JP4587679B2 - 芳香族含有環状オレフィン共重合体の製造方法 - Google Patents

芳香族含有環状オレフィン共重合体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4587679B2
JP4587679B2 JP2004054965A JP2004054965A JP4587679B2 JP 4587679 B2 JP4587679 B2 JP 4587679B2 JP 2004054965 A JP2004054965 A JP 2004054965A JP 2004054965 A JP2004054965 A JP 2004054965A JP 4587679 B2 JP4587679 B2 JP 4587679B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copolymer
aromatic
cyclic olefin
norbornene
ethylene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004054965A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005239975A (ja
Inventor
能久 林田
佳輝 高谷
稔 飯島
徹也 飯塚
利郁 竹森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Maruzen Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Maruzen Petrochemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Maruzen Petrochemical Co Ltd filed Critical Maruzen Petrochemical Co Ltd
Priority to JP2004054965A priority Critical patent/JP4587679B2/ja
Publication of JP2005239975A publication Critical patent/JP2005239975A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4587679B2 publication Critical patent/JP4587679B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

本発明は、耐熱性、耐熱老化性等の化学的特性、透明性、屈折率等の光学的特性、及び、耐衝撃性等の機械的特性に優れた芳香族含有環状オレフィン共重合体の製造方法、その製造方法によって得られた共重合体、及び該共重合体からなる光学材料、電気・電子材料に関する。
高分子材料は、ガラス材料と比較して軽量で機械的物性にも優れるため種々の光学用途材料、電気・電子用途材料として注目されている。また、高分子材料は成形性に優れるため、コンパクト化、薄膜化が容易であり、ガラス材料を用いる場合に比べて製品の小型化、軽量化、耐久性の向上が期待できる。更には高分子の柔軟性や強靱性を活かしたフレキシブルな光学材料の製造も可能であり、近年の情報処理技術の進展に伴い、光通信用ファイバー、光集積回路や配線板等が高分子材料を用いて製造できることが期待されている。これらの用途向けの材料に求められる性能として、透明性、耐熱性、耐衝撃性、誘電特性などの光学特性、電気的特性、機械的特性が挙げられる。
例えば、従来、透明性に優れた樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、芳香族含有環状オレフィン系樹脂などが知られている。ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐熱性、耐熱老化性、耐衝撃性などに優れるが、強アルカリに侵されやすく、耐薬品性に劣るという欠点を有している。また、ポリメチルメタクリレート樹脂は耐溶剤性、耐熱性、耐湿性などが悪いという欠点がある。
また、環状オレフィン系樹脂は、環構造を有しないオレフィン系樹脂に比べて、高いガラス転移温度を有し透明性に優れているものの、上記のポリカーボネート樹脂やポリメチルメタクリレート樹脂に比べた場合、耐薬品性、耐溶剤性、機械的特性などに優れるが、耐熱性や透明性の点で劣っている。例えば、特許文献1によれば、付加重合によるエチレンとノルボルネン類を用いた環状オレフィン共重合体は光学特性に優れ、しかも、耐熱性、耐熱老化性、耐薬品性、耐溶剤性、誘電特性、及び機械的強度のバランスのとれた樹脂ではあるが、組成の不均一性に起因する部分的な結晶化に起因して透明性に問題を有することが開示されている。
或いは、電気・電子材料に用いられる液晶表示素子としては各画素に薄膜トランジスタを設け、走査信号とデータ信号により各画素を駆動するアクティブマトリクス型液晶表示素子の表示品位が高いことから今後の主流になる事が期待されている。この型の液晶表示素子は透明絶縁基板上に薄膜トランジスタアレイを形成したアクティブマトリクス基板と、透明絶縁基板上に透明電極を形成した対向基板とを対向配置し、その間隙に液晶材料を封止してできる。
そのため、アクティブマトリクス基板を構成する透明絶縁基板においては絶縁膜形成などのため高い耐熱性が要求され、ガラスに比べ耐熱性に劣るプラスチック基板では加工中に変形などが起き、その使用が困難であった。
一方、環状オレフィンの開環メタセシス重合によって得られた重合体は透明性の点で優れるものの、耐熱性のコントロールが難しく、耐熱性の高いものが得られないという問題がある。また、開環メタセシス重合によって得られた重合体は、構造上、主鎖中に二重結合を含むため、熱安定性の観点から、水素化工程が必要であり、付加重合と比較し製造上不利である。
また、特許文献2には、エチレンと5−アリール−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン化合物(フェニル−ノルボルネン)とを含む原料を共重合させたランダム共重合体が開示されている。この共重合体は、可溶性のバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒を使用して製造され、フェニル−ノルボルネンの29モル%含有品ではガラス転移点が150℃とかなり高いことが示されている。また、原料であるフェニル−ノルボルネンは、芳香族オレフィン化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、インデン等)と、シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンとのディールス・アルダー反応等よりモノマーの製造が容易であることが示されている。
更に、特許文献3や特許文献4によれば、得られる芳香族含有環状オレフィン共重合体は、高い耐衝撃性を有することが開示されている。しかし、例えば、特許文献3において、メタロセン/MAO(或いはB系助触媒)系触媒を使用すると、α‐オレフィンと芳香族置換ノルボルネンとの共重合を実施しても、共重合性が悪く、重合活性も低く、例えば、高いガラス転移点を有する共重合体を得ることに限界があった。
また、これらの芳香族含有環状オレフィン共重合体は、ノルボルネンやテトラシクロドデセンなどの芳香族を含まない環状オレフィン共重合体と比べ、耐熱老化性が悪く、比較的低い温度条件であっても、容易に酸化し易く黄変したり、架橋反応や分解反応が起きる。従って、成型加工性が悪く、使用条件によっては、得られる共重合体の光学特性が低下し、同用途への利用が難しく、更なる特性の改良が望まれている。
