JP5291425B2 - 吸収型ワイヤグリッド偏光子及び液晶表示装置 - Google Patents

吸収型ワイヤグリッド偏光子及び液晶表示装置 Download PDF

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本発明は、吸収型ワイヤグリッド偏光子に関する。
近年のフォトリソグラフィー技術の発達により、光の波長レベルのピッチを有する微細構造パターンを形成することができるようになってきた。この様に非常に小さいピッチのパターンを有する部材や製品は、半導体分野だけでなく、光学分野において利用範囲が広く有用である(非特許文献1)。
例えば、金属などで構成された導電体線が特定のピッチで格子状に配列してなるワイヤグリッドは、そのピッチが入射光(例えば、可視光の波長400nmから800nm)に比べてかなり小さいピッチ(例えば、2分の1以下)であれば、導電体線に対して平行に振動する電場ベクトル成分の光をほとんど反射し、導電体線に対して垂直な電場ベクトル成分の光をほとんど透過させるため、単一偏光を作り出す偏光子として使用できる。このワイヤグリッド偏光子は、透過しない光を反射し再利用することができるので、光の有効利用の観点からも望ましいものである。
このようなワイヤグリッド偏光子としては、例えば、特許文献1に開示されているものがある。このワイヤグリッド偏光子は、入射光の波長より小さいグリッド周期で間隔が置かれた金属ワイヤを備えている。このワイヤグリッド偏光子は、電場成分が金属線と平行な偏光成分(TE波)を反射し、金属線と垂直な偏光成分(TM波)を透過する偏光特性を有し、ビームスプリッタとして多く使用されている。
しかしながら、反射により偏光成分を分離するために、反射される偏光成分が好ましくない用途への適用が難しい問題があり、ワイヤグリッド偏光子を液晶表示装置のような表示装置に配設した場合に、特許文献1に開示されている構成では、金属ワイヤがバックライト側からの光だけでなく、外光側からの光も反射するので、十分な色再現性や黒表示を行なうことができないという問題があった。
ここで、黒表示時の光量は、外光量をIin、外光反射率をR、バックライト透過光量をIとすると、
(黒表示光量)=I+R・Iin
と与えられる。十分な黒表示を行うには黒表示光量が小さいほど良いので、バックライト透過光量Iを低下させるか、外光反射率Rを低下させることが必要となる。一般的に光量の値はIin>Iであるので、外光反射率Rを低下させることが最も効果的である。
また、他の偏光子として、吸収型二色性偏光子が広く使用されている。吸収型二色性偏光子は、光の吸収異方性を有する化合物(ヨウ素、二色性色素)を塗布した高分子フィルムを延伸することで得られる。この吸収型の偏光子を表示装置に用いると、透過率は原理的に50%を超えないために、光の利用効率が低いという課題があった。さらに、高温高湿環境における耐久性に劣る問題もあった(非特許文献2)。
上記課題に対して、ワイヤグリッド材料にクロムを使用し非透過光の反射を軽減させたワイヤグリッド偏光子(特許文献2、特許文献3)や、光吸収性薄膜層を設けたワイヤグリッド偏光子(特許文献4)が提案され、さらには反射型ワイヤグリッド偏光子と光吸収性材料を組み合わせた偏光子(特許文献5、特許文献6)が提案されている。
日本女子大学紀要 理学部 第14号(2006) FPDの光学材料 月刊ディスプレイ10月号別冊(2007) テクノタイムズ社 特表2003−502708号公報 特開2004−309903号公報 再表2006−064693号公報 特開2006−330616号公報 特開2005−37900号公報 特開2008−46637号公報
しかしながら、特許文献2、3に記載の構成では、アルミニウムをワイヤグリッド材料に適用した場合に比べて反射率は低下するが、吸収型二色性偏光子と比較すると反射率は高く、非透過光の反射を抑制するという課題解決には至っていない。さらに特許文献2に記載の構成では、偏光度が低く、偏光子としては実用上使用できない。
また、特許文献4に記載の構成においては、反射率は低下するが、同時に偏光度と透過率も低下し、偏光子としての実用性がない問題があった。さらに、特許文献2、4に記載の偏光子では、光利用効率が低下する問題もあった。
また、特許文献5、6に記載されているように反射型ワイヤグリッド偏光子のワイヤグリッドに光吸収性材料を積層する構成では、誘電体、低反射金属、酸化物などの多層膜を真空蒸着などにより成膜、さらに、該多層膜を数百nmのパターンでワイヤ形状に加工する必要があるため、多層膜の成膜および加工に時間がかかってしまうという問題点を有している。
さらに、多層膜を構成している金属、誘電体、酸化物のワイヤ状への微細加工におけるドライエッチングに最適なガスの種類が金属相と酸化物層、誘電体層とで互いに異なるため、エッチングが困難である問題があり、ウェットエッチングにおいても、同様に最適なエッチング液の選定が困難である問題がある。
また、特許文献5に記載されているように、基材表裏に各々反射性材料、吸収性材料でストライプ状のグレーティング層を設ける構成においては、平板基板の表裏に光学的に平行な位置で設置されなければならないが、手順として、平板基板の片面にストライプ状のグレーティング層を設け、光学的な平行位置を保ちながら、もう片面の平面にストライプ状のグレーティング層を設ける、ことになり、光学的な平行を保ちながら基材両面にグレーティング層を設けることは、実際の製造においては困難という問題点がある。ここで、光学的な平行位置とは、偏光子を透過する偏光軸が互いに平行になる位置をいう。
