JPH10119125A - 透過光散乱性制御フィルムの製造方法 - Google Patents

透過光散乱性制御フィルムの製造方法

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JPH10119125A
JPH10119125A JP8351814A JP35181496A JPH10119125A JP H10119125 A JPH10119125 A JP H10119125A JP 8351814 A JP8351814 A JP 8351814A JP 35181496 A JP35181496 A JP 35181496A JP H10119125 A JPH10119125 A JP H10119125A
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stretching
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transmitted light
scattering control
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昭彦 内山
Toshiaki Yatabe
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Abstract

(57)【要約】 【課題】液晶表示装置に用いた場合には1枚だけでも画
質改善、特に視野角改善フィルムとして機能し、また、
見る方向によって平行光線透過率が異なることにより、
1枚だけでも視角制御板としても機能し得る上に、広い
角度に光を拡げることが可能であり、材料としては1種
類の熱可塑性高分子樹脂でも機能しえる熱可塑性高分子
樹脂フィルムを、生産性良く得る。 【解決手段】熱可塑性高分子樹脂フィルムを一軸延伸し
て透過光散乱性制御フィルムを製造する方法において、
熱可塑性高分子樹脂フィルム表面に、延伸方向とは垂直
方向に延びた溝が生じるように一軸延伸する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、入射角によりヘー
ズが異なるため、入射角度により平行光線透過率が異な
るといった特徴を利用した視角制御板として、また、液
晶表示装置に用いた場合には画質、特に視野角を広げる
ことの可能な視野角改善フィルム等として用いられる透
過光散乱性制御フィルムの製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】入射角によりヘーズが異なるため、入射
角度により平行光線透過率が異なるといった光学素子と
しては、ガラスやプラスチック等の透明基板上に格子等
を設け、光の回折効果を利用した回折型光学素子が古く
から知られている。また、特公平7−58361号公報
開示の光制御板は光硬化シートを複数枚用いることによ
り、入射角によりヘーズが異なる光学素子を提案してい
る。これらはその光学特性を利用して様々な光学用途に
使用されている。
【0003】例えば、入射角度により平行光線透過率が
異なるといった特徴を利用すれば、それを建築用のガラ
ス窓等に用いることにより、ある方向からは見えるが他
の方向からは見えにくいといった視界制御板として利用
することが可能である。
【0004】また、そのような特性を有する光学素子
を、液晶表示装置に装着することにより、視野角を変化
させたり、光学的ローパスフィルター等として利用する
例が、特開平6−43446号公報、特開平5−289
028号公報、特開平7−64069号公報、実開平7
−10726号公報等にて開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ガラスやプラスチック
等の透明基板上に格子等を設け、光の回折効果を利用し
た回折型光学素子は微細加工等を必要としており、これ
らは他のある特定の用途においては有効であるが、上記
のような用途に対しては大面積化が必要であることから
高価にならざるを得ないといった問題点がある。
【0006】また、前述の特公平7−58361号公報
の光制御板においては、光硬化シートを複数枚必要とし
ており商業的に問題がある。また、この光硬化シートを
複数枚用いなくても光拡散性の優れた光学素子を得よう
とする提案が特開平6−11606号公報、6−971
4号公報等において開示されている。しかし、いずれに
してもこれらの方法は、屈折率の異なる領域がある方向
に配向した状態で周期的に存在した層状微小構造体を得
るために、屈折率の異なる2種類以上の重合性モノマー
及びまたはオリゴマーを用いる必要があり、さらにそれ
ぞれの重合性や屈折率差の大きさ等を最適化する必要が
ある。屈折率の異なる2種類以上の重合性モノマーの屈
折率差の大きさやその分布状態を制御することはかなり
難しく、例えば、フィルム表面に垂直に入射した光を広
い角度で散乱させることは困難であるといった問題点が
ある。また、この光硬化層は外部応力に対する耐性が弱
いため、この方式による製品形態としては、透明基材で
あるプラスチックフィルム等の間に光硬化層を挟持また
は透明基材上に積層して使用する場合が多く、原料費や
製造費が高価にならざるを得ないといった問題点があ
る。
【0007】さらに、一般に高分子樹脂の破壊試験等に
おいて観察される、高分子バルク中に存在する亀裂や空
孔を含有するクラックやクレーズ等と呼ばれる現象につ
いては古くから研究されているが、高分子中の空孔分布
等を制御し、液晶表示装置の画質改善や建材等において
用いられる視界制御に適した光学特性を得るといった検
討は行われていないのが現状であった。
【0008】本発明はかかる課題を解決して、液晶表示
装置に用いた場合には1枚だけでも画質改善、特に視野
角改善フィルムとして機能し、また、見る方向によって
平行光線透過率が異なることにより、1枚だけでも視角
制御板としても機能し得る上に、広い角度に光を拡げる
ことが可能であり、材料としては1種類の熱可塑性高分
子樹脂でも機能し得る新規な透過光散乱性制御フィルム
の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の透過光散乱性制
御フィルムの製造方法は、熱可塑性高分子樹脂フィルム
を一軸延伸して透過光散乱性制御フィルムを製造する方
法において、熱可塑性高分子樹脂フィルム表面に、延伸
方向とは垂直方向に延びた溝が生じるように一軸延伸す
ることを特徴としている。
【0010】本発明の製造方法によって得られる透過光
散乱性制御フィルムは、一軸延伸によて生じるフィルム
内部の空孔分布による屈折率の周期的な分布によって上
記の光学特性を得ることが可能になると考えられるが、
さらに鋭意検討したところ、熱可塑性高分子樹脂フィル
ムの一軸延伸によって生じた、延伸方向とは垂直方向に
延びた溝がフィルム表面に存在している場合において、
目的の光学特性を得ることが可能であることが判った。
原因はよく分からないが、このような一軸延伸によって
発生した溝がフィルム表面に存在した場合、フィルム内
部の空孔分布等が目的の光学特性を得るための最適な状
態となるのではないかと考えられる。
【0011】ここで言う目的の光学特性とは、フィルム
表面に対し、法線方向からの入射光で測定したJIS
K7105で定義される全光線透過率が60%以上であ
り、かつ光線入射方向によりヘーズが異なることにより
平行光線透過率が異なり、図3に示す光学系にて測定を
行った際に、透過光透過率が次の条件を満足することを
言う。なお、液晶表示装置に用いられる視野角改善フィ
ルムとして用いる際には、全光線透過率としては80%
以上であることが必要である。
【0012】ここで図3において、3は平行光を照射す
る光源、4は検出器、5は入射光、6は試料のフィルム
であり、光線入射方向(=出射方向)はフィルム表面法
線とのなす角θ(°)とその法線を回転中心としたフィ
ルム面上での回転角R(°)から定義される。そして最
小の平行光線透過率Tmin(%)、そのときの入射角
θmin(°)、最大の平行光線透過率Tmax
(%)、そのときの入射角θmax(°)とした場合
に、0°≦θ≦60°かつ−180°<R≦180°の
範囲において、 θmin<θmaxのときはTmax/Tmin>1.
