JP2005097397A - 分枝状変性ノルボルネン系重合体、およびその製造方法 - Google Patents

分枝状変性ノルボルネン系重合体、およびその製造方法 Download PDF

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Teiji Obara
禎二 小原
Masaaki Komatsu
正明 小松
Yoshinori Miyagawa
義教 宮川
Masakazu Hashimoto
昌和 橋本
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Abstract

【課題】従来のノルボルネン系重合体やその水素添加物に様々な性質を導入し、従来の物性より更に優れた物性を有するノルボルネン系重合体又はその水素添加物を製造する方法及びその製造方法によって得られる変性ノルボルネン系重合体を提供すること。
【解決手段】ノルボルネン系重合体からなる幹ポリマー部及びその幹ポリマー部から分枝する芳香族ビニルポリマーからなる枝ポリマー部からなり、かつノルボルネン系モノマー単位中の極性基がアニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーで変性されてなる分枝状変性ノルボルネン系重合体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規な変性ノルボルネン系重合体およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、ノルボルネン系重合体からなる幹ポリマー部及びその幹ポリマー部から分枝する芳香族ビニルポリマーからなる枝ポリマー部からなる分枝状変性ノルボルネン系重合体及びその製造方法に関する。
ノルボルネン系重合体やその水素添加物は、耐熱性、透明性、低吸湿性、低吸水性、耐薬品性、耐湿性、耐水性、透明性、低複屈折性の優れた樹脂として光学材料、医療材料、電気絶縁材料、自動車部品材料等として広く用いられている。中でも、他の透明な熱可塑性樹脂と比較して低複屈折性に優れており、光学材料として特に注目を浴びている。
しかし、技術の進歩に従い、使用目的によっては、該ノルボルネン系重合体やその水素添加物に様々な性質を導入するなど、更なる改良が求められている。
たとえば、特許文献1には、分子中に不飽和結合を有するゴム質不飽和重合体の存在下に、ノルボルネン系単量体をメタセシス開環重合し、更に水素添加して得られる耐衝撃性樹脂が開示されている。
特許文献2には、極性基含有ノルボルネン系開環重合水素添加物の存在下にスチレン等のビニル系単量体を重合し、かつ、グラフト率(水素添加重合体にグラフト結合しているビニル系単量体の水素添加重合体に対する割合)が3〜200重量%である耐薬品性グラフト変性水添重合体の製造法が開示されている。
特許文献3には、主鎖の少なくともひとつの末端部分にエチレン性不飽和結合を有する高分子モノマーの存在下にノルボルネン系モノマーをメタセシス触媒により開環重合することを特徴とする変性ノルボルネン系樹脂の製造方法が開示されている。
特開平3−54220号公報 特開平5−51421号公報 特開平8−92357号公報
しかし、特許文献1記載の方法では、開環重合時にグラフト化反応率が低いために目的とする改質効果が得られにくく、また得られた重合体は一般に分子量分布(Mw/Mn)が大きいために成形性が悪いという問題があり、ノルボルネン系重合体に他の特性を導入するという目的には適するものではなかった。
また、特許文献2記載の方法では、グラフト変性ノルボルネン系重合体水素添加物と副生するビニル系単量体単独のポリマーの分離が困難であり、グラフト変性ノルボルネン系重合体水素添加物の側鎖部分の分子量および、極性基の反応割合を調整することも困難で、ノルボルネン系ポリマーに他の特性を導入するという目的には不十分であった。
更に、特許文献3記載の方法では、ノルボルネン系ポリマーの末端部分が変性されるのみで、ノルボルネン系ポリマーに他の特性を導入するという目的には不十分であった。
従って、本発明の目的は、従来のノルボルネン系開環重合体やその水素添加物に様々な性質を導入することで、従来の物性より更に優れた物性を有するノルボルネン系開環重合体又はその水素添加物を製造する方法及びその製造方法によって得られる変性ノルボルネン系重合体を提供することにある。
本発明者らは、ノルボルネン系重合体に様々な性質を導入し、ノルボルネン系重合体が有する特性の更なる改良をするために、ノルボルネン系重合体に異種重合体を導入する方法について鋭意研究をおこなった。その結果、アニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーと、それと反応可能な極性基を有するノルボルネン系モノマーとを反応させて変性ノルボルネン系モノマーを得、該変性ノルボルネン系モノマーを重合し、必要に応じて水素添加することにより、又は、
アニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーと、それと反応可能な極性基を有するノルボルネン系モノマー単位を含有してなるノルボルネン系重合体又はその水素添加物とを反応させて、該極性基を変性し、必要に応じて水素添加することにより、
ノルボルネン系重合体からなる幹ポリマー部及びその幹ポリマー部から分枝する芳香族ビニルポリマーからなる枝ポリマー部からなる分枝状変性ノルボルネン系重合体を得ることができ、更に該分枝状変性ノルボルネン系重合体は、優れた低複屈折性を有していることを見出して本発明を完成させるに到った。
かくして本発明によれば、
(1)ノルボルネン系重合体からなる幹ポリマー部及びその幹ポリマー部から分枝する芳香族ビニルポリマーからなる枝ポリマー部からなり、かつノルボルネン系モノマー単位中の極性基がアニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーで変性されてなる分枝状変性ノルボルネン系重合体、
(2)ノルボルネン系重合体からなる幹ポリマー部及びその幹ポリマー部から分枝する芳香族ビニルポリマーからなる枝ポリマー部からなり、幹ポリマー部のノルボルネン系重合体が水素添加物であり、枝ポリマー部の分子量分布が1〜3の範囲にある芳香族ビニルポリマーであり、かつ幹ポリマー部100重量部に対して枝ポリマー部が10〜70重量部の範囲にある分枝状変性ノルボルネン系重合体、
(3)アニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーと、それと反応可能な極性基を有するノルボルネン系モノマーとを反応させて、変性ノルボルネン系モノマーを得、該変性ノルボルネン系モノマーを重合し、必要に応じて水素添加する1又は2記載の分枝状変性ノルボルネン系重合体の製造方法、
(4)アニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーと、それと反応可能な極性基を有するノルボルネン系モノマー単位を含有してなるノルボルネン系重合体又はその水素添加物とを反応させて、該極性基を変性し、必要に応じて水素添加する1又は2記載の分枝状変性ノルボルネン系重合体の製造方法、
(5)分枝状変性ノルボルネン系重合体が、開環重合体である3又は4記載の分枝状変性ノルボルネン系重合体の製造方法、
(6)1又は2記載の分枝状変性ノルボルネン系重合体を含有する樹脂材料、及び、
(7)6記載の樹脂材料を成形してなる成形体
がそれぞれ提供される。
本発明の分枝状変性ノルボルネン系重合体は、ノルボルネン系重合体の優れた特性と低複屈折性を有するので、光学材料として好適である。
本発明の分枝状変性ノルボルネン系重合体は、ノルボルネン系重合体からなる幹ポリマー部及びその幹ポリマー部から分枝する芳香族ビニルポリマーからなる枝ポリマー部からなっている。
(枝ポリマー部)
本発明の分枝状変性ノルボルネン系重合体を構成する枝ポリマー部は、芳香族ビニルポリマーからなっている。芳香族ビニルポリマーは、アニオンリビング状態で、それと反応可能な極性基を有するノルボルネン系モノマーと反応することにより、又は該極性基を有するノルボルネン系モノマー単位を含有してなるノルボルネン系重合体と反応することにより枝ポリマー部を形成する。
アニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーは、従来のリビングアニオン重合法によって調製することができる。例えば、不活性ガス雰囲気下、芳香族ビニルモノマー又は芳香族ビニルモノマー及びそれと共重合可能なモノマーと開始剤とを不活性希釈剤中で接触させて簡単な構造S−Mを有するアニオンリビング状態のポリマーを形成する。(S;芳香族ビニルポリマー、M;金属)
芳香族ビニルモノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルピリジン、エチルスチレン、t−ブチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、他のアルキル化スチレン等が挙げられる。中でもスチレンが好ましい。
これらの芳香族ビニルモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
芳香族ビニルモノマーと共重合可能なモノマーの具体例は、特に限定されないが、鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジエン化合物等が挙げられ、中でも、鎖状共役ジエン化合物が、芳香族ビニルポリマーの製造過程における操作性、分枝状変性ノルボルネン系重合体の強度特性の点で好ましい。
鎖状ビニル化合物の具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン及びこれらの誘導体等のα−オレフィン; 1−シアノエチレン、1−シアノ−1−メチルエチレン、1−シアノ−1−クロロエチレン等のニトリル系モノマー等が挙げられる。
鎖状共役ジエン化合物の具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、及び1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。中でもブタジエン、イソプレンが特に好ましい。
これらの鎖状ビニル系化合物及び鎖状共役ジエン化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
枝ポリマー部を形成する芳香族ビニルポリマー中の、芳香族ビニルモノマー単位と、それと共重合可能なモノマー単位の割合は特に限定されないが、モノマー単位全体に対して、芳香族ビニルモノマー単位の割合が50重量%以上であると好ましく、90重量%以上であるより好ましい。