特許第1988424号公報 特許第2029392号公報 特表平11−504669号公報 特許第3203029号公報
本発明の目的は、上記のような従来の芳香族含有環状オレフィン共重合体の有する問題点を解決し、耐熱性、耐衝撃性、耐熱老化性、透明性などの光学材料特性に優れ、かつ、ガラス転移点が高い芳香族含有環状オレフィン共重合体の製造方法、それによって製造された共重合体、及び該共重合体を含む光学材料、電気・電子材料を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意研究を重ねた結果、α―オレフィンと特定の構造を有する芳香族含有環状オレフィンとを、特定の構造を有するメタロセン化合物とアルミノキサンと組み合わせた触媒の存在下に共重合させることにより、上記の目的を達成できることを見出し本発明に到達した。
即ち、本発明における特定構造を有する芳香族含有環状オレフィンは、5-メチル若しくはエチル-5-フェニル-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン(メチル若しくはエチルフェニルノルボルネン)からなる芳香族含有環状オレフィンと、α−オレフィンとを、特定の構造を有するメタロセン化合物とメチルアルミノキサンと組み合わせた触媒の存在下に共重合させることにより、得られる共重合体は、耐熱性、耐熱老化性、及び透明性などの光学特性に極めて優れることが判明した。従って、得られる芳香族含有環状オレフィン共重合体樹脂は、光ファイバー、レンズ、ディスク、又は窓ガラスなどの光学材料や電気・電子材料として極めて有用である。
(1)α−オレフィンと、5-メチル若しくはエチル-5-フェニル-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン(メチル若しくはエチルフェニルノルボルネン)からなる芳香族含有環状オレフィンとを、メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドとメチルアルミノキサンとを含む触媒の存在下に共重合させることを特徴とする芳香族含有環状オレフィン共重合体の製造方法。
(2)前記α−オレフィンと、前記芳香族含有環状オレフィンと、更に、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン(ノルボルネン)からなる環状オレフィンとを共重合さる上記81)に記載の芳香族含有環状オレフィン共重合体の製造方法。
上記(1)又は(2)に記載の製造方法で得られ、かつ示差走査熱量分析計(空気中(空気供給速度50ml/min)で温度30℃から350℃に昇温速度5℃/minでて昇温させて測定)による発熱開始温度が180℃以上である芳香族含有環状オレフィン共重合体。
)上記()に記載の芳香族含有環状オレフィン共重合体を含む光学材料。
)上記()に記載の芳香族含有環状オレフィン共重合体を含む電気・電子材料。
本発明の芳香族含有環状オレフィン共重合体の製造方法は、触媒は高活性でしかも高い共重合性を示し、効率的な製造方法であるとともに、かつ得られた芳香族含有環状オレフィン共重合体は、極めて高いガラス転移点を有し、耐熱性、耐熱老化性、低黄色性等の化学的特性、透明性、屈折率等の光学的特性、及び、耐衝撃性等の機械的特性に優れる。
特に、本発明の芳香族含有環状オレフィン共重合体は、耐熱性とともに耐熱老化性に優れる。従来の芳香族含有環状オレフィン共重合体は高い耐熱性を有しながらも、耐熱老化性の悪さから高い成型加工温度が必要なために、成型加工時に劣化が生じ、更に材料として使用するにあたっても高温条件下での使用による劣化が避けられず、劣化に伴う光学特性の低下が起こしていた。しかし、本発明の共重合体は、耐熱性を損なうことなく高い耐熱老化性があるため成形時などの劣化を抑制でき、透明性、低黄色度の優れた光学材料、及び電気・電子材料を提供する。
以下、本発明について具体的に説明する。本発明に使用されるα−オレフィン(モノマー成分[A])としては、エチレンの他に、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン等の好ましくは炭素数1〜20の鎖状のα−オレフィンが挙げられる。これらのうち、特にエチレンが好ましい。
本発明おいて、上記モノマー成分[A]と共重合させるモノマー成分[B]である芳香族含有環状オレフィンとしては、5-メチル-5-フェニル-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン(メチルフェニルノルボルネン)又は、5-エチル-5-フェニル-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン(エチルフェニルノルボルネン)が挙げられる。
上記のモノマー成分[B]は、対応するシクロペンタジエンと芳香族含有オレフィンをディールス・アルダー反応させることによって得ることができる。例えば、5-メチル-5-フェニル-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エンの製造方法としては、よく乾燥させ窒素置換したオートクレーブ中に、シクロペンタジエンの二量体であるジシクロペンタジエンを加え、α―メチルスチレンをジシクロペンタジエンに対して2.2倍モル量加える。重合禁止剤として、tert-ブチルカテコールをα―メチルスチレンに対して1.0重量%加える。窒素で微加圧にし、180℃まで昇温させる。内温が180℃に達してから3〜9時間反応させる。予定していた反応時間経過後、室温まで冷却し、反応液を取り出す。反応液を水酸化カリウム水溶液でアルカリ洗浄し、重合禁止剤を除去する。その後、脱水剤として水素化カルシウムを加え、減圧蒸留により目的とする芳香族含有環状オレフィンを得ることができる。
本発明において、モノマー成分[A]とモノマー成分[B]を共重合して得られる共重合体において、モノマー成分[B]は少なくとも5モル%以上含まれる。モノマー成分[A]の繰り返し単位は、共重合体全体の20〜95モル%、好ましくは、30〜90モル%、特に好ましくは、40〜90モル%である。一方、モノマー成分[B]の繰り返し単位は共重合体全体の80〜5モル%、好ましくは、70〜10モル%、特に、60〜10モル%である。また、モノマー成分[C]を含む共重合体においては、モノマー成分[C]の繰り返し単位は共重合体中、70モル%以下、好ましくは60モル%以下、特に好ましくは50モル%以下である。また、共重合体に含まれるモノマー成分[A],モノマー成分[B]及びモノマー成分[C]は1種類だけではなく、複数の種類を混合して使用してもよい。
本発明では、上記のモノマー成分[A]、[B]及び[C]を共重合させて、芳香族含有環状オレフィン共重合体を製造する場合、メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(以下、メタロセン化合物〔a〕ともいう)メチルアルミノキサン(以下、アルミノキサン〔b〕ともいう)、及び必要に応じて有機アルミニウム化合物[c]とを含む触媒が用いられる。
また、上記メタロセン化合物[a]とともに、本発明で使用される触媒を構成するもう
一つの成分であるメチルアルミノキサン(MAO)は好ましくは分子量200〜10,000を有する。
上記メチルアルミノキサンは芳香族炭化水素溶媒(ベンゼン、トルエンなど)に対して可溶であるが、本発明では、このようなメチルアルミノオキサンの外に、芳香族炭化水素溶媒に不溶化したアルミノキサンを使用することができる。
