JP2002308927A - 水素化スチレン−共役ジエン共重合体および光学材料 - Google Patents

水素化スチレン−共役ジエン共重合体および光学材料

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JP2002308927A
JP2002308927A JP2001112472A JP2001112472A JP2002308927A JP 2002308927 A JP2002308927 A JP 2002308927A JP 2001112472 A JP2001112472 A JP 2001112472A JP 2001112472 A JP2001112472 A JP 2001112472A JP 2002308927 A JP2002308927 A JP 2002308927A
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styrene
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hydrogenated styrene
copolymer
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Kiyoshige Hashizume
清成 橋爪
Nobuaki Kido
伸明 城戸
Shunichi Matsumura
俊一 松村
Hiroo Matsuda
裕生 松田
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、透明性などに優れた水素化スチレン
−共役ジエン共重合体などを提供する。 【解決手段】 スチレン重合体ブロックおよび共役ジエ
ン重合体ブロックからなるスチレン−共役ジエン共重合
体を水素化することによって得られる (ア)水素化率が90%以上100%以下であり、
(イ)水素化スチレン由来の単位/水素化共役ジエン由
来の単位の重量比が75/25〜97/3であり、
(ウ)GPC法で求めた数平均分子量(Mn)が30,
000g/mol以上200,000g/mol以下で
あり、かつ(エ)水素化共役ジエン重合体ブロックが水
素化スチレン由来の単位を含有し、該ブロックにおける
水素化スチレン由来の単位に隣接した水素化共役ジエン
由来の単位の割合が3重量%以上30重量%以下である
水素化スチレン−共役ジエン共重合体、その製法、その
組成物など。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素化スチレン−
共役ジエン共重合体および光学材料に関する。さらに詳
しくは耐熱性、成形性、透明性、光学等方性、寸法安定
性(低吸水性)および/または機械的物性に優れた、水
素化スチレン−共役ジエン共重合体、およびそのような
重合体から主としてなる光学材料に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスク、光学用レンズ、液晶表示基
板等の光学材料に用いられるプラスチックには透明性の
他に、光学等方性(低複屈折性)、寸法安定性、耐光
性、耐候性、熱安定性等、様々な特性が要求される。従
来、これらの透明プラスチックとしてはポリカーボネー
トあるいはポリメチルメタクリレートが用いられてき
た。しかしながらポリカーボネートに関しては芳香族環
を分子中に有しているため固有複屈折率が大きく成形物
に光学異方性が生じやすいこと、ポリメチルメタクリレ
ートは吸水率が極めて高いために、寸法安定性に乏し
く、物理的耐熱性も低いことが問題となっていた。
【0003】光ディスク基板に関しては現在ポリカーボ
ネートが専ら用いられているが、近年、光磁気記録ディ
スク(MOD)の大容量化、あるいはデジタル多用途デ
ィスク(DVD)の開発、ブルーレーザーの開発に代表
される記録密度の高密度化の進展に伴い、ポリカーボネ
ートの複屈折の大きさ、吸湿によるディスクの反りの問
題が懸念されるようになってきている。
【0004】かかる状況から、近年、ポリカーボネート
の代替材料として非晶性ポリオレフィン系樹脂の開発が
盛んである。これらの一例としてポリスチレンの芳香族
環を水素化し、ポリビニルシクロヘキサン構造にした水
素化ポリスチレン、およびその共重合体が提案されてい
る。例えば特公平7−114030号公報においてはビ
ニルシクロヘキサン含有率80重量%以上の水素化ポリ
スチレンからなる基板を有することを特徴とする光ディ
スクが開示されている。
【0005】この樹脂は光線透過率が高く、ポリカーボ
ネートと比較して複屈折や吸水率が非常に小さいという
特徴を有しているものの、力学的に脆いという欠点を有
する。そこで、かかる樹脂の有する欠点の改善を目指し
たものとして、スチレンにイソプレンやブタジエンとい
った共役ジエンをブロック共重合させてゴム成分を導入
したスチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素化物
を光ディスク基板をはじめとする光学用途に用いること
が、特許2668945号公報(特開平1-31801
5号公報)、特許2730053号公報(特開平1−2
94721号公報)等に開示されている。このようなゴ
ム成分の導入により、力学的な脆さは改善される。
【0006】一方でゴム成分のブロック共重合により樹
脂が相分離構造になり、ヘーズ等の光学特性が水素化ポ
リスチレン単独のものに比べて劣っていたり、相分離に
より流動性が悪化するという問題点が新たに発生してい
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来技術から明らかな
ように、本発明の課題は透明性や流動性に優れ、靭性、
耐熱性等にも優れた水素化スチレン−共役ジエン共重合
体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するにあたり、水素化スチレン−共役ジエン共重合
体におけるスチレンと共役ジエンの結合様式に着目し
た。一般に共重合体の結合様式としては、2種類の単量
体がランダムに結合したランダム型共重合体、単量体の
結合比に傾斜のあるテーパー型共重合体、夫々の単量体
の重合体が結合したブロック型共重合体が知られてい
る。しかしながら、従来の水素化スチレン−共役ジエン
共重合体として詳細な記載があるのは、水素化スチレン
−共役ジエンブロック共重合体であり、他の2種類、す
なわちランダム型共重合体、テーパー型共重合体に関す
る記載はほとんどなかった。これは、ランダム型共重合
体や、テーパー型共重合体であると光学特性では良好な
ものが得られやすいものの、光学用途、特に光ディスク
等に使用するには実用に耐えないほど熱変形温度が著し
く低下するためであると思われる。
【0009】他方、ブロック型共重合体では、熱変形温
度の低下は少ないものの、共重合体を構成する2つのブ
ロックが互いに相分離するために、光の散乱を生じた
り、構造粘性を生じるために、流動性が低下するという
問題があった。本発明者らは、上記の従来技術に鑑み鋭
意研究した結果、ガラス転移温度が低い側の重合体ブロ
ックに他方の単量体成分をある特定量共重合させると、
熱変形温度が従来のブロック型共重合体と変わらず、ま
た、透明性や流動性にも優れた共重合体が得られること
を見出した。さらに、かかる水素化共重合体は透明性が
高いために光ディスク基板をはじめとする光学材料とし
て好適に使用できることを見出し、本発明を完成させる
に到った。
【0010】すなわち本発明は、スチレン重合体ブロッ
クおよび共役ジエン重合体ブロックからなるスチレン−
共役ジエン共重合体を水素化することによって得られる
水素化スチレン−共役ジエン共重合体であって(ア)水
素化率が90%以上100%以下であり、(イ)水素化
スチレン由来の単位/水素化共役ジエン由来の単位の重
量比が75/25〜97/3であり、(ウ)ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)法で求めた数
平均分子量(Mn)が30,000g/mol以上20
