JP2000233438A - 透過光散乱性制御フィルムの製造方法 - Google Patents

透過光散乱性制御フィルムの製造方法

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JP2000233438A
JP2000233438A JP3712499A JP3712499A JP2000233438A JP 2000233438 A JP2000233438 A JP 2000233438A JP 3712499 A JP3712499 A JP 3712499A JP 3712499 A JP3712499 A JP 3712499A JP 2000233438 A JP2000233438 A JP 2000233438A
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film
light scattering
transmitted light
stretching
thermoplastic polymer
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JP3712499A
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English (en)
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Naoya Saito
直也 斎藤
Akihiko Uchiyama
昭彦 内山
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、熱可塑性高分子からなる未延伸フ
ィルムを用いて、ムラがなく均一性の高い透過光散乱性
制御フィルムを提供する。 【解決手段】 熱可塑性高分子フィルムからなり、内部
に熱可塑性高分子の一次構造は同じであるが、電子密度
が小さな層と大きな層がフィルム表面に略垂直に交互に
繰り返し存在する構造を有し、かつ該フィルムが光学異
方性を有する透過光散乱性制御フィルムの製造方法にお
いて、ガラス転移点における吸熱量(単位:J/g)が
3.0未満の未延伸フィルムを、ガラス転移点以下の温
度で延伸することを特徴とする、透過光散乱性制御フィ
ルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、入射角によってヘ
ーズが異なるため、入射角度によって平行光線透過率が
異なるといった特徴を利用した視角制御板として、LC
Dの視野角を改善する視野角拡大フィルムとして、また
裏面に金属薄膜を付けることにより特定方向への反射効
率を高める反射板として用いられる透過光散乱性制御フ
ィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光の入射角により光の散乱性が異なるた
め、平行光線透過率が異なる光学素子は、ガラスやプラ
スチック等の透明基盤上に格子を設けた、回折型光学素
子が従来より知られている。また、特公平7−5836
1号公報の光制御板は光硬化シートを複数枚用いること
により、入射角によりヘーズが異なる光学素子を提案し
ている。これらは、その光学特性を利用して様々な光学
用途に利用されている。
【0003】例えば、入射角度により平行光線透過率が
異なるといった特徴を利用すれば、それを建材用の窓ガ
ラス等に用いることにより、ある方向からは見えるが他
の方向からは見えにくいといった視界制御板として利用
することが可能である。
【0004】また、そのような特性を有する光学素子
を、液晶表示装置に装着することにより、視野角を変化
させたり、光学的ローパスフィルター等として利用する
例が、特開平6−43466号公報、特開平5−289
028号公報、特開平7−64069号公報、実開平7
−10726号公報等にて開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ガラスやプラ
スチック等の透明基板上に回折格子等を設け、光の回折
効果を利用した回折型光学素子は微細加工技術が必要で
あり、小面積の場合には有効であるが、上記のような目
的では大面積化が必須であり、高価にならざるを得ない
といった問題点がある。前述の特公平7−58361号
公報の光制御板においては、光硬化シートを複数枚必要
としており、商業上問題がある。また、光硬化シートを
複数枚用いなくても光拡散性の優れた光学素子を得よう
という提案が、特開平6−11606号公報、特開平6
−9714号公報において開示されているが、これらの
いずれもが2種類以上の屈折率の違う領域が、ある方向
に周期的に配向した状態を得るため、屈折率の異なる2
種類以上の重合性基質を用いる必要がある、重合性や屈
折率差の大きさ等を最適化する必要がある、また、この
光硬化性樹脂は外部応力に対して弱いため、透明プラス
チック基板の間に担持または積層して使用する場合が多
いため、高価にならざるを得ない、という問題があっ
た。その他、特開平9−166702号公報には、高分