1 かつ θmin>θmaxのときは{Tmax×cos(θmin)}/{Tmin× cos(θmax)}>1.1 (I) となることである。
【0013】なお、基準位置としての回転角R=0゜の
位置の設定は、測定に用いる光学装置において任意に行
うことが出来る。同じR値においてこの条件は満足され
なくてはならない。入射光は平行光線であることが好ま
しく、本発明においては光源をハロゲンランプ、フォト
マル検出器の前に、JIS Z8701において定義さ
れるY値を得るためのY視感度フィルターが設定された
光学系を有する、大塚電子(株)製の商品名「LCD5
100」によって定義した。
【0014】ここで言う入射角度によりヘーズが異なる
とは、入射角の変化に伴い、フィルム中を伝搬する光の
行路長が変化するために生じる現象を指すのではなく、
フィルムの構造に起因して生じる現象を指す。行路長の
増加によって単純にヘーズまたは吸光率が増大する散乱
体、吸収体とは区別するために、上記条件においてθm
in>θmaxのとき行路長の補正を行っている。
【0015】さらに、特に液晶表示装置における視野角
改善フィルムとして用いる場合であるが、特に、本発明
の材料を建材等における視角制御板として用いる際に
は、 θmin<θmaxのときTmax/Tmin>1.5 かつ θmin>θmaxのときは{Tmax×cos(θmin)}/{Tmin× cos(θmax)}>1.5 (II) であることがより好ましい。
【0016】本発明におけるフィルムの溝とは、原子間
力顕微鏡にてフィルム表面を観察した際に見られるもの
とする。延伸方向とは垂直方向に延びた溝が、フィルム
表面上に任意の20μm四方の範囲において、単独ある
いは複数の溝が存在し、さらに溝の方向は角度のばらつ
きが延伸方向の垂直方向を中心として±20度以内であ
ることが好ましい。また、溝の長さは5μm以上である
こと、溝の幅が0.01〜15μmであること、溝の深
さが1〜200nmであること、長さa(μm)と幅b
(μm)の比a/bが1.5以上であることがそれぞれ
好ましい。さらに好ましくは、溝の方向のばらつきが±
10度以内、溝の長さが6μm以上、溝の幅が0.05
〜12μm、溝の深さが2〜150nm、長さa(μ
m)と幅b(μm)の比a/bが2.0以上であること
である。延伸方向とは垂直方向に延びた溝が、フィルム
表面上の任意の20μm四方の範囲において、延伸によ
って生成した上記範囲を満足しない球状、楕円状の空孔
が20個以上ある場合には目的の光学特性が満足できな
い場合がある。
【0017】上記溝の形状のうち、深さ、幅は、溝長手
方向と直交する方向に一次元的に原子間力顕微鏡の針を
走査させた際のプロファイルから特定される。例えば、
図2のような一次元プロファイルがあったならば、測定
した領域内において、接線の傾きがJIS B0601
−1982に記載される平均線(直線)に平行となりか
つ溝の最も深い位置103から最も103に近くにある
点104における接線と、点104と点103の間にあ
って、最も傾きの急な点106における接線との交点1
00と、図2にて同様に定義される点102との中点で
ある101から、溝の最も深い点103との距離を溝の
深さと定義する。一方、幅は点100と102との距離
と定義する。さらにフィルム両面に前述した溝が存在す
ることが好ましい。また、溝の深さ、幅は、溝の長手方
向の中央、両端より0.5μm以内のところにおいて測
定され上記範囲内であることが好ましい。
【0018】本発明の製造方法によって得られる透過光
散乱性制御フィルム表面における溝は、一軸延伸により
発現したものであることが必要である。一軸延伸以外に
よっても例えば、金型転写等により熱可塑性高分子樹脂
フィルム表面に溝を形成することはできるが、このよう
な方法では内部の周期的な空孔分布の発生を期待するこ
とはできない。前述したように、フィルム表面上におけ
るこの溝は、光学特性を主に決定しているものではな
い。これは、本発明の製造方法によって得られた透過光
散乱性制御フィルムにおいて、表面上に該熱可塑性高分
子樹脂に屈折率の近い透明な樹脂による膜を形成し、溝
を埋めてしまってもほとんど光学特性に変化がないこと
から証明される。
【0019】また、本発明の製造方法における材料は、
一軸延伸性に優れている点から熱可塑性高分子樹脂であ
ることが必要である。
【0020】一軸延伸としては縦、横一軸延伸がある
が、好ましくは縦一軸延伸である。また、多段延伸であ
っても良い。一軸延伸においては、熱可塑性高分子樹脂
フィルムのガラス転移点温度付近で延伸することが好ま
しく、フィルム破断直前付近の延伸条件が好ましく選択
される。また、乾式、湿式延伸いずれも用いることが出
来るが、好ましくは乾式延伸である。
【0021】フィルム内部におけるある方向に揃った屈
折率の周期的な分布を得るためには、出来るだけある方
向にのみ張力がかかるような延伸であることが必要であ
り、2軸延伸では少なくとも2方向に張力が加わり、あ
る方向に揃った屈折率の周期的な分布を得ることが困難
である。
【0022】本発明においては前述した溝が表面に形成
されればよく延伸条件には特に限定はないが、熱可塑性
高分子樹脂フィルムのガラス転移点温度をTg(℃)と
した場合、延伸温度D(℃)がTg−40≦D≦Tg+
20であり、ネックイン率が25%以上70%以下とな
る延伸条件を用いることが好ましい。ここでいうネック
イン率とは、膜厚の変化で定義するものとされ、延伸前
の膜厚をA、延伸後の膜厚をBとした場合、100×
(A−B)/A(%)で表すものとする。多段延伸であ
る場合にはすべての加熱延伸ゾーンで上記延伸温度であ
り、延伸終了後に上記ネックイン率となることが好まし
い。
【0023】例えば、得られるフィルムの全光線透過率
が60%を下回るような場合には、目的の光学特性を得
るのに対して、フィルム内部の空孔及び空孔分布等が適
当な状態ではなく、この場合には延伸温度を下げる、ま
たは延伸倍率を下げることにより延伸条件を最適化させ
る必要がある。延伸温度が高すぎる場合には、フィルム
表面の形状が規則的な溝とはならずに、球形や楕円形と
なったりする場合がある。一方、延伸温度が低すぎる場
合には破断が生じやすくなる場合が多い。延伸倍率が十
分大きくない場合には、フィルムは延伸されるものの、
フィルム表面に溝が生成しないことがある。この場合に
は延伸倍率を上げる必要がある。また、加熱延伸ゾーン
内に滞留される時間も重要な因子であり、一般に同じ延
伸温度、延伸倍率、熱可塑性高分子樹脂材料、装置であ
り、溝が発生するような条件であるならば、加熱延伸ゾ
ーン内に滞留される時間が長いほどフィルム表面の溝の
数は多くなる傾向にある。すなわち、生産性向上のため
延伸速度を速くしたいのであれば、加熱延伸ゾーンを長
くするなど一般の延伸フィルムにおいて用いられる技術
を用いることが可能である。加熱延伸ゾーンとは熱可塑
性高分子樹脂フィルムが加熱され、延伸のための張力が
加えられるゾーンを指す。
【0024】本発明の熱可塑性高分子樹脂フィルムの材
料としては、ガラス転移点温度が80℃以上300℃以
下であることが好ましく、より好ましくは100℃以上
250℃以下である。ガラス転移点温度が80℃以下で
は一軸延伸後の耐熱性に問題があり、300℃以上では
成型性において問題が生じる場合がある。
【0025】熱可塑性高分子樹脂フィルムの材料として
は、好ましくはポリカーボネート、ポリアリレート、ポ
リメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリメチル
メタクリレート、ポリアクリレート、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、
ポリビニルアルコール、ポリエーテルサルホン、ポリサ
ルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルケト
ン、ポリオレフィン、トリアセチルセルロース、芳香族
系高分子液晶等であり、それらの共重合体または2種類
以上のブレンドであってもよい。上記1種類の樹脂を用
いて成型することが生産性の点から好ましい。添加物等
が含まれていても良い。添加物としては、キシレン、ア
ルコール類、ケトン類等を用いることが出来るが、これ
らに限定されない。
【0026】また、流延製膜法にて延伸前のフィルムを
作成した場合には残留溶媒を含んでいてもよい。流延製
膜法にて作成した延伸前のフィルムを用いた場合には、
延伸前の残留溶媒量としては0〜10%であることが好
ましい。ここでいう残留溶媒量とは、残留溶媒を含んだ
高分子樹脂中に含まれる溶媒の量を言う。
【0027】熱可塑性高分子樹脂としてポリカーボネー
トを用い、流延製膜法にて延伸前のフィルムを作成する
場合には、溶媒として好ましくはメチレンクロライド、
ジオキソラン等である。
【0028】また、熱可塑性高分子樹脂は非晶性高分子
樹脂であることが好ましい。非晶性高分子樹脂とは通常
の延伸条件において、結晶相、液晶相をとらない樹脂で
あり、これは一軸延伸後または中に相変化を生じないこ
とから、光学特性を制御しやすい場合が多く好ましく用
いられる。非晶性高分子樹脂としては、ポリカーボネー
ト、ポリアリレート、ポリオレフィン、ポリサルホン、
ポリエーテルサルホンおよびそれらの共重合体等の中か
ら好ましく選択される。材料入手の経済性、耐熱性等か
ら特に好ましくはポリカーボネートである。
【0029】ポリカーボネートの平均分子量としては、
0.5万から20万の間であることが好ましく、より好
ましくは0.8万から10万である。分子量が0.5万
未満では耐熱性等に問題がある場合が多く、また、分子
量20万より大きい場合には目的の光学特性を得られな
い場合がある。ここで言う平均分子量とは、特別に断ら
ない限り、数平均分子量のことであり、GPC(ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー)法によるポリスチ
レン換算の数平均分子量とする。また、ポリカーボネー
トとしては公知のものを用いることが出来るが、好まし
くはビスフェノールAを主成分として用いたもので、ポ
リ−4,4’−ジオキシジフェニール−2,2−プロパ
ンカ−ボネ−トが材料入手性、延伸性の観点から特に好
ましく用いられる。共重合のポリカーボネートも好適に
用いられ、例えばビスフェノールZ成分やフルオレン骨
格等有するもの等を用いることが出来る。
【0030】熱可塑性高分子樹脂フィルムとしてポリ−
4,4’−ジオキシジフェニール−2,2−プロパンカ
−ボネ−トを用いた場合には、熱可塑性高分子樹脂フィ
ルムのガラス転移点温度をTg(℃)とした場合、延伸
温度D(℃)がTg−20≦D≦Tgであり、ネックイ
ン率が35%以上60%以下となる延伸条件を用いるこ
とが好ましい。
【0031】本発明の製造方法によって得られる透過光
散乱性制御フィルムの膜厚としては、1μmから400
μm程度であることが好ましく、より好ましくは 5μ
mから200μmである。
【0032】また、本発明の製造方法によって得られる
透過光散乱性制御フィルムは、光学異方性を有していて
もよい。一般に熱可塑性高分子樹脂フィルムを一軸延伸
したものは、その延伸方向に光学軸を有した光学異方体
となる。ここでいう光学異方性は複屈折Δnと膜厚dと
の積であるΔn・dで表される。必要とされるΔn・d
