JP2010157589A - 多層配線基板の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(1)基板12上に金属配線14を有する第1の配線基板表面に、絶縁樹脂層16と、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基と重合性基とを有する高分子前駆体を含む高分子密着層20とを有する積層体22を形成する工程と、(2)該積層体22表面のビア接続部以外の領域にパターン状にエネルギーを付与して、露光領域に絶縁樹脂層16と結合したパターン状の高分子密着層20を形成する工程と、(3)パターン状の高分子密着層20にめっき触媒又はその前駆体を付与して、第1の無電解めっきを行い、パターン状の高分子密着層表面に金属膜26を形成する工程と、(4)該パターン状の金属膜26をマスクとしてビア28を形成し、その後デスミア処理を行う工程と、を含む多層配線基板の形成方法。
【選択図】図1
Description
かかる金属パターン材料の作製方法としては、主に、「サブトラクティブ法」が使用される。このサブトラクティブ法とは、基板表面に形成された金属膜上に、活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層を像様露光し、その後現像してレジスト像を形成し、次いで、金属膜をエッチングして金属パターンを形成し、最後にレジストを剥離する方法である。
そのなかでも、平滑な基板表面に密着性に優れた金属層を形成するために、めっき触媒と相互作用を形成しうる高分子化合物を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法によれば、金属との親和性に優れた高分子化合物でパターンを形成ることで、平滑な基板にも密着性に優れた金属膜が形成され、このような積層体にビアをあけ、3次元接続することも可能となったが、高分子密着層をパターン状に形成することを想定した技術であり、汎用のセミアディティブ法で配線を形成することは想定していないものであった。
セミアディティブ法に対応する技術として、銅貼り積層板の銅箔の上からレジストパターンによりパターニングして銅箔パターンを形成し、該パターンをコンフォーマルマスクとしてビアを形成する技術が提案されている。この方法ではコンフォーマルマスクを作成するのにレジストを使用するために、ビア形成前にレジストの形成、露光、レジスト剥離工程が必要であり、工程が煩雑であった。
このため、微細な多層配線基板を形成するに際して、簡易な工程で、正確な多層配線を形成しうる多層配線の形成手段が望まれている。
即ち、本発明の目的は、簡易な工程により、セミアディティブ法による微細配線の形成に適した、接続信頼性の高い多層配線板の形成方法を提供することにある。
<1> (1)基板上に金属配線を有する第1の配線基板表面に、絶縁樹脂層、及び、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基と第1の配線基板側に隣接する層と結合を形成しうる反応性基とを有する高分子前駆体を含む高分子密着層を有する積層体を形成する工程と、
(2)該積層体表面のビア接続部以外の領域にパターン状にエネルギーを付与して、露光領域に絶縁樹脂層と高分子前駆体とが結合、反応したパターン状の高分子密着層を形成する工程と、(3)パターン状の高分子密着層にめっき触媒又はその前駆体を付与して、第1の無電解めっきを行い、パターン状の高分子密着層表面に金属膜を形成する工程と、(4)該パターン状の金属膜をマスクとしてビアを形成し、その後デスミア処理を行う工程と、を含む多層配線基板の形成方法。
<3> さらに、(6)パターン状の高分子密着層表面に形成された金属膜表面に、めっきレジスト層を形成する工程と、(7)めっきレジスト層をパターニングする工程と、(8)めっきレジスト層を利用して電気めっきを行い、配線パターンを形成する工程と、(9)該配線パターンの形成後、電気めっきの通電に使用した非配線パターン部のめっきレジスト層を除去する工程とを含む<1>又は<2>に記載の多層配線基板の形成方法。
<5> 前記(1)積層体を形成する工程が、基板上に金属配線を有する第1の配線基板表面に、予め絶縁樹脂層上に高分子密着層が形成されてなるシートを転写する工程を含む<1>〜<4>のいずれか1項に記載の多層配線基板の形成方法。
<6> 前記第1の無電解めっきにより形成された金属膜が銅膜であり、形成された銅膜の厚みが0.2μm以上2μm以下である<1>〜<5>に記載の多層配線板の形成方法。
<7> 前記(5)第2の無電解めっき処理又は形成されたビア部への導電性ペースト充填処理を行って、第1の配線基板表面の金属配線とパターン状の高分子密着層表面に形成された金属膜とを電気的に接続する工程が、前記(6)パターン状の高分子密着層表面に形成された金属膜表面に、めっきレジスト層を形成する工程及び(7)めっきレジスト層をパターニングする工程の前、もしくは後に実施される<1>〜<6>に記載の多層配線板の形成方法。
<8> 前記めっき触媒若しくはその前駆体と相互作用を形成する官能基と重合性基とを有する高分子前駆体が、シアノ基を有する高分子前駆体である<1>〜<7>に記載に多層配線板の形成方法。
即ち、本発明によれば、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基と重合性基とを有する高分子化合物を用いることで、第1の配線基板との密着性に優れ、且つ、ビア形成のコンフォーマルマスクとして機能する第2の金属配線を容易に形成しうると共に、確実にデスミア処理を行いうることから、第1の配線と第2の配線との接続信頼性が向上するという効果も奏するものである。
本発明の多層配線板の形成方法は、(1)基板上に金属配線を有する第1の配線基板表面に、絶縁樹脂層、及び、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基と第1の配線基板側に隣接する層と結合を形成しうる反応性基とを有する高分子前駆体を含む高分子密着層を有する積層体を形成する工程と、(2)該積層体表面のビア接続部以外の領域にパターン状にエネルギーを付与して、露光領域に絶縁樹脂層と結合したパターン状の高分子密着層を形成する工程と、(3)パターン状の高分子密着層にめっき触媒又はその前駆体を付与して、第1の無電解めっきを行い、パターン状の高分子密着層表面に金属膜を形成する工程と、(4)該パターン状の金属膜をマスクとしてビアを形成し、その後デスミア処理を行う工程と、を含むことを特徴とする。
図面を参照し、本発明の各工程を順次に説明する。
(1)工程では、多層配線板の基本となる積層体を形成する。
まず、図1(A)に示されるように、基板12に配線14が形成された第1の配線基板10を準備する。以下、この第1の配線基板10をコア基板と称することがある。
コア基板を形成するコア基材としては、代表的には銅張積層板(CCL)が用いられ、絶縁層としてはガラスエポキシ材やポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、液晶フィルム、アラミド材等を用いることができる。銅張積層板としては絶縁層に接着剤層を介して銅箔を加熱圧着したものや、絶縁層そのものを銅箔に加熱圧着したもの、銅箔に絶縁素材をキャストして加熱したもの、絶縁層に表面処理を施した後、シード層としてニクロムなどシード層をスパッタした後、導体層をスパッタやめっきによって銅箔層を形成したものなどが挙げられる。
コア基板10表面に、まず、絶縁樹脂層16を形成する。絶縁樹脂層16の形成方法は任意であり、塗布法、ラミネート法のいずれを適用してもよい。
本発明に用いられる絶縁樹脂層形成用の絶縁性樹脂としては、公知の絶縁性樹脂組成物が用いられる。この絶縁性樹脂組成物には、主たる樹脂に加え、目的に応じて種々の添加物を併用することができる。例えば、絶縁層の強度を高める目的で、多官能のアクリレートモノマーを添加する、絶縁体層の強度を高め、電気特性を改良する目的で、無機、若しくは有機の粒子を添加する、などの手段をとることもできる。
なお、本発明における「絶縁性樹脂」とは、公知の絶縁膜や絶縁層に使用しうる程度の絶縁性を有する樹脂であることを意味するものであり、完全な絶縁体でないものであっても、目的に応じた絶縁性を有する樹脂であれば、本発明に適用しうる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