0,000g/mol以下であり、かつ(エ)水素化共
役ジエン重合体ブロックが水素化スチレン由来の単位を
含有し、該ブロックにおける水素化スチレン由来の単位
に隣接した水素化共役ジエン由来の単位の割合が3重量
%以上30重量%以下であることを特徴とする水素化ス
チレン−共役ジエン共重合体である。
【0011】また、本発明には前記発明に加えて 1.水素化共役ジエン重合体ブロックにおける水素化ス
チレン由来の単位の含有率が3重量%以上30重量%以
下である前記発明記載の水素化スチレン−共役ジエン共
重合体。 2.水素化共役ジエン重合体ブロックの分子量が3,0
00g/mol以上20,000g/mol以下である
前記発明または上記1記載の水素化スチレン−共役ジエ
ン共重合体。 3.水素化スチレン重合体ブロックにおける、水素化共
役ジエン由来の単位の含有率が、3重量%未満である前
記発明または上記1〜2いずれか一項記載の水素化スチ
レン−共役ジエン共重合体。 4.共役ジエンがイソプレンである前記発明または上記
1〜3いずれか一項記載の水素化スチレン−共役ジエン
共重合体。 5.該水素化共重合体の構造が、(水素化スチレン重合
体ブロック)−(水素化共役ジエン重合体ブロック)−
(水素化スチレン重合体ブロック)の直鎖構造である前
記発明または上記1〜4いずれか一項記載の水素化スチ
レン−共役ジエン共重合体。
【0012】6.スチレンを重合し、スチレン重合体ブ
ロックを製造する工程(I)、スチレンおよび共役ジエ
ンを重合し、共役ジエン重合体ブロックを製造する工程
(II)、および工程(I)、(II)によって製造さ
れたスチレン−共役ジエン共重合体を水素化反応に附
し、水素化スチレン−共役ジエン共重合体を製造する工
程(III)からなる前記発明または上記1〜5いずれ
か一項記載の水素化スチレン−共役ジエン共重合体の製
造方法。 7.前記発明または上記1〜5いずれか一項記載の水素
化スチレン−共役ジエン共重合体を1重量%以上99重
量%以下含むことを特徴とする水素化スチレン−共役ジ
エン共重合体組成物。 8.該組成物中にさらに水素化スチレン重合体を含む上
記7記載の水素化スチレン−共役ジエン共重合体組成
物。 9.前記発明または上記1〜5いずれか一項記載の水素
化スチレン−共役ジエン共重合体または上記7または8
記載の水素化スチレン−共役ジエン共重合体組成物から
主としてなる成形材料。 10.上記9記載の成形材料からなる光学材料。 11.上記9記載の成形材料からなる光ディスク基板が
含まれる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。 (スチレン−共役ジエン共重合体)本発明におけるスチ
レン−共役ジエン共重合体はスチレン重合体ブロックお
よび共役ジエン重合体ブロックからなる。共役ジエンと
しては1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘ
キサジエン、1,3−シクロへプタジエン、1,3−シ
クロオクタジエンおよびそれらの誘導体等の環状共役ジ
エン、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペン
タジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル
1,3−ブタジエン等の鎖状共役ジエン等を挙げること
ができる。これらのうち、反応性が高く、また入手しや
すいという点からブタジエン、イソプレンが好ましく、
イソプレンがさらに好ましい。これらは単独であるいは
2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0014】また、スチレン、共役ジエン以外の成分と
して、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−
メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレ
ン、α−メチル−ビニルナフタレン等のスチレン系単量
体が共重合体全体の5重量%以下程度の範囲で導入され
ていてもよい。これらは単独で用いてもよいし、2種類
以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】本発明におけるスチレン−共役ジエン共重
合体のスチレン由来の単位/共役ジエン由来の単位の重
量比としては、70/30〜97/3であることが好ま
しい。この範囲の共重合体を水素化することにより、水
素化共重合体における水素化スチレン由来の単位/水素
化共役ジエン由来の単位の重量比を75/25〜97/
3にすることができる。ここで言うスチレン由来の単
位、共役ジエン由来の単位とは、スチレン−共役ジエン
共重合体を構成するスチレン、共役ジエン単量体由来の
単位のことであり、その重量比は該共重合体の核磁気共
鳴スペクトルを測定することによって見積もることがで
きる。また、該共重合体を製造する際に各単量体の仕込
み重量比と重合体への転化率を調べることによっても該
重量比を見積もることもできる。
【0016】本発明におけるスチレン−共役ジエン共重
合体の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー(GPC)法でにより得られるポリスチレン
換算の分子量で数平均分子量(Mn)が30,000以
上300,000以下、好ましくは40,000以上2
50,000以下、より好ましくは50,000以上2
00,000以下であることが好ましい。この範囲の共
重合体を水素化することにより水素化後の共重合体にお
けるMnを30,000以上200,000以下にする
ことができる。
【0017】また、希薄溶液中で測定した還元粘度も分
子量把握の重要な尺度である。本発明においては、濃度
0.5g/dLのトルエン溶液中、30℃で測定した還
元粘度ηsp/cで表示すると、還元粘度としては好ま
しくは0.1〜5dL/g、より好ましくは0.2〜2
dL/gの範囲である。
【0018】本発明における共役ジエン重合体ブロック
は共役ジエン由来の単位に加えてスチレン由来の単位を
含有する重合体ブロックである。共役ジエン重合体ブロ
ックにおけるスチレン由来の単位の含有率は3重量%以
上35重量%以下であることが好ましい。この範囲にす
ることにより、水素化後の水素化共役ジエン重合体ブロ
ックにおける水素化スチレン由来の単位の含有率を3重
量%以上30重量%以下にすることができる。ここで言
う共役ジエン重合体ブロックにおけるスチレン由来の単
位の含有率とは共役ジエン重合体ブロック全体の重量と
そこに含まれるスチレン由来の単位の重量の比で表され
る値である。かかる含有率は共役ジエン重合体ブロック
を製造する際のスチレン、共役ジエンの仕込み比と、そ
れぞれの単量体の重合体ブロックへの転化率を調べるこ
とにより見積もることができる。
【0019】共役ジエン重合体ブロックに含まれるスチ
レン由来の単位は該ブロック中にランダム型に分散して
いてもよいし、テーパー型に分散していてもよいし、ま
たブロック型になっていてもよいが、ランダム型、テー
パー型に分散していることが好ましい。
【0020】本発明における共役ジエンブロックの分子
量は3,000g/mol以上40,000g/mol
以下、好ましくは3,500以上30,000以下、よ
り好ましくは4,000以上20,000以下であるこ
とが好ましい。この範囲の共重合体を水素化することに
より水素化後の共重合体における水素化共役ジエンブロ
ックの分子量を3,000以上20,000以下にする
ことができる。かかる分子量はスチレン−共役ジエン共
重合体の共役ジエンブロック部分の重量分率とスチレン
−共役ジエン共重合体全体の数平均分子量(GPCで法
求めたポリスチレン換算の値)を乗じて算出した値であ
る。
【0021】本発明におけるスチレン重合体ブロック
は、スチレン由来の単位から主としてなり、共役ジエン
由来の単位の含有率は5重量%未満であることが好まし
い。この範囲にすることにより、水素化後の水素化スチ
レン重合体ブロックにおける水素化共役ジエン由来の単
位の含有率を3重量%未満にすることができる。ここで
