JP2006330178A - 光学装置及び光学装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 入射光を選択的に偏光させる光学装置1において、少なくとも可視光域に関して透明な基板2と、この基板の一主面上に互いに平行に設けられ、かつ互いの間隔が前記入射光の波長に比して小とされた複数の直線状金属層3とを有し、少なくとも、前記金属層の前記基板とは反対側に誘電体層4が形成された構成とする。
【選択図】 図1
Description
この光学装置は、図18A及び図18Bに斜視図及び断面図を示すように、例えば可視光域に関して透明な基板102の一主面上に、互いに平行な複数の金属層103が、直線状すなわちライン状のグリッドとして、入射光Lの波長に比して狭い間隔で形成された構成を有し、基板102の主面の法線(破線図示)に対して所定の入射角θinで入射する入射光Lのうち、グリッドに垂直な偏光成分aを、透過光L1を構成する主たる偏光成分cとして選択的に透過させ、グリッド103に平行な偏光成分bを、反射光L2を構成する主たる偏光成分dとして選択的に反射させるものである。
このため、ワイヤグリッド構造による光学装置においては、前述の透過光L1及び反射光L2の主たる偏光成分を選定することはできるものの、入射光Lの完全な選択的偏光すなわち偏光分離をすることは困難とされている。
例えば、前述の特許文献1に記載の発明による光学装置として、例えば基板102及び金属層103をそれぞれSiO2及びAl(アルミニウム)により構成し、グリッド間隔すなわちピッチ長を144nm、金属層103の厚さを170nm、金属層103の幅をピッチ長に対して0.45の比率とし、入射光の入射角θinを45°に選定した場合には、光学装置1を経て生じる透過光及び反射光に関する偏光分離特性について、以下のような問題が生じる。
グリッドに平行な偏光成分については、図19Bに示すように、可視光の波長帯域に関わらず透過光が略完全に抑制されるものの、グリッドに垂直な偏光成分については、図19Aに示すように、特に0.6μm以下の短波長域で透過光の透過率低下と反射光の反射率上昇がみられることから、波長依存性が大きく、グリッドに平行な偏光成分を主たる偏光成分とする反射光に、グリッドに垂直な偏光成分が一部混入してしまうことも確認できる。
これらの測定結果からも、図20Aに示すように、特に短波長域において反射光の消光比が伸びず、波長依存性が強く残っていることがわかる。このような波長依存性は、例えば光学装置によってディスプレイ装置などを構成する場合に、輝度やコントラストの低下、ならびに色斑の発生などの原因となることから、可能な限り低減することが求められる。
本発明に係る光学装置の、第1の実施形態を説明する。
図1A及び図1Bは、本実施形態に係る光学装置の構成を示す概略斜視図及び概略断面図である。
図1Aに示すように、本実施形態に係る光学装置1は、少なくとも可視光域に関して透明な基板2の一主面上に、互いに平行な複数の金属層3が、直線状すなわちライン状のグリッドとして、入射光L´の波長に比して小とされた間隔で形成され、金属層3の少なくとも基板2とは反対側に、すなわち例えば上面に接して、誘電体層4が形成された構成を有する。
本実施形態に係る光学装置1によれば、グリッドに平行な偏光成分について、図2Bに示すように、可視光の波長帯域に関わらず透過光が略完全に抑制されるとともに、グリッドに垂直な偏光成分についても、図2Aに示すように、前述した従来の光学装置による場合に比して、特に0.6μm以下の短波長域で透過光の透過率低下ならびに反射光の反射率上昇が抑制される。したがって、波長依存性の抑制すなわち改善とともに、グリッドに平行な偏光成分を主たる偏光成分とする反射光に対する、グリッドに垂直な偏光成分の混入が低減されたことが確認できる。
図3においては、本実施形態に係る光学装置1による反射光の反射率と透過光の透過率をそれぞれ実線g及び実線iで、従来の光学装置101による反射光の反射率と透過光の透過率をそれぞれ破線h及び破線jで、それぞれ示す。
消光比すなわち消光率は、互いに直交する偏光の強度比であり、この値が大きいほど、偏光分離特性(偏光選択性)が良いと考えられる。
この測定結果からも、本発明構成によって波長依存性の抑制ならびに偏光分離特性の向上が図られることが確認できたことから、例えばディスプレイ装置などを構成する場合にも、輝度及びコントラストの低下や色斑の発生などが低減されると考えられる。
本発明に係る光学装置の、第2の実施形態を説明する。
この第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみを説明する。説明を省略する部分は、第1実施形態と同様であることとする。また、説明上、第1実施形態と重複する構成要素には、同一の符号を付して重複説明を省略する。
本実施形態に係る光学装置1は、少なくとも可視光域に関して透明な基板2の一主面上に、互いに平行な複数の金属層3が、直線状すなわちライン状のグリッドとして、入射光(図示せず)の波長に比して小とされた間隔で形成され、金属層3の少なくとも基板2とは反対側に誘電体層4が形成された構成を有する。
また、本実施形態に係る光学装置1は、基板2の、金属層3が設けられた主面側の露出部に、金属層3によるグリッドに平行な溝が形成され、この溝による基板2の凹凸によって、金属層3及び誘電体層4の厚さの和に比して大きな深さの凹凸が形成された構成を有する。
本実施形態に係る光学装置1によれば、グリッドに平行な偏光成分について、図8Bに示すように、可視光の波長帯域に関わらず透過光が略完全に抑制されるとともに、グリッドに垂直な成分についても、図8Aに示すように、前述した第1実施形態における構成よりも更に、短波長域で透過光の透過率低下ならびに反射光の反射率上昇が抑制され、グリッドに平行な偏光成分を主たる偏光成分とする反射光に対する、グリッドに垂直な偏光成分の混入が低減されたことが確認できる。
図9Aに示すように、特に短波長域において反射光の消光比が伸びており、例えば前述した第1実施形態における構成による場合に比して、短波長側での消光比が上昇して例えば波長0.5μmの入射光に関しては約100もの消光比向上がなされ、更に全波長帯に対して均一性が増し、波長依存性が低減されていることが確認できる。
この測定結果からも、本発明構成によって波長依存性の抑制ならびに偏光分離特性の向上が図られることが確認できたことから、例えばディスプレイ装置などを構成する場合にも、輝度及びコントラストの低下や色斑の発生などが低減されると考えられる。
本発明に係る光学装置の、第3の実施形態を説明する。
この第3実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみを説明する。説明を省略する部分は、第1実施形態と同様であることとする。また、説明上、第1実施形態と重複する構成要素には、同一の符号を付して重複説明を省略する。
本実施形態に係る光学装置1は、少なくとも可視光域に関して透明な基板2の一主面上に、互いに平行な複数の金属層3が、直線状すなわちライン状のグリッドとして、入射光(図示せず)の波長に比して小とされた間隔で形成され、金属層3の少なくとも基板2とは反対側に誘電体層4が形成された構成を有する。
また、本実施形態に係る光学装置1は、基板2と金属層3との間に、第2の誘電体層5が設けられ、この第2の誘電体層5によって、金属層3及び誘電体層4の厚さの和に比して大きな深さの凹凸が形成された構成を有する。
したがって、本実施形態に係る光学装置によっても、波長依存性の抑制ならびに偏光分離特性の向上が図られ、例えばディスプレイ装置などを構成する場合にも、輝度及びコントラストの低下や色斑の発生などが低減されると考えられる。
なお、金属層3の厚さが170nmである場合の消光比については、誘電体層4の厚さを100nm程度とすることが特に好ましく、次いで300nm、500nm、10nmの順に、消光比が大きく改善されることや、誘電体層4の屈折率が基板2の屈折率に比して高い場合に、特に消光比の改善が図られること、更には誘電体層4の屈折率が基板2の屈折率に比して低い場合にも、従来の構成による場合に比して消光比が改善されることなどが確認できた。
また、本発明に係る光学装置1においては、誘電体層4が多層膜により形成される構成や、金属層3と誘電体層4とが繰り返し積層された構成とすることも可能である。
本発明に係る光学装置の製造方法の、第1の実施形態を、図14A〜図14Dを参照して説明する。
