JP2002121267A - ブロック共重合体の製造法 - Google Patents

ブロック共重合体の製造法

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JP2002121267A
JP2002121267A JP2001233660A JP2001233660A JP2002121267A JP 2002121267 A JP2002121267 A JP 2002121267A JP 2001233660 A JP2001233660 A JP 2001233660A JP 2001233660 A JP2001233660 A JP 2001233660A JP 2002121267 A JP2002121267 A JP 2002121267A
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atom
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Koji Maruyama
鋼志 丸山
Shigeki Katogi
茂樹 加藤木
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Hitachi Chemical Co Ltd
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】極端に構造が異なるモノマ同士を合成原料とし
て用いた場合でも、ポリマ(ブロック共重合体)の構造
設計が容易で、所望のブロック共重合体を効率的に製造
する方法。 【解決手段】メタセシス重合可能な不飽和単環化合物
(A)と、メタセシス重合可能な不飽和多環化合物
(B)とを、金属カルベン錯体触媒(C)を用いてメタ
セシス重合反応させる際、初めに、前記単環化合物
(A)及び必要な金属カルベン錯体触媒(C)の全量を
混合(反応開始)し、その後に、反応系に前記多環化合
物(B)を加え反応させる。このとき、上記反応のあと
に更に、反応停止剤を加えて重合反応を停止させ、重合
体の一端に結合した金属カルベン錯体触媒(C)由来の
触媒活性部位を除くとともに、その中心金属に配位した
ハロゲン原子等も除くことが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メタセシス重合反
応を用いたブロック共重合体の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】2成分系メタセシス重合触媒(タングス
テンやモリブデンの塩化物とその活性化剤)を用いて、
炭素−炭素2重結合を有する2種類のメタセシス重合性
モノマを交互に添加し、ブロック共重合体を合成するこ
とは知られている(例えば、特開昭52−51500号
公報)。
【0003】また、メタセシス重合触媒の金属カルベン
錯体を用いて、構造が類似したメタセシス重合性モノマ
同士のブロック共重合体を合成した例は知られている
(Macrololecules第28巻第4709頁,1995年、Macrololecu
les第30巻第3137頁,1997年、Journal of the American
Chemical Society第118巻第784頁,1996年)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記特開昭5
2−51500号公報に示された方法では、2成分混合
後の触媒の空気・湿気に対する安定性や(乾燥した窒素
雰囲気を要する等の)取扱い性に問題があり、使用でき
る原料モノマの官能基や溶媒の選択幅にも制約がある。
また、プロトン放出能の高い官能基や、ホルミル基、ケ
トン基、エステル基を有する原料モノマもしくは溶媒
は、停止反応を誘発し触媒毒ともなるので反応に使えな
い(高分子学会編「高分子の合成と反応(1)」第39
3頁(共立出版、1990年発行))。
【0005】また、金属カルベン錯体を用いたブロック
共重合体の合成では、構造が類似した2種類のモノマで
の合成例は知られているが、構造が極端に異なる2種類
のモノマを用いるブロック共重合体の製造法は未だ知ら
れていない。
【0006】ところで、構造や極性が異なる2種類のメ
タセシス重合性モノマからなるブロック共重合体は、ミ
クロ相分離構造をとる可能性が高く、極性基からなるポ
リマ領域がミクロ相分離構造をとっている場合、その領
域は金属に対する接着力を促進することが示唆されてい
る。
【0007】また、例えば、ポリアルキレン鎖等の非極
性な分子鎖からなるポリマ領域は、ブロック共重合化さ
れるとエラストマとして作用し、ポリマ自体を低弾性化
し、そのことが接着力の増強に寄与することも示唆され
ているところであり、このようなブロック共重合体は、
低吸水率、低誘電率、低弾性、透明性等の諸物性をコン
トロールすることも期待できる。更に、ブロック共重合
体中のモノマ含有率を変化させることで共重合体の物性
を微妙にコントロールする可能性もある。そこで、構造
や極性が異なる2種類のメタセシス重合性モノマからブ
ロック共重合体を容易に安定して製造できるならば、こ
れは、電子部品、光学部品、自動車部品等への応用が期
待できる。
【0008】本発明は、ポリマの物性改良の幅を拡大す
るために、極端に構造が異なるモノマ同士を合成原料と
して用いた場合でも、ポリマ(ブロック共重合体)の構
造設計が容易で、所望のブロック共重合体を効率的に製
造する方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、安定でか
つ高活性なルテニウムカルベン錯体触媒を用いて、合成
原料モノマのノルボルネン誘導体とシクロアルケンとを
反応させる際に、初めに、シクロアルケン及び必要なル
テニウムカルベン錯体触媒の全量を混合・反応させ、そ
の後に(すなわち、最後に)、ノルボルネン誘導体を反
応系に添加することにより所望のブロック共重合体が安
定して得られることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0010】すなわち、本発明は、メタセシス重合可能
な不飽和単環化合物(A)と、メタセシス重合可能な不
飽和多環化合物(B)とを、金属カルベン錯体触媒
(C)を用いてメタセシス重合反応させる際、初めに、
前記不飽和単環化合物(A)及び必要な金属カルベン錯
体触媒(C)の全量を混合(反応開始)し、その後、反
応系に前記不飽和多環化合物(B)を加え反応させるこ
とを特徴とするブロック共重合体の製造法である。
【0011】このとき、上記反応のあとに更に、反応停
止剤を加えて重合反応を停止させ、重合体の一端に結合
した金属カルベン錯体触媒(C)由来の触媒活性部位を
除くとともに、その中心金属に配位したハロゲン原子等
も除くことが好ましい。