言う共役ジエン由来の単位の含有率とはスチレン重合体
ブロック全体の重量とそこに含まれる共役ジエン由来の
単位の重量の比で表される値である。かかる含有率はス
チレン重合体ブロックを製造する際のスチレン、共役ジ
エンの仕込み比と、それぞれの単量体の重合体ブロック
への転化率を調べることにより見積もることができる。
【0022】(水素化スチレン−共役ジエン共重合体)
本発明における水素化スチレン−共役ジエン共重合体は
先述したスチレン−共役ジエン共重合体を90%以上1
00%以下水素化することによって得られる、水素化ス
チレン重合体ブロックおよび水素化共役ジエン重合体ブ
ロックからなる重合体である。水素化率は好ましくは9
5%以上100%以下、より好ましくは99%以上10
0%以下である。それ未満では不飽和結合が多くなりす
ぎて、透明性が低下するため好ましくない。ここでいう
水素化率とは芳香族環を二重結合に相当するモル数に置
き換え、共重合体中の炭素間二重結合および芳香族環を
併せた全体での水素化率のことを指す。例えば、水素化
されていないスチレン部位は二重結合3モルとして計算
されたものである。通常、共役ジエンに由来する二重結
合は芳香族環よりはるかに水素化されやすく、本発明に
おいてはほぼ完全に水素化されている。一方、芳香族環
が水素化されていない場合には、大部分は芳香族環のま
まであるが、部分的に水素化されて一部二重結合が残っ
ている場合もわずかながら存在することがある。
【0023】本発明における水素化スチレン−共役ジエ
ン共重合体における水素化スチレン由来の単位/水素化
共役ジエン由来の単位の重量比は75/25〜97/3
である。かかる重量比が97/3より大きいと、材料と
して使用に耐えうるだけの靭性が確保できず、また、7
5/25より小さいと靭性は向上するものの、熱変形温
度が著しく低下するため光ディスクをはじめとする光学
材料としては好適に使用できず、好ましくない。重量比
のより好ましい範囲は80/20〜96/4、さらに好
ましくは85/15〜95/5である。ここでいう水素
化スチレン由来の単位/水素化共役ジエン由来の単位の
重量比は水素化スチレン−共役ジエン共重合体全体を構
成している水素化スチレンおよび水素化共役ジエン由来
の単位の重量比のことである。かかる重量比は該水素化
共重合体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し、水
素化スチレン由来の単位と水素化共役ジエン由来の単位
のモル比を見積もり、重量比に換算することによって得
ることができる。また、水素化前の共重合体におけるス
チレン由来の単位と共役ジエン由来の単位の重量比から
水素化後の共重合体における重量比を見積もることもで
きる。
【0024】本発明における水素化スチレン−共役ジエ
ン共重合体の数平均分子量はゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー(GPC)法により得られるポリスチレ
ン換算の分子量で30,000〜200,000、好ま
しくは50,000〜180,000、より好ましくは
60,000〜160,000の範囲である。数平均分
子量がそれより大きいと、水素化反応が困難になり、ま
た、水素化共重合体の溶融粘度が高くなりすぎて溶融成
形が困難になるため好ましくない。また、それ未満で
は、水素化反応も容易になり、水素化共重合体の溶融粘
度も下がるが、靭性が低下するため好ましくない。
【0025】また、希薄溶液中で測定した還元粘度も分
子量把握の重要な尺度である。本発明においては、濃度
0.5g/dLのトルエン溶液中、30℃で測定した還
元粘度ηsp/cで表示すると、還元粘度としては好ま
しくは0.1〜5dL/g、より好ましくは0.2〜2
dL/gの範囲である。
【0026】また、本発明においては、水素化スチレン
−共役ジエン共重合体の水素化共役ジエン重合体ブロッ
クが、水素化スチレン由来の単位を含有し、該ブロック
における水素化スチレン由来の単位に隣接した水素化共
役ジエン由来の単位の割合が、水素化共役ジエン由来の
単位総量の3重量%以上30重量%以下である。水素化
スチレン由来の単位に隣接した水素化共役ジエン由来の
単位とは、例えば水素化スチレン由来の単位をS、水素
化共役ジエンの単位をDで表すとすると、S−Dという
連鎖の部分のDのことを指す。また、その割合とは、水
素化共役ジエン重合体ブロック中の水素化共役ジエン由
来の単位総量に対する割合である。
【0027】従って、例えば、水素化共役ジエンブロッ
クがDDDDDDSDDDDという構造であるとする
と、水素化スチレン由来の単位に隣接した水素化共役ジ
エン由来の単位の割合は20重量%ということになる。
かかる値が3重量%より小さいと水素化共役ジエン重合
体ブロックの水素化スチレン重合体への相容性が不十分
であるために、ヘーズが大きくなり、また、溶融粘度も
大きくなり成形性が低下するため好ましくない。かかる
値はより好ましくは4重量%以上、さらに好ましくは5
重量%以上、さらに好ましくは6重量%以上である。ま
た、30重量%より大きいとヘーズは小さいものの、水
素化共役ジエン重合体ブロックの水素化スチレン重合体
への相容性が向上しすぎるために、熱変形温度が低下し
好ましくない。
【0028】かかる割合は、該水素化共重合体の炭素1
3核磁気共鳴(NMR)スペクトルを測定し、水素化共
役ジエンのシグナルを解析する等の方法によって見積も
ることができる。例えば、より具体的に共役ジエンがイ
ソプレンの場合について、以下詳述する。重クロロホル
ム中、60℃で測定した水素化スチレン−イソプレン共
重合体の炭素13NMRスペクトルには43〜46pp
mに水素化イソプレン由来の単位の[3,4]付加体の
メチン炭素に帰属されるシグナルが現れる(参考:Ta
nakaら、Polymer、17巻、413頁(19
76))。この部分のシグナルの43〜44.5ppm
は水素化スチレン由来の単位に隣接した水素化イソプレ
ン由来の単位に、また44.5〜46ppmは水素化イ
ソプレン由来の単位に隣接した水素化イソプレン由来の
単位に帰属できる。従って、43〜46ppmのシグナ
ルの積分比と43〜44.5ppmのシグナルの積分比
を見積もることにより、該割合を見積もることができ
る。
【0029】水素化共役ジエン重合体ブロックに含まれ
る水素化スチレン由来の単位は該ブロック中にランダム
型あるいはテーパー型に分散していてもよいし、ブロッ
ク型になっていてもよいが、ランダム型、テーパー型に
分散していることが好ましい。
【0030】また、本発明の水素化スチレン−共役ジエ
ン共重合体における水素化共役ジエン重合体ブロックに
ついて、水素化スチレン由来の単位の含有率が3重量%
以上30重量%以下であることが好ましい。かかる含有
率が3重量%より小さいと水素化共役ジエン重合体ブロ
ックの水素化スチレン重合体への相容性が不十分である
ために、ヘーズが大きくなり、また、溶融粘度も大きく
なり成形性が低下するため好ましくない。かかる含有率
はより好ましくは4重量%以上、さらに好ましくは5重
量%以上である。また、30重量%より大きいとヘーズ
は小さいものの、水素化共役ジエン重合体ブロックの水
素化スチレン重合体への相容性が向上しすぎるために、
熱変形温度が低下し好ましくない。かかる含有率はより
好ましくは25重量%以下、さらに好ましくは20重量
%以下である。該ブロックにおける水素化スチレン由来
の単位の含有率は該ブロック全体の重量とそれに含まれ
る水素化スチレン由来の単位の重量の比で表される値で
ある。かかる含有率は上述した水素化前のスチレン−共
役ジエン共重合体の共役ジエン重合体ブロックにおける
スチレン由来の単位の含有率から算出することができ
る。
【0031】また、本発明の本発明の水素化スチレン−
共役ジエン共重合体における水素化共役ジエン重合体ブ
ロックの分子量は、3,000g/mol以上20,0
00g/mol以下であることが好ましい。かかる分子
量は、より好ましくは4,000g/mol以上18,
000g/mol以下、さらに好ましくは5,000g
/mol以上16,000g/mol以下である。かか