本実施形態に係る光学装置の製造方法においては、まず、可視光域に関して透明な基板2を用意し、この基板2の一主面に、例えばアルミニウムによる金属層3を、例えば蒸着によって形成する金属層形成工程を行い、図14Aに示すように、例えば電子線描画装置やナノインプリント装置を用いたリソグラフィー手法によって、最終的に金属層3を残す領域に対応させて、レジスト6を被着形成する。
本発明に係る光学装置の製造方法の、第2の実施形態を、図15A〜図15Cを参照して説明する。
この第2実施形態では、説明を省略する部分は第1実施形態と同様であることとし、また、説明上、第1実施形態と重複する構成要素には、同一の符号を付して重複説明を省略する。
本発明に係る光学装置の製造方法の、第3の実施形態を、図16A〜図16Cを参照して説明する。
この第3実施形態では、説明を省略する部分は第1実施形態と同様であることとし、また、説明上、第1実施形態と重複する構成要素には、同一の符号を付して重複説明を省略する。
本発明に係る光学装置の製造方法の、第4の実施形態を、図17A〜図17Cを参照して説明する。
この第4実施形態では、説明を省略する部分は第1実施形態と同様であることとし、また、説明上、第1実施形態と重複する構成要素には、同一の符号を付して重複説明を省略する。
なお、本実施形態では、レジスト7に対応する領域の第2の誘電体層5を完全に除去したが、一部残して第2の誘電体層5によって凹部を形成しても良いし、前述のエッチングが基板2に至る、つまり基板2を一部除去して凹部を形成し、これによって最終的に得る光学装置に、金属層と誘電体層の和よりも深い凹凸を形成することもできる。
例えば、前述の実施の形態においては、金属層、誘電体層ならびに第2の誘電体層の形成手法として蒸着を用いる例を説明したが、例えばスパッタリングやMBE(Molecular Beam Epitaxy)などの薄膜形成手法によることも可能であるなど、本発明は、種々の変更及び変形をなされうる。
Claims (10)
- 入射光を選択的に偏光させる光学装置であって、
少なくとも、可視光域に関して透明な基板と、
該基板の一主面上に互いに平行に設けられ、かつ互いの間隔が前記入射光の波長に比して小とされた、複数の直線状金属層とを有し、
少なくとも、前記金属層の前記基板とは反対側に、誘電体層が形成される
ことを特徴とする光学装置。 - 前記誘電体層が、前記金属層に接して形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。 - 前記金属層と前記基板との間に、第2の誘電体層が設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。 - 前記基板の一主面側に、前記金属層及び前記誘電体層の厚さの和に比して大きな深さの凹凸が形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。 - 前記基板の一主面側に、前記金属層及び前記誘電体層の厚さの和に比して大きな深さの凹凸が形成され、
前記凹凸の凹部が、前記第2の誘電体層の少なくとも一部により構成される
ことを特徴とする請求項3に記載の光学装置。 - 前記凹凸の凸部が、前記金属層と前記基板との間に設けられる第2の誘電体層によって構成される
ことを特徴とする請求項4に記載の光学装置。 - 前記凹凸が、前記基板の一主面の凹凸によって規定される
ことを特徴とする請求項4に記載の光学装置。 - 前記凹凸が、溝状である
ことを特徴とする請求項4に記載の光学装置。 - 可視光域に関して透明な基板の一主面に、金属層を形成する金属層形成工程と、
少なくとも前記金属層を、互いに平行な複数の直線状に整形する金属層整形工程と、
少なくとも前記金属層の前記基板とは反対側に、誘電体層を形成する誘電体層形成工程とを有する
ことを特徴とする光学装置の製造方法。 - 前記金属層整形工程に先立って前記誘電体層形成工程を行い、
前記誘電体層を、前記金属層整形工程におけるエッチングマスクとして用いる
ことを特徴とする請求項9に記載の光学装置の製造方法。
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