JP2002047311A - 水素化スチレン系共重合体および光学材料 - Google Patents

水素化スチレン系共重合体および光学材料

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JP2002047311A
JP2002047311A JP2000232920A JP2000232920A JP2002047311A JP 2002047311 A JP2002047311 A JP 2002047311A JP 2000232920 A JP2000232920 A JP 2000232920A JP 2000232920 A JP2000232920 A JP 2000232920A JP 2002047311 A JP2002047311 A JP 2002047311A
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copolymer
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hydrogenated
monomer
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Kiyoshige Hashizume
清成 橋爪
Shunichi Matsumura
俊一 松村
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性が高く、成形性、機械的物性にも優れ
た水素化スチレン系共重合体を提供する。 【解決手段】 スチレン系単量体由来の単位x重量%、
環状共役ジエン系単量体由来の単位y重量%、鎖状共役
ジエン系単量体由来の単位z重量%(但し、x、y、お
よびzは、60≦x≦98、1≦y≦39、1≦z≦3
9、x+y+z=100の関係を満足する。)からなる
スチレン系共重合体を、水素化触媒の存在下、水素化反
応に付し、該共重合体に含まれる芳香族環および炭素間
二重結合を水素化して得られる水素化スチレン系共重合
体およびそれから主としてなる光学材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規水素化スチレ
ン系共重合体および光学材料に関する。さらに詳しくは
耐熱性、成形性、透明性、光学等方性、寸法安定性(低
吸水性)および/または機械的物性に優れた、環状共役
ジエン系単量体由来の単位および鎖状共役ジエン系単量
体由来の単位を含む水素化スチレン系共重合体、および
そのような水素化スチレン系共重合体から主としてなる
光学材料に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスク、光学用レンズ、液晶表示基
板等の光学材料に用いられるプラスチックには透明性の
他に、光学等方性(低複屈折性)、寸法安定性、耐光
性、耐候性、熱安定性等、様々な特性が要求される。従
来、これらの透明プラスチックとしてはポリカーボネー
トあるいはポリメチルメタクリレートが用いられてき
た。しかしながらポリカーボネートに関しては芳香族環
を分子中に有しているため固有複屈折率が大きく成形物
に光学異方性が生じやすいこと、ポリメチルメタクリレ
ートは吸水率が極めて高いために、寸法安定性に乏し
く、物理的耐熱性も低いことが問題となっていた。
【0003】光ディスク基板に関しては現在ポリカーボ
ネートが専ら用いられているが、近年、光磁気記録ディ
スク(MOD)の大容量化、あるいはデジタル多様途デ
ィスク(DVD)の開発、ブルーレーザーの開発に代表
される記録密度の高密度化の進展に伴い、かかるポリカ
ーボネートの複屈折の大きさ、吸湿によるディスクの反
りの問題が懸念されるようになってきている。
【0004】かかる状況から、近年、ポリカーボネート
の代替材料として非晶性ポリオレフィン系樹脂の開発が
盛んである。これらの一例としてポリスチレンの芳香族
環を水素化し、ポリビニルシクロヘキサン構造にした水
素化ポリスチレン、およびその共重合体が提案されてい
る。例えば特公平7−114030号公報においてはビ
ニルシクロヘキサン含有率80重量%以上の水素化ポリ
スチレンからなる基板を有することを特徴とする光ディ
スクが開示されている。
【0005】この樹脂は光線透過率が高く、ポリカーボ
ネートと比較して複屈折や吸水率が非常に小さいという
特徴を有しているものの、力学的に脆いという大きな欠
点を有する。そこで、かかる樹脂の有する欠点の改善を
目指したものとして、スチレンにイソプレンやブタジエ
ンといった共役ジエンをブロック共重合させてゴム成分
を導入したスチレン−共役ジエンブロック共重合体の水
素化物を光ディスク基板をはじめとする光学用途に用い
ることが、特許2668945号公報、特許27300
53号公報等に開示されている。
【0006】このようなゴム成分の導入により力学的な
脆さはある程度改善されるものの、熱変形温度が低下す
るという大きな欠点を抱えていた。光ディスクに関して
はその生産工程並びに使用時に熱の負荷がかかることが
往々にしてある。例えば生産工程においては特にライト
ワンス型と呼ばれる記録−再生専用の光ディスク、イレ
ーザブル型と呼ばれる記録−再生−消去−再記録用の光
ディスク等では基板に金属酸化物や合金化合物等、数層
もの膜を高温、高真空下でスパッタリングする必要があ
り、耐熱性の低い樹脂では基板全体が変形する恐れがあ
る。
【0007】また、光ディスクへの記録、再生、消去、
再記録といった操作の際には高エネルギーレーザーの照
射により記録膜が200℃以上にもなり、基板も相当高
温になることが予想され、ピットあるいはランド、グル
ーブが変形する恐れがある。さらに光ディスクを車載用
途に用いる場合には100℃程度で長時間放置される場
合もあり、基板全体あるいはピット、ランド、グルーブ
が変形する恐れがある。このような熱の負荷に対して従
来の改良型水素化スチレン系共重合体は十分耐えられる
ものではなく、耐熱性の高い樹脂の開発が望まれてい
た。
【0008】ところで最近、高耐熱性樹脂として1,3
−シクロヘキサジエン等の環状共役ジエン系重合体が提
案されている。特開平7−247321号公報において
は環状共役ジエン単独重合体が、また、特開平7−24
7323号公報においては環状共役ジエンと種々のモノ
マーとの共重合体が開示されている。また、特開平7−
258362号公報、特開平8−225616号公報に
は環状共役ジエン系重合体の水素化体が開示されてい
る。また、特開平10−152512号公報、特開平1
0−152529号公報においては環状共役ジエン系重
合体を合成する際の開始剤が開示されている。