る分子量が3,000g/molより低いと水素化共役
ジエン重合体ブロック導入による靭性向上効果が得られ
ず、好ましくない。また20,000より大きいと靭性
向上効果は得られるものの、熱変形温度が低下したり、
透明性が低下したりするため好ましくない。かかる分子
量は水素化スチレン−共役ジエン共重合体における水素
化共役ジエンブロック部分の重量分率と水素化スチレン
−共役ジエン共重合体の数平均分子量(GPC法で求め
たポリスチレン換算の値)を乗じた値である。
【0032】本発明の水素化スチレン−共役ジエン共重
合体の水素化スチレン重合体ブロックにおける、水素化
共役ジエン由来の単位の含有率が3重量%未満であるこ
とが好ましい。かかる含有率は水素化スチレン重合体ブ
ロック全体の重量と、そこに含まれる水素化共役ジエン
由来の単位の重量の比で表される値である。含有率が3
重量%以上であると水素化スチレン−共役ジエン共重合
体の熱変形温度が低下するため、好ましくない。含有率
はより好ましくは2重量%未満、さらに好ましくは1重
量%未満である。かかる含有率は水素化前のスチレン−
共役ジエン共重合体のスチレン重合体ブロックにおける
共役ジエン重合体ブロックの含有率から見積もることが
できる。
【0033】本発明における水素化スチレン−共役ジエ
ン共重合体の構造については水素化スチレン重合体ブロ
ックと水素化共役ジエン重合体ブロックからなるもので
あれば特に限定されないが、好ましい構造として水素化
共役ジエン重合体ブロックが水素化スチレン重合体ブロ
ックに挟まれた構造を挙げることができる。なかでも
(水素化スチレン重合体ブロック)−(水素化共役ジエ
ン重合体ブロック)−(水素化スチレン重合体ブロッ
ク)という直鎖トリブロック構造が特に好ましい。
【0034】(水素化スチレン−共役ジエン共重合体の
製造方法)本発明における水素化スチレン−共役ジエン
共重合体の製造方法は特に限定されず、従来公知の方法
を適用すればよいが、好適には下記工程(I)〜(II
I)、スチレンを重合し、スチレン重合体ブロックを製
造する工程(I) スチレンおよび共役ジエンを重合し、共役ジエン重合体
ブロックを製造する工程(II) 工程(I)、(II)によって製造されたスチレン−共
役ジエン共重合体を水素化反応に附し、水素化スチレン
−共役ジエン共重合体を製造する工程(III)からな
る工程を経て製造される。以下、工程(I)〜(II
I)について詳述する。
【0035】工程(I)および(II)においてスチレ
ン−共役ジエン共重合体が製造される。重合の手法とし
ては、アニオン重合、ラジカル重合、カチオン重合、配
位重合等の従来公知の方法を適用することができるが、
なかでも、構造を容易に制御できるという点からアニオ
ン重合の手法を用いることが好ましい。
【0036】アニオン重合の手法を用いて重合を行う際
の開始剤としては周期律表1〜2族の金属およびそれら
の有機金属化合物を挙げることができる。具体的には、
リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウ
ム、フランシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロ
ンチウム、バリウム、ラジウム、メチルリチウム、エチ
ルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピル
リチウム、n−ブチルリチウム、 iso−ブチルリチ
ウム、sec−ブチルリチウム、シクロペンタジエニル
リチウム、フェニルリチウム、シクロヘキシルリチウ
ム、メチルナトリウム、エチルナトリウム、 n−プロ
ピルナトリウム、iso−プロピルナトリウム、n−ブ
チルナトリウム、シクロペンタジエニルナトリウム、ジ
メチルマグネシウム、ビス(シクロペンタジエニル)マ
グネシウム、ジメチルカルシウム、ビス(シクロペンタ
ジエニル)カルシウム等を挙げることができる。これら
のうち、入手性、操作性の点から有機リチウム化合物が
好ましく、n−ブチルリチウム、 sec−ブチルリチ
ウムが特に好ましい。これらは単独で用いてもよいし、
2種類以上組み合わせてもよい。
【0037】アニオン重合を行うにあたり、上記の開始
剤をさらに活性化させ、反応速度の向上、分子量の増
大、アニオンの失活防止を図る目的で電子供与性化合物
を添加してもよい。電子供与性化合物とは開始剤の機能
を損なうことなく開始剤の金属に電子供与し得る化合物
であり、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子を含
む化合物である。具体的にはフラン、テトラヒドロフラ
ン、ジエチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテ
ル、メチル−t−ブチルエーテル、ジオキサン、ジオキ
ソラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン等のエー
テル類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブ
チルアミン、テトラメチルメチレンジアミン、テトラメ
チルエチレンジアミン、テトラエチルメチレンジアミ
ン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラメチル1,
3−プロパンジアミン、テトラメチルフェニレンジアミ
ン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等の三級ア
ミン;ジメチルスルフィド、チオフェン、テトラヒドロ
チオフェンなどのチオエーテル類;トリメチルホスフィ
ン、トリエチルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィ
ン、トリフェニルホスフィン、ジメチルホスフィノメタ
ン、ジメチルホスフィノエタン、ジメチルホスフィノプ
ロパン、ジフェニルホスフィノメタン、ジフェニルホス
フィノエタン、ジフェニルホスフィノプロパン等の三級
ホスフィン類を挙げることができる。
【0038】これらのうち、特に好ましいものとしてテ
トラヒドロフラン、ジメトキシエタン、テトラメチルエ
チレンジアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタ
ンを例示することができる。これらは単独で用いてもよ
いし、2種類以上組み合わせてもよい。
【0039】電子供与性化合物の添加量としては、開始
剤と電子供与性化合物の種類にもよるが、開始剤1mo
lに対し、0.1〜100mol、好ましくは0.2〜
50mol、より好ましくは0.3〜10molであ
る。添加量が少なすぎると活性化効果が得られず、ま
た、多すぎても活性化効果が増大するわけでもなく、電
子供与性化合物を浪費するだけなので、好ましくない。
ただし、電子供与性化合物を溶媒として用いる場合には
この限りではない。
【0040】工程(I)および(II)においては溶液
重合の手法を好適に適用することができる。溶液重合に
よって合成する際の溶媒としては、重合体を溶解し,重
合時の活性末端を失活させない溶媒であれば特に限定さ
れないが、好ましい例として、ブタン、n−ペンタン、
n−へキサン、n−ヘプタン等のC4〜12の脂肪族炭
化水素;シクロブタン、シクロペンタン、メチルシクロ
ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シ
クロヘプタン、シクロオクタン、デカリン等のC4〜1
2の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、
メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、クメ
ン、テトラリン、ナフタレン等のC6〜12の芳香族炭
化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチ
ル−t−ブチルエーテル等のC4〜12のエーテル類を
挙げることができる。これらのうち、脂肪族炭化水素、
脂環族炭化水素、エーテル類が好ましく、シクロヘキサ