その他の熱可塑性樹脂としては、1,2−ビス(ビニルフェニレン)エタン樹脂(1,2−Bis(vinylphenyl)ethane)、若しくはこれとポリフェニレンエーテル樹脂との変性樹脂(天羽悟ら、Journal of Applied Polymer Science Vol.92,1252-1258(2004)に記載)、液晶性ポリマー(具体的には、クラレ製のベクスターなど)、フッ素樹脂(PTFE)などが挙げられる。
また、更に、この絶縁性樹脂組成物には、必要に応じて着色剤、難燃剤、接着性付与剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、などの各種添加剤を一種又は二種以上添加してもよい。
絶縁樹脂層の厚みは、多層配線板の使用目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、
5〜150μm程度であり、7〜100μmの範囲であることが好ましい。
次に、該絶縁樹脂層16表面に、密着補助層18を形成する、なお、絶縁樹脂層16と後述する高分子密着層20との接着性が良好である場合には、密着補助層18の形成は省略してもよい。
密着補助層18を有することで、密着補助層18表面に、高分子密着層20との間に結合を形成するための結合反応を効率よく行うことができる。本発明における密着補助層18は、高分子密着層との結合反応の開始点となる活性種を与え、それを起点として密着補助層との結合を生成させる、例えば表面グラフト重合法等を用いる場合に有用であり、具体的には、重合開始剤を含有する重合開始層、或いは、重合開始可能な官能基を有する重合開始層などを用いることができる。このような密着補助層18を絶縁樹脂層16表面に設けることで、活性点を効率よく発生させ、高分子密着層との間により多くの結合を生成させることができ、後述する高分子密着層20の形成に有用である。
本発明における密着補助層は、必要な成分を、溶解可能な溶媒に溶解し、塗布などの方法で基板表面上に設け、加熱又は光照射により硬膜し、形成することができる。
以下、絶縁樹脂組成物から形成される密着補助層の態様について説明する。
また、これ以外の成分として、密着補助層16の強度を高める、また、電気特性を改良するために、無機若しくは有機の粒子を添加してもよい。
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。これはそれぞれの欠点を補いより優れた効果を発現する目的で行われる。
具体的には、例えば、加熱時に応力を緩和させることができる、ゴム、SBRラテックスのような物質、膜性改良のためのバインダー、可塑剤、界面活性剤、粘度調整剤などが挙げられる。
また、更にこの密着補助層には、必要に応じて、着色剤、難燃剤、接着性付与剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤を、一種又は二種以上添加してもよい。
活性種の例としては、熱重合開始剤、光重合開始剤が挙げられる。具体的には、特開2007−154306公報段落番号〔0043〕、〔0044〕に記載されている。ここで、密着補助層に含有させる重合開始剤の量は、固形分で0.1〜50質量%であることが好ましく、1.0〜30質量%であることがより好ましい。
上記密着補助層を塗布する際に用いる溶媒は、それらの成分が溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、特開2007−154306公報段落番号〔0045〕に記載されている、シクロヘキサノン、メチルエチルケトンなどを使用することができる。上記例示溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が充分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適性の点からは、温度が200℃以下、乾燥時間は60分以内が好ましく、乾燥温度40〜100℃、乾燥時間20分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
なお、転写法を適用する場合には、高分子密着層20と密着補助層18との2層構成を有する転写積層体を作製し、ラミネート法によって一度に基材の表面に転写してもよい。
高分子密着層には、めっき触媒又はその前駆体と配位結合性の相互作用を形成する官能基と第1の配線基板側に隣接する層と結合を形成しうる反応性基(例えば重合性基)とを有するポリマーの前駆体(以下、適宜、特定高分子前駆体と称する)を含有する。本発明において、高分子密着層の「第1の配線基板側に隣接する層」とは、高分子密着層と隣接して、第1の配線基板側に設けられる「密着補助層」を指し、また、密着補助層を有しない態様の場合には、「絶縁樹脂層」を指す。
特定高分子前駆体は、めっき触媒又はその前駆体と配位結合性の相互作用を形成する官能基(以下、単に、「相互作用性基」と称する場合がある。)を有するために、めっき触媒等を効率的に吸着するとともに、密着補助層、もしくは絶縁樹脂層と結合を形成しうる反応性基(例えば重合性基)を有する化合物であり、隣接する絶縁樹脂層16や密着補助層18と直接化学結合しうる高分子化合物を生成し、エネルギー付与により、隣接する絶縁樹脂層16や密着補助層18と強固に結合しためっき用樹脂層(高分子密着層)20を形成しうる。
後述する高分子密着層20は、好ましくは、下記1〜4の条件のいずれかを満たし、より好ましくは、全てを満たす。
条件1:25℃−50%相対湿度環境下における飽和吸水率が0.01〜10質量%
条件2:25℃−95%相対湿度環境下における飽和吸水率が0.05〜20質量%
条件3:100℃煮沸水に1時間浸漬した後の吸水率が0.1〜30質量%
条件4:25℃−50%相対湿度環境下において、蒸留水5μLを滴下し、15秒静置後の表面接触角が50〜150度
本発明における重合性基及び相互作用性基を有する化合物としては、生成した高分子化合物からなる樹脂組成物層が、前記1〜4の条件を全て満たすように、重合性基及び相互作用性基を有すると共に、吸水性が低く、更に、疎水性の高い化合物を用いることが好ましい。
この化合物における相互作用性基としては非解離性官能基であることが好ましく、非解離性官能基とは、官能基が解離によりプロトンを生成しない官能基を意味する。
このような官能基は、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する機能はあっても、解離性の極性基(親水性基)のように高い吸水性、親水性を有するものではないため、この官能基を有する高分子化合物からなる樹脂組成物層は、前記1〜4のいずれかの条件を満たすことが可能になる。
中でも、極性が高く、めっき触媒等への吸着能が高いことから、エーテル基(より具体的には、−O−(CH2)n−O−(nは1〜5の整数)で表される構造)、又はシアノ基が特に好ましく、シアノ基が最も好ましいものとして挙げられる。
また、本発明における相互作用性基としては、アルキルシアノ基であることが更に好ましい。これは、芳香族シアノ基は芳香環に電子を吸引されており、めっき触媒等への吸着性として重要な不対電子の供与性が低めになるが、アルキルシアノ基はこの芳香環が結合していないため、めっき触媒等への吸着性の点で好ましい。
重合性基及び相互作用性基を有するポリマーとしては、相互作用性基を有するモノマーを用いて得られるホモポリマーやコポリマーに、重合性基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)を導入したポリマーであることが好ましく、この重合性基及び相互作用性基を有するポリマーは、少なくとも主鎖末端又は側鎖に重合性基を有するものであり、側鎖に重合性基を有するものが好ましい。
これらは1種を単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
合成方法としては、i)相互作用性基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点から、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