の大きさは用途により異なるので一概には言えないが、
液晶表示装置において用いられる場合には、遅相軸方位
の分布は±10°以内であることが好ましい。光学異方
性を積極的に利用し公知の方法により最適化することに
より、例えば、STN(スーパーツイストネマチック)
モードにおける色補償と視野角拡大を両方兼ねることも
可能である。
【0033】本発明の製造方法によって得られた透過光
散乱性制御フィルムを、液晶表示装置に適用することに
より、視野角を改善することができる。
【0034】特に本発明の製造方法によって得られる透
過光散乱性制御フィルムを、液晶層に対して観測者側に
装着する事により、視野角の改善された液晶表示装置を
得ることが出来る。ここで言う液晶表示装置とは、駆動
方式としてはアクテイブマトリクス駆動、単純マトリク
ス駆動等、液晶モードとしては、ツイストネマチック、
スーパーツイストネマチック、強誘電性液晶、反強誘電
性液晶モード等すべての液晶を用いた表示装置に適用可
能である。本発明の製造方法によって得られる透過光散
乱性制御フィルムは、主に視認性に優れた方向の光を特
定の方向に拡げることにより、視野角を広げることが可
能となる。1枚の透過光散乱性制御フィルムによって効
果があるが、複数枚用いても良い。
【0035】偏光板を用いた液晶表示装置においては、
液晶層より観測者側にあれば良く偏光板よりも外側でも
内側でも良い。ただし、本発明の透過光散乱性制御フィ
ルムにおいて、光学異方性が存在し、かつ偏光板の内側
に装着する場合、この光学異方性が着色等の問題となる
場合には、偏光板の偏光軸または吸収軸と本発明の透過
光散乱性制御フィルムの進相軸または遅相軸を合わせる
ことにより回避することが出来る。同様に偏光板の外側
に貼り合わせるときにも、例えば、偏光眼鏡で液晶表示
装置を観察したときに、透過光散乱性制御フィルムの光
学異方性により着色等の問題が生じる場合にも、偏光板
の偏光軸または吸収軸と本発明の透過光散乱性制御フィ
ルムの進相軸または遅相軸を合わせることにより回避す
ることが出来る。偏光板の外側に用いる際に、光学異方
性の存在が問題とならない場合には、目的に応じて適当
な角度で貼り合わせることが可能である。また、本発明
の透過光散乱性制御フィルムは1枚でも液晶表示装置の
視野角改善に効果があるが、2枚用いてお互いに延伸軸
を直交させ、位相差を打ち消して用いることも可能であ
る。なお、光学異方性を打ち消すようにアニール処理等
を行っても良い。
【0036】また、液晶表示装置用の視野角改善用フィ
ルムの光学特性としては、適用する液晶表示装置に合わ
せて設定される。液晶表示装置の視野角範囲は一般に視
認性の良好な領域を指し、通常は液晶表示装置表面の法
線方向付近に存在していることから、貼り合わせ角度は
目的により最適化されるが、図3の光学系において、本
発明の透過光散乱性制御フィルムの最小平行光線透過率
をとる角度θminが0゜≦θmin≦40゜の範囲、
より好ましくは0゜≦θmin≦30゜の範囲で存在し
ていることが好ましい。
【0037】液晶表示装置に本発明の透過光散乱性制御
フィルムを装着する際には、反射損失等の関係で出来る
だけ密着させることが好ましい。例えば粘着剤を介して
液晶層基板や偏光板等と貼り合わせることが出来る。
【0038】さらに、本発明の透過光散乱性制御フィル
ムは、広く表示装置等光学装置の部材として利用するこ
とが出来る。例えば、表示装置のバックライトシステム
における拡散板や、反射型液晶表示装置の反射板として
用いることも可能である。また、投写型表示装置の透
過、反射型スクリーンにも適用可能である。反射型スク
リーンや反射板として用いる際には、背面に金属等の反
射膜を形成してもよく、また、複数枚の積層体を用いる
ことも可能である。さらに、SOCIETY FOR
INFORMATION DISPLAY INTER
NATIONALSYMPOSIUM DIGEST
OF TECHNICAL PAPERS /VOLU
ME XXVII,p614−617(1996)に記
載のあるような、反射型液晶表示装置の前面に設けられ
た前方散乱フィルムとして用いることも可能である。
【0039】また、本発明の透過光散乱性制御フィルム
の他の用途としては、平行光線透過率が入射角によって
異なるといった特徴を利用して、例えば建材用のガラス
と貼り合わせる等することにより、光制御フィルムの観
測者に対して反対側の景色が、ある方向から見たときは
見えるが、別の角度から見たときは見えにくいといった
視界を制御する光学フィルムとしても機能し得る。
【0040】さらに、本発明の透過光散乱性制御フィル
ムは前述した目的の光学特性の範囲内において、様々な
光学特性をとることが可能であるが、そのうち、平行光
線を透過光散乱性制御フィルムの最小の平行光線透過率
を与える入射角度で入射した場合に得られる出射光の散
乱状態が、等方的でなく異方的である透過光散乱性制御
フィルムを建材用のガラスと貼り合わせることにより、
室内における採光といった観点から、いわゆるスリガラ
スとは異なる特異的な散乱性を有する曇りガラスを建材
用として供給することが可能となる。
【0041】ここでいう異方的な散乱状態とは、図4に
示されるような光学系において、出射光検出方向を試料
平面上に投影した際の試料平面上での出射光検出方向角
度をα(°)、出射光検出方向と入射光平行光線の入射
方向とのなす角をβ(°)とした場合、βを一定として
αを変えた場合、出射光検出強度がαに依存して変化す
る現象を指す。なお図4において10は試料フィルム、
11は検出器、12は光源、13は入射光、14は出射
散乱光である。
【0042】本発明の透過光散乱性制御フィルムは必要
に応じて公知のハードコート処理、反射防止処理、妨眩
処理等を片面または両面に施しても良い。
【0043】なお、後述の実施例におけるその評価は次
のようにして行った。
【0044】(1)ヘーズ、全光線透過率測定:日本工
業規格JIS K7105『プラスチックの光学的特性
試験方法』に準じ積分球式光線透過率測定装置により測
定した。評価装置としては、日本電色工業(株)製の色
差・濁度測定器であるCOH−300Aを用いた。
【0045】(2)平行光線透過率入射角度依存性測定
および平行光線入射による出射光散乱状態の測定:光源
をハロゲンランプ、フォトマル検出器の前に、JIS
Z8701において定義されるY値を得るためのY視感
度フィルターが設定された光学系を有する大塚電子
(株)製の商品名「LCD5100」を用いた。検出器
の開口角は約3.5゜である。測定温度は25℃とし
た。平行光線透過率入射角度依存性測定における光学系
および平行光線入射による出射光散乱状態の測定におけ
る光学系概略図は、前述した図3や図4の通りである。
【0046】(3)液晶表示装置視野角評価:ノーマリ
ーホワイトツイストネマチック液晶表示装置の評価装置
としては、光源をハロゲンランプ、フォトマル検出器の
前に、JIS Z8701において定義されるY値を得
るためのY視感度フィルターが設定された光学系を有す
る大塚電子(株)製の商品名「LCD5100」を用い
た。検出器の開口角は約3.5゜である。測定光学系概
略図を図5に示す。測定温度は25℃とした。8階調表
示を行い、階調反転、黒潰れ、白抜け、コントラストを
評価することにより、上(c=180゜)下(c=0
゜)左(c=−90゜)右(c=90゜)方向における
視認性の良い範囲である視野角度を評価した。なお、本
評価法はSOCIETY FOR INFORMATI
ON DISPLAY INTERNATIONAL
SYMPOSIUM DIGESTOF TECHNI
CAL PAPERS /VOLUME XXIV,p5
61−564(1993)に記載の方法を参考にしてい
る。まず、液晶表示装置表面に対して法線方向に出射さ
れた光の電圧ー輝度曲線を測定し、8階調表示となるよ
うに電圧(V)をV1からV8(V1<V2<V3<V
4<V5<V6<V7<V8)まで決定し、さらに各階
調レベルの透過率範囲を透過率の高い範囲からレベル1
からレベル8まで決定する。ノーマリーホワイトである
ので電圧非印加状態の輝度を100%、検出器を遮蔽し
た状態の輝度を0%とする。フィルム表面に対する法線
方向とのなす角b(゜)に対する電圧V1からV8まで
変化させたときの透過率がどの階調レベルに属するかを
判定する。電圧がV1からV8まで連続的に変化すると
き、階調レベルが1から8まで連続的に変化するのが理
想である。法線方向とのなす角b(゜)は10゜毎で0
°から60゜までの測定とした。以下に視野角の判定基
準を具体的に説明する。
【0047】A.階調反転について 例えば、b(゜)がある角度のとき、V1からV8まで
の連続的な変化に対して、それぞれに対応する階調レベ
ルが(1,2,3,4,5,6,7,6)であるとき、
V7からV8のときの階調レベルが7から6へと変化し
ておりこの現象を階調反転と称する。この場合、その差
は1であるので階調反転レベル1とする。本実施例では
階調反転がないときを視野角範囲とした。
【0048】B.白抜けについて 例えば、b(゜)がある角度のとき、V1からV8まで
の連続的な変化に対して、それぞれに対応する階調レベ
ルが(1,2,2,2,3,4,5,6)であるとき、
V3のとき階調レベル3であるべきなのが2、V4のと
き階調レベル4であるべきなのが2、V5のとき階調レ
ベル5であるべきが3、V6のとき階調レベル6である
べきが4、V7のとき階調レベル7であるべきが5、V
8のとき階調レベル8であるべきが6と、それぞれの階
調電圧でとるべき階調レベルよりも小さい階調レベルす
なわち、輝度が高くなっている。このような現象を白抜
けと称する。この場合複数の白抜け現象が確認される
が、複数ある場合は一番数値の大きいものを採用する。
この場合は白抜けレベル2とする。本実施例では白抜け
レベル5までを視野角範囲とした。
【0049】C.黒潰れについて 例えば、b(゜)がある角度のとき、V1からV8まで
の連続的な変化に対して、それぞれに対応する階調レベ
ルが(1,2,3,4,5,8,8,8)であるとき、
V6のとき階調レベル6であるべきなのが8、V7のと
き階調レベル7であるべきが8と、それぞれの階調電圧
でとるべき階調レベルよりも大きい階調レベルすなわ
ち、輝度が低くなっている。このような現象を黒潰れと
称する。この場合も複数の黒潰れ現象が確認されるが、
複数ある場合は一番数値の大きいものを採用する。この
場合は黒潰れレベル2とする。本実施例では黒潰れレベ
ル3までを視野角範囲とした。
【0050】D.コントラスト b(゜)がある角度のとき、電圧V1とV8を印加した
際の輝度の比が、実施例1では5以上のときを、実施例
2では2以上のときを視野角範囲とした。
【0051】上記A,B,C,Dの各条件をすべて同時
に満足するときの角度範囲を視野角と定義した。
【0052】(4)原子間力顕微鏡によるフィルム表面
観察:セイコー電子工業(株)製の商品名「SFA30
0」である原子間力顕微鏡を用いて、フィルムの表面に
おける任意の20μm四方を測定した。溝の形状を表す
深さ、幅は、溝長手方向と直交する方向に一次元的に原
子間力顕微鏡の針を走査させ、本装置付属のソフトウエ
アによるプロファイルから算出した。
【0053】(5)走査型電子顕微鏡によるフィルム断
面観察:断面作製は液体窒素中で凍結割断を行い、約3
nmのプラチナコーテイングを行った。加速電圧は3.