【0012】また、ここで得られた共重合体に更に水素
添加することが好ましい。重合体分子中になお存在する
炭素−炭素二重結合に起因する経日変化を防止するため
である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明におけるブロック共重合体
の製造法では、上記したように、初めに、前記不飽和単
環化合物(A;モノマAともいう)及び必要な金属カル
ベン錯体触媒(C;Catalystともいう)の全量を混合
(反応開始)し、その後、反応系に不飽和多環化合物
(B;モノマBともいう)を添加する。
【0014】換言すれば、本発明の製造法は、通常、次
の工程(i)及び工程(ii)を含んで成る。 工程(i):メタセシス重合可能な不飽和単環化合物
(A;モノマA;分子種Aともいう)と、金属カルベン
錯体触媒(C;Catalystともいう)の必要量の全量とを
加え混合し、開環メタセシス重合させる。末端に金属カ
ルベン錯体触媒由来の触媒活性部位(Cata)をもつ分子
鎖(すなわち、Cata-AAA…AAA-lyst)を生成す
る。なお、Cataは、金属カルベン錯体触媒由来の触媒活
性部位で金属を含む部位を意味し、lystはその残基を意
味する。
【0015】工程(ii):続いて、上記反応系に、メタ
セシス重合可能な不飽和多環化合物(B;モノマB;分
子種Bともいう)を加え、混合する。前記分子鎖(Cata
-AAA…AAA)の触媒活性部位(Cata)末端から、
順次、モノマBを取り込むようにして、BBB…BBB
鎖が伸長し、末端に触媒活性部位(Cata)をもつジブロ
ック共重合体(Cata-BBB…BBB−AAA…AAA-
lyst)が生成する。
【0016】なお、モノマBと触媒(C)の全量とを加
えて混合・反応させ、続いて、モノマAを加え反応させ
ても、均質なジブロック共重合体は生成しない。また、
仮にCata-AAA…AAA−BBB…BBB-lystで表さ
れるジブロック共重合体が部分的に生成したとしてもそ
の収量(又は収率)は低い。
【0017】本発明の製造法で、このようなジブロック
共重合体(Cata-BBB…BBB−AAA…AAA-lys
t)を収率よく合成できる理由は、触媒(C)が促進す
るモノマAの重合開始反応は重合伸長反応よりも大き
く、そのため、工程(i)の生成物の大部分はCata-A
AA…AAA-lystであり、単独の触媒(C)としては
残っていないからと推定している。一方、触媒(C)が
促進するモノマBの重合伸長反応は重合開始反応よりも
大きいので、逆の順序、すなわち初めにモノマBと触媒
(C)の全量とを加えた場合、工程(i)では未反応の
触媒(C)を残しつつCata-BBB…BBB-lystが生成
することとなる。この残った触媒(C)が次の工程(i
i)で反応触媒となってCata-AAA…AAA-lystを生
成させ、ジブロック共重合体(Cata-AAA…AAA−
BBB…BBB-lyst)の収率を下げ、生成物は不均質
な重合体となると考えられる。
【0018】なお、工程(ii)に続いて、更にモノマA
を反応系に添加すれば、上記ジブロック共重合体(Cata
-BBB…BBB−AAA…AAA-lyst)の触媒活性部
位から、順次、モノマAを取り込み、トリブロック共重
合体(Cata-AAA…AAA−BBB…BBB−AAA
…AAA-lyst)を生成させることもできる。
【0019】また、上記工程(ii)に続いて、好ましく
は、反応停止剤を加えてメタセシス重合反応を停止させ
る工程(工程(iii))を加える。反応停止剤として
は、メタセシス重合反応を停止するとともに重合体の一
端に結合した触媒(C)由来の触媒活性部位も外すも
の、例えば、分子末端に二重結合を有しその隣接位置に
電子吸引性基を有する酢酸ビニル、エチルビニルエーテ
ル、フェニルビニルスルフィド、N−ビニルピロリドン
等のビニルオレフィン化合物、4−ビニルピリジン等の
電子供与能の大きな配位性化合物、あるいはエキソメチ
レン化合物などがある。酢酸ビニルやエチルビニルエー
テルが好ましく用いられる。また、メタセシス重合反応
を停止させるが重合体の一端に結合した触媒(C)由来
の触媒活性部位を外さないものとして、イミダゾール、
2,2'−ビピリジン、4−メチルピリジン等がある。
【0020】以下に、用いるモノマA、モノマB及び触
媒(C)を順に説明する。本発明で用いられる不飽和単
環化合物(A)としては、メタセシス重合可能で、不飽
和多環化合物(B)とともに用いてブロック共重合体が
得られる原料モノマであれば特に制限しない。例えば、
下記一般式(IV)で示される「置換又は無置換のシクロ
アルケン誘導体」が挙げられる。
【化4】
【0021】ここで、一般式(IV)中のY1は少なくと
も1個以上の炭素原子を有する2価の有機基を示し、酸
素原子、硫黄原子、窒素原子及びリン原子のいずれかを
含んでいてもよく、さらに他の環構造と融合していても
よく、オキシラン環、オキセタン環、炭素数1〜8のシ
クロアルカン環及びシクロアルケン環のいずれかを含ん
でいてもよい。なかでも、炭素原子を少なくとも1個含
有しかつ酸素原子、硫黄原子、窒素原子及びリン原子か
ら選ばれるの原子を1〜12個を含む基が好ましく、炭
素原子を少なくとも1個含有しかつ酸素原子、硫黄原
子、窒素原子及びリン原子から選ばれるの原子を2〜7
個含む基がより好ましい。さらに他の環構造と融合して
いる場合は、炭素数1〜8のシクロアルカン環又はシク
ロアルケン環を含んでいることが好ましい。Y2は水素
原子、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数
3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のハロゲ
ン化アルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素
数6〜20のアリール基を示し、水素原子、ハロゲン又
は炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、水素原子又
は炭素数1〜10のアルキル基がより好ましい。式(I
V)で示される化合物は3員環以上の環状構造を有し、
無置換でも、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜
20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール
基、ハロゲン、カルボニル基、シアノ基、イソシアノ
基、ニトロ基、シロキシ基、炭素数2〜20のアルコキ
シカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル
オキシ基、アミノ基、アミド基、ホルミル基、水酸基、
炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜2
0のアルコキシアルキル基、炭素数3〜20のアシロキ
シアルキル基、炭素数2〜20のシアノアルキル基、炭
素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキ
ルチオ基、炭素数6〜20のアリールチオ基、炭素数1
〜20のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜20のア
リールスルフィニル基、炭素数1〜20のアルキルスル
ホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭
素数1〜20のアルキルセレノ基、炭素数6〜20のア
リールセレノ基、炭素数6〜20のアルキルセレネニニ
ル基、炭素数6〜20のアリールセレネニニル基、炭素
数1〜20のアルキルセレノニル基及び炭素数1〜20
のアリールセレノニル基のいずれかにより置換されてい
てもよい。これらの置換基のなかでも、炭素数1〜20
のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭
素数6〜20のアリール基、ハロゲン、カルボニル基、
シロキシ基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル
基、アミド基、ホルミル基、炭素数1〜20のアルコキ
シ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜2
0のアリールチオ基が好ましく、炭素数1〜10のアル
キル基、カルボニル基、シロキシ基、炭素数2〜10の
アルコキシカルボニル基がより好ましい。
【0022】上記の一般式(IV)で示される化合物とし
ては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロ
オクテン、シクロドデセン、5,6−エポキシ−1−シ
クロオクテン、3,4−エポキシ−1−シクロオクテ
ン、5−メトキシ−1−シクロオクテン、5−ブロモ−
1−シクロオクテン、5−イソプロポキシ−1−シクロ
オクテン、5−ホルミル−1−シクロオクテン、エチル
シクロオクト−1−エン−5−カルボキシレート、トリ
メチルシリル=シクロオクト−1−エン−5−カルボキ
シレート、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロ
インデン等のシクロオレフィン類などが挙げられ、なか
でも、シクロペンテン、シクロオクテンが好ましい。
【0023】その他、二重結合を2以上もつ不飽和単環
化合物も使うことができる。例えば、1,5−シクロオ
クタジエン、1,3,5,7−シクロオクタテトラエ
ン、1,5,7−シクロドデカトリエン等であり、好ま
しいものは、1,5−シクロオクタジエンである。
【0024】本発明で用いられる不飽和多環化合物
(B)としては、メタセシス重合可能で、不飽和単環化
合物(A)とともに用いてブロック共重合体が得られる
原料モノマであれば特に制限しない。例えば、「置換又
は無置換のノルボルネン誘導体」があり、そのようなも
のとしては、下記一般式(III)で示される化合物等が
挙げられる。
【化5】
【0025】ここで、一般式(III)中のmは0〜3の
整数を示し、0〜2が好ましく、0又は1がより好まし
い。一般式(III)中のR5〜R8はそれぞれ独立に水素
原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20の
シクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、ハロ
ゲン、カルボニル基、シアノ基、イソシアノ基、ニトロ
基、シロキシ基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニ
ル基、炭素数2〜20のアルキルカルボニルオキシ基、
アミノ基、アミド基、ホルミル基、水酸基、炭素数1〜
20のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜20のアルコ
キシアルキル基、炭素数3〜20のアシロキシアルキル
基、炭素数2〜20のシアノアルキル基、炭素数1〜2
0のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、
炭素数1〜20のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜
20のアルキルスルホニル基、炭素数1〜20のアルキ
ルセレノ基、炭素数1〜20のアルキルセレネニニル基
及び炭素数1〜20のアルキルセレノニル基から選ば
れ、少なくとも1つは水素原子である。なかでも、水素
原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜12の
シクロアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ハロ
ゲン、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基、シロキシ
基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、アミド
基、ホルミル基、水酸基から選ばれることが好ましく、
水素原子、カルボニル基、シロキシ基、炭素数2〜10
のアルコキシカルボニル基、アミド基から選ばれること
がより好ましい。また、R5〜R8のいずれか2つが1組
又は2組結合して−CO−O−CO−基(酸無水物)、
−CO−O−基(ラクトン)、−CO−NR9−CO−
基(イミド)及び−CO−NR9−基(ラクタム)から
選ばれる基となっていてもよい。R9は水素原子、炭素
数1〜4のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル
基及び炭素数6〜20のアリール基から選ばれる。なか
でも、−CO−O−CO−基(酸無水物)又は−CO−
NR9−CO−基(イミド)が好ましく、イミドの場
合、R9は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭
素数6〜12のアリール基が好ましく、炭素数1〜4の
アルキル基がより好ましい。。X5、X6は酸素原子、硫
黄原子及びC(R102から独立に選ばれる。2個のR
10は同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲ
ン、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜6のシクロ
アルキル基及び炭素数6〜20のアリール基から選ばれ
る。2個のR10が結合して3〜8員環の環構造を形成し