アルミノキサンは既知の方法、例えば、炭化水素溶媒中にトリアルキルアルミニウム化合物を溶解させ、トリアルキルアルミニウム化合物に対して等量の水を徐々に加えて加水分解する方法や炭化水素溶媒中で硫酸銅水和物などを懸濁させ、該水和物結晶水に対して1〜3倍当量のトリアルキルアルミニウム化合物を接触させて加水分解する方法などで製造できる。また、芳香族炭化水素溶媒に不溶性のアルミノキサンは、例えば、アルミノキサン溶液と、水又は活性水素含有化合物とを接触させる方法、あるいは、トリアルキルアルミニウムの様な有機アルミニウム化合物と水とを接触させる方法などにより製造することができる。使用するアルミノキサンは上記のように合成してもよいが、勿論市販のものも使用できる。
本発明で使用される触媒は、更に、必要に応じて有機アルミニウム化合物[c]も触媒成分として含むことができる。該有機アルミニウム化合物[c]としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-イソ-ブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムフェノキシド等が挙げられる。なかでも、特に、トリメチルアルミニウムやトリエチルアルミニウム、トリ-イソ-ブチルアルミニウムが好ましい。
上記の触媒成分[a]〜[c]の使用量は、重合系内のメタロセン化合物[a]の遷移金属濃度として、好ましくは、10-6〜1グラム原子/リットル、特に好ましくは、10-5〜10-1グラム原子/リットルである。また、アルミノキサン[b]の使用量は、重合系内のアルミニウム濃度として、好ましくは、10-4〜10グラム原子/リットル、特に好ましくは、10-3〜1グラム原子/リットルである。また、必要に応じて使用される有機アルミニウム化合物[c]の使用量は重合系内のアルミニウム濃度として、アルミノキサン[b]]とは別に、好ましくは、10-6〜10グラム原子/リットル、特に好ましくは、10-5〜1グラム原子/リットルである。
本発明で上記各触媒成分は、芳香族炭化水素溶媒、例えばトルエンなどの適当な溶媒中で予め混合した溶液を重合系に供給してもよいし、あるいは上記各成分はモノマー又は適当な溶媒に溶かした溶液を同時又は別々に重合系内に供給してそこで混合させてもよい。なかでも、上記メタロセン化合物(a)、アルミノキサン(b)及び必要に応じて有機アルミニウム化合物(c)を予め混合して重合系に供給するのが好ましい。
本発明において、上記触媒を用いて、モノマー成分[A]、モノマー成分[B]、及び必要に応じて、モノマー成分[C]を共重合させる重合方法は、バッチ式又は連続式の気相重合方法、塊状重合方法、適当な溶媒を使用する溶液重合方法、あるいはスラリー重合方法などの何れの重合方法でもよい。なかでも、反応系が均一であるため熱伝導が良く、重合反応の制御が容易であり、重合生成物が溶媒に均一に分散し、活性点の周りに堆積しないことから、重合活性の低下が起きにくく、嵩高いモノマーも重合しやすいなど理由により溶液重合方法が好ましい。溶液重合方法の場合に使用される溶媒としては、好ましくは不活性炭化水素溶媒が使用されるが、モノマー成分[B]又はモノマー成分[C]を溶媒として用いてもよい。不活性炭化水素溶媒としては、例えば、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカリン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ナフサ、灯油、軽油等の石油留分等を用いることができ、これらの溶媒を混合して用いてもよい。好ましい溶媒としては芳香族炭化水素が挙げられ、特に好ましい溶媒としてはトルエンが挙げられる。
重合条件として、温度は一般に−100〜250℃、好ましくは、−50〜200℃、特に好ましくは、0〜150℃である。また、圧力は、一般に10MPa以下、好ましくは、常圧〜5MPaである。反応時間は、単量体の種類、触媒濃度、重合温度等の反応条件により異なるが、通常は3分〜5時間、好ましくは5分〜3時間である。なお、この反応時間は、連続式で共重合させる場合には重合液の平均滞留時間を示している。なお、目的とする共重合体の分子量は、系内に水素を導入してコントロールすることができる。
なお、本発明で使用する触媒の特徴は、従来の触媒と比べ、高活性でしかも、芳香族含有環状オレフィンの共重合性が高い。そのような触媒を用いて共重合することによって高いガラス転移点、しいては耐熱性が優れた共重合体が得られる。更に、本発明においては、特定の芳香族含有環状オレフィンを用いることで、得られる共重合体が、従来にない、透明性、低黄色度、耐熱老化性の優れたものとなる。
上記に示す反応条件によって、目的とする芳香族含有環状オレフィン系共重合体を含む溶液が得られる。この重合液中に、通常、芳香族含有環状オレフィン系共重合体は、好ましくは1〜500g/リットル、特に好ましくは5〜300g/リットルの濃度で含まれる。この重合液を常法に従って処理することにより環状オレフィン系共重合体が得られる。例えば、重合液にメタノールを加え反応を停止させた後に触媒成分をセライトなどのろ過助剤に吸着させた後、吸着した触媒と共にセライトをろ過して分離したり、又は重合液にシリカゲルなどを接触させて共重合体から触媒成分を分離できる。次いで、この重合液を以下の(A)や(B)の方法で目的とする芳香族含有環状オレフィン系共重合体を得ることができる。
(A)強攪拌下に大過剰(例えば3倍量以上)のアセトンなどの貧溶媒中に投入して環状オレフィン系共重合体を析出させる。析出した共重合体を濾別して、アセトンなどの共重合体に対する貧溶媒で洗浄する。必要に応じて析出した共重合体を良溶媒に再溶解させ、再度アセトンなどの貧溶媒中に投入して環状オレフィン系共重合体を析出させる。蒸発機などを使用して未反応モノマーや溶媒成分を蒸発させて除去し、重合体を乾燥させながら得る。
本発明により得られた芳香族含有環状オレフィン系共重合体は、耐熱性、耐衝撃性、透明性とともに、特に耐熱老化性に優れており、従来の芳香族含有環状オレフィン共重合体で生じていた加熱による酸化反応、分解反応、及び架橋反応が起きない。このような本発明の共重合体は以下に示すような3つの特長を有する。
a.酸化反応による透明性の低下、着色などが生じない。
b.分解反応による強度低下、気泡の混入、成型加工時の悪臭などが生じない。
c.架橋反応によるゲルの発生、それに伴う歪みなどが生じない。
これらの特長から、光学材料として極めて優れるものである。より詳しく述べると、従来の芳香族含有環状オレフィン共重合体は高い耐熱性を有しているため高い成型加工温度が必要であった。その結果、耐熱老化性の悪さから成型加工時に劣化が生じ、更に材料として使用するにあたっても高温条件下での使用による劣化が避けられず、劣化に伴う光学特性の低下が起きるために光学材料として用いることが困難であった。しかし、本発明の共重合体は、本来の高い耐熱性を損なうことなく、高い耐熱老化性を実現できるため、劣化反応による光学特性の低下を抑制でき、優れた光学材料になる。
かくして、本発明で得られた芳香族含有環状オレフィン重合体の分子量は、一般にゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した重量平均分子量(Mw)が5,000〜300,000にあり、特に、10,000〜200,000である。分子量分布(Mw/Mn)は1.5〜3.5にあり、特に好ましくは、1.6〜2.5にある。また、上記共重合体を光学材料に用いる場合、厚さ3mmの板状成形体で測定された全光線透過率は85%以上、好ましくは88%以上であり、特に従来の芳香族含有環状オレフィン重合体では有しない90%以上が得られる。また、黄色度も従来の芳香族含有環状オレフィン重合体では有しない2.5以下、特に2.0以下である。屈折率は、1.5〜1.6と高く、かつ耐熱老化性の目安である酸化劣化に伴う発熱開始温度は180℃以上を有する。また、ガラス転移温度(Tg)は、60〜260℃、特には80〜240℃にある。