子フィルムを、これを溶解しない溶媒に浸し、及び/又
は界面活性剤の溶液に浸漬させ、ついでロールにて屈曲
させてフィルム表面にひび割れを発生させた後、溶剤等
を除去していることから、製造過程が複雑である。この
方法では、溶剤等によって変質したフィルムの表面にの
みひび割れが発生するため、フィルムの表面状態が光学
特性を決定するが、溶剤等を用いる製造方法のため、表
面状態の制御は困難と考えられる。また、ひび割れの間
隔を細かくすることは困難であり、例えば、正面はヘー
ズが高く、斜めから見るとヘーズが低いといった特性の
フィルムを作成することは難しいと予想される。
【0006】さらに、一般に高分子の破壊試験等におい
て観察される、高分子バルク中に存在する亀裂や空孔を
含有するクラックやクレーズ等と呼ばれる現象について
は古くから研究されているが、高分子中の空孔分布等を
制御し、液晶表示装置の画質改善や建材等において用い
られる視界制御に適した光学特性を得るといった検討は
行われていないのが現状であった。
【0007】本発明はかかる課題を解決して、液晶表示
装置に用いた場合には1枚だけでも画質改善、特に視野
角改善フィルムとして機能し、また、見る方向によって
平行光線透過率が異なることにより、1枚だけでも視界
制御板として機能し得る上に広い角度に光を広げること
が可能であり、材料としては1種類の熱可塑性高分子で
も機能し得る新規な透過光散乱性制御フィルムの製造方
法を提供することを目的としている。この透過光散乱性
制御フィルムは延伸によって特性を発現しているが、使
用している未延伸フィルムの種類が同じで、延伸条件が
同様であるにもかかわらず、同様の光学特性を持つフィ
ルムが得られないばかりか、場合によっては破断してし
まうこともあった。
【0008】本発明は、熱可塑性高分子フィルムからな
る透過光散乱性制御フィルムにおいて、光学特性と均一
性を両立した透過光散乱性制御フィルムを提供すること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らが鋭意検討し
たところ、熱可塑性高分子フィルムからなる未延伸フィ
ルムは示差走査型熱量分析計で得られるガラス転移点近
傍に現れる吸熱量が異なることが判り、この吸熱量が延
伸して得られる透過光散乱性制御フィルムの光学特性、
均一性に関連があることを見出した。
【0010】すなわち本発明は、熱可塑性高分子フィル
ムからなり、内部に熱可塑性高分子の一次構造は同じで
あるが、電子密度が小さな層と大きな層がフィルム表面
に略垂直に交互に繰り返し存在する構造を有し、かつ該
フィルムが光学異方性を有する透過光散乱性制御フィル
ムの製造方法において、ガラス転移点における吸熱量
(単位:J/g)が3.0未満の未延伸フィルムをガラ
ス転移点以下の温度で延伸することを特徴とする、透過
光散乱性制御フィルムの製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明では、未延伸フィルムの製
造方法に関らず、上記吸熱量によって延伸後のフィルム
の特性を予測でき、また吸熱量を調節することにより光
学特性と均一性を両立した透過光散乱性制御フィルムの
製造方法であることを特徴とする。
【0012】本発明に使用できる熱可塑性高分子フィル
ムは、ガラス転移点温度が50〜300℃のものが好ま
しく、80〜250℃であることがより好ましい。ガラ
ス転移点温度が50℃未満であるとフィルム成形後の耐
熱性が不足することがあり、300℃を超えると成形性
が問題となる場合がある。
【0013】そのような熱可塑性高分子としては、例え
ばポリカーボネート、ポリアリレート、ポリメタクリレ
ート、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、
ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアル
コール、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン、ポリイ
ミド、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリオレフィ
ン、トリアセチルセルロース、芳香族系高分子液晶等を
挙げることができる。これら熱可塑性高分子の共重合体
又は2種類以上のブレンドを用いても良い。
【0014】また、熱可塑性高分子は非結晶性高分子で
あることが好ましい。非結晶性樹脂とは通常の延伸条件
において、結晶相、液晶相をとらない樹脂であり、一軸
延伸中又は後に相変化を生じないことから、光学特性を
制御しやすい場合が多く、好ましく用いられる。非結晶
性高分子としては、ポリカーボネート、ポリアリレー
ト、ポリオレフィン、ポリサルホン、ポリエーテルサル
ホンおよびそれらの共重合体であることが好ましい。材
料入手の経済性、耐熱性等から、特に好ましくはポリカ
ーボネートである。
【0015】ポリカーボネートの平均分子量としては
0.5万から20万の間であることが好ましく、より好
ましくは0.8万から10万までである。分子量が0.
5万未満であると耐熱性等に問題があることが多く、ま
た、分子量20万より大きい場合では目的の光学特性が
得られない場合がある。ここで言う平均分子量とは、特
別に断らない限り、数平均分子量のことであり、GPC
(ゲルパーミネーションクロマトグラフィー)法による
ポリスチレン換算の平均分子量とする。また、ポリカー
ボネートとしては公知のものを用いることができるが、
好ましくはビスフェノールAを主成分として用いたもの
で、ポリ−4,4’−ジオキシジフェニル−2,2’−
プロパンカーボネートが材料入手性、延伸性の観点から
特に好ましく用いられる。共重合のポリカーボネートも
好適に用いられ、例えばビスフェノールZ成分やフルオ
レン骨格等有するものなどを用いることができる。
【0016】熱可塑性高分子としてポリ−4,4’−ジ
オキシジフェニル−2,2’−プロパンカーボネートを
用いた場合、熱可塑性高分子のガラス転移点温度をTg
(℃)とすると、延伸温度D(℃)がTg−20≦D≦
Tgであることが好ましい。
【0017】上記熱可塑性高分子はガラス転移温点以下
の温度で延伸し、下記特性を有する透過光散乱性制御フ
ィルムが提供される。
【0018】延伸方法としては、幅自由一軸延伸、幅固
定一軸延伸、二軸延伸等があるが、本発明の製造方法に
おける延伸方法は、一方向に大きな力がかかることが必
要なため、幅自由一軸延伸であることが好ましい。これ
は、フィルム内部におけるある方向にそろった屈折率の
周期的な分布を得るためであり、二軸延伸では少なくと
も二方向に張力が加わり、ある方向にそろった屈折率の
周期的な分布を得ることが困難であると考えられるから
である。
【0019】本発明におけるフィルムは、上記熱可塑性
高分子の主鎖の多くが一方向に配向して伸び、かつ該フ
ィルムのフィルムの内部に熱可塑性高分子の一次構造は
同じであるが電子密度の小さい層と大きい層がフィルム
表面に略垂直に相互に繰り返し存在する構造を有し、か
つ該フィルムが光学異方性を有していることを特徴とす
るフィルムである。この内部の電子密度の小さい層と大
きい層がフィルム表面に略垂直に相互に繰り返し存在す
る構造は、サンプル薄片をミクロトームにより作成し、
それを透過型電子顕微鏡により倍率1000倍以上とす
ることにより観察することができる。本発明でいうとこ
ろのフィルムの構造は、このようにフィルムの薄片を透
過型電子顕微鏡により観測した像により規定することが
できる。電子密度の大小は相対的であればよく、特に絶
対値の規定はない。例えば電子密度が小の部分は真空ま
たは空気であってもよい。
【0020】特にフィルムが一軸延伸フィルムである場
合には、電子密度の小さい層と大きい層がフィルム表面
に略垂直に相互に繰り返し存在する構造は、フィルム表
面に対して垂直かつ延伸方向に平行な面と平行な薄片を
作成することにより観測することができる。
【0021】本発明における製造方法では、未延伸フィ
ルムの製造方法に関らず、示差走査型熱量分析計(例え
ばTA−instrunents社製 DSC−292
0)で測定を行うことによって得られるガラス転移点近
傍に現れる吸熱量によって定義でき、その値が一定であ
れば、延伸倍率、温度等、他の条件が一定の場合、延伸
後に得られる透過光散乱性制御フィルムの特性は一意的
に決まることができる。これは、吸熱量が多いほうがガ
ラス転移に必要なエネルギーを多く必要としているとい
うことであり、吸熱量と分子鎖の密度が関連していると
考えられるためである。吸熱量は、図1に示した部分で
あり、吸熱点を通過後のベースラインを延長した直線1
によって囲まれる部分2の面積によって定義され、単位
はJ/gとなる。この吸熱量(単位:J/g)が3.0
未満の未延伸フィルムを用いて、本発明では延伸する。
かかる吸熱量(単位:J/g)が3.0以上では、延伸
後フィルムにヘーズムラが発生し、光学特性が良好でな
い。
【0022】本発明の製造方法における透過光散乱性制
御フィルムは、延伸によって生じるフィルム内部の空孔
又は密度の大小の分布によって上記の光学特性を得るこ
