JP2004318118A - 光学補償シートおよび液晶表示装置 - Google Patents

光学補償シートおよび液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2004318118A
JP2004318118A JP2004091862A JP2004091862A JP2004318118A JP 2004318118 A JP2004318118 A JP 2004318118A JP 2004091862 A JP2004091862 A JP 2004091862A JP 2004091862 A JP2004091862 A JP 2004091862A JP 2004318118 A JP2004318118 A JP 2004318118A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
film
optical compensation
display device
crystal display
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004091862A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4284221B2 (ja
Inventor
Junichi Hirakata
純一 平方
Kentaro Toyooka
健太郎 豊岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2004091862A priority Critical patent/JP4284221B2/ja
Publication of JP2004318118A publication Critical patent/JP2004318118A/ja
Priority to US11/088,993 priority patent/US7847897B2/en
Application granted granted Critical
Publication of JP4284221B2 publication Critical patent/JP4284221B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/01Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour 
    • G02F1/13Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on liquid crystals, e.g. single liquid crystal display cells
    • G02F1/133Constructional arrangements; Operation of liquid crystal cells; Circuit arrangements
    • G02F1/1333Constructional arrangements; Manufacturing methods
    • G02F1/1335Structural association of cells with optical devices, e.g. polarisers or reflectors
    • G02F1/13363Birefringent elements, e.g. for optical compensation
    • G02F1/133632Birefringent elements, e.g. for optical compensation with refractive index ellipsoid inclined relative to the LC-layer surface

Abstract

【課題】簡易な構成で、高コントラストで階調反転が著しく改善された液晶表示装置、特にTN型液晶表示装置、及び上記性能を可能にする光学補償シートを提供する。
【解決手段】少なくとも一方に電極を有し対向配置された基板間に設けられたねじれ構造を有する液晶層の外側に一対の偏光板が配置され、この偏光板は偏光膜と保護膜から構成され、液晶層側に設けられた保護膜は光学補償シートとから構成され、光学補償シートがディスコティック構造単位を有する化合物からなり、ディスコティック構造単位を有する化合物は配向処理され、ディスコティック構造単位を構成する分子長軸の隣接する偏光膜側の配向平均方向が上下光学補償シート間で交差し、かつ交差角度が前記一対の偏光板の吸収軸の交差角度以下である光学補償シート。
【選択図】 なし


