JP2007256589A - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2007256589A
JP2007256589A JP2006080397A JP2006080397A JP2007256589A JP 2007256589 A JP2007256589 A JP 2007256589A JP 2006080397 A JP2006080397 A JP 2006080397A JP 2006080397 A JP2006080397 A JP 2006080397A JP 2007256589 A JP2007256589 A JP 2007256589A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
layer
pair
axis
polarizing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006080397A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukito Saito
之人 齊藤
Yusuke Ohashi
祐介 大橋
Junichi Hirakata
純一 平方
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2006080397A priority Critical patent/JP2007256589A/ja
Priority to TW096106838A priority patent/TWI447443B/zh
Priority to PCT/JP2007/054368 priority patent/WO2007100143A1/en
Priority to KR1020087021167A priority patent/KR20080114703A/ko
Priority to CN2007800155072A priority patent/CN101432645B/zh
Priority to EP07715259A priority patent/EP1991892A1/en
Priority to CN2011102299546A priority patent/CN102289105A/zh
Priority to US12/280,224 priority patent/US7982826B2/en
Publication of JP2007256589A publication Critical patent/JP2007256589A/ja
Priority to US13/161,005 priority patent/US8400592B2/en
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】過酷な環境で使用された場合でも、信頼性を損なうことなく耐久性に優れた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】一対の偏光板と偏光板の間に配置された液晶パネル部とを有し、液晶パネル部は、少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該一対の基板の対向面がそれぞれ有する配向軸によって配向制御された液晶性分子を含有する液晶層と、該液晶層を上下に挟んで配置される少なくとも一対の光学異方性層とを含み、前記液晶パネル部は、前記液晶層の上下の配向制御方向及び前記一対の光学異方性層のそれぞれの配向制御方向で形成される立体構造に関し2回対称軸を基板面と平行の方向に持ち、前記一対の偏光板の一方の偏光板の透過軸が前記2回対称軸と平行で、且つ他方の偏光板の透過軸が該2回対称軸と直交し、前記一対の偏光板が有する透明層のうち、少なくとも前記液晶層と前記偏光層との間に位置する透明層が所定の光学特性を示す。
【選択図】 図1

Description

本発明は、耐久性に優れた広視野角特性を有する液晶表示装置に関する。
ワードプロセッサやノートパソコン、パソコン用モニターなどのOA機器、携帯端末、テレビなどに用いられる表示装置としては、CRT(cathode ray tube)がこれまで主に使用されてきた。近年、液晶表示装置が、薄型で、軽量で、且つ消費電力が小さいことからCRTの代わりに広く使用されてきている。液晶表示装置は、液晶セル及び偏光板を含む。偏光板は、通常、保護膜と偏光膜とからなり、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護膜にて積層して得られる。透過型液晶表示装置では、この偏光板を液晶セルの両側に取り付け、さらには一枚以上の光学補償シートを配置することもある。また、反射型液晶表示装置では、通常、反射板、液晶セル一枚以上の光学補償シート及び偏光板の順に配置する。液晶セルは、通常、液晶分子、それを封入するための二枚の基板及び液晶分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、液晶分子の配向状態の違いで、ON−OFF表示を行い、透過型、反射型及び反透過型のいずれにも適用できる、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、STN(Super Twisted Nematic)のような表示モードが提案されている。
光学補償シートは、画像着色の解消や視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用いられている。光学補償シートとしては、延伸複屈折ポリマーフィルムが従来から使用されていた。延伸複屈折フィルムからなる光学補償シートに代えて、透明支持体上に低分子あるいは高分子液晶性化合物から形成された光学異方性層を有する光学補償シートを使用することが提案されている。液晶性化合物には多様な配向形態があるため、液晶性化合物を用いることで、従来の延伸複屈折ポリマーフィルムでは得ることができない光学的性質を実現することが可能になった。さらに偏光板の保護膜としても機能する。
光学補償シートの光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には上記のような表示モードの違いに応じて決定する。液晶性化合物を用いると、液晶セルの様々な表示モードに対応する様々な光学的性質を有する光学補償シートを製造することができる。様々な表示モードに対応した液晶性化合物を用いた光学補償シートが、既に種々提案されている。例えば、TNモード液晶セル用光学補償シートは、電圧印加により液晶分子がねじれ構造が解消しつつ基板面に傾斜した配向状態の光学補償を行い、黒表示時の斜め方向の光漏れ防止によるコントラストの視角特性を向上させる。
このようにTNモード液晶表示装置では、視野角特性が改善されたが、過酷な使用環境、例えば高温や高湿度環境では偏光板が収縮し、偏光板の周辺部で光漏れが生じる問題は解決されていなかった。この光漏れは偏光板の収縮が原因であり、偏光板の粘着剤の素材を選ぶことで改善することが提案されている(特許文献1参照)。
特開2004−516359号公報
しかしTNモード液晶表示装置では、偏光板の収縮が偏光板保護膜に位相差を発生させ、光漏れが多く、粘着剤の素材を選択するだけでは完全に改善できない。本発明は簡易な構成で、過酷な環境において使用された場合であっても、信頼性を損なうことのない、耐久性に優れた液晶表示装置、特にTN型液晶表示装置を提供することを課題とする。
本発明では、上記課題を、偏光板の収縮する傾向にある方向と、光漏れが最大となる方向とをずらすことで解決した。より具体的には、TNモードにおける偏光板吸収軸を画面左右方向に対して45°の方向で交差させる従来の配置から、画面左右方向に対して90°又は0°の方向で交差させる配置とすることでこの課題を解決している。この配置とした場合に、左右視野角特性の低下が懸念されるが、本発明では、偏光板の吸収軸に対し、光学補償能を有する光学異方性層の配向制御方向、位相差能を有する偏光板の保護層等である透明層の遅相軸、及び液晶セル基板の配向制御方向について所定の関係で配置することで、左右視野角特性にも優れる液晶表示装置を提供している。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 偏光層及び透明層を各々含むとともに、各々の透過軸を直交にして配置された一対の偏光板と、該一対の偏光板の間に配置された液晶パネル部とを有する液晶表示装置であって、
前記液晶パネル部は、少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該一対の基板の対向面がそれぞれ有する配向軸によって配向制御された液晶性分子を含有する液晶層と、該液晶層を上下に挟んで配置される少なくとも一対の光学異方性層とを、少なくとも含み、
前記液晶パネル部は、前記一対の基板の対向面が有する配向軸によって決定される前記液晶層の上下の配向制御方向及び上下に配置される前記一対の光学異方性層のそれぞれの配向制御方向で形成される立体構造に関し2回対称軸を基板面と平行の方向に持ち、前記一対の偏光板の一方の偏光板の透過軸が前記2回対称軸と平行であり、且つ他方の偏光板の透過軸が該2回対称軸と直交であり、
前記一対の偏光板が有する透明層のうち、少なくとも前記液晶層と前記偏光層との間に位置する透明層が二軸性の位相差層であり、該位相差層の面内レターデーションが250〜300nmで、且つNZ値は0.1〜0.4であり、前記位相差層の面内遅相軸と該位相差層により近く配置された前記偏光層の吸収軸とが直交していることを特徴とする液晶表示装置。
[2] 偏光層及び透明層を各々含むとともに、各々の透過軸を直交にして配置された一対の偏光板と、該一対の偏光板の間に配置された液晶パネル部とを有する液晶表示装置であって、
前記液晶パネル部は、少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該一対の基板の対向面がそれぞれ有する配向軸によって配向制御された液晶性分子を含有する液晶層と、該液晶層を上下に挟んで配置される少なくとも一対の光学異方性層とを、少なくとも含み、
前記液晶パネル部は、前記一対の基板の対向面が有する配向軸によって決定される前記液晶層の上下の配向制御方向及び上下に配置される前記一対の光学異方性層の配向制御方向で形成される立体構造に関し2回対称軸を基板面と平行の方向に持ち、前記一対の偏光板の一方の偏光板の透過軸が2回対称軸と平行であり、且つ他方の偏光板の透過軸が該2回対称軸と直交であり、
前記一対の偏光板が有する透明層のうち、少なくとも前記液晶層と前記偏光層との間に位置する透明層が二軸性の位相差層であり、該位相差層の面内レターデーションは250〜300nmで、且つNZ値は0.6〜1.1であり、前記位相差層の面内遅相軸と該位相差層により近く配置された前記偏光層の吸収軸とが平行であることを特徴とする液晶表示装置。
[3] 前記透明層と前記液晶パネル部との間に、さらに一軸性の位相差層を有し、前記一軸性の位相差層の光軸が層面に対して垂直であることを特徴とする[1]又は[2]の液晶表示装置。
[4] 偏光層及び透明層を各々含むとともに、各々の透過軸を直交にして配置された一対の偏光板と、該一対の偏光板の間に配置された液晶パネル部とを有する液晶表示装置であって、
前記液晶パネル部は、少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該一対の基板の対向面がそれぞれ有する配向軸によって配向制御された液晶性分子を含有する液晶層と、該液晶層を上下に挟んで配置される少なくとも一対の光学異方性層とを含み、
前記液晶パネル部は、前記一対の基板の対向面の配向軸によって決定される前記液晶層の配向制御方向及び上下に配置される前記一対の光学異方性層のそれぞれの配向制御方向で形成される立体構造に関し2回対称軸を基板面と平行の方向に持ち、前記一対の偏光板の一方の偏光板の透過軸が前記2回対称軸と平行であり、且つ他方の偏光板の透過軸が該2回対称軸と直交であり、
前記一対の偏光板が有する透明層のうち、少なくとも前記液晶層と前記偏光層との間に位置する透明層が二軸性の位相差機能を持ち、該透明層の面内遅相軸と、該位相差層のより近く配置された偏光層の透過軸とが平行であることを特徴とする液晶表示装置。
[5] 偏光層及び透明層を各々含むとともに、各々の透過軸を直交にして配置された一対の偏光板と、該一対の偏光板の間に配置された液晶パネル部とを有する液晶表示装置であって、
前記液晶パネル部が、少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該一対の基板の対向面がそれぞれ有する配向軸によって配向制御された液晶性分子を含有する液晶層と、液晶層を上下に挟むように配置される少なくとも一対の光学異方性層とを含み、
前記液晶パネル部は、前記一対の基板の対向面の配向軸によって決定される前記液晶層の上下の配向制御方向及び上下に配置される前記一対の光学異方性層の配向制御方向で形成される立体構造に関し2回対称軸を基板面と平行の方向に持ち、前記一対の偏光板の一方の偏光板の透過軸が前記2回対称軸と平行であり、且つ他方の偏光板の透過軸が該2回対称軸と直交であり、
