以下において、本発明の偏光板の機能を先に説明する。次に、この機能を奏する偏光板の構造等を説明する。
(本発明の偏光板の機能)
本発明の偏光板は、一方の面(A面)側から入射させたときの全光線透過率が30〜50%、全光線絶対反射率または全光線相対反射率の少なくとも一方が30〜50%、透過光の偏光度が99%以上であり、他方の面(B面)側から入射させたときの全光線透過率が30〜50%、全光線絶対反射率が0〜30%である。
本発明の偏光板では、このような光学特性の偏光板とすることによって、A面により反射型の偏光分離特性を発現させるとともに、B面により外光の映り込みを防止することができる。すなわち、A面側に光を入射した場合は、ある一方の偏光成分を透過し、かつその一方の偏光成分に垂直な偏光成分を反射する偏光分離機能を有する。また、B面側から光を入射させた場合は、ある一方の偏光成分を透過し、かつその一方の偏光成分に垂直な偏光成分を消失させる機能を有することができる。この結果、本発明の偏光板を液晶セルの下側の偏光板としてかつA面側が光源と対向するように設置した場合に、面光源側から出射される光のうち、従来は下側偏光板で吸収されていた偏光成分をA面の反射型分離特性により面光源側に反射させて戻し再利用できる。このため、従来と比べて高輝度の液晶表示装置とすることができる。一方、外光が入射してきた場合にB面で外光を消失させることできる。この結果、従来の反射型偏光板における、黒色表示時の外光の映り込みの問題を解決できる。以上のことから、本発明の反射型偏光板では、一枚の偏光板で高輝度の表示と鮮明な黒色表示の両立が可能となる。
本発明の偏光板は、A面から光を入射したときの全光線透過率TAtが30%〜50%であればよい。ここでいう、全光線透過率TAtとは、受光器に積分球を備えた分光光度計を用いて、A面側から入射角0°で光を入射させたときに測定される値である。より詳しくは、光源とサンプルの間に偏光子を挿入し、その透過率を測定したときに、その透過率が最大となる偏光成分の透過率(最大透過率)TAmaxと、それとは垂直方向の偏光成分の透過率(最小透過率)TAminを測定し、下記式(1)によって得られる、波長550nmでの値のことである。
TAt(%)=(TAmax+TAmin)/2 (1)
全光線透過率TAtは、好ましくは32%〜50%、更に好ましくは35〜50%、特に好ましくは37〜50%である。全光線透過率TAtが30%未満であると、液晶表示装置に組み込んだ場合に、面光源から出た光を十分に透過することができない。その結果、輝度向上効果が得られない。また全光線透過率TAtが50%を超えると、コントラストが低下し、黒色表示時に光漏れが起こり、画像が不鮮明になる。本発明の偏光板において、A面側から光を入射したときの全光線透過率TAtを30%〜50%の範囲とすることで、液晶表示装置に組み込んだ場合に、従来の偏光板と比べて高輝度でかつ、鮮明な表示が可能となる偏光板とすることができる。
また本発明の偏光板では、B面から光を入射したときの全光線透過率TBtが30%〜50%である。ここでいう、全光線透過率TBtとは、積分球を備えた分光光度計において、B面側から入射角0°で光を入射したときの全光線透過率TBtが30%〜50%であることを特徴とする。より詳しくは、光源とサンプルの間に偏光子を挿入し、その透過率を測定したときに、その透過率が最大となる偏光成分の透過率(最大透過率)TBmaxと、それとは垂直方向の偏光成分の透過率(最小透過率)TBminを測定し、下記式(2)によって得られる、波長550nmでの値のことである。
TBt(%)=(TBmax+TBmin)/2 (2)
全光線透過率TBtは、好ましくは32%〜50%、更に好ましくは35〜50%、特に好ましくは37〜50%である。全光線透過率TBtが30%未満であると、液晶表示装置に組み込んだ場合に、面光源から出た光を十分に透過することができない。その結果、輝度向上効果が得られない。また全光線透過率TBtが50%を超えると、コントラストが低下し、黒色表示時に光漏れが起こり、画像が不鮮明になる。本発明の偏光板において、B面側から光を入射したときの全光線透過率TBtを30%〜50%の範囲とすることで、液晶表示装置に組み込んだ場合に、従来の偏光板と比べて高輝度でかつ、鮮明な表示が可能となる偏光板とすることができる。
また、本発明の偏光板では、A面から光を入射したときの全光線絶対反射率RAtまたは全光線相対反射率R’Atの少なくとも一方が30%〜50%である。ここでいう、全光線絶対反射率RAtとは、分光光度計を用いて、A面側に入射角5°で光を入射させたときに正反射として測定される値である。より詳しくは、光源とサンプルの間に偏光子を挿入し、その絶対反射率を測定したときに、その反射率が最大となる偏光成分の絶対反射率(最大絶対反射率)RAmaxと、それとは垂直方向の偏光成分の絶対反射率(最小絶対反射率)RAminを測定し、下記式(3)によって、得られる波長550nmでの値のことである。
RAt(%)=(RAmax+RAmin)/2 (3)
また、全光線相対反射率とは、内面が硫酸バリウム製の積分球、10°傾斜スペーサーを備えた分光光度計、標準白色板として硫酸バリウムを用いて、入射角10°で光を入射させたときの拡散反射として測定される値である。より詳しくは、光源とサンプル(実際には光源と積分球)の間に偏光子を挿入し、その絶対反射率を測定したときに、その反射率が最大となる偏光成分の相対反射率(最大相対反射率)R’Amaxと、それとは垂直方向の偏光成分の相対反射率(最小相対反射率)R’Aminを測定し、下記式(3’)によって、得られる波長550nmでの値のことである。
R’At(%)=(R’Amax+R’Amin)/2 (3’)
全光線絶対反射率RAtまたは全光線相対反射率R’Atは、好ましくは32%〜50%、更に好ましくは35〜50%、特に好ましくは37〜50%である。全光線絶対反射率RAtおよび全光線相対反射率R’Atの両方が30%未満であると、光の利用効率が低下し、輝度向上効果が得られない。また全光線絶対反射率RAtおよび全光線相対反射率R’Atの両方が50%を超えると、全光線透過率が低下し、面光源から出た光を十分に透過することができず、その結果、輝度向上効果が得られない。本発明の偏光板において、A面側から光を入射したときの全光線絶対反射率RAtまたは全光線相対反射率R’Atのいずれか一方を30%〜50%の範囲とすることで、従来の偏光板と比べて高輝度となる偏光板とすることができる。
また、本発明の偏光板では、B面から光を入射したときの全光線絶対反射率RBtが0〜25%である。ここでいう、全光線絶対反射率RBtとは、分光光度計を用いて、B面側に入射角5°で光を入射させたときに正反射として測定される値である。より詳しくは、光源とサンプルの間に偏光子を挿入し、その絶対反射率を測定したときに、その反射率が最大となる偏光成分の絶対反射率(最大絶対反射率)RBmaxと、それとは垂直方向の偏光成分の絶対反射率(最小絶対反射率)RBminを測定し、下記式(4)によって、得られる波長550nmでの値のことである。
RBt(%)=(RBmax+RBmin)/2 (4)
全光線絶対反射率RBtは好ましくは0〜25%、更に好ましくは0〜20%、特に好ましくは0〜15%、最も好ましくは0〜10%である。全光線絶対反射率RBtが30%を超えると液晶表示を黒表示としたときに、外光が映り込んで反射し、白っぽくなり、画像が不鮮明となる。B面側から光を入射したときの全光線絶対反射率RBtを0〜30%の範囲とすることで、液晶表示装置に組み込んだ場合に、従来の偏光板と比べて高い輝度を保ちながら、鮮明な黒表示とすることができる。
また、本発明の偏光板では、A面側から光を入射したときの偏光度が99%以上である。ここでいう、偏光度とは、受光器に積分球を備えた分光光度計を用いて、A面側から入射角0°で光を入射させたときの透過光の偏光成分の割合を示す値のことである。より詳しくは、サンプルと受光器の間に偏光子を挿入し、無偏光状態の光を入射させて、偏光子の角度を変化させながらの透過率を測定したときに、その透過率が最大となる偏光成分の透過率(最大透過率)T’Amaxと、それとは垂直方向の偏光成分の透過率(最小透過率)T’Aminを測定し、下記式(5)によって得られる、波長550nmでの値のことである。
偏光度P=(T’Amax−T’Amin)/(T’Amax+T’Amin)×100 (5)
偏光度は、好ましくは99.2%以上、より好ましくは99.5%以上である。偏光度が99%未満であると、液晶表示装置に組み込んだ場合において、輝度向上効果が十分に得られず、また液晶表示を黒表示としたときに、光源からの光を十分隠蔽することができず光漏れが起こり、表示が不鮮明となる。本発明の偏光板において、A面側から入射したときの透過光の偏光度Pを99%以上とすることによって、液晶表示装置に組み込んだ場合に、従来の偏光板と比べて高い輝度を保ちながら、鮮明な黒表示ができる。
本発明の偏光板は、その総膜厚が150μm以下であることが好ましい。この膜厚にすることによって、従来の偏光板と比べて薄い液晶表示装置とすることができる。より好ましくは120μm以下、更に好ましくは110μm以下、特に好ましくは100μm以下である。ここで、偏光板の総膜厚とは、偏光板を構成する各層の全てを含めた厚みのことである。
本発明の偏光板の偏光分離方式としては、多層積層方式、プリズム方式、液晶配列方式、異方拡散方式、ワイヤーグリッド方式、およびこれらを組み合わせたものなど、反射型の偏光分離機能を有するものを少なくとも含むものであればいずれも用いることができる。この中で、薄型で、単一構造で、広い波長領域で高い偏光分離性能の発現可能なワイヤーグリッド方式を少なくとも含むことが好ましい。ワイヤーグリッド方式を含む構成とすることにより、従来の偏光板で問題となっていたコントラスト、輝度、耐熱性、薄型化を全て兼ね備えた偏光板とすることができる。
以下に、上記機能を有する偏光板の例を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の偏光板を模式的に説明する図である。本発明の偏光板は、図1(a)に示す、基材1と、所定の間隔で配置される複数の線状の金属層3と、所定の間隔で配置される複数の線状の黒色層2とを備え、前記複数の線状の金属層3と前記複数の線状の黒色層2のうち、少なくともいずれか一方の層が、前記基材上に設けられている構造の偏光板(以下、「本発明の偏光板(1)」という)と、図1(b)に示す、基材1と、前記基材表面に所定の間隔で配列する複数の線状の金属層3と、前記線状の金属層3と接し、前記複数の線状の金属層3を被覆している、透明層4とを有する構造の偏光板(以下、「本発明の偏光板(2)」という)とを少なくとも含む。
[本発明の偏光板(1)]
本発明の偏光板(1)は、少なくとも、基材1と、間隔を開けて複数形成された線状金属層3と、間隔を開けて複数形成された線状黒色層2を有する。ここで、線状黒色層2とは、後で定義する黒色を呈した層のことをいう。本発明の偏光板(1)においては、上記構成とすることで、線状金属層3により反射型の偏光分離特性を発現させるとともに、線状黒色層2により外光の映り込みを防止する。
ここで、偏光板(1)の各面を 1)線状金属層3と線状黒色層2とが基材1の異なる面に形成されている偏光板においては、線状金属層3が形成されている面をA面、線状黒色層2が形成されている面をB面とし 2)線状金属層3と線状黒色層2とが基材1の同一面に形成されている偏光板においては、基材1面に平行な線状金属層3と線状黒色層2との界面より、線状金属層3側の面をA面、線状黒色層2側の面をB面とする。また、1)、2)のいずれにも該当しない場合は、両面の反射率を測定し、より反射率が高い方の面をA面、より反射率が低い方の面をB面とする。A面側から光を入射した場合は、線状金属層3の長手方向に垂直な偏光成分を透過し、かつ該偏光成分に垂直な方向(線状金属層3の長手方向に平行な方向)の偏光成分を反射する偏光分離機能を有する。さらに、B面側から光を入射させた場合は、線状黒色層2の長手方向に垂直な方向の偏光成分(線状黒色層2の長手方向に垂直な方向)を透過し、かつ該偏光成分に垂直な方向(線状黒色層2の長手方向に平行な方向)の偏光成分を消失させる機能を有する。
本発明の偏光板(1)を液晶セルの下側の偏光板としてかつA面側を面光源側になるように設置した場合に、面光源側から入射される光のうち、従来は下側偏光板で吸収されていた偏光成分を線状金属層3の反射型分離特性により面光源側に反射させて戻し再利用できる。この結果、従来と比べて高輝度の液晶表示装置とすることができる。また、外光が入射してきた場合に線状黒色層2で外光を消失させることができる。この結果、黒色表示時の外光が映り込むという従来の反射型偏光板における問題が解消する。すなわち、本発明の反射型偏光板(1)では、一枚の偏光板で、高い輝度を保ちながら、鮮明な黒表示ができる。
(線状黒色層)
線状黒色層2としての黒色は、見かけ上、黒色を呈していればよい。その黒色を発現させる方法としては、1)適用する波長領域において光を吸収させる、2)適用する波長領域において薄膜干渉により消失させる、3)これら1)と2)を組み合わせた方法等を用いるとよい。ここで、1)の「適用する波長領域において光を吸収する」とは、線状黒色層2に入射した光を熱などの別のエネルギーに変換されることによって消失させる方法である。2)の「適用する波長領域において薄膜干渉により消失させる」とは、線状黒色層2表面で反射した光と、線状黒色層2の内部に入り込み裏面などで反射して戻ってきた光とを、位相の違いにより互いに打ち消し合わせることで消失させる方法である。
本発明の偏光板(1)において、線状黒色層2を構成する例としては、金、銀、銅、白金、ケイ素、硼素、パラジウム、レニウム、バナジウム、オスミウム、コバルト、鉄、亜鉛、ルテニウム、プラセオジウム、クロム、ニッケル、アルミニウム、スズ、亜鉛、チタン、タンタル、ジルコニウム、アンチモン、インジウム、イットリウム、ランタニウム、マグネシウム、カルシウム、セリウム、ハフニウム、バリウム、等のいずれかの群から選ばれる無機物、上記無機物群を主たる成分とするものを酸化、亜酸化、次亜酸化させたもの、若しくは上記無機物群と上記無機物群を酸化、亜酸化、次亜酸化させたものとの混合物(以後これらを称して無機酸化物(1)とする)、上記無機物群を主たる成分とするものを窒化、亜窒化、次亜窒化させたもの、もしくは上記無機物群と上記無機物群を窒化、亜窒化、次亜窒化したものとの混合物(以後これらを称して無機窒化物(1)とする)、上記無機物群を主たる成分とするものを酸窒化、亜酸窒化、次亜酸窒化させたもの、もしくは上記無機物群と上記無機物群を酸窒化、亜酸窒化、次亜酸窒化させたものの混合物(以後これらを称して無機酸窒化物(1)とする)、上記無機物群を主たる成分とするものを炭化、亜炭化、次亜炭化させたもの、もしくは上記無機物群と上記無機物群を炭化、亜炭化、次亜炭化させたものとの混合物(以後これらを称して無機炭化物(1)とする)、上記無機物群を主たる成分とするものをフッ化および/または塩素化および/または臭化および/またはヨウ化(以下、これらをハロゲン化とする)、亜ハロゲン化、次亜ハロゲン化させたもの、上記無機物群と上記無機物群をハロゲン化、亜ハロゲン化、次亜ハロゲン化させたものとの混合物(以後これらを称して無機ハロゲン化物(1)とする)、もしくは上記無機物群と上記無機物群を硫化、亜硫化、次亜硫化させたものとの混合物(以後これらを称して無機硫化物(1)とする)、およびグラファイト状カーボン、ダイヤモンドライクカーボンなどの炭素系化合物(以後これらを称し炭素系化合物(1)とする)、などの無機物群、フタロシアニン、アゾ系化合物、ピリジン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、シアニン系化合物、メロシアニン系化合物、クマリン系化合物、ポリメチン系化合物、マーキュロム系化合物、エオシン系化合物、などと上記無機物群とが錯形成した有機金属錯体系化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物、ジケトピロロキノール化合物、キナクドリン化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾリン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン系化合物などの芳香族系有機化合物などの有機物群、およびこれらの混合物などが挙げられる。この中で、特に、無機酸化物(1)、無機窒化物(1)、無機酸窒化物(1)、無機炭化物(1)、無機ハロゲン化物(1)、無機硫化物(1)、炭素系化合物(1)が、光消失効率が高いという点でより好ましい。なお、上記材料は線状黒色層2中に少なくとも含んでいればよいが、より好ましくは主たる成分とすることがよい。なお、線状黒色層中において50重量%を越える場合を主成分と定義する。
本発明の偏光板(1)において、線状黒色層2としては、上記材料を少なくとも含む単一の層であっても良いし、複数の層からなる積層構造であっても構わない。積層構造にした場合、各層の積層厚みを制御することによって、光の消失効果をより高めたり、より広範囲の波長領域の光を消失させたりすることができる。
本発明の偏光板(1)において、線状黒色層2としては、膜厚100nmのアルミニウムの蒸着膜(基材:表面が平滑な硼珪酸ガラス(BK−7))上に形成したときに、その線状黒色層2形成前の全光線絶対反射率Ra,線状黒色層2形成後の全光線絶対反射率Rbを用いて、下記式(6)により求められる光消失率Lが、適用する波長領域全体の平均値として40%以上となるものを線状に周期的に複数形成したものである。
光消失率L(%)=(Ra−Rb)/Ra×100 (6)
ここで、線状黒色層2形成前の絶対反射率Ra、線状黒色層2形成後の絶対反射率Rbとは、分光光度計を用いて、それぞれ、入射角5°で無偏光状態の光を入射させたときに正反射として測定される値である。好ましくは上記式(6)により得られる消失率が50%以上、さらに好ましくは60%以上である。光消失率Lが40%未満であると、液晶表示を黒表示としたときに、外光が映り込んで反射し、白っぽくなり、画像が不鮮明となることがあるため好ましくない。本発明の偏光板(1)において、光消失率Lを40%以上とすることによって、液晶表示装置に組み込んだ場合に、従来の偏光板と比べて高い輝度を保ちながら、鮮明な黒表示ができる。
本発明の偏光板(1)において、線状黒色層2としては、使用波長において、光を吸収するものを少なくとも含んでいるとよい。すなわち、液晶表示装置に用いる場合には400〜800nmの可視光領域において光を吸収する特性を有するものを少なくとも含むことが好ましい。上述の黒色を発現する方法において 1)の「適用する波長領域において光を吸収する」方法においては、光を吸収するものを含むことが必須の要件であるが、2)の「適用する波長領域において薄膜干渉により消失させる」方法においては、材料に光吸収性を持たせることで(すなわち、3)の1)と2)を組み合わせた方法)、角度依存性や波長依存性を低減させることが可能となる。
(線状金属層)
また、本発明の偏光板(1)において、線状金属層3は、「高反射性金属からなる層」、及び/又は「高反射性金属粒子、及び/又は、高反射性金属により被覆された粒子を含有する層」であることが好ましい。また、これらが混ざり合った層でもよいし、積層された構造であってもよい。
ここで、「高反射性金属からなる層」とは、単一の金属または複数の金属からなる合金からなる線状金属層3である。好ましくは、一層若しくは異なる材質からなる二層以上の積層構造である。異なる材質からなる二層以上の積層構造の場合には、少なくとも一層が高反射性金属からなる層であればよい。例えば、反射性の低い金属酸化物などが線状金属層3表面に積層されていてもよい。なお、酸化しやすい高反射性金属を用いる場合には、予め保護層として線状金属層3表面に、この高反射性金属もしくはその他金属の酸化物からなる透明層を形成し、経時安定性を高めると好ましい。
また、「高反射性金属粒子、及び/又は、高反射性金属により被覆された粒子を含有する層」に含まれる高反射性金属粒子および高反射性金属により被覆された粒子は、粒子径が1〜100nmであることが好ましく、さらに好ましくは1〜50nmである。ここでいう粒子径とは、メジアン径d50のことをいう。粒子径が100nm以下の金属粒子は融着温度が低下するため、例えば200〜300℃での低温熱処理でも粒子が連結し始め、金属としての特性を発現し光反射性が向上するため好ましい。また、粒子径が50nm以下になると、より低温かつ短時間の熱処理で粒子が融着するため、さらに好ましい。これら粒子の形状は特に限定されることなく、いずれの形態であっても好ましく用いることができる。また、高反射性金属に被覆される内層の粒子は、例えば、アクリル樹脂などの架橋樹脂粒子や、シリカ、アルミナなどの無機粒子など、特に限定されることなく好ましく用いられる。これら高反射性金属粒子、高反射性金属粒子で被覆された粒子は、粒子単独、または粒子と分散剤の組み合わせ、さらには、粒子と分散剤とバインダーとなる熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれか又はこれらの混合物を主成分とする樹脂組成物と組み合わせられることにより、「高反射性金属粒子、及び/又は、高反射性金属により被覆された粒子を含有する層」を形成することが好ましい。
本発明の偏光板(1)において、高反射性金属としては、アルミニウム、クロム、銀、銅、ニッケル、白金および金から選ばれる金属およびそれらを主たる成分とする合金であることが好ましい。ここで、主たる成分とするとは、線状金属層3中における該金属の含量が50重量%を超える場合をいう。また、高反射性とは、使用する光の波長領域において高い反射率を示すことをいう。具体的には表面が平滑な硼珪酸ガラス(BK−7)上に100nmの厚さで形成させ、その金属層側から入射させたときの反射率が、適用する波長領域全体にわたって、75%以上であることをいう。より好ましくは80%以上、更に好ましくは85%以上である。反射率が75%未満の金属を線状金属層3として用いた場合、光学ロスが多くなり、光利用効率を十分に得ることができないことや、光学ロスが小さくても偏光度が低下することがあるため好ましくない。本発明の偏光板(1)において、反射率が75%以上の金属を使用することによって、光利用効率を高くできるだけでなく、高い偏光度を得ることができる。前記金属のうち、アルミニウム、クロム、銀が、可視光領域の全域に亘って反射率が高いためより好ましい。
(本発明の偏光板(1)の形態)
本発明の偏光板(1)は、基材1上に上記の線状黒色層2と線状金属層3をそれぞれ間隔を開けて複数形成される。本発明の偏光板(1)の形態について、図2〜図10を用いて、詳細に説明する。
図2〜4は、表面が平坦な基材1を用いた場合の好ましい態様の例を示している。図5〜10は、断面が矩形の凸部11を有する線状の凹凸構造(以下、線状凹凸構造とする)10を例にして、線状黒色層2と線状金属層3の好ましい態様の例を示したものである。
例えば、表面が平坦な基材1を用いた場合、線状黒色層2と線状金属層3の相対的な関係としては図2(a)〜(h)の様に、線状黒色層2と線状金属層3が基材1に対して同じ側の表面に形成される場合、図2(i)〜(j)の様に、線状黒色層2と線状金属層3が基材1に対して反対側に形成される場合などが好ましい例として挙げられる。線状黒色層2と線状金属層3が基材1に対して同じ側の表面に形成される場合は、基材1上に線状金属層3が形成され、その上に線状黒色層2が形成される場合(図2(a))、基材1上に線状黒色層2が形成され、その上に線状金属層3が形成される場合(図2(b))、基材1上に直接線状黒色層2と線状金属層3の両方が形成される場合(図2(c)、(d))、あるいはそれらを組み合わせた場合(図2(e)〜(h)等が好ましい例として挙げられる。
また、線状黒色層2と線状金属層3が基材1に対して反対側に形成される場合は、線状黒色層2と線状金属層3とがフィルム面に対して対称的な位置関係にある場合(図2(i))、線状黒色層2と線状金属層3とがフィルム面に対して対照的な位置関係にない場合(図2(j))等が好ましい例として挙げられる。これらの形態は単独であっても構わないし、複数の形態が混在しても構わない。ただし、図2(j)においては、線状黒色層2の線状幅w21の幅は線状金属層3間の幅w32より小さい、もしくは線状金属層の幅w31は線状黒色層2間の幅w22の幅より小さい。
基材1上に形成された場合の線状黒色層2の断面形状としては、例えば、矩形(図3(a))、台形(図3(b))、三角形(図3(c))またはそれらの角や側面が曲線状であるもの(図3(d)〜(f))、およびこれらの上下を反転させた形状等が好ましい例として挙げられる。これらの形態は単独であっても構わないし、複数の形態が混在しても構わず、また、これらに限定されることなく、面内に線状黒色層2が間隔を開けて複数形成されていれば好ましく用いることができる。また、基材1上に形成された場合の線状金属層3の断面形状としては、例えば、矩形(図3(g))、台形(図3(h))、三角形(図3(i))またはそれらの角や側面が曲線状であるもの(図3(J)〜(l))、およびこれらの上下を反転させた形状等が好ましい例として挙げられるが、これらに限定されることなく、面内に線状金属層3が間隔を開けて複数形成されていれば好ましく用いることができる。また、図4(a)は図3(a)、図4(b)は図3(g)の断面形状をもつ基材1の斜視図を示しており、基材1表面上に線状黒色層2、および線状金属層3が線状に形成されている様子をそれぞれ表している。
また、基材1の片側に線状凹凸構造10を有する場合、線状黒色層2と線状金属層3の相対的な関係としては、線状黒色層2が線状凹凸構造10上に形成され、線状金属層3が平坦面側に形成される場合(図5)、線状黒色層2が平坦面側に形成され、線状金属層3が線状凹凸構造10上に形成される場合(図6)、どちらも線状凹凸構造10上に形成される場合(図7、図8)、どちらも平坦面側に形成される場合(図2(a)〜(h)と同様)等が好ましい例として挙げられる。
線状黒色層2が基材1の線状凹凸構造10側に形成され、線状金属層3が基材1の平坦面側に形成される場合、その位置関係ついては、線状金属層3が基材1の線状凹凸構造10の凸部11の裏側に形成される場合(図5(a)〜(e))、線状金属層3が線状凹凸構造10の凹部の裏側に形成される場合(図5(f)〜(j))、等が好ましい例として挙げられる。これらの形態は単独であっても構わないし、複数の形態が混在しても構わない。ただし、図5(f)〜(j)においては、線状黒色層2の幅w21の幅は線状金属層3間の幅w32より小さく、もしくは線状金属層の幅w31は線状黒色層2間の幅w22の幅より小さくする。
また、線状金属層3が線状凹凸構造10側に形成され、線状黒色層2が平坦面側に形成される場合、その位置関係については、線状黒色層2が線状凹凸構造10の凸部11の裏側に形成される場合(図6(a)〜(e))、線状黒色層2が線状凹凸構造10の凹部の裏側に形成される場合(図6(f)〜(j))、等が好ましい例として挙げられる。これらの形態は単独であっても構わないし、複数の形態が混在しても構わない。ただし、図6(e)〜(i)においては、線状黒色層2の幅w21の幅は線状金属層3間の幅w32より小さく、もしくは線状金属層の幅w31は線状黒色層2間の幅w22の幅より小さくする。
また、線状黒色層2が線状凹凸構造10に形成され、次いで線状金属層3も線状凹凸構造10上に形成される場合の位置関係、形態については、線状黒色層2が線状凹凸構造10の凸部11の頂部に形成される場合(図9(a))を例とすると、線状黒色層2と線状金属層3が接して形成される場合(図7(a)〜(d))、線状金属層3が線状凹凸構造10と接して形成される場合(図7(e)〜(f))、線状金属層3が線状黒色層2と線状凹凸構造10の両方に接する場合(図7(g)〜(i))等が好ましい例として挙げられる。これらの形態は単独であっても構わないし、複数の形態が混在しても構わない。
また、線状金属層3が線状凹凸構造10上に形成され、次いで線状黒色層2が線状凹凸構造10上に形成される場合の位置関係、形態については、線状金属層3が線状凹凸構造10の凸部11の頂部に形成される場合(図9(f))を例とすると、線状金属層3と線状黒色層2が接して形成される場合(図8(a)〜(d))、線状黒色層2が線状凹凸構造10と接して形成される場合(図8(e)〜(f))、線状黒色層2が線状金属層3と線状凹凸構造10の両方に接する場合(図8(g)〜(i))等が好ましい例として挙げられる。より好ましいのは、基材表面の法線方向に、線状黒色層2と、線状金属層3とが積層された構造を含む(図8(a)、(c)、(d)、(h)、(i))。これらの形態は単独であっても構わないし、複数の形態が混在しても構わない。