Description

本発明は、光学補償シート及びそれを用いた液晶表示装置に関する。
ワードプロセッサやノートパソコン、パソコン用モニターなどのOA機器、携帯端末、テレビなどに用いられる表示装置としては、CRT(cathode ray tube)がこれまで主に使用されてきた。近年、液晶表示装置が、薄型で、軽量、また消費電力が小さいことからCRTの代わりに広く使用されてきている。
液晶表示装置は、液晶セル、偏光板からなる。偏光板は保護膜と偏光膜からなり、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護膜にて積層して得られる。透過型液晶表示装置では、この偏光板を液晶セルの両側に取り付け、さらには一枚以上の光学補償シート配置することもある。反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、一枚以上の光学補償シート、偏光板の順に配置する。液晶セルは、液晶分子、それを封入するための二枚の基板及び液晶分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、液晶分子の配向状態の違いで、ON、OFF表示を行い、透過型、反射型及び半透過型のいずれにも適用できる、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、STN(Super Twisted Nematic)のような表示モードが提案されている。
光学補償シートは、画像着色を解消したり、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用いられている。光学補償シートとしては、延伸複屈折ポリマーフィルムが従来から使用されていた。延伸複屈折フィルムからなる光学補償シートに代えて、透明支持体上に低分子あるいは高分子液晶性化合物から形成された光学異方性層を有する光学補償シートを使用することが提案されている。液晶性化合物には多様な配向形態があるため、液晶性化合物を用いることで、従来の延伸複屈折ポリマーフィルムでは得ることができない光学的性質を実現することが可能になった。さらに偏光板の保護膜としても機能する。
光学補償シートの光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には上記のような表示モードの違いに応じて決定する。液晶性化合物を用いると、液晶セルの様々な表示モードに対応する様々な光学的性質を有する光学補償シートを製造することができる。液晶性化合物を用いた光学補償シートでは、様々な表示モードに対応するものが既に提案されている。例えば、TNモード液晶セル用光学補償シートは、電圧印加により液晶分子がねじれ構造が解消しつつ基板面に傾斜した配向状態の光学補償を行い、表示装置の正面コントラスト比向上、さらに黒表示時の斜め方向の光漏れ防止によるコントラストの視角特性を向上させる。
光学補償の代表例としては、位相差の同じ延伸フィルムを直交に積層し、面内レターデーションを0に近づけたフィルム組を上下偏光板と液晶セルの間に各々配置する方法が挙げられる(特許文献1参照)。
しかし、液晶セル中の分子は電界印加時に完全に基板に対して垂直配向せず、基板近傍では平行配向のままである。一方基板中央部の液晶分子は垂直配向しており、その間の液晶分子は連続的に傾斜配向している。このような液晶セルの配向状態を光学補償するには、光学補償シートも同じような光学性能にすればよい。
このような光学補償シートしては液晶性化合物をハイブリット配向させてフィルム状にする技術があり、液晶性化合物に円盤状液晶性化合物を使用したり(特許文献2参照)、棒状液晶性化合物を使用した例がある(特許文献3参照)。
しかし、円盤状液晶性化合物を均一にハイブリッド配向させた光学補償シートを用いても液晶セルを問題なく完全に光学的に補償することは非常に難しい。例えば、TNモード液晶セルでは斜め方向から観察したときに、各階調での透過率が反転する階調反転現象が生じる。階調反転を生じさせないために、液晶セル中の液晶分子のチルト角範囲を制限する方法が知られているがまだ不十分である(非特許文献1参照)。
特開平4-162018号公報 特開平6-214116号公報 特開平10-186356号公報 TECHNICAL REPORT OF IEICE、EID2001-108 p47-52
本発明の目的は、簡易な構成で、高コントラストで階調反転が著しく改善された液晶表示装置、特にTN型液晶表示装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、液晶表示装置、特にTN型液晶表示装置の高コントラストで階調反転を著しく改善することができる光学補償シートを提供することにある。
本発明によれば、下記構成の液晶表示装置および光学補償シートが提供され、本発明の上記目的が達成される。
1.少なくとも一方に電極を有し対向配置された一対の基板間に設けられたねじれ構造を有する液晶層の外側に一対の偏光板が配置され、該偏光板は偏光膜と保護膜から構成され、かつ少なくとも液晶層側に設けられた該保護膜上に光学補償シートが設けられているか、あるいは該保護膜が光学補償シートを兼ねている液晶表示装置であって、
上記光学補償シートがディスコティック構造単位を有する化合物からなり、該ディスコティック構造単位を有する化合物は配向処理され、該ディスコティック構造単位を構成する分子長軸の隣接する偏光膜側の配向平均方向が上下光学補償シート間で交差し、かつ交差角度が上記一対の偏光板の吸収軸の交差角度以下であることすることを特徴とする液晶表示装置。
2.液晶層がねじれ構造を有し、かつ光学補償シートのディスコティック構造単位を構成する分子長軸の配向平均方向の上下光学補償シートの交差角度が、該液晶層のねじれ角度以下であることを特徴とする上記1に記載の液晶表示装置。
3.ディスコティック構造単位を構成する分子長軸の配向平均方向が、液晶層側と偏光膜側とで異なることを特徴とする上記1または2に記載の液晶表示装置。
4.対向配置され、少なくとも一方に電極を有する一対の基板と、該基板間に設けられた液晶層と、該液晶層の外側に配置された一対の偏光膜と該一対の偏光膜の間に少なくとも一枚の光学補償シートを有する液晶表示装置であって、
(i)白表示を行うために該液晶層に印加する電圧をVw、黒表示を行うために印加する電圧をVbと設定したときに、該液晶表示装置から光学補償シートを全て取り外し、その他の構成をそのままにしたときに、あらかじめ設定した上記印加電圧Vw、Vbにおける正面での白表示透過率〔T2(Vw)〕と黒表示透過率〔T2(Vb)〕との比T2(Vw):T2(Vb)が100:1未満であり、
(ii)該光学補償シートがクロスニコル配置した一対の偏光素子の間に挟持し、該補償シート面の法線方向を回転軸として回転させたときに、光の透過率がゼロとなる方位が存在しない光学補償シートであり、それにより、
(iii)該液晶表示装置の正面における白表示透過率〔T1(Vw)〕と黒表示透過率〔T1(Vb)〕との比であるコントラスト比T1(Vw):T1(Vb)が100:1以上であり、かつ該基板の法線から60°傾斜した全方位角において、黒表示の透過率の最大値がT1(Vw)に対して10%以下となるように補償したことを特徴とする液晶表示装置。
5.光学補償シートが、液晶性化合物からなる第1及び第2光学異方性層を透明支持体上に形成してなり、該第1光学異方性層の液晶性化合物の配向制御方向と、該第2光学異方性層の液晶性化合物の配向制御方向が異なることを特徴とする上記1ないし4のいずれかに記載の液晶表示装置。
6.上記1ないし5に記載された光学補償シート。
上記4の液晶表示装置では、光学補償シートが液晶性化合物からなる光学異方性層が透明支持体上(保護膜)に形成され、該光学異方性層の透明支持体に接する面及び対向面の該液晶性化合物の配向制御方向が互いに異なるとよい。液晶性化合物としては円盤状液晶性化合物や棒状液晶性化合物がよい。
また、上記表示装置の液晶層の液晶分子の基板面に対する傾き角度(プレチルト角度)は、電圧無印加状態で概略0度であるが、印加電圧増加とともに大きくなり、黒表示電圧印加時には70から80度となる。本発明では、この傾き角度は70度未満50から70度で黒表示を行う。ここで液晶分子の平均の傾き角度は、印加電圧と液晶層の静電容量の変化からもとめることができる。
本発明によれば、簡易な構成で、正面でのコントラスト比が著しく改善され、しかも下方向での階調反転が殆どなく視野角が著しく改善された液晶表示装置、特にTN型液晶表示装置を提供することができる。また、液晶表示装置、特にTN型液晶表示装置の液晶セルの光学的補償に寄与する光学補償シート、楕円偏光板を提供することができる。
以下、本発明の液晶表示装置の一実施形態の構成部材について順次説明する。
なお、本明細書において、「45°」、「平行」あるいは「直交」とは、厳密な角度±5゜未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との誤差は、4゜未満であることが好ましく、3゜未満であることがより好ましい。また、角度について、「+」は反時計周り方向を意味し、「−」は時計周り方向を意味するものとする。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。
また、「可視光領域」とは、380nm〜780nmのことをいう。さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。
図1は、本発明の液晶表示装置の一実施形態を示す模式図である。
図1において、液晶表示装置は、液晶セル(上側基板7及び下側基板10と、これらに挟持され、液晶分子9から形成される液晶層とからなる)と、液晶セルの両側に配置された一対の偏光板1及び16とを有する。偏光板は偏光膜及びそれを挟持する一対の透明保護膜によって構成されているが、図1では、一体化された偏光板として示し、詳細構造は省略する。
さらに、液晶セルと一対の偏光板との間には、光学補償能を有する、上側第1光学異方性層5と上側第2光学異方性層3、下側第1光学異方性層12と下側第2光学異方性層14とからなる光学補償シートが、液晶セルを中心としてそれぞれ対照的位置に配置されている。
上側偏光板1の下側保護膜(不図示)は、上側第1光学異方性層5及び上側第2光学異方性層3の支持体を兼ね、上側偏光板1は、上側第2光学異方性層3及び上側第1光学異方性層5と共に一体的に積層された構造体として液晶表示装置に組み込まれる。一方、下側偏光板16の上側保護膜(不図示)は、下側第1光学異方性層12と下側第2光学異方性層14の支持体を兼ね、下側偏光板16は、下側第1光学異方性層12及び下側第2光学異方性層14と共に一体的に積層された構造体として液晶表示装置に組み込まれる。
なお、本発明では、偏光板の少なくとも一方を、偏光板及び光学異方性層の積層体(例えば、上側偏光板として、上側偏光板1及び光学異方性層3の積層体)を用いればよく、図1のように双方の偏光板が前記構成の積層体である必要はない。また、図1では、光学異方性層を2層一体的に積層した偏光板を用いた態様を示したが、本発明の液晶表示装置は、偏光板と少なくとも一層の光学異方性層とが一体的に積層された構造体であればよく、図1に示される構成に限定されるものではない。
本発明の液晶表示装置では、光学補償シートの透明支持体が、偏光膜の一方の側の保護膜として機能することができるので、透明保護膜、偏光膜、透明保護膜(透明支持体を兼用)及び光学異方性層の順序で積層した保護膜と光学補償シートが一体化した(光学補償シートが保護膜を兼ねた)一体型偏光板を用いることができる。この一体型偏光板は、偏光機能を有するのみならず、視野角の拡大、表示ムラの軽減に寄与する。さらに、一体型偏光板は光学補償能を有する光学異方性層を備えているので、簡易な構成で液晶表示装置を正確に光学補償することができる。一体型偏光板を作製するに当たっては、液晶表示装置装置の液晶セルから遠い順序で積層すること、即ち、透明保護膜、偏光膜、透明支持体及び光学異方性層の順序となる構成であることが好ましい。
偏光板1及び16の吸収軸2及び17、光学異方性層3、5、12及び14の配向方向、並びに液晶分子9の配向方向については、各部材に用いられる材料、表示モード、部材の積層構造等に応じて最適な範囲に調整することができる。高コントラストを得るためには、偏光板1及び16の吸収軸2及び17が、互いに実質的に直交しているように配置する。但し、本発明の液晶表示装置は、この構成に限定されるものではない。
次に、本発明の液晶表示装置及び光学補償シートについて、図1を参照しながら、詳しく説明する。
[液晶表示装置]
液晶セルは、上側基板7及び下側基板10と、これらに挟持され、液晶分子9から形成される液晶層とからなる。基板7及び10の液晶分子9に接触する表面(以下、「内面」という場合がある)には、配向膜(不図示)が形成されていて、配向膜上に施されたラビング処理等により、電圧無印加状態もしくは低印加状態における液晶分子9の配向が制御されている。また、基板7及び10の内面には、液晶分子9からなる液晶層に電圧を印加可能な透明電極(不図示)が形成されている。
TNモード液晶表示装置では、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶セル中の液晶分子9は基板面に対して略平行に配向し、その配向方向は上下基板の間で90°捩れている。印加電圧を大きくしていくと液晶分子は捩れを解消しながら基板面に対して垂直な方向に次第に立っていく。従来のTNモード液晶表示装置では、液晶分子の捩れがほぼ完全に解消し、基板面に対してほぼ垂直に立ちきった状態を黒表示としていた。すなわち、白表示から黒表示に切り替えに応じて、液晶分子が基板面に対してほぼ水平な角度からほぼ垂直な角度に変化しており、この変化量の大きさのために階調反転が生じる。階調反転の生じないIPSモードでは白表示、黒表示いずれの場合も液晶分子が基板面に対して平行に配向しており、TNモードにおいても液晶分子の基板面に対する配向方向の白表示から黒表示での変化量を小さくすることで階調反転が改善されるとの報告がある(TECHNICALREPORT OF IEICE、 EID2001-108 p47-52)。
TNモード液晶表示装置では、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では,液晶セル中の液晶分子11は基板面に対して略平行に配向し、その配向方向は上下基板の間で90°捩れている。印加電圧を大きくしていくと液晶分子は捩れを解消しながら基板面に対して垂直な方向に次第に立っていく。理想的高電圧印加状態でのTNモード液晶表示装置では、液晶分子の捩れがほぼ完全に解消し、基板面に対してほぼ垂直に立ちきった状態を黒表示としていた。しかし従来のTNモードでは理想的な高電圧は印加されず、液晶分子が立ちきっておらず、捩れ成分も残っている状態で黒表示としていたため,液晶層中に残留位相差が生じ,特に正面コントラストが理想値よりも低くなった。本発明では,ひとつには従来と同じ黒電圧でこの残留位相差を補償することで,正面コントラスト比が高くなる。さらには従来よりも低い電圧で残留位相差を補償することで,正面コントラストが高くなり,階調反転も改善できる。
本発明では、従来よりも低電圧で、液晶分子が立ちきっておらず、捩れ成分も残っている状態を黒表示とすることで階調反転が著しく改善される。
液晶表示装置の白電圧をVw、黒電圧をVbと設定したときに、図1に示される液晶表示装置から光学補償シート(3、5、12、14)を全て取り外し、その他の構成をそのままにした場合の正面での白表示透過率をT2(Vw)、黒表示透過率をT2(Vb)とする。このとき、透過率の比T2(Vw):T2(Vb)が100:1以下となるように黒表示のときに液晶表示装置に印加する電圧Vbを調節する。このことにより、下方向の階調反転が著しく改善される。100:1以上になる電圧を印加した場合には、下方向の階調反転しない領域が45°以下で改善効果が小さい。
白表示透過率、黒表示透過率とは、可視光領域の波長における透過率であれば特に限定されるものではないが、一般的には輝度が用いられる。
本発明で用いられる液晶表示装置の表示モードは特に限定されないが、TNモード、OCBモード、ECBモードが好適に用いられる。本発明では、液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dは、0.2〜1.2μmとする。Δn・dの最適値は表示モードにより異なり、液晶のΔndの最適値はTNモードでは0.2〜0.5μmが最適値となる。OCBモードでは0.4〜1.2μmが最適値となる。ECBモードでは0.2〜0.5μmが最適値となる。また、TNモードにおける液晶層のツイスト角(ねじれ角)は90°近傍(85°から95°)が最適値となる。これらの範囲では白表示輝度が高く、黒表示輝度が小さいことから、明るくコントラストの高い表示装置が得られる。
なお、これらの最適値は透過モードの値であり、反射モードでは液晶セル内の光路が2倍になることから、最適Δndの値は上記の1/2程度の値になる。また、ツイスト角は30°〜70°が最適値となる。
本発明で用いられる液晶表示装置は、上記表示モードのだけでなく、VAモード、ECBモード、IPSモード、STNモードに適用した態様も有効である。
本発明の液晶表示装置は、図1に示す構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶セルと偏光膜との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置することができる。また、本発明の液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置する。もちろん前記光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。さらに本発明の液晶表示装置は、透過と反射のモードの両立をはかるため、表示装置の1画素の中で反射部と透過部を設けた半透過型であってもよい。
本発明の液晶表示装置には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。本発明は、TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置に適用した態様が特に有効である。勿論、時分割駆動と呼ばれるSTN型に代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置に適用した態様も有効である。
図1に示す液晶表示装置の動作について、TNモードを例を挙げて説明する。本実施の形態では、電界効果型液晶として正の誘電異方性を有するネマチック液晶を用いてアクティブ駆動を行った例で説明する。
TNモードでは、上下基板7、10間に誘電異方性が正で、屈折率異方性Δn=0.0854(589nm、20°C)、誘電率異方性Δε=+8.5程度の液晶をラビング配向させて液晶セルを作製する。液晶層の配向制御は配向膜とラビングにより制御する。液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角は、約3°とするのが好ましい。ラビング方向は上下基板と互いに直交する方向に施し、その強さとラビング回数などでチルト角の大きさが制御できる。配向膜はポリイミド膜を塗布後焼成して形成する。液晶層のツイスト角の大きさは、上下基板のラビング方向の交差角と液晶材料に添加するカイラル剤により決まる。ここではツイスト角が90°になるようにするためピッチ60μm程度のカイラル剤を添加する。液晶層の厚さdは5μmに設定してある。
また、液晶材料LCは、ネマチック液晶であれば、特に限定したものではない。誘電率異方性△εは、その値が大きいほうが、駆動電圧が低減できる。屈折率異方性△nは小さいほうが液晶層の厚み(ギャップ)を厚くでき、液晶の封入時間が短縮され、かつギャップばらつきを少なくすることができる。また、Δnが大きい方がセルギャップを小さくでき、高速応答が可能となる。
上側偏光板1の吸収軸2と下側偏光板16の吸収軸17は概略直交に積層し、さらに液晶セルの上側偏光板1の吸収軸2と上側基板7のラビング方向8は概略平行に、下偏光板16の吸収軸17と下基板10のラビング方向11はそれぞれ概略平行になるように積層する。上基板7及び下基板10のそれぞれの配向膜の内側には透明電極(図示せず)が形成されるが、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶セル中の液晶分子9は基板面に対して略平行に配向し、その結果液晶パネルを通過する光の偏光状態は液晶分子のねじれ構造に沿って伝播し、偏光面が90°回転して出射する。すなわち、液晶表示装置では非駆動状態において白表示を実現する。これに対し、駆動状態では液晶分子は基板面に対してある角度をなす方向に配向しており、下側偏光板16を通過した光は、光学補償層14、12、5、3により液晶層等のレタデーションが打ち消され、偏光状態を維持したまま液晶層9を通過し、偏光板1によって遮断される。換言すると、液晶表示装置では駆動状態において理想的黒表示が得られる。
[光学補償シート]
図1の液晶表示装置では、(透明支持体上に設けられた)上側第1光学異方性層5と上側第2光学異方性層3の積層体、及び(透明支持体上に設けられた)下側第1光学異方性層12と下側光学異方性層14の積層体が、光学補償シートとして機能する。
光学補償シートは、画像着色を解消したり、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用いられている。光学補償シートとしては、延伸複屈折ポリマーフィルムが従来から使用されていた。偏光板の保護膜に複屈折性を付加することで光学補償シートとしても機能する。延伸複屈折ポリマーフィルムからなる光学補償シートに代わる、透明支持体上に低分子あるいは高分子液晶性化合物から形成された光学異方性層から構成される光学補償シートは、液晶性化合物には多様な配向形態があるため、従来の延伸複屈折ポリマーフィルムでは得ることができない光学的性質を実現することが可能である。液晶性化合物にはその形状から、棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがある。
本発明の光学補償シートを液晶表示装置に組み込んだ状態での液晶表示装置の白表示透過率をT1(Vw)、黒表示透過率をT1(Vb)とする。このとき、正面における白表示透過率T1(Vw)と黒表示透過率T1(Vb)との比、即ちコントラスト比T1(Vw):T1(Vb)が100:1以上になるように光学補償シートを設計する。上記範囲は200:1以上であることが好ましく、300:1以上であることがさらに好ましい。また、表示面の法線方向から60°傾斜した全方位角において、黒表示の透過率の最大値がT1(Vw)に対して10%以下になるように光学補償シートを設計する。上記範囲は5%以下であることが好ましい。上記のように設計することにより、正面及び視野角で液晶セルを補償することができ、高コントラストで階調反転の生じない視野角が広い液晶表示装置が可能となる。
また、残留捩れ成分が大きい液晶セルを正確に補償するために、光学補償シートをクロスニコル配置した一対の偏光素子との間に挟持し、面の法線方向を回転軸として回転させたときに消光する方位がないように設計する。消光していない透過率は0.01%以上であることが好ましい。このとき用いる一対の偏光素子としては、一対の偏光素子を平行ニコル配置にしたときの透過率を100%とした場合に、一対の偏光素子をクロスニコル配置したときの透過率が0.001%以下のものを使用することが好ましい。このような偏光素子としては、例えばグラン-トムソンプリズム等がある。この時、クロスニコル配置したときの透過率が0.1%と大きな偏光素子を用いると、いかなる光学補償シートを挟持したときも測定値が0.1%以上となってしまい上記最小透過率を得ることができない。
CRTと同等の視野角特性を得るためには、コントラスト10以上の範囲が全方位70°以上であることが好ましい。また、テレビやノートパソコン、パソコン用モニターにおいては、下方向から見る機会が少ないことから、下方向の階調反転角度としては50°以上であることが好ましい。
また本発明において、TNモードによる液晶表示装置では、黒表示時の液晶分子は捩れて配向している成分が大きいため、正面から見た時にレターデーションが残留する。本発明に用いる光学補償シートは、この残留レターデーションを光学補償する。より正確に補償するための光学補償シートとしては、液晶性化合物からなる光学異方性層を透明支持体上に形成し、光学異方性層の透明支持体に接する面及び対向面の液晶性化合物の配向制御方向が互いに異なるようにする。これにより、液晶セルの捩れ成分を光学異方性層の捩れ成分でうまく補償することができる。
別法として、液晶性化合物からなる第1及び第2光学異方性層を透明支持体上に形成し、第1光学異方性層と第2光学異方性層で液晶性化合物の配向を異なる方向に制御する方法が挙げられる。これにより、同様に液晶セルの捩れ成分をうまく補償することができる。
光学異方性層に用いる液晶性化合物としては、円盤状液晶性化合物を用いることが好ましい。また、第1光学異方性層及び第2光学異方性層では完全に補償できていない分を補償するために光学異方性層をさらに追加しても良い。
また本発明によるTNモードでは黒表示時の液晶分子は捩れて配向している成分が残留するため、正面から見た時にレターデーションも残留する。本発明に用いる光学補償シートは、この残留レターデーションを光学補償する。より正確に補償するための光学補償シートとしては、液晶性化合物からなる光学異方性層を透明支持体上に形成し、光学異方性層の透明支持体に接する面及び対向面の液晶性化合物の配向制御方向が互いに異なるようにする。これにより、液晶セルの捩れ成分を光学異方性層の捩れ成分でうまく補償することができる。
あるいは、液晶性化合物からなる光学異方性層を透明支持体上に形成し、光学異方性層を形成する分子長軸の配向平均方向とを制御する。これにより、同様に液晶セルの捩れ成分をうまく補償することができる。光学異方性層に用いる液晶性化合物としては、円盤状液晶性化合物を用いることが好ましい。また、液晶層のねじれ角を90度より大きくしても良い。
第1光学異方性層及び第2光学異方性層のレターデーションReを、450nmで測定した値Re@450と650nmで測定した値Re@650との比{Re@650}/{Re@450}が0.8〜1.2の間であることが好ましい。この範囲に設定することで、色味を著しく改善することができる。
以下、本発明の液晶表示装置に使用可能な種々の部材に用いられる材料、その製造方法等について、詳細に説明する。
[フィルムのレターデーション]
フィルムのReレターデーション値及びRthレターデーション値は、それぞれ、下記数式(I)及び(II)で定義される。
数式(I):Re=(nx-ny)×d
数式(II):Rth={(nx+ny)/2-nz}×d
数式(I)及び(II)において、nxは、フィルム面内の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率である。数式(I)及び(II)において、nyは、フィルム面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率である。数式(II)において、nzは、フィルムの厚み方向の屈折率である。数式(I)及び(II)において、dは、単位をnmとするフィルムの厚さである。
[支持体]
液晶性化合物の配向に使用する支持体と、製造する光学補償シートの透明支持体とは、異なっていてもよい。例えば、本発明に従い液晶性化合物を配向させて配向状態を固定して得られた光学異方性層を、透明支持体に転写して、光学補償シートを製造することもできる。液晶性化合物の配向に使用する支持体と光学補償シートの透明支持体とが異なる場合、液晶性化合物の配向に使用する支持体について、特に制限はない。
本発明の支持体は、ガラス、もしくは透明なポリマーフイルムであることが好ましい。支持体は、光透過率が80%以上であることが好ましい。ポリマーフイルムを構成するポリマーの例には、セルロースエステル(例、セルロースのモノ乃至トリアシレート体)、ノルボルネン系ポリマーおよびポリメチルメタクリレートが含まれる。市販のポリマー(ノルボルネン系ポリマーでは、アートン及びゼオネックスいずれも商品名))を用いてもよい。又、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても、WO’00/26705号明細書に記載のように、分子を修飾することで複屈折の発現性を制御すれば、本発明の光学フイルムに用いることもできる。
中でもセルロースエステルが好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。特に、炭素原子数が2乃至4のセルロースアシレートが好ましい。セルロースアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。
セルロースアセテートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。又、セルロースアセテートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0乃至1.7であることが好ましく、1.0乃至1.65であることがさらに好ましい。
ポリマーフィルムとしては、酢化度が55.0乃至62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。酢化度は、57.0乃至62.0%であることがさらに好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D-817-91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算によって求められる。
セルロースアセテートでは、セルロースの2位、3位、6位のヒドロキシルが均等に置換されるのではなく、6位の置換度が小さくなる傾向がある。本発明に用いるポリマーフィルムでは、セルロースの6位置換度が、2位、3位に比べて同程度または多い方が好ましい。2位、3位、6位の置換度の合計に対する、6位の置換度の割合は、30乃至40%であることが好ましく、31乃至40%であることがさらに好ましく、32乃至40%であることが最も好ましい。6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。
これらの具体的なアシル基、及びセルロースアシレートの合成方法は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行 発明協会)の9ページに詳細に記載されている。
ポリマーフィルムを光学補償シートに用いる場合、ポリマーフィルムは、所望のレターデーション値を有することが好ましい。フィルムのReレターデーション値およびRthレターデーション値は、それぞれ、下記数式(I')および(II')で定義される。
数式(I'):Re=|nx−ny|×d
数式(II'):Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
数式(I')および(II')において、nxは、フィルム面内の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率、nyは、フィルム面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率、nzは、フィルムの厚み方向の屈折率、dは、単位をnmとするフィルムの厚みである。
ポリマーフイルムレターデーション値は光学補償フィルムが用いられる液晶セルやその使用の方法に応じて好ましい範囲が異なるがReレターデーション値は0〜200nmであり、そして、Rthレターデーション値は10〜400nm範囲に調節することが好ましい。
液晶表示装置に二枚の光学的異方性層を使用する場合、ポリマーフィルムのRthレターデーション値は10乃至250nmの範囲にあることが好ましい。液晶表示装置に一枚の光学的異方性層を使用する場合、基材のRthレターデーション値は150乃至400nmの範囲にあることが好ましい。
なお、基材フィルムの複屈折率(Δn:nx−ny)は、0.00028乃至0.020の範囲にあることが好ましい。また、セルロースアセテートフィルムの厚み方向の複屈折率{(nx+ny)/2−nz}は、0.001乃至0.04の範囲にあることが好ましい。
ポリマーフィルムのレターデーションを調整するためには延伸のような外力を与える方法が一般的であるが、又、光学異方性を調節するためのレターデーション上昇剤が、場合により添加される。セルロースアシレートフィルムのレターデーションを調整するには、芳香族環を少なくとも二つ有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用することが好ましい。芳香族化合物は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用することが好ましい。また、二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。例えば、欧州特許0911656A2号明細書、特開2000−111914号、同2000−275434号公報等記載の化合物等が挙げられる。
更には、本発明の光学補償シートに用いるセルロースアセテートフィルムの吸湿膨張係数を30×10-5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10-5/%RH以下とすることが好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。
吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、光学補償シートの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇(歪みによる光漏れ)を防止することができる。
吸湿膨張係数の測定方法について以下に示す。作製したポリマーフィルムから幅5mm。長さ20mmの試料を切り出し、片方の端を固定して25℃、20%RH(R0 )の雰囲気下にぶら下げた。他方の端に0.5gの重りをぶら下げて、10分間放置し長さ(L0 )を測定した。次に、温度は25℃のまま、湿度を80%RH(R1 )にして、長さ(L1 )を測定した。吸湿膨張係数は下式により算出した。測定は同一試料につき10サンプル行い、平均値を採用した。
吸湿膨張係数[/%RH]={(L1 −L0 )/L0 }/(R1 −R0 )
ポリマーフィルムの吸湿による寸度変化を小さくするには、疎水基を有する化合物或は微粒子等を添加することが好ましい。疎水基を有する化合物としては、分子中に脂肪族基や芳香族基のような疎水基を有する可塑剤や劣化防止剤の中で該当する素材が特に好ましく用いられる。これらの化合物の添加量は、調整する溶液(ドープ)に対して0.01乃至10質量%の範囲にあることが好ましい。又、ポリマーフィルム中の自由体積を小さくすればよく、具体的には、後述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量が少ない方が自由堆積が小さくなる。セルロースアセテートフィルムに対する残留溶剤量が、0.01乃至1.00質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。
ポリマーフィルムに添加する上記した添加剤或は種々の目的に応じて添加できる添加剤(例えば、紫外線防止剤、剥離剤、帯電防止剤、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)、赤外吸収剤を等)は、固体でもよく油状物でもよい。また、フィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。これらの詳細は、上記の公技番号 2001−1745号技報の16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。これらの添加剤の使用量は、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されないが、ポリマーフィルム全組成物中、0.001〜25質量%の範囲で適宜用いられることが好ましい
[ポリマーフィルムの製造方法]
ポリマーフィルムは、ソルベントキャスト法によりを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、ポリマー材料を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
流延工程では1種類のセルロースアシレート溶液を単層流延してもよいし、2種類以上のセルロースアシレート溶液を同時及び又は逐次共流延してもよい。
上記のような二層以上の複数のセルロースアシレート溶液を共流延する方法としては、例えば、支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させる方法(例えば、特開平11−198285号公報記載の方法)、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延する方法(特開平6−134933号公報記載の方法)、高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高、低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出す方法(特開昭56−162617号公報記載の方法)等が挙げられる。本発明ではこれらに限定されるものではない。
これらのソルベントキャスト方法の製造工程については、前記の公技番号 2001−1745の22頁〜30頁に詳細に記載され、溶解、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離、延伸などに分類される。
本発明のフィルムの厚さは、15〜120μmであることが好ましく、更には30〜80μmが好ましい。
[ポリマーフィルムの表面処理]
ポリマーフィルムは、表面処理を施すことが好ましい。表面処理には、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理および紫外線照射処理が含まれる。これらについては、詳細が前記の公技番号 2001−1745の30頁〜32頁に詳細に記載されている。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
アルカリ鹸化処理は、鹸化液中に浸漬、鹸化液を塗布する等何れでもよいが、塗布方法が好ましい。塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法及びE型塗布法を挙げることができる。アルカリ鹸化処理液は、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの規定濃度は、0.1〜3.0Nの範囲にあることが好ましい。更に、アルカリ処理液として、フィルムに対する濡れ性が良好な溶媒(例、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、メタノール、エタノール等)、界面活性剤、湿潤剤(例えば、ジオール類、グリセリン等)を含有することで、鹸化液の透明支持体に対する濡れ性、鹸化液の経時安定性等が良好となる。具体的には、例えば、特開2002−82226号公報、WO02/46809号公報に内容の記載が挙げられる。
表面処理の代わりに、表面処理に加えて下塗り層(特開平7-333433号公報記載)、或は疎水性基と親水性基との両方を含有するゼラチン等の樹脂層を一層のみ塗布する単層法第1層として高分子フィルムによく密着する層(以下、下塗第1層と略す)を設け、その上に第2層として配向膜とよく密着するゼラチン等の親水性の樹脂層(以下、下塗第2層と略す)を塗布する所謂重層法(例えば、特開平11−248940号公報記載)の内容が挙げられる。
[光学異方性層]
液晶性化合物からなる光学異方性層の好ましい態様について詳細を記述する。
光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶性化合物を補償するように設計することが好ましい。黒表示における液晶セル中の液晶性化合物の配向状態は、液晶表示装置のモードにより異なる。この液晶セル中の液晶性化合物の配向状態に関しては、IDW’00、FMC7-2、P411〜414に記載されている。
上記のように表面処理したポリマー基材と、その上に設ける光学異方性層との間に、配向膜を設けることが好ましい。
[配向膜]
配向膜は、液晶性分子の配向方向を規定する機能を有する。従って、配向膜は本発明の好ましい態様を実現する上では必須である。しかし、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、本発明の構成要素としては必ずしも必須のものではない。即ち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光子上に転写して本発明の偏光板を作製することも可能である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω-トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。配向膜に使用するポリマーは、原則として、液晶性分子を配向させる機能のある分子構造を有する。
本発明では、液晶性分子を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができし、これらの組み合わせを複数使用することができる。
ポリマーの例には、例えば特開平8−338913号公報明細書中段落番号[0022]記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。
ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000であることが好ましい。
液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖は、一般に疎水性基を官能基として有する。具体的な官能基の種類は、液晶性分子の種類および必要とする配向状態に応じて決定する。
例えば、変性ポリビニルアルコールの変性基としては、共重合変性、連鎖移動変性またはブロック重合変性により導入できる。変性基の例には、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0022]に記載のもの等が挙げられる。
架橋性官能基を有する側鎖を配向膜ポリマーの主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を導入すると、配向膜のポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマーと多官能モノマーとの間だけではなく、配向膜ポリマーと配向膜ポリマーとの間、そして多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間も共有結合で強固に結合される。従って、架橋性官能基を配向膜ポリマーに導入することで、光学補償シートの強度を著しく改善することができる。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報明細書中段落番号[0080]〜[0100]記載のもの等が挙げられる。
配向膜ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾールおよびジアルデヒド澱粉が含まれる。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報明細書中の段落番号[0023]〜[024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤を含む透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥し(架橋し)、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なって良い。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法またはロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1乃至10μmが好ましい。加熱乾燥は、20℃〜110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜5.5で、特に5が好ましい。
配向膜は、透明支持体上又は上記下塗層上に設けられる。配向膜は上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理することにより得ることができる。
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
次に、配向膜を機能させて、配向膜の上に設けられる光学異方性層の液晶性分子を配向させる。その後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、あるいは、架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させる。
配向膜の膜厚は、0.1乃至10μmの範囲にあることが好ましい。
光学異方性層に用いる液晶性分子には、棒状液晶性分子および円盤状液晶性分子が含まれる。棒状液晶性分子および円盤状液晶性分子は、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、さらに、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。
[棒状液晶性分子]
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
なお、棒状液晶性分子には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶性分子を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、棒状液晶性分子として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性分子は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状液晶性分子については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
棒状液晶性分子の複屈折率は、0.001乃至0.7の範囲にあることが好ましい。棒状液晶性分子は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、ラジカル重合性不飽基或はカチオン重合性基が好ましく、具体的には、例えば特開2002−62427号公報明細書中の段落番号[0064]〜[0086]記載の重合性基、重合性液晶性化合物が挙げられる。
[円盤状液晶性分子]
円盤状(ディスコティック)液晶性分子には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett、A、78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.、1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
円盤状液晶性分子としては、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造である液晶性を示す化合物も含まれる。分子または分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。円盤状液晶性分子から形成する光学異方性層は、最終的に光学異方性層に含まれる化合物が円盤状液晶性分子である必要はなく、例えば、低分子の円盤状液晶性分子が熱や光で反応する基を有しており、結果的に熱、光で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失った化合物も含まれる。円盤状液晶性分子の好ましい例は、特開平8-50206号公報に記載されている。また、円盤状液晶性分子の重合については、特開平8-27284公報に記載がある。
円盤状液晶性分子を重合により固定するためには、円盤状液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。円盤状コアと重合性基は、連結基を介して結合する化合物が好ましく、これにより重合反応においても配向状態を保つことが出来る。例えば、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0151]〜「0168」記載の化合物等が挙げられる。
ハイブリッド配向では、円盤状液晶性分子の長軸(円盤面)と偏光膜の面との角度が、光学異方性層の深さ方向でかつ偏光膜の面からの距離の増加と共に増加または減少している。角度は、距離の増加と共に減少することが好ましい。さらに、角度の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、あるいは、増加及び減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。角度は、角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加または減少していればよい。さらに、角度は連続的に変化することが好ましい。
偏光膜側の円盤状液晶性分子の長軸の平均方向は、一般に円盤状液晶性分子あるいは配向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理方法の選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)の円盤状液晶性分子の長軸(円盤面)方向は、一般に円盤状液晶性分子あるいは円盤状液晶性分子と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。円盤状液晶性分子と共に使用する添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー及びポリマーなどを挙げることができる。長軸の配向方向の変化の程度も、上記と同様に、液晶性分子と添加剤との選択により調整できる。
「光学異方性層の他の組成物」
上記の液晶性分子と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶分子の配向性等を向上することが出来る。液晶性分子と相溶性を有し、液晶性分子の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性若しくはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶性化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、円盤状液晶性分子に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報明細書中の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物が挙げられる。
円盤状液晶性分子とともに使用するポリマーは、円盤状液晶性分子に傾斜角の変化を与えられることが好ましい。
ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0178]記載のものが挙げられる。液晶性分子の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性分子に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。
円盤状液晶性分子のディスコティックネマティック液晶相-固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がさらに好ましい。
[光学異方性層の形成]
光学異方性層は、液晶性分子および必要に応じて後述の重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N、N-ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1、2-ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
光学異方性層の厚さは、0.1乃至20μmであることが好ましく、0.5乃至15μmであることがさらに好ましく、1乃至10μmであることが最も好ましい。
[液晶性分子の配向状態の固定]
配向させた液晶性分子を、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α-カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60-105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5乃至5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm2乃至50J/cm2の範囲にあることが好ましく、20乃至5000mJ/cm2の範囲にあることがより好ましく、100乃至800mJ/cm2の範囲にあることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。
[偏光膜]
本発明の光学フィルムは、偏光板と貼り合せるか、偏光板の保護フィルムとして使用することで、その機能を著しく発揮する。
光学異方性層(複数の光学異方性層を設ける場合、最も偏光膜側の第1光学異方性層)は、偏光膜上に直接液晶性分子から形成するか、もしくは配向膜を介して液晶性分子から形成することが好ましい。具体的には、上記のような光学異方性層用塗布液を偏光膜の表面に塗布することにより光学異方性層を形成する。その結果、偏光膜と光学異方性層との間にポリマーフィルムを使用することなく、偏光膜の寸度変化にともなう応力(歪み×断面積×弾性率)が小さい薄い偏光板が作成される。本発明に従う偏光板を大型の液晶表示装置に取り付けると、光漏れなどの問題を生じることなく、表示品位の高い画像を表示する。
偏光膜は、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光膜、もしくはバインダーと、ヨウ素または二色性色素からなる偏光膜が好ましい。
偏光膜におけるヨウ素および二色性色素は、バインダー中で配向することで偏向性能を発現する。ヨウ素および二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、もしくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。
現在、市販の偏光子は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素をバインダー中に浸透させることで作製されるのが一般的である。
市販の偏光膜は、ポリマー表面から4μm程度(両側合わせて8μm程度)にヨウ素もしくは二色性色素が分布しており、十分な偏光性能を得るためには、少なくとも10μmの厚みが必要である。浸透度は、ヨウ素もしくは二色性色素の溶液濃度、同浴槽の温度、同浸漬時間により制御することができる。
上記のように、バインダー厚みの下限は、10μmであることが好ましい。厚みの上限は、液晶表示装置の光漏れの観点からは、薄ければ薄い程よい。現在市販の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下が好ましく、20μm以下がさらに好ましい。20μm以下であると、光漏れ現象は、17インチの液晶表示装置で観察されなくなる。
偏光膜のバインダーは架橋していてもよい。
架橋しているバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーを用いることができる。官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入して得られるバインダーを、光、熱あるいはpH変化により、バインダー間で反応させて偏光膜を形成することができる。
また、架橋剤によりポリマーに架橋構造を導入してもよい。架橋は一般に、ポリマーまたはポリマーと架橋剤の混合物を含む塗布液を、透明支持体上に塗布したのち、加熱を行なうことにより実施される。最終商品の段階で耐久性が確保できれば良いため、架橋させる処理は、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で行なっても良い。
偏光膜のバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。ポリマーの例としては、前記の配向膜で記載のポリマーと同様のものが挙げられる。
ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
変性ポリビニルアルコールについては、特開平8-338913号、同9-152509号および同9-316127号の各公報に記載がある。ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールは、二種以上を併用してもよい。
バインダーの架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1乃至20質量%が好ましい。偏光素子の配向性、偏光膜の耐湿熱性が良好となる。
配向膜は、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいる。但し、残存する架橋剤の量は、配向膜中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このようにすることで、偏光膜を液晶表示装置に組み込み、長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、偏光度の低下を生じない。
架橋剤については、米国再発行特許23297号明細書に記載がある。また、ホウ素化合物(例、ホウ酸、硼砂)も、架橋剤として用いることができる。
二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。
二色性色素の例としては、例えば、発明協会公開技法、公技番号2001−1745号、58頁(発行日2001年3月15日)に記載の化合物が挙げられる。
液晶表示装置のコントラスト比を高めるためには、偏光板の透過率は高い方が好ましく、偏光度も高い方が好ましい。偏光板の透過率は、波長550nmの光において、30乃至50%の範囲にあることが好ましく、35乃至50%の範囲にあることがさらに好ましく、40乃至50%の範囲にあることが最も好ましい。偏光度は、波長550nmの光において、90乃至100%の範囲にあることが好ましく、95乃至100%の範囲にあることがさらに好ましく、99乃至100%の範囲にあることが最も好ましい。
偏光膜と光学異方性層、あるいは、偏光膜と配向膜を接着剤を介して配置することも可能性である。接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基による変性ポリビニルアルコールを含む)やホウ素化合物水溶液を用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。接着剤層の厚みは、乾燥後に0.01乃至10μmの範囲にあることが好ましく、0.05乃至5μmの範囲にあることが特に好ましい。
[偏光板の製造]
偏光膜は、歩留まりの観点から、バインダーを偏光膜の長手方向(MD方向)に対して、10乃至80度傾斜して延伸するか(延伸法)、もしくはラビングした(ラビング法)後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。傾斜角度は、LCDを構成する液晶セルの両側に貼り合わされる2枚の偏光板の透過軸と液晶セルの縦または横方向のなす角度にあわせるように延伸することが好ましい。
通常の傾斜角度は45゜である。しかし、最近は、透過型、反射型および半透過型LCDにおいて必ずしも45゜でない装置が開発されており、延伸方向はLCDの設計にあわせて任意に調整できることが好ましい。
延伸法の場合、延伸倍率は2.5乃至30.0倍が好ましく、3.0乃至10.0倍がさらに好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸で実施できる。また、水に浸漬した状態でのウェット延伸を実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5乃至5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0乃至10.0倍が好ましい。延伸工程は、斜め延伸を含め数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。斜め延伸前に、横あるいは縦に若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度)を行ってもよい。
延伸は、二軸延伸におけるテンター延伸を左右異なる工程で行うことによって実施できる。上記二軸延伸は、通常のフィルム製膜において行われている延伸方法と同様である。二軸延伸では、左右異なる速度によって延伸されるため、延伸前のバインダーフイルムの厚みが左右で異なるようにする必要がある。流延製膜では、ダイにテーパーを付けることにより、バインダー溶液の流量に左右の差をつけることができる。
以上のように、偏光膜のMD方向に対して10乃至80度斜め延伸されたバインダーフイルムが製造される。
ラビング法では、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されているラビング処理方法を応用することができる。すなわち、膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維を用いて一定方向に擦ることにより配向を得る。一般には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布を用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
ロール自身の真円度、円筒度、振れ(偏芯)がいずれも30μm以下であるラビングロールを用いて実施することが好ましい。ラビングロールへのフィルムのラップ角度は、0.1乃至90゜が好ましい。ただし、特開平8-160430号公報に記載されているように、360゜以上巻き付けることで、安定なラビング処理を得ることもできる。
長尺フィルムをラビング処理する場合は、フィルムを搬送装置により一定張力の状態で1〜100m/minの速度で搬送することが好ましい。ラビングロールは、任意のラビング角度設定のためフィルム進行方向に対し水平方向に回転自在とされることが好ましい。0〜60゜の範囲で適切なラビング角度を選択することが好ましい。液晶表示装置に使用する場合は、40乃至50゜が好ましい。45゜が特に好ましい。
偏光膜の光学異方性層とは反対側の表面には、ポリマーフィルムを配置する(光学異方性層/偏光膜/ポリマーフィルムの配置とする)ことが好ましい。
ポリマーフィルムは、その最表面が防汚性及び耐擦傷性を有する反射防止膜を設けてなる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
[実施例1]
図1に示す構成の液晶表示装置を作製した。即ち、観察方向(上)から上側偏光板1、上側第2光学異方性層3、上側第1光学異方性層5、液晶セル(上基板7、液晶層9、下基板10)、下側第1光学異方性層12、下側第2光学異方性層14、下側偏光板16を積層し、さらに下側偏光板の下側には冷陰極蛍光灯を用いたバックライト(不図示)を配置した。
以下に、用いた部材それぞれの作製方法を説明する。
<TNモード液晶セルの作製>
液晶セルは、セルギャップ(d)4μmとし、正の誘電率異方層を持つ液晶材料を基板間に滴下注入で封入し、液晶層9のΔndを350nmとした(Δnは液晶材料の屈折率異方性)。また、液晶セルのツイスト角は90°であり、後に上下偏光板と貼り合わせる際に、液晶セルの上下基板ラビング方向は、支持体遅相軸(流延方向と平行方向)と平行になるようにした。
(セルロースアセテートフィルムの作製)
下記の各成分をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
<セルロースアセテート溶液組成>
酢化度60.7〜61.1%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 336質量部
メタノール(第2溶媒) 29質量部
1-ブタノール(第3溶媒) 11質量部
別のミキシングタンクに、下記のレターデーション上昇剤16質量部、メチレンクロライド92質量部及びメタノール8質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。次に、セルロースアセテート溶液474質量部にレターデーション上昇剤溶液25質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、6.0質量部であった。
レターデーション上昇剤
Figure 2004318118
得られたドープを、バンド延伸機を用いて流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってから、70℃の温風で1分乾燥し、バンドから剥ぎ取った後、フィルムを140℃の乾燥風で10分乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%のセルロースアセテートフィルム(厚さ:80μm)を作製した。作製したセルロースアセテートフィルム(透明支持体、透明保護膜)について、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長546nmにおけるReレターデーション値及びRthレターデーション値を測定した。Reは8nm、Rthは78nmであった。
作製したセルロースアセテートフィルムを2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗し、その後乾燥させた。このセルロースアセテートフィルムの表面エネルギーを接触法により求めたところ、63mN/mであった。こうして、透明保護膜用セルロースアセテートフィルムを作製した。
(第2光学異方性層用の配向膜の作製)
このセルロースアセテートフィルム上に、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28mL/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
次に、形成した膜に、セルロースアセテートフィルムの面内遅相軸(流延方向と平行方向)に対して45°の方向にラビング処理を実施した。
<配向膜塗布液組成>
下記の変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 1.0質量部
Figure 2004318118
(第2光学異方性層の作製)
上記の配向膜上に、下記の円盤状液晶性化合物91.0g、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)9.0g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)2.0g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.5g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3.0g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.0gを、414gのメチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#3.6のワイヤーバーで6.2cc/m2塗布した。これを130℃の恒温ゾーンで2分間加熱し、円盤状液晶性化合物を配向させた。次に、60℃の雰囲気下で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し円盤状液晶性化合物を重合させた。その後、室温まで放冷して、第2光学異方性層を形成した。
円盤状液晶性化合物
Figure 2004318118
作製した第2光学異方性層において、円盤状液晶性化合物は、円盤面と透明保護膜とのなす角度(傾斜角)が、透明保護膜から空気界面に向かって増加し、11°〜66°でハイブリッド配向していた。傾斜角はエリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、観察角度を変えてレターデーションを測定し、屈折率楕円体モデルと仮想し、「Design Concepts of the Discotic Negative Birefringence Compensation Films SID98 DIGEST」に記載されている手法で算出した。
(第1光学異方性層の作製)
第2光学異方性層の上に、第2光学異方性層用の配向膜と同様にして配向膜を形成した。次に、形成した膜に、セルロースアセテートフィルムの遅相軸に対して平行な方向にラビング処理を実施した。
上記配向膜上に、メチルエチルケトンを207gとし、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)を3.5gとし、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)を添加しない以外は第2光学異方性層を形成したのと同様にして、第1光学異方性層を形成した。
作製した第1光学異方性層において、円盤状液晶性化合物は、円盤面と透明保護膜とのなす角度(傾斜角)が、透明保護膜から空気界面に向かって増加(ハイブリッド配向)し、27°〜87°でハイブリッド配向していた。
得られた第1及び第2光学異方性層はシュリーレン等の欠陥がない均一な膜であった。
(作製した光学補償シートの光学特性測定)
作製した光学補償シートをクロスニコル配置の一対のグラン−トムソンプリズム偏光素子の間に挟み、透過率が最小となるように光学補償シートを面内で回転させ、最小透過率を1m2中10箇所で測定した。平行ニコル配置の偏光素子の透過率に対して、最小透過率の平均値が0.31%であり、最小値が0.27%であり、消光していなかった。
(偏光膜の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作製した光学補償シートを支持体面で偏光膜の片側に貼り付けた。また、厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルム(TD−80U、富士写真フィルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側に貼り付けた。偏光膜の透過軸と光学補償シートの支持体の遅相軸(流延方向と平行方向)とは直交になるように配置した。このようにして偏光板を作製した。
(作製した液晶表示装置の光学測定)
以上の部材を用いて作製した液晶表示装置に60Hzの矩形波電圧を印加した。白表示1.5V、黒表示3Vのノーマリーホワイトモードとした。測定機(BM−5、株式会社トプコン製)を用いてバックライトに対する白表示透過率、黒表示透過率、及び透過率の比(白表示/黒表示)であるコントラスト比を測定した。また、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用い、黒表示(L1)と白表示(L8)輝度を等間隔に切った8階調での輝度視野角を測定した。正面コントラスト比、下方向で隣り合う階調の輝度が反転のない範囲、コントラスト比が10以上の範囲を表1に示す。また、表示面法線から60°傾斜した方向で全方位角で測定した黒表示(L1)の最大値は、正面での白表示(L8)の輝度の6%であった。
[実施例2]
第1及び第2異方性層のラビング方向が、両方ともセルロースアセテートフィルムの面内遅相軸(流延方向と平行方向)に対して45°方向であり、TNモード液晶セルの上下基板ラビング方向が両方ともセルロースアセテートフィルムの面内遅相軸(流延方向と平行方向)に対して45°方向となるように貼り合わせたこと以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
このように作製した液晶表示装置に60Hzの矩形波電圧を印加した。白表示1.5V、黒表示3Vのノーマリーホワイトモードとした。実施例1と同様の方法で光学特性を評価し、結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1と同様にセルロースアセテート上に配向膜を形成し、セルロースアセテートフィルムの遅相軸に対して25°方向にラビング処理を実施した。その上に実施例1の第2光学異方性層の塗布液組成において、メチルエチルケトンを207gとし、下記のカイラル剤を7.5g加えた塗布液を同様に塗布、重合させ、光学異方性層を形成した。
Figure 2004318118
作製した光学異方性層において円盤状液晶性化合物は、円盤面と透明保護膜とのなす角度(傾斜角)が、透明保護膜から空気界面に向かって増加(ハイブリッド配向)し、27°〜87°でハイブリッド配向していた。また、ツイスト角は25°であった。
作製した一層の光学異方性層を有する上記光学補償シートを用いて、実施例1と同様にして上下偏光板を作成し、液晶セルと貼り合わせた。
このように作製した液晶表示装置に60Hzの矩形波電圧を印加した。白表示1.5V、黒表示3Vのノーマリーホワイトモードとした。実施例1と同様の方法で光学特性を評価し、結果を表1に示す。
[比較例1]
図1に示す液晶表示装置から光学異方性層(3、5、12、14)をすべて取り外した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置に60Hzの矩形波電圧を印加した。白表示1.5V、黒表示3Vのノーマリーホワイトモードとした。実施例1と同様の方法で光学特性を評価し、結果を表1に示す。
Figure 2004318118
表1に示される結果より、本発明(実施例)の場合、下方向での階調反転、視野角でのコントラスト比が著しく改善されていることが明らかである。
[実施例4]
観察方向(上)から上側偏光板1、上側第2光学異方性層3としてセルロースアセテートフィルムからなる支持体、上側第1光学異方性層5、液晶セル(上基板7、液晶層9、下基板10)、下側第1光学異方性層12、下側第2光学異方性層14としてセルロースアセテートフィルムからなる支持体、下側偏光板16を積層し、さらに下側偏光板の下側には冷陰極蛍光灯を用いたバックライト(不図示)を配置した。
以下に、用いた部材それぞれの作製方法を説明する。
(TNモード液晶セルの作製)
液晶セルは、セルギャップ(d)4μmとし、正の誘電率異方層を持つ液晶材料を基板間に滴下注入で封入し、液晶層11のΔndを410nmとした(Δnは液晶材料の屈折率異方性)。また、液晶セルのツイスト角は上基板7のラビング方向8と下基板10のラビング方向11の交差角度、及びカイラル剤の添加により反時計周りに90°とした。また上下偏光板と貼り合わせる際に、液晶セルの上下基板ラビング方向と、支持体3、14の遅相軸(流延方向と平行方向)4、15が平行になるようにした。図2にこれらの角度を図示する。
(セルロースアセテートフィルムの作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
<セルロースアセテート溶液組成>
酢化度60.9%のセルロースアセテート(リンター) 80質量部
酢化度60.8%のセルロースアセテート(リンター) 20質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
別のミキシングタンクに、酢化度60.9%のセルロースアセテート(リンター)4質量部、実施例1と同じレターデーション上昇剤16質量部、シリカ微粒子(粒径20nm、モース硬度約7)0.5質量部、メチレンクロライド87質量部およびメタノール13質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
セルロースアセテート溶液464質量部にレターデーション上昇剤溶液36質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、5.0質量部であった。
得られたポリマー基材(PK−1)の幅は1340mmであり、厚さは、92μmであった。エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長590nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、43nmであった。また、波長590nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、175nmであった。
又、作製したポリマー基材(PK−1)の吸湿膨張係数を測定した結果、12.0×10-5/%RHであった。
(下塗り層の作製)
上記セルロースアセテートフィルム支持体に下記組成の塗布液を28cc/m2塗布乾燥し、0.1μのゼラチン層(塗り層)を塗設した。
<下塗り層塗布液組成>
ゼラチン 0.542質量部
ホルムアルデヒド 0.136質量部
サリチル酸 0.160質量部
アセトン 39.1質量部
メタノール 15.8質量部
メチレンクロライド 40.6質量部
水 1.2質量部
このPK−1上に、下記の組成の配向膜塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28ml/m2の塗布量で塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
<配向膜塗布液組成>
実施例1と同じ変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
ポリマー基材(PK−1)の遅相軸(波長632.8nmで測定)と45゜の方向に配向膜にラビング処理を実施した。
<光学異方性層の形成>
配向膜上に、実施例1で用いたと同様の円盤状液晶性化合物46.65kg、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06kg、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.90kg、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.23kg、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.35kg、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.45kgを、102kgのメチルエチルケトンに溶解した溶液を塗布液とし、これを、#3.4のワイヤーバーで塗布した。これを130℃の恒温ゾーンで2分間加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。次に、60℃の雰囲気下で120W/cmの高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層を形成し、光学補償シート(KH−2)を作製した。
実施例1と同様にして波長546nmで測定した光学異方性層のReレターデーション値は40nmであった。
作製した光学異方性層において、円盤状液晶性化合物は、円盤面と透明保護膜とのなす角度(傾斜角)が、透明保護膜から空気界面に向かって増加し、11°〜66°でハイブリッド配向していた。傾斜角はエリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、観察角度を変えてレタデーションを測定し、屈折率楕円体モデルと仮想し、「Design Concepts of the Discotic Negative Birefringence Compensation Films SID98 DIGEST」に記載されている手法で算出した。
偏光板をクロスニコル配置とし、得られた光学補償シートのムラを観察したところ、正面、および法線から60°まで傾けた方向から見ても、ムラは検出出来なかった。
<偏光膜の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作製した光学補償シートを支持体面で偏光膜の片側に貼り付けた。また、厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルム(TD−80U、富士写真フィルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側に貼り付けた。
図2に液晶素子を上から観察した状態の各フィルムの貼合せ角度を図示する。
上側偏光膜1の吸収軸2と支持体3の遅相軸4(流延方向と平行方向)とは概略平行、下側偏光膜16の吸収軸17と支持体14の遅相軸15(流延方向と平行方向)とは概略平行になるように配置した。また、上側第一光学異方性層5の上偏光膜側分子長軸配向方向の平均方向6と液晶セル上基板7の配向方向8の交差角は、時計周り3度とした。同様に下側第一光学異方性層12の下偏光膜側分子長軸配向方向の平均方向13と液晶セル下基板10の配向方向11の交差角は、反時計周り3度にした。また、上側第一光学異方性層5の上偏光膜側分子長軸配向方向の平均方向6と液晶セル上基板7の配向方向8の交差角を−2°〜+2°変えた時の正面コントラスト比を表2に示す。なお反時計方向の回転はマイナスで示す。
Figure 2004318118
(作製した液晶表示装置の光学測定)
このように作製した液晶表示装置に60Hzの矩形波電圧を印加した。白表示1.5V、黒表示5Vのノーマリーホワイトモードとした。測定機は(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用い、透過率の比(白表示/黒表示)であるコントラスト比を測定した。正面コントラスト比は700対1を得た。また下方向で隣り合う階調の透過率が反転のない範囲と、コントラスト比が10以上の範囲は,上下左右全ての角度範囲で80°以上が得られた。
[比較例2]
実施例4において、上側第1光学補償層5の分子長軸の配向方向の平均方向6と上側液晶基板7の配向方向8と概略平行、同じく下側第1光学補償層12の分子長軸の配向方向の平均方向13と下側液晶基板10の配向方向11と概略平行とした。また黒表示電圧を60Hzの矩形波電圧を4Vから10Vまで変化させて印加した。白表示電圧を1.5Vとしてコントラスト比を測定し、表3に示す。通常黒電圧は、駆動用ICの低消費電力化の制約からは5Vに設定し、コントラストは300対1となった。
Figure 2004318118
[実施例5]
図3に液晶素子を上から観察した状態の本実施例における各フィルムの貼合せ角度を図示する。上側第1光学補償層5の上偏光膜側分子長軸の配向方向の平均方向6と上側支持(上側第二光学補償層)3の遅相軸4のなす角度を概略平行、同じく下側第1光学補償層14の下偏光膜側分子長軸の配向方向の平均方向15と下側支持体(下側第二光学補償層)14の遅相軸方向15と概略平行とした。また液晶セルの上基板7のラビング方向8と上側偏光膜1の吸収軸2との交差角度を反時計周りに2°とし、さらに液晶層9にカイラル剤の添加することによりツイスト角は反時計周りに94°とした。それ以外の構成は実施例4と同様にして液晶表示装置を作製した。
黒表示電圧を60Hzの矩形波電圧を5V、白表示電圧を1.5Vとしてコントラスト比を測定したところ、600対1であった。さらに表4に液晶層のツイスト角を86°から100°まで変えた時のコントラスト測定結果を示す。なお反時計方向の回転はマイナスで示す。
Figure 2004318118
[実施例6]
実施例4と同様にセルロースアセテート上に配向膜を形成し、その上に実施例4の光学異方性層の塗布液組成において、メチルエチルケトンを207gとし、実施例1と同じのカイラル剤を7.5g加えた塗布液を同様に塗布、重合させ、光学異方性層を形成した。
作製した光学異方性層において円盤状液晶性化合物は、円盤面と透明保護膜とのなす角度(傾斜角)が、透明保護膜から空気界面に向かって増加(ハイブリッド配向)し、27°〜87°でハイブリッド配向していた。
図2に液晶素子を上から観察した状態の本実施例における各フィルムの貼合せ角度を図示する。上側第1光学補償層5の分子長軸の配向方向の支持体側平均方向6と上側支持体3の遅相軸4のなす角度を時計周りに4°、液晶セル側平均方向8と上側支持体3の遅相軸4のなす角度を概略平行にした。同じく下側第1光学補償層12の分子長軸の指示体側配向平均方向13と下側支持体14の遅相軸15のなす角度を反時計周りに4°、液晶セル側配向平均方向11と下側支持体14の遅相軸15のなす角度を概略平行にした。
黒表示電圧を60Hzの矩形波電圧を5V、白表示電圧を1.5Vとしてコントラスト比を測定したところ、600対1であった。さらに表5に光が着異方性層の分子長軸の、支持体側配向平均方向と液晶層側配向平均方向の交差角を0°から10°まで変えた時のコントラスト測定結果を示す。なお反時計方向の回転はマイナスで示す。
Figure 2004318118
本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。 実施例4で作製した液晶素子を上から観察した状態の各フィルムの貼合せ角度示す概略図である。 実施例5で作製した液晶素子を上から観察した状態の各フィルムの貼合せ角度示す概略図である。
符号の説明
1 上側偏光板
2 上側偏光板吸収軸
3 上側第2光学異方性層
4 上側第2光学補償層作製時のラビング方向
5 上側第1光学異方性層
6 上側第1光学補償層作製時のラビング方向
7 液晶セル上側基板
8 上側基板液晶配向用ラビング方向
9 液晶分子(液晶層)
10 液晶セル下側基板
11 下側基板液晶配向用ラビング方向
12 下側第1光学異方性層
13 下側第1光学異方性層作製時のラビング方向
14 下側第2光学異方性層
15 下側第2光学補償層作製時のラビング方向
16 下側偏光板
17 下側偏光板の吸収軸

Claims (6)

  1. 少なくとも一方に電極を有し対向配置された一対の基板間に設けられたねじれ構造を有する液晶層の外側に一対の偏光板が配置され、該偏光板は偏光膜と保護膜から構成され、かつ少なくとも液晶層側に設けられた該保護膜上に光学補償シートが設けられているか、あるいは該保護膜が光学補償シートを兼ねている液晶表示装置であって、
    上記光学補償シートがディスコティック構造単位を有する化合物からなり、該ディスコティック構造単位を有する化合物は配向処理され、該ディスコティック構造単位を構成する分子長軸の隣接する偏光膜側の配向平均方向が上下光学補償シート間で交差し、かつ交差角度が上記一対の偏光板の吸収軸の交差角度以下であることすることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 液晶層がねじれ構造を有し、かつ光学補償シートのディスコティック構造単位を構成する分子長軸の配向平均方向の上下光学補償シートの交差角度が、該液晶層のねじれ角度以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. ディスコティック構造単位を構成する分子長軸の配向平均方向が、液晶層側と偏光膜側とで異なることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
  4. 対向配置され、少なくとも一方に電極を有する一対の基板と、該基板間に設けられた液晶層と、該液晶層の外側に配置された一対の偏光膜と該一対の偏光膜の間に少なくとも一枚の光学補償シートを有する液晶表示装置であって、
    (i)白表示を行うために該液晶層に印加する電圧をVw、黒表示を行うために印加する電圧をVbと設定したときに、該液晶表示装置から光学補償シートを全て取り外し、その他の構成をそのままにしたときに、あらかじめ設定した上記印加電圧Vw、Vbにおける正面での白表示透過率〔T2(Vw)〕と黒表示透過率〔T2(Vb)〕との比T2(Vw):T2(Vb)が100:1未満であり、
    (ii)該光学補償シートがクロスニコル配置した一対の偏光素子の間に挟持し、該補償シート面の法線方向を回転軸として回転させたときに、光の透過率がゼロとなる方位が存在しない光学補償シートであり、それにより、
    (iii)該液晶表示装置の正面における白表示透過率〔T1(Vw)〕と黒表示透過率〔T1(Vb)〕との比であるコントラスト比T1(Vw):T1(Vb)が100:1以上であり、かつ該基板の法線から60°傾斜した全方位角において、黒表示の透過率の最大値がT1(Vw)に対して10%以下となるように補償したことを特徴とする液晶表示装置。
  5. 光学補償シートが、液晶性化合物からなる第1及び第2光学異方性層を透明支持体上に形成してなり、該第1光学異方性層の液晶性化合物の配向制御方向と、該第2光学異方性層の液晶性化合物の配向制御方向が異なることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液晶表示装置。
  6. 請求項1ないし5に記載された光学補償シート。
JP2004091862A 2003-03-31 2004-03-26 液晶表示装置 Expired - Fee Related JP4284221B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004091862A JP4284221B2 (ja) 2003-03-31 2004-03-26 液晶表示装置
US11/088,993 US7847897B2 (en) 2003-03-31 2005-03-24 Optical compensation film and liquid crystal display

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003096064 2003-03-31
JP2004091862A JP4284221B2 (ja) 2003-03-31 2004-03-26 液晶表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004318118A true JP2004318118A (ja) 2004-11-11
JP4284221B2 JP4284221B2 (ja) 2009-06-24

Family

ID=33478716

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004091862A Expired - Fee Related JP4284221B2 (ja) 2003-03-31 2004-03-26 液晶表示装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US7847897B2 (ja)
JP (1) JP4284221B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006145566A (ja) * 2004-11-16 2006-06-08 Nec Lcd Technologies Ltd 液晶表示装置
JP2006145675A (ja) * 2004-11-17 2006-06-08 Nec Lcd Technologies Ltd 液晶表示装置
JP2007025471A (ja) * 2005-07-20 2007-02-01 Toshiba Matsushita Display Technology Co Ltd 液晶表示装置
JP2007047732A (ja) * 2005-07-15 2007-02-22 Sanyo Epson Imaging Devices Corp 液晶表示装置及び電子機器
JP2009093166A (ja) * 2007-09-19 2009-04-30 Fujifilm Corp 液晶表示装置
JP2014006493A (ja) * 2012-06-26 2014-01-16 Far Eastern New Century Corp 位相差板の製造方法

Families Citing this family (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7505095B2 (en) * 2004-09-21 2009-03-17 Tpo Displays Corp. Display panel, and display device and electronic device using thereof
TW200705018A (en) * 2005-07-11 2007-02-01 Samsung Electronics Co Ltd Liquid crystal display
WO2007026591A1 (ja) * 2005-08-30 2007-03-08 Konica Minolta Opto, Inc. 光学フィルム及びその製造方法、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置
US20070077373A1 (en) * 2005-09-30 2007-04-05 Fuji Photo Film Co., Ltd. Polymer film and polarizing plate and liquid crystal display device using the same
CN1963625A (zh) * 2005-11-10 2007-05-16 群康科技(深圳)有限公司 偏振片和采用该偏振片的液晶显示面板
US7616278B2 (en) * 2005-12-05 2009-11-10 Tpo Displays Corp. Liquid crystal displays
US20070200986A1 (en) * 2005-12-29 2007-08-30 Ong Hiap L Contrast ratio and viewing angle improvement for a TN- LCD
US20070206140A1 (en) * 2006-03-03 2007-09-06 Toppoly Optoelectronics Corp. Wide viewing angle liquid crystal display
US7813038B2 (en) * 2006-03-28 2010-10-12 Fujifilm Corporation Light-scattering film, polarizing plate and image display
TW200742895A (en) * 2006-05-12 2007-11-16 Innolux Display Corp Transflective liquid crystal display device
US20080170185A1 (en) * 2007-01-16 2008-07-17 Ghang Kim Liquid crystal display device and method of making the same
JP2008225083A (ja) * 2007-03-13 2008-09-25 Toshiba Matsushita Display Technology Co Ltd 液晶表示装置
JP2008282001A (ja) * 2007-04-10 2008-11-20 Fujifilm Corp マトリクス型液晶表示装置
JP5094500B2 (ja) * 2008-03-28 2012-12-12 富士フイルム株式会社 液晶表示装置
TWI425258B (zh) * 2009-02-03 2014-02-01 Jiro Corporate Plan Inc A polarizing element outer protective film, a polarizing plate, and a liquid crystal display element
WO2018003963A1 (ja) * 2016-07-01 2018-01-04 大日本印刷株式会社 光学積層体及び表示装置
CN113625492A (zh) * 2020-05-06 2021-11-09 群创光电股份有限公司 电子装置

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3028844B2 (ja) 1990-10-26 2000-04-04 株式会社日立製作所 液晶表示装置
JP2565644B2 (ja) 1992-11-18 1996-12-18 富士写真フイルム株式会社 光学異方素子及びその製造方法
JPH10186356A (ja) 1996-12-27 1998-07-14 Nippon Oil Co Ltd 液晶表示素子用光学補償フィルム
JP3452755B2 (ja) * 1997-04-07 2003-09-29 シャープ株式会社 液晶表示装置
US6064457A (en) * 1997-12-25 2000-05-16 Fuji Photo Film Co., Ltd. Liquid crystal display with ellipsoidal polarizing plate having an optically anisotropic layer transparent substrate and a polarizing membrane
JP3824772B2 (ja) 1998-03-24 2006-09-20 新日本石油株式会社 液晶表示装置
JP2000137217A (ja) * 1998-11-02 2000-05-16 Hitachi Ltd 液晶パネルおよび液晶表示装置
US6912030B1 (en) * 1999-09-16 2005-06-28 Merck Patent Gmbh Optical compensator and liquid crystal display I
US7193670B2 (en) * 2002-04-17 2007-03-20 Nitto Denko Corporation Compensator for liquid crystal display with two compensation sheets
US7084945B2 (en) * 2002-07-12 2006-08-01 Eastman Kodak Company Compensator having particular sequence of films and crosslinked barrier layer

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006145566A (ja) * 2004-11-16 2006-06-08 Nec Lcd Technologies Ltd 液晶表示装置
JP2006145675A (ja) * 2004-11-17 2006-06-08 Nec Lcd Technologies Ltd 液晶表示装置
US7804567B2 (en) 2004-11-17 2010-09-28 Nec Lcd Technologies, Ltd. Normally-white twisted-nematic-mode LCD device
JP2007047732A (ja) * 2005-07-15 2007-02-22 Sanyo Epson Imaging Devices Corp 液晶表示装置及び電子機器
JP2007025471A (ja) * 2005-07-20 2007-02-01 Toshiba Matsushita Display Technology Co Ltd 液晶表示装置
JP2009093166A (ja) * 2007-09-19 2009-04-30 Fujifilm Corp 液晶表示装置
JP2014006493A (ja) * 2012-06-26 2014-01-16 Far Eastern New Century Corp 位相差板の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
US7847897B2 (en) 2010-12-07
US20050162592A1 (en) 2005-07-28
JP4284221B2 (ja) 2009-06-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7307679B2 (en) Liquid-crystal display and polarizing plate
US7847897B2 (en) Optical compensation film and liquid crystal display
JP2866372B2 (ja) 液晶表示装置および光学補償シート
US7880839B2 (en) Liquid crystal display
US20050285998A1 (en) Optical compensation film, ellipsoidal polarizing plate, and liquid crystal display
JP2007047696A (ja) 液晶表示装置
JP2007187910A (ja) 液晶表示装置
US20080206457A1 (en) Optical compensatory sheet, polarizing plate and production methods therof
JP2007156459A (ja) 光学フィルム、偏光板、および液晶表示装置
JP2006235578A (ja) 液晶表示装置
KR100894239B1 (ko) 액정 표시 장치
JP2006243179A (ja) 液晶表示装置
JP2007047697A (ja) 液晶表示装置
JP2009086379A (ja) 光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2005283612A (ja) 液晶表示装置
KR20060101346A (ko) 광학보상필름, 편광판 및 액정표시장치
JP2006235580A (ja) 液晶表示装置及び楕円偏光板
JP2008139368A (ja) 液晶表示装置
JP2007272136A (ja) 液晶表示装置
JP2005202212A (ja) 液晶表示装置および楕円偏光板
KR20060044436A (ko) 광학 보상막을 갖는 편광판 및 이를 이용한 액정 표시 장치
WO2013061965A1 (ja) 液晶表示装置
JP2006259210A (ja) 偏光板及び液晶表示装置
JP2007256589A (ja) 液晶表示装置
JP2005283619A (ja) 偏光板及びそれを用いた液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060327

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060525

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20061124

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071108

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071115

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081203

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090202

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090304

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090323

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4284221

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120327

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120327

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130327

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130327

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140327

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees