JP2002317034A - 末端に官能基を有するノルボルネン系開環重合体水素化物及びその製造方法 - Google Patents

末端に官能基を有するノルボルネン系開環重合体水素化物及びその製造方法

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JP2002317034A
JP2002317034A JP2001122650A JP2001122650A JP2002317034A JP 2002317034 A JP2002317034 A JP 2002317034A JP 2001122650 A JP2001122650 A JP 2001122650A JP 2001122650 A JP2001122650 A JP 2001122650A JP 2002317034 A JP2002317034 A JP 2002317034A
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Hiroshi Kurakata
洋 倉片
Yasuo Tsunokai
靖男 角替
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Zeon Corp
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Nippon Zeon Co Ltd
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性と耐候性に優れ、しかも他の材料
との密着性に優れる末端に官能基を有する環状オレフィ
ン系開環重合体水素化物、該水素化物を製造する方法を
提供する。 【解決手段】 特定割合の分子鎖の末端に官能基を
有する環状オレフィン系開環重合体を、周期表第8〜1
0族遷移金属化合物を主成分とする均一系水添触媒又は
周期表第8〜10族遷移金属をアルミナやシリカなどの
担体に担持した担持型触媒を水素化触媒として水素化反
応を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性と耐候性に
優れ、しかも他の材料との接着性や密着性に優れた環状
オレフィン系開環重合体水素化物及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】環状オレフィン系開環重合体水素化物、
特にノルボルネン系開環重合体水素化物が、低吸湿性、
透明性、耐熱性、低複屈折、成形加工性等に優れた熱可
塑性樹脂となることは従来から知られており、光ディス
クや光学レンズ用の材料として提案されている。又、低
誘電性や耐薬品性等のその他の優れた特性も有するた
め、光学用途以外の用途にも使われるようになりつつあ
る。しかしながら、種々の用途に使用するにあたって
は、他材料との接着性や密着性などが必要な場合にこれ
らの性質を十分に満足させるには至っていない。そこ
で、これらの問題を解決する方法として、特開平1−1
32626号公報や特開平2−269760号公報に
は、官能基を有する環状オレフィン系単量体を開環重合
した後、主鎖中の炭素−炭素二重結合をパラジウム、白
金、ルテニウムなどの触媒物質をカーボン、シリカ、ア
ルミナなどの担体に担持させた不均一触媒、又は有機溶
媒可溶のニッケル、コバルト、チタン、バナジウムなど
の金属化合物と有機アルミニウムもしくは有機リチウム
とを組み合わせた均一触媒を用いて水素化する方法が提
案されている。しかしながら、この方法では、官能基が
重合体の鎖の途中にあって、分子鎖末端にはほとんどな
い。この方法で得られた重合体は、接着性等は改善され
ているものの本来環状オレフィン系開環重合体水素化物
が有する低吸湿性、低誘電性、耐薬品性等が損なわれる
ことがあった。又、所望の官能基を有する環状オレフィ
ン系単量体の合成は、エステル基やシアノ基などの特定
の官能基を有する環状オレフィン系単量体を除いて難し
い。
【0003】一方、EP0626402には、Ru化合
物を触媒として環状オレフィンを開環重合する際に、官
能基を有する直鎖状オレフィン化合物を連鎖移動剤とし
て添加して、重合体の末端に官能基を導入する方法が提
案されている。この方法で得られた重合体の主鎖中には
二重結合が多く存在している。このため、この重合体は
耐熱性や耐候性が不十分であるだけでなく、環状オレフ
ィン系重合体が本来有している機械的強度や機械伸びな
どの物性を損なったりすることがあった。またWO98
/06771には、環状オレフィンと二官能性非環状オ
レフィン及び水素とをオレフィンメタセシス触媒の存在
下で反応させて、末端官能性反応基を含有する二官能性
テレキリックポリオレフィンの付加生成物を製造する方
法が記載されている。しかしながら、この方法で得られ
る重合体の水素化率は7〜13%程度であり、耐熱性や
耐候性が不十分である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐熱
性と耐候性に優れ、しかも他の材料との接着性や密着性
に優れる末端に官能基を有する環状オレフィン系開環重
合体水素化物、及び該水素化物を製造する方法を提供す
ることにある。
【0005】
【発明を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を行った結果、(1)官能基
を有する直鎖状オレフィン化合物の存在下で、有機ルテ
ニウム化合物を重合触媒として、環状オレフィン系単量
体を開環重合し、周期表第8〜10族遷移金属化合物を
主成分とする均一系水添触媒、又は周期表第8〜10族
遷移金属を担体に担持した担持型水添触媒を用いて水素
化することにより、末端に官能基を維持したまま環状オ
レフィン系開環重合体の主鎖中の炭素−炭素二重結合の
50%以上を水素化したものが得られること、(2)特
定割合の分子鎖末端に官能基を有し、かつ二重結合の含
有量を表すヨウ素価が特定量である環状オレフィン系開
環重合体水素化物が耐熱性と耐候性に優れ、しかも他の
材料との接着性や密着性に優れていることを見出し、か
かる知見に基づき、本発明を完成するに至った。
【0006】かくして本発明によれば、 分子鎖の末端の25%以上に官能基を有し、ヨウ素価
が70以下で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)がポリ
スチレン換算で1,000から100,000である環
状オレフィン系開環重合体水素化物、 周期表第8〜10族遷移金属化合物を主成分とする均
一系水添触媒、又は周期表第8〜10族遷移金属を担体
に担持した担持型水添触媒を用いて、分子鎖の末端の2
5%以上に官能基を有する環状オレフィン系開環重合体
の主鎖中の炭素−炭素二重結合の50%以上を水素化す
ることを含む環状オレフィン系開環重合体水素化物の製
造方法が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の環状オレフィン系開環重
合体水素化物は、分子鎖の末端の25%以上に官能基を
有し、ヨウ素価が70以下で、ゲルパーミエーションク
ロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量
(Mw)がポリスチレン換算で、1,000から10
0,000のものである。
【0008】本発明の環状オレフィン系開環重合体水素
化物は、該水素化物の分子鎖末端の25%以上に官能基
を有するものである。分子鎖の末端とは、環状オレフィ
ン系単量体を開環重合して得られた直鎖状の分子鎖の末
端のことをいう。具体的には、一般式[1]又は[2]中の
X、Y、及びZのことである。分子鎖末端の官能基の割
合は使用目的によって、25%以上の範囲で任意に選択
される。例えば、他材料との密着性などの改良を目的と
する場合は、分子鎖の末端の25%から50%が望まし
く、架橋剤などとの反応性の改良を目的とする場合に
は、分子鎖の末端の75%〜100%が望ましい。
【0009】本発明の環状オレフィン系開環重合体水素
化物のヨウ素価は、70以下、好ましくは40以下、更
に好ましくは10以下である。ヨウ素価は、環状オレフ