開始剤の具体例としては、有機アルカリ金属化合物等が挙げられ、中でも、有機モノリチウム化合物が好ましい。有機モノリチウム化合物の具体例としては、メチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、4−ブチルフェニルリチウム、4−フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム等が挙げられる。
不活性希釈剤しては、n−ペンタン、n−ヘキサン、イソオクタン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、キシレン等が挙げられる。
不活性ガスの具体例としては、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。
枝ポリマー部を形成する芳香族ビニルポリマーの平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量で1,000〜100,000の範囲であると好ましく、2,000〜50,000の範囲であるとより好ましく、3,000〜30,000の範囲であると特に好ましい。
該芳香族ビニルポリマーの分子量は、開始剤に対する芳香族ビニルモノマーの比率によって、又は、開始剤に対する芳香族ビニルモノマー及びそれと共重合可能なモノマーの比率によって制御することができる。
また、該芳香族ビニルポリマーの分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は特に限定されないが、1〜3の範囲であると好ましく、1〜2の範囲であるとより好ましく、1〜1.5の範囲であると特に好ましい。
本発明において該芳香族ビニルポリマーの重量平均分子量及び分子量分布は、アニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーを塩酸で処理した後、テトラヒドロフラン溶液としてゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定した標準ポリスチレン換算の値から求めた値である。
アニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーは、単独で、あるいはそれぞれ別に調整した2種以上の芳香族ビニルポリマーを組み合わせて用いることができるが、単独で用いると好ましい。
(幹ポリマー部)
本発明の分枝状変性ノルボルネン系重合体を構成する幹ポリマー部は、アニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーと反応可能な極性基を少なくとも一つ有するノルボルネン系モノマーを少なくとも1成分として重合したノルボルネン系重合体からなっている。
ノルボルネン系重合体は、(ア)開環重合によって得られるものと(イ)付加重合によって得られるものに大別される。
(ア)開環重合によって得られるものとして、ノルボルネン系モノマーの開環重合体及びノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なモノマーとの開環共重合体、ならびにこれらの水素添加物、
(イ)付加重合によって得られるものとしてノルボルネン系モノマーの付加重合体及びノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なモノマーとの付加共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物が、耐熱性、機械的強度等の観点から好ましい。
ノルボルネン系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、重合が開環重合である場合には、環状オレフィン化合物等が挙げられ、重合が付加重合である場合には、環状オレフィン化合物、α−オレフィン、鎖状ジエン化合物等が挙げられる。
ノルボルネン系モノマーの具体例としては、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、トリシクロ[5.2.1.02,6]−8−デセン、トリシクロ[5.2.1.02,6]−3−デセン、トリシクロ[6.2.1.01,8]−9−ウンデセン、トリシクロ[6.2.1.01,8]−4−ウンデセン、テトラシクロ[4.4.0.12,57,10]−3−ドデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,8.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−11−ペンタデセン、ジシクロペンタジエン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−ペンタデカ−4,11−ジエン等のノルボルネン環を有する化合物及び置換基を有するこれらの誘導体を挙げることができる。
アニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーと反応可能な極性基の具体例としては、ハロゲン化ケイ素、アルコキシカルボニル、カルボン酸、酸ハライド、エポキサイド、ケトン、ホルミル、アミド、アルキルハライド、酸無水物等のアニオンと求核反応可能なものが挙げられる。中でも、アルコキシカルボニルが、ノルボルネン系モノマーの安定性等の点で好ましい。
アニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーと反応可能な極性基を有するノルボルネン系モノマーの具体例としては、8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、5−カルボキシメチル−ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン等を挙げることができる。