【0009】しかしながら、共重合体に関しては詳細な
記述があるのはブロック型の共重合体のみであり、ラン
ダム型、テーパー型等テーラーメイドにデザインされた
共重合体を製造することについての詳細な記述は皆無で
ある。また、これらの樹脂を光学用途に適用することを
詳細に述べた記載はない。一般に光ディスクをはじめと
する光学用途に使用される樹脂としては透明性、耐侯
性、耐光性、光学等方性(低複屈折性)、寸法安定性、
熱安定性といった樹脂本来の特性の他に、成形性、耐熱
性(熱変形温度)および機械的物性(特に靭性)のバラ
ンスも満足しなければならず、構造の高度な最適化が必
要である。従ってこれまでのところ光学用途として使用
できるものはなく、その開発が望まれていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来技術から明らかな
ように、本発明の課題は耐熱性が高く、成形性、機械的
物性にも優れた水素化スチレン系共重合体を提供するこ
とにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するにあたり、従来の水素化スチレン−鎖状共役ジ
エン共重合体に環状共役ジエン系単量体由来の単位を導
入し、さらに重合体の構造を最適化すれば、光学用途に
好適な材料を開発することができると考え、鋭意研究し
た結果、本発明を完成させるに到った。
【0012】すなわち本発明は、スチレン系単量体由来
の単位x重量%、環状共役ジエン系単量体由来の単位y
重量%、鎖状共役ジエン系単量体由来の単位z重量%
(但し、x、y、およびzは、60≦x≦98、1≦y
≦39、1≦z≦39、x+y+z=100の関係を満
足する。)からなるスチレン系共重合体を、水素化触媒
の存在下、水素化反応に付し、該共重合体に含まれる芳
香族環および炭素間二重結合を水素化して得られる水素
化スチレン系共重合体である。
【0013】また、本発明は、スチレン系単量体と環状
共役ジエン系単量体の共存下で、スチレン系共重合体の
一部を重合することを特徴とする水素化スチレン系共重
合体の製造方法である。また、本発明は、該水素化スチ
レン系共重合体から主としてなる光学材料である。ま
た、本発明は、該水素化スチレン系共重合体から主とし
てなる光ディスク基板である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。 (スチレン系共重合体)本発明におけるスチレン系単量
体はビニル誘導体の置換した芳香族炭化水素であり、具
体的にはスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルス
チレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビ
ニルナフタレン等をあげることができる。この内、入手
性、ポリマー物性の点からスチレンが好ましい。これら
は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用
いてもよい。
【0015】また、本発明における環状共役ジエン系単
量体とは共役ジエン構造を含む環状炭化水素であり、具
体的には1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロ
ヘキサジエン、1,3−シクロへプタジエン、1,3−
シクロオクタジエンおよびそれらの誘導体等を挙げるこ
とができる。この内、反応性、ポリマー物性の点から
1,3−シクロヘキサジエンが好ましい。これらは単独
で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いても
よい。
【0016】また、本発明における鎖状共役ジエン系単
量体としてはは1,3−ブタジエン、イソプレン、1,
3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジ
メチル1,3−ブタジエン等を挙げることができる。こ
れらの内、入手性、反応性の点から1,3−ブタジエン
あるいはイソプレンが特に好ましい。これらは単独で用
いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0017】本発明におけるスチレン系共重合体は、ス
チレン系単量体由来の単位x重量%、環状共役ジエン系
単量体由来の単位y重量%、鎖状共役ジエン系単量体由
来の単位z重量%(但し、x、y、およびzは、60≦
x≦98、1≦y≦39、1≦z≦39、x+y+z=
100の関係を満足する。)からなる。環状共役ジエン
系単量体由来の単位がこれより少ない場合には耐熱性を
向上させる効果が発揮されず、また、多い場合には耐熱
性が必要以上に上がり過ぎ、好ましくない。また、鎖状
共役ジエン系単量体由来の単位がこれより少ない場合に
は靭性向上効果が得られず、多い場合には靭性向上効果
は得られるものの、耐熱性が著しく低下するため好まし
くない。より好ましい範囲は、70≦x≦98、1≦y
≦29、1≦z≦29で、x+y+z=100を満足す
る場合である。
【0018】該スチレン系共重合体における単量体由来
の単位の結合構造については特に制限されないが、具体
的には例えば次のような構造単位を挙げることができ
る。(1)スチレン系単量体、環状共役ジエン系単量体
および鎖状共役ジエン系単量体由来の単位が全くランダ
ムに結合した構造単位、テーパー型に結合した構造単
位、ブロック型に結合した構造単位、(2)スチレン系
単量体および環状共役ジエン系単量体由来の単位がラン
ダムあるいはテーパー型に結合した構造単位、(3)ス
チレン系単量体および鎖状共役ジエン系単量体由来の単
位がランダムあるいはテーパー型に結合した構造単位、
(4)環状共役ジエン系単量体および鎖状共役ジエン系
単量体由来の単位がランダムあるいはテーパー型に結合
した構造単位、(5)スチレン系単量体由来の単位がブ
ロック型に結合した構造単位(6)、環状共役ジエン系
単量体由来の単位がブロック型に結合した構造単位、お
よび(7)鎖状共役ジエン系単量体由来の単位がブロッ
ク型に結合した構造単位。
【0019】これらの構造単位のうち、環状共役ジエン
系単量体由来の単位を最小限に導入して耐熱性を最大限
に向上させることができることから、スチレン系単量体
および環状共役ジエン系単量体由来の単位がランダムあ
るいはテーパー型に結合した構造単位を該共重合体が有
することが好ましい。また、鎖状共役ジエン系単量体由
来の単位を最小限に導入して靭性を最大限に向上させる
ことができることから、鎖状共役ジエン系単量体由来の
単位がブロック型に結合した構造単位を該共重合体が有
