明 細 書
有機 E Lディ ス プ レイ の製造方法
技術分野
本発明は、 有機 E L (エ レク ト ロル ミ ネ ッセ ンス) デイ ス プ レイ の製造方法に関する。
背景技術
近年、 有機 E L素子を用いたディ スプレイが開発されてい る。 有機 E L素子は、 一対の電極間に発光層を狭持した構造 で、 これら電極間を流れる駆動電流に応じた輝度で発光動作 を行う。
有機 E Lディ スプレイ の製造プロセスでは、 発光層を形成 する際、 その材料と して低分子有機材料を使用する場合には 真空蒸着法を利用 している。 また、 発光層の材料と して高分 子有機材料を使用する場合には、 高分子有機材料を含有した 溶液を塗布してなる塗膜を乾燥する とい う方法を採用 してい る。
いずれの場合も、 陽極と陰極と が発光層の部分的な欠落に よ り 短絡する こ とがあ り 、 画素欠点と して視認される。 また、 陽極と陰極との間で短絡を生じないまでも、 或る有機 E L素 子の特性が他の有機 E L素子の特性からずれた場合には、 前 者は画素欠点或いは輝点画素と して視認される こ と と なる。
なお、 このよ う な輝度ズレは、 それぞれの画素毎に駆動用 ト ラ ンジス タなどを設けてアクティ ブマ ト リ ク ス駆動を行 う 場合には、 他の要因でも生じ得る。 例えば、 或る画素の駆動 用 ト ラ ンジス タ の特性が他の画素の駆動用 ト ラ ンジス タ の特
性からずれた場合には、 前者は画素欠点或いは輝点画素と し て視認される こ と と なる。
上記の輝度ズレの う ち、 画素欠点は、 輝点画素に比べる と 視認され難い。 そのため輝点画素良を滅点化し、 例えば、 輝 点画素に含まれる駆動用 ト ラ ンジスタ の ドレイ ンと有機 E L 素子の陽極と を接続している配線を Y A G レーザの第二高調 波を照射する こ と によ り溶断する こ とで、 輝点画素を 目立た なく する こ とができ る。
また、 陽極と 陰極と の短絡に起因 した画素欠点に対しては、 それぞれの画素において、 陽極を互いに離間 した複数の導電 層で構成する と と もにそれら導電層と駆動用 ト ランジスタの ドレイ ンと を複数本の配線を介して接続する こ とが有効であ る。 すなわち、 このよ う な構造を採用する と、 陰極との間で 短絡を生じた導体層 と駆動用 ト ラ ンジス タ の ド レイ ンと を接 続している配線のみを上記のレーザ光照射によ り溶断する こ とで、 陰極と の間で短絡を生じた導体層 とそれと 同一の画素 に含まれる他の導体層と を絶縁する こ と ができ る。 そのため、 当該画素が画素欠点と して視認されるのを抑制する こ とがで さ る。
と ころで、 陰極は共通電極と して設けられるため、 上記の レーザ光照射によ り 配線が溶断されたかを、 透過光を利用 し て確認する こ と はできない。 それゆえ、 この確認には落射光 を利用する こ と となるが、 金属からなる配線表面での反射と 陰極表面での反射と を区別する こ と は難しい。
また、 金属は、 その高い反射率や溶融状態における粘性或
いは流動性などに起因して、 その溶断に極めて高いェネルギ 一を必要とする。 そのため、 上記のレーザ光照射による配線 の溶断に伴い、 その周辺部がダメ ージを受け易い。 例えば、 配線と陰極との間の絶縁層が破壌されてそれらが短絡する こ とがある。 また、 本来は溶断すべきでない配線までもが溶断 される こ とがある。
発明の開示
本発明の 目的は、 有機 E Lディ ス プ レイ の構成要素に不所 望なダメージを与える こ となく輝点画素或いは滅点画素の有 機 E L素子を電流経路から切離す技術を提供する こ と にある。
本発明の第 1側面によ る と、 光透過性の絶縁基板と、 電源 端子と、 前記絶縁基板上でマ ト リ ク ス状に配列する と と もに それぞれ有機 E L素子及び前記電源端子から前記有機 E L素 子への電力の供給を制御する画素回路を備えた複数の画素と 、 前記画素回路と前記有機 E L素子との間に介在した有機平坦 化膜と を具備した有機 E L ディ ス プ レイ の製造方法であって、 前記複数の画素の中から滅点及び Zまたは輝点と して視認さ れ得る ものを選択する こ と と、 前記選択した画素に含まれる 前記画素回路の う ち前記有機平坦化膜と前記絶縁基板との間 に位置した部分に前記絶縁基板を介してエネルギー線を照射 して、 前記選択した画素に含まれる前記有機 E L素子を前記 電源端子から電気的に切断するこ と と を含んだ方法が提供さ れる。
本発明の第 2側面による と、 光透過性の絶縁基板と、 電源 端子と、 前記絶縁基板上でマ ト リ タ ス状に配列する と と もに
それぞれ有機 E L素子及び前記電源端子から前記有機 E L素 子への電力の供給を制御する画素回路を備えた複数の画素と 、 前記画素回路の少なく と も一部を被覆する と と もに前記有機 E L素子を取り 囲んだ隔壁絶縁層と を具備し、 前記隔壁絶縁 層は有機絶縁層を含んだ有機 E Lディ スプレイ の製造方法で あって、 前記複数の画素の中から滅点及び Zまたは輝点と し て視認され得る ものを選択する こ と と、 前記選択した画素に 含まれる前記画素回路の う ち前記有機絶縁層 と前記絶縁基板 と の間に位置した部分に前記絶縁基板を介してェネルギ一線 を照射して、 前記選択した画素に含まれる前記有機 E L素子 を前記電源端子から電気的に切断する こ と と を含んだ方法が 提供される。