さらに本発明者の検討により、特許文献5に記載の構成では、吸収性材料側からの入射において、TE波の反射率を抑制できるが、TM波の反射率も高く、結果として観察される自然光としての反射率を完全に抑制できないこと、さらに、TM透過率の波長分散が大きく十分な色再現性ができないことがわかっている。
また吸収型偏光子の使用方法として、反射型偏光子と積層する方法が提案される。しかし、従来提案されている吸収型偏光子では、透過率が低く、反射型偏光子と積層して複合型偏光子とした場合に、透過率が低い偏光子になり実用上問題があった。また、透過率を上げると、積層した反射型偏光子の反射の影響が強くなり、外光側の入射光に対する反射抑制が不十分であるという問題があった。
さらに本発明者の検討により、本発明のようなワイヤグリッド偏光子を作成する際に、ワイヤ部分を成す材料を、例えばニッケルで作製し、高温・高湿環境下での耐久性能を観察すると、600時間までは十分の耐久性が保たれることがわかっているが、更なる耐久性能の高い材料が要望されている。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、高透過率と低反射率の両性能が良好で、且つ高温・高湿環境下における耐久性能に優れ、反射型ワイヤグリッド偏光子と積層した複合型偏光子において、バックライト側の光利用効率を高め、外光側の入射光に対する反射率を抑制し、十分な色再現性や黒表示を実現することができる吸収型ワイヤグリッド偏光子を提供することを目的とする。
本発明の吸収型ワイヤグリッド偏光子は、格子状に凸部を有する可視光に対して透明な基材と、前記基材の凸部上に形成され、ニッケル、鉄及びクロムからなる群のうち少なくとも一つを主成分とする低反射合金より構成された層と、を具備し、前記層が、横断面視において前記凸部の側面の頂点から根本にわたって片寄った状態で形成されていることを特徴とする。
本発明の吸収型ワイヤグリッド偏光子においては、前記層の厚さが5nm以上250nm以下であることが好ましい。この場合において、前記層の厚さが5nm以上30nm以下であることが好ましい。
本発明の吸収型ワイヤグリッド偏光子においては、前記低反射合金は、ニッケルクロム合金又はステンレスであることが好ましい。
本発明の液晶表示装置は、照明装置と、前記照明装置上に配置された一対の複合型ワイヤグリッド偏光子と、前記一対の複合型ワイヤグリッド偏光子に挟まれた液晶パネルと、を具備し、前記複合型ワイヤグリッド偏光子は、前記照明装置側に反射型ワイヤグリッド偏光子が配置され、前記照明装置と逆側に上記吸収型ワイヤグリッド偏光子が位置することを特徴とする。
本発明の吸収型ワイヤグリッド偏光子は、格子状に凸部を有する可視光に対して透明な基材と、前記基材の凸部上に形成され、ニッケル、鉄及びクロムからなる群のうち少なくとも一つを主成分とする低反射合金より構成された層と、を具備し、前記層が、横断面視において前記凸部の側面の頂点から根本にわたって片寄った状態で形成されているので、高透過率と低反射率の両性能を満たし、反射型ワイヤグリッド偏光子と積層した複合型偏光子において、バックライト側の光利用効率を高め、外光側の入射光に対する反射率を抑制し、LCDのような表示装置に配設した場合に十分な色再現性と黒表示を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る吸収型ワイヤグリッド偏光子の一例を示す概略断面斜視図であり、図2は、図1の吸収型ワイヤグリッド偏光子1を拡大図示した概略断面斜視図である。
図2に示す吸収型ワイヤグリッド型偏光子は、表面に格子状凸部1aを有する基材1bと、横断面視において、格子状凸部1aの側部の一部を覆った低反射合金で構成された低反射合金ワイヤ1cとから主に構成されている。
この低反射合金は、耐久性能と光学特性に優れる材料であることが望まれる。本発明者の検討により、ニッケル、鉄及びクロムからなる群のうち少なくとも一つを主成分とする合金が好ましく、特に、ニッケルクロム合金もしくはステンレスなどの低反射合金が好ましいことが分かった。
以下にニッケルクロム合金の優位性について述べる。耐久性能について、ニッケルやニッケルモリブデン合金などでワイヤグリッド偏光子を作製し、高温・高湿環境下における耐久性を調査した結果、雰囲気中の酸素と反応して酸化腐食が起こり、ワイヤグリッド偏光子の表面に斑状の欠陥や透過率変化が発生し、耐久性能上の課題となっていた。ここで、前記課題を解決すべく、ニッケルクロム合金もしくはステンレスなどの低反射合金を用いてワイヤグリッド偏光子を作製し、高温・高湿環境下における耐久性能を調査した結果、上記課題のような現象は発生しなかった。これは、合金中に含まれるクロムが有する表面被膜効果によって低反射合金ワイヤ1cの最表面に酸化クロム膜が不動態被膜として形成されるため、酸化腐食が抑制されていると考えられる。
また、光学特性について、ニッケルを低反射合金ワイヤ1cとして用いたワイヤグリッド偏光子を作製し、光学特性を評価した結果、後述する透過率と反射率の範囲を満たすものの、可視光の全領域を通してTE透過率が高くなる傾向にあった。これは、ニッケルの光学定数(n,k)のうち、可視光での屈折率nが1.5〜2.5と低いことにより十分な遮光性が得られていない為と考えられる。ここで上記の課題を解決すべく、ニッケルクロム合金を低反射合金ワイヤ1cとして用いたワイヤグリッド偏光子を作製し、光学特性を評価した結果、可視光の全領域を通してTE透過率を低下させることができ、良好な結果が得られた。これは、クロム(可視光での屈折率nは2.5〜3.5)と合金化することによって、光学定数(n,k)が変化し、最適な値となった為と考えられる。