また、本発明で得られた共重合体は、通常の熱可塑性樹脂と同様に既知の方法で成形加工することができる。例えば、単軸押出機、ベント式押出機、2本スクリュー押出機、円錐型2本スクリュー押出機、コニーダー、プラティフィケーター、ミクストルーダー、2軸コニカルスクリュー押出機、遊星ねじ押出機、歯車式押出機又はスクリューレス押出機等の成形機を用いて押出成形、射出成形、ブロー成形又は回転成形等を行うことにより所望の形状の成形体を得ることができる。
成形加工に際して、必要に応じて、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、光安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックスなどを配合することができ、その配合割合は適宜設定することができる。
また、本発明で得られた芳香族含有環状オレフィン重合体は、必要に応じて酸化安定剤を含むことができる。酸化安定剤としては、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤、脂肪酸金属塩系安定剤、脂肪酸エステル系安定剤などが使用できる。
例えば、フェノール系安定剤としては、テトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル) プロピオン酸アルキルエステル及び2,2'-オキザミドビス[エチル-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)]プロピオネートなどが挙げられる。脂肪酸金属塩系安定剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、及び12-ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどが挙げられる。脂肪酸エステル系安定剤としては、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノミリステート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンジステアレート及びグリセリンジラウレート等のグリセリン脂肪酸エステル;ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトールジラウレート、ペンタエリスリトールジステアレート及びペンタエリスリトールトリステアレート等のペンタエリスリトールの脂肪酸エステルが挙げられる。
本発明では、特に、フェノール系安定剤及び多価アルコールの脂肪酸エステル系安定剤とを組み合わせて用いることが好ましく、この多価アルコールの脂肪酸エステル系安定剤は3価以上の多価アルコールのアルコール性水酸基の一部がエステル化された多価アルコール脂肪酸エステルであることが好ましい。この組み合わせの例としては、テトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンとステアリン酸亜鉛及びグリセリンモノステアレートとの組合せ等が挙げられる。
上記フェノール系安定剤が使用される場合、芳香族含有環状オレフィン共重合体100重量部に対して、通常は10重量部以下、好ましくは5重量部以下、更に好ましくは2重量部以下の量で用いられる。また多価アルコールの脂肪酸エステル系安定剤は環状オレフィン系共重体100重量部に対して、通常は、10重量部以下、好ましくは5重量部以下の量で用いられる。
また、本発明の芳香族含有環状オレフィン系共重合体には、本発明の目的を損なわない範囲で、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ポリ炭素数2以上のα−オレフィン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の充填剤を配合してもよい。
更に、本発明の芳香族含有環状オレフィン系共重合体は単独で使用することもできるし、他の高分子化合物と混合して使用することもできる。本発明の芳香族環状オレフィン系共重合体と混合して使用できる高分子化合物に特に制限はなく、熱可塑性樹脂、反応硬化性樹脂又はゴム状物質を用いることができる。
本発明の環状芳香族含有オレフィン系共重合体と混合して使用できる高分子化合物の例を以下に示す。ポリオレフィン(例:低密度ポリエチレン乃至高密度ポリエチレンの他、LLDPE、VLDPE、更に変性ポリエチレンなどのポリエチレン類、ポリプロピレン類、ポリ-4-メチルペンテン-1類、ポリブテン-1類);ポリ塩化ビニル、ポリ臭化ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-エチレン共重合体、塩化ビニル-プロピレン共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-ブタジエン共重合体、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル-スチレン-アクリロニトリル三元共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロルエチレン及びポリフッ化ビニリデン;ポリビニルアルコール及びポリアリルアルコールのような不飽和アルコールの(共)重合体;ポリビニルエーテル及びポリアリルエーテルのような不飽和エーテルの(共)重合体;アクリル酸及びメタクリル酸のような不飽和カルボン酸の(共)重合体;ポリ酢酸ビニル等のポリビニルエステル;ポリフタル酸等のポリアリルエステル;ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、並びに、マレイン酸エステル若しくはフマル酸エステルの(共)重合体;アクリロニトリル又はメタクリロニトリルの(共)重合体;マロノニトリル又はフマロニトリルの(共)重合体;ポリシアン化ビニリデン;ポリスチレン、ポリα-メチルスチレン、ポリp-メチルスチレン、スチレン-α-メチルスチレン共重合体、スチレン-p-メチルスチレン共重合体、ポリビニルベンゼン及びポリハロゲン化スチレン;ポリビニルピリジン、ポリN-ビニルピロリジン及びポリN-ビニルピロリドン;ポリカーボネート;ナイロン6、ナイロン6・6、ポリパラフェニレンテレフタルアミド;無水マレイン酸及び無水フマル酸等の酸無水物の(共)重合体、並びに、これらの酸無水物をイミド化した化合物の(共)重合体;ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリアリレート;不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂及びシリコン樹脂;ポリブタジエンゴム、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ゴム、エチレン-プロピレン共重合体ゴム及びイソプレン-イソブチレン共重合体ゴム;ポリビニルカルバゾールのようにカルバゾール骨格を有する重合体;エチルセルロース及び再生セルロース等のセルロース類が挙げられる。なお、これらの高分子化合物と本発明の芳香族含有環状オレフィン系共重合体とは、通常の混練装置を用いて混練することができる。
以下に実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。なお、実施例及び比較例において、共重合体の物性は以下の分析方法によって測定した。
(1)各モノマーの含有量(モル比):13C−NMR(400MHz、温度:室温、溶媒:重水素化クロロホルム)。
(2)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn): ゲルパーミエイションクロマトグラフィー法(GPC);温度::常温、溶媒:クロロホルムの条件下で測定した。
