JP2002249555A - 管状成形品 - Google Patents

管状成形品

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JP2002249555A
JP2002249555A JP2001048843A JP2001048843A JP2002249555A JP 2002249555 A JP2002249555 A JP 2002249555A JP 2001048843 A JP2001048843 A JP 2001048843A JP 2001048843 A JP2001048843 A JP 2001048843A JP 2002249555 A JP2002249555 A JP 2002249555A
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JP2001048843A
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Yuichi Matsumoto
裕一 松本
Ichiro Igarashi
一郎 五十嵐
Naoya Kishi
直哉 岸
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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  • Rigid Pipes And Flexible Pipes (AREA)
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  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性、耐熱性および耐薬品性に優れ、か
つ、高強度で寸法安定性の良い熱可塑性樹脂からなる管
状成形品を提供すること。 【解決手段】 融点を有するノルボルネン系重合体を成
形して管状成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノルボルネン系重
合体を成形してなる管状成形品に関し、さらに詳しく
は、融点を有するノルボルネン系重合体を成形してなる
管状成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】輸血や点滴などの医療用チューブ、散水
ホースなどの送液用ホース、ハンガー掛け、干し竿など
の什器用パイプ、さらには包装用のポリ袋、真空パッッ
ク用のフィルムチューブなどに透明、半透明のプラスチ
ック管状成形品が広く使われている。これまでこれらの
透明、半透明の管状成形品の製造には、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共
重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが多く使用
されている。しかし、これらの高分子素材は耐熱性が低
く、スウェルが大きいので肉厚など寸法安定性に欠け、
また、機械的強度も小さい。
【0003】このような状況の中で、近年、シンジオタ
クチックポリスチレン(s−PS)が開発され、耐熱性
の一定の改善がなされ、また、その結晶性の高さから機
械的強度もある程度向上した。しかし、s−PSは透明
性が不十分な上、耐薬品性に劣る問題を有している。ま
た、非晶性のノルボルネン系開環重合体およびその水素
化物は、透明性に優れ、低複屈折性を有することから、
光学レンズや光学シート用の材料として提案されてい
る。これらの重合体は溶融時の流動性に優れ、低誘電性
や耐薬品性にも優れているため、光学用途以外の種々の
用途に使用することが唱導されている。しかしながら、
この非晶性の従来のノルボルネン系開環重合体およびそ
の水素化物は、その用途によっては、耐熱性、機械的強
度、耐溶剤性などが不十分で改善が望まれていた。この
ように、従来の管状成形品の欠点を直ちに改善できる高
分子素材は未だ現れず、透明性、耐熱性、寸法安定性、
機械的強度、耐薬品性等のより優れた性能の要求に応え
られる管状成形品の出現が待望されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、透明
性、耐熱性および耐薬品性に優れ、機械的強度の大きな
熱可塑性樹脂製の管状成形品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を行った結果、融点を有する
ノルボルネン系重合体を成形してなる管状成形品が上記
目的にかなうことを見出し、この知見に基づいて本発明
を完成するに至った。かくして本発明によれば、(1)
融点を有するノルボルネン系重合体を成形してなる管状
成形品、および、(2)前記融点を有するノルボルネン
系重合体が、重合体全繰返し単位中に3環体以上のノル
ボルネン系単量体由来の繰返し単位を10モル%以上含
有するものである上記(1)に記載の管状成形品、が提
供される。
【0006】また、好ましい態様として、(3)前記融
点を有するノルボルネン系重合体が、ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量
がポリスチレン換算で500〜1,000,000であ
る上記(1)または(2)記載の管状成形品、(4)前
記融点を有するノルボルネン系重合体が、ノルボルネン
系開環重合体の炭素−炭素二重結合の50%以上を水素
化して得られたものである管状成形品、および、(5)
前記融点を有するノルボルネン系重合体の融点が130
〜400℃である管状成形品、が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で用いる融点を有するノル
ボルネン系重合体とは、ノルボルネン環を有する単量体
を用いて得られるノルボルネン系開環重合体もしくはノ
ルボルネン系付加重合体、または、ノルボルネン系開環
重合体もしくはノルボルネン系付加重合体の主鎖もしく
は/および測鎖に存在する炭素−炭素二重結合に水素を
付加して得られるノルボルネン系開環重合体水素化物も
しくはノルボルネン系付加重合体水素化物であって、融
点(以下、「Tm」と記すことがある。)を有する重合
体のことである。融点を有するノルボルネン系重合体と
して好ましい重合体はノルボルネン系開環重合体および
該開環重合体水素化物であり、ノルボルネン系開環重合
体水素化物がより好ましい。融点を有するノルボルネン
系重合体は、その重量平均分子量(Mw)が、クロロホ
ルムを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー(ポリスチレン換算)で、通常、500〜1,00
0,000、好ましくは1,000〜600,000、
より好ましくは5,000〜400,000である。M
wが過度に低いと管状成形品の機械的強度が低下するお
それがあり、一方、Mwが過度に高いと該ノルボルネン
系重合体の溶融流動性が低下する可能性がある。
【0008】本発明において、融点は重合体の結晶部分
が融解する温度である。融点の測定は、一般に、示差走
査熱量計を用いて、重合体の結晶成分の融解に起因する
吸熱ピークに基づいて行うことができる。該融点を有す
るノルボルネン系重合体のTmは、通常、130〜40
0℃、好ましくは200℃〜400℃の間にある。該融
点を有するノルボルネン系重合体は、透明性、耐熱性お
よび耐薬品性に優れる上に、引張り強度など機械的強度
が大きい特徴を有している。
【0009】本発明で用いる融点を有するノルボルネン
系重合体のうち好適なものは、ノルボルネン系開環重合
体またはノルボルネン系開環重合体水素化物である。ノ
ルボルネン系開環重合体またはノルボルネン系開環重合
体水素化物を構成するノルボルネン系単量体由来の繰り
返し単位(a)としては、例えば、下記一般式(1)ま
たは一般式(2)で示される繰り返し単位が挙げられ
る。
【0010】
【化1】
【0011】(式中、R 、R 、R およびR
は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の炭
化水素基、または、ハロゲン原子、ケイ素原子、酸素原
子もしくは窒素原子を含む置換基を表し、R または
と、R またはRとは互いに結合して環を形
成してもよい。mは0、1または2である。)
【0012】
【化2】
【0013】(式中、R、R 、R およびR
はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の炭化
水素基、または、ハロゲン原子、ケイ素原子、酸素原子
もしくは窒素原子を含む置換基を表し、RまたはR
とRまたはRとは互いに結合して環を形成
してもよい。mは0、1または2である。) 本発明で使用するる融点を有するノルボルネン系重合体
で特に好ましいものは、3環体以上のノルボルネン系単
量体由来の繰返し単位を、重合体の全繰り返し単位中に
10〜100モル%含有するものである。3環体以上の
ノルボルネン系単量体は、ノルボルネン環(これに2環
含まれる)以外に1つ以上の環を有するノルボルネン系
単量体であり、好ましくは、ジシクロペンタジエンであ
る。上記ノルボルネン系開環重合体中にノルボルネン系
単量体以外の単量体由来の繰り返し単位があってもよい
が、ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位を、好ま
しくは20モル%以上、より好ましくは50モル%以上
含有するものが好適である。
【0014】ノルボルネン系開環重合体水素化物は、ノ
ルボルネン環を有する単量体を開環重合して得られるノ
ルボルネン系開環重合体の、主鎖または/および側鎖に
存在する炭素−炭素二重結合に水素付加することによ
り、重合体中の、一般式(1)と一般式(2)の繰り返
し単位数の合計に対する一般式(1)の繰り返し単位数
の割合を50%以下、好ましくは30%以下、より好ま
しくは20%以下、特に好ましくは10%以下にしたも
のである。ノルボルネン系開環重合体水素化物は、上記
ノルボルネン系開環重合体と同様に透明性、耐薬品性お
よび機械的強度に優れることに加えて、耐熱性および耐
候性に一層秀でている。
【0015】本発明に用いる融点を有するノルボルネン
系重合体の好ましい製造方法は、ノルボルネン系単量体
を開環重合し、必要に応じて水素化する方法である。ノ
ルボルネン系単量体としては、ノルボルネン、5−メチ
ルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−ブチル
ノルボルネン、5−ヘキシルノルボルネン、5−デシル
ノルボルネン、5−シクロヘキシルノルボルネン、5−
シクロペンチルノルボルネンなどの無置換またはアルキ
ル基を有するノルボルネン類;5−エチリデンノルボル
ネン、5−ビニルノルボルネン、5−プロペニルノルボ
ルネン、5−シクロヘキセニルノルボルネン、5−シク
ロペンテニルノルボルネンなどのアルケニル基を有する
ノルボルネン類;5−フェニルノルボルネンなどの芳香
環を有するノルボルネン類;
【0016】5−メトキシカルボニルノルボルネン、5
−エトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−
メトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−エ
トキシカルボニルノルボルネン、ノルボルネニル−2−
メチルプロピオネイト、ノルボルネニル−2−メチルオ
クタネイト、ノルボルネン−5,6−ジカルボン酸無水
物、5−ヒドロキシメチルノルボルネン、5,6−ジ
(ヒドロキシメチル)ノルボルネン、5,5−ジ(ヒド
ロキシメチル)ノルボルネン、5−ヒドロキシイソプロ
ピルノルボルネン、5,6−ジカルボキシノルボルネ
ン、5−メトキシカルボニル−6−カルボキシノルボル
ネンなどの酸素原子を含む極性基を有するノルボルネン
類;5−シアノノルボルネン、ノルボルネン−5,6−
ジカルボン酸イミドなどの窒素原子を含む極性基を有す
るノルボルネン類などが挙げられる。
【0017】本発明において好適なノルボルネン系単量
体は、3環体以上の多環式ノルボルネン系単量体であ
る。3環体以上の多環式ノルボルネン系単量体の具体例
としては、ジシクロペンタジエン、またはジシクロペン
タジエンの5員環部分の二重結合を飽和させたトリシク
ロ[4.3.0.12,5 ]デカ−3−エン、トリシ
クロ[4.4.0.12,5 ]ウンダ−3−エンなど
を挙げることができる。さらに、テトラシクロ[6.
5.0.12,5 .08,13]トリデカ−3,8,
10,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4
a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラ
シクロ[6.6.0.12,5 .08,13]テトラ
デカ−3,8,10,12−テトラエン(1,4−メタ
ノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロア
ントラセンともいう)などの芳香環を有するノルボルネ
ン誘導体;
【0018】テトラシクロドデセン、8−メチルテトラ
シクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、8
−シクロヘキシルテトラシクロドデセン、8−シクロペ
ンチルテトラシクロドデセンなどの無置換またはアルキ
ル基を有するテトラシクロドデセン類;8−メチリデン
テトラシクロドデセン、8−エチリデンテトラシクロド
デセン、8−ビニルテトラシクロドデセン、8−プロペ
ニルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキセニルテト
ラシクロドデセン、8−シクロペンテニルテトラシクロ
ドデセンなどのノルボルネン環外に二重結合を有するテ
トラシクロドデセン類;8−フェニルテトラシクロドデ
センなどの芳香環を有するテトラシクロドデセン類;
【0019】8−メトキシカルボニルテトラシクロドデ
セン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシク
ロドデセン、8−ヒドロキシメチルテトラシクロドデセ
ン、8−カルボキシテトラシクロドデセン、テトラシク
ロドデセン−8,9−ジカルボン酸、テトラシクロドデ
セン−8,9−ジカルボン酸無水物などの酸素原子を含
む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−シアノ
テトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9
−ジカルボン酸イミドなどの窒素原子を含む置換基を有
するテトラシクロドデセン類;8−クロロテトラシクロ
ドデセンなどのハロゲン原子を含む置換基を有するテト
ラシクロドデセン類;8−トリメトキシシリルテトラシ
クロドデセンなどのけい素原子を含む置換基を有するテ
トラシクロドデセン類;
【0020】ヘキサシクロヘプタデセン、12−メチル
ヘキサシクロヘプタデセン、12−エチルヘキサシクロ
ヘプタデセン、12−シクロヘキシルヘキサシクロヘプ
タデセン、12−シクロペンチルヘキサシクロヘプタデ
センなどの無置換またはアルキル基を有するヘキサシク
ロヘプタデセン類;12−メチリデンヘキサシクロヘプ
タデセン、12−エチリデンヘキサシクロヘプタデセ
ン、12−ビニルヘキサシクロヘプタデセン、12−プ
ロペニルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロヘキ
セニルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロペンテ
ニルヘキサシクロヘキサデセンなどの環外に二重結合を
有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−フェニルヘ
キサシクロヘプタデセンなどの芳香環を有するヘキサシ
クロヘプタデセン類;
【0021】12−メトキシカルボニルヘキサシクロヘ
プタデセン、12−メチル−12−メトキシカルボニル
ヘキサシクロヘプタデセン、12−ヒドロキシメチルヘ
キサシクロヘプタデセン、12−カルボキシヘキサシク
ロヘプタデセン、ヘキサシクロヘプタデセン−12,1
3−ジカルボン酸、ヘキサシクロヘプタデセン−12,
13−ジカルボン酸無水物などの酸素原子を含む置換基
を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−シアノヘ
キサシクロヘプタデセン、ヘキサシクロヘプタデセン−
12,13−ジカルボン酸イミドなどの窒素原子を含む
置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−ク
ロロヘキサシクロヘプタデセンなどのハロゲン原子を含
む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−
トリメトキシシリルヘキサシクロヘプタデセンなどのけ
い素原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセ
ン類などが挙げられる。
【0022】これらの中でも、重合体の結晶性が高くな
るという点で、三環体または四環体のものが好ましく、
中でも直鎖状または分岐状の置換基を持たないジシクロ
ペンタジエン、トリシクロ[4.3.0.12,5
−デカ−3−エン、テトラシクロ[6.5.0.1
2,5 .08,13]トリデカ−3,8,10,12
−テトラエン、テトラシクロ[6.6.0.1
2,5 .08,13]テトラデカ−3,8,10,1
2−テトラエン、テトラシクロドデセン、8−メチルテ
トラシクロドデセンがさらに好ましく、ジシクロペンタ
ジエンが特に好ましい。
【0023】上記の単量体には、エンド体とエキソ体の
異性体が含まれる。本発明に用いる融点を有するノルボ
ルネン系重合体を得るための単量体は、これら異性体の
混合物であってもよいが、結晶性をより高めるために
は、異性体混合物中において、いずれかの異性体成分の
組成比が高いもの、すなわち、エンド体が70重量%以
上のものかエキソ体が70重量%以上のものが好まし
い。ノルボルネン系単量体は、それと共重合可能な環状
オレフィン類と共重合させることができる。共重合可能
な環状オレフィン類としては単環の環状オレフィンが挙
げられる。単環の環状オレフィン類は、C〜C20
の環状オレフィンまたはジオレフィンとこれらの置換体
であり、好ましくはC〜C10の環状オレフィンま
たはジオレフィンとこれらの誘導体である。
【0024】単環の環状オレフィン類またはジオレフィ
ン類の具体例としては、シクロブテン、シクロペンテ
ン、メチルシクロペンテン、シクロヘキセン、メチルシ
クロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの
単環の環状オレフィン系単量体;シクロヘキサジエン、
メチルシクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチ
ルシクロオクタジエン、フェニルシクロオクタジエンな
どの環状ジオレフィン系単量体を挙げることができる。
【0025】融点を有するノルボルネン系重合体として
好ましいノルボルネン系開環重合体を得るために用いら
れる好適な重合触媒は、周期表第6族遷移金属と結合す
るイミド基を少なくとも一つ有し、さらに、アルコキシ
基、アリールオキシ基、アルキルアミド基およびアリー
ルアミド基からなる群から選ばれる置換基を少なくとも
一つ有する化合物を主成分として含有するものである。
具体的には、下記一般式(3)
【0026】
【化3】
【0027】(式中、Rはアルキル基またはアリー
ル基を表し、R10およびR11は、互いに独立してア
ルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミド基また
はアリールアミド基を表す。R10とR11は互いに結
合していてもよい。R12およびR13は、互いに独立
して水素、アルキル基またはアリール基を表し、アルキ
ル基は好ましくは炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖状
のアルキル基、または炭素数3〜20のシクロアルキル
基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、
イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基または
シクロヘキシル基などが挙げられる。また、アリール基
は好ましくは炭素数6〜20のものであり、例えば、フ
ェニル基または2、3、4、5もしくは6位のいずれか
に置換基を有する置換フェニル基である。Yは電子供与
性の中性配位子であり、nは0〜2の整数である。Nは
窒素であり、Mは周期表第6族から選ばれる遷移金属原
子である。)および、下記一般式(4)
【0028】
【化4】
【0029】(式中、R14はアルキル基またはアリー
ル基を表し、R15およびR16は、互いに独立してア
ルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミド基また
はアリールアミド基を表す。R15とR16は互いに結
合していてもよい。XおよびXは、互いに独立
してハロゲン、アルキル基、アリール基またはアルキル
シリル基を表し、Yは電子供与性の中性配位子であり、
nは0、1または2である。Nは窒素であり、Mは周期
表第6族から選ばれる遷移金属である。)を挙げること
ができる。
【0030】一般式(3)のRと一般式(4)のR
14は、アルキル基またはアリール基であり、一般式
(3)のR12およびR13におけるアルキル基または
アリール基と同様に、アルキル基は好ましくは炭素数1
〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、または炭
素数3〜20のシクロアルキル基であり、例えば、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、tert−ブチル基またはシクロヘキシル基などが
挙げられる。また、アリール基は好ましくは炭素数6〜
20のものであり、例えば、フェニル基または2、3、
4、5もしくは6位のいずれかに置換基を有する置換フ
ェニル基である。また、R10、R11、R15および
16は、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル
アミド基またはアリールアミド基である。前記アルコキ
シ基は、好ましくは炭素数1〜20のものであり、例え
ば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロ
ポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基またはシ
クロヘキシル基などが挙げられる。アリールオキシ基
は、好ましくは、例えば、フェノキシ基または2、3、
4、5もしくは6位のいずれかに置換基を有する置換フ
ェノキシ基である。
【0031】前記置換フェニル基および置換フェノキシ
基の有する置換基としては、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル
基、シクロヘキシル基などのアルキル基もしくはシクロ
アルキル基;フェニル基、ナフチル基などのアリール
基;トリメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基な
どのアルキル基もしくはアリール基を有するアルキルシ
リル類またはアルキルアリールシリル類;フッ素、塩
素、臭素またはヨウ素などのハロゲン;メトキシ基、エ
トキシ基、プロポキシ基などのアルコキシ基;シアノ
基;ナフチル基または2〜8位のいずれかに上記同様の
置換基を有する置換ナフチル基などが挙げられる。
【0032】さらにアルキルアミド基またはアリールア
ミド基としては、好ましくはアルキル基の炭素数1〜2
0のアルキルアミド基またはアリール基の炭素数が6〜
20のアリールアミド基であり、例えば、N,N−ジメ
チルアミド基、N−メチル(N−tert−ブチル)ア
ミド基、N−メチル(N−トリメチルシリル)アミド
基、N−フェニル−N−メチルアミド基、N−フェニル
(N−トリメチルシリル)アミド基、N−(2,6−ジ
メチルフェニル)−N−メチルアミド基、N−(2,6
−ジイソプロピルフェニル)−N−メチルアミド基、N
−(2,6−ジメチルフェニル)−N−(トリメチルシ
リル)アミド基、N−(2,6−ジイソプロピルフェニ
ル)−N−(トリメチルシリル)アミド基などが挙げら
れる。
【0033】本発明で使用する融点を有するノルボルネ
ン系重合体を得るための重合触媒としては、式(3)ま
たは(4)中のR10とR11もしくはR15とR16
とが互いに結合しているものが好適である。互いに結合
しているアルコキシ基またはアリールオキシ基としては
プロピル−1,3−ジオキシ基、ブチル−1,4−ジオ
キシ基、シクロヘキシル−1,2−ジメトキシ基、2,
2’−ビフェノキシ基、1,1−ビス−2−ナフトキシ
基などが挙げられる。アルキルアミド基またはアリール
アミド基としては、1,3−プロピル−N,N’−ジメ
チルジアミド基、1,3−プロピル−N,N’−ジ(ト
リメチルシリル)ジアミド基、1,3−プロピル−ビス
(フェニルアミド)基、N,N’−ビス(トリメチルシ
リル)−2,2’−ビフェニルジアミド基などが挙げら
れる。
【0034】一般式(3)のR12およびR13は、水
素、アルキル基またはアリール基である。アルキル基ま
たはアリール基の好ましいものとは、前述の一般式
(3)のRと一般式(4)のR14のアルキル基ま
たはアリール基の好ましいものと同様である。また、一
般式(4)のXおよびXは、ハロゲン、アルキ
ル基、アリール基、またはアルキルシリル基である。X
またはXがアルキル基またはアリール基である
場合の好ましいものは、前述の一般式(3)のR
と、一般式(4)のR14のアルキル基またはアリ
ール基の好ましいものと同様である。XまたはX
がハロゲンである場合の好ましい例は、フッ素、塩
素、臭素およびヨウ素が挙げられる。XまたはX
がアルキルシリル基の場合の好ましい例としては、
トリメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基などの
アルキル基の炭素数が1〜20(炭素数6〜20のアリ
ール基を含んでもよい)のアルキルシリル類が挙げられ
る。
【0035】さらに、一般式(4)のYは電子供与性の
中性配位子であり、一般的にはヘテロ原子を有する電子
供与性化合物で、具体的には、ホスフィン類、エーテル
類、アミン類などを挙げることができる。ホスフィン類
としては、トリメチルホスフィン、トリイソプロピルホ
スフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニ
ルホスフィンなど、炭素数6〜20のアリール基を含有
してもよい、アルキル基の炭素数が1〜20のトリアル
キルホスフィン、またはアリール基の炭素数が6〜20
のトリアリールホスフィンが挙げられる。エーテル類と
しては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,
2−ジメトキシエタンなどが挙げられる。アミン類とし
ては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどのトリ
アルキルアミン、ピリジン、ルチジンなどが挙げられ
る。
【0036】重合活性を向上させる目的で、上記の重合
触媒に有機金属還元剤を添加して重合してもよい。有機
金属還元剤は、炭素数1〜20の炭化水素基を有する周
期律表第1、2、12、13、または14族の有機金属
化合物を挙げることができる。中でも、有機リチウム、
有機マグネシウム、有機亜鉛、有機アルミニウム、有機
スズが好ましく、有機アルミニウム、有機スズが特に好
ましい。有機リチウムとしては、n−ブチルリチウム、
メチルリチウム、フェニルリチウムなどを挙げることが
できる。有機マグネシウムとしては、ブチルエチルマグ
ネシウム、ブチルオクチルマグネシウム、ジヘキシルマ
グネシウム、エチルマグネシウムクロリド、n−ブチル
マグネシウムクロリド、アリルマグネシウムブロミドな
どを挙げることができる。有機亜鉛としては、ジメチル
亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛などを挙げること
ができる。有機アルミニウムとしては、トリメチルアル
ミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルア
ルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリドなどを挙げ
ることができる。有機スズとしては、n−ブチルスズ、
テトラフェニルスズなどを挙げることができる。
【0037】有機金属還元剤の添加量は、重合触媒の中
心金属に対してモル基準で0.1〜100倍が好まし
く、0.2〜50倍がより好ましく、0.5〜20倍が
特に好ましい。添加量が0.1倍以下では重合活性が向
上せず、100倍以上であると、副反応が起こりやすく
なる。単量体に対する重合触媒の割合は、重合触媒中の
遷移金属対単量体のモル比が、通常、1:100〜1:
2,000,000、好ましくは1:500〜1:1,
000,000、より好ましくは1:1,000〜1:
500,000である。触媒量が多すぎると重合反応後
の触媒除去が困難となり、少なすぎると十分な重合活性
が得られない。
【0038】融点を有するノルボルネン系開環重合体の
分子量を調整するために、分子量調整剤として、ビニル
化合物またはジエン化合物を適当量添加することができ
る。分子量調整剤に用いるビニル化合物またはジエン化
合物としては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1
−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン類;ス
チレン、ビニルトルエンなどのスチレン類;エチルビニ
ルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシ
ジルエーテルなどのエーテル類;アリルクロライドなど
のハロゲン含有ビニル化合物;グリシジルメタクリレー
トなど酸素含有ビニル化合物;アクリルアミドなどの窒
素含有ビニル化合物;1,4−ペンタジエン、1,4−
ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタ
ジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−
ジメチル−1,5−ヘキサジエンなどの非共役ジエン、
または1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタ
ジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,
3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどの共役ジ
エンなどを挙げることができる。ビニル化合物またはジ
エン化合物の量は、所望の分子量を持つ開環重合体を得
るに足る量であればよく、通常は、単量体に対して0.
