JP2013186210A - 液晶表示装置 - Google Patents

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雄二郎 矢内
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Abstract

【課題】正面白輝度の低下を抑制し、視野角コントラストが高いTN型液晶表示装置を提供する。
【解決手段】偏光層Aと液晶セルとの間に配置された、透明支持体Aと含む光学補償フィルムAと、偏光層Bと液晶セルとの間に配置された、透明支持体Bと光学補償フィルムBとを有する液晶表示装置であって、透明支持体AとBは、波長550nmにおける面内R(レターデーション)が0〜100nm、厚み方向のRが−100〜200nm、液晶化合物AとBを含有する組成物は、波長550nmにおける面内Rが10〜100nm、面内遅相軸に直交する面内において、法線方向から40度の方向から測定したR(+40)と、法線に対して逆に40度の方向から測定したR(−40)の比が、R(+40)>R(−40)の場合、1.1≦R(+40)/R(−40)≦40またはR(+40)<R(−40)の場合、1.1≦R(−40)/R(+40)≦40を満たす。
【選択図】なし

Description

本発明は、広視野角特性を有する液晶表示装置に関する。
従来液晶表示装置には、そのモードに応じて、様々な光学特性を示す光学フィルムが光学補償に利用されている。例えば、TNモード液晶表示装置の光学補償フィルムとして、ポリマーフィルムからなる透明支持体上に、液晶組成物からなる光学異方性層を有する光学補償フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
TNモードの課題として、液晶ダイレクター方向に対して45度の位置(通常下方位)において斜めから観察した場合、どの階調でも黒つぶれもしくは階調の反転(階調における明暗の逆転)がおき、表示品位を著しく損ねることがある。この解決手段として、偏光板の吸収軸を液晶ダイレクターに対し、平行でも直交でもない向きにする提案がなされている(例えば、特許文献2、3参照。)。
特許第2587398号公報 特開平09−61630号公報 特許第4687507号公報
しかしこの構成では、偏光板の吸収軸に対して、第1の透明支持体と第2の透明支持体が45度に配置されているため、その正面位相差により、正面白輝度が低下してしまう問題がある。また、ある方位において斜め観察を行った場合、実画像表示での印象が悪く、表示品位を損ねてしまう可能性がある。ここで実画像表示での印象とは、実画像再現性を意味しており、正面画像と斜め方向画像との階調再現性と色味の差のことをいう。
本発明の目的は、正面白輝度の低下を抑制し、かつ、視野角コントラストが高く表示品位のよい液晶表示装置、特にTN型液晶表示装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1]互いに吸収軸を直交して配置される第1及び第2の偏光層と、
第1及び第2の偏光層の間に、互いに対向して配置され、かつ、少なくとも一方が透明電極を有する第1及び第2の基板と、
第1及び第2の基板との間に配置された捩れ配向モード液晶セルと、
第1の偏光層と液晶セルとの間に配置された、第1の透明支持体と第1の液晶化合物を含有する組成物を含む第1の光学補償フィルムと、
第2の偏光層と該液晶セルとの間に配置された、第2の透明支持体と第2の液晶化合物を含有する組成物を含む第2の光学補償フィルムとを少なくとも有する液晶表示装置であって、
第1の偏光層、第1の基板、液晶セル、第2の基板、第2の偏光層がこの順で積層されており、
第1の偏光層の吸収軸が、第1の基板の液晶セル内表面における液晶のダイレクター方向に対して45°の角度に配置されており、
第1の透明支持体が位相差を有し、その面内遅相軸が第1の基板の液晶セル内表面における液晶のダイレクター方向に対して平行または直交に配置されており、
第1の液晶化合物を含有する組成物の遅相軸が第1の偏光層の吸収軸に対して平行または直交に配置されており、
第2の透明支持体が位相差を有し、その面内遅相軸が第2の基板の液晶セル内表面における液晶のダイレクター方向に対して平行または直交に配置されており、
第2の液晶化合物を含有する組成物の遅相軸が第2の偏光層の吸収軸に対して直交に配置されており、第1と第2の透明支持体は、それぞれ、波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)が0〜100nmであり、厚み方向のレターデーションRth(550)が−100〜200nmであり、
第1と第2の液晶化合物を含有する組成物は、それぞれ、波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)が10〜100nmであり、および、面内遅相軸に直交する面内において、法線方向から40度傾いた方向から測定したレターデーションR[+40°]と、該法線に対して逆に40度傾いた方向から測定したレターデーションR[−40°]の比が、下記式(I)または(II)を満たすことを特徴とする液晶表示装置。
R[+40°]>R[−40°]の場合
1.1≦R[+40°]/R[−40°]≦40・・・(I)
R[+40°]<R[−40°]の場合
1.1≦R[−40°]/R[+40°]≦40・・・(II)
[2]前記液晶化合物が重合性液晶化合物であることを特徴とする[1]に記載の液晶表示装置。
[3]前記液晶化合物がディスコティック化合物であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の液晶表示装置。
[4]第1の透明支持体と第2の透明支持体の波長550nmにおける面内方向のレターデーションRe(550)の差、および波長550nmにおける厚み方向のレターデーションRth(550)の差がそれぞれ10nm未満であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
[5]第1の透明支持体と第2の透明支持体の波長550nmにおける面内方向のレターデーションRe(550)の差、もしくは、波長550nmにおける厚み方向のレターデーションRth(550)の差の、少なくとも一方が10nm以上であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
[6]第1の偏光層、第1の透明支持体、第1の液晶化合物を含有する組成物を硬化した層、第1及び第2の基板との間に配置された捩れ配向モード液晶セル、第2の液晶化合物を含有する組成物を硬化した層、第2の透明支持体、第2の偏光層の順で積層されたことを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
[7]第1の偏光層、第1の液晶化合物を含有する組成物を硬化した層、第1の透明支持体、第1及び第2の基板との間に配置された捩れ配向モード液晶セル、第2の透明支持体、第2の液晶化合物を含有する組成物を硬化した層、第2の偏光層の順で積層されたことを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
[8]液晶表示装置の視認側に配置された光拡散層を有することを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
[9]光拡散層が、透光性樹脂と、透光性樹脂の屈折率と異なる屈折率を有する透光性微粒子を含む層であり、且つ光拡散層のヘイズが45%以上であることを特徴とする[8]に記載の液晶表示装置。
[10]光拡散層が、入射光の入射角度によって、光の透過状態が異なる異方性散乱層を有することを特徴とする[8]に記載の液晶表示装置。
[11]液晶表示装置の視認側に配置された光拡散層と液晶表示装置の視認側の反対側に配置されたバックライトユニットとを備え、バックライトユニットから射出される光の輝度半値幅角度が80°以下であることを特徴とする[1]〜[10]のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