することが好ましい。これらの構造単位は共重合体一分
子中に1〜10回程度繰り返してもよい。
【0020】なお、これらランダム、テーパー、ブロッ
ク型といった構造単位を区別するには、該スチレン系共
重合体の重クロロホルム中における室温での1H−NM
Rスペクトル(270MHz)を測定し、環状共役ジエ
ン系単量体由来の単位および鎖状共役ジエン系単量体由
来の単位の炭素間二重結合部分のシグナルの形を調べる
ことにより容易に区別することができる。すなわち、ラ
ンダム型の場合には該シグナルのミクロ構造が解析でき
ない程に広幅化し,また、広幅化したシグナルの形がな
だらかな一山あるいは二山になる。テーパー型の場合に
は該シグナルのミクロ構造が解析できない程に広幅化
し,また、シグナルの低磁場側が高く高磁場側が低くな
るような形になる。ブロック型の場合にはミクロ構造が
解析できる程度に鋭いシグナルを与える。
【0021】該スチレン系共重合体の構造としては鎖状
あるいは星型分岐状構造であることが好ましい。特に星
型分岐状構造にすることにより、分子量対比で鎖状構造
よりも流動性が向上し、成形性が向上するため好まし
い。また、分子量としては使用する用途ごとに適宜適切
な値に設定することが好ましいが、GPC(ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー)法により測定したポリ
スチレン換算の値(数平均分子量)として10,000
〜1,000,000、好ましくは20,000〜80
0,000、より好ましくは30,000〜700,0
00の範囲にあることが好ましい。分子量が小さすぎる
と成形性は向上するものの、靭性、耐熱性が低下するた
め好ましくなく、分子量が大きすぎると靭性、耐熱性は
向上するものの、成形性が低下するため好ましくない。
【0022】(スチレン系共重合体の製造)該スチレン
系共重合体は、アニオン重合、ラジカル重合、カチオン
重合、配位重合等従来公知の方法によって製造すること
ができるが、中でも構造を容易に制御できるという点か
らアニオン重合の手法を用いることが好ましい。
【0023】アニオン重合の手法を用いて重合を行う際
の開始剤としては周期律表1〜2族の金属およびそれら
の有機金属化合物を挙げることができる。具体的には、
リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウ
ム、フランシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロ
ンチウム、バリウム、ラジウム、メチルリチウム、エチ
ルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピル
リチウム、n−ブチルリチウム、 iso−ブチルリチ
ウム、sec−ブチルリチウム、シクロペンタジエニル
リチウム、フェニルリチウム、シクロヘキシルリチウ
ム、メチルナトリウム、エチルナトリウム、 n−プロ
ピルナトリウム、iso−プロピルナトリウム、n−ブ
チルナトリウム、シクロペンタジエニルナトリウム、ジ
メチルマグネシウム、ビス(シクロペンタジエニル)マ
グネシウム、ジメチルカルシウム、ビス(シクロペンタ
ジエニル)カルシウム等を挙げることができる。これら
のうち、入手性、操作性の点から有機リチウム化合物が
好ましく、n−ブチルリチウム、 sec−ブチルリチ
ウムが特に好ましい。これらは単独で用いてもよいし、
2種類以上組み合わせてもよい。
【0024】アニオン重合を行うにあたり、上記の開始
剤をさらに活性化させ、反応速度の向上、分子量の増
大、アニオンの失活防止を図る目的で電子供与性化合物
を添加してもよい。電子供与性化合物とは開始剤の機能
を損なうことなく開始剤の金属に電子供与し得る化合物
であり、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子を含
む化合物である。具体的にはフラン、テトラヒドロフラ
ン、ジエチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテ
ル、メチル−t−ブチルエーテル、ジオキサン、ジオキ
ソラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン等のエー
テル類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブ
チルアミン、テトラメチルメチレンジアミン、テトラメ
チルエチレンジアミン、テトラエチルメチレンジアミ
ン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラメチル1,
3−プロパンジアミン、テトラメチルフェニレンジアミ
ン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等の三級ア
ミン、ジメチルスルフィド、チオフェン、テトラヒドロ
チオフェンなどのチオエーテル類、トリメチルホスフィ
ン、トリエチルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィ
ン、トリフェニルホスフィン、ジメチルホスフィノメタ
ン、ジメチルホスフィノエタン、ジメチルホスフィノプ
ロパン、ジフェニルホスフィノメタン、ジフェニルホス
フィノエタン、ジフェニルホスフィノプロパン等の三級
ホスフィン類を挙げることができる。これらのうち、特
に好ましいものとしてテトラヒドロフラン、ジメトキシ
エタン、テトラメチルエチレンジアミン、ジアザビシク
ロ[2,2,2]オクタンを例示することができる。こ
れらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて
もよい。
【0025】電子供与性化合物の添加量としては、開始
剤と電子供与性化合物の種類にもよるが、開始剤1mo
lに対し、0.1〜100mol、好ましくは0.2〜
50mol、より好ましくは0.3〜10molであ
る。添加量が少なすぎると活性化効果が得られず、ま
た、多すぎても活性化効果が増大するわけでもなく、電
子供与性化合物を浪費するだけなので、好ましくない。
ただし、電子供与性化合物を溶媒として用いる場合には
この限りではない。
【0026】本発明におけるスチレン系共重合体は溶液
重合あるいは塊状重合の手法を用いて合成することがで
きる。溶液重合によって合成する際の溶媒としては、重
合体を溶解し,重合時の活性末端を失活させない溶媒で
あれば特に限定されないが、好ましい例として、ブタ
ン、n−ペンタン、n−へキサン、n−ヘプタン等のC
4〜12の脂肪族炭化水素;シクロブタン、シクロペン