(3)ガラス転移温度(Tg):セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量分析計(型式EXSTAR600、DSC6200)を用いて、室温から260℃に昇温するときの吸熱ピークから得た。
(4)全光線透過率、△(デルタ)Y(黄色度):30mm×30mm×3mmのプレス成型体を使い、スガ試験機株式会社製ヘーズメーター(HGM-2K)及びカラーテスター(SM−7)を用いて測定した。
(5)屈折率:(株)アタゴ社製のアッベ屈折計(型式:2T)を用いて、波長が589nmの光源を使い、屈折率が1.5162のガラス製標準サンプルで基準合わせをして測定した。プレス成型体は(株)神藤金属工業所製の圧縮成形機(型式:NF-37)を用いて作製した。
<比較例1> エチレンとフェニルノルボルネンの共重合体
エチレン雰囲気下、容量1.6lのオートクレーブにフェニルノルボルネン濃度が20mol/lで、総液量が640mlとなるようにトルエンとフェニルノルボルネン−トルエン溶液を入れた。メチルアルミノキサン(アルベマール社製、MAO20%トルエン溶液)をAl基準で5.88mmol、メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド1.5μmolを添加し、エチレンを導入して圧力を0.2MPaに保持しながら、80℃で60分間反応させた。
反応終了後、放冷しながらエチレンを脱圧し、系内を窒素で置換した。その後、吸着水分量を10wt%に調整したシリカ(富士シリシア社製、グレード:G-3粒径:50μm)を3.0g加えて1時間反応させた。その反応液を濾紙(5C、90mm)とセライト(和光純薬工業社)をセットした加圧ろ過器(アドバンテック東洋株式会社、型式KST-90-UH)に入れ、窒素で加圧ろ過して重合液を回収した。その重合液を5倍量のアセトン中に少量ずつ滴下して生成した重合体を析出させた。析出させた重合体を再度トルエンに溶解させ、もう一度5倍量のアセトン中に少量ずつ滴下して重合体を再析出させた。得られた重合体を真空下、100℃で乾燥させ、乾燥後のGC測定で重合体中に未反応モノマーが残存していない事を確認した。
重合体の収量は44.1g、Mw=142,000、Mw/Mn=1.74、重合活性は322kg-polymer/g-Zr・hであった。また、重合体中に含まれるエチレンとフェニルノルボルネンのモル比はエチレン:フェニルノルボルネン=56:44、ガラス転移温度は144℃であった。
<比較例2>エチレンとインダニルノルボルネンの共重合体
モノマーをインダニルノルボルネン、モノマー濃度を1.0mol/lに変更した以外、比較例1と同様にして行った。共重合体の収量は27.0g、Mw=159,500、Mw/Mn=1.93であった。また、重合活性は789kg-polymer/g-Zr・h、共重合体中に含まれるエチレンとインダニルノルボルネンのモル比はエチレン:インダニルノルボルネン=63:37であり、ガラス転移温度は158℃であった。
<比較例3>エチレンとノルボルネンの共重合体
エチレン雰囲気下、容量800mlのオートクレーブにノルボルネン濃度が2.86mol/lで、総液量が411mlとなるようにトルエンとノルボルネン−トルエン溶液を入れた。メチルアルミノキサン(アルベマール社製、MAO20%トルエン溶液)をAl基準で1.18mmol、メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド0.3μmolを添加し、エチレンを導入して圧力を0.2MPaに保持しながら、80℃で30分間反応させた。その後の操作は比較例1と同様にして行った。
重合体の収量は、41.4g、Mw=207,500、Mw/Mn=1.69であり、重合活性は3025kg-polymer/g-Zr・hであった。また、重合体中に含まれるエチレンとノルボルネンのモル比はエチレン:ノルボルネン=44:56であり、ガラス転移温度は145℃であった。
<比較例4> 水素を混合したエチレンとノルボルネンの共重合体
エチレンの代わりにモル比が水素/エチレン=0.00086となるようにエチレンを水素と混合した混合ガスを使用した以外、比較例3と同様の条件で重合した。重合体の収量は23.3g、Mw=127,500、Mw/Mn=1.6、重合活性は1703kg-polymer/g-Zr・hであった。また、重合体中に含まれるエチレンとノルボルネンのモル比はエチレン:ノルボルネン=46:54、ガラス転移温度は149℃であった。
<実施例1> エチレンとメチルフェニルノルボルネンの共重合体
エチレン雰囲気下、容量200mlのオートクレーブにメチルフェニルノルボルネン濃度が0.98mol/lで、総液量が50mlとなるようにトルエンとメチルフェニルノルボルネンを入れた。メチルアルミノキサン(アルベマール社製、MAO20%%トルエン溶液)をAl基準で2.0mmol、メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド0.5μmolを添加し、エチレンを導入して圧力を0.1MPaに保持しながら、80℃で30分間反応させた。その後の操作は比較例1と同様にして行った。
重合体の収量は、5.32g、Mw=124,000、Mw/Mn=1.87、重合活性は、233kg-polymer/g-Zr・hであった。また、重合体中に含まれるエチレンとノルボルネンのモル比はエチレン:メチルフェニルノルボルネン=60:40、ガラス転移温度は145℃であった。
<実施例2>メチルフェニルノルボルネン共重合体:触媒にメチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド使用エチレン雰囲気下、容量800mlのオートクレーブにメチルフェニルノルボルネン濃度が2.0mol/lで、総液量が320mlとなるようにトルエンとメチルフェニルノルボルネンを入れた。メチルアルミノキサン(アルベマール社製、MAO20%トルエン溶液)をAl基準で5.88mmol、メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド1.5μmolを添加し、エチレンを導入して圧力を0.2MPaに保持しながら、80℃で15分間反応させた。その後の操作は比較例1と同様にして行った。
重合体の収量は34.43g、重合活性は1007kg-polymer/g-Zr・hであった。また、得られた重合体のガラス転移温度は190℃であった。
<比較例5>メチルフェニルノルボルネン共重合体:触媒にエチレンビスインデニルジルコニウムジクロリドを使用
エチレン雰囲気下、容量800mlのオートクレーブにメチルフェニルノルボルネン濃度が2.0mol/lで、総液量が320mlとなるようにトルエンとメチルフェニルノルボルネンを入れた。メチルアルミノキサン(アルベマール社製、MAO20%トルエン溶液)をAl基準で16.17mmol、エチレンビスインデニルジルコニウムジクロリド4.0μmolを添加し、エチレンを導入して圧力を0.2MPaに保持しながら、80℃で35分間反応させた。その後の操作は比較例1と同様にして行った。
重合体の収量は16.72g、重合活性は79kg-polymer/g-Zr・hであった。また、得られた重合体のガラス転移温度は135℃であった。
<比較例6> メチルフェニルノルボルネンの共重合体:触媒にイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを使用
エチレン雰囲気下、容量800mlのオートクレーブにメチルフェニルノルボルネン濃度が2.0mol/lで、総液量が295mlとなるようにトルエンとメチルフェニルノルボルネンを入れた。メチルアルミノキサン(アルベマール社製、MAO20%トルエン溶液)をAl基準で11.76mmol、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド3.0μmolを添加し、エチレンを導入して圧力を0.2MPaに保持しながら、80℃で60分間反応させた。その後の操作は比較例1と同様にして行った。
重合体の収量は2.87gであり、重合活性は10kg-polymer/g-Zr・hであった。得られた重合体のガラス転移温度は155℃であった。
実施例2、比較例5及び比較例6で得られた共重合体の重合活性、ガラス転移温度を表1に示す。
Figure 0004587679
表1の結果から分かるように、メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを用いたメタロセン触媒の存在下で、芳香族含有ノルボルネンを共重合させる場合、一般的なメタロセン触媒であるエチレンビスインデニルジルコニウムジクロリドやイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドと比較して、非常に高活性であり、且つ、より高い共重合性を有していることが分かった。
<実施例3>耐熱性評価
比較例1〜3、実施例1で得られた重合体のコモノマー比とガラス転移温度を表2に示す。
比較例1〜3、実施例1で得られた重合体のコモノマー比とガラス転移温度を表2に示す。
Figure 0004587679
表2から、実施例1で得られたメチルフェニルノルボルネン共重合体は比較例3で得られた置換基のないノルボルネン共重合体と比較して、少ないコモノマー含有量でありながら、同程度のガラス転移温度を有している。更に、同じ様な置換基を有する比較例1、2から得られたフェニルノルボルネン共重合体やインダニルノルボルネン共重合体と比較しても少ないコモノマー含有量で同程度のガラス転移温度を有している。
<実施例3>耐酸化性評価
比較例1〜3及び実施例1で得られた重合体をそれぞれ示差走査熱量分析計(DSC)で分析を行った。DSC測定は空気中(空気供給流速50ml/min)で温度を30℃から350℃に昇温速度5℃/minで昇温させて測定した。その結果を図1に示し、発熱開始温度を表3に示す。
図1から、フェニルノルボルネンやインダニルノルボルネンのようにベンジル位に水素を持つコモノマーを用いた共重合体ではガラス転移温度を越えた140〜150℃付近から酸化反応による発熱ピークが現れた。それに対して、メチルフェニルノルボルネン系は220℃付近まで発熱ピークは無く、ベンジル位の水素をメチル基に換えることでより高い温度まで酸化されにくくなったことが確認された。また、200℃付近で発熱しているノルボルネン系と比較しても同等以上の耐酸化性を示すことが確認された。
Figure 0004587679
<実施例4> 架橋反応抑制効果の評価及び光学特性評価
比較例1〜3及び実施例1で得られた重合体をそれぞれ温度180℃でプレス成型を行った。そのプレス成型体を塩化メチレンに溶解させた時のゲルの発生状況を表4に、溶媒可溶成分のGPC測定結果を表5に示した。また、成型体を用いて光学特性を測定した結果を表6に示した。
Figure 0004587679
Figure 0004587679
表4に示されるように、ベンジル位の水素をメチル基に換える事でプレス成型時のゲルの発生を抑制し、架橋反応による分子量の増加が起きていないことが確認された。
Figure 0004587679
表6に示されるように、ベンジル位の水素をメチル基に換える事でプレス成型時の光学特性の低下が抑制され、劣化の起きにくいノルボルネン系と同等以上の透明性を維持しながら、より高い屈折率を有することが確認された。
以下にエチレンとノルボルネン、及び芳香族含有ノルボルネン類の共重合体を合成し、評価した結果を示した。
<比較例7>エチレン、ノルボルネン、及びフェニルノルボルネン共重合体
エチレン雰囲気下、容量800mlのオートクレーブにノルボルネンを0.77mol、フェニルノルボルネンを0.13mol加えて、総液量が320mlとなるようにトルエンを入れた(総モノマー濃度:2.82mol/l)。メチルアルミノキサン(アルベマール社製、MAO20%トルエン溶液)をAl基準で3.91mmol、メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド1.0μmolを添加し、エチレンを導入して圧力を0.2MPaに保持しながら、80℃で20分間反応させた。その後の操作は比較例1と同様にして行った。
重合体の収量は、28.52g、Mw=183,000、Mw/Mn=1.91、重合活性は947kg-polymer/g-Zr・hであった。また、重合体中に含まれるエチレン、ノルボルネン、フェニルノルボルネンのモル比は、エチレン:ノルボルネン:フェニルノルボルネン=48:46:6であり、重合体のガラス転移温度は150℃であった。
<実施例5>エチレン、ノルボルネン、及びメチルフェニルノルボルネン共重合体
エチレン雰囲気下、容量200mlのオートクレーブにノルボルネンを0.24mol、メチルフェニルノルボルネンを0.023mol加えて、総液量が95mlとなるようにトルエンを入れた(総モノマー濃度:2.78mol/l)。メチルアルミノキサン(アルベマール社製、MAO20%トルエン溶液)をAl基準で1.29mmol、メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド0.33μmolを添加し、エチレンを導入して圧力を0.2Mpaに保持しながら、80℃で60分間反応させた。その後の操作は比較例1と同様にして行った。
重合体の収量は5.55g、Mw=153,500、Mw/Mn=1.66であり、重合活性は1106kg-polymer/g-Zr・hであった。また、重合体中に含まれるエチレン、ノルボルネン、メチルフェニルノルボルネンのモル比はエチレン:ノルボルネン:メチルフェニルノルボルネン=47:49:4であり、重合体のガラス転移温度は168℃であった。
<実施例6>三元共重合体の耐熱性評価
表7に2種類のモノマーを使用した共重合体(比較例3及び実施例1)と3種類のモノマーを使用した共重合体(比較例7及び実施例9)の各モノマー含有量とガラス転移温度を示した。
Figure 0004587679
表7から分かる様に3種類のモノマーを組み合わせることで少ない環状オレフィンの使用量でより高い耐熱性が得られることが分かった。
これらの共重合体をプレス成形し、GPC及び光学特性を分析した。表8にGPC結果を示した。
Figure 0004587679
フェニルノルボルネンをコモノマーに使用した共重合体は架橋反応が起きたため、分子量、分子量分布が増大しているのに対し、メチルフェニルノルボルネンをコモノマーに使用した共重合体は分子量、分子量分布共にほとんど変化しておらず、架橋反応が起きていないことが明らかとなった。
Figure 0004587679
また、表9からエチレン-ノルボルネン-フェニルノルボルネン共重合体はエチレン-ノルボルネン共重合体よりも屈折率が上昇するが、全光線透過率、△Yが低下することが分かった。それに対し、エチレン-ノルボルネン-メチルフェニルノルボルネン共重合体は同程度の屈折率、全光線透過率、△Yであることが分かった。
これらの結果からエチレン-ノルボルネン-メチルフェニルノルボルネン共重合体は少ない環状オレフィン使用量でより高い耐熱性を有し、耐熱老化性が改善され、かつ優れた光学特性を維持する事が分かった。
本発明によれば、重合活性に優れるとともに、芳香族含有ノルボルネン共重合体の光学材料用途として必要な耐熱老化性、耐熱性、光学特性が改良され、かつ、ガラス転移点が高いという特性を同時に満足する触媒を使用する芳香族含有ルボルネン共重合体の効率的な製造方法が提供される。
比較例1〜3及び実施例1で得られた各重合体について示差走査熱量分析を行った結果を示す。