本発明によれば、非対称性の小さい視野角特性を有し、かつ、階調反転の少ない液晶表示装置、特にTN型液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は、各々、波長λにおける面内のレターデーション、及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH、又はWR(王子計測機器(株)製)において、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。測定されるフィルムが、1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)が算出される。なお、この測定方法は、後述する光学異方性層中のディスコティック液晶分子の配向膜側の平均チルト角、その反対側の平均チルト角の測定においても一部利用される。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50°まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH、又はWRが算出する。なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値、及び入力された膜厚値を基に、以下の式(A)、及び式(III)よりRthを算出することもできる。
式(A):
Figure 2013186210
なお、上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。また、式(A)におけるnxは、面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは、面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d・・・・・・・・・・・式(III)
測定されるフィルムが、1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法により、Rth(λ)は算出される。Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として、フィルム法線方向に対して−50°から+50°まで10°ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。また、上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについては、アッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
なお、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味し、更に屈折率の測定波長は、特別な記述がない限り、可視光域(λ=550nm)での値である。
また、本明細書において、光学フィルム及び液晶層等の各部材の光学特性を示す数値、数値範囲、及び定性的な表現(例えば、「同等」、「等しい」等の表現)については、液晶表示装置やそれに用いられる部材について一般的に許容される誤差を含む数値、数値範囲及び性質を示していると解釈されるものとする。
また、本明細書において、各軸・方向間の配置や交差角の角度の説明で、範囲を示さずに単に「平行」「直交」「0°」「90°」「45°」等という場合には、「おおよそ平行」「おおよそ直交」「おおよそ0°」「おおよそ90°」「おおよそ45°」の意であり、厳密なものではない。それぞれの目的を達成する範囲内での、多少のズレは許容される。例えば「平行」「0°」とは、交差角がおおよそ0°ということであり、−10°〜10°、好ましくは−5°〜5°、より好ましくは−3°〜3°である。「直交」「90°」とは、交差角がおおよそ90°ということであり、80°〜100°、好ましくは85°〜95°、より好ましくは87°〜93°である。「45°」とは、交差角がおおよそ45°ということであり、35°〜55°、好ましくは40°〜50°、より好ましくは42°〜48°である。
液晶表示装置は、互いに吸収軸を直交して配置される第1及び第2の偏光層と、第1及び第2の偏光層の間に、互いに対向して配置され、かつ、少なくとも一方が透明電極を有する第1及び第2の基板と、第1及び第2の基板との間に配置された捩れ配向モード液晶セルと、第1の偏光層と液晶セルとの間に配置された第1の光学補償フィルムと、第2の偏光層と該液晶セルとの間に配置された第2の光学補償フィルムと、を少なくとも有する。
液晶セルはTNモードの液晶セルであり、第1及び第2の基板の対向面には、電極層が形成されている。一例は、複数の画素電極にそれぞれ対応する複数のTFTと、各行のTFTにゲート信号を供給する複数のゲート配線と、各列のTFTにデータ信号を供給する複数のデータ配線とが設けられ、複数の画素電極が、それぞれ、その画素電極に対応するTFTに接続されている。また、一対の対向基板及びその対向面にはそれぞれ、電極層を覆って、実質的に互いに直交する方向に配向処理された水平配向膜が形成されている。液晶層は、正の誘電異方性を有するネマティック液晶材料を充填してなる層であり、その液晶分子は、水平配向膜により、第1及び第2の基板の近傍における配向方向が規定され、電極層間に電界が印加されていないとき、基板間において実質的に90°の捩れ角で捩れ(ツイスト)配向する。一方、電極間に黒表示させる電圧が印加されると、液晶分子は、基板の面に対して垂直に立ち上がり、所定の平均チルト角θ(60°〜90°程度)で配向する。その状態では、液晶層中に法線方向から光が入射した場合と、斜め方向から入射した場合とでは、液晶分子の配向の違いにより、液晶層中を伝搬する光の偏光状態が異なり、その結果、視野角に依存してコントラストが低下したり、階調反転やカラーシフトが生じる。本発明の液晶表示装置では、位相差層により、コントラスト等の表示特性の視野角依存性を軽減し、視野角特性を改善している。
液晶層12の厚さdと複屈折率Δnの積であるΔn・dは、一般的には、TNモードの場合、300〜600nm程度になる。本発明では、液晶層のΔn・dが、下記式を満足していると、TNモードにおいて視野角拡大効果が得られるので好ましい。
200nm≦Δn・d≦600nm
Δn・dは、TNモードの場合は、380〜480nmであるのがより好ましい。
液晶層は、RGBのサブピクセル領域間で、厚みが互いに異なるマルチギャップの液晶層であってもよい。例えば、カラーフィルタの厚みを一様ではなく、Rサブピクセル、Gサブピクセル、及びBサブピクセルの厚みを変えて、マルチギャップの液晶層とすることができる。一例は、Rサブピクセルに対応する液晶層のΔnd(R)、Gサブピクセルに対応する液晶層のΔnd(G)、及びBサブピクセルに対応する液晶層のΔnd(B)が、Δnd(B)<Δnd(G)<Δnd(R)の関係を満足する構成である。この例によれば、広い視野角にわたって、コントラスト及び色再現性の高いカラー画像を表示することができる。
一方、液晶材料として、Δnに波長依存性があり、R光に対するΔn(R)、G光に対するΔn(G)、及びB光に対するΔn(B)が、Δn(B)<Δn(G)<Δn(R)の関係を満足する液晶材料を利用することにより、カラーフィルタの厚みが一様であっても、同様の効果が得られる。
液晶表示装置は、ノーマリホワイトモードであり、一対の偏光層は、それぞれの吸収軸を実質的に互いに直交させて配置されている。
[光学補償フィルム]
本発明に使用可能な光学補償フィルムの例は、透明支持体と、透明支持体上に、液晶化合物を含有する組成物から形成された光学異方性層とを有する。なお、光学補償フィルムは本発明において液晶パネル部の一部となるが、光学補償フィルムが光学異方性層と透明支持体とを有する態様では、透明支持体が偏光板の一部となる透明層を兼ねていてもよく、かかる場合は、光学異方性層は液晶パネル部の一部であり、透明支持体は偏光板の一部であると考える。
以下、本発明に利用可能な光学補償フィルムの構成材料について説明する。
《支持体》
前記光学補償フィルムは、支持体を有していてもよい。支持体は、透明なポリマーフィルムであるのが好ましい。支持体は、光透過率が80%以上であることが好ましい。ポリマーフィルムを構成するポリマーの例には、セルロースエステル(例、セルロースのモノ乃至トリアシレート体)、ノルボルネン系ポリマー及びポリメチルメタクリレートが含まれる。市販のポリマー(ノルボルネン系ポリマーでは、アートン及びゼオネックスいずれも商品名))を用いてもよい。又、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーは、国際公開第00/26705号パンフレットに記載のように、分子を修飾することで複屈折の発現性を制御したものを用いるのが好ましい。
中でもセルロースエステルが好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。具体的に好ましいセルロースエステルとしては、特開2007−286324段落0183〜0189に記載のものを用いることができる。