本発明の第 3側面による と、 光透過性の絶縁基板と、 電源 端子と、 前記絶縁基板上でマ ト リ ク ス状に配列する と と もに それぞれ有機 E L素子及ぴ前記電源端子から前記有機 E L素 子への電力の供給を制御する画素回路を備えた複数の画素と を具備した有機 E Lディ スプレイ の製造方法であって、 前記 複数の画素の中から滅点及び/または輝点と して視認され得 る ものを選択する こ と と、 前記選択した画素に含まれる前記 画素回路の一部に前記絶縁基板を介してエネルギー線を照射 して、 前記選択した画素に含まれる前記有機 E L素子を前記 電源端子から電気的に切断する こ と と を含み、 前記エネルギ 一線の照射は、 前記画素回路のエネルギー線が照射される部 分の体積 V ( μ m 3 ) とその部分に照射する前記エネルギー 線のエネルギー R ( m J ) とが不等式 : 0 . 0 6 7 X V < R
く 0 . 1 7 X Vに示す関係を満足する よ う に行う 方法が提供 される。
図面の簡単な説明
図 1 は、 本発明の第 1 態様に係る方法で製造可能な有機 E L ディ ス プ レイ の一例を概略的に示す断面図 ;
図 2 は、 図 1 に示す有機 E Lディ スプレイで採用可能な回 路構成の一例を概略的に示す平面図 ;
図 3 は、 本発明の第 1 態様に係る修復方法の一例を概略的 に示す平面図 ;
図 4 は、 本発明の第 1 態様に係る修復方法の一例を概略的 に示す平面図 ;
図 5 は、 本発明の第 1 態様に係る修復方法の他の例を概略 的に示す平面図 ;
図 6 は、 本発明の第 1 態様に係る修復方法の他の例を概略 的に示す平面図 ;
図 7 は、 本発明の第 1 態様に係る方法で製造可能な有機 E L ディ ス プ レイ の他の例を概略的に示す断面図 ;
図 8 は、 図 7 に示す有機 E Lディ スプレイで採用可能な回 路構成の一例を概略的に示す平面図 ;
図 9 は、 本発明の第 1 態様に係る修復方法のさ らに他の例 を概略的に示す平面図 ;
図 1 0 は、 本発明の第 1 態様に係る修復方法のさ らに他の 例を概略的に示す平面図 ;
図 1 1 は、 本発明の第 2態様に係る修復方法の一例を概略 的に示す平面図 ;
図 1 2 は、 レーザ光照射試験に利用 した有機 E Lディ ス プ レイ の一部を概略的に示す平面図 ; 及び
図 1 3 は、 本発明の第 3態様に係る有機 E Lディ スプレイ を概略的に示す断面図。
発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の幾つかの態様について、 図面を参照しなが ら詳細に説明する。 なお、 各図において、 同様または類似す る構成要素には同一の参照符号を付し、 重複する説明は省略 する。
図 1 は、 本発明の第 1 態様に係る方法で製造可能な有機 E Lディ スプレイ の一例を概略的に示す断面図である。 図 1 に 示す有機 E L ディ ス プ レイ 1 は、 互いに対向 したア レイ基板 2及び封止基板 3 とそれらの間に介在したシール層 4 と を備 えている。 シール層 4 は封止基板 3 の周縁に沿って設けられ ており 、 それによ り 、 ア レイ基板 2 と封止基板 3 との間に密 閉された空間を形成している。 こ の空間は、 例えば、 A r ガ スなどの希ガスや N 2ガスのよ う な不活性ガスで満たされて いる。
ア レイ基板 2 は、 ガラス板等の光透過性を有する絶縁基板 1 1 を有してレ、る。 基板 1 1 上には、 アンダーコー ト層と し て、 例えば、 S i N x層 1 2 と S i O 2層 1 3 とが順次積層さ れている。 アンダー コー ト層上には、 チャネル及ぴソース · ドレイ ンが形成されたポリ シリ コ ン層のよ う な半導体層 1 4 ゲー ト絶縁膜 1 5 、 及びゲー ト電極 1 6 が順次積層されてお り 、 それらは ト ップゲー ト型の薄膜 ト ランジスタ (以下、 T
F T とい う ) 2 0 を構成してレ、る。
ゲー ト絶縁膜 1 5及ぴゲー ト電極 1 6 上には、 S i O 2な どからなる層間絶縁膜 2 1 が設け られている。 層間絶縁膜 2 1 上には電極配線 (図示せず) 及ぴソース · ド レイ ン電極 2
3 が設けられてお り 、 それらは、 S i N xなどカゝらなるノ ッ シベーシ ヨ ン膜 2 4 で埋め込まれてい る。 なお、 ソース ' ド レイ ン電極 2 3 は、 層間絶縁膜 2 1 に設けられたコ ンタ ク ト ホールを介して T F T 2 0 のソース · ドレイ ンに電気的に接 続されている。
パッシベーショ ン膜 2 4上には、 複数の陽極 2 5 が互いに 離間して並置されてレ、る。 こ こ では、 陽極 2 5 は I T O等の 光透過性を有する導電膜で構成される 。 それぞれの陽極 2 5 は、 ド レイ ン電極 2 3 に電気的に接続されてレ、る。
パ ッ シベーシ ヨ ン膜 2 4上には、 さ らに、 絶縁層 2 6 a が 設けられている。 絶縁層 2 6 a は、 例えば、 親液性の無機絶 縁層である。 絶縁層 2 6 a は、 陽極 2 5 に対応した位置に貫 通孔を有してお り 、 パ ッ シベーショ ン膜 2 4 の陽極 2 5 力、ら 露出した部分と陽極 2 5 の周縁部と を被覆している。
絶縁層 2 6 a 上には、 絶縁層 2 6 b が設けられている。 絶 縁層 2 6 b は、 例えば、 撥液性の有機絶縁層.である。 絶縁層 2 6 b は、 陽極 2 5 に対応した位置に、 絶縁層 2 6 a の貫通 孔と等しいか或いはそれよ り も大きな径の貫通孔を有してい る。
なお、 絶縁層 2 6 a と絶縁層 2 6 b との積層体は、 陽極 2 5 に対応した位置に貫通孔を有する隔壁絶縁層 2 6 を構成し
ている。 隔壁絶縁層 2 6 は、 絶縁層 2 6 a と絶縁層 2 6 b と の積層体で構成しても よ く 、 或いは、 絶縁層 2 6 b のみで構 成しても よい。
隔壁絶縁層 2 6 の貫通孔内で露出 した陽極 2 5上には、 発 光層を含んだ有機物層 2 7 が設けられている。 この発光層は、 例えば、 発光色が赤色、 緑色、 または青色のルミネセンス性 有機化合物を含んだ薄膜である。 有機物層 2 7 は、 発光層に 加え、 例えば、 陽極 2 5 から発光層への正孔の注入を媒介す る役割を果たすバッファ層などをさ らに含むこ とができ る。
隔壁絶縁層 2 6及び有機物層 2 7上には共通電極 (陰極) 2 8 が設け られている。 陰極 2 8 は、 ノ ッシベーシヨ ン膜 2 4及び隔壁絶縁層 2 6 に設けられたコ ンタ ク トホール (図示 せず) を介して電極配線に電気的に接続されている。 それぞ れの有機 E L素子 3 0 は、 これら陽極 2 5 、 有機物層 2 7 、 及ぴ陰極 2 8 で構成されている。
図 2 は、 図 1 に示す有機 E Lディ スプレイ 1 で採用可能な 回路構成の一例を概略的に示す平面図である。 図 2 に示すよ う に、 この有機 E Lディ スプレイ 1 は、 基板 1 1 上にマ ト リ タ ス状に配置された走査信号線 4 1 及び映像信号線 4 2 を備 えており 、 画素 3 1 は走查信号線 4 1 と映像信号線 4 2 と の 交差部近傍に配置されている。
走査信号線 4 1 は画素の行方向に延在する と と もに列方向 に配列してお り 、 それらは走査信号線 ドライバ 5 1 に接続さ れている。 他方、 映像信号線 4 2 は画素の列方向に延在する と と もに行方向に配列しており 、 それらは映像信号線 ドライ
パ 5 2 に接続されている。
それぞれの画素 3 1 は、 駆動用制御素子である駆動用 ト ラ ンジスタ 2 0 と、 有機 E L素子 3 0 と、 選択用スィ ッチであ る選択用 ト ランジスタ 3 2 と、 キャパシタ 3 3 とで構成され ている。 この例では、 駆動用 トランジスタ 2 0 は p チャネル T F Tであ り 、 選択用 ト ランジスタ 3 2 は nチャネル T F T である。
駆動用 ト ラ ンジスタ 2 0及び有機 E L素子 3 0 は、 一対の 電圧電源端子間で直列に接続されている。 キャパシタ 3 3 は、 駆動用 ト ランジスタ 2 0 のゲー ト と定電位端子, この例では 第 1 電源端子, との間に接続されている。 選択用 トランジス タ 3 2 は、 映像信号線 4 2 と駆動用 ト ラ ンジスタ 2 ◦ のゲー ト と の間に接続されてお り 、 そのゲー トは走査信号線 4 1 に 接続されている。
なお、 駆動用 ト ランジスタ 2 0 と選択用 ト ランジスタ 3 2 と キャパシタ 3 3 とそれらを接続する配線と は画素回路を構 成している。 この画素回路は、 走查信号線駆動回路 5 1 から 走査信号線 4 1 を介して供給される走査信号と、 映像信号線 駆動回路 5 2から映像信号線 4 2 を介して供給される映像信 号に基づいて、 第 1 電源端子から有機 E L素子 3 0への電流 の大き さを制御する。
本態様では、 或る画素 3 1 が輝点画素と して視認された場 合、 以下に説明する よ う に、 その画素 3 1 に含まれる画素回 路のポリ シリ コ ン部の う ち、 絶縁層 2 6 b と絶縁基板 1 1 と の間に位置した部分に対して、 基板 1 1側からエネルギ一線
を照射する。 これによ り 、 有機 E L素子 3 0 を第 1 電源端子 から電気的に切断し、 先の画素 3 1 を輝点画素と して視認さ れ難く する。
図 3及び図 4 は、 本発明の第 1 態様に係る修復方法の一例 を概略的に示す平面図である。 なお、 図 3及び図 4 は、 図 1 に示す有機 E Lディ スプレイ 1 を基板 1 1 側から見た場合に 観察され得る駆動用 ト ラ ンジス タ 2 0 を示している。 また、 図 3及び図 4 において、 参照番号 4 3 は電源と駆動用 ト ラン ジスタ 2 0 の ソース と を接続する配線 (例えば、 ソース電極 2 3 ) を示し、 参照番号 4 4 は駆動用 ト ラ ンジス タ 2 0 の ド レイ ンと有機 E L素子 3 0 の陽極 2 5 と を接続する配線 (例 えば、 ドレイ ン電極 2 3 ) を示し、 参照番号 6 ◦ はレーザ光 の ビームスポッ ト を示している。
こ の方法では、 或る画素 3 1 が輝点画素或いは滅点画素と して視認された場合、 その画素 3 1 に含まれる画素回路のポ リ シ リ コ ン部の う ち、 絶縁層 2 6 b と絶縁基板 1 1 と の間に 位置した部分に対して、 基板 1 1側からエネルギ一線, 例え ば Y A G レーザの第二高調波, を照射する。 これによ り 、 図 4 に示すよ う に、 ポリ シリ コ ン層 1 4 を分断する。
ポリ シリ コン層 1 4 を分靳する と、 その画素 3 1 の有機 E L素子 3 0 に電力が供給されなく なる。 そのため、 その画素 3 1 が輝点画素と して視認されていた場合には、 ポリ シリ コ ン層 1 4 を分断する こ と によ り 、 その画素 3 1 を滅点化と し て視認される よ う にする こ と, すなわち輝点画素と して視認 され難く する こ と, ができ る。 また、 その画素 3 1 が滅点画
素と して視認されていた場合には、 ポリ シリ コン層 1 4 を分 断する こ と によ り 、 表示に寄与しない画素 3 1 による電力消 費を低減する こ とができ る。
また、 ポ リ シ リ コ ン層 1 4 は、 金属配線などと比較して、 上記のレーザ光を遥かに高い効率で吸収する。 そのため、 ポ リ シ リ コ ン層 1 4 は、 金属配線をレーザ光照射によ り溶断す る場合に比べ、 比較的低いエネルギーの レーザ光照射によ り 分断する こ とができ る。
しかも、 この例では、 駆動用 ト ラ ンジスタ 2 0 のポ リ シ リ コン層 1 4 は、 絶縁層 2 6 b と絶縁基板 1 1 との間に位置し ている。 絶縁層 2 6 b の材料と して使用する有機絶縁体の多 く は、 光透過性の無機絶縁体と比較して、 ポリ シ リ コ ン層 1 4 の分断などに使用する レーザ光をよ り 高い効率で吸収する。 また、 絶縁層 2 6 b は、 2 m乃至 3 μ πι程度の比較的厚い 層であって、 表示には寄与していない。 さ らに、 基板 1 1 と 絶縁層 2 6 b と の間には、 レーザ光照射によってダメージを 受け易い有機物層 2 7や陰極 2 8 は存在していない。
したがって、 この方法による と、 画素 3 1 が輝点または滅 点を生じ、 電流経路から有機 E L素子をレーザ光照射によ り 切離すに際し、 レーザ光照射部の周辺部がダメージを受ける のを防止する こ とができ る。
さ らに、 通常、 ポリ シ リ コ ン層 1 4 は、 陰極 2 8 に比べ、 可視光に関する反射率が遥かに低い。 そのため、 上記の レー ザ光照射によ り ポリ シ リ コ ン層 1 4 が分断されたかを、 落射 光を利用 して確認する こ とができ る。
ポリ シ リ コ ン層 1 4 は、 上記のレーザ光照射によって完全 に分断される こ とが望ま しいが、 完全に分断されなく ても よ い。 これは、 ポリ シ リ コ ン層 1 4 にレーザ光を照射する と、 その照射部の少なく と も一部をアモルフ ァ ス とするこ とがで き るためである。 すなわち、 アモルフ ァ ス シ リ コ ンの比抵抗 はポリ シリ コ ンの比抵抗に比べて高いので、 上記のレーザ光 照射によ り ポリ シリ コン層 1 4 が物理的に分断されない場合 であっても、 その画素 3 1 の有機 E L素子 3 0 に電力が供給 され難く なる。 したがって、 ポリ シ リ コ ン層 1 4 を完全に分 断した場合ほどではないにしろ、 上記と ほぼ同等の効果を得 る こ とができ る。
上記の方法では、 輝点画素ゃ滅点画素は、 例えば、 全ての 画素 3 1 を同一の条件で駆動しつつ表示面を観察する こ と に よ り探し出すこ とができる。 また、 上記の処理によ り輝点画 素が視認され難く なつたこ と も、 例えば、 全ての画素 3 1 を 同一の条件で駆動しつつ表示面を観察する こ と によ り確認す る こ とができ る。
上記の分離処理は、 画素 3 1 を完成した後であれば何時行 つても よい。 例えば、 上記の分離処理は、 図 1 に示すア レイ 基板 2 を完成した時点で行ってもよ く 、 或いは、 図 1 に示す 状態の有機 E Lディ スプレイ 1 に対して行っても よ く 、 或い は、 基板 1 1 の外面に外光反射防止用の偏光フィルムを貼り 付けた後に行っても よい。 先に説明 したよ う に、 こ の方法に よれば比較的低いエネルギーの レーザ光照射によ り 画素 3 1 の有機 E L素子の切離しをする こ とができ るので、 基板 1 1
の外面に反射防止用の偏光フ ィ ルムを貼り 付けた後に行って も 、 偏光フ ィ ルムは殆んどダメージを受ける こ とがない。
なお、 先の例では、 分離処理に際し、 駆動用 ト ランジスタ 2 0 のポリ シリ コ ン層 1 4 に対してレーザ光を照射したが、 選択用 ト ランジスタ 3 2 のポリ シリ コ ン層 1 4 に対してレー ザ光を照射しても よい。 但し、 通常、 前者のほ う が、 後者に 比べ、 輝点画素をよ り確実に視認され難く する こ とができ る。
また、 先の例では、 図 2 に示す回路構成を採用 したが、 他 の回路構成を採用する こ と もでき る。 この場合、 有機 E L素 子 3 0への電力の供給を低減可能であれば、 先の レーザ光照 射は何れの ト ランジスタに対して行っても よい。
図 3及び図 4 を参照しなが ら説明した例では、 画素回路に 含まれる ト ラ ンジス タ の半導体層を、 レーザ光を照射すべき ポリ シリ コ ン部と して用いた。 こ の レーザ光を照射すべきポ リ シ リ コ ン部は、 ト ラ ンジス タ の半導体層に限られず、 画素 回路に含まれる配線であってもよい。
例えば、 画素回路に含まれる複数の電気素子同士を接続し た配線、 及びノまたは、 それら電気素子をそれぞれ有機 E L 素子 3 0 と走査信号線 4 1 と映像信号線 4 2 と図示しない電 源線とに接続した配線の少なく と も 1 つはポリ シ リ コ ン部を 含んでいても よい。 例えば、 それら配線の少なく と も 1 つを、 互いに直列接続された金属部と ポリ シリ コ ン部とで構成して もよい。 以下に説明する よ う に、 そのポリ シ リ コ ン部に対し てレーザ光照射を行う こ とによっても先の修復処理を行う こ とができ る。
図 5及び図 6 は、 本発明の第 1 態様に係る処理方法の他の 例を概略的に示す平面図である。 なお、 図 5及ぴ図 6 は、 図 1 に示す有機 E Lディ スプレイ 1 を基板 1 1 側から見た場合 に観察され得る構造を示している。
図 5及ぴ図 6 に示す構造では、 配線 4 4 は、 金属部 ( ドレ イ ン電極) 2 3 と、 不純物を高濃度 ドープする こ と によ り 導 電性を付与したポリ シリ コン部 1 1 4 と、 金属部 1 2 3 と で 構成されている。 こ のポリ シ リ コ ン部 1 1 4 は、 絶縁層 2 6 b と絶縁基板 1 1 と の間に位置している。
このよ う な構造を採用 した有機 E Lディ スプレイ 1 では、 或る画素 3 1 が輝点画素または滅点画素と して視認される場 合に、 例えば、 図 5 に示すよ う に、 その画素 3 1 に対応した ポリ シリ コ ン部 1 1 4 に対して、 基板 1 1 側からエネルギー 線, 例えば Y A G レーザの第二高調波, を照射してもよい。 こ うする と、 図 6 に示すよ う に配線 4 4 をポ リ シ リ コ ン部 1 1 4 の位置で分断するか、 或いは、 ポリ シ リ コ ン部 1 1 4 の 少なく と も一部をアモルファス化する こ とができ る。 これに よ り 、 その画素 3 1 の有機 E L素子 3 0への電力供給を低減 する こ とができる。 このよ う な方法でも、 図 3及ぴ図 4 を参 照しなが ら説明したのと 同様の効果を得る こ とができ る。
なお、 図 5及び図 6 の構造を採用する場合、 金属部 2 3 , 1 2 3 は同一のプロセスで形成しても よい。 また、 ポリ シリ コ ン部 1 1 4 と ポ リ シリ コ ン層 1 4 の ソース . ドレイ ンと は 同一のプロセスで形成しても よい。
画素に以下の構造を採用する と と もに分離処理に図 5及び
図 6 を参照して説明 した方法を利用する と、 画素内の有機 E L素子を部分的に切離すこ とができ、 残り の部分を動作させ る こ とで、 輝点画素おょぴ滅点画素の修復をする こ とができ る。
図 7 は、 本発明の第 1 態様に係る方法で製造可能な有機 E Lディ スプレイ の他の例を概略的に示す断面図である。 また、 図 8 は、 図 7 に示す有機 E Lディ スプレイ で採用可能な回路 構成の一例を概略的に示す平面図である。
図 7及ぴ図 8 に示す例では、 1 つの画素 3 1 は駆動用 ト ラ ンジスタ 2 0 と第 2電源 (こ こでは G N D ) との間で互いに 並列に接続された複数の有機 E L素子 (こ こでは 2つの有機 E L素子 3 0 a , 3 0 b ) を含んでいる。 このよ う な構造を 採用する と、 或る画素 3 1 が輝点画素または滅点画素と して 視認されたと しても、 その画素 3 1 に含まれる有機 E L素子 3 0 a , 3 0 b の う ち一方のみが要因と なっているのであれ ば、 以下に説明する よ う に、 その有機 E L素子のみを駆動用 ト ラ ンジスタ 2 0 から絶縁すれば、 当該画素 3 1 を正常な画 素と して動作させる こ とができ る。 '
図 9及び図 1 0 は、 本発明の第 1 態様に係る修復方法のさ らに他の例を概略的に示す平面図である。 なお、 図 9及び図 1 0 は、 図 7及ぴ図 8 に示す有機 E Lディ スプレイ 1 を基板 1 1側から見た場合に観察され得る構造を示している。
図 9及び図 1 0 に示す構造では、 配線 4 4 は、 金属部 ( ド レイ ン電極) 2 3 と、 不純物を ドープする こ と によ り 導電性 を付与したポリ シリ コン部 1 1 4 と、 金属部 1 2 3 とで構成
されている。 ポリ シリ コ ン部 1 1 4 は有機 E L素子 3 0 a , 3 0 b に対応した 2つの陽極 2 5側で分岐してお り 、 駆動用 ト ラ ンジスタ 2 0 の ドレイ ンと G N D と の間でそれら陽極 2 5 を並列接続している。 このポリ シリ コ ン部 1 1 4 は、 有機 絶縁層 2 6 b と絶縁基板 1 1 との間に位置している。
このよ う な構造を採用 した有機 E Lディ スプレイ 1 におい て、 例えば、 或る画素 3 1 がその有機 E L素子 3 O b に起因 して輝点画素或いは滅点画素と して視認された場合、 図 9 に 示すよ う に、 その画素 3 1 に含まれるポリ シ リ コ ン部 1 1 4 の分岐点よ り も陽極 2 5側の位置に対して、 基板 1 1側から エネルギー線, 例えば Y A G レーザの第二高調波, を照射す る。 これによ り 、 図 1 0 に示すよ う にポリ シリ コ ン部 1 1 4 を分岐点よ り も陽極 2 5側の位置で分断するか、 或いは、 ポ リ シリ コン部 1 1 4 の分岐点よ り も陽極 2 5側に位置した部 分を少なく と も部分的にアモルフ ァ ス化する。 こ うする と、 有機 E L素子 3 0 b のみを第 1 電源端子おょぴ第 2電源端子 間の電流経路から切離すこ と ができ、 その画素 3 1 に含まれ る有機 E L素子 3 0 b への電力供給を低減する こ とができ る。
このよ う な方法による と、 図 3及ぴ図 4 を参照しなが ら説 明したのと 同様の効果を得る こ とができ る。 加えて、 この方 法では、 輝点画素と して視認された画素 3 1 に含まれる有機 E L素子 3 0 bへの電力供給を上記の修復処理によ り低減し たと しても、 その画素 3 1 に含まれる有機 E L素子 3 0 a へ の電力供給は維持される。 そのため、 この方法による と、 輝 点をよ り 目立たなく する と共に、 通常動作させる こ とができ
る。 また、 画素 3 1 が滅点画素と して視認された場合にも同 様の方法を採用する こ と によ り 、 不要な電流供給を抑え、 正 常な有機 E L素子 3 0 a を動作させる こ とが可能となる。
なお、 図 9及び図 1 0 を参照しなが ら説明 した方法では、 輝点画素または滅点画素と して視認される画素 3 1 の有機 E L素子 3 0 a のみがその要因と なっているか、 或いは、 有機 E L素子 3 O b のみがその要因と なっているか、 或いは、 有 機 E L素子 3 0 a , 3 O b の双方がその要因 と なっている力、 は、 例えば、 以下の方法によ り判別する こ と ができ る。 すな わち、 まず、 全ての画素を同一の条件で駆動しつつ表示面を 観察する こ と によ り輝点や滅点を生じた画素 3 1 を特定し、 次いで、 その画素 3 1 を顕微鏡などで観察して、 異物や異常 部がある有機 E L素子 3 0 a または 3 0 b を特定する。 この よ う な方法で特定した有機 E L素子 3 0 a または 3 0 b を先 の処理によ り 電源から電気的に絶縁する こ と によ り 、 殆んど の輝点画素或いは滅点画素を 目立たなく する こ とができ、 あ たかも正常な画素と して動作させるこ とができ る。 なお、 上 記の修復処理後、 再度、 全ての画素 3 1 を同一の条件で駆動 しつつ表示面を観察すれば、 修復すべき欠陥を含んでいるに もかかわらず先の顕微鏡による観察で見出すこ と のできなか つた E L素子 3 0 a または 3 0 b を容易に検出する こ とがで きる。 したがって、 こ こで検出された E L素子 3 0 a または 3 0 b についても先の修復処理によ り 電源から電気的に絶縁 してもよい。
画素 3 1 に図 9 の構造を採用する場合、 金属部 2 3 , 1 2
3 は同一のプロ セ スで形成しても よい。 また、 ポ リ シ リ コ ン 部 1 1 4 と ポ リ シ リ コ ン層 1 4 の ソース . ド レイ ン と は同一 のプロ セスで形成しても よい。
次に、 本発明の第 2態様について説明する。 第 1 態様では、 輝点或いは滅点を生じた画素 3 1 を、 ポ リ シリ コンなどの半 導体からなる構成要素へのレーザ光照射を行う こ と によって 処理した。 第 2態様では、 輝点或いは滅点を生じた画素 3 1 を修復するための レーザ光照射は、 第 1 態様と 同様、 画素回 路の絶縁層 2 6 b と絶縁基板 1 1 と の間に位置した部分に対 して行う。 但し、 第 2態様では、 画素回路の レーザ光を照射 する部分の寸法と、 その位置にレーザ光が形成する ビームス ポッ ト と の寸法と を等しく する。 これによ り 、 第 2態様では、 レーザ光照射を行う べき構成要素の材料と して、 ポリ シリ コ ンなどの半導体に加え、 金属材料も使用可能とする。
図 1 1 は、 本発明の第 2態様に係る修復方法の一例を概略 的に示す平面図である。 なお、 図 1 1 は、 図 1 に示したのと ほぼ同様の構造を有する有機 E Lディ スプレイ 1 を基板 1 1 側から見た場合に観察され得る構造を示している。 また、 図 1 1 において、 参照符号 6 0 a及ぴ 6 0 b はレーザ光のビー ムスポッ ト の位置を示している。
図 1 1 の構造において、 隔壁絶縁層 2 6 を構成している絶 縁層 2 6 b には、 陽極 2 5 に対応した形状, こ こでは略正八 角形状, の貫通孔が設けられている。 こ の絶縁層 2 6 b は、 有機絶縁体からな り 、 駆動用 ト ランジスタ 2 0 などを含む画 素回路を被覆している。
第 2態様では、 輝点または滅点を生じた有機 E L素子を切 離すためのレーザ光照射は、 第 1 態様と同様、 画素回路の絶 縁層 2 6 b と絶縁基板 1 1 との間に位置した部分に対して行 う。 例えば、 図 1 1 に示すよ う に、 ビームスポッ トが位置 6 0 a または位置 6 0 b に形成される よ う にレーザ光照射を行 う。
例えば H R C (ハー ド レジン コ ー ト ) に代表されるァク リ ル樹脂などの よ う に、 絶縁層 2 6 b の材料と して使用する有 機絶縁体の多く は、 光透過性の無機絶縁体と比較して、 ポリ シリ コン層 1 4 などの半導体層の分断などに使用する レーザ 光やソース · ド レイ ン電極 2 3 などの金属層の溶断に使用す る レーザ光をよ り 高い効率で吸収する。 なお、 半導体層の分 断やアモルフ ァ ス化並びに溶断には、 例えば、 Y A G レーザ の第二高調波を利用する こ とができ る。
また、 絶縁層 2 6 b は、 比較的厚い層であって、 表示には 寄与していない。 しかも、 基板 1 1 と絶縁層 2 6 b との間に は、 レーザ光照射によってダメージを受け易い有機物層 2 7 や陰極 2 8 は存在していない。
したがって、 金属層を溶断する場合、 以下のよ う にレーザ 光照射を行えば、 その周辺部がダメージを受けるのを抑制す る こ とが可能と なる。 こ こでは、 位置 6 0 a で ド レイ ン電極 2 3 を溶断する場合を例に説明する。
レーザ光が ド レイ ン電極 2 3 の表面の位置に形成する ビー ムスポッ ト の寸法が ド レイ ン電極 2 3 の幅よ り も大きいと、 レーザ光照射を開始してから ド レイ ン電極 2 3 が溶断するま
での期間に、 一部のレーザ光が絶縁層 2 6 b に入射する。 ド レイ ン電極 2 3 は金属材料からなるため、 その溶断には比較 的大きなエネルギーが必要である。 それゆえ、 絶縁層 2 6 b の破壊に起因 した陰極 2 8 と ド レイ ン電極 2 3 などとの短絡 や陰極 2 8 の破壌を生じる可能性がある。 例えば、 陰極 2 8 が部分的に欠落する と、 その欠落部から絶縁層 2 6 b を介し て有機物層 2 7 な どに水分が侵入するおそれがある。
これに対し、 レーザ光が ドレイ ン電極 2 3 の表面の位置に 形成する ビームス ポ ッ ト の寸法を ド レイ ン電極 2 3 の幅と等 しく する と、 レーザ光照射を開始してから ド レイ ン電極 2 3 が溶断するまでの期間にレーザ光が絶縁層 2 6 b に入射する こ とがない。 すなわち、 この場合、 レーザ光が絶縁層 2 6 b に入射する期間は、 ドレイ ン電極 2 3 が溶断した後のみとな る。 ド レイ ン電極 2 3 が溶断した後、 直ちにレーザ光照射を 停止すれば、 絶縁層 2 6 b の破壌を生じる こ と なく 、 絶縁層 2 6 b にレーザ光を吸収させる こ と ができ る。 換言すれば、 絶縁層 2 6 b が破壌する のを防止する と と もに、 レーザ光が 陰極 2 8 に到達する のを抑制する こ とが可能と なる。 したが つ て、 ド レイ ン電極 2 3 と陰極 2 8 と の短絡や陰極 2 8 の破 壌が生じるのを防止する こ とができ る。
また、 有機 E L素子 3 0 への電力供給を低減するための レ 一ザ光照射を、 金属層に対して行う 代わ り に、 半導体層に対 して行う と、 各種制御が.容易になる。
半導体層を分断またはアモルフ ァ ス化するために必要なレ 一ザ光のエネルギーは、 金属層を溶断するために必要なレー
ザ光のエネルギーよ り も小さい。 そのため、 よ り長い時間に わたって絶縁層 2 6 b にレーザ光が照射されたと しても、 ド レイ ン電極 2 3 と陰極 2 8 と の短絡や陰極 2 8 の破壊が生じ るのを防止する こ とができる。 したがって、 金属層を溶断す る代わ り に半導体層を分断またはアモルフ ァ ス化する と、 よ り容易に有機 E L素子 3 0への電力供給を低減する こ とがで さ る。
陰極 2 8 などの破壊を防止可能なレーザ光照射条件の例を 以下に記載する。
図 1 2 は、 レーザ光照射試験に利用 した有機 E Lディ スプ レイ の一部を概略的に示す平面図である。 なお、 図 1 2 は、 図 1 に示したの と ほぼ同様の構造を有する有機 E Lディ スプ レイ 1 を基板 1 1 側から見た場合に観察され得る構造の一部 : 具体的にはポ リ シ リ コ ン層 1 4 , を拡大して示 している。 こ のポリ シ リ コ ン層 1 4 は基板 1 1 と絶縁層 2 6 b と の間に位 置している。
本例では、 ポリ シ リ コ ン層 1 4 の幅は 3 μ mと し、 厚さは 0 . 5 /i mと した。 また、 レーザ光がポリ シ リ コ ン層 1 4 の 表面の位置に形成する ビームスポッ トは矩形状と し、 その寸 法は 3 m X 6 μ ηιと した。
このよ う な条件のも と、 ポリ シ リ コ ン層 1 4 にレーザ光を 照射し、 レーザ光照射後のポリ シリ コ ン層 1 4及び陰極 2 8 の状態並びに減点化の可否を調べた。 その結果を以下の表に 示す。
o
照射エネルギー ポリシリコン層
陰圍 -、極の状態、 滅点化 密度(mj / μπι2 ) の状態
o
0. 0 1 67 非分断 〇 否
0. 0250 非分断 □ 否
0. 0333 非分断 □ 否
0. 0417 分断 □ 可
0 . 0833 分断 Δ 可 分断 厶 可
0. 1667 分断 Δ 可 上記表において、 「ポリ シ リ コ ン層の状態」 は、 顕微鏡で 観察した、 レーザ光照射後のポリ シリ コン層 1 4 の状態を示 している。 また、 「〇」 は、 陰極 2 8 が レーザ光照射による 影響を受けなかったこ と を示している。 「口」 は、 ビームス ポッ ト 6 0 のポリ シリ コン層 1 4 と の非重複部に対応した位 置で陰極 2 8 に穴あきが生じたこ と を示している。 「△」 は ビームス ポ ッ ト 6 0 に対応した位置全体で陰極 2 8 に穴あき が生じたこ と を示している。
上記の例では、 照射エネルギー密度が 0 . 0 3 3 3 m JZ μ πι 2よ り も大きい場合、 画素 3 1 を滅点化するこ とができ た。 また、 こ の例では、 照射エネルギー密度が 0 . 0 8 3 3 m J/ μ m 2よ り も小さい場合、 ビームスポッ ト 6 0 とポリ シ リ コン層 1 4 との重複部に対応した位置で陰極 2 8 に穴あき は生じていない。
ポリ シリ コ ン層 1 4 のビームスポッ ト 6 0 との重複部の体
積 Vは、 3 ^ πι Χ 3 ;α ιη Χ 0 . 5 μ 4 . 5 μ πι 3であ る。 したがって、 ビームスポッ ト 6 0 の寸法をポ リ シ リ コ ン層 1
4 の幅と一致させる場合、 先の体積 V ( m 3) と照射エネ ルギー R ( m J ) とが以下の不等式に'示す関係を満足してい れば、 陰極 2 8 に穴あき を生じる こ と なく 画素 3 1 を滅点化 する こ と ができ る。
0 . 0 6 7 X V < R < 0 . 1 7 X V
次に、 本発明の第 3態様について説明する。 第 1 及ぴ第 2 態様では、 レーザ光照射は、 画素回路の絶縁層 2 6 b と絶縁 基板 1 1 と の間に位置した部分に対して行った。 これに対し、 第 3態様では、 陽極 2 5 の下地と して有機絶縁体からなる平 坦化層を設け、 レーザ光照射は、 画素回路の平坦化層と絶縁 基板 1 1 との間に位置する層に対して行う。
図 1 3 は、 本発明の第 3態様に係る有機 E Lディ スプレイ を概略的に示す断面図である。 この有機 E Lディ スプレイ 1 は、 パッシベーショ ン膜 2 4 と陽極 2 5及ぴ絶縁層 2 6 a と の間に有機絶縁体からなる平坦化層 2 9 が設け られている こ と以外は、 図 1 の有機 E Lディ スプレイ 1 と 同様の構造を有 してレ、る。
例えば、 アク リ ル樹脂などのよ う に、 平坦化層 2 9 の材料 と して使用する有機絶縁体の多く は、 半導体層の分断ゃァモ ルフ ァ ス化に使用する レーザ光並びに金属層の溶断に使用す る レーザ光を高い効率で吸収する。 そのため、 レーザ光照射 すべき半導体層または金属層が基板 1 1 と平坦化層 2 9 と の 間にあれば、 平坦化層 2 9 を第 2態様で絶縁層 2 6 b に関 し
て上述したのと同様の用途で利用する こ とができる。 すなわ ち、 第 2態様で説明 したの と 同様の レーザ光照射を平坦化層 2 9 よ り 下層で行う こ と によ り 、 電極間の短絡や陰極 2 8 の 破壌を生じる こ となく加工を行う こ とができ る。
本態様では、 先のレーザ光照射は、 平坦化層 2 9 と絶縁層 2 6 b と の重複部に対して行 う こ と が望ま しい。 こ うする と 、 平坦化層 2 9及び絶縁層 2 6 b の双方にレーザ光を吸収させ る こ と ができ る。
上述した第 1 乃至第 3態様では、 陽極 2 5 をパッシベーシ ョ ン膜 2 4上に設けたが、 陽極 2 5 は層間絶縁膜 2 1 上に、 つま り 映像信号線 4 2 と陽極 2 5 と を同一平面上に設けても よい。 また、 上記態様では有機 E Lディ スプレイ 1 を素子の 形成されたア レイ基板側を表示面とする下面発光型と した力 対向基板側を表示面とする上面発光型とする こ と もでき る。 下面発光型と した場合にはモジュール組み立て後に加工作業 をする こ とが可能となる。 さ らに、 ア レイ基板 2 を対向基板 3 によ り シーリ ングする場合、 基板間の空間に乾燥剤を封入 する こ と で、 素子の長寿命化を図る こ と も可能であ り 、 また、 対向基板 3 とアレイ基板 2 と の間に樹脂を充填して放熱特性 を向上させる こ と もでき る。
さ らなる利益及び変形は、 当業者には容易である。 それゆ え、 本発明は、 そのよ り 広い側面において、 こ こに記載され た特定の記載や代表的な態様に限定されるべきではない。 し たがって、 添付の請求の範囲及ぴその等価物によって規定さ れる本発明の包括的概念の真意または範囲から逸脱しない範
囲内で、 様々な変形が可能である。