ィン系開環重合体水素化物の不飽和結合の含有量を示し
ており、不飽和結合の含有量が多いとヨウ素価は高く、
不飽和結合の含有量が少ないとヨウ素価は低くなる。本
発明の環状オレフィン系開環重合体水素化物の分子量
は、目的の用途によって異なるが、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分
子量(Mw)がポリスチレン換算で、通常1,000か
ら100,000である。溶融粘度や溶液粘度を低くす
る必要がある場合には、Mwの低いものが好ましく、M
wが1,000〜10,000の範囲が特に好ましい。
また機械的強度を高くする必要がある場合には、Mwの
高いものが好ましく、Mwが10,000〜100,0
00の範囲が特に好ましい。
【0010】具体例としては、一般式[1]で示される
ノルボルネン系開環重合体水素化物または一般式[2]
で示されるモノ環状オレフィン系開環重合体水素化物を
挙げることができる。官能基を有する熱可塑性樹脂とし
て使用する場合には、一般式[1]で示されるノルボル
ネン系開環重合体水素化物が好ましい。
【0011】一般式[1]:
【化1】 (式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数
1〜20の炭化水素基又はハロゲン原子、ケイ素原子、
酸素原子もしくは窒素原子を含む基を示し、RとR
が結合して環を形成してもよい。X及びYは分子鎖の末
端の基を示し、X及びYの合計の25%以上が官能基で
あり、残りは水素または炭化水素基である。pは0、1
または2であり、mは2以上の整数である。)
【0012】一般式[2]:
【化2】 (式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数
1〜20の炭化水素基又はハロゲン原子、ケイ素原子、
酸素原子もしくは窒素原子を含む基を示し、複数個のR
が結合して環を形成してもよい。Y及びZは分子鎖の
末端の基を示し、Y及びZの合計の25%以上が官能基
であり、残りは水素または炭化水素基である。qは2〜
10の整数であり、nは2以上の整数である。)
【0013】本発明において環状オレフィン系開環共重
合体水素化物の末端に導入される官能基は、窒素原子、
酸素原子、ケイ素原子、リン原子又は硫黄原子を有する
基である。官能基の具体例としては、シアノ基、アミノ
基、イミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カル
ボキシ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、ヒドロ
キシ基、メトキシカルボニル基、エポキシ基、ホスフィ
ノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シ
リルオキシ基などを挙げることができる。さらにこれら
の官能基を複数個有する基も含まれる。なかでも、他材
料との密着性や接着性がある官能基としては、アミノ
基、ヒドロキシ基、ヒドロキシカルボニル基、エポキシ
基、シリル基、シリルオキシ基などが挙げられる。
【0014】本発明の製造方法に使用する環状オレフィ
ン系開環重合体は、分子鎖の末端の25%以上に官能基
を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(G
PC)で測定した重量平均分子量(Mw)がポリスチレ
ン換算で、1,000〜100,000で、該重合体中の
主鎖中に炭素−炭素二重結合を有しているものである。
該環状オレフィン系開環重合体は、官能基を有する直鎖
状オレフィン化合物の存在下で、環状オレフィン系単量
体を開環重合することによって得られる。例えば、重合
開始時に該直鎖状オレフィン化合物と環状オレフィン系
単量体とを仕込むことによって、あるいは重合反応途中
から該直鎖状オレフィン化合物を重合反応系に添加する
ことによって得られる。
【0015】上記の直鎖状オレフィン化合物は、オレフ
ィン性二重結合を有し、かつ開環重合体の分子鎖末端に
導入しようとする官能基をオレフィン性二重結合の末端
の片側又は両側に有する直鎖状化合物であり、官能基の
具体例としては、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リ
ン原子、又は硫黄原子を有する基を挙げることができ
る。中でもオレフィン性二重結合の末端の両側に官能基
を有する直鎖状オレフィン化合物を用いると、重合体の
分子鎖の両末端に官能基を有するテレケリック環状オレ
フィン系開環重合体を合成することができる。
【0016】官能基を有する直鎖状オレフィン化合物の
具体例としては、アクリロニトリル、3−ブテンニトリ
ル、4−ペンテンニトリル、アリルアミン、2−(ジエ
チルアミノ)エタノールビニルエーテル、2−(ジエチ
ルアミノ)エチルアクリレート、1−ビニルイミダゾー
ル、1−アリルイミダゾール、4−ビニルピリジン、1
−ビニル−2−ピロリドン、4−ビニルアニリン、アリ
ルイソシアネートなどの窒素原子を有する基を持つオレ
フィン化合物;メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、ブチルアクリレート、アリルアセテート、ビニルア
セテート、ビニル酢酸、エチルビニル酢酸、エチルビニ
ルエーテル、ブチルビニルエーテル、4−ビニルアニソ
ール、4−アリルアニソール、アリルエチルエーテル、
ビニルベンズアルデヒド、2−ビニル−1,3−ジオキ
ソラン、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オ
ン、ビニルエポキシド、アリルグリシジルエーテル、
1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−
9−デセン、アリルアルコール、4−ペンテン−1−オ
ール、4−アリル−2−メトキシフェノール、2−アリ
ロキシエタノール、3−アリロキシ−1,2−ペンタン
ジオール、2−アリルフェノールなどの酸素原子を有す
る基を持つオレフィン化合物;
【0017】アリルトリメチルシラン、アリルトリフェ
ニルシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリメ
チルシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリロキシト
リメチルシランなどのケイ素原子を有する基を持つオレ
フィン化合物;アリルテトライソプロピルホスフォロジ
アミジド、アリルトリフェニルホスフォニウムブロミ
ド、アリル(トリフェニルホスフォラニリデン)アセテ
ートなどのリン原子を有する基を持つオレフィン化合
物;アリルメルカプタン、アリルフェニルサルフォン、
ビニルフェニルサルフォン、アリルメチルスルフィドな
どの硫黄原子を有する基を持つオレフィン化合物を挙げ
ることができる。オレフィン性二重結合の末端の両側に
官能基を有する直鎖状オレフィン化合物は、前記の官能
基を、オレフィン化合物中の炭素−炭素二重結合の末端
の両側に配置してなるものである。該オレフィン化合物
のオレフィン性二重結合の両末端に有する官能基の種類
は、一般には同じであるが、相互に異なることもでき
る。オレフィン性二重結合の両末端に官能基を有する直
鎖状オレフィン化合物の具体例としては、2−ブテン−
1,4−ジオール、2−ブテン−1,4−ジオールのエ
ステル(例えば、モノアセテート、ジアセテート、モノ
プロピオネート、ジプロピオネート、モノブチレート、
ジブチレート、モノベンゾエート、モノピバレート、ジ
ピバレート及びジベンゾエート)、1,4−ジシアノ−
2−ブテン、などを挙げることができる。
【0018】重合に使用する環状オレフィン系単量体と
しては、ノルボルネン系単量体、又はモノ環状オレフィ
ン系単量体を挙げることができる。ノルボルネン系単量
体は、ノルボルネン類、ノルボルネン環以外に環構造を
有するノルボルネン誘導体、テトラシクロドデセン類や
ヘキサシクロヘプタデセン類等のノルボルネン環を有す
る多環の環状オレフィン類であり、一般式[3]で代表さ
れるものである。また、これらの単量体は、アルキル基