タン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチル
シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デ
カリン等のC4〜12の脂環族炭化水素;ベンゼン、ト
ルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ジエ
チルベンゼン、クメン、テトラリン、ナフタレン等のC
6〜12の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、メチル−t−ブチルエーテル等のC4〜
12のエーテル類を挙げることができる。本発明におい
ては重合後の共重合体に水素化反応を施すため、溶液重
合の場合には使用した溶液をそのまま、水素化反応に用
いることが好ましい。このような観点から脂肪族炭化水
素、脂環族炭化水素、エーテル類が好ましく、シクロヘ
キサン、メチルシクロヘキサン、メチル−t−ブチルエ
ーテルが特に好ましい。
【0027】重合時の反応条件については重合方法等に
よって異なるため特に限定することはできないが、通常
−20〜200℃、好ましくは0〜150℃、より好ま
しくは10℃〜100℃の範囲で行われる。また、反応
時間については通常、5分〜20時間、好ましくは10
分〜15時間、さらに好ましくは30分〜10時間であ
る。また、重合反応時には活性末端が水、酸素等に対し
て非常に敏感な場合があるため、窒素、アルゴン等の不
活性雰囲気下、試薬、溶媒、不活性ガスを十分に脱水し
た環境下で行うことが好ましい。
【0028】具体的な重合反応としては次のような方法
を挙げることができる。スチレン系単量体、環状共役ジ
エン系単量体および鎖状共役ジエン系単量体を混合し、
重合する方法。この方法により、スチレン系単量体、環
状共役ジエン系単量体および鎖状共役ジエン系単量体由
来の単位がランダム型あるいはテーパー型に結合した共
重合体を合成することができる。
【0029】スチレン系単量体および環状共役ジエン系
単量体の存在下で重合を行う工程と、鎖状共役ジエン系
単量体を重合する工程を含む方法。この方法により、ス
チレン系単量体および環状共役ジエン系単量体由来の単
位がランダム型あるいはテーパー型に結合した部分と鎖
状共役ジエン系単量体由来の単位がブロック型に結合し
た部分を含む共重合体を合成することができる。
【0030】スチレン系単量体および環状共役ジエン系
単量体の存在下で重合を行い、その際にスチレン系単量
体を途中で添加する工程を含む工程と、鎖状共役ジエン
系単量体を重合する工程を含む方法。この方法により、
スチレン系単量体および環状共役ジエン系単量体由来の
単位がランダム型に結合した部分と鎖状共役ジエン系単
量体由来の単位がブロック型に結合した部分を含む共重
合体を合成することができる。
【0031】上記の方法によって得られた共重合体にカ
ップリング剤を添加する工程を含む方法。この方法によ
り、共重合体が鎖状あるいは星型分岐状に結合した共重
合体を合成することができる。ここで用いるカップリン
グ剤としてはジメチルジクロロシラン、メチルトリクロ
ロシラン、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン等
のハロゲン化シラン類、ジメチルジメトキシシラン、メ
チルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、ビス
(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシ
リル)エタン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリ
エトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビス(トリエ
トキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)エ
タン、テトラフェノキシシラン等のアルコシキシラン、
アリロキシシラン類、α,α’−ジクロロキシレン、
α,α’−ジブロモキシレン、テトラキス(クロロメチ
ル)ベンゼン、テトラキス(ブロモロメチル)ベンゼン
等のハロゲン化物、シュウ酸ジメチル、サクシン酸ジメ
チル、グルタル酸ジメチル、フタル酸ジメチル、テレフ
タル酸ジメチル等のエステル類等を挙げることができ
る。
【0032】(水素化スチレン系共重合体)本発明にお
いては該スチレン系共重合体を、水素化触媒の存在下、
水素化反応に附し、該共重合体に含まれる芳香族環およ
び炭素間二重結合を水素化して水素化スチレン系共重合
体を得る。
【0033】本発明における水素化触媒は、該スチレン
系共重合体に含まれる芳香族環および炭素間二重結合を
水素化し得るものであれば特に限定されないが、好まし
いものとして具体的にはニッケル、パラジウム、白金、
コバルト、ルテニウム、ロジウム等の貴金属またはその
酸化物、塩、錯体等のカーボン、アルミナ、シリカ、シ
リカアルミナ、珪藻土等の多孔性担体に担持した固体触
媒を挙げることができる。これらの中でもニッケル、パ
ラジウム、白金、ルテニウムをアルミナ、シリカ、シリ
カアルミナ、珪藻土に担持したものが反応性が高く好ま
しく用いられる。かかる水素化触媒は、その触媒活性に
もよるが、該共重合体に対して0.5〜40重量%の範
囲で使用することが好ましい。
【0034】水素化反応は、通常、溶媒の存在下で行わ
れる。水素化反応は重合反応後の重合体を一旦単離して
から行ってもよいが、溶液重合の手法を用いて重合を行
った場合には重合溶液をそのまま用いて、あるいはさら
に必要な溶媒を加えて行うことが可能であり、経済的な
面からも好ましい。かかる溶媒は、水素化触媒能、分子
鎖切断等の副反応の有無、水素化反応前後の重合体の溶
解度等を勘案して選択することが好ましいが、具体的に
はブタン、n−ペンタン、n−へキサン、n−ヘプタン
等のC4〜12の脂肪族炭化水素;シクロブタン、シク
ロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、
メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタ
ン、デカリン等のC4〜12の脂環族炭化水素;ジエチ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、メチル−t−ブチル
エーテル等のC4〜12のエーテル類を挙げることがで
きる。これらのうち、触媒の種類に依存するものの、シ
クロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチル−t−ブ
チルエーテルが特に好ましい。その他、反応の活性を高
める、あるいは水素化分解による分子鎖の切断による分
子量低下を抑制する目的でエステル類、アルコール類な
どの極性溶媒を、重合体の溶解度を妨げない範囲内で上
記溶媒に加えてもよい。
【0035】本発明では、上記の溶媒系で、スチレン系
共重合体の濃度が3〜50重量%の範囲で水素化反応を
行うことが好ましい。該共重合体の濃度が3重量%未満
では生産性、経済性の面から好ましくなく、50重量%
を超えると溶液粘度が上がりすぎて取り扱い面、また反
応性の面からも好ましくない。
【0036】水素化反応条件は、用いる触媒にもよる
が、通常水素圧3〜25MPa、反応温度70〜250
℃の範囲内で行われる。反応温度が低すぎると反応が進
行しにくく、反応温度が高すぎると水素化分解による分
子量低下が起こりやすくなり、好ましくない。分子鎖の
切断による分子量低下を防ぎ、かつ円滑に反応を進行さ
せるためには用いる触媒の種類、濃度、共重合体の溶液
濃度、分子量等により、適宜決定される適切な温度、水
素圧により水素化反応を行うことが好ましい。
【0037】かくして得られる水素化スチレン系共重合
体の水素化の程度を水素化率=[1−{(水素化後の共
重合体1モルあたりに含まれる芳香族環のモル数)/
(水素化前の共重合体1モルあたりに含まれる芳香族環
のモル数)}]x100(%)(1H−NMRスペクト
ルを用いて算出)という指標を用いて表すとすると、本
発明に用いられる水素化スチレン系共重合体の水素化率
は90〜100%、好ましくは95〜100%、より好
ましくは98〜100%であることが好ましい。水素化
率が低すぎると共重合体の透明性,物理的耐熱性が低下
するため好ましくない。なお、環状共役ジエン系単量体
および鎖状共役ジエン系単量体由来の単位に含まれる炭
素間二重結合の水素化は芳香族環の水素化よりもはるか
に起こり易いため,該水素化率が90%以上の場合は環
状共役ジエンおよび鎖状系単量体由来の単位に含まれる
炭素間二重結合は実質的に完全に水素化されている。
【0038】水素化反応終了後は、遠心分離、ろ過等の
公知の後処理方法により触媒の除去を行うことができ
る。光学材料用途に用いる本発明では、樹脂内の例えば
Ni,Al,Siなどの残留触媒金属成分ができる限り
少なくする必要があり、かかる残留金属触媒量が10p
pm以下が好ましく、より好ましくは1ppm以下、さ
らに好ましくは500ppb以下である。特に、本発明
では、残留金属触媒のなかでも、遷移金属含有量を10
ppm以下、より好ましくは5ppm以下である水素化
スチレン系共重合体とすることが好ましい。水素化触媒
を除去した重合体溶液から、溶媒の蒸発留去、ストリッ
ピング、あるいは再沈殿等の方法により目的の水素化ス
チレン系共重合体を得ることができる。
【0039】本発明において得られる水素化スチレン系
共重合体は目的に応じて分子量の異なる該共重合体のブ
レンド、他の重合体との組成物として用いてもよい。他
の重合体としては、例えば特開昭63−4391号公報
に記載の水素化されたスチレン系重合体、特開平10−
116442号公報に記載の水素化されたスチレン系炭
化水素−共役ジエン系炭化水素共重合体、特開平7−2
58362号公報に記載の水素化された環状共役ジエン
系重合体、特開平8−225616号公報に記載の水素
化された環状共役ジエン系共重合体等を挙げることがで
きる。
【0040】本発明の水素化スチレン系共重合体には、
溶融成形時の熱化学安定性を向上させるため、あるいは
自動酸化を防止するために、イルガノックス1010、
1076(チバガイギー社製)等のヒンダードフェノー
ル系安定化剤、イルガフォス168(チバガイギー社
製)等のホスフィン系安定化剤、あるいはスミライザー
GMやスミライザーGS(住友化学製)等の付加型安定
剤を加えることが好ましい。また、必要に応じて長鎖脂
肪族アルコール、長鎖脂肪族エステル等の離型剤、その
他滑剤、可塑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等の添加剤
を添加することができる。
【0041】本発明の光学材料は、射出成形、射出圧縮
成形、押し出し成形、溶液流延法等の公知の方法により
成形することができる。特に射出成形、射出圧縮成形法
による光ディスク基板あるいは光学用レンズの製造に好
適に用いることができる。かかる光ディスクの成形で
は、樹脂温度250〜380℃、好ましくは270〜3
50℃、さらに好ましくは280〜340℃の範囲が用
いられ、金型温度は40〜140℃、好ましくは60〜
130℃、さらに好ましくは70〜120℃の範囲が用
いられる。
【0042】以上説明した本発明には、以下の態様が含
まれる。 1. スチレン系単量体由来の単位x重量%、環状共役
ジエン系単量体由来の単位y重量%、鎖状共役ジエン系
単量体由来の単位z重量%(但し、x、y、およびz
は、60≦x≦98、1≦y≦39、1≦z≦39、x
+y+z=100の関係を満足する。)からなるスチレ
ン系共重合体を、水素化触媒の存在下、水素化反応に付
し、該共重合体に含まれる芳香族環および炭素間二重結
合を水素化して得られる水素化スチレン系共重合体。 2. x、y、およびzが、70≦x≦98、1≦y≦
29、1≦z≦29、x+y+z=100の関係を満足
する1に記載の水素化スチレン系共重合体。 3. スチレン系単量体由来の単位と環状共役ジエン系
単量体由来の単位とが、テーパー型構造あるいはランダ
ム型構造を形成している部分を含む1または2に記載の
水素化スチレン系共重合体。
【0043】4. 鎖状共役ジエン系単量体由来の単位
が、ブロック型構造を形成している1〜3のいずれか1
項に記載の水素化スチレン系共重合体。 5. 該水素化スチレン系共重合体が、鎖状構造である
1〜4のいずれか1項に記載の水素化スチレン系共重合
体。 6. 該水素化スチレン系共重合体が、星型分岐状構造
である1〜4のいずれか1項に記載の水素化スチレン系
共重合体。 7. 該水素化スチレン系共重合体が遷移金属を含有
し、その含有量が10ppm以下である1〜6のいずれ
か1項に記載の水素化スチレン系共重合体。 8. スチレン系単量体と環状共役ジエン系単量体の共
存下で、スチレン系共重合体の一部を重合することを特
徴とする3に記載の水素化スチレン系共重合体の製造方
法。
【0044】9. スチレン系単量体と環状共役ジエン
系単量体の共存下でスチレン系共重合体の一部を重合す
る際に、スチレン系単量体を途中で添加する工程を含む
ことを特徴とする8に記載の水素化スチレン系共重合体
