JP2009108286A - 環状ポリオレフィンフィルム、それを用いた偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

環状ポリオレフィンフィルム、それを用いた偏光板および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】吸湿性や透湿性が低く、温湿度変化による光学特性の変化が少ない、光学ムラの少ない、Rth(λ)、Re(λ)をそれぞれ独立に制御可能な光学特性を有する環状ポリオレフィンフィルムを提供すること、製膜安定性および加工特性に優れ、画像ムラのない偏光板あるいは液晶表示装置を提供する。
【解決手段】スチレン系重合体またはアクリル酸エステル系重合体を少なくとも1種含有する環状ポリオレフィンからなるフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、環状ポリオレフィンフィルム、それを用いた偏光板および液晶表示装置に関する。
偏光板は、通常、ヨウ素もしくは二色性染料をポリビニルアルコールに配向吸着させた偏光膜の両側にセルローストリアセテートを主成分とする保護フィルムを貼り合わせることにより製造されている。セルローストリアセテートは、強靭性、難燃性、光学的等方性が高い(レターデーション値が低い)などの特徴により上述の偏光板用保護フィルムとして広く使用されている。液晶表示装置は、偏光板と液晶セル等から構成されている。しかし、セルローストリアセテートフィルムは水分の吸収や透過が多く、そのため光学補償性能が変化したり、偏光子を劣化しやすいという問題点があった。
環状ポリオレフィンフィルムは、セルローストリアセテートフィルムの吸湿性や透湿性を改良できるフィルムとして注目され、熱溶融製膜及び溶液製膜による偏光板保護フィルムの開発が行われている。また、環状ポリオレフィンフィルムは、高い光学特性の発現性を有しており、さらには温湿度変化による光学特性の変化が少なく位相差膜(位相差フィルムとも言う。)としての開発が行われている(特許文献1〜4)。
特開2003−212927号公報 特開2004−126026号公報 特開2002−114827号公報 国際公開第2004/049011号パンフレット
しかしながら、環状ポリオレフィンフィルムは、高い光学特性の発現性を有しているため、僅かな延伸倍率の違いでRe(λ)、Rth(λ)が大きく変化してしまい、光学特性の微調整が難しいといった問題や、意図したRe(λ)、Rth(λ)を双方同時に満たす光学特性を延伸工程のみによって得ることは難しいという問題点があった。
要するに、従来提案されている環状ポリオレフィンフィルムは、吸湿性や透湿性が低く、温湿度変化による光学特性の変化が少ないという従来要求されている特性を備えた上で、意図するRe(λ)、Rth(λ)を完全に制御した環状ポリオレフィンフィルムの開発が要望されている。
本発明の目的は、吸湿性や透湿性が低く、温湿度変化による光学特性の変化が少ない、光学ムラの少ない、Rth(λ)、Re(λ)をそれぞれ独立に制御可能な光学特性を有する環状ポリオレフィンフィルムを提供することである。本発明の他の目的は、製膜安定性および加工特性に優れ、画像ムラのない偏光板あるいは液晶表示装置を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、環状ポリオレフィン系樹脂、並びに、Rth低減効果を有するポリマー化合物を少なくとも1種含有させることにより、膜厚方向のレターデーションRthを低減させ、フィルム製膜時の光学特性を意図したものとすることに成功した。さらに、延伸することにより、それぞれ独立に、所望するRe、Rthを有する環状ポリオレフィンフィルムを自在に得ることができた。
すなわち、本発明は、以下の構成からなるものである。
<1>
下記一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする環状ポリオレフィンフィルム。
Figure 2009108286
式中R〜Rは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、または極性基を表し、Rは全て同一の原子または基であっても、個々異なる原子または基であっても、互いに結合して、炭素環または複素環(これらの炭素環、複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい)を形成してもよい。
<2>
下記数式(1)を満たすことを特徴とする<1>に記載の環状ポリオレフィンフィルム。
数式(1) |σ(A)−σ(P)|<4
上記数式(1)おいて、
|σ(A)−σ(P)|はσ(A)−σ(P)の絶対値である。
σ(A):前記一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物の溶解度パラメータ(SP値)(MPa1/2)、
σ(P):環状ポリオレフィンの溶解度パラメータ(SP値)(MPa1/2
<3>
下記数式(2)および(3)を満たすことを特徴とする<1>または<2>に記載の環状ポリオレフィンフィルム。
数式(2) Rth(A)−Rth(0)≦−10
数式(3) (Rth(A)−Rth(0))/A≦−1.0
上記数式(2)、(3)において、
Rth(A):環状ポリオレフィンの質量に対して、前記一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物をA%含有したフィルムの膜厚80μm換算Rth(nm)、
Rth(0):前記一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物を含有しないフィルムの膜厚80μm換算Rth(nm)、
A:前記環状ポリオレフィンの質量に対する前記一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物の質量(%)、である。
<4>
前記一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物の重量平均分子量が500以上300000以下であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の環状ポリオレフィンフィルム。
<5>
前記一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物が、環状ポリオレフィンに対して0.1〜40質量%含まれることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の環状ポリオレフィンフィルム。
<6>
前記環状ポリオレフィンフィルムが延伸されたものであることを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載の環状ポリオレフィンフィルム。
<7>
厚みが20μm〜200μmであることを特徴とする<1>〜<6>のいずれかに記載の環状ポリオレフィンフィルム。
<8>
偏光板の両側に配置される保護フィルムのうち少なくとも1枚が<1>〜<7>のいずれかに記載の環状オレフィン系ポリマーフィルムであることを特徴とする偏光板。
<9>
液晶セルの両側に配置される偏光板のうち少なくとも1枚が<8>に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
本発明の実施により、意図したRth(λ)、Re(λ)を独立、同時に制御可能であり、またこれらの光学特性を精密にコントロールでき、吸湿性や透湿性に優れ、温湿度変化による光学特性の変化が少なく、ハンドリング特性に優れ、光学ムラのない環状ポリオレフィン透明光学フィルムを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において、「(数値1)〜(数値2)」「(数値1)乃至(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
まず本発明の環状ポリオレフィンフィルムの材料、製造方法、得られる環状ポリオレフィンフィルムについて説明する。
本発明の環状ポリオレフィンフィルムは、少なくとも環状ポリオレフィンを含んで製造される。
(環状ポリオレフィン)
本発明においては、「環状ポリオレフィン系樹脂」とは、環状ポリオレフィン構造を有する重合体樹脂を表す。本発明において、単に「環状ポリオレフィン」と言う場合、特に断らない限り、「環状ポリオレフィン系樹脂」を指し、さらに、「環状オレフィン系樹脂」も含む(すなわち「環状オレフィン系樹脂」を「環状ポリオレフィン」とも呼ぶ)。
本発明に用いる環状オレフィン構造を有する重合体樹脂の例には、
(1)ノルボルネン系重合体、
(2)単環の環状オレフィンの重合体、
(3)環状共役ジエンの重合体、
(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及び(1)〜(4)の水素化物などがある。
本発明において好ましく用いられる重合体樹脂は、下記一般式(4)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体環状ポリオレフィンおよび必要に応じ、一般式(3)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上を更に含んでなる付加(共)重合体環状ポリオレフィンである。また、一般式(5)で表される環状繰り返し単位を少なくとも1種含む開環(共)重合体も好適に使用することができる。
Figure 2009108286
Figure 2009108286
Figure 2009108286
式中、mは0〜4の整数を表す。R〜Rは各々独立に水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基、X〜X、Y〜Yは各々独立に水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CHCOOR11、−(CHOCOR12、−(CHNCO、−(CHNO、−(CHCN、−(CHCONR1314、−(CHNR1314、−(CHOZ、−(CHW、またはXとYあるいはXとYあるいはXとYから構成された(−CO)O、(−CO)NR15を示す。なお、R11、R12、R13、R14、R15は各々独立に水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、Zは炭化水素基またはハロゲンで置換された炭化水素基、WはSiR16 3−p(R16は炭素数1〜10の炭化水素基、Dはハロゲン原子、−OCOR16または−OR16、pは0〜3の整数を示す)、nは0〜10の整数を示す。
〜X、Y〜Yの置換基に分極性の大きい官能基を導入することにより、光学フィルムの厚さ方向レターデーション(Rth)を大きくし、面内レターデーション(Re)の発現性を大きくすることが出来る。Re発現性の大きなフィルムは、製膜過程で延伸することによりRe値を大きくすることができる。
ノルボルネン系付加(共)重合体は、特開平10−7732号公報、特表2002−504184号公報、US2004229157A1号明細書あるいは国際公開第2004/070463A1号パンフレット等に開示されているものを用いることができる。ノルボルネン系多環状不飽和化合物同士を付加重合する事によって得られる。また、必要に応じ、ノルボルネン系多環状不飽和化合物と、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、イソプレンのような共役ジエン;エチリデンノルボルネンのような非共役ジエン;アクリロニトリル、アクリル酸、メタアクリル酸、無水マレイン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミド、酢酸ビニル、塩化ビニルなどの線状ジエン化合物とを付加重合することもできる。このノルボルネン系付加(共)重合体としては、市販品を用いることもできる。具体的には、三井化学(株)よりアペルの商品名で発売されており、ガラス転移温度(Tg)の異なる例えばAPL8008T(Tg70℃)、APL6013T(Tg125℃)あるいはAPL6015T(Tg145℃)などのグレードがある。ポリプラスチック(株)よりTOPAS8007、同6013、同6015などのペレットが発売されている。更に、Ferrania社よりAppear3000が発売されている。
ノルボルネン系重合体水素化物は、特開平1−240517号公報、特開平7−196736号公報、特開昭60−26024号公報、特開昭62−19801号公報、特開2003−1159767号公報あるいは特開2004−309979号等公報に開示されているように、多環状不飽和化合物を付加重合あるいはメタセシス開環重合したのち水素添加することにより作られるものを用いることができる。本発明に用いるノルボルネン系重合体において、R〜Rは水素原子又は−CHが好ましく、X、及びYは水素原子、Cl、−COOCHが好ましく、その他の基は適宜選択される。このノルボルネン系樹脂は、市販品を用いることもでき、具体的にはJSR(株)からアートン(Arton)GあるいはアートンFという商品名で発売されており、また日本ゼオン(株)からゼオノア(Zeonor)ZF14、ZF16、ゼオネックス(Zeonex)250あるいはゼオネックス280という商品名で市販されており、これらを使用することができる。
本発明において用いられる前記環状ポリオレフィン系樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC・展開溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算法)により測定した重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン分子量換算で5,000〜1,000,000であることが好ましく、10,000〜500,000であることがより好ましく、50,000〜300,000であることがさらに好ましい。また、分子量分布(Mw/Mn;MnはGPCにより測定した数平均分子量)は10以下であることが好ましく、より好ましくは5.0以下、さらに好ましくは3.0以下である。ガラス転移温度(Tg;DSCにより測定)は50〜350℃であることが好ましく、より好ましくは80〜330℃、さらに好ましくは100〜300℃の範囲にある。
〔一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物〕
本発明の環状ポリオレフィンフィルムは、一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物を少なくとも1種含有する。
Figure 2009108286
式中R〜Rは、各々独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、Rは全て同一の原子または基であっても、個々異なる原子または基であっても、互いに結合して、炭素環または複素環(これらの炭素環、複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい
)を形成してもよい。
一般式(I)は、芳香族ビニル系単量体から得られる構造単位である。当該芳香族ビニル系単量体の具体例としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのアルキル置換スチレン類;4−クロロスチレン、4−ブロモスチレンなどのハロゲン置換スチレン類;p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン、2−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3,4−ジヒドロキシスチレンなどのヒドロキシスチレン類;ビニルベンジルアルコール類;p−メトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、m−t−ブトキシスチレンなどのアルコキシ置換スチレン類;3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸などのビニル安息香酸類;メチル−4−ビニルベンゾエート、エチル−4−ビニルベンゾエートなどのビニル安息香酸エステル類;4−ビニルベンジルアセテート;4−アセトキシスチレン;2−ブチルアミドスチレン、4−メチルアミドスチレン、p−スルホンアミドスチレンなどのアミドスチレン類;3−アミノスチレン、4−アミノスチレン、2−イソプロペニルアニリン、ビニルベンジルジメチルアミンなどのアミノスチレン類;3−ニトロスチレン、4−ニトロスチレンなどのニトロスチレン類;3−シアノスチレン、4−シアノスチレンなどのシアノスチレン類;ビニルフェニルアセトニトリル;フェニルスチレンなどのアリールスチレン類、インデン類などが挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。これらの単量体は、二種以上を共重合成分として用いてもよい。これらのうち、工業的に入手が容易で、かつ安価な点で、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
一般式(II)はアクリル酸エステル系単量体から得られる構造単位である。当該アクリル酸エステル系単量体の例としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−メトキシエチル)、アクリル酸(2−エトキシエチル)アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸(2または4−クロロフェニル)、メタクリル酸(2または4−クロロフェニル)、アクリル酸(2または3または4−エトキシカルボニルフェニル)、メタクリル酸(2または3または4−エトキシカルボニルフェニル)、アクリル酸(oまたはmまたはp−トリル)、メタクリル酸(oまたはmまたはp−トリル)、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェネチル、メタクリル酸フェネチル、アクリル酸(2−ナフチル)、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、アクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)等、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることが出来るが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。これらの単量体は、二種以上を共重合成分として用いてもよい。これらのうち、工業的に入手が容易で、かつ安価な点で、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものが好ましい。
前記(共)重合体は、一般式(I)で表される芳香族ビニル系単量体および一般式(II)で表されるアクリル酸エステル系単量体から得られる構造単位を少なくとも1種含むものが好ましい。また、共重合組成を構成するそれ以外の構造として、前記単量体と共重
合性に優れたものであることが好ましく、例として、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸、3−メチル−シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸、4−メチル−シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸等の酸無水物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル基含有ラジカル重合性単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、トリフルオロメタンスルホニルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミド結合含有ラジカル重合性単量体;酢酸ビニルなどの脂肪酸ビニル類;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの塩素含有ラジカル重合性単量体;1,3−ブタジエン、イソプレン、1,4−ジメチルブタジエン等の共役ジオレフィン類をあげることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記のような共重合体を使用する場合、共重合体組成中に於ける一般式(I)で示される基を少なくとも30モル%含むことが好ましい。また、一般式(II)で示される基を少なくとも20モル%以上含むことが好ましい。また、その他の共重合成分の割合は、50モル%以下であることが好ましい。
一般式(I)、(II)で表される構造の中でも、環状オレフィンポリマーと混合し、製膜後良好な透明性を得るためには、相溶性が良好であることが重要である。ポリマーの相溶性は溶解度パラメータ(SP値)で見積もることができ、環状ポリオレフィンのSP値と一般式(I)、(II)で表される構造のSP値の関係は下記数式(1)を満たすことが好ましい。
数式(1) |σ(A)−σ(P)|<4
上記数式(1)において、
|σ(A)−σ(P)|はσ(A)−σ(P)の絶対値である。
σ(A):前記一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物の溶解度パラメータ(SP値)(MPa1/2)、
σ(P):環状ポリオレフィンの溶解度パラメータ(SP値)(MPa1/2
環状オレフィンポリマーとの相溶性が向上し、添加量や分子量に対する相溶領域を拡大させるために、
数式(1−2) |σ(A)−σ(P)|<3が好ましく、
数式(1−3) |σ(A)−σ(P)|<2がさらに好ましく、
数式(1−4) |σ(A)−σ(P)|<1が最も好ましい。
この溶解度パラメータ(SP値)は、凝集エネルギー密度の平方根で定義される数値であり、分子間力を表している。該SP値はポリマーや溶媒などの低分子化合物の極性を定量化できる一つの表示方法であり、下記に示す計算によっても、あるいは実測によっても得ることができる。
SP値(δ)=(ΔEv/V)1/2
上式において、ΔEvはモル蒸発エネルギーを、Vはモル体積を表す。
また、上記ΔEv及びVとしては、ROBERT F.FEDORS著「POLYMER ENGINEERING AND FEBRUARY」(Vol.14、No.2、151〜153頁、1974年)に記載の原子団のモル蒸発熱(△e i )の合計(ΔEv)とモル体積(v i )の合計(V)を用いることもできる。
環状ポリオレフィンに、前記一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物を少なくとも1種含有させることにより、膜厚方向のレターデーションRthを低減させ、フィルム製膜時の光学特性を意図したものとすることができる。
本発明において、環状ポリオレフィンフィルムのRthを低減させるとは、前記一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物を含有しないフィルムの膜厚80μm換算Rth(nm)に対して、前記一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物を環状ポリオレフィンの質量に対してA%含有したフィルムの膜厚80μm換算Rt
h(nm)が、10nm以上低いことを意味する。
また、本発明において、環状ポリオレフィンフィルムのRth低減性は(Rth(A)−Rth(0))/Aで示すことができる。
本発明の環状ポリオレフィンフィルムは下記数式(2)および(3)を満たすことが好ましい。
数式(2) Rth(A)−Rth(0)≦−10
好ましくは、所望の光学特性を得るために、
数式(2−2) Rth(A)−Rth(0)≦−30が好ましく、
数式(2−3) Rth(A)−Rth(0)≦−50が最も好ましい。
数式(3) (Rth(A)−Rth(0))/A≦−1.0
好ましくは、光学特性の制御範囲を広げるために、
数式(3−2) (Rth(A)−Rth(0))/A≦−3.0がより好ましく、
数式(3−3) (Rth(A)−Rth(0))/A≦−5.0が最も好ましい。
上記数式(2)(2−2)(2−3)(3)(3−2)(3−3)において、
Rth(A):環状ポリオレフィンの質量に対して、前記一般式(I)または(II)で表される構造をA%含有したフィルムの膜厚80μm換算Rth(nm)、
Rth(0):前記一般式(I)または(II)で表される構造を含有しないフィルムの膜厚80μm換算Rth(nm)、
A:前記環状ポリオレフィンの質量に対する前記一般式(I)または(II)で表される構造の質量(%)、である。
一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物の重量平均分子量は500以上300000以下であることが好ましく、バインダーとの相溶性、製膜後のフィルムの透明性に優れ、光学特性の良好な発現性を示すフィルムを得るためには、500以上15000以下であることがより好ましく、500以上5000以下であることが特に好ましい。
本発明において、環状ポリオレフィンに含有させる化合物の重量平均分子量は、GPC(展開溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算法)により測定した値である。
〔一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物の含有量〕
上述した本発明で用いられる一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物は、環状ポリオレフィン系樹脂の0.1ないし40質量%であることが好ましく、製膜後の透明性に優れ、光学特性の良好な発現性を示すフィルムを得るためには、1ないし30質量%であることがより好ましく、3ないし20質量%であることが特に好ましい。
またこれらの一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
2種類以上の一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物の合計含有量が環状ポリオレフィン系樹脂の0.1ないし40質量%であることが好ましく、製膜後の透明性に優れ、光学特性の良好な発現性を示すフィルムを得るためには、1ないし30質量%であることがより好ましく、3ないし20質量%であることが特に好ましい。
(一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物添加の方法)
これら化合物を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
(微粒子)
本発明では、上記環状ポリオレフィン系樹脂に微粒子を添加することが好ましく、これによりフィルムの製膜安定性、加工適性を更に向上させ、巻き取りきしみ等に由来するフィルムの光学ムラを低減することができる。本発明で使用できる微粒子としては、有機あるいは無機化合物の微粒子を使用することができる。
無機化合物としては、ケイ素を含む化合物、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロングチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくはケイ素を含む無機化合物や金属酸化物である。すなわち、本発明においては、前記微粒子として金属酸化物あるいは無機ケイ素化合物が好ましく用いられる。本発明においては、フィルムの濁度を低減できるので、二酸化ケイ素が特に好ましく用いられる。二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名で市販されているものが使用できる。
有機化合物としては、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレンカーボネート、澱粉等があり、またそれらの粉砕分級物もあげられる。あるいは又懸濁重合法で合成した高分子化合物、スプレードライ法あるいは分散法等により球型にした高分子化合物を用いることができる。
本発明に使用する微粒子は、好ましくは平均粒径0.1μm〜3.0μmの無機化合物微粒子またはポリマー微粒子であり、より好ましくは0.15μm〜2.0μm、さらに好ましくは0.2μm〜1.0μmである。
本発明に記載の微粒子平均粒径は、凝集性の微粒子であれば、凝集体の平均大きさ(平均二次粒径)を意味し、溶液流延製膜法で製造するのであれば後述する分散処方によって、分散液中の粒子サイズとしてコントロールすることができる。非凝集性の微粒子であれば、一粒子のサイズを測定した平均値を意味する。
本発明に使用する微粒子は、凝集性の微粒子であれば、平均一次粒径0.05μm〜0.5μmの微粒子が好ましく、より好ましくは0.08μm〜0.3μm、さらに好ましくは0.1μm〜0.25μmである。
また、含有量は例えば、球形、不定形等の粒子状で分散する場合あるいは分子状で分散する場合を問わず、環状ポリオレフィンフィルム全体中0.0001質量%〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.001質量%〜5質量%であり、さらに好ましくは0.01質量%〜3質量%である。
本発明における環状ポリオレフィンフィルムの好ましい光線透過率の範囲は88.0%以上であり、89.0%以上が更に好ましく、90.0%以上が特に好ましい。前記透過率は、試料13mm×40mmを、25℃、60%RHで分光光度計(U−3210、(株)日立製作所)にて、測定波長550nmにおいて測定した。
上記微粒子のフィルムへの組み込み方法は、特に限定はないが環状ポリオレフィン系樹
脂と上記微粒子との入った溶液を流延し製膜する方法、環状ポリオレフィン系樹脂を流延後のフィルムに上記微粒子を含む塗工液を塗工する方法あるいは重層流延する方法等が挙げられる。本発明においては、次の2つの製造方法のいずれかにより、環状ポリオレフィンフィルムを製造することが好ましい。
1.環状ポリオレフィン系樹脂、前記一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物、並びに、少なくとも1種の微粒子を溶剤に溶解または分散する工程、流延する工程、乾燥する工程、および巻き取る工程を含む環状ポリオレフィンフィルムの製造方法。
2.環状ポリオレフィン系樹脂、前記一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物を溶剤に溶解する工程、流延する工程、乾燥する工程、および巻き取る工程を含むことを特徴とする環状ポリオレフィンフィルムの製造方法であって、流延後のフィルムの少なくとも片方の面上にすくなくとも1種の微粒子を含む塗工液を塗工する工程を含む環状ポリオレフィンフィルムの製造方法。
上記の2つの方法のいずれかにより製造することにより、平面性、均一性等の優れた、光学フィルムとして好適な得られる環状ポリオレフィンフィルムを製造することができより好ましい。
上記1の方法においては、環状ポリオレフィン系樹脂と上記微粒子との入った溶液を流延し製膜する。この方法の場合、環状ポリオレフィン溶液を調製する際に上記微粒子を分散しても良いし、環状ポリオレフィン溶液を流延する直前に上記微粒子の分散液を添加しても良い。分散液の作成に当たっては、通常の攪拌機、ホモジナーザーの用軟高速攪拌機、ボールミル、ペイントシェイカー、ダイノミルのようにメディアを使用した分散、超音波分散機等の公知の方法を用いることができる。上記微粒子を環状ポリオレフィン溶液に分散する場合には、分散助剤として通常用いられる界面活性剤あるいはポリマーを少量添加しても良い。
上記2の方法において「塗工液」は、上記微粒子を主成分としていればよい。単に、上記微粒子を適当な溶媒に分散した分散液を塗工液として、環状ポリオレフィン系樹脂を主成分としてなる層(すなわち流延後のフィルム)の面上に、該塗工液を塗工してもよい。また、塗工液はバインダーを含んでいてもよく、該塗工液を塗工することによって、上記微粒子を含む層を形成してもよい。
上記塗工液は、環状ポリオレフィン系樹脂を主成分としてなる層の片側若しくは両側に塗工できる。
上記微粒子の層の形成用のバインダーとしては特に限定されず親油性バインダーでもよく又親水性バインダーでもよい。親油性バインダーとしては公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂、反応型樹脂およびこれらの混合物を使用することができる。上記樹脂のTgは80℃〜400℃が好ましく、120℃〜350℃がより好ましい。上記樹脂の重量平均分子量は1万〜100万が好ましく、1万〜50万がより好ましい。上記微粒子を塗工液中に分散する場合には、前記1の方法と同様の分散方法を用いることができ、分散助剤として通常用いられる界面活性剤あるいはポリマーを少量添加しても良い。
上記熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、酢酸ビニルとビニルアルコール、マレイン酸および/またはアクリル酸との共重合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル・アクリロニトリル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート樹脂などのセルロース誘導体、環状ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレンブタジエン樹脂、ブタジエンアクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができる。
上記微粒子を含有する層の層厚は0.0001〜10μmとするのが好ましく、0.001〜5μmとするのが更に好ましく、0.01から1μmとするのが更に好ましい。
環状ポリオレフィンフィルムの製造方法のさらなる詳細については後述する。
(その他の添加剤)
本発明の環状ポリオレフィンフィルムには、フィルムの各製造工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、劣化防止剤、紫外線防止剤、剥離促進剤、可塑剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に劣化防止剤の混合などである。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開平2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期は環状ポリオレフィン溶液(ドープ)作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、環状ポリオレフィンフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。
(劣化防止剤)
本発明においては環状ポリオレフィン溶液に公知の劣化(酸化)防止剤、例えば、2、6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4、4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1、1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2、2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2、5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのフェノール系あるいはヒドロキノン系酸化防止剤を添加することができる。さらに、トリス(4−メトキシ−3、5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2、4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2、6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2、4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系酸化防止剤をすることが好ましい。酸化防止剤の添加量は、環状ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.05〜5.0質量部を添加する。
(紫外線吸収剤)
本発明においては環状ポリオレフィン溶液に、偏光板または液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物の例としては、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N’−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物の例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5
′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2、2−メチレンビス(4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、(2、4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3、5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1、3、5−トリアジン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N’−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。これらの紫外線防止剤の添加量は、環状ポリオレフィンフィルム全体中に質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
(可塑剤)
環状ポリオレフィン系樹脂は、一般的に、セルロースアセテートに比較して柔軟性に乏しく、フィルムに曲げ応力やせん断応力がかかると、フィルムに割れ等が生じ易い。また、光学フィルムとして加工する際に、切断部にひびが入りやすく、切り屑が発生しやすい。発生した切り屑は、光学フィルムを汚染し、光学的欠陥の原因となっていた。これらの問題点を改良するため、可塑剤を添加することができる。具体的には、フタル酸エステル系、トリメリット酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、正リン酸エステル系、酢酸エステル系、ポリエステル・エポキシ化エステル系、リシノール酸エステル系、ポリオレフィン系、ポリエチレングリコール系化合物を挙げることができる。
使用できる可塑剤としては、常温、常圧、液状で、かつ沸点が200℃以上の化合物から選択することが好ましい。具体的な化合物名としては、以下を例示することができる。
脂肪族二塩基酸エステル系としては、例えばジオクチルアジペート(230℃/760mmHg)、ジブチルアジペート(145℃/4mmHg)、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(335℃/760mmHg)、ジブチルジグリコールアジペート(230〜240℃/2mmHg)、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート(220〜245℃/4mmHg)、ジ−2−エチルヘキシルセバケート(377℃/760mmHg)等;フタル酸エステル系としては、例えばジエチルフタレート(298℃/760mmHg)、ジヘプチルフタレート(235〜245℃/10mmHg)、ジ−n−オクチルフタレート(210℃/760mmHg)、ジイソデシルフタレート(420℃/760mmHg)等;ポリオレフィン系としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィン等のパラフィンワックス類(平均分子量330〜600、融点45〜80℃)、流動パラフィン類(JIS規格K2231ISOVG8、同VG15、同VG32、同VG68、同VG100等)、パラフィンペレット類(融点56〜58℃、58〜60℃、60〜62℃等)、塩化パラフィン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリイソブテン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン、スクアラン等を挙げることが出きる。
可塑剤の添加量としては、環状ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.5から40.0質量部が好ましく、より好ましくは1.0質量部から30.0質量部、さらに好ましくは3.0から20.0質量部である。可塑剤の添加量が上記下限値以上であれば可塑効果が十分で、加工適性が問題ない。また、上記上限値以下であれば長時間経時した場合に、可塑剤が分離溶出したり、光学的ムラ、他部品への汚染等が発生したりすることがない。
[環状ポリオレフィンフィルムの製造方法]
以下、本発明の環状ポリオレフィンフィルムの製造方法について詳細に説明する。
本発明のフィルム製造方法は特に限定されないが、溶融製膜法、および溶液製膜法があり、この中でも特に溶液製膜法が好ましい。溶液製膜法のなかでも下記の2つの製造方法のいずれかにより、環状ポリオレフィンフィルムを製造することが好ましい。
1. 環状ポリオレフィン系樹脂、少なくとも1種の一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物、少なくとも1種の微粒子を溶剤に溶解または分散する工程、流延する工程、乾燥する工程、および巻き取る工程を含む環状ポリオレフィンフィルムの製造方法。
2. 環状ポリオレフィン系樹脂、並びに、少なくとも1種の一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物を溶剤に溶解する工程、流延する工程、乾燥する工程、および巻き取る工程を含むことを特徴とする環状ポリオレフィンフィルムの製造方法であって、流延後のフィルムの少なくとも片方の面上にすくなくとも1種の微粒子を含む塗工液を塗工する工程を含む環状ポリオレフィンフィルムの製造方法。
また、前記流延する工程後、延伸するのが好ましい。
尚、前記1と前記2の2つの製造方法は、環状ポリオレフィンフィルムに対する微粒子の組み込み方が異なる。前記1の方法では、環状ポリオレフィン系樹脂を主成分とする層に対し、微粒子を同一層に分散するのに対し、前記2の方法では、環状ポリオレフィン系樹脂を主成分とする層に対し微粒子を含む塗工液を塗工する点で異なる。以下、(溶解する工程、ドープ調製)〜(乾燥後、巻き取る工程)まで、各工程毎に詳述するが、前記1の製造方法は、(溶解する工程、ドープ調製)において、溶解あるいは分散、添加を行なう以外は、前記2の製造方法と同じである。
(溶解する工程、ドープ調製)
まず、各材料成分を後述の溶剤に溶解させて環状ポリオレフィン溶液(ドープ)を調製する。ドープの調製については、室温攪拌溶解による方法、室温で攪拌して環状ポリオレフィン系樹脂などを膨潤させた後−20から−100℃まで冷却し再度20から100℃に加熱して溶解する冷却溶解法、密閉容器中で主溶剤の沸点以上の温度にして溶解する高温溶解方法、さらには溶剤の臨界点まで高温高圧にして溶解する方法などがある。溶解性のよい環状ポリオレフィン系樹脂などは室温溶解が好ましいが、溶解性の悪い環状ポリオレフィン系樹脂などは密閉容器中で加熱溶解する。溶解性があまり悪くないものはできるだけ低い温度を選ぶほうが、効率的である。
本発明において環状ポリオレフィン溶液の粘度は25℃で1〜500Pa・sの範囲であることが好ましい。さらに好ましくは5〜200Pa・sの範囲である。粘度の測定は次のようにして行った。試料溶液1mLをレオメーター(CLS 500)に直径 4cm/2°のSteel Cone(共にTA Instrumennts社製)を用いて測定した。
試料溶液は予め測定開始温度にて液温一定となるまで保温した後に測定を開始した。
ドープを調製する際に用いる溶剤について記述する。本発明においては、環状ポリオレフィン系樹脂等が溶解し流延、製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りは、使用できる溶剤は特に限定されない。本発明で用いられる溶剤は、例えばジクロロメタン、クロロホルムの如き塩素系溶剤、炭素原子数が3〜12の鎖状炭化水素、環状炭化水素、芳香族炭化水素、エステル、ケトン、エーテルから選ばれる溶剤が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。炭素原子数が3〜12の鎖状炭化水素類の例としては、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカンなどが挙げられる。炭素原子数が3〜12の環状炭化水素類としてはシクロペンタン、シクロヘキサン及びその誘導体が挙げられる。炭素原子数が3〜12の芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1、4−ジオキサン、1、3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。2種類以上の官能基を有する有機溶剤の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。有機溶剤の好ましい沸点は35℃以上且つ150℃以下である。本発明に使用される溶剤は、乾燥性、粘度等の溶液物性調節のために2種以上の溶剤を混合して用いることができ、更に、混合溶媒で環状ポリオレフィン系樹脂などが溶解する限りは、貧溶媒を添加することも可能である。
好ましい貧溶媒は使用するポリマー種により適宜選択することができる。良溶媒として塩素系有機溶剤を使用する場合は、アルコール類を好適に使用することができる。アルコール類としては、好ましくは直鎖であっても分枝を有していても環状であってもよく、その中でも飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。アルコールの例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノールおよびシクロヘキサノールが含まれる。なおアルコールとしては、フッ素系アルコールも用いられる。例えば、2−フルオロエタノール、2、2、2−トリフルオロエタノール、2、2、3、3−テトラフルオロ−1−プロパノールなども挙げられる。貧溶媒のなかでも特に1価のアルコール類は、剥離抵抗低減効果があり、好ましく使用することができる。選択する良溶剤によって特に好ましいアルコール類は変化するが、乾燥負荷を考慮すると、沸点が120℃以下のアルコールが好ましく、炭素数が1〜6の1価アルコールが更に好ましく、炭素数1〜4のアルコール類が特に好ましく使用することができる。環状ポリオレフィン系樹脂などを溶解してなる溶液を作成する上で特に好ましい混合溶剤は、ジクロロメタンを主溶剤とし、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールあるいはブタノールから選ばれる1種以上のアルコール類を貧溶媒にする組み合わせである。
環状ポリオレフィン溶液は、使用する溶剤を適宜選択することにより、高濃度のドープが得られるのが特徴であり、濃縮という手段に頼らずとも高濃度でしかも安定性の優れた環状ポリオレフィン溶液が得られる。更に溶解し易くするために低い濃度で溶解してから、濃縮手段を用いて濃縮してもよい。濃縮の方法としては、特に限定するものはないが、例えば、低濃度溶液を筒体とその内部の周方向に回転する回転羽根外周の回転軌跡との間に導くとともに、溶液との間に温度差を与えて溶剤を蒸発させながら高濃度溶液を得る方法(例えば、特開平4−259511号公報等)、加熱した低濃度溶液をノズルから容器内に吹き込み、溶液をノズルから容器内壁に当たるまでの間で溶剤をフラッシュ蒸発させるとともに、溶剤蒸気を容器から抜き出し、高濃度溶液を容器底から抜き出す方法(例えば、米国特許第2、541、012号、米国特許第2、858、229号、米国特許第4、414、341号、米国特許第4、504、355号各明細書等などに記載の方法)等で実施できる。
溶液は流延に先だって金網やネルなどの適当な濾材を用いて、未溶解物やゴミ、不純物などの異物を濾過除去しておくのが好ましい。環状ポリオレフィン溶液の濾過には絶対濾過精度が0.1μm〜100μmのフィルターが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.5μm〜25μmであるフィルターを用いることが好ましく用いられる。フィルターの厚さは、0.1μm〜10mmが好ましく、更には0.2mm〜2mmが好ましい。その場合、濾過圧力は1.6MPa以下、より好ましくは1.3MPa以下、更には1.0MPa以下、特に好ましくは0.6MPa以下で濾過することが好ましい。濾材としては、ガラス繊維、セルロース繊維、濾紙、四フッ化エチレン樹脂などのフッ素樹脂等の従来公知である材料を好ましく用いることができ、またセラミックス、金属等も好ましく用いられる。
環状ポリオレフィン溶液の製膜直前の粘度は、製膜の際に流延可能な範囲であればよく、通常5Pa・s〜1000Pa・sの範囲に調製されることが好ましく、15Pa・s〜500Pa・sがより好ましく、30Pa・s〜200Pa・sが更に好ましい。なお、この時の温度はその流延時の温度であれば特に限定されないが、好ましくは−5〜70℃であり、より好ましくは−5〜35℃である。
本発明の環状ポリオレフィンフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供するのと同様の溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(環状ポリオレフィン溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、テンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。以下に各製造工程について簡単に述べるが、これらに限定されるものではない。
調製した環状ポリオレフィン溶液(ドープ)は、ドープは無端金属支持体上、例えば金属ドラムまたは金属支持体(バンドあるいはベルト)上に流延し、溶剤を蒸発させてフィルムを形成することが好ましい。流延前のドープは、環状ポリオレフィン量が10〜35質量%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ドープは、表面温度が30℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましく用いられ、特には−50〜20℃の金属支持体温度であることが好ましい。
さらに特開2000−301555号、特開2000−301558号、特開平7−032391号、特開平3−193316号、特開平5−086212号、特開昭62−037113号、特開平2−276607号、特開昭55−014201号、特開平2−111511号、および特開平2−208650号の各公報に記載のセルロースアシレート製膜技術を本発明では応用できる。
(流延、重層流延)
環状ポリオレフィン溶液を、金属支持体としての平滑なバンド上或いはドラム上に単層液として流延してもよいし、2層以上の複数の環状ポリオレフィン液を流延してもよい。
複数の環状ポリオレフィン溶液を流延する場合、金属支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口から環状ポリオレフィンを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および特開平11−198285号の各公報などに記載の方法が適応できる。
また、2つの流延口から環状ポリオレフィン溶液を流延することによってもフィルム化することでもよく、例えば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、
および特開平6−134933号の各公報に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度環状ポリオレフィン溶液の流れを低粘度の環状ポリオレフィン溶液で包み込み、その高、低粘度の環状ポリオレフィン溶液を同時に押出す環状ポリオレフィンフィルム流延方法でもよい。更にまた、特開昭61−94724号および特開昭61−94725号の各公報に記載の外側の溶液が内側の溶液よりも貧溶媒であるアルコール成分を多く含有させることも好ましい態様である。或いはまた2個の流延口を用いて、第一の流延口により金属支持体に成型したフィルムを剥離し、金属支持体面に接していた側に第二の流延を行うことにより、フィルムを作製することでもよく、例えば特公昭44−20235号公報に記載されている方法である。流延する環状ポリオレフィン溶液は同一の溶液でもよいし、異なる環状ポリオレフィン溶液でもよく特に限定されない。複数の環状ポリオレフィン層に機能を持たせるために、その機能に応じた環状ポリオレフィン溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。さらに環状ポリオレフィン溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、マット剤層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。
単層液では必要なフィルム厚さにするためには高濃度で高粘度の環状ポリオレフィン溶液を押出すことが必要であり、その場合環状ポリオレフィン溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となりやすい。この解決として、複数の環状ポリオレフィン溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に金属支持体上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚な環状ポリオレフィン溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
共流延の場合、内側と外側の厚さは特に限定されないが、好ましくは外側が全膜厚の1〜50%であることが好ましく、より好ましくは2〜30%の厚さである。ここで、3層以上の共流延の場合は金属支持体に接した層と空気側に接した層のトータル膜厚を外側の厚さと定義する。共流延の場合、前述の添加物濃度が異なる環状ポリオレフィン溶液を共流延して、積層構造の環状ポリオレフィンフィルムを作製することもできる。例えば、スキン層/コア層/スキン層といった構成の環状ポリオレフィンフィルムを作ることができる。劣化防止剤、紫外線吸収剤はスキン層よりもコア層に多くいれることができ、コア層のみにいれてもよい。また、コア層とスキン層で劣化防止剤、紫外線吸収剤の種類を変更することもでき、例えばスキン層に低揮発性の劣化防止剤及び/または紫外線吸収剤を含ませ、コア層に可塑性に優れた可塑剤、或いは紫外線吸収性に優れた紫外線吸収剤を添加することもできる。また、剥離促進剤を金属支持体側のスキン層のみ含有させることも好ましい態様である。また、冷却ドラム法で金属支持体を冷却して溶液をゲル化させるために、スキン層に貧溶媒であるアルコールをコア層より多く添加することも好ましい。スキン層とコア層のTgが異なっていても良く、スキン層のTgよりコア層のTgが低いことが好ましい。また、流延時の環状ポリオレフィンを含む溶液の粘度もスキン層とコア層で異なっていても良く、スキン層の粘度がコア層の粘度よりも小さいことが好ましいが、コア層の粘度がスキン層の粘度より小さくてもよい。
(流延)
溶液の流延方法としては、調製されたドープを加圧ダイから金属支持体上に均一に押し出す方法、一旦金属支持体上に流延されたドープをブレードで膜厚を調節するドクターブレードによる方法、或いは逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、加圧ダイによる方法が好ましい。加圧ダイにはコートハンガータイプやTダイタイプ等があるがいずれも好ましく用いることができる。また、ここで挙げた方法以外にも従来知られているセルローストリアセテート溶液を流延製膜する種々の方法で実施でき、用いる溶剤の沸点等の違いを考慮して各条件を設定することによりそれぞれの公報に記載の内容と同様の効果が得られる。本発明の環状ポリオレフィンフィルムを製造するのに使用されるエンドレスに走行する金属支持体としては、表面がクロムメッキによって
鏡面仕上げされたドラムや表面研磨によって鏡面仕上げされたステンレスベルト(バンドといってもよい)が用いられる。本発明の環状ポリオレフィンフィルムの製造に用いられる加圧ダイは、金属支持体の上方に1基或いは2基以上の設置でもよい。好ましくは1基または2基である。2基以上設置する場合には流延するドープ量をそれぞれのダイに種々な割合にわけてもよく、複数の精密定量ギヤアポンプからそれぞれの割合でダイにドープを送液してもよい。流延に用いられる環状ポリオレフィン溶液の温度は、−10〜55℃が好ましくより好ましくは25〜50℃である。その場合、工程のすべてが同一でもよく、あるいは工程の各所で異なっていてもよい。異なる場合は、流延直前で所望の温度であればよい。
(乾燥)
環状ポリオレフィンフィルムの製造に係わる金属支持体上におけるドープの乾燥は、一般的には金属支持体(例えばドラム或いはバンド)の表面側、つまり金属支持体上にあるウェブの表面から熱風を当てる方法、ドラム或いはバンドの裏面から熱風を当てる方法、温度コントロールした液体をバンドやドラムのドープ流延面の反対側である裏面から接触させて、伝熱によりドラム或いはバンドを加熱し表面温度をコントロールする液体伝熱方法などがあるが、裏面液体伝熱方式が好ましい。流延される前の金属支持体の表面温度はドープに用いられている溶剤の沸点以下であれば何度でもよい。しかし乾燥を促進するためには、また金属支持体上での流動性を失わせるためには、使用される溶剤の内の最も沸点の低い溶剤の沸点より1〜10度低い温度に設定することが好ましい。尚、流延ドープを冷却して乾燥することなく剥ぎ取る場合はこの限りではない。
(剥離)
生乾きのフィルムを金属支持体から剥離するとき、剥離抵抗(剥離荷重)が大きいと、製膜方向にフィルムが不規則に伸ばされて光学的な異方性むらを生じる。特に剥離荷重が大きいときは、製膜方向に段状に伸ばされたところと伸ばされていないところが交互に生じて、レターデーションに分布を生じる。液晶表示装置に装填すると線状あるいは帯状にむらが見えるようになる。このような問題を発生させないためには、フィルムの剥離荷重をフイルム剥離幅1cmあたり0.25N以下にすることが好ましい。剥離荷重はより好ましくは0.2N/cm以下、さらに好ましくは0.15N以下、特に好ましくは0.10N以下である。剥離荷重0.2N/cm以下のときはむらが現れやすい液晶表示装置においても剥離起因のむらは全く認められず、特に好ましい。剥離荷重を小さくする方法としては、前述のように剥離剤を添加する方法と、使用する溶剤組成の選択による方法がある。
剥離荷重の測定は次のようにして行う。製膜装置の金属支持体と同じ材質・表面粗さの金属板上にドープを滴下し、ドクターブレードを用いて均等な厚さに展延し乾燥する。カッターナイフでフィルムに均等幅の切れ込みを入れ、フィルムの先端を手で剥がしてストレンゲージにつながったクリップで挟み、ストレンゲージを斜め45度方向に引き上げながら、荷重変化を測定する。剥離されたフィルム中の揮発分も測定する。乾燥時間を変えて何回か同じ測定を行い、実際の製膜工程における剥離時残留揮発分と同じ時の剥離荷重を定める。剥離速度が速くなると剥離荷重は大きくなる傾向があり、実際に近い剥離速度で測定することが好ましい。
剥離時の好ましい残留揮発分濃度は5質量%〜60質量%である。10質量%〜50質量%が更に好ましく、20質量%〜40質量%が特に好ましい。高揮発分で剥離すると乾燥速度が稼げて、生産性が向上して好ましい。一方、高揮発分ではフィルムの強度や弾性が小さく、剥離力に負けて切断したり、伸びてしまう。また剥離後の自己保持力が乏しく、変形、しわ、クニックを生じやすくなる。またレターデーションに分布を生じる原因になる。
(延伸処理)
本発明の環状ポリオレフィンフィルムを延伸処理する場合は、剥離のすぐ後の未だフィルム中に溶剤が十分に残留している状態で行うのが好ましい。延伸の目的は、(1)しわや変形のない平面性に優れたフィルムを得るため及び、(2)フィルムの面内レターデーションを大きくするために行う。(1)の目的で延伸を行うときは、比較的高い温度で延伸を行い、延伸倍率も1%からせいぜい10%までの低倍率の延伸を行う。2%から5%の延伸が特に好ましい。(1)と(2)の両方の目的、あるいは(2)だけの目的で延伸する場合は、比較的低い温度で、延伸倍率も5%から150%で延伸する。
フィルムの延伸は、縦あるいは横だけの一軸延伸でもよく同時あるいは逐次2軸延伸でもよい。VA液晶セルやOCB液晶セル用光学補償フィルムの複屈折は、幅手方向の屈折率が長さ方向の屈折率よりも大きくなることが好ましい。従って幅手方向により多く延伸することが好ましい。
(後乾燥、巻き取る工程)
環状ポリオレフィンフィルムは延伸後更に乾燥し、残留揮発分を2%以下にして巻き取る。
フィルム厚さの調製は、所望の厚さになるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等を調節すればよい。以上のようにして得られた環状ポリオレフィンフィルムの幅は0.5m〜3mが好ましく、より好ましくは0.6m〜2.5m、さらに好ましくは0.8m〜2.2mである。フィルムの幅が0.5m以上であれば生産性が低減することなく、3m以下であればウェッブハンドリング性が悪くなったり、フィルムの光学均一性が低減したりすることなく、さらにはフィルムにヨレ、スジ等の好ましくない現象が発生せず好ましい。長さは1ロールあたり100m〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500m〜7000mであり、さらに好ましくは1000m〜6000mである。フィルム長が100m以上であれば、ロール交換の頻度が多くなることによる生産性の低減がなく、10000m以下であればウェッブハンドリング性が悪くなったり、フィルムの光学均一性が低減することなく、さらにはフィルムにヨレ、スジ等の好ましくない現象が発生せず好ましい。巻き取る際、少なくとも片端にナーリングを付与するのが好ましく、幅は3mm〜50mm、より好ましくは5m〜30mm、高さは0.5〜500μmであり、より好ましくは1〜200μmである。これは片押しであっても両押しであっても良い。全幅のRe値のばらつきが±5nmであることが好ましく、±3nmであることが更に好ましい。また、Rth値のバラツキは±10nmが好ましく、±5nmであることが更に好ましい。また、長さ方向のRe値、及びRth値のバラツキも幅方向のバラツキの範囲内であることが好ましい。透明感を保つためヘイズは0.01〜2%が好ましい。
(熱溶融製膜)
次に熱溶融製膜方法について記述する。本方法においては通常、溶融した環状オレフィン系樹脂を押出機のダイからシート状に押し出し、冷却ロール上で冷却して環状オレフィン系樹脂の基体フィルムを形成する工程を有する。以下に熱溶融製膜方法の好ましい態様について述べるが、これに限定されるものではない。
この製造方法において、環状オレフィン系樹脂を溶融させる場合、環状オレフィン系樹脂ペレットを予熱しておくことができる。予熱温度は、好ましくはTg−90℃〜Tg+15℃、より好ましくはTg−75℃〜Tg−5℃、さらに好ましくはTg−70℃〜Tg−5℃である。Tg−90℃〜Tg+15℃の範囲で予熱しておけば、この後の樹脂の溶融混練を均一に行うことができる。
前記製造方法は、前記予熱の後、少なくとも1種の一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物と共に押出機を用いて好ましくは200〜300℃の温度まで昇温し、環状オレフィン系樹脂を溶融させる。この際、押出機の出口側の温度を入口側の温
度より5〜100℃、好ましくは20〜90℃、さらに好ましくは30〜80℃高くしておくことが好ましい。押出機の出口側の温度を入口側の温度より高くしておくことにより、溶融した樹脂を均一に混練することができる。
前記製造方法は、次いで溶融した環状オレフィン系樹脂をギヤポンプに通し、押出機の脈動を除去した後、金属メッシュフィルター等で濾過し、押出機に取り付けられたT型のダイから冷却ロール上にシート状に押し出し、前記冷却ロール上で押出された環状オレフィン系樹脂フィルムのフィルム幅方向好ましくは1〜50%、より好ましくは2〜40%、さらに好ましくは3〜30%を押圧する。好ましくは、フィルム幅方向の両端側から均等に押圧を行ってフィルム幅方向1〜50%を押圧する。
従来の方法のように押し出されたフィルムを冷却ロールの全面で押圧すると、押し付けムラや冷却ロールの温度ムラに起因する局部的な冷却ムラが発生することがあり、これらの不均一な収縮応力はフィルムが全面で押圧されているためフィルム外に逃がすことはできない。また、押し出されたフィルムの全面を冷却ロールに押し付けた場合には、フィルムの温度が急激に低下し、ReムラおよびRthムラ、特にRthムラが発生することがある。その解決方法としては、前記の方法及び押圧であれば、環状オレフィン系樹脂のフィルムの不均一な収縮応力を回避することができ、ReムラおよびRthムラの発生を良好に抑えることができる。
前記の製造方法における押圧方法は特に制限されず、例えば、エアーチャンバー、バキュームノズル、静電ピニング、タッチロール等の方法を用いることができる。その際の圧力については特に制限はないが、0.001〜20kg/cm2(98Pa〜1.96MPa)が好ましく、0.01〜1kg/cm2(980Pa〜98kPa)がさらに好ましい。
前記製造方法において、前記押圧は冷却ロール上で冷却しながら行うことができる。この際、冷却はできるだけゆっくり行うことが好ましい。一般に行われている製膜法では50℃/秒以上の冷却速度で冷却されるが、前記製造方法では、冷却速度は0.2〜20℃/秒であることが適当であり、0.5〜15℃/秒であることが好ましく、1〜10℃/秒であることがさらに好ましい。この冷却速度で冷却することにより、局所的な冷却ムラの発生を防ぎ、急激な収縮による収縮応力の発現を防止し、ReムラおよびRthムラの発現を抑制することができる。
上記の冷却(徐冷)は、冷却ロールのケージング内における保温と、冷却ロールの温度調整により達成されることが好ましい。好ましい効果が得られるのは前者である。
冷却ロールのケージング内における保温は、冷却ロールの少なくとも1本を好ましくはTg−100℃〜Tg+30℃、より好ましくはTg−80℃〜Tg+10℃、さらに好ましくはTg−70℃〜Tgに温調されたケーシング内に配置することにより達成することができる。冷却ロール上では製膜したシートは摩擦力で拘束され自由に収縮できないため、これに起因した収縮応力によりReムラおよびRthムラが発生しやすいが、この方法を用いれば、幅方向における均一な徐冷が可能となり、冷却ロール上での温度ムラを小さくすることができ、その結果、ReムラおよびRthムラを小さくすることができる。
尚、特開2003−131006号公報に、T型ダイから冷却ドラム間(エアギャップ)を温調する方法が開示されている。この方法を応用することもできる。
さらに、ReムラおよびRthムラを小さくするために、例えば好ましい方法として以下の方法を併用することができるが、この方法に限定されるものではない。
(1)押出機に取り付けられたダイからシート状に押し出された環状オレフィン系樹脂を、一定の間隔で配置された少なくとも2〜10本、好ましくは2〜6本、さらに好ましくは3〜4本の冷却ロール(密間ロール)上にキャストする。このように複数の冷却ロールを用いて冷却温度を制御することにより、容易に冷却速度を調整することができる。また、冷却ロールを一定間隔に配置することにより冷却ロール間における温度変化を小さくすることができる。
冷却ロールどうしの間隔(隣接するロール外周の最も近接した箇所の間隔)は0.1〜15cmであることが好ましく、0.3〜10cmであることがより好ましく、0.5〜5cmであることがさらに好ましい。
(2)前記2〜10本の冷却ロールのうち、少なくとも第1の冷却ロールの温度を好ましくは環状オレフィン系樹脂のTg−40℃〜Tg(より好ましくはTg−35℃〜Tg−3℃、さらに好ましくはTg−30℃〜Tg−3℃、最も好ましくはTg−30℃〜Tg−5℃)にする。さらに第2の冷却ロールの温度を好ましくは第1の冷却ロールより1〜30℃高く(より好ましくは1〜20℃高く、さらに好ましくは1〜10℃高く)することが好ましい。第1の冷却ロールよりも第2の冷却ロールの温度を高めることにより環状オレフィン系樹脂のフィルムの粘性をより高め、第2の冷却ロールとの密着性を高めることができる。これにより冷却ロール上のスリップを抑制し、搬送張力ムラを抑制することができるため、ReおよびRthムラを小さくすることができる。
(3)第2の冷却ロールの搬送速度を好ましくは第1の冷却ロールの搬送速度より0.1〜5%(より好ましくは0.2〜4%、さらに好ましくは0.3〜3%)速くする。これにより第1の冷却ロールおよび第2冷却ロール間のスリップを抑え、搬送張力ムラを低減することができるため、ReおよびRthムラを小さくすることができる。
(4)第2の冷却ロール通過後、好ましくは第2の冷却ロールより1〜30℃(より好ましくは1.5〜20℃、さらに好ましくは2〜10℃)低い温度の第3の冷却ロールを通過させる。これによりこの後、冷却ロールから環状オレフィン系樹脂のフィルムを剥ぎ取る工程における冷却速度を小さくできるため、ReおよびRthムラを小さくすることができる。さらに、第3の冷却ロールの搬送速度を好ましくは第2の冷却ロールの搬送速度より0.1〜5%(より好ましくは0.2〜4%、さらに好ましくは0.3〜3%)遅くすることが好ましい。これにより第2の冷却ロールと第3の冷却ロール間の搬送張力ムラを緩衝できるため、ReおよびRthムラを小さくできる。
前記製造方法は、上述の方法により環状オレフィン系樹脂のフィルムを好ましくは冷却速度0.2〜20℃/秒で冷却した後、さらに冷却ロールから環状オレフィン系樹脂のフィルムを剥離する工程を有することができる。
剥離された環状オレフィン系樹脂のフィルムは、好ましくは0.2〜10mの間隔、より好ましくは0.3〜8mの間隔、さらに好ましくは0.4〜6mの間隔で配置された複数の搬送ロールを用いて搬送することができる。このような長いスパン間を冷却しながら搬送することで、搬送ロールとの摩擦に起因する搬送張力ムラを抑制できる。冷却時に収縮量の左右不均一に伴う搬送張力のアンバランスが発生するが、これを緩和させるために、フィルムが自由に動いて緩衝できるだけの広いロール間隔が必要である。搬送ロールの間隔が0.2〜10mであれば、環状オレフィン系樹脂のフィルムと搬送ロールとの摩擦が生じることなく、環状オレフィン系樹脂のフィルムが自由に動け、張力ムラによる光軸のズレを小さくすることができる。
冷却ロールから剥離した環状オレフィン系樹脂のフィルムは、好ましくは0.1〜3℃/秒、より好ましくは0.2〜2.5℃/秒、さらに好ましくは0.3〜2℃/秒で50
℃まで冷却することが好ましい。0.1〜3℃/秒の範囲内で冷却すれば、急激な収縮応力による左右の張力不均一による光軸ズレの発生を防ぐことができる。このような冷却速度の制御は、ケーシング内に環状オレフィン系樹脂のフィルムを通過させ、ケージング中に吹き込む温度を上流側より下流側の温度を下げることによっても達成でき、さらに上流側および下流側の搬送ロールの温度を調整することによっても達成できる。
前記製造方法では、製膜速度を40〜150m/分とすることが適当であり、50〜100m/分とすることが好ましく、60〜80m/分とすることがさらに好ましい。製膜速度40〜150m/分で製膜することにより、第1の冷却ロールと環状オレフィン系樹脂のフィルムとの間に空気を巻き込み、全面に亘る押圧を抑制することができ、その結果、ReおよびRthムラを抑制できる。
製膜幅は好ましくは0.5〜3m、より好ましくは1.5〜2.8m、さらに好ましくは1.7〜2.5mで行うことができる。このような広幅にすることで、冷却ロールから環状オレフィン系樹脂のフィルムを剥離した後の搬送工程における幅方向の収縮応力ムラを抑制することができる。すなわち幅狭であると発生した張力ムラを幅方向で緩衝することは難しいが、幅広とすることで幅方向に緩衝することができ、光軸ムラを低減することができる。
膜厚を変更し、更に本発明の化合物を含有させることにより制御できる光学特性領域をさらに拡大することができる。
本発明の環状ポリオレフィンフィルムの厚みは好ましくは20〜200μm,製造適性、加工適性に優れたフィルムとするために、40〜100μmがより好ましく、40〜80μmが最も好ましい。
(環状ポリオレフィンフィルムの光学特性)
本発明の環状ポリオレフィンフィルムの好ましい光学特性は、フィルムの用途により異なる。偏光板用保護フィルム用途の場合および光学補償フィルム用途の場合について、後述する各項目において記載する。
本発明の環状ポリオレフィンフィルムは使用する環状ポリオレフィン系樹脂などの構造、添加剤の種類及び添加量、延伸倍率、剥離時の残留揮発分などの工程条件を適宜調節することで所望の光学特性を実現することができる。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(A)及び式(B)よりRthを算出することもできる。
Figure 2009108286
注記:
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
式(A)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dはフィルムの膜厚を表す。
Figure 2009108286
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
なおこの際、パラメータとして平均屈折率nが必要になるが、これはアッベ屈折計((株)アタゴ社製の「アッベ屈折計2−T」)により測定した値を用いた。本明細書においては特に断りのない限り測定波長は590nmである。
次いで、上述の本発明の環状ポリオレフィンフィルムを有する偏光板用保護フィルム及び光学補償フィルム、並びに該偏光板用保護フィルムを有することを特徴とする偏光板について説明する。
(位相差フィルム−光学補償フィルム)
環状ポリオレフィンフィルムを位相差フィルムとして使用する場合は、位相差フィルムの種類によってReやRthの範囲は異なり、多様なニーズがある。光学補償フィルムとして用いることが好ましい。本発明の光学補償フィルムは本発明の環状ポリオレフィンフィルムそのものでもまた後述の他の構成層を有してもよい。また、分子内に適度な割合で分極率の大きな置換基を含有していることが望ましい。
光学特性は0≦Re≦300、0nm≦Rth≦400nmであることが好ましく、光学補償フィルムとして用いる場合の本発明の環状ポリオレフィンフィルムの光学特性は0nm≦Re≦100nm、40nm≦Rth≦400nmであることがより好ましい。VAモードなら20nm≦Re≦80nm、80nm≦Rth≦400nmがより好ましく、特にVAモードで好ましい範囲は、30nm≦Re≦75nm、120nm≦Rth≦250nmであり、一枚の光学補償フィルムで補償する場合は、50nm≦Re≦75nm、180nm≦Rth≦250nm、2枚の光学補償フィルムで補償する場合は、30nm≦Re≦50nm、80nm≦Rth≦140nmであることがVAモードの光学補償フィルムとして用いる場合、黒表示時のカラーシフト、コントラストの視野角依存性の点でより好ましい態様である。
(偏光板用保護フィルム)
本発明の環状ポリオレフィンフィルムを偏光板用保護フィルムとして用いる場合は、面内レターデーション(Re)は5nm以下が好ましく、3nm以下が更に好ましい。厚さ方向レターデーション(Rth)も50nm以下が好ましく、35nm以下が更に好ましく、10nm以下が特に好ましい。
本発明の偏光板用保護フィルムは本発明の環状ポリオレフィンフィルムそのものでもまた後述の他の構成層を有してもよい。
(偏光板)
偏光板は、通常、偏光子およびその両側に配置された二枚の透明保護膜を有する。そして、本発明の偏光板は、両方または一方の保護膜として、本発明の偏光板用保護フィルムを用いる。一方のみに本発明の偏光板用保護フィルムを用いた場合には、他方の保護膜は、通常のセルロースアセテートフィルム等を用いてもよい。偏光子には、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子がある。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール(PVA)系フィルムを用いて製造する。PVAは、ポリ酢酸ビニルをケン化したポリマー素材であるが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。
PVAのシンジオタクティシティーは特許第2978219号に記載されているように耐久性を改良するため55%以上が好ましいが、特許第3317494号に記載されている45〜52.5%も好ましく用いることができる。
本発明の環状ポリオレフィンフィルムを偏光板用保護フィルムおよび、位相差フィルムとして使用する場合、フィルムに後述の如き表面処理を行い、しかる後にフィルム処理面と偏光子を、接着剤を用いて貼り合わせるのが好ましい。偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護膜で構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
本発明の偏光板用保護フィルムの偏光子への貼り合せ方は、偏光子の透過軸と本発明の偏光板用保護フィルムの遅相軸を一致させるように貼り合せることが好ましい。なお、偏光板クロスニコル下で作製した偏光板の評価を行ったところ、本発明の偏光板用保護フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸(透過軸と直交する軸)との直交精度が1°より大きいと、偏光板クロスニコル下での偏光度性能が低減して光抜けが生じることがわかった。この場合、液晶セルと組み合わせた場合に、十分な黒レベルやコントラストが得られないことになる。したがって、本発明の偏光板用保護フィルムの主屈折率nxの方向と偏光板の透過軸の方向とは、そのずれが1°以内、好ましくは0.5°以内であることが好ましい。
偏光板の単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CTの測定にはUV3100PC(島津製作所社製)を用いることができる。測定では、380nm〜780nmの範囲で測定し、単板、平行、直交透過率ともに、10回測定の平均値を用いることができる。
偏光板耐久性試験は(1)偏光板のみと(2)偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けた、2種類の形態で次のように行うことができる。偏光板のみの測定は、2つの偏光子の間に偏光板用保護フィルムが挟まれるように組み合わせて直交、同じものを2つ用意し測定する。ガラス貼り付け状態のものはガラスの上に偏光板を偏光板用保護フィルムがガラス側にくるように貼り付けたサンプル(約5cm×5cm)を2つ作成する。単板透過率測定ではこのサンプルのフィルムの側を光源に向けてセットして測定する。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を単板の透過率とする。偏光性能の好ましい範囲としては単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CTの順でそれぞれ、40.5≦TT≦45、32≦PT≦39.5、CT≦1.5であり、より好ましい範囲としては41.0≦TT≦44.5、34≦PT≦39.0、CT≦1.3である。また偏光板耐久性試験ではその変化量はより小さいほうが好ましい。
(環状ポリオレフィンフィルムの表面処理)
本発明の偏光板用保護フィルムは、偏光子との接着性を改良するため、環状ポリオレフィンフィルムの表面を表面処理することが好ましい。表面処理については、接着性を改善できる限りいかなる方法を利用してもよいが、好ましい表面処理としては、例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理及び火炎処理が挙げられる。ここでいうグロー放電処理とは、低圧ガス下でおこる、いわゆる低温プラズマのことである。本発明では大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。その他、グロー放電処理の詳細については、米国特許第3462335号、米国特許第3761299号、米国特許第4072769号及び英国特許第891469号明細書に記載されている。放電雰囲気ガス組成を放電開始後にポリエステル支持体自身が放電処理を受けることにより容器内に発生する気体種のみにした特表昭59−556430号公報に記載された方法も用いられる。また真空グロー放電処理する際に、フィルムの表面温度を80℃以上180℃以下にして放電処理を行う特公昭60−16614号公報に記載された方法も適用できる。
グロー放電処理時の真空度は0.5Pa〜3000Paが好ましく、より好ましくは2
Pa〜300Paである。また、電圧は500V〜5000Vの間が好ましく、より好ましくは500V〜3000Vである。使用する放電周波数は、直流から数千MHz、より好ましくは50Hz〜20MHz、さらに好ましくは1kHz〜1MHzである。放電処理強度は、0.01kV・A・分/m〜5kV・A・分/mが好ましく、より好ましくは0.15kV・A・分/m〜1kV・A・分/mである。
本発明では、表面処理として紫外線照射法を行うことも好ましい。例えば、特公昭43−2603号、特公昭43−2604号、特公昭45−3828号の各公報に記載の処理方法によって行うことができる。水銀灯は石英管からなる高圧水銀灯で、紫外線の波長が180〜380nmの間であるものが好ましい。紫外線照射の方法については、光源は保護フィルムの表面温度が150℃前後にまで上昇することが支持体の性能上問題なければ、主波長が365nmの高圧水銀灯ランプを使用することができる。低温処理が必要とされる場合には主波長が254nmの低圧水銀灯が好ましい。またオゾンレスタイプの高圧水銀ランプ、及び低圧水銀ランプを使用する事も可能である。処理光量に関しては処理光量が多いほど熱可塑性飽和脂環式構造含有重合体樹脂フィルムと偏光子との接着力は向上するが、光量の増加に伴い該フイルムが着色し、また脆くなるという問題が発生する。従って、365nmを主波長とする高圧水銀ランプで、照射光量20mJ/cm〜10000mJ/cmがよく、より好ましくは50mJ/cm〜2000mJ/cmである。254nmを主波長とする低圧水銀ランプの場合には、照射光量100mJ/cm〜10000mJ/cmがよく、より好ましくは300mJ/cm〜1500mJ/cmである。
さらに、本発明では表面処理としてコロナ放電処理を行うことも好ましい。例えば、特公昭39−12838号、特開昭47−19824号、特開昭48−28067号、特開昭52−42114号の各公報に記載等の処理方法によって行うことができる。コロナ放電処理装置は、Pillar社製ソリッドステートコロナ処理機、LEPEL型表面処理機、VETAPHON型処理機等を用いることができる。処理は空気中での常圧にて行うことができる。処理時の放電周波数は、5kV〜40kV、より好ましくは10kV〜30kVであり、波形は交流正弦波が好ましい。電極と誘電体ロールのギャップ透明ランスは0.1mm〜10mm、より好ましくは1.0mm〜2.0mmである。放電は、放電帯域に設けられた誘電サポートローラーの上方で処理し、処理量は、0.34kV・A・分/m〜0.4kV・A・分/m、より好ましくは0.344kV・A・分/m〜0.38kV・A・分/mである。
本発明では、表面処理として火炎処理を行うことも好ましい。用いるガスは天然ガス、液化プロパンガス、都市ガスのいずれでもかまわないが、空気との混合比が重要である。なぜなら、火炎処理による表面処理の効果は活性な酸素を含むプラズマによってもたらされると考えられるからであり、火炎の重要な性質であるプラズマの活性(温度)と酸素がどれだけ多くあるかがポイントである。このポイントの支配因子はガス/酸素比であり、過不足なく反応する場合にエネルギー密度が最も高くなりプラズマの活性が高くなる。具体的には、天然ガス/空気の好ましい混合比は容積比で1/6〜1/10、好ましくは1/7〜1/9である。また、液化プロパンガス/空気の場合は1/14〜1/22、好ましくは1/16〜1/19、都市ガス/空気の場合は1/2〜1/8、好ましくは1/3〜1/7である。また、火炎処理量は1kcal/m〜50kcal/m、より好ましくは3kcal/m〜20kcal/mの範囲で行うとよい。またバーナーの内炎の先端とフィルムの距離は3cm〜7cm、より好ましくは4cm〜6cmにするとよい。バーナーのノズル形状は、フリンバーナー社(米国)のリボン式、ワイズ社(米国)の多穴式、エアロジェン(英国)のリボン式、春日電機(日本)の千鳥型多穴式、小池酸素(日本)の千鳥型多穴式が好ましい。火炎処理にフィルムを支えるバックアップロールは中空型ロールであり、冷却水を通して水冷し、常に20℃〜50℃の一定温度で処理するのがよい。
表面処理の程度については、表面処理の種類、環状ポリオレフィンの種類によって好ましい範囲も異なるが、表面処理の結果、表面処理を施された保護フィルムの表面の純水との接触角が、50°未満となるのが好ましい。前記接触角は、25°以上45°未満であるのがより好ましい。保護フィルム表面の純水との接触角が上記範囲にあると、保護フィルムと偏光膜との接着強度が良好となる。
(接着剤)
ポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光子と、偏光板用保護フィルムとしての表面処理された環状ポリオレフィンフィルムとを貼合する際には、水溶性ポリマーを含有する接着剤を用いることが好ましい。前記接着剤に好ましく使用される水溶性ポリマーとしては、N−ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、ビニルアルコール、メチルビニルエーテル、酢酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルイミダゾールなどエチレン性不飽和モノマーを構成要素として有する単独重合体もしくは共重合体、またポリオキシエチレン、ボリオキシプロピレン、ポリ−2−メチルオキサゾリン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースゼラチン、などが挙げられる。本発明では、この中でもPVA及びゼラチンが好ましい。
接着剤にPVAを用いる場合の好ましいPVA特性は、前述の偏光子に用いるPVAの好ましい特性と同様である。本発明では、さらに架橋剤を併用することが好ましい。PVAを接着剤に使用する場合に好ましく併用される架橋剤は、ホウ酸、多価アルデヒド、多官能イソシナネート化合物、多官能エポキシ化合物等が挙げられるが、本発明ではホウ酸が特に好ましい。接着剤にゼラチンを用いる場合、いわゆる石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、酵素処理ゼラチン、ゼラチン誘導体及び変性ゼラチン等を用いることができる。これらのゼラチンのうち、好ましく用いられるのは石灰処理ゼラチン、酸処理ラチンである。接着剤にゼラチンを用いる場合に、好ましく併用される架橋剤としては、活性ハロゲン化合物(2、4−ジクロル−6−ヒドロキシ−1、3、5−トリアジン及びそのナトリウム塩など)及び活性ビニル化合物(1、3−ビスビニルスルホニル−2−プロパノール、1、2−ビスビニルスルホニルアセトアミド)エタン、ビス(ビニルスルホニルメチル)エーテルあるいはビニルスルホニル基を側鎖に有するビニル系ポリマーなど)、N−カルバモイルピリジニウム塩類((1−モルホリノカルボニル−3−ピリジニオ)メタンスルホナートなど)やハロアミジニウム塩類(1−(1−クロロ−1−ピリジノメチレン)ピロリジニウム2−ナフタレンスルホナートなど)等が挙げられる。本発明では、活性ハロゲン化合物及び活性ビニル化合物が特に好ましく使用される。
上述の架橋剤を併用する場合の架橋剤の好ましい添加量は、接着剤中の水溶性ポリマー100質量部に対し、0.1質量部以上、40質量部未満であり、さらに好ましくは、0.5質量部以上、30質量部未満である。保護フィルムもしくは偏光子の少なくとも一方の表面に接着剤を塗布して、接着剤層を形成して、貼合するのが好ましく、保護フィルムの表面処理面に接着剤を塗布して、接着剤層を形成し、偏光子の表面に貼合するのが好ましい。接着剤層厚みは、乾燥後に0.01μm〜5μmが好ましく、0.05μm〜3μmが特に好ましい。
(反射防止層)
偏光板の、液晶セルと反対側に配置される透明保護膜には反射防止層などの機能性層を設けることが好ましい。特に、本発明では透明保護膜上に少なくとも光散乱層と低屈折率層がこの順で積層した反射防止層または透明保護膜上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折
率層がこの順で積層した反射防止層が好適に用いられる。すなわち、反射防止層が積層される透明支持体として、透明保護膜を用いることが好ましい。以下にそれらの好ましい例を記載する。
透明保護膜上に光散乱層と低屈折率層を設けた反射防止層の好ましい例について述べる。光散乱層にはマット粒子が分散しているのが好ましい。光散乱層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えていてもよく、1層でもよいし、複数層、例えば2層〜4層で構成されていてもよい。
反射防止層は、その表面凹凸形状として、中心線平均粗さRaが0.08〜0.40μm、10点平均粗さRzがRaの10倍以下、平均山谷距離Smが1〜100μm、凹凸最深部からの凸部高さの標準偏差が0.5μm以下、中心線を基準とした平均山谷距離Smの標準偏差が20μm以下、傾斜角0〜5度の面が10%以上となるように設計することで、十分な防眩性と目視での均一なマット感が達成され、好ましい。
また、C光源下での反射光の色味がa値−2〜2、b値−3〜3、380nm〜780nmの範囲内での反射率の最小値と最大値の比0.5〜0.99であることで、反射光の色味がニュートラルとなり、好ましい。またC光源下での透過光のb値が0〜3とすることで、表示装置に適用した際の白表示の黄色味が低減され、好ましい。
また、面光源上と反射防止層の間に120μm×40μmの格子を挿入してフィルム上で輝度分布を測定した際の輝度分布の標準偏差が20以下であると、高精細パネルに本発明のフィルムを適用したときのギラツキが低減され、好ましい。
反射防止層は、その光学特性として、鏡面反射率2.5%以下、透過率90%以上、60度光沢度70%以下とすることで、外光の反射を抑制でき、視認性が向上するため好ましい。特に鏡面反射率は1%以下がより好ましく、0.5%以下であることが最も好ましい。ヘイズ20%〜50%、内部ヘイズ/全ヘイズ値(比)が0.3〜1、光散乱層までのヘイズ値から低屈折率層を形成後のヘイズ値の低減が15%以内、くし幅0.5mmにおける透過像鮮明度20%〜50%、垂直透過光/垂直から2度傾斜方向の透過率比が1.5〜5.0とすることで、高精細LCDパネル上でのギラツキ防止、文字等のボケの低減が達成され、好ましい。
(低屈折率層)
反射防止層の低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.49が好ましく、より好ましくは1.30〜1.44の範囲にある。さらに、低屈折率層は下記数式を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
(m/4)/λ×0.7<n1d1<(m/4)/λ×1.3
式中、mは正の奇数であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500nm〜550nmの範囲の値である。
低屈折率層を形成する素材について以下に説明する。
低屈折率層には、低屈折率バインダーとして、含フッ素ポリマーを含むことが好ましい。フッ素ポリマーとしては動摩擦係数0.03〜0.20、水に対する接触角90°〜120°、純水の滑落角が70°以下の熱または電離放射線により架橋する含フッ素ポリマーが好ましい。反射防止層を画像表示装置に装着した時、市販の接着テープとの剥離力が低いほどシールやメモを貼り付けた後に剥がれ易くなり好ましく、500gf以下が好ましく、300gf以下がより好ましく、100gf以下が最も好ましい。また、微小硬度計で測定した表面硬度が高いほど、傷がつき難く、0.3GPa以上が好ましく、0.5GPa以上がより好ましい。
低屈折率層に用いられる含フッ素ポリマーとしてはパーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1、1、2、2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン)の加水分解、脱水縮合物の他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性付与のための構成単位を構成成分とする含フッ素共重合体が挙げられる。
含フッ素モノマーの具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2、2−ジメチル−1、3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
架橋反応性付与のための構成単位としてはグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位、カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)の重合によって得られる構成単位、これらの構成単位に高分子反応によって(メタ)アクリルロイル基等の架橋反応性基を導入した構成単位(例えばヒドロキシ基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で導入できる)が挙げられる。
また上記含フッ素モノマー単位、架橋反応性付与のための構成単位以外に溶剤への溶解性、皮膜の透明性等の観点から適宜フッ素原子を含有しないモノマーを共重合することもできる。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができる。上記のポリマーに対しては特開平10−25388号および特開平10−147739号各公報に記載のごとく適宜硬化剤を併用しても良い。
(光散乱層)
光散乱層は、表面散乱および/または内部散乱による光拡散性と、フィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。従って、ハードコート性を付与するためのバインダー、光拡散性を付与するためのマット粒子、および必要に応じて高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラーを含んで形成される。光散乱層の膜厚は、ハードコート性を付与する観点並びにカールの発生及び脆性の悪化の抑制の観点から、1μm〜10μmが好ましく、1.2μm〜6μmがより好ましい。
散乱層のバインダーとしては、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するポリマーであるこ
とがさらに好ましい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。バインダーポリマーを高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むものを選択することもできる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1、4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1、2、3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、上記のエチレンオキサイド変性体、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1、4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1、4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。上記モノマーは2種以上併用してもよい。
高屈折率モノマーの具体例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、エチレン性不飽和基を有するモノマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化して反射防止層を形成することができる。これらの光ラジカル開始剤等は公知のものを使用することができる。
ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポシキ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、多官能エポシキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化して反射防止層を形成することができる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロッ
クイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
光散乱層には、防眩性付与の目的で、フィラー粒子より大きく、平均粒径が1μm〜10μm、好ましくは1.5μm〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子または樹脂粒子が含有されることが好ましい。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、架橋アクリルスチレン粒子、シリカ粒子が好ましい。マット粒子の形状は、球状あるいは不定形のいずれも使用できる。
また、粒子径の異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。
さらに、上記マット粒子の粒子径分布としては単分散であることが最も好ましく、各粒子の粒子径は、それぞれ同一に近ければ近いほど良い。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合には、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒子径分布を持つマット粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布の微粒子を得ることができる。
上記マット粒子は、形成された光散乱層のマット粒子量が好ましくは10mg/m〜1000mg/m、より好ましくは100mg/m〜700mg/mとなるように光散乱層に含有される。マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
光散乱層には、層の屈折率を高めるために、上記のマット粒子に加えて、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機フィラーが含有されることが好ましい。
また逆に、マット粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率マット粒子を用いた光散乱層では層の屈折率を低目に保つためにケイ素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は前述の無機フィラーと同じである。
光散乱層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO、ZrO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITOとSiO等が挙げられる。TiOおよびZrOが高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは表面をシランカップリング処理またはチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。これらの無機フィラーの添加量は、光散乱層の全質量の10%〜90%であることが好ましく、より好ましくは20%〜80%であり、特に好ましくは30%〜75%である。なお、このようなフィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
光散乱層のバインダーおよび無機フィラーの混合物のバルクの屈折率は、1.48〜2
.00であることが好ましく、より好ましくは1.50〜2.00、さらに好ましくは1.50〜1.80である。屈折率を上記範囲とするには、バインダー及び無機フィラーの種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
光散乱層は、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を防眩層形成用の塗布組成物中に含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、反射防止層の塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いられる。面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることが目的である。
次に透明保護膜上に、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層した反射防止層について述べる。
基体上に、少なくとも中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成から成る反射防止層は、以下の関係を満足する屈折率を有する様に設計されることが好ましい。高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率。
また、透明支持体と中屈折率層の間に、ハードコート層を設けてもよい。更には、中屈折率ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層からなってもよい(例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等参照)。また、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。
反射防止層のヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。また膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
(高屈折率層および中屈折率層)
反射防止層の高い屈折率を有する層は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子及びマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜から成ることが好ましい。
高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物等が挙げられ、好ましくは屈折率1.9以上のものが挙げられる。例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等が挙げられる。
このような超微粒子とするには、粒子表面が表面処理剤で処理されること(例えば、シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造とすること(:特開2001−1661042001−310432号公報等)、特定の分散剤併用(例、特開平11−153703号公報、米国特許第6210858号明細書、特開2002−2776069号公報等)等挙げられる。
マトリックスを形成する材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等が挙げられる。
更に、ラジカル重合性及び/またはカチオン重合性の重合性基を少なくとも2個有する多官能性化合物含有組成物と、加水分解性基を有する有機金属化合物及びその部分縮合体を含有する組成物とから選ばれる少なくとも1種の組成物が好ましい。例えば、特開20
00−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の組成物が挙げられる。
また、金属アルコキドの加水分解縮合物から得られるコロイド状金属酸化物と金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜も好ましい。例えば、特開2001−293818号公報等に記載されている。
高屈折率層の屈折率は、−般に1.70〜2.20である。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。また、厚さは5nm〜10mμであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
(低屈折率層)
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層して成る。低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55であることが好ましく、より好ましくは1.30〜1.50である。
耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させる手段として表面への滑り性付与が有効で、従来公知のシリコーンの導入、フッ素の導入等から成る薄膜層の手段を適用できる。
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含む架橋性若しくは重合性の官能基を含む化合物が好ましい。例えば、特開平9−222503号公報明細書段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報明細書段落番号[0019]〜[0030]、特開2001−40284号公報明細書段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物が挙げられる。
シリコーン化合物としてはポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基あるいは重合性官能基を含有して、膜中で橋かけ構造を有するものが好ましい。例えば、反応性シリコーン(例、サイラプレーン(チッソ(株)製等)、両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報等)等が挙げられる。
架橋または重合性基を有する含フッ素及び/またはシロキサンのポリマーの架橋または重合反応は、重合開始剤、増感剤等を含有する最外層を形成するための塗布組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。
また、シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化するゾルゲル硬化膜も好ましい。
例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報記載等記載の化合物)、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
低屈折率層は、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1nm〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820号公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有することができる。
低屈折率層が最外層の下層に位置する場合、低屈折率層は気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されても良い。
安価に製造できる点で、塗布法が好ましい。低屈折率層の膜厚は、30nm〜200nmであることが好ましく、50nm〜150nmであることがさらに好ましく、60nm〜120nmであることが最も好ましい。
(反射防止層の他の層)
さらに、ハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
(ハードコート層)
ハードコート層は、反射防止層を設けた透明保護膜に物理強度を付与するために、透明支持体の表面に設ける。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。ハードコート層は、光及び/または熱の硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、また加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。
これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したと同様のものが挙げられる。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものが挙げられる。
高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。このような場合、高屈折率層で記載した手法を用いて微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。
ハードコート層は、平均粒径0.2μm〜10μmの粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア機能)を付与した防眩層を兼ねることもできる。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2μm〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5μm〜7μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
(帯電防止層)
帯電防止層を設ける場合には体積抵抗率が10−8Ωcm−3以下の導電性を付与することが好ましい。吸湿性物質や水溶性無機塩、ある種の界面活性剤、カチオンポリマー、アニオンポリマー、コロイダルシリカ等の使用により10−8Ωcm−3の体積抵抗率の付与は可能であるが、温湿度依存性が大きく、低湿では十分な導電性を確保できない問題がある。そのため、帯電防止層素材としては金属酸化物が好ましい。金属酸化物には着色しているものがあるが、これらの金属酸化物を帯電防止層素材として用いるとフィルム全体が着色してしまい好ましくない。着色のない金属酸化物を形成する金属としてZn、Ti、Al、In、Si、Mg、Ba、Mo、W、またはVをあげることができ、これを主成分とした金属酸化物を用いることが好ましい。具体的な例としては、ZnO、TiO、SnO、Al、In、SiO、MgO、BaO、MoO、V等、あるいはこれらの複合酸化物がよく、特にZnO、TiO、及びSnOが好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加物、SnOに対してはSb、Nb、ハロゲン元素等の添加、またTiOに対してはNb、TA等の添加が効果的である。更にまた、特公昭59−6235号公報に記載の如く、他の結晶性金属粒子あるいは繊維状物(例えば酸化チタン)に上記の金属酸化物を付着させた素材を使用しても良い。尚、体積抵抗値と表面抵抗値は別の物性値であり単純に比較することはできないが、体積抵抗値で10−8Ωcm−3以下の導電性を確保するためには、該帯
電防止層が概ね10−10Ω/□以下の表面抵抗値を有していればよく更に好ましくは10−8Ω/□である。帯電防止層の表面抵抗値は帯電防止層を最表層としたときの値として測定されることが必要であり、本明細書に記載の積層フィルムを形成する途中の段階で測定することができる。
次いで、上記環状ポリオレフィンフィルム、上記偏光板用保護フィルム、上記光学補償フィルム、上記偏光板の少なくともいずれか1つを有することを特徴とする本発明の液晶表示装置について説明する。
(液晶表示装置)
本発明の環状ポリオレフィンフィルム、該フィルムを有する光学補償フィルム、該フィルムを用いた偏光板は、様々な表示モードの液晶セル、液晶表示装置に用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)、ECB(Electrically Controled Birefringence)のような様々な表示モードが提案されている。このうち、IPSモード、ECBモード、OCBモードまたはVAモードに好ましく用いることができる。
(IPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置)
本発明の環状ポリオレフィンフィルムは、IPSモードおよびECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、または偏光板の保護膜としても特に有利に用いられる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において本発明の環状ポリオレフィンフィルムを用いた偏光板は視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。
(OCB型液晶表示装置)
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置である。OCBモードの液晶セルは、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
(VA型液晶表示装置)
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載
)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
VAモードの液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。本発明の透過型液晶表示装置の一つの態様では、本発明の光学補償フィルムは、液晶セルと一方の偏光板との間に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置する。
本発明の透過型液晶表示装置の別の態様では、液晶セルと偏光子との間に配置される偏光板の透明保護膜として、本発明の環状ポリオレフィンフィルムを有する光学補償フィルムが用いられる。すなわち、偏光板の透明保護膜が光学補償フィルムを兼ねることができる。一方の偏光板の(液晶セルと偏光子との間の)透明保護膜のみに上記の光学補償フィルムを用いてもよいし、あるいは双方の偏光板の(液晶セルと偏光子との間の)二枚の透明保護膜に、上記の光学補償フィルムを用いてもよい。一方の偏光板のみに上記光学補償フィルムを使用する場合は、液晶セルのバックライト側偏光板の液晶セル側保護膜として使用するのが特に好ましい。液晶セルへの貼り合わせは、本発明の環状ポリオレフィンフィルムをVAセル側にすることが好ましい。他方の保護膜は通常に用いられるセルレートアシレートフィルムでも良い。たとえば、40μm〜80μmが好ましく、市販のKC4UX2M(コニカオプト(株)製40μm)、KC5UX(コニカオプト(株)製60μm)、TD80(富士フイルム製80μm)等が挙げられるが、これらに限定されない。
OCBモードの液晶表示装置やTN液晶表示装置では、視野角拡大のために光学補償フィルムが使用される。OCBセル用光学補償フィルムは光学一軸あるいは二軸性フィルムの上にディスコティック液晶をハイブリッド配向させて固定した光学異方性層を設けたものが用いられる。TNセル用光学補償フィルムは光学等方性あるいは厚さ方向に光学軸を有するフィルムの上にディスコティック液晶をハイブリッド配向させて固定した光学異方性層を設けたものが用いられる。本発明の環状ポリオレフィンフィルムは上記OCBセル用光学補償フィルムやTNセル用光学補償フィルム作成にも有用である。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されない。[環状ポリオレフィンの物性評価]
以下、フィルムの諸特性は以下の方法で測定して実施した。
(レターデーション)
KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で計測した。
[フィルムのヘイズ]
本発明の環状ポリオレフィンフィルムのヘイズは0.01〜2.0%であることが好ましい。より好ましくは0.05〜1.5%であり、0.1〜1.0%であることがさらに好ましい。光学フィルムとしてフィルムの透明性は重要である。ヘイズの測定は、本発明の環状ポリオレフィンフィルム試料40mm×80mmを、25℃、60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定した。
〔溶解度パラメータ(SP値)の算出〕
本発明での溶解度パラメータ(SP値)は全てHoy法により算出した値を用いた。
<環状ポリオレフィン重合体P−1の合成>
精製トルエン100質量部とノルボルネンカルボン酸メチルエステル100質量部を反応釜に投入した。次いでトルエン中に溶解したエチルヘキサノエート−Ni25mmol%(対モノマー)、トリ(ペンタフルオロフェニル)ボロン0.225mol%(対モノマー)及びトルエンに溶解したトリエチルアルミニウム0.25mol%(対モノマー)を反応釜に投入した。室温で攪拌しながら18時間反応させた。反応終了後過剰のエタノ
ール中に反応混合物を投入し、重合物沈殿を生成させた。沈殿を精製し得られた環状ポリオレフィン重合体(P−1)を真空乾燥で65℃24時間乾燥した。
得られた重合体をテトラヒドロフランに溶解し、ゲルパーエミションクロマトグラフによる分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の数平均分子量は79,000、重量平均分子量は205,000であった。得られた重合体をアッベの屈折計で測定した屈折率は1.52であった。
〔実施例1〕
(ポリオレフィンドープD−1)
環状ポリオレフィン重合体P−1 150質量部
添加剤:ポリメチルアクリレート(綜研化学製「アクトフローUMM1001」)重量
平均分子量Mw≒1000) 7.5質量部
劣化防止剤:チバスペシャリティケミカルズ製「IRGANOX1010」
0.45質量部
ジクロロメタン 620質量部
上記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解した後、平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過し、環状ポリオレフィンドープD−1を調製した。ドープをバンド流延機にて流延した。残留溶剤量が約30質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムをテンターにより140℃の熱風を当てて乾燥した。その後テンター搬送からロール搬送に移行し、更に120℃から140℃で乾燥し巻き取った。このときのフィルム厚みは80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例2〕
実施例1において、テンターを用いて延伸率12%まで拡幅した後、延伸率が10%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例3〕
実施例1において添加剤を15質量部とした以外は、実施例1と同様にドープD−2を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例4〕
実施例3において、テンターを用いて延伸率12%まで拡幅した後、延伸率が10%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例5〕
実施例1において添加剤を30質量部とした以外は、実施例1と同様にドープD−3を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例6〕
実施例5において、テンターを用いて延伸率12%まで拡幅した後、延伸率が10%と
なるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例7〕
実施例1において添加剤を45質量部とした以外は、実施例1と同様にドープD−4を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例8〕
実施例7において、テンターを用いて延伸率12%まで拡幅した後、延伸率が10%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例9〕
実施例1において添加剤を60質量部とした以外は、実施例1と同様にドープD−5を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例10〕
実施例9において、テンターを用いて延伸率12%まで拡幅した後、延伸率が10%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例11〕
実施例3において添加剤を東亞合成製「ARUFON UP−1010」、(重量平均分子量Mw≒1700)とした以外は、実施例1と同様にドープD−6を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例12〕
実施例11において、テンターを用いて延伸率12%まで拡幅した後、延伸率が10%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例13〕
実施例3において添加剤をポリメチルメタクリレート(Aldrich製#81497、重量平均分子量Mw≒10000)とした以外は、実施例1と同様にドープD−7を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例14〕
実施例13において、テンターを用いて延伸率12%まで拡幅した後、延伸率が10%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例15〕
実施例1において添加剤をポリスチレン(Aldrich製#327824、重量平均分子量Mw≒800)とした以外は、実施例1と同様にドープD−8を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例16〕
実施例15において、テンターを用いて延伸率12%まで拡幅した後、延伸率が10%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例17〕
実施例3において添加剤をポリスチレン(Aldrich製#327824、重量平均分子量Mw≒800)とした以外は、実施例1と同様にドープD−9を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例18〕
実施例17において、テンターを用いて延伸率12%まで拡幅した後、延伸率が10%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例19〕
実施例3において添加剤をポリスチレン(Aldrich製#327719、重量平均分子量Mw≒2500)、添加量を4.5質量%とした以外は、実施例1と同様にドープD−10を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例20〕
実施例19において、テンターを用いて延伸率12%まで拡幅した後、延伸率が10%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例21〕
実施例3において添加剤をポリスチレン(Aldrich製#327719、重量平均分子量Mw≒2500)とした以外は、実施例1と同様にドープD−11を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例22〕
実施例21において、テンターを用いて延伸率12%まで拡幅した後、延伸率が10%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例23〕
実施例3において添加剤をポリスチレン(Aldrich製#379514、重量平均分子量Mw≒14000)とした以外は、実施例1と同様にドープD−12を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例24〕
実施例23において、テンターを用いて延伸率12%まで拡幅した後、延伸率が10%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例25〕
実施例1において添加剤をポリ(スチレン−メタクリレート)共重合体(Aldrich製#462896、重量平均分子量Mw≒130000、スチレン/メタクリレート=40/60)とした以外は、実施例1と同様にドープD−13を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例26〕
実施例25において、テンターを用いて延伸率12%まで拡幅した後、延伸率が10%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例27〕
実施例3において添加剤をポリ(スチレン−無水マレイン酸)共重合体(Aldrich製#426954、重量平均分子量Mw≒180000、スチレン/無水マレイン酸=86/14)とした以外は、実施例1と同様にドープD−14を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例28〕
実施例27において、テンターを用いて延伸率12%まで拡幅した後、延伸率が10%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例29〕
実施例3において添加剤を東亞合成製「ARUFON UH−2041」、(重量平均分子量Mw≒2500)とした以外は、実施例1と同様にドープD−15を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例30〕
実施例29において、テンターを用いて延伸率12%まで拡幅した後、延伸率が10%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例31〕
実施例29において、テンターを用いて延伸率24%まで拡幅した後、延伸率が20%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例32〕
実施例29において添加剤を30質量部とした以外は、実施例1と同様にドープD−16を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例33〕
実施例32において、テンターを用いて延伸率12%まで拡幅した後、延伸率が10%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例34〕
実施例32において、テンターを用いて延伸率24%まで拡幅した後、延伸率が20%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例35〕
実施例5において添加剤をポリ(スチレン−無水マレイン酸)共重合体、一部プロピルエステル(Aldrich製#442356)とした以外は、実施例1と同様にドープD−17を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例36〕
実施例35において、テンターを用いて延伸率24%まで拡幅した後、延伸率が20%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例37〕
実施例5において添加剤を綜研化学製「アクトフロー CBB3098」、(重量平均分子量Mw≒2000)とした以外は、実施例1と同様にドープD−18を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例38〕
実施例37において、テンターを用いて延伸率24%まで拡幅した後、延伸率が20%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例39〕
実施例5において添加剤を綜研化学製「アクトフロー CB3098」、(重量平均分
子量Mw≒2000)とした以外は、実施例1と同様にドープD−19を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例40〕
実施例39において、テンターを用いて延伸率24%まで拡幅した後、延伸率が20%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例41〕
実施例5において添加剤を綜研化学製「アクトフロー AS301」、(重量平均分子量Mw≒1300)とした以外は、実施例1と同様にドープD−20を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例42〕
実施例41において、テンターを用いて延伸率24%まで拡幅した後、延伸率が20%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例43〕
実施例5において添加剤を綜研化学製「アクトフロー UME2005」、(重量平均分子量Mw≒3500)とした以外は、実施例1と同様にドープD−21を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例44〕
実施例43において、テンターを用いて延伸率24%まで拡幅した後、延伸率が20%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例45〕
実施例5において添加剤を新日鐵化学製「エスクロン V−120」、(重量平均分子量Mw≒730)とした以外は、実施例1と同様にドープD−22を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例46〕
実施例45において、テンターを用いて延伸率24%まで拡幅した後、延伸率が20%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例47〕
実施例5において添加剤を岐阜セラツク製「GSM301」、(重量平均分子量Mw≒2300)とした以外は、実施例1と同様にドープD−23を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例48〕
実施例47において、テンターを用いて延伸率24%まで拡幅した後、延伸率が20%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例49〕
実施例5において添加剤をBASF製「ジョンクリル586」、(重量平均分子量Mw≒4600)とした以外は、実施例1と同様にドープD−24を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例50〕
実施例49において、テンターを用いて延伸率24%まで拡幅した後、延伸率が20%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例51〕
実施例3において添加剤を東亞合成製「ARUFON UH−2180」、(重量平均分子量Mw≒8000)とした以外は、実施例1と同様にドープD−25を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例52〕
実施例51において、テンターを用いて延伸率24%まで拡幅した後、延伸率が20%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例53〕
実施例5において添加剤を東亜合成製「ARUFON UH−2180」、(重量平均分子量Mw≒8000)とした以外は、実施例1と同様にドープD−26を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例54〕
実施例53において、テンターを用いて延伸率24%まで拡幅した後、延伸率が20%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例55〕
実施例7において添加剤を東亜合成製「ARUFON UH−2180」、(重量平均分子量Mw≒8000)とした以外は、実施例1と同様にドープD−27を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例56〕
実施例55において、テンターを用いて延伸率24%まで拡幅した後、延伸率が20%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例57〕
実施例9において添加剤を東亜合成製「ARUFON UH−2180」、(重量平均分子量Mw≒8000)とした以外は、実施例1と同様にドープD−28を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例58〕
実施例57において、テンターを用いて延伸率24%まで拡幅した後、延伸率が20%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例59〕
(ポリオレフィンドープD−29)
環状ポリオレフィン重合体P−1 150質量部
添加剤1:東亜合成製「ARUFON UH−2041」、(重量平均分子量Mw≒2500) 15質量部
添加剤2:東亜合成製「ARUFON UH−2180」、(重量平均分子量Mw≒8000) 15質量部
劣化防止剤:チバスペシャリティケミカルズ製「IRGANOX1010」
0.45質量部
ジクロロメタン 620質量部
上記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解した後、平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過し、環状ポリオレフィンドープD−29を調製した。ドープをバンド流延機にて流延した。残留溶剤量が約30質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムをテンターにより140℃の熱風を当てて乾燥した。その後テンター搬送からロール搬送に移行し、更に120℃から140℃で乾燥し巻き取った。このときのフィルム厚みは80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例60〕
実施例59において、テンターを用いて延伸率24%まで拡幅した後、延伸率が20%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例61〕
実施例59において添加剤1を22.5質量部、添加剤2を22.5質量部とした以外は、実施例1と同様にドープD−30を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例62〕
実施例61において、テンターを用いて延伸率24%まで拡幅した後、延伸率が20%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例63〕
実施例59において添加剤1を9質量部、添加剤2を21質量部とした以外は、実施例1と同様にドープD−31を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果
を表1に示す。
〔実施例64〕
実施例63において、テンターを用いて延伸率24%まで拡幅した後、延伸率が20%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例65〕
実施例59において添加剤1を13.5質量部、添加剤2を31.5質量部とした以外は、実施例1と同様にドープD−32を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例66〕
実施例65において、テンターを用いて延伸率24%まで拡幅した後、延伸率が20%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例67〕
実施例59において添加剤1を綜研化学製「アクトフロー CBB3098」、(重量平均分子量Mw≒2000)とした以外は、実施例1と同様にドープD−33を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例68〕
実施例67において、テンターを用いて延伸率24%まで拡幅した後、延伸率が20%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例69〕
実施例67において添加剤1を22.5質量部、添加剤2を22.5質量部とした以外は、実施例1と同様にドープD−34を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例70〕
実施例69において、テンターを用いて延伸率24%まで拡幅した後、延伸率が20%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例71〕
実施例67において添加剤1を9質量部、添加剤2を21質量部とした以外は、実施例1と同様にドープD−35を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例72〕
実施例71において、テンターを用いて延伸率24%まで拡幅した後、延伸率が20%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例73〕
実施例67において添加剤1を13.5質量部、添加剤2を31.5質量部とした以外は、実施例1と同様にドープD−36を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例74〕
実施例73において、テンターを用いて延伸率24%まで拡幅した後、延伸率が20%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した
〔比較例1〕
実施例1において添加剤を0質量%とした以外は、実施例1と同様にドープD−37を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔比較例2〕
比較例1において、テンターを用いて延伸率12%まで拡幅した後、延伸率が10%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例75〕
実施例1において添加剤を67.5質量部とした以外は、実施例1と同様にドープD−38を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例76〕
実施例3において添加剤をポリ(メチルメタクリレート)(Aldrich製#445746、重量平均分子量Mw≒350000)とした以外は、実施例1と同様にドープD−39を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例77〕
(ポリオレフィンドープD−40)ARTON G(JSR(株)製)
150質量部
添加剤:ポリメチルアクリレート(綜研化学製「アクトフローUMM1001」重量平均分子量Mw≒1000) 15質量部
劣化防止剤:チバスペシャリティケミカルズ製「IRGANOX1010」
0.45質量部
ジクロロメタン 620質量部
上記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、各成分を溶解し、リタデーション低減剤入りドープD−40を調製した。その後実施例1と同様に環状ポリオレフィンフィルムを作製した。評価結果を表1に示す。
〔実施例78〕
実施例27において添加剤をポリスチレン(Aldrich製#327824、重量平均分子量Mw≒800)とした以外は、実施例1と同様にドープD−41を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔比較例3〕
実施例77において添加剤を0質量%とした以外は、実施例1と同様にドープD−42を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例79〕(ポリオレフィン組成物D−43)
ZEONOR(日本ゼオン製) 150質量部
添加剤:ポリメチルアクリレート(綜研化学製「アクトフローUMM1001」重量平均分子量Mw≒1000) 15質量部
上記組成物を65mmφのスクリューを備えた樹脂溶融混練機を有するTダイ式フィルム溶融押出機を使用し、溶融樹脂温度240℃、Tダイの幅350mmの成形条件で流延した。このときのフィルム厚みは80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例80〕
次に、実施例79で得られたフィルムを155℃で幅自由一軸延伸(延伸倍率1.1倍)、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例81〕
実施例79において添加剤をポリスチレン(Aldrich製#327824、重量平均分子量Mw≒800)とした以外は、実施例79と同様にドープD−44を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例82〕
次に、実施例80で得られたフィルムを155℃で幅自由一軸延伸(延伸倍率1.1倍)、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔比較例4〕
実施例79において添加剤を0質量%とした以外は、実施例79と同様にドープD−45を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔比較例5〕
次に、比較例4で得られたフィルムを155℃で幅自由一軸延伸(延伸倍率1.1倍)、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例83〕
(ポリオレフィンドープD−46)
Appear3000(Ferrania製) 150質量部
添加剤:ポリメチルアクリレート(綜研化学製「アクトフローUMM1001」重量平均分子量Mw≒1000) 15質量部
劣化防止剤:チバスペシャリティケミカルズ製「IRGANOX1010」
0.45質量部
ジクロロメタン 620質量部
上記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、各成分を溶解し、リタデーション低減剤入りドープD−46を調製した。その後実施例1と同様に環状ポリオレフィンフィルムを作製した。評価結果を表1に示す。
〔実施例84〕
実施例83において、テンターを用いて延伸率12%まで拡幅した後、延伸率が10%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔実施例85〕
実施例83において添加剤をポリスチレン(Aldrich製#327824、重量平均分子量Mw≒800)とした以外は、実施例1と同様にドープD−47を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例86〕
実施例85において、テンターを用いて延伸率12%まで拡幅した後、延伸率が10%となるように140℃で60秒間緩和させ、それ以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。このときフィルムの膜厚は80μmであった。製造したフィルムのReレターデーション、RthレターデーションはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。
〔比較例6〕
実施例83において添加剤を0質量%とした以外は、実施例1と同様にドープD−48を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔比較例7〕
実施例3において添加剤を東京化成製「ポリビニルピロリドン K−15」、(重量平均分子量Mw≒10000)とした以外は、実施例1と同様にドープD−49を調製し、フィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例87〜94〕
実施例3と同じドープを用いて、表2に示すような膜厚、延伸倍率でフィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
〔比較例8〜15〕
実施例3において添加剤を0質量%とした以外は、実施例1と同様にドープを調製し、膜厚の異なるフィルムを作成した。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
表1、表2中、PMMA:ポリメチルメタクリレート、PSt:ポリスチレン、SMA:(スチレン-無水マレイン酸)共重合体、SMA(2):(スチレン−無水マレイン酸)共重合体、一部プロピルエステル、PVP:ポリビニルピロリドンの意味である。
[実施例95]
(偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。
実施例4で作製した環状オレフィン系樹脂フィルム(F−4)にグロー放電処理(周波数3000Hz、4200Vの高周波数電圧を上下電極間に印加、20秒処理)を行い、その後ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、下記のように偏光子の片側に貼り付けた
。更に市販のセルローストリアシレートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付け、70℃で10分以上乾燥し、偏光板Aを作製した。
偏光膜の透過軸と環状オレフィン系樹脂フィルム(F−4)の遅相軸とが平行になるように配置した。偏光膜の透過軸と市販のセルローストリアシレートフィルムの遅相軸とは直交するように配置した。
(VA液晶セルの作製)
液晶セルは、基板間のセルギャップを3.6μmとし、負の誘電率異方性を有する液晶材料(「MLC6608」、メルク社製)を基板間に滴下注入して封入し、基板間に液晶層を形成して作製した。液晶層のレターデーション(即ち、記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・d)を300nmとした。なお、液晶材料は垂直配向するように配向させた。この垂直配向型液晶セルの上側(観察者側)には市販品のスーパーハイコントラスト品(株式会社サンリッツ社製HLC2−5618)を粘着剤を介して貼り付けた。液晶セルの下側(バックライト側)には作製した偏光板Aを粘着剤を介して貼り付けた。上側偏光板の透過軸が上下方向に、そして下側偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
作製した液晶表示装置を観察した結果、正面方向および視野角方向もニュートラルな黒表示が実現できていた。また、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角(コントラスト比が10以上で黒側の階調反転のない範囲)を測定した結果、左右共に80度以上の良好な視野角であった。
[実施例96]
(偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。
実施例8で作製した環状オレフィン系樹脂フィルム(F−8)にグロー放電処理(周波数3000Hz、4200Vの高周波数電圧を上下電極間に印加、20秒処理)を行い、その後ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、下記のように偏光子の片側に貼り付けた。更に市販のセルローストリアシレートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付け、70℃で10分以上乾燥し、偏光板Bを作製した。
偏光膜の透過軸と環状オレフィン系樹脂フィルム(F−8)の遅相軸とが平行になるように配置した。偏光膜の透過軸と市販のセルローストリアシレートフィルムの遅相軸とは直交するように配置した。
(VA液晶セルの作製)
液晶セルは、基板間のセルギャップを3.6μmとし、負の誘電率異方性を有する液晶材料(「MLC6608」、メルク社製)を基板間に滴下注入して封入し、基板間に液晶層を形成して作製した。液晶層のレターデーション(即ち、記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・d)を300nmとした。なお、液晶材料は垂直配向するように配向させた。この垂直配向型液晶セルの上側(観察者側)、下側(バックライト側)両方に作製した偏光板Bを粘着剤を介して貼り付けた。上側偏光板の透過軸が上下方向に、そして下側偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
作製した液晶表示装置を観察した結果、正面方向および視野角方向もニュートラルな黒表示が実現できていた。また、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角(コントラスト比が10以上で黒側の階調反転のない範囲)を測定した結果、左右共に80度以上の良好な視野角であった。
Figure 2009108286

Figure 2009108286
Figure 2009108286
Figure 2009108286

Claims (9)

  1. 下記一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする環状ポリオレフィンフィルム。
    Figure 2009108286
    式中R〜Rは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、または極性基を表し、Rは全て同一の原子または基であっても、個々異なる原子または基であっても、互いに結合して、炭素環または複素環(これらの炭素環、複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい)を形成してもよい。
  2. 下記数式(1)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の環状ポリオレフィンフィルム。
    数式(1) |σ(A)−σ(P)|<4
    上記数式(1)おいて、
    |σ(A)−σ(P)|はσ(A)−σ(P)の絶対値である。
    σ(A):前記一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物の溶解度パラメータ(SP値)(MPa1/2)、
    σ(P):環状ポリオレフィンの溶解度パラメータ(SP値)(MPa1/2
  3. 下記数式(2)および(3)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の環状ポリオレフィンフィルム。
    数式(2) Rth(A)−Rth(0)≦−10
    数式(3) (Rth(A)−Rth(0))/A≦−1.0
    上記数式(2)、(3)において、
    Rth(A):環状ポリオレフィンの質量に対して、前記一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物をA%含有したフィルムの膜厚80μm換算Rth(nm)、
    Rth(0):前記一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物を含有しないフィルムの膜厚80μm換算Rth(nm)、
    A:前記環状ポリオレフィンの質量に対する前記一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物の質量(%)、である。
  4. 前記一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物の重量平均分子量が500以上300000以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の環状ポリオレフィンフィルム。
  5. 前記一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物が、環状ポリオレフィンに対して0.1〜40質量%含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の環状ポリオレフィンフィルム。
  6. 前記環状ポリオレフィンフィルムが延伸されたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の環状ポリオレフィンフィルム。
  7. 厚みが20μm〜200μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の環状ポリオレフィンフィルム。
  8. 偏光板の両側に配置される保護フィルムのうち少なくとも1枚が請求項1〜7のいずれかに記載の環状オレフィン系ポリマーフィルムであることを特徴とする偏光板。
  9. 液晶セルの両側に配置される偏光板のうち少なくとも1枚が請求項8に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
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