とが可能になると考えられる。が、さらに詳細に検討し
たところ、熱可塑性高分子フィルムの延伸によって生じ
た、延伸方向とは垂直に延びた溝がフィルム表面に存在
している場合において、目的の光学特性を得ることが可
能であることが判明した。原因は良く分かっていない
が、このような延伸によって発生した溝がフィルム表面
に存在した場合、フィルム内部の空孔または密度の大小
の分布等が目的の光学特性を得るための最適な状態にな
るのではないかと考えられる。
【0023】ここでいう目的の光学特性とは、フィルム
表面に対して法線方向からの入射光で測定したJIS
K7105で定義される全光線透過率が60%以上であ
り、かつ光線入射方向によりヘーズが異なることにより
平行光線透過率が異なり、図2に示す光学系によって測
定を行った際に、透過光透過率が次の条件を満足するこ
とをいう。なお、液晶表示装置に用いられる視野角改善
フィルムとして用いる際には、全光線透過率としては8
0%以上必要である。
【0024】ここで図2において、3は平行光を照射す
る光源、4は検出器、5は入射光、6は試料のフィルム
であり、光線入射方向(=出射方向)はフィルム表面法
線とのなす角θ(゜)とその法線を回転中心としたフィ
ルム面上での回転角R(゜)から定義される。そして最
小の平行光線透過率Tmin(%)、その時の入射角θ
min(゜)、最大の平行光線透過率Tmax(%)、
その時の入射角θmax(゜)とした場合に、0゜≦θ
≦60゜かつ−180゜≦R≦180゜の範囲におい
て、
【0025】
【数1】 θmin<θmaxのときはTmax/Tmin>1.1 かつ θmin>θmaxのときは{Tmax×cos(θmin)}/{Tmin× cos(θmax)}>1.1 (I) となることである。
【0026】なお、基準位置としての回転角R=0゜の
位置の決定は、測定に用いる光学装置において任意に行
うことができる。同じR値においてこの条件は満足され
なければならない。入射光は平行光線であることが好ま
しく、本発明においては光源をハロゲンランプ、フォト
マル検出器の前に、JIS Z8701において定義さ
れるY値を得るためのY視感度フィルターが設定された
光学系を有する、大塚電子(株)製の商品名「LCD5
100」によって定義した。
【0027】ここでいう入射角度によりヘーズが異なる
とは、入射角の変化に伴い、フィルム中を伝搬する光の
行路長が変化するために生じる現象ではなく、フィルム
の構造に起因して生じる現象を指す。行路長の増大によ
って単純にヘーズまたは吸光率が増大する散乱体、吸収
体とは区別するために、上記条件においてθmin>θ
maxのとき行路長の補正を行っている。
【0028】さらに、特に液晶表示装置における視野角
改善フィルムとして用いる場合であるが、特に、本発明
の材料を建材等における視野角制御板として用いる際に
は、
【0029】
【数2】 θmin<θmaxのときはTmax/Tmin>1.1 かつ θmin>θmaxのときは{Tmax×cos(θmin)}/{Tmin× cos(θmax)}>1.1 (II) であることがより好ましい。
【0030】未延伸フィルムのガラス転移点での吸熱量
を、ポリカーボネートにおいては好ましくは3.0J/
g未満、光散乱制御性と延伸ムラの兼ね合いを考慮する
と、より好ましくは0.3〜1.0J/gにすること
で、良質な透過光散乱性制御フィルムが得られる。
【0031】本発明によって得られる透過光散乱性制御
フィルムの膜厚としては、1μmから400μm程度で
あることが好ましく、より好ましくは5μmから200
μmである。
【0032】本発明によって得られる透過光散乱性制御
フィルムは、光学異方性を有していてもよい。一般に熱
可塑性高分子を一軸延伸した場合、その延伸方向に光学
軸を有した光学異方体となる。ここでいう光学異方性は
複屈折Δnと膜厚dとの積であるΔndで表される。必
要とされるΔndの値は用途により異なるので一概には
言えないが、液晶表示装置において用いられる場合に