ていてもよく、スピロ環を形成していてもよい。R10
水素原子又はハロゲン以外の場合、炭素数1〜3のアル
キル基、ハロゲン、シアノ基、カルボキシル基、アミノ
基及びアミド基のいずれかで置換されていてもよい。な
かでも、酸素原子又はC(R102が好ましく、R10
水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数3〜6
のシクロアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基
がより好ましい。また、X5、X6は同一であることが好
ましい。
【0026】上記の一般式(III)で示される化合物と
しては、例えば、ノルボルネン、メチルノルボルネン、
ジメチルノルボルネン、エチルノルボルネン、エチリデ
ンノルボルネン、ブチルノルボルネン、5−アセチル−
2−ノルボルネン、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン
−2,3−ジカルボキシイミド、5−ノルボルネン−2
−カルボニトリル、5−ノルボルネン−2−カルボキシ
アルデヒド、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸
モノメチルエステル、5−ノルボルネン−2,3−ジカ
ルボン酸ジメチルエステル、5−ノルボルネン−2,3
−ジカルボン酸ジエチルエステル、5−ノルボルネン−
2,3−ジカルボン酸ジ−n−ブチルエステル、5−ノ
ルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジシクロヘキシルエ
ステル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジベ
ンジルエステル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボ
ン酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン
酸、5−ノルボルネン−2−メタノール、5−ノルボル
ネン−2,3−ジメタノール、2,3−ビス(メトキシ
メチル)−5−ノルボルネン、N−メチル−5−ノルボ
ルネン−2,3−カルボキシイミド、6−トリエトキシ
シリル−2−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−オ
ール等の二環ノルボルネン、ジシクロペンタジエン(シ
クロペンタジエンの二量体)、ジヒドロジシクロペンタ
ジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシク
ロペンタジエン等の三環ノルボルネン、テトラシクロド
デセン、メチルテトラシクロドデセン、ジメチルシクロ
テトラドデセン等の四環ノルボルネン、トリシクロペン
タジエン(シクロペンタジエンの三量体)、テトラシク
ロペンタジエン(シクロペンタジエンの四量体)等の五
環以上のノルボルネン、テトラシクロドデカジエン、対
称型トリシクロペンタジエン等の2個以上のノルボルネ
ン基を有する化合物などが挙げられる。
【0027】なかでも、極性基を有し、反応性の高くな
い5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸モノメチル
エステル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジ
メチルエステル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボ
ン酸ジエチルエステル、5−ノルボルネン−2,3−ジ
カルボン酸ジシクロヘキシルエステル及び5−ノルボル
ネン−2,3−ジカルボン酸ジベンジルエステルが好ま
しく、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジメチ
ルエステル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸
ジエチルエステル及び5−ノルボルネン−2,3−ジカ
ルボン酸ジシクロヘキシルエステルがより好ましい。
【0028】この他に、7−オキサビシクロ[2.2.
1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、
7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−
2,3−ジカルボン酸、2−カルボキシ−3−メトキシ
カルボニル−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタ
−5−エン、2,3−ジメトキシカルボニル−7−オキ
サビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、2,3−
ジエトキシカルボニル−7−オキサビシクロ[2.2.
1]ヘプタ−5−エン、2,3−ジヘキシルオキシカル
ボニル−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5
−エン、2,3−ジベンジルオキシカルボニル−7−オ
キサビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、2,3
−ビス(ヒドロキシメチル)−7−オキサビシクロ
[2.2.1]ヘプタ−5−エン、2,3−ビス(メト
キシメチル)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプ
タ−5−エン、N−メチル−7−オキサビシクロ[2.
2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−カルボキシイミ
ド、7−チアビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン
−2,3−ジカルボン酸無水物、2−カルボキシ−3−
メトキシカルボニル−7−チアビシクロ[2.2.1]
ヘプタ−5−エン、2,3−ジメトキシカルボニル−7
−チアサビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、
2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−7−チアビシクロ
[2.2.1]ヘプタ−5−エン、等も式(III)の
具体的化合物として例示することができる。
【0029】また、2,3−ビス(メトキシカルボニ
ル)ビシクロ[2.2.1]へプタ−2,5−ジエン、
2,3−ビス(メトキシカルボニル)−7−オキサビシ
クロ[2.2.1]へプタ−2,5−ジエン、2,3−
ビス(メトキシカルボニル)−7−チアビシクロ[2.
2.1]へプタ−2,5−ジエン等の二重結合を2個
(それ以上)含む化合物も用いられる。
【0030】ブロック共重合体を効率よく得る観点から
は、不飽和単環化合物(A)として一般式(IV)で示さ
れる化合物を用い、不飽和多環化合物(B)としては一
般式(III)で示される化合物を用いること(すなわ
ち、一般式(IV)の化合物と一般式(III)の化合物と
の組合せ)が、好ましい。
【0031】不飽和単環化合物(A)及び不飽和多環化
合物(B)の各々の使用量は、目的とするブロック共重
合体に応じて決定する。すなわち、本発明においては、
不飽和単環化合物(A)のホモポリマブロック及び不飽
和多環化合物(B)のホモポリマブロックを有し、各ブ
ロックの共重合モル比が、原料モノマとして用いた不飽
和単環化合物(A)と不飽和多環化合物(B)との配合
モル比にほぼ等しいブロック共重合体が得られる。
【0032】本発明において用いられる金属カルベン錯
体触媒(C)としては、不飽和単環化合物(A)と不飽
和多環化合物(B)とを原料モノマとするメタセシス重
合反応において、ブロック共重合体が得られるよう重合
反応促進効果が示すものであれば、特に制限しない。下
記一般式(I)で示される化合物及び下記一般式(II)
で示される化合物が好ましく用いられ、これらはそれぞ
れ単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。
【化6】
【0033】(ここで、Mはルテニウム、オスミウム及
び鉄のいずれか、X1〜X4はアニオン性配位子、L1
4は中性の電子供与基を示し、R1〜R4は、それぞれ
独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数
2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル
基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のカ
ルボキシレート基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭
素数2〜20のアルケニルオキシ基、炭素数6〜20の
アリールオキシ基、炭素数2〜20のアルコキシカルボ
ニル基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜
20のアルキルスルフォニル基、炭素数1〜20のアル
キルスルフィニル基、炭素数1〜20のアルキルセレノ
基、炭素数1〜20のアルキルセレニニル基、及び炭素
数1〜20のアルキルセレノニル基から選ばれ、それぞ
れは炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン、炭素数1〜
5のアルコキシ基又は炭素数6〜20のアリール基で置
換されていても良く、前記アリール基はハロゲン、炭素
数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基
で置換されていても良い。)
【0034】上記一般式(I)及び一般式(II)中の中
心金属Mは鉄、ルテニウム及びオスミウムのいずれかで
あるが、中でもルテニウムが好ましい。式中のX1〜X4
で示されるアニオン性配位子としては、中心金属へ配位
可能な配位原子上に陰電荷を有する原子又は原子団が好
ましい。このような基としては、例えば水素原子、フッ
素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、CF3CO2−、
CH3CO2−、CF2HCO2−、CFH2CO2−、(C
33CO−、(CF32(CH3)CO−、(CF3
(CH32CO−、炭素1〜5の直鎖又は分岐アルコキ
シ基、置換又は無置換のフェノキシ基、トリフルオロメ
タンスルホナート基等が挙げられ、なかでもハロゲンが
好ましく、塩素がより好ましい。X1及びX2、X3及び
4がともに塩素等のハロゲンであることがさらに好ま
しい。また、式中のL1〜L4で示される中性の電子供与
基としては、中心金属への配位可能な原子団であり、例
えば、PR101112(ここで、R10〜R12は置換又は
無置換の炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜10
の直鎖又は分岐アルキル基及び炭素数3〜10のシクロ
アルキル基からそれぞれ独立して選ばれる)で示される
ホスフィン、置換又は無置換のピリジン、1,3−ジ置
換イミダゾール等のイミダゾール化合物等が挙げられ
る。なかでもトリシクロヘキシルホスフィン、トリシク
ロペンチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン等
のホスフィン、1,3−ジメシチルイミダゾール−2−
イリデン、4,5−ジヒドロ−1,3−ジメシチルイミ
ダゾール−2−イリデン等のイミダゾール化合物が好ま
しく、トリシクロヘキシルホスフィンがより好ましい。
【0035】上記の一般式(I)又は一般式(II)で示
される化合物としては、例えば、下記式(V)〜(XI
V)で示される化合物等が挙げられ、中でも式(V)、(V
I)、(VII)及び(VIII)で示される化合物が好まし
い。
【化7】
【0036】
【化8】
【0037】金属カルベン錯体触媒(C)の使用量は、
希望するブロック共重合体の分子量を考慮して決める。
使用量が多いほどブロック共重合体の分子量は小さくな
る。不飽和単環化合物(A)及び不飽和多環化合物
(B)の総量100重量部に対して、通常、0.001
〜20重量部、好ましくは0.001〜10重量部、更
に好ましくは0.05〜5重量部である。
【0038】本発明における重合反応では、初めに、不
飽和単環化合物(A)及び所要な金属カルベン錯体触媒
(C)の全量を混合(反応の開始)し、その後に、反応
系に不飽和多環化合物(B)を添加すればよく、その他
の条件は一般的な重合反応を用いることができる。反応
系への原料モノマ及び触媒の添加順序は、触媒(C)及
びモノマAを同時に添加した後にモノマBを添加して
も、触媒(C)、モノマA及びモノマBの順に添加して
も、モノマA、触媒(C)、モノマBの順に添加しても
よい。少なくとも、モノマAと必要な触媒(C)の全量
とを混合・反応を開始させ、その後に、モノマBを添加
し更に反応を行うのである。
【0039】メタセシス重合反応の反応時間は、ブロッ
ク共重合体が得られれば特に制限なく、反応性の観点か
らは、1〜12時間が好ましく、3〜5時間がより好ま
しい。なかでも、金属カルベン錯体触媒(C)及び不飽
和単環化合物(A)を10分〜6時間反応後、不飽和多
環化合物(B)を添加し1〜6時間反応を行うことが好
ましく、金属カルベン錯体触媒(C)及び不飽和単環化
合物(A)を1〜2時間反応後、不飽和多環化合物
(B)を添加し2〜3時間反応を行うことがより好まし
い。メタセシス重合反応の反応温度は、ブロック共重合