前記一対の偏光板が有する透明層のうち、少なくとも前記液晶層と前記偏光層との間に位置する透明層が、該位相差層のより近く配置された偏光層の透過軸と平行な面内遅相軸を有し、該透明層の面内のレターデーションをRe、厚さ方向のレターデーションRthとすると、該透明層の波長550nmにおけるRthが70〜400nm、Reが20〜80nmであり、波長450nmにおけるReとRthの比であるRe/Rthが、波長550nmにおけるRe/Rthの値の0.4〜0.95倍であり、且つ波長650nmにおけるRe/Rthが、波長550nmにおけるRe/Rthの値の1.05〜1.9倍であることを特徴とする液晶表示装置。
[6] 前記液晶層がTNモ−ドの液晶層である[1]〜[5]のいずれかの液晶表示装置。
[7] 前記一対の光学異方性層の双方が、配向軸によって配向制御されその配向状態に固定された液晶性化合物を含有する光学異方性層であって、前記光学異方性層の配向制御方向が、前記配向軸によって決定される方向であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかの液晶表示装置。
[8] 前記一対の光学異方性層の配向制御方向のそれぞれと、前記液晶層の配向制御方向の少なくとも一方とのなす角度が0°〜10°であることを特徴とする[7]の液晶表示装置。
[9] 前記液晶パネル部が、前記一対の光学異方性層とともに、一対の第2の光学異方性層を含み、前記一対の第2の光学異方性層の双方が、配向軸によって配向制御されその配向状態に固定された液晶性化合物を含有する光学異方性層であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかの液晶表示装置。
[10] 前記一対の第2の光学異方性層の配向制御方向のそれぞれと、前記液晶層の配向制御方向の少なくとも一方とのなす角度が略45°であることを特徴とする[9]の液晶表示装置。
本発明では、液晶表示装置において、偏光板吸収軸(又は透過軸)、液晶層の配向制御方向、及び光学補償能を有する光学異方性層の配向制御方向の配置角度関係を調整し、且つ所定の光学特性を示す透明層を偏光板と液晶パネル部との間に配置することにより、従来の液晶表示装置と同じ構成で、過酷な使用環境下において高い信頼性を有し、上下方向、左右方向それぞれの視野角での表示品位も良好な液晶表示装置、特にTNモード液晶表示装置を提供することができる。
発明の実施の形態
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。まず、本明細書で用いられる用語について説明する。
(レターデーション、Re、Rth)
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
Figure 2007256589
注記:
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。
式(1)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d −−− 式(2)
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)が算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
本明細書において、角度について、「+」は反時計周り方向を意味し、「−」は時計周り方向を意味するものとする。また、液晶表示装置上方向を12時方向、下方向を6時方向としたときに、角度方向の絶対値0°方向とは3時方向を意味することとする。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。また、「可視光領域」とは、380nm〜780nmのことをいう。さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、一対の偏光板と、該一対の偏光板の間に配置される液晶部とを有する液晶表示装置について、該一対の偏光板に含まれる偏光膜の吸収軸と、該偏光板が収縮する際に最大収縮となる方向、すなわち偏光板端部の長辺及び短辺方向(あるいは表示装置の画面左右方向)とを、概略平行又は略垂直にして配置することで、過酷な使用環境(高温高湿度)、例えば温度40℃且つ湿度90%、温度65℃且つ湿度80%などの使用環境においても、偏光板の周辺部からの光漏れがない、又は光り漏れを少なくしている。かかる配置とすることにより生じる可能性のある視野角特性の低下については、液晶層の配向制御方向と、光学異方性層の配向制御方向との配置角度関係等を調整することで、広視野角な特性も満足する液晶表示装置を提供することができた。
発明者の鋭意検討の結果、従来のTNモード液晶表示装置では、偏光板周辺部の光漏れは偏光板の収縮による光弾性効果で偏光板保護膜にレターデーションRe及びRthが発生することが原因であることがわかった。この知見に基づきさらに鋭意検討した結果、液晶層の配向制御方向、光学補償用光学異方性層の配向制御方向、及び偏光板の吸収軸の配置角度関係等を調整することで、光漏れが改善できることを見出した。
過酷な環境では偏光板は収縮を生じる。特に画面の長辺及び短辺に平行な方向での収縮が最大となる。偏光板に使用されるフィルムは収縮や伸びなどの弾性力が加わると、レターデーション変化が生じる。このレターデーションの発生方向に対して、一対の偏光板の吸収軸を45°の方向で交差させると光の透過が最大となり、漏れ光として観察される。本発明では、上記した通り所定の配置とすることで、観察される漏れ光を軽減している。
本発明の効果は、前記液晶層がTNモードの液晶層である態様において、特に顕著になる。従来のTNモードでは偏光板吸収軸は画面左右方向、すなわち偏光板端部長辺方向に対して45°の方向で交差していた。偏光板の収縮方向は偏光板端部の長辺及び短辺方向に平行であるため、従来のこの配置では漏れ光が最大となった。そこで、本発明では、一対の偏光板吸収軸が、画面左右方向、すなわち偏光板端部長辺方向に平行あるいは垂直する方向で交差させることで、TNモードにおいて光漏れが改善できる。
TNモード液晶表示装置では高精細で高コントラストな高画質表示を行うため、TFT駆動を採用している。TFT駆動はゲート配線と信号(あるいはソース)配線が画面水平方向及び垂直方向に配置されている。偏光板収縮方向はこの配線と平行あるいは垂直であるため、この配線に平行あるいは垂直に偏光板吸収軸を配置しても、該偏光板の最大収縮方向すなわち偏光板端部の長辺及び短辺方向に概略平行あるいは垂直に配置することになり、光漏れが改善できる。
さらにTNモード液晶表示装置の態様においては、広視野角な特性を得るには、前記一対の偏光板の少なくとも一方の偏光膜の吸収軸と、少なくとも一方の偏光板側に配置される液晶セル用基板の対向面に形成された配向軸とが概略45°で交差しているのが好ましい。
偏光板周辺部の光漏れを改善するには、偏光板吸収軸を画面左右方向、すなわち偏光板端部長辺方向に平行あるいは垂直とすることで改善できる。このときTNモード液晶表示装置の配向制御方向すなわち液晶セルの基板の対向面に形成された配向軸を画面左右方向に対して45°に設定することで概略左右対称の視野角特性が得られる。従来のTNモードでも液晶セルの配向制御方向は画面左右方向に対して45°に設定されており、上下視野角特性は非対称であったが左右は対称な特性であった。しかし偏光板の偏光膜吸収軸及びその保護膜の遅相軸も画面左右方向に対して45°に設定されており、過酷な使用環境では偏光板周辺部で光漏れが生じた。
本発明を説明するために、まず従来例である、図2に示す液晶表示装置の動作について、一般的なTNモードを例に挙げて説明する。ここでは、電界効果型液晶として正の誘電異方性を有するネマチック液晶を用いてTFT(アクティブ)駆動を行った例で説明する。上側基板57及び下側基板60と、これらに挟持される液晶分子59から形成される液晶層とを有する液晶セルを備える。基板57及び60の液晶分子59に接触する表面(以下、「内面」という場合がある)には、配向膜(不図示)が形成されていて、配向膜上に施されたラビング処理等により、電圧無印加状態もしくは低印加状態における液晶分子59の配向が制御されている。また、基板57及び60の内面には、液晶分子59からなる液晶層に電圧を印加可能な透明電極(不図示)が形成されている。
上側偏光板は、上側偏光膜51とこれを保護する保護膜53とを有し、下側偏光板は、下側偏光膜66とこれを保護する保護膜64を有する。一般的にはそれぞれ外側にも保護膜を有するが、図2では省略した。図2に示す通り、従来の液晶表示装置では、上側偏光膜51と下側偏光膜66とは、左右画面方向(図中a方向)に対して45°の方向において、その吸収軸52と透過軸67とを概略直交にして配置される。さらに上側偏光板の吸収軸52と液晶セルの上側基板57のラビング方向(配向軸)58は概略平行に、下側偏光板の吸収軸67と液晶セルの下側基板60のラビング方向(配向軸)61はそれぞれ概略平行になるように積層される。また、液晶性分子59によるレターデーションを打ち消すため、上下の偏光板と液晶セルとの間には、それぞれ光学異方性層55及び62が配置される。光学異方性層55及び62は、例えば、円盤状(ディスコティック)液晶性化合物を含有する液晶組成物から形成され、層中において固定されたディスコティック分子の平均配向方向56、63は、それぞれとより近くに位置する液晶セル基板57、60のラビング軸58、61とそれぞれ概略平行に配置される。
TNモード液晶表示装置では、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶セル中の液晶分子59は基板面に対して略平行に配向し、その配向方向は上下基板57、60の間で90°捩れている。透過型表示装置の場合、バックライトの光は下側偏光膜66を通過することで直線偏光になる。直線偏光は液晶層のねじれ構造に沿って伝播し、偏光状態を維持したまま偏光面を90度回転することで上側偏光膜51をそのまま通過し、表示装置は白表示となる。
一方、印加電圧を大きくしていくと液晶分子57は捩れを解消しながら基板面に対して垂直な方向に次第に立っていく。理想的高電圧印加状態でのTNモード液晶表示装置では、液晶分子の捩れがほぼ完全に解消し、基板面に対してほぼ垂直に立ちきった配向状態となる。この時下側偏光膜66を通過した直線偏光は、液晶層にねじれ構造がないため、偏光面を回転することなく伝播し、上側偏光膜51の吸収軸52に直交する角度で入射するため、光は遮断され黒表示となる。但し、駆動状態では液晶分子57は基板面に対してある角度をなす方向に配向しているため、所定のレターデーションが発生している。これを光学補償層55及び62によって打ち消し、駆動状態において理想的黒表示を得ている。
このようにTNモードでは偏光した光を遮断したり、透過させることで表示装置としての機能をはたす。一般に表示品質を表す数値として、白表示輝度と黒表示輝度の比をコントラスト比と定義して用いる。このコントラスト比が高いほど高品位な表示装置となり、コントラストを上げるためには、液晶表示装置での偏光状態を維持させて通過させることが重要となる。
しかし、上記した通り、従来の構成の液晶表示装置では、高温・高湿度等の過酷な環境下で使用した場合に、偏光膜が収縮して、その結果、周辺部で光り漏れが生じるという問題があった。本発明者らは検討を行って、液晶セル用の一対の基板の対向面が有する配向軸によって決定される液晶層の上下の配向制御方向及び上下に配置される一対の光学異方性層のそれぞれの配向制御方向で形成される立体構造の対称性について着目し、該立体構造が2回対称軸を基板の表面に平行な面内に有し、且つ上下に配置される一対の偏光板のそれぞれの吸収軸と、前記2回対称軸とが所定の関係であると、上記問題を解決しうるとの知見を得た。
ここで、本発明における2回対称軸の概念と、液晶パネル部を構成する液晶層の上下の配向制御方向及び上下の光学異方性層の配向制御方向で形成される立体構造に関し2回対称軸を持つことについて実例を挙げて説明する。図3は、図2に示した従来のTN型の液晶表示装置の液晶パネル部を構成する液晶層の液晶の配向方向及び液晶層を挟んだ偏光板の吸収軸の方向を模式的に表している。図3中、液晶層は印加する電圧に応じて電場方向に沿って液晶分子が配向し、捩れをほどくように液晶層内のダイレクタは変形するが、配向を固定する上下の基板の対向面が有する配向軸(例えば、ラビング軸)によって決定される配向制御方向(本明細書において「液晶層の上下の配向制御方向」という場合がある)は、表面からあるプレチルト角(例えば4度程度)をもって固定されており、液晶層の上下の配向制御方向の差は90度である。図3に示した通り、矢印で示したC2軸を回転軸として、「液晶層+偏光板」の構造を180度回転させると、回転前と全く同一の構造になる。このことを液晶パネル部の立体構造において2回の回転軸(2回対称軸)を持つと定義する。ここで注意することは、この立体構造は液晶表示装置の原理である光の複屈折によるスイッチングに積極的に関係させるため用いた要素だけを考慮するとする。すなわち、液晶層、偏光板、位相差板などである。例えば、他の目的で用いられた、カラーフイルタ、反射防止膜、散乱層など複屈折が小さい部材は、回転の前後で同一であるか否かは考慮しないものとする。
このように2回の対称軸を持つ場合、パネルはC2軸の方向で左右対称になる。この理由を説明する。図4の左図で、右手前から左奥に透過する光とその逆方向に透過する光の透過率は同じである。同様に右上手前方向から左下奥方向に透過する光とその逆方向に透過する光の透過率は同じである。これをC2軸で180度回転すると、この液晶パネルは2回対称軸を持つため回転前と立体構造は同一である。そして、先ほどの右手前は左奥に、左奥は右手前に、右上手前は左上奥に、左下奥は右下手前にそれぞれ移動した。ここで回転前と回転後の図を見るとわかるように、右方向の透過率は左方向と同じになり、右上方向の透過率は左上方向と同じになる。即ち、左右対称の透過率特性になる。これは、2回の対称軸をもつ立体構造の場合、その対称軸の方向に対称の特性になることを意味している。通常のTN型の液晶パネルは左右対称の特性が得られることはよく知られていることであるが、これは液晶パネルが左右方向に2回対称軸を持っている為と説明できる。
この関係は液晶層に電圧を印加した場合にも成り立っている。また、従来から光学補償のために利用されていたディスコティック化合物を用いて形成された光学異方性層を有するTN型液晶パネルを備えた液晶表示装置についても成り立っている。すなわち、この左右対称性が得られる点が従来技術の特長であった。しかし、光漏れを低減するため、本発明では、偏光板の吸収軸を画面上下方向及び画面左右方向に配置している。この構成を模式的に図5に示す。
図5に示す本発明のTN液晶パネル部の例は、図3に示した従来のTN液晶パネル部の例とは、上下偏光板の吸収軸の方向が異なるため、「液晶パネル+偏光板」の立体構造では2回の回転軸は存在しない。偏光板を取り除いた液晶パネル部だけでは2回対称軸は存在するが、その対称軸では上下偏光板は2回の対称軸になっていないためである。よってこの立体構造では左右対称性が必ずしも得られないことになる。本発明は、この構造で左右対称性、例えば、右上と左上は同じ特性、右下と左下は同じ特性というような特性を得ることに特徴がある。言い換えれば、2回対称軸をもつ液晶パネルを直交偏光板ではさんだ構造において、直交偏光板の一方の吸収軸(又は透過軸)が液晶パネルの2回対称軸と平行である場合に、液晶パネルの2回対称軸方向に垂直な面で透過率が対称になる液晶表示素子を実現している。具体的には、本発明では、液晶パネルと直交偏光板の間に所定の複屈折性を示す位相差層を配置することにより、上記構造を実現している。以下に詳細に説明する。
図5において、ちょうど左右方向すなわち0°方向と180°方向は全く同じ特性が得られている。しかし、右斜め上例えば30°方向と左斜め上例えば150°方向では同じ特性が得られないため、左右対称性が得られない。本発明者は、0°方向と180°方向は全く同じ特性が得られることを斜め上や斜め下方向にも応用できないかと考えた。左右方向では全く同じ特性が得られる理由は、図5においてC2対称の回転前後で偏光板の直交関係は保ったまま、軸だけが上下で入れ替わっているからである。この場合同じ特性になる理由は次のように説明できる。
まず、異方性媒質のジョーンズ行列は一般に次の式で表せる。
Figure 2007256589
ここで、a,b,c,dは実数、a2+b2+c2+d2=1である。x軸と0°方向、y軸を90度方向とすると、x軸に透過軸がある偏光板を下にしてy軸に透過軸がある偏光板を上にして異方性媒質を挟んだときの透過率は
Figure 2007256589
となる。一方、y軸に透過軸がある偏光板を下にしてx軸に透過軸がある偏光板を上にして異方性媒質を挟んだときの透過率は
Figure 2007256589
となり、どちらも同じ値になる。すなわち、直交関係を崩さずに上下で偏光方向だけを変えた場合は同じ特性になる。これが真横方向では特性が全くおなじになる理由である。本発明ではこれを斜め方向にも応用できないか考え、斜め方向においても偏光軸の関係が直交を保つ構成で、一対の偏光板間にC2対称の液晶パネルを配置して、上記非対称の問題を解決した。
具体的には、本発明の一態様では、本発明の一態様では、一対の偏光板が偏光層と二軸性の位相差層とを含み、該二軸性の位相差層は、液晶パネル部と偏光層との間に位置し、該位相差層の面内レターデーションが250〜300nm、NZ値が0.1〜0.4の複屈折特性を有する。本態様では、前記位相差層の面内遅相軸と該位相差層により近く配置された前記偏光層の吸収軸とを直交させて配置する。
また、本発明の他の態様では、前記偏光板が偏光層と二軸性の位相差層とを含み、該位相差層の面内レターデーションは250〜300nmで、且つNZ値は0.6〜1.1の複屈折特性を有する。本態様では、該位相差層の面内遅相軸と該位相差層により近く配置された前記偏光層の吸収軸とを直交させて配置する。
上記2つに態様について、ポアンカレ球を用いて説明すると以下のようになる。図6に示すポアンカレ球は、方位角45°、極角60°のS1、S3の正射影の図である。一方の偏光板中の偏光膜を通過した直線偏光は、上述した位相差層を通過することによりS1=S3=0の点に偏光軸が移動する。他方の偏光板も上述の位相差層を含むので、2つの偏光板は斜め方向でも直交状態を保つことになる。この関係は液晶パネルのC2対称軸で回転しても、その直交関係は保ったまま、上下関係だけが入れ替わることになり、上で述べたような対称性が得られる条件となることがわかる。上記2つの態様に用いる二軸性の位相差層の詳細、及び該位相差層の入射光の偏光状態の変化については、特開2001−350022号公報等に記載されていて、その記載内容は、本発明に適用することができる。
また、上記2つの態様においては、前記位相差層と前記液晶パネル部との間に、さらに一軸性の位相差層を配置してもよい。前記一軸性の位相差層の光軸を層面に対して垂直に配置した構成でも、左右対称性が得られる。この態様における、偏光状態のポアンカレ球での軌跡を図7に示す。図7に示したのは、前記二軸性の位相差層として、Nz値が0.25のλ/2板を用い、上下偏光板と液晶パネルとの間に、それぞれに同一の光学特性のC−plateを配置した態様についての偏光状態の変化である。図に示した通り、この態様でも、液晶パネルの2回の対称性は崩れない。よって、上述した理由により左右対称の特性が得られることが理解できる。用いられるC−plateのレターデーションは任意であり、いずれの値であっても左右の対称性が得られるが、望ましくは液晶層のレターデーションをキャンセルするためにRthは0〜300nmであるのが好ましく、0〜200nmであるのがより好ましく、0〜100nmであるのがさらにより好ましい。なお、本態様に利用可能なC−plateの詳細については、特開昭62−210423号公報等に記載されていて、その記載内容は、本発明に適用することができる。
本発明の他の態様は、一対の偏光板が有する透明層のうち、少なくとも前記液晶層と前記偏光層との間に位置する透明層が二軸性の位相差機能を持ち、該透明層の面内遅相軸と、該位相差層のより近く配置された偏光層の透過軸とが平行な液晶表示装置である。この態様における偏光状態の変化のポアンカレ球上の軌跡を図8に示す。このような二軸性の位相差機能を有するフィルムとして、特許3282986号公報等に記載されるような位相差フィルムが提案されている。本態様に、この二軸性の位相差機能を有するフィルム(「二軸フィルム」という場合がる)を用いることにより、図8に示す通りの偏光状態の変化が可能となる。より具体的には、図中、S1=0の線上に、偏光状態が遷移可能な二軸フィルムを用いる。この態様においても、やはり左右対称性が得られることが理解できる。前記二軸フィルムの面内遅相軸は近接する偏光層の透過軸と平行であり、前記二軸フィルムとして、波長550nmにおける厚さ方向のレターデーションが70〜400nmで、且つ面内のレターデーションが20〜80nmのフィルムを用いるのが好ましく;厚さ方向のレターデーションが100〜300nmで、面内のレターデーションが20〜70nmのフィルムを用いることがより好ましく;厚さ方向のレターデーションが110〜280nmで、面内のレターデーションが30〜70nmのフィルムを用いるのがよりさらに好ましい。
本発明の他の態様は、前記一対の偏光板が有する透明層のうち、少なくとも前記液晶層と前記偏光層との間に位置する透明層が所定の波長分散特性を有する態様である。より具体的には、前記透明層の面内のレターデーションをRe、厚さ方向のレターデーションRthとすると、可視光領域の波長λ=450nmにおけるReとRthの比であるRe/Rthがλ=550nmにおけるRe/Rthの値の0.4〜0.95倍であり、且つλ=650nmにおけるRe/Rthがλ=550nmにおけるRe/Rthの値の1.05〜1.9倍である。この態様における偏光状態のポアンカレ球の軌跡を以下の図9に示す。図を見ると判るように、前記透明層として用いられている2軸フィルムは、図8の2軸フィルムが有する特性を、R、G、Bのいずれの波長の光りに対しても示す様に波長分散性が調節されている。すなわち、R,G,Bのどの波長の光に対しても、S1=0のライン上に偏光状態が遷移するように機能する。この態様でも、左右対称性が得られ、さらに可視光域のR、G、Bのいずれの波長でも得られることからより完全な左右対称性が得られることが理解できる。
上記いずれの態様においても、液晶パネル部は、液晶層を挟んで配置される一対の光学異方性層を含む。例えば、液晶層がTNモードである態様では、液晶パネル部は、前記一対の光学異方性層は、配向軸によって配向制御されその配向状態に固定された液晶性化合物を含有する層であるのが好ましい。この態様では、ラビング軸等の配向軸で決定される前記光学異方性層の配向制御方向と、前記液晶層の配向制御方向の少なくとも一方とのなす角度が0°〜10°であるのが好ましく、かかる範囲であると、特にTNモードの液晶層を有効に光学補償をすることができる。
本発明の他の態様は、前記液晶パネル部が、前記一対の光学異方性層(一対の第1の光学異方性層)とともに、一対の第2の光学異方性層を含む態様である。この態様では、一対の偏光板の吸収軸を0−90°方向で交差させることに起因して生じる中間調における色飛びを抑える好ましい効果が期待できる。本態様において、前記液晶層は、一対の第1の光学異方性層の間に位置し、前記一対の第2の光学異方性層は、前記一対の第1の光学異方性層を上下に挟んで配置される。前記第1及び第2の光学異方性層はいずれも、ラビング軸等の配向軸によって配向制御され、その配向状態に固定された液晶性化合物を含有する層であるのが好ましい。また、中間調における色飛びを抑える好ましい効果を得るためには、前記第1の光学異方性層の配向制御方向が、前記液晶層の配向制御方向の少なくとも一方とのなす角度が0°〜10°であり、前記第2の光学異方性層の配向制御方向が、前記液晶層の配向制御方向の少なくとも一方とのなす角度が略45°であることが好ましい。
図1に本発明の液晶表示装置の構成の一例を示す。本例は本発明の効果を説明するための一例であって本発明はこれに限定されるものではない。電界効果型液晶として正の誘電異方性を有するネマチック液晶を用いてTFT(アクティブ)駆動を行った例で説明する。
図1に示すTNモードの液晶表示装置は、上側基板7及び下側基板10と、これらに挟持される液晶分子7から形成される液晶層とを有する液晶セルを備える。基板7及び10の液晶分子9に接触する表面(以下、「内面」という場合がある)には、配向膜(不図示)が形成されていて、配向膜上に施されたラビング処理等により、電圧無印加状態もしくは低印加状態における液晶分子9の配向が制御されている。また、基板7及び10の内面には、液晶分子9からなる液晶層に電圧を印加可能な透明電極(不図示)が形成されている。さらに、液晶セルを挟んで、一対の第1の上側光学異方性層5a及び第1の下側光学異方性層12a、さらにその外側に一対の第2の上側光学異方性層5b及び第2の下側光学異方性層12bが配置されている。図1に示す液晶表示装置では、液晶セル、一対の第1の光学異方性層5a、12a、及び一対の第2の光学異方性層5b、12bによって液晶パネル部Lpが構成されている。液晶パネル部Lpを挟んで、上下に一対の上側偏光層1及び下側偏光層16が配置されている。偏光層1、16の吸収軸2、17は、表示画面の画面左右方向に対し、90度及び0度、すなわち上下・左右になっていて、過酷な環境下において使用した場合に、偏光層が収縮することによって生じる周辺部の光り漏れが軽減されている。
液晶パネル部Lpに含まれる第1の光学異方性層5a、12a、及び第2の光学異方性層5b、12bはそれぞれ、液晶性化合物を含有する組成物から形成され、層中、液晶性化合物の分子は、ラビング軸等の配向軸によって決定される配向制御方向に配向し、且つその配向状態に固定されている。前記第1の光学異方性層の配向制御方向(6a、13a)と、前記液晶層の配向制御方向(8、11)の少なくとも一方とのなす角度は0〜10°(好ましくは0°)であり、前記第2の光学異方性層の配向制御方向(6b、13b)と、前記液晶層の配向制御方向(8,11)の一方とのなす角度は略45°である。それぞれの光学異方性層の配向制御方向は、より近くに配置された基板対向面によって決定される配向制御方向(例えば、光学異方性層5a、5bについては、基板7の対向面に形成されたラビング軸等の配向軸7によって決定される液晶層の配向制御方向とのなす角度が前記範囲であり、光学異方性層12a、12bについては、基板10の対向面に形成されたラビング軸等の配向軸11によって決定される液晶層の配向制御方向とのなす角度が前記範囲である)となす角度が、上記範囲であるのが好ましい。また、光学異方性層の配向制御方向とは、光学異方性層中の分子の分子対称軸の平均配向方向であり、一般的には光学異方性層を形成する際に利用される配向膜に施されたラビング処理の方向等によって決定される。
なお、本発明において、第1の光学異方性層、及び所望により配置される第2の光学異方性層は、ディスコティック液晶性化合物を含有する液晶性組成物をハイブリッド配向状態に固定して形成された層であるのが好ましい。
ここで重要な点は、液晶パネル部(図1中、一対の第2の光学異方性層で挟まれた部分Lp)が、2回対称軸を持ち、その2回対称軸は基板の面内と平行の方向に存在することである。液晶パネルLpを挟んで配置される一対の偏光板は、一方が、偏光層1と透明層3を含む上側偏光板であり、他方が偏光層16と透明層14とを含む下側偏光板である。それぞれの偏光板の吸収軸2、17は、液晶パネル部の2回対称軸と平行又は直交している。この様に構成すると左右の対称性が得られる。さらに、本態様では、透明層3、14の光学特性を利用して、上下偏光板の外側から入った光の偏光状態を、図6〜図9に示した方法等で制御することにより、斜め右上45度と斜め左上45度でも対称性を得ている。例えば、上偏光板の斜め右上45度から外側から入った偏光が透明層3を通過した後の偏光状態は、上方向正面から入った光の偏光状態と偏光の長軸方向と同一の楕円偏光になっている。同様に下偏光板の斜め左下45度から外側から入った偏光が透明層14を通過した後の偏光状態は、下方向正面から入った光の偏光状態と偏光の長軸方向は同じ楕円偏光になっている。この様にすると、横方向のみならず、斜め上や斜め下の横方向でも、一対の偏光板は楕円偏光軸が直交していることになり、この条件で横方向のみならず斜め上や斜め下の横方向でも対称性が得られる。
図1に示す液晶表示装置がTNモードである場合は、その動作原理については、図2の従来例の液晶表示装置について説明した上述の動作原理と同様である。図1の液晶表示装置に利用可能なTNモードの液晶セル構成の一例を示す。上下基板7、10間に誘電異方性が正で、屈折率異方性、Δn=0.0854(589nm、20°C)、Δε=+8.5程度の液晶をラビング配向させて液晶セルを作製する。液晶層の配向制御は配向膜とラビングにより制御する。液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角は、約0.1から10°の範囲に設定すると好ましく、ここでは3°に設定した。ラビング方向は上下基板と互いに直交する方向に施し、その強さとラビング回数などでチルト角の大きさが制御できる。配向膜はポリイミド膜を塗布後焼成して形成する。液晶層のツイスト角の大きさは、上下基板のラビング方向の交差角と液晶材料に添加するカイラル剤により決まる。ここではツイスト角が概略90°になるようにするためピッチ60μm程度のカイラル剤を添加する。液晶層の厚さdは5μmに設定してある。
また、液晶材料LCは、ネマチック液晶であれば、特に限定したものではない。誘電率異方性△εは、その値が大きいほうが、駆動電圧が低減できる。屈折率異方性△nは小さいほうが液晶層の厚み(ギャップ)を厚くでき、液晶の封入時間が短縮され、かつギャップばらつきを少なくすることができる。また、Δnが大きい方がセルギャップを小さくでき、高速応答が可能となる。一般にΔnは0.04〜0.28の間、セルギャップは1〜10μmの間に設定し、Δnとdの積が0.25〜0.55μmの間になるようにそれぞれ調整する。
図1中、上側及び下側偏光板の液晶セルに近い側に配置される透明層3、14は、偏光層1、16の保護膜を兼ねていてもよいし、もちろん、透明層3、14との間に、偏光層の保護膜として機能するフィルム等を配置してもよい。なお、通常、ポリビニルアルコールフィルム等の偏光膜からなる偏光層には、双方の表面に保護膜が配置されるが、図1では外側の保護膜は省略した。また、上側偏光板及び下側偏光板は、第2の光学異方性層5b及び12b、さらに第1の光学異方性層5a及び12aと共に一体的に積層された構造体として液晶表示装置に組み込まれていてもよい。かかる態様では、透明層が、偏光層の保護層と光学異方性層の支持体としても機能していてもよい。本発明の液晶表示装置では、第1の光学異方性層(第2の光学異方性層がある場合は、第2の光学異方性層)の支持体が、偏光層の一方の側の保護膜を兼ねた構成、即ち、透明保護膜、偏光膜、透明保護膜(所定の光学特性の透明層、及び光学異方性層の透明支持体を兼用)及び光学異方性層の順序で積層した一体型楕円偏光板を用いることができる。この一体型楕円偏光板は、光学補償能を有する光学異方性層を備えているので、該一体型楕円偏光板を用いると、簡易な構成で液晶表示装置を正確に光学補償することができる。
なお、図1には、TNモードの液晶表示装置の態様を示したが、本発明の液晶表示装置は、TNモードだけでなく、VAモード、IPSモード、OCBモード、ECBモードの態様であってもよい。さらに各表示モードの液晶表示装置において、一画素を複数の領域に分割するマルチドメインと呼ばれる構造にすると上下左右の視野角特性が平均化され、さらに表示品質が向上する。
また、本発明の液晶表示装置は、図1に示す構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶セルと偏光膜との間にカラーフィルタを配置してもよい。また、透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置することができる。また、本発明の液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置する。もちろん該光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。さらに本発明の液晶表示装置は、透過と反射のモードの両立をはかるため、表示装置の1画素の中で反射部と透過部を設けた半透過型であってもよい。
さらにバックライトの発光効率を高めるために、プリズム状やレンズ状の集光型輝度向上シート(フィルム)を積層したり、偏光板の吸収による光ロスを改善する偏光反射型の輝度向上シート(フィルム)をバックライトと液晶セルの間に積層してもよい。また、バックライトの光源を均一化させるための拡散シート(フィルム)を積層してもよく、逆に光源に面内分布をもたせるための反射,拡散パターンを印刷などで形成したシート(フィルム)を積層してもよい。
本発明の液晶表示装置には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。本発明は、TFTやMIMのような3端子又は2端子反導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置に適用した態様が特に有効である。勿論、時分割駆動と呼ばれるSTN型に代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置に適用した態様も有効である。
次に、本発明の液晶表示装置に用いられる各部材について説明する。
本発明では、液晶セルの光学補償のために、配向状態に固定された液晶性化合物を含有する光学異方性層を用いる。本発明では、該光学異方性層を、支持体上に形成して、光学補償シートとして液晶表示装置中に組み込んでもよいし、該光学補償シートと直線偏光膜とを一体化した楕円偏光板として液晶表示装置中に組み込んでもよい。上記のように角度設定された光学補償シート及び偏光板の作製方法は、特に限定されないが、光学補償シート又は偏光板作製時に、ロール搬送方向に対して配向制御方向や延伸方向などを調整する方法;及び光学補償シート及び偏光板をロール・トゥ・ロールにて作製後、打抜き時に設定角度で打抜く方法が挙げられる。
[光学補償シート]
本発明に使用可能な光学補償シートの例は、光学的に透明な支持体と、該支持体上に、液晶性化合物を含有する組成物から形成された光学異方性層とを有する。なお、光学補償シートは本発明において液晶パネル部の一部となるが、光学補償シートが前記光学異方性層と透明支持体とを有する態様では、該透明支持体が偏光板の一部となる透明層を兼ねていてもよく、かかる場合は、光学異方性層は前記液晶パネル部の一部であり、透明支持体は偏光板の一部であると考える。
以下、本発明に利用可能な光学補償シートの構成材料について説明する。
《支持体》
前記光学補償シートは、支持体を有していてもよい。光学異方性層が付設される透明支持体の遅相軸の方向は、特に限定されないが、液晶性化合物の配向制御方向(例えばラビング軸)に対して−50°〜50°であることが好ましく、−45±5°、45°±5°、あるいは−5°〜5°であることが好ましい。該支持体は、ガラス又は透明なポリマーフィルムであるのが好ましい。支持体は、光透過率が80%以上であることが好ましい。ポリマーフィルムを構成するポリマーの例には、セルロースエステル(例、セルロースのモノ乃至トリアシレート体)、ノルボルネン系ポリマー及びポリメチルメタクリレートが含まれる。市販のポリマー(ノルボルネン系ポリマーでは、アートン及びゼオネックスいずれも商品名))を用いてもよい。又、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーは、国際公開第00/26705号パンフレットに記載のように、分子を修飾することで複屈折の発現性を制御したものを用いるのが好ましい。
中でもセルロースエステルが好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。特に、炭素原子数が2〜4のセルロースアシレートが好ましい。セルロースアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。セルロースアセテートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。又、セルロースアセテートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.0〜1.65であることがさらに好ましい。
ポリマーフィルムとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。酢化度は、57.0〜62.0%であることがさらに好ましい。なお、酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定及び計算によって求められる。
セルロースアセテートでは、セルロースの2位、3位及び6位のヒドロキシルが均等に置換されるのではなく、6位の置換度が小さくなる傾向がある。本発明に用いるポリマーフィルムでは、セルロースの6位置換度が、2位、3位に比べて同程度又は多い方が好ましい。2位、3位及び6位の置換度の合計に対する、6位の置換度の割合は、30〜40%であることが好ましく、31〜40%であることがさらに好ましく、32〜40%であることが最も好ましい。6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。
これらの具体的なアシル基、及びセルロースアシレートの合成方法は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行)の9ページに詳細に記載されている。
ポリマーフィルムレターデーション値は光学補償シートが用いられる液晶セルやその使用の方法に応じて好ましい範囲が異なるが、Reレターデーション値は0〜200nmであるのが好ましく、Rthレターデーション値は70〜400nm範囲であるのが好ましい。液晶表示装置に二枚の光学的異方性層を使用する場合、ポリマーフィルムのRthレターデーション値は70〜250nmの範囲にあることが好ましい。液晶表示装置に一枚の光学的異方性層を使用する場合、基材のRthレターデーション値は150〜400nmの範囲にあることが好ましい。
なお、基材フィルムの複屈折率(Δn:nx−ny)は、0.00028〜0.020の範囲にあることが好ましい。また、セルロースアセテートフィルムの厚み方向の複屈折率{(nx+ny)/2−nz}は、0.001〜0.04の範囲にあることが好ましい。
ポリマーフィルムのレターデーションを調整するためには延伸のような外力を与える方法が一般的であるが、又、光学異方性を調節するためのレターデーション上昇剤が、場合により添加される。セルロースアシレートフィルムのレターデーションを調整するには、芳香族環を少なくとも二つ有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用することが好ましい。芳香族化合物は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用することが好ましい。また、二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。例えば、欧州特許出願公開第911656号明細書、特開2000−111914号公報、同2000−275434号公報等記載の化合物等が挙げられる。
更に、前記本発明の光学補償シートに用いるセルロースアセテートフィルムの吸湿膨張係数を30×10-5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10-5/%RH以下とすることが好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。なお、吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、光学補償シートの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇(歪みによる光漏れ)を防止することができる。
吸湿膨張係数の測定方法について以下に示す。作製したポリマーフィルムから幅5mm。長さ20mmの試料を切り出し、片方の端を固定して25℃、20%RH(R0)の雰囲気下にぶら下げた。他方の端に0.5gの重りをぶら下げて、10分間放置し長さ(L0)を測定した。次に、温度は25℃のまま、湿度を80%RH(R1)にして、長さ(L1)を測定した。吸湿膨張係数は下式により算出した。測定は同一試料につき10サンプル行い、平均値を採用した。
吸湿膨張係数[/%RH]={(L1−L0)/L0}/(R1−R0
ポリマーフィルムの吸湿による寸度変化を小さくするには、疎水基を有する化合物もしくは微粒子等を添加することが好ましい。疎水基を有する化合物としては、分子中に脂肪族基や芳香族基のような疎水基を有する可塑剤や劣化防止剤の中で該当する素材が特に好ましく用いられる。これらの化合物の添加量は、調整する溶液(ドープ)に対して0.01〜10質量%の範囲にあることが好ましい。又、ポリマーフィルム中の自由体積を小さくすればよく、具体的には、後述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量が少ない方が自由体積が小さくなる。セルロースアセテートフィルムに対する残留溶剤量が、0.01〜1.00質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。
ポリマーフィルムに添加する上記した添加剤又は種々の目的に応じて添加できる添加剤(例えば、紫外線防止剤、剥離剤、帯電防止剤、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)、赤外吸収剤を等)は、固体でもよく油状物でもよい。また、フィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。これらの詳細は、上記の公技番号2001−1745号の16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。これらの添加剤の使用量は、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されないが、ポリマーフィルム全組成物中、0.001〜25質量%の範囲で適宜用いられることが好ましい。
《ポリマーフィルム(支持体)の製造方法》
ポリマーフィルムは、ソルベントキャスト法によりを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、ポリマー材料を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。ドープは、ドラム又はバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラム又はバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラム又はバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラム又はバンドから剥ぎ取り、さらに100〜160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラム又はバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
流延工程では1種類のセルロースアシレート溶液を単層流延してもよいし、2種類以上のセルロースアシレート溶液を同時及び又は逐次共流延してもよい。
上記のような二層以上の複数のセルロースアシレート溶液を共流延する方法としては、例えば、支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させる方法(例えば、特開平11−198285号公報記載の方法)、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延する方法(特開平6−134933号公報記載の方法)、高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高、低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出す方法(特開昭56−162617号公報記載の方法)等が挙げられる。本発明ではこれらに限定されるものではない。これらのソルベントキャスト方法の製造工程については、前記の公技番号2001−1745号の22頁〜30頁に詳細に記載され、溶解、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離、延伸などに分類される。
本発明のフィルム(支持体)の厚さは、15〜120μmであることが好ましく、更には30〜80μmが好ましい。
《ポリマーフィルム(支持体)の表面処理》
ポリマーフィルムは、表面処理を施すことが好ましい。表面処理には、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理及び紫外線照射処理が含まれる。これらについては、詳細が前記の公技番号2001−1745号の30頁〜32頁に詳細に記載されている。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
アルカリ鹸化処理は、鹸化液中に浸漬、鹸化液を塗布する等何れでもよいが、塗布方法が好ましい。塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法及びE型塗布法を挙げることができる。アルカリ鹸化処理液は、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの規定濃度は、0.1〜3.0Nの範囲にあることが好ましい。更に、アルカリ処理液として、フィルムに対する濡れ性が良好な溶媒(例、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、メタノール、エタノール等)、界面活性剤、湿潤剤(例えば、ジオール類、グリセリン等)を含有することで、鹸化液の透明支持体に対する濡れ性、鹸化液の経時安定性等が良好となる。具体的には、例えば、特開2002−82226号公報、国際公開第02/46809号パンフレットに内容の記載が挙げられる。
表面処理の代わりに、表面処理に加えて下塗り層(特開平7−333433号公報記載)、或は疎水性基と親水性基との両方を含有するゼラチン等の樹脂層を一層のみ塗布する単層法第1層として高分子フィルムによく密着する層(以下、下塗第1層と略す)を設け、その上に第2層として配向膜とよく密着するゼラチン等の親水性の樹脂層(以下、下塗第2層と略す)を塗布するいわゆる重層法(例えば、特開平11−248940号公報記載)の内容が挙げられる。
なお、上記した通り、光学異方性層の支持体として、偏光板の一部である透明層に要求される光学特性を満足するフィルムを用いてもよい。かかる場合は、図6〜9の説明で例示した文献等に記載のフィルムを支持体として利用する。
《光学異方性層》
次に、本発明に利用する光学異方性層の好ましい態様について詳細を記述する。光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物を補償するように設計することが好ましい。黒表示における液晶セル中の液晶化合物の配向状態は、液晶表示装置のモードにより異なる。この液晶セル中の液晶化合物の配向状態に関しては、IDW’00、FMC7−2、P411〜414に記載されている。光学異方性層は、ラビング軸等の配向軸によって配向制御され、その配向状態に固定された液晶性化合物を含有するのが好ましい。
光学異方性層の形成に用いる液晶性化合物の例には、分子構造が棒状である棒状液晶性化合物、及び分子構造が円盤状である円盤状液晶性化合物が含まれる。棒状液晶性化合物及び円盤状液晶性化合物は、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、さらに、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。光学異方性層の作製に棒状液晶性化合物を用いた場合は、棒状液晶性分子は、その長軸を支持体面へ投影した軸の平均方向が、配向軸に対して平行であるのが好ましい。また、光学異方性層の作製に円盤状液晶性化合物を用いた場合は、層中において円盤状液晶性分子は、その短軸を支持体面へ投影した軸の平均方向が配向軸に対して平行であるのが好ましい。また、円盤面と層平面とのなす角(傾斜角)が深さ方向に変化する、後述のハイブリッド配向が好ましい。
《棒状液晶性分子》
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
なお、棒状液晶性化合物には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶性分子を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、棒状液晶性化合物として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性化合物は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状液晶性化合物については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章及び第11章、及び液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
棒状液晶性分子の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。
棒状液晶性分子は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、ラジカル重合性不飽基或はカチオン重合性基が好ましく、具体的には、例えば特開2002−62427号公報明細書中の段落番号[0064]〜[0086]記載の重合性基、重合性液晶化合物が挙げられる。
《円盤状液晶性化合物》
円盤状(ディスコティック)液晶性化合物の例には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett、A、78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.、1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
円盤状液晶性化合物としては、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造である液晶性を示す化合物も含まれる。分子又は分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。円盤状液晶性化合物を含有する組成物から形成する光学異方性層は、最終的に光学異方性層に含まれる化合物が液晶性である必要はなく、例えば、低分子の円盤状液晶性分子が熱や光で反応する基を有しており、結果的に熱、光で反応により重合又は架橋し、高分子量化し液晶性を失った化合物も含まれる。円盤状液晶性分子の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、円盤状液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
円盤状液晶性分子を重合により固定するためには、円盤状液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。円盤状コアと重合性基は、連結基を介して結合する化合物が好ましく、これにより重合反応においても配向状態を保つことができる。例えば、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0151]〜「0168」記載の化合物等が挙げられる。
ハイブリッド配向では、円盤状液晶性分子の円盤面と層平面との角度が、光学異方性層の深さ方向でかつ支持体(又は配向膜)表面からの距離の増加と共に増加又は減少している。角度は、距離の増加と共に増加することが好ましい。さらに、角度の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、あるいは、増加及び減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。角度は、角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加又は減少していればよい。さらに、角度は連続的に変化することが好ましい。
支持体(又は配向膜)側の円盤状液晶性分子の長軸の平均方向は、一般に円盤状液晶性分子あるいは配向膜の材料を選択することにより、又はラビング処理方法を選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)の円盤状液晶性分子の円盤面方向は、一般に円盤状液晶性分子あるいは円盤状液晶性分子と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。円盤状液晶性分子と共に使用する添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー及びポリマーなどを挙げることができる。長軸の配向方向の変化の程度も、上記と同様に、液晶性分子と添加剤との選択により調整できる。
《光学異方性層中の他の添加物》
上記の液晶性化合物と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶分子の配向性等を向上することができる。液晶性分子と相溶性を有し、液晶性分子の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性又はカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、液晶性化合物に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報中の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物が挙げられる。
円盤状液晶性化合物とともに使用するポリマーは、円盤状液晶性化合物に傾斜角の変化を与えられることが好ましい。
ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0178]記載のものが挙げられる。液晶性分子の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性化合物に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。なお円盤状液晶性化合物を用いる場合は、該化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がさらに好ましい。
《光学異方性層の形成》
光学異方性層は、少なくとも一種の液晶性化合物及び必要に応じて後述の重合性開始剤や任意の成分を含む組成物を、例えば塗布液として調製し、該塗布液を配向膜の表面(例えば、ラビング処理面)に塗布することで形成できる。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N、N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1、2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがさらに好ましく、1〜10μmであることが最も好ましい。
《液晶性分子の配向状態の固定》
配向膜等の表面上で配向させた液晶性分子を、配向状態を維持して固定するのが好ましい。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、組成物(塗布液である場合は固形分)の0.01〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2の範囲にあることが好ましく、20〜5000mJ/cm2の範囲にあることがより好ましく、100〜800mJ/cm2の範囲にあることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
なお、光学異方性層の上に保護層を設けてもよい。
本発明に利用する第1の光学異方性層及び第2の光学異方性層は、ディスコティック液晶性化合物を含有する液晶性組成物をハイブリッド配向状態に固定して形成された層であるのが好ましい。かかる態様では、光学異方性層の配向制御方向は、例えば、光学異方性層を形成する際に利用される配向膜の表面に施されたラビング処理のラビング軸によって決定され、一般的にはラビング軸方向と一致する。
《配向膜》
本発明では、光学異方性層中の液晶性化合物は配向軸によって配向制御され、その状態に固定されているのが好ましい。前記液晶性化合物を配向制御する配向軸としては、光学異方性層と前記ポリマーフィルム(支持体)との間に形成された配向膜のラビング軸が挙げられる。但し、本発明において配向軸はラビング軸に限定されるものではなく、ラビング軸と同様に液晶性化合物を配向制御し得るものであれば、いかなるものであってもよい。
配向膜は、液晶性分子の配向方向を規定する機能を有する。従って、配向膜は本発明の好ましい態様を実現する上では必須である。しかし、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、本発明の構成要素としては必ずしも必須のものではない。即ち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光子上に転写して本発明の偏光板を作製することも可能である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。配向膜に使用するポリマーは、原則として、液晶性分子を配向させる機能のある分子構造を有する。本発明では、液晶性分子を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができし、これらの組み合わせを複数使用することができる。ポリマーの例には、例えば特開平8−338913号公報明細書中段落番号[0022]記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。
ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000であることが好ましい。
液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖は、一般に疎水性基を官能基として有する。具体的な官能基の種類は、液晶性分子の種類及び必要とする配向状態に応じて決定する。例えば、変性ポリビニルアルコールの変性基としては、共重合変性、連鎖移動変性又はブロック重合変性により導入できる。変性基の例には、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0022]に記載のもの等が挙げられる。
架橋性官能基を有する側鎖を配向膜ポリマーの主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を導入すると、配向膜のポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマーと多官能モノマーとの間だけではなく、配向膜ポリマーと配向膜ポリマーとの間、そして多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間も共有結合で強固に結合される。従って、架橋性官能基を配向膜ポリマーに導入することで、光学補償シートの強度を著しく改善することができる。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報明細書中段落番号[0080]〜[0100]記載のもの等が挙げられる。
配向膜ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾール及びジアルデヒド澱粉が含まれる。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報明細書中の段落番号[0023]〜[024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。が発生することがある。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤を含む透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行ってよい。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜形成時に利用する塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法又はロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は、20℃〜110℃で行うことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行うことができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜5.5で、特に5が好ましい。
配向膜は、透明支持体上又は上記下塗層上に設けられる。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理することにより得ることができる。
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
次に、配向膜を機能させて、配向膜の上に設けられる光学異方性層の液晶性分子を配向させる。その後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、あるいは、架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させる。 配向膜の膜厚は、0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。
《楕円偏光板》
本発明では、前記光学異方性層を直線偏光膜と一体化させた楕円偏光板を用いることができる。楕円偏光板は、液晶表示装置にそのまま組み込める様に、液晶セルを構成している一対の基板と略同一な形状に成型されているのが好ましい(例えば、液晶セルが矩形状ならば、楕円偏光板も同一な矩形状に成型されているのが好ましい)。本発明では、液晶セルの基板の配向軸と直線偏光膜の吸収軸、及び/又は光学異方性層の配向軸が特定の角度に調整されている。
前記楕円偏光板は、前記光学補償シートと直線偏光膜(以下、単に「偏光膜」という場合は「直線偏光膜」をいうものとする)とを積層することによって作製することができる。光学補償シートは、直線偏光膜の保護膜を兼ねていてもよい。
直線偏光膜は、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光膜、もしくはバインダーと、ヨウ素又は二色性色素からなる偏光膜が好ましい。直線偏光膜におけるヨウ素及び二色性色素は、バインダー中で配向することで偏向性能を発現する。ヨウ素及び二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、もしくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。現在、市販の偏光子は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素をバインダー中に浸透させることで作製されるのが一般的である。
市販の偏光膜は、ポリマー表面から4μm程度(両側合わせて8μm程度)にヨウ素もしくは二色性色素が分布しており、十分な偏光性能を得るためには、少なくとも10μmの厚みが必要である。浸透度は、ヨウ素もしくは二色性色素の溶液濃度、同浴槽の温度、同浸漬時間により制御することができる。上記のように、バインダー厚みの下限は、10μmであることが好ましい。厚みの上限は、液晶表示装置の光漏れの観点からは、薄ければ薄い程よい。現在市販の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下が好ましく、20μm以下がさらに好ましい。20μm以下であると、光漏れ現象は、17インチの液晶表示装置で観察されなくなる。
偏光膜のバインダーは架橋していてもよい。架橋しているバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーを用いることができる。官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入して得られるバインダーを、光、熱あるいはpH変化により、バインダー間で反応させて偏光膜を形成することができる。また、架橋剤によりポリマーに架橋構造を導入してもよい。架橋は一般に、ポリマー又はポリマーと架橋剤の混合物を含む塗布液を、透明支持体上に塗布したのち、加熱を行うことにより実施される。最終商品の段階で耐久性が確保できればよいため、架橋させる処理は、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で行ってもよい。
偏光膜のバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。ポリマーの例としては、前記の配向膜で記載のポリマーと同様のものが挙げられる。ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号、同9−152509号及び同9−316127号の各公報に記載がある。ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールは、二種以上を併用してもよい。
バインダーの架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1〜20質量%が好ましい。偏光素子の配向性、偏光膜の耐湿熱性が良好となる。
配向膜は、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいる。但し、残存する架橋剤の量は、配向膜中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このようにすることで、偏光膜を液晶表示装置に組み込み、長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、偏光度の低下を生じない。
架橋剤については、米国再発行特許23297号明細書に記載がある。また、ホウ素化合物(例、ホウ酸、硼砂)も、架橋剤として用いることができる。
二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。
二色性色素の例としては、例えば、前記の公技番号2001−1745号の58頁に記載の化合物が挙げられる。
液晶表示装置のコントラスト比を高めるためには、偏光板の透過率は高い方が好ましく、偏光度も高い方が好ましい。偏光板の透過率は、波長550nmの光において、30〜50%の範囲にあることが好ましく、35〜50%の範囲にあることがさらに好ましく、40〜50%の範囲にあることが最も好ましい。偏光度は、波長550nmの光において、90〜100%の範囲にあることが好ましく、95〜100%の範囲にあることがさらに好ましく、99〜100%の範囲にあることが最も好ましい。
《楕円偏光板の製造》
延伸法の場合、延伸倍率は2.5〜30.0倍が好ましく、3.0〜10.0倍がさらに好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸で実施できる。また、水に浸漬した状態でのウェット延伸を実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5〜5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0〜10.0倍が好ましい。延伸工程は、斜め延伸を含め数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。斜め延伸前に、横あるいは縦に若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度)を行ってもよい。延伸は、二軸延伸におけるテンター延伸を左右異なる工程で行うことによって実施できる。上記二軸延伸は、通常のフィルム製膜において行われている延伸方法と同様である。二軸延伸では、左右異なる速度によって延伸されるため、延伸前のバインダーフィルムの厚みが左右で異なるようにする必要がある。流延製膜では、ダイにテーパーを付けることにより、バインダー溶液の流量に左右の差をつけることができる。
ラビング法では、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されているラビング処理方法を応用することができる。すなわち、膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維を用いて一定方向に擦ることにより配向を得る。一般には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布を用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。ロール自身の真円度、円筒度、振れ(偏芯)がいずれも30μm以下であるラビングロールを用いて実施することが好ましい。ラビングロールへのフィルムのラップ角度は、0.1〜90゜が好ましい。ただし、特開平8−160430号公報に記載されているように、360゜以上巻き付けることで、安定なラビング処理を得ることもできる。
長尺フィルムをラビング処理する場合は、フィルムを搬送装置により一定張力の状態で1〜100m/minの速度で搬送することが好ましい。ラビングロールは、任意のラビング角度設定のためフィルム進行方向に対し水平方向に回転自在とされることが好ましい。0〜60゜の範囲で適切なラビング角度を選択することが好ましい。液晶表示装置に使用する場合は、40〜50゜が好ましい。45゜が特に好ましい。
直線偏光膜の光学異方性層と反対側の表面には、ポリマーフィルムを配置する(光学異方性層/偏光膜/ポリマーフィルムの配置とする)ことが好ましい。
ポリマーフィルムは、その最表面が防汚性及び耐擦傷性を有する反射防止膜を設けてなることも好ましい。反射防止膜は、従来公知のいずれのものも用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
[実施例1]
図1に示した構成のTNモードの液晶表示装置について光学シミュレーションを実施し、本発明の効果の確認を行った。光学計算には、シンテック社製のLCD Master Ver6.08を用いた。液晶セルや電極、基板、偏光板等は、液晶ディスプレイ用に従来から用いられているものがそのまま使用できる。液晶材料にはLCD Masterに付属のZLI−4792を用いた。光学異方性層の正面のレターデーションは45nmとし、液晶セルの配向はプレチルト角4度でパラレル配向の水平配向とし、基板のセルギャップを4μmとし、正の誘電率異方性を有する液晶材料で液晶のレターデーション(即ち、記液晶層の厚さd(ミクロン)と屈折率異方性Δnとの積Δn・d)を395nmとした。
偏光層1の吸収軸2はC2対称軸に対して直交とし(即ち、画面左右方向を0°とした場合に90°)、偏光層16の吸収軸2はC2対称軸に対して平行とした(即ち、画面左右方向を0°とした場合に0°)。また、偏光層の内側に配置した一対の第1の光学異方性層(5a、12a)の正面Reレターデーション値は30nmに設定し、第1の光学異方性層(5a、12a)の配向制御方向(6a、13a)と、液晶層の配向制御方向のうち近い側の液晶制御方向との角度を0度(即ち、図1中、6aと8、及び13aと11との角度を0度)に設定した。また液晶層の上下に配置した一対の第2の光学異方性層(5b、12b)の正面Reレターデーション値は30nmに設定し、第2の光学異方性層の配向制御方向(6b、13b)と液晶層の配向制御方向のうち近い側の液晶制御方向との角度を45度(即ち、図1中、6bと7、及び13bと11との角度を45度)に設定した。すなわち、この例では上側の第2の光学異方性層5bの配向制御方向6bは270度方向、下側の第2の光学異方性層12bの配向制御方向13bは90度方向になっている。
また、透明層3及び14については、Re及びRthがそれぞれ、55nm、120nmの透明フィルムとし、該透明フィルムの面内の遅相軸は近接する偏光膜1、16の透過軸に一致させた。偏光膜にはLCD Masterに付属のG1220DUを用いた。この透明フィルムの、所定の波長におけるRe及びRthの値については、表1の実施例1の欄に示した値に設定した。光源にはLCD Masterに付属のBacklight光源を用いた。このように図1に示す構成の液晶表示装置の光学特性をLCD Masterにより計算して求めた。
[比較例1]
図1中、第1の光学異方性層(5a、12a)、第2の光学異方性層(5b、12b)、透明層(3、14)を除いた以外は、実施例1と同じ構成の液晶表示装置の光学特性をLCD Masterにより計算して求めた。
<液晶表示装置の左右方向の視角特性(階調特性)>
比較例1及び実施例1の構成の液晶表示装置に黒電圧を印加し、全視角方向のコントラストト等高線をグラフ化したものを図10及び図11にそれぞれ示す。図10は比較例1のコントラストト等高線の結果、図11は実施例1のコントラストト等高線の結果である。
図10及び図11に示した結果から、従来例である比較例1は左右の対称性が非常に悪くさらにコントラストの視角特性も全体的に崩れているのがわかる。それに対し、実施例1は、比較例1と比較して左右の対称性が格段に優れていて、かつコントラストも広い範囲にわたって大きな値を示し、コントラスト視野角特性も格段に改善されていることが理解できる。
実際に、実施例1の構成のTNモードの液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置は、正面及び斜め方向において高いコントラストで画像表示が可能であった。また、この液晶表示装置を、温度40°湿度80%の環境試験室に24時間保管し、その後室温に1時間放置後、黒表示させた。目視では偏光板の周辺部には光漏れが全く観察されなかった。
本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。 従来の液晶表示装置の一例を示す概略図である。 液晶パネル部の2回対称性を説明するために用いる模式図である。 液晶パネル部の2回対称性を説明するために用いる模式図である。 液晶パネル部の2回対称性を説明するために用いる模式図である。 本発明の一態様にかかわる液晶表示装置に入射した光の偏光状態の軌跡をポアンカレ球上に示した図である。 本発明の一態様にかかわる液晶表示装置に入射した光の偏光状態の軌跡をポアンカレ球上に示した図である。 本発明の一態様にかかわる液晶表示装置に入射した光の偏光状態の軌跡をポアンカレ球上に示した図である。 本発明の一態様にかかわる液晶表示装置に入射した光の偏光状態の軌跡をポアンカレ球上に示した図である。 比較例1のコントラスト視野角特性を示す図である。 実施例1のコントラスト視野角特性を示す図である。
符号の説明
1 上側偏光板偏光層
2 上側偏光板偏光膜透過軸
3 上側偏光板透明層
4 上側偏光板透明層の遅相軸
5a 上側第1の光学異方性層
6a 上側第1の光学異方性層の液晶性化合物の分子対称軸の配向平均方向(配向制御方向)
5b 上側第2の光学異方性層
6b 上側第2の光学異方性層の液晶性化合物の分子対称軸の配向平均方向(配向制御方向)
7 液晶セル上側基板
8 上側基板液晶配向用ラビング方向(配向軸)
9 液晶分子(液晶層)
10 液晶セル下側基板
11 下側基板液晶配向用ラビング方向(配向軸)
12a 下側第1の光学異方性層
13a 下側第1の光学異方性層の液晶性化合物の分子対称軸の配向平均方向(配向制御方向)
12b 下側第2の光学異方性層
13b 下側第2の光学異方性層の液晶性化合物の分子対称軸の配向平均方向(配向制御方向)
14 下側偏光板透明層
15 下側偏光板透明層遅相軸
16 下側偏光板偏光層
17 下側偏光板偏光層の透過軸
51 上側偏光板偏光層
52 上側偏光板偏光膜吸収軸
53 上側偏光板透明層
54 上側偏光板透明層の遅相軸
55 上側光学異方性層
56 上側光学異方性層の液晶性化合物の分子対称軸の配向平均方向(配向制御方向)
57 液晶セル上側基板
58 上側基板液晶配向用ラビング方向(配向軸)
59 液晶分子(液晶層)
60 液晶セル下側基板
61 下側基板液晶配向用ラビング方向(配向軸)
62 下側光学異方性層
63 下側第1の光学異方性層の液晶性化合物の分子対称軸の配向平均方向(配向制御方向)
64 下側偏光板透明層
65 下側偏光板透明層遅相軸
66 下側偏光板偏光層
67 下側偏光板偏光層の吸収軸

Claims (10)

  1. 偏光層及び透明層を各々含むとともに、各々の透過軸を直交にして配置された一対の偏光板と、該一対の偏光板の間に配置された液晶パネル部とを有する液晶表示装置であって、
    前記液晶パネル部は、少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該一対の基板の対向面がそれぞれ有する配向軸によって配向制御された液晶性分子を含有する液晶層と、該液晶層を上下に挟んで配置される少なくとも一対の光学異方性層とを、少なくとも含み、
    前記液晶パネル部は、前記一対の基板の対向面が有する配向軸によって決定される前記液晶層の上下の配向制御方向及び上下に配置される前記一対の光学異方性層のそれぞれの配向制御方向で形成される立体構造に関し2回対称軸を基板面と平行の方向に持ち、前記一対の偏光板の一方の偏光板の透過軸が前記2回対称軸と平行であり、且つ他方の偏光板の透過軸が該2回対称軸と直交であり、
    前記一対の偏光板が有する透明層のうち、少なくとも前記液晶層と前記偏光層との間に位置する透明層が二軸性の位相差層であり、該位相差層の面内レターデーションが250〜300nmで、且つNZ値が0.1〜0.4であり、前記位相差層の面内遅相軸と該位相差層により近く配置された前記偏光層の吸収軸とが直交していることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 偏光層及び透明層を各々含むとともに、各々の透過軸を直交にして配置された一対の偏光板と、該一対の偏光板の間に配置された液晶パネル部とを有する液晶表示装置であって、
    前記液晶パネル部は、少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該一対の基板の対向面がそれぞれ有する配向軸によって配向制御された液晶性分子を含有する液晶層と、該液晶層を上下に挟んで配置される少なくとも一対の光学異方性層とを、少なくとも含み、
    前記液晶パネル部は、前記一対の基板の対向面が有する配向軸によって決定される前記液晶層の上下の配向制御方向及び上下に配置される前記一対の光学異方性層の配向制御方向で形成される立体構造に関し2回対称軸を基板面と平行の方向に持ち、前記一対の偏光板の一方の偏光板の透過軸が2回対称軸と平行であり、且つ他方の偏光板の透過軸が該2回対称軸と直交であり、
    前記一対の偏光板が有する透明層のうち、少なくとも前記液晶層と前記偏光層との間に位置する透明層が二軸性の位相差層であり、該位相差層の面内レターデーションは250〜300nmで、且つNZ値が0.6〜1.1であり、前記位相差層の面内遅相軸と該位相差層により近く配置された前記偏光層の吸収軸とが平行であることを特徴とする液晶表示装置。
  3. 前記透明層と前記液晶パネル部との間に、さらに略一軸性の位相差層を有し、前記略一軸性の位相差層の光軸が層面に対して垂直であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
  4. 偏光層及び透明層を各々含むとともに、各々の透過軸を直交にして配置された一対の偏光板と、該一対の偏光板の間に配置された液晶パネル部とを有する液晶表示装置であって、
    前記液晶パネル部は、少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該一対の基板の対向面がそれぞれ有する配向軸によって配向制御された液晶性分子を含有する液晶層と、該液晶層を上下に挟んで配置される少なくとも一対の光学異方性層とを含み、
    前記液晶パネル部は、前記一対の基板の対向面の配向軸によって決定される前記液晶層の配向制御方向及び上下に配置される前記一対の光学異方性層のそれぞれの配向制御方向で形成される立体構造に関し2回対称軸を基板面と平行の方向に持ち、前記一対の偏光板の一方の偏光板の透過軸が前記2回対称軸と平行であり、且つ他方の偏光板の透過軸が該2回対称軸と直交であり、
    前記一対の偏光板が有する透明層のうち、少なくとも前記液晶層と前記偏光層との間に位置する透明層が二軸性の位相差機能を持ち、該透明層の面内遅相軸と、該位相差層のより近く配置された偏光層の透過軸とが平行であることを特徴とする液晶表示装置。
  5. 偏光層及び透明層を各々含むとともに、各々の透過軸を直交にして配置された一対の偏光板と、該一対の偏光板の間に配置された液晶パネル部とを有する液晶表示装置であって、
    前記液晶パネル部が、少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該一対の基板の対向面がそれぞれ有する配向軸によって配向制御された液晶性分子を含有する液晶層と、液晶層を上下に挟むように配置される少なくとも一対の光学異方性層とを含み、
    前記液晶パネル部は、前記一対の基板の対向面の配向軸によって決定される前記液晶層の上下の配向制御方向及び上下に配置される前記一対の光学異方性層の配向制御方向で形成される立体構造に関し2回対称軸を基板面と平行の方向に持ち、前記一対の偏光板の一方の偏光板の透過軸が前記2回対称軸と平行であり、且つ他方の偏光板の透過軸が該2回対称軸と直交であり、
    前記一対の偏光板が有する透明層のうち、少なくとも前記液晶層と前記偏光層との間に位置する透明層が、該位相差層のより近く配置された偏光層の透過軸と平行な面内遅相軸を有し、該透明層の面内のレターデーションをRe、厚さ方向のレターデーションRthとすると、該透明層の波長550nmにおけるRthが70〜400nm、Reが20〜80nmであり、波長450nmにおけるReとRthの比であるRe/Rthが、波長550nmにおけるRe/Rthの値の0.4〜0.95倍であり、且つ波長650nmにおけるRe/Rthが、波長550nmにおけるRe/Rthの値の1.05〜1.9倍であることを特徴とする液晶表示装置。
  6. 前記液晶層がTNモ−ドの液晶層である請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  7. 前記一対の光学異方性層の双方が、配向軸によって配向制御されその配向状態に固定された液晶性化合物を含有する光学異方性層であって、前記光学異方性層の配向制御方向が、前記配向軸によって決定される方向であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  8. 前記一対の光学異方性層の配向制御方向のそれぞれと、前記液晶層の配向制御方向の少なくとも一方とのなす角度が0°〜10°であることを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。
  9. 前記液晶パネル部が、前記一対の光学異方性層とともに、一対の第2の光学異方性層を含み、前記一対の第2の光学異方性層の双方が、配向軸によって配向制御されその配向状態に固定された液晶性化合物を含有する光学異方性層であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  10. 前記一対の第2の光学異方性層の配向制御方向のそれぞれと、前記液晶層の配向制御方向の少なくとも一方とのなす角度が略45°であることを特徴とする、請求項9に記載の液晶表示装置。
JP2006080397A 2006-02-28 2006-03-23 液晶表示装置 Pending JP2007256589A (ja)

Priority Applications (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006080397A JP2007256589A (ja) 2006-03-23 2006-03-23 液晶表示装置
TW096106838A TWI447443B (zh) 2006-02-28 2007-02-27 偏光板及液晶顯示器
PCT/JP2007/054368 WO2007100143A1 (en) 2006-02-28 2007-02-28 Polarizing plate and liquid crystal display
KR1020087021167A KR20080114703A (ko) 2006-02-28 2007-02-28 편광판 및 액정 표시 장치
CN2007800155072A CN101432645B (zh) 2006-02-28 2007-02-28 偏振片和液晶显示器
EP07715259A EP1991892A1 (en) 2006-02-28 2007-02-28 Polarizing plate and liquid crystal display
CN2011102299546A CN102289105A (zh) 2006-02-28 2007-02-28 偏振片和液晶显示器
US12/280,224 US7982826B2 (en) 2006-02-28 2007-02-28 Polarizing plate and liquid crystal display
US13/161,005 US8400592B2 (en) 2006-02-28 2011-06-15 Polarizing plate and liquid crystal display

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006080397A JP2007256589A (ja) 2006-03-23 2006-03-23 液晶表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007256589A true JP2007256589A (ja) 2007-10-04

Family

ID=38630892

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006080397A Pending JP2007256589A (ja) 2006-02-28 2006-03-23 液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007256589A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014017343A1 (ja) * 2012-07-25 2014-01-30 富士フイルム株式会社 捩れ配向モード液晶表示装置
JP2015501955A (ja) * 2011-12-19 2015-01-19 エルジー・ケム・リミテッド 偏光板

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015501955A (ja) * 2011-12-19 2015-01-19 エルジー・ケム・リミテッド 偏光板
US9500788B2 (en) 2011-12-19 2016-11-22 Lg Chem, Ltd. Polarizing plate comprising a polarizer and a retardation layer
JP2016197258A (ja) * 2011-12-19 2016-11-24 エルジー・ケム・リミテッド 偏光板
JP2016218463A (ja) * 2011-12-19 2016-12-22 エルジー・ケム・リミテッド 偏光板
JP2017010034A (ja) * 2011-12-19 2017-01-12 エルジー・ケム・リミテッド 偏光板
US9977166B2 (en) 2011-12-19 2018-05-22 Lg Chem, Ltd. Polarizer
US10209416B2 (en) 2011-12-19 2019-02-19 Lg Chem, Ltd. Polarizing plate for minimizing reflecting properties in an organic light emitting device
US10551539B2 (en) 2011-12-19 2020-02-04 Lg Chem, Ltd. Polarizing plate for minimizing reflective properties in organic light emitting device
US10782461B2 (en) 2011-12-19 2020-09-22 Lg Chem, Ltd. Polarizing plate for minimizing reflecting properties in an organic light emitting device
US11307338B2 (en) 2011-12-19 2022-04-19 Lg Chem, Ltd. Polarizing plate for minimizing reflecting properties in organic light emitting device
WO2014017343A1 (ja) * 2012-07-25 2014-01-30 富士フイルム株式会社 捩れ配向モード液晶表示装置
US9885910B2 (en) 2012-07-25 2018-02-06 Fujifilm Corporation Twisted alignment mode liquid crystal display device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4667109B2 (ja) 光学補償フィルム及び液晶表示装置
JP4284221B2 (ja) 液晶表示装置
JP2007047696A (ja) 液晶表示装置
JP2007187910A (ja) 液晶表示装置
JP2008250234A (ja) 液晶表示装置
JP2006276849A (ja) 液晶セル及び液晶表示装置
JP2005309364A (ja) 光学補償フイルム、楕円偏光板及び液晶表示装置
JP2006235578A (ja) 液晶表示装置
JP2006267613A (ja) 液晶表示装置
KR100894239B1 (ko) 액정 표시 장치
JP2007047697A (ja) 液晶表示装置
JP2009086379A (ja) 光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2006235580A (ja) 液晶表示装置及び楕円偏光板
JP2005283612A (ja) 液晶表示装置
JP2008139368A (ja) 液晶表示装置
KR101127788B1 (ko) 광학 보상막을 갖는 편광판 및 이를 이용한 액정 표시 장치
JP2007256589A (ja) 液晶表示装置
JP4429122B2 (ja) 光学異方性膜、その製造方法及び液晶表示装置
JP2005202212A (ja) 液晶表示装置および楕円偏光板
JP2007272136A (ja) 液晶表示装置
WO2013061965A1 (ja) 液晶表示装置
JP4845479B2 (ja) 液晶表示装置
JP2006259210A (ja) 偏光板及び液晶表示装置
JP2006301579A (ja) 楕円偏光板及び液晶表示装置
JP2006235581A (ja) 液晶表示装置