ポリマーフィルムのレターデーションを調整するためには延伸のような外力を与える方法が一般的であるが、又、光学異方性を調節するためのレターデーション上昇剤が、場合により添加される。例えば、欧州特許出願公開第911656号明細書、特開2000−111914号公報、同2000−275434号公報等記載の化合物等が挙げられる。
ポリマーフィルムに添加する上記した添加剤又は種々の目的に応じて添加できる添加剤(例えば、紫外線防止剤、剥離剤、帯電防止剤、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)、赤外吸収剤を等)は、固体でもよく油状物でもよい。また、フィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。これらの詳細は、上記の公技番号2001−1745号の16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。これらの添加剤の使用量は、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されないが、ポリマーフィルム全組成物中、0.001〜25質量%の範囲で適宜用いられることが好ましい。
また、本発明には数平均分子量が200〜10000の可塑剤を含有することも好ましく、負の固有複屈折を有する可塑剤を含むことも好ましい。具体的な可塑剤としては、特願2009−085568号段落0036〜0108記載のもの等を用いることができる。なお、数平均分子量は公知の方法で測定することが出来る。
《ポリマーフィルム(支持体)の製造方法》
ポリマーフィルムは、ソルベントキャスト法によりを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、ポリマー材料を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。ドープは、ドラム又はバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラム又はバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラム又はバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラム又はバンドから剥ぎ取り、さらに100〜160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラム又はバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
流延工程では1種類のセルロースアシレート溶液を単層流延してもよいし、2種類以上のセルロースアシレート溶液を同時及び又は逐次共流延してもよい。
これらのソルベントキャスト方法の製造工程については、特開2001−1745号の22頁〜30頁に詳細に記載され、溶解、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離、延伸などに分類される。
本発明のフィルム(支持体)の厚さは、15〜120μmであることが好ましく、更には20〜80μmが好ましい。
さらに、本発明のポリマーフィルムは各種延伸、熱処理等を加えることで所望の光学特性を達成することもできる。具体的には、特願2009−085568号段落0134〜0165に記載の方法等を用いることができる。
《ポリマーフィルム(支持体)の表面処理》
ポリマーフィルムは、表面処理を施すことが好ましい。表面処理には、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理及び紫外線照射処理が含まれる。これらについては、詳細が前記の公技番号2001−1745号の30頁〜32頁に詳細に記載されている。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。具体的には、例えば、特開2002−82226号公報、国際公開第02/46809号パンフレットに内容の記載が挙げられる。
《透明支持体の光学特性》
本発明で用いられる第1、第2の透明支持体の光学特性としては、波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)が0〜100nmであり、厚み方向のレターデーションRth(550)が−100〜200nmであることが好ましく、Re(550)が20〜80nmでありRth(550)が−50〜180nmであることがより好ましく、Re(550)が30〜60nmでありRth(550)が−30〜150nmであることが最も好ましい。光学特性が上記範囲であると斜め方向における実画像再現性の観点から好ましい。
また、第1の透明支持体と第2の透明支持体のRe(550)の差、及びRth(550)の差はそれぞれ10nm未満であることが好ましく、8nm未満であることがより好ましく、5nm未満であることが最も好ましい。Re(550)の差、及びRth(550)の差を上記値とすることにより斜め左右方向における実画像再現性の対称性向上を達成することができる。
また、Re(550)の差、もしくは、Rth(550)の差が少なくとも一方が10nm以上であることも好ましい。20nm以上がより好ましく、30nm以上が最も好ましい。Re(550)の差、もしくはRth(550)の差を上記値とすることにより、特定の斜め方向の実画像再現性向上を達成することができる。
《光学異方性層》
次に、本発明に利用する光学異方性層の好ましい態様について詳細を記述する。光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物を補償するように設計することが好ましい。黒表示における液晶セル中の液晶化合物の配向状態は、液晶表示装置のモードにより異なる。この液晶セル中の液晶化合物の配向状態に関しては、IDW’00、FMC7−2、P411〜414に記載されている。光学異方性層は、ラビング軸等の配向軸によって配向制御され、その配向状態に固定された液晶性化合物を含有するのが好ましい。
光学異方性層の形成に用いる液晶性化合物の例には、分子構造が棒状である棒状液晶性化合物、及び分子構造が円盤状である円盤状液晶性化合物が含まれる。棒状液晶性化合物及び円盤状液晶性化合物は、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、さらに、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。光学異方性層の作製に棒状液晶性化合物を用いた場合は、棒状液晶性分子は、その長軸を支持体面へ投影した軸の平均方向が、配向軸に対して平行であるのが好ましい。また、光学異方性層の作製に円盤状液晶性化合物を用いた場合は、層中において円盤状液晶性分子は、その短軸を支持体面へ投影した軸の平均方向が配向軸に対して平行であるのが好ましい。また、円盤面と層平面とのなす角(傾斜角)が深さ方向に変化する、後述のハイブリッド配向が好ましい。
《棒状液晶性分子》
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
なお、棒状液晶性化合物には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶性分子を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、棒状液晶性化合物として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性化合物は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状液晶性化合物については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章及び第11章、及び液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
棒状液晶性分子の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。
棒状液晶性分子は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、ラジカル重合性不飽基或はカチオン重合性基が好ましく、具体的には、例えば特開2002−62427号公報明細書中の段落番号[0064]〜[0086]記載の重合性基、重合性液晶化合物が挙げられる。
《円盤状液晶性化合物》
円盤状(ディスコティック)液晶性化合物の例には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett、A、78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