体が得られれば特に制限はなく、反応性の観点からは、
−20〜200℃が好ましく、0〜100℃がより好ま
しい。
【0040】本発明においては、必要に応じてさらに溶
媒を用いることができる。本発明で用いられる溶媒とし
ては、金属カルベン錯体触媒(C)、不飽和多環化合物
(B)及び不飽和単環化合物(A)を溶解可能なもので
あれば特に制限はない。アセトン、2−ブタノン、2−
ペンタノン、3−ペンタノン、4−メチル−3−ペンタ
ノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘ
プタノン、シクロオクタノン等のケトン系溶媒、ジエチ
ルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、テト
ラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコ
ールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤がある。溶媒
の使用量は、特に制限はないが、重合反応の容易性の観
点から、反応系全体(モノマA、B、触媒及び溶媒の合
計量)に対して、60〜95重量%が好ましく、80〜
90重量%がより好ましい。溶媒を用いる場合、長時間
しかも加熱状態で金属カルベン錯体触媒を溶液状態で放
置すると分解反応が進行しやすため、不飽和単環化合物
(A)を溶媒に溶解した後に粉末状の金属カルベン錯体
触媒(C)を添加するか又は少量の同一溶媒に溶解した
金属カルベン錯体触媒(C)溶液を添加することが好ま
しい。
【0041】工程(i)及び工程(ii)、更に工程(ii
i)を経て合成された共重合体中には、なお炭素−炭素
二重結合が存在する。この二重結合に起因する経日変化
(酸化による劣化や他の分子との架橋反応等)を避ける
ため、得られた共重合体に更に水素添加し、重合体分子
中に残存する不飽和結合を飽和させることができる。水
素添加反応は公知の金属触媒を用いた接触還元法やヒド
ラジン還元法等の公知の方法を用いて行える。
【0042】
【実施例】次に実施例により本発明を説明するが、本発
明はこの実施例に限定されるものではない。 実施例1
【化9】
【0043】100mlのガラス製三ツ口フラスコ中
で、モノマAとしてのシクロオクテン(HULS社製)
0.791g(7.13mmol)をシクロヘキサノン
(和光純薬株式会社製)8mlに溶解して60℃に加熱
後、金属カルベン錯体触媒(C)として、式(V)のビ
ス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテ
ニウムジクロライド(STREM CHEMICAL社製)39.2m
g(0.048mmol)を添加し、60℃でメカニカ
ルスターラーで攪拌しながら1時間反応させた。その
後、モノマBとしてのendo−5−ノルボルネン−2,3
−ジメチルエステル(endo-DME、Lancaster社製)1.
50g(7.13mmol)を添加し、さらに2時間反
応させた後、反応停止剤として酢酸ビニル0.55ml
(6mmol)及びシクロヘキサノン6mlを添加して
5分間反応させ、その後放冷した反応液をメタノール2
00ml中に注いで白色の沈殿物として、実施例1の重
合体を得た。収率は63%であった。得られた重合体を
テトラヒドロフラン(和光純薬株式会社製高速液体クロ
マトグラフ用)に溶解して、テトラヒドロフランを溶離
液として用いたGPCより分子量を測定したところ、標
準ポリスチレン換算で数平均分子量Mnは74,00
0、重量平均分子量Mwは143,000、分子量分布
(PDI)は1.93であった。GPCの測定は、GL
−A150カラム(日立化成製ゲルパック、排除限界5
×105)を使用し、流速1cm3/分、カラム温度40
℃で行った。GPCクロマトグラムを図1に示す。ま
た、得られた実施例1の重合体を重クロロホルム溶液と
し、1H−NMRスペクトルを測定した。結果を図2に
示す。シクロオクテンが開環して生じたメチレン水素H
aの積分値とendo-DMEが開環した部分のメトキシ基のメ
チル水素の積分値との比から、重合体中の各原料成分モ
ル比を算出した結果、シクロオクテン/endo-DMEのモル
比は52/48であった。
【0044】実施例2 シクロオクテン(HULS社製)の使用量を0.319
g(2.85mmol)、endo−5−ノルボルネン−
2,3−ジメチルエステル(endo-DME、Lancaster社
製)の使用量を2.41g(11.4mmol)とした
以外は実施例1と同様にして、重合体を得た。収率は8
2%、標準ポリスチレン換算の数平均分子量Mnは5
2,000、重量平均分子量Mwは105,560、分
子量分布(PDI)は2.03であった。また、実施例
1と同様に各原料成分モル比を算出した結果、重合体中
のシクロオクテン/endo-DMEのモル比は18/82であ
った。
【0045】実施例3 シクロオクテン(HULS社製)の使用量を1.257
g(11.4mmol)、endo−5−ノルボルネン−
2,3−ジメチルエステル(endo-DME、Lancaster社
製)の使用量を0.60g(2.85mmol)とした
以外は実施例1と同様にして、重合体を得た。収率は8
6%、標準ポリスチレン換算の数平均分子量Mnは6
0,700、重量平均分子量Mwは105,618、分
子量分布(PDI)は1.74であった。また、実施例
1と同様に各原料成分モル比を算出した結果、シクロオ
クテン/endo-DMEのモル比は81/19であった。
【0046】比較例1 100mlのガラス製三ツ口フラスコ中、モノマBとし
てのendo−5−ノルボルネン−2,3−ジメチルエステ
ル(endo-DME、Lancaster社製)1.50g(7.13
mmol)をシクロヘキサノン(和光純薬株式会社製)
8mlに溶解して60℃に加熱後、式(V)のルテニウ
ム錯体(STREM CHEMICAL社製)39.2mg(0.04
8mmol)を添加し、60℃でメカニカルスターラー
で攪拌しながら1時間反応させた。その後、モノマAと
してのシクロオクテン(HULS社製)0.791g
(7.13mmol)を添加し、さらに2時間反応させ
た後、反応停止剤として酢酸ビニル0.55ml(6m
mol)及びシクロヘキサノン6mlを添加して5分間
反応させ、その後放冷した反応液をメタノール200m
l中に注いで白色の沈殿物として、重合体を得た。実施
例と同様に測定した比較例1の重合体のGPCクロマト
グラムを図1に示す。また、実施例と同様に測定した重
合体中のシクロオクテン/endo-DMEのモル比は46/5
4であった。
【0047】比較例2 100mlのガラス製三ツ口フラスコ中で、モノマAの
シクロオクテン(HULS社製)0.791g(7.1
3mmol)をシクロヘキサノン(和光純薬株式会社
製)8mlに溶解して60℃に加熱後、式(V)のルテ
ニウム錯体(STREM CHEMICAL社製)39.2mg(0.
048mmol)を添加し、60℃でメカニカルスター
ラーで攪拌しながら1時間反応させた後、反応停止剤と
して酢酸ビニル0.55ml(6mmol)及びシクロ
ヘキサノン6mlを添加して5分間反応させ、その後放
冷した反応液をメタノール200ml中に注いで白色の
沈殿物として、モノマAからの重合体を得た。実施例と
同様に測定した比較例2の重合体のGPCクロマトグラ
ムを図1に示す。
【0048】比較例1では、2つのピークが見られるこ
とから、これらは2種類のポリマ(ホモポリマ又はコポ
リマ)の混合物であり、少なくとも均質なブロック共重
合体は得られていないことが分かる。これに対して、実
施例1では、比較例2(モノマAのみの重合)より高分
子量側へシフトした1つのピークとなっていることか
ら、モノマA及びモノマBの混合物ではなく共重合体が
得られたことが確認できた。また、実施例1の重合体を
フィルム化して、動的粘弾性測定装置(レオメトリック
社製)を用いてガラス転移温度(Tg)を測定したとこ
ろ、−55℃と108℃付近の2点にあったことから、
実施例1の重合体は、ランダム共重合体ではなく、ブロ
ック共重合体であることが確認できた。実施例2及び3
の重合体も、実施例1と同様にGPCとTgの測定結果
からブロック共重合体であることが確認できた。また、
実施例1〜3では、いずれも原料モノマの配合モル比に
ほぼ等しい原料成分モル比(共重合比)を有するブロッ
ク共重合体が得られた。
【0049】
【発明の効果】本発明のブロック共重合体の製造法によ
れば、二つの原料モノマ由来の分子種A及び分子種Bが
それぞれ鎖状に塊となって連なるブロック共重合体が容
易に得られる。また、極端に構造が異なる二つのモノマ
を合成原料として用いた場合でも、ブロック共重合体が
得られる。また、共重合体に取り込まれる二つの原料モ
ノマは、その仕込モル比を反映するので、生成物(ブロ
ック共重合体)の管理がしやすい。さらに、ポリマ(ブ
ロック共重合体)の構造設計も容易で、所望のブロック
共重合体を効率的に製造することができる。本発明で得
られるブロック共重合体は、広範囲の分野で利用でき、
その工業的価値は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた重合体及び比較例で得られ
た重合体のGPCクロマトグラムである。
【図2】実施例1で得られた重合体の1H−NMRスペ
クトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J032 CA23 CA24 CA27 CA28 CA33 CA34 CA35 CA36 CA43 CA45 CA46 CB04 CB08 CC02 CC03 CD01 CD02 CE03 CF01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メタセシス重合可能な不飽和単環化合物
    (A)と、メタセシス重合可能な不飽和多環化合物
    (B)とを、金属カルベン錯体触媒(C)を用いてメタ
    セシス重合反応させる際、初めに、前記単環化合物
    (A)及び必要な触媒(C)の全量を混ぜ反応させ、そ
    の後に、前記多環化合物(B)を加え反応させる、ブロ
    ック共重合体の製造法。
  2. 【請求項2】請求項1の製造法において、更に、反応停
    止剤を加え、重合反応を停止させると共に、重合体の一
    端に結合した触媒(C)由来の触媒活性部位を外す工程
    が加わる、ブロック共重合体の製造法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2の製造法において、更に、
    水素添加反応によって残存する不飽和二重結合を飽和さ
    せる工程が加わる、ブロック共重合体の製造法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかの製造法におい
    て、不飽和単環化合物(A)として置換又は無置換のシ
    クロアルケン誘導体を用いるブロック共重合体の製造
    法。
  5. 【請求項5】請求項4の製造法において、置換又は無置
    換のシクロアルケン誘導体として下記一般式(IV)で示
    される化合物を用いる、ブロック共重合体の製造法。 【化1】 (ここで、Y1は少なくとも1個以上の炭素原子を有す
    る2価の有機基、Y2は水素原子、ハロゲン、炭素数1
    〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル
    基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数1
    〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基を
    示す。式(IV)で示される化合物は3員環以上の環状構
    造を有し、無置換でも、炭素数1〜20のアルキル基、
    炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20の
    アリール基、ハロゲン、カルボニル基、シアノ基、イソ
    シアノ基、ニトロ基、シロキシ基、炭素数2〜20のア
    ルコキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルカル
    ボニルオキシ基、アミノ基、アミド基、ホルミル基、水
    酸基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、炭素数
    2〜20のアルコキシアルキル基、炭素数3〜20のア
    シロキシアルキル基、炭素数2〜20のシアノアルキル
    基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20の
    アルキルチオ基、炭素数6〜20のアリールチオ基、炭
    素数1〜20のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜2
    0のアリールスルフィニル基、炭素数1〜20のアルキ
    ルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル
    基、炭素数1〜20のアルキルセレノ基、炭素数6〜2
    0のアリールセレノ基、炭素数6〜20のアルキルセレ
    ネニニル基、炭素数6〜20のアリールセレネニニル
    基、炭素数1〜20のアルキルセレノニル基及び炭素数
    1〜20のアリールセレノニル基のいずれかにより置換
    されていてもよい。また、Y1は、酸素原子、硫黄原
    子、窒素原子及びリン原子のいずれかを含んでいてもよ
    く、さらに他の環構造と融合していてもよく、オキシラ
    ン環、オキセタン環、炭素数1〜8のシクロアルカン環
    及びシクロアルケン環のいずれかを含んでいてもよ
    い。)
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかの製造法におい
    て、不飽和多環化合物(B)として下記一般式(III)
    で示される化合物を用いる、ブロック共重合体の製造
    法。 【化2】 (ここで、mは0〜3の整数を示す。R5〜R8はそれぞ
    れ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素
    数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリ
    ール基、ハロゲン、カルボニル基、シアノ基、イソシア
    ノ基、ニトロ基、シロキシ基、炭素数2〜20のアルコ
    キシカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルカルボニ
    ルオキシ基、アミノ基、アミド基、ホルミル基、水酸
    基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、炭素数2
    〜20のアルコキシアルキル基、炭素数3〜20のアシ
    ロキシアルキル基、炭素数2〜20のシアノアルキル
    基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20の
    アルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキルスルフィニ
    ル基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数
    1〜20のアルキルセレノ基、炭素数1〜20のアルキ
    ルセレネニニル基及び炭素数1〜20のアルキルセレノ
    ニル基から選ばれ、少なくとも1つは水素原子である。
    また、R5〜R8のいずれか2つが1組又は2組結合して
    −CO−O−CO−基(酸無水物)、−CO−O−基
    (ラクトン)、−CO−NR9−CO−基(イミド)及
    び−CO−NR9−基(ラクタム)から選ばれる基とな
    っていてもよい。R9は水素原子、炭素数1〜4のアル
    キル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基及び炭素数6
    〜20のアリール基から選ばれる。X5、X6は酸素原
    子、硫黄原子及びC(R102から独立に選ばれる。2
    個のR10は同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハ
    ロゲン、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜6のシ
    クロアルキル基及び炭素数6〜20のアリール基から選
    ばれる。2個のR10が結合して3〜8員環の環構造を形
    成していてもよく、スピロ環を形成していてもよい。R
    10は水素原子又はハロゲン以外の場合、炭素数1〜3の
    アルキル基、ハロゲン、シアノ基、カルボキシル基、ア
    ミノ基及びアミド基のいずれかで置換されていてもよ
    い。)
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかの製造法におい
    て、金属カルベン錯体触媒(C)として下記一般式
    (I)又は一般式(II)で示される化合物を用いる、ブ
    ロック共重合体の製造法。 【化3】 (ここで、Mはルテニウム、オスミウム及び鉄のいずれ
    か、X1〜X4はアニオン性配位子、L1〜L4は中性の電
    子供与基を示し、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原
    子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のア
    ルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数6
    〜20のアリール基、炭素数1〜20のカルボキシレー
    ト基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20
    のアルケニルオキシ基、炭素数6〜20のアリールオキ
    シ基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素
    数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキ
    ルスルフォニル基、炭素数1〜20のアルキルスルフィ
    ニル基、炭素数1〜20のアルキルセレノ基、炭素数1
    〜20のアルキルセレニニル基、及び炭素数1〜20の
    アルキルセレノニル基から選ばれ、それぞれは炭素数1
    〜5のアルキル基、ハロゲン、炭素数1〜5のアルコキ
    シ基又は炭素数6〜20のアリール基で置換されていて
    も良く、前記アリール基はハロゲン、炭素数1〜5のア
    ルキル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基で置換されて
    いても良い。)
  8. 【請求項8】請求項7の製造法において、用いる一般式
    (I)又は一般式(II)中のMはルテニウムである、ブ
    ロック共重合体の製造法。
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JP4239589B2 (ja) * 2000-08-11 2009-03-18 日立化成工業株式会社 ブロック共重合体の製造法、得られるブロック共重合体及びその用途
JP2012092284A (ja) * 2010-09-28 2012-05-17 Nippon Zeon Co Ltd ノルボルネン系開環共重合体水素化物及びその利用
JP2016535812A (ja) * 2013-09-30 2016-11-17 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの製造方法、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー、並びに架橋エラストマー及び高分子量エラストマー
JP2017515943A (ja) * 2014-05-21 2017-06-15 中国科学院▲長▼春▲応▼用化学研究所Changchun Institute Of Applied Chemistry,Chinese Academy Of Sciences シクロオレフィン共重合体およびその調製方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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