は、遅相軸方位の分布は±10度以内であることが好ま
しい。光学異方性を積極的に利用し、公知の方法により
最適化することにより、例えばSTN(スーパーツイス
トネマチック)モードにおける色補償と視野角拡大を両
方兼ねることも可能である。
【0033】本発明によって得られる透過光散乱性制御
フィルムを、液晶表示装置に適用することにより、視野
角を改善することができる。
【0034】特に、本発明によって得られる透過光散乱
性制御フィルムを、液晶層に対して観測者側に装着する
ことにより、視野角の改善された液晶表示装置を得るこ
とができる。ここでいう液晶表示装置とは、駆動方式と
してはアクティブマトリクス駆動、単純マトリクス駆動
等、液晶モードとしてはツイストネマチック、スーパー
ツイストネマチック、強誘電性液晶、半強誘電性液晶モ
ード等すべての液晶を用いた表示装置に適用可能であ
る。本発明によって得られる透過光散乱性制御フィルム
は、主に視認性に優れた方向の光を特定の方向に広げる
ことより、視野角を広げることが可能となる。1枚の透
過光散乱性制御によって効果があるが、複数枚用いても
よい。
【0035】偏光板を用いた表示装置においては、液晶
層よりも観測者側にあればよく、偏光板よりも外側でも
内側でもよい。但し、本発明の透過光散乱性制御フィル
ムにおいて、光学異方性が存在し、かつ偏光板の内側に
装着する場合、この光学異方性が着色等の問題となる場
合には、偏光板の偏光軸または吸収軸と本発明の透過光
散乱性制御フィルムの進相軸または遅相軸を合わせるこ
とにより回避することができる。同様に、偏光板の外側
に張り合わせる時にも、例えば、偏光眼鏡で液晶表示装
置を観察した時に透過光散乱性制御フィルムの光学異方
性により着色等の問題が生じる場合にも、偏光板の偏光
軸または吸収軸と本発明の透過光散乱性制御フィルムの
進相軸または遅相軸を合わせることにより回避できる。
偏光板の外側に用いる際に、光学異方性の存在が問題と
ならない場合には、目的に応じて適当な角度で張り合わ
せることが可能である。また、本発明の透過光散乱性制
御フィルムは1枚でも液晶表示装置の視野角改善に効果
があるが、2枚用いてお互いに延伸軸を直交させ、位相
差を打ち消して用いることも可能である。なお、光学異
方性を打ち消すようにアニール処理等を施してもよい。
【0036】また、液晶表示装置用の視野角改善フィル
ムの光学特性としては、適用する液晶表示装置に合わせ
て設定される。液晶表示装置の視野角範囲は一般に視認
性の良好な領域を指し、通常は液晶表示装置面の法線方
向付近に存在していることから、貼り合わせ角度は目的
により最適化されるが、図2の光学系において、本発明
の透過光散乱性制御最小平行光線透過率をとる角度q
minが0゜≦qmin≦40゜の範囲、より好ましくは0゜≦
min≦30゜の範囲で存在していることが好ましい。液
晶表示装置に本発明の透過光散乱性制御フィルムを装着
する際には、反射損失等の関係でできるだけ密着させる
ことが望ましい。例えば粘着剤を介して液晶層基板や偏
光板と貼り合わせることができる。
【0037】上記透過光散乱性制御フィルムは、広く液
晶表示装置の部剤として利用することができる。例え
ば、表示装置のバックライトにおける拡散板や、反射型
液晶表示の反射板として用いることも可能である。ま
た、投影型表示装置の透過、反射型スクリーンにも適用
可能である。反射型スクリーンや反射板として用いる際
には、背面に金属等の反射膜を形成してもよく、また、
複数枚の積層体を用いることも可能である。さらに、反
射型液晶表示装置の前面に設けられた前方散乱フィルム
として用いることも可能である。
【0038】さらに、上記透過光散乱性制御フィルムの
他の用途としては、平行光線透過率が他の用途として
は、平行光線透過率が入射角によって異なるといった特
徴を利用して、例えば建材用のガラスと張り合わせる等
することにより、光制御フィルムの観測者に対して反対
側の景色が、ある方向から見た時は見えるが、別の角度
から見た時には見えにくいといった視界を制御する光学