以下にステンレスの優位性について述べる。光学特性について、鉄の可視光領域における屈折率nは約2.5、消衰係数kは約3.0と大きく、遮光性や低反射率化に有効である。しかし、周知のように鉄は酸化性が強く、高温・高湿環境下における耐久性はほとんど無いに等しい。また、クロムは波長およそ450nm以上の可視光の領域において優れた光学特性を有しているが、波長およそ450nm未満の領域においては、光学定数(n,k)の値が小さく、遮光性が低いといった課題があった。
上記の課題に対し、ステンレスを低反射合金ワイヤ1cとして用いたワイヤグリッド偏光子を作製し、高温・高湿環境下における耐久性能を調査した結果、ワイヤグリッド偏光子の表面に斑状の欠陥や外見の変化、透過率の変化は発生しなかった。これは、ニッケルクロム合金での事象と同じように、ステンレス中に含まれるクロムが有する表面被膜効果によって、低反射合金ワイヤ1cの最表面に酸化クロム膜が不動態被膜として形成されるため、酸化腐食が抑制されていると考えられる。
また、ステンレスを低反射合金ワイヤ1cとして用いたワイヤグリッド偏光子の光学特性を評価した結果、可視光の全領域に対して優れた遮光性と低反射率であることが分かった。
以上のように、高温・高湿環境下における耐久性能と可視光領域における光学特性の両方を満たす合金として、ニッケルクロム合金とステンレスは優れていることが分かる。
さらに、低反射合金ワイヤ1cを金属元素単体ではなく、合金で構成することにより、構成材料の光学定数が許す範囲で所望の光学定数(n,k)を得ることができる。つまり、合金の組成比によって低反射合金ワイヤ部の光学定数(n,k)を所望する値に設計することができるので、ワイヤグリッド偏光子の光学設計上好ましい。
図2に示すように、低反射合金ワイヤ1cは、横断面視において基材1bの格子状凸部1aの側面の一部を含む領域にわたって片寄った状態で形成されている。ここで、片寄った状態とは、格子状凸部1aの頂部を通る仮想垂線(横断面視において基材1bの表面に対して略直交する垂線)Xと、低反射合金ワイヤ1cの頂部を通る仮想垂線とが揃わない状態をいう。図2においては、格子状凸部1aの頂部を通る仮想垂線Xと、低反射合金ワイヤ1cの頂部を通る仮想垂線Xとが揃わない状態で低反射合金ワイヤ1cが格子状凸部1a上に形成されている。本発明においては、このような状態を、格子状凸部1aの側面の一部を含む領域にわたって片寄った状態で形成されている、という。
本発明者らは、基材の格子状凸部1aがなく、平坦な基材上に低反射合金ワイヤ1cを設けても、低反射合金ワイヤの形状、膜厚によらず、i)高透過率と低反射率は相反する特性を示し、ii)反射率の波長分散性が大きくなることを確認し、上記の現象が、格子状凸部を有する基材の格子状凸部に低反射合金ワイヤ1cを設けることにより初めて生じることを見出した。本発明者らは、このような知見に基づいて本発明を完成させた。
このように、低反射合金ワイヤ1cは、格子状凸部1aの横断面視において少なくとも一部を覆うことが好ましい。特に、格子状凸部1aの横断面視における側面(斜面部)のみを覆うように低反射合金ワイヤ1cを形成すると、所定の光学性能を得ることができるので好ましい。図2に示すように、横断面視における一方の斜面部のみを覆うように低反射合金ワイヤ1cを形成すると、高透過率、低反射率で透過率、反射率の波長分散を抑制できるのでさらに好ましい。
なお、凸部の横断面視における格子状凸部1aの側面の一部を含む領域にわたって片寄った状態で形成されていると、高透過率で光学特性の波長分散を抑制することができる理由は不明であるが、有効媒質理論より、光の入射方向に対する低反射合金ワイヤ1cと格子状凸部1aとの間の断面変化により、光の入射方向に対して光学特性の急激な変化が抑制されるためであると推定される。
つまり、図2において、光の入射方向を仮想垂線X及びXと平行な方向とすると、低反射合金材料ワイヤ1cと格子状凸部1aの凸形状の頂点から根本にかけて、周囲の媒質(格子状凸部の間を含む媒質、例えば空気)と低反射合金材料ワイヤ1cと格子状凸部1aを成す樹脂の体積占有率が徐々に変化するため、光学定数分布の変化量は光の入射方向に対してなだらかとなる。光の反射は主に光学定数の急激な変化により生じるので、連続的な光学定数の変化に対しては光の反射は抑制されると推定される。
また、低反射合金ワイヤ1cは、格子状凸部1aの断面視における片側の斜面部に5nm以上250nm以下の厚さの薄膜で形成されることが好ましい。膜厚が前記範囲であると吸収型ワイヤグリッド偏光子として最適なTE波、TM波の透過率を得られ好ましく、より好ましくは5nm以上30nm以下である。
低反射合金ワイヤ1cは薄膜であるために、ワイヤグリッド偏光子であるにもかかわらずTE波の反射率と透過率を低く抑え、吸収率を高めることができる。薄膜の低反射合金ワイヤでTE波の吸収率が高くなる詳細は明確ではないが、低反射合金の侵入長と同程度であるために低反射合金内部での吸収が高まるためと推定される。
また、低反射合金ワイヤ1cの保護の観点から、図示しない透明誘電体層の薄膜を低反射合金ワイヤ1cに積層して設けても良い。誘電体層を低反射合金ワイヤ1c上に形成する方法としては、誘電体層を構成する材料により適宜選択する。例えば、スパッタリング法、真空蒸着法などの物理的蒸着法を好適に用いることができる。
基材1bに用いる素材は、可視光領域で実質的に透明な素材であれば良いが、加工性に優れた樹脂であることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線(UV)硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。また、基材1bとして、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂と、ガラスなどの無機基板、上記熱可塑性樹脂、トリアセテート樹脂とを組み合わせた複合基材を用いても良い。
基材1b上の格子状凸部1aのピッチは、可視光領域の広帯域にわたる偏光特性を考慮すると、150nm以下であり、好ましくは80nmから120nmである。ピッチが小さくなるほど偏光特性が良くなるが、可視光に対しては、80nmから120nmのピッチで十分な偏光特性が得られる。400nm近傍の短波長光の偏光特性を重視しない場合は、ピッチを150nm程度まで大きくしてもよい。
本発明において、基材1b上の格子状凸部1aのピッチと低反射合金ワイヤ1cのピッチとは、ほぼ等しく、同じピッチをとることができる。
基材1b上の格子状凸部1aの断面形状に制限はない。これらの断面形状は、例えば、台形、矩形、方形、プリズム状や、半円状などの正弦波状を挙げることができる。ここで、正弦波状とは、凹部と凸部の繰り返しからなる曲線部をもつことを意味する。なお、曲線部は湾曲した曲線であれば、よく、例えば凸部にくびれがある形状も正弦波状に含める。また、基材1b上の格子状凸部1a及びその側面の少なくとも一部を低反射合金が覆いやすくする観点から、前記形状の端部または頂部、谷部は穏やかな曲率をもって湾曲していることが好ましい。また、基材1b、格子状凸部1aと低反射合金ワイヤ1cとの密着強度を高くする観点から、これらの断面形状は正弦波状であることがより好ましい。さらに、同様に基材1b、格子状凸部1aと低反射合金ワイヤ1cとの密着強度を高くする観点から、図示しない透明誘電体層の薄膜を設けることも好ましい。
基材1bに格子状凸部1aを設ける方法としては、表面にピッチが150nm以下の格子状凸部を有する型を用いて、機材の表面に格子状凸部を転写して成型する方法が挙げられる。ここで、表面にピッチが150nm以下の格子状凸部を有する型は、電子線ビーム描画法や干渉露光法により得た、ピッチが150nm以下の格子状凸部を有するレジストパターンを、順に導電化処理、メッキ処理、基材の除去処理を施すことで作製できる。
低反射合金ワイヤ1cを形成するために低反射合金を基材1b及び格子状凸部1a上に形成する方法としては、低反射合金と基材との間で十分な密着性が得られる方法であれば特に限定されない。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的蒸着方法を好適に用いることができる。格子状凸部の一方の斜面部に偏って選択積層できる方法が好ましく、斜め蒸着法などを挙げることができる。また、酸化物材料を低反射合金ワイヤ1cとする場合は、反応性スパッタリング法によって任意に光学定数(n,k)を変化させることができるので、本発明における吸収型ワイヤグリッド偏光子の光学設計上、スパッタリング法が好ましい。
本発明における吸収型ワイヤグリッド偏光子1において、TE波においては、透過率が50%以下で、かつ、反射率が40%以下であると好ましく、透過率が40%以下で、かつ、反射率が20%以下であるとより好ましい。TM波においては、透過率が80%以上で、かつ、反射率が10%以下であると好ましく、透過率が85%以上で、かつ、反射率が8%以下であるとより好ましい。TE波、TM波の透過率、反射率は、分光光度計を用いて測定される。
本発明の吸収型ワイヤグリッド偏光子は、高透過率と低反射率の両性能を満たし、高い偏光度を有しているので、それのみで偏光子として機能するが、反射型ワイヤグリッド偏光子と積層一体化すると、液晶表示装置のような表示装置に配設した場合に、反射型ワイヤグリッド偏光子の特性である、バックライトの光利用効率を高くした状態で、外光側の反射を抑制でき好ましい。
図4は、本発明の実施の形態に係る吸収型ワイヤグリッド偏光子の応用の一例を示す概略断面斜視図である。吸収型ワイヤグリッド偏光子1は、反射型ワイヤグリッド偏光子2と積層し一体化し複合型ワイヤグリッド偏光子3を構成している。
TM透過率が高いために、反射型ワイヤグリッド2に積層して一体化した複合型ワイヤグリッド偏光子3の透過率が低くならない。さらに、外光4の反射光について図5で詳細に述べる。
図5は吸収型ワイヤグリッド偏光子と反射型ワイヤグリッド偏光子を積層一体化した複合型ワイヤグリッド偏光子の断面概略図であり、吸収型ワイヤグリッド偏光子の低反射合金ワイヤ1cと反射型ワイヤグリッド偏光子の反射型金属ワイヤ2aと両ワイヤの透明基板、接着層を概略して透明基板層6で示している。
外光4のTE波は、低反射合金ワイヤ1cで一部反射され、一部は透過する。透過した光は、反射型金属ワイヤ2aにより一部反射され、再び低反射合金ワイヤ1cに戻り、反射光と透過光が分離する。この多重反射の和が反射光4Rとして認識され、次式で概算される。
4R=R1c+(T1c)・R2a/(1−R1c・R2a) 1)
ここで、
R1c:低反射合金ワイヤ1cの反射率
T1c:低反射合金ワイヤ1cの透過率
R2a:反射型金属ワイヤ2aの反射率