1〜10モル%である。
【0039】本発明に用いる融点を有するノルボルネン
系開環重合体を得るための重合においては、反応を無溶
媒で行うこともできるが、重合後、水素化反応を行う場
合には有機溶媒中で重合することが溶媒を共通に使える
ことも可能となるので好ましい。前記重合反応で用いる
有機溶媒は、重合体および重合体水素化物が所定の条件
で溶解もしくは分散し、かつ、重合および水素化反応に
影響しないものであれば特に限定されない。このような
有機溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプ
タンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘ
キサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサ
ン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサ
ン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、
ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロイ
ンデンシクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環族炭
化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭
化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジク
ロロエタンなどのハロゲン系脂肪族炭化水素;クロロベ
ンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系芳香族炭化
水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル
などの含窒素炭化水素;ジエチルエ−テル、テトラヒド
ロフランなどのエ−テル類などの溶媒を使用することが
できるが、これらの中でも、工業的に汎用されている芳
香族炭化水素や脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素または
エーテル類が好ましい。
【0040】なお、本発明に用いる融点を有するノルボ
ルネン系重合体は耐薬品性に優れるため、上記溶媒の中
には重合体を溶解できないものもある。そのような溶媒
を用いる場合は、重合体などが分散している状態か一部
溶解している状態で重合または水素化反応を行う。重合
体が融点を持たずに、水素化物となってはじめて融点を
有する場合は、重合体が完全に溶解している状態で重合
および水素化反応を行うことが好ましい。重合を有機溶
媒中で行う場合には、溶液中の単量体の濃度は、1〜5
0重量%が好ましく、2〜45重量%がより好ましく、
3〜40重量%が特に好ましい。単量体の濃度が1重量
%より小さいと生産性が低くなるおそれがあり、50重
量%より大きいと重合後の溶液粘度が高すぎて、その後
に水素化反応を行う場合に反応が困難となる可能性があ
る。重合反応は、ノルボルネン系単量体と重合触媒を混
合することにより開始される。重合温度は特に制限はな
いが、一般には、−30℃〜200℃、好ましくは0℃
〜180℃である。重合時間は、1分間〜100時間
で、特に制限はない。こうして重合して得られた融点を
有するノルボルネン系開環重合体は、成形に供する場合
は次ぎに溶媒除去工程へ進められる。また、ノルボルネ
ン系開環重合体水素化物としてから管状成形体に使用す
る場合は、水素添加反応工程へ移送される。
【0041】ノルボルネン系開環重合体の水素化は、主
鎖または/および側鎖に存在する炭素−炭素二重結合に
対して水素添加する反応であり、水素化触媒の存在下で
反応系内に水素を供給して行う。水素化触媒としては、
オレフィン化合物の水素化に際して一般に使用されてい
るものであればいずれも使用可能であり、特に制限され
ないが、例えば、次のようなものが挙げられる。均一系
触媒としては、遷移金属化合物とアルカリ金属化合物の
組み合わせからなる触媒系、例えば、酢酸コバルト/ト
リエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート
/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド
/n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド/se
c−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメ
チルマグネシウムなどの組み合わせが挙げられる。さら
に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウ
ム、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホ
スフィン)ルテニウム、クロロトリス(トリフェニルホ
スフィン)ロジウムなどの貴金属錯体触媒を挙げること
ができる。
【0042】不均一触媒としては、ニッケル、パラジウ
ム、白金、ロジウム、ルテニウム、又はこれらの金属を
カーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタン
などの担体に担持させた固体触媒、例えば、ニッケル/
シリカ、ニッケル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、
パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウ
ム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナなどの触媒系が
挙げられる。水素化反応は、通常、不活性有機溶媒中で
実施する。このような不活性有機溶媒としては、ノルボ
ルネン系単量体の開環重合反応の溶媒として例示した脂
肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロ
ゲン系芳香族炭化水素、含窒素炭化水素、エーテル類な
どが使用される。
【0043】不活性有機溶媒は、重合反応溶媒と同じも
のでもよく、その場合には重合反応液にそのまま水素化
触媒を添加して反応させればよい。水素化反応は、使用
する水素化触媒系によって適する条件範囲が異なるが、
水素化温度は、通常、−20℃〜250℃、好ましくは
−10〜220℃、より好ましくは0〜200℃であ
り、水素圧力は、通常、0.01〜5MPa、好ましく
は0.05〜4MPa、より好ましくは0.1〜3MP
aである。水素化温度が低すぎると反応速度が遅くなる
おそれがあり、高すぎると副反応が起こる可能性があ
る。また、水素圧力が低すぎると水素化速度が遅くな
り、高すぎると高耐圧反応装置が必要となる。水素化率
は、通常、50%以上、好ましくは70%以上、より好
ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であ
り、水素化反応時間が0.1〜10時間で上記水素化率
が達成できる。
【0044】ノルボルネン系開環重合体の水素添加反応
が終了した反応溶液から、水素添加触媒を濾別する。濾
別後の重合体溶液から、溶媒などの揮発成分を除去す
る。溶媒などの揮発成分を除去する方法としては、凝固
法や直接乾燥法など公知の方法を採用することができ
る。
【0045】凝固法は、重合体溶液を重合体の貧溶媒と
混合することにより、重合体を析出させる方法であり、
貧溶媒としては、たとえばエチルアルコール、n−プロ
ピルアルコールもしくはイソプロピルアルコールなどの
アルコール類;アセトンもしくはメチルエチルケトンな
どのケトン類;酢酸エチルもしくは酢酸ブチルなどのエ
ステル類などの極性溶媒を挙げることができる。凝固し
て得られた粒子状の成分は、たとえば真空中または窒素
中若しくは空気中で加熱して乾燥させて粒子状にする
か、さらに必要に応じて溶融押出機から押し出してペレ
ット状にする。直接乾燥法は、重合体溶液を減圧下加熱
して溶媒を除去する方法である。この方法には、遠心薄
膜連続蒸発乾燥機、掻面熱交換型連続反応器型乾燥機、
高粘度リアクタ装置などの公知の装置を用いて行うこと
ができる。真空度や温度はその装置によって適宜選択さ
れ、限定されない。
【0046】本発明に用いる融点を有するノルボルネン
系重合体には、その他の重合体を配合して使用すること
ができる。その他の重合体としては、ゴム質重合体やそ
の他の樹脂が挙げられる。ゴム質重合体は、ガラス転移
温度(以下、Tgと記すことがある。)が40℃以下の
重合体である。ゴム質重合体にはゴムや熱可塑性エラス
トマーが含まれる。ブロック共重合体のごとくガラス転
移温度が2点以上ある場合は、最も低いガラス転移温度
が40℃以下であれば本発明においてゴム質重合体とし
て用いることができる。ゴム質重合体のムーニー粘度
(ML1+4 ,100℃)は、使用目的に応じて適宜
選択されるが、通常、5〜300である。
【0047】ゴム質重合体としては、例えば、エチレン
−プロピレンゴムなどのエチレン−α−オレフィン系ゴ
ム;エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体ゴ
ム;エチレン−メチルメタクリレート、エテレン−ブチ
ルアクリレートなどのエチレンと不飽和カルボン酸エス
テルとの共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体など
のエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体;アクリル酸エ
チル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリルなどのア
クリル酸アルキルエステルの重合体;ポリブタジエン、
ポリイソプレン、スチレンとブタジエンまたはイソプレ
ンとのランダム共重合体、アクリロニトリル−ブタジエ
ン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジ
エン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、
ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−ア
クリロニトリル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル−アクリロニトリル−スチレン共
重合体などのジエン系ゴム;ブチレン−イソプレン共重
合体;スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化
スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレ
ン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−イソプレ
ンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロ
ック共重合体などの芳香族ビニル−共役ジエン系ブロッ
ク共重合体、低結晶性ポリブタジエン樹脂、スチレング
ラフトエチレン−プロピレンエラストマー、熱可塑性ポ
リエステルエラストマー、エチレン系アイオノマー樹脂
などを挙げることができる。これらのゴム質重合体のう
ち、耐熱性、耐候性に優れる水素化スチレン−ブタジエ
ンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロ
ック共重合体などが好ましい。これらのゴム質重合体
は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用
いることができる。
【0048】ゴム質重合体の量は、使用目的に応じて適
宜選択される。耐衝撃性や柔軟性が要求される場合には
ゴム質重合体の量は、融点を有するノルボルネン系重合
体100重量部に対して、通常0.01〜100重量
部、好ましくは0.1〜70重量部、より好ましくは1
〜50重量部の範囲である。その他の樹脂としては、例
えば、非晶性ノルボルネン系開環重合体、非晶性ノルボ
ルネン系開環重合体水素化物、結晶性ノルボルネン系付
型加重合体、非晶性ノルボルネン系付加型重合体、低密
度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポ
リエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−エチル
アクリレート共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン、水素化ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレン
スルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポ
リエステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテ
ート、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレー
ト、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどが挙げら
れる。これらのその他の樹脂は、それぞれ単独で、ある
いは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配
合割合は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択さ
れる。
【0049】本発明に用いる融点を有するノルボルネン
系重合体には、本発明の目的を阻害しない範囲で、合成
樹脂に一般的に用いられる各種配合剤を添加しても良
い。各種配合剤としては、例えば、安定剤(酸化防止
剤)、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ剤、防曇
剤、染料、顔料、着色剤、天然油、合成油、可塑剤、有
機または無機の充填剤、抗菌剤、消臭剤、脱臭剤、発泡
剤などが挙げられる。
【0050】安定剤としては、例えば、オクタデシル−
3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−
(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕メタン、ペンタエリスリチル−
テトラキス〔3−(3,5−ジ−ターシャリ−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などのフェ
ノール系酸化防止剤;トリフェニルホスファイト、トリ
ス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、9,10
−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレ
ンなどリン系酸化防止剤;ジミリスチル3,3′−チオ
ジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジプ
ロピオネート、ラウリルステアリル−3,3′−チオジ
プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−
(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)などのイオウ
系酸化防止剤などを挙げることができる。これらの中で
も、フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの安定
剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせ
て用いることができる。安定剤の量は、本発明に用いる
融点を有するノルボルネン系重合体100重量部に対し
て、通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜
2重量部の範囲である。
【0051】紫外線吸収剤および耐候安定剤としては、
例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−
n−ブチルマロネート、4−〔3−(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキ
シ〕−1−{2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル}
−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのヒン
ダードアミン系化合物;2−(2−ヒドロキシ−5−メ
チルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブ
チル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−ク
ロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリ
アゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロ
キシフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリア
ゾール系化合物;2,4−ジ−t−ブチルフェニル−
3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエー
ト、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシベンゾエートなどのベゾエート系化合物などが挙
げられる。これらの紫外線吸収剤および耐候安定剤は、
それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いる
ことができる。紫外線吸収剤および耐候安定剤の量は、
本発明に用いる融点を有するノルボルネン系重合体10
0重量部に対して通常0.001〜5重量部、好ましく
は0.01〜2重量部の範囲である。
【0052】帯電防止剤としては、ステアリルアルコー
ル、ベヘニルアルコールなどの長鎖アルキルアルコー
ル;アルキルスルホン酸ナトリウム塩および/またはア
ルキルスルホン酸ホスホニウム塩;ステアリン酸のグリ
セリンエステルなどの脂肪酸エステル;ヒドロキシアミ
ン系化合物;無定形炭素、酸化スズ粉、アンチモン含有
酸化スズ粉などを例示することができる。帯電防止剤の
量は、本発明に用いる融点を有するノルボルネン系重合
体100重量部に対して、通常0〜5重量部の範囲であ
る。
【0053】融点を有するノルボルネン系重合体は、上
記のその他の重合体や配合剤と共に、例えば二軸混練機
などにより、200〜400℃程度の温度にて溶融混練
した後、ペレット、顆粒、粉末などにして成形用材料と
して成形工程に供される。本発明の管状成形体の径およ
び肉厚は特に限定されないが、内径は、通常、1〜10
0mm、好ましくは1〜50mm、より好ましくは1〜
10mmであり、肉厚は、通常、50μm〜10mm、
好ましくは50μm〜5mm、より好ましくは50μm
〜1mmである。チューブ、ホースおよびパイプの区別
に格別な規定はなく、肉厚や硬さによって区別すること
もあるが、用途や業種における慣習により呼称が変わる
のが実状である。概して、肉厚が100〜1000μm
と薄目で柔軟性のある管状成形品をチューブまたはホー
スと称し、肉厚が1000μm以上と厚めで剛性の大き
な管状成形品をパイプと称する傾向がある。
【0054】本発明の管状成形品の成形方法に制限はな
いが、通常は押出成形法による。押出機部分の加熱、加
圧条件としては、成形機、融点を有するノルボルネン系
重合体の特性などにより適宜選択すればよく、温度は、
通常、Tm〜(Tm+100℃)、好ましくは(Tm+
20℃)〜(Tm+50℃)である。圧力は、通常、
0.5〜100MPa、好ましくは1〜50MPaであ
る。加圧時間は数秒〜数十分程度が好ましい。押出ダイ
は環状のサーキュラダイ(チューブダイ)を使う。サー
キュラダイとして、スパイダー型のストレートダイやク
ロスヘッドダイ、スパイラル型ダイなどが使用できる。
クロスヘッドダイは押出機本体から押し出された溶融樹
脂が90°方向転換するので管状成形品を製造するとと
もにそれを用いて被覆電線を製造する場合などに利便性
がある。また、押出し後のチューブの引き取りが重力方
向で水平方向より肉厚精度が出るので、薄いポリ袋材料
のように押出しに続いてインフレーションで製造する場
合などに有利である。スパイラル型では、溶融樹脂をマ
ンドレルの外周に設けたスパイラル溝に沿って押し出さ
れるので、スパイダー型が有する樹脂成形品にスパイダ
ーマークやウエルドラインを残しやすい難点が改良され
る。本発明で使用する融点を有するノルボルネン系重合
体はダイ通過後のスウェルが小さいのでチューブ径の寸
法精度が高い。ダイを出た溶融樹脂は直ちに寸法制御の
ためサイジングに通される。サイジングには、外径1〜
15mm程度で肉厚50〜200μm程度のチューブに
適するプレートサイジング、外径約15mm以上で肉厚
20〜180μm程度のチューブに適する内面サイジン
グ、外径約1mm以上で肉厚200〜2000μm程度
のパイブに適する真空サイジングなどがあるが、これら
に限定されず、重合体、配合剤、目的などに合わせて適
宜選定される。
【0055】管状成形品の結晶性をより強く現出するた
めに、冷却条件としてTgより高く、(Tm−20)℃
以下の温度に10分〜数時間保持(アニール処理)する
ことが好ましい。本発明に用いる融点を有するノルボル
ネン系重合体は、Tmが比較的高く、耐熱性が高いが、
高剪断速度下において200〜400℃の間で著しく低
粘度になって流動性となる特徴を有している。この理由
は明確ではないが、結晶性を有するため液晶状態になり
急激に粘度が下がるものと考えられる。そのため本発明
に用いる融点を有するノルボルネン系重合体は溶融温度
の高い樹脂であるにも拘らず、良く流動するので短時間
で成形することが可能である。
【0056】本発明で使用する融点を有するノルボルネ
ン系重合体は結晶構造を形成する重合体であるので、管
状成形品の内部に結晶部を形成し、これと非晶部とが相
俟って成形品に大きな引張り強度などの機械的強度を与
え、それでいて、結晶が大きくないので透明性の良さを
も与えるのである。
【0057】管状成形品の機械的強度を一層増大すべ
く、結晶化度を高めるために延伸を行うこともできる。
例えば、押出機から引き取られたチューブの内部にエア
ーを入れて径方向に2〜5倍程度膨張させ、サイジング
過程で進行方向にピンチロールで引っ張って塑性変形を
与えて薄もののチューブフィルムにする。この塑性変形
は、内部の摩擦で、結晶鎖は勿論、非晶鎖も引き伸ばし
て配向させる効果を有する。延伸を行うのに好ましい温
度は、Tg以上でTm以下である。遠心チューブは高強
度ポリ袋として、また、物品に被覆して加熱することに
より密着包装するシュリンクチューブとして使用され
る。また、2〜4層など複数層の多層フィルムチュ−ブ
も包装用として有用である、多層フィルムチューブは、
押出機のマンドレルの壁面に沿って他の押出機から層数
に見合う数の重合体材料を導入して共押出して製造され
る。多層用に使用される重合体としては、融点を有する
ノルボルネン系重合体の他に、配合することができる重
合体として前記したゴム質重合体やその他の樹脂が挙げ
られる。また、発泡させることによって発泡チューブと
することもできる。発泡チューブは、銅管などの保温
材、断熱材などとして使用できる。
【0058】本発明の融点を有するノルボルネン系重合
体を成形してなる管状成形品は、透明性、耐熱性、耐薬
品性に優れ、かつ、引張強度など機械的強度が大きい。
また、融点を有するノルボルネン系重合体は押出機での
スウェルが小さいので、管状成形品は寸法精度が高い。
熱分解温度が高いので、管状成形品は加工温度範囲が広
い。水素化したノルボルネン系重合体は、耐熱性や耐候
性が一層改善されているので、これによる管状成形品は
屋外でも耐久性が大きい。これらの特徴を有する本発明
の管状成形品は、医療分野、食品分野、民生分野、土木
建築分野、産業用途などの多岐の用途で利用することが
できる。なかでも、食品分野、医療分野、民生分野など
の用途に好適である。医療分野では、輸血用チューブ、
点滴用チューブ、輸液用チューブ、カテーテルなどで使
用できる。食品分野としては、真空パック用チューブ、
食品用シュリンクチューブなどの食品包装袋などで使用
できる。民生分野では、散水ホース、包装用ポリ袋、干
し竿、干し竿用シュリンクチューブ、テーブルタップ用
被覆電線、家具、ハンガー掛け、つっかえ棒用パイプ、
管状保温材・断熱材などが挙げられる。産業用途として
は、被覆電線、計装空気チューブ、電線保護配管、潤滑
油輸送配管、反応液輸送用配管・チューブ、空調配管、
管状保温材・断熱材などが挙げられる。
【0059】
【実施例】以下に、実施例および比較例を挙げて、本発
明をさらに具体的に説明する。試験法は下記によった。
なお、以下、実施例および比較例中の部および%は、特
記しない限り、重量基準である。 (1)重合体の重量平均分子量(Mw)および数平均分
子量(Mn)は、クロロホルムを溶媒とするゲル・パー
ミエーション・クロマトグラフィーによる標準ポリスチ
レン換算値としてそれぞれ測定した。 (2)重合体の水素化率は、赤外線吸収スペクトルによ
り測定した。 (3)重合体の融点(Tm)およびガラス転位温度(T
g)は、示差走査熱量計(DSC)にて、10℃/分で
昇温して測定した。
【0060】(4)管の曇り価(ヘイズ)は、JIS
K 7105により、積分球式光線透過率測定装置を用
いて拡散透過率Tdおよび全光線透過率Ttを測定し、
次式からヘイズHを計算して求めた。 H=(Td/Tt)×100 ヘイズの小さいほど透明性が良いことを示す。 (5)熱重量減少開始温度は、チューブを10mg切り
出してJIS K 7120に準じて測定した。 (6)引張り強度および伸びは、内径2mm、肉厚0.