環状オレフィン化合物の具体例としては、シクロペンテン、シクロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、1,5,9−シクロドデカトリエン等のシクロオレフィン類;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン等の環状共役ジエン系モノマー等を挙げることができる。
鎖状ジエン化合物の具体例としては、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン等の鎖状共役ジエン等を挙げることができる。
幹ポリマー部中のモノマー単位全体に対するノルボルネン系モノマー単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常75重量%以上、好ましくは90重量%以上である。幹ポリマー部中のモノマー単位全体に対するノルボルネン系モノマー単位の割合がこの範囲にあると樹脂組成物の透明性および耐熱性の点で好ましい。幹ポリマー部中のモノマー単位全体に対するノルボルネン系モノマー単位の割合は、ノルボルネン系モノマーと、それと共重合可能なノルボルネン系モノマー以外のモノマーの使用割合により調整することができる。
幹ポリマー部は、ノルボルネン系重合体がノルボルネン系開環(共)重合体である場合は、モノマー成分を、公知の開環重合触媒の存在下で重合して得ることができる。
開環重合触媒の具体例としては、ルテニウム、オスミウム等の金属のハロゲン化物と、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物、及び還元剤とからなる触媒、あるいは、チタン、ジルコニウム、タングステン、モリブデン等の金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒等が挙げられる。
又、幹ポリマー部は、ノルボルネン系重合体がノルボルネン系付加(共)重合である場合は、モノマー成分を、公知の付加重合触媒の存在下で重合して得ることができる。
付加重合触媒の具体例としては、チタン、ジルコニウム又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒等が挙げられる。
幹ポリマー部の重量平均分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、好ましくは8,000〜250,000、より好ましくは10,000〜200,000の範囲である。分子量がこの範囲であると、樹脂の機械的強度及び成形加工性、耐熱変形性が高度にバランスされ好ましい。
本発明において幹ポリマー部の重量平均分子量(Mw)は、未変性のノルボルネン系重合体テトラヒドロフラン溶液のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定した標準ポリスチレン換算の値、又は、
分枝状変性ノルボルネン系重合体テトラヒドロフラン溶液のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定した標準ポリスチレン換算の値、及び変性に用いた芳香族ビニルポリマーの重量平均分子量(Mw)とその転化率から求めた値である。
(分枝状変性ノルボルネン系重合体)
本発明の分枝状変性ノルボルネン系重合体は、ノルボルネン系重合体からなる幹ポリマー部と芳香族ビニルポリマーからなる枝ポリマー部からなっている。
幹ポリマー部と枝ポリマー部の割合は特に限定されないが、幹ポリマー部と枝ポリマー部の割合が幹ポリマー部100重量部に対して枝ポリマー部が10〜70重量部の範囲にあると好ましく、20〜60重量部の範囲にあるとより好ましく、30〜50重量部の範囲にあると特に好ましい。
また、幹ポリマー部中のモノマー単位全体に対する、芳香族ビニルポリマーにより変性されているノルボルネン系モノマー単位の割合は特に限定されないが、(変性ノルボルネン系モノマー単位)/(幹ポリマー部中のモノマー単位)(モル比)で1/1000〜1/1の範囲であると好ましく、1/500〜1/5の範囲であるとより好ましく、1/50〜1/10の範囲であると特に好ましい。
本発明の分枝状変性ノルボルネン系重合体は、水素添加されていると好ましい。水素添加反応は、公知の水素添加触媒を用いて行うことができる。
分枝状変性ノルボルネン系重合体中の不飽和結合(芳香環中のものを除く)の水素転化率は、90%以上であると好ましく、99%以上であるとより好ましい。
分枝状変性ノルボルネン系重合体中の芳香環中の不飽和結合は、水素添加しても良いが、その水素転化率は、50%以下であると好ましく、10%以下であるとより好ましく、1%以下であると特に好ましい。
水素添加触媒としては、オレフィン化合物の水素添加に際して一般に使用されているものであれば使用可能であり、特に制限されないが、たとえば次のようなものがある。不均一系触媒の具体例としては、ニッケル、パラジウム、白金またはこれらの金属をカーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタン等の担体に担持させた固体触媒、例えばニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナ等が挙げられる。また、均一系触媒としては、周期律表第8族の金属を基体とするものがあげられる。均一系触媒の具体例としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、ニッケルアセチルアセトネート/トリエチルアルミニウム等のNi、Co化合物と周期律表第1A〜3A、1B〜3B族金属の有機金属化合物からなるもの、あるいはRh化合物等が挙げられる。
