.1/8.9(モル%/モル%)であった。
次いで、得られた重合体を実施例1と同様に水素化して、TCD含有開環重合体水素化物(2)を得た。
その後、TCD含有開環重合体水素化物(2)を使用して、実施例1と同様にしてペレット化を行った。得られたペレットを120℃、4時間で加熱乾燥した。これをペレット(2)とする。
得られたTCD含有開環重合体水素化物(2)の分子量はMn=12100、Mw=26100であった。
H−NMR測定においては、炭素−炭素二重結合由来のピークは観測されず、水素化率は99%以上であった。
TCD由来の繰り返し単位のラセモダイアッド/メソダイアッド比は、80/20であった。融点(Tm)は観測されず、ガラス転移温度(Tg)は153℃であった。
MI(メルトフローレイト)は15(g/10分)であった。
次いで、射出成形装置(α−100B、ファナック社製)を用いて、ペレット(2)を射出成形して、厚さ3mm、縦横65mmの直方体状の成形体(2)を得た。成形条件は、金型温度145℃、シリンダー温度280℃とした。成形体(2)の中心部の複屈折を測定したところ、レターデーションは35nmであった。
[比較例1]
実施例1において、タングステン(フェニルイミド)テトラクロリド・ジエチルエーテルを六塩化タングステンに代え、1−ヘキセンの添加量を1.06部とした以外は、実施例1と同様にして重合した。得られた重合体の組成比は、TCD/MTF=43.5/56.5(モル%/モル%)であった。
次いで、得られた重合体を実施例1と同様に水素化して、TCD含有開環重合体水素化物(3)を得た。
その後、TCD含有開環重合体水素化物(3)を使用して、実施例1と同様にしてペレット化を行った。得られたペレットを120℃、4時間で加熱乾燥した。これをペレット(3)とする。
得られたTCD含有開環重合体水素化物(3)の分子量はMn=13600、Mw=27300であった。
H−NMR測定においては、炭素−炭素二重結合由来のピークは観測されず、水素化率は99%以上であった。TCD由来の繰り返し単位のラセモダイアッド/メソダイアッド比は、44/56であった。
融点(Tm)は観測されず、ガラス転移温度(Tg)は155℃であった。
MI(メルトフローレイト)は22(g/10分)であった。
次いで、射出成形装置(α−100B、ファナック社製)を用いて、ペレット(3)を射出成形して、厚さ3mm、縦横65mmの直方体状の成形体(3)を得た。成形条件は、金型温度145℃、シリンダー温度280℃とした。成形体(3)の中心部の複屈折を測定したところ、レターデーションは55nmであった。
[比較例2]
実施例2において、タングステン(フェニルイミド)テトラクロリド・ジエチルエーテルを六塩化タングステンに代え、1−ヘキセンの添加量を1.06部とした以外は、実施例2と同様にして重合した。得られた重合体の組成比は、TCD/MTF=91.1/8.9(モル%/モル%)であった。
次いで、得られた重合体を実施例2と同様に水素化して、TCD含有開環重合体水素化物(4)を得た。しかし、水素化反応の反応溶液は白濁し、ポリマーが析出していた。触媒のろ別ができなかったため、得られたTCD含有開環重合体水素化物(4)は着色しており、透明なペレットを得ることができなかった。
得られたTCD含有開環重合体水素化物(4)の、TCD由来の繰り返し単位のラセモダイアッド/メソダイアッド比は、44/56であった。
融点(Tm)は観測されず、ガラス転移温度(Tg)は155℃であった。
[比較例3]
実施例1において、反応モノマーをテトラシクロドデセン(TCD)のみとし、初期添加量を0.85部、後添加量を84.2部とした以外は、実施例1と同様にして重合、水素化して、TCD開環重合体水素化物を得た。
次いで、得られたTCD開環重合体水素化物を使用して、実施例1と同様にしてペレット化を行った。得られたペレットを120℃、4時間で加熱乾燥した。これをペレット(5)とする。
得られたTCD開環重合体水素化物の分子量はMn=11600、Mw=26600であった。
H−NMR測定においては、炭素−炭素二重結合由来のピークは観測されず、水素化率は99%以上であった。
ラセモダイアッド/メソダイアッド比は、80/20であった。
融点(Tm)は観測されず、ガラス転移温度(Tg)は155℃であった。
MI(メルトフローレイト)は5(g/10分)であった。
次いで、射出成形装置(α−100B、ファナック社製)を用いて、ペレット(5)を射出成形して、厚さ3mm、縦横65mmの直方体状の成形体(4)を得た。成形条件は、金型温度145℃、シリンダー温度280℃とした。成形体(4)の中心部の複屈折を測定したところ、レターデーションは55nmであった。

Claims (4)

  1. 分子内に、テトラシクロドデセン由来の繰り返し単位(A)を10〜95モル%、及びメタノテトラヒドロフルオレン由来の繰り返し単位(B)を5〜90モル%含有する開環共重合体水素化物であって、繰り返し単位(A)のラセモダイアッドとメソダイアッドの比(ラセモダイアッド/メソダイアッド)が、65/35〜100/0であることを特徴とするテトラシクロドデセン含有開環重合体水素化物。
  2. 周期律表第6族遷移金属原子にアルキルイミドまたはアリールイミドが結合してなる周期律表第6族遷移金属化合物を含む重合触媒の存在下に、テトラシクロドデセン及びメタノテトラシクロドデセンを開環共重合してテトラシクロドデセン含有開環共重合体を得た後、得られたテトラシクロドデセン含有開環共重合体の炭素−炭素二重結合を水素化して得られたものである、請求項1に記載のテトラシクロドデセン含有開環重合体水素化物。
  3. 請求項1または2に記載のテトラシクロドデセン含有開環共重合体水素化物を含有する光学樹脂材料。
  4. 請求項3に記載の光学樹脂材料を成形して得られる光学成形体。

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