の製造方法。 10. 1〜7のいずれか1項に記載の水素化スチレン
系共重合体から主としてなる光学材料。 11. 1〜7のいずれか1項に記載の水素化スチレン
系共重合体から主としてなる光ディスク基板。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、環状共役ジエン系単量
体単位および鎖状共役ジエン系単量体由来の単位を含む
スチレン系共重合体を水素化して得られる水素化スチレ
ン系共重合体および光学材料が提供される。この水素化
共重合体は、例えば透明性など従来の樹脂本来の特性の
他に、物理的耐熱性に優れ、機械特性、成形性にも優れ
るため、光ディスク基板をはじめとする光学材料として
好適に用いることができる。
【0046】
【実施例】以下に実施例により本発明を詳述する。但
し、本発明はこれら実施例に何ら制限されるものではな
い。 (試薬、溶媒)スチレン、1,3−シクロヘキサジエ
ン、イソプレンは水素化カルシウムから蒸留精製し、さ
らに4Aモレキュラーシーブを添加して十分乾燥したも
のを用いた。シクロヘキサン、メチル−t−ブチルエー
テルは脱水グレードのものを購入し、さらに4Aモレキ
ュラーシーブを添加して十分乾燥したものを用いた。
【0047】ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン
(DABCO)はシクロヘキサンに溶解し4Aモレキュ
ラーシーブを添加して十分乾燥したものを用いた。n−
ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムは市販品であ
るシクロヘキサン溶液をそのまま用いた。ニッケル/シ
リカアルミナ(ニッケル担持率65%)はAldric
hより購入し,そのまま用いた。
【0048】(物性測定) 数平均分子量:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー(昭和電工(株)製GPC、Syodex Syst
em−11)により、テトラヒドロフランを溶媒に用い
て測定し,ポリスチレン換算の分子量を求めた。
【0049】水素化率:JEOL JNR−EX270
型核磁気共鳴吸収装置を用い,1H−NMR測定により
水素化率=[1−{(水素化後の共重合体1モルに含ま
れる芳香族環のモル数)/(水素化前の共重合体1モル
に含まれる芳香族環のモル数)}]x100(%)を定
量した。
【0050】樹脂中の残存金属量:ICP発光分析法に
より定量した。 アイゾット衝撃強度:(株)上島製作所製UF IMP
ACT TESTERを使用して、JIS7110に従
い、成形サンプルをノッチなしで衝撃試験を行い測定し
た。 ガラス転移温度(Tg):TA Instrument
s社製2920型DSCを使用し,20℃/分で測定し
た。 熱変形温度:JIS7206に従い測定した。
【0051】[実施例1]十分に乾燥し、窒素置換した
ステンレス製オートクレーブにスチレン406g、1,
3−シクロヘキサジエン51g、シクロヘキサン200
0g、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DAB
CO)680mgを仕込んだ。溶液を40℃まで加熱し
た後、1.6Mn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液3.
8mLを加え、2時間反応させた。次いでイソプレン2
4gをシクロヘキサン溶液として加え,さらに2時間反
応させた。反応終了後,イソプロパノール0.4gを加
え,スチレン−シクロヘキサジエン−イソプレン共重合
体を得た。GPCから求めた数平均分子量は110,0
00だった。1H−NMRから求めたスチレン/シクロ
ヘキサジエン/イソプレンの重量比は86/10/4だ
った。また、1H−NMRスペクトルの形からスチレン
とシクロヘキサジエンの結合はテーパー型、イソプレン
の結合はブロック型であることが判った。
【0052】この溶液にシクロヘキサン1300g、メ
チル−t−ブチルエーテル700gニッケル/シリカア
ルミナ80gを加え、水素圧10MPa、温度180℃
で10時間水素化反応を行った。溶液をオートクレーブ
より取り出し,孔径0.1μmのメンブレンフィルター
を用いて加圧ろ過を行ったところ無色透明な溶液が得ら
れた。この溶液に安定剤としてスミライザーGSを重合
体に対して0.3重量%加えてから減圧濃縮、フラッシ
ングを行い溶媒を留去して、塊状の無色透明な水素化ス
チレン−シクロヘキサジエン−イソプレン共重合体を得
た。1H−NMRから求めた水素化率は99.8%だっ
た。また、ICP発光分光分析により樹脂中の残留触媒
金属量はNiが0.7ppm、Alが0.5ppm、S
iが0.3ppmといずれも1ppm以下だった。ま
た、DSCにより測定したガラス転移温度は148℃で
あり、成形物の熱変形温度は114℃だった。また、ア
イゾット衝撃試験により耐衝撃性を測定したところ、
5.8kgf・cm/cm2だった。
【0053】[実施例2]スチレンを390g、シクロ
ヘキサジエンを78gにした以外は実施例1と同様の操
作を行い、スチレン−シクロヘキサジエン−イソプレン
共重合体を得た。GPCから求めた数平均分子量は12
0,000だった。1H−NMRから求めたスチレン/
シクロヘキサジエン/イソプレンの重量比は79/16
/5だった。また、1H−NMRスペクトルの形からス
チレンとシクロヘキサジエンの結合はテーパー型、イソ
プレンの結合はブロック型であることが判った。かかる
ポリマーを実施例1と同様の操作により水素化反応、溶
媒留去に附し、無色透明な水素化スチレン−シクロヘキ
サジエン−イソプレン共重合体を得た。1H−NMRか
ら求めた水素化率は99.7%だった。また、DSCに
より測定したガラス転移温度は153℃であり、成形物
の熱変形温度は116℃だった。
【0054】[実施例3]十分に乾燥し、窒素置換した
容量10Lのステンレス製オートクレーブにスチレン2
00g、1,3−シクロヘキサジエン25g、シクロヘ
キサン1500g、ジアザビシクロ[2,2,2]オク
タン(DABCO)680mgを仕込んだ。溶液を40
℃まで加熱した後、1.6Mn−ブチルリチウム−ヘキ
サン溶液3.8mLを加え、2時間反応させた。次いで
イソプレン24gをシクロヘキサン溶液として加え,さ
らに2時間反応させた。さらに続いて、スチレン200
g、1,3−シクロヘキサジエン25g、シクロヘキサ
ン500gを加え、2時間反応させた。反応終了後,イ
ソプロパノール0.4gを加え,スチレン−シクロヘキ
サジエン−イソプレン共重合体を得た。GPCから求め
た数平均分子量は110,000だった。1H−NMR
から求めたスチレン/シクロヘキサジエン/イソプレン
の重量比は85/10/5だった。また、1H−NMR
スペクトルの形からスチレンとシクロヘキサジエンの結
合はテーパー型、イソプレンの結合はブロック型である
ことが判り、全体の構造としてはスチレンとシクロヘキ
サジエンのテーパー部−イソプレンのブロック部−スチ
レンとシクロヘキサジエンのテーパー部からなる共重合
体であることが判った。
【0055】この溶液にシクロヘキサン1300g、メ
チル−t−ブチルエーテル700gニッケル/シリカア
ルミナ80gを加え、水素圧10MPa、温度180℃
で10時間水素化反応を行った。溶液をオートクレーブ
より取り出し,孔径0.1μmのメンブレンフィルター
を用いて加圧ろ過を行ったところ無色透明な溶液が得ら
れた。この溶液に安定剤としてスミライザーGSを重合
体に対して0.3重量%加えてから減圧濃縮、フラッシ
ングを行い溶媒を留去して、塊状の無色透明な水素化ス
チレン−シクロヘキサジエン−イソプレン共重合体を得
た。1H−NMRから求めた水素化率は99.9%だっ
た。また、DSCにより測定したガラス転移温度は15
2℃であり、成形物の熱変形温度は116℃だった。
【0056】[実施例4]十分に乾燥し、窒素置換した
ステンレス製オートクレーブにスチレン50g、1,3
−シクロヘキサジエン25g、シクロヘキサン1500
g、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABC
O)680mgを仕込んだ。溶液を40℃まで加熱した
後、1.6Mn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液3.8
mLを加え、反応を開始した。開始後30分後毎にスチ
レン50gを添加することを3回繰り返し,2時間反応
させた。次いでイソプレン24gをシクロヘキサン溶液
として加え,さらに2時間反応させた。さらに続いて、
スチレン50g、1,3−シクロヘキサジエン25gを
加え、その後、30分毎にスチレン50gを添加するこ
とを3回繰り返し,2時間反応させた。反応終了後,イ
ソプロパノール0.4gを加え,スチレン−シクロヘキ
サジエン−イソプレン共重合体を得た。GPCから求め
た数平均分子量は140,000だった。1H−NMR
から求めたスチレン/シクロヘキサジエン/イソプレン
の重量比は85/10/5だった。また、1H−NMR
スペクトルの形からスチレンとシクロヘキサジエンの結
合はランダム型、イソプレンの結合はブロック型である
ことが判り、全体の構造としてはスチレンとシクロヘキ
サジエンのランダム部−イソプレンのブロック部−スチ
レンとシクロヘキサジエンのランダム部からなる共重合
体であることが判った。
【0057】この溶液にシクロヘキサン1300g、メ
チル−t−ブチルエーテル700gニッケル/シリカア
ルミナ80gを加え、水素圧10MPa、温度180℃
で10時間水素化反応を行った。溶液をオートクレーブ
より取り出し,孔径0.1μmのメンブレンフィルター
を用いて加圧ろ過を行ったところ無色透明な溶液が得ら
れた。この溶液に安定剤としてスミライザーGSを重合
体に対して0.3重量%加えてから減圧濃縮、フラッシ
ングを行い溶媒を留去して、塊状の無色透明な水素化ス
チレン−シクロヘキサジエン−イソプレン共重合体を得
た。1H−NMRから求めた水素化率は99.9%だっ
た。また、DSCにより測定したガラス転移温度は15
2℃であり、成形物の熱変形温度は117℃だった。
【0058】[実施例5]十分に乾燥し、窒素置換した
ステンレス製オートクレーブにスチレン400g、1,
3−シクロヘキサジエン50g、シクロヘキサン200
0g、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DAB
CO)680mgを仕込んだ。溶液を40℃まで加熱し
た後、1.6Mn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液5.
6mLを加え、2時間反応させた。次いでイソプレン2
5gをシクロヘキサン溶液として加え,2時間反応させ
た。さらに続いてテトラメトキシシラン0.30gをシ
クロヘキサン溶液として加え,2時間反応させた。反応
終了後,イソプロパノール0.5gを加え,星型分岐状
スチレン−シクロヘキサジエン−イソプレン共重合体を
得た。GPCから求めた分岐の割合は1本鎖:2本鎖:
3本鎖:4本鎖=22:11:56:11であり、数平
均分子量は150,000だった。1H−NMRから求
めたスチレン/シクロヘキサジエン/イソプレンの重量
比は85/10/5だった。また、1H−NMRスペク
トルの形からスチレンとシクロヘキサジエンの結合はテ
ーパー型、イソプレンの結合はブロック型であることが
判った。
【0059】この溶液にシクロヘキサン1300g、メ
チル−t−ブチルエーテル700gニッケル/シリカア
ルミナ80gを加え、水素圧10MPa、温度180℃
で10時間水素化反応を行った。溶液をオートクレーブ
より取り出し,孔径0.1μmのメンブレンフィルター
を用いて加圧ろ過を行ったところ無色透明な溶液が得ら
れた。この溶液に安定剤としてスミライザーGSを重合
体に対して0.3重量%加えてから減圧濃縮、フラッシ
ングを行い溶媒を留去して、塊状の無色透明な水素化ス
チレン−シクロヘキサジエン−イソプレン共重合体を得
た。1H−NMRから求めた水素化率は99.8%だっ
た。また、DSCにより測定したガラス転移温度は14
7℃であり、成形物の熱変形温度は115℃だった。
【0060】[比較例1]十分に乾燥し、窒素置換した
ステンレス製オートクレーブにスチレン290g、シク
ロヘキサン2500gを仕込んだ。溶液を40℃まで加
熱した後、1.0Msec−ブチルリチウム−ヘキサン
溶液4.6mLを加え、2時間反応させた。次いでイソ
プレン30gをシクロヘキサン溶液として加え,さらに
2時間反応させた。さらに続いて、スチレン270g、
シクロヘキサン1000gを加え、2時間反応させた。
反応終了後,イソプロパノール0.4gを加え,スチレ
ン−シクロヘキサジエン−イソプレン共重合体を得た。
GPCから求めた数平均分子量は130,000だっ
た。1H−NMRから求めたスチレン/イソプレンの重
量比は95/5だった。また、1H−NMRスペクトル
の形から全体の構造としてはスチレン−イソプレン−ス
チレントリブロック共重合体であることが判った。
【0061】この溶液にシクロヘキサン1300g、メ
チル−t−ブチルエーテル700gニッケル/シリカア
ルミナ80gを加え、水素圧10MPa、温度180℃