ン、メチルシクロヘキサン、メチル−t−ブチルエーテ
ルが特に好ましい。
【0041】工程(I)および(II)を行う際の反応
条件については重合方法等によって異なるため特に限定
されないが、好適な条件としては、温度については−5
0〜150℃、好ましくは−30〜100℃、より好ま
しくは0℃〜70℃、また、反応時間については、5分
〜20時間、好ましくは10分〜15時間、より好まし
くは20分〜10時間である。また、重合反応時には活
性末端が水、酸素等に対して非常に敏感な場合があるた
め、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下、試薬、溶媒、
不活性ガスを十分に脱水した環境下で行うことが好まし
い。
【0042】工程(I)においては、上記の条件下、ス
チレンが重合される。アニオン重合の手法を用いる場合
には、上述したアニオン重合開始剤の存在下、あるいは
後述する工程(II)を経て得られる末端がアニオン化
された重合体ブロックの存在下、スチレンを重合し、ス
チレン重合体ブロックを製造する。その結果、末端がア
ニオン化されたスチレン重合体ブロックが製造される。
工程(I)に添加される共役ジエン/スチレンの重量比
は好ましくは3/97未満、より好ましくは2/98未
満、さらに好ましくは1/99未満である。工程(I)
におけるスチレン、共役ジエンの重合体への転化はほぼ
定量的に進行するので、かかる重量比をこの範囲にする
ことにより、スチレン重合体ブロックにおける共役ジエ
ン由来の単位を3重量%未満にすることができる。
【0043】工程(II)においては、上記の条件下、
スチレンおよび共役ジエンを重合し、共役ジエン重合体
ブロックが製造される。工程(II)においてもアニオ
ン重合の手法を用いる場合には上述したアニオン重合開
始剤の存在下、あるいは工程(I)を経て得られる末端
がアニオン化された重合体ブロックの存在下、スチレン
および共役ジエンを重合し、共役ジエン重合体ブロック
を製造する。工程(II)に添加される共役ジエン/ス
チレンの重量比は好ましくは70/30以上97/3以
下、より好ましくは75/25以上96/4以下、さら
に好ましくは80/20以上95/5以下である。共役
ジエンとスチレンの添加方法については特に制限はない
が、添加方法により、共役ジエンブロックにおけるスチ
レン由来の単位のシークエンスを制御することが可能で
ある。例えば、バッチ重合で非極性溶媒を用いてスチレ
ンと共役ジエンを同時に添加するとイソプレンが最初に
重合し、徐々にスチレンが重合するため、スチレンがテ
ーパー型に分散した共役ジエンブロックを製造すること
ができる。また、スチレンと共役ジエンの濃度比を一定
に保つようにスチレン、共役ジエンを添加すればスチレ
ンがランダム型に分散した共役ジエンブロックを製造す
ることができる。工程(II)においてもスチレン、共
役ジエンの重合体への転化はほぼ定量的に進行するの
で、かかる重量比をこの範囲にすることにより、共役ジ
エン重合体ブロックにおけるスチレン由来の単位を70
/30以上97/3以下にすることができる。かくして
工程(II)においては、末端がアニオン化された共役
ジエン重合体ブロックが製造される。
【0044】工程(I)および(II)はどちらから先
に行ってもよく、また繰り返して行ってもよいが、工程
(I)−工程(II)−工程(I)と繰り返し、(スチ
レン重合体ブロック)−(共役ジエン重合体ブロック)
−(スチレン重合体ブロック)という構造を持った共重
合体を製造することが好ましい。また、工程(I)およ
び(II)において先述したスチレン、共役ジエン以外
の成分をスチレン、共役ジエンと共に加えても良い。工
程(I)および(II)で使用されるスチレン、共役ジ
エン以外の成分の量としては、通常、スチレンおよび共
役ジエン総量に対し、5重量%以下である。また、工程
(I)および(II)に関してはバッチ重合、連続重合
いずれの方法も適用することが可能である。
【0045】好適な例としてバッチ重合で(スチレン重
合体ブロック)−(共役ジエン重合体ブロック)−(ス
チレン重合体ブロック)を製造する方法を以下詳述す
る。最初にスチレンの溶液を反応槽に仕込み、そこへア
ニオン重合開始剤を添加し、重合を開始する。スチレン
がほぼ定量的にスチレン重合体に転化したことを確認し
た後、共役ジエンとスチレンの混合溶液を添加し、共役
ジエン重合体ブロックを製造する。この時点で、(スチ
レン重合体ブロック)−(共役ジエン重合体ブロック)
という構造の共重合体が生成する。共役ジエンとスチレ
ンの重合体への転化率がほぼ定量的になったことを確認
した後、さらにスチレンを添加して重合し、スチレン重
合体ブロックを製造する。添加したスチレンがほぼ定量
的に重合体に転化するまで反応を続け、最終的に(スチ
レン重合体ブロック)−(共役ジエン重合体ブロック)
−(スチレン重合体ブロック)という構造の共重合体を
得る。
【0046】工程(I)および(II)を経て、アニオ
ン重合によって製造されたスチレン−共役ジエン共重合
体は、その末端がアニオン化されている。そこで、末端
アニオンと結合を形成するようなカップリング剤を添加
することにより、共重合体が鎖状あるいは星型分岐状に
結合した共重合体を合成することもできる。ここで用い
るカップリング剤としてはジメチルジクロロシラン、メ
チルトリクロロシラン、テトラクロロシラン、テトラブ
ロモシラン等のハロゲン化シラン類;ジメチルジメトキ
シシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシ
シラン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(ト
リメトキシシリル)エタン、ジメチルジエトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリエ
トキシシリル)エタン、テトラフェノキシシラン等のア
ルコシキシラン、アリロキシシラン類;α,α’−ジク
ロロキシレン、α,α’−ジブロモキシレン、テトラキ
ス(クロロメチル)ベンゼン、テトラキス(ブロモロメ
チル)ベンゼン等のハロゲン化物;シュウ酸ジメチル、
サクシン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、フタル酸ジ
メチル、テレフタル酸ジメチル等のエステル類等を挙げ
ることができる。
【0047】工程(III)においてはスチレン−共役
ジエン共重合体を水素化反応に附し、水素化スチレン−
共役ジエン共重合体を製造する。
【0048】水素化は水素化触媒の存在下、スチレン−
共役ジエン共重合体に含まれる芳香族環および炭素間二
重結合を水素化することにより達成される。
【0049】水素化触媒は、該共重合体に含まれる芳香
族環および炭素間二重結合を水素化し得るものであれば
特に限定されないが、好ましいものとして具体的にはニ
ッケル、パラジウム、白金、コバルト、ルテニウム、ロ
ジウム等の貴金属またはその酸化物、塩、錯体等のカー
ボン、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、珪藻土等の
多孔性担体に担持した固体触媒を挙げることができる。
これらの中でもニッケル、パラジウム、白金、ルテニウ
ムをアルミナ、シリカ、シリカアルミナ、珪藻土に担持
したものが高い反応性を示すため、好ましく用いられ
る。
【0050】具体的にはニッケル/シリカ、ニッケル/
アルミナ、ニッケル/シリカアルミナ、ニッケル/珪藻
土、パラジウム/シリカ、パラジウム/アルミナ、パラ
ジウム/シリカアルミナ、パラジウム/珪藻土、白金/
シリカ、白金/アルミナ、白金/シリカアルミナ、白金
/珪藻土、ルテニウム/シリカ、ルテニウム/アルミ
ナ、ルテニウム/シリカアルミナ、ルテニウム/珪藻土
等を挙げることができ、中でもニッケル/シリカ、ニッ
ケル/アルミナ、ニッケル/シリカアルミナ、パラジウ
ム/シリカ、パラジウム/アルミナ、パラジウム/シリ
カアルミナが好ましい。かかる水素化触媒は、その触媒
活性にもよるが、該共重合体に対して0.5〜40重量
%の範囲で使用することが好ましい。
【0051】水素化反応は重合反応後の重合体を一旦単
離してから行ってもよいが、工程(I)あるいは(I
I)から出てきた反応混合物をそのまま用いて、あるい
はさらに必要な溶媒を加えて行うことも可能である。か
かる溶媒は、水素化触媒能、分子鎖切断等の副反応の有
無、水素化反応前後の重合体の溶解度等を勘案して選択
することが好ましいが、具体的にはブタン、n−ペンタ
ン、n−へキサン、n−ヘプタン等のC4〜12の脂肪
族炭化水素;シクロブタン、シクロペンタン、メチルシ
クロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサ
ン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン等のC
4〜12の脂環族炭化水素;ジエチルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、メチル−t−ブチルエーテル等のC4〜
12のエーテル類を挙げることができる。
【0052】これらのうち、触媒の種類に依存するもの
の、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチル−
t−ブチルエーテルが特に好ましい。その他、反応の活
性を高める、あるいは水素化分解による分子鎖の切断に
よる分子量低下を抑制する目的でエステル類、アルコー
ル類などの極性溶媒を、重合体の溶解度を妨げない範囲
内で上記溶媒に加えてもよい。
【0053】本発明では、上記の溶媒系で、該共重合体
の濃度が3〜50重量%の範囲で水素化反応を行うこと
が好ましい。該共重合体の濃度が3重量%未満では生産
性、経済性の面から好ましくなく、50重量%を超える
と溶液粘度が上がりすぎて取り扱い面、また反応性の面
からも好ましくない。
【0054】水素化反応条件は、用いる触媒にもよる
が、通常水素圧3〜25MPa、反応温度70〜220
℃の範囲内で行われる。反応温度が低すぎると反応が進
行しにくく、反応温度が高すぎると水素化分解による分
子量低下が起こりやすくなり、好ましくない。分子鎖の
切断による分子量低下を防ぎ、かつ円滑に反応を進行さ
せるためには用いる触媒の種類、濃度、共重合体の溶液
濃度、分子量等により、適宜決定される適切な温度、水
素圧により水素化反応を行うことが好ましい。
【0055】また、本発明における水素化スチレン−共
役ジエン共重合体の水素化率は90〜100%、好まし
くは95〜100%、より好ましくは98〜100%で
ある。水素化率が低すぎると共重合体の透明性,物理的
耐熱性が低下するため好ましくない。なお、共役ジエン
単量体由来の単位に含まれる炭素間二重結合の水素化は
芳香族環の水素化よりもはるかに起こり易いため,該水
素化率が90%以上の場合は環状共役ジエンおよび鎖状
系単量体由来の単位に含まれる炭素間二重結合は実質的
に完全に水素化されている。
【0056】水素化反応終了後は、遠心分離、ろ過等の
公知の後処理方法により触媒の除去を行うことができ
る。光学材料用途に用いる本発明では、樹脂内の残留触
媒金属成分や異物量をできる限り少なくする必要があ
り、かかる残留金属触媒量が10ppm以下であること
が好ましく、より好ましくは1ppm以下、さらに好ま
しくは500ppb以下である。特に、本発明では、残
留金属触媒のなかでも、遷移金属含有量が10ppm以
下、より好ましくは5ppm以下である水素化スチレン
系共重合体とすることが好ましい。また、異物量として
は好ましくは0.2〜0.5μmの異物が重合体1gあ
たり1x106個以下、より好ましくは8x105個以
下、さらに好ましくは5x105個以下である。0.2
μm以上0.5μm未満の範囲の異物の含有量が、重合
体1g中1x106個より大きい場合には、湿熱環境下
でクレーズ斑点が数多く生成するため好ましくない。か
かる異物含有量は、JIS B 9925に準拠した光
散乱式粒子計数器を用いて測定した値である。こうした
測定は通常重合体を溶解する溶剤に重合体を溶解させ
て、重合体由来の散乱強度及び異物由来の散乱強度を測
定することができる。本発明の水素化スチレン−共役ジ
エン重合体の場合には、トルエン、シクロヘキサン等の
炭化水素系溶剤に溶解させて測定することが好ましい。
【0057】かかる残留触媒金属成分や異物量を少なく
するためには、遠心分離や濾過の際に使用するフィルタ
ーのポアサイズをできるだけ小さくすることが好まし
い。水素化触媒を除去した重合体溶液から、溶媒の蒸発
留去、ストリッピング、あるいは再沈殿等の方法により
目的の水素化スチレン−共役ジエン共重合体を得ること
ができる。この際に、異物の混入をできる限り避けるた
めに、できる限り、クリ−ルーム等異物の少ない環境下
で作業することが好ましい。
【0058】(組成物、成形材料)本発明において得ら
れる水素化スチレン−共役ジエン共重合体は目的に応じ
て分子量の異なる該共重合体のブレンド、他の重合体と
の組成物として用いてもよい。混合の割合は、特に限定
されず、組成物の物性を考慮して適宜決定すればよい
が、通常、水素化スチレン−共役ジエン共重合体/混合
する重合体の重量比で1/99以上99/1以下が好ま
しく、より好ましくは20/80以上80/20以下、
さらに好ましくは、40/60以上60/40以下であ
る。他の重合体としては、例えば特開昭63−4391
号公報に記載の水素化スチレン系重合体、特開平10−
116442号公報に記載の水素化スチレン系炭化水素
−共役ジエン系炭化水素共重合体等を挙げることができ
る。これらのうち、水素化スチレン重合体が特に好まし
い。
【0059】本発明における水素化スチレン−共役ジエ
ン共重合体組成物の数平均分子量はゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)法により得られるポリ
スチレン換算の分子量で30,000g/mol以上3
00,000g/mol以下、好ましくは50,000
g/mol以上250,000g/mol以下、より好
ましくは60,000g/mol以上200,000g
/mol以下の範囲である。数平均分子量がそれより大
きいと、該組成物の溶融粘度が高くなりすぎて溶融成形
が困難になるため好ましくない。また、それ未満では組
成物の溶融粘度は下がるが、靭性が低下するため好まし
くない。
【0060】また、希薄溶液中で測定した還元粘度も分
子量把握の重要な尺度である。本発明においては、濃度
0.5g/dLのトルエン溶液中、30℃で測定した還
元粘度ηsp/cで表示すると、還元粘度としては好ま
しくは0.1〜5dL/g、より好ましくは0.2〜2
dL/gの範囲である。
【0061】本発明の水素化スチレン−共役ジエン−ス
チレン共重合体には、溶融成形時の熱化学安定性を向上
させるため、あるいは自動酸化を防止するために、イル
ガノックス1010、1076(チバガイギー社製)等
のヒンダードフェノール系安定化剤、イルガフォス16
8(チバガイギー社製)等のホスフィン系安定化剤、あ
るいはスミライザーGMやスミライザーGS(住友化学
製)等のアクリルヒンダードフェノール系安定剤を加え
ることが好ましい。また、必要に応じて長鎖脂肪族アル
コール、長鎖脂肪族エステル等の離型剤、その他滑剤、
可塑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等の添加剤を添加す
ることができる。
【0062】本発明の成形材料は、射出成形、射出圧縮
成形、押し出し成形、溶液流延法等の公知の方法により
成形することができる。特に射出成形、射出圧縮成形法
による光ディスク基板あるいは光学用レンズの製造に好
適に用いることができる。かかる成形では、樹脂温度2
50℃以上360℃以下、好ましくは270℃以上35
0℃以下、さらに好ましくは280℃以上340℃以下
の範囲が用いられ、金型温度は60℃以上140℃以
下、好ましくは70℃以上130℃以下、さらに好まし
くは80℃以上125℃以下の範囲が用いられる。
【0063】
【発明の効果】本発明の水素化共重合体は、ヘーズが低
く、透明性が高く、また成形性、靭性、耐熱性にも優れ
るため、光ディスク基板をはじめとする光学材料として
好適に用いることができる。
【0064】
【実施例】以下に実施例により本発明を詳述する。但
し、本発明はこれら実施例に何ら制限されるものではな
い。
【0065】(試薬、溶媒)スチレン、イソプレンは水
素化カルシウムから蒸留精製し、十分乾燥したものを用
いた。シクロヘキサン、メチル−t−ブチルエーテルは
脱水グレードのものを購入し、さらに4Aモレキュラー
シーブあるいは塩基性アルミナに接触させて十分乾燥し
たものを用いた。
【0066】n−ブチルリチウムは市販品であるシクロ
ヘキサン溶液をそのまま用いた。
【0067】(物性測定)数平均分子量(Mn):ゲル
パーミエーションクロマトグラフィー(昭和電工(株)
製GPC、Syodex System−11)によ
り、テトラヒドロフランを溶媒に用いて測定し,40℃
におけるポリスチレン換算の分子量から求めた。
【0068】水素化率:JEOL JNR−EX270
型核磁気共鳴吸収装置を用い,1H−NMR測定により
水素化率を定量した。
【0069】水素化スチレン由来の単位/水素化イソプ
レン由来の単位の重量比(WS/I):JEOL JNM
−alpha600型核磁気共鳴吸収装置を用い、水素
化共重合体の重クロロホルム中55℃における1H−N
MR測定を行い、1.6〜2.0ppmに現れる水素化
スチレン由来のシグナルの積分比を見積もり、算出し
た。
【0070】水素化イソプレン重合体ブロックにおける
水素化スチレン由来の単位の含有率(WI(S)):水素化
前のイソプレン重合体ブロックを製造する際の、スチレ
ンとイソプレンの仕込み比および重合体への転化率を調
べ、その値から算出した。
【0071】水素化イソプレン重合体ブロックにおける
水素化スチレン由来の単位に隣接した水素化共役ジエン
由来の単位の割合(WI-S):JEOL JNM−al
pha600型核磁気共鳴吸収装置を用い、水素化共重
合体の重クロロホルム中60℃における13C−NMR測
定(NOE消去モード法)を行い、43.0〜46.0
ppmに現れる水素化イソプレン由来のシグナルを解析
した。43.0〜44.5ppmには水素化スチレンに
隣接する水素化イソプレンのシグナルが、また44.5
〜46.0ppmには水素化イソプレンに隣接する水素
化イソプレンのシグナルが観測された。43.0〜4
6.0ppmのシグナルの積分比と43〜44.5pp
mのシグナルの積分比を見積もることによりWI-Sを算
出した。
【0072】水素化スチレン重合体ブロックにおける水
素化イソプレン重合体ブロックの含有率(WS(I)):水
素化前のスチレン重合体ブロックを製造する際の、スチ
レンとイソプレンの仕込み比および重合体への転化率を
調べ、その値から算出した。
【0073】水素化イソプレン重合体ブロックの分子量
(MI):水素化スチレン−イソプレン共重合体におけ
る水素化イソプレンブロックの重量分率と水素化スチレ
ン−イソプレン共重合体の数平均分子量を乗じて算出し
た。
【0074】成形片の成形:射出成形機(名機製作所
(株)製M50B)により成形した。
【0075】全光線透過率、ヘーズ:JIS K 71
05に従い、2mm厚の円板状の成形片を用いて測定し
た。
【0076】溶融粘度:(株)島津製作所製、高下式フ
ローテスターを用いて測定し、温度300℃、せん断速
度が103-1における溶融粘度を算出した。
【0077】ガラス転移点:TAInstrument
s製 2920型DSCを使用し、昇温速度は20℃/
分で測定した。
【0078】熱変形温度:JIS K 7207に従
い、荷重181.3N/cm2にて測定した。
【0079】Izod衝撃強度:JIS K 7110
に従い、(株)上島製作所製UFIMPACT TES
TERを使用して、ノッチ無しで衝撃試験を行い、測定
した。
【0080】[実施例1]十分に乾燥し、窒素置換した
金属製オートクレーブにスチレン260g、シクロヘキ
サン2500gを仕込んだ。溶液を40℃まで加熱した
後、1.6Mのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液5.
0mLを加え、50℃に加熱し、2時間反応させた。次
いでイソプレン61g、スチレン10gをシクロヘキサ
ン溶液として加え,さらに2時間反応させた。さらに続
いて、スチレン260g、シクロヘキサン700gを加
え、2時間反応させた。スチレン、イソプレンの重合体
への転化はほぼ定量的に進行した。反応終了後,イソプ
ロパノール0.7gを加え,(スチレン重合体ブロッ
ク)−(イソプレン−スチレン共重合体ブロック)−
(スチレン重合体ブロック)からなる共重合体を得た。
この溶液にシクロヘキサン1300g、メチル−t−ブ
チルエーテル700g、ニッケル/シリカアルミナ80
gを加え、水素圧10MPa、温度180℃で4時間水
素化反応を行った。溶液をオートクレーブより取り出し
た後、濾過によって水素化触媒を除去した。
【0081】得られた溶液に安定剤としてスミライザー
GSを重合体に対して2700ppm加えてから溶媒を
留去して、水素化スチレン−イソプレン共重合体を得
た。水素化率は99%以上だった。また、GPCから求
めた数平均分子量は80,000g/molだった。こ
の水素化共重合体のWS/Iは90/10だった。また、
I(S)は14重量%だった。またWI-Sは19重量%だ
った。また、WS(I)は0重量%だった。また、MI
9,300g/molだった。この水素化共重合体を用
いて成形片を作成し、各種物性を測定した。全光線透過
率は92.0%と高く、ヘーズも0.4%と非常に低か
った。また、溶融粘度は690ポイズと低かった。ま
た、ガラス転移点は142℃、熱変形温度は106℃、
Izod衝撃強度は6.4J/m2と充分な値を示し
た。この水素化スチレン−イソプレン共重合体の各種物
性をまとめて表1に示す。
【0082】[比較例1]窒素置換した金属製オートク
レーブにポリスチレン(BASF社製「GP158K」)
500g、シクロヘキサン3300g、メチル−t−ブ
チルエーテル700g、ニッケル/シリカアルミナ80
gを加え、水素圧10MPa、温度180℃で8時間水
素化反応を行った。溶液をオートクレーブより取り出し
た後、濾過によって水素化触媒を除去した。得られた溶
液に安定剤としてスミライザーGSを重合体に対して2
700ppm加えてから溶媒を留去して、水素化スチレ
ン重合体を得た。水素化率は99%以上だった。また、
数平均分子量は90,000g/molだった。この水
素化スチレン重合体を用いて成形片を作成し、各種物性
を測定した。全光線透過率は92.1%と高く、ヘーズ
も0.4%と非常に低かった。また、溶融粘度は100
0ポイズと高かった。また、ガラス転移点は151℃、
熱変形温度は115℃と高かったが、Izod衝撃強度
は5.3J/m2と高くなく、成形片が割れてしまうこ
とがあった。この水素化スチレン重合体の各種物性をま
とめて表1に示す。
【0083】[実施例2]実施例1で得られた水素化ス
チレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体溶液と
比較例1で得られた水素化スチレン重合体溶液を重合体
の重量比で50:50となるように混合した。得られた
溶液にスミライザーGSを重合体全体に対して2700p
pm添加し、溶媒を留去して、水素化スチレン−イソプ
レン共重合体および水素化スチレン重合体からなる組成
物を得た。この組成物を用いて成形片を作成し、各種物
性を測定した。全光線透過率は91.9%と高く、ヘー
ズも0.4%と非常に低かった。また、溶融粘度は80
0ポイズと低かった。また、ガラス転移点は146℃、
熱変形温度は111℃、Izod衝撃強度は6.2J/
2と充分な値であった。この水素化スチレン重合体の
各種物性をまとめて表1に示す。
【0084】[比較例2]十分に乾燥し、窒素置換した
金属製オートクレーブにスチレン270g、シクロヘキ
サン2500gを仕込んだ。溶液を40℃まで加熱した
後、1.6Mのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液4.