フィルムとしても機能し得る。
【0039】本発明における透過光散乱性制御フィルム
は前述した目的の光学特性の範囲内において、様々な光
学特性をとることが可能であるが、そのうち、平行光線
をを透過光散乱性制御の最小の平行光線透過率を与える
入射角度で入射した場合に得られる出射口の散乱状態が
等方的でなく異方的である透過光散乱性制御フィルムを
建材用のガラスに張り合わせることにより、室内におけ
る採光といった観点から、いわゆるすりガラスとは異な
り、特異的な散乱性を有する曇りガラスを建材用として
供給することが可能となる。
【0040】ここでいう異方的な散乱状態とは、図3に
示されるような光学系において出射光検出方向を試料平
面上に投影した際の試料平面上での出射光検出方向角度
をa(゜)、出射光検出方向と入射光平行光線の入射方
向とのなす角をb(゜)とした場合、bを一定としてa
を変えた場合、出射光検出強度がaに依存して変化する
現象を示す。
【0041】上記透過光散乱性制御フィルムは、必要に
応じて公知のハードコート処理、反射防止処理、妨眩処
理等を片面または両面に施してもよい。
【0042】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示すが、本発明は
これら実施例に制限されるものではない。
【0043】[実施例1]未延伸フィルムを130℃で
1時間熱処理することにより、示差走査型熱量分析計
(TA−instrunents社製 DSC−292
0)により、昇温速度20℃/分、測定温度範囲35〜
250℃で測定を行った時、ガラス転移点における吸熱
量(単位:J/g)が0.3である幅230mm,厚さ
100μmのポリカーボネートフィルム(帝人(株)製
商品名「PURE ACE C−110」)を一軸延
伸した。延伸に用いた装置は、図4に記載の加熱一軸延
伸装置であり、延伸温度は150℃、延伸速度は入り口
側ロール速度が100μm/minとなるようにし、出
口側ロール速度240mm/minにして2.4倍の延
伸倍率になるように設定した。
【0044】このフィルムの法線方向からの入射光に対
する全光線透過率は85.88%であり、ヘーズは7
5.08%であった。次に大塚電子(株)製の商品名
「LCD5100」にて図の光学系で、該透過光散乱性
制御フィルムの平行光線透過率を測定した。図の光学系
でR=0゜と設定した。R=0゜のとき最大の平行光線
透過率であるTmax(%)=39.867%でこのと
きθmax=0゜、また最小の平行光線透過率はTmi
n(%)=3.634%でこのときのθmin=60゜
であった。θmin>θmaxであり、{Tmax×c
os(θmin)}/{Tmin×cos(θma
x)}=5.5>1.1(但し0゜≦θ≦60゜)であ
り、目的の光学特性が得られていることを確認した。
【0045】上記方法によって得られた冷延伸フィルム
は、正面からの光を透過し、斜めからの光を散乱する光
散乱制御性を示し、フィルムのヘーズムラはみられなか
った。
【0046】[実施例2]未延伸フィルムを130℃で
3時間熱処理することにより、示差走査型熱量分析計に
よる測定で、ガラス転移点における吸熱量(単位:J/
g)が1.0である幅230mm,厚さ100μmのポリ
カーボネートフィルム(帝人(株)製商品名「PURE
ACE C−110」)を一軸延伸した。延伸に用い
た装置は図4に記載の加熱一軸延伸装置であり、延伸温
度は150℃、延伸速度は入り口側ロール速度が100
μm/minとなるようにし、出口側ロール速度240
mm/minにして2.4倍の延伸倍率になるように設
定した。
【0047】上記方法によって得られた冷延伸フィルム
は、正面からの光を透過し、斜めからの光を散乱する光
散乱制御性を示し、フィルムのヘーズムラはみられなか
った。
【0048】このフィルムの法線方向からの入射光に対
する全光線透過率は85.29%であり、ヘーズは7
4.57%であった。次に大塚電子(株)製の商品名
「LCD5100」にて図の光学系で、該透過光散乱性