3mmのチューブ形状の試料について、中央部に40m
mの標線をつけ、つかみの間隔80mmとなるように試
験機に取り付け、5mm/分の引張り速度で測定した。
【0061】(7)成型品の寸法精度は、キャピログラ
フィーに、内径(D)3mm、外径4mm、長さ1
0mmのチューブ状のノズルを取り付け、押し出したス
トランドの内径(D)を測定してスウェル比(D
/D)を求め、下記の基準で評価した。 ○:スウェル比が1.0以上、1.2未満 △:スウェル比が1.2以上、1.3未満 ×:スウェル比が1.3以上 (8)耐薬品性試験は、長さ5cmのチューブ試験片を
用いてアセトン、トルエン、シクロヘキサン、四塩化炭
素、塩酸(濃度35%)およびアンモニア水(濃度28
%)各200mlにそれぞれ23℃にて24時間浸漬し
て取り出して観察した。 ○:膨潤、溶解などの外観変化が全くない。 △:若干膨潤が見られる。または、形状が崩れている。 ×:完全に、または、大部分溶解している。
【0062】実施例1 攪拌機付きガラス反応器に、一般式(5)で示されるモ
リブデン化合物(式中phはフェニル基を表す。)を
0.0068部添加した後、シクロヘキサン24部、ジ
シクロペンタジエン6部、1−ヘキセン0.00573
部を添加し、室温で重合反応を行った。
【0063】
【化5】
【0064】重合反応開始後、瞬時に白色の沈殿物が析
出した。3時間反応後、重合反応液を多量のイソプロパ
ノールに注いでポリマ−を完全に析出させ、濾別洗浄
後、40℃で40時間減圧乾燥した。得られたノルボル
ネン系開環重合体の収量は5.5部で、Mw103,0
00、Mn37,000であった。なお、Tmは218
℃、Tgは95℃であった。次いで、該開環重合体10
0部にヒンダードフェノール系酸化防止剤としてペンタ
エリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−ターシ
ャリ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕を0.2部添加し、二軸押出機により、樹脂温度平
均320℃にて溶融混練し、ペレタイザーによりペレッ
トを得た。該ペレットを、65mm二軸押出機でストレ
ートダイを用いてバレル温度300℃、ダイ温度320
℃にて溶融、押出し、水でシャワーしつつ、プレートサ
イジングを経て、内径2000μm、肉厚300μmの
チューブを引き取りロールに巻き取った。得られたチュ
ーブの曇り価、熱重量減少開始温度、引張り強度、伸
び、寸法安定性および耐薬品性を試験した結果を表1に
記す。
【0065】実施例2 攪拌機付きオートクレーブに、実施例1と同じ反応を行
って得られた開環重合体5.0部とシクロヘキサン88
部を加えた。次いでビス(トリシクロヘキシルホスフィ
ン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリド0.0
31部およびエチルビニルエーテル1.8部をシクロヘ
キサン18部に溶解した水素化触媒溶液を添加し、水素
圧0.785MPa、温度120℃で10時間水素化反
応を行った。反応後、反応液を多量のイソプロパノール
に注いで重合体を完全に析出させ、濾別洗浄した後、4
0℃で40時間減圧乾燥した。赤外線吸収スペクトルに
は、炭素−炭素二重結合由来の吸収は観測されず、水素
化率は99%以上であった。得られたノルボルネン系開
環重合体水素化物のMwは195,000、Mnは7
2,000で、Tmは272℃、Tgは102℃であっ
た。以後、このノルボルネン系開環重合体水素化物を用
いて実施例1と同様にしてペレットを作製し、内径20
00μm、肉厚300μmのチューブを製造した。得ら
れたチューブの曇り価、熱重量減少開始温度、引張り強
度、伸び、寸法安定性および耐薬品性を試験した結果を
表1に記す。
【0066】比較例1 実施例1において、成形用材料としてTg96℃、Tm
270℃のシンジオタクチックポリスチレン(s−P
S)のペレットを用い、バレル温度を290℃に、ダイ
温度を300℃にそれぞれ変更した他は実施例1と同様
にして内径2000μm、肉厚300μmのチューブを
得た。得られたチューブの曇り価、熱重量減少開始温
度、引張り強度、伸び、寸法安定性および耐薬品性を試
験した結果を表1に記す。
【0067】比較例2 実施例1において、成形用材料としてTgは−135
℃、Tmは105℃の低密度ポリエチレンのペレットを
用い、バレル温度を230℃に、ダイ温度を240℃に
それぞれ変更した他は実施例1と同様にして内径200
0μm、肉厚300μmのチューブを得た。得られたチ
ューブの曇り価、熱重量減少開始温度、引張り強度、伸
び、寸法安定性および耐薬品性を試験した結果を表1に
記す。
【0068】比較例3 実施例1において、成形用材料としてTgは−95℃、
Tmは125℃の高密度ポリエチレンのペレットを用
い、バレル温度を240℃に、ダイ温度を250℃にそ
れぞれ変更した他は実施例1と同様にして内径2000
μm、肉厚300μmのチューブを得た。得られたチュ
ーブの曇り価、熱重量減少開始温度、引張り強度、伸
び、寸法安定性および耐薬品性を試験した結果を表1に
記す。
【0069】
【表1】
【0070】表1が示すように、融点を有するノルボル
ネン系開環重合体およびその水素化物を用いて得られた
本発明のチューブは、曇り価が小さくて透明性が良く、
熱重量減少開始温度が高くて耐熱性が良く、引張強度が
極めて大きい値であり、寸法安定性が大きい。また、有
機溶媒、酸およびアルカリに侵されず耐薬品性に優れて
いる。(実施例1、2)。一方、s−PSによるチュー
ブは、透明性(曇り価が大)、耐熱性(熱重量減少開始
温度低い)、引張り強度、寸法安定性および耐薬品性の
いずれも本発明のチューブより劣った(比較例1)。低
密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンによるチュ
ーブは、共に、耐溶剤性は本発明のチューブと同程度に
優れ、伸びが顕著に大きいが、透明性、耐熱性、引張り
強度および寸法安定性が劣った(比較例2、3)。
【0071】
【発明の効果】本発明により、透明性、耐熱性および耐
薬品性に優れ、かつ、高強度で寸法安定性の良い、熱可
塑性樹脂からなる管状成形品が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 65:00 C08L 65:00 (72)発明者 岸 直哉 神奈川県川崎市川崎区夜光一丁目2番1号 日本ゼオン株式会社総合開発センター内 Fターム(参考) 3H111 AA02 BA15 BA34 DA26 DB02 DB21 4F071 AA69 AA84 AF02 AF14 AF30 AF45 AF54 AH19 BA01 BB06 BC05 4F207 AA12 AB11 AG08 KA01 KA17 KK13 KK76 4J032 CA34 CA35 CA36 CA38 CA43 CA45 CB01 CB04 CB12 CD02 CF03 CG07

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点を有するノルボルネン系重合体を成
    形してなる管状成形品。
  2. 【請求項2】 前記融点を有するノルボルネン系重合体
    が、重合体全繰返し単位中に3環体以上のノルボルネン
    系単量体由来の繰返し単位を10モル%以上含有するも
    のである請求項1に記載の管状成形品。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005089744A (ja) * 2003-08-13 2005-04-07 Nippon Zeon Co Ltd 開環重合体、開環重合体水素化物およびそれらの製造方法、並びに重合触媒組成物
JP2008222929A (ja) * 2007-03-14 2008-09-25 Nippon Zeon Co Ltd 多孔質フィルム及びその製造方法
JP2013139513A (ja) * 2011-12-29 2013-07-18 Nippon Zeon Co Ltd 結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物の製造方法
JP2014059054A (ja) * 2012-08-22 2014-04-03 Kurabe Industrial Co Ltd シクロオレフィンポリマー層を有するチューブ
JP2015530157A (ja) * 2012-09-24 2015-10-15 アルテリウス リミテッド ステントの形成に使用するための管を製造する方法及びこのような管

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