6mLを加え、50℃に加熱し、2時間反応させた。次
いでイソプレン60gをシクロヘキサン溶液として加
え,さらに2時間反応させた。さらに続いて、スチレン
270g、シクロヘキサン700gを加え、2時間反応
させた。スチレン、イソプレンの重合体への転化はほぼ
定量的に進行した。反応終了後,イソプロパノール0.
7gを加え,スチレン−イソプレン−スチレンブロック
共重合体を得た。
【0085】この溶液にシクロヘキサン1300g、メ
チル−t−ブチルエーテル700gニッケル/シリカア
ルミナ80gを加え、水素圧10MPa、温度180℃
で4時間水素化反応を行った。溶液をオートクレーブよ
り取り出した後、濾過によって水素化触媒を除去した。
得られた溶液に安定剤としてスミライザーGSを重合体
に対して2700ppm加えてから溶媒を留去して、水
素化スチレン−イソプレン−スチレン重合体を得た。水
素化率は99%以上だった。GPCから求めた数平均分
子量は85,000g/molだった。この水素化共重
合体のWS/Iは90/10だった。また、WI(S)は0重
量%だった。またWI-Sは0重量%だった。また、W
S(I)は0重量%だった。また、MIは8,500g/m
olだった。この水素化共重合体を用いて成形片を作成
し、各種物性を測定した。全光線透過率は91.2%と
高かったが、ヘーズは1.4%と高かった。また、溶融
粘度は1000ポイズと高かった。また、ガラス転移点
は141℃、熱変形温度は106℃、Izod衝撃強度
は6.3J/m2と充分な値を示した。この水素化スチ
レン重合体の各種物性をまとめて表1に示す。
【0086】[比較例3]十分に乾燥し、窒素置換した
金属製オートクレーブにスチレン220g、シクロヘキ
サン2500gを仕込んだ。溶液を40℃まで加熱した
後、1.6Mのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液5.
2mLを加え、50℃に加熱し、2時間反応させた。次
いでイソプレン61g、スチレン100gをシクロヘキ
サン溶液として加え,さらに2時間反応させた。さらに
続いて、スチレン220g、シクロヘキサン700gを
加え、2時間反応させた。スチレン、イソプレンの重合
体への転化はほぼ定量的に進行した。反応終了後,イソ
プロパノール0.7gを加え,(スチレン重合体ブロッ
ク)−(イソプレン−スチレン共重合体ブロック)−
(スチレン重合体ブロック)からなる共重合体を得た。
この溶液にシクロヘキサン1300g、メチル−t−ブ
チルエーテル700gニッケル/シリカアルミナ80g
を加え、水素圧10MPa、温度180℃で4時間水素
化反応を行った。溶液をオートクレーブより取り出した
後、濾過によって水素化触媒を除去した。
【0087】得られた溶液に安定剤としてスミライザー
GSを重合体に対して2700ppm加えてから溶媒を
留去して、水素化スチレン−イソプレン共重合体を得
た。水素化率は99%以上だった。また、GPCから求
めた数平均分子量は78,000だった。この水素化共
重合体のWS/Iは91/9だった。また、WI(S)は38
重量%だった。またWI-Sは41重量%だった。また、
S(I)は0重量%だった。また、MIは11,300g
/molだった。この水素化共重合体を用いて成形片を
作成し、各種物性を測定した。全光線透過率は91.9
%と高く、ヘーズも0.4%と非常に低かった。また、
溶融粘度は650ポイズと低かった。しかしながら、ガ
ラス転移点は139℃、熱変形温度は95℃と低かっ
た。Izod衝撃強度は6.5J/m2と充分な値を示
した。この水素化スチレン重合体の各種物性をまとめて
表1に示す。
【0088】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/24 526 G11B 7/24 526N 526S 11/105 521 11/105 521A (72)発明者 松村 俊一 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 (72)発明者 松田 裕生 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝人 株式会社東京研究センター内 Fターム(参考) 4J002 BC03X BP01W 4J026 HA06 HA32 HA39 HB14 HB16 HB32 HB39 HC06 HC32 HC39 HE01 HE02 4J100 AB02P AS01Q AS03Q CA04 CA31 DA01 HA04 HA05 HB02 JA33 JA36 5D029 KA13 KA14 5D075 EE03 FG15

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン重合体ブロックおよび共役ジエ
    ン重合体ブロックからなるスチレン−共役ジエン共重合
    体を水素化することによって得られる水素化スチレン−
    共役ジエン共重合体であって(ア)水素化率が90%以
    上100%以下であり、(イ)水素化スチレン由来の単
    位/水素化共役ジエン由来の単位の重量比が75/25
    〜97/3であり、(ウ)ゲルパーミエーションクロマ
    トグラフィー(GPC)法で求めた数平均分子量(M
    n)が30,000g/mol以上200,000g/
    mol以下であり、かつ(エ)水素化共役ジエン重合体
    ブロックが水素化スチレン由来の単位を含有し、該ブロ
    ックにおける水素化スチレン由来の単位に隣接した水素
    化共役ジエン由来の単位の割合が3重量%以上30重量
    %以下であることを特徴とする水素化スチレン−共役ジ
    エン共重合体。
  2. 【請求項2】 水素化共役ジエン重合体ブロックにおけ
    る水素化スチレン由来の単位の含有率が3重量%以上3
    0重量%以下である請求項1記載の水素化スチレン−共
    役ジエン共重合体。
  3. 【請求項3】 水素化共役ジエン重合体ブロックの分子
    量が3,000g/mol以上20,000g/mol
    以下である請求項1または2記載の水素化スチレン−共
    役ジエン共重合体。
  4. 【請求項4】 水素化スチレン重合体ブロックにおけ
    る、水素化共役ジエン由来の単位の含有率が、3重量%
    未満である請求項1〜3いずれか一項記載の水素化スチ
    レン−共役ジエン共重合体。
  5. 【請求項5】 共役ジエンがイソプレンである請求項1
    〜4いずれか一項記載の水素化スチレン−共役ジエン共
    重合体。
  6. 【請求項6】 該水素化共重合体の構造が、(水素化ス
    チレン重合体ブロック)−(水素化共役ジエン重合体ブ
    ロック)−(水素化スチレン重合体ブロック)の直鎖構
    造である請求項1〜5いずれか一項記載の水素化スチレ
    ン−共役ジエン共重合体。
  7. 【請求項7】 スチレンを重合し、スチレン重合体ブロ
    ックを製造する工程(I)、スチレンおよび共役ジエン
    を重合し、共役ジエン重合体ブロックを製造する工程
    (II)、および工程(I)、(II)によって製造さ
    れたスチレン−共役ジエン共重合体を水素化反応に附
    し、水素化スチレン−共役ジエン共重合体を製造する工
    程(III)からなる請求項1〜6いずれか一項記載の
    水素化スチレン−共役ジエン共重合体の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれか一項記載の水素
    化スチレン−共役ジエン共重合体を1重量%以上99重
    量%以下含むことを特徴とする水素化スチレン−共役ジ
    エン共重合体組成物。
  9. 【請求項9】 該組成物中にさらに水素化スチレン重合
    体を含む請求項8記載の水素化スチレン−共役ジエン共
    重合体組成物。
  10. 【請求項10】 請求項1〜6のいずれか一項記載の水
    素化スチレン−共役ジエン共重合体または請求項8また
    は9記載の水素化スチレン−共役ジエン共重合体組成物
    から主としてなる成形材料。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の成形材料からなる光
    学材料。
  12. 【請求項12】 請求項10記載の成形材料からなる光
    ディスク基板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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