JPWO2003029347A1 - 水素化スチレン重合体樹脂組成物および光学部品 - Google Patents
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Abstract
光学用部品やディスク基板材料として好適な樹脂組成物およびその成形体を提供する。(1)水素化スチレン重合単位の含有量が95重量%を超え99.99重量%以下でありそして重量平均分子量が3万〜30万の範囲にある第1水素化スチレン重合体10〜90重量% および(2)水素化スチレン重合単位の含有量が60〜95重量%でありそして重量平均分子量が3万〜20万の範囲にある第2水素化スチレン重合体10〜90重量%但し重量%は第1水素化スチレン重合体と第2水素化スチレン重合体の合計を100重量%とした値である、からなる樹脂組成物。
Description
本発明は、少なくとも2種の水素化スチレン重合体からなる樹脂組成物および光学用部品に関する。さらに詳しくは、吸水率が少なく、溶融時の緩和が早く、そのため溶融成形により残存ひずみが小さいディスク基板や光学部品の製造が容易な樹脂組成物およびその成形品である光学部品に関する。
従来の技術
近年、光による情報の読み出しおよび書き込みが可能な各種光ディスクおよび磁気を利用したハードディスク等における情報の記録密度がますます高いものとなってきている。また、光学部品の分野では、光ディスクの情報の読み取り、書き込みに使用するピックアップレンズ、fθレンズなど、プラスチックの自由な成形性を生かした各種のプラスチックレンズ等の開発が進み、様々な用途で使用量が増大している。
例えば、レーザーを用いた光記録は高密度の情報記録、保存、再生が可能である。その中でも光ディスクとしては、従来までのCDに代わってより高容量のデジタル多用途ディスク(DVD)が近年実用化され、様々な用途のものが開発されている。記録情報の高密度化に伴い、短波長領域での透過率の向上、光学的等方性、湿度に対する形態安定性といった特性はこうした分野では益々重要となっている。
光ディスク用材料としては、従来、ポリカーボネート樹脂やポリメチルメタクリレート樹脂などが光学特性が優れるため、利用されてきた。中でもポリカーボネート樹脂は、透明性、耐熱安定性、靭性などに優れるため、広くディスク用材料として使用されている。
しかしながら、ポリカーボネート樹脂は、芳香族環を分子中に有しているため固有複屈折率が大きく成形物に光学異方性が生じやすいこと、またポリメタクリル酸メチルは吸水率が極めて高いため寸法安定性に乏しいことと耐熱性も低いことが問題点となっていた。現在の光ディスク基板にはポリカーボネートが専ら用いられているが、近年、光磁気記録ディスク(MOD)の大容量化、あるいはデジタル他用途ディスクの開発、ブルーレーザーの開発に代表される記録密度の高密度化の進展に伴い、かかるポリカーボネートの複屈折の大きさ、吸湿によるディスクの反りの問題が懸念されるようになってきている。こうした問題点は、光ディスク以外の光学部品についても同様である。
こうした問題を解決する素材の1つとして、水素化スチレン系重合体が提案されている。例えば、特公平7−114030号公報においては、ビニルシクロヘキサン含有率80重量%以上の水素化ポリスチレン系樹脂からなる基板を有する光ディスクが開示されている。該樹脂は光線透過率が高く、ポリカーボネート樹脂と比較して複屈折や吸水率が非常に小さいという特徴を有しており、光ディスク素材や光学用素材として好ましい特性を有している。
しかしながら水素化スチレン系重合体を用いた場合必ずしも耐熱性、機械的特性などの面から満足しうる結果が得られていない。そこで水素化ポリスチレンの改良のためスチレンにイソプレンやブタジエンといった共役ジエンをブロック共重合させたスチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素化物を、光ディスク基板をはじめ、各種光学用途に用いる例も報告されている(特許第2730053号公報、特許第2725402号公報およびWO01/12680A1参照)。さらに、DVD等のように基板厚みが、0.6mm程度あるいはそれ以下となると水素化スチレン系重合体は通常の射出圧縮成形では反りが大きくなりがちである。DVDでは基板を2枚貼り合わせて使用するためにある程度反りは緩和されるものの、安定して平坦性の高い基板を得るのはこれまで困難であった。
また、こうした反りの問題は、プラスチック基板をHDD用の基板といった平坦性を要求される用途に用いる際にも重要であるが、これまでの水素化スチレン系重合体を使用した基板では平坦性に優れるものを製造することは困難であった。
発明の開示
本発明の目的は、光学用部品やディスク基板材料として好適な樹脂組成物およびその成形体である光学部品を提供することにある。本発明の他の目的は、射出成形により生じる配向の緩和が早く、そのために異方性および光学的ひずみの少ない成形体を与えるに好適な樹脂組成物および該成形体である光学部品を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかとなろう。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、
(1)水素化スチレン重合単位の含有量が95重量%を超え99.99重量%以下でありそして重量平均分子量が3万〜30万の範囲にある第1水素化スチレン重合体10〜90重量% および
(2)水素化スチレン重合単位の含有量が60〜95重量%でありそして重量平均分子量が3万〜20万の範囲にある第2水素化スチレン重合体10〜90重量%
但し重量%は第1水素化スチレン重合体と第2水素化スチレン重合体の合計を100重量%とした値である、
からなる樹脂組成物によって達成される。
また、本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第2に、本発明の上記樹脂組成物の射出成形品である光学部品により達成される。
発明の実施の形態
本発明において、重量平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として使用して測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を指すものとする。
本発明における水素化スチレン重合単位とは、スチレン重合単位の芳香族環が水素化された構造単位を示している。例えば、スチレンの水素化された重合単位としては、ビニルシクロヘキサン重合単位である。スチレン重合体を構成する単量体としては、例えばスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレンなどのアルキルスチレン(好ましくは炭素数1〜10のアルキル基を有するアルキルスチレン)、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−tert−ブチルスチレンなどのα−アルキルスチレン(好ましくは炭素1〜10のアルキル基をα位に有するスチレン類)等のスチレン系単量体があげられる。これらの単量体の中でも高温環境での安定性の向上と価格の面からスチレン、α−メチルスチレンが好ましく、スチレンがさらに好ましい。
本発明で使用される第1水素化スチレン重合体は、水素化されたスチレン重合単位が95重量%を超えて、99.99重量%以下からなりそして重量平均分子量が3万〜30万である。第1水素化スチレン重合体は、樹脂組成物の耐熱性を維持しつつ、後述する他の構成成分との溶融時の良好な相溶性を維持することにより、組成物の緩和時間を短縮するのに有効であると期待されるものである。
本発明で使用される第1水素化スチレン重合体においては、水素化されたスチレン重合単位は95重量%を超えることが必要である。水素化されたスチレン重合単位が95重量%以下の場合には、樹脂組成物全体の耐熱性が低下するため好ましくない。この点から、水素化スチレン重合単位は好ましくは96重量%以上、さらに好ましくは97重量%以上、さらに好ましくは98重量%以上、よりさらに好ましくは99重量%以上、特に好ましくは99.2重量%以上である。
逆に、第1水素化スチレン重合体においては、水素化スチレン重合単位は99.99重量%以下であることが必要である。99.99重量%を超える場合には、後述する他の構成成分との溶融時の良好な相溶性を維持することが困難になるとか、重合体の緩和時間を短縮する効果が少ないといった問題がある。この点から、水素化スチレン重合単位は99.95重量%以下であることがより好ましく、99.9重量%以下がさらに好ましい。
第1水素化スチレン重合体における水素化スチレン重合単位量の好適な範囲は、例えば99.2重量%以上99.7重量%以下であり、さらに上記の好適な上限と下限の各数値の組み合わせから選ばれる範囲を挙げることができる。
本発明で使用される第1水素化スチレン重合体は、重量平均分子量が3万〜30万のものである。重量平均分子量が3万に満たない場合には、成形体の靭性が低下するため好ましくない。この点から、重量平均分子量は4万以上であることがより好ましく、5万以上であることがさらに好ましく、6万以上であることが特に好ましい。
逆に、重量平均分子量は30万以下であることが必要である。重量平均分子量が30万を超える場合には、樹脂組成物の溶融時の流動性が低下する上、緩和時間が長くなりすぎる。従って、光学的には等方性の成形体が得られたとしても、分子配向が残留しやすく、物理的な形状の良好な成形体、例えば、反りの少ないディスク基板を得ることが困難となる。
この点から、重量平均分子量は20万以下であることがより好ましく、15万以下であることがさらに好ましく、12万以下であることがさらに好ましく、10万以下であることが特に好ましい。
第1水素化スチレン重合体における重量平均分子量の好適範囲は、例えば6万〜10万であり、さらに上記の上限と下限の各数値の組み合わせから選ばれる範囲を挙げることができる。
本発明で使用される第1水素化スチレン重合体を構成する他の重合単位としては、例えばイソプレン、1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエンの如き共役ジエンが水素化された重合単位、エチレン、プロピレン、イソブテン、4−メチルペンテン−1の如きオレフィン;ノルボルネン、ジシクロペンタジエンの如き環状オレフィン等のスチレン単量体と共重合可能な単量体が挙げられる。
これらのなかでも重合活性や共重合による物性発現の効果の面からイソプレン、1,3−ブタジエンの使用が好ましい。これらの他の単量体は単独で用いてもよいし、2種類以上併用して用いてもよい。これらの中には重合後に炭素−炭素間の二重結合を有するものもあるが、スチレン重合体を水素化する場合に、通常は芳香族環よりも容易に水素化されるため、水素添加の際こうした重合単位は水素化された構造に転換される。
本発明で使用される第1水素化スチレン重合体は、上述の水素化された共役ジエン重合単位、あるいはオレフィン重合単位をその共重合成分として有することが好ましい。共重合量は、0.01〜5重量%であり、好ましくは0.1〜4重量%である。共重合量のさらに好適な範囲としては、上述の記載から明らかであろう。共重合される重合単位は、それ同士で比較的短い連鎖を構成していることが好ましい。
例えば、水素化された共役ジエンが共重合成分の場合には、水素化された共役ジエン重合単位に挟まれた水素化された共役ジエン重合単位が、水素化された共役ジエン重合単位全体の50重量%以下であることが好ましい。長い連鎖が多すぎる場合には、緩和時間の短縮の効果が少ない上、樹脂組成物とした際の靭性も低下するためである。
従って、例えば、水素化された共役ジエン重合単位に挟まれた水素化された共役ジエン重合単位が、水素化された共役ジエン重合単位全体の40重量%以下であることがより好ましく、30重量%以下であることがさらに好ましく、20重量%以下であることが特に好ましい。連鎖の結合様式は、分子構造にもよるが、NMRなどの手法により解析することが可能なこともある。
本発明で使用される第1水素化スチレン重合体は、上述のような構造を有すれば、製造方法は限定されないが、従来公知のアニオン重合法を利用して製造することが好ましい。その際、所望の構造の共重合体を得るために単量体の添加方法の点で通常のブロック共重合体の重合反応とは異なる手順でアニオン重合を実施し、水素化反応を行うことが望ましい。
重合に用いられるアニオン重合開始剤としては、一般に有機リチウム化合物が用いられる。有機リチウム化合物としては、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等が挙げられる。これらのなかでも入手の容易さ、重合反応の開始能力等から、n−ブチルリチウムあるいはsec−ブチルリチウムが好ましく用いられる。また有機リチウム化合物を用いた場合、重合温度は、好ましくは−20℃〜120℃、より好ましくは10℃〜100℃の範囲である。重合は触媒および重合途中の重合体の活性末端の失活を防ぐため、窒素やアルゴン等の不活性雰囲気下で行う必要がある。
水素化反応に使用されるスチレン重合体は、バッチ式あるいは連続式の重合反応設備により製造することが好ましい。
バッチ式で重合反応を行う場合には、開始剤を用いてスチレン単量体および/または共役ジエン単量体の重合反応を開始する。この際、反応させる全原料を同時に仕込むことも可能であるが、一般に共役ジエン単量体の方がスチレン単量体よりも反応性が高いために、この場合には重合体の一方の末端で共役ジエン単量体濃度が高くなる傾向になる。
そこで、スチレン単量体および/または共役ジエン単量体を、重合開始後に1回から10回程度の複数回に分けるか、連続的に反応させることが好ましい。複数回に分けてスチレン単量体および/または共役ジエン単量体を添加する場合には、単量体の反応性の相異によりテーパー状に濃度勾配が生じやすいが、本重合体中の共役ジエン等の共重合体含有量は4%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.8%以下と少ない。そのためにスチレン重合体は、共重合体ブロックが非常に短いか、連続した構造を持たないものとして製造できる。
連続的にスチレン単量体および/または共役ジエン単量体を添加する場合には、スチレン単量体および/または共役ジエン単量体の重合反応を開始した後、スチレン単量体および共役ジエン単量体を所定の割合で連続的に添加しながら重合反応を行い、所望の分子量のものを得ることが好ましい。いずれの場合も、共役ジエン単量体は、装置に応じて重合温度では反応液中に残存しない場合もあるので、その量を考慮に入れ単量体の添加量を定めるべきである。
一方、連続式の重合反応設備で重合反応を行う場合には、カスケード型の反応器を直列に配置した重合設備等が使用可能である。この場合には、開始剤を連続的に供給して重合反応を開始した後、スチレン単量体および共役ジエン単量体を所定の割合で連続的に添加しながら重合反応を行い、所望の分子量のものを得ることが好ましい。
いずれのタイプの重合設備を用いても本発明で使用する第1水素化スチレン重合体は製造可能であり、先述したような共重合される重合単位が、それ同士で比較的短い連鎖を構成しているものが製造可能である。いずれの場合にも、アニオン重合の反応性、反応性比は単量体の種類や組み合わせによって第1水素化スチレン重合体がブロック共重合体となりやすい場合と、単に反応させるだけでも第1水素化スチレン重合体がランダム構造を生成する場合がある。ゆえに単量体の組み合わせに依存して反応方法を変更する必要がある。従って、第1水素化スチレン重合体がブロック共重合体となりやすい場合には、使用する単量体を反応開始後に供給し続け、単量体濃度が一方に偏らないよう制御するとか、一方の濃度を常に高く保っておくといったことが必要となる。こうした重合反応は用いる開始剤の濃度および種類によるが、重合反応させるべき単量体を全て添加した後、通常は数分〜数時間で終了する。第1水素化スチレン重合体としては、水素化共役ジエン重合単位をランダム共重合成分あるいはテーパー共重合成分として含有するものが好ましい。
本発明で使用される第2水素化スチレン重合体は、水素化スチレン重合単位が60重量%〜95重量%からなりそして重量平均分子量3万〜20万である。第2水素化スチレン重合体は、溶融時には先述の第1水素化スチレン重合体との相溶性により緩和時間を短縮して流動性を向上し、固化時には靭性を維持するのに有効な構成成分である。
共重合される成分は相分離することにより、耐熱性を維持しつつ靭性を維持するために、ブロック構造を有していることが好ましい。
本発明で使用される第2水素化スチレン重合体は、重量平均分子量が3万〜20万のものである。重量平均分子量が3万に満たない場合には、成形体の靭性が低下するため好ましくない。この点から、重量平均分子量は4万以上であることがより好ましく、5万以上であることがさらに好ましく、6万以上であることがさらに好ましい。
逆に、重量平均分子量は20万以下であることが必要である。重量平均分子量が20万を超える場合には、樹脂組成物の溶融時の流動性が低下する上、後述の共重合成分の連鎖が長くなるために、相分離しやすくなる。そのため、緩和時間が長くなりすぎため、光学的には等方性の成形体が得られたとしても、分子配向が残留しやすく、物理的な形状の良好な成形体、例えば、反りの少ないディスク基板を得ることが困難となる。
この点から、重量平均分子量は18万以下であることがより好ましく、15万以下であることがさらに好ましく、12万以下であることがさらに好ましく、10万以下であることが特に好ましい。
第2水素化スチレン重合体における重量平均分子量の好適範囲は、例えば6万〜10万であるが、さらに上記の上限と下限の各数値の組み合わせから選ばれる範囲を挙げることができる。
第2水素化スチレン重合体を構成する他の重合単位としては、例えばイソプレン、1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエンの如き共役ジエンが水素化された重合単位が挙げられる。これらのなかでも重合活性や共重合による物性発現の効果の面からイソプレン、1,3−ブタジエンの使用が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上併用して用いてもよい。これらの中には重合後に炭素−炭素間の二重結合を有するものもあるが、スチレン重合体を水素化する場合に、通常は芳香族環よりも容易に水素化されるため、水素化の際こうした重合単位は水素化された構造に転換される。共役ジエン重合体水素化物セグメントは、1,4付加した共役ジエン重合体が70重量%以上からなることが好ましい。1,2付加体の含有量が30重量%を超える場合には、共役ジエン重合体水素化物のガラス転移温度が高くなる傾向がある上に、靭性が低下する傾向があるため好ましくない。1,4付加体の製造については後述する。
共役ジエンが水素化された重合単位の共重合量としては、水素化された共役ジエン重合単位が5重量%〜40重量%であることが好ましい。共役ジエンが水素化された重合単位の共重合量が5重量%に満たない場合には、衝撃強度向上の効果が充分ではないため好ましくない。この点からは、共重合量は8重量%以上であることがより好ましく、10重量%以上であることがさらに好ましく、11重量%以上であることがさらに好ましい。
逆に共重合量が40重量%を超える場合には、熱変形温度が低下したり、後述のように共役ジエンが水素化された重合単位が溶融時に相分離するために好ましくない。この点からは、共重合量は30重量%以下であることがより好ましく、以下20重量%以下であることがさらに好ましく、18重量%以下であることがさらに好ましく、16重量%以下であることが特に好ましい。
第2水素化スチレン重合体における水素化されたスチレン重合単位と水素化された共役ジエン重合単位の割合としては、例えばスチレン重合単位92重量%〜84重量%および共役ジエン重合単位8重量%〜16重量%が好ましく、さらにそれぞれ上記のスチレン重合単位と共役ジエン重合単位の好適な数値の組み合わせがあげられる。
水素化されたスチレン重合単位から主としてなるブロックをS、共役ジエンが水素化された重合単位から主としてなるブロックをDとすると、本発明で使用される第2水素化スチレン重合体としては、例えばS−D構造のジブロック体、S−D−S構造のトリブロック体、S−D−S−D構造のテトラブロック体、S−D−S−D−S構造のペンタブロック体等を挙げることができる。
また、Sブロックに関しては、全くDブロックの構成単位を含有しない場合、少量のD成分をランダムに含有する場合、Dブロックの近傍でDブロックの構成単位がテーパー状で濃度勾配を有して共重合され、境界が不明瞭な場合を挙げることができる。また、Dブロックに関しても同様の構造を挙げることが可能である。さらに、S−D−Sのトリブロック構造に関しては、D成分が3から6本程度の星状の分岐を有しているラジアル構造を有しているものを挙げることができる。
本発明の樹脂組成物の緩和時間を短縮して流動性を向上させる目的では、第2水素化スチレン重合体のDブロックの重量平均分子量は小さいほど好ましい。Dブロックの分子量が大き過ぎる場合には、溶融時にもSブロックとDブロックの相分離が起こり易くなるために、緩和時間が長くなり流動性も低下し配向が残りやすくなる。そのため、例えば0.6mm厚程度の光ディスクの成形では平坦な基板を得ることが困難となる。
溶融時の相分離を起こらなくさせるためには、Dブロックの含有量にもよるが、Dブロックの重量平均分子量が20,000以下であることが好ましく、15,000以下であることがより好ましく、12,000以下であることがさらに好ましく、11,000以下であることが特に好ましい。
一方、Dブロックの重量平均分子量が小さ過ぎる場合には、低温での固化時にSブロックとDブロックの相分離が起こりにくく、耐熱性の低下や、衝撃強度低下の原因となる。低温での相分離が起こるためには、Dブロックの含有量にもよるが、Dブロックの重量平均分子量が5,500以上であることが好ましく、7,000以上であることがより好ましく、8,000以上であることがさらに好ましい。
Dブロックの重量平均分子量としては、最適には8,000〜11,000であるが、さらに上記の好適な上限と下限の各数値の組み合わせから選ばれる範囲を挙げることができる。
他方、相分離に関しては、他の構成単位を含有せず境界が明瞭な場合には相分離しやすい方向となる。それと比較して、少量の他成分をランダムに含有する場合および他ブロックの近傍で他ブロックの構成単位が濃度勾配を有して共重合されて境界が不明瞭な場合には、相溶しやすい方向となる。
さらに、Sブロックの構造として、共役ジエンが水素化された重合単位を全く含有せず境界が明瞭な場合、少量の共役ジエンが水素化された重合単位をランダムに含有する場合、Dブロックの近傍で共役ジエンが水素化された重合単位が濃度勾配を有して共重合され境界が不明瞭な場合がある。Sブロックへの水素化された共役ジエン重合単位の共重合量は、Sブロックにおいて5重量%を超えないこと、好ましくは3重量%、より好ましく2重量%、さらに好ましくは1重量%を超えないことが熱変形温度などの耐熱性を維持する上で好ましい。
また、Dブロックの構造としても、水素化されたスチレン重合単位を全く含有せず境界が明瞭な場合、少量の水素化されたスチレン重合単位をランダムに含有する場合、Sブロックの近傍で水素化されたスチレン重合単位が濃度勾配を有して共重合され境界が不明瞭な場合があるが、Dブロックへの水素化されたスチレン重合単位の共重合量は、Dブロックにおいて10重量%を超えないこと、好ましくは8重量%、より好ましく7重量%、さらに好ましくは5重量%を超えないことが衝撃強度を向上する上で好ましい。
こうした傾向を勘案して、用途に応じて必要な分子構造、分子量が選択されるべきである。
例えば、ディスク基板のように、転写性や基板の平坦性が重要な場合には、物理的な強度が損なわれない程度に分子量は低いほど好ましい。こうした観点から、第2水素化スチレン重合体の構造は、基本的にはS−D−S構造のトリブロック体であることが好ましい。この場合、Dブロックは長くなる傾向となる。Sブロック、Dブロックの形態としては、上述の様に、境界が明確な場合、ランダムな場合、勾配のある場合において好ましく実施可能である。
第2水素化スチレン重合体の製造に使用するスチレン重合体の製造方法としては、上述のような構造を有すれば、製造方法は限定されないが、従来公知のアニオン重合法を利用して製造することが好ましい。
重合に用いられるアニオン重合開始剤としては、一般に有機リチウム化合物が用いられる。有機リチウム化合物としては、具体的にはエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等が挙げられる。これらのなかでも入手の容易さ、重合反応の開始能力等から、n−ブチルリチウムあるいはsec−ブチルリチウムが好ましく用いられる。また有機リチウム化合物を用いた場合、重合温度は、好ましくは−20℃〜120℃、より好ましくは10℃〜100℃の範囲である。重合は触媒および重合途中の重合体の活性末端の失活を防ぐため、窒素やアルゴン等の不活性雰囲気下で行う必要がある。
水素添加反応に使用されるスチレン重合体は、バッチ式あるいは連続式の重合反応設備により製造することが好ましい。以下、S−D−S構造のトリブロック構造を例にとって製造方法の好ましい態様について記載する。他の構造においても構造に応じて同様に製造が可能であり、S−D−S構造に限定された製造方法が記載されているわけではないと理解されるべきである。
バッチ式で重合反応を行う場合には、開始剤を用いてSブロックの重合を開始する。この際、所望の構造の共重合体を得るために単量体の添加方法は異なる。Sブロックの構造として、共役ジエンが水素化された重合単位を全く含有せず境界が明瞭な場合には、Sブロックの重合に関しては、スチレン単量体のみにより重合が開始されSブロックが形成される。少量の共役ジエンが水素化された重合単位をランダムに含有する場合、およびDブロックの近傍で共役ジエンが水素化された重合単位が濃度勾配を有して共重合されて境界が不明瞭な場合には、第1水素化スチレン重合体と同様にして、Sブロックが形成されることとなる。
次にDブロックが形成されるが、Dブロックに関しても水素化されたスチレン重合単位を全く含有せず境界が明瞭な場合には、共重合されるスチレン単量体以外の共重合成分のみにより重合反応が行われる。また、少量の水素化されたスチレン重合単位をランダムに含有する場合、およびSブロックの近傍で水素化されたスチレン重合単位が濃度勾配を有して共重合され境界が不明瞭な場合には、所望の共重合量に応じて、スチレン単量体が共重合されるスチレン単量体以外の共重合成分と共に重合反応が行われることとなる。
次に第2のSブロックが形成されることになるが、この重合反応は第1のSブロックの重合反応と同様にして実施される。
一方、連続式の重合反応設備で重合反応を行う場合としては、カスケード型の反応器を直列に配置した重合設備等が使用可能である。この場合には、開始剤を連続的に供給して重合反応を開始した後、スチレン単量体および共役ジエン単量体を所定の割合で連続的に添加しながら重合反応を行い、所望の分子量のものを得ることが好ましい。
この際、重合反応槽は3つ以上を準備し、第1、第3の重合槽においてはSブロックの重合、第2の重合槽においてはDブロックの重合を実施することが好ましい。各重合槽での添加する単量体の種類としては、先述のバッチ式の重合に準じて決定することができるが、本発明で使用する反応方式の場合には、単量体の反応性や重合条件にもよるが、バッチ方式よりも、第2ブロック以後のブロックには、それ以前の重合槽において未反応であった単量体が残留して共重合される可能性は高くなる。こうした重合反応は用いる開始剤の濃度および種類によるが、重合反応させるべき単量体を全て添加した後、通常は数分〜数時間で終了する。
上記いずれの重合反応においても重合反応は、炭化水素溶媒を使用して行うことが好ましい。具体的にはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンの如き脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタンの如き脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素を挙げることができる。かかる炭化水素溶媒のなかでも、溶解性、反応性の点でシクロヘキサンあるいはメチルシクロヘキサンが好ましく使用される。