やアルケニル基、アルキリデン基などの炭化水素基;窒
素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子、又は硫黄原
子を含む基;ノルボルネン環の二重結合以外の二重結
合;をさらに有してもよい。
【0019】一般式[3]:
【化3】 (式中、R〜R及びpは一般式[1]と同じであ
る。)
【0020】ノルボルネン類は、一般式[3]のpが0で
あるノルボルネン系単量体である。具体例としては、ノ
ルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノル
ボルネン、5−ブチルノルボルネン、5−ヘキシルノル
ボルネン、5−デシルノルボルネン、5−シクロヘキシ
ルノルボルネン、5−シクロペンチルノルボルネンなど
の無置換又はアルキル基を有するノルボルネン類;5−
エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5
−プロペニルノルボルネン、5−シクロヘキセニルノル
ボルネン、5−シクロペンテニルノルボルネンなどのア
ルケニル基を有するノルボルネン類;5−フェニルノル
ボルネンなどの芳香環を有するノルボルネン類;
【0021】5−メトキシカルボニルノルボルネン、5
−エトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−
メトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−エ
トキシカルボニルノルボルネン、ノルボルネニル−2−
メチルプロピオネイト、ノルボルネニル−2−メチルオ
クタネイト、ノルボルネン−5,6−ジカルボン酸無水
物、5−ヒドロキシメチルノルボルネン、5,6−ジ
(ヒドロキシメチル)ノルボルネン、5,5−ジ(ヒド
ロキシメチル)ノルボルネン、5−ヒドロキシ−i−プ
ロピルノルボルネン、5,6−ジカルボキシノルボルネ
ン、5−メトキシカルボニル−6−カルボキシノルボル
ネン、などの酸素原子を含む基を有するノルボルネン
類;5−シアノノルボルネン、ノルボルネン−5,6−
ジカルボン酸イミドなどの窒素原子を含む基を有するノ
ルボルネン類;などが挙げられる。
【0022】ノルボルネン環以外に環構造を有するノル
ボルネン誘導体は、一般式[3]のpが0で、RとR
が結合してノルボルネン環以外に環構造を有するノルボ
ルネン系単量体である。具体的には、環構造が5員環で
あるジシクロペンタジエン類、芳香環を有するノルボル
ネン誘導体を挙げることができる。ジシクロペンタジエ
ン類の具体例としては、ジシクロペンタジエン又はジシ
クロペンタジエンの5員環部分の二重結合を飽和させた
トリシクロ[4.3.12,5.0]デカ−3−エン、
トリシクロ[4.4.12,5.0]ウンダ−3−エン
などを挙げることができる。芳香環を有するノルボルネ
ン誘導体としては、テトラシクロ[6.5.12,5
1,6.08,13]トリデカ−3,8,10,12
−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−
テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ
[6.6.12,5.01,6.08,13]テトラデ
カ−3,8,10,12−テトラエン(1,4−メタノ
−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアン
トラセンともいう)などを挙げることができる。
【0023】テトラシクロドデセン類は、一般式[3]の
pが1であるノルボルネン系単量体である。具体例とし
ては、テトラシクロドデセン、8−メチルテトラシクロ
ドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、8−シク
ロヘキシルテトラシクロドデセン、8−シクロペンチル
テトラシクロドデセンなどの無置換又はアルキル基を有
するテトラシクロドデセン類;8−メチリデンテトラシ
クロドデセン、8−エチリデンテトラシクロドデセン、
8−ビニルテトラシクロドデセン、8−プロペニルテト
ラシクロドデセン、8−シクロヘキセニルテトラシクロ
ドデセン、8−シクロペンテニルテトラシクロドデセン
などの環外に二重結合を有するテトラシクロドデセン
類;8−フェニルテトラシクロドデセンなどの芳香環を
有するテトラシクロドデセン類;8−メトキシカルボニ
ルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−メトキシカ
ルボニルテトラシクロドデセン、8−ヒドロキシメチル
テトラシクロドデセン、8−カルボキシテトラシクロド
デセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン
酸、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸無水
物などの酸素原子を含む基を有するテトラシクロドデセ
ン類;
【0024】8−シアノテトラシクロドデセン、テトラ
シクロドデセン−8,9−ジカルボン酸イミドなどの窒
素原子を含む基を有するテトラシクロドデセン類;8−
クロロテトラシクロドデセンなどのハロゲン原子を含む
基を有するテトラシクロドデセン類;8−トリメトキシ
シリルテトラシクロドデセンなどのケイ素原子を含む基
を有するテトラシクロドデセン類;などが挙げられる。
【0025】ヘキサシクロヘプタデセン類は、一般式
[3]のpが2であるノルボルネン系単量体である。具体
例としては、ヘキサシクロヘプタデセン、12−メチル
ヘキサシクロヘプタデセン、12−エチルヘキサシクロ
ヘプタデセン、12−シクロヘキシルヘキサシクロヘプ
タデセン、12−シクロペンチルヘキサシクロヘプタデ
センなどの無置換又はアルキル基を有するヘキサシクロ
ヘプタデセン類;12−メチリデンヘキサシクロヘプタ
デセン、12−エチリデンヘキサシクロヘプタデセン、
12−ビニルヘキサシクロヘプタデセン、12−プロペ
ニルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロヘキセニ
ルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロペンテニル
ヘキサシクロヘプタデセンなどの環外に二重結合を有す
るヘキサシクロヘプタデセン類;12−フェニルヘキサ
シクロヘプタデセンなどの芳香環を有するヘキサシクロ
ヘプタデセン類;
【0026】12−メトキシカルボニルヘキサシクロヘ
プタデセン、12−メチル−12−メトキシカルボニル
ヘキサシクロヘプタデセン、12−ヒドロキシメチルヘ
キサシクロヘプタデセン、12−カルボキシヘキサシク
ロヘプタデセン、ヘキサシクロヘプタデセン12,13
−ジカルボン酸、ヘキサシクロヘプタデセン12,13
−ジカルボン酸無水物などの酸素原子を含む基を有する
ヘキサシクロヘプタデセン類;12−シアノヘキサシク
ロヘプタデセン、ヘキサシクロヘプタデセン12,13
−ジカルボン酸イミドなどの窒素原子を含む基を有する
ヘキサシクロヘプタデセン類;12−クロロヘキサシク
ロヘプタデセンなどのハロゲン原子を含む基を有するヘ
キサシクロヘプタデセン類;12−トリメトキシシリル
ヘキサシクロヘプタデセンなどのケイ素原子を含む基を
有するヘキサシクロヘプタデセン類などが挙げられる。
【0027】モノ環状オレフィン系単量体は、炭素数が
4〜20、好ましくは4〜10の環状モノオレフィン又
は環状ジオレフィンである。具体的には、一般式[4]で
示される。
【0028】一般式[4]:
【化4】 (式中、R〜R及びqは一般式[2]と同じであ
る。)
【0029】環状モノオレフィンの具体例としては、シ
クロブテン、シクロペンテン、メチルシクロペンテン、
シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、シクロヘプテ
ン、シクロオクテンなどの特開昭64−66216号公
報などに記載されているものが挙げられる。環状ジオレ
フィンの具体例としては、シクロヘキサジエン、メチル
シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチルシク
ロオクタジエン、フェニルシクロオクタジエンなどの特
開平7−258318号公報などに記載されているもの
が挙げられる。
【0030】これらの環状オレフィン系単量体は、それ
ぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いるこ
とができる。中でも耐熱性に優れた樹脂を得るために
は、ジシクロペンタジエン類やテトラシクロドデセン類
などの3環以上のノルボルネン系単量体を用いるのが好
ましく、また低吸湿性、低誘電性や耐薬品性に優れた樹
脂を得るためには、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、
リン原子、硫黄原子などを含まない単量体、すなわち炭
素水素系単量体を用いるのが好ましい。
【0031】本発明の末端に官能基を有する環状オレフ
ィン系開環重合体を得るための重合触媒は、目的の重合
体が得られれば、任意の触媒を用いて構わないが、極性
化合物の存在下でも重合活性に影響を受けにくい有機ル
テニウム化合物を用いるのが好ましい。
【0032】有機ルテニウム化合物は、有機化合物を配
位子として有するルテニウム化合物であり、例えば、下
記一般式[5]又は[6]で表すことができる。
【0033】一般式[5]:
【化5】 (式中、Xは互いに独立に任意のアニオン性配位子を
示し、Lは互いに独立に任意の中性の電子供与性化合
物を示す。X及びLの複数がお互いに結合して多座
キレート配位子を形成してもよい。aは0〜4の整数、
b、及びcは1〜4の整数である。)
【0034】一般式[6]:
【化6】 (式中、R及びRは、お互いに独立に、水素、C
〜C20の炭化水素基、ハロゲン原子、又はハロゲン原
子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、もしく
はケイ素原子を含むC〜C20の炭化水素基を示し、
及びXはお互いに独立に任意のアニオン性配位子
を示す。L及びLはお互いに独立に任意の中性の電
子供与性化合物を示す。R、R、X、X
、又はLの複数がお互いに結合して多座キレート
配位子を形成してもよい。)
【0035】ここで、アニオン性配位子は中心金属から
引き離されたときに負の電荷を持つ配位子であれば特に
限定されない。中性の電子供与性化合物は中心金属から
引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子、すなわち
ルイス塩基であれば特に限定されない。
【0036】上記一般式[5]、[6]におけるX
及びXの具体例としては、ハロゲン原子、水素、
アセチルアセトン、ジケトネート基、シクロペンタジエ
ニル基、アリル基、アルケニル基、アルキル基、アリー
ル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカ
ルボニル基、アリールカルボキシル基、カルボキシル
基、アルキルまたはアリールスルフォネート基、アルキ
ルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、アルキ
ルスルホニル基、アルキルスルフィニル基を挙げること
ができる。なかでも、ハロゲン原子、シクロペンタジエ
ニル基、アリル基、アルキル基、アリール基が重合活性
の点で優れているので好ましい。
【0037】また、上記一般式[5]、[6]における
、L及びLの具体例としては、酸素、水、カル
ボニル類、アミン類、ピリジン類、エ−テル類、ニトリ
ル類、エステル類、ホスフィン類、ホスフィナイト類、
ホスファイト類、スチビン類、スルホキシド類、チオエ
ーテル類、アミド類、芳香族類、環状ジオレフィン類、
オレフィン類、イソシアニド類、チオシアネ−ト類、複
素環式カルベン化合物などが挙げられる。なかでも、ピ
リジン類、ホスフィン類、芳香族類、環状ジオレフィン
類、複素環式カルベン化合物が、重合活性が高いので好
ましく、複素環式カルベン化合物が特に好ましい。
【0038】さらに上記一般式[6]におけるR、R
の具体例としては、水素、アルケニル基、アルキニル
基、アルキル基、アリール基、カルボキシル基、アルコ
キシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、ア
リールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチ
オ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、アルキルス
ルホニル基、アルキルスルフィニル基を挙げることがで
きる。中でも、アルキル基、アリール基、アルコキシ
基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ
基が、重合活性が高いので好ましい。
【0039】上記重合触媒の具体例として、以下のもの
を挙げることができる。一般式[5]の例としては、ビス
(シクロペンタジエニル)ルテニウム、クロロ(シクロ
ペンタジエニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテ
ニウム、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ルテ
ニウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ル
テニウム、シス−ジクロロビス(2,2’−ビピリジ
ル)ルテニウム・二水和物、ジクロロビス〔(p−シメ
ン)クロロルテニウム)〕、ジクロロ(2,7−ジメチ
ルオクタ−2,6−ジエン−1,8−ジイル)ルテニウ
ムなどが挙げられる。
【0040】一般式[6]の例としては、ビス(トリシ
クロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジク
ロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)−3,3−ジ
フェニルプロペニリデンルテニウムジクロリド、ビス
(1,3−ジイソプロピルイミダゾリジン−2−イリデ
ン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3
−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)ベ
ンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジイ
ソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ベンジ
リデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロ
ヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ベンジリ
デンルテニウムジクロリド、(1,3−ジシクロヘキシ
ルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシ
ルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、
(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−
イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリ
デンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミ
ダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホス
フィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3
−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(ト
リシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム
ジクロリド、[1,3−ジ(1’−フェニルエチル)−
4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシ
ルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリドなど
が挙げられる。
【0041】また、重合触媒の重合活性を高める目的
で、ピリジン類、ホスフィン類、複素環式カルベン化合
物などの中性の電子供与性化合物をルテニウム金属に対
して、重量比で1〜100倍の割合で添加することがで
きる。さらに、一般式[5]で表される重合触媒を使用
する場合には、重合活性を高める目的で、ジアゾ化合
物、アセチレン化合物またはシリル化合物を、ルテニウ
ム金属に対して、重量比で1〜100倍の割合で添加す
ることができる。
【0042】一般式[6]で表される重合触媒は、上記
の添加物を添加しなくても、高い重合活性を示すため、
これらの重合触媒を使用するのがより好ましい。
【0043】本発明においては、上記有機ルテニウム化
合物を用いた重合反応を無溶媒下で行うこともできる
が、重合後に水素化反応を溶媒中で行うために、溶媒中
で重合するのが好ましい。本発明で用いる溶媒は、重合
体及び重合体水素化物が所定の条件で溶解し、重合及び
水素化に影響しないものであれば、特に限定されない。
【0044】このような溶媒としては、具体的には、ペ
ンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶
媒;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘ
キサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘ
キサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサ
ン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシ
クロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シ
クロオクタンなどの脂環族炭化水素系溶媒;ベンゼン、
トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ニト
ロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒
素炭化水素系溶媒;ジエチルエ−テル、テトラヒドロフ
ランなどのエ−テル系溶媒などを使用することができる
が、これらの溶媒の中でも、芳香族炭化水素系溶媒、脂
肪族炭化水素系溶媒、脂環族炭化水素系溶媒、エーテル
系溶媒が好ましい。
【0045】重合反応は、環状オレフィン系単量体及び
官能基を有する直鎖状オレフィン化合物の混合物と、有
機ルテニウム化合物とを接触させて開始する。環状オレ
フィン系単量体に対する有機ルテニウム化合物の割合
は、(化合物中の金属ルテニウム:環状オレフィン系単
量体)のモル比で、通常1:100〜1:2,000,
000、好ましくは1:500〜1:1,000,00
0、より好ましくは1:1,000〜1:500,00
0である。有機ルテニウム化合物が多すぎると触媒除去
が困難となり、少なすぎると十分な重合活性が得られな
いことがある。環状オレフィン系単量体に対する官能基
を有する直鎖状オレフィン化合物の割合は、目的とする
官能基導入量によって任意に決定することができる。そ
の割合は、(官能基を有する直鎖状オレフィン化合物:
環状オレフィン系単量体)のモル比で1:1〜1:1,
000とすると、得られる開環重合体分子鎖の末端の2
5%〜100%に官能基を導入することができる。
【0046】重合を溶媒中で行う場合には、環状オレフ
ィン系単量体の濃度は、1〜60重量%が好ましく、2
〜50重量%がより好ましく、5〜45重量%が特に好
ましい。単量体の濃度が1重量%以下の場合は生産性が
悪く、60重量%以上の場合は重合後の溶液粘度が高く
なり、その後の水素化反応が困難となる。重合温度は特
に制限されないが、通常−30℃〜200℃、好ましく
は0℃〜180℃である。重合時間は、通常1分間〜1
00時間であるが、特に制限されない。
【0047】得られる環状オレフィン系開環重合体の分
子量を調整するために、無極性の直鎖状オレフィン化合
物を適当量添加してもよい。添加する無極性の直鎖状オ
レフィン化合物としては、1−ブテン、1−ペンテン、
1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン類;
スチレン、ビニルトルエンなどのスチレン類などを挙げ
ることができる。添加する無極性の直鎖状オレフィン化
合物の量は、重合体の分子量により、任意に決定するこ
とができる。無極性の直鎖状オレフィン化合物の割合
は、(無極性の直鎖状オレフィン化合物:環状オレフィ
ン系単量体)のモル比で、1:10〜1:1,000で
ある。
【0048】なお、他材料との密着性、接着性、及び反
応性を向上させる効果がある官能基として挙げられるア
ミノ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシカルボニル基、エポ
キシ基、シリル基、シリルオキシ基などの官能基を有す
る環状オレフィン系開環重合体水素化物を得る方法とし
ては、(1)これらの官能基を有する直鎖状オレフィン
化合物を添加して重合を行う方法、又は(2)上記以外
の官能基を有する直鎖状オレフィン化合物を添加して重
合した後、水素化中又は水素化後に分子鎖の末端の官能
基を変性させて、上記の官能基にする方法をあげること
ができる。(2)の方法の具体例としては、アルコキ
シ基又はエポキシ基を有する直鎖状オレフィン化合物を
添加して末端にアルコキシ基又はエポキシ基を有する開
環重合体を合成し、続いて水素化反応中に重合体主鎖中
の炭素−炭素二重結合を水素化すると同時に末端に有す
るアルコキシ基又はエポキシ基も水素化してヒドロキシ
基に変性する方法;エステル基を有する直鎖状オレフ
ィン化合物を添加して末端にエステル基を有する開環重
合体を合成し、エステルを加水分解してヒドロキシカル
ボニル基又はヒドロキシ基に変性した後、水素化する方
法;エステル基を有する直鎖状オレフィン化合物を添
加して末端にエステル基を有する開環重合体を合成し、
水素化した後、エステルを加水分解して、ヒドロキシカ
ルボニル基またはヒドロキシ基に変性する方法;などを
挙げることができる。同様にこれ以外の変性方法を用い
て、所望の官能基に変換することも可能である。
【0049】本発明の環状オレフィン系開環重合体水素
化物は、上記の方法で得られた環状オレフィン系開環重
合体の主鎖中の炭素−炭素二重結合を(1)周期表第8
〜10族遷移金属化合物を主成分とする均一系水素化触
媒又は(2)周期表第8〜10族遷移金属を担体に担持
した担持型触媒を用いて水素化することによって得られ
る。
【0050】本発明に用いられる均一系水素化触媒は、
周期表第8〜10族遷移金属を主成分とする有機金属化
合物である。第8〜10族遷移金属の中でもFe、R
u、Co、Rh、Ni、Pdが好ましく、Ru、Rh、
Pdが特に好ましい。周期表第8〜10族遷移金属を有
する有機金属化合物であれば、任意の化合物を用いるこ
とができるが、中性の電子供与性化合物を配位子として
有する遷移金属化合物が好ましい。周期表第8〜10族
遷移金属を主成分とする有機金属化合物の具体例とし
て、Ru化合物としては、一般式[5]または[6]の
Ru化合物を挙げることができ、それ以外に、ビス(ト
リシクロヘキシルホスフィン)エトキシカルベンルテニ
ウムジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)ブト
キシカルベンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジ
イソプロピルイミダゾリジン−2−イリデン)フェノキ
シカルベンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチ
ルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシ
ルホスフィン)エトキシカルベンルテニウムジクロリ
ド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イ
リデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)エトキシカ
ルベンルテニウムジクロリドなどを挙げることができ
る。
【0051】上記以外のRu化合物としては、カルボニ
ルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムヒドリ
ド、カルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテ
ニウムジヒドリド、クロリドカルボニルトリス(トリフ
ェニルホスフィン)ルテニウムヒドリド、ジクロロヒド
リドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテ
ニウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニ
ウムジヒドリド、[ビス(1,2−ビス(ジフェニルホ
スフィノ)エタン)ルテニウムジヒドリドなどを挙げる
ことができる。
【0052】Rh化合物としては、クロロトリス(トリ
フェニルホスフィン)ロジウム、クロロノルボルネジエ
ンロジウムダイマー、クロロ(1,5−シクロオクタジ
エン)ロジウムダイマー、ジカルボニルアセチルアセト
ナートロジウム、ジカルボニル(ペンタメチルシクロヘ
キサジエニル)ロジウムダイマー、ロジウムアセテート
ダイマーなどを挙げることができる。
【0053】Pd化合物としては、ジクロロオクタジエ
ンパラジウム、テトラキスアセトニトリルパラジウムテ
トラフルオロボレート、ジクロロビスアセトニトリルパ
ラジウム、ジクロロビスベンゾ二トリルパラジウム、ジ
クロロビスエチレンジアミンパラジウム、ジクロロビス
トリエチルホスフィンパラジウム、トリストリフェニル
ホスフィンアセトニトリルパラジウムテトラフルオロボ
レート、パラジウムアセチルアセトナート、パラジウム
アセテートなどを挙げることができる。
【0054】水素化触媒の活性を挙げる方法として、周
期表第8〜10族遷移金属を主成分とする有機金属化合
物と同時に活性化剤を添加しても良い。活性化剤として
は、トリアルキルアミン類、ピリジン類、ホスフィン類
などのルイス塩基、トリアルキルアルミニウム類、アル
キルアルミニウムハライド類、アルキルリチウムなどの
有機金属還元剤などが挙げられる。
【0055】重合触媒として、Ru化合物を使用する場
合には、重合後に新たに水素化触媒を添加しなくても、
重合後そのまま水素を供給して水素化することができ
る。また重合後、官能基を有する直鎖状オレフィン化合
物をさらに添加して、Ru化合物を改質することによっ
て活性が高まり、水素化反応が促進される。
【0056】本発明に用いられる担持型水素化触媒は、
周期表第8〜10族遷移金属を担体に担持した触媒であ
る。第8〜10族遷移金属の中でもNi、Pd、Pt、
Co、Rh及びRuが好ましく、Ni、Pd、Ptが特
に好ましい。
【0057】担体としては、シリカ、ケイソウ土、アル
ミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシアなどの無機酸
化物やカーボンなどが挙げられる。担体の大きさは、水
添の方法によって決まるが、通常、平均粒径で1μm〜
30mmである。懸濁床で水素化反応を行う場合には、
3μm〜1000μmが好ましく、5μm〜500μm
が特に好ましい。固定床で水素化反応を行う場合には、
0.3〜30mmが好ましく、0.5mm〜25mmが
特に好ましい。本発明の担持型触媒の具体例としては、
(金属/担体)の表記で、(Ni/シリカ)、(Ni/
ケイソウ土)、(Ni/アルミナ)、(Pd/カーボ
ン)、(Pd/シリカ)、(Pd/ケイソウ土)、(P
d/アルミナ)などが挙げられる。
【0058】水素化反応は不活性溶媒中で行う。溶媒と
しては、任意に選択することができ、前述の重合反応で
使用するものと同様のものを用いることができる。中で
も芳香族炭化水素系溶媒、脂環族炭化水素系溶媒及びエ
ーテル系溶媒が、重合体水素化物の溶解性に優れるので
好ましく、脂環族炭化水素系溶媒がより好ましい。脂環
族炭化水素系溶媒の中では、シクロヘキサンやデカリン
が最も好ましく、エーテル系溶媒の中ではテトラヒドロ
フランやエチレングリコールジメチルエーテルなどが最
も好ましい。溶媒は、通常は、重合反応溶媒と同じであ
ってもよく、同じ場合には重合反応後、反応液にそのま
ま水素添加触媒を添加して水素化反応を行うことができ
る。
【0059】水素化反応の条件は、使用する水素化触媒
の種類によって異なる。水素化温度は通常−20℃〜2
50℃、好ましくは−10〜220℃、より好ましくは
0〜200℃である。水素圧力は通常0.01〜10M
Pa、好ましくは0.05〜8MPa、より好ましくは
0.1〜5MPaである。水素化温度が低すぎると反応
速度が遅く、高すぎると副反応が起こる。また、水素圧
力が低すぎると水素化速度が遅くなり、高すぎると高耐
圧反応装置が必要となる。
【0060】本発明の方法によれば、水素化反応時間が
0.1〜10時間で、重合体中の主鎖の炭素−炭素二重
結合のうち50%以上、好ましくは80%以上、より好
ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特
に好ましくは99%以上を水素化することができる。ま
た導入された末端の官能基は、水素化反応時に導入した
末端の官能基の種類、水素化触媒、又は水素化温度によ
って、分子鎖の末端の官能基を保持したまま、主鎖中
の炭素−炭素二重結合を選択的に水素化することもでき
るし、主鎖中の炭素−炭素二重結合の水素化反応と同
時に分子鎖の末端の官能基を変性することもできる。
【0061】用いた水素化触媒を分離除去する方法とし
ては、以下の方法を挙げることができる。均一系触媒を
用いた場合には、(1)重合後の反応液に酸化剤又は塩
基性化合物と該反応液の貧溶媒である水やメタノールな
ど添加して、均一系触媒を金属酸化物や金属塩にし、該
金属酸化物や金属塩を貧溶媒中に抽出した後に濾過や遠
心分離により分離除去する方法、(2)吸着剤に吸着さ
せて分離除去する方法、(3)均一系触媒を塩酸などの
酸性水溶液中に抽出することにより分離除去する方法、
を用いることができる。担持型触媒を用いた場合には、
遠心分離、濾過により容易に分離除去する方法を用いる
ことができる。
【0062】本発明の水素化物は、必要に応じて架橋
剤、架橋助剤、その他の配合剤、溶媒などを配合するこ
とができる。
【0063】本発明の水素化物に使用可能な架橋剤とし
ては、特に限定されないが、(1)有機過酸化物、
(2)熱により効果を発揮する架橋剤、(3)光によっ
て効果を発揮する架橋剤などが用いられる。 (1)有機過酸化物としては、例えば、メチルエチルケ
トンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシドなど
のケトンパーオキシド類;1,1−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパ
ーオキシケタール類;t−ブチルハイドロパーオキシ
ド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパ
ーオキシドなどのハイドロパーオキシド類;ジクミルパ
ーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチ
ルパーオキシ)ヘキシン−3、α,α′ビス(t−ブチ
ルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼンなどのジア
ルキルパーオキシド類:オクタノイルパーオキシド、イ
ソブチリルパーオキシドなどのジアシルパーオキシド
類;パーオキシジカーボネートなどのパーオキシエステ
ル類;が挙げられる。
【0064】(2)熱により効果を発揮する架橋剤は、
加熱によって架橋反応させうるものであれば特に限定さ
れないが、ジアミン、トリアミンまたはそれ以上の脂肪
族ポリアミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミンビ
スアジド、酸無水物、ジカルボン酸、多価フェノール、
ポリアミドなどが挙げられる。 (3)光により効果を発揮する架橋剤は、g線、h線、
i線等の紫外線、遠紫外線、X線、電子線等の活性光線
の照射により、本発明の水素化物と反応し、架橋化合物
を生成する光反応性物質であれば特に限定されるもので
はないが、例えば、芳香族ビスアジド化合物、光アミン
発生剤、光酸発生剤などが挙げられる。前記架橋剤の配
合量は、特に制限はないものの、架橋反応を効率良く行
い、かつ、得られる架橋物の物性改善を計ること及び経
済性の面などから、本発明の水素化物100重量部に対
して、通常0.001〜30重量部、好ましくは0.0
1〜25重量部、より好ましくは1〜20重量部の範囲
である。架橋剤の量が少なすぎると架橋が起こりにく
く、充分な耐熱性、耐溶剤を得ることができず、多すぎ
ると架橋した樹脂の吸水性、誘電特性などの特性が低下
する傾向にある。よって、配合量が上記範囲にある時
に、これらの特性が高度にバランスされて好適である。
【0065】また、必要に応じて架橋促進剤(硬化促進
剤)を配合して、架橋反応の効率を高めることも可能で
ある。架橋助剤としては、特に限定されるものではない
か、特開昭62−34924号公報等に開示されている
公知のものでよく、例えば、キノンジオキシム、ベンゾ
キノンジオキシム、p−ニトロソフェノール等のオキシ
ム・ニトロソ系架橋助剤;N,N−m−フェニレンビス
マレイミド等のマレイミド系架橋助剤;ジアリルフタレ
ート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌ
レート等のアリル系架橋助剤;エチレングリコールジメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート等のメタクリレート系架橋助剤;ビニルトルエン、
エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼンなどのビニル
系架橋助剤;等が例示される。
【0066】その他の配合剤としては、難燃剤、耐熱安
定剤、耐候安定剤、レベリング剤、帯電防止剤、スリッ
プ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔
料、天然油、合成油、ワックス、有機または無機の充填
剤などが挙げられ、適量添加することができる。添加の
方法については、これらの配合成分が本発明の水素化物
中で充分に分散する方法であれば格別な限定はない。
【0067】本発明の水素化物は、必要に応じて架橋
剤、架橋助剤、その他の配合剤、溶媒などを配合し、周
知の成形方法で所望の形状に成形して成形体を製造する
ことができる。成形方法としては、例えば、射出成形
法、トランスファー成形法、ブロー成形法、回転成形
法、真空成形法、押出成形法、カレンダー成形法、溶液
流延法、熱プレス成形法、インフレーション法等がある
が、成形が可能な限り特定の成形方法に限定されない。
成形体は、球状、棒状、板状、円柱状、筒状、繊維状、
フィルムまたはシート形状など種々の形態で使用するこ
とができる。
【0068】また、本発明の水素化物は、該水素化物の
層を1層以上有する積層体にすることができる。積層体
は、上記の板状成形体やフィルムまたはシート状成形
体同士を2枚以上貼り合わせる方法、上記の板状成形
体やフィルムまたはシート状成形体と、金属、樹脂、紙
などの他の材料の層とを積層する方法、上記水素化物
と、他の熱可塑性樹脂とを同時に加熱溶融成形する方法
(共押し出し法)などにより得ることができる。
【0069】本発明の水素化物を用いた成形品又は積層
体は、吸水率、比誘電率、及び誘電正接が低く、さらに
密着性に優れているので種々の用途に好適である。具体
的には、抵抗器、コネクター、リレー、コンデンサなど
のごとき一般電子部品;ダイオード、トランジスタ、発
光素子、受光素子、光複合素子などのごとき半導体部
品;複数の集積回路部品が搭載されたマルチチップモジ
ュール(MCM)、プリント配線基板、一般電子部品が
混成して搭載されたハイブリッドICなどのごとき混成
集積回路部品;液晶パネルスペーサー、カラーフィルタ
ー等のオーバーコート材;多層回路基板の層間絶縁膜;
プリプレグ、液晶ディスプレーの絶縁層、平担化膜など
各種の電子部品用硬化膜などである。
【0070】
【実施例】以下に、実施例、及び比較例を挙げて、本発
明をさらに具体的に説明する。 (1)分子量は、クロロホルムを溶媒とするGPCによ
るポリスチレン換算値として測定した。 (2)水素化率は、H−NMRスペクトルにより測定
した。 (3)ヨウ素価は、JIS K0070Bに従って測定
した。 (4)官能基がある分子鎖末端の割合はH−NMRス
ペクトルにより求めた重合体中の官能基含有率及びGP
Cによる数平均分子量より、下記の式により求めた。 官能基が結合した分子鎖末端の割合(%)=[(官能基
含有率×数平均分子量)/{モノマー構造単位の分子量
×(1−官能基含有率)+官能基を有する直鎖状オレフ
ィン化合物の分子量×官能基含有率}]×(100/
2) ここで、官能基含有率は、重合体中の繰り返し構造単位
あたりの官能基の割合であり、官能基含有率=官能基
(モル)/{モノマー構造単位(モル)+官能基(モ
ル)}で示すことができる。官能基(モル)は、モノマ
ー1モルあたりの官能基のモル数でH−NMRのモノ
マー由来のプロトンのピーク面積と官能基由来のピーク
面積の比から求められる。
【0071】(実施例1)攪拌機付きオートクレーブ
に、シクロヘキサン300部とジシクロペンタジエン5
9.5部を仕込み、直鎖状オレフィン化合物としてアク
リル酸メチル3.87部を添加した。重合触媒として
(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリ
デン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデン
ルテニウムジクロリド0.038部(ジシクロペンタジ
エンに対して0.01モル%)をシクロヘキサン10部
に溶解させたものをオートクレーブに添加した。この溶
液を70℃で3時間撹拌して重合反応を行った。得られ
た重合体の分子鎖末端の官能基の割合は50%、数平均
分子量(Mn)は4,900、重量平均分子量(Mw)
は12,600であった。重合反応液を室温に戻し、エ
チルビニルエーテル0.32部(ジシクロペンタジエン
に対して1モル%)を加え重合触媒を水素化触媒に改質
した。この溶液を160℃、水素圧力1MPaで8時間
撹拌して水素化反応を行った。得られた水素化物の水素
化率は100%、ヨウ素価は0.2、官能基が結合した
分子鎖末端の割合は50%、Mnは5,500、Mwは
14,300であった。また、H−NMRスペクトル
の結果より、メトキシカルボニル基が末端にあることが
確認された。結果を表1に示す。
【0072】(実施例2)攪拌機付きオートクレーブ
に、シクロヘキサン300部とジシクロペンタジエン5
9.5部を仕込み、官能基を有する直鎖状オレフィン化
合物として1,2−エポキシ−9−デセン6.94部を
添加した。そしてこの溶液に、(1,3−ジメシチル−
4−イミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキ
シルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド
0.038部をシクロヘキサン10部に溶解させたもの
を添加した。この溶液を70℃で3時間撹拌して重合反
応を行った。得られた重合体の官能基(エポキシ基)が
結合した分子鎖末端の割合は45%であった。重合反応
液を室温に戻し、水素化触媒としてケイソウ土担持ニッ
ケル触媒2.8部を加えた。この溶液を160℃、水素
圧力1MPaで8時間撹拌して水素化反応を行った。得
られた水素化物の水素化率は、93%、ヨウ素価は1.
2、官能基(ヒドロキシ基)が結合した分子鎖末端の割
合は45%、Mnは2,500、Mwは3,300であ
った。また、H−NMRスペクトルの結果より、エポ
キシ基は水素化反応後、全てヒドロキシ基に水素化され
ていることが確認された。結果を表1に示す。
【0073】(実施例3)アクリル酸メチルに代えてア
クリロニトリルを用いた以外は、実施例1と同様にして
重合反応及び水素化反応を行った。得られた水素化物の
水素化率は99%、ヨウ素価は0.5、官能基(ニトリ
ル基)が結合した分子鎖末端の割合は48%、Mnは
8,300、Mwは17,500であった。結果を表1
に示す。
【0074】(実施例4)2−エポキシ−9−デセンに
代えてシス−2−ブテン−1,4−ジオールジアセテー
トを用いた以外は、実施例2と同様にして重合反応及び
水素化反応を行った。得られた水素化物の水素化率は8
8%、ヨウ素価は2.5、官能基が結合した分子鎖末端
の割合は99%、Mnは6,500、Mwは10,40
0であった。結果を表1に示す。
【0075】
【表1】 *(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イ
リデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデ
ンルテニウムジクロリド
【0076】(比較例1)実施例1と同様に重合を行っ
た後、チタノセンジクロリド1.36部及びn−ブチル
リチウム0.97部をシクロヘキサン47部に添加して
得た水素化触媒液をオートクレーブに添加して、実施例
1と同様に水素化反応を行った。水素化反応中、水素の
圧力減少は見られず、水添後の反応液には不溶性の重合
体が析出した。得られた重合体のヨウ素価は180であ
り、水素化反応は全く進行していなかった。
【0077】(実施例5)実施例1で得られたメトキシ
カルボニル基を末端に有する開環重合水素化物10部を
テトラヒドロフラン80部に溶解し、0℃に冷却した。
この溶液に、ナトリウムメトキシド0.38部をメタノ
ール溶液10部に溶解させたものを加え、0℃で6時間
反応させた。この反応液を多量のメタノールに滴下し
て、ポリマーを析出させた。濾過によりポリマーを回収
し、40℃で一昼夜真空乾燥した。得られた開環重合体
水素化物の末端の官能基は、H−NMRスペクトルの
結果より、メトキシカルボニル基からヒドロキシカルボ
ニル基に変性していることが確認された。
【0078】(実施例6)実施例5で得られた開環重合
体水素化物2部をクロロホルム6.5部に溶解し、加圧
ろ過した後、ろ液をテフロン(登録商標)基板上にスピ
ンコートした。この基板を60℃で2時間窒素気流下に
て加熱乾燥し、膜厚約5μmのフィルムを得た。テフロ
ン基板からフィルムを剥がした。吸水率をJIS K7
209に従って測定し、比誘電率及び誘電正接をJIS
C2330に従って測定した。このフィルムの吸水
率、比誘電率、誘電正接は以下のようであった。 吸水率<0.01%、比誘電率(1kHz)2.35、
誘電正接(1kHz)0.0001。テフロン基板の時
と同様の方法で、銅基板、シリコン基板上に膜厚約30
μmのフィルムを形成した。銅基板及びシリコン基板上
に形成したフィルムの密着性試験をJIS K5400
に従って行った。銅基板についてもシリコン基板につい
ても、碁盤目テープ法10点、クロスカットテープ法1
0点と良好であった。
【0079】(実施例7)ヒドロキシカルボニル基を末
端に有する開環重合体水素化物のかわりに実施例2で得
られたヒドロキシ基を末端に有する開環重合体水素化物
を使用した以外は、実施例6と同様にテフロン基板上、
銅基板上及びシリコン基板上それぞれにフィルムを形成
した。テフロン基板上に形成したフィルムについては、
実施例6と同様に吸水率、比誘電率、誘電正接を測定し
た。この結果は、以下のようであった。 吸水率<0.01%、比誘電率(1kHz)=2.3
4、誘電正接(1kHz)=0.0001。 銅基板上及びシリコン基板上に形成したフィルムについ
ても、実施例6と同様に密着性試験を行った。銅基板に
ついてもシリコン基板についても、碁盤目テープ法10
点、クロスカットテープ法10点と良好であった。
【0080】(比較例2)アクリル酸メチルを1−ヘキ
センに代えた以外は、実施例1と同様にして、重合及び
水素化反応を行い、末端に官能基を有していない開環重
合体水素化物を得た。得られた開環重合体水素化物の水
素化率は100%、ヨウ素価は0.2、Mnは5,80
0、Mwは14,200であった。この開環重合体水素
化物を、実施例6と同様の方法で、テフロン基板、銅基
板及びシリコン基板上にフィルムを形成し、物性を測定
した。テフロン基板上に形成したフィルムの吸水率、比
誘電率、誘電正接は以下のようであった。 吸水率<0.01%、比誘電率(1kHz)2.33、
誘電正接(1kHz)0.0001。 また、銅基板上及びシリコン基板上に形成したフィルム
についても、実施例6と同様に密着性試験を行った。銅
基板では、碁盤目テープ法0点、クロスカットテープ法
0点、シリコン基板では碁盤目テープ法0点、クロスカ
ットテープ法0点であった。
【0081】(比較例3)比較例1で得られた末端に官
能基を有する開環重合体を用いて、実施例6と同様の方
法で、テフロン基板、銅基板及びシリコン基板上にフィ
ルムを形成した。いずれのフィルムも黄色に着色し、亀
裂が生じていた。また、テフロン基板からフィルムを剥
がそうとしたところ、割れてしまい、吸水率、比誘電率
及び誘電正接は測定できなかった。銅基板上及びシリコ
ン基板上に形成したフィルムについて密着性試験を行っ
たところ、亀裂が生じ、碁盤目テープ法0点、クロスカ
ットテープ法0点であった。
【0082】以上、実施例、比較例によれば、本発明の
方法により、分子鎖の末端の25%以上に官能基を有す
る環状オレフィン系開環重合体水素化物を得ることがで
きた。そして得られた環状オレフィン系開環重合体水素
化物を用いて基板上にフィルムを形成したところ、吸水
率、比誘電率、誘電正接が良好で、かつ基板に対して密
着性の良好なフィルムを形成することができた。
【0083】
【発明の効果】本発明の分子鎖の末端の25%以上に官
能基を有するノルボルネン系開環重合体水素化物は、吸
水率、比誘電率、及び誘電正接が低く、さらに密着性に
優れているので、絶縁材料として、具体的には、抵抗
器、コネクター、リレー、コンデンサなどのごとき一般
電子部品;ダイオード、トランジスタ、発光素子、受光
素子、光複合素子などのごとき半導体部品;複数の集積
回路部品が搭載されたマルチチップモジュール(MC
M)、プリント配線基板、一般電子部品が混成して搭載
されたハイブリッドICなどのごとき混成集積回路部
品;液晶パネルスペーサー、カラーフィルター等のオー
バーコート材;多層回路基板の層間絶縁膜;プリプレ
グ、液晶ディスプレーの絶縁層、平担化膜など各種の電
子部品用硬化膜などに好適である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子鎖の末端の25%以上に官能基を有
    し、ヨウ素価が70以下で、ゲルパーミエーションクロ
    マトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量
    (Mw)がポリスチレン換算で1,000から100,
    000である環状オレフィン系開環重合体水素化物。
  2. 【請求項2】 周期表第8〜10族遷移金属化合物を主
    成分とする均一系水添触媒、又は周期表第8〜10族遷
    移金属を担体に担持した担持型水添触媒を用いて、分子
    鎖の末端の25%以上に官能基を有する環状オレフィン
    系開環重合体の主鎖中の炭素−炭素二重結合の50%以
    上を水素化することを含む環状オレフィン系開環重合体
    水素化物の製造方法。
  3. 【請求項3】 分子鎖の末端の25%以上に官能基を有
    する環状オレフィン系開環重合体が、官能基を有する直
    鎖状オレフィン化合物の存在下で、有機ルテニウム化合
    物を重合触媒として、環状オレフィン系単量体を開環重
    合することにより得られるものである請求項2記載の製
    造方法。
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