反射型ワイヤ金属2aの反射率は高いので、式1)より外光4のTE波の反射率は、低反射合金ワイヤ1cの反射率R1cと透過率Taの二乗に大きく影響されることがわかり、透過率T1cは反射率R1cほど低い必要はないことがわかる。
上記はTE波の反射についてであるが、TM波についても同様の式となるが、R2aが小さいので、透過率T1cはTE波ほど抑制される必要はない。
上記吸収型ワイヤグリッド偏光子と反射型ワイヤグリッド偏光子を、光学的な平行位置で接着して図4に示す偏光子3を得る。接着する反射型ワイヤグリッド偏光子としては、少なくとも基材と基材上に配設されている金属ワイヤグリッドとで構成されている反射型ワイヤグリッド偏光子が挙げられる。反射型ワイヤグリッドを構成する基材とは、可視光領域で実質的に透明な素材であれば特に限定されるものではなく、ガラスや透明な無機物結晶、透明プラスチックが挙げられる。ガラスとしては、石英ガラスや、BK(硼珪クラウン)、BaK(バリウムクラウン)、LF(軽フリント)、SF(重フリント)などの既存の光学ガラスを挙げることができる。なかでも石英ガラスは、表面微細加工に適しているので好ましい。透明無機物結晶としては、サファイヤ、水晶、方解石、アルカリハライドなどが挙げられる。透明プラスチックとしては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線(UV)硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。
基板表面は平面である必要はなく、100nm程度の凹凸が賦形されていても良い。
金属ワイヤグリッドに使用される材料としては、可視光領域で光の反射率が高く、基材との密着性がよいものであることが好ましい。例えば、アルミニウムや銀、錫、又はその合金で構成されていることが好ましい。コストの観点から、Al又はAl合金で構成されているとさらに好ましい。
金属ワイヤグリッドの形状、金属ワイヤグリッドの断面形状は可視光領域で十分な偏光特性を維持できれば、特に限定されるものではなく、矩形、台形、方形、プリズム状や、半円状などの正弦波状、更にはこれらを組み合わせた形状などが挙げられる。ピッチは、可視光領域の広帯域における偏光特性を考慮すると150nm以下であり、好ましくは80nmから120nmである。
基板表面に金属ワイヤグリッドを形成する方法としては、公知である種々の方法が挙げられ、例えば、極紫外レーザーを用いた干渉露光法、電子線リソグラフィを用いた方法、あるいはあらかじめ所望のピッチで凸状格子を設けた基板に金属ワイヤを形成する方法などが挙げられる。
吸収型ワイヤグリッド偏光子と反射型ワイヤグリッド偏光子をと光学的な平行位置で積層する方法としては、以下の方法が挙げられる。
図6において、既存の偏光子12を透過した直線偏光を吸収型ワイヤグリッド偏光子11に透過させる。透過光10の光量が最小になるように吸収型ワイヤグリッド偏光子11を、透過光10の光軸を中心にして回転させる。図示しない偏光子12を固定しているベースにあわせて、吸収型ワイヤグリッド偏光子11の辺11cを切断する。このような操作により辺11cは偏光子12の偏光軸と平行となる。同様にして反射型ワイヤグリッド偏光子についても、偏光子12の偏光軸と平行な辺を得る。次に、この辺を機械的に合わせながら積層することで、光学的な平行位置で吸収型ワイヤグリッド偏光子と反射型ワイヤグリッド偏光子が一体化した偏光子を得る。
積層する方向は、反射型、吸収型各々のワイヤグリッドが入射光と180度相対した向きであってもよく、図7に示すように、吸収型ワイヤグリッド偏光子1の低反射合金ワイヤ1cが反射型ワイヤグリッド偏光子2の背面に接着層7を介して積層されてもよく、図示しない吸収型と反射型のワイヤグリッドが相対する位置で積層されても良い。ワイヤグリッドを積層面とする場合、接着層がワイヤグリッドのワイヤ間に充填されると光学特性が変わるので、接着層がワイヤ頂部のみに接している状態が好ましい。
以上のように簡便に光学的な平行位置でワイヤグリッド偏光子が揃ったワイヤグリッド偏光子を得られるために、簡便な装置で安価に製造することが可能である。さらに、各々の偏光子は接着するまで独立であるので、それぞれに最適で容易な製造方法を選択でき、生産効率、コストの点から鑑みて実際の工業生産において大きな利点を有する。
次に、本発明に係る吸収型ワイヤグリッド偏光子を液晶表示装置に用いた場合について説明する。
図8は、本発明の実施の形態にかかる吸収型ワイヤグリッド偏光子と反射型ワイヤグリッド偏光子から構成される複合型ワイヤグリッド偏光子を用いた液晶表示装置を示す断面外略図である。
図8に示す液晶表示装置は、発光するバックライトのような照明装置20とこの照明装置上に配置された複合型ワイヤグリッド偏光子21,22に挟まれた液晶パネル23とから主に構成される。複合型ワイヤグリッド偏光子21,22は、バックライト側に反射型ワイヤグリッド偏光子21a,22aを向けて配置され、逆側に本発明の吸収型ワイヤグリッド偏光子21b,22bが位置する。液晶パネル23は透過型液晶パネルであり、ガラスや透明樹脂基板間に液晶材料などを挟持して構成されている。なお、図8の液晶表示装置中において、通常使用されている偏光子保護フィルム、位相差フィルム、拡散板、配向膜、透明電極、カラーフィルターなどの各種光学素子については、説明を省略する。