0kV、走査型電子顕微鏡としては(株)日立製作所製
の商品名「S−900」を用いた。
【0054】(6)ガラス転移点温度の測定:TAイン
スツルメント・ジャパン(株)製の商品名「DSC29
20」及びその解析ソフトより求めた。ガラス転移点温
度はDSCチャートにガラス転移点として変化の現れる
付近における最大の傾きの点をガラス転移点と定義し
た。また、昇温速度は20℃/分とした。
【0055】(7)分光透過率測定 ダブルビームの平行光線を有する分光透過率測定は、
(株)日立製作所製の商品名「U−3500」にて測定
を行った。
【0056】
【実施例1】 (透過光散乱性制御フィルムの作製および評価)溶融製
膜法により、ポリ−4,4’−ジオキシジフェニール−
2,2−プロパンカ−ボネ−トからなる幅23cm、膜
厚125μmで、フィルム表面法線方向から入射した光
で測定して全光線透過率91%、ヘーズ0.3%、59
0nmにおけるΔn・dが15nmである透明フィルム
を得た。このポリカーボネート樹脂の数平均分子量、重
量平均分子量はそれぞれGPCによるポリスチレン換算
分子量で14000、45000であった。フィルムの
ガラス転移点温度は154℃であった。このフィルムを
図6の模式図に示すような縦30cm横30cmの加熱
延伸ゾーンを有する縦一軸延伸装置により、まず、フィ
ルム入口ロール速度を100mm/min、出口ロール
速度を170mm/min、延伸温度145℃で縦一軸
延伸を行った。次にこの延伸フィルムをフィルム入口ロ
ール速度を170mm/min、出口ロール速度を27
0mm/min、延伸温度143℃で縦一軸延伸を行う
ことにより縦一軸二段延伸を行った。延伸後の膜厚は7
1μmであった。なお、図6において、20〜23はニ
ップロール、24は加熱延伸ゾーン、25は熱可塑性高
分子樹脂フィルムである。この延伸温度は加熱延伸ゾー
ン中央部において、フィルムより2cm以内の距離のと
ころで熱電対により測定した。以下の実施例、比較例で
も延伸温度の測定法はこれと同じとした。また、延伸法
は乾式延伸であり以下の実施例、比較例はすべて乾式延
伸法である。
【0057】原子間力顕微鏡にてこのフィルム表面にお
ける任意の20μm四方を測定した像を図1に示す。図
1から溝が数本観測され、そのうち図1のほぼ中央付近
に見える溝は長さ20μm以上、幅が両端、中央部でそ
れぞれ0.7μm、0.6μm、0.6μm、深さが両
端、中央部でそれぞれ19nmである溝が存在してお
り、かつ溝の長手方向がほぼ延伸方向に垂直方向である
溝の存在を確認した。それらの溝の長さa(μm)と幅
b(μm)の比a/bは、2.0以上であることを確認
した。また、このフィルムの裏側についても同様な測定
を行ったが、同様の溝が存在することを確認した。この
溝の像はセイコー電子工業(株)製の商品名「SFA3
00」である原子間力顕微鏡に付属の解析ソフトウエア
を用いて立体的に表したものである。図中の濃淡は表面
の高低を示し、色の濃い部分が低い位置を表す。図1の
横方向が延伸方向である。また、図中、右側及び下側の
スケールはそれぞれ一目盛り5μmであり、以下図1
0、14、16、20、23、25においても同様であ
る。
【0058】該透過光散乱性制御フィルムに対して、フ
ィルム表面に垂直でかつ延伸方向に平行に切った断面に
対して走査型電子顕微鏡により観察を行った。空孔がフ
ィルム表面の垂直方向に連なった部分を多数有する構造
であることが分かった。
【0059】このフィルムの法線方向からの入射光に対
する全光線透過率は89.9%であり、ヘーズは56.
9%であった。次に大塚電子(株)製の商品名「LCD
5100」にて図3の光学系で、該光制御フィルムの平
行光線透過率を測定した。図3の光学系で延伸方向をR
=0゜と設定した。R=0゜のとき最小の平行光線透過
率であるTmin(%)=26.6%でこのときθmi
n=7゜、また最大の平行光線透過率はTmax=10
0%でこのときのθmax=60゜であった。θmin
<θmaxであり、Tmax/Tmin=3.8>1.
1(ただし、0゜≦θ≦60゜)であり、目的の光学特
性が得られていることを確認した。なお、この平行光線
透過率は相対的な値であり、本測定においてはθ=60
゜、R=0゜のときの平行光線透過率を100%と設定
した。また、図3の光学系で測定した平行光線透過率の
R,θ依存性を図7に示す。なお、図7ではR=0,9
0゜のときθを正の値で表し、一方、R=−90゜、1
80゜のときθを負の値で表した。また、図7ではR=
0゜、90゜、−90゜、180゜における平行光線透
過率のR依存性を一つの図に表したため、R=−90
゜、180゜のときθは負の値となっているが、式
(I)、(II)においては、これら負の値は正の値に
変換して考慮するものとする。以下の図11、15、1
7、21、24においても同様である。
【0060】また、分光透過率測定を行ったところ、測
定波長500nm,1500nmでの分光透過率はそれ
ぞれ30.4%,78.0%であった。
【0061】このフィルムを偏光顕微鏡により観察した
ところ、延伸方向に遅相軸のある光学異方性を有するこ
とを確認した。
【0062】また、このフィルムの両表面に対し、光開
始剤であるチバガイギー社製の商品名「イルガキュアー
184」を3重量%含むポリエステルアクリレート系モ
ノマーである東亜合成(株)製の商品名「M309」
を、1−メトキシ−2−プロパノールを溶剤に用いて塗
布し乾燥後、窒素雰囲気下にて紫外線硬化により4μm
の膜を形成し、上記光学特性を測定したが、ほぼ上記と
同様の光学特性を得た。
【0063】(液晶表示装置実装評価)バックライト光
源としては、市販品である日本電気(株)製の商品名
「PC−9801NS/E」に用いられているバックラ
イトシステムを用いた。液晶セルとしては、セルギャッ
プ8.1μmのITOおよびポリイミド付き90゜左ね
じれガラスセルを用い、液晶はメルク社製の商品名「S
811」を0.5重量%含有した同じくメルク社製の商
品名「ZLI2293」を用いて、90゜ツイストネマ
チックセルを作製した。表示部分であるITOの面積は
1×1cm2であった。さらに、図8に示すように、サ
ンリッツ(株)製の商品名「LLC2−9218S」で
ある偏光板を粘着剤を用いて本液晶セルの両側に貼り合
わせ、前述のバックライトシステムの上に設置すること
により、ノーマリーホワイトツイストネマチック液晶表
示装置を作製した。前述の評価方法により視野角を評価
した。図8においては、30はバックライト、31はバ
ックライト側偏光板、32はバックライト側偏光板透過
軸、33はバックライト側ガラス基板、34はバックラ
イト側ガラス基板上ポリイミド配向膜のラビング方向、
35は観測者側ガラス基板、36は観測者側ガラス基板
上ポリイミド配向膜のラビング方向、37は観測者側偏
光板、38は観測者側偏光板透過軸方向である。そのと
きの上下左右方向におけるb=0〜60゜に対応する各
階調レベルを表1に記す。表1より、左方向(c=−9
0゜)、右方向(c=90゜)、下方向(c=0゜)、
上方向(c=180゜)においてそれぞれ、20゜、3
0゜、10゜、10゜の視野角範囲を有していることが
判った。また、このとき用いた各階調電圧及び各階調の
輝度範囲を表3に記す。
【0064】さらに図8に示す構成に対し、上記におい
て作製した透過光散乱性制御フィルムを図9に示す構成
図のように偏光板の上に粘着剤を用いて設置し同様に評
価した。図9においては、40はバックライト、41は
バックライト側偏光板、42はバックライト偏光板透過
軸、43はバックライト側ガラス基板、44はバックラ
イト側ガラス基板上ポリイミド配向膜のラビング方向、
45は観測者側ガラス基板、46は観測者側ガラス基板
上ポリイミド配向膜のラビング方向、47は観測者側偏
光板、48は観測者側偏光板透過軸方向、49は透過光
散乱性制御フィルム、50は透過光散乱性制御フィルム
の延伸軸方向である。
【0065】そのときの上下左右方向におけるb=0〜
60゜に対応する各階調レベルを表2に記す。表2よ
り、左方向(c=−90゜)、右方向(c=90゜)、
下方向(c=0゜)、上方向(c=180゜)において
それぞれ、30゜、20゜、30゜、20゜の視野角範
囲を有していることが判った。また、このとき用いた各
階調電圧及び各階調の輝度範囲を表4に記す。すなわ
ち、本発明の光制御フィルムを用いることにより、左右
はほとんど変化しないものの、特に上下方向において視
野角範囲が拡大することが示された。
【0066】なお、図8、9の構成図に表示されている
角度および上記の上下左右方向の角度の定義は、図5の
測定光学系に記載されているものと同じである。
【0067】
【実施例2】 (透過光散乱性制御フィルムの作製および評価)溶媒を
メチレンクロライドとした流延製膜法によりポリカーボ
ネート(帝人化成(株)製商品名「C1400」を使
用)からなる幅15cm、膜厚75μmで、フィルム表
面法線方向から入射した光で測定して全光線透過率91
%、ヘーズ0.3%、590nmにおけるΔn・dが1
0nmである透明フィルムを得た。このポリカーボネー
トのGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー)法によるポリスチレン換算数平均分子量は2200
0、重量平均分子量は74000であった。また、この
フィルムのメチレンクロライド含有量は乾燥重量法で測
定して0.2重量%であった。フィルムのガラス転移点
温度は159℃であった。このフィルムを図6の模式図
に示すような縦30cm横30cmの加熱延伸ゾーンを
有する縦一軸延伸装置により、まず、フィルム入口ロー
ル速度を100mm/min、出口ロール速度を170
mm/min、延伸温度153℃で縦一軸延伸を行っ
た。次にこの延伸フィルムをフィルム入口ロール速度を
50mm/min、出口ロール速度を79mm/mi
n、延伸温度151℃で縦一軸延伸を行うことにより縦
一軸二段延伸を行った。延伸後の膜厚は43μmであっ
た。
【0068】原子間力顕微鏡にてこのフィルム表面にお
ける任意の20μm四方を測定した像を図10に示す。
図10から多数の溝が観測され、そのうちの1つの溝は
長さ10μm以上、幅が両端、中央部でそれぞれ0.5
μm、0.5μm、0.6μm、深さが両端、中央部で
それぞれ12nmである溝が存在しており、かつ溝の長
手方向がほぼ延伸方向に垂直方向である溝の存在を確認
した。他の溝に関しても、延伸方向に対してほぼ垂直で
あり、かつ、溝の長さは5μm以上、溝の幅が0.01
〜3μm、溝の深さが1〜200nmの範囲にあること
が判った。また、それらの溝の長さa(μm)と幅b
(μm)の比a/bが2.0以上であることを確認し
た。また、このフィルムの裏側についても同様な測定を
行ったが、同様の溝が存在することを確認した。この溝
の像はセイコー電子工業(株)製の商品名「SFA30
0」である原子間力顕微鏡に付属の解析ソフトウエアを
用いて立体的に表したものである。図中の濃淡は表面の
高低を示し、色の濃い部分が低い位置を表す。図10の
横方向が延伸方向である。
【0069】該透過光散乱性制御フィルムに対して、フ
ィルム表面に垂直でかつ延伸方向に平行に切った断面に
対して走査型電子顕微鏡により観察を行った。空孔がフ
ィルム表面の垂直方向に連なった部分を多数有する構造
であることが分かった。
【0070】このフィルムの法線方向からの入射光に対
する全光線透過率は90.1%であり、ヘーズは60.
1%であった。次に大塚電子(株)製の商品名「LCD
5100」にて図3の光学系で、該透過光散乱性制御フ
ィルムの平行光線透過率を測定した。図3の光学系で延
伸方向をR=0゜と設定した。R=0゜のとき最小の平
行光線透過率であるTmin(%)=29.8%でこの
ときθmin=20゜、また最大の平行光線透過率はT
max=100%でこのときのθmax=60゜であっ
た。θmin<θmaxであり、Tmax/Tmin=
3.4>1.1(ただし、0゜≦θ≦60゜)であり、
目的の光学特性が得られていることを確認した。なお、
この平行光線透過率は相対的な値であり、本測定におい
てはθ=60゜、R=0゜のときの平行光線透過率を1
00%と設定した。また、図3の光学系で測定した平行
光線透過率のR,θ依存性を図11に示す。
【0071】また、分光透過率測定を行ったところ、測
定波長500nm,1500nmでの分光透過率はそれ
ぞれ29.0%,77.1%であった。
【0072】このフィルムを偏光顕微鏡により観察した
ところ、延伸方向に遅相軸のある光学異方性を有するこ
とを確認した。
【0073】また、このフィルムの両表面に対し、光開
始剤であるチバガイギー社製の商品名「イルガキュアー
184」を3重量%含むポリエステルアクリレート系モ
ノマーである東亜合成(株)製の商品名「M309」
を、1−メトキシ−2−プロパノールを溶剤に用いて塗
布し乾燥後、窒素雰囲気下にて紫外線硬化により4μm
の膜を形成し、上記光学特性を測定したが、ほぼ上記と
同様の光学特性を得た。
【0074】(液晶表示装置実装評価)バックライト光
源としては、市販品である日本電気(株)製の商品名
「PC−9801NS/E」に用いられているバックラ
イトシステムを用いた。液晶セルとしては、セルギャッ
プ5.2μmのITOおよびポリイミド付き90゜左ね
じれガラスセルを用い、液晶はメルク社製の商品名「S
811」を0.3重量%含有した同じくメルク社製の商
品名「ZLI4792」を用いて、90゜ツイストネマ
チックセルを作製した。表示部分であるITOの面積は
1×1cm2であった。さらに、図12に示すように、
サンリッツ(株)製の商品名「LLC2−9218S」
である偏光板を粘着剤を用いて本液晶セルの両側に貼り
合わせ、前述のバックライトシステムの上に設置するこ
とにより、ノーマリーホワイトツイストネマチック液晶
表示装置を作製した。前述の評価方法により視野角を評
価した。そのときの上下左右方向におけるb=0〜60
゜に対応する各階調レベルを表5に記す。表5より、左
方向(c=−90゜)、右方向(c=90゜)、下方向
(c=0゜)、上方向(c=180゜)においてそれぞ
れ、40゜、40゜、20゜、10゜の視野角範囲を有
していることが判った。また、このとき用いた各階調電
圧及び各階調の輝度範囲を表7に記す。
【0075】さらに図12に示す構成に対し、上記にお
いて作製した透過光散乱性制御フィルムを図13に示す
構成図のように偏光板の上に粘着剤を用いて設置し同様
に評価した。そのときの上下左右方向におけるb=0〜
60゜に対応する各階調レベルを表6に記す。表6よ
り、左方向(c=−90゜)、右方向(c=90゜)、
下方向(c=0゜)、上方向(c=180゜)において
それぞれ、40゜、40゜、30゜、20゜の視野角範
囲を有していることが判った。また、このとき用いた各
階調電圧及び各階調の輝度範囲を表8に記す。すなわ
ち、この実施例においては、本発明の透過光散乱性制御
フィルムを用いることにより、特に上下方向の視野角範
囲が拡大することが示された。
【0076】なお、図12、13の構成図に表示されて
いる角度および上記の上下左右方向の角度の定義は、図
5の測定光学系に記載されているものと同じである。
【0077】
【実施例3】メチレンクロライドを溶媒とした流延製膜
法により、ポリ−4,4’−ジオキシジフェニール−
2,2−プロパンカ−ボネ−ト(帝人化成(株)製の商
品名「C1400」を使用)からなる幅15cm、膜厚
75μmで、フィルム表面法線方向から入射した光で測
定して全光線透過率91%、ヘーズ0.3%、590n
mにおけるΔn・dが5nmである透明フィルムを得
た。このポリカーボネート樹脂の数平均分子量、重量平
均分子量はGPCによるポリスチレン換算分子量でそれ
ぞれ22000、74000であった。フィルムのガラ
ス転移点温度は119℃であった。また、このフィルム
のメチレンクロライド含有量は乾燥重量法で測定して4
重量%であった。このフィルムを図6の模式図に示すよ
うな縦30cm横30cmの加熱延伸ゾーンを有する縦
一軸延伸装置により、入口、出口ロール速度比を2.2
倍、延伸温度104℃で縦一軸延伸を行った。延伸後の
膜厚は40.2μmであった。
【0078】原子間力顕微鏡にてこのフィルム表面にお
ける任意の20μm四方を測定した像を図14に示す。
図14中央部分に溝が観測され、そのうち中央付近に見
える溝は長さ10μm以上、幅が両端、中央部でそれぞ
れ5μm、4μm、8μm、深さが両端、中央部でそれ
ぞれ50nm、40nm、80nmである溝が存在して
おり、かつ溝の長手方向がほぼ延伸方向に垂直方向であ
る溝の存在を確認した。また、このフィルムの裏側につ
いても同様な測定を行ったが、同様の溝が存在すること
を確認した。この溝の像はセイコー電子工業(株)製の
商品名「SFA300」である原子間力顕微鏡に付属の
解析ソフトウエアを用いて立体的に表したものである。
図中の濃淡は表面の高低を示し、色の濃い部分が低い位
置を表す。図14の横方向が延伸方向である。
【0079】該光制御フィルムに対して、フィルム表面
に垂直でかつ延伸方向に平行に切った断面に対して走査
型電子顕微鏡により観察を行った。空孔を多数有する構
造であることが分かった。
【0080】このフィルムの法線方向からの入射光に対
する全光線透過率は88.7%であり、ヘーズは49.