水素添加反応は、触媒の種類により均一系または不均一系で、1〜150気圧の水素圧下、0〜230℃、好ましくは20〜200℃で行われる。
(分枝状変性ノルボルネン系重合体の製造方法)
本発明の分枝状変性ノルボルネン系重合体は、
(1)アニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーとそれと反応可能な極性基を有するノルボルネン系モノマーとを反応させて、変性ノルボルネン系モノマーを得、該変性ノルボルネン系モノマーを重合し、必要に応じて水素添加することによって、又は、
(2)アニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーと、それと反応可能な極性基を有するノルボルネン系モノマーとを反応させて、変性ノルボルネン系モノマーを得、該変性ノルボルネン系モノマーを重合し、必要に応じて水素添加することによって、
得られる。
以下に製造方法(1)及び(2)について説明する。
(製造方法(1))
本発明の分枝状変性ノルボルネン系重合体は、アニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーとそれと反応可能な極性基を有するノルボルネン系モノマーとを反応させて、変性ノルボルネン系モノマーを得、該変性ノルボルネン系モノマーを重合し、必要に応じて水素添加することによって得られる。
アニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーと、それと反応可能な極性基を有するノルボルネン系モノマーとの反応方法は、特に限定されないが、アニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマー溶液中に、該ノルボルネン系モノマーを連続的に添加することが好ましい。
反応に用いるアニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーと、それと反応可能な極性基を有するノルボルネン系モノマーとの割合は、特に限定されないが、アニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマー1モルに対する、該ノルボルネン系モノマーの割合が1〜100モルの範囲であると好ましく、10〜80モルの範囲であるとより好ましく、20〜70モルの範囲であると特に好ましい。芳香族ビニルポリマーに対する該ノルボルネン系モノマーとの割合がこの範囲にあると、芳香族ビニルポリマーの転化率が高いので、未反応の芳香族ビニルポリマーと変性ノルボルネン系モノマーの分離が不要又は容易であり、変性ノルボルネン系モノマーと未変性のノルボルネン系モノマーの分離も容易である。
得られた変性ノルボルネン系モノマーには、未変性のノルボルネン系モノマーが含まれていることがあるが、未変性のノルボルネン系モノマーを除去、精製後に用いても良いし、未変性のノルボルネン系モノマーを除去せずにそのまま用いても良い。
変性ノルボルネン系モノマーの(共)重合は、単独重合でも良いが、ポリマー分子量の制御の点で、未変性のノルボルネン系モノマーや、ノルボルネン系モノマー以外の共重合可能なモノマーとの共重合が好ましい。
変性ノルボルネン系モノマーの(共)重合において、変性ノルボルネン系モノマー(A)と、未変性ノルボルネン系モノマー(B)及び/又はこれらと共重合可能なモノマー(C)の使用割合は、目的により適宜選択されるが、((B)+(C))/(A)(モル比)で0/100〜1,000/1の範囲であると好ましく、0/100〜100/1の範囲であるとより好ましく、0/100〜50/1の範囲であると特に好ましい。
また、共重合反応の形態は特に限定されないが、触媒を含む反応系に、モノマーを連続的に滴下することが、分枝状変性ノルボルネン系重合体の分子量分布を狭くすることができる点で好ましい。
本発明の分枝状変性ノルボルネン系重合体中の、幹ポリマー部と枝ポリマー部の重量割合は、(ア)該極性基を有するノルボルネン系モノマーに反応させる芳香族ビニルポリマーの分子量及び(イ)該変性ノルボルネン系モノマーと未変性のノルボルネン系モノマー及び/又はこれらと共重合可能なモノマーの重合割合によって調整することができる。
また、本発明における分枝状変性ノルボルネン系重合体中の幹ポリマー部中のモノマー単位のうち、枝ポリマー部により変性されているノルボルネン系モノマー単位の割合は、(ア)該変性ノルボルネン系モノマーと未変性のノルボルネン系モノマー及び/又はこれらと共重合可能なモノマーの重合割合によって調整することができる
得られた分枝状変性ノルボルネン系重合体は、水素添加することが好ましい。水素添加反応は、公知の方法により行う事ができ、更に、分枝状変性ノルボルネン系重合体中の不飽和結合(芳香環中のものを除く)の水素転化率及び芳香環中の不飽和結合の水素転化率は、公知の水素添加触媒及び反応条件を適宜選択することにより調整することができる。
(製造方法(2))