このような構成の液晶表示装置においては、照明装置20から出射された光が複合型ワイヤグリッド偏光子21の反射型ワイヤグリッド偏光子21aから入射し、液晶セル23を通過し、再び複合型ワイヤグリッド型偏光子22の反射型ワイヤグリッド偏光子22aから入射、外界に出射される(図中30)。この場合において、複合型ワイヤグリッド偏光子21,22が可視光領域において、優れた偏光度を発揮するので、コントラストの高い表示を得ることが可能となる。また、透過しない照明装置20からの入射光は、照明装置側に向けて反射され、再利用されることで高い輝度を得ることができる。
一方、外光は、複合型ワイヤグリッド偏光子22における本発明の吸収型ワイヤグリッド偏光子22bから入射し、液晶セル23を通過し、再び複合型ワイヤグリッド偏光子21の吸収型ワイヤグリッド偏光子21bから入射、照明装置20に出射される(図中31)。この場合においては、透過しない外光は、本発明の吸収型ワイヤグリッド偏光子22a,22bにより効率良く吸収される。以上、まとめると液晶表示装置において、十分な色再現性や黒表示を実現することができる。
次に、本発明の効果を明確にするために行なった実施例について説明する。なお、下記実施の形態における寸法、材質などは例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、適宜変更して実施することが可能である。
[実施例1]
(格子状凸部を有する基材の作製)
・微細凹凸格子形状の作製
ガラス上にフォトレジストを塗布した基板に、電子線ビーム描画法を用いて、微細凹凸格子を形成した。このレジストパターンの表面と断面を、電界放出形走査電子顕微鏡(STEM、日立ハイテクノロジーズ製S−5500)で観察したところ、微細凹凸格子のピッチと高さがそれぞれ、145nm/130nm(ピッチ/高さ)であり、その断面形状がほぼ台形形状で、上面からの形状が縞状格子状となっており凸部の幅が45nmで谷部の幅が70nmであることがわかった。
・ニッケルスタンパ作製
得られた145nmピッチのレジストパターン表面に、導電化処理として金をスパッタリング法により30nm被覆した後、ニッケルを電気メッキし、厚さ0.3mmの微細凹凸格子を表面に有するニッケルスタンパを作製した。
・紫外線硬化性樹脂を用いた格子状凸部転写フィルムの作製
厚さ0.1mmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(以下、PETフィルム)に紫外線硬化樹脂(東洋合成株式会社製PAK01)を約0.03mm塗布し、塗布面を下にして前記145nmピッチの微細凹凸格子を表面に有するニッケルスタンパ上に、それぞれ端部からニッケルスタンパとPETフィルムとの間に空気が入らないように載せ、PETフィルム側から中心波長365nmの紫外線ランプを用いて紫外線を1000mJ/cm照射し、ニッケルスタンパの微細凹凸格子を転写した。得られた格子状凸部転写フィルムをSTEMにより観察し、その断面形状がほぼ台形形状で、上面からの形状が縞状格子状となっていることを確認した。
・吸収型ワイヤグリッド偏光子の作製
前記した紫外線硬化性樹脂を用いて作製した格子状凸部転写フィルムに、スパッタリング法を用いて誘電体を被覆した。本実施例では、誘電体として窒化ケイ素を用いた場合について、説明する。Arガス圧力0.67Pa、スパッタパワー4W/cm、被覆速度0.22nm/秒にて誘電体の被覆を行なった。層厚み比較用サンプルとして表面が平滑なガラス基板を格子状凸部転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑ガラス基板への誘電体積層厚みが5nmとなるように製膜を行った。
格子状凸部転写フィルムに誘電体層を形成した後、スパッタリング法を用いてニッケルクロム合金の低反射合金ワイヤを形成した。本実施例では、まずニッケルクロム合金(ニッケル50重量%、クロム50重量%)を用いて、アルゴンガス圧力0.16Pa(純度99.999%)、ターゲット印加電力密度4.4W/cmとし、製膜速度41nm/分で蒸着した。ニッケルクロム合金と格子状凸部転写フィルムとの間隔は105mmである。層厚み比較用サンプルとして表面が平滑なガラス基板を誘電体積層格子状凸部転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑基板へのニッケルクロム蒸着厚みが28.6nmとなるように蒸着を行った。なお、格子の立設方向と垂直に交わる平面内において基材面の法線と蒸着源とのなす角は50度とした。
得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、ニッケルクロム合金ワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ約28nmで形成されていることが確認された。
得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子について、分光光度計を用いて、直線偏光に対する平行ニコル、直交ニコルでの透過光強度、反射光強度を測定した。その結果、吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTM波透過率84.6%、TE波透過率8.0%、TM波反射率3.8%、TE波反射率28.2%、偏光度82.7%であった。
[実施例2]
実施例1と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、スパッタリング法を用いて、ニッケルクロム合金ワイヤ(ニッケル:25重量%、クロム:75重量%)を膜厚28.2nmとなるように形成し、吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、ニッケルクロム合金ワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ約28nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTM波透過率85.8%、TE波透過率6.5%、TM波反射率3.8%、TE波反射率32.2%、偏光度85.9%であった。
[実施例3]
実施例1と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、スパッタリング法を用いて、ニッケルクロム合金ワイヤ(ニッケル:75重量%、クロム:25重量%)を膜厚33.1nmとなるように形成し、吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、ニッケルクロム合金ワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ約33nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTM波透過率85.3%、TE波透過率15.2%、TM波反射率3.7%、TE波反射率29.1%、偏光度69.8%であった。
[実施例4]
実施例1と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、スパッタリング法を用いて、ステンレスワイヤ(SUS304 鉄:74重量%、クロム18重量%、ニッケル:8重量%)を膜厚28.8nmとなるように形成し、吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、ステンレスワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ約28nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTM波透過率88.7%、TE波透過率11.5%、TM波反射率3.7%、TE波反射率24.6%、偏光度77.0%であった。
[実施例5]
実施例1と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、スパッタリング法を用いて、ステンレスワイヤ(SUS329J1 鉄:72重量%、クロム:23重量%、ニッケル3重量%、モリブデン2%)を膜厚27.9nmとなるように形成し、吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、ステンレスワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ約28nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTM波透過率88.5%、TE波透過率10.1%、TM波反射率4.1%、TE波反射率29.9%、偏光度79.5%であった。
このように、実施例1から実施例5の吸収型ワイヤグリッド型偏光子については、吸収型偏光成分で構成された層としての材料ワイヤを、格子状凸部の断面斜面部の片側に所定の厚さで設けたので、低反射率及び高透過率を実現することができた。
[比較例1]
比較例として、高温高湿環境下における耐久性を比較する為の吸収型ワイヤグリッド偏光子を作製する。実施例1と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、スパッタリング法を用いて、ニッケルワイヤを膜厚28nmとなるように形成し、吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、ステンレスワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ約28nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTM波透過率86.1%、TE波透過率15.1%、TM波反射率4.4%、TE波反射率31.4%、偏光度70.1%であった。
[実施例6]
・高温高湿環境下での耐久性試験
実施例1から実施例5で作製した吸収型ワイヤグリッド偏光子を、環境試験器(エスペック社製SH−221)を用いて温度60℃、湿度90%の環境下で600時間保持し、透過率の変化量を測定した。結果を表1に示す。表1より分かるとおり、比較例1で作製した吸収型ワイヤグリッド偏光子の透過率変化量は2.4%、反射率変化量は−2.3%であるのに対し、実施例1から実施例5で作製した吸収型ワイヤグリッド偏光子の透過率変化量はいずれも2%以内であり、反射率変化量はいずれも1%以内であった。このことから、本発明の低反射合金を用いた吸収型ワイヤグリッド偏光子は、高温高湿環境下における耐久性を有することが分かった。
Figure 0005291425
[実施例7]
・反射型ワイヤグリッド偏光子の作製
前記と同様に窒化ケイ素が表面に形成された格子状凸部転写フィルムに、電子ビーム真空蒸着法(EB蒸着法)を用いて金属ワイヤを形成した。本実施例では、金属としてアルミニウムを用いた。真空度2.5×10−3Pa、蒸着速度20nm/s、基板温度は常温として蒸着を行なった。層厚み比較用サンプルとして表面が平滑なガラス基板を誘電体積層格子状凸部転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑基板へのアルミニウム蒸着厚みが170nmとなるように蒸着をおこなった。なお、格子の長手方向と垂直に交わる平面内において基材面の法線と蒸着源とのなす角度は20度とした。
