JP3019741B2 - 位相板 - Google Patents

位相板

Info

Publication number
JP3019741B2
JP3019741B2 JP6335914A JP33591494A JP3019741B2 JP 3019741 B2 JP3019741 B2 JP 3019741B2 JP 6335914 A JP6335914 A JP 6335914A JP 33591494 A JP33591494 A JP 33591494A JP 3019741 B2 JP3019741 B2 JP 3019741B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase plate
retardation
polymer
monomer
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP6335914A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07287122A (ja
Inventor
敏敬 大月
弘信 篠原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSR Corp filed Critical JSR Corp
Priority to JP6335914A priority Critical patent/JP3019741B2/ja
Publication of JPH07287122A publication Critical patent/JPH07287122A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3019741B2 publication Critical patent/JP3019741B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、極性基を有するノルボ
ルネン系樹脂からなる位相板に関し、さらに詳しくは粘
度あるいは接着性に優れ、レターデーションが小さく、
かつその均一性の高い位相板に関する。
【0002】
【従来の技術】位相板は液晶ディスプレイにおいて、偏
光された光の成分の相対位相を変化させるために用いら
れる。位相板としては、複屈折性を有するフィルムまた
はシートが用いられるが、従来ポリビニルアルコールや
トリアセチルセルロース等の高分子フィルムを延伸配向
させたものが用いられてきた。しかし、これらの高分子
材料は光弾性係数が大きいため、わずかな応力によりレ
ターデーションが大きく変化するため、液晶ディスプレ
イの画面の均一性や安定性に問題があった。また、液晶
ディスプレイでは、視野角を広くしたい要望があり、特
にTFT方式ではレターデーションのできるだけ小さな
位相板が好まれるが、従来素材では、光弾性係数が大き
いため、小さいレターデーションの位相板をつくること
自体に厳しい管理が必要となり、歩留まりよく製造する
には困難が伴っていた。また、従来素材では、特にポリ
ビニルアルコールやトリアセチルセルロースでは耐熱性
や吸水性も必ずしも充分ではなく、自動車搭載用のディ
スプレイ用いる場合、問題があった。ノルボルネン系
樹脂からなるフィルムは、この素材そのものの光弾性係
数が小さいために、レターデーションが小さくて、均一
性の高いものが得られるため特開平4−36120号や
同5−2108号にノルボルネン系樹脂のフィルムから
なる位相板が提案されている。
【0003】これらの公報には、ポリカーボネートのご
とく吸水性が高いとレターデーションが変化するためこ
のましくないと言及され、ノルボルネン系樹脂はこの吸
水率が容易に0.05%以下のものが得られるとされて
いる。ノルボルネンポリマーには広い範囲の構成からな
り、ずべてが吸水率0.05%以下になるとは限らな
い。吸水率を0.05%以下にするためには、ノルボル
ネン系ポリマーは炭素と水素のみからなる通称ポリオレ
フィンがハロゲンを一部含む構成でのみ達成される。
れを位相差板として用いる場合、通常トリアセチルセル
ロースからなる偏光子の保護膜かポリビニルアルコール
からなる偏光子に粘着もしくは接着されて用いられる
、吸水率が0.05%以下のノルボルネン系ポリマー
では密着性が不充分となる問題があった。また、ノルボ
ルネン系ポリマーは、その構造中に三級水素を含有する
ために、酸化に対する耐久性が劣っており、その改良の
ための酸化防止剤が添加されるが、吸水率の低いすなわ
ち炭素と水素とからだけなるノルボルネン系ポリマーで
は、酸化防止剤と相溶性が不充分であることが多く、多
量添加すると透明性を損なったり、表面にブリードした
りする問題もあり、実質的に耐久性の優れたものを得る
ことが困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は小さなレター
デーションでかつその均一性が高く、耐熱性が優れ、偏
光板との密着性に優れた、安定性に優れた位相板を提供
することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式1
で表される少なくとも一種のノルボルネン誘導体よりな
る単量体(以下、「特定単量体」という)もしくはこの
単量体と共重合可能な共重合性単量体を開環重合して得
られる官能基を有する重合体またはその水素添加物(以