上記炭化水素溶媒に加えて、重合反応の制御、共役ジエン部分のミクロ構造の制御等の目的で極性溶媒を用いてもよい。かかる極性溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテルの如きエーテル類;トリエチルアミン、テトラエチルエチレンジアミンの如きアミン類;ホスフィン類等が挙げられる。
重合反応後は、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類や水などにより重合活性末端を失活させることが好ましい。
本発明で使用される第1水素化スチレン重合体および第2水素化スチレン重合体は、上述のスチレン重合体を水素添加して得られる、芳香族環の水素化率が90モル%以上のものを指す。水素化率が90モル%未満であると、得られる水素化スチレン共重合体のガラス転移温度、耐熱安定性の低下の問題があり好ましくない。さらに、光学用途に使用する場合には、透明性の低下、成形物の複屈折率の増大があり好ましくない。水素化率は高い方が望ましいが、実際には得られる水素化スチレン重合体の物性と、該水素化率を達成するために要求される水素化工程の設備面、運転面も含めた経済性とを勘案して決定される。
水素化率は好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、さらに好ましくは99モル%以上である。なお、水素化反応では一般に、芳香族環よりも炭素−炭素間の2重結合の方が水素化されやすいので、芳香族環が水素化される条件下では実質的にほとんどの炭素−炭素間の2重結合が水素化されているとみなしうる。
水素化反応の方法としては、従来公知の水素化反応触媒を使用して実施可能である。水素化反応に使用する触媒は特に限定されず、芳香族環および2重結合を水素化することが可能な公知の触媒を使用することができる。具体的にはニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ルテニウム、ロジウムの如き貴金属またはその酸化物、塩、錯体等の化合物をカーボン、アルミナ、シリカ、シリカ・アルミナ珪藻土の如き多孔性担体に担持した固体触媒が挙げられる。これらのなかでもニッケル、パラジウムまたは白金を、アルミナ、シリカまたはシリカ・アルミナ珪藻土に担持したものが反応性が高く好ましく用いられる。かかる水素化反応触媒は、その触媒活性によるがビニル芳香族炭化水素重合体に対して0.5〜40重量%の範囲で使用することが好ましい。
水素化反応の条件は、好ましくは、水素圧30〜250kgf/cm2(3.1MPa〜25.5MPa)、反応温度70〜250℃の範囲内で行われる。反応温度が低すぎると反応が進行しにくく、反応温度が高すぎると分子鎖の切断による分子量の低下が起りやすくなる。分子鎖の切断による分子量低下を防ぎかつ円滑に反応を進行させるには、用いる水素化反応触媒の種類および濃度、共重合体の溶液濃度、分子量等により適宜決定される適切な温度、水素圧により水素化反応を行うことが好ましい。
水素化反応の際に用いられる溶媒は、水素化反応触媒の触媒毒とならない溶媒を選ぶことが好ましい。重合反応時の溶媒として用いられるシクロヘキサン、メチルシクロヘキサンの如き飽和脂肪族炭化水素を好適に挙げることができる。その他に反応の活性を高めたり、あるいは分子鎖の切断による分子量の低下を抑制したりする目的で、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、メチル−t−ブチルエーテルの如きエーテル類、エステル類、アルコール類等の極性溶媒を、共重合体の溶解性を妨げない範囲内で上記溶媒に加えてもよい。
しかし、先述のように1,4付加体を70重量%以上の割合で製造する場合には、水素化前のスチレン−ブタジエンのブロック共重合体をアニオン重合で製造する際に、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体を溶解する極性の低い反応溶媒を使用することにより製造が可能である。こうした反応溶媒としては、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを例示することができる。(エーテル系の極性溶媒を含有しないことが好ましい。)
水素化反応では、反応に使用される水素化前のスチレン重合体の濃度が3〜50重量%の範囲内で水素化反応を行うことが好ましい。重合体の濃度が3重量%未満では、生産性、経済性の面から好ましくなく、50重量%以上であると溶液粘度が上がりすぎ取り扱い面、また反応性の面からも好ましくない。
水素化反応終了後は、遠心、濾過などの公知の後処理方法により触媒の除去を行うことができる。本発明の樹脂組成物は溶融成形で使用するため、水素化スチレン重合体内の残留触媒金属成分はできる限り少なくすることが好ましい。本発明の樹脂組成物は2成分の水素化スチレン重合体からなるため、後述のような方法で2成分を混合するが、触媒除去後には、かかる残留触媒金属量が10ppm以下が好ましく、より好ましくは1ppm以下である。水素化反応触媒を除去した重合体溶液から、溶媒の蒸発留去、ストリッピングあるいは再沈殿等の方法により目的の水素化スチレン重合体の共重合体を得ることができる。
本発明の樹脂組成物は上述の第1水素化スチレン重合体および第2水素化スチレン重合体からなるが、少なくとも一方を10重量%以上含有することが必要である。第1水素化スチレン重合体が90重量%を超える場合には、熱変形温度などの耐熱性は高くなるものの、緩和時間は依然長いため配向が残りやすいため好ましくない。この点から第1水素化スチレン重合体の含有量は85重量%以下であることが好ましく、80重量%以下であることがより好ましく、75重量%以下であることがさらに好ましい。
逆に、第2水素化スチレン重合体が90重量%を超える場合には、衝撃強度は高くなるものの、相分離によって緩和時間が長くなるとか、熱変形温度が低下するため好ましくない。この点から第2水素化スチレン重合体の含有量は85重量%以下であることが好ましく、80重量%以下であることがより好ましく、75重量%以下であることがさらに好ましい。
以上のような点を考慮して、第1水素化スチレン重合体および第2水素化スチレン重合体の組成および樹脂組成物としての組成比が決められる。本発明の樹脂組成物の200℃での緩和スペクトルH(τ)は10(Pa)となる緩和時間τ(s)が10,000(s)以下であることが好ましい。緩和時間が10,000(s)を超える場合には緩和時間が長すぎるために、見かけ上の光学特性に優れる場合でも成形時の配向が成形品に残留しやすく、均一な成形体を得ることが困難である。
本発明の樹脂組成物は、第1水素化スチレン重合体と第2水素化スチレン重合体が先述の範囲の樹脂組成物となるように混合して製造することができる。該2成分の混合方法としては、1)水素化反応前に所望の比率で2つの成分を溶液状態で混合し、水素化反応、溶媒除去操作を行う、2)水素化反応後の2成分の溶液を所望の比率で混合し、溶媒除去操作を行う、あるいは3)溶媒除去操作後で取り出された第1水素化スチレン重合体と第2水素化スチレン重合体を2軸押出機などを使用して所望の割合で、溶融混合する方法が挙げられる。なお、こうした混合操作の際に同時に後述する安定剤、離型剤などの添加剤を同時に混合することが好ましい。
例えば、0.6mm厚程度のディスク基板を得る場合には残留配向に伴う反りが生じやすくなり、良好な基板を得るのが困難となる。こうした点から、200℃での緩和スペクトルH(τ)が10(Pa)となる緩和時間τ(s)は短いほど好ましく、5,000(s)以下がより好ましく、2,000(s)以下がさらに好ましく、1,000(s)以下が特に好ましい。しかしながら、緩和時間が短すぎるものは機械的強度が不足しやすくなること、また、緩和時間は樹脂組成物のガラス転移温度にも依存することを考慮すると、200℃での緩和スペクトルH(τ)が10(Pa)となる緩和時間τ(s)は実用的には0.1(s)以上であることが好ましい。こうした下限としてはさらに好ましくは1(s)以上、より好ましくは5(s)以上である。
こうした緩和スペクトルは、振動実験等から得られる複素弾性率の結果から、例えば、「新物理学進歩シリーズ 8 レオロジー」(山本 三三三著 槙書店版、39ページ、2.複素弾性率の求め方)等に記載の方法によって求めることができる。
本発明の樹脂組成物は、110℃以上のガラス転移温度を有していることが好ましい。110℃以下では耐熱性が不足するため、その用途が制限されるからである。例えば、光ディスク基板として使用する場合には、レーザーによる情報の読み取りや書き込みにより温度が上昇するため、ガラス転移温度はさらに高い方が好ましく、120℃以上であることがより好ましく、130℃以上がさらに好ましく、135℃以上であることが特に好ましい。
さらに、本発明の樹脂組成物を光学用途に使用する場合には、粒径0.5μm以上の大きさの異物を1×105個/g以下含むことが好ましい。例えばDVD等の光ディスク基板として使用する場合には、異物の含有量が1×105個/gを超える場合にはエラーの原因になり好ましくない。ここで、異物としては、原料に含まれる不純物、製造工程で混入した不純物、重合体のゲル化物、水素化触媒の残留物などが挙げられる。
本発明の第1および第2水素化スチレン重合体には、溶融成形時の熱安定性を向上させるため、イルガノックス1010、1076(チバガイギー社製)等のヒンダードフェノール系安定剤;HP136(チバガイギー社製)等のベンゾフラノン系安定剤;イルガフォス168(チバガイギー社製)等のホスファイト系等に代表される安定剤を加えることが可能である。本発明の樹脂組成物は、第1および第2水素化スチレン重合体(A)および(B)の合計量100重量部に対して、付加型安定剤を好ましくは0.01重量部〜2重量部を含有していることが好ましい。
付加型安定剤は、重合体が高温で開裂した際に生成するラジカルと反応することにより、重合体を安定化する。かかる付加型安定剤としては、下記式
ここで、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、R4は水素原子またはメチル基である、但し複数のR1、および複数のR2のそれぞれは同一であっても異なっていてもよい、
で表される化合物を挙げることができる。
上記式(1)で表される付加型安定剤は、分解物を生じることなく、重合体の開裂鎖末端に生じたC−ラジカルを安定化する。
上記式(1)において、R1〜R3で示されるアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基が挙げられる。R1としては、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基のような立体障害になる嵩高いアルキル基が熱安定化の効果ならびに製造の容易さの上でも好ましい。中でも、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基が好ましい。R2としては、製造の容易さの観点からはメチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基が好適に用いられるが、メチル基は水素引き抜きを伴う副反応を起こしやすく、その意味でさらに好ましいのはtert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基である。R3としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基のような立体障害になりにくいアルキル基が、製造の観点から好ましい。R4は水素原子またはメチル基である。
上記式(1)で示されるヒンダードフェノール基を含有するアクリレート化合物は、市販品、例えば、住友化学工業(株)製の商品名「スミライザー(Smilizer)GM」、「スミライザー(Smilizer)GS」として入手することができる。かかる付加型安定剤の添加量が重合体100重量部に対して、0.01重量部未満の場合には、熱安定化の効果が少ないため好ましくない。添加量が2重量部を超える場合には、成形時に金型汚れの原因となったり、光学用途として使用する際には、短波長側での光線透過率が低下するため好ましくない。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、長鎖脂肪族アルコール、長鎖脂肪族エステルの如き離型剤、その他滑剤、可塑剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤等の添加剤を添加することができる。これらの内でも、本発明の樹脂組成物は射出成形で使用することが好ましいため、長鎖脂肪族アルコール、長鎖脂肪族エステル等の離型剤を0.005重量部以上、1重量部以下含有していることが好ましい。
中でも離型剤としては、樹脂組成物100重量部に対して、グリセリンモノエステル化物を0.005〜1重量部含有していることが好ましい。添加量が樹脂組成物100重量部に対して、0.005重量部未満の場合には、射出成形時の金型からの離型効果が少ないため好ましくない。添加量が1重量部を超える場合には、成形時に金型汚れの原因となったり、光学用途として使用する際には、透明性低下の原因となったり、ブリードアウトして表面を汚すため好ましくない。
本発明の樹脂組成物は、溶融時の緩和時間が短く、流動特性に優れるため、射出成形により成形ひずみの少ない各種部品や部材に成形することが可能である。なかでも、透明性に優れた複屈折の小さな成形体を射出成形により成形することができるため光学用部品として使用することに優れている。具体的な好ましい用途としては、CD、DVD、MO、MD等の基板内を光線が透過する光ディスク基板、それらに使用されるピックアップレンズなどの各種レンズ、LCD用の導光板、各種光学用保護フィルム等の光学用部品を挙げることができる。
こうした用途に使用する場合には、使用する光線の波長において、光線透過率が85%以上であることが好ましい。また、光学特性を必要としない場合としては、HDD用の基板等のように支持体として利用されるディスク基板等を例示することができる。