格子状凸部転写フィルムに誘電体及びアルミニウムを積層した後、フィルムを室温下の0.1重量%水酸化ナトリウム水溶液中で、処理時間を30秒〜120秒の間において10秒間隔で変えながら洗浄(エッチング)し、すぐに水洗してエッチングを停止させた。その後、フィルムを乾燥して反射型ワイヤグリッド偏光子を得た。下記の偏光性能評価から、90秒エッチングをした反射型ワイヤグリッド偏光子を選定した。
得られた反射型ワイヤグリッド偏光子について、分光光度計を用いて、直線偏光に対する平行ニコル、直交ニコルでの透過光強度、反射光強度を測定した。その結果、反射型ワイヤグリッド型偏光子のTM波透過率88.7%、TE波透過率0.04%、TM波反射率3.4%、TE波反射率84.8%、偏光度99.91%であった。
・吸収型、反射型ワイヤグリッド偏光子の積層
前記した方法で得られた反射型ワイヤグリッド偏光子と実施例1の吸収型ワイヤグリッド偏光子の周囲4辺のうち1辺について、既存偏光子を基準として偏光軸を合わせた。続いて偏光軸をあわせた1辺を機械的に合わせながら、互いのワイヤグリッドの基板側を光学的に透明な粘着材を用いて接着、貼り合わせた。
得られた偏光子について、分光光度計を用い、直線偏光に対する透過光強度、反射光強度を測定した。TM波透過率75.02%、TE波透過率0.007%、吸収型ワイヤグリッド偏光子側のTM波反射率3.9%、TE波反射率29.5%、全光反射率16.7%。反射型ワイヤグリッド偏光子側のTM波反射率4.8%、TE波反射率79.8%、全光反射率42.3%、偏光度99.98%であった。
また、波長450nmから750nmにおける透過率、反射率の平均値からの差分は透過率4.8%以内、反射率4.5%以内であり、この範囲においてほぼ均一な透過・反射特性を有することが分かる。さらに、積層することによって、反射型ワイヤグリッド偏光子の全光反射率44.1%から積層した後の反射率16.7%に低下させることができ、十分な黒表示を行うに足る性能であることが確認された。
このように本発明にかかる吸収型ワイヤグリッド偏光子は、高透過率と低反射率の両性能が良好で、且つ高温・高湿環境下における耐久性能に優れ、反射型ワイヤグリッド偏光子と積層した複合型偏光子において、バックライト側の光利用効率を高め、外光側の入射光に対する反射率を抑制し、LCDのような表示装置に配設した場合に十分な色再現性と黒表示を実現できる。
本発明の実施の形態に係る吸収型ワイヤグリッド偏光子の一例を示す概略断面斜視図である。 図1に示す吸収型ワイヤグリッド偏光子を、拡大図示した概略断面斜視図である。 低反射合金ワイヤを形成する際の成膜方向を説明するための図である。 本発明の実施の形態に係る吸収型ワイヤグリッド偏光子と、反射型ワイヤグリッド偏光子を積層一体化した偏光子の概略断面斜視図である。 吸収型ワイヤグリッド偏光子と、吸収型ワイヤグリッド偏光子を積層一体化した偏光子における反射光の挙動を示す断面概略図である。 本発明の吸収型ワイヤグリッド偏光子と、反射型ワイヤグリッド偏光子を接着するための接着工程の一例を示す概略図である。 本発明の吸収型ワイヤグリッド偏光子と、反射型ワイヤグリッド偏光子を積層する他の構成の一例を示す概略断面斜視図である。 本発明の実施の形態に係る吸収型ワイヤグリッド偏光子を用いた液晶表示装置を示す断面概略図である。
符号の説明
1,11,21b,22b 吸収型ワイヤグリッド偏光子
1a 格子状凸部
1b 基材
1c 低反射合金ワイヤ
2,21c,22a 反射型ワイヤグリッド偏光子
2a 反射型金属ワイヤ
3 複合型ワイヤグリッド偏光子
4,5 入射光
6 透明基板層
7 接着層
10 偏光軸
11c 変更軸と一致した辺
12 偏光子
20 照明装置
21,22 ワイヤグリッド偏光子
23 液晶セル
30 バックライト入射光
31 外光入射光

Claims (5)

  1. 格子状に凸部を有する可視光に対して透明な基材と、前記基材の凸部上に形成され、ニッケル、鉄及びクロムからなる群のうち少なくとも一つを主成分とする低反射合金より構成された層と、を具備し、前記層が、横断面視において前記凸部の側面の頂点から根本にわたって片寄った状態で形成されていることを特徴とする吸収型ワイヤグリッド偏光子。
  2. 前記層の厚さが5nm以上250nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の吸収型ワイヤグリッド偏光子。
  3. 前記層の厚さが5nm以上30nm以下であることを特徴とする請求項2に記載の吸収型ワイヤグリッド偏光子。
  4. 前記低反射合金は、ニッケルクロム合金又はステンレスであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の吸収型ワイヤグリッド偏光子。
  5. 照明装置と、前記照明装置上に配置された一対の複合型ワイヤグリッド偏光子と、前記一対の複合型ワイヤグリッド偏光子に挟まれた液晶パネルと、を具備し、前記複合型ワイヤグリッド偏光子は、前記照明装置側に反射型ワイヤグリッド偏光子が配置され、前記照明装置と逆側に請求項1から請求項4のいずれかに記載の吸収型ワイヤグリッド偏光子が位置することを特徴とする液晶表示装置。
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