本発明の分枝状変性ノルボルネン系重合体は、アニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーと、それと反応可能な極性基を有するノルボルネン系モノマー単位を含有してなるノルボルネン系重合体又はその水素添加物とを反応させて、該極性基を変性し、必要に応じて水素添加することによって得られる。
本発明に用いる未変性のノルボルネン系重合体又はその水素添加物は、該極性基を有するノルボルネン系モノマー単位を少なくとも含有する。未変性の該ノルボルネン系重合体又はその水素添加物中の全モノマー単位(A)に対する、該極性基を有するノルボルネン系モノマー単位(B)の割合は、特に限定されないが、(B)/(A)(モル比)で、1/1,000〜1/1の範囲であると好ましく、1/500〜1/1の範囲であるとより好ましく、1/50〜1/1の範囲であると特に好ましい。
未変性のノルボルネン系重合体又はその水素添加物中の全モノマー単位に対する、該極性基を有するノルボルネン系モノマー単位の割合は、該極性基を有するノルボルネン系モノマーと共重合可能なモノマーの重合割合により調整することができる。
アニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーと、それと反応可能な極性基を有するノルボルネン系モノマー単位を含有してなるノルボルネン系重合体又はその水素添加物の反応の形態は特に限定されないが、該ノルボルネン系重合体又はその水素添加物溶液中に、アニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマー溶液を連続的に添加すると好ましい。
該ノルボルネン系重合体又はその水素添加物とアニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーとの使用割合は、目的により適宜選択されるが、該未変性のノルボルネン系重合体又はその水素添加物100重量部に対して枝ポリマー部が10〜70重量部の範囲にあると好ましく、20〜60重量部の範囲にあるとより好ましく、30〜50重量部の範囲にあると特に好ましい。
該ノルボルネン系重合体又はその水素添加物とアニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーとの反応液中に、未反応のアニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーが残存している場合には、適宜選択される析出溶媒により、分枝状変性ノルボルネン系重合体を析出し、濾過洗浄することにより、芳香族ビニルポリマーを除去することが好ましい。
得られた分枝状変性ノルボルネン系重合体は、水素添加することができる。水素添加反応は、公知の方法により行う事ができ、更に、分枝状変性ノルボルネン系重合体中の芳香環を除く不飽和結合の水素転化率及び芳香環内の不飽和結合の水素転化率は、公知の水素添加触媒及び反応条件を適宜選択することにより調整することができる。
(添加剤)
本発明の分枝状変性ノルボルネン系重合体は、必要に応じて公知の添加剤を発明の効果が損なわれない範囲で含有させ樹脂材料とすることができる。公知の添加剤としては、滑剤や分散助剤、潤滑剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、防曇剤、顔料、有機物充填材、中和剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止材、抗菌剤やその他の樹脂、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
樹脂材料は、その調製法によって特に限定されない。
例えば、分枝状変性ノルボルネン系重合体と必要に応じて添加剤とをヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー、コニカルブレンダー等の混合器を用いて混合することによって、または更にこの混合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー等により溶融混練することによって得られる。樹脂材料は、成形性の点で、造粒あるいは粉砕、又はペレット化することが好ましい。混練時の樹脂温度は、適宜設定できるが、通常150℃から300℃であり、好ましくは190〜250℃の範囲である。
本発明の分枝状変性ノルボルネン系重合体からなる樹脂材料は、複屈折率が小さいので、各種成形品の材料として広範な分野において有用であるが、特に、光ディスク、光学レンズ、プリズム、光拡散板、光カード、光ファイバー、光学ミラー、液晶表示素子基板、導光板、偏光フィルム、位相差フィルム等の光学材料として有用である。
(成形)
本発明の分枝状変性ノルボルネン系重合体からなる樹脂材料は、周知の熱可塑性樹脂の成形法、例えば、射出成形法、押し出し成形法、キャスト成形法、インフレーション成形法、ブロー成形法、真空成形法、プレス成形法、圧縮成形法、回転成形法、カレンダー成形法、圧延成形法、切削成形法等によって成形加工し、成形体とすることができる。
本発明を、参考例、実施例及び比較例を示しながら、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
各種の物性の測定は、下記の方法に従って行った。
(1)分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒にしてゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求めた。