Claims (5)

  1. α−オレフィンと、5-メチル若しくはエチル-5-フェニル-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エンからなる芳香族含有環状オレフィンとを、メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドとメチルアルミノキサンとを含む触媒の存在下に共重合させることを特徴とする芳香族含有環状オレフィン共重合体の製造方法。
  2. 前記α−オレフィンと、前記芳香族含有環状オレフィンと、更に、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン(ノルボルネン)からなる環状オレフィンとを共重合さる請求項1に記載の芳香族含有環状オレフィン共重合体の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の製造方法で得られ、かつ示差走査熱量分析計(昇温速度5℃/minにて温度30℃から350℃に昇温し空気供給速度50ml/minの空気中)による発熱開始温度が180℃以上である芳香族含有環状オレフィン共重合体。
  4. 請求項に記載の芳香族含有環状オレフィン共重合体を含む光学材料。
  5. 請求項に記載の芳香族含有環状オレフィン共重合体を含む電気・電子材料。
JP2004054965A 2004-02-27 2004-02-27 芳香族含有環状オレフィン共重合体の製造方法 Expired - Fee Related JP4587679B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004054965A JP4587679B2 (ja) 2004-02-27 2004-02-27 芳香族含有環状オレフィン共重合体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004054965A JP4587679B2 (ja) 2004-02-27 2004-02-27 芳香族含有環状オレフィン共重合体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005239975A JP2005239975A (ja) 2005-09-08
JP4587679B2 true JP4587679B2 (ja) 2010-11-24