ここで、線状黒色層2が線状凹凸構造10側に形成される場合の線状黒色層2の形態としては、線状黒色層2が線状凹凸構造10の凸部11の頂部に形成される場合(図9(a))以外に、隣接する凸部11間、すなわち凹部12に形成される場合(図9(b))、凸部11の側面に形成される場合(図9(c))、凸部11の周囲に形成される場合(図9(d))、またはこれらを組み合わせた形状に形成される場合(例えば図9(e))などが好ましい例として挙げられる。これらの形態は単独であっても構わないし、複数の形態が混在しても構わない。
また、線状金属層3が線状凹凸構造10側に形成される場合の線状金属層3の形態としては、線状金属層3が線状凹凸構造10の凸部11の頂部に形成される場合(図9(f))以外に、隣接する凸部11間、すなわち凹部12に形成される場合(図9(g))、凸部11の側面に形成される場合(図9(h))、凸部11の周囲に形成される場合(図9(i))、またはこれらを組み合わせた形状に形成される場合(例えば図9(j))などが好ましい例として挙げられる。これらの形態は単独であっても構わないし、複数の形態が混在しても構わない。
図10(a)は、図9(a)、図10(b)は図9(f)の断面形状をもつ基材1の斜視図を示しており、基材1表面上に線状黒色層2が、および基材1表面上に線状金属層3が、線状に形成されている様子をそれぞれ表している。
ここで、本発明の偏光板(1)において、上述の形状のうち、線状黒色層2と線状金属層3の位置関係は、好ましくは図2(a)〜(b)、(e)〜(i)、図5(a)〜(d)、(j)、図6(a)〜(d)、(j)、図7(a),(c)〜(d)、(h)〜(i),図8(a),(c)〜(d)、(h)〜(i)のように、線状黒色層2を通り、線状黒色層2の長手方向に平行で、かつフィルム面に垂直な面内に線状金属層3が存在する(または、線状金属層3を通り、線状金属層3の長手方向に平行で、かつフィルム面に垂直な面内に線状黒色層2がある)のが高透過率、高光利用効率と外光反射の抑制を両立できるという点で好ましい。特に、図2(a)、(e),(g)、図8(a)、(c)、(d)、(h)、(i)の様に線状金属層3上に線状黒色層2が形成されている、もしくは図2(b)、(f),(h)、図7(a)、(c)、(d)、(h)、(i)の様に線状黒色層2上に線状金属層3が形成されているのが、加工が容易であるという点で、より好ましい。本発明の偏光板(1)において、上述の構成とすることによって、反射型偏光板としての高透過率、高偏光度、光利用効率を維持したまま、外光の反射を抑制することが可能となる。その結果、従来の反射型偏光板では困難であった下側偏光板と置き換えて液晶セルに張り合わせた形での使用が可能で、かつ光の再利用により輝度向上可能な偏光板とすることができる。
本発明の偏光板(1)において、線状黒色層2の膜厚h2は1〜200nmであることが好ましい。この膜厚にすることによって、黒色層形成材料による光吸収に加え、薄膜干渉効果も利用することができるため好ましい。ここでいう線状黒色層2の膜厚h2とは、本発明の偏光板の膜厚方向に測定した膜厚であって、基材1の上の少なくとも一部に前記範囲を満たす膜厚で線状黒色層2が形成されていればよい。特に、図2(a)、(e)、(g)、図8(a)、(c)、(d)、(h)、(i)の様に線状金属層3上に線状黒色層2が形成されてる場合においては、線状金属層3の頂部上から上述の厚さの線状黒色層2が形成されるのが好ましい。線状黒色層2の膜厚としてより好ましくは1〜200nm、さらに好ましくは1〜100nmである。特に好ましくは1〜50nmである。線状黒色層2の膜厚h2が1nm未満であると、十分な外光の反射抑制効果を得ることができないため好ましくない。また、線状黒色層2の膜厚h2が200nmをこえると透過光を不必要に吸収してしまい、透過率が低下することがあるため好ましくない。本発明の偏光板(1)において、線状黒色層2の膜厚h2を1〜200nmの範囲とすることによって、高透過率と外光の反射抑制効果を両立した偏光板とすることができる。
また、本発明の偏光板(1)において、線状黒色層2の幅w21は、線状黒色層2のピッチp2との比 w21/p2に対して、0.1〜0.7であることが好ましい。ここで、この比率を算出するための線状黒色層2の幅w21、ピッチp2とは、線状黒色層2の長手方向に垂直な断面において、基材1面と平行方向に測定される線状黒色層2の幅、および、繰り返し単位のことである。より好ましくはw21/p2が0.2〜0.6、更に好ましくは0.3〜0.6である。この比率が0.7を越える場合には、光利用効率と透過率が低下するため好ましくない。またw21/p2が0.1未満であると、十分な外光の反射抑制効果を得ることができないため好ましくない。本発明の偏光板(1)において、線状黒色層2の幅w21とピッチp2との比 w21/p2を0.1〜0.7の範囲とすることによって、高透過率と外光の反射抑制効果を両立した偏光板を得ることができる。
本発明の偏光板(1)において、線状黒色層2のピッチp2、幅w21は、適用する光の波長領域によって適宜選択すればよい。たとえば、波長800〜4000nmの近赤外・赤外光の波長領域に適用するためには、ピッチp2=50〜800nm、幅w21=20〜780nm、また、波長400〜800nmの可視光の波長領域に適用するためにはピッチp2=50〜400nm、幅w21=20〜380nmで形成するなどである。この寸法の線状黒色層2が形成されることにより、それぞれ適用する光の波長領域において偏光特性を落とすことなく外光の反射抑制効果を発現させることが可能となる。
特に、可視光の波長領域に適用する場合において、ピッチp2については、400nmを越えると、可視光の短波長領域の偏光度が低下することになり好ましくない。また、ピッチp2が50nmを下回ると、線状黒色層2を形成することが難しくなるため好ましくない。ピッチp2として、より好ましくは70〜200nm、更に好ましくは80〜160nm、特に好ましくは80〜140nmである。
また、幅w21については、20nmより狭くなると、成形が困難となる。また、成形できたとしても映り込み防止効果が低下することがあるため好ましくない。また、幅w21は、近赤外光領域の波長領域に適用する場合は780nm、可視光の波長領域に適用する場合においては380nmよりも太い場合、開口率が非常に低くなり、光線透過率が低くなったり、本来透過すべき方向偏光も吸収し、偏光度が低下する場合があるため好ましくない。幅w21については、近赤外光の波長領域に適用する場合はさらに好ましくは、20〜300nm、最も好ましくは20〜200nm、可視光の波長領域に適用する場合は、さらに好ましくは20〜150nm、最も好ましくは25〜100nmである。
ピッチp2および幅w21は、面内において反射防止特性、偏光特性の均一性を保つため、一定であることが好ましい。前記範囲内であれば、種々のピッチおよび幅が混ざり合っていてもよい。また、可視光領域に適用する形状で偏光板を作製すると、可視光領域だけでなく、より長波長である近赤外線領域や赤外線領域においても反射抑制効果を発現させることができる。したがって、近赤外線用または赤外線用の偏光板としても使用可能である。
また、本発明の偏光板(1)において、線状金属層3の膜厚h3は、10〜200nmであることが好ましい。ここでいう線状金属層3の膜厚h3とは、本発明の偏光板(1)の膜厚方向に測定した膜厚であって、基材1の上の少なくとも一部に前記範囲を満たす膜厚で線状金属層3が形成されていればよい。線状金属層3の膜厚h3としてより好ましくは30〜200nm、さらに好ましくは40〜200nmである。線状金属層3の膜厚h3が10nm未満であると、十分な偏光度が得られず偏光板として機能しないこと、十分な反射率が得られず高い光利用効率を得ることができないことがあるため好ましくない。線状金属層3の膜厚h3が200nmを超えると、形成が困難となったり、線状金属層3の形成により凸幅が広がったりし、その結果、十分な開口率を確保できないため、透過率が低下するため好ましくない。本発明の偏光板(1)において、線状金属層3の膜厚を10〜200nmの範囲とすることによって、高い透過率と偏光度、光利用効率を兼ね備えた偏光板とすることができる。
ここで、本発明の偏光板(1)において、基材1表面に線状凹凸構造10を有する場合、高い光利用効率と高透過率を得るためには、線状金属層3が凸部11周辺だけに形成されること(例えば、図7(a)〜(d)、(g)〜(i)、図8など)がより好ましい。この場合、凸部11上に形成された線状金属層3膜厚と凸部11の高さhを足し合わせた高さは、400nm以下であることがより好ましい。足し合わせた高さが400nmを越えると偏光特性が光の入射角度に依存することがあるため好ましくない。本発明の偏光板(1)において、凸部11上に形成された線状金属層3膜厚と凸部11の高さhを足し合わせた高さを400nm以下とすることによって、光の入射角度に依存せず、均一な偏光特性を得ることができる。
また、本発明の偏光板(1)において、線状金属層3の幅w31は、線状金属層3のピッチp3との比 w31/p3が、0.1〜0.7であることが好ましい。ここで、この比率を算出するために必要な線状金属層3の幅w31、ピッチp3とは、線状黒色層2の長手方向に垂直な断面において、基材1面と平行方向に測定される線状黒色層2の幅、および、繰り返し単位のことである。より好ましくはw31/p3が0.2〜0.6、更に好ましくは0.3〜0.6である。w31/p3が0.7を越える場合には、透過率が低下するため好ましくない。またこの比率が0.1未満であると、十分な偏光度が得られないこと、十分な反射率が得られず高い光利用効率を得ることができないため好ましくない。本発明の偏光板(1)において、線状金属層3の幅w31とピッチp3との比 w31/p3を0.1〜0.7の範囲とすることによって、高い透過率と偏光度、光利用効率を兼ね備えた偏光板とすることができる。
本発明の偏光板(1)において、線状金属層3のピッチp3、幅w31は、適用する光の波長領域によって適宜選択すればよい。たとえば、波長800〜4000nmの近赤外・赤外光の波長領域に適用するためには、ピッチp3=50〜800nm、幅w31=20〜780nm、また、波長400〜800nmの可視光の波長領域に適用するためにはピッチp3=50〜400nm、幅w31=20〜380nmで形成するなどである。この寸法の線状金属層3が形成されることにより、それぞれ適用する光の波長領域において高い偏光特性を発現させることが可能となる。
特に、可視光の波長領域に適用する場合において、ピッチp3については、400nmを越えると、可視光の短波長領域の偏光度が低下することになり好ましくない。また、ピッチp3が50nmを下回ると、線状金属層2を形成することが難しくなるため好ましくない。ピッチp3として、より好ましくは70〜200nm、更に好ましくは80〜160nm、特に好ましくは80〜140nmである。
また、幅w31については、20nmより狭くなると、成形が困難となる。また、成形できたとしても映り込み防止効果が低下することがあるため好ましくない。また、幅w31は、近赤外光領域の波長領域に適用する場合は780nm、可視光の波長領域に適用する場合においては380nmよりも太い場合、開口率が非常に低くなり、光線透過率が低くなったり、本来透過すべき方向偏光も反射し、偏光度が低下する場合があるため好ましくない。幅w31については、近赤外光の波長領域に適用する場合はさらに好ましくは、20〜300nm、最も好ましくは20〜200nm、可視光の波長領域に適用する場合は、さらに好ましくは20〜150nm、最も好ましくは25〜100nmである。
ピッチp3および幅w31は、面内において偏光特性の均一性を保つため、一定であることが好ましい。また、前記範囲内であれば、種々のピッチおよび幅が混ざり合っていてもよい。また、可視光領域に適用する形状で偏光板を作製すると、可視光領域だけでなく、より長波長である近赤外線領域や赤外線領域においても偏光特性を発現させることができる。すなわち、近赤外線用または赤外線用の偏光板としても使用可能である。
また、本発明の偏光板(1)において、線状金属層3の膜厚h3と幅w31の比 h3/w31が、0.5以上であることが好ましい。より好ましくは0.6以上、更に好ましくは0.7以上、特に好ましくは0.8以上、最も好ましくは1.0以上である。h3/w31が0.5に満たない場合は、十分な偏光度が得られなかったり、十分な反射率が得られず高い光利用効率を得ることができないため好ましくない。本発明の偏光板(1)において、線状金属層3の膜厚h3と幅w31の比 h3/w31を0.5以上とすることによって、高い透過率と偏光度、光利用効率を兼ね備えた偏光板とすることができる。
[本発明の偏光板(2)]
本発明の偏光板(2)は、少なくとも、基材1と、前記基材表面に所定の間隔で配列する複数の線状の金属層3と、前記線状の金属層と接し、前記複数の線状の金属層を被覆している、透明層4を有する。
ここで、透明層4とは、実質的に光を吸収しない層のことをいう。本発明の偏光板(2)において、連続的な透明層4は、所定の間隔で配列する複数の線状金属層3と接するように被覆している。この構成により、線状金属層3により反射型の偏光分離特性を発現させるとともに、透明層4により外光の映り込みを防止することができる。
具体的には、偏光板(2)においては、前記基材1面に平行な前記線状の金属層3と前記透明層4との界面よりも、線状金属層3側をA面、透明層4側をB面とする。また、いずれにも該当しない場合は、両面の反射率を測定し、より反射率が高い方の面をA面、より反射率が低い方の面をB面とする。A面側から光を入射した場合は、線状金属層3の長手方向に垂直な偏光成分を透過し、かつこの偏光成分に垂直な方向(線状金属層3の長手方向に平行な方向)の偏光成分を反射する偏光分離機能を有する。さらにB面側から光を入射させた場合は、透明層4が透明であるため、線状金属層3の長手方向に垂直な方向の偏光成分(線状金属層2の長手方向に垂直な方向)は阻害されることなく透過する。また、この偏光成分に垂直な方向(線状金属層3の長手方向に平行な方向)の偏光成分が反射される際には、線状金属層2と透明層4との界面で反射した光と、透明層4の表面で反射した光との位相の違いにより互いに打ち消し合わせることで消失させる機能を有することができる。
その結果、液晶セルの下側の偏光板としてかつA面側を面光源側になるように設置した場合に、面光源側から入射される光のうち、従来は下側偏光板で吸収されていた偏光成分を線状金属層3の反射型分離特性により面光源側に反射させて戻し再利用できる。このため、従来と比べて高輝度の液晶表示装置とすることができる。さらに従来の反射型偏光板において問題となっていた黒色表示時の外光の映り込みについては、外光が入射してきた場合に透明層4で外光を消失させることができる。すなわち、本発明の反射型偏光板(1)では、一枚の偏光板で、高い輝度を保ちながら、鮮明な黒表示ができる。
本発明の偏光板(2)において、透明層4を構成する例としては、金、銀、銅、白金、ケイ素、硼素、パラジウム、レニウム、バナジウム、オスミウム、コバルト、鉄、亜鉛、ルテニウム、プラセオジウム、クロム、ニッケル、アルミニウム、スズ、亜鉛、チタン、タンタル、ジルコニウム、アンチモン、インジウム、イットリウム、ランタニウム、マグネシウム、カルシウム、セリウム、ハフニウム、バリウム、等のいずれかの群から選ばれる無機物群を主たる成分とするものを酸化、亜酸化、次亜酸化させたもの(以後これらを称して無機酸化物(2)とする)、上記無機物群を主たる成分とするものを窒化、亜窒化、次亜窒化させたもの(以後これらを称して無機窒化物(2)とする)、上記無機物群を主たる成分とするものを酸窒化、亜酸窒化、次亜酸窒化させたもの(以後これらを称して無機酸窒化物(2)とする)、上記無機物群を主たる成分とするものを炭化、亜炭化、次亜炭化させたもの以後これらを称して無機炭化物(2)とする)、上記無機物群を主たる成分とするものをフッ化および/または塩素化および/または臭化および/またはヨウ化(以下、これらをハロゲン化とする)、亜ハロゲン化、次亜ハロゲン化させたもの(以後これらを称して無機ハロゲン化物(2)とする)、ダイヤモンドライクカーボンなどの炭素系化合物(以後、炭素系化合物(2)とする)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、脂環式ポリオレフィン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールなどの樹脂化合物、およびこれらの混合物が挙げられる。この中で、特に蒸着法により均一な膜が高精度に形成可能であるという点で、無機酸化物(2)、無機窒化物(2)、無機酸窒化物(2)、無機炭化物(2)、無機ハロゲン化物(2)、炭素系化合物(2)がより好ましい。なお、上記材料は透明層4中に少なくとも含んでいればよいが、より好ましくは主たる成分とすることがよい。なお、該層中において50重量%を越える場合を主成分と定義する。
本発明の偏光板(2)において、透明層4としては、上記材料を少なくとも含む単一の層であってもよく、複数の層からなる積層構造であってもよい。積層構造にした場合、各層の積層厚みを制御することにより、光の消失効果をより高めることや、より広範囲の波長領域の光を消失させることができる。
本発明の偏光板(2)において、透明層4は、使用波長において、光を実質的に吸収しないものである。すなわち、液晶表示装置に用いる場合には400〜800nmの可視光領域において光を実質的に吸収しないものである。ここで、実質的に光を吸収しないとは、透明層4を表面が平滑な硼珪酸ガラス(BK−7))表面に形成したときに、その形成面から光を入射した際の全光線透過率Tβ,全光線絶対反射率Rβを用いて、下記式(7)により求められる光吸収率Aが、適用する波長領域全体の平均値として20%以下となることである。
光吸収率A(%)=100−(Tβ+Rβ) (7)
ここで、全光線透過率Tβとは、受光器に積分球を有する分光光度計を用いて入射角0°で無偏光状態の光を入射させたときに測定される値である。全光線絶対反射率Rβとは、分光光度計において、入射角5°で無偏光状態の光を入射させたときに正反射として測定される値である。好ましくは上記式(7)で得られる光吸収率Aが15%以下、さらに好ましくは10%以下である。光吸収率Aが20%を越えると、偏光板の全光線透過率が低下し、面光源から出た光を十分に透過することができず輝度向上効果が得られないことがあるため好ましくない。本発明の偏光板(2)において、透明層4の光吸収率Aを20%以下とすることで、液晶表示装置に組み込んだ場合に、従来の偏光板と比べて高い輝度を保ちながら、鮮明な黒表示ができる。
また、本発明の偏光板(2)において、線状金属層3は、「高反射性金属からなる層」、及び/又は「高反射性金属粒子、及び/又は、高反射性金属により被覆された粒子を含有する層」であることが好ましい。また、高反射性金属と高反射性金属により被覆された粒子が混ざり合った層でもよいし、積層された構造であってもよい。
ここで、「高反射性金属からなる層」とは、単一の金属または複数の金属からなる合金からなる線状金属層3である。一層若しくは異なる材質からなる二層以上の積層構造が好ましく用いられる。異なる材質からなる二層以上の積層構造の場合には、少なくとも一層が高反射性金属からなる層であればよく、例えば、反射性の低い金属酸化物などが線状金属層3表面に積層されていてもよい。特に、酸化しやすい高反射性金属を用いる場合には、予め保護層として線状金属層3表面に該金属の酸化物からなる透明層を形成し、経時安定性を高めることは好ましく行われる。
また、「高反射性金属粒子、及び/又は、高反射性金属により被覆された粒子を含有する層」に含まれる高反射性金属粒子および高反射性金属により被覆された粒子は、粒子径が1〜100nmであることが好ましく、さらに好ましくは1〜50nmである。ここでいう粒子径とはメジアン径d50のことをいう。粒子径が100nm以下の金属粒子は融着温度が低下する。このため、例えば200〜300℃での低温熱処理でも粒子が連結し始め、金属としての特性を発現し光反射性が向上するため好ましい。また、粒子径が50nm以下になると、より低温かつ短時間の熱処理で粒子が融着するため、さらに好ましい。これら粒子の形状は特に限定されることなく、いずれの形態であっても好ましく用いることができる。
また、高反射性金属に被覆される内層の粒子は、例えば、アクリル樹脂などの架橋樹脂粒子や、シリカ、アルミナなどの無機粒子など、特に限定されることなく好ましく用いられる。これら高反射性金属粒子、高反射性金属粒子で被覆された粒子は、粒子単独、または粒子と分散剤の組み合わせ、さらには、粒子と分散剤とバインダーとなる熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれか又はこれらの混合物を主成分とする樹脂組成物と組み合わせられることにより、「高反射性金属粒子、及び/又は、高反射性金属により被覆された粒子を含有する層」を形成することが好ましい。
本発明の偏光板(2)において、高反射性金属としては、アルミニウム、クロム、銀、銅、ニッケル、白金および金から選ばれる金属およびそれらを主たる成分とする合金であることが好ましい。ここで、主たる成分とするとは金属層3中における該金属の含量が50重量%を超える場合をいう。また、高反射性とは、使用する光の波長領域において高い反射率を示すことである。具体的には表面が平滑な硼珪酸ガラス(BK−7)上に100nmの厚さで形成させ、その金属層3側から入射させたときの反射率が、適用する波長領域全体にわたって75%以上であることをいう。より好ましくは80%以上、更に好ましくは85%以上である。反射率が75%未満の金属を金属層3として用いた場合、光学ロスが多くなり、光利用効率を十分に得ることができないため、あるいは光学ロスが小さくても偏光度が低下することがあるため好ましくない。本発明の偏光板(2)において、反射率が75%以上の金属層3を使用することによって、光利用効率を高くできるだけでなく、高い偏光度を得ることができる。前記金属のうち、アルミニウム、クロム、銀が、可視光領域の全域に亘って反射率が高いためより好ましい。
本発明の偏光板(2)は少なくとも、基材1と、前記基材表面に所定の間隔で配列する複数の線状金属層3と、線状金属層3と接し、前記複数の線状の金属層3を被覆する層4を有する。その形態について、図11〜図18を用いて、詳細に説明する。
図11〜12は、表面が平坦な基材1を用いた場合の好ましい態様の例を示す図である。図14〜16は、断面が矩形の凸部11を有する線状凹凸構造10を例にして、線状金属層3と透明層4の好ましい態様の例を示した図である。
例えば、表面が平坦な基材1を用いた場合、線状金属層3と透明層4の相対的な関係としては図11の様に、基材1上に線状金属層3が形成された後に透明層4が形成される場合などが好ましい例である。
また、線状金属層3の断面形状としては、基材1上に形成された場合を例にすると例えば、矩形(図12(a))、台形(図12(b))、三角形(図12(c))またはそれらの角や側面が曲線状であるもの(図12(d)〜(g))、およびこれらの上下を反転させた形状、およびこれらの上下を反転させた形状等が好ましい例として挙げられる。これらの形態は単独であってもよく、複数の形態が混在していてもよい。また、これらの例に限定されることなく、面内に線状金属層3が所定の間隔で複数配置されていればよい。また、図12(g)は、図12(a)の断面形状をもつ基材1斜視図を示している。図12(g)は、基材1表面上に複数の線状金属層3が線状に形成されている様子を示している。なお、基材1上に透明層4を形成させた後に線状金属層3を形成する場合も同様である。
本発明の偏光板(2)において、透明層4の形態は、線状金属層3の断面形状が矩形である場合に(図12(a))を例とすると、図13に示す形態が例示できる。図13(a)の様に線状金属層3上に平板状ものが形成された形態の他に、線状金属層3間にも部分的に透明層が形成され、線状金属層3間に空隙を有する形態(図13(b)、(c))、線状金属層3間にも透明層が形成され、線状金属層3と基材1の両方に接し空隙が存在しない場合(図13(d)、(e))等が挙げられる。また透明層4の表面は、図13(a)、(b)、(d)の様に平坦である場合、図13(c)、(e)の様に、線状金属層3を反映した凹凸構造を有する場合などが挙げられる。これらの形態は単独であってもよく、複数の形態が混在するものであってもよい。
また、基材1の片側に線状凹凸構造10を有する場合の例における線状金属層3と透明層4の相対的な関係を示す例としては、図14の様に線状金属層3が線状凹凸構造10上に形成され、その上に透明層4が形成される場合などが好ましい例である。
基材1の片側に線状凹凸構造10を有する場合において、線状金属層13の形態としては、凸部11の頂部に形成される場合(図15(a))以外に、隣接する凸部11間、すなわち凹部12に形成される場合(図15(b))、凸部11の側面に形成される場合(図15(c))、凸部11の周囲に形成される場合(図15(d))、またはこれらを組み合わせた形状に形成される場合(例えば図15(e))などが好ましい例として挙げられる。これらの形態は単独であってもよく、複数の形態が混在していてもよい。また、図15(f)は、図15(a)の断面形状をもつ基材1の斜視図を示す。図15(f)では、基材1表面上に線状金属層3が線状に形成されている様子を表している。
また、線状金属層3上の透明層4の形態としては、線状金属層3が線状凹凸構造10の凸部11の頂部に形成される場合(図15(a))を例とすると、図16に示す形態が例示できる。図16(a)の様に線状金属層3上に平板状ものが形成された形態の他に、線状金属層3間にも部分的に形成され、線状金属層3のみと接し、空隙を有する場合(図16(b)、(c))、線状金属層3間にも部分的に形成され、線状金属層3と基材1の両方に接し、空隙を有する場合(図16(d),(e)),線状金属層3間にも形成され、線状金属層3と基材1の両方に接し空隙が存在しない場合(図16(f)、(g))等が挙げられる。また透明層4表面は、図16(a)、(b)、(d)、(f)の様に平坦である場合、図16(c)、(e)、(g)の様に、線状凹凸構造10を反映した凹凸構造を有する場合などが挙げられる。これらの形態は単独であってもよく、複数の形態が混在していてもよい。
ここで、本発明の偏光板(2)において、上述に挙げた形状のうち、線状金属層3と透明層4の関係は、図11、図13(a)〜(c)、図14、図16(a)〜(c)ように、透明層4が線状金属層3のみと接し、かつ線状金属層3間に空隙を含む形態が好ましい。このような形態であると、高い偏光特性を得ることができるからである。本発明の偏光板(2)において、上述の構成とすることによって、反射型偏光板としての高透過率、高偏光度、光利用効率を維持したまま、外光の反射を抑制することができる。その結果、従来の反射型偏光板では困難であった下側偏光板と置き換えて液晶セルに張り合わせた形での使用が可能で、かつ光の再利用により輝度向上可能な偏光板とすることができる。
また、本発明の偏光板(2)は、上述のように、基材上に線状金属層3が形成され、その上に透明層4が形成される場合の他に、図17に示す様な、基材1上に透明層4を形成した後に、線状金属層3を形成される場合等も好ましい形態である。
本発明の偏光板(2)において、透明層4の膜厚h4は、貼り合わせを行う相手材料などにより決定される。一般的には、1〜200nmであることが好ましい。この範囲の膜厚にすることによって、効率よく光線を消失させることができる。ここでいう透明層4の膜厚とは、本発明の偏光板(2)の膜厚方向に測定した膜厚であって、線状金属層3の頂部上から上述の厚さの透明層4が形成されるのが好ましい。透明層4の膜厚としてより好ましくは5〜150nm、さらに好ましくは10〜120nmである。特に好ましくは15〜100nmである。透明層4の膜厚h4が1nm未満であると、十分な外光の反射抑制効果を得ることができないため好ましくない。透明層4の膜厚h4が200nmをこえると透過光が着色することがあるため好ましくない。本発明の偏光板(2)において、透明層4の膜厚h4を1〜200nmの範囲とすることによって、透過光の色彩と外光の反射抑制効果を両立した偏光板とすることができる。
また、本発明の偏光板(2)において、線状金属層3の膜厚h3は、10〜200nmであることが好ましい。ここでいう線状金属層3の膜厚h3とは、本発明の偏光板(2)の膜厚方向に測定した厚みであって、基材1の上の少なくとも一部に前記範囲を満たす膜厚で線状金属層3が形成されていればよい。線状金属層3の膜厚としてより好ましくは30〜200nm、さらに好ましくは40〜200nmである。線状金属層3の膜厚h3が10nm未満であると、十分な偏光度が得られず偏光板として機能しないことや、十分な反射率が得られず高い光利用効率を得ることができないことがあるため好ましくない。線状金属層3の膜厚h3が200nmを超えると、形成が困難となったり、線状金属層3の形成により凸幅が広がったりし、その結果、十分な開口率を確保できないため、透過率が低下するため好ましくない。本発明の偏光板(2)において、線状金属層3の膜厚を10〜200nmの範囲とすることによって、高い透過率と偏光度、光利用効率を兼ね備えた偏光板とすることができる。
ここで、本発明の偏光板(2)において、基材1表面に線状凹凸構造10を有する場合、高い光利用効率と高透過率を得るためには、線状金属層3が凸部11周辺だけに形成されること(例えば、図15(a)、(c)、(d)、(e)、図17(b)、(d)、(e),(f)などがより好ましい。この場合、凸部11上に形成された線状金属層3の膜厚と凸部11の高さhを足し合わせた高さは、400nm以下であることがより好ましい。足し合わせた高さが、400nmを越えると偏光特性が光の入射角度に依存することがあるため好ましくない。本発明の偏光板(2)において、凸部11上に形成された線状金属層3の膜厚と凸部11の高さhを足し合わせた高さを400nm以下とすることによって、光の入射角度に依存せず、均一な偏光特性を得ることができる。
また、本発明の偏光板(2)において、線状金属層3の幅w31は、線状金属層3のピッチp3との比、すなわちw31/p3が、0.1〜0.7であることが好ましい。ここで、この比率を算出するために必要な線状金属層3の幅w31、ピッチp3とは、図17に示すように、線状金属層3の長手方向に垂直な断面において、基材1面と平行方向に測定される線状金属層3の幅、および、繰り返し単位のことである。より好ましくはw31/p3が0.2〜0.6、更に好ましくは0.3〜0.6である。この比率が0.7を越える場合には、透過率が低下するため好ましくない。またこの比率が0.1未満であると、十分な偏光度が得られないため、十分な反射率が得られず高い光利用効率を得ることができないため好ましくない。本発明の偏光板(2)において、線状金属層3の幅w31とピッチp3との比w31/p3を0.1〜0.7の範囲とすることによって、高い透過率と偏光度、光利用効率を兼ね備えた偏光板とすることができる。
本発明の偏光板(2)において、線状金属層3のピッチp3、幅w31は、適用する光の波長領域によって適宜選択すればよい。たとえば、波長800〜4000nmの近赤外・赤外光の波長領域に適用するためには、ピッチp3=50〜800nm、幅w31=20〜780nm、また、波長400〜800nmの可視光の波長領域に適用するためにはピッチp3=50〜400nm、幅w31=20〜380nmで形成するなどである。この寸法の線状金属層3が形成されることにより、それぞれ適用する光の波長領域において高い偏光特性を発現させることが可能となる。
特に、可視光の波長領域に適用する場合において、ピッチp3については、400nmを越えると、可視光の短波長領域の偏光度が低下することになり好ましくない。また、ピッチp3が50nmを下回ると、線状金属層2を形成することが難しくなるため好ましくない。ピッチp3として、より好ましくは70〜200nm、更に好ましくは80〜160nm、特に好ましくは80〜140nmである。
また、幅w31については、20nmより狭くなると、成形が困難となる。また、成形できたとしても映り込み防止効果が低下することがあるため好ましくない。また、幅w31は、近赤外光領域の波長領域に適用する場合は780nm、可視光の波長領域に適用する場合においては380nmよりも太い場合、開口率が非常に低くなり、光線透過率が低くなったり、本来透過すべき方向偏光も反射し、偏光度が低下する場合があるため好ましくない。幅w31については、近赤外光の波長領域に適用する場合はさらに好ましくは、20〜300nm、最も好ましくは20〜200nm、可視光の波長領域に適用する場合は、さらに好ましくは20〜150nm、最も好ましくは25〜100nmである。
ピッチp3および幅w31は、面内において偏光特性の均一性を保つため、一定であることが好ましい。また、前記範囲内であれば、種々のピッチおよび幅が混ざり合っていてもよい。また、可視光領域に適用する形状で偏光板を作製すると、可視光領域だけでなく、より長波長である近赤外線領域や赤外線領域においても偏光特性を発現させることができる。したがって、近赤外線用または赤外線用の偏光板としても使用可能である。
また、本発明の偏光板(2)において、線状金属層3の膜厚h3と幅w31の比 h3/w31が、0.5以上であることが好ましい。より好ましくは0.6以上、更に好ましくは0.7以上、特に好ましくは0.8以上、最も好ましくは1.0以上である。h3/w31が0.5に満たない場合は、十分な偏光度が得られない、または十分な反射率が得られず高い光利用効率を得ることができないため好ましくない。本発明の偏光板(3)において、線状金属層3の膜厚h3と幅w31の比 h3/w31を0.5以上とすることによって、高い透過率と偏光度、光利用効率を兼ね備えた偏光板とすることができる。
[線状凹凸構造を有する基材]
本発明の偏光板(1)と本発明の偏光板(2)とにおいて、用いる基材1としては、表面に線状の凹凸構造10が形成されているものがより好ましい。線状凹凸構造10が存在することによる効果を以下に説明する。
まず一つ目の特徴は、線状凹凸構造10を形成することによって複屈折性が発現できることである。入射する波長以下のピッチで周期的な凹凸を有する線状凹凸構造10を形成すると、パターン長手方向とそれに直交する方向とで屈折率の異方性、すなわち複屈折が発現する。すなわち、パターンを構成する凸部11の幅、ピッチ、高さおよび材質単体の屈折率を適切に設定することにより、基材1の複屈折性を制御することが可能となる。
本発明の偏光板(1)または偏光板(2)を好適に搭載することができる液晶表示装置には面光源が組み込まれている。面光源から出射される光は、導光板やプリズムシートなど、界面での反射や屈折を利用した部材の影響により、完全な無偏光状態ではなく偏光状態に偏りがみられることがある。よって、反射型の偏光板を液晶セルの面光源側に配置しても、この偏った方向と、反射型の偏光板が透過する偏光軸とが合致していない場合には反射成分が多くなり、結果として光の利用効率が上がらないことになる。そこで、基材1上に、周期的な凹凸を有する線状凹凸構造10を形成すると、基材1に複屈折性を発現させることができる。この基材1側から光を入射することで、複屈折により偏った偏光状態が解消され光の利用効率を上げることができる。例えば、線状凹凸構造10の凸部11の幅、ピッチおよび材質が同じ場合には、凸部11の高さを高くすることによって、より偏光状態を解消できる。なお、複屈折性を活用するためには、線状金属層3が線状凹凸構造10の凸部11周辺だけに形成された構造が好ましい。また、この場合、線状凹凸構造10部分だけでなく、基材1全体が複屈折を有する場合も同様に好ましい。
また、二つ目の特徴としては、金属のパターニングが容易なことである。予め基材1表面にパターンを形成しておくことで、本発明の偏光板(1)においてはそのパターン形状に応じた線状黒色層2や、線状金属層3、本発明の偏光板(2)においてはそのパターン形状に応じた線状金属層3を容易に形成することが可能となる。詳細は製造方法を説明する際に説明するが、半導体製造プロセスなどを利用した、レジストのパターニングとエッチング処理という煩雑なプロセスを必要としない。
三つ目の特徴としては、本発明の偏光板(1)における線状黒色層2や、線状金属層3の、本発明の偏光板(2)における線状金属層3の機械的強度を高くすることができる。従来、半導体製造プロセスなどを利用した、レジストのパターニングとエッチング処理により作製された偏光板では、平面上に金属の細線を形成させていた。本発明の偏光板(1)では線状黒色層2と基材1との界面、線状金属層3と基材1との界面、線状黒色層2と線状金属層3との界面の、本発明の偏光板(2)では線状金属層3と基材1との界面、線状金属層3と透明層4との界面の面積が僅かである。このため、従来の方法で本発明の偏光板を作製すると、線状黒色層2、線状金属層3が外力に対して弱く、容易に倒壊、剥離してしまう。一方、基材1表面に線状凹凸構造10を形成させることによって、本発明の偏光板(1)では線状黒色層2と基材1との界面、線状金属層3と基材1との界面、線状黒色層2と線状金属層3との界面の、本発明の偏光板(2)では線状金属層3と基材1との界面、線状金属層3と透明層4との界面の面積が大きくなる。この結果、線状黒色層2、線状金属層3の接着性が向上するだけでなく、パターン凸部11が線状黒色層2、線状金属層3を補強する効果も有し、外力に対する強度を高めることが可能となる。
このように、基材1表面に線状凹凸構造10が存在することにより、高い光学特性、機械的強度を有する偏光板を容易なプロセスで形成することが可能となる。
図18は、本発明の偏光板(1)または偏光板(2)を構成する、線状凹凸構造10が形成された基材1の形状の一例を示す図である。図18(a)は、断面が矩形状の凸部11を含む線状凹凸構造10を一方の表面に有する基材1の断面図である。図中に凸部11のピッチp、幅w、高さhをそれぞれ示している。本発明において、幅wは、凹凸が繰り返される方向における長さであって、また、凸部11の高さhの2分の1、すなわち基材1面(凹部12底面)からh/2の高さの基材1面に平行な平面における長さのことをいう。図18(b)は、凸部11が周期的に形成されている平行な線状凹凸構造10を有する基材1の斜視図を例示している。
図18(a)および図19(a)〜(e)は、本発明の偏光板(1)または(2)を構成する基材1の好ましい断面形状の例を示している。凸部11の断面形状としては、例えば、矩形(図19(a))、台形(図19(a))、またはそれらの角や側面が曲線状であるもの(図19(b)、(c))、波形(図19(d))、三角形(図19(e))等が挙げられるが、これらに限定されることなく、面内に線状凹凸構造10が形成されていれば好ましく用いることができる。また、隣接する凸部11間には、図18(a)および図19(a)〜(c)のように平坦部が形成されていてもよいし、図19(d)、(e)のように平坦部が形成されていなくてもよい。これらのうち、断面が矩形、台形の凸部11、またはそれらの角や側面が曲線状の形状の凸部11であって、隣接する凸部11がそれ自体の底部で繋がっていないもの(たとえば図18(a)および図19(a)〜(c))が好ましい。本発明の偏光板(1)の場合は、線状黒色層2を形成した際の透過率と外光の反射防止効果の両方の効果が得られ、線状金属層3を形成した際に高い偏光分離性能を発現させることができる。本発明の偏光板(2)の場合は、線状金属層3を形成した際に高い偏光分離性能を発現させることができる。
また、基材1表面の線状凹凸構造10について、隣接する凸部11の底部が、図18(a)、図19(a)(b)(c)に示すように繋がっていない形状の場合、線状金属層3を凸部11周辺だけに形成しやすいので、好ましい。図19(d)のような断面形状が波形の場合にも、凸部11周辺だけに線状黒色層2や、線状金属層3を形成することは可能である。しかし、凸部11周辺は、斜面が多く、線状黒色層2や、線状金属層3の形成部位が広がりやすいため制御が難しい。
本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、線状凹凸構造10は図18(b)に示すようにライン、すなわち凸部11は、平行に形成されている。ここでいう平行とは、実質的に平行であればよく、完全に平行でなくてもよい。また、各ラインは、面内において光学的な異方性を最も発現しやすい直線であることが好ましいが、隣接するラインが接触しない範囲で曲線や折れ線であってもよい。各ラインは、光学的な異方性を発現しやすくするため連続した直線であることが好ましい。しかし、少なくとも適用する波長以上の長さであれば、各ラインは破線であってもよい。
本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、線状凹凸構造10は、基材1の片側だけでなく両側に形成されていてもよい。基材1の両側に形成する場合には、線状凹凸構造10の長手方向が表裏で平行になるように形成することが好ましい。この場合、本発明の偏光板(1)においては、線状黒色層2と線状金属層3をそれぞれ別々の面に形成させても、片側の面に線状黒色層2と線状金属層3を両方形成しても、両面に線状黒色層2と線状金属層3の両方を形成させても、いずれでもかまわない。線状黒色層2と線状金属層3をそれぞれ別々の面に形成させた場合は映り込み防止効果を高めることができる。両面に線状金属層3を形成させた場合は、高偏光度の反射型偏光板とすることができる。また、本発明の偏光板(2)においては、両面に線状金属層3を形成させることで、高偏光度の反射型偏光板とすることができる。
本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、線状凹凸構造10の長手方向に垂直な断面における凸部11の寸法などは、適用する光の波長領域によって適宜選択すればい。たとえば、波長800〜4000nmの近赤外・赤外光の波長領域に適用するためには、ピッチp=50〜800nm、幅w=20〜780nm、また、波長400〜800nmの可視光の波長領域に適用するためにはピッチp=50〜400nm、幅w=20〜380nmで形成するなどである。この寸法の線状凹凸構造10を有する基材1に線状黒色層2、線状金属層3が形成されることにより、それぞれ適用する光の波長領域において外光の反射抑制効果を有しながら、高い偏光特性を有する偏光板を得ることができる。
特に、可視光の波長領域に適用する場合において、ピッチpについては、400nmを越えると、可視光の短波長領域の偏光度が低下することになり好ましくない。また、ピッチpが50nmを下回ると、基材1表面へ線状凹凸構造10を形成することが難しくなるだけでなく、該線状凹凸構造10に沿って線状金属層3を形成することが難しくなるため好ましくない。ピッチpとして、より好ましくは70〜200nm、更に好ましくは80〜160nm、特に好ましくは80〜140nmである。
また、幅wについては、20nmより狭くなると、成形が困難となる。また、成形できたとしても機械的強度が低く、線状凹凸構造10の倒壊が起こりやすくなるため好ましくない。また、幅wは、近赤外光領域の波長領域に適用する場合は780nm、可視光の波長領域に適用する場合においては380nmよりも太い場合、ピッチpの範囲を考慮すると、線状金属層3を線状凹凸構造10上に形成した場合に、反映した形状に形成することが難しい。仮に、形成できたとしても開口率が非常に低くなり、光線透過率が低くなるため好ましくない。幅wについては、近赤外光の波長領域に適用する場合はさらに好ましくは、20〜300nm、最も好ましくは20〜200nm、可視光の波長領域に適用する場合は、さらに好ましくは20〜150nm、最も好ましくは25〜100nmである。
ピッチpおよび幅wは、面内において偏光特性の均一性を保つため、一定であることが好ましいが、前記範囲内において種々のピッチおよび幅が混ざり合っていてもよい。また、可視光領域に適用する形状で偏光板を作製すると、可視光領域だけでなく、より長波長である近赤外線領域や赤外線領域においても偏光特性を発現させることができ、近赤外線用または赤外線用の反射型偏光板としても使用可能である。
本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、線状凹凸構造10を構成する凸部11の高さhに応じて、偏光特性が光の入射角度に依存することがある。線状凹凸構造10の凸部11の高さhとしては、近赤外光の波長領域に適用する場合は10〜800nm、可視光の波長領域に適用する場合は10〜400nmであることが好ましい。近赤外光の波長領域に適用する場合は、さらに好ましくは20〜600nm、最も好ましくは30〜400nm、可視光の波長領域に適用する場合は、さらに好ましくは20〜300nm、最も好ましくは30〜300nmである。凸部11の高さhが、上記範囲を越えるようになると、光の入射角度によって偏光度が変化することがあるため好ましくない。一方、高さhが10nmを下回ると、それに沿って線状金属層3が形成されたとしても充分な光学異方性が得られない場合があるため好ましくない。本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、線状凹凸構造10の凸部11の高さhを上述範囲内とすることにより、光の入射角度に依存せず、均一な偏光特性を得ることができる。この結果、特に、広い視野角が求められる用途に好適に用いることができる。ただし、本発明の偏光板(1)または偏光板(2)を、狭い視野角の範囲で用いる場合、例えば、法線方向だけを利用する光学素子、又は正面方向だけ利用する表示装置などの場合、光の入射角度は考慮しなくてもよいため、高さhが上記範囲を越えてもよい。
本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、基材1表面の線状凹凸構造10は、凸部11の高さhと幅wの比 h/wが、0.5〜5の範囲であることが好ましい。より好ましくは1〜5、さらに好ましくは2〜5である。h/wが0.5未満であると、線状金属層3の選択的形成が困難となり、構造的な異方性を充分に発揮することができず、充分な偏光特性が得られないことがあるため好ましくない。またh/wが5を越える場合には線状凹凸構造10の形成が困難となり、蛇行して倒れたり、破断したりして、面内で偏光特性にむらが現れることがあるため好ましくない。本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、基材1表面の線状凹凸構造10の凸部11の高さhと幅wの比 h/wを上述の範囲とすることで、高い偏光特性、機械的強度を有し、かつそれら特性の面内均一性に優れた偏光板とすることができる。
また本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、基材1表面の線状凹凸構造10は、凸11部の高さhと、凸部11間の幅、すなわち凹部12の幅(p−w)との比 h/(p−w)が、1〜5の範囲であることが好ましい。より好ましくは、比 h/(p−w)が1.2〜5、さらに好ましくは1.3〜5である。h/(p−w)が5を超えると、線状凹凸構造10の形成が困難となる。また、h/(p−w)が1未満であると線状黒色層2、線状金属層3の選択的形成が困難となり、構造的な異方性を充分に発揮することができず、充分な偏光特性が得られないことがある。本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、基材1表面の線状凹凸構造10の凸部11高さhと凹部12の幅(p−w)の比 h/(p−w)が1〜5の範囲を満たすことによって、線状黒色層2,線状金属層3の選択的形成性が高くなり、特に凸部11周辺だけへの線状黒色層2,線状金属層3の形成が容易となり、外光の反射抑制効果を有しながら、高い偏光特性を有する偏光板を得ることができる。
また、本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、基材1表面の線状凹凸構造10は、凸部11の幅wとピッチpの比 w/pが0.1〜0.5の範囲であることが好ましい。より好ましくは比w/pが、0.1〜0.45、さらに好ましくは0.1〜0.4である。w/pが0.5を超えると、線状金属層3を形成後に十分な開口率を確保できないため、透過率が低下することがあるため好ましくない。また、w/pが0.1未満であると、線状金属層3を形成しても十分な偏光度を得ることができないことがあるため、好ましくない。本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、基材1表面の線状凹凸構造10の凸部11の幅wとピッチpの比 w/pを0.1〜0.5の範囲とすることによって、線状金属層3を形成した際に、高い偏光度と透過率を両立する偏光板とすることができる。
ここで、本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、線状凹凸構造10は、削りやすい材質、もしくは賦形しやすい材質であることが好ましい。ここで、削りやすい材質とは、機械的に切削、研磨など、またはレジストパターンなどを介して化学的、もしくは物理的に選択的除去し易い材料のことを指し、ガラス、金属などの無機基材または樹脂基材が挙げられる。また、賦形しやすい材質とは、金型転写により凹凸構造を形成可能な材料のことを指す。これらのうち、後述するように、生産性などの観点から基材1表面に線状凹凸構造10を賦形するには金型転写法が好ましく、賦形しやすい材質を用いる方が、金型転写法により基材1表面に線状凹凸構造10を形成することができるためより好ましい。具体的には、基材1、および基材1表面の線状凹凸構造10は、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれか又はこれらの混合物を主成分とする樹脂組成物からなることが好ましく用いられる。ここで、線状凹凸構造10中において樹脂組成物が50重量%を越える場合を主成分と定義する。
熱可塑性樹脂の例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、脂環式ポリオレフィン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールおよびこれらを成分とする共重合体、またはこれらの混合物等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
光硬化性樹脂の例としては、分子内に少なくとも一つのラジカル重合性を有する化合物、またはカチオン重合性を有する化合物等が挙げられる。ラジカル重合性を有する化合物としては、活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤の存在下で活性エネルギー線照射により高分子化または架橋反応する化合物である。例えば、構造単位中にエチレン性の不飽和結合を少なくとも1個含むもの、1官能であるビニルモノマーの他に多官能ビニルモノマーを含むもの、またはこれらのオリゴマー、ポリマー、混合物などが挙げられる。また、分子内に少なくとも一つのカチオン重合性を有する化合物としては、オキシラン環を有する化合物、オキセタン環を有する化合物、ビニルエーテル化合物から選ばれる一つあるいは2種以上の化合物から選ばれるものが挙げられる。
熱硬化性樹脂の例としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられ、これらより選択される1種類もしくは2種類以上の混合物などを用いることができる。
光硬化性樹脂および熱硬化性樹脂には重合開始剤が配合される。光硬化性樹脂の場合には感光波長および重合形式に合わせ、活性エネルギー線の照射によりラジカル種またはカチオン種を発生する光重合開始剤を用い、また熱硬化性樹脂の場合にはプロセス温度に合わせた熱重合開始剤を用いることが好ましい。
これら樹脂は、使用波長、すなわち液晶表示装置に用いる場合には400〜800nmの可視光領域において、透明であり、特定波長における吸収ピークがみられないものが好ましい。また、光線を実質的に散乱しないものが好ましく、膜厚100μmの平坦なシート状としたときのヘイズ値でおよそ30%以下であるのが好ましい。より好ましくはヘイズが20%以下、更に好ましくはヘイズが10%以下である。
また、本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、基材1、および基材1の表面の線状凹凸構造10を構成する樹脂は、熱可塑性樹脂を主たる成分とする場合、そのガラス転移温度は、示差走査熱量測定(以下、DSC)により得られる。昇温過程(昇温速度:10℃/min)におけるガラス転移温度Tgは、好ましくは70〜160℃、より好ましいのは100〜160℃、最も好ましくは110〜150℃の範囲である。ここで、ガラス転移温度Tgとは、JIS K−7121(1999)に準じた方法により求められた値であり、昇温速度10℃/minで走査した時に得られる示差走査熱量測定チャートのガラス転移の階段状の変化部分において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状の変化部分の曲線とが交わる点から求めた値である。ガラス転移温度Tgがこの範囲を超えると線状凹凸構造10を形成するために金型50を押しつけても十分な形状を形成することが困難となり、線状金属層3を形成しても十分な光学特性を得ることが困難となることがあるため好ましくなく、またこの範囲に満たないと、続く黒色層形成工程、および線状金属層形成工程等の工程において、熱負荷により基材、もしくはパターンが変形することがあるために好ましくない。本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、基材1、および基材1の表面の線状凹凸構造10を構成する樹脂が熱可塑性樹脂を主たる成分とする場合、そのガラス転移温度を上記範囲とすることで、良好なパターン形成性と、線状黒色層2、線状金属層3形成工程中のパターン形状保持性を両立することができる。その結果、外光の反射抑制効果を有しながら、高い偏光特性を有する偏光板を得ることができる。
また、本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、基材1、および基材1の表面の線状凹凸構造10を構成する樹脂が、熱硬化性樹脂、もしくは光硬化性樹脂を主たる成分とする場合は、ガラス転移温度Tgが上記範囲外となっても良い。その場合においては、熱分解温度開始は、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上、もっとも好ましくは250℃であるものがよい。この範囲に満たないと、続く線状黒色層2、線状金属層3の形成工程において、基材、もしくはパターンが変形したりすることがある。また、線状金属層形成工程中に低分子量有機成分が大量に放出され、金属原子の緻密な配列を阻害する。このため、形成される線状金属層3の金属性が低下する。その結果、光学特性が低下することがあるために好ましくない。本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、基材1、および基材1の表面の線状凹凸構造10を構成する樹脂が熱硬化性樹脂、もしくは光硬化性樹脂を主たる成分とする場合、その熱分解開始温度を上記範囲とすることで、線状金属層形成工程にて形成される線状金属層3の金属性を高く保つことができる。その結果、外光の反射抑制効果を有しながら、高い偏光特性を有する偏光板を得ることができる
また、本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、基材1、および基材1の表面の線状凹凸構造10を構成する樹脂は、熱可塑性樹脂の場合は、25℃での光弾性係数kが、好ましくは50×10−12Pa−1以下、より好ましくは、40×10−12Pa−1以下、最も好ましくは30×10−12Pa−1以下であるのがよい。
ここでいう光弾性係数kとは、樹脂を溶融製膜、溶液製膜など、公知の方法でシート化し、そのシートを25℃、65RH%の雰囲気下、厚みd(nm)のシートに無張力の時の位相差Γ1(nm)、張力F(Pa)を加えたときに生じる位相差をΓ2(nm)としたときに、
k=(Γ2−Γ1)/(d×F)
で定義される値のことである。
なお、位相差Γの測定は、フィルムに1kg/mm2(9.81×106Pa)の張力をかけた状態で、直交ニコル、光源としてはナトリウムD線(波長589nm)を備えた偏光顕微鏡で、25℃の雰囲気下で行う。
かかる光弾性係数kが、50×10−12Pa−1より大きいと、基材1、および基材1の表面の線状凹凸構造10の加工時に光学歪みが残り、線状金属層3を形成した場合に面内において光学特性が変化して色調のムラなどが発生したりすることがあるため、好ましくない。本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、基材1、および基材1の表面の線状凹凸構造10を構成する樹脂は、かかる光弾性係数kを、上述の特定な範囲に制御することによって、加工時に光学歪みが残ることなく線状凹凸構造を形成することができる。その結果、線状金属層3を形成したときに、面内において均一な光学特性を得ることができる。
これら樹脂には必要に応じて各種成分を添加することも好ましい。かかる添加剤として、例えば、界面活性剤、架橋剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、熱安定化剤、可塑剤、粘度調整剤、酸化防止剤、帯電防止剤等を好ましく用いることができる。
また、本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、基材1が樹脂からなる場合、線状黒色層2、線状金属層3の選択的形成性や接着性を向上させる、線状金属層3の特性を向上させるという目的で、基材1表面に無機物を主たる成分とする層を形成してもよい。この場合、基材1表面に無機物からなる層を表面に形成させると、金属層3の形成工程中で、基材1からの低分子量有機成分の放出を防止することができる。これにより、基材1上に金属が堆積する際に低分子量有機成分が取り込まれることを抑制できること、基材と金属層との界面近傍における金属の結晶配列を高めたりすること可能となることなどにより、樹脂製の基材1上に、緻密で結晶性の高い線状金属層3が形成可能となる。その結果、線状金属層3による反射特性、偏光特性、光利用効率を向上させることができる。また、後述するような方法にて、線状凹凸構造10上に選択的に線状黒色層2や線状金属層3を形成する場合に、基材から放出された低分子量有機成分との衝突確率が低下し、線状黒色層2や、線状金属層3の選択的形成性を向上させることができる。その結果、偏光板としての高透過特性、高偏光特性と外光の反射抑制効果を両立した偏光板を得ることができる。
また、本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、基材1は、少なくとも、樹脂からなる第一層と支持体となる第二層との積層構造であることが好ましい。積層構造にすることによって、支持体となる第二層で機械的強度、耐熱性を確保しながら、基材1表面が平坦な場合には、その平面性を高めることができる。また基材1表面に線状凹凸構造10を形成させる場合には、第一層に賦形しやすい材質を用いることができ、基材1表面に線状凹凸構造10を容易に形成できるため好ましい。なお、支持体となる第二層は、それ自体が単層であっても複数層の積層構造であってもよい。
ここで、基材1表面に線状凹凸構造10を形成させる場合において、第一層に用いる賦形しやすい材質とは、前述の熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂のことをいう。後述するように、生産性などの観点から基材1表面に線状凹凸構造10を賦形するには金型転写法が好ましい。これらの樹脂を第一層に用いることで金型転写法により基材1表面に線状凹凸構造10を形成することができるため好ましい。
また、支持体となる第二層としては、ガラス、金属などの無機基材、ポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、脂環族ポリオレフィンなどのポリオレフィン樹脂、ポリカーボネートなどに代表される樹脂基材など、各種材質を用いることができる。ガラス、金属などの無機基材を支持体として用いた場合には、平坦性や機械的強度、耐熱性に優れる偏光板とすることができる。また、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート等に代表される可撓性のある樹脂基材を用いた場合には、さらに柔軟性、軽量化、薄膜化、取扱性を付与することができるために、より好ましい。上記材質の中でも、ポリエステル樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂シートであることが好ましく、機械的強度、耐熱性を向上させるためには、一軸延伸または二軸延伸ポリエステル樹脂シートであることが特に好ましい。二軸延伸されたポリエステル樹脂シートを用いると、機械的強度および耐熱性を確保しながら、薄膜化、柔軟性および軽量化が達成可能となるためより好ましい支持体である。特に、無機基材であるガラスに比べ、薄膜化したときの耐衝撃性に優れる。また延伸することによりシートに複屈折性が発現するため、前述したように入射光の偏光状態の偏りを解消し液晶表示装置などの輝度を向上させることができることもあるため好ましい。ここで用いるポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、またはこれらをベースとしたその他成分との共重合体などのポリエステル樹脂が好ましく用いられる。またこのポリエステル樹脂を主成分とし、その他の相溶性又は/及び非相溶性の成分を添加した樹脂組成物も好ましく用いられる。
本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、基材1が、樹脂からなる第一層と支持体となる第二層との積層構造とした場合、線状凹凸構造10を含む第一層の屈折率N1と支持体となる第二層との屈折率n2の差Δn=|N1−N2|をできるだけ小さくすることが好ましく、好ましくは屈折率差Δnを0〜0.15、より好ましくは0〜0.10、さらに好ましくは0〜0.06、最も好ましくは0〜0.03である。ここでいう屈折率とは、JIS−K7105(1999年版)に従って、アッベ式屈折率計を用いて、20℃で測定される基材面内の屈折率のことであり、基材の屈折率が面内の方向によって異なる(複屈折性を有する)場合にはその屈折率が最大となる方向の屈折率N2maxと最小となる方向の屈折率N2minの平均値、すなわち(N2max+N2min)/2でもって、基材の屈折率N2とする。屈折率差Δnが上述の範囲を外れると、基材1との屈折率差、および線状凹凸構造の高さhや、第一層の膜厚h’などに起因する薄膜干渉が大きくなる。この薄膜干渉によって、本来反射して再利用されるべき光を消失させることになる。特に、基材1側を入射させたときにこの影響が顕著に表れ、反射率が大きく低下してしまう。その結果、光の利用効率を低下させることになり、輝度向上効果が十分に得られなくなる。また、この光利用効率の低下は光の波長により変化する場合もあり、液晶表示装置の色彩が面内の場所、および観察角度によりムラとなって現れ、色均一性が低下したりする事もあるため好ましくない。本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、線状凹凸構造10を含む第一層の屈折率n1と支持体となる第二層との屈折率n2の差Δn=|N1−N2|を上述の範囲とすることによって、色均一性が良好でかつ、光線の利用効率に優れた偏光板とすることができる。具体的には、第二層として二軸延伸したポリエステルフィルムを用いた場合、第一層を構成する樹脂の屈折率n1は1.50〜1.7が好ましく、より好ましくは1.55〜1.7,更に好ましくは1.58〜1.7、特に好ましくは1.60〜1.68である。上記屈折率n1を達成するためには、その樹脂の分子骨格に、シクロヘキサン、イソボルニル、アダマンタンなどの脂環族基や、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ビフェニル、ビスフェノールなどの芳香環、臭素、塩素、ヨウ素などのハロゲン原子、硫黄などを導入することにより得ることができる。この中で、環境問題などから、脂環族基、芳香族基を導入することが好ましい。
本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、基材1表面の線状凹凸構造10の凹部最下部と反対側の表面の間の厚さ(以下、基材1膜厚とする)h’は1〜1000μmが好ましく、より好ましくは、基材1膜厚h’が1〜500μm、更に好ましくは1〜200μmである。
また、基材1が、樹脂からなる第一層と支持体となる第二層との積層構造とした場合は、線状凹凸構造10を有する第一層の凹部最下部と第一層と第二層界面間の厚さ(以下第一層の膜厚とする)h’は0〜2μmが好ましく、より好ましくは、第一層の膜厚h’が0〜1μm、更に好ましくは0〜500nmである。なお、この場合、第二層の厚みは、特に限定されないが、機械的強度および薄膜化の観点から、例えば、無機基材の場合には0.1〜3mm、樹脂基材の場合には50μm〜3mmが好ましい。
本発明の偏光板(1)では、線状黒色層2と線状金属層3を同一面側の、片面のみに形成させる場合に、線状黒色層2,線状金属層3が形成されていない側の基材1表面に、本発明の偏光板(2)では、線状金属層3が形成されていない側の基材1の表面に、空気−基材1界面の屈折率差に由来して生じる光の反射を防止する反射防止層が形成されていることが好ましい。反射防止層を形成させることにより、線状黒色層2,線状金属層3、透明層4が形成されていない面側の表面に界面での不要な反射を抑制することができる。この結果、光線の利用効率をさらに高めることができる。反射防止層としては、反射を防止する性質を有する材料で形成して反射防止機能を発揮してもよいし、その層を特定形状に形成することで反射防止機能を発揮してもよい。
また、本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、支持体となる第二層として光拡散性を示す材質を用いてもよい。これにより、偏光板と光拡散板との機能統合が達成できるという点で好ましい構成となる。なお、光拡散性を発現させるためには、例えば、支持体内部に粒子などを分散させたり、線状凹凸構造10を形成していない面側に微粒子を含む材料をコーティングしたり、凹凸形状を賦形したりすることなどで達成できる。基材1内部に粒子などを分散させることによって、基材1自体に光拡散性を付与する場合、主に等方的な光拡散効果を発現させることができる。一方、基材1表面に光拡散層を設ける場合は、表面の形状を任意に設計できるため、等方的な拡散性以外に、任意の光拡散性を容易に制御することができる。
本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、支持体となる第二層として光拡散性を示す材質を用いた場合、第二層のヘイズHtは、本発明の偏光板(1)または偏光板(2)を搭載する液晶表示装置の構成により、適宜最適な範囲を選択して用いればよい。例えば、液晶表示装置がプリズムシートを用いる構成の場合は、ヘイズHtが、5〜70%がより好ましい。さらに好ましくは10〜70%、特に好ましくは15〜60%、最も好ましくは20〜55%である。基材1のヘイズHtが5%未満であると、モアレ、ギラツキなどが視認されて表示品位が低下したりすることがあるため好ましくなく、またHtが70%を超えると、プリズムシートにより正面方向に指向した光を大きく拡散させ、その結果、輝度向上効果が得られない場合があるため好ましくない。本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、第二層のヘイズHtを5〜70%とすることによって、面光源の厚さを増加させることなく、また表示品位を損なうことなく、従来の面光源と比べて高輝度の面光源とすることができる。
また、液晶表示装置がプリズムシートを用いない構成でサイドライト型の面光源を含む場合は、ヘイズHtは5%以上が好ましい。より好ましくはヘイズHtが10%以上、さらに好ましくは15〜95%、特に好ましくは20〜90%である。基材1のヘイズHtが5%未満であると、輝度向上効果が低下することがあるため、あるいは導光板のドット印刷パターン等が視認されることがあるため好ましくない。本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、第二層のヘイズHtを5%以上とすることによって、面光源の厚さを増加させることなく、また表示品位を損なうことなく、従来の面光源と比べて高輝度の面光源とすることができる。
また、液晶表示装置がプリズムシートを用いない構成で直下型の面光源(2)を含む場合は、ヘイズHtが、40%以上がより好ましい。より好ましくはヘイズHtが50%以上、さらに好ましくは60〜95%、特に好ましくは70〜92%である。ヘイズHtが40%未満であると、輝度向上効果が低下することがあったり、蛍光管像等が視認されることがあるため好ましくない。本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、第二層のヘイズHtを40%以上とすることによって、面光源の厚さを増加させることなく、また表示品位を損なうことなく、従来の面光源と比べて高輝度の面光源とすることができる。
また、本発明の偏光板(1)または偏光板(2)において、支持体となる第二層には、1/4波長板の機能を付与することも好ましい。この場合、基材1側から光を入射させると、偏光板により反射された偏光は同時に円偏光に変換される。この円偏光は、面光源に戻され、一部の偏光状態が解消されるが、反射によって逆周りに変換された円偏光を多く含む状態で再び偏光板に戻ってくる。この逆回りの円偏光が基材1を通過すると、偏光板を透過する直線偏光に変換されるため、光の利用効率を上げることができる。
また、第二層として、光吸収性を示す材質や光反射性を示す材質を用いることもできる。その場合、特定の偏光成分を反射する偏光反射板として使用することができる。
[偏光板の製造]
本発明の偏光板(1)または偏光板(2)は少なくとも以下工程を含む方法で製造することができる。
本発明の偏光板(1)の製造方法は、基材1が平坦である場合は、次の(a−1)〜(a−6)の工程を含む工程で製造することができる
工程(a−1):基材1を作製する工程(基材形成工程)
工程(a−2):黒色層2を形成する工程(黒色層形成工程)
工程(a−3):金属層3を形成する工程(金属層形成工程)
工程(a−4):工程(b−2)で形成した黒色層上および/または(工程b−3)で形成した金属層上にレジストパターンを形成する工程(レジストパターン形成工程)
工程(a−5):黒色層2を部分的に除去する工程(黒色層選択的除去工程)
工程(a−6):金属層3を部分的に除去する工程(金属層選択的除去工程)。
ここで、線状黒色層2と線状金属層3が基材1に対して同じ側の表面に形成される場合は、基材1上に線状金属層3が形成され、その上に線状黒色層2が形成される場合(図2(a)など)は、上記工程を以下の順で行うことにより形成することができる
工程1:工程(a−1)基材形成工程
工程2:工程(a−3)金属層形成工程
工程3:工程(a−2)黒色層形成工程
工程4:工程(a−4)黒色層上へのレジストパターン形成工程
工程5:工程(a−5)黒色層選択的除去工程
工程6:工程(a−6)金属層選択的除去工程。
また、基材1上に線状黒色層2が形成され、その上に線状金属層3が形成される場合(図2(b)など)、上記工程を以下の順で行うことにより形成することができる
工程1:工程(a−1)基材形成工程
工程2:工程(a−2)黒色層形成工程
工程3:工程(a−3)金属層形成工程
工程4:工程(a−4)金属層上へのレジストパターン形成工程
工程5:工程(a−6)金属層選択的除去工程
工程6:工程(a−5)黒色層選択的除去工程。
また、線状黒色層2と線状金属層3が基材1に対して反対側に形成される場合(図2(i),(j)など)は、例えば、上記工程を以下の順で行うことにより形成することができる
工程1:工程(a−1)基材形成工程
工程2:線状黒色層形成工程
工程2−1:工程(a−2)黒色層形成工程
工程2−2:工程(a−4)黒色層上へのレジストパターン形成工程
工程2−3:工程(a−5)黒色層選択的除去工程
工程3:線状金属層形成工程
工程3−1:工程(a−3)金属層形成工程
工程3−2:工程(a−4)金属層上へのレジストパターン形成工程
工程3−3:工程(a−6)金属層選択的除去工程
なお、工程2中の工程2―1〜工程2−3、及び工程3中の工程3−1〜工程3−3がそれぞれこの順番に行われる限り、工程2よりも工程3を先に行ってもよく、工程2と工程3を並行して行ってもよい。
また、本発明の偏光板(1)の製造方法において、基材1の表面に線状凹凸構造10を形成させた場合は、上記製法での形成も可能であるが、以下の工程を含む方法も好ましく用いられる。
線状黒色層2、線状金属層3のどちらか一方が、基材の線状凹凸構造10が形成された側に形成され、もう一方が基材の平坦面に形成される場合は、次の工程(b−1)〜工程(b−4)を含む工程で形成することが可能である。本方法は、線状黒色層2および/または線状金属層3の形成が容易であるという点で好ましい。
工程(b−1):基材1を作製する工程(基材形成工程)
工程(b−2):基材1表面に線状凹凸構造10を形成する工程(パターン形成工程)
工程(b−3):基材1の線状凹凸構造10を有する面側に線状黒色層2または線状金属層3を形成する工程(線状黒色層形成工程または線状金属層形成工程)
工程(b−4):基材1の平坦面側に金属層3または黒色層2を形成する工程(金属層3形成工程または黒色層形成工程)
工程(b−5):金属層3または黒色層2上にレジストパターンを形成する工程(レジストパターン形成工程)
工程(b−6):金属層3または黒色層2を部分的に除去する工程(選択的除去工程)。
ここで、線状黒色層2が基材1の線状凹凸構造10が形成された面側で、線状金属層3が基材1の平坦面側に形成される場合(図5)は、例えば、上記工程を以下の順で行うことにより形成することができる
工程1:工程(b−1)基材形成工程
工程2:線状黒色層形成工程
工程2−1:工程(b−2)パターン形成工程
工程2−2:工程(b−3)線状黒色層形成工程
工程3:線状金属層形成工程
工程3−1:工程(b−4)金属層形成工程
工程3−2:工程(b−5)金属層上へのレジストパターン形成工程
工程3−3:工程(b−6)金属層選択的除去工程
なお、工程2中の工程2―1〜工程2−2、及び工程3中の工程3−1〜工程3−3がそれぞれこの順番に行われる限り、工程2よりも工程3を先に行ってもよく、工程2と工程3を並行して行ってもよい。
また、線状金属層3が基材1の線状凹凸構造10が形成された面側で、線状黒色層2が基材1の平坦面側に形成される場合(図6)は、例えば、上記工程を以下の順で行うことにより形成することができる。
工程1:工程(b−1)基材形成工程
工程2:線状黒色層形成工程
工程3−1:工程(b−4)黒色層形成工程
工程3−2:工程(b−5)黒色層上へのレジストパターン形成工程
工程3−3:工程(b−6)黒色層選択的除去工程
工程3:線状金属層形成工程
工程3−1:工程(b−2)パターン形成工程
工程3−2:工程(b−3)線状金属層形成工程
なお、工程2中の工程2―1〜工程2−3、及び工程3中の工程3−1〜工程3−2がそれぞれこの順番に行われる限り、工程2よりも工程3を先に行ってもよく、工程2と工程3を並行して行ってもよい。
また、線状黒色層2、線状金属層3がどちらも線状凹凸構造10上に形成される場合は、次の工程(c−1)〜工程(c−4)の工程の工程を含む方法で製造することが可能となり、より工程数を少なくすることが可能で、生産性に優れるという点で、より好ましい。
工程(c−1):基材1を作製する工程(基材作製工程)
工程(c−2):基材1表面に線状凹凸構造10を形成する工程(パターン形成工程)
工程(c−3):基材1の線状凹凸構造10を有する面側に線状黒色層2を形成する工程(線状黒色層形成工程)
工程(c−4):基材1の線状凹凸構造10を有する面側に線状金属層3を形成する工程(線状金属層形成工程)
ここで、基材1上に線状黒色層2が形成され、その上に線状金属層3が形成される場合(図7など)は、上記工程を以下の順で行うことにより形成することができる
工程1:工程(c−1)基材作製工程
工程2:工程(c−2)パターン形成工程
工程3:工程(c−3)線状黒色層形成工程
工程4:工程(c−4)線状金属層形成工程
また、基材1上に線状金属層3が形成され、その上に線状黒色層2が形成される場合(図8など)は、上記工程を以下の順で行うことにより形成することができる
工程1:工程(c−1)基材作製工程
工程2:工程(c−2)パターン形成工程
工程3:工程(c−4)線状金属層形成工程
工程4:工程(c−3)線状黒色層形成工程
また、本発明の偏光板(2)の製造方法は、基材1が平坦である場合は、次の工程(d−1)〜工程(d−5)の工程を含む工程で製造することができる
工程(d−1):基材1を作製する工程(基材形成工程)
工程(d−2):金属層3を形成する工程(金属層形成工程)
工程(d−3):金属層3上にレジストパターンを形成する工程(レジストパターン形成工程)
工程(d−4):金属層3を部分的に除去する工程(金属層選択的除去工程)
工程(d−5):透明層4を形成する工程(透明層形成工程)。
ここで、基材1上に線状金属層3が形成され、その上に透明層4が形成される場合(図11など)は、上記工程を以下の順で行うことにより形成することができる
工程1:工程(d−1)基材作製工程
工程2:工程(d−2)金属層形成工程
工程3:工程(d−3)レジストパターン形成工程
工程4:工程(d−4)金属層選択的除去工程
工程5:工程(d−5)透明層形成工程
また、基材1上に透明層4が形成され、その上に線状金属層3が形成される場合(図17(a)など)は、上記工程を以下の順で行うことにより形成することができる
工程1:工程(d−1)基材作製工程
工程2:工程(d−5)透明層形成工程
工程3:工程(d−2)金属層形成工程
工程4:工程(d−3)レジストパターン形成工程
工程5:工程(d−4)金属層選択的除去工程
また、本発明の偏光板(2)の製造方法において、基材1の表面に線状凹凸構造10を形成させ、その基材1上に線状金属層3を形成させた後に透明層4を形成する場合は、上記製法での形成も可能であるが、以下工程(e−1)〜工程(e−4)の工程を含む方法も好ましく用いられる。本方法は、線状金属層3の形成が容易であるという点で好ましい
工程(e−1):基材1を作製する工程(基材作製工程)
工程(e−2)基材1表面に線状凹凸構造10を形成する工程(パターン形成工程)
工程(e−3):基材1の線状凹凸構造10を有する面側に線状金属層3を形成する工程(線状金属層形成工程)
工程(e−4):透明層4を形成する工程(透明層形成工程)
ここで、基材1上に線状金属層3が形成され、その上に透明層4が形成される場合(図14など)は、上記工程を以下の順で行うことにより形成することができる
工程1:工程(e−1)基材作製工程
工程2:工程(e−2)パターン形成工程
工程3:工程(e−3)線状金属層形成工程
工程4:工程(e−4)透明層形成工程
また、基材1上に透明層4が形成され、その上に線状金属層3が形成される場合(図17(b)など)は、上記工程を以下の順で行うことにより形成することができる
工程1:工程(e−1)基材作製工程
工程2:工程(e−2)パターン形成工程
工程3:工程(e−4)透明層形成工程
工程4:工程(e−3)線状金属層形成工程
以下、各工程について詳細を説明する。
<工程(a−1)、工程(b−1)、工程(c−1)、工程(d−1)、工程(e−1):基材作製工程>
本発明の偏光板(1)または偏光板(2)製造方法において、基材1の形成方法としては、例えば、基材1形成用材料を押出機内で加熱溶融し、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)を使用することができる。その他の方法として、基材1形成用材料を溶媒に溶解させ、その溶液を口金からキャストドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して膜状とし、次いでかかる膜層から溶媒を乾燥除去させてシート状に加工する方法(溶液キャスト法)等も使用することができる。
また、基材1上に線状凹凸構造10を形成するための樹脂層を形成する方法としては、その樹脂層が熱可塑性樹脂の場合は、二つの異なる熱可塑性樹脂を二台の押出機に投入し、溶融して口金から冷却したキャストドラム上に共押出してシート状に加工、基材1と樹脂層を同時に形成する方法(共押出法)、単膜で作製した基材1に樹脂層の原料を押出機に投入して溶融押出して口金から押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)、基材1と樹脂層をそれぞれ別々に単膜作製し、加熱されたロール群などにより熱圧着する方法(熱ラミネート法)、接着剤を介して張り合わせる方法(接着法)、その他、樹脂層用材料を溶媒に溶解させ、その溶液を基材1上に塗布する方法(コーティング法)等を使用することができる。
また、樹脂層の材料が光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂の場合は、上述の方法のうち、接着法、コーティング法が好ましく用いられる。
基材1としては、易接着層などの塗布層を形成したものが樹脂層との接着力の点で好ましく用いられる。この場合、塗布層を構成する樹脂としては、例えばポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂等の熱可塑性樹脂、およびそれらの混合物等を、用いる基材1、樹脂層に応じて適宜選択して用いられるが、基材1として二軸延伸ポリエステルフィルムを用いた場合は、接着性の点からポリエステル系樹脂を主たる成分としたものが好ましく用いられる。ここでいう主たる成分とは、塗布層を構成する熱可塑性樹脂のうち、ポリエステル系樹脂が、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、最も好ましくは70重量%以上から成ることを示すものである。
また、基材1と塗布層との密着性向上、耐ブロッキング防止等の点で、塗布層に、架橋剤を含有するのが好ましい。かかる架橋剤としては、塗布層を構成する樹脂に存在する官能基、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、グリシジル基、アミド基等と架橋反応する樹脂や化合物が好ましく用いられ、その例としてはメチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、メラミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系樹脂及びエポキシ化合物、イソシアネート化合物、カップリング剤、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物等、及びそれらの混合物等を使用することができる。かかる架橋剤種類、および含有量は、基材1、樹脂層、塗布層を構成する樹脂、架橋剤の種類等によって適宜選択されるが、通常は樹脂固形分100重量部に対し、好ましくは0.01〜50重量部、より好ましくは0.2〜30重量部の範囲がよい。また、かかる架橋剤には、触媒を併用して架橋反応を促進させることも好ましく行われる。なお、架橋反応方式としては、加熱方式、電磁波照射方式、吸湿方式などのいずれでも構わないが、通常は加熱による方法が好ましく用いられる。
また、塗布層には、塗布層の滑り性改良や、耐ブロッキング性のために微粒子を含有するのが好ましい。その例として、無機微粒子や有機微粒子などを使用することができる。かかる無機微粒子としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、レニウム、バナジウム、オスミウム、コバルト、鉄、亜鉛、ルテニウム、プラセオジウム、クロム、ニッケル、アルミニウム、スズ、亜鉛、チタン、タンタル、ジルコニウム、アンチモン、インジウム、イットリウム、ランタニウム等の金属、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セシウム、酸化アンチモン、酸化スズ
、インジウム・スズ酸化物、酸化イットリウム 、酸化ランタニウム 、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム 、酸化ケイ素等の金属酸化物、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム 、フッ化アルミニウム 、氷晶石等の金属フッ化物、リン酸カルシウム等の金属リン酸塩、炭酸カルシウム等の炭酸塩、硫酸バリウム等の硫酸塩、その他タルクおよびカオリンなどを用いることができる。また、有機微粒子としては、架橋スチレンや架橋アクリルなどの架橋微粒子の他、塗布層を構成する熱可塑性樹脂に対して非相溶だが、微分散して海島構造を形成する熱可塑性樹脂も微粒子として用いることもできる。かかる微粒子の形状としては、真球状、回転楕円体状、扁平体状、数珠状、板状または針状等のものを用いることができるが、特に限定されない。かかる微粒子の平均粒径は0.05〜15μmが分散性、滑り性、耐ブロッキング性の点から好ましく、0.1〜10μmがより好ましい。また、かかる微粒子の添加量は任意であるが、通常は樹脂固形分100重量部に対し、好ましくは0.1重量部〜50重量部、より好ましくは1〜30重量部である。
また、塗布層には、効果が失われない範囲内で、必要に応じて、各種の添加剤を加えることができる。添加配合することができる添加剤の例としては、例えば、分散剤、染料、蛍光増白剤、酸化防止剤、耐候剤、帯電防止剤、重合禁止剤、増粘剤、消泡剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、pH調整剤および塩などを使用することができる。
上記、塗布層を基材1上へ形成する方法としては、上述の塗布層を構成する材料を溶媒に溶解/分散させた塗液を基材1上に塗布、乾燥する手段が好ましく用いられる。この際、用いる溶媒は任意であるが、安全性の点から水を主たる成分として用いることが好ましい。その場合、塗布性や、溶解性などの改良のため、水に溶解する有機溶剤を少量添加させても構わない。かかる有機溶剤の例として、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n―ブチルアルコールなどの脂肪族または脂環族アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールなどのジオール類、メチルセロソロブ、エチルセロソロブプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのジオール誘導体、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N−メチルピロリドンなどのアミド類など、および、これらの混合物を使用することができるが、これらに限定されない。
塗布層を基材1上に塗設する方法としては、基材1の製膜中に塗設するインラインコーティング法、製膜後の原反に塗設するオフラインコーティング法があげられ、どちらでも用いることができる。より好ましくは、基材1製膜と同時にできて効率的であり、かつ塗布層の基材1への接着性が高いという理由からインラインコーティング法である。また、塗設する際には、塗布液の支持体上への濡れ性向上、接着力向上の観点から基材1表面へコロナ処理なども好ましく行われる。
また、基材1として、一軸もしくは、二軸延伸したフィルム基材を選択した場合、樹脂層の形成方法として、上述の溶融ラミネート法、熱ラミネート法、コーティング法等の方法が挙げられる。樹脂層が熱可塑性樹脂からなる場合においては、二台の押出機に樹脂層用材料と、基材1形成用のポリエステル材料をそれぞれ投入し、溶融して口金から冷却したキャストドラム上に共押出して、二軸延伸した後、熱処理を施す方法(共押出二軸延伸法)も好ましく行われる。
二軸延伸する方法としては、長手方向と幅方向の延伸とを分離して行う逐次二軸延伸方法や、長手方向と幅方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸方法のどちらであっても構わない。
また、熱処理工程における熱処理温度Taは、樹脂層の融点(もしくは軟化点)をTm1、基材1の融点をTm2とした時に、Tm2>Ta>Tm1とすることが好ましい。この温度範囲で熱処理を行うことで、基材1を熱固定して機械的強度を付与すると同時に、樹脂層を溶融させて均一化し、易成形性を付与することができる。
<工程(b−2)、工程(c−2)、工程(e−2):パターン形成工程>
パターン形成工程とは、工程(b−1)、工程(c−1)、工程(e−1)の工程により得られた、基材1の少なくとも片側表面に、線状凹凸構造10を形成する工程のことである。
本発明の偏光板(1)または偏光板(2)の製造方法において、線状凹凸構造10の形成方法としては、半導体製造プロセス等で用いられるフォトリソグラフィーやエッチング法を用いることも可能である。しかし、これらはプロセスが複雑であるので、生産性およびコストの面で金型転写法による賦形が好ましい。すなわち、加熱・加圧または電磁波照射を用いた金型転写により基材1表面に線状凹凸構造10を形成する。加熱・加圧を用いた方法においては、図20(a)に示すように、基材(線状凹凸構造形成用シート40)と金型50を重ねて加熱・加圧し、離型することにより、基材(線状凹凸構造形成用シート40)表面に金型形状が転写される。このとき、少なくとも基材(線状凹凸構造形成用シート40)表面が熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂で構成されているのが好ましい。また、電磁波照射を用いた方法においては、図20(b)に示すように、金型50に光硬化性樹脂を直接充填、または前記樹脂がコーティングされた基材(線状凹凸構造形成用シート40)に金型50を押しあてることで金型50に前記樹脂を充填し、基材と重ね合わせて電磁波照射を行い、樹脂を硬化させ、離型することによって金型50形状を転写する。少なくとも基材表面が電磁波、例えば紫外線、可視光、電子線により硬化する樹脂により構成されているのが好ましい。
本発明の偏光板(1)または偏光板(2)の製造方法において線状凹凸構造10を形成するために用いる金型50の作製方法としては、特に限定されるものではない。本発明の偏光板(1)または偏光板(2)の寸法を鑑みると、X線、電子線、紫外線、または紫外線レーザーなどを用いて、金型材質上に形成したレジスト層をパターニングし、その後にエッチングなどの工程を経て作製するのが好ましい。
金型50の材質としては、特に限定されるものではないが、ガラス、シリコン、ステンレス鋼(SUS)、あるいはニッケル(Ni)など各種材料を利用できる。好ましくは、金型50の加工性の点から、シリコンやガラス、離形性と耐久性からはステンレス鋼(SUS)、ニッケル(Ni)などの金属材質である。
金型50は上述の材質をそのまま用いてもよい。金型転写後に成形品を容易に離型できるように、金型50の表面を表面処理剤で処理し、易滑性を付与するのが好ましい。表面処理後の金型50の表層の接触角は、好ましくは80°以上、より好ましくは100°以上である。
金型50の表面処理の方法としては、表面処理剤を金型50表面に化学結合させる方法(化学吸着法)や、表面処理剤を金型50表面に物理的に吸着させる方法(物理吸着法)等を使用することができる。この中で、表面処理効果の繰り返し耐久性、および成形品への汚染防止の観点から化学吸着法により表面処理するのが好ましい。
化学吸着法に用いられる表面処理剤の好ましい例としては、フッ素系シランカップリング剤を使用することができる。これを用いた表面処理方法としては、まず、有機溶剤(アセトン、エタノール等)中での超音波処理や、硫酸等の酸、過酸化水素等の過酸化物の溶液中での煮沸などにより金型50の表面を洗浄した後、フッ素系シランカップリング剤をフッ素系溶剤に溶解させた溶液に浸漬する方法(湿式法)や真空蒸着させて金型50表面に析出させる方法(乾式法)などを使用することができる。湿式法の場合には、浸漬時に溶液を加熱することも好ましく行われる。浸漬時には、溶液を加熱することも好ましく行われる。また、浸漬後に加熱処理することも好ましく行われる。
上記金型50を用いて、基材1表面に線状凹凸構造10を形成する方法の例を、図20を用いて説明する。
図20(a)は、加熱・加圧を用いて金型賦形する場合の例を示すものである。基材1を形成するための線状凹凸構造形成用シート40と、金型の少なくとも一方を、シートのガラス転移温度Tg2(積層シートの場合は樹脂層の熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg21、以後これらをTg2と称す)以上融点Tm未満の温度範囲内に加熱し(図20(a−1))、線状凹凸構造形成用シート40と金型50を接近させ、そのまま所定圧力でプレス、所定時間保持する(図20(a−2))。次にプレスした状態を保持したまま降温する。最後にプレス圧力を解放して金型50からシートを離型する(図20(a−3))。
加熱・加圧を用いて金型賦形する場合において、加熱温度およびプレス温度(T1)はTg2〜Tg2+60℃の範囲内であることが好ましい。この範囲に満たないと、線状凹凸構造形成用シート40もしくは樹脂層が十分に軟化していないため、金型50をプレスしたときの変形が起こりにくくなり、成形に必要な圧力が非常に高くなる。また、この範囲を上回ると、加熱温度、およびプレス温度T1が高くエネルギー的に非効率である。また、金型50とシートの加熱/冷却時の体積変動量の差が大きくなりすぎて、線状凹凸構造形成用シート40が金型50に噛み込んで離型できなくなったり、また離型できたとしてもパターンの精度が低下したり、部分的にパターンが欠けてしまう等の理由により好ましくない。加熱温度およびプレス温度(T1)をこの範囲とすることで、良好な成形性と、離型性を両立することができる。
また、加熱・加圧を用いて金型賦形する場合において、プレス圧力は、プレス温度T1での線状凹凸構造形成用シート40もしくは樹脂層の弾性率の値等により適宜調整される。好ましくは0.5〜50MPa、より好ましくは1〜30MPaである。この範囲に満たないと金型50内への樹脂の充填が不十分となりパターン精度が低下する。またこの範囲を超えると、必要とする荷重が大きくなり、金型50への負荷が大きく、繰り返し使用耐久性が低下するため好ましくない。プレス圧力をこの範囲とすることで、良好な転写性を得ることができる。
また、加熱・加圧を用いて金型賦形する場合において、プレス圧力保持時間は、プレス温度T1での線状凹凸構造形成用シート40もしくは樹脂層の弾性率の値等と成形圧力により適宜調整される。平板プレスの場合、10秒〜10分が好ましい。この範囲に満たないと金型50内への樹脂の充填が不十分となりパターン精度が低下する、あるいは面内均一性が低下する。また、この範囲を超えると、樹脂の熱分解による劣化などが起こり成形品の機械的強度が低下する可能性があるため好ましくない。保持時間をこの範囲とすることで良好な転写性と、成形品の機械的強度の両立ができる。ただし、ロールtoロール成形の場合はプレス時間が10秒以下であっても構わない。
また、加熱・加圧を用いて金型賦形する場合において、プレス圧力開放温度T2は、Tg2−10℃〜Tg2+30℃の温度範囲内で、プレス温度T1より低いのが好ましく、より好ましくはTg2−10℃〜Tg2+30℃である。この範囲に満たないと、プレス時の樹脂の変形が残留応力として残り、離型時にパターンが崩壊する、離型できたとしても成形品の熱的な安定性が低下するため好ましくない。またこの範囲を上回ると、圧力解放時の樹脂の流動性が高いため、パターンが変形したりして転写精度が低下したりするため好ましくない。プレス圧力開放温度T2をこの範囲とすることによって、良好な転写性と離型性とを両立することができる。
また、加熱・加圧を用いて金型賦形する場合において、離型温度T3は20℃〜T2℃の温度範囲内であることが好ましく、より好ましくは20℃〜Tg2℃の温度範囲、最も好ましくは20℃〜Ts℃(ただしTs<Tg2)の温度範囲である。この範囲を上回ると、離型時の樹脂の流動性が高い、表面が軟化して粘着性を有するなどして、離型時にパターンが変形して精度が低下することがあるため好ましくない。離型時の温度をこの範囲とすることによって、パターン精度よく離型することができる。
図20(b)は電磁波照射を用いて金型賦形する場合の例を示すものである。基材1を形成するための線状凹凸構造形成用シート40と、転写すべきパターンと反転した凹凸を有する金型50とを、接近させる(図20(b−1))。そのまま所定圧力でプレスした後、金型50側もしくは線状凹凸構造形成用シート40のいずれかから電磁波を照射して樹脂を硬化させる(図20(b−2))。次にプレス圧力を解放して金型50から線状凹凸構造形成用シート40を離型する(図20(a−3))。
電磁波照射を用いた金型転写により賦形する場合において、プレス圧力は、賦形温度での賦形される材料の粘度に依存する。好ましくは0.05〜10MPa、より好ましくは0.1〜5MPaである。この範囲に満たないと金型50内への樹脂の充填が不十分となりパターン精度が低下する。またこの範囲を超えると、必要とする荷重が大きくなり、金型50への負荷が大きく、繰り返し使用耐久性が低下するため好ましくない。プレス圧力をこの範囲とすることで、良好な転写性を得ることができる。
電磁波照射を用いた金型転写により賦形する場合において、電磁波の照射量は、積算エネルギー照射する波長での吸光率などに依存する。好ましくは、10〜5000mJ/cm2である。この範囲に満たないと樹脂の硬化が不十分となりパターン精度が低下したり、離型時に強度が不足して、離型応力により破断したりするため、成形面内均一性が低下する。またこの範囲を超えると、硬化しすぎて、硬化収縮のためカールが起こったりする可能性があるため好ましくない。電磁波の照射量をこの範囲とすることで良好な転写性と、成形品の機械的強度の両立ができる。
電磁波照射を用いた金型転写により賦形する場合において、一連の工程中の温度は特に制限はない。プレス温度としては10〜200℃、より好ましくは10〜150℃、最も好ましくは10〜100℃である。この温度より高いと、樹脂の流動性が高くなりすぎて、プレス前に流れてしまう、あるいはプレス前に樹脂が硬化してしまい、成形が不十分となるため好ましくない。また、離型温度T3は硬化物のガラス転移温度Tg3以下がよく、より好ましくはTg3−10℃、最も好ましくはTg3−20℃である。この範囲を上回ると、離型時の樹脂の流動性が高くなる、あるいは表面が軟化して粘着性を有するので、離型時にパターンが変形して精度が低下することがあるため好ましくない。離型時の温度をこの範囲とすることによって、パターン精度よく離型することができる。
電磁波照射を用いた金型転写により賦形する場合において、金型賦形して得た基材1に熱処理を施すことによって、さらに、硬化度を向上することができる。その方法としては、前述の金型50のプレス時に金型50もしくは基材1の少なくとも一方加熱しておく方法、電磁波照射による硬化後離型前に金型50もしくは基材1の少なくとも一方加熱する方法、パターン形成工程後に熱処理を行う方法、いずれも好適に用いられる。そのうち、金型プレス時の金型温度T1もしくは積層体1の温度T2の少なくとも一方を加熱しておく方法は、工程数を減らすことができるため好適に行われる。また、硬化度をさらに高めるために、これらを組み合わせて行ってもよい。
本発明の偏光板(1)または偏光板(2)製造方法において、パターン形成方法としては上述の方法があげられる。図20に示したような平版をプレスする方法(平版プレス法)の他に、表面に凹凸を形成したロール状の金型を用いて、ロール状シートに成形し、ロール状の成形体を得るロールtoロールの連続成形であってもよい。ロールtoロール連続成形の場合、生産性の点で平版プレス法より優れている。
<工程(a−2)、工程(b−4)黒色層形成工程>
本発明の偏光板(1)の製造方法において、表面が平坦の基材1上に線状黒色層2を形成する場合は、基材の平坦面側全面に黒色層を形成する。その方法としては、蒸着法、スパッタ法などの乾式法、コーティング法、めっき法、などの湿式法などが好ましく用いられる。蒸着法およびスパッタ法などの乾式法については、面内において均一な黒色層を形成させるための有効な手段である。コーティング法は、黒色層形成用の材料を含有した塗剤を基材1上に塗布することにより黒色層を形成するものである。
また、めっき法については固体表面に外部電源を用いて黒色層を電気的に析出(電着)させる電解めっき法、黒色層を化学的に還元析出させる無電解めっき法、等があげられる。めっき法については、基材1に金属などを蒸着等により形成した後、めっきを成長させる、または銀やパラジウム等の触媒となる微粒子を基材1上にコーティングした後にめっきを成長させるなどが挙げられる。
これら上述した方法のうちでは、形成される黒色層の制御が容易でかつ均一性に優れる蒸着法およびスパッタ法などの乾式法が、より好ましい形成方法である。
本発明の偏光板(1)の製造方法において、乾式法により黒色層を形成する方法としては、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、誘導加熱蒸着および、これらにプラズマやイオンビームによるアシスト法などの真空蒸着法、反応性スパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、ECR(電子サイクロトロン)スパッタリング法などのスパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的気相成長法(PVD法)、熱や光、プラズマなどを利用した化学的気相成長法(CVD法)などが挙げられる。
ここで、黒色層を形成する材料が無機酸化物(1)、無機窒化物(1)、無機酸窒化物(1)、無機ハロゲン化物(1)、無機硫化物(1)などを主たる成分とする材料を用いる場合においては、形成する黒色層の組成と同一の材料を直接揮発させて基材1表面に堆積させることもできる。しかし、この方法で行う場合には、揮発中に組成が変化し、その結果、形成された膜が黒色を呈さない場合がある。そのため、1)揮発源として形成する黒色層と同一組成の材料を用い、無機酸化物(1)の場合は酸素ガスを、無機窒化物の場合は窒素ガス(1)を、無機酸窒化物(1)の場合は酸素ガスと窒素ガスの混合ガスを、無機ハロゲン化物(1)の場合はハロゲン系ガスを、無機硫化物(1)の場合は硫黄系ガスを、それぞれ系内に補助的に導入しながら揮発させる方法:2)揮発源として無機物群を用い、これを揮発させながら、無機酸化物(1)の場合は酸素ガスを、無機窒化物(1)の場合は窒素ガスを、無機酸窒化物(1)の場合は酸素ガスと窒素ガスの混合ガスを、無機ハロゲン化物(1)の場合はハロゲン系ガスを、無機硫化物(1)の場合は硫黄系ガスを、それぞれ系内に導入し、無機物と導入したガスを反応させながら基材1表面に堆積させる方法:3)揮発源として無機物群を用い、これを揮発させて、無機物群の層を形成させた後、それを無機酸化物(1)の場合は酸素ガス雰囲気下、無機窒化物(1)の場合は窒素ガス雰囲気下、無機酸窒化物(1)の場合は酸素ガスと窒素ガスの混合ガス雰囲気下、無機ハロゲン化物(1)の場合はハロゲン系ガス雰囲気下、無機硫化物(1)の場合は硫黄系ガス雰囲気下で保持することにより無機物層と導入したガスを反応させる方法等の方法を用いる。これらのうち、揮発源から揮発させることが容易であるという点で2)の方法、または3)の方法、がより好ましく用いられる。さらには、膜質の制御が容易である点で2)の方法が更に好ましく用いられる。また、黒色層2が無機酸化物(1)の場合は、揮発源として無機物群を用い、これを揮発させて、無機物群の層を形成させる。この後、空気中で放置することで、無機物群を自然酸化させる方法も、形成が容易であるという点で、好ましく用いられる。
また、PVD法にて黒色層を形成する場合、揮発前に減圧する際、系内の真空度を高くすることが好ましい。系内の真空度を高くすることで、緻密で、欠点の少ない黒色層2を形成することが可能となり、黒色層を均一に形成することができる。
また、黒色層が積層構造からなる場合は、無機物群が異なる場合は複数の揮発源を備えた装置を用い、第一層を形成した後に揮発源を変えて第二層、第三層と形成していけばよく、また同一の無機物群で反応の程度および/もしくは反応ガスの種類が異なるのみである場合は、第一層を形成した後に、導入ガスの流量、および/または導入ガスの種類を変更して第二層、第三層・・・と形成すればよい。
<工程(d−5)、(e−4):透明層形成工程>
本発明の偏光板(2)の製造方法において、透明層4を形成する方法としては、蒸着法、スパッタ法などの乾式法、コーティング法などの湿式法などが好ましく用いられる。蒸着法およびスパッタ法などの乾式法については、面内において均一な透明層4を形成させるための有効な手段である。コーティング法は、透明層4形成用の組成物を含有した塗剤を塗布することにより透明層を形成するものである。
これら上述した方法のうちでは、形成される透明層4の制御が容易でかつ均一性に優れる蒸着法およびスパッタ法などの乾式法が、より好ましい形成方法である。
本発明の偏光板(2)の製造方法において、乾式法により透明層4を形成する方法としては、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、誘導加熱蒸着および、これらにプラズマやイオンビームによるアシスト法などの真空蒸着法、反応性スパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、ECR(電子サイクロトロン)スパッタリング法などのスパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的気相成長法(PVD法)、熱や光、プラズマなどを利用した化学的気相成長法(CVD法)などが挙げられる。
ここで、透明層4を形成する材料が無機酸化物(2)、無機窒化物(2)、無機酸窒化物(2)、無機ハロゲン化物(2)などを主たる成分とする材料を用いる場合においては、形成する透明層4の組成と同一の材料を直接揮発させて基材1表面に堆積させることも可能である。しかし、この方法で行う場合には、揮発中に組成が変化し、その結果、形成された膜が透明層4として働かなくなる場合がある。そのため、1)揮発源として形成する透明層4と同一組成の材料を用い、無機酸化物(2)の場合は酸素ガスを、無機窒化物(2)の場合は窒素ガスを、無機酸窒化物(2)の場合は酸素ガスと窒素ガスの混合ガスを、無機ハロゲン化物(2)の場合はハロゲン系ガスを、それぞれ系内に補助的に導入しながら揮発させる方法:2)揮発源として無機物群を用い、これを揮発させながら、無機酸化物(2)の場合は酸素ガスを、無機窒化物(2)の場合は窒素ガスを、無機酸窒化物(2)の場合は酸素ガスと窒素ガスの混合ガスを、無機ハロゲン化物(2)の場合はハロゲン系ガスを、それぞれ系内に導入し、無機物と導入したガスを反応させながら基材1表面に堆積させる方法:3)揮発源として無機物群を用い、これを揮発させて、無機物群の層を形成させた後、それを無機酸化物(2)の場合は酸素ガス雰囲気下、無機窒化物(2)の場合は窒素ガス雰囲気下、無機酸窒化物(2)の場合は酸素ガスと窒素ガスの混合ガス雰囲気下、無機ハロゲン化物(2)の場合はハロゲン系ガス雰囲気下で保持することにより無機物層と導入したガスを反応させる方法、等が挙げられる。これらのうち、揮発源から揮発させることが容易であるという点で2)、3)の方法がより好ましく用いられ、形成した膜の透明性が優れるという点で2)の方法がより好ましく用いられる。
また、PVD法にて透明層4を形成する場合、揮発前に減圧する際、系内の真空度を高くすることが好ましい。系内の真空度を高くすることで、緻密で、欠点の少ない透明層4を形成することが可能となり、透明層4を均一に形成することができる。
また、透明層4が積層構造からなる場合は、無機物群が異なる場合は複数の揮発源を備えた装置を用い、第一層を形成した後に揮発源を変えて第二層、第三層と形成していけばよい。また同一無機物群で反応の程度および/もしくは反応ガスの種類が異なるのみである場合は、第一層を形成した後に、導入ガスの流量、および/または導入ガスの種類を変更して第二層、第三層と順に形成すればよい。
ここで、本発明の偏光板(2)の製造方法において、線状金属層3上に透明層4を形成するためには、蒸着角度θ、すなわち蒸着時の基材1の法線方向と揮発源の方向がなす角度や、材料の堆積量を変化させることにより、任意の形態の透明層4とすることができる。ここでいう蒸着角度θとは、蒸着時の基材1の法線方向と揮発源の方向がなす角度のことである。例えば、上述の蒸着角度θ(°)を、tanθ≧(p−w)/hとする場合には、凹部表面への透明層4が形成しにくくなる。材料の堆積量を少なくする場合は、図13(c)、図16(c)、(e)の様な形態を形成することができ、材料の堆積量を多くすると図13(a),(b),図16(a),(b),(d)の様な形態を形成することができる。また、蒸着角度を0°とする場合は、材料の堆積量を少なくする場合は、図13(e)、図16(g)、の様な形態を形成することができ、材料の堆積量を多くすると図13(d),図16(f)の様な形態を形成することができる。
<工程(a−3)、工程(b−4)工程(d−2):金属層形成工程>
本発明の偏光板(1)または偏光板(2)の製造方法において、基材1の平坦面に線状金属層3を形成する場合は、基材1の平坦面全面に金属層を形成する。その方法としては、蒸着法、スパッタ法などの乾式法、コーティング法、めっき法、などの湿式法などが好ましく用いられる。蒸着法およびスパッタ法などの乾式法については、面内において均一な金属層を形成させるための有効な手段である。コーティング法は、金属粒子もしくは金属により被覆された粒子を含有した塗剤を基材1上に塗布することにより金属層を形成するものである。
また、めっき法については固体表面に外部電源を用いて金属などを電気的に析出(電着)させる電解めっき法、線状金属層を化学的に還元析出させる無電解めっき法、等があげられる。めっき法については、基材1に金属を蒸着等により形成した後、めっきを成長させる、または銀やパラジウム等の触媒となる微粒子を基材1上にコーティングした後にめっきを成長させるなどが挙げられる。
これら上述した方法のうちでは、形成される金属層の金属性が高い蒸着法およびスパッタ法などの乾式法が、より好ましい形成方法である。
本発明の偏光板(1)または偏光板(2)の製造方法において、金属層を形成する方法としては、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、誘導加熱蒸着および、これらにプラズマやイオンビームによるアシスト法などの真空蒸着法、反応性スパッタリング法、イオンビームスパッタリング法ECR(電子サイクロトロン)スパッタリング法などのスパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的気相成長法(PVD法)、熱や光、プラズマなどを利用した化学的気相成長法(CVD法)、ゾル−ゲル法などの塗布法などが挙げられる。この中でも、緻密な膜が均一に形成できるという点で、PVD法もしくはCVD法が好ましい。
真空蒸着法による金属層の形成において、系内の真空度は高いほどよく、好ましくは8.0×10−4Pa以下,より好ましくは1.0×10−4Pa以下,更に好ましくは5.0×10−5Pa以下である。この範囲に満たないと、揮発源から揮発した金属原子が堆積する時に系内に残存する気体分子を取り込みながら基材1上に析出して金属性が低下したりして、光学特性が低下することがあったりすることがあるため好ましくない。本発明の偏光板(1)または偏光板(2)の製造方法において、蒸着時の真空度を上述の範囲内とすることで、緻密な膜を形成することが可能となる。その結果、偏光分離特性に優れた偏光板とすることができる。
真空蒸着法による金属層形成において、蒸着速度は好ましくは0.2nm/sec以上,より好ましくは0.5nm/sec以上,更に好ましくは1nm/sec以上である。この範囲に満たないと、堆積時に系内に残存する気体分子を取り込みやすい状態となり、形成される金属層の金属性が低下して光学特性が低下することがあるため好ましくない。本発明の偏光板(1)または偏光板(2)の製造方法において、蒸着速度を上述の範囲内とすることで、緻密な膜を形成することが可能となる。その結果、偏光分離特性に優れた偏光板とすることができる。
<工程(b−3)、工程(c−4):線状黒色層形成工程>
本発明の偏光板(1)の製造方法において、基材1表面に形成した線状凹凸構造10上に線状黒色層2を形成する場合、その方法としては、蒸着法、スパッタ法などの乾式法、コーティング法、めっき法、などの湿式法などが好ましく用いられる。
蒸着法およびスパッタ法などの乾式法については、基材1と揮発源との角度を制御することで、線状凹凸構造10の凸部11周辺だけに線状黒色層2を形成することが可能である。これは、位置選択的に線状黒色層2を形成するための有効な手段である。ここで、基材1と金属源との角度を制御するとは、基材1面の法線方向に対する金属原の角度を制御することをいい、たとえば図21に示すように、法線方向に対して斜め方向で、かつ、線状凹凸構造10の長手方向に対して垂直な方向から蒸着またはスパッタすることが好ましい。
次に、コーティング法は、黒色層形成用の材料を含有した塗剤を基材1上に塗布することにより線状黒色層2を形成する。塗膜厚み、溶媒の極性、塗布条件を制御することにより、部分的に線状黒色層2の形成が可能となる。
また、めっき法については固体表面に外部電源を用いて線状黒色層2などを電気的に析出(電着)させる電解めっき法、線状黒色層2を化学的に還元析出させる無電解めっき法、等が挙げられる。めっき法については、基材1に金属などを蒸着等により形成した後、めっきを成長させる、または銀やパラジウム等の触媒となる微粒子を基材1上にコーティングした後にめっきを成長させるなどが挙げられる。例えば、線状凹凸構造10の凹部12に触媒となる金属粒子を充填させた後、無電解めっきすれば、凹部12のみに線状黒色層2が形成される。
これら上述した方法のうちでは、線状黒色層2の形成位置が制御しやすく、かつ形成される線状金属層3の制御が容易でかつ均一性に優れる、蒸着法およびスパッタ法などの乾式法が、より好ましい形成方法である。
乾式法による線状黒色層2の形成方法の例としては、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、誘導加熱蒸着および、これらにプラズマやイオンビームによるアシスト法などの真空蒸着法、反応性スパッタリング法、イオンビームスパッタリング法ECR(電子サイクロトロン)スパッタリング法などのスパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的気相成長法(PVD法)、熱や光、プラズマなどを利用した化学的気相成長法(CVD法)、などが挙げられる。
ここで、線状黒色層2を形成する材料が無機酸化物(1)、無機窒化物(1)、無機酸窒化物(1)、無機ハロゲン化物(1)、無機硫化物(1)などを主たる成分とする材料を用いる場合においては、形成する線状黒色層2の組成と同一の材料を直接揮発させて基材1表面に堆積させることも可能である。しかし、この方法で行う場合には、揮発中に組成が変化し、その結果、形成された膜が黒色を呈さない場合がある。そのため、1)揮発源として形成する線状黒色層2と同一組成の材料を用い、無機酸化物(1)の場合は酸素ガスを、無機窒化物(1)の場合は窒素ガスを、無機酸窒化物(1)の場合は酸素ガスと窒素ガスの混合ガスを、無機ハロゲン化物(1)の場合はハロゲン系ガスを、無機硫化物(1)の場合は硫黄系ガスをそれぞれ系内に補助的に導入しながら揮発させる方法:2)揮発源として無機物を用い、これを揮発させながら、無機酸化物(1)の場合は酸素ガスを、無機窒化物(1)の場合は窒素ガスを、無機酸窒化物(1)の場合は酸素ガスと窒素ガスの混合ガスを、無機ハロゲン化物(1)の場合はハロゲン系ガスを、無機硫化物(1)の場合は硫黄系ガスを、それぞれ系内に導入し、無機物と導入したガスを反応させながら基材1表面に堆積させる、等が挙げられる。:3)揮発源として無機物群を用い、これを揮発させて、無機物群の層を形成させた後、それを無機酸化物(1)の場合は酸素ガス雰囲気下、無機窒化物(1)の場合は窒素ガス雰囲気下、無機酸窒化物(1)の場合は酸素ガスと窒素ガスの混合ガス雰囲気下、無機ハロゲン化物(1)の場合はハロゲン系ガス雰囲気下、無機硫化物(1)の場合は硫黄系ガス雰囲気下で保持することにより無機物層と導入したガスを反応させる、これらのうち、揮発源から揮発させることが容易であるという点で2)または3)の方法がより好ましく用いられる。さらには、膜質の制御が容易である点で2)の方法が更に好ましく用いられる。また、線状黒色層2が無機酸化物(1)の場合は、揮発源として無機物群を用い、これを揮発させて、無機物群の層を形成させた後、空気中で放置することで、無機物群を自然酸化させる方法も、形成が容易であるという点で、好ましく用いられる。
真空蒸着法による線状黒色層2の形成において、揮発前に減圧する際、系内の真空度を高くすることが好ましい。系内の真空度を高くすることで、緻密で、欠点の少ない線状黒色層2を形成することが可能となり、均一な線状黒色層2を形成することができる。
本発明の偏光板(1)の製造方法において、蒸着角度θ、すなわち蒸着時の基材1の法線方向と揮発源の方向がなす角度は、基材1表面に線状凹凸構造10を有する場合は、基材1の凹凸形状に依存する。ここでいう蒸着角度θとは、蒸着時の基材1の法線方向と揮発源の方向がなす角度のことである。好ましくは、図21に示すように、線状黒色層2の蒸着方向M1が、基材面の法線L3と、基材1面に平行でかつ線状凹凸構造10の長手方向に垂直な線L2とからなる面内に含まれるのがよい。
線状黒色層2の蒸着方向M1が、基材面の法線L3と、基材1面に平行でかつ線状凹凸構造10の長手方向に垂直な線L2とからなる面内に含まれる場合において、上述の蒸着角度θ(°)は、線状黒色層2の形成中に一定であってもよく、変化させても構わない。蒸着角度θが一定である場合、tanθ≧(p−w)/hとなるのが好ましい。より好ましくはtan(θ−5°)≧(p−w)/h、さらに好ましくは蒸着角度tan(θ−10°)≧(p−w)/h以上である。この範囲に満たないと、線状黒色層2の選択的形成が困難となり、光学特性が低下することがあるため好ましくない。本発明の偏光板(1)の製造方法において、蒸着角度θを上記範囲にすることによって、高選択的に線状黒色層2を形成させることが可能となる。その結果、高透過率を維持したまま、外光の映り込みを抑制することができる。
また、蒸着角度θを変化させた場合は、蒸着角度θを一定にした方法と比べ、凹部への付着を抑えつつ、線状黒色層2を厚み方向により高く形成することが可能となる。その結果、得られる高透過率を維持したまま、より外光の映り込みを抑制することができる。この場合、蒸着角度θは形成初期において tanθ≧(p−w)/h を満たしていれば良く、形成中期後期にかけて tanθ<(p−w)/h となってもよい。
蒸着角度θを変化させる場合、形成初期の段階においては蒸着角度θが小さくなる方向に変化させるのが好ましい。このように変化させることによって、形成初期には凹部への付着を抑えることが可能となり、また、形成を進行させるにつれ、厚み方向に高く線状黒色層2を形成することが可能となる。また、蒸着角度θを変化させる場合、断続的に変化させてもよいし、連続的に変化させてもよい。
形成角度θを変化させる方法としては、基材角度可変機構を有する装置を用いて形成角度θを変化させてもよいし、ロールtoロール型蒸着装置を用いて基材をロール状ドラムの外周に沿って設置し、ロールを回転させることにより形成角度θを変化させてもよい。ここで、ロールtoロール型蒸着装置を用いた場合は、連続プロセスとすることが可能となるため生産性の点からより好ましい。
図22は、基材角度可変機構を有する装置を用いて形成角度θを変化させて蒸着する方法を説明する図である。図示しない基材角度可変機構を用いて、基板1を、蒸着角度θ、すなわち蒸着時の基材1の法線方向L3と揮発源60からの金属の方向M1がなす角度に傾斜させる。このようにして、基材角度可変機構を有する装置を用いて、形成角度θを変化させながら、蒸着させることにより、高選択的に線状黒色層2を形成させることができる。
図23は、ロールtoロール型蒸着装置を用いて、形成角度θを変化させて蒸着する方法を説明する図である。図23に示すように、ロール状の基材は、巻き出し/巻き取り軸63、66、ロール状ドラム62の回転により、ロール状ドラム62の外周に沿って、回転する。ロール状ドラム62の側面近傍には。仕切板67が設けられている。仕切り板の開口部は、基材面の法線方向L3と揮発源60からの金属の方向M1がなす角度θが、θ1からθ3(この図の例では、θ1>θ3)に変化するように開口している。巻き出し/巻き取り軸63、66、ロール状ドラム62の回転により、ロール状の基材61上に、形成角度θが、θ1からθ3に変化しながら蒸着される。
本発明の偏光板(1)の製造方法において、基材1と揮発源間の距離は遠い方が良く、好ましくは15cm以上、より好ましくは20cm以上である。この範囲に満たないと、斜めから蒸着した時に蒸着源に近い側に多くの線状黒色層2が堆積してしまい、光学特性の面内均一性が悪化することがあるため好ましくない。本発明の偏光板(1)の製造方法において、基材1と揮発源間の距離を上述の範囲とすることによって、面内での光学特性が均一性に優れた偏光板とすることができる。
また、線状黒色層2が積層構造からなる場合は、無機物群が異なる場合は複数の揮発源を備えた装置を用い、第一層を形成した後に揮発源を変えて第二層、第三層と形成していけばよい。また同一無機物群で反応の程度および/もしくは反応ガスの種類が異なるのみである場合は、第一層を形成した後に、導入ガスの流量、および/または導入ガスの種類を変更して第二層、第三層・・・と形成すればよい。
<工程(b−3)、工程(c−4)、工程(e−4):線状金属層形成工程>
本発明の偏光板(1)または偏光板(2)の製造方法において、基材1表面に形成した線状凹凸構造10上に線状金属層3を形成する場合、その方法としては、蒸着法、スパッタ法などの乾式法、コーティング法、めっき法、などの湿式法などが好ましく用いられる。
蒸着法およびスパッタ法などの乾式法については、基材1と金属源との角度を制御することで、線状凹凸構造10の凸部11周辺だけに線状金属層3を形成することが可能であり、位置選択的に線状金属層3を形成するための有効な手段である。ここで、基材1と金属源との角度を制御するとは、基材1面の法線方向に対する金属原の角度を制御することをいう。例えば、図21に示すように、法線方向に対して斜め方向で、かつ、線状凹凸構造10の長手方向に対して垂直な方向から蒸着またはスパッタすることが好ましい。
次に、コーティング法は、金属粒子もしくは金属により被覆された粒子を含有した塗剤を基材1上に塗布することにより線状金属層3を形成する。塗膜厚み、溶媒の極性、塗布条件を制御することにより、部分的に線状金属層3の形成が可能となる。
また、めっき法については固体表面に外部電源を用いて金属などを電気的に析出(電着)させる電解めっき法、線状金属層を化学的に還元析出させる無電解めっき法等が挙げられる。めっき法については、基材1に線状金属層3を蒸着等により形成した後、めっきを成長させる、または銀やパラジウム等の触媒となる微粒子を基材1上にコーティングした後にめっきを成長させるなどが挙げられる。例えば、線状凹凸構造10の凹部12に触媒となる金属粒子を充填させた後、無電解めっきすれば、凹部12のみに線状金属層3が形成される。
これら上述した方法のうちでは、線状金属層3の形成位置が制御しやすく、かつ形成される線状金属層3の金属性が高い蒸着法およびスパッタ法などの乾式法が、より好ましい形成方法である。
乾式法による線状金属層3の形成方法の例としては、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、誘導加熱蒸着および、これらにプラズマやイオンビームによるアシスト法などの真空蒸着法、反応性スパッタリング法、イオンビームスパッタリング法ECR(電子サイクロトロン)スパッタリング法などのスパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的気相成長法(PVD法)、熱や光、プラズマなどを利用した化学的気相成長法(CVD法)、などが挙げられる。この中でも、金属性の高い緻密な膜を高選択的に形成できるという点で、電子ビーム蒸着法、および電子ビーム法に種々のアシスト法を組み合わせた方法が好ましい。
真空蒸着法による線状金属層3の形成において、系内の真空度は高いほどよく、好ましくは8.0×10−4Pa以下,より好ましくは1.0×10−4Pa以下,更に好ましくは5.0×10−5Pa以下である。この範囲に満たないと、揮発源から揮発した金属原子が、基材1まで到達する間に、系内に残存する気体分子と衝突して、方向性が失われてしまう。このため、堆積時に系内に残存する気体分子を取り込みながら基材1上に析出して金属性が低下して、光学特性が低下する、あるいは基材1表面に線状凹凸構造10を有する場合においては、線状金属層3の選択的形成が困難となることがあるため好ましくない。本発明の偏光板(1)または偏光板(2)の製造方法において、蒸着時の真空度を上述の範囲内とすることで、緻密な膜を高選択的に形成することが可能となり、その結果、偏光分離特性に優れた偏光板を得ることができる。
真空蒸着法による線状金属層3形成において、蒸着速度は好ましくは0.2nm/sec以上、より好ましくは0.5nm/sec以上、更に好ましくは1nm/sec以上である。この範囲に満たないと、堆積時に系内に残存する気体分子を取り込みやすい状態となり、形成される線状金属層3の金属性が低下して光学特性が低下することがあるため好ましくない。本発明の偏光板(1)または偏光板(2)の製造方法において、蒸着速度を上述の範囲内とすることで、緻密な膜を高選択的に形成することが可能となる。その結果、偏光分離特性に優れた偏光板を得ることができる。
本発明の偏光板(1)または偏光板(2)の製造方法において、蒸着角度θ、すなわち蒸着時の基材1の法線方向と蒸着源の方向がなす角度は基材1が平坦である場合はどの様な角度でもよい。基材1表面に線状凹凸構造10を有する場合は、基材1の凹凸形状に依存する。ここでいう蒸着角度θとは、蒸着時の基材1の法線方向と蒸着源の方向がなす角度のことである。好ましくは、図21に示すように、金属の蒸着方向M1が、基材面の法線L3と、基材1面に平行でかつ線状凹凸構造10の長手方向に垂直な線L2とからなる面内に含まれるとよい。
金属の蒸着方向M1が、基材1面の法線L3と、基材1面に平行でかつ線状凹凸構造10の長手方向に垂直な線L2とからなる面内に含まれる場合において、上述の蒸着角度θ(°)は、線状金属層3の形成中に一定であってもよく、変化させてもよい。蒸着角度θが一定である場合、tanθ≧(p−w)/hとなるのが好ましい。より好ましくはtan(θ−5°)≧(p−w)/h、さらに好ましくは蒸着角度tan(θ−10°)≧(p−w)/h以上である。この範囲に満たないと、線状金属層3の選択的形成が困難となり、光学特性が低下することがあるため好ましくない。本発明の偏光板(1)または偏光板(2)の製造方法において、蒸着角度θを上記範囲にすることによって、高選択的に金属を付着させることが可能となり、その結果、偏光分離特性に優れた偏光板を得ることができる。
また、蒸着角度θを変化させた場合は、蒸着角度θを一定にした方法と比べ、凹部への付着を抑えつつ、線状金属層3を厚み方向により高く形成することが可能となる。その結果、得られる高透過率を維持したまま、より偏光分離特性に優れた偏光板を得ることができる。
この場合、蒸着角度θは形成初期において tanθ≧(p−w)/hを満たしていれば良く、形成中期後期にかけて tanθ<(p−w)/hとなってもよい。
この場合、蒸着角度θを変化させる場合、形成初期の段階においては、蒸着角度θが小さくなる方向に変化させるのが好ましい。このように変化させることによって、形成初期には凹部への付着を抑えることが可能となる。また、形成を進行させるにつれ、厚み方向に高く線状金属層3を形成することが可能となる。また、蒸着角度θを変化させる場合、断続的に変化させても良いし、連続的に変化させても構わない。
形成角度θを変化させる方法としては、基材角度可変機構を有する装置を用いて形成角度θを変化させてもよい。蒸着源がロール状ドラムの回転中心軸を含みかつ水平面に対し垂直な面内にない位置に配置されているロールtoロール型蒸着装置を用いて、基材をロール状ドラムの外周に沿って設置し、ロールを回転させることにより形成角度θを変化させてもよい。ここで、ロールtoロール型蒸着装置を用いた場合は、連続プロセスとすることが可能となるため生産性の点からより好ましい。形成角度θを変化させながら、蒸着する方法は、上記と同様の方法で行う。
本発明の偏光板(1)または偏光板(2)の製造方法において、基材1と蒸着源間の距離は遠い方が良く、好ましくは15cm以上、より好ましくは20cm以上である。この範囲に満たないと、斜めから蒸着した時に蒸着源に近い側に多くの金属が堆積してしまい、光学特性の面内均一性が悪化することがあるため好ましくない。本発明の型偏光板の製造方法において、基材1と蒸着源間の距離を上述の範囲とすることによって、面内での光学特性が均一性に優れた偏光板とすることができる。
本発明の偏光板(1)の製造方法においては、工程(a−2)工程(b−4)黒色層形成工程または工程(b−3)工程(c−4)線状黒色層形成工程、および工程(a−3)工程(b−4)金属層形成工程または工程(b−4)工程(c−4)線状金属層形成工程のどちらも蒸着、スパッタなどの物理的気相成長法で行う場合、また、本発明の偏光板(2)の製造方法においては、工程(d−2)工程(e−3)透明層形成工程および工程(d−3)金属層形成工程または工程(e−4)線状金属層形成工程のどちらも蒸着、スパッタなどの物理的気相成長法で行う場合は、複数の揮発源を備えた装置を用いて、これらを連続して行うことも好ましく行われる。この場合、別々の工程に分けて行う場合と比べて、真空引きを行う回数を減らすことができる。その結果、工程時間を約半分にすることができる。また、これらを連続で行う場合、ロール状のフィルム基材を用いて、ロールtoロール工程で行うことも可能である。この場合は、巻出しながら一方の層を形成し、次いで巻返しながら、もしくは巻き返し後再度巻出しをしながらもう一つの層を形成してもよく、フィルムの搬送経路内に複数の形成ゾーンを設けた装置を用い、1回の巻出しで両方の層を連続して形成することも好ましく行われる。
<工程(a−4)、工程(b−5)、工程(d−4):レジストパターン形成工程>
本発明の偏光板(1)の製造方法では、基材1の平坦面に線状黒色層2および/または線状金属層3を形成する場合は工程(a−2)工程(b−4)で形成した黒色層および/または工程(a−3)工程(b−4)金属層上に、また本発明の偏光板(2)の製造方法では、基材1の平坦面に線状金属層3を形成する場合は工程(d−3)で形成した金属層上にレジストパターンを形成する。
その方法としては、まず、黒色層および/または金属層上に電磁波照射により架橋、もしくは分解可能な化合物を含む材料からなる薄膜を形成する。次に、その薄膜にフォトマスクを用いた露光、電子ビーム描画、干渉露光などの手法により、部分的に架橋もしくは分解させる。次いで、溶媒を用いて、露光部もしくは非露光部を選択的に溶解させることにより形成させることができる。
また、その他の方法としては、工程(b−2)、工程(c−2)、工程(e−2)で挙げたような加熱・加圧または電磁波照射を用いた金型転写によっても形成することができる。その具体的な方法は、黒色層および/または金属層上に熱可塑性を有する材料や、加熱もしくは電磁波照射により架橋可能な材料の薄膜を形成し、その形成した薄膜に工程(b−2)、工程(c−2)、工程(e−2)と同様の方法で金型形状を転写することにより形成することができる。
ここで、金型転写でレジストパターンを形成する場合、形成した樹脂の凹凸形状の凹部底面には一般的に樹脂が残る。このため、そのままでは続く選択的除去工程において、黒色層および/または金属層を選択的除去することが困難である。そのため、凹部に残存する樹脂を除去し、部分的に黒色層および/または金属層を露出することも好ましく行われる。その方法としてはドライエッチング、ウェットエッチング等の公知の方法を用いて行うことができる。
上述の方法により形成されたレジストパターンは、そのままで続く工程(a−5)、工程(a−6)、工程(b−6)、工程(d−5)の選択的除去工程に用いることが可能である。そのレジストパターンを元にリフトオフを行うことで、黒色層および/または金属層上に別の金属などのパターンを形成することも好ましく行われる。この場合、レジストパターンをそのまま用いる場合と比べて、選択的除去工程における除去の選択性を高めることができる。その結果、高光学特性の偏光板を形成できるため好ましく行われる。
<工程(a−5)、工程(a−6)、工程(b−6)、工程(d−5):選択的除去工程>
本発明の偏光板(1)の製造方法においては、基材1の平坦面に線状黒色層2および線状金属層3を形成する場合は工程(a−4)工程(b−5)、本発明の偏光板(2)の製造方法においては、基材1の平坦面に線状金属層3を形成する場合は工程(d−4)にて黒色層および/または金属層上に形成したレジストパターン(もしくはレジストパターンを元にリフトオフして形成した金属パターン)を元に、黒色層および/または金属層を部分的に除去することにより目的とする偏光板を形成することができる。
その方法としてはドライエッチング法、ウエットエッチング法、サンドブラスト法などを用いることができる。この中で、高選択的に黒色層および/または金属層を除去できるという点で、ドライエッチング法が好ましい。ドライエッチングに用いるガスは黒色層および/または金属層、および、レジストパターン(もしくはレジストパターンを元にリフトオフして形成した金属パターン)の材質により、適宜選択される。
本発明の偏光板(1)または偏光板(2)は、少なくとも上述の工程を含む方法により形成される。特に本発明の偏光板(1)の場合や、本発明の偏光板(2)において、基材1上に透明層4を形成した後に線状金属層3を形成した場合においては、形成した線状黒色層2および/または線状金属層3の機械的強度を高めるため、または表面に耐摩擦性を付与するために、形成した線状黒色層2および/または線状金属層3の表面や、線状黒色層2および/または線状金属層3が形成されている面全面に透明樹脂や、金属酸化膜などによる保護膜を形成する、または形成した線状黒色層2および/または線状金属層3の間の凹部に透明樹脂を充填するなどをしてもよい。用いることができる透明樹脂は、特に限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、等を好適に用いることができる。また、用いることができる金属酸化物も透明であれば特に限定されない。また、本発明の偏光板(1)または偏光板(2)の表面に位相差フィルム、光学補償フィルム、保護フィルム等の別のフィルムを張り合わせたりすることも好適に行われる。
また、本発明の偏光板(1)の基材1の線状黒色層2および/または線状金属層3の未形成面側、本発明の偏光板(2)の基材1の線状金属層3の未形成面側には、帯電防止層、反射防止層、ハードコート層など、任意の層を形成することができる。また、他の機能を有する基材1等との貼り合わせをすることによって、多機能を有する機能統合高性能シートとすることも可能である。
本発明の偏光板(1)または偏光板(2)は、上述の工程により形成することができる。得られる偏光板は、により反射型の偏光分離特性を発現させるとともに、B面により外光の映り込みを防止することができる。より詳しくは、A面側に光を入射した場合は、ある一方の偏光成分を透過し、かつもう一方の偏光成分を反射する偏光分離機能を有する。A面側から光を入射させた場合は、ある一方の偏光成分を透過し、かつもう一方の偏光成分を消失させる機能を有する。本発明の偏光板(1)または偏光板(2)は本機能が求められる各種用途に使用することができるが、その用途の一例としては、特に液晶表示装置の中に組み込んで使用した場合に輝度向上効果が発揮されることがあげられる。以下に、このメカニズムについて説明する。
[液晶表示装置]
液晶表示装置は、その構成が大きくは面光源700と液晶セル800に分けられる。
図24は光源700としてサイドライト型面光源を用いた液晶表示装置の例を示している。図24において、導光板300の上面側に拡散シート500が配置され、さらにその上にプリズムシート600が配置され、また、導光板300の下面側には反射シート400が配置されている。さらに、導光板300の側面には蛍光管200が配置されている。蛍光管200から照射される光は、導光板300の側面から導光板300内に入り、導光板300の上面から拡散シート500、プリズムシート600を経て上方に出射する。なお、前記構成例に制限されない。導光板300として、表裏面にドット、プリズム状など様々な加工を施したものを用いてもよい。蛍光管200を複数本を設置してもよい。また、蛍光管200のかわりに発光ダイオード(LED)を用いても構わない。さらには、光拡散シート500やプリズムシート600に関しては、どちらか一方のみ使用する場合やそれぞれ複数枚用いる場合など、種々の部材および構成が好ましく用いられる。
また、図25は、光源700として直下型面光源を用いた液晶表示装置の例を示している。このタイプの光源は、反射シート400が敷き詰められた筐体410の内部に複数の線状の蛍光管200が並び、蛍光管200の上側に拡散板310、さらにその上側に光拡散シート500、プリズムシート600がこの順序で配置された構成である。直下型面光源の場合も、各種構成部材はそれぞれ種々の部材や構成を採用することができる。たとえば、蛍光管の形状は直線状に限られず、また蛍光管200のかわりに発光ダイオード(LED)を用いてもよい。また、拡散板、光拡散シート、プリズムシートについても上記同様、種々の部材、構成のものが用いられる。
また、面光源700としては、上記の面光源だけでなく、任意の面光源を用いることができる。
本発明の液晶表示装置は、上述の面光源に、液晶層820の上下に、少なくとも、上側偏光板として偏光板を、下側偏光板として本発明の偏光板100を備えた液晶セルを、線状金属層3側(すなわちA面)を面光源側となるように配置したものである。
本発明の偏光板による輝度向上効果と、外光の映り込みの両立について、図26を用いて説明する。
従来の液晶表示装置(図26(a))に用いられる、液晶セル800は、2枚の偏光板810、830と、2枚の偏光板810、830の間に設けられた液晶層820などで構成される。従来の液晶セル800に用いられる偏光板810、830は一般的に吸収型といわれる偏光板である。この偏光板では、透過軸と直交する方向の偏光成分(λ2)は吸収される。よって、理論的には光の利用効率は50%である。
また、従来の反射型偏光板を用いた液晶表示装置(図26(b))では、下側の偏光板810のかわりに従来の反射型偏光板840を用いる。これにより下側偏光板810で吸収される偏光成分(λ2)を面光源700側に反射させて戻し、再利用することができるので、高輝度の液晶表示装置とすることができるとされている。しかし、実際に偏光板と置き換えて使用した場合、黒色表示時に外光(λ3)が反射して映り込み、黒色表示ができないという問題がある。
一方、本発明の液晶表示装置(図26(c))のように、本発明の偏光板をA面を面光源700と対向する様に設置した場合、従来の液晶表示装置と比べて、下側偏光板810で吸収される偏光成分(λ2)を面光源700側に反射させて戻し、再利用することができる。この結果、高輝度の液晶表示装置とすることができる。また従来の反射型偏光板を用いた液晶表示装置とは異なり、黒色表示時に外光(λ3)が入り込んでも、B面(本発明の偏光板(1)の場合は線状黒色層2側、本発明の偏光板(2)の場合は透明層4側)で光を消失させることができる。このことから、本発明の偏光板を用いた液晶表示装置は、従来の液晶表示装置と比べて、高輝度の液晶表示装置とすることができる。さらには本発明の偏光板(1)では線状黒色層2と線状金属層3を合わせた高さ、本発明の偏光板(2)では線状金属層3と透明層4を合わせた高さが数百nmである。従って、従来の液晶表示装置に用いられる液晶セルに比べて、その厚さを薄くすることもできる。
また、本発明の液晶表示装置の例として、下側偏光板810を本発明の偏光板として用いた例を示した。本発明の偏光板のB面の全光線反射率が15%未満、より好ましくは10%未満、更に好ましくは5%未満である場合は、図27(a)に示す様に、液晶セル800の上側偏光板(830)として本発明の偏光板100を用いる、図27(b)に示す様に液晶セル800の両側の偏光板(810、820)を本発明の偏光板100として使用することも好ましい形態である。なお、上側偏光板(830)として本発明の偏光板100とする場合は、B面(本発明の偏光板(1)の場合は線状黒色層2側、本発明の偏光板(2)の場合は透明層4側)が観察者側となるように設置する。特に、図27(b)に示す様に液晶セル800の両側の偏光板(810、830)を本発明の偏光板100として使用した場合は、片側のみを本発明の偏光板とする場合と比べて、液晶セルの厚さを更に薄くすることも可能である。
以上のように、本発明の偏光板を液晶表示装置に組み込むことにより、光利用効率が向上し、従来の液晶表示装置と比べて、高輝度の液晶表示装置とすることが可能となる。
本発明の液晶表示装置は、携帯電話、電子手帳、ノートPC、モニタ、TV、各種表示媒体などに好適に用いることができる。
[特性の評価方法]
本発明における特性の評価方法として、以下に記載の方法を用いる。測定装置は、以下の評価方法と同等またはそれ以上の結果が得られるものであれば、他の装置を用いてもよい。
A.断面観察
作製した偏光板を切り出し、線状凹凸構造10長手方向に垂直な断面を切り出し、白金−パラジウムを蒸着した後、日本電子(株)製電界放射走査型電子顕微鏡”JSM−6700F”で写真を撮影し、50000倍で断面観察を行う。得られた断面観察像から、線状凹凸構造10を構成する凸部11の寸法(ピッチp(nm)、幅w(nm)、高さh(nm))、線状黒色層2の膜厚h2(nm)、線状金属層3の膜厚h3(nm)、透明層4の膜厚h4(nm)、線状黒色層2の幅w21(nm)、線状金属層3の幅w31(nm)を計測した。なお、線状凹凸構造10上に線状黒色層2および/または線状金属層3が形成されている場合の膜厚h2,h3は、線状黒色層2および/または線状金属層3が形成されている部位のうち、凸部11上の任意の箇所5カ所において、基材1法線方向に計測したときの厚みを求め、それらの平均値を求めた。また、線状黒色層2の幅w21、線状金属層3の幅w31は、任意の箇所5カ所における平均値を求めた。また、線状金属層3上に透明層4が形成されている場合の膜厚h4は、線状金属層3上の任意の箇所5カ所において、基材1法線方向に計測したときの厚みを求め、それらの平均値を求めた。
B.全光線透過率、全光線絶対反射率、全光線相対反射率
作製した偏光板について、大型偏光子ASSYを搭載し、受光器に10°傾斜スペーサーを取りつけた積分球を備えた分光光度計UV−3150型(島津製作所(株)製)を用いて測定した。
透過率は、光源とA面側(線状金属層3側)とが対向するように設置した場合、光源とB面側(本発明の偏光板(1)の場合は線状黒色層2側、本発明の偏光板(2)の場合は透明層4側)とが対向するように設置した場合、それぞれについて波長400〜800nmの範囲において、入射角0°で光を入射させたときの透過率が最大となる偏光成分の透過率(最大透過率)TAmax、TBmax、それとは垂直方向の偏光成分の透過率(最小透過率)TAmin,TBminを求めた。また、光源とA面側(線状金属層3側)とが対向するように設置した場合について、波長400〜800nmの範囲において、入射角10°で光を入射させたときの透過率が最大となる偏光成分の反射率(最大反射率)R’Amax、それとは垂直方向の偏光成分の反射率(最小反射率)R’Aminを求めた。
また、上記装置に絶対反射率ユニット(5°反射)を搭載させ、入射角5°で光を入射させたとき絶対反射率が最大となる偏光成分の絶対反射率(最大絶対反射率)RAmax、RBmax、それとは垂直方向の偏光成分の絶対反射率(最小絶対反射率)RAmin,RBminをそれぞれ測定した。
なお、上記測定は標準白色板として硫酸バリウムを用いて測定を実施した。
得られた偏光透過率TAmax、TBmax、TAmin,TBmin、全光線絶対反射率RAmax、RBmax、RAmin,RBminを下記式(1)〜(4)に当てはめることにより、A面側の全光線透過率TAt,全光線絶対反射率RAt、線状金属層3側の全光線透過率TBt、全光線絶対反射率RBtを求めた。
A面側全光線透過率TAt(%)=(TAmax+TAmin)/2 (1)
B面側全光線透過率TBt(%)=(TBmax+TBmin)/2 (2)
A面側全光線絶対反射率RAt(%)=(RAmax+RAmin)/2 (3)
A面側全光線相対反射率R’At(%)=(R’Amax+R’Amin)/2(3’)
B面側全光線絶対反射率RBt(%)=(RBmax+RBmin)/2 (4)
得られた光学特性について、以下のように判定した。なお、比較例においては、両面について測定を行い、その反射率がより低い方の面をB面とした。
1)A面側の特性
1−1)全光線透過率TAt
波長550nmでの透過率を用い、以下のように判定した。
40%以上50%以下の場合:S
35%以上40%未満の場合:A
30%以上35%未満の場合:B
30%未満の場合:C
50%より大きい場合:E
SまたはAまたはBが良好であり、Sが最も優れている。
また、透過率の波長依存性については、450nm、550nm、650nmにおける透過率を比較し、それら透過率の最大値と最小値の差を用い、以下のように判定した。
20%未満の場合:A
20%以上30%未満の場合:B
30%以上の場合:C
AまたはBが良好であり、Aが最も優れている。
1−2)全光線絶対反射率RAt、全光線相対反射率R’At
波長550nmでの値を用い、以下のように判定した
40%以上50%以下の場合:S
35%以上40%未満の場合:A
30%以上35%未満の場合:B
20%以上30%未満の場合:C
20%未満の場合:D
50%より大きい場合:E
SまたはAまたはBが良好であり、Sが最も優れている。
また、線状金属層の絶対反射率の波長依存性については、450nm、550nm、650nmにおける絶対反射率を比較し、それら透過率の最大値と最小値の差を用い、以下のように判定した。
10%未満の場合:A
10%以上20%未満の場合:B
20%を越える場合:C
AまたはBが良好であり、Aが最も優れている。
2)B面側の特性
2−1)全光線透過率TBt
波長550nmでの透過率を用い、以下のように判定した。
40%以上50%以下の場合:S
35%以上40%未満の場合:A
30%以上35%未満の場合:B
30%未満の場合:C
50%より大きい場合:E
SまたはAまたはBが良好であり、Sが最も優れている。
また、透過率の波長依存性については、450nm、550nm、650nmにおける透過率を比較し、それら透過率の最大値と最小値の差を用い、以下のように判定した。
20%未満の場合:A
20%以上30%未満の場合:B
30%以上の場合:C
AまたはBが良好であり、Aが最も優れている。
2−2)全光線絶対反射率RBt
波長550nmでの値を用い、以下のように判定した
10%以下の場合:S
10%以上20%未満:A
20%以上30%以下:B
30%を超えて35%未満:C
35%以上の場合:D
SまたはAまたはBが良好であり、Sが最も優れている。
また、線状黒色層の絶対反射率の波長依存性については、450nm、550nm、650nmにおける絶対反射率を比較し、それら透過率の最大値と最小値の差を用い、以下のように判定した。
20%未満の場合:A
20%以上30%未満の場合:B
30%以上の場合:C
AまたはBが良好であり、Aが最も優れている。
C.偏光度
作製した偏光板について、受光器に積分球を備えた分光光度計を用い、ガラス偏光フィルター(エドモンド・オプティクス・ジャパン(株)製)とB面(本発明の偏光板(1)の場合は線状黒色層2側、本発明の偏光板(2)の場合は透明層4側)とが対向するように(比較例の場合は線状金属層3側と対向するように)重ね、ガラス偏光フィルターが受光器側(光線出射側)になるように設置し、無偏光状態の光を入射させて、その透過率を波長400〜800nmの範囲において偏光子の角度を変化させながら測定したときに、その透過率が最大となる偏光成分の透過率(最大透過率)T’Amaxと、それとは垂直方向の偏光成分の透過率(最小透過率)T’Aminを測定し、得られた値を下記式(5)に当てはめることによって、偏光度Pを求めた。
偏光度P=(T’Amax−T’Amin)/(T’Amax+T’Amin)×100 (5)
波長550nmの偏光度を用い、以下のように判定した。
99.5%以上の場合:S
99.2%以上99.5%未満の場合:A
99%以上99.2%未満の場合:B
95%以上99%未満の場合:C
95%未満の場合:D
SまたはAまたはBが良好であり、Sが最も優れている。
また、偏光度の波長依存性については、450nm、550nm、650nmにおける偏光度を比較し、それら透過率の最大値と最小値の差を用い、以下のように判定した。
2%未満の場合:S
2%以上5%未満の場合:A
5%以上10%未満の場合:B
10%以上の場合:C
SまたはAまたはBが良好であり、Sが最も優れている。
D.光消失率L1
本発明の偏光板(1)において、以下の方法で光消失率Lを求めた。膜厚100nmアルミニウム膜上(基材:表面が平滑な硼珪酸ガラス(BK−7))に黒色層を形成し、受光器に積分球を有する分光光度計UV−3150型(島津製作所(株)製)を用い、波長400〜800nmの範囲において、黒色層側から光の入射角5°で無偏光状態の光を入射させた場合の絶対反射率Rbを測定した。また、同様に黒色層形成前のアルミニウム蒸着膜の絶対反射率Raを測定した。得られた値を用いて、下記式(6)により求められる光消失率の波長400〜800nmの平均値として求めた。
光消失率L1(%)=(Ra−Rb)/Ra×100 (6)
得られた光消失率Lについて、以下のように判定した。
60%以上の場合:S
50%以上60%未満の場合:A
40%以上50%未満の場合:B
40%未満の場合:C
SまたはAまたはBが良好であり、Sが最も優れている。
E.光吸収率A
本発明の偏光板(2)において、以下の方法で光吸収率Aを求めた。
表面が平滑な硼珪酸ガラス(BK−7)を基材として、その表面に透明層を形成し、受光器に積分球を有する分光光度計UV−3150型(島津製作所(株)製)を用い、波長400〜800nmの範囲において、透明層側から入射角0°で無偏光状態の光を入射したときの全光線透過率Tβ、透明層側から光の入射角5°で無偏光状態の光を入射したときの絶対反射率Rβを測定した。得られた値を用いて、下記式(7)により求められる光吸収率の波長400〜800nmの平均値として求めた。
光吸収率A(%)=100−(Tβ+Rβ) (7)
得られた光吸収率Aについて、以下のように判定した。
5%未満の場合:S
5%以上10%未満の場合:A
10%以上20%未満の場合:B
20%以上の場合:C
SまたはAまたはBが良好であり、Sが最も優れている。
F.ヘイズ
ヘイズメーターNDH−5000(日本電色(株)製)を用いて、ヘイズHtを測定した。なお、測定はA面側から入射させて測定した値でもってヘイズHtとした。
G.輝度、外光の反射、表示品位
(1)面光源(1):プリズムシートを用いた構成の面光源の場合
1.5インチサイズのLEDサイドライト型バックライト(LED2灯型、反射板として“ESR”(住友スリーエム(株))製搭載)の導光板上側に光拡散シート“GM3”(きもと(株)製)およびプリズムシートBEFIII(住友スリーエム(株)製)を配置してサイドライト型面光源を組み上げ、その上に、下側に本発明の偏光板(線状黒色層を液晶セル側になるように設置)、上側にヨウ素型偏光板を備えた液晶セルを重ねて、暗室内でLEDおよび、液晶セルを立ち上げた。液晶画面全面を白色表示とし、点灯10分後の中心輝度B31を色彩輝度計BM−5A/FAST(トプコン(株)製)を用いて視野角0.1°測定した。次に、液晶全画面を黒色表示とし、そのときの輝度B32を測定した。次いで、同じ面光源を用い、下側両方にヨウ素型偏光板を備えた液晶セルを重ねて同様に、画面全面白色表示時の中心輝度B21を測定した。
(2)面光源(2):プリズムシートを用いない構成でかつサイドライト型の面光源の場合
7インチサイズのCCFLサイドライト型バックライト(コの字型CCFL、ドット印刷型、反射板として“E6SL”(東レ(株)製)を搭載)の導光板上側に光拡散シート“CH28T”(SKC製)を2枚を配置した。次いで、光拡散シート上に、下側に本発明の偏光板B−4(線状黒色層を液晶セル側になるように設置)、上側にヨウ素型偏光板を備えた液晶セルを重ねて暗室内でCCFL、液晶セルを立ち上げた。液晶画面全面を白色表示とし、点灯10分後の中心輝度B31を、色彩輝度計BM−5A/FAST(トプコン(株)製)を用いて視野角0.1°で測定した。次に、液晶全画面を黒色表示とし、そのときの輝度B32を測定した。
次いで、上述の液晶セルを取り外し、上側、下側両方にヨウ素型偏光板を備えた液晶セルを重ね、同様に画面全面白色表示時の中心輝度B21を測定した。
(3)面光源(3):プリズムシートを用いない構成でかつサイドライト型の面光源の場合
20インチサイズの直下型バックライト(CCFL10本、蛍光管径3mm、蛍光管間隔2.5cm。乳白板としてRM401(住友化学(株)製)、反射板として“E6SL”(東レ(株)製)を搭載。乳白板と蛍光管の距離1.5cm)の乳白板上側に光拡散シート “ライトアップ”(登録商標) GM3(キモト(株)製)を2枚を配置した。次いで、光拡散シート上に下側に本発明の偏光板(線状黒色層を液晶セル側になるように設置)、上側にヨウ素型偏光板を備えた液晶セルを重ねて、暗室内でCCFL、液晶セルを立ち上げた。液晶画面全面を白色表示とし、点灯10分後の中心輝度B31を、色彩輝度計BM−5A/FAST(トプコン(株)製)を用いて視野角1°で測定した。次に、液晶全画面を黒色表示とし、そのときの輝度B32を測定した。
次いで、上述の液晶セルを取り外し、上側、下側両方にヨウ素型偏光板を備えた液晶セルを重ね、同様に液晶画面全面を白色表示時の中心輝度B21を測定した。
上記測定で得られた値を用いて、下記式(8)によって輝度向上率Bを、下記式(9)によりコントラストCを算出した。
輝度向上率B(%)=100×(B31−B21)/B21 (8)
コントラストC(−)=B31/B32 (9)
また、蛍光灯下にて画面黒表示時をおこない、外光の映り込みについて、肉眼観察した。
得られた光学特性について、以下のように判定した。
1)輝度向上率
次のように判定した。
25%以上の場合:S
20%以上25%の場合:A
10%以上20%未満の場合:B
0%以上10%未満の場合:C
輝度が低下した場合:D
SまたはAまたはBが良好であり、Sが最も優れている。
2)コントラスト
次のように判定した。
1000以上の場合:S
500以上1000未満の場合:A
300以上500未満の場合:B
100以上300未満の場合:C
100未満の場合:D
SまたはAまたはBが良好であり、Sが最も優れている。
3)外光の映り込み
明室(蛍光灯下)で液晶画面の黒色表示時を行った際の様子を肉眼で観察し、次のように判定した。
深みのある黒色であり白味を全く感じない:A
黒色であり、蛍光灯に近づけると僅かに白味を感じるが、使用上は問題はない:B
白味を強く感じる:C
AまたはBが良好であり、Aが最も優れている。
4)表示品位
画面白色表示時の様子を、正面、および斜め方向から肉眼観察をしたときの様子を次のように判定した。
(1)面光源(1)の場合
モアレ、ギラツキなどが全く視認されない:A
極僅かにモアレ、ギラツキなどが視認されるが、使用上問題はない:B
強いモアレ、ギラツキが視認される:C
AまたはBが良好であり、Aが最も優れている。
(2)サイドライト型面光源(2)の場合
導光板のドットパターンが視認されない:A
極僅かにドットパターンが視認されるが、使用上問題はない:B
明確にドットパターンが視認される:C
AまたはBが良好であり、Aが最も優れている。
(3)直下型面光源(2)の場合
蛍光管像が全く視認されない:A
極僅かに蛍光管像が視認されるが、使用上問題はない:B
若干蛍光管像が視認されるが、使用上問題はない:C
明確に蛍光管像が視認される:D
AまたはBまたはCが良好であり、Aが最も優れている。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
(実施例1−1)
500μm厚の硼珪酸ガラス(BK−7)製基板(φ100mm)を電子ビーム蒸着装置にセットし、揮発源として純度99.999%のアルミニウムを用い、真空度3.4×10−5Pa、蒸着速度1nm/sec、蒸着源―基材間距離25cmの条件下で、基材面の法線方向からアルミニウムを電子ビーム蒸着し、膜厚100nmの金属層を形成した。次に系内に酸素ガスを0.5sccm導入する他は同様の条件でアルミニウムを蒸着し、金属層上に膜厚100nmのアルミニウム酸化物からなる黒色層を有する積層体を作製した。また、同様の方法にて、アルミニウム層100nmのみを形成したものを作製した。金属層、黒色層それぞれについて絶対反射率Ra、Rbを測定し、光消失率Lを求めた。結果を表1に示す。
つぎに、基材として、膜厚100μmの二軸延伸ポリエステルフィルム“ルミラー”(登録商標)U46(東レ(株)製)を用い上記同様の方法にてポリエステルフィルム上に金属層、黒色層の順に形成した積層体を作製した。
次に、得られた積層体をガラス板に固定し、黒色層上に、ポリメタクリル酸メチル(シグマアルドリッチ(株)製、重量平均分子量96000)20重量部をシクロヘキサノン/メチルエチルケトン/トルエン=1/1/1溶液80重量部に溶解させた溶液をスピンコーターで塗布(1st500rpm10秒、2nd−2000rpm30秒しスリットダイコーターで塗布し、140℃で30分間乾燥させて、乾燥膜厚3μmの樹脂層を有する積層体を作製した。
得られた積層体の樹脂層と下記金型1と重ね合わせて真空チャンバー内に設置し、50Pa以下の真空度に到達後、予熱を140℃で1分行い、プレス温度140℃、プレス圧力15MPaで5分間プレス後、100℃まで冷却した後、圧力を解放し、その後30℃まで冷却した後、基材と金型を離型した。
「金型1」
材質:ニッケル
ピッチ:150nm、凸部幅:80nm、凸部高さ:200nm
凹部断面形状:矩形状
金型から離型した基材の形状を観察すると、黒色層上にほぼ金型形状を反転した断面形状の線状の樹脂パターンを有する樹脂層が形成されていることを確認した。
「黒色層上の樹脂パターン形状」
ピッチp:150nm、幅w:70nm、高さh:198nm、凹部底部厚さ:100nm
次いで、酸素(O2)ガスを用いたドライエッチング法により凹部底部の残膜を除去して、黒色層上に樹脂パターンを形成した後、樹脂パターン間の露出した黒色層を四塩化炭素(CCl4)ガスを用いたドライエッチング法により選択的に除去した。次に露出したアルミニウム層を四塩化炭素(CCl4)ガスを用いたドライエッチング法により選択的に除去した。最後に酸素(O2)ガスを用いたドライエッチング法により残った樹脂層を除去してサンプルを得た。
得られたサンプルの形態を観察すると、線状黒色層、線状金属層の形態は図2(a)に示すような形態であり、表1に示す寸法であった。表1から、線状黒色層の幅w21/ピッチp2は0.47、線状金属層の幅W31/ピッチp3は、0.47であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表3に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例1−2)
金型として下記金型2を用いた以外は実施例1と同様の方法にて、黒色層上に樹脂パターンを形成した。
「金型2」
材質:ニッケル
ピッチ:130nm、凸部幅:70nm、凸部高さ:200nm
凹部断面形状:矩形状。
金型から離型した基材の形状を観察すると以下のようにほぼ金型形状を反転した断面形状の線状の樹脂パターンを有する樹脂層が形成されていることを確認した。
「黒色層上の樹脂パターン形状」
ピッチp:130nm、幅w:60nm、高さh:198nm
次いで実施例1と同様の方法にて、サンプルを作製した。得られたサンプルの形態を観察すると、線状黒色層、線状金属層の形態は図2(a)に示すような形態であり、表1に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表1に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例1−3)
金型として下記金型3を用いた以外は実施例1と同様の方法にて、黒色層上に樹脂パターンを形成した。
「金型3」
材質:ニッケル
ピッチ:120nm、凸部幅:65nm、凸部高さ:120nm
凹部断面形状:矩形状
金型から離型した基材の形状を観察すると、以下のようにほぼ金型形状を反転した断面形状の線状の樹脂パターンを有する樹脂層が形成されていることを確認した。
「黒色層上の樹脂パターン形状」
ピッチp:120nm、幅w:55nm、高さh:117nm
次いで実施例1と同様の方法にて、サンプルを作製した。得られたサンプルの形態を観察すると、線状黒色層、線状金属層の形態は図2(a)に示すような形態であり、表1に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表3に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例1−4)
基材として、500μm厚の硼珪酸ガラス(BK−7)製基板(φ100mm)を用いた以外は実施例1と同様の方法にてサンプルを得た。
得られたサンプルの形態を観察すると、線状黒色層、線状金属層の形態は図2(a)に示すような形態であり、表1に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表1に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例1−5)
基材として、500μm厚の硼珪酸ガラス(BK−7)製基板(φ100mm)を用い、基材上に黒色層を形成した後金属層を形成し、積層体の金属層上に樹脂パターンを成形し、黒色層を選択的除去した後に、金属層を選択的除去すること以外は実施例1と同様にサンプルを作製した。
得られたサンプルの形態を観察すると、線状黒色層、線状金属層の形態は図2(b)に示すような形態であり、表1に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表3に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例1−6)
ジカルボン酸成分としてシクロヘキサンジカルボン酸、ジオール成分として9,9’−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン80mol%、エチレングリコール20mol%共重合したポリエステルを100℃で4時間真空乾燥させた後、押出機内で280℃で溶融させて、口金から20℃のキャストドラム上に押し出して冷却し、厚さ400μmのシートを得た。
得られたシートと下記金型4と重ね合わせて真空チャンバー内に設置し、50Pa以下の真空度に到達後、予熱を165℃で1分行い、プレス温度165℃、プレス圧力15MPaで5分間プレス後、125℃まで冷却した後、圧力を解放し、その後30℃まで冷却した後、基材と金型を離型した。
「金型4」
材質:ニッケル
ピッチ:150nm、凸部幅:90nm、凸部高さ:130nm
凹部断面形状:矩形状
金型から離型した基材の形状を観察すると以下のようにほぼ金型形状を反転した断面形状の線状の凹凸構造が形成されていることを確認した(表2参照)。
「基材表面の線状凹凸構造」
ピッチp:150nm、幅w:58nm、高さh:128nm
基材角度可変装置、および二つの蒸発源を備えた電子ビーム蒸着機を用い、二つの蒸発源に、純度99.999%のアルミニウム、純度99.999%のクロムをそれぞれ設置した。次いで、500μm厚の硼珪酸ガラス(BK−7)製基板(φ100mm)を電子ビーム蒸着装置にセットし、系内を減圧した。真空度3.4×10−5Pa、蒸着速度0.2nm/sec、蒸着源―基材間距離25cmの条件下で、線状凹凸構造の長手方向と垂直でかつ基材面の法線方向から45°の角度からアルミニウムを50nm形成させた。次いで、基材を回転させ、線状凹凸構造の長手方向と垂直でかつ基材面の法線方向から40°の角度から、次に系内に酸素ガスを0.2sccm導入する他は同様の条件でクロムを10nm電子ビーム蒸着し、金属層上に膜厚20nmのクロム酸化物からなる黒色層を有する積層体を作製した。また、同様の方法にて、アルミニウム層100nmのみを形成したものを作製した。金属層、黒色層それぞれについて絶対反射率Ra、Rbを測定し、光消失率Lを求めた。結果を表1に示す。
次に上記電子ビーム蒸着装置に線状凹凸構造を有する基材をセットし系内を減圧した、上記同様の条件で、線状凹凸構造の長手方向に垂直で、且つ基材面法線方向から45°傾いた斜め方向から、アルミニウムを膜厚50nmで電子ビーム蒸着した。次に、基材を回転させ、基材面法線方向から線状凹凸構造の長手方向に垂直方向に40°傾いた斜め方向から、次に系内に酸素ガスを0.2sccm導入する他は上記同様の条件でクロムを20nm蒸着した。
得られたサンプルの形態を観察すると、線状黒色層、線状金属層の形態は図28(a)に示すような形態であり、表2に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表3に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例1−7)
ジカルボン酸成分としてシクロヘキサンジカルボン酸、ジオール成分として9,9’−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン80mol%、エチレングリコール20mol%共重合したポリエステルを35℃のシクロヘキサノン/メチルエチルケトン/トルエン=1.5/1.5/1溶液中に20重量%の濃度となるように溶解させた。得られた溶液を100μm厚のポリエステルフィルム‘ルミラー’(登録商標)U46(東レ(株)製)上にメタバーを(♯30)を用いて塗布し、140℃で30分間乾燥させて、乾燥膜厚5μmの樹脂層を有する積層体を作製した。
得られた積層体の樹脂層側に金型を押し付けること以外は実施例1−6と同様の方法にて線状凹凸構造を形成した。
金型から離型した基材の形状を観察すると以下のようにほぼ金型形状を反転した断面形状の線状の凹凸構造が形成されていることを確認した(表2参照)。
「基材表面の線状凹凸構造」
ピッチp:150nm、幅w:59nm、高さh:128nm
次いで実施例1−6と同様の方法にて、サンプルを作製した。得られたサンプルの形態を観察すると、線状黒色層、線状金属層の形態は図28(a)に示すような形態であり、表2に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表3に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例1−8)
金型として下記金型5を用いた以外は実施例1−6と同様の方法にて、線状凹凸構造を形成した。
「金型5」
材質:ニッケル
ピッチ:130nm、凸部幅:80nm、凸部高さ:130nm
凹部断面形状:矩形状
金型から離型した基材の形状を観察すると以下のようにほぼ金型形状を反転した断面形状の線状の凹凸構造が得られていることを確認した(表2参照)。
「基材表面の凹凸構造」
ピッチp:130nm、幅w:49nm、高さh:128nm
次いで実施例1−6と同様の方法にて、サンプルを作製した。得られたサンプルの形態を観察すると、線状黒色層、線状金属層の形態は図28(a)に示すような形態であり、表2に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表3に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例1−9)
金型として下記金型6を用いた以外は実施例1−6と同様の方法にて、線状凹凸構造を形成した。
「金型6」
材質:ニッケル
ピッチ:120nm、凸部幅:75nm、凸部高さ:120nm
凹部断面形状:矩形状
金型から離型した基材の形状を観察すると、以下のようにほぼ金型形状を反転した断面形状の線状の凹凸構造が得られていることを確認した(表1参照)。
「基材表面の線状凹凸構造」
ピッチp:120nm、幅w:43nm、高さh:117nm
次いで、アルミニウムの蒸着膜厚を45nmとした以外は実施例1−6と同様の方法にて、線状金属層、線状黒色層を形成した(表2参照)。得られたサンプルの形態を観察すると、線状黒色層、線状金属層の形態は図28(a)に示すような形態であり、表2に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表3に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例1−10)
黒色層の材料としてグラファイトを用い、黒色層形成時に酸素を導入しないこと、黒色層の膜厚を20nmとした以外は実施例1−6と同様に積層体、サンプルを作製した。
金属層、黒色層それぞれについて絶対反射率Ra、Rbを測定し、光消失率Lを求めた。結果を表2に示す。
また、得られたサンプルの形態を観察すると、線状黒色層、線状金属層の形態は図28(a)に示すような形態であり、表2に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表3に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例1−11)
500μm厚の硼珪酸ガラス(BK−7)製基板(φ100mm)に、ポリメタクリル酸メチル(シグマアルドリッチ(株)製、重量平均分子量96000)20重量部をシクロヘキサノン/メチルエチルケトン/トルエン=1/1/1溶液80重量部に溶解させた溶液をスピンコーターで塗布(1st500rpm10秒、2nd−2000rpm30秒しスリットダイコーターで塗布し、140℃で30分間乾燥させて、乾燥膜厚3μmの樹脂層を有する積層体を作製した。
得られた積層体の樹脂層と下記金型1と重ね合わせて真空チャンバー内に設置し、50Pa以下の真空度に到達後、予熱を140℃で1分行い、プレス温度140℃、プレス圧力15MPaで5分間プレス後、100℃まで冷却した後、圧力を解放し、その後30℃まで冷却した後、基材と金型を離型した。
「金型1」
材質:ニッケル
ピッチ:150nm、凸部幅:90nm、凸部高さ:200nm
凹部断面形状:矩形状
金型から離型した基材の形状を観察すると、ガラス基板上にほぼ金型形状を反転した断面形状の線状の樹脂パターンが形成されていることを確認した。
「ガラス基板表面の樹脂パターンの形状」
ピッチp:150nm、幅w:60nm、高さh:199nm 凹部底部厚さ:100nm
次いで、酸素(O2)ガスを用いたドライエッチング法により凹部底部の残膜を除去して、黒色層上に樹脂パターンを形成した後、樹脂パターン間の露出した光学ガラスを四フッ化炭素(CF4)ガスを用いたドライエッチング法により深さ150nm選択的に除去した。次に酸素(O2)ガスを用いたドライエッチング法により残った樹脂層を除去することで、表面に線状の凹凸構造を有する基材を作製した。
「ガラス表面の線状の凹凸形状」
ピッチp:150nm、幅w:55nm、高さh:150nm
次いで実施例1−6と同様の方法にて、サンプルを作製した。得られたサンプルの形態を観察すると、線状黒色層、線状金属層の形態は図28(a)に示すような形態であり、表2に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表3に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例1−12)
線状凹凸構造を有する基材に、黒色層を形成した後に金属層を形成すること、黒色層の膜厚を20nmとした以外は実施例11と同様にサンプルを作製した。
得られたサンプルの形態を観察すると、線状黒色層、線状金属層の形態は図28(b)に示すような形態であり、表2に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表3に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例1−13)
基材角度可変装置、および二つの蒸発源を備えた電子ビーム蒸着機を用い、二つの蒸発源に、純度99.999%のアルミニウム、純度99.999%のクロムをそれぞれ設置した。次いで、500μm厚の硼珪酸ガラス(BK−7)製基板(φ100mm)を電子ビーム蒸着装置にセットし、系内を減圧した。真空度3.4×10−5Pa、蒸着速度0.2nm/sec、蒸着源―基材間距離25cmの条件下で、基材面の法線方向から45°の角度からアルミニウムを1nm/secで10秒蒸着した後、15°/minの基材面の法線方向側に基材を回転させながら、アルミニウムを1nm/secで蒸着し、合計70nm形成させた。次いで、基材を回転させ、基材面の法線方向から40°の角度から、6°/minの速度で基材面の法線方向側に基材を回転させながら、かつ系内に酸素ガスを0.2sccm導入しながら実施する他は同様の条件でクロムを20nm電子ビーム蒸着し金属層上に膜厚20nmのクロム酸化物からなる黒色層を有する積層体を作製した。また、同様の方法にて、アルミニウム層100nmのみを形成したものを作製した。金属層、黒色層それぞれについて絶対反射率Ra、Rbを測定し、光消失率Lを求めた。結果を表1に示す。
次に上記電子ビーム蒸着装置に実施例1−9と同様の線状凹凸構造を有する基材をセットし系内を減圧した。線状凹凸構造の長手方向と垂直でかつ基材面の法線方向から45°の角度からアルミニウムを1nm/secで10秒蒸着した後、15°/minの速度で線状凹凸構造の長手方向と垂直でかつ基材面の法線方向側に基材を回転させながら、アルミニウムを1nm/secで蒸着し、合計70nm形成させた他は実施例1−6と同様の方法で線状金属層を形成した。
次いで、基材を回転させ、線状凹凸構造の長手方向と垂直でかつ基材面の法線方向から40°の角度から、6°/minの速度で線状凹凸構造の長手方向と垂直でかつ基材面の法線方向側に基材を回転させながら、かつ系内に酸素ガスを0.2sccm導入しながら、する他は同様の条件でクロムを20nm電子ビーム蒸着し、線状金属層上に膜厚20nmのクロム酸化物からなる線状黒色層を有する積層体を作製した。
得られたサンプルの形態を観察すると、線状黒色層、線状金属層の形態は図28(a)に示すような形態であり、表2に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表3に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例2−1)
500μm厚の硼珪酸ガラス(BK−7)製基板(φ100mm)を電子ビーム蒸着装置にセットし、揮発源として純度99.999%のアルミニウムを用い、真空度3.4×10−5Pa、蒸着速度1nm/sec、蒸着源―基材間距離25cmの条件下で、酸素ガスを5sccm導入しながらアルミニウムを蒸着し、膜厚100nmのアルミニウム酸化物からなる透明層を有する積層体を作製した。得られた積層体について、透明層側から光を入射したときの全光線透過率Tβ、Rβを測定し、光吸収率Aを求めた。結果を表4に示す。
つぎに、基材として、膜厚100μmの二軸延伸ポリエステルフィルム“ルミラー”(登録商標)U46(東レ(株)製)を電子ビーム蒸着装置にセットし、揮発源として純度99.999%のアルミニウムを用い、真空度3.4×10−5Pa、蒸着速度1nm/sec、蒸着源―基材間距離25cmの条件下で、基材面の法線方向からアルミニウムを電子ビーム蒸着し、膜厚100nmの金属層を形成した。
次に、得られた積層体をガラス板に固定し、金属層上に、ポリメタクリル酸メチル(シグマアルドリッチ(株)製、重量平均分子量96000)20重量部をシクロヘキサノン/メチルエチルケトン/トルエン=1/1/1溶液80重量部に溶解させた溶液をスピンコーターで塗布(1st500rpm10秒、2nd−2000rpm30秒しスリットダイコーターで塗布し、140℃で30分間乾燥させて、乾燥膜厚3μmの樹脂層を有する積層体を作製した。
得られた積層体の樹脂層と下記金型1と重ね合わせて真空チャンバー内に設置し、50Pa以下の真空度に到達後、予熱を140℃で1分行い、プレス温度140℃、プレス圧力15MPaで5分間プレス後、100℃まで冷却した後、圧力を解放し、その後30℃まで冷却した後、基材と金型を離型した。
「金型1」
材質:ニッケル
ピッチ:150nm、凸部幅:80nm、凸部高さ:200nm
凹部断面形状:矩形状
金型から離型した基材の形状を観察すると、黒色層上にほぼ金型形状を反転した断面形状の線状の樹脂パターンを有する樹脂層が形成されていることを確認した。
次いで、酸素(O2)ガスを用いたドライエッチング法により凹部底部の残膜を除去して、金属層上に樹脂パターンを形成した後、樹脂パターン間の露出した金属層を四塩化炭素(CCl4)ガスを用いたドライエッチング法により選択的に除去した。最後に酸素(O2)ガスを用いたドライエッチング法により残った樹脂層を除去して線状金属層を形成した。
次に、電子ビーム蒸着装置にセットし、揮発源として純度99.999%のアルミニウムを用い、真空度3.4×10−5Pa、蒸着速度1nm/sec、蒸着源―基材間距離25cmの条件下で、酸素ガスを5sccm導入しながらアルミニウムを蒸着角度70°で蒸着し、線状金属層上に膜厚100nmのアルミニウム酸化物からなる透明層形成し、サンプルを得た。
得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層、透明層の形態は図13(b)に示すような形態であり、表4に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表6に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例2−2)
金型として下記金型2を用いた以外は実施例2−1と同様の方法にて、金属層上に樹脂パターンを形成した。
「金型2」
材質:ニッケル
ピッチ:130nm、凸部幅:70nm、凸部高さ:200nm
凹部断面形状:矩形状
金型から離型した基材の形状を観察すると以下のようにほぼ金型形状を反転した断面形状の線状の樹脂パターンを有する樹脂層が形成されていることを確認した。
「金属層上の樹脂パターン形状」
ピッチp:130nm、幅w:61nm、高さh:198nm
次いで実施例1−1と同様の方法にて、サンプルを作製した。得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層、透明層の形態は図13(b)に示すような形態であり、表4に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表6に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例2−3)
金型として下記金型2を用いた以外は実施例2−1と同様の方法にて、金属層上に樹脂パターンを形成した。
「金型3」
材質:ニッケル
ピッチ:120nm、凸部幅:65nm、凸部高さ:120nm
凹部断面形状:矩形状
金型から離型した基材の形状を観察すると、以下のようにほぼ金型形状を反転した断面形状の線状の樹脂パターンが形成されていることを確認した。
「金属層上の樹脂パターン形状」
ピッチp:120nm、幅w:54nm、高さh:119nm
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表6に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例2−4)
基材として、500μm厚の硼珪酸ガラス(BK−7)製基板(φ100mm)を用いた以外は実施例2−1と同様の方法にてサンプルを得た。
得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層、透明層の形態は図13(b)に示すような形態であり、表4に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表6に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例2−5)
透明層の膜厚を50nmとした以外は実施例2−1と同様に積層体、サンプルを作製した。
得られた積層体について、透明層側から光を入射したときの全光線透過率Tβ、Rβを測定し、光吸収率Aを求めた。結果を表4に示す。
また、得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層、透明層の形態は図13(c)に示すような形態であり、表4に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表6に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例2−6)
実施例1−6と同様の方法にて、表面に線状凹凸構造10を有する基材を作製した。
基材角度可変装置を備えた電子ビーム蒸着機を用い、二つの蒸発源に、純度99.999%のアルミニウムを設置した。次いで、500μm厚の硼珪酸ガラス(BK−7)製基板(φ100mm)を電子ビーム蒸着装置にセットし、系内を減圧した。真空度3.4×10−5Pa、蒸着速度0.2nm/sec、蒸着源―基材間距離25cmの条件下で、基材面法線方向から線状凹凸構造の長手方向に垂直方向に45°の角度からアルミニウムを50nm形成させた。次いで、基材を回転させ、系内に酸素ガスを5sccm導入しながらアルミニウムを蒸着角度70°で蒸着する他は同じ条件で、線状金属層上に膜厚100nmのアルミニウム酸化物からなる透明層形成し、サンプルを得た。
また、得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層、透明層の形態は図28(c)に示すような形態であり、表5に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表6に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例2−7)
実施例1−7と同様の方法にて、表面に線状凹凸構造10を有する基材を作製した。得られた基材を用いる他は実施例2−6と同様の方法でサンプルを得た。
また、得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層、透明層の形態は図28(c)に示すような形態であり、表5に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表6に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例2−8)
実施例1−8と同様の方法にて、表面に線状凹凸構造10を有する基材を作製した。得られた基材を用いる他は実施例2−6と同様の方法でサンプルを得た。
また、得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層、透明層の形態は図28(c)に示すような形態であり、表5に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表6に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例2−9)
実施例1−9と同様の方法にて、表面に線状凹凸構造10を有する基材を作製した。得られた基材を用いる他は実施例2−6と同様の方法サンプルを得た。
また、得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層、透明層の形態は図28(c)に示すような形態であり、表5に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表6に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例2−10)
実施例1−11と同様の方法にて、表面に線状凹凸構造10を有する基材を作製した。得られた基材を用いる他は実施例2−6と同様の方法サンプルを得た。
また、得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層、透明層の形態は図28(c)に示すような形態であり、表5に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表6に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例2−11)
透明層の膜厚を50nmとした以外は実施例2−6と同様に積層体、サンプルを作製した。得られた積層体について、透明層側から光を入射したときの全光線透過率Tβ、Rβを測定し、光吸収率Aを求めた。結果を表5に示す。
実施例1−11と同様の方法で、表面に線状凹凸構造10を有する基材を作製した。得られた基材を用い、透明層の膜厚を50nmとした以外は実施例2−6と同様の方法でサンプルを得た。
また、得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層、透明層の形態は図28(d)に示すような形態であり、表5に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表6に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例2−12)
透明層の膜厚を50nmとした以外は実施例2−6と同様に積層体、サンプルを作製した。得られた積層体について、透明層側から光を入射したときの全光線透過率Tβ、Rβを測定し、光吸収率Aを求めた。結果を表5に示す。
次に、実施例1−9と同様の方法にて、表面に線状凹凸構造10を有する基材を作製した。得られた基材を用い、線状凹凸構造の長手方向と垂直でかつ基材面の法線方向から45°の角度からアルミニウムを0.2nm/secで60秒蒸着した後、3°/minの速度で線状凹凸構造の長手方向と垂直でかつ基材面の法線方向側に基材を回転させながら、アルミニウムを0.2nm/secで蒸着し、合計70nm形成させた他は実施例2−6と同様の方法サンプルを得た。
また、得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層、透明層の形態は図28(d)に示すような形態であり、表5に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表6に示す。従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。
(実施例3−1〜3−3)
バインダー樹脂として“アロニックス”(登録商標)M6050(東亞合成製)90重量部、“アロニックス”(登録商標)M5700(東亞合成製)10重量部、微粒子として”ケミスノー”(登録商標)SX−130H(綜研化学(株)製)5重量部、分散剤として”マリアリム”(登録商標)AKM−0531(日本油脂(株)製)0.5重量部、熱重合開始剤として”カヤエステル”(登録商標)AN(化薬アクゾ(株)製)0.5重量部、溶媒としてシクロヘキサノン/メチルエチルケトン=1/1溶液を200重量部を混合し、攪拌、分散した塗剤を作製した。この塗剤を実施例1−13で得られた偏光板の線状金属層が形成されていない側の面に、メタバー(#15(実施例3−1)、♯20(実施例3−2)、#30(実施例3−3))を用いて塗布し、塗布後120℃で30秒間乾燥、200℃で10秒間熱処理し、線状金属層、線状黒色層が形成されていない側に光拡散層を有する偏光板を作製した。
得られたサンプルを用いた評価結果を表7に示す。
得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表8に示す。いずれも従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。特に、実施例3−1において、最も高輝度と高表示品位が両立できることが分かった。
得られたサンプルを面光源(2)に用いた評価結果を表8に示す。いずれも従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。特に、実施例3−2において、最も高輝度と高表示品位との両立ができることが分かった。
得られたサンプルを面光源(3)に用いた評価結果を表8に示す。いずれも従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。特に、実施例3−3において、最も高輝度と高表示品位との両立ができることが分かった。
(実施例3−4〜3−6)
実施例2−12で得られた偏光板を用いる以外はそれぞれ実施例3−1〜3−3と同様の方法で、線状金属層、線状黒色層が形成されていない側に光拡散層を有する偏光板を作製した。
得られたサンプルの評価結果を表7に示す。
得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表8に示す。いずれも従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。特に、実施例3−4において、最も高輝度と高表示品位が両立できることが分かった。
得られたサンプルを面光源(2)に用いた評価結果を表8に示す。いずれも従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。特に、実施例3−5において、最も高輝度と高表示品位との両立ができることが分かった。
得られたサンプルを面光源(3)に用いた評価結果を表8に示す。いずれも従来のヨウ素型偏光板と比べて高い輝度向上効果が発現し、かつ外光の映り込みがなく、良好に黒色表示できることがわかった。特に、実施例3−6において、最も高輝度と高表示品位との両立ができることが分かった。
(比較例1−1)
線状黒色層を形成しないこと以外は実施例1と同様の方法でサンプルを作製した。得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層の形態は図2(h)に示すような形態であり、表1に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表3に示す。輝度向上効果は得られたが、黒色表示時に白味を強く感じ、表示が不鮮明であることが分かった。
(比較例1−2)
線状金属層を形成しないこと以外は実施例1と同様の方法でサンプルを作製した。得られたサンプルの形態を観察すると、線状黒色層の形態は図2(b)に示すような形態であり、表1に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表3に示す輝度向上効果が得られず、またコントラストが低く黒色表示時光漏れが起こり、表示が不鮮明であることが分かった。
(比較例1−3)
線状黒色層を形成しないこと以外は実施例1−6と同様の方法でサンプルを作製した。得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層の形態は図9(j)に示すような形態であり、表2に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表3に示す。輝度向上効果は得られたが、黒色表示時に白味を強く感じ、表示が不鮮明であることが分かった。
(比較例1−4)
線状金属層を形成しないこと以外は実施例1−6と同様の方法でサンプルを作製した。得られたサンプルの形態を観察すると、線状黒色層の形態は図9(e)に示すような形態であり、表2に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表3に示す。輝度向上効果が得られず、またコントラストが低く黒色表示時に光漏れが起こり、表示が不鮮明であることが分かった。
(比較例2−1)
透明層を形成しないこと以外は実施例2−1と同様の方法でサンプルを作製した。得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層の形態は図12(a)に示すような形態であり、表4に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表6に示す。輝度向上効果は得られたが、黒色表示時に白味を強く感じ、表示が不鮮明であることが分かった。
(比較例2−2)
線状金属層を形成しないこと以外は実施例2−1と同様の方法でサンプルを作製した。得られたサンプルの形態を観察すると、透明層の形態は図26(e)に示すような形態であり、表4に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表6に示す。偏光板として機能せず、表示を行うことができなかった。
(比較例2−3)
透明層を形成しないこと以外は実施例2−6と同様の方法でサンプルを作製した。得られたサンプルの形態を観察すると、線状金属層の形態は図15(f)に示すような形態であり、表5に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表6に示す。輝度向上効果は得られたが、黒色表示時に白味を強く感じ、表示が不鮮明であることが分かった。
(比較例2−4)
線状金属層を形成しないこと以外は実施例2−6と同様の方法でサンプルを作製した。得られたサンプルの形態を観察すると、透明層の形態は図28(f)に示すような形態であり、表5に示す寸法であった。
得られたサンプル、及び得られたサンプルを面光源(1)に用いた評価結果を表6に示す。偏光板として機能せず、表示を行うことができなかった。
表1は、実施例1−1〜1−5の線状黒色層と、線状金属層との形状、比較例1−1の線状金属層と、比較例1−2の線状黒色層の形状を示す表である。
表2は、基材表面に凹凸構造を形成した、実施例1−6〜1−13、比較例1−3、1−4の凹凸構造の形状と、実施例1−6〜1−13の線状黒色層と、線状金属層との形状、比較例1−3の線状金属層と、比較例1−4の線状黒色層の形状を示す表である。
表3は、実施例1−1〜1−13、比較例1−1〜1−4の偏光板のA面側から光を入射した場合の全光線透過率と全線絶対反射率と、偏光度と、B面側から光を入射した場合の全光線透過率と全線絶対反射率と、輝度向上率、コントラスト、外光の反射を評価した結果を示す表である。
表3から、実施例1−1〜1−13の偏光板は、A面から光を入射した場合の全線透過率(評価:SおよびA)、全線絶対反射率(評価:S、A、B)に優れる。この結果、輝度向上率に優れる偏光板であることがわかる。また、B面から光を入射した場合の全線透過率に優れ(評価:SおよびA)、全線絶対反射率が低い(評価:S、A、B)ことがわかる。この結果、コントラストに優れ(評価:S、A、B)、外光の反射が少ない(評価:S、A、B)ことがわかる。このことから、実施例1−1〜1−13の偏光板は、高輝度と黒色表示が可能であることがわかった。
一方、線状黒色層が形成されていない比較例1−1、1−3の偏光板では、B面から光を入射した場合の全線絶対反射率(評価:D)が高いことがわかる。このことから、比較例1−1、1−3の偏光板は、外光が反射され(評価:C)、黒色表示ができないことがわかる。また、比較例1−1、1−3の輝度向上率、コントラストは良好だった(評価:比較例1−1:共にS、比較例1−3:共にB)
また、線状金属層が形成されていない比較例1−2、1−4の偏光板では、A面から光を入射した場合の全線絶対反射率が低い(評価:D)ことがわかる。このことから、比較例1−2、1−4の偏光板では、入射光が吸収され、輝度向上率、コントラストが劣る(評価:共にD)ことがわかった。
表4は、実施例2−1〜2−5の線状黒色層と、線状金属層との形状、比較例2−1の線状金属層と、比較例2−2の線状黒色層の形状を示す表である。
表5は、基材表面に凹凸構造を形成した、実施例2−5〜1−12、比較例2−3、2−4の凹凸構造の形状と、実施例2−5〜2−12の線状黒色層と、線状金属層との形状、比較例2−3の線状金属層と、比較例2−4の線状黒色層の形状を示す表である。
表6は、実施例2−1〜2−12、比較例2−1〜2−4の偏光板のA面側から光を入射した場合の全光線透過率と全線絶対反射率と、偏光度と、B面側から光を入射した場合の全光線透過率と全線絶対反射率と、輝度向上率、コントラスト、外光の反射を評価した結果を示す表である。
表6から、透明層を形成した実施例2−1〜1−2−12の偏光板は、A面から光を入射した場合の全線透過率(評価:S、A)、全線絶対反射率(評価:S、A)に優れる。この結果、輝度向上率に優れる(評価:S、A、B)偏光板であることがわかる。また、B面から光を入射した場合の全線透過率に優れ(評価:S、A)、全線絶対反射率が低い(評価:S、A、B)ことがわかる。この結果、コントラストに優れ(評価:S、A、B)、外光の反射が少ない(評価:S、A、B)ことがわかる。このことから、実施例2−1〜2−12の偏光板は、高輝度と黒色表示が可能であることがわかった。
一方、透明層が形成されていない比較例2−1、2−3の偏光板では、B面から光を入射した場合の全線絶対反射率が高い(評価:D)ことがわかる。このことから、比較例2−1、2−3の偏光板は、外光が反射され(評価:C)、黒色表示ができないことがわかる。一方、A面側には洗浄金属層が形成されているので、輝度向上率(評価:S、B)、コントラスト(評価:S、B)は、優れていることがわかる。
また、線状金属層が形成されていない比較例2−2、2−4の偏光板では、A面から光を入射した場合の全線絶対反射率が低い(評価:D)ことがわかる。このことから、比較例2−2、2−4の偏光板では、入射光が吸収され、輝度向上率(評価:D)、コントラストが劣る(評価:D)ことがわかった。
表7は、実施例1−13、3−1〜3−3、2−12、3−4〜3−6の偏光板の特性評価の結果を示す表である。
表7から、線状金属層、線状黒色層が形成されていない面に光拡散層を設けた実施例3−1〜3−6の偏光板は、光拡散層が設けられていない実施例1−3、2−13と同等の全光線透過率、全光線相対反射率、偏光度、全光線透過率、全光線絶対反射率を有することがわかる。
表8は、実施例1−13、3−1〜3−3、2−12、3−4〜3−6の偏光板を用いた、液晶表示装置の特性評価の結果を示す表である。
表8から、光拡散層が設けられていない実施例1−3、2−13を用いた液晶表示装置では、モアレ、ギラツキなどが視認されて表示品位が低下している(評価:C)することがわかる。一方、ヘイズが47%である実施例3−2、3−5、ヘイズが80%である実施例3−3、3−6を用いた液晶表示装置では、表示品位が向上した(評価:B)。また、実施例3−1から3−3、実施例3−4から3−6から、ヘイズ値が増加するほど、表示品位が向上することがわかった。