本発明の樹脂組成物は射出成形により良好な成形体を得ることができるが、ディスク形状の成形体として使用することが好ましい。ディスク形状としては用途にもよるが厚さ1.3mm以下のディスク基板を好ましく例示することができる。こうしたディスク基板は、少なくともその一方の面上に金属膜や記録層を形成されたディスク型記録媒体として使用することが可能である。
光ディスク基板としては、CD、CD−ROM、DVD−ROM等のようにユーザーが再生のみを行うROM(Read Only Memory)型光ディスク、あるいは光磁気ディスク、相変化ディスクのようにユーザーが任意情報を記録し、必要に応じて再生、追加書き込みあるいは書き換えが行われるRAM(Random Access Memory)型光ディスク、1度だけ書き込むことができるライト・ワンス型のCD−R、DVD−R等として使用可能である。
本発明における樹脂組成物は、従来公知の射出成形機等により、ディスク基板を始めとする各種の成形品の製造が可能である。一般的な成形条件としては、成形品の形状にもよるところが大きいが、成形時の溶融温度を、概略、300℃から370℃とするのが好ましい。300℃より溶融温度が低い場合には、樹脂組成物の溶融粘度が高すぎるため、良好な転写性を実現できない。370℃以上の溶融温度で成形する場合には、溶融時の熱劣化が激しいため、靭性が不足し、金型からの取出し時に破損する恐れも出てくる。成形時の溶融温度はより好ましくは310℃以上、より好ましくは360℃以下であり、さらに好ましくは320℃以上、特に好ましくは350℃以下である。
また、成形時の金型温度は、使用する樹脂組成物の(ガラス転移温度−90℃)から(ガラス転移温度−10℃)程度の範囲が好ましい。金型温度が(ガラス転移温度−90℃)より低い場合には、樹脂組成物の流動性が低下するために表面性が悪化したり、樹脂が充分に金型内に充填しなくなり好ましくない。特にピットやランド−グルーブ構造を有するディスクの成形時にはそうした形状の転写が不十分となり好ましくない。
金型温度が、(ガラス転移温度−10℃)より高い場合には、樹脂組成物の流動性自体は向上するものの、樹脂組成物のガラス転移温度と近すぎるため、金型からの取り出し時に変形を受け、好ましくない。こうした金型温度の好ましい範囲は、その成形品に依存するところが非常に大きく、ピットやランド−グルーブ構造等の精密な転写を必要としない場合には、(ガラス転移温度−80℃)から(ガラス転移温度−20℃)程度の範囲がより好ましい。また、精密な転写を必要とする場合には、(ガラス転移温度−60℃)から(ガラス転移温度−10℃)程度の範囲がより好ましい。
発明の効果
本発明の樹脂組成物は溶融時の緩和が早いために、溶融成形により容易に残存ひずみが小さい成形品の製造が可能である。さらに本発明の樹脂組成物はその分子構造から吸水率が小さいため、湿熱環境下での形態安定性に優れた成形品を製造することができる。また、透明性に優れ、複屈折も小さいことから光ディスクやピックアップレンズに代表されるような光学製品を好ましく製造することができる。
実施例
以下、実施例により本発明の実施の形態を説明するが、これらは本発明の発明を制限するものではない。なお、実施例中、「部」は「重量部」を表すものとする。
シクロヘキサン、メチル−t−ブチルエーテル(以上溶媒)、スチレン、イソプレンは、すべて蒸留精製を行い充分に乾燥したものを用いた。
n−ブチルリチウムは関東化学(株)よりn−ヘキサン溶液を購入し、そのまま用いた。
ニッケル/シリカ・アルミナ触媒(Ni担持率65重量%)はAldrichより購入し、そのまま用いた。
実施例で行った各種物性測定は以下の方法で行ったものである。
重量平均分子量:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(昭和電工(株)製GPC、Shodex System−11)により、THFを溶媒として測定し、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
ガラス転移温度(Tg):TAInstruments製 2920型DSCを使用し、昇温速度は20℃/分で測定した。
共重合率および水素化率:JEOL JNR−EX270型核磁気共鳴吸収装置を用い、1H−NMR測定により水素化率を定量した。
緩和スペクトルおよび緩和時間:レオメトリック・サイエンティフィック(株)社製RDAII型を使用してコーンプレート型ジグを用いて200℃、230℃、260℃で複素弾性率の周波数分散の測定を行った。得られた結果から時間温度の重ね合わせの原理に基づいてマスターカーブを作成した後、「新物理学進歩シリーズ 8 レオロジー」(山本 三三三著 槙書店版、39ページ、2.複素弾性率の求め方)等に記載の方法に従って、G’(ω)を用いた一次近似による緩和スペクトルH1(τ)の算出を行った。なお緩和時間は緩和スペクトルより読み取った。
アイゾット衝撃強度:溶融温度300℃、金型温度70℃で射出成形を行って、1/4インチ厚の試験片を成形し、(株)上島製作所製UF IMPACT TESTERを使用して、成形サンプルをノッチ付きとノッチなしで衝撃試験を行い測定した。
ディスク基板成形:射出成形機(日精樹脂工業(株)製の商品名「MO40D3H」)により、DVD用の金型とランド−グルーブ構造を有するスタンパー(容量2.6GB)を使用し、直径12cm、0.6mm厚のディスク基板をシリンダー温度、射出成形用金型温度を制御して射出圧縮成形によりDVDディスク基板の成形を行った。
転写:原子間力顕微鏡(セイコー電子工業製の商品名「SFA−300」)を用い、ディスク基板の中心から55mmの位置での断面形状から判断した。
ディスク基板の反り:射出圧縮成形より得られたディスク基板を単板で、JIS X6243に従い、ディスクの半径方向の角度偏差α(°)を測定した。ディスクの各点で測定したαの絶対値で最大の測定値を示す。
X線小角散乱:SAXS測定は回転式陰極X−線源(理科学RU−200B、入(Cu・Kα)=0.154nm)からなる装置で、45KVおよび70mAで行った。入射X線ビームはオスミウム同焦点鏡を用いて単光色とされ且つ焦点を合されそして一組の3つのピンホールコリメーターが用いられた。散乱パターンを120×120mm2面積を持つ結像板(IP)によって検出した(解像度50μm)。サンプルと検出器の距離は720mmであった。空気の散乱と吸収を低減するため、サンプルとIPとの間に真空室を設けた。ディスク基板から切出した3個のサンプル片を全厚が約1.8mm×10mm×10mmとなるように重ね合せた。
製造例1
第1水素化スチレン重合体
十分に乾燥し、窒素置換した撹拌機付き金属製オートクレーブに、スチレン250g、イソプレン3.8g、シクロヘキサン1,286gを乾燥して仕込んだ。溶液を40℃まで加熱した後、1.6Mのn−ブチルリチウム−シクロヘキサン溶液4.9mLを加え1.5時間反応させた。続いてスチレン250g、イソプレン3.8g、シクロヘキサン1,286gからなる乾燥した溶液を加えて1.5時間反応させた後、さらに続いてスチレン250g、イソプレン3.8g、シクロヘキサン1,286gからなる乾燥した溶液を加えて1.5時間反応させた。反応終了後2−プロパノール1.6gを加えて重合末端を安定化させ、スチレン−イソプレン共重合体を得た。GPCから求めた数平均分子量は112,000、重量平均分子量は123,000であり、1H−NMRから求めたスチレン−イソプレンの重量比は99.5/0.5であった。
この溶液にニッケル/シリカアルミナ80g、シクロヘキサン200gからなるスラリーおよびメチル−t−ブチルエーテル650gを加え、水素圧10MPa、温度180℃で4時間水素化反応を行った。反応終了、溶液を常温まで冷却後、溶液をオートクレーブから取り出した後0.1μのメンブレンフィルターを用い0.4MPaの窒素圧をかけて水素化反応触媒を濾別した。得られた溶液を溶液1とする。
溶液1のうち20gを採取して2−プロパノールで再沈、さらに清浄な2−プロパノールで洗浄、60℃減圧乾燥の結果得られた共重合体フレークは3.4gであった。また、このフレークのGPCから求めた数平均分子量は84,000、重量平均分子量は93,000であり、1H−NMRから求めた水素化率は99%以上であった。
製造例2
第2水素化スチレン重合体
十分に乾燥し、窒素置換した撹拌機付き金属製オートクレーブにスチレン375g、シクロヘキサン1,830gからなる乾燥した溶液を仕込み40℃まで加熱した後、1.6Mのn−ブチルリチウム−シクロヘキサン溶液7.9mLを加え1.5時間反応させた。続いてイソプレン112g、シクロヘキサン500gからなるモレキュラーシーブ4Aを用いて乾燥した溶液を加えて1.5時間反応させた後、さらに続いてスチレン375g、シクロヘキサン1,830gからなる乾燥した溶液を加えて1.5時間反応させた。反応終了後2−プロパノール1.6gを加えて重合末端を失活化させ、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を得た。GPCから求めた数平均分子量は68,000、重量平均分子量は79,000であり、1H−NMRから求めたスチレン−イソプレンの重量比は88/12であった。
この溶液にニッケル/シリカアルミナ80g、シクロヘキサン200gからなるスラリーおよびメチル−t−ブチルエーテル650gを加え、水素圧10MPa、温度180℃で4時間水素化反応を行った。反応液を常温まで冷却しオートクレーブから取り出した後、公称孔径0.1μのメンブレンフィルターを用い0.4MPaの窒素圧をかけて水素化触媒を除去した。得られた溶液を溶液2とする。
溶液2のうち20gを採取して2−プロパノールで再沈、さらに清浄な2−プロパノールで洗浄、60℃減圧乾燥の結果得られた共重合体フレークは3.8gであった。また、このフレークのGPCから求めた数平均分子量は60,000、重量平均分子量は70,000であり、1H−NMRから求めた水素化率は99%以上であった。
実施例1
溶液1および溶液2を、それぞれの共重合体含有量が1:1となるように混合した後、共重合体100重量部に対して、スミライザーGS(住友化学社製)0.5重量部となるように添加した後、溶液を徐々に昇温と減圧を行い、最終的に260℃、1mmHgとして、シクロヘキサンを除去した。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は138℃であった。200℃での緩和スペクトルを図1に示す。また、緩和スペクトルH1(τ)が10(Pa)となる緩和時間τ(s)、アイゾット衝撃強度の結果を表1に示す。
実施例2
製造例1と同様にして、3度に分けて原料を仕込むことにより、スチレン−イソプレンの重量比が99.5/0.5の共重合体を製造し、水素化反応を行い、水素化率99%以上、重量平均分子量は92,000の共重合体を得た。また、製造例2と同様にして、スチレン−イソプレンの重量比が88/12の共重合体を製造し、水素化反応を行い、水素化率99%以上、重量平均分子量は84,000の共重合体を得た。
さらに実施例1と同様にして、上記のそれぞれの共重合体含有量が1:1となるように混合した後、共重合体100重量部に対して、スミライザーGS(住友化学社製)0.5重量部となるように添加して、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は139℃であった。緩和スペクトルを図1に示す。また、緩和スペクトルH1(τ)が10(Pa)となる緩和時間τ(s)を表1に示す。さらに得られた樹脂組成物を使用し溶融温度320℃、金型温度115℃でディスク基板を成形した。得られたディスク基板はランド−グルーブ構造をうまく転写できていた。また、反りの測定結果を表に記載する。さらに得られたディスク基板の中心から40mm近辺を切り出し、小角X線散乱の測定を実施した。図3、図4に結果を示す。この結果から相分離に伴う散乱は観察されたが、ディスク基板の半径方向と円周方向で異方性がないことが確認された。
実施例3
製造例1と同様にして、3度に分けて原料を仕込むことにより、スチレン−イソプレンの重量比が99.5/0.5の共重合体を製造し、反応を行い、水素化率99%以上、重量平均分子量は140,000の共重合体を得た。また、製造例2と同様にして、スチレン−イソプレンの重量比が85/15の共重合体を製造し、水素化反応を行い、水素化率99%以上、重量平均分子量は67,000の共重合体を得た。
さらに実施例1と同様にして、上記のそれぞれの共重合体含有量が1:1となるように混合した後、共重合体100重量部に対して、スミライザーGS(住友化学社製)0.5重量部となるように添加して、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は142℃であった。また、緩和スペクトルH1(τ)が10(Pa)となる緩和時間τ(s)、アイゾット衝撃強度の結果を表1に示す。
比較例1
製造例2と同様に、アニオン重合によりスチレン−イソプレンの重量分率が90/10のS−D−S型のトリブロック共重合体を重合した後、水素添加反応を行い水素化されたスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体を製造した。得られた共重合体は、重量平均分子量77,000、1H−NMRから求めた水素化率は99%以上であり、ガラス転移温度温度は、136℃であった。また、緩和スペクトルH1(τ)が10(Pa)となる緩和時間τ(s)、アイゾット衝撃強度の結果を表1に示す。
この共重合体を用いて、実施例2と同様にディスク基板成形を行ったところ、ディスク基板の中心孔の周辺にクラックが発生した。このディスク基板について小角X線散乱の測定を実施した。図2、図4に結果を示す。
【図面の簡単な説明】
図1は実施例1および2のそれぞれで得られた樹脂組成物の200℃を基準とした緩和スペクトルを示す。
図2は比較例で得られたディスク基板の小角X線散乱像の半径方向、円周方向に対する散乱強度の等高線図を示す。
図3は実施例2で得られたディスク基板の小角X線散乱像の半径方向、円周方向に対する散乱強度の等高線図を示す。
図4は実施例2、比較例で得られたディスク基板の小角X線散乱像の半径方向、円周方向の動径方向の散乱強度分布を示す。
従来の技術
近年、光による情報の読み出しおよび書き込みが可能な各種光ディスクおよび磁気を利用したハードディスク等における情報の記録密度がますます高いものとなってきている。また、光学部品の分野では、光ディスクの情報の読み取り、書き込みに使用するピックアップレンズ、fθレンズなど、プラスチックの自由な成形性を生かした各種のプラスチックレンズ等の開発が進み、様々な用途で使用量が増大している。
例えば、レーザーを用いた光記録は高密度の情報記録、保存、再生が可能である。その中でも光ディスクとしては、従来までのCDに代わってより高容量のデジタル多用途ディスク(DVD)が近年実用化され、様々な用途のものが開発されている。記録情報の高密度化に伴い、短波長領域での透過率の向上、光学的等方性、湿度に対する形態安定性といった特性はこうした分野では益々重要となっている。
光ディスク用材料としては、従来、ポリカーボネート樹脂やポリメチルメタクリレート樹脂などが光学特性が優れるため、利用されてきた。中でもポリカーボネート樹脂は、透明性、耐熱安定性、靭性などに優れるため、広くディスク用材料として使用されている。
しかしながら、ポリカーボネート樹脂は、芳香族環を分子中に有しているため固有複屈折率が大きく成形物に光学異方性が生じやすいこと、またポリメタクリル酸メチルは吸水率が極めて高いため寸法安定性に乏しいことと耐熱性も低いことが問題点となっていた。現在の光ディスク基板にはポリカーボネートが専ら用いられているが、近年、光磁気記録ディスク(MOD)の大容量化、あるいはデジタル他用途ディスクの開発、ブルーレーザーの開発に代表される記録密度の高密度化の進展に伴い、かかるポリカーボネートの複屈折の大きさ、吸湿によるディスクの反りの問題が懸念されるようになってきている。こうした問題点は、光ディスク以外の光学部品についても同様である。
こうした問題を解決する素材の1つとして、水素化スチレン系重合体が提案されている。例えば、特公平7−114030号公報においては、ビニルシクロヘキサン含有率80重量%以上の水素化ポリスチレン系樹脂からなる基板を有する光ディスクが開示されている。該樹脂は光線透過率が高く、ポリカーボネート樹脂と比較して複屈折や吸水率が非常に小さいという特徴を有しており、光ディスク素材や光学用素材として好ましい特性を有している。
しかしながら水素化スチレン系重合体を用いた場合必ずしも耐熱性、機械的特性などの面から満足しうる結果が得られていない。そこで水素化ポリスチレンの改良のためスチレンにイソプレンやブタジエンといった共役ジエンをブロック共重合させたスチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素化物を、光ディスク基板をはじめ、各種光学用途に用いる例も報告されている(特許第2730053号公報、特許第2725402号公報およびWO01/12680A1参照)。さらに、DVD等のように基板厚みが、0.6mm程度あるいはそれ以下となると水素化スチレン系重合体は通常の射出圧縮成形では反りが大きくなりがちである。DVDでは基板を2枚貼り合わせて使用するためにある程度反りは緩和されるものの、安定して平坦性の高い基板を得るのはこれまで困難であった。
また、こうした反りの問題は、プラスチック基板をHDD用の基板といった平坦性を要求される用途に用いる際にも重要であるが、これまでの水素化スチレン系重合体を使用した基板では平坦性に優れるものを製造することは困難であった。
発明の開示
本発明の目的は、光学用部品やディスク基板材料として好適な樹脂組成物およびその成形体である光学部品を提供することにある。本発明の他の目的は、射出成形により生じる配向の緩和が早く、そのために異方性および光学的ひずみの少ない成形体を与えるに好適な樹脂組成物および該成形体である光学部品を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかとなろう。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、
(1)水素化スチレン重合単位の含有量が95重量%を超え99.99重量%以下でありそして重量平均分子量が3万〜30万の範囲にある第1水素化スチレン重合体10〜90重量% および
(2)水素化スチレン重合単位の含有量が60〜95重量%でありそして重量平均分子量が3万〜20万の範囲にある第2水素化スチレン重合体10〜90重量%
但し重量%は第1水素化スチレン重合体と第2水素化スチレン重合体の合計を100重量%とした値である、
からなる樹脂組成物によって達成される。
また、本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第2に、本発明の上記樹脂組成物の射出成形品である光学部品により達成される。
発明の実施の形態
本発明において、重量平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として使用して測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を指すものとする。
本発明における水素化スチレン重合単位とは、スチレン重合単位の芳香族環が水素化された構造単位を示している。例えば、スチレンの水素化された重合単位としては、ビニルシクロヘキサン重合単位である。スチレン重合体を構成する単量体としては、例えばスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレンなどのアルキルスチレン(好ましくは炭素数1〜10のアルキル基を有するアルキルスチレン)、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−tert−ブチルスチレンなどのα−アルキルスチレン(好ましくは炭素1〜10のアルキル基をα位に有するスチレン類)等のスチレン系単量体があげられる。これらの単量体の中でも高温環境での安定性の向上と価格の面からスチレン、α−メチルスチレンが好ましく、スチレンがさらに好ましい。
本発明で使用される第1水素化スチレン重合体は、水素化されたスチレン重合単位が95重量%を超えて、99.99重量%以下からなりそして重量平均分子量が3万〜30万である。第1水素化スチレン重合体は、樹脂組成物の耐熱性を維持しつつ、後述する他の構成成分との溶融時の良好な相溶性を維持することにより、組成物の緩和時間を短縮するのに有効であると期待されるものである。
本発明で使用される第1水素化スチレン重合体においては、水素化されたスチレン重合単位は95重量%を超えることが必要である。水素化されたスチレン重合単位が95重量%以下の場合には、樹脂組成物全体の耐熱性が低下するため好ましくない。この点から、水素化スチレン重合単位は好ましくは96重量%以上、さらに好ましくは97重量%以上、さらに好ましくは98重量%以上、よりさらに好ましくは99重量%以上、特に好ましくは99.2重量%以上である。
逆に、第1水素化スチレン重合体においては、水素化スチレン重合単位は99.99重量%以下であることが必要である。99.99重量%を超える場合には、後述する他の構成成分との溶融時の良好な相溶性を維持することが困難になるとか、重合体の緩和時間を短縮する効果が少ないといった問題がある。この点から、水素化スチレン重合単位は99.95重量%以下であることがより好ましく、99.9重量%以下がさらに好ましい。
第1水素化スチレン重合体における水素化スチレン重合単位量の好適な範囲は、例えば99.2重量%以上99.7重量%以下であり、さらに上記の好適な上限と下限の各数値の組み合わせから選ばれる範囲を挙げることができる。
本発明で使用される第1水素化スチレン重合体は、重量平均分子量が3万〜30万のものである。重量平均分子量が3万に満たない場合には、成形体の靭性が低下するため好ましくない。この点から、重量平均分子量は4万以上であることがより好ましく、5万以上であることがさらに好ましく、6万以上であることが特に好ましい。
逆に、重量平均分子量は30万以下であることが必要である。重量平均分子量が30万を超える場合には、樹脂組成物の溶融時の流動性が低下する上、緩和時間が長くなりすぎる。従って、光学的には等方性の成形体が得られたとしても、分子配向が残留しやすく、物理的な形状の良好な成形体、例えば、反りの少ないディスク基板を得ることが困難となる。
この点から、重量平均分子量は20万以下であることがより好ましく、15万以下であることがさらに好ましく、12万以下であることがさらに好ましく、10万以下であることが特に好ましい。
第1水素化スチレン重合体における重量平均分子量の好適範囲は、例えば6万〜10万であり、さらに上記の上限と下限の各数値の組み合わせから選ばれる範囲を挙げることができる。
本発明で使用される第1水素化スチレン重合体を構成する他の重合単位としては、例えばイソプレン、1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエンの如き共役ジエンが水素化された重合単位、エチレン、プロピレン、イソブテン、4−メチルペンテン−1の如きオレフィン;ノルボルネン、ジシクロペンタジエンの如き環状オレフィン等のスチレン単量体と共重合可能な単量体が挙げられる。
これらのなかでも重合活性や共重合による物性発現の効果の面からイソプレン、1,3−ブタジエンの使用が好ましい。これらの他の単量体は単独で用いてもよいし、2種類以上併用して用いてもよい。これらの中には重合後に炭素−炭素間の二重結合を有するものもあるが、スチレン重合体を水素化する場合に、通常は芳香族環よりも容易に水素化されるため、水素添加の際こうした重合単位は水素化された構造に転換される。
本発明で使用される第1水素化スチレン重合体は、上述の水素化された共役ジエン重合単位、あるいはオレフィン重合単位をその共重合成分として有することが好ましい。共重合量は、0.01〜5重量%であり、好ましくは0.1〜4重量%である。共重合量のさらに好適な範囲としては、上述の記載から明らかであろう。共重合される重合単位は、それ同士で比較的短い連鎖を構成していることが好ましい。
例えば、水素化された共役ジエンが共重合成分の場合には、水素化された共役ジエン重合単位に挟まれた水素化された共役ジエン重合単位が、水素化された共役ジエン重合単位全体の50重量%以下であることが好ましい。長い連鎖が多すぎる場合には、緩和時間の短縮の効果が少ない上、樹脂組成物とした際の靭性も低下するためである。
従って、例えば、水素化された共役ジエン重合単位に挟まれた水素化された共役ジエン重合単位が、水素化された共役ジエン重合単位全体の40重量%以下であることがより好ましく、30重量%以下であることがさらに好ましく、20重量%以下であることが特に好ましい。連鎖の結合様式は、分子構造にもよるが、NMRなどの手法により解析することが可能なこともある。
本発明で使用される第1水素化スチレン重合体は、上述のような構造を有すれば、製造方法は限定されないが、従来公知のアニオン重合法を利用して製造することが好ましい。その際、所望の構造の共重合体を得るために単量体の添加方法の点で通常のブロック共重合体の重合反応とは異なる手順でアニオン重合を実施し、水素化反応を行うことが望ましい。
重合に用いられるアニオン重合開始剤としては、一般に有機リチウム化合物が用いられる。有機リチウム化合物としては、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等が挙げられる。これらのなかでも入手の容易さ、重合反応の開始能力等から、n−ブチルリチウムあるいはsec−ブチルリチウムが好ましく用いられる。また有機リチウム化合物を用いた場合、重合温度は、好ましくは−20℃〜120℃、より好ましくは10℃〜100℃の範囲である。重合は触媒および重合途中の重合体の活性末端の失活を防ぐため、窒素やアルゴン等の不活性雰囲気下で行う必要がある。
水素化反応に使用されるスチレン重合体は、バッチ式あるいは連続式の重合反応設備により製造することが好ましい。
バッチ式で重合反応を行う場合には、開始剤を用いてスチレン単量体および/または共役ジエン単量体の重合反応を開始する。この際、反応させる全原料を同時に仕込むことも可能であるが、一般に共役ジエン単量体の方がスチレン単量体よりも反応性が高いために、この場合には重合体の一方の末端で共役ジエン単量体濃度が高くなる傾向になる。
そこで、スチレン単量体および/または共役ジエン単量体を、重合開始後に1回から10回程度の複数回に分けるか、連続的に反応させることが好ましい。複数回に分けてスチレン単量体および/または共役ジエン単量体を添加する場合には、単量体の反応性の相異によりテーパー状に濃度勾配が生じやすいが、本重合体中の共役ジエン等の共重合体含有量は4%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.8%以下と少ない。そのためにスチレン重合体は、共重合体ブロックが非常に短いか、連続した構造を持たないものとして製造できる。
連続的にスチレン単量体および/または共役ジエン単量体を添加する場合には、スチレン単量体および/または共役ジエン単量体の重合反応を開始した後、スチレン単量体および共役ジエン単量体を所定の割合で連続的に添加しながら重合反応を行い、所望の分子量のものを得ることが好ましい。いずれの場合も、共役ジエン単量体は、装置に応じて重合温度では反応液中に残存しない場合もあるので、その量を考慮に入れ単量体の添加量を定めるべきである。
一方、連続式の重合反応設備で重合反応を行う場合には、カスケード型の反応器を直列に配置した重合設備等が使用可能である。この場合には、開始剤を連続的に供給して重合反応を開始した後、スチレン単量体および共役ジエン単量体を所定の割合で連続的に添加しながら重合反応を行い、所望の分子量のものを得ることが好ましい。
いずれのタイプの重合設備を用いても本発明で使用する第1水素化スチレン重合体は製造可能であり、先述したような共重合される重合単位が、それ同士で比較的短い連鎖を構成しているものが製造可能である。いずれの場合にも、アニオン重合の反応性、反応性比は単量体の種類や組み合わせによって第1水素化スチレン重合体がブロック共重合体となりやすい場合と、単に反応させるだけでも第1水素化スチレン重合体がランダム構造を生成する場合がある。ゆえに単量体の組み合わせに依存して反応方法を変更する必要がある。従って、第1水素化スチレン重合体がブロック共重合体となりやすい場合には、使用する単量体を反応開始後に供給し続け、単量体濃度が一方に偏らないよう制御するとか、一方の濃度を常に高く保っておくといったことが必要となる。こうした重合反応は用いる開始剤の濃度および種類によるが、重合反応させるべき単量体を全て添加した後、通常は数分〜数時間で終了する。第1水素化スチレン重合体としては、水素化共役ジエン重合単位をランダム共重合成分あるいはテーパー共重合成分として含有するものが好ましい。
本発明で使用される第2水素化スチレン重合体は、水素化スチレン重合単位が60重量%〜95重量%からなりそして重量平均分子量3万〜20万である。第2水素化スチレン重合体は、溶融時には先述の第1水素化スチレン重合体との相溶性により緩和時間を短縮して流動性を向上し、固化時には靭性を維持するのに有効な構成成分である。
共重合される成分は相分離することにより、耐熱性を維持しつつ靭性を維持するために、ブロック構造を有していることが好ましい。
本発明で使用される第2水素化スチレン重合体は、重量平均分子量が3万〜20万のものである。重量平均分子量が3万に満たない場合には、成形体の靭性が低下するため好ましくない。この点から、重量平均分子量は4万以上であることがより好ましく、5万以上であることがさらに好ましく、6万以上であることがさらに好ましい。
逆に、重量平均分子量は20万以下であることが必要である。重量平均分子量が20万を超える場合には、樹脂組成物の溶融時の流動性が低下する上、後述の共重合成分の連鎖が長くなるために、相分離しやすくなる。そのため、緩和時間が長くなりすぎため、光学的には等方性の成形体が得られたとしても、分子配向が残留しやすく、物理的な形状の良好な成形体、例えば、反りの少ないディスク基板を得ることが困難となる。
この点から、重量平均分子量は18万以下であることがより好ましく、15万以下であることがさらに好ましく、12万以下であることがさらに好ましく、10万以下であることが特に好ましい。
第2水素化スチレン重合体における重量平均分子量の好適範囲は、例えば6万〜10万であるが、さらに上記の上限と下限の各数値の組み合わせから選ばれる範囲を挙げることができる。
第2水素化スチレン重合体を構成する他の重合単位としては、例えばイソプレン、1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエンの如き共役ジエンが水素化された重合単位が挙げられる。これらのなかでも重合活性や共重合による物性発現の効果の面からイソプレン、1,3−ブタジエンの使用が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上併用して用いてもよい。これらの中には重合後に炭素−炭素間の二重結合を有するものもあるが、スチレン重合体を水素化する場合に、通常は芳香族環よりも容易に水素化されるため、水素化の際こうした重合単位は水素化された構造に転換される。共役ジエン重合体水素化物セグメントは、1,4付加した共役ジエン重合体が70重量%以上からなることが好ましい。1,2付加体の含有量が30重量%を超える場合には、共役ジエン重合体水素化物のガラス転移温度が高くなる傾向がある上に、靭性が低下する傾向があるため好ましくない。1,4付加体の製造については後述する。
共役ジエンが水素化された重合単位の共重合量としては、水素化された共役ジエン重合単位が5重量%〜40重量%であることが好ましい。共役ジエンが水素化された重合単位の共重合量が5重量%に満たない場合には、衝撃強度向上の効果が充分ではないため好ましくない。この点からは、共重合量は8重量%以上であることがより好ましく、10重量%以上であることがさらに好ましく、11重量%以上であることがさらに好ましい。
逆に共重合量が40重量%を超える場合には、熱変形温度が低下したり、後述のように共役ジエンが水素化された重合単位が溶融時に相分離するために好ましくない。この点からは、共重合量は30重量%以下であることがより好ましく、以下20重量%以下であることがさらに好ましく、18重量%以下であることがさらに好ましく、16重量%以下であることが特に好ましい。
第2水素化スチレン重合体における水素化されたスチレン重合単位と水素化された共役ジエン重合単位の割合としては、例えばスチレン重合単位92重量%〜84重量%および共役ジエン重合単位8重量%〜16重量%が好ましく、さらにそれぞれ上記のスチレン重合単位と共役ジエン重合単位の好適な数値の組み合わせがあげられる。
水素化されたスチレン重合単位から主としてなるブロックをS、共役ジエンが水素化された重合単位から主としてなるブロックをDとすると、本発明で使用される第2水素化スチレン重合体としては、例えばS−D構造のジブロック体、S−D−S構造のトリブロック体、S−D−S−D構造のテトラブロック体、S−D−S−D−S構造のペンタブロック体等を挙げることができる。
また、Sブロックに関しては、全くDブロックの構成単位を含有しない場合、少量のD成分をランダムに含有する場合、Dブロックの近傍でDブロックの構成単位がテーパー状で濃度勾配を有して共重合され、境界が不明瞭な場合を挙げることができる。また、Dブロックに関しても同様の構造を挙げることが可能である。さらに、S−D−Sのトリブロック構造に関しては、D成分が3から6本程度の星状の分岐を有しているラジアル構造を有しているものを挙げることができる。
本発明の樹脂組成物の緩和時間を短縮して流動性を向上させる目的では、第2水素化スチレン重合体のDブロックの重量平均分子量は小さいほど好ましい。Dブロックの分子量が大き過ぎる場合には、溶融時にもSブロックとDブロックの相分離が起こり易くなるために、緩和時間が長くなり流動性も低下し配向が残りやすくなる。そのため、例えば0.6mm厚程度の光ディスクの成形では平坦な基板を得ることが困難となる。
溶融時の相分離を起こらなくさせるためには、Dブロックの含有量にもよるが、Dブロックの重量平均分子量が20,000以下であることが好ましく、15,000以下であることがより好ましく、12,000以下であることがさらに好ましく、11,000以下であることが特に好ましい。
一方、Dブロックの重量平均分子量が小さ過ぎる場合には、低温での固化時にSブロックとDブロックの相分離が起こりにくく、耐熱性の低下や、衝撃強度低下の原因となる。低温での相分離が起こるためには、Dブロックの含有量にもよるが、Dブロックの重量平均分子量が5,500以上であることが好ましく、7,000以上であることがより好ましく、8,000以上であることがさらに好ましい。
Dブロックの重量平均分子量としては、最適には8,000〜11,000であるが、さらに上記の好適な上限と下限の各数値の組み合わせから選ばれる範囲を挙げることができる。
他方、相分離に関しては、他の構成単位を含有せず境界が明瞭な場合には相分離しやすい方向となる。それと比較して、少量の他成分をランダムに含有する場合および他ブロックの近傍で他ブロックの構成単位が濃度勾配を有して共重合されて境界が不明瞭な場合には、相溶しやすい方向となる。
さらに、Sブロックの構造として、共役ジエンが水素化された重合単位を全く含有せず境界が明瞭な場合、少量の共役ジエンが水素化された重合単位をランダムに含有する場合、Dブロックの近傍で共役ジエンが水素化された重合単位が濃度勾配を有して共重合され境界が不明瞭な場合がある。Sブロックへの水素化された共役ジエン重合単位の共重合量は、Sブロックにおいて5重量%を超えないこと、好ましくは3重量%、より好ましく2重量%、さらに好ましくは1重量%を超えないことが熱変形温度などの耐熱性を維持する上で好ましい。
また、Dブロックの構造としても、水素化されたスチレン重合単位を全く含有せず境界が明瞭な場合、少量の水素化されたスチレン重合単位をランダムに含有する場合、Sブロックの近傍で水素化されたスチレン重合単位が濃度勾配を有して共重合され境界が不明瞭な場合があるが、Dブロックへの水素化されたスチレン重合単位の共重合量は、Dブロックにおいて10重量%を超えないこと、好ましくは8重量%、より好ましく7重量%、さらに好ましくは5重量%を超えないことが衝撃強度を向上する上で好ましい。
こうした傾向を勘案して、用途に応じて必要な分子構造、分子量が選択されるべきである。
例えば、ディスク基板のように、転写性や基板の平坦性が重要な場合には、物理的な強度が損なわれない程度に分子量は低いほど好ましい。こうした観点から、第2水素化スチレン重合体の構造は、基本的にはS−D−S構造のトリブロック体であることが好ましい。この場合、Dブロックは長くなる傾向となる。Sブロック、Dブロックの形態としては、上述の様に、境界が明確な場合、ランダムな場合、勾配のある場合において好ましく実施可能である。
第2水素化スチレン重合体の製造に使用するスチレン重合体の製造方法としては、上述のような構造を有すれば、製造方法は限定されないが、従来公知のアニオン重合法を利用して製造することが好ましい。
重合に用いられるアニオン重合開始剤としては、一般に有機リチウム化合物が用いられる。有機リチウム化合物としては、具体的にはエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等が挙げられる。これらのなかでも入手の容易さ、重合反応の開始能力等から、n−ブチルリチウムあるいはsec−ブチルリチウムが好ましく用いられる。また有機リチウム化合物を用いた場合、重合温度は、好ましくは−20℃〜120℃、より好ましくは10℃〜100℃の範囲である。重合は触媒および重合途中の重合体の活性末端の失活を防ぐため、窒素やアルゴン等の不活性雰囲気下で行う必要がある。
水素添加反応に使用されるスチレン重合体は、バッチ式あるいは連続式の重合反応設備により製造することが好ましい。以下、S−D−S構造のトリブロック構造を例にとって製造方法の好ましい態様について記載する。他の構造においても構造に応じて同様に製造が可能であり、S−D−S構造に限定された製造方法が記載されているわけではないと理解されるべきである。
バッチ式で重合反応を行う場合には、開始剤を用いてSブロックの重合を開始する。この際、所望の構造の共重合体を得るために単量体の添加方法は異なる。Sブロックの構造として、共役ジエンが水素化された重合単位を全く含有せず境界が明瞭な場合には、Sブロックの重合に関しては、スチレン単量体のみにより重合が開始されSブロックが形成される。少量の共役ジエンが水素化された重合単位をランダムに含有する場合、およびDブロックの近傍で共役ジエンが水素化された重合単位が濃度勾配を有して共重合されて境界が不明瞭な場合には、第1水素化スチレン重合体と同様にして、Sブロックが形成されることとなる。
次にDブロックが形成されるが、Dブロックに関しても水素化されたスチレン重合単位を全く含有せず境界が明瞭な場合には、共重合されるスチレン単量体以外の共重合成分のみにより重合反応が行われる。また、少量の水素化されたスチレン重合単位をランダムに含有する場合、およびSブロックの近傍で水素化されたスチレン重合単位が濃度勾配を有して共重合され境界が不明瞭な場合には、所望の共重合量に応じて、スチレン単量体が共重合されるスチレン単量体以外の共重合成分と共に重合反応が行われることとなる。
次に第2のSブロックが形成されることになるが、この重合反応は第1のSブロックの重合反応と同様にして実施される。
一方、連続式の重合反応設備で重合反応を行う場合としては、カスケード型の反応器を直列に配置した重合設備等が使用可能である。この場合には、開始剤を連続的に供給して重合反応を開始した後、スチレン単量体および共役ジエン単量体を所定の割合で連続的に添加しながら重合反応を行い、所望の分子量のものを得ることが好ましい。
この際、重合反応槽は3つ以上を準備し、第1、第3の重合槽においてはSブロックの重合、第2の重合槽においてはDブロックの重合を実施することが好ましい。各重合槽での添加する単量体の種類としては、先述のバッチ式の重合に準じて決定することができるが、本発明で使用する反応方式の場合には、単量体の反応性や重合条件にもよるが、バッチ方式よりも、第2ブロック以後のブロックには、それ以前の重合槽において未反応であった単量体が残留して共重合される可能性は高くなる。こうした重合反応は用いる開始剤の濃度および種類によるが、重合反応させるべき単量体を全て添加した後、通常は数分〜数時間で終了する。
上記いずれの重合反応においても重合反応は、炭化水素溶媒を使用して行うことが好ましい。具体的にはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンの如き脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタンの如き脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素を挙げることができる。かかる炭化水素溶媒のなかでも、溶解性、反応性の点でシクロヘキサンあるいはメチルシクロヘキサンが好ましく使用される。
上記炭化水素溶媒に加えて、重合反応の制御、共役ジエン部分のミクロ構造の制御等の目的で極性溶媒を用いてもよい。かかる極性溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテルの如きエーテル類;トリエチルアミン、テトラエチルエチレンジアミンの如きアミン類;ホスフィン類等が挙げられる。
重合反応後は、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類や水などにより重合活性末端を失活させることが好ましい。
本発明で使用される第1水素化スチレン重合体および第2水素化スチレン重合体は、上述のスチレン重合体を水素添加して得られる、芳香族環の水素化率が90モル%以上のものを指す。水素化率が90モル%未満であると、得られる水素化スチレン共重合体のガラス転移温度、耐熱安定性の低下の問題があり好ましくない。さらに、光学用途に使用する場合には、透明性の低下、成形物の複屈折率の増大があり好ましくない。水素化率は高い方が望ましいが、実際には得られる水素化スチレン重合体の物性と、該水素化率を達成するために要求される水素化工程の設備面、運転面も含めた経済性とを勘案して決定される。
水素化率は好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、さらに好ましくは99モル%以上である。なお、水素化反応では一般に、芳香族環よりも炭素−炭素間の2重結合の方が水素化されやすいので、芳香族環が水素化される条件下では実質的にほとんどの炭素−炭素間の2重結合が水素化されているとみなしうる。
水素化反応の方法としては、従来公知の水素化反応触媒を使用して実施可能である。水素化反応に使用する触媒は特に限定されず、芳香族環および2重結合を水素化することが可能な公知の触媒を使用することができる。具体的にはニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ルテニウム、ロジウムの如き貴金属またはその酸化物、塩、錯体等の化合物をカーボン、アルミナ、シリカ、シリカ・アルミナ珪藻土の如き多孔性担体に担持した固体触媒が挙げられる。これらのなかでもニッケル、パラジウムまたは白金を、アルミナ、シリカまたはシリカ・アルミナ珪藻土に担持したものが反応性が高く好ましく用いられる。かかる水素化反応触媒は、その触媒活性によるがビニル芳香族炭化水素重合体に対して0.5〜40重量%の範囲で使用することが好ましい。
水素化反応の条件は、好ましくは、水素圧30〜250kgf/cm2(3.1MPa〜25.5MPa)、反応温度70〜250℃の範囲内で行われる。反応温度が低すぎると反応が進行しにくく、反応温度が高すぎると分子鎖の切断による分子量の低下が起りやすくなる。分子鎖の切断による分子量低下を防ぎかつ円滑に反応を進行させるには、用いる水素化反応触媒の種類および濃度、共重合体の溶液濃度、分子量等により適宜決定される適切な温度、水素圧により水素化反応を行うことが好ましい。
水素化反応の際に用いられる溶媒は、水素化反応触媒の触媒毒とならない溶媒を選ぶことが好ましい。重合反応時の溶媒として用いられるシクロヘキサン、メチルシクロヘキサンの如き飽和脂肪族炭化水素を好適に挙げることができる。その他に反応の活性を高めたり、あるいは分子鎖の切断による分子量の低下を抑制したりする目的で、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、メチル−t−ブチルエーテルの如きエーテル類、エステル類、アルコール類等の極性溶媒を、共重合体の溶解性を妨げない範囲内で上記溶媒に加えてもよい。
しかし、先述のように1,4付加体を70重量%以上の割合で製造する場合には、水素化前のスチレン−ブタジエンのブロック共重合体をアニオン重合で製造する際に、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体を溶解する極性の低い反応溶媒を使用することにより製造が可能である。こうした反応溶媒としては、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを例示することができる。(エーテル系の極性溶媒を含有しないことが好ましい。)
水素化反応では、反応に使用される水素化前のスチレン重合体の濃度が3〜50重量%の範囲内で水素化反応を行うことが好ましい。重合体の濃度が3重量%未満では、生産性、経済性の面から好ましくなく、50重量%以上であると溶液粘度が上がりすぎ取り扱い面、また反応性の面からも好ましくない。
水素化反応終了後は、遠心、濾過などの公知の後処理方法により触媒の除去を行うことができる。本発明の樹脂組成物は溶融成形で使用するため、水素化スチレン重合体内の残留触媒金属成分はできる限り少なくすることが好ましい。本発明の樹脂組成物は2成分の水素化スチレン重合体からなるため、後述のような方法で2成分を混合するが、触媒除去後には、かかる残留触媒金属量が10ppm以下が好ましく、より好ましくは1ppm以下である。水素化反応触媒を除去した重合体溶液から、溶媒の蒸発留去、ストリッピングあるいは再沈殿等の方法により目的の水素化スチレン重合体の共重合体を得ることができる。
本発明の樹脂組成物は上述の第1水素化スチレン重合体および第2水素化スチレン重合体からなるが、少なくとも一方を10重量%以上含有することが必要である。第1水素化スチレン重合体が90重量%を超える場合には、熱変形温度などの耐熱性は高くなるものの、緩和時間は依然長いため配向が残りやすいため好ましくない。この点から第1水素化スチレン重合体の含有量は85重量%以下であることが好ましく、80重量%以下であることがより好ましく、75重量%以下であることがさらに好ましい。
逆に、第2水素化スチレン重合体が90重量%を超える場合には、衝撃強度は高くなるものの、相分離によって緩和時間が長くなるとか、熱変形温度が低下するため好ましくない。この点から第2水素化スチレン重合体の含有量は85重量%以下であることが好ましく、80重量%以下であることがより好ましく、75重量%以下であることがさらに好ましい。
以上のような点を考慮して、第1水素化スチレン重合体および第2水素化スチレン重合体の組成および樹脂組成物としての組成比が決められる。本発明の樹脂組成物の200℃での緩和スペクトルH(τ)は10(Pa)となる緩和時間τ(s)が10,000(s)以下であることが好ましい。緩和時間が10,000(s)を超える場合には緩和時間が長すぎるために、見かけ上の光学特性に優れる場合でも成形時の配向が成形品に残留しやすく、均一な成形体を得ることが困難である。
本発明の樹脂組成物は、第1水素化スチレン重合体と第2水素化スチレン重合体が先述の範囲の樹脂組成物となるように混合して製造することができる。該2成分の混合方法としては、1)水素化反応前に所望の比率で2つの成分を溶液状態で混合し、水素化反応、溶媒除去操作を行う、2)水素化反応後の2成分の溶液を所望の比率で混合し、溶媒除去操作を行う、あるいは3)溶媒除去操作後で取り出された第1水素化スチレン重合体と第2水素化スチレン重合体を2軸押出機などを使用して所望の割合で、溶融混合する方法が挙げられる。なお、こうした混合操作の際に同時に後述する安定剤、離型剤などの添加剤を同時に混合することが好ましい。
例えば、0.6mm厚程度のディスク基板を得る場合には残留配向に伴う反りが生じやすくなり、良好な基板を得るのが困難となる。こうした点から、200℃での緩和スペクトルH(τ)が10(Pa)となる緩和時間τ(s)は短いほど好ましく、5,000(s)以下がより好ましく、2,000(s)以下がさらに好ましく、1,000(s)以下が特に好ましい。しかしながら、緩和時間が短すぎるものは機械的強度が不足しやすくなること、また、緩和時間は樹脂組成物のガラス転移温度にも依存することを考慮すると、200℃での緩和スペクトルH(τ)が10(Pa)となる緩和時間τ(s)は実用的には0.1(s)以上であることが好ましい。こうした下限としてはさらに好ましくは1(s)以上、より好ましくは5(s)以上である。
こうした緩和スペクトルは、振動実験等から得られる複素弾性率の結果から、例えば、「新物理学進歩シリーズ 8 レオロジー」(山本 三三三著 槙書店版、39ページ、2.複素弾性率の求め方)等に記載の方法によって求めることができる。
本発明の樹脂組成物は、110℃以上のガラス転移温度を有していることが好ましい。110℃以下では耐熱性が不足するため、その用途が制限されるからである。例えば、光ディスク基板として使用する場合には、レーザーによる情報の読み取りや書き込みにより温度が上昇するため、ガラス転移温度はさらに高い方が好ましく、120℃以上であることがより好ましく、130℃以上がさらに好ましく、135℃以上であることが特に好ましい。
さらに、本発明の樹脂組成物を光学用途に使用する場合には、粒径0.5μm以上の大きさの異物を1×105個/g以下含むことが好ましい。例えばDVD等の光ディスク基板として使用する場合には、異物の含有量が1×105個/gを超える場合にはエラーの原因になり好ましくない。ここで、異物としては、原料に含まれる不純物、製造工程で混入した不純物、重合体のゲル化物、水素化触媒の残留物などが挙げられる。
本発明の第1および第2水素化スチレン重合体には、溶融成形時の熱安定性を向上させるため、イルガノックス1010、1076(チバガイギー社製)等のヒンダードフェノール系安定剤;HP136(チバガイギー社製)等のベンゾフラノン系安定剤;イルガフォス168(チバガイギー社製)等のホスファイト系等に代表される安定剤を加えることが可能である。本発明の樹脂組成物は、第1および第2水素化スチレン重合体(A)および(B)の合計量100重量部に対して、付加型安定剤を好ましくは0.01重量部〜2重量部を含有していることが好ましい。
付加型安定剤は、重合体が高温で開裂した際に生成するラジカルと反応することにより、重合体を安定化する。かかる付加型安定剤としては、下記式
ここで、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、R4は水素原子またはメチル基である、但し複数のR1、および複数のR2のそれぞれは同一であっても異なっていてもよい、
で表される化合物を挙げることができる。
上記式(1)で表される付加型安定剤は、分解物を生じることなく、重合体の開裂鎖末端に生じたC−ラジカルを安定化する。
上記式(1)において、R1〜R3で示されるアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基が挙げられる。R1としては、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基のような立体障害になる嵩高いアルキル基が熱安定化の効果ならびに製造の容易さの上でも好ましい。中でも、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基が好ましい。R2としては、製造の容易さの観点からはメチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基が好適に用いられるが、メチル基は水素引き抜きを伴う副反応を起こしやすく、その意味でさらに好ましいのはtert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基である。R3としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基のような立体障害になりにくいアルキル基が、製造の観点から好ましい。R4は水素原子またはメチル基である。
上記式(1)で示されるヒンダードフェノール基を含有するアクリレート化合物は、市販品、例えば、住友化学工業(株)製の商品名「スミライザー(Smilizer)GM」、「スミライザー(Smilizer)GS」として入手することができる。かかる付加型安定剤の添加量が重合体100重量部に対して、0.01重量部未満の場合には、熱安定化の効果が少ないため好ましくない。添加量が2重量部を超える場合には、成形時に金型汚れの原因となったり、光学用途として使用する際には、短波長側での光線透過率が低下するため好ましくない。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、長鎖脂肪族アルコール、長鎖脂肪族エステルの如き離型剤、その他滑剤、可塑剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤等の添加剤を添加することができる。これらの内でも、本発明の樹脂組成物は射出成形で使用することが好ましいため、長鎖脂肪族アルコール、長鎖脂肪族エステル等の離型剤を0.005重量部以上、1重量部以下含有していることが好ましい。
中でも離型剤としては、樹脂組成物100重量部に対して、グリセリンモノエステル化物を0.005〜1重量部含有していることが好ましい。添加量が樹脂組成物100重量部に対して、0.005重量部未満の場合には、射出成形時の金型からの離型効果が少ないため好ましくない。添加量が1重量部を超える場合には、成形時に金型汚れの原因となったり、光学用途として使用する際には、透明性低下の原因となったり、ブリードアウトして表面を汚すため好ましくない。
本発明の樹脂組成物は、溶融時の緩和時間が短く、流動特性に優れるため、射出成形により成形ひずみの少ない各種部品や部材に成形することが可能である。なかでも、透明性に優れた複屈折の小さな成形体を射出成形により成形することができるため光学用部品として使用することに優れている。具体的な好ましい用途としては、CD、DVD、MO、MD等の基板内を光線が透過する光ディスク基板、それらに使用されるピックアップレンズなどの各種レンズ、LCD用の導光板、各種光学用保護フィルム等の光学用部品を挙げることができる。
こうした用途に使用する場合には、使用する光線の波長において、光線透過率が85%以上であることが好ましい。また、光学特性を必要としない場合としては、HDD用の基板等のように支持体として利用されるディスク基板等を例示することができる。
本発明の樹脂組成物は射出成形により良好な成形体を得ることができるが、ディスク形状の成形体として使用することが好ましい。ディスク形状としては用途にもよるが厚さ1.3mm以下のディスク基板を好ましく例示することができる。こうしたディスク基板は、少なくともその一方の面上に金属膜や記録層を形成されたディスク型記録媒体として使用することが可能である。
光ディスク基板としては、CD、CD−ROM、DVD−ROM等のようにユーザーが再生のみを行うROM(Read Only Memory)型光ディスク、あるいは光磁気ディスク、相変化ディスクのようにユーザーが任意情報を記録し、必要に応じて再生、追加書き込みあるいは書き換えが行われるRAM(Random Access Memory)型光ディスク、1度だけ書き込むことができるライト・ワンス型のCD−R、DVD−R等として使用可能である。
本発明における樹脂組成物は、従来公知の射出成形機等により、ディスク基板を始めとする各種の成形品の製造が可能である。一般的な成形条件としては、成形品の形状にもよるところが大きいが、成形時の溶融温度を、概略、300℃から370℃とするのが好ましい。300℃より溶融温度が低い場合には、樹脂組成物の溶融粘度が高すぎるため、良好な転写性を実現できない。370℃以上の溶融温度で成形する場合には、溶融時の熱劣化が激しいため、靭性が不足し、金型からの取出し時に破損する恐れも出てくる。成形時の溶融温度はより好ましくは310℃以上、より好ましくは360℃以下であり、さらに好ましくは320℃以上、特に好ましくは350℃以下である。
また、成形時の金型温度は、使用する樹脂組成物の(ガラス転移温度−90℃)から(ガラス転移温度−10℃)程度の範囲が好ましい。金型温度が(ガラス転移温度−90℃)より低い場合には、樹脂組成物の流動性が低下するために表面性が悪化したり、樹脂が充分に金型内に充填しなくなり好ましくない。特にピットやランド−グルーブ構造を有するディスクの成形時にはそうした形状の転写が不十分となり好ましくない。
金型温度が、(ガラス転移温度−10℃)より高い場合には、樹脂組成物の流動性自体は向上するものの、樹脂組成物のガラス転移温度と近すぎるため、金型からの取り出し時に変形を受け、好ましくない。こうした金型温度の好ましい範囲は、その成形品に依存するところが非常に大きく、ピットやランド−グルーブ構造等の精密な転写を必要としない場合には、(ガラス転移温度−80℃)から(ガラス転移温度−20℃)程度の範囲がより好ましい。また、精密な転写を必要とする場合には、(ガラス転移温度−60℃)から(ガラス転移温度−10℃)程度の範囲がより好ましい。
発明の効果
本発明の樹脂組成物は溶融時の緩和が早いために、溶融成形により容易に残存ひずみが小さい成形品の製造が可能である。さらに本発明の樹脂組成物はその分子構造から吸水率が小さいため、湿熱環境下での形態安定性に優れた成形品を製造することができる。また、透明性に優れ、複屈折も小さいことから光ディスクやピックアップレンズに代表されるような光学製品を好ましく製造することができる。
実施例
以下、実施例により本発明の実施の形態を説明するが、これらは本発明の発明を制限するものではない。なお、実施例中、「部」は「重量部」を表すものとする。
シクロヘキサン、メチル−t−ブチルエーテル(以上溶媒)、スチレン、イソプレンは、すべて蒸留精製を行い充分に乾燥したものを用いた。
n−ブチルリチウムは関東化学(株)よりn−ヘキサン溶液を購入し、そのまま用いた。
ニッケル/シリカ・アルミナ触媒(Ni担持率65重量%)はAldrichより購入し、そのまま用いた。
実施例で行った各種物性測定は以下の方法で行ったものである。
重量平均分子量:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(昭和電工(株)製GPC、Shodex System−11)により、THFを溶媒として測定し、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
ガラス転移温度(Tg):TAInstruments製 2920型DSCを使用し、昇温速度は20℃/分で測定した。
共重合率および水素化率:JEOL JNR−EX270型核磁気共鳴吸収装置を用い、1H−NMR測定により水素化率を定量した。
緩和スペクトルおよび緩和時間:レオメトリック・サイエンティフィック(株)社製RDAII型を使用してコーンプレート型ジグを用いて200℃、230℃、260℃で複素弾性率の周波数分散の測定を行った。得られた結果から時間温度の重ね合わせの原理に基づいてマスターカーブを作成した後、「新物理学進歩シリーズ 8 レオロジー」(山本 三三三著 槙書店版、39ページ、2.複素弾性率の求め方)等に記載の方法に従って、G’(ω)を用いた一次近似による緩和スペクトルH1(τ)の算出を行った。なお緩和時間は緩和スペクトルより読み取った。
アイゾット衝撃強度:溶融温度300℃、金型温度70℃で射出成形を行って、1/4インチ厚の試験片を成形し、(株)上島製作所製UF IMPACT TESTERを使用して、成形サンプルをノッチ付きとノッチなしで衝撃試験を行い測定した。
ディスク基板成形:射出成形機(日精樹脂工業(株)製の商品名「MO40D3H」)により、DVD用の金型とランド−グルーブ構造を有するスタンパー(容量2.6GB)を使用し、直径12cm、0.6mm厚のディスク基板をシリンダー温度、射出成形用金型温度を制御して射出圧縮成形によりDVDディスク基板の成形を行った。
転写:原子間力顕微鏡(セイコー電子工業製の商品名「SFA−300」)を用い、ディスク基板の中心から55mmの位置での断面形状から判断した。
ディスク基板の反り:射出圧縮成形より得られたディスク基板を単板で、JIS X6243に従い、ディスクの半径方向の角度偏差α(°)を測定した。ディスクの各点で測定したαの絶対値で最大の測定値を示す。
X線小角散乱:SAXS測定は回転式陰極X−線源(理科学RU−200B、入(Cu・Kα)=0.154nm)からなる装置で、45KVおよび70mAで行った。入射X線ビームはオスミウム同焦点鏡を用いて単光色とされ且つ焦点を合されそして一組の3つのピンホールコリメーターが用いられた。散乱パターンを120×120mm2面積を持つ結像板(IP)によって検出した(解像度50μm)。サンプルと検出器の距離は720mmであった。空気の散乱と吸収を低減するため、サンプルとIPとの間に真空室を設けた。ディスク基板から切出した3個のサンプル片を全厚が約1.8mm×10mm×10mmとなるように重ね合せた。
製造例1
第1水素化スチレン重合体
十分に乾燥し、窒素置換した撹拌機付き金属製オートクレーブに、スチレン250g、イソプレン3.8g、シクロヘキサン1,286gを乾燥して仕込んだ。溶液を40℃まで加熱した後、1.6Mのn−ブチルリチウム−シクロヘキサン溶液4.9mLを加え1.5時間反応させた。続いてスチレン250g、イソプレン3.8g、シクロヘキサン1,286gからなる乾燥した溶液を加えて1.5時間反応させた後、さらに続いてスチレン250g、イソプレン3.8g、シクロヘキサン1,286gからなる乾燥した溶液を加えて1.5時間反応させた。反応終了後2−プロパノール1.6gを加えて重合末端を安定化させ、スチレン−イソプレン共重合体を得た。GPCから求めた数平均分子量は112,000、重量平均分子量は123,000であり、1H−NMRから求めたスチレン−イソプレンの重量比は99.5/0.5であった。
この溶液にニッケル/シリカアルミナ80g、シクロヘキサン200gからなるスラリーおよびメチル−t−ブチルエーテル650gを加え、水素圧10MPa、温度180℃で4時間水素化反応を行った。反応終了、溶液を常温まで冷却後、溶液をオートクレーブから取り出した後0.1μのメンブレンフィルターを用い0.4MPaの窒素圧をかけて水素化反応触媒を濾別した。得られた溶液を溶液1とする。
溶液1のうち20gを採取して2−プロパノールで再沈、さらに清浄な2−プロパノールで洗浄、60℃減圧乾燥の結果得られた共重合体フレークは3.4gであった。また、このフレークのGPCから求めた数平均分子量は84,000、重量平均分子量は93,000であり、1H−NMRから求めた水素化率は99%以上であった。
製造例2
第2水素化スチレン重合体
十分に乾燥し、窒素置換した撹拌機付き金属製オートクレーブにスチレン375g、シクロヘキサン1,830gからなる乾燥した溶液を仕込み40℃まで加熱した後、1.6Mのn−ブチルリチウム−シクロヘキサン溶液7.9mLを加え1.5時間反応させた。続いてイソプレン112g、シクロヘキサン500gからなるモレキュラーシーブ4Aを用いて乾燥した溶液を加えて1.5時間反応させた後、さらに続いてスチレン375g、シクロヘキサン1,830gからなる乾燥した溶液を加えて1.5時間反応させた。反応終了後2−プロパノール1.6gを加えて重合末端を失活化させ、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を得た。GPCから求めた数平均分子量は68,000、重量平均分子量は79,000であり、1H−NMRから求めたスチレン−イソプレンの重量比は88/12であった。
この溶液にニッケル/シリカアルミナ80g、シクロヘキサン200gからなるスラリーおよびメチル−t−ブチルエーテル650gを加え、水素圧10MPa、温度180℃で4時間水素化反応を行った。反応液を常温まで冷却しオートクレーブから取り出した後、公称孔径0.1μのメンブレンフィルターを用い0.4MPaの窒素圧をかけて水素化触媒を除去した。得られた溶液を溶液2とする。
溶液2のうち20gを採取して2−プロパノールで再沈、さらに清浄な2−プロパノールで洗浄、60℃減圧乾燥の結果得られた共重合体フレークは3.8gであった。また、このフレークのGPCから求めた数平均分子量は60,000、重量平均分子量は70,000であり、1H−NMRから求めた水素化率は99%以上であった。
実施例1
溶液1および溶液2を、それぞれの共重合体含有量が1:1となるように混合した後、共重合体100重量部に対して、スミライザーGS(住友化学社製)0.5重量部となるように添加した後、溶液を徐々に昇温と減圧を行い、最終的に260℃、1mmHgとして、シクロヘキサンを除去した。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は138℃であった。200℃での緩和スペクトルを図1に示す。また、緩和スペクトルH1(τ)が10(Pa)となる緩和時間τ(s)、アイゾット衝撃強度の結果を表1に示す。
実施例2
製造例1と同様にして、3度に分けて原料を仕込むことにより、スチレン−イソプレンの重量比が99.5/0.5の共重合体を製造し、水素化反応を行い、水素化率99%以上、重量平均分子量は92,000の共重合体を得た。また、製造例2と同様にして、スチレン−イソプレンの重量比が88/12の共重合体を製造し、水素化反応を行い、水素化率99%以上、重量平均分子量は84,000の共重合体を得た。
さらに実施例1と同様にして、上記のそれぞれの共重合体含有量が1:1となるように混合した後、共重合体100重量部に対して、スミライザーGS(住友化学社製)0.5重量部となるように添加して、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は139℃であった。緩和スペクトルを図1に示す。また、緩和スペクトルH1(τ)が10(Pa)となる緩和時間τ(s)を表1に示す。さらに得られた樹脂組成物を使用し溶融温度320℃、金型温度115℃でディスク基板を成形した。得られたディスク基板はランド−グルーブ構造をうまく転写できていた。また、反りの測定結果を表に記載する。さらに得られたディスク基板の中心から40mm近辺を切り出し、小角X線散乱の測定を実施した。図3、図4に結果を示す。この結果から相分離に伴う散乱は観察されたが、ディスク基板の半径方向と円周方向で異方性がないことが確認された。
実施例3
製造例1と同様にして、3度に分けて原料を仕込むことにより、スチレン−イソプレンの重量比が99.5/0.5の共重合体を製造し、反応を行い、水素化率99%以上、重量平均分子量は140,000の共重合体を得た。また、製造例2と同様にして、スチレン−イソプレンの重量比が85/15の共重合体を製造し、水素化反応を行い、水素化率99%以上、重量平均分子量は67,000の共重合体を得た。
さらに実施例1と同様にして、上記のそれぞれの共重合体含有量が1:1となるように混合した後、共重合体100重量部に対して、スミライザーGS(住友化学社製)0.5重量部となるように添加して、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は142℃であった。また、緩和スペクトルH1(τ)が10(Pa)となる緩和時間τ(s)、アイゾット衝撃強度の結果を表1に示す。
比較例1
製造例2と同様に、アニオン重合によりスチレン−イソプレンの重量分率が90/10のS−D−S型のトリブロック共重合体を重合した後、水素添加反応を行い水素化されたスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体を製造した。得られた共重合体は、重量平均分子量77,000、1H−NMRから求めた水素化率は99%以上であり、ガラス転移温度温度は、136℃であった。また、緩和スペクトルH1(τ)が10(Pa)となる緩和時間τ(s)、アイゾット衝撃強度の結果を表1に示す。
この共重合体を用いて、実施例2と同様にディスク基板成形を行ったところ、ディスク基板の中心孔の周辺にクラックが発生した。このディスク基板について小角X線散乱の測定を実施した。図2、図4に結果を示す。
【図面の簡単な説明】
図1は実施例1および2のそれぞれで得られた樹脂組成物の200℃を基準とした緩和スペクトルを示す。
図2は比較例で得られたディスク基板の小角X線散乱像の半径方向、円周方向に対する散乱強度の等高線図を示す。
図3は実施例2で得られたディスク基板の小角X線散乱像の半径方向、円周方向に対する散乱強度の等高線図を示す。
図4は実施例2、比較例で得られたディスク基板の小角X線散乱像の半径方向、円周方向の動径方向の散乱強度分布を示す。
Claims (8)
- (1)水素化スチレン重合単位の含有量が95重量%を超え99.99重量%以下でありそして重量平均分子量が3万〜30万の範囲にある第1水素化スチレン重合体10〜90重量% および
(2)水素化スチレン重合単位の含有量が60〜95重量%でありそして重量平均分子量が3万〜20万の範囲にある第2水素化スチレン重合体10〜90重量%
但し重量%は第1水素化スチレン重合体と第2水素化スチレン重合体の合計を100重量%とした値である、
からなる樹脂組成物。 - 第1水素化スチレン重合体が水素化共役ジエン重合単位を、共重合成分として、0.01〜5重量%で含有する請求項1に記載の樹脂組成物。
- 第1水素化スチレン重合体がランダム共重合成分あるいはテーパー共重合成分として水素化共役ジエン重合単位を含有する請求項2に記載の樹脂組成物。
- 第2水素化スチレン重合体が水素化共役ジエン重合単位を、共重合成分として、5〜40重量%で含有する請求項1に記載の樹脂組成物。
- 第2水素化スチレン重合体が水素化スチレン重合単位ブロックと水素化共役ジエン重合単位ブロックからなるブロック重合体である請求項4に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物の射出成形品である光学用部品。
- 厚さ1.3mm以下のディスク基板である請求項6に記載の光学用部品。
- 請求項7に記載の厚さ1.3mm以下のディスク基板および該ディスク基板上の記録層からなるディスク型記録媒体。
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