(2)重合転化率は、ガスクロマトグラフィーにより算出した
(3)複屈折率は、偏向顕微鏡(ニコン社製;546nmセナルモンコンペンセータ)にて測定した。
(4)光線透過率は、ASTM D−1003に従い測定した。
(5)水素添加率は、NMRにより算出した。
[製造例1]
(ノルボルネン系モノマーの変性)
十分に乾燥し、窒素置換した、電磁撹拌装置を備えたステンレス鋼製オートクレーブに、脱水シクロヘキサン170部、スチレン2部及びジブチルエーテル0.1部を仕込み、50℃で撹拌しながらn−ブチルリチウム溶液(20%ヘキサン溶液)3.10部を添加して重合を開始した。同条件下で30分重合を行い、次いで同条件下での重合を継続しながらオートクレーブ中の重合反応溶液中に、スチレン38部(スチレン総添加量/n−ブチルリチウム(モル比)=39.7/1)を1時間かけて連続的に添加した。添加終了後、同条件下で30分重合を行いアニオンリビング状態のスチレンポリマーを得た(この時点でのスチレン転化率は100%、スチレンポリマーの分子量は重量平均分子量で4200、分子量分布は1.06であった。)。アニオンリビング状態のスチレンポリマー溶液中に、引続き50℃で攪拌しながら、8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(50%トルエン溶液)(以下、ノルボルネン系モノマーと略す。)180部(スチレンリビングポリマー/ノルボルネン系モノマー(モル比)=2.5/100)を1時間かけて連続的に滴下し、さらに同条件下で1時間反応させて変性ノルボルネン系モノマー溶液を得た。変性ノルボルネン系モノマー溶液をガスクロマトグラフィーで測定したところ、用いたノルボルネン系モノマーの内2.5モル%が消費されていた。また、スチレンリビングポリマーは、ノルボルネン系モノマーと100%反応していた。
[実施例1]
(変性ノルボルネン系モノマーの重合)
十分に乾燥し、窒素置換した、電磁撹拌装置を備えたステンレス鋼製オートクレーブに、分子量調節剤である1−へキセン16部とトルエン150部を仕込み、80℃に加熱した。これに、重合触媒であるトリエチルアルミニウムのトルエン溶液(1.5モル/l)0.17部と、t−ブタノールおよびメタノールでWClを変性し、t−ブタノールとメタノールとタングステンとのモル比が0.35:0.3:1とされたWCl溶液(濃度0.05モル/l)1.2部を添加した後、製造例1で得られた変性ノルボルネン系モノマー溶液300部を1時間かけて連続的にオートクレーブ内に添加し、次いで80℃で2時間加熱攪拌して、重合体溶液Aを得た。重合転化率は99.8%であった。
(水素添加)
前記の重合体溶液450部を撹拌器付きオートクレーブに移し、ニッケルアセチルアセトナート1部、イソブチルアルミニウム(20%シクロヘキサン溶液)15部を加えた。オートクレーブ内を水素置換し、次いで撹拌しながら100℃、15kg/cmの反応条件下で2時間反応させた。反応終了後、イソプロピルアルコール1部及び活性白土2部を加えて、80℃で1時間撹拌した。この溶液をケイソウ土をろ過助剤としてポアサイズ1μmのろ紙でろ過した。得られたろ液を2000部のイソプロピルアルコール中に撹拌下に注いで水素添加樹脂を沈殿させ、ろ別して回収した。さらに、アセトン500部で洗浄した後、1torr以下、100℃に設定した真空乾燥器中で24時間乾燥し、94部の分枝状変性ノルボルネン系重合体水素添加物を得た。得られた水素添加物の水素添加率は幹ポリマー部の二重結合部分が99.9%、枝ポリマー部の芳香環部分が0.8%であり、Tgは146℃、Mwは99,000、幹ポリマー部と枝ポリマー部の割合は、幹ポリマー部100重量部に対して枝ポリマー部が44重量部であった。
[製造例2]
(極性基含有ノルボルネン系重合体水素添加物の製造)
変性ノルボルネン系モノマー溶液300部の代わりに、8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン100部を使用し、分子量調整剤の量を14部にする以外は、実施例1の方法に従って、極性基含有ノルボルネン系重合体水素化物95部を得た。得られた水素添加物の水素添加率は二重結合部分が99.9%、Tgは166℃、Mwは51,000であった。
[実施例2]
(極性基含有ノルボルネン系重合体水素添加物の変性)
十分に乾燥し、窒素置換した、電磁撹拌装置を備えたステンレス鋼製オートクレーブに、脱水シクロヘキサン170部、スチレン2部及びジブチルエーテル0.1部を仕込み、50℃で撹拌しながらn−ブチルリチウム溶液(20%ヘキサン溶液)3.10部を添加して重合を開始した。同条件下で30分重合を行い、次いで同条件下での重合を継続しながらオートクレーブ中の重合反応溶液中に、スチレン38部を1時間かけて連続的に添加した。添加終了後、同条件下で30分重合を行いアニオンリビング状態のスチレンポリマーを得た(この時点でのスチレン転化率は100%、スチレンポリマーの分子量は重量平均分子量で4100、分子量分布は1.06であった。)。製造例2で得られた極性基含有ノルボルネン系重合体水素化物90部とトルエン360部を窒素置換した、電磁撹拌装置を備えたステンレス鋼製オートクレーブに仕込み、50℃で攪拌しながら、アニオンリビング状態のスチレンポリマー溶液140部を連続的に30分かけて滴下し、滴下終了後、同一条件下でさらに1時間反応させた。反応溶液をGPCで測定したところ、分枝状変性ノルボルネン系重合体水素化物と未反応スチレンリビングポリマー由来のピークが2本観測された。ピーク面積比は99/1であった。