で10時間水素化反応を行った。溶液をオートクレーブ
より取り出し,孔径0.1μmのメンブレンフィルター
を用いて加圧ろ過を行ったところ無色透明な溶液が得ら
れた。この溶液に安定剤としてスミライザーGSを重合
体に対して0.3重量%加えてから減圧濃縮、フラッシ
ングを行い溶媒を留去して、塊状の無色透明な水素化ス
チレン−イソプレン共重合体を得た。1H−NMRから
求めた水素化率は100%だった。また、DSCにより
測定したガラス転移温度は145℃であり、成形物の熱
変形温度は110℃だった。
【0062】[比較例2]窒素置換したステンレス製オ
ートクレーブに数平均分子量17000のポリスチレン
500g、シクロヘキサン3300g、メチル−t−ブ
チルエーテル700g、ニッケル/シリカアルミナ80
gを加え、水素圧10MPa、温度180℃で10時間
水素化反応を行った。溶液をオートクレーブより取り出
し,孔径0.1μmのメンブレンフィルターを用いて加
圧ろ過を行ったところ無色透明な溶液が得られた。この
溶液に安定剤としてスミライザーGSを重合体に対して
0.3重量%加えてから減圧濃縮、フラッシングを行い
溶媒を留去して、塊状の無色透明な水素化スチレン重合
体を得た。1H−NMRから求めた水素化率は99.9
%だった。また、DSCにより測定したガラス転移温度
は151℃であり、成形物の熱変形温度は119℃だっ
た。また、アイゾット衝撃試験により耐衝撃性を測定し
たところ、4.8kgf・cm/cm2と低く,成形直
後に成形片が割れてしまうこともあった。
【0063】[実施例6]実施例4と同様の方法により
得られた共重合体をシリンダー温度320℃で厚さ0.
6mmのディスクに成形した。このディスクを100℃
で8時間加熱し,ディスクのグルーブ深さを測定したと
ころ、加熱前のグルーブ深さの99%であり、ほぼ深さ
が保持されていることがわかった。
【0064】[比較例3]比較例1と同様の方法により
得られた共重合体をシリンダー温度320℃で厚さ0.
6mmのディスクに成形した。このディスクを100℃
で8時間加熱し,ディスクのグルーブ深さを測定したと
ころ、加熱前のグルーブ深さの86%だった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 236/04 C08F 236/04 297/02 297/02 C08J 5/00 CER C08J 5/00 CER G11B 7/24 526 G11B 7/24 526N // C08L 53:00 C08L 53:00 Fターム(参考) 4F071 AA12X AA22X AA75 AA76 AA78 AA81 AF23 AF45 AH19 BB03 BB05 BB06 BC03 4J011 AA05 AA07 BA03 BA04 BA05 BB01 BB11 DA02 DA04 FA07 FB05 FB10 HA03 HA04 HB02 HB06 HB22 4J026 HA05 HA06 HA14 HA15 HA16 HA20 HA26 HA32 HA35 HA38 HA39 HA49 HB14 HB15 HB16 HB26 HB38 HB39 HB43 HB45 HB48 HE01 HE02 HE05 4J100 AB00P AB02P AB03P AB04P AR11Q AR16Q AR18Q AS01R AS02R AS03R CA05 CA25 CA31 DA01 FA03 FA18 FA19 HA03 HB02 HB16 HB17 HB36 HC04 HC33 HC78 HD08 HD22 HE14 HE41 HG02 JA33 JA36 5D029 KA13

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系単量体由来の単位x重量%、
    環状共役ジエン系単量体由来の単位y重量%、鎖状共役
    ジエン系単量体由来の単位z重量%(但し、x、y、お
    よびzは、60≦x≦98、1≦y≦39、1≦z≦3
    9、x+y+z=100の関係を満足する。)からなる
    スチレン系共重合体を、水素化触媒の存在下、水素化反
    応に付し、該共重合体に含まれる芳香族環および炭素間
    二重結合を水素化して得られる水素化スチレン系共重合
    体。
  2. 【請求項2】 x、y、およびzが、70≦x≦98、
    1≦y≦29、1≦z≦29、x+y+z=100の関
    係を満足する請求項1に記載の水素化スチレン系共重合
    体。
  3. 【請求項3】 スチレン系単量体由来の単位と環状共役
    ジエン系単量体由来の単位とが、テーパー型構造あるい
    はランダム型構造を形成している部分を含む請求項1ま
    たは2に記載の水素化スチレン系共重合体。
  4. 【請求項4】 鎖状共役ジエン系単量体由来の単位が、
    ブロック型構造を形成している請求項1〜3のいずれか
    1項に記載の水素化スチレン系共重合体。
  5. 【請求項5】 該水素化スチレン系共重合体が、鎖状構
    造である請求項1〜4のいずれか1項に記載の水素化ス
    チレン系共重合体。
  6. 【請求項6】 該水素化スチレン系共重合体が、星型分
    岐状構造である請求項1〜4のいずれか1項に記載の水
    素化スチレン系共重合体。
  7. 【請求項7】 該水素化スチレン系共重合体が遷移金属
    を含有し、その含有量が10ppm以下である請求項1
    〜6のいずれか1項に記載の水素化スチレン系共重合
    体。
  8. 【請求項8】 スチレン系単量体と環状共役ジエン系単
    量体の共存下で、スチレン系共重合体の一部を重合する
    ことを特徴とする請求項3に記載の水素化スチレン系共
    重合体の製造方法。
  9. 【請求項9】 スチレン系単量体と環状共役ジエン系単
    量体の共存下でスチレン系共重合体の一部を重合する際
    に、スチレン系単量体を途中で添加する工程を含むこと
    を特徴とする請求項8に記載の水素化スチレン系共重合
    体の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の
    水素化スチレン系共重合体から主としてなる光学材料。
  11. 【請求項11】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の
    水素化スチレン系共重合体から主としてなる光ディスク
    基板。
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