制御フィルムの平行光線透過率を測定した。図の光学系
でR=0゜と設定した。R=0゜のとき最大の平行光線
透過率であるTmax(%)=39.778%でこのと
きθmax=0゜、また最小の平行光線透過率はTmi
n(%)=1.615%でこのときのθmin=60゜
であった。θmin>θmaxであり、{Tmax×c
os(θmin)}/{Tmin×cos(θma
x)}=24.6>1.1(但し0゜≦θ≦60゜)で
あり、目的の光学特性が得られていることを確認した。
【0049】上記方法によって得られた冷延伸フィルム
は、正面からの光を透過し、斜めからの光を散乱する光
散乱制御性を示し、フィルムのヘーズムラはみられなか
った。
【0050】[実施例3]未延伸フィルムを180℃で
1時間熱処理することにより、示差走査型熱量分析計に
よる測定で、ガラス転移点における吸熱量(単位:J/
g)が0である幅230mm,厚さ100μmのポリカー
ボネートフィルム(帝人(株)製 商品名「PURE
ACE C−110」)を一軸延伸した。延伸に用いた
装置は図4に記載の加熱一軸延伸装置であり、延伸温度
は150℃、延伸速度は入り口側ロール速度が100μ
m/minとなるようにし、出口側ロール速度240m
m/minにして2.4倍の延伸倍率になるように設定
した。
【0051】このフィルムの法線方向からの入射光に対
する全光線透過率は91.16%であり、ヘーズは7
3.01%であった。次に大塚電子(株)製の商品名
「LCD5100」にて図の光学系で、該透過光散乱性
制御フィルムの平行光線透過率を測定した。図の光学系
でR=0゜と設定した。R=0゜のとき最大の平行光線
透過率であるTmax(%)=66.290%でこのと
きθmax=0゜、また最小の平行光線透過率はTmi
n(%)=17.09%でこのときのθmin=60゜
であった。θmin>θmaxであり、{Tmax×c
os(θmin)}/{Tmin×cos(θma
x)}=3.9>1.1(但し0゜≦θ≦60゜)であ
り、目的の光学特性が得られていることを確認した。
【0052】上記方法によって得られた冷延伸フィルム
は、正面からの光を透過し、斜めからの光を散乱する光
散乱制御性を示し、フィルムのヘーズムラはみられなか
った。
【0053】[比較例1]未延伸フィルムを130℃で
12時間熱処理することにより、示差走査型熱量分析計
を用いた測定で、ガラス転移点における吸熱量(単位:
J/g)が3.1である幅230mm,厚さ100μm
のポリカーボネートフィルム(帝人(株)製 商品名
「PURE ACE C−110」)を一軸延伸した。
延伸に用いた装置は図4に記載の加熱一軸延伸装置であ
り、延伸温度は150℃、延伸速度は入り口側ロール速
度が100μm/minとなるようにし、出口側ロール
速度240mm/minにして2.4倍の延伸倍率にな
るように設定した。
【0054】このフィルムの法線方向からの入射光に対
する全光線透過率は78.80%であり、ヘーズは8
2.16%であった。次に大塚電子(株)製の商品名
「LCD5100」にて図の光学系で、該透過光散乱性
制御フィルムの平行光線透過率を測定した。図の光学系
でR=0゜と設定した。R=0゜のとき最大の平行光線
透過率であるTmax(%)=29.362%でこのと
きθmax=0゜、また最小の平行光線透過率はTmi
n(%)=0.875%でこのときのθmin=60゜
であった。θmin>θmaxであり、{Tmax×c
os(θmin)}/{Tmin×cos(θma
x)}=33.6>1.1(但し0゜≦θ≦60゜)で
あり、全光線透過率が80%に満たないため目的の光学
特性が得られていないことを確認した。
【0055】上記方法によって得られた冷延伸フィルム
は、正面からの光を透過し、斜めからの光を散乱する光
散乱制御性を示すが、フィルムにおよそ5mm間隔でヘ
ーズムラがみられた。
【0056】
【発明の効果】本発明は、示差走査型熱量分析によって
得られるガラス転移点近傍の吸熱量によって、延伸前に
未延伸熱可塑性高分子フィルムの善し悪しを判断でき、
そのフィルムを内部に熱可塑性高分子の一次構造は同じ
であるが、電子密度が小さな層と大きな層がフィルム表
面に略垂直に交互に繰り返し存在する構造を有し、かつ
該フィルムが光学異方性を有する透過光散乱性制御フィ
ルムの製造方法に関するものであり、本発明の製造方法
によって、入射角によってヘーズが異なるため、入射角
度によって平行光線透過率が異なるといった特徴を利用
した視角制御板が得られ、また、その製造方法によって
得られたフィルムを液晶表示装置に用いた場合には、画
質、特に視野角を広げることの可能な視野角改善フィル
ム等として好適に用いられる透過光散乱性制御フィルム
を安価で提供できるといった効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】示差走査型熱量分析計によって得られるガラス
転移点近傍の吸熱量の定義
【図2】平行光線透過率の入射角度依存性の測定におけ
る光学系概略図
【図3】平行光線入射による出射光の散乱状態の測定に
おける光学系概略図
【図4】実施例1,2,3、比較例1における一軸延伸
機の模式図
【符号の説明】
1.ガラス転移点以後のベースラインを延長した線 2.吸熱量(J/g) 3.光源 4.検出器 5.平行光線 6.透過光散乱性制御フィルム 7.透過光散乱性制御フィルム 8.検出器 9.光源 10・入射平行光線 11.出射散乱光線 12,13,14,15.ニップロール 16.加熱延伸ゾーン 17.熱可塑性樹脂フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 11:00 Fターム(参考) 2H042 BA03 BA09 BA15 BA16 BA20 4F205 AA28 AE01 AG01 AH73 AR20 GA07 GB02 GF01 GF24 GW26 4F210 AA28 AE01 AG01 AH73 AR20 QA03 QC01 QC02 QD13 QG01 QG18

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性高分子フィルムからなり、内部
    に熱可塑性高分子の一次構造は同じであるが、電子密度
    が小さな層と大きな層がフィルム表面に略垂直に交互に
    繰り返し存在する構造を有し、かつ該フィルムが光学異
    方性を有する透過光散乱性制御フィルムの製造方法にお
    いて、ガラス転移点における吸熱量(単位:J/g)が
    3.0未満の未延伸フィルムを、ガラス転移点以下の温
    度で延伸することを特徴とする、透過光散乱性制御フィ
    ルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 未延伸フィルムが流延法により得られ、
    残留溶媒を実質的に含まないポリカーボネートからなる
    延伸方法が一軸延伸であることを特徴とする、請求項1
    に記載の透過光散乱性制御フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 延伸倍率が2.0〜3.0の範囲であ
    る、請求項1または2に記載の透過光散乱性制御フィル
    ムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012083655A (ja) * 2010-10-14 2012-04-26 Toppan Printing Co Ltd 偽造防止媒体およびその製造方法、並びに偽造防止媒体を有する接着ラベル

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012083655A (ja) * 2010-10-14 2012-04-26 Toppan Printing Co Ltd 偽造防止媒体およびその製造方法、並びに偽造防止媒体を有する接着ラベル

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