未反応スチレンリビングポリマー由来のポリスチレンを除去するために、得られた反応溶液を1200部のイソプロピルアルコールおよび800部のシクロヘキサンからなる混合溶剤中に撹拌下に注いで分枝状変性ノルボルネン系重合体水素化物を沈殿させ、ろ別して回収した。得られた分枝状変性ノルボルネン系重合体水素化物をさらにトルエン300部に再溶解させ、再度、1200部のイソプロピルアルコールおよび800部のシクロヘキサンからなる混合溶剤中に撹拌下に注いで分枝状変性ノルボルネン系重合体を沈殿させ、ろ別して回収した。ろ別した分枝状変性ノルボルネン系重合体水素化物をアセトン500部で洗浄した後、1torr以下、100℃に設定した真空乾燥器中で24時間乾燥し、112部の分枝状変性ノルボルネン系重合体水素添加物を得た。得られた分枝状変性ノルボルネン系重合体水素添加物のTgは145℃、Mwは102,000であった。また、GPC測定において未反応のポリスチレン由来のピークは消失していた。幹ポリマー部と枝ポリマー部の割合は、幹ポリマー部100重量部に対して枝ポリマー部が28重量部であった。
[実施例3]
実施例1で得た分枝状変性ノルボルネン系重合体水素添加物100部に軟質重合体(旭化成社製 タフテックH1052、ガラス転移温度0℃以下)0.2部、酸化防止剤(チバガイギー社製イルガノックス1010)0.1部を添加した後、2軸混練機(東芝機械社製TEM−35B、スクリュー径37mm、L/D=32、スクリュー回転数250rpm、樹脂温度240℃、フィードレート10kg/時間)で混練し、押し出し、ペレット化した。得られたペレットを射出成形機(ファナック株式会社製AUTOSHOTC MODEL 30A)を用いて、型締力30t、樹脂温度260℃、型温度100℃、射出圧力900kg/cmにて、有効径4.5mm、厚さ3.4mm、焦点距離4.5mmのCDプレイヤー用非球面ピックアップレンズに成形した。得られたピックアップレンズの各種物性を測定した結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1で得た分枝状変性ノルボルネン系重合体水素添加物100部の代わりに実施例2で得た分枝状変性ノルボルネン系重合体水素添加物100部を使用すること以外は、実施例3と同じ方法でピックアップレンズを製造した。物性の測定結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1で得た分枝状変性ノルボルネン系重合体水素添加物100部の代わりに製造例2で得た極性基含有ノルボルネン系重合体水素添加物100部を使用すること以外は、実施例3と同じ方法でピックアップレンズを製造した。物性の測定結果を表1に示す。
Figure 2005097397
表1から以下のことがわかる。ノルボルネン系重合体からなる幹ポリマー部及びその幹ポリマー部から分枝する芳香族ビニルポリマーからなる枝ポリマー部からなり、かつノルボルネン系モノマー単位中の極性基がアニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーで変性されてなる分枝状変性ノルボルネン系重合体(実施例3及び4)は、複屈折率が低い。それに対して、変性されていないノルボルネン系重合体(比較例1)は複屈折率が高い。
本発明の分枝状変性ノルボルネン系重合体は、低複屈折性を有しているので、光学材料として好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. ノルボルネン系重合体からなる幹ポリマー部及びその幹ポリマー部から分枝する芳香族ビニルポリマーからなる枝ポリマー部からなり、かつノルボルネン系モノマー単位中の極性基がアニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーで変性されてなる分枝状変性ノルボルネン系重合体。
  2. ノルボルネン系重合体からなる幹ポリマー部及びその幹ポリマー部から分枝する芳香族ビニルポリマーからなる枝ポリマー部からなり、幹ポリマー部のノルボルネン系重合体が水素添加物であり、枝ポリマー部の分子量分布が1〜3の範囲にある芳香族ビニルポリマーであり、かつ幹ポリマー部100重量部に対して枝ポリマー部が10〜70重量部の範囲にある分枝状変性ノルボルネン系重合体。
  3. アニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーと、それと反応可能な極性基を有するノルボルネン系モノマーとを反応させて、変性ノルボルネン系モノマーを得、該変性ノルボルネン系モノマーを重合し、必要に応じて水素添加する請求項1又は2記載の分枝状変性ノルボルネン系重合体の製造方法。
  4. アニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーと、それと反応可能な極性基を有するノルボルネン系モノマー単位を含有してなるノルボルネン系重合体又はその水素添加物とを反応させて、該極性基を変性し、必要に応じて水素添加する請求項1又は2記載の分枝状変性ノルボルネン系重合体の製造方法。
  5. 分枝状変性ノルボルネン系重合体が、開環重合体である請求項3又は4記載の分枝状変性ノルボルネン系重合体の製造方法。
  6. 請求項1又は2記載の分枝状変性ノルボルネン系重合体を含有する樹脂材料。
  7. 請求項6記載の樹脂材料を成形してなる成形体。
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