円盤状液晶性化合物としては、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造である液晶性を示す化合物も含まれる。分子又は分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。円盤状液晶性化合物を含有する組成物から形成する光学異方性層は、最終的に光学異方性層に含まれる化合物が液晶性である必要はなく、例えば、低分子の円盤状液晶性分子が熱や光で反応する基を有しており、結果的に熱、光で反応により重合又は架橋し、高分子量化し液晶性を失った化合物も含まれる。円盤状液晶性分子の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、円盤状液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
円盤状液晶性分子を重合により固定するためには、円盤状液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。円盤状コアと重合性基は、連結基を介して結合する化合物が好ましく、これにより重合反応においても配向状態を保つことができる。例えば、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0151]〜「0168」記載の化合物等が挙げられる。
ハイブリッド配向では、円盤状液晶性分子の円盤面と層平面との角度が、光学異方性層の深さ方向でかつ支持体(又は配向膜)表面からの距離の増加と共に増加又は減少している。角度は、距離の増加と共に増加することが好ましい。さらに、角度の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、あるいは、増加及び減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。角度は、角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加又は減少していればよい。さらに、角度は連続的に変化することが好ましい。
支持体(又は配向膜)側の円盤状液晶性分子の長軸の平均方向は、一般に円盤状液晶性分子あるいは配向膜の材料を選択することにより、又はラビング処理方法を選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)の円盤状液晶性分子の円盤面方向は、一般に円盤状液晶性分子あるいは円盤状液晶性分子と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。円盤状液晶性分子と共に使用する添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー及びポリマーなどを挙げることができる。長軸の配向方向の変化の程度も、上記と同様に、液晶性分子と添加剤との選択により調整できる。
《光学異方性層中の他の添加物》
上記の液晶性化合物と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶分子の配向性等を向上することができる。液晶性分子と相溶性を有し、液晶性分子の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。具体的には、特開2002−296423号、特開2001−330725号、特開2000−155216号等に記載されたものが好ましい。
《光学異方性層の形成》
光学異方性層は、少なくとも一種の液晶性化合物及び必要に応じて後述の重合性開始剤や任意の成分を含む組成物を、例えば塗布液として調製し、該塗布液を配向膜の表面(例えば、ラビング処理面)に塗布することで形成できる。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N、N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1、2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがさらに好ましく、1〜10μmであることが最も好ましい。
《液晶性分子の配向状態の固定》
配向膜等の表面上で配向させた液晶性分子を、配向状態を維持して固定するのが好ましい。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の使用量は、組成物(塗布液である場合は固形分)の0.01〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm〜50J/cmの範囲にあることが好ましく、20〜5000mJ/cmの範囲にあることがより好ましく、100〜800mJ/cmの範囲にあることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
なお、光学異方性層の上に保護層を設けてもよい。
本発明に利用する第1、及び第2の光学異方性層は、ディスコティック液晶性化合物を含有する液晶性組成物をハイブリッド配向状態に固定して形成された層であるのが好ましい。かかる態様では、光学異方性層の配向制御方向は、例えば、光学異方性層を形成する際に利用される配向膜の表面に施されたラビング処理のラビング軸によって決定され、一般的にはラビング軸方向と一致する。
光学異方性層がハイブリッド配向していれば、面内遅相軸に直交する面内において、法線方向から40度傾いた方向から測定したレターデーションR[+40°]と、該法線に対して逆に40度傾いた方向から測定したレターデーションR[−40°]の比が、下記式(I)または(II)を満たす。
R[+40°]>R[−40°]の場合
1.1≦R[+40°]/R[−40°]≦40・・・(I)
R[+40°]<R[−40°]の場合
1.1≦R[−40°]/R[+40°]≦40・・・(II)
より好ましい範囲は、下記式(I)または(II)を満たす。
R[+40°]>R[−40°]の場合
2.0≦R[+40°]/R[−40°]≦25・・・(I)
R[+40°]<R[−40°]の場合
2.0≦R[−40°]/R[+40°]≦25・・・(II)
さらに好ましい範囲は、下記式(I)または(II)を満たす。
R[+40°]>R[−40°]の場合
5.0≦R[+40°]/R[−40°]≦13・・・(I)
R[+40°]<R[−40°]の場合
5.0≦R[−40°]/R[+40°]≦13・・・(II)
《光学異方性層の光学特性》
本発明で用いられる第1、第2の光学異方性層の光学特性としては、波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)が10〜100nmであることが好ましく、Re(550)が10〜80nmであることがより好ましく、Re(550)が20〜70nmであることが最も好ましい。
《配向膜》
本発明では、光学異方性層中の液晶性化合物は配向軸によって配向制御され、その状態に固定されているのが好ましい。前記液晶性化合物を配向制御する配向軸としては、光学異方性層と前記ポリマーフィルム(支持体)との間に形成された配向膜のラビング軸が挙げられる。但し、本発明において配向軸はラビング軸に限定されるものではなく、ラビング軸と同様に液晶性化合物を配向制御し得るものであれば、いかなるものであってもよい。
配向膜は、液晶性分子の配向方向を規定する機能を有する。従って、配向膜は本発明の好ましい態様を実現する上では必須である。しかし、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、本発明の構成要素としては必ずしも必須のものではない。即ち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光子上に転写して本発明の偏光板を作製することも可能である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。配向膜に使用するポリマーは、原則として、液晶性分子を配向させる機能のある分子構造を有する。本発明では、液晶性分子を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができし、これらの組み合わせを複数使用することができる。ポリマーの例には、例えば特開平8−338913号公報明細書中段落番号[0022]記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0022]に記載のもの等が挙げられる。
ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000であることが好ましい。
架橋性官能基を有する側鎖を配向膜ポリマーの主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を導入すると、配向膜のポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマーと多官能モノマーとの間だけではなく、配向膜ポリマーと配向膜ポリマーとの間、そして多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間も共有結合で強固に結合される。従って、架橋性官能基を配向膜ポリマーに導入することで、光学補償シートの強度を著しく改善することができる。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報明細書中段落番号[0080]〜[0100]記載のもの等が挙げられる。
配向膜ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾール及びジアルデヒド澱粉が含まれる。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報明細書中の段落番号[0023]〜[024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。が発生することがある。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤を含む透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行ってよい。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜形成時に利用する塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法又はロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は、20℃〜110℃で行うことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行うことができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜5.5で、特に5が好ましい。
配向膜は、透明支持体上又は上記下塗層上に設けられる。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理することにより得ることができる。
次に、配向膜を機能させて、配向膜の上に設けられる光学異方性層の液晶性分子を配向させる。その後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、あるいは、架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させる。
配向膜の膜厚は、0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。
また、光学補償フィルムは、フィルムを延伸して作製してもよい。
《楕円偏光板》
本発明では、前記光学異方性層を直線偏光膜と一体化させた楕円偏光板を用いることができる。楕円偏光板は、液晶表示装置にそのまま組み込める様に、液晶セルを構成している一対の基板と略同一な形状に成型されているのが好ましい(例えば、液晶セルが矩形状ならば、楕円偏光板も同一な矩形状に成型されているのが好ましい)。本発明では、液晶セルの基板の配向軸と直線偏光膜の吸収軸、及び/又は光学異方性層の配向軸が特定の角度に調整されている。
前記楕円偏光板は、前記光学補償フィルムと直線偏光膜(以下、単に「偏光膜」という場合は「直線偏光膜」をいうものとする)とを積層することによって作製することができる。光学補償フィルムは、直線偏光膜の保護膜を兼ねていてもよい。
直線偏光膜は、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光膜、もしくはバインダーと、ヨウ素又は二色性色素からなる偏光膜が好ましい。直線偏光膜におけるヨウ素及び二色性色素は、バインダー中で配向することで偏向性能を発現する。ヨウ素及び二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、もしくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。現在、市販の偏光子は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素をバインダー中に浸透させることで作製されるのが一般的である。
《液晶表示装置》
現在一般的に用いられている捩れ配向モード液晶セルを用いた液晶表示装置では、第1の偏光板の吸収軸が該第1の偏光板に隣接する液晶セル内の基板表面における液晶のダイレクター方向に対して0°の角度に配置されており、第1の偏光板の吸収軸と第2の偏光板の吸収軸は直交しているが、
本発明の液晶表示装置では、第1の偏光板の吸収軸が該第1の偏光板に隣接する液晶セル基板表面における液晶のダイレクター方向に対して略45°の角度に配置されており、第1の偏光板の吸収軸と第2の偏光板の吸収軸は直交している。
この形態において、透明支持体の遅相軸は、液晶セル内の基板表面における液晶のダイレクター方向に対して平行または直交になるように配置し、光学異方性層の遅相軸は、第1の光学異方性層が偏光板の吸収軸に対して直交または平行になり、かつ、第2の光学異方性層が直交になることが好ましい。
上記形態とすることにより、一般的な構成のときよりも、階調反転を改善でき、前述の光学特性にすることで、斜め方向の実画像再現性を向上させることができる。
また、本発明の液晶表示装置は、
第1の偏光層、第1の透明支持体、第1の液晶化合物を含有する組成物を硬化した層、第1及び第2の基板との間に配置された捩れ配向モード液晶セル、第2の液晶化合物を含有する組成物を硬化した層、第2の透明支持体、第2の偏光層の順で積層されていることが好ましい。この構成であると、斜め方向の実画像再現性向上の観点から好ましい。
また、本発明の液晶表示装置は、
第1の偏光層、第1の液晶化合物を含有する組成物を硬化した層、第1の透明支持体、第1及び第2の基板との間に配置された捩れ配向モード液晶セル、第2の透明支持体、第2の液晶化合物を含有する組成物を硬化した層、第2の偏光層の順で積層されていることが好ましい。この構成であると、斜め方向におけるコントラスト向上の観点から好ましい。
また、本発明の液晶表示装置は、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶セルと偏光膜との間にカラーフィルタを配置してもよい。また、透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置することができる。また、本発明の液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置する。もちろん光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。さらに本発明の液晶表示装置は、透過と反射のモードの両立をはかるため、表示装置の1画素の中で反射部と透過部を設けた反透過型であってもよい。
また、本発明の液晶表示装置は視認側の最表面に光拡散層を設けてもよい。
光拡散層に関して、従来公知のものも用いることができるが、光拡散層については、透光性樹脂と、前記透光性樹脂の屈折率と異なる屈折率を有する透光性微粒子を含む層であり、且つ光拡散層のヘイズが45%以上であることが好ましい。また、入射光の入射角度によって、光の透過状態が異なる異方性を用いることも好ましい。具体的には、特開平10−96917号に記載のものや回折型視角改良フィルム(住友化学製ルミスティ等)を使用できる。
光拡散層については、液晶表示装置において一般的に用いられる部材であるが、前述の一般的に用いられている捩れ配向モード液晶セルを用いた液晶表示装置に用いても、(下方向から見た時の階調反転)については改善出来なかった。
一方本発明の液晶表示装置においては元々下方向から見た時の階調反転を改善できるが、上記光拡散層を用いることで、階調反転を著しく改善することが出来るため好ましい。
さらにバックライトの発光効率を高めるために、プリズム状やレンズ状の集光型輝度向上シート(フィルム)を積層したり、偏光板の吸収による光ロスを改善する偏光反射型の輝度向上シート(フィルム)をバックライトと液晶セルの間に積層してもよい。また、バックライトの光源を均一化させるための拡散シート(フィルム)を積層してもよく、逆に光源に面内分布をもたせるための反射,拡散パターンを印刷などで形成したシート(フィルム)を積層してもよい。
本発明におけるバックライトユニットから射出される光の輝度半値幅角度は80°以下であることが好ましく、60°以下がより好ましく、40°以下が最も好ましい。プリズムシートや光指向性を有する導光板を用いたり、プリズムシートを積層とすることでこの値を達成することができる。上記範囲とすることで階調反転改善の観点から好ましい。
ここで、輝度半値幅角度とは、正面輝度が半分の値になる角度のことを言い、上下もしくは左右における各角度の合計値の事を言う。また、上下もしくは左右で値が異なる場合は、広い方を取ることとする。
また本発明の構成は、従来構成で耐久性試験(例えば、60℃Dry100時間) 後に黒表示時に発生する画面4辺の光モレ(額縁状の光モレ)を著しく抑制できる観点からも好ましい。
<実施例1>
(透明支持体の作製)Re/Rth=9/100
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液C−1を調製した。
──────────────────────────────────────
セルロースアセテート溶液組成(C−1)(質量部) 内層 外層
──────────────────────────────────────
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100 100
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8 7.8
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9 3.9
メチレンクロライド(第1溶媒) 293 314
メタノール(第2溶媒) 71 76
1−ブタノール(第3溶媒) 1.5 1.6
シリカ微粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
0 0.8
下記レターデーション上昇剤 1.7 0
──────────────────────────────────────
Figure 2013186210
得られたS−1の内層用ドープおよび外層用ドープを、三層共流延ダイを用いて、0℃に冷却したドラム上に流延した。残留溶剤量が70質量%のフィルムをドラムから剥ぎ取り、両端をピンテンターにて固定して搬送方向のドロー比を110%として搬送しながら80℃で乾燥させ、残留溶剤量が10%となったところで、110℃で乾燥させた。その後、140℃の温度で30分乾燥し、残留溶剤が0.3質量%のセルロースアセテートフィルム(厚み88μm(外層:3μm、内層:82μm、外層:3μm))の透明支持体1、2を作製した。この透明支持体の波長550nmにおける面内レターデーションReは9nm、厚さ方向のレターデーションRthは100nmであった。
作製したセルロースアセテートを2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗、乾燥した。
(配向膜の作製)
この透明支持体上に、下記の組成の塗布液H−1を#14のワイヤーバーコーターで24mL/m塗布した。100℃の温風で120秒で乾燥した。形成された膜表面に、ラビングロールで搬送方向に平行な方向に500回転/分で回転させてラビング処理を行い、配向膜を作製した。
──────────────────────────────────
(配向膜塗布液組成 H−1)
──────────────────────────────────
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 364質量部
メタノール 114質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 1.0質量部
クエン酸エステル(AS3、三共化学(株)) 0.35質量部
──────────────────────────────────
Figure 2013186210
(光学異方性層の作製)
下記塗布液K−1を、#2.4のワイヤーバーを用いて、フィルムの配向膜面に連続的に塗布した。その後、80℃の乾燥ゾーンで約120秒間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、80℃の乾燥ゾーンに搬送させて、紫外線照射装置により、照度600mWの紫外線を10秒間照射し、架橋反応を進行させ、ディスコティック液晶化合物を重合した。その後、室温まで放冷し、光学異方性層を形成し、光学補償フィルム1,2を作製した。
(光学異方性層塗布液組成 K−1)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記に示す液晶化合物(2) 100.0質量部
下記に示すピリジニウム塩化合物II-1 1.0質量部
下記に示すトリアジン環を有する化合物III-1 0.2質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 3.0質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1.0質量部
メチルエチルケトン 341.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ディスコティック液晶性化合物(2)
Figure 2013186210
Figure 2013186210
トリアジン環含有化合物
Figure 2013186210
(光学特性の測定)
光学異方性層の測定について、支持体をガラス板(コーニング社製イーグルXG)に変更した以外は同様に光学異方性層を作製し、KOBRA−WR(王子計測器(株)製)を用いて、波長550nmの面内レターデーションRe(550)を測定した。また、光学異方性層の遅相軸に直交する面内において、法線方向から±40度に傾斜した方向から波長550nmの光を入射させてレターデーションR[+40°]及びR[−40°]を測定し、R[−40°]/R[+40°]を算出した。
結果を表1の実施例1に示した。
<実施例2>
(配向膜、光学異方性層の作製)
実施例1で作製した透明支持体1、2を、実施例1と同様にケン化処理し、その上にH−1、T−1を、表1記載のRe(550)、R[−40]/R[40]となるようにした以外は、実施例1と同様に塗布し、光学異方性層を作製した。
(偏光板の作製)
実施例1〜2で作製した光学補償フィルムを、透明支持体側と偏光膜側が合うように貼合し、偏光板を作製した。なお、フィルムの貼合面には、アルカリ鹸化処理を施した。また、偏光膜は、厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して作製した、厚さ20μmの直線偏光膜を用い、また接着剤としては、ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を用いた。
<実施例3>
実施例1で作製した光学補償フィルムの光学異方性層側と偏光膜側が合うように、粘着剤を介して貼合し、偏光板を作製した。
(TNモード液晶表示装置の作製)
TNモード液晶表示装置(S23A350H、サムスン電子(株)製)に使用されている偏光板を剥がし、代わりに上記の作製した偏光板を、粘着剤を介して、視認側及びバックライト側に一枚ずつ貼り付け、表1のTNモード液晶表示装置をそれぞれ作製した。
<実施例4>
光拡散フィルムとして、下記を用いた。
[光拡散フィルム(高内部散乱フィルム)]
(光拡散層用塗布液の調製)
下記塗布液1を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して光拡散層用塗布液を調製した。
光拡散層用塗布液1
――――――――――――――――――――――――――――――――――
DPHA 15g
PET−30 73g
イルガキュア184 1g
イルガキュア127 1g
粒径5.0μmスチレン粒子 8g
粒径1.5μmベンゾグアナミン粒子 2g
MEK 50g
MIBK 50g
――――――――――――――――――――――――――――――――――
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
・DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
・PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート[日本化薬(株)製]
・イルガキュア127:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
・イルガキュア184:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
(低屈折率層用塗布液の調製)
・ゾル液の調製
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液を得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
・分散液の調製
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.31、特開2002−79616号公報の調製例4に準じサイズを変更して作成)500gに、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)30g、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5g加え混合した後に、イオン交換水の9gを加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8gを添加した。この分散液500gにほぼシリカの含量一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し20質量%にしたときの粘度は25℃で5mPa・sであった。得られた分散液Aのイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.5%であった。
・低屈折率層用塗布液の調製
エチレン性不飽和基含有含フッ素ポリマー(特開2005−89536号公報製造例3に記載のフッ素ポリマー(A−1))固形分として41.0gをメチルイソブチルケトン500gに溶解し、更に、分散液Aを260質量部(シリカ+表面処理剤固形分として52.0質量部)、DPHA 5.0質量部、イルガキュア127(光重合開始剤、チバスペシャルティーケミカルス製)2.0質量部を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になるようにメチルエチルケトンで希釈して低屈折率層用塗布液を調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.36であった。
(光拡散層の形成)
トリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80UL、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、スロットルダイを有するコーターを用いて、光拡散層用塗布液を直接押し出して塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下酸素濃度0.2%で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させて、光拡散層を形成し、その後、巻き取った。得られた光拡散層の厚さは8.0μmであった。
(低屈折率層の形成)
上記の様にして形成した光拡散層の上に、スロットルダイを有するコーターを用いて、低屈折率層用塗布液をバックアップロール上のハードコート層を塗布してある面上に直接押し出して塗布し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、その後巻き取った。この様にして、光拡散フィルム1を作製した。乾燥・硬化条件を以下に示す。
乾燥:90℃で60秒間乾燥した。
硬化:窒素パージにより酸素濃度0.1%の雰囲気下で空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量400mJ/cmの紫外線を照射した。こ
の時のヘイズは58%であった。
この光拡散フィルムを、実施例1のTNモード液晶表示装置の視認側偏光板に、粘着剤を介して貼り付けた。
<実施例5>
実施例4のTNモード液晶表示装置において、バックライト構成部材である拡散板と拡散シートの間に、輝度向上フィルム(BEFRP2−115 3M社製)2枚をプリズムが直交するように配置した。この時の輝度半値幅角度は70度であった。
測定機には「EZ−Contrast XL88」(ELDIM社製)を用い、その測定結果から、正面輝度の半分の値になる角度を算出した。また、通常2枚のプリズムを配置する前は、86度であった。
<実施例6>
実施例1で作製した光学フィルムを用いて、光学異方性層1の遅相軸が表1に記載のようにした以外は同様に、TNモード液晶表示装置を作製した。
<実施例7>
実施例2で作製した光学フィルムを用いて、光学異方性層1の遅相軸が表1に記載のようにした以外は同様に、TNモード液晶表示装置を作製した。
<実施例8>
実施例6で作製した光学補償フィルムの光学異方性層側と偏光膜側が合うように、粘着剤を介して貼合し、偏光板を作製し、TNモード液晶表示装置を作製した。
<実施例9>
実施例6のTNモード液晶表示装置に、実施例4で作製した光拡散フィルムを視認側偏光板に、粘着剤を介して貼り付けた。
<実施例10>
実施例9のTNモード液晶表示装置に、実施例5と同様に輝度向上フィルム2枚をプリズムが直交するように配置した。
<実施例11>
実施例1で作製した透明支持体の膜厚を80μmにした以外(外層:3μm、内層:76μm、外層:3μm)は同様に、透明支持体を作製した。この透明支持体の波長550nmにおける面内レターデーションReは9nm、厚さ方向のレターデーションRthは90nmであった。
(配向膜の作製)
この透明支持体上に、それぞれ、下記の組成の塗布液H−2を#16のワイヤーバーコーターで28mL/m塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。形成された膜表面に、ラビングロールで搬送方向に平行な方向に500回転/分で回転させてラビング処理を行い、配向膜を作製した。
───────────────────────────────────
(配向膜塗布液組成 H−2)
───────────────────────────────────
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 370質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
───────────────────────────────────
Figure 2013186210
(光学異方性層の作製)
下記塗布液K−2を、#3.2のワイヤーバーを用いて、フィルムの配向膜面に連続的に塗布した。室温から100℃に連続的に加温する工程で、溶媒を乾燥させ、その後、135℃の乾燥ゾーンで約90秒間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、80℃の乾燥ゾーンに搬送させて、フィルムの表面温度が約100℃の状態で、紫外線照射装置により、照度600mWの紫外線を10秒間照射し、架橋反応を進行させ、ディスコティック液晶化合物を重合した。その後、室温まで放冷し、光学異方性層を形成し、光学補償フィルム1、2を作製した。
(光学異方性層塗布液組成 K−2)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
メチルエチルケトン 98質量部
下記のディスコティック液晶性化合物(1) 41.01質量部
エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製 4.06質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製) 0.34質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB531−1、イーストマンケミカル社製) 0.11質量部
下記フルオロ脂肪族基含有ポリマー1 0.13質量部
下記フルオロ脂肪族基含有ポリマー2 0.03質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 1.35質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 0.45質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ディスコティック液晶性化合物1
Figure 2013186210
フルオロ脂肪族基含有ポリマー1(a/b/c=20/20/60 質量%)
Figure 2013186210
フルオロ脂肪族基含有ポリマー2(a/b=98/2 質量%)
Figure 2013186210
(光学特性の測定)
光学異方性層の測定について、支持体をガラス板(コーニング社製イーグルXG)に変更した以外は同様に光学異方性層を作製し、KOBRA−WR(王子計測器(株)製)を用いて、波長550nmの面内レターデーションRe(550)を測定した。また、光学異方性層の遅相軸に直交する面内において、法線方向から±40度に傾斜した方向から波長550nmの光を入射させてレターデーションR[+40°]及びR[−40°]を測定し、R[−40°]/R[+40°]を算出した。
結果を表1の実施例11に示した。
<実施例12>
実施例11で作製した、光学異方性層と透明支持体の遅相軸の関係を、表1に記載したとおりした以外は、実施例11と同様に、TNモード液晶表示装置を作製した。
<比較例1>
実施例11で作製した透明支持体と光学異方性層の遅相軸と、偏光板の吸収軸の角度が、表1記載したように配置した。
<比較例2>
比較例1で作製した光学異方性層を直接液晶パネルのガラス上に、粘着剤を介して貼り付け、光学異方性層の遅相軸と偏光板の吸収軸の角度が、表1記載したように配置した。
<比較例3>
比較例1で作製した表示装置の視認側に、上記で作製した光拡散フィルムを、粘着剤を介して配置した。
液晶表示装置の評価
(正面白輝度の評価)
上記で作製した各液晶表示装置について、測定機“EZ−Contrast XL88”(ELDIM社製)を用いて、白表示で正面方向(表示面に対して法線方向)の輝度を測定(結果をYとする)し、次に、液晶表示装置から液晶パネルを抜いたバックライトのみ輝度を測定(結果をY0とする)し、これらの比を用いて以下の基準で評価した。
4:4.0% ≦ Y/Y0
3:3.0% ≦ Y/Y0 < 4.0%
2:2.0% ≦ Y/Y0 < 3.0%
1:1.0% ≦ Y/Y0 < 2.0%
1は白輝度が下がりすぎるため、実用上問題ある。
(階調反転)
上記で作製した各液晶表示装置にISO/TC130/WG2のN1(人物画像)を表示し、暗室にて目視で下方向(極角30°)から観察して、表示画像の階調反転を評価した。
4:下方向での階調反転はほとんど観察されず、実用上問題ない。
3:下方向での階調反転が小さく、実用上問題ない。
2:下方向での階調反転が発生するが、実用上問題ない。
1:下方向での階調反転が悪いため、実用上問題ある。
(実画像評価:正面画像と斜め画像における階調再現性と色味の差)
上記で作製した各液晶表示装置にISO/TC130/WG2のN1(人物画像)を表示し、暗室にて目視で正面と斜め方向(極角45°方位角は任意)から観察して、表示画像の対称性を評価した。
4:どの方位角から見ても、階調性と色味の差はほとんどなく、実用上問題ない。
3:どの方位角から見ても、階調性と色味の差は小さく、実用上問題ない。
2:特定の方位角から見ると、階調性と色味の差が発生するが、実用上問題ない。
1:特定の方位角から見ると、階調性と色味の差が悪いため、実用上問題ある。
各々の結果を表1に記載した。
Figure 2013186210

Claims (11)

  1. 互いに吸収軸を直交して配置される第1及び第2の偏光層と、
    第1及び第2の偏光層の間に、互いに対向して配置され、かつ、少なくとも一方が透明電極を有する第1及び第2の基板と、
    第1及び第2の基板との間に配置された捩れ配向モード液晶セルと、
    第1の偏光層と液晶セルとの間に配置された、第1の透明支持体と第1の液晶化合物を含有する組成物を含む第1の光学補償フィルムと、
    第2の偏光層と該液晶セルとの間に配置された、第2の透明支持体と第2の液晶化合物を含有する組成物を含む第2の光学補償フィルムとを少なくとも有する液晶表示装置であって、
    第1の偏光層、第1の基板、液晶セル、第2の基板、第2の偏光層がこの順で積層されており、
    第1の偏光層の吸収軸が、第1の基板の液晶セル内表面における液晶のダイレクター方向に対して45°の角度に配置されており、
    第1の透明支持体が位相差を有し、その面内遅相軸が第1の基板の液晶セル内表面における液晶のダイレクター方向に対して平行または直交に配置されており、
    第1の液晶化合物を含有する組成物の遅相軸が第1の偏光層の吸収軸に対して平行または直交に配置されており、
    第2の透明支持体が位相差を有し、その面内遅相軸が第2の基板の液晶セル内表面における液晶のダイレクター方向に対して平行または直交に配置されており、
    第2の液晶化合物を含有する組成物の遅相軸が第2の偏光層の吸収軸に対して直交に配置されており、第1と第2の透明支持体は、それぞれ、波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)が0〜100nmであり、厚み方向のレターデーションRth(550)が−100〜200nmであり、
    第1と第2の液晶化合物を含有する組成物は、それぞれ、波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)が10〜100nmであり、および、面内遅相軸に直交する面内において、法線方向から40度傾いた方向から測定したレターデーションR[+40°]と、該法線に対して逆に40度傾いた方向から測定したレターデーションR[−40°]の比が、下記式(I)または(II)を満たすことを特徴とする液晶表示装置。
    R[+40°]>R[−40°]の場合
    1.1≦R[+40°]/R[−40°]≦40・・・(I)
    R[+40°]<R[−40°]の場合
    1.1≦R[−40°]/R[+40°]≦40・・・(II)
  2. 前記液晶化合物が重合性液晶化合物であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記液晶化合物がディスコティック化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
  4. 第1の透明支持体と第2の透明支持体の波長550nmにおける面内方向のレターデーションRe(550)の差、および波長550nmにおける厚み方向のレターデーションRth(550)の差がそれぞれ10nm未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  5. 第1の透明支持体と第2の透明支持体の波長550nmにおける面内方向のレターデーションRe(550)の差、もしくは、波長550nmにおける厚み方向のレターデーションRth(550)の差の、少なくとも一方が10nm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  6. 第1の偏光層、第1の透明支持体、第1の液晶化合物を含有する組成物を硬化した層、第1及び第2の基板との間に配置された捩れ配向モード液晶セル、第2の液晶化合物を含有する組成物を硬化した層、第2の透明支持体、第2の偏光層の順で積層されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  7. 第1の偏光層、第1の液晶化合物を含有する組成物を硬化した層、第1の透明支持体、第1及び第2の基板との間に配置された捩れ配向モード液晶セル、第2の透明支持体、第2の液晶化合物を含有する組成物を硬化した層、第2の偏光層の順で積層されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  8. 液晶表示装置の視認側に配置された光拡散層を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  9. 光拡散層が、透光性樹脂と、透光性樹脂の屈折率と異なる屈折率を有する透光性微粒子を含む層であり、且つ光拡散層のヘイズが45%以上であることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
  10. 光拡散層が、入射光の入射角度によって、光の透過状態が異なる異方性散乱層を有することを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
  11. 液晶表示装置の視認側に配置された光拡散層と液晶表示装置の視認側の反対側に配置されたバックライトユニットとを備え、バックライトユニットから射出される光の輝度半値幅角度が80°以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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