また、二重結合前駆体を有するモノマーとしては2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜、2−(3−ブロモ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレート、などが挙げられる。
特定高分子前駆体(例えば、シアノ基含有重合性化合物)の含有量は、感光性樹脂組成物に対して、固形分換算で2質量%〜50質量%であることが好ましく、更に好ましくは 5質量%〜20質量%の範囲である。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、例えば、下記式(1)で表されるユニット、及び、下記式(2)で表されるユニットを含む共重合体であることが好ましい。
なお、R1としては、水素原子、メチル基、或いは、ヒドロキシ基又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
R2としては、水素原子、メチル基、或いは、ヒドロキシ基又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
R3としては、水素原子が好ましい。
R4としては、水素原子が好ましい。
R5としては、水素原子、メチル基、或いは、ヒドロキシ基又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、又はこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたものが好ましい。
置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基としては、無置換のフェニル基、若しくは、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたフェニル基が好ましい。
中でも、−(CH2)n−(nは1〜3の整数)が好ましく、更に好ましくは−CH2−である。
L1の構造として、より具体的には、下記式(1−1)、又は、式(1−2)で表される構造であることが好ましい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フェニレン基、及びこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたもの、更には、これらを組み合わせた基が挙げられる。
また、式(3)におけるL1も、前記式(1)におけるL1と同義であり、好ましい例も同様である。
また、前記式(3)及び式(4)において、L1は、無置換のアルキレン基、或いは、ウレタン結合又はウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、ウレタン結合を有する二価の有機基がより好ましく、これら中でも、総炭素数1〜9であるものが特に好ましい。
特に、式(5)においては、L2中のシアノ基との連結部位が、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、この二価の有機基が総炭素数1〜10であることが好ましい。
また、別の好ましい態様としては、式(5)におけるL2中のシアノ基との連結部位が、芳香族基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、該二価の有機基が、総炭素数6〜15であることが好ましい。
即ち、重合性基含有ユニットが、共重合成分全体に対し5〜50mol%で含まれることが好ましく、更に好ましくは5〜40mol%である。5mol%以下では反応性(硬化性、重合性)が落ち、50mol%以上では合成の際にゲル化しやすく合成しにくい。
また、シアノ基含有ユニットは、めっき触媒に対する吸着性の観点から、共重合成分全体に対し5〜95mol%で含まれることが好ましく、更に好ましくは10〜95mol%である。
他のユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、具体的には、アクリル樹脂骨格、スチレン樹脂骨格、フェノール樹脂(フェノール−ホルムアルデヒド樹脂)骨格、メラミン樹脂(メラミンとホルムアルデヒドの重縮合体)骨格、ユリア樹脂(尿素とホルムアルデヒドの重縮合体)骨格、ポリエステル樹脂骨格、ポリウレタン骨格、ポリイミド骨格、ポリオレフィン骨格、ポリシクロオレフィン骨格、ポリスチレン骨格、ポリアクリル骨格、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの重合体)骨格、ポリアミド骨格、ポリアセタール骨格、ポリカーボネート骨格、ポリフェニレンエーテル骨格、ポリフェニレンスルファイド骨格、ポリスルフォン骨格、ポリエーテルスルフォン骨格、ポリアリレート骨格、ポリエーテルエーテルケトン骨格、ポリアミドイミド骨格などの主鎖骨格を形成しうるモノマーが挙げられる。
また、これらの主鎖骨格は、シアノ基含有ユニットや、重合性基含有ユニットの主鎖骨格であってもよい。
具体的には、ラジカル重合でポリマー主鎖を形成する場合は、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどの無置換(メタ)アクリル酸エステル類、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、3,3,3−トリフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレートなどのハロゲン置換(メタ)アクリル酸エステル類、2−(メタ)アクリルロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアンモニウム基置換(メタ)アクリル酸エステル類、ブチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、スチレン、ビニル安息香酸、p−ビニルベンジルアンモニウムクロライドなどのスチレン類、N−ビニルカルバゾール、酢酸ビニル、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル化合物類や、その他にジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エチルチオ−エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが使用できる。
また、上記記載のモノマーを用いて得られたマクロモノマーも使用できる。
また、本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーの重合度としては、10量体以上のものを使用することが好ましく、更に好ましくは20量体以上のものである。また、7000量体以下が好ましく、3000量体以下がより好ましく、2000量体以下が更に好ましく、1000量体以下が特に好ましい。
ここに記載されている分子量及び重合度の好ましい範囲は、本発明において用いられるシアノ基含有重合性ポリマー以外の重合性基及び相互作用性基を有するポリマーに関しても好適な範囲である。
本発明の高分子密着層20の形成に使用する溶剤は、組成物の主成分である、特定高分子前駆体が溶解可能ならば特に制限はない。溶剤には、更に界面活性剤を添加してもよい。
使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンの如きアミド系溶剤、アセトニトリル、プロピロニトリルの如きニトリル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチルの如きエステル系溶剤、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートの如きカーボネート系溶剤などが挙げられる。
この中でも、シアノ基含有重合性ポリマーを用いた組成物とする場合には、アミド系、ケトン系、ニトリル系溶剤、カーボネート系溶剤が好ましく、具体的には、アセトン、ジメチルホルミアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネートが好ましい。
また、シアノ基含有重合性ポリマーを含有する組成物を塗布する場合は、取り扱い安さから沸点が50〜150℃の溶剤が好ましい。なお、これらの溶剤は単一で使用してもよいし、混合して使用してもよい。
また、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物を、基板や重合開始層上に塗布する場合、基板や重合開始層の膨潤率が10〜45%となる溶剤を選択してもよい。この膨潤率は、基板や、重合開始層を形成した基材を溶剤中に浸漬し、1000分後に引き上げた場合の厚さの変化から求めることができる。
また、熱、光、湿気、圧力、酸、塩基などにより硬化開始するものとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ポリアミドアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキシスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒラジド、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデシル無水コハク酸、無水クロレンディック酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、ポリアゼライン酸無水物、フェノールノボラック、キシリレンノボラック、ビスAノボラック、トリフェニルメタンノボラック、ビフェニルノボラック、ジシクロペンタジエンフェノールノボラック、テルペンフェノールノボラック、ポリメルカプタン、ポリサルファイド、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール−トリ−2−エチルヘキシル酸塩、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−(2−メチルイミダゾリル−(1))−エチルS−トリアジン、BF3モノエチルアミン錯体、ルイス酸錯体、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル、メラミン誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアミン塩、アミンイミド化合物、芳香族ジアゾニウム塩、ジアリルヨードニウム塩、トリアリルスルホニウム塩、トリアリルセレニウム塩、ケチミン化合物などが挙げられる。
このようにして得られた積層体22において、ビアを形成しようとする領域は、コア基板10における配線14が形成された領域である。
ここで、図1(B)に示すように、ビアを形成しようとする領域(ビア接続部)を遮光部とするマスク24を設け、エネルギーを付与する。
エネルギーを付与した領域において、高分子密着層20中の特定高分子前駆体が、エネルギー付与により密着補助層18と直接結合してなる特定高分子を形成し、密着補助層18と直接結合してなる高分子密着層20がパターン状に形成され、この領域がめっき触媒受容層となる。未露光部の特定高分子前駆体は適切な方法で現像することにより除去される〔図1(C)〕。
この(2)工程では、前記密着補助層18上に、重合性基及び相互作用性基を有するポリマー又はその前駆体を接触させた後、マスク24を介してエネルギーを付与することにより、マスク24を設けていない領域に特定高分子前駆体を直接化学結合させる工程である。
光グラフト重合法の具体的方法としては、特開昭63−92658号公報、特開平10−296895号公報及び特開平11−119413号公報に記載の方法を使用することができる。
ここで用いられる重合開始剤は、例えば、特開2007−154306公報の段落番号〔0043〕から〔0044〕に記載されており、これらに代表される公知の重合開始剤を目的に応じて、適宜選択して用いることができる。中でも、光重合を利用することが製造適性の観点から好適であり、このため、光重合開始剤を用いることが好ましい。
また、重合開始剤としては、光カチオン重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤を用いてもよい。
本発明においては、密着補助層18上にめっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基(相互作用性基)を有し、且つ、該重合開始層と直接化学結合したポリマーからなる高分子密着層20を形成する態様が好ましい。この態様では、密着補助層18上に、重合性基及び相互作用性基を有する特定高分子前駆体を接触させた後、マスク24を介してエネルギーを付与することにより、エネルギー付与領域のみに特定高分子を直接化学結合させる態様である。
なお、高分子密着層20の層形成に際しては、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する層を形成した後、塗布と乾燥との間に、20〜40℃で0.5〜2時間放置させて、残存する溶剤を除去してもよい。
高分子密着層20生成のためのエネルギー付与方法としては、例えば、露光等の輻射線照射を用いることができる。例えば、UVランプ、可視光線などによる光照射が可能である。光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
また、マスク24を用いない方法としては、熱記録ヘッド等により直接パターン状に加熱する方法、赤外線レーザーによる走査露光などの方法が挙げられ、さらには、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光なども好適な方法として挙げられる。
エネルギー付与に要する時間としては、目的とするグラフトポリマーの生成量及び光源により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。
また、重合性基及び相互作用性基を有する化合物として、平均分子量2万以上、重合度200量体以上のポリマーを使用すると、低エネルギーの露光でグラフト重合が容易に進行するため、生成したグラフトポリマーの分解を更に抑制することができる。
以上のようにして、特定高分子の存在する部分と、高分子前駆体が除去された部分が存在するパターンが形成される。なお、本発明の場合、ビア部となる部分にエネルギー付与が行われないので、ビアの部分の高分子前駆体が除去された状態の特定高分子パターン(パターン状の高分子密着層)が形成される。
(3)工程では、上記(1)工程、及び(2)工程を経て形成された高分子密着層20層に、めっき触媒又はその前駆体を付与する。本工程においては、高分子密着層20を構成するポリマーが有する相互作用性基(好ましくは、シアノ基)が、その機能に応じて、付与されためっき触媒又はその前駆体を付着(吸着)する。
ここで、めっき触媒又はその前駆体としては、無電解めっき工程における、めっきの触媒や電極として機能するものが挙げられる。そのため、めっき触媒又はその前駆体は、引き続き行われるめっき工程におけるめっきの種類により決定される。
なお、ここで、本工程において用いられるめっき触媒又はその前駆体は、無電解めっき触媒又はその前駆体であることが好ましい。
本発明において用いられる無電解めっき触媒は、無電解めっき時の活性核となるものであれば、如何なるものも用いることができ、具体的には、ものであり、自己触媒還元反応の触媒能を有する金属(Niよりイオン化傾向の低い無電解めっきできる金属として知られるもの)などが挙げられ、具体的には、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数、触媒能の高さから、Ag、Pdが特に好ましい。
この無電解めっき触媒は、金属コロイドとして用いてもよい。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤又は保護剤により調節することができる。
本工程において用いられる無電解めっき触媒前駆体とは、化学反応により無電解めっき触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には、上記無電解めっき触媒として挙げた金属の金属イオンが用いられる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、樹脂組成物層へ付与した後、無電解めっき浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてもよいし、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき浴に浸漬し、無電解めっき浴中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。
パラジウム錯体としては、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム錯体、ジパラジウムトリスベンジリデンアセトン錯体などが挙げられる。
パラジウムコロイドは、パラジウム(0)から構成される粒子で、その大きさは特に制限されないが、液中での安定性の観点から、5nm〜300nmが好ましく、10nm〜100nmがより好ましい。パラジウムコロイドは、必要に応じて、他の金属を含んでいてもよく、他の金属としては、例えば、スズなどが挙げられる。パラジウムコロイドとしては、例えば、スズ−パラジウムコロイドなどが挙げられる。なお、パラジウムコロイドは、公知の方法で合成してもよいし、市販品を使用してもよい。例えば、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、パラジウムイオンを還元することによりパラジウムコロイドを作製することができる。
本工程において、無電解めっきを行わず直接電気めっきを行うために用いられる触媒としては、0価金属を使用することができる。この0価金属としては、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられ、中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、特に、相互作用性基(シアノ基)に対する吸着(付着)性、触媒能の高さから、Pd、Ag、Cuが好ましい。
また、(2)工程において、表面グラフト重合法を用いる場合、密着補助層18上に、重合性基及び相互作用性基(シアノ基)を有する化合物を含有する組成物を接触させるが、この組成物中に、無電解めっき触媒又はその前駆体を添加する方法を用いてもよい。重合性基及び相互作用性基(シアノ基)を有する化合物と、無電解めっき触媒又はその前駆体と、を含有する組成物を、密着補助層18上に接触させて、表面グラフト重合法を適用することにより、相互作用性基(シアノ基)を有し、且つ、密着補助層18と直接化学結合したポリマーと、めっき触媒又はその前駆体と、を含有する高分子密着層20を形成することができる。なお、この方法を用いれば、本発明における(2)工程と(3)工程の一部が同時に行えることになる。
上記のようなめっき触媒又は前駆体は、前述のように、分散液や溶液(触媒液)として被めっき層に付与される。
本発明における触媒液には、有機溶剤や水が用いられる。
この有機溶剤を含有することで、被めっき層に対するめっき触媒又は前駆体の浸透性が向上し、相互作用性基に効率よくめっき触媒又はその前駆体を吸着させることができる。
また、その他の併用可能な溶剤としては、ダイアセトンアルコール、γブチロラクトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールターシャリーブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4ジオキサン、n−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。なお、上記した例示溶媒に含まれる非水溶性の溶剤については、水への溶解限界までの混入であれば許容される。例えば、ジメチルカーボネートの場合は12.5%まで、トリアセチンの場合は7.2%まで、シクロヘキサノンの場合は9%まで水との混合が可能である。
めっき触媒液には、めっき触媒又はその前駆体及び主たる溶剤である水に加え、本発明の効果を損なわない範囲において、目的に応じて他の添加剤を含有することができる。
他の添加剤としては、以下に示すものが挙げられる。
例えば、膨潤剤(ケトン、アルデヒド、エーテル、エステル類等の有機化合物など)や、界面活性剤(アニオン性、カチオン性、双性、ノニオン性および低分子性または高分子性など)などが挙げられる。
このような吸着を充分に行わせるという観点からは、分散液、溶液、組成物中の金属濃度、又は溶液中の金属イオン濃度は、0.001〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.005〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、30秒〜24時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。
この(3)工程の前段では、高分子密着層20中の相互作用性基(シアノ基)とめっき触媒又はその前駆体との間に相互作用を形成することができる。
本工程において行われるめっきの種類は、無電解めっきであるが、所望によりさらに電気めっきを行うこともできる。
なかでも、高分子密着層20中に発現するハイブリッド構造の形成性及び密着性向上の点から、無電解めっきを行うことが好ましい。また、所望の膜厚のめっき層を得るために、無電解めっきの後に、更に電気めっきを行うことがより好ましい態様である。
以下、本工程において好適に行われるめっきについて説明する。
無電解めっきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解めっきは、例えば、無電解めっき触媒が付与された基板を、水洗して余分な無電解めっき触媒(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行う。使用される無電解めっき浴としては一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
また、無電解めっき触媒前駆体が付与された基板を、無電解めっき触媒前駆体が樹脂組成物層に吸着又は含浸した状態で無電解めっき浴に浸漬する場合には、基板を水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解めっき浴中へ浸漬される。この場合には、無電解めっき浴中において、めっき触媒前駆体の還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。ここで使用される無電解めっき浴としても、上記同様、一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
なお、無電解めっき触媒前駆体の還元は、上記のような無電解めっき液を用いる態様とは別に、触媒活性化液(還元液)を準備し、無電解めっき前の別工程として行うことも可能である。触媒活性化液は、無電解めっき触媒前駆体(主に金属イオン)を0価金属に還元できる還元剤を溶解した液で、0.1%〜50%、好ましくは1%〜30%がよい。還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ヂメチルアミンボランのようなホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸などの還元剤を使用することが可能である。
即ち、条件1における飽和吸水率が0.01〜0.5質量%の場合、めっき浴の全溶剤中の有機溶剤の含有量は20〜80%であることが好ましく、同飽和吸水率が0.5〜5質量%の場合、めっき浴の全溶剤中の有機溶剤の含有量は10〜80%であることが好ましく、同飽和吸水率が5〜10質量%の場合、めっき浴の全溶剤中の有機溶剤の含有量は0〜60%であることが好ましく、同飽和吸水率が10〜20質量%の場合、めっき浴の全溶剤中の有機溶剤の含有量は0〜45%であることが好ましい。
めっき浴に用いられる有機溶剤としては、水に可能な溶媒である必要があり、その点から、アセトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好ましく用いられる。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。例えば、銅の無電解めっきの浴は、銅塩としてCuSO4、還元剤としてHCHO、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤、トリアルカノールアミンなどが含まれている。また、CoNiPの無電解めっきに使用されるめっき浴には、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムが含まれている。また、パラジウムの無電解めっき浴は、金属イオンとして(Pd(NH3)4)Cl2、還元剤としてNH3、H2NNH2、安定化剤としてEDTAが含まれている。これらのめっき浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
また、めっき浴への浸漬時間としては、1分〜6時間程度であることが好ましく、1分〜3時間程度であることがより好ましい。
本発明においては、第1の無電解めっきにより形成された金属膜26は、配線としての適性の観点からは銅膜が好ましく、形成された銅膜の厚みは0.2μm以上2μm以下であることが好ましい。
本工程おいては、(3)工程において付与されためっき触媒又はその前駆体が電極としての機能を有する場合、その触媒又はその前駆体が付与された樹脂組成物層に対して、電気めっきを行うことができる。
また、前述の無電解めっきの後、形成されためっき膜を電極とし、更に、電気めっきを行ってもよい。これにより基板との密着性に優れた無電解めっき膜をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を容易に形成することができる。このように、無電解めっきの後に、電気めっきを行うことで、金属膜を目的に応じた厚みに形成しうるため、本発明の金属膜を種々の応用に適用するのに好適である。
ただし、後述するように、本発明を用いてセミアディティブ法でパターン形成する場合は配線以外の部分は後でエッチングして除去することになるので、(3)パターン状の高分子密着層にめっき触媒又はその前駆体を付与して、第1の無電解めっきを行い、パターン状の高分子密着層表面に金属膜を形成する工程での電気めっきは必ずしも行わなくてもよい。本発明では、ビアを形成したい部分に無電解めっきがなされず、ビアを形成したい部分に金属がない金属膜パターンが形成される。
高分子密着層20中に存在する金属量は、基板断面を金属顕微鏡にて写真撮影したとき、高分子密着層20の最表面から深さ0.5μmまでの領域に占める金属の割合が5〜50面積%であり、高分子密着層20と金属界面の算術平均粗さRa(JIS B0633−2001)が0.05μm〜0.5μmである場合に、更に強い密着力が発現される。
前記(1)〜(3)の各工程を経ることで、2層の配線を有する積層基板が得られる。その後、(4)工程では、第1の配線と第2の配線とを導通させるためのビア28を形成する。
ビアの形成方法には特に制限はなく、ドリル加工による方法、化学エッチングによる方法、或いは、レーザーを照射する方法、プラズマエッチングなどによる方法などが挙げられる。なかでも、微細加工への適用性の観点からは、レーザー加工等でビアホールを形成する方法が好ましい。
ビアホールの形成においては、先に形成されたパターン状の金属膜26が、マスクとしての機能を有し、また、第1の配線14がストッパーとして機能するために、例えばレーザー加工は、ビア28が第1の配線に達したところでそれ以上削られず、第1の配線14が底部となるビア28が形成される。また、マスク部位に仮にレーザーが照射されてもビアホールは形成されにくく、このため、レーザーの位置精度を落とすことができる。即ち、位置精度が比較的低いレーザーを用いた場合でも、ビアホールの形成位置精度を高く維持することができる。また、金属膜26のマスクとしての機能を利用して、プラズマエッチングや化学エッチングといった、面全体に一度に穴をあける手法をとり、ビアホールの形成工程を簡易化することも可能である。
本工程に用いるレーザーとしては、発振波長が紫外光領域から赤外光領域までのいずれかの波長であっても用いることができる。なお、ここで上記紫外光領域とは50〜400nmの範囲の波長領域をいい、赤外光領域とは750nm〜1mmの範囲の波長領域をいう。用い得るレーザーとしては、紫外線レーザー、炭酸ガスレーザーなどが挙げられる。
形成されるビア28は、第1の配線14と第2の配線26との導通形成に用いられるスルーホールとなる〔図1(E)〕。
デスミア処理方法としては、例えば、市販品であるMLB211(ロームアンドハース電子材料株式会社製)を20容量%、キューポジットZ10容量%を含む膨潤浴に、60〜85℃で1〜15分間浸漬した後、MLB213A(ロームアンドハース電子材料株式会社製)を10容量%とMLB213B(ロームアンドハース電子材料株式会社製)を15容量%含むエッチング浴に55℃〜85℃で2〜15分間浸漬処理し、MLB216−2(ロームアンドハース電子材料株式会社製)を20容量%含む中和浴に35℃〜55℃で2〜10分間浸漬する等の公知の方法で適宜実施することができる。
デスミア処理を行っても、金属膜が形成される領域、即ち、第1の配線14及び第2の配線26表面は化学薬品の影響を受けることなく、表面平滑性を維持するが、ビア穴側面の絶縁樹脂露出部分は、スミアの除去と共に表面も粗面化される。このため、所望により引き続き実施される導通処理における無電解めっきや金属充填処理における金属材料との親和性、密着性が向上するという利点をも有することになる。
デスミア処理としては、例えば、過マンガン酸ナトリム系のエッチング液を用いた80℃10分間のエッチング工程、硫酸計の中和液を用いて40℃5分間の中和工程などを有する処理が代表的な例である。
化学薬品によるデスミア処理に代えて、絶縁樹脂層16を溶解、若しくは膨潤させる溶剤で洗浄する処理を行ってもよい。
なお、ビアの内部には、よりよい密着性を確保する目的で、後述するめっき処理の前に、通常行われるコンディショニング処理や触媒付与処理を行うことが好ましい。
前記(1)工程〜(4)工程を経ることで、従来通常行われていた、コア基板上に銅貼り絶縁樹脂層を形成し、銅箔を、レジストを用いてパターニングして第2の配線を形成し、その後、レジストを剥離してビアを形成するといった煩雑な工程を経ることなく、2層の配線を有する積層基板を簡易に形成しうることがわかる。
前記(1)工程〜(4)工程を経て形成されたビア28内に導電性の材料を配置することで、コア基板上の第1の配線14と第2の配線26との間を電気的に接続することができる。
ビア28への導電性材料の配置は、無電解めっき処理又は形成されたビア28部への導電性ペースト充填処理により行われる。なかでも、接合強度の観点からは、配線材料と同じ銅が使用できる無電解めっきによる方法が好ましい。
ここで行われる第2の無電解めっき処理は、前記第2の配線26の形成に適用された第1の無電解めっき処理と同様の方法により行うことができる。
図1(F)は、無電解めっきにより第1の配線14と第2の配線26との間が、無電解めっきにより形成された導通用金属膜30が形成されたことと示すモデル図である。無電解めっき法によれば、めっき膜(金属膜)30は、ビア28の側面のみならず、配線をめっき受容層として、第1の配線14及び第2の配線26表面にも形成される。
導電性ペースト充填処理に用いられる導電性ペーストには、特に制限はなく、種類及び充填量は、目的に応じて適宜選択することができる。本発明に適用しうる導電性ペーストとしては、例えば、銀ナノ粒子を含有する銀ペーストなどが挙げられる。
このようにして、2層の配線間を電気的に接続した多層配線基板を得ることができる。
以下、本発明の形成方法により得られた多層配線板を用い、さらなる配線を形成する代表的な形成方法について説明する。第2の配線26表面にさらに配線を形成するために、以下の(6)工程〜(9)工程を行うことができる。
<(6)パターン状の高分子密着層表面に形成された金属膜表面に、めっきレジスト層を形成する工程>
本工程では、第2の配線26表面に、めっきレジスト層32を形成する〔図2(A)〕。めっきレジスト層は、公知の方法で形成することができ、一般的なドライフィルムレジストやソルダーレジストなどが用いられ、ドライフィルムレジストが好ましい。ドライフィルムレジストとしては、如何なる材料も使用でき、ネガ型、ポジ型、液状、フィルム状のものが使用できる。
めっきレジスト層32の厚みは、形成使用とするさらなる配線の厚みに応じて選択されるが、一般的には、5μm〜200μmが好ましい。5μm未満ではフィルムが切れやすいため取扱いにくく、一方耐折性を満たすといったハンドリング性の観点からは200μm以下であることが好ましい。
次に、形成されためっきレジスト層32をパターン露光、現像により、パターニングし、形成しようとする配線パターン(金属パターン)と同じ領域にレジストを有さず、金属パターンの非形成領域のみにレジスト層32が存在するようにパターンを形成する〔図2(B)〕。
ドライフィルムレジストのパターン形成方法は、プリント配線基板の製造時に使用されている方法が何れも使用可能である。
次に、パターニングされためっきレジスト層32をマスクとして電気めっきを行い、めっきレジスト層32の非形成領域にパターン状の金属層34を形成する。これがさらなる配線パターン32を形成することになる〔図2(C)〕。
電気めっきは第2の配線26の形成方法において説明したのと同様にして行うことができる。
形成される配線パターン32の膜厚は、配線の目的に応じて選択されるが、一般には、0.3μm〜3μmの範囲であることが好ましい。
<(9)配線パターンの形成後、電気めっきの通電に使用した非配線パターン部のめっきレジスト層を除去する工程>
配線パターン32を形成した後、非配線領域のめっきレジスト層32を除去する。このようにして、図2(D)に示すように、めっきレジスト層32の非形成領域のみにパターン状のめっき金属層(配線パターン)34が形成される。なお、図2(D)に示すように、形成されたさらなる配線パターン34は、下層の第2の配線26及びその表面に形成された無電解めっきによる金属層30により互いに導通されているため、必要に応じて、ドライフィルムレジストパターンを除去した後にクイックエッチングを実施し、金属膜26、30のうち、不要な領域をパターン状に除去することで、さらなる配線パターン34の形成が完了し、多層配線板が得られる〔図2(E)〕。エッチング方法としては、プリント配線基板の製造時に使用されている方法が何れも使用可能であり、湿式エッチング、ドライエッチングのいずれでもよいが、作業性の観点からは、湿式エッチングが好ましい。エッチング液として、例えば、塩化第二銅、塩化第二鉄等の水溶液を使用することができる。
(6)工程〜(9)工程に使用されるドライフィルムレジソスト、エッチング液等は公知のサブトラクティブ法と同様な材料が使用できる。
本発明の形成方法によれば、簡易な工程で、基板との密着性に優れ、矩形の断面形状に優れた配線が容易に形成される。また、各配線の表面は平滑であり、矩形の断面形状を有するために、本発明の形成方法により得られた多層配線板は電気的特性に優れる。
例えば、(4)工程の後、(5)工程の無電解めっき処理を行うことなく、直ちに、(6)工程を行って、めっきレジスト層を形成し〔図3(A)〕、(7)工程を実施してめっきレジスト層をパターニングしたのち〔図3(B)〕、(5)工程と同様に無電解めっき処理を行って金属層30を形成し〔図3(C)〕、該無電解めっき膜30を起点として(8)工程の電気めっきを行ってさらなる配線34を形成することもできる〔図3(D)〕。この場合も、引き続き(9)工程を行うことで、矩形の微細な配線パターンを有する多層配線基板を形成することができる。
このような積層体の他の使用方法としては、(1)工程で得られた積層体22にエネルギー付与を行い、全面に高分子密着層20を形成した後、レーザーでビア28を形成する〔図4(A)〕。このようにしてビア28の形成と高分子密着層20のパターニングとを同時に行い、その後、無電解めっき処理を行って、パターン状の高分子密着層20表面における第2の配線26の形成を行う〔図4(B)〕。デスミア処理を第2の配線26の形成の前又は後に実施した後、第1の配線14と第2の配線26との導通をとるための金属膜30の形成を行う〔図4(C)。
このような積層体に、前記(6)工程〜(9)工程を行って多層配線基板を形成することも可能である。
更に、前記各パターン化工程を行わずに全面にエネルギー付与を行い、全面にめっきにより金属層を設けることで、通常の樹脂付き銅箔を張り合わせた場合と同様な形態の金属膜付き積層体を得て、その後、金属膜の上からドリルやレーザーを用いてビアホールを開け、その後の工程は、通常のビルドアッププリント配線板を作成する場合と同様な操作を行い、多層配線基板を形成することも可能である。
本発明の形成方法により得られた金属多層配線基板は、例えば、半導体チップ、各種電気配線板、FPC、COF、TAB、マザーボード、パッケージインターポーザー基板等の種々の用途に適用することができる。
なかでも、本発明の方法により作製された金属多層配線基板は、平滑な基板との密着性に優れた配線が容易に形成でき、高周波特性も良好であるとともに、微細な高密度配線であっても、配線間の絶縁信頼性に優れる。
[コア基板の作製]
第1の配線14が予め形成されたガラスエポキシ基板12上に、電気的絶縁層として味の素ファインテクノ社製エポキシ系絶縁膜GX−13(膜厚45μm)を、加熱、加圧して、真空ラミネーターにより0.2MPaの圧力で100℃〜110℃の条件により接着して、絶縁樹脂膜16を形成した。
(密着補助層の形成)
JER806(ビスフェノールF型エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン製)11.8質量部、LA7052(フェノライト、硬化剤:大日本インキ化学工業)4.8質量部、YP50−35EK(フェノキシ樹脂、東都化成製)21.7質量部、シクロヘキサノン61.6質量部、及び2−エチル−4−メチルイミダゾール(硬化促進剤)0.1質量部を混合した混合溶液を、ろ布(メッシュ#200)にて濾過し、塗布液を調製した。
この塗布液を、スピンコータ(300rpmで5秒回転後、1500rpmで20秒回転)にて上記基板に塗布し、その後、170℃で乾燥して硬化させた。これにより、基板A1を得た。硬化した密着補助層の厚みは2.2μmであった。この基板A1の表面凹凸(Ra)は0.5μm(200μm2)であった。
(重合性基及び相互作用性基を有するポリマーAの合成)
まず、下記のようにして、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーAを合成した。
1000mlの三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド35gを入れ、窒素気流下、75℃まで加熱した。そこへ、2−ヒドロキシエチルアクリレート(市販品、東京化成製)6.60g、2−シアノエチルアクリレート28.4g、V−601(和光純薬製)0.62gのN,N−ジメチルアセトアミド35g溶液を、2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に3時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン0.30g、ジブチルチンジ
ラウレート0.28g、カレンズAOI(昭和電工(株)製)18.57g、N,N−ジメチルアセトアミド19gを加え、55℃、4時間反応を行った。その後、反応液にメタノールを3.6g加え、更に1.5時間反応を行った。反応終了後、酢酸エチル:ヘキサン=1:1で再沈を行い、固形物を取り出し、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーA(重量平均分子量6.2万)を32g得た。
重合性基及び相互作用性基を有するポリマーAの7%アセトニトリル溶液に、ポリマーA100重量部に対して20質量部の合成ゴム〔Nipol1041、商品名:日本ゼオン社製〕を添加しめっき用感光性樹脂組成物1の塗布液を調製した。
調製された塗布溶液を、前記基板A1の重合開始層上に、スピンコータ(300rpmで5秒回転後、750rpmで20秒回転)にて塗布し、80℃にて30分乾燥した。
乾燥後、三永電機製のUV露光機(型番:UVF−502S、ランプ:UXM−501MD)を用い、石英製のマスクを介して10mW/cm2の照射パワー(ウシオ電機製紫外線積算光量計UIT150−受光センサーUVD−S254で照射パワー測定)にて、100秒間照射させて、コア基板10の密着補助層18表面にパターン状にグラフトポリマーを生成させ、高分子密着層20を形成した。積算露光量は1000mJであった。
これにより、パターン状の高分子密着層20を有する積層体22を得た。このときの高分子密着層20の厚みは0.6μmであった。
得られた高分子密着層の物性について前述の方法で測定した。その結果、25℃−50%相対湿度環境下において、蒸留水5μLを滴下し、15秒静置後の表面接触角は60°であり、表面疎水性であることが確認された。
積層体22を、硝酸パラジウムの0.05質量%アセトン溶液に、30分間浸漬した後、アセトン及び蒸留水で、各々1〜2分間洗浄した。
[第1の無電解めっき]
上記のようにして、めっき触媒が付与された積層体22に対し、上村工業(株)製スルカップPGTを用い、下記組成の無電解めっき浴を用い、無電解めっき温度26℃で30分間、無電解めっきを行い、積層体22表面に金属膜26を有する図1()で示す如き積層基板を得た。得られた無電解銅めっき膜の厚みは0.5μmであった。
無電解めっき液の調液順序及び原料は以下の通りである。
蒸留水 約60容量%
PGT−A 9.0容量%
PGT−B 6.0容量%
PGT−C 3.5容量%
ホルマリン液* 2.3容量%
最後に、全量が100容量%となるように蒸留水にて液面調整した。
*ここで用いたホルマリンは、和光純薬のホルムアルデヒド液(特級)である。
UV−YAGレーザーを用いて周波数5000HZでショット数200〜300の間、パルスエネルギー0.05〜0.12mJの間で調整し、ビアのボトム径50μmのビアを形成した。
デスミア処方としては、MLB211(ロームアンドハース電子材料株式会社製)を20容量%、キューポジットZを10容量%含有する膨潤浴に70℃で7分間浸漬した後、MLB213A(ロームアンドハース電子材料株式会社製)を10容量%とMLB213B(ロームアンドハース電子材料株式会社製)を15容量%含有するエッチング浴に80℃で10分間浸漬処理し、MLB216−2(ロームアンドハース電子材料株式会社製)を20容量%含有する中和浴に45℃で7分間浸漬することによりビア用孔のデスミア処理を実施した。
続いて、第1の無電解めっきと同様の条件で第2の無電解銅めっきを行い、ビア28の内則と第2の配線26表面に金属膜30が形成された。得られた銅めっき膜の厚みはビア側面で0.5μmであった。
過水硫酸系のソフトエッチング液にて銅表面を洗浄した後、温度110±10℃、圧力0.35±0.05Mpaにて、ドライフィルムレジスト(ALPHO NIT3025:ニチゴー・モートン(株)社製)をラミネートした。回路パターンの焼付けを、ガイド穴を基準として超高圧水銀ランプで120mJ/cm2にて紫外線を照射してパターン露光を実施した後、1%炭酸ナトリウム水溶液を用いて30℃にてスプレー圧0.15MPaにてドライフィルムレジストを現像してめっきレジストパターンを形成した。
無電解銅めっき膜30を給電層として、下記組成の電気銅めっき浴を用い、3A/dm2の条件で、電気めっきを20分間行った。得られた電気銅めっき膜の厚みは18μmであった。
・硫酸銅 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カッパーグリームPCM(メルテックス(株)製) 3mL
・水 500g
5質量%水酸化ナトリウム水溶液をレジスト剥離液として用い、80℃にてスプレー圧0.2MPaにて表面に適用することでめっきレジストパターンを剥離除去処理した後、非回路パターン部分の下地導電層として使用した銅がなくなるように過水硫酸系のソフトエッチング液にて除去した。
さらに、必要に応じて上記絶縁樹脂層形成から、配線形成を繰り返すことにより所望の多層配線基板を形成し、最後にソルダーレジスト形成し、金めっき仕上げを行って多層配線基板を得た。
形成された微細配線を、カラー3Dレーザー顕微鏡VK−9700(キーエンス株式会社製)で観察したところ、厚み18μmの銅微細配線が欠陥なく形成できていることを確認した。また、第一の配線を有する配線基板との電気的な接続を調べたところ、うまく接続されていることを確認した。また、微細配線形成性を、同じくカラー3Dレーザー顕微鏡VK−9700(キーエンス株式会社製)にて、配線形成領域を調べたところ、ライン/スペースが10μm/10μmまで、隣接する配線と接続することなく、直線性に優れた幅の均一な配線が形成できていることが確認された。また、同時に配線形状を観察したところ、配線のエッジ部分は直線的であった。
ビア部をめっきによって金属で充填させてなる態様の多層配線板を形成するために、前記電気めっきを以下の条件に変更した。その他は、実施例1と同様にして多層配線基板を作製した。
(電気めっき浴の組成)
・硫酸銅5水塩 280g
・濃硫酸 35g
・塩酸 0.15mL
・キューブライトVF−II A(荏原ユージライト(株)製) 28.56mL
・キューブライトVF−II B(荏原ユージライト(株)製) 1.46mL
・蒸留水 1400g
2A/dm2の条件で、電気めっきを50分間行った。得られた電気銅めっき膜の厚みは20μmであった。
この条件でめっきを行ったところビア部は銅で充填された。
形成された微細配線を、実施例1と同様にして、評価したところ、厚み18μmの銅微細配線が欠陥なく形成できていることを確認した。また、第一の配線を有する配線基板との電気的な接続を調べたところ、うまく接続されていることを確認した。また、微細配線形成性を、同様にして評価したところ、ライン/スペースが10μm/10μmまで、隣接する配線と接続することなく、直線性に優れた幅の均一な配線が形成できていることが確認された。また、同時に配線形状を観察したところ、配線のエッジ部分は直線的であった。
12:絶縁性基板
14:第1の配線
16:絶縁樹脂膜
20:高分子密着層
22:積層体
26:第2の配線26
28:ビア
Claims (8)
- (1)基板上に金属配線を有する第1の配線基板表面に、絶縁樹脂層、及び、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基と第1の配線基板側に隣接する層と結合を形成しうる反応性基とを有する高分子前駆体を含む高分子密着層を有する積層体を形成する工程と、
(2)該積層体表面のビア接続部以外の領域にパターン状にエネルギーを付与して、露光領域に絶縁樹脂層と高分子前駆体とが結合したパターン状の高分子密着層を形成する工程と、
(3)パターン状の高分子密着層にめっき触媒又はその前駆体を付与して、第1の無電解めっきを行い、パターン状の高分子密着層表面に金属膜を形成する工程と、
(4)該パターン状の金属膜をマスクとしてビアを形成し、その後デスミア処理を行う工程と、
を含む多層配線基板の形成方法。 - さらに、(5)第2の無電解めっき処理又は形成されたビア部への導電性ペースト充填処理を行って、第1の配線基板表面の金属配線とパターン状の高分子密着層表面に形成された金属膜とを電気的に接続する工程を有する請求項1に記載の多層配線基板の形成方法。
- さらに、(6)パターン状の高分子密着層表面に形成された金属膜表面に、めっきレジスト層を形成する工程と、
(7)めっきレジスト層をパターニングする工程と、
(8)めっきレジスト層を利用して電気めっきを行い、配線パターンを形成する工程と
(9)該配線パターンの形成後、電気めっきの通電に使用した非配線パターン部のめっきレジスト層を除去する工程と、
を含む請求項1又は請求項2に記載の多層配線基板の形成方法。 - 前記積層体が、絶縁樹脂層と、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基と重合性基とを有する高分子前駆体を含む高分子密着層との間に、密着補助層を有する積層体である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の多層配線基板の形成方法。
- 前記(1)積層体を形成する工程が、基板上に金属配線を有する第1の配線基板表面に、予め絶縁樹脂層上に高分子密着層が形成されてなるシートを転写する工程を含む請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の多層配線基板の形成方法。
- 前記第1の無電解めっきにより形成された金属膜が銅膜であり、形成された銅膜の厚みが0.2μm以上2μm以下である請求項1から請求項5に記載の多層配線板の形成方法。
- 前記(5)第2の無電解めっき処理又は形成されたビア部への導電性ペースト充填処理を行って、第1の配線基板表面の金属配線とパターン状の高分子密着層表面に形成された金属膜とを電気的に接続する工程が、前記(6)パターン状の高分子密着層表面に形成された金属膜表面に、めっきレジスト層を形成する工程及び(7)めっきレジスト層をパターニングする工程の前、もしくは後に実施される請求項1から請求項6に記載の多層配線板の形成方法。
- 前記めっき触媒若しくはその前駆体と相互作用を形成する官能基と重合性基とを有する高分子前駆体が、シアノ基を有する高分子前駆体である請求項1から請求項7に記載に多層配線板の形成方法。
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