0%であった。次に大塚電子(株)製の商品名「LCD
5100」にて図3の光学系で、該光制御フィルムの平
行光線透過率を測定した。図3の光学系で延伸方向をR
=0゜と設定した。R=0゜のとき最小の平行光線透過
率であるTmin(%)=2.2%でこのときθmin
=60゜、また最大の平行光線透過率はTmax=10
0%でこのときのθmax=0゜であった。θmin>
θmaxであり、{Tmax×cos(θmin)}/
{Tmin×cos(θmax)}=22.7>1.5
(ただし、0゜≦θ≦60゜)であり、目的の光学特性
が得られていることを確認した。なお、本測定において
はθ=60゜、R=0゜のときの平行光線透過率を10
0%と設定した。図3の光学系にてR=0,90,−9
0、180゜の際にθを0〜60゜変化させたときの平
行光線透過率を図15に示す。フィルムを通して観測者
に対して反対側の景色を観察した際、θ=60゜以上で
は曇って景色は見えないが、0゜にすると光が良く透過
するようになり、景色が見えやすくなるのが確認され
た。
【0081】また、分光透過率測定を行ったところ、測
定波長500nm,1500nmでの分光透過率はそれ
ぞれ42.9%,46.7%であった。
【0082】このフィルムの両表面に対し、光開始剤で
あるチバガイギー社製の商品名「イルガキュアー18
4」を3重量%含むポリエステルアクリレート系モノマ
ーである東亜合成(株)製の商品名「M309」を、1
−メトキシ−2−プロパノールを溶剤に用いて塗布し乾
燥後、窒素雰囲気下にて紫外線硬化により4μmの膜を
形成し、上記光学特性を測定したが、ほぼ上記と同様の
光学特性を得た。
【0083】
【実施例4】溶媒をメチレンクロライドとした流延製膜
法により、ポリ−4,4’−ジオキシジフェニール−
2,2−プロパンカ−ボネ−ト(帝人化成(株)製の商
品名「C1400」を使用)からなる幅15cm、膜厚
75μmで、フィルム表面法線方向から入射した光で測
定して全光線透過率91%、ヘーズ0.3%、590n
mにおけるΔn・dが7nmである透明フィルムを得
た。このポリカーボネート樹脂の数平均分子量、重量平
均分子量はGPCによるポリスチレン換算分子量でそれ
ぞれ22000、74000であった。また、このフィ
ルムのメチレンクロライド含有量は乾燥重量法で測定し
てポリカーボネート重量対比0.2重量%であった。フ
ィルムのガラス転移点温度は159℃であった。このフ
ィルムを図6の模式図に示すような縦30cm横30c
mの加熱延伸ゾーンを有する縦一軸延伸装置により、ま
ず、フィルム入口ロール速度を100mm/min、出
口ロール速度を170mm/min、延伸温度153℃
で縦一軸延伸を行った。次にこの延伸フィルムをフィル
ム入口ロール速度を30mm/min、出口ロール速度
を48mm/min、延伸温度151℃で縦一軸延伸を
行うことにより縦一軸二段延伸を行った。延伸後の膜厚
は44μmであった。
【0084】原子間力顕微鏡にてこのフィルム表面にお
ける任意の20μm四方を測定した像を図16に示す。
図16から溝が複数観測され、そのうちのいくつかは溝
の方向のばらつきが±10度以内、溝の長さが5μm以
上、溝の幅が0.01〜15μm、溝の深さが1〜20
0nmであることを満足している。
【0085】また、このフィルムの裏側についても同様
な測定を行ったが、同様の溝が存在することを確認し
た。この溝の像はセイコー電子工業(株)製の商品名
「SFA300」である原子間力顕微鏡に付属の解析ソ
フトウエアを用いて立体的に表したものである。図中の
濃淡は表面の高低を示し、色の濃い部分が低い位置を表
す。図16の横方向が延伸方向である。
【0086】該光制御フィルムに対して、フィルム表面
に垂直でかつ延伸方向に平行に切った断面に対して走査
型電子顕微鏡により観察を行った。空孔がフィルム表面
の垂直方向に連なった部分を多数有する構造であること
を確認した。
【0087】このフィルムの法線方向からの入射光に対
する全光線透過率は88.5%であり、ヘーズは80.
8%であった。次に大塚電子(株)製の商品名「LCD
5100」にて図3の光学系で、該光制御フィルムの平
行光線透過率を測定した。図3の光学系で延伸方向をR
=0゜と設定した。R=0゜のとき最小の平行光線透過
率であるTmin(%)=10%でこのときθmin=
18゜、また最大の平行光線透過率はTmax=100
%でこのときのθmax=60゜であった。θmin<
θmaxであり、Tmax/Tmin=10>1.5
(ただし、0゜≦θ≦60゜)であり、目的の光学特性
が得られていることを確認した。なお、本測定において
はθ=60゜、R=0゜のときの平行光線透過率を10
0%と設定した。図3の光学系にてR=0,90,−9
0,180゜の際にθを0〜60゜変化させたときの平
行光線透過率を図17に示す。フィルムを通して観測者
に対して反対側の景色を観察した際、θ=18゜付近で
は曇って景色は見えないが、60゜以上にすると光が良
く透過するようになり、景色が見えやすくなるのが確認
された。
【0088】また、図4の光学系を用いて、平行光線を
フィルム表面の法線方向から入射した場合、平行光線の
進む方向を中心に回転させた角度をα=0,90,−9
0,180゜とし、出射散乱光と放線とのなす角をβ
(゜)として、0゜から60゜まで変化させたときの散
乱光強度分布を図18に示す。図18より、例えばβ=
20゜のときα=90゜であれば散乱光強度0%である
が、α=0゜であれば散乱光強度35%であり、等方的
に散乱するのではなく異方的に散乱していることが判っ
た。本測定においてはα=0゜、β=0゜のときの散乱
光強度を100%と設定した。なお、図18ではα=
0,90゜のときβを正の値で表し、一方、α=−90
゜、180゜のときβを負の値で表した。
【0089】また、分光透過率測定を行ったところ、測
定波長500nm,1500nmでの分光透過率はそれ
ぞれ8.6%,58.3%であった。
【0090】このフィルムを室内のガラス窓に粘着剤を
用いて貼り合わせたところ、α=0゜方位には外光を強
く散乱するものの、α=±90゜方位では非常に弱い散
乱となり、本フィルムの異方散乱を利用して室内の外光
の採り入れ方を制御できることが示された。
【0091】このフィルムを偏光顕微鏡により観察した
ところ、延伸方向に遅相軸のある光学異方性を有するこ
とを確認した。
【0092】また、このフィルムの両表面に対し、光開
始剤であるチバガイギー社製の商品名「イルガキュアー
184」を3重量%含むポリエステルアクリレート系モ
ノマーである東亜合成(株)製の商品名「M309」
を、1−メトキシ−2−プロパノールを溶剤に用いて塗
布し乾燥後、窒素雰囲気下にて紫外線硬化により4μm
の膜を形成し、上記光学特性を測定したが、ほぼ上記と
同様の光学特性を得た。
【0093】
【実施例5】溶融製膜法により、ポリエチレンナフタレ
ートからなる幅30cm、膜厚90μmで、フィルム表
面法線方向から入射した光で測定して全光線透過率89
%、ヘーズ0.7%、590nmにおけるΔn・dが2
0nmである透明フィルムを得た。このポリエチレンナ
フタレート樹脂の粘度平均分子量は20000であっ
た。このフィルムを幅35mm、長さ80mmに切り出
し、図19の模式図に示すように、恒温槽の中で片側の
フィルム端を固定し、もう一方の端を金属チャックで引
っ張り、温度70℃、倍率5.3倍で幅自由縦一軸延伸
を行った。チャック間距離は20mmとした。
【0094】原子間力顕微鏡にてこのフィルム表面にお
ける任意の20μm四方を測定した像を図20に示す。
複数の溝が存在し、さらに溝の方向は角度のばらつきが
延伸方向の垂直方向を中心として±20度以内、溝の長
さは5μm以上、溝の幅が0.01〜15μm、溝の深
さが1〜200nmである溝の存在を確認した。
【0095】また、このフィルムの裏側についても同様
な測定を行ったが、同様の溝が存在することを確認し
た。図20の横方向が延伸方向である。
【0096】該透過光散乱性制御フィルムに対して、フ
ィルム表面に垂直でかつ延伸方向に平行に切った断面に
対して走査型電子顕微鏡により観察を行った。空孔を多
数有する構造であることを確認した。
【0097】このフィルムの法線方向からの入射光に対
する全光線透過率は71.6%であり、ヘーズは59.
0%であった。次に大塚電子(株)製の商品名「LCD
5100」にて図3の光学系で、該光制御フィルムの平
行光線透過率を測定した。図3の光学系で延伸方向をR
=0゜と設定した。R=0゜のとき最小の平行光線透過
率であるTmin(%)=43.7%でこのときθmi
n=5゜、また最大の平行光線透過率はTmax=10
0%でこのときのθmax=30゜であった。θmin
<θmaxであり、Tmax/Tmin=2.3>1.
5(ただし、0゜≦θ≦60゜)であり、目的の光学特
性が得られていることを確認した。なお、本測定におい
てはθ=30゜、R=0゜のときの平行光線透過率を1
00%と設定した。図3の光学系にてR=0,90,−
90,180゜の際にθを0〜60゜変化させたときの
平行光線透過率を図21に示す。フィルムを通して観測
者に対して反対側の景色を観察した際、θ=5゜付近で
は曇って景色は見えにくいが、30゜付近では光が良く
透過するようになり、景色が見えやすくなるのが確認さ
れた。
【0098】また、図4の光学系を用いて、平行光線を
フィルム表面の法線方向から入射した場合、平行光線の
進む方向を中心に回転させた角度をα=0,90,−9
0,180゜とし、出射散乱光と放線とのなす角をβ
(゜)として、0゜から60゜まで変化させたときの散
乱光強度分布を図22に示す。図22より、例えばβ=
10゜のときα=90゜であれば散乱光強度はほぼ0%
であるが、α=0゜であれば散乱光強度28%であり、
等方的に散乱するのではなく異方的に散乱していること
が判った。本測定においてはα=0゜、β=0゜のとき
の散乱光強度を100%と設定した。なお、図22では
α=0,90゜のときβを正の値で表し、一方、α=−
90゜、180゜のときβを負の値で表した。
【0099】また、分光透過率測定を行ったところ、測
定波長500nm,1500nmでの分光透過率はそれ
ぞれ15.6%,86.4%であった。
【0100】このフィルムを室内のガラス窓に粘着剤を
用いて貼り合わせたところ、α=0゜方位には外光を強
く散乱するものの、α=±90゜方位では非常に弱い散
乱となり、本フィルムの異方散乱を利用して室内の外光
の採り入れ方を制御できることが示された。
【0101】このフィルムを偏光顕微鏡により観察した
ところ、延伸方向に遅相軸のある光学異方性を有するこ
とを確認した。
【0102】また、このフィルムの両表面に対し、光開
始剤であるチバガイギー社製の商品名「イルガキュアー
184」を3重量%含むポリエステルアクリレート系モ
ノマーである東亜合成(株)製の商品名「M309」
を、1−メトキシ−2−プロパノールを溶剤に用いて塗
布し乾燥後、窒素雰囲気下にて紫外線硬化により4μm
の膜を形成し、上記光学特性を測定したが、ほぼ上記と
同様の光学特性を得た。
【0103】
【実施例6】メチレンクロライドを溶媒とした流延製膜
法により、ポリ−4,4’−ジオキシジフェニール−
2,2−プロパンカ−ボネ−ト(帝人化成(株)製の商
品名「C1400」を使用)からなる幅15cm、膜厚
75μmで、フィルム表面法線方向から入射した光で測
定して全光線透過率91%、ヘーズ0.4%、590n
mにおけるΔn・dが5nmである透明フィルムを得
た。このポリカーボネート樹脂の数平均分子量、重量平
均分子量はGPCによるポリスチレン換算分子量でそれ
ぞれ、22000、74000であった。フィルムのガ
ラス転移点温度は119℃であった。また、このフィル
ムのメチレンクロライド含有量は乾燥重量法で測定して
4重量%であった。このフィルムを図6の模式図に示す
ような縦30cm横30cmの加熱延伸ゾーンを有する
縦一軸延伸装置により、入口、出口ロール速度比を2.
7倍、延伸温度104℃で縦一軸延伸を行った。延伸後
の膜厚は38.7μmであった。
【0104】原子間力顕微鏡にてこのフィルム表面にお
ける任意の20μm四方を測定した像を図23に示す。
数本の溝が観測され、そのうち中央右寄りに見える溝は
長さ10μm以上、幅が両端、中央部でそれぞれ4μ
m、5μm、5μm、深さが両端、中央部でそれぞれ1
0nm、12nm、7nmである溝が存在しており、か
つ溝の長手方向がほぼ延伸方向に垂直方向である溝の存
在を確認した。また、このフィルムの裏側についても同
様な測定を行ったが、同様の溝が存在することを確認し
た。この溝の像はセイコー電子工業(株)製の商品名
「SFA300」である原子間力顕微鏡に付属の解析ソ
フトウエアを用いて立体的に表したものである。図中の
濃淡は表面の高低を示し、色の濃い部分が低い位置を表
す。図23の横方向が延伸方向である。
【0105】該透過光散乱性制御フィルムに対して、フ
ィルム表面に垂直でかつ延伸方向に平行に切った断面に
対して走査型電子顕微鏡により観察を行った。空孔を多
数有する構造であることが分かった。
【0106】このフィルムの法線方向からの入射光に対
する全光線透過率は89.6%であり、ヘーズは62.
6%であった。次に大塚電子(株)製の商品名「LCD
5100」にて図3の光学系で、該光制御フィルムの平
行光線透過率を測定した。図3の光学系で延伸方向をR
=0゜と設定した。R=0゜のとき最小の平行光線透過
率であるTmin(%)=19.4%でこのときθmi
n=8゜、また最大の平行光線透過率はTmax=10
0%でこのときのθmax=60゜であった。θmin
<θmaxであり、Tmax/Tmin=5.2>1.
5(ただし、0゜≦θ≦60゜)であり、目的の光学特
性が得られていることを確認した。なお、本測定におい
てはθ=60゜、R=0゜のときの平行光線透過率を1
00%と設定した。図3の光学系にてR=0,90,−
90,180゜の際にθを0〜60゜変化させたときの
平行光線透過率を図24に示す。
【0107】また、分光透過率測定を行ったところ、測
定波長500nm,1500nmでの分光透過率はそれ
ぞれ26.3%,83.0%であった。
【0108】さらにこのフィルムを、市販ノートブック
型のパーソナルコンピュータ(富士通(株)製の商品名
「FMV−575NU/Y」)に付随するSTN(スー
パーツイストネマチック)モードの液晶表示装置に、延
伸軸を画面縦方向として粘着剤を介して偏光板上に1枚
貼り合わせた。目視により観察したところ、画面横方向
の視野角は装着前とほぼ同様であるが、上下方向におい
て階調反転及び黒つぶれの生じない領域が拡大すること
が確認された。下方向の方がより効果が大きいことが分
かった。さらに、大塚電子(株)製商品名「LCD51
00」にて本フィルム装着、未装着の場合の正面光強度
(Y)を測定したところ、未装着の場合の光強度を10
0%とした場合、装着した場合は85%であった。
【0109】このフィルムの両表面に対し、光開始剤で
あるチバガイギー社製の商品名「イルガキュアー18
4」を3重量%含むポリエステルアクリレート系モノマ
ーである東亜合成(株)製の商品名「M309」を、1
−メトキシ−2−プロパノールを溶剤に用いて塗布し乾
燥後、窒素雰囲気下にて紫外線硬化により4μmの膜を
形成し、上記光学特性を測定したが、ほぼ上記と同様の
光学特性を得た。
【0110】
【比較例1】溶媒をメチレンクロライドとした流延製膜
法により、ポリ−4,4’−ジオキシジフェニール−
2,2−プロパンカ−ボネ−ト(帝人化成(株)製の商
品名「C1400」を使用)からなる幅15cm、膜厚
75μmで、フィルム表面法線方向から入射した光で測
定して全光線透過率91%、ヘーズ0.3%、590n
mにおけるΔn・dが7nmである透明フィルムを得
た。このポリカーボネート樹脂の数平均分子量、重量平
均分子量はGPCによるポリスチレン換算分子量でそれ
ぞれ22000、74000であった。また、このフィ
ルムのメチレンクロライド含有量は乾燥重量法で測定し
てポリカーボネート重量対比0.2重量%であった。フ
ィルムのガラス転移点温度は159℃であった。このフ
ィルムを図6の模式図に示すような縦30cm横30c
mの加熱延伸ゾーンを有する縦一軸延伸装置により、入
口ロール速度を100mm/min、出口ロール速度を
270mm/min、加熱ゾーン内平均温度を160℃
とし縦一軸延伸を実施した。
【0111】原子間力顕微鏡にてこのフィルム表面にお
ける任意の20μm四方を測定した像を図25に示す。
図25から、多数の球状または楕円状の空孔が20個以
上存在しており、明確な溝が確認できなかった。図25
の横方向が延伸方向である。
【0112】このフィルムのヘーズ及び全光線透過率を
測定したところ、それぞれ91.3%、42.0%であ
り、目的の光学特性を満足できないことが分かった。
【0113】また、分光透過率測定を行ったところ、測
定波長500nm,1500nmでの分光透過率はそれ
ぞれ0.2%,30.5%であった。
【0114】
【比較例2】溶媒をメチレンクロライドとした流延製膜
法により、ポリ−4,4’−ジオキシジフェニール−
2,2−プロパンカ−ボネ−ト(帝人化成(株)製商品
名「C1400」を使用)からなる幅15cm、膜厚7
5μmで、フィルム表面法線方向から入射した光で測定
して全光線透過率91%、ヘーズ0.3%、590nm
におけるΔn・dが8nmである透明フィルムを得た。
このポリカーボネート樹脂の数平均分子量、重量平均分
子量はGPCによるポリスチレン換算分子量でそれぞれ
22000、74000であった。また、このフィルム
のメチレンクロライド含有量は乾燥重量法で測定してポ
リカーボネート重量対比0.2重量%であった。フィル
ムのガラス転移点温度は159℃であった。このフィル
ムを図6の模式図に示すような縦30cm横30cmの
加熱延伸ゾーンを有する縦一軸延伸装置により、入口ロ
ール速度100mm/min、出口ロール速度110m
m/min、加熱ゾーン内平均温度を157℃とし縦一
軸延伸を実施した。
【0115】原子間力顕微鏡にてこのフィルム表面にお
ける任意の20μm四方を測定したところ、延伸によっ
て生成した溝の存在は確認されなかった。
【0116】このフィルムのヘーズ及び全光線透過率を
測定したところ、それぞれ0.3%、91%であり、さ
らに平行光線透過率の角度依存性を測定したが、目的の
光学特性を満足できないことが分かった。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
【0119】
【表3】
【0120】
【表4】
【0121】
【表5】
【0122】
【表6】
【0123】
【表7】
【0124】
【表8】
【0125】
【発明の効果】本発明は、熱可塑性高分子樹脂フィルム
表面に、延伸方向とは垂直方向に延びた溝が生じるよう
に一軸延伸することを特徴とする透過光散乱性制御フィ
ルムの製造方法に関するものであり、本発明の製造方法
によって、入射角によりヘーズが異なるため、入射角度
により平行光線透過率が異なるといった特徴を利用した
視角制御板が得られ、また、その製造方法によって得ら
れたフィルムを液晶表示装置に用いた場合には、画質、
特に視野角を広げることの可能な視野角改善フィルム等
として好適に用いられる透過光散乱性制御フィルムを安
価で提供することができるといった効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における透過光散乱性制御フィルム表
面の原子間力顕微鏡による撮影像
【図2】本発明フィルム表面における溝の短径及び深さ
の定義の説明図
【図3】平行光線透過率入射角度依存性測定における光
学系概略図
【図4】平行光線入射による出射光散乱状態の測定にお
ける光学系概略図
【図5】液晶表示装置測定光学系概略図
【図6】実施例1、2、3、4、6及び比較例1、2に
おける縦一軸延伸装置加熱延伸ゾーン付近の概略図
【図7】実施例1における透過光散乱性制御フィルムの
平行光線透過率角度依存性
【図8】実施例1における本発明の透過光散乱性制御フ
ィルムを用いていない液晶表示装置概略図
【図9】実施例1における本発明の透過光散乱性制御フ
ィルムを用いた液晶表示装置概略図
【図10】実施例2における透過光散乱性制御フィルム
表面の原子間力顕微鏡による撮影像
【図11】実施例2における透過光散乱性制御フィルム
の平行光線透過率角度依存性
【図12】実施例2における本発明の透過光散乱性制御
フィルムを用いていない液晶表示装置概略図
【図13】実施例2における本発明の透過光散乱性制御
フィルムを用いた液晶表示装置概略図
【図14】実施例3における透過光散乱性制御フィルム
表面の原子間力顕微鏡による撮影像
【図15】実施例3における透過光散乱性制御フィルム
の平行光線透過率角度依存性
【図16】実施例4における透過光散乱性制御フィルム
表面の原子間力顕微鏡による撮影像
【図17】実施例4における透過光散乱性制御フィルム
の平行光線透過率角度依存性
【図18】実施例4における透過光散乱性制御フィルム
の平行光線入射による出射光散乱状態
【図19】実施例5における一軸延伸装置概略図
【図20】実施例5における透過光散乱性制御フィルム
表面の原子間力顕微鏡による撮影像
【図21】実施例5における透過光散乱性制御フィルム
の平行光線透過率角度依存性
【図22】実施例5における透過光散乱性制御フィルム
の平行光線入射による出射光散乱状態
【図23】実施例6における透過光散乱性制御フィルム
表面の原子間力顕微鏡による撮影像
【図24】実施例6における透過光散乱性制御フィルム
の平行光線透過率角度依存性
【図25】比較例1における延伸フィルム表面の原子間
力顕微鏡による撮影像
【符号の説明】
3 光源 4 検出器 5 平行光線 6 本発明の透過光散乱性制御フィルム 10 本発明の透過光散乱性制御フィルム 11 検出器 12 光源 13 入射平行光線 14 出射散乱光線 15 液晶表示装置 16 検出器 17 測定される光線 20,21,22,23 ニップロール 24 加熱延伸ゾーン 25 熱可塑性高分子樹脂フィルム 30 バックライト 31 バックライト側偏光板 32 バックライト側偏光板透過軸 33 バックライト側ガラス基板 34 バックライト側ガラス基板上ポリイミド配向膜の
ラビング方向 35 観測者側ガラス基板 36 観測者側ガラス基板上ポリイミド配向膜のラビン
グ方向 37 観測者側偏光板 38 観測者側偏光板透過軸方向 40 バックライト 41 バックライト側偏光板 42 バックライト側偏光板透過軸 43 バックライト側ガラス基板 44 バックライト側ガラス基板上ポリイミド配向膜の
ラビング方向 45 観測者側ガラス基板 46 観測者側ガラス基板上ポリイミド配向膜のラビン
グ方向 47 観測者側偏光板 48 観測者側偏光板透過軸方向 49 透過光散乱性制御フィルム 50 透過光散乱性制御フィルムの延伸軸方向 60 バックライト 61 バックライト側偏光板 62 バックライト側偏光板透過軸 63 バックライト側ガラス基板 64 バックライト側ガラス基板上ポリイミド配向膜の
ラビング方向 65 観測者側ガラス基板 66 観測者側ガラス基板上ポリイミド配向膜のラビン
グ方向 67 観測者側偏光板 68 観測者側偏光板透過軸方向 70 バックライト 71 バックライト側偏光板 72 バックライト側偏光板透過軸 73 バックライト側ガラス基板 74 バックライト側ガラス基板上ポリイミド配向膜の
ラビング方向 75 観測者側ガラス基板 76 観測者側ガラス基板上ポリイミド配向膜のラビン
グ方向 77 観測者側偏光板 78 観測者側偏光板透過軸方向 79 透過光散乱性制御フィルム 80 透過光散乱性制御フィルムの延伸軸方向 90 熱可塑性高分子樹脂フィルム 91 移動チャック 92 固定チャック 93 チャック移動方向 100 測定した領域内において、接線の傾きがJIS
B0601−1982に記載される平均線(直線)に
平行となりかつ溝の最も深い位置103から最も103
に近くにある点104における接線と、点104と点1
03の間にあって、最も傾きの急な点106における接
線との交点 101 点100、102の中点 102 点100と同様にして決定される点 103 溝の最も深い点 104 測定した領域内において、接線の傾きがJIS
B0601−1982に記載される平均線(直線)に
平行な直線と、表面一次元プロファイルとの交点 106 点104と点103の間にあって、最も傾きの
急な点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 11:00

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性高分子樹脂フィルムを一軸延伸
    して透過光散乱性制御フィルムを製造する方法におい
    て、熱可塑性高分子樹脂フィルム表面に、延伸方向とは
    垂直方向に延びた溝が生じるように一軸延伸することを
    特徴とする透過光散乱性制御フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 延伸方向とは垂直方向に延びた溝が、フ
    ィルム表面上の任意の20μm四方の範囲において、単
    独あるいは複数の溝が存在し、さらに溝の方向は角度の
    ばらつきが延伸方向の垂直方向を中心として±20度以
    内となるように一軸延伸することを特徴とする請求項1
    記載の透過光散乱性制御フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 延伸方向とは垂直方向に延びた溝が、フ
    ィルム表面上の任意の20μm四方の範囲において、単
    独あるいは複数の溝が存在し、かつ溝の長さが5μm以
    上となるように一軸延伸することを特徴とする請求項1
    〜2のいずれかに記載の透過光散乱性制御フィルムの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 延伸方向とは垂直方向に延びた溝が、フ
    ィルム表面上の任意の20μm四方の範囲において、単
    独あるいは複数の溝が存在し、かつ溝の幅が0.01〜
    15μmとなるように一軸延伸することを特徴とする請
    求項1〜3のいずれかに記載の透過光散乱性制御フィル
    ムの製造方法。
  5. 【請求項5】 延伸方向とは垂直方向に延びた溝が、フ
    ィルム表面上の任意の20μm四方の範囲において、単
    独あるいは複数の溝が存在し、かつ溝の深さが1〜20
    0nmとなるように一軸延伸することを特徴とする請求
    項1〜4のいずれかに記載の透過光散乱性制御フィルム
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 延伸方向とは垂直方向に延びた溝が、フ
    ィルム表面上の任意の20μm四方の範囲において、単
    独あるいは複数の溝が存在し、かつ溝の長さa(μm)
    と幅b(μm)の比a/bが1.5以上であることを特
    徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透過光散乱性
    制御フィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 熱可塑性高分子樹脂フィルムが、非晶性
    高分子樹脂からなることを特徴とする請求項1〜6のい
    ずれかに記載の透過光散乱性制御フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 熱可塑性高分子樹脂が、ポリカーボネー
    トであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記
    載の透過光散乱性制御フィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 ポリカーボネートの平均分子量が0.5
    万から20万であることを特徴とする請求項8記載の透
    過光散乱性制御フィルムの製造方法。
  10. 【請求項10】 ポリカーボネートがポリ−4,4’−
    ジオキシジフェニ−ル−2,2−プロパンカ−ボネ−ト
    であることを特徴とする請求項8〜9のいずれかに記載
    の透過光散乱性制御フィルムの製造方法。
  11. 【請求項11】 透過光散乱性制御フィルムが光学異方
    性を有するように、一軸延伸をすることを特徴とする請
    求項1〜10のいずれかに記載の透過光散乱性制御フィ
    ルムの製造方法。
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