下、これらを「特定重合体」という)からなる位相板を
提供するものである。
【0006】
【化2】
【0007】(式中、AおよびBは水素原子または炭素
数1〜10の炭化水素基であり、XおよびYは水素原子
または一価の有機基であって、XおよびYの少なくとも
一つは極性を有する基を示し、mは0または1であ
る。)
【0008】特定単量体のうち、極性基が特に式−(C
2nCOORで表される特定の極性基である特定単量
体は、得られる開環重合体の水素添加物が高いガラス転
移温度と低い吸湿性を有するものとなる点で好ましい。
上記の特定の極性基に係る式において、Rは炭素原子数
1〜12の炭化水素基、好ましくはアルキル基である。
また、nは通常、0〜5であるがnの値が小さいものほ
ど、得られる開環重合体のガラス転移温度が高くなるの
で好ましく、さらにnが0である特定単量体は、その合
成が容易である点で、また、得られる開環重合体がガラ
ス転移温度の高いものとなる点で好ましい。さらに、前
記一般式1においてAまたはBがアルキル基、特にメチ
ル基であることが好ましく、特に、このアルキル基が、
上記の式ー(CH2nCOORで表される特定の極性基
が結合した炭素原子と同一の炭素原子に結合されている
ことが好ましい。また、一般式1においてmが1である
特定単量体は、ガラス転移温度の高い開環重合体が得ら
れる点で好ましい。
【0009】一般式1で表される特定単量体の具体例と
しては、5−カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]
ヘプト−2−エン、5−メチル−5−カルボキシメチル
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−カルボ
キシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8−カルボキシエチルテトラ
シクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、8−カルボキシn−プロピルテトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−カルボ
キシイソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8−カルボキシn−ブチルテ
トラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−
メチル−8−カルボキシエチルテトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8
−カルボキシn−プロピルテトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−カ
ルボキシイソプロピルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−カル
ボキシn−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5
7 ,10]−3−ドデセンなどを挙げることができる。こ
れらのうち、8−メチル−8−カルボキシメチルテトラ
シクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
は、これを開環重合させて得られる重合体が高いガラス
転移温度と低い吸湿性を有するものとなる点で好まし
い。上記の特定単量体は必ずしも単独で用いる必要はな
く、2種以上を用いて開環共重合反応を行うこともでき
る。
【0010】〈共重合性単量体〉本発明において特定重
合体は、上記の特定単量体を単独で開環重合させたもの
であっても良いが、当該特定単量体と共重合性単量体と
を開環共重合させた物であっても良い。この場合に使用
することのできる共重合性単量体の具体例としては、シ
クロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロ
オクテン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6]−3−デセン、5−
エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン
などのシクロオレフィンを挙げることができる。更に、
ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエ
ン共重合体、エチレン−非共役ジエン重合体、ポリノル
ボルネンなどの主鎖に炭素−炭素間二重結合を含む不飽
和炭化水素系ポリマ−などの存在下に特定単量体を開環
重合させてもよい。そして、この場合に得られる開環共
重合体の水素添加物は、耐衝撃性の大きい樹脂の原料と
して有用である。
【0011】<重合触媒>本発明において、開環重合反
応はメタセシス触媒の存在下に行われる。このメタセシ
ス触媒は、(a)W、MoおよびReの化合物から選ば
れた少なくとも1種と、(b)デミングの周期律表IA
族元素(例えばLi、Na、Kなど)、IIA族元素
(例えばMg、Caなど)、IIB族元素(例えばZ
n、Cd、Hgなど)、III A族元素(例えばB、
Alなど)、IVA族元素(例えばSi、Sn、Pbな
ど)あるいはIVB族元素(例えばTi、Zrなど)の化
合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合あ
るいは当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少
なくとも1種との組合せからなる触媒である。またこの
場合に触媒の活性を高めるために、後述の添加剤(c)
が添加されたものであってもよい。(a)成分として適
当なW、MoあるいはReの化合物の代表例としては、
WCl6 、MoCl5 、ReOCl3 など特開平1−2
40517号公報に記載の化合物を挙げることができ
る。(b)成分の具体例としては、n−C49 Li、
(C253 Al 、(C252 AlCl 、(C2
51.5 AlCl1.5 、(C25 )AlCl2、メ
チルアルモキサン、LiHなど特開平1−240517
号公報に記載の化合物を挙げることができる。添加剤で
ある(c)成分の代表例としては、アルコール類、アル
デヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用いること
ができるが、更に特開平1−240517号公報に示さ
れる化合物を使用することができる。
【0012】<開環重合反応用溶媒>開環重合反応にお
いて用いられる溶媒(分子量調節剤溶液を構成する溶
媒、特定単量体および/またはメタセシス触媒の溶媒)
としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オク
タン、ノナン、デカンなどのアルカン類、シクロヘキサ
ン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノル
ボルナンなどのシクロアルカン類、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭
化水素、クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレ
ン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロ
ロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなど
のハロゲン化アルカン、アリールなどの化合物、酢酸エ
チル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオ
ン酸メチル、ジメトキシエタンなどの飽和カルボン酸エ
ステル類、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジ
メトキシエタンなどのエーテル類などを挙げることがで
き、これらは単独であるいは混合して用いることができ
る。これらのうち、芳香族炭化水素が好ましい。溶媒の
使用量としては、「溶媒:特定単量体(重量比)」が、
通常1:1〜10:1となる量とされ、好ましくは1:
1〜5:1となる量とされる。本発明で用いられる環状
オレフィン系重合体の分子量は固有粘度(ηinh)で
0.2〜5.0の範囲のものが好適である
【0013】<水素添加触媒>以上のようにして得られ
る開環重合体は、水素添加触媒を用いて水素添加でき
る。不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ニッケ
ル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属触媒物質を、カ
ーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの担体に担持
させた固体触媒を挙げることができる。また、均一系触
媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニ
ウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアル
ミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、
チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロ
リド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホス
フィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホス
フィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス
(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカル
ボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムな
どを挙げることができる。触媒の形態は粉末でも粒状で
もよい。ここで、水素添加率は、通常50%以上、好ま
しく70%以上、更に好ましくは90%以上である。
【0014】上記のごとく得られる開環重合体または水
添物の23℃における飽和吸水率は、0.1〜1重量%
の範囲にあることが好ましい。飽和吸水率が0.1重量
%未満では得られる位相板と偏光フィルムなど他のフィ
ルムとの密着性に劣り、使用途中で剥離が発生するおそ
れがある。また、酸化防止剤などを相溶性にも欠けたも
のとなるため、多量に添加する透明性が損なわれたり、
表面にブリードしたりするなどの問題も出やすい。飽和
吸水率が1重量%を超えると、位相板の耐湿性が劣った
ものとなるため、吸水によるレターデーションのバラツ
キが大きくなりやすく、光学的に均一な位相機能を得に
くくなる。なお、本発明いおける飽和吸水率はASTM
D570に従い、23℃水中で1週間浸漬して増加重量
を測定することにより得られる値である。本発明におい
て、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のノルボルナン骨格に
おける置換基がすべて水素原子あるいは炭化水素基のよ
うな非極性であると、吸水率が0.1重量%未満となり
密着性や酸化防止剤の相溶性に劣るものとなる。
【0015】また、上記一般式IにおいてA、B、Xお
よびYのすべてが極性基であると吸水率が1重量%を超
えた大きなものとなることがある。従って、本発明にお
いては、熱可塑性ノルボルネン系樹脂の置換基を、樹脂
の飽和吸水率が上記範囲内となるように選択することが
好ましい。本発明において特定重合体には、公知の酸化
防止剤、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフ
ェノール、2,2’−ジオキシ−3,3’−ジ−t−ブ
チル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、テトラキ
ス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,
3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブ
チルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,
4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジル)ベンゼン、ステアリル−β−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート、2,2’−ジオキシ−3,3’−ジ−t−ブチル
−5,5’−ジエチルフェニルメタン、3,9−ビス
[1,1−ジメチル−2−(β−(3−t−ブチル−4
−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキ
シ)エチル]、2,4,8,10−テトラオキスピロ
[5.5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタン
テトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホ
スファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス
(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホス
ファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブ
チルフェニル)オクチルホスファイト;紫外線吸収剤、
例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒド
ロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどを添加するこ
とによって安定化することができる。また、加工性を向
上させる目的で滑剤などの添加剤を添加することもでき
る。
【0016】これらの酸化防止剤の添加量は、特定重合
体100重量部に対して、通常、0.1〜3重量部、好
ましくは0.2〜2重量部である。酸化防止剤の使用量
が少なすぎる場合には耐久性の改良効果が不十分であ
り、多すぎる場合には成形表面かたブリードしたり、透
明性が低下する等の問題点が生じ好ましくない。本発明
の位相板は、特定重合体を溶融成形法および溶液流延法
によりシートとし、これを延伸配向させて得られる。溶
融成形法としては、Tダイ法やインフレーション法等の
方法が用いられる。延伸前のシートの厚さは、通常25
〜500μm、好ましくは50〜400μm、更に好ま
しくは100〜300μmである。延伸方法としては公
知の一軸延伸法、すなわち、テンター法による横一軸延
伸法、ロール間圧縮延伸法、周遠の異なるロールを利用
する縦一軸延伸法等を用いることができる。また、分子
の配向に影響のない範囲で延伸した後、分子を配向させ
るべく一軸方向に延伸する二軸延伸であってもよい。
【0017】上記のようにして得たフィルムは延伸によ
り分子が配向し、一定のレターデーション値を持つが、
レターデーションは、延伸前のシートのレターデーショ
ンと延伸倍率、延伸温度、延伸配向フィルムの厚さによ
り制御することができる。延伸前のシートが一定の厚さ
の場合、延伸倍率が大きいフィルムほどレターデーショ
ンの絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸倍率を偏
光することによって所望のレターデーションの延伸配向
フィルムを得ることができる。本発明において。上記の
方法によって得たフィルムは偏光顕微鏡によるレターデ
ーションの測定値が5〜900nmのものが用いられ
る。液晶ディスプレイの種類や形状によってそれぞれ好
ましいレターデーションの範囲が異なるが、例えばTF
T方式による液晶ディスプレイに用いられる偏光フィル
ムでは透明性が特に高いことが必要であり、視野角を広
くとるためにはレターデーションが低いことが好まし
く、光学的に均一で、レターデーションが30〜150
nmの小さなものが好適に用いられる。なお、本発明に
おいてレターデション値は溝尻光学性エリプソメーター
DVA−36LSを用い、波長633nmで測定した値
である。レターデーション値のハバラツキは小さい程好
ましく、波長633nmにおけるレターデーションのバ
ラツキが±20%以下であることが好ましい。レターデ
ーションのバラツキが±20%を超えると、光学的に均
一な位相板とはいいがたくなり、液晶ディスプレイに用
いた場合、ディスプレイの画像がゆがんだりするなどの
良好な表示性能が得られにくい。本願発明の位相板は、
公知の液晶基板、偏光フィルム、透明電極、液晶配向
層、ガスバリア層などを積層し、液晶ディスプレイとし
て用いられる。この場合、他のフィルム、シート、基板
を本発明の位相板に積層するときに粘着剤や接着剤を用
いることができる。これらの粘着剤、接着剤としては、
透明性に優れたものが好ましく、具体例としては天然ゴ
ム、合成ゴム、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、ポ
リビニルエーテル、アクリル系、変性ポリオレフィン
系、およびこれらにイソシアナートなどの硬化剤を添加
した硬化型粘着剤、ポリウレタン系樹脂溶液とポリイソ
シアナート系樹脂溶液を混合するドライラミネート溶接
着剤、合成ゴム系接着剤、エポキシ系接着剤などが挙げ
られる。また、本発明の位相板は、他のフィルムシー
ト、基板などとの積層の作業性を向上させるために、あ
らかじめ、粘着剤層または、接着剤層を積層することが
できる。粘着剤、接着剤としては前述のような粘着剤あ
るいは接着剤を用いることができる。本発明の位相板を
用いた液晶ディスプレイは携帯電話、ディジタル情報端
末、ポケットベル、ナビゲーション、液晶モニター、調
光パネル、OA機器用ディスプレイ、AV機器用ディス
プレイ等に用いることができる。
【0019】
【実施例】なお、実施例においては「部」は「重量部」
を、「%」は「重量%」を示す。以下、本発明の実施例
について説明するが、本発明がこれらによって制限され
るものではない。
【0020】合成例1 特定単量体として8−メチル−8−カルボキシメチルテ
トラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン 250部と分子量調節剤である1−ヘキセン 1
8部とトルエン750部を、窒素置換した反応容器に仕
込み、60℃に加熱した。これに、重合触媒であるトリ
エチルアルミニウム(1.5モル/l)のトルエン溶液
0.62部と、t−ブタノ−ルおよびメタノ−ルでW
Cl6を変性し、t−ブタノールとメタノールおよびタ
ングステンのモル比が0.35:0.3:1とされたW
Cl6溶液(濃度0.05モル/l)3.7部を加え、
80℃で3時間加熱攪拌して、重合体溶液を得た。この
重合反応における重合転化率は97%であり、重合体の
固有粘度(ηinh)は0.65であった。得られた重合
体溶液Aの4000部をオートクレーブに入れ、これに
RuHCl(CO)[P(C6533の0.48部を
加え、水素ガス圧を100Kg/cm2、反応温度16
5℃の条件で3時間加熱攪拌して水素添加反応を行っ
た。得られた反応溶液を冷却した後、水素ガスを放圧
し、水素添加重合体溶液を得た。この水素添加重合体溶
液を大量のメタノール中で凝固させた後、乾燥させ、特
定重合体を得た。この重合体の水添率は実質上100%
であり、ガラス転移温度は170℃であった。また、2
3℃における飽和吸水率は0.4%であった。
【0021】合成例2 6−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4
a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン
に、重合触媒としてトリエチルアルミニウムの15%シ
クロヘキサン溶液10部、トリエチルアミン5部、およ
び四塩化チタンの20%シクロヘキサン溶液10部を添
加して、シクロヘキサン中で開環重合し、得られた開環
重合体をニッケル触媒で水素添加してポリマー溶液を得
た。この水素添加重合体溶液をイソプロピルアルコール
中で凝固させ、乾燥し、粉末状の重合体を得た。この重
合体の数平均分子量は45000、水素添加率は99.
9%以上、ガラス転移温度は142℃であった。また、
23℃における飽和吸水率は0.01%であった。
【0022】実施例1 合成例1で得た特定重合体100部にステアリル−β−
(3.5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
を1部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホ
スファイトを0.1部添加して280℃の樹脂温度で溶
融押し出しを行い、シートを作製した。こうして得たシ
ートを170℃で、1.2倍の延伸倍率に一軸方向に延
伸し、位相板を作成した。この位相板は平均厚さ100
μmであり、レターデーションは平均120nm、バラ
ツキは±8%と均質になった。さらにこの位相板を11
0℃で3時間加熱した後、冷却してレターデーションを
測定したところ115nm、バラツキは±10%であ
り、ほとんど変化がなく高耐熱性を示した。また、得ら
れた位相板に、n−ブチルアクリレート90重量%、エ
チルアクリレート7重量%、アクリル酸3重量%からな
るアクリル系樹脂100部とトリレンジイソシアネート
(3モル)のトリメチロールプロパン(1モル)付加物
の75重量%酢酸エチル溶液2部からなる架橋剤を混合
して得られた粘着剤を用いて市販の偏光フィルムNPF
ーF1225DU(日東電工製)と粘着層を介して積層
した。この積層体の両フィルム間に剥離は全く認められ
なかった。また、80℃、相対湿度90%の条件で耐久
試験を行ったところ積層体に異常は全く認められず、耐
久性は良好であった。
【0023】比較例1 実施例1において、合成例1で得られた特定重合体を合
成例2で得た重合体に代え、ステアリル−β−(3.5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)の使用量
を0.1部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ホスファイトの使用量を0.01部とした以外は、
実施例1と同様にして厚さ100μmの位相板を作成し
た。得られた位相板を市販の偏光フィルムNPFーF1
225DU(日東電工製)と粘着層を介して積層した。
この積層体の両フィルム間の一部に剥離が認められた。
また、80℃、相対湿度90%の条件で1000時間処
理すると積層体の全面が曇り、また剥離も著しくなっ
た。
【0024】実施例2 合成例1で得られた特定重合体の20重量%トルエン溶
液をダイスに通して、均一の厚みの液にし、これを20
0℃で乾燥してキャストフィルムを得た。このフィルム
を温度170℃で一軸方向に延伸して厚さ102μm、
レターデーション値100nm、レターデーションのバ
ラツキ±5%の位相板を得た。この位相板を実施例1と
同様に110℃で3時間加熱した後、冷却してレターデ
ーションを測定したところ、98nmであり、レターデ
ーションのバラツキは±7%であった。この位相板に実
施例1と同様に偏光フィルムを積層した。この積層体の
両フィルム間に剥離は全く認められなかった。また、8
0℃、相対湿度90%の条件で耐久試験を行ったとこ
ろ、積層体に異常は全く認められず、耐久性は良好であ
った。
【0025】比較例2 合成例1で得られた特定重合体を合成例2で得られた重
合体に代えた以外は、実施例2と同様にして厚さ102
μmの位相板を作製した。この位相板に実施例2と同様
に偏光フィルムを積層した。この積層体の両フィルム間
の一部に剥離が認められた。また、80℃、相対湿度9
0%の条件で1000時間処理すると積層体の全面が曇
り、また、剥離も著しくなった。
【0026】比較例3 実施例1において、合成例1で得られた特定重合体を合
成例2で得られた重合体に代えた以外は、実施例1と同
様にして厚さ100μmの位相板を作製したところ、重
合体に対するこれらの添加剤の相溶性が不充分なために
フィルムに曇りが認められたため、位相板として使用で
きなかった。
【0027】
【発明の効果】本発明の位相板は極性基を有しているこ
とが大きな特徴であり、このことにより、、保護フィル
ム、粘着剤、透明電極等との密着性が良好である。さら
に、極性基を含有させることによって、多量の酸化防止
剤の均一混合が可能となり、耐久性が大幅に改善され
る。また、機械的強度が向上し、偏光フィルム、透明電
極層との密着性にも優れ、耐熱性も大幅に向上させるこ
とが可能となる。また、極性基を含有するノルボルネン
樹脂とすることで、上述の特徴を付与することが可能と
なるが、これらと逆相関となる吸湿性は大きくなる。し
かしながら、吸湿性は官能基の種類や量を制御すること
により、実質的に問題とならない程度の吸水率に抑える
ことが可能である。本発明の位相板は表面平滑性に優れ
ていることから、画面の歪みが少なく、また透明性に優
れていることから明暗はっきりとした画像が得られる。
さらに、光弾性係数が小さいため、光学的均一性に優れ
ているため形状が曲面の液晶ディスプレイに使用するこ
とも可能である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式1で表される少なくとも一種
    のノルボルネン誘導体よりなる単量体もしくはこの単量
    体と共重合可能な共重合性単量体を開環重合して得られ
    る重合体またはその水素添加物からなり、23℃におけ
    る飽和吸水率が0.1〜1重量%であることを特徴とす
    位相板。 【化1】 (式中、AおよびBは水素原子または炭素数1〜10の
    炭化水素基であり、XおよびYは水素原子または一価の
    有機基であって、XおよびYの少なくとも一つは極性を
    有する基を示し、mは0または1である。)
  2. 【請求項2】 633nmの光のレターデーションが
    30〜150nmであって、位相板中のレターデーショ
    ンのバラつきが±20%以内であることを特徴とする請
    求項1の位相板。
JP6335914A 1994-02-24 1994-12-22 位相板 Expired - Lifetime JP3019741B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6335914A JP3019741B2 (ja) 1994-02-24 1994-12-22 位相板

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6-51315 1994-02-24
JP5131594 1994-02-24
JP6335914A JP3019741B2 (ja) 1994-02-24 1994-12-22 位相板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07287122A JPH07287122A (ja) 1995-10-31
JP3019741B2 true JP3019741B2 (ja) 2000-03-13

Family

ID=26391851

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6335914A Expired - Lifetime JP3019741B2 (ja) 1994-02-24 1994-12-22 位相板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3019741B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE69932826T2 (de) * 1998-06-18 2006-12-14 Kaneka Corp. Transparentes touch panel und flüssigkristalldisplay mit einem transparenten touch panel
JP2002190383A (ja) * 2000-09-19 2002-07-05 Jsr Corp Elディスプレイおよびelディスプレイ用位相差板
US7015276B2 (en) 2000-10-02 2006-03-21 Sekisui Chemical Co., Ltd. Melt-moldable thermoplastic norbornene resin composition and molded article and optical film both comprising the same
JP4915409B2 (ja) * 2001-04-27 2012-04-11 Jsr株式会社 熱可塑性ノルボルネン系樹脂系光学用フィルム
JP4238501B2 (ja) 2001-04-27 2009-03-18 Jsr株式会社 熱可塑性ノルボルネン系樹脂系光学用フィルム
JP2006058540A (ja) 2004-08-19 2006-03-02 Jsr Corp 光学フィルム、偏光板および液晶ディスプレイ
JP5233280B2 (ja) * 2005-07-22 2013-07-10 Jsr株式会社 環状オレフィン系開環共重合体およびその用途ならびに該共重合体を含む位相差板の製造方法
JP5252071B2 (ja) * 2009-03-02 2013-07-31 東洋紡株式会社 光拡散フィルム、その積層シート及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07287122A (ja) 1995-10-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4178810B2 (ja) 熱可塑性ノルボルネン系樹脂系光学用フィルム
US6552145B1 (en) Polarizer protection film
US5516456A (en) Liquid crystal display panel
JPH0843812A (ja) 偏光フィルム
JP2007108529A (ja) 位相差フィルムの製造方法、位相差フィルムおよびその用途
JP3650852B2 (ja) 液晶基板および偏光フィルム
JP3687231B2 (ja) 高分子フィルム、偏光フィルム及びその製造方法
JP3019741B2 (ja) 位相板
JP2005164632A (ja) 光学用フィルムおよび偏光板
JP5028901B2 (ja) 環状オレフィン系樹脂組成物、該組成物を用いた光学フィルムおよび位相差板ならびにそれらの製造方法
JP2006188671A (ja) 光学用フィルムおよびその用途
JP5566403B2 (ja) 位相差フィルム、並びに、それを用いた有機el表示装置及び液晶表示装置
JP4325196B2 (ja) 光学用フィルムおよびその製造方法並びにその応用製品
JPWO2006070687A1 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる光学フィルム
JP2009046615A (ja) ノルボルネン系開環(共)重合体、フィルム、これらの製造方法、および偏光板
JP4610329B2 (ja) 位相差フィルム及びそれを用いた液晶表示装置
JP2017134305A (ja) 延伸フィルム、製造方法、偏光板及び表示装置
JP2001350017A (ja) 位相差フィルム
KR20080023160A (ko) 광학 필름, 광학 필름의 제조 방법, 편광판 및 액정 패널
JP2007223242A (ja) 位相差フィルムの製造方法、位相差フィルムおよびその用途
JP4352776B2 (ja) 光学用フィルムおよびその用途
JP2002190383A (ja) Elディスプレイおよびelディスプレイ用位相差板
JPH0895033A (ja) 透明導電偏光フィルム
JPH09324036A (ja) 光学シート
JP5080878B2 (ja) 位相差フィルム及びそれを用いた液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090107

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090107

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100107

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100107

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110107

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110107

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120107

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120107

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130107

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130107

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130107

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140107

Year of fee payment: 14

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term