Family

ID=35022033

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004054965A Expired - Fee Related JP4587679B2 (ja) 2004-02-27 2004-02-27 芳香族含有環状オレフィン共重合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4587679B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9399693B2 (en) 2011-01-13 2016-07-26 Maruzen Petrochemical Co., Ltd. Resin composition for photoimprinting, pattern forming process and etching mask
CN103764699B (zh) 2011-09-27 2016-02-10 丸善石油化学株式会社 光学元件材料及其制造方法
CN109593160A (zh) * 2017-09-30 2019-04-09 中国石化扬子石油化工有限公司 一种环烯烃共聚物的制备方法
EP3719044A4 (en) * 2017-11-29 2022-01-05 Mitsui Chemicals, Inc. CYCLIC OLEFIN-BASED COPOLYMER, CYCLIC OLEFIN-BASED COPOLYMER COMPOSITION, MOLDED BODY AND MEDICAL CONTAINER
JP7312580B2 (ja) * 2019-03-18 2023-07-21 三井化学株式会社 環状オレフィン系共重合体ペレット、成形体、及び、環状オレフィン系共重合体ペレットの製造方法
CN113321767A (zh) * 2021-07-13 2021-08-31 无锡阿科力科技股份有限公司 一种环烯烃共聚物的制备方法和应用

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998005715A1 (fr) * 1996-08-07 1998-02-12 Nippon Zeon Co., Ltd. Composition polymere de reticulation
JP2000502130A (ja) * 1995-12-07 2000-02-22 エクソン・ケミカル・パテンツ・インク 粘着付与剤及び粘着付与剤を得る方法
WO2001030870A1 (fr) * 1999-10-25 2001-05-03 Idemitsu Petrochemical Co., Ltd. Copolymère oléfinique, film et feuille
JP2001181349A (ja) * 1999-12-27 2001-07-03 Jsr Corp 環状オレフィン系共重合体およびその製造方法並びに熱可塑性重合体組成物

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000502130A (ja) * 1995-12-07 2000-02-22 エクソン・ケミカル・パテンツ・インク 粘着付与剤及び粘着付与剤を得る方法
WO1998005715A1 (fr) * 1996-08-07 1998-02-12 Nippon Zeon Co., Ltd. Composition polymere de reticulation
WO2001030870A1 (fr) * 1999-10-25 2001-05-03 Idemitsu Petrochemical Co., Ltd. Copolymère oléfinique, film et feuille
JP2001181349A (ja) * 1999-12-27 2001-07-03 Jsr Corp 環状オレフィン系共重合体およびその製造方法並びに熱可塑性重合体組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005239975A (ja) 2005-09-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10273337B2 (en) Method for producing stretched film
WO1994010216A1 (en) Olefin copolymers and process for producing the same
JPH01132603A (ja) 光学材料
JP4587679B2 (ja) 芳香族含有環状オレフィン共重合体の製造方法
JP2007119660A (ja) 環状オレフィン付加共重合体、その製造方法、及び成形用材料
JP4203739B2 (ja) 環状オレフィン系付加重合体の製造方法
JP4826242B2 (ja) 環状オレフィン系付加重合体の製造方法
Wang et al. Transition metal complex catalysts promoting copolymers of cycloolefin with propylene/higher olefins
JP3534127B2 (ja) ノルボルネン系付加型共重合体
TW200403261A (en) Cycloolefin addition copolymer and optical transparent material
JP2000509754A (ja) α―オレフィン―シクロオレフィン共重合体及びその製造方法
JPWO2009128545A1 (ja) イソプレン系重合体環化物、脂環式重合体および光学樹脂
JPWO2016163371A1 (ja) 共重合体、重合体、成形材料及び樹脂成形体
JPH06228380A (ja) 環状オレフィン系重合体組成物
TW546309B (en) Propylene homopolymer and propylene copolymer
JP2008231361A (ja) 環状オレフィン系付加共重合体、その製造方法およびその用途
WO2007088941A1 (ja) 重合体組成物
JP2013028758A (ja) 新規化合物、重合体、その架橋体、及びそれを有する光学素子
KR101401880B1 (ko) 위상차 필름
JP2010083979A (ja) 重合体環化物およびその水素添加物
JP2003246819A (ja) シクロオレフィン系重合体の成形体
JP2006205723A (ja) 樹脂成形体の表面加工方法、樹脂成形体および光学材料
JP2647409B2 (ja) 新規オレフイン系ランダム共重合体
JP6176089B2 (ja) 積層体および積層体の製造方法
JP2528488B2 (ja) 環状オレフィン系ランダム共重合体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060908

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090525

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090609

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090807

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100824

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100907

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4587679

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130917

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees