JP2018155795A - 光学位相差部材、偏光変換素子、テンプレート及び光学位相差部材の製造方法 - Google Patents

光学位相差部材、偏光変換素子、テンプレート及び光学位相差部材の製造方法 Download PDF

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Goro Suzaki
吾郎 須崎
大直 田中
Hironao Tanaka
大直 田中
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正直 後藤
真林 立花
Marin Tachibana
真林 立花
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Abstract

【課題】偏光変換素子を容易に製造できる低コストな光学位相差部材を提供する。【解決手段】本発明の光学位相差部材10Aは、一方向に延在する複数の凸部及び隣接する該凸部の間の凹部が周期的に配列している凹凸構造により位相差を生じさせる位相差部7Aと、位相差を生じさせない非位相差部9Aとを有し、前記位相差部7Aと前記非位相差部9Aが、同一面上で交互に配置されている。【選択図】図1

Description

本発明は、光学位相差部材、それを用いた偏光変換素子、光学位相差部材製造用のテンプレート(型)、及び光学位相差部材の製造方法に関する。
液晶プロジェクタは、プレゼンテーション等の用途を目的に広く普及している。液晶プロジェクタにおいて、ある一方の偏光(s偏光成分またはp偏光成分)の光のみを液晶パネルに入射させるために、偏光変換素子が用いられる。偏光変換素子により光源からの無偏光の光を一方の偏光の光に変換することができるため、光エネルギーを効率よく利用することができる。
図10に、従来の偏光変換素子の例を示す。偏光変換素子1は、斜面に光学薄膜2を成膜した複数のプリズムから構成されるプリズムアレイ3と、プリズムアレイ3の所定の位置に設けられた1/2波長板4を備える。偏光変換素子1は、例えば以下のように機能する。ハロゲンランプ等の光源から放出されたs偏光成分(図10において“〇”で示されている)とp偏光成分(図10において両矢印で示されている)とを含む光が、プリズムアレイ3に入射する。入射光のp偏光成分は、光学薄膜2を透過して1/2波長板4に入射し、該1/2波長板4を通過することにより偏光面が90度回転してs偏光成分として出射する。一方、プリズムアレイ3に入射した光のs偏光成分は、光学薄膜2において反射し、1/2波長板4を通過することなくs偏光成分として出射する。このように、偏光変換素子1から出射する光はs偏光に揃えられ、光エネルギーのロスも少ない。
このような偏光変換素子の1/2波長板として、延伸した樹脂フィルムや水晶板が用いられることが特許文献1、2に記載されている。
特開2003−302523号公報 特開2004−170853号公報
上述のような偏光変換素子を製造するためには、延伸した樹脂フィルムや水晶板から複数の短冊状の小片を1/2波長板として切り出し、各小片をプリズムアレイの所定の位置に貼り付ける必要があり、多くの工数を要する。また、水晶板からなる波長板は高価である。
そこで、本発明の目的は、上記の従来技術の欠点を解消し、偏光変換素子を容易に製造できる低コストな光学位相差部材(波長板)及びその製造方法、並びに該光学位相差部材を用いた偏光変換素子を提供することにある。
本発明の第1の態様に従えば、一方向に延在する複数の凸部及び隣接する該凸部の間の凹部が周期的に配列している凹凸構造により位相差を生じさせる位相差部と、
位相差を生じさせない非位相差部とを有し、
前記位相差部と前記非位相差部が、同一面上で交互に配置されている光学位相差部材が提供される。
前記光学位相差部材が、交互に配置された複屈折部及び非複屈折部を各々有する第1位相差部材及び第2位相差部材を重ねた構造を有し、
前記位相差部が、前記第1位相差部材の前記複屈折部及び前記第2位相差部材の前記複屈折部から構成され、
前記非位相差部が、前記第1位相差部材の前記非複屈折部及び前記第2位相差部材の前記非複屈折部から構成されてよい。
前記光学位相差部材が、交互に配置された第1複屈折部及び第2複屈折部を有する第1位相差部材と、第3複屈折部を有する第2位相差部材を重ねた構造を有し、
前記位相差部が、前記第1位相差部材の前記第1複屈折部及び前記第2位相差部材の前記第3複屈折部から構成され、
前記非位相差部が、前記第1位相差部材の前記第12複屈折部及び前記第2位相差部材の前記第3複屈折部から構成されてよい。
前記光学位相差部材において、前記位相差部により生じる位相差がλ/4またはλ/2であってよい。
前記光学位相差部材の前記位相差部が、
前記複数の凸部の延在方向に垂直な面における断面が略台形状である前記凹凸構造を有する透明基体と、
前記透明基体の前記凸部の上面及び側面に形成された、前記凸部よりも高い屈折率を有する高屈折率層と、
前記凸部の上面の前記高屈折率層上に形成された、前記高屈折率層よりも低い屈折率を有する層から構成される中屈折率層とを備え、
隣り合う前記凸部の対向する前記側面に形成された前記高屈折率層の間に空気層が存在してよい。
前記光学位相差部材において、前記中屈折率層が、前記凸部の上面及び側面の前記高屈折率層上に形成されていてよい。
前記光学位相差部材の前記位相差部が、
前記複数の凸部の延在方向に垂直な面における断面が略台形状である前記凹凸構造を有する透明基体と、
前記透明基体の前記凸部の上面及び側面に形成された、前記凸部よりも高い屈折率を有する高屈折率層と、
前記凸部の上面の前記高屈折率層上に形成された、2n+1個(nは正の整数)の層から構成される積層体とを備え、
隣り合う前記凸部の対向する前記側面に形成された前記高屈折率層の間に空気層が存在し、
前記積層体は、前記高屈折率層上に形成された第1層と、第2k−1層(kは1〜nの整数)上に形成された第2k層と、前記第2k層上に形成された第2k+1層を備え、
前記第1層の屈折率が前記高屈折率層の屈折率よりも低く、
前記第2k+1層の屈折率が前記第2k層の屈折率よりも低くてよい。
前記光学位相差部材は、偏光変換素子に用いられ得る。
本発明の第2の態様に従えば、第1の態様の光学位相差部材と、
偏光ビームスプリッタアレイとを備え、
前記偏光ビームスプリッタアレイが、
光源からの入射光のうち第1の偏光方向の光を透過し、前記第1の偏光方向に直交する第2の偏光方向の光を反射する複数の偏光膜と、
前記偏光膜で反射された前記第2の偏光方向の光を反射する複数の反射膜を備え、
前記偏光膜及び前記反射膜は、互いに平行であり、所定の間隔で交互に設けられ、
前記偏光ビームスプリッタアレイの前記第1の偏光方向の光及び前記第2の偏光方向の光の一方の出射面上に、前記光学位相差部材の位相差部が位置づけられ、
前記偏光ビームスプリッタアレイの前記第1の偏光方向の光及び前記第2の偏光方向の光の他方の出射面上に、前記光学位相差部材の非位相差部が位置づけられる偏光変換素子が提供される。
本発明の第3の態様に従えば、第1方向に延在する複数の凸部及び凹部からなる凹凸部と、
非凹凸部とを備えるテンプレートであって、
前記凹凸部及び前記非凹凸部は、第2方向に延在する矩形形状を有し、前記第2方向に直交する方向に隣接して交互に配置され、
前記第1方向と前記第2方向のなす角度が20度〜70度または110度〜160度である光学位相差部材製造用のテンプレートが提供される。
本発明の第4の態様に従えば、一方向に延在する凹部及び凸部から構成される凹凸パターン面を有する樹脂構造体を作製することと、
前記樹脂構造体の凹凸パターン面上に、開口部と遮蔽部が交互に配置されたマスクを配置することと、
前記開口部に位置する前記樹脂構造体の凸部をエッチングして、凹凸部と非凹凸部が交互に配置された表面を有するテンプレートを得ることと、
前記テンプレートの前記表面の形状を被転写材料に転写して、透明基体を得ることとを有する光学位相差部材の製造方法が提供される。
本発明の光学位相差部材は、位相差部と非位相差部とが同一面上で交互に配置されているため、当該光学位相差部材を偏光ビームスプリッタアレイ(プリズムアレイ)に貼り合せることにより偏光変換素子を製造することができる。すなわち、光学位相差部材から複数の小片を切り出して偏光ビームスプリッタアレイに貼り付ける必要がない。それゆえ、偏光変換素子の製造に要する工数を軽減することができる。また、本発明の光学位相差部材は水晶板を用いていないため低コストである。
図1は、第1実施形態の光学位相差部材の概略上面図である。 図2(a)〜(c)は、第1実施形態の光学位相差部材の複屈折部の断面構造の例を示す概略図である。 図3は、第2実施形態の光学位相差部材の断面構造を概念的に示す図である。 図4は、従来の光学位相差部材と第2実施形態の光学位相差部材の位相差の波長依存性を示す図である。 図5(a)は、第3実施形態の光学位相差部材の断面構造を概念的に示す図である。図5(b)は、図5(a)に示す光学位相差部材に用いる第1位相差部材の平面構造を示す概略図である。図5(c)は、図5(a)に示す光学位相差部材に用いる第2位相差部材の平面構造を示す概略図である。 図6は、偏光変換素子の断面構造と作用を示す概略図である。 図7は、光学位相差部材の製造方法を示すフローチャートである。 図8(a)〜(h)は、光学位相差部材の製造方法の各工程を概念的に示す図である。 図9(a)は、光学位相差部材の製造方法において形成される樹脂構造体の概略上面図であり、図9(b)はマスクを配置した樹脂構造体の概略上面図である。 図10は従来の偏光変換素子の断面構造を示す概略図である。
以下、光学位相差部材及びそれを用いた偏光変換素子、並びに光学位相差部材の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
[光学位相差部材10A(第1実施形態)]
図1に示す光学位相差部材10Aは、直交する偏光成分の間に位相差を生じさせる位相差部7Aと、位相差を生じさせない非位相差部9Aとを有する。位相差部7A及び非位相差部9Aはいずれも一方向(図1において矢印A1で示される)に延在する矩形の形状であり、同一面上でこれらの延在方向に直交する方向に隣接して交互に配列されている。光学位相差部材10Aを偏光変換素子の製造に用いるためには、位相差部7A及び非位相差部9Aは、延在方向の長さが0.1mm〜100mmであり、幅方向の長さが0.1mm〜50mmであることが好ましい。位相差部7Aにおいて生じる位相差は、任意の大きさでよいが、λ/4又はλ/2(λは入射光の波長を示す)であることが好ましく、λ/2であることがより好ましい。
<位相差部>
光学位相差部材10Aの位相差部7Aは、周期的な凹凸パターン80が形成された複屈折部11から構成される。複屈折部11の凹凸パターン80は、一方向に延在するとともに延在方向に垂直な面における断面が台形状(略台形状)である複数の凸部及び隣接する凸部の間の凹部が周期的に配列した、一次元周期パターンである。すなわち複屈折部11は一次元周期凹凸構造を有する。それにより、複屈折部11は複屈折性(屈折率の異方性)を有する。凸部及び凹部は、位相差部7A及び非位相差部9Aの延在方向に対して20度〜70度、または110度〜160度の角度をなす方向に延在してよく、45度または135度の角度をなす方向に延在してもよい。
凸部及び凹部の延在方向に直交する面で切断した複屈折部11の断面構造を、図2(a)〜(c)に示す複屈折部11a、11b、11cを例に挙げて説明する。
図2(a)に示す複屈折部11aは、断面が略台形状である凸部60及び隣接する凸部60の間の凹部70から構成される凹凸パターン80を有する透明基体40を備える。隣り合う凸部60の側面60sの間には、空気層90が存在する。
透明基体40は、平板状の基材42と、凹凸構造層50から構成されている。
基材42としては特に制限されず、可視光を透過する公知の基材を適宜利用することができる。例えば、ガラス等の透明無機材料からなる基材;ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等)、アクリル系樹脂(ポリメチルメタクリレート等)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、スチレン系樹脂(ABS樹脂等)、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリイミド系樹脂(ポリイミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂等)、シクロオレフィンポリマー等の樹脂からなる基材などを利用することができる。光学位相差部材10Aをプロジェクタにおいて用いる場合、光学位相差部材10Aは高耐光性及び高耐熱性を有することが求められるため、基材42は耐光性及び耐熱性の高い基材であることが望ましい。この点で、無機材料からなる基材が好ましい。基材42上には密着性を向上させるために、表面処理や易接着層を設けるなどをしてもよい。また、基材42の表面の突起を埋めるために、平滑化層を設けるなどをしてもよい。基材42の厚みは、1μm〜20mmの範囲内であることが好ましい。基材42の凹凸構造層50が形成された面の反対側の面に透過率を改善するために単層ないしは複数層からなる反射防止層が設けられていてもよい。また、反射防止のためのサブ波長微細構造が設けられていてもよい。また、偏光ビームスプリッタ等の別の光学部材を基材40の凹凸構造層50が形成された面の反対側の面に接合(貼合)する場合、別の光学部材と基材40の界面での反射が小さくなるように、適当な屈折率を持つ接着剤、粘着剤、屈折液等で基材40と別の光学部材を接合してもよい。
凹凸構造層50は複数の凸部60及び凹部70を有し、それにより凹凸構造層50の表面が凹凸パターン80を画成する。凹凸構造層50は、波長550nmにおける屈折率(以下、適宜「屈折率」という)が1.2〜1.8の範囲内である材料から構成されることが好ましい。凹凸構造層50を構成する材料としては、例えば、シリカ、SiN、SiON等のSi系の材料、TiO等のTi系の材料、ITO(インジウム・スズ・オキサイド)系の材料、ZnO、ZnS、ZrO、Al、BaTiO、CuO、MgS、AgBr、CuBr、BaO、Nb、SrTiO等の無機材料を用いることができる。これらの無機材料は、無機材料の前駆体(ゾルゲル材料)をゾルゲル法等によって硬化させたものであってよい。上記無機材料のほか、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ガラス強化ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の熱硬化性樹脂;紫外線硬化型(メタ)アクリレート系樹脂、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂等の紫外線硬化型樹脂;これらを2種以上ブレンドした材料等の樹脂材料も用いることができる。さらに、上記樹脂材料に上記無機材料をコンポジット化した材料を用いてもよい。また、上記無機材料、上記樹脂材料ともに、ハードコート性等を得るために、公知の微粒子やフィラーを含んでいてもよい。さらに、上記の材料に紫外線吸収材料を含有させたものが用いられていてもよい。紫外線吸収材料は、紫外線を吸収し光エネルギーを熱のような無害な形に変換することにより、凹凸構造層50の劣化を抑制する作用がある。紫外線吸収剤としては、従来から公知のものが使用でき、例えば、ベンゾトリアゾール系吸収剤、トリアジン系吸収剤、サリチル酸誘導体系吸収剤、ベンゾフェノン系吸収剤等を使用できる。光学位相差部材10Aをプロジェクタにおいて用いる場合、凹凸構造層50は高い耐光性及び耐熱性を有することが望ましい。この点で、凹凸構造層50は無機材料から構成されることが好ましい。
凹凸構造層50の各凸部60は、図2(a)のY方向(奥行き方向)に延在しており、複数の凸部60は、設計波長(光学位相差部材10Aにより位相差を生じさせる光の波長)より短い周期で配列されている。各凸部60の延在方向と直交するZX平面における断面は略台形状であってよい。本願において「略台形状」とは、基材42の表面に略平行な一組の対辺を有し、該対辺のうち基材42の表面に近い辺(下底)が他方の辺(上底)よりも長く、下底と2つの斜辺のなす角がいずれも鋭角である略四角形を意味する。略四角形の各辺は湾曲していてよい。すなわち、各凸部60は、基材42の表面から上方(基材42の表面から離れる方向)に向かって幅(凸部60の延在方向に垂直な方向の長さ、すなわち図2(a)のx方向の長さ)が小さくなっていればよい。また、各頂点が丸みを帯びていてもよい。また、上底の長さが0であってもよい。つまり本願において「略台形状」は「略三角形状」も含む概念である。なお、上底の長さは0より大きいことが好ましい。上底が0より大きい略台形状の断面を有する凸部は、略三角形状の断面を有する凸部と比べて次のような利点がある。すなわち、凸部をインプリント法により形成するために用いるテンプレートの形成が容易であること、及び凸部の面押耐性などの機械強度が高いことである。
凸部60の高さ(凹凸高さ)は100〜2000nmの範囲内であることが望ましい。凸部60の高さが100nm未満であると、光学位相差部材10Aに可視光が入射した場合に所望の位相差を生じることが困難となる。凸部60の高さが2000nmを超える場合、凸部60のアスペクト比(凸部幅に対する凸部高さの比)が大きいため、凹凸パターン80の形成が困難となる。凸部60の上面60tの幅(凸部60の延在方向と直交する面における略台形状の断面の上底の長さ)は50nm以下であることが好ましい。凸部60の上面60tの幅が50nm以下であることにより、複屈折部11aの透過率をより高くすることが容易になる。また、凹凸パターン80の凹凸ピッチは、50〜1000nmの範囲内であることが好ましい。ピッチが50nm未満である凹凸パターンは、ナノインプリント法による形成が困難である。ピッチが1000nmを超える場合、光学位相差部材として十分な無色透明性の確保が難しくなる。
隣り合う凸部60の対向する側面60sの間の空間(隙間)に空気層90が存在する。空気層90と凸部60が周期的に配列されていることにより複屈折性が生じ、それにより位相差を生じさせることができる。空気層90の幅Waは、35〜100nmの範囲内であることが好ましい。なお、複屈折部11aにおける「空気層90の幅Wa」とは、凸部60の底面から上面までの高さをHaとすると、凸部60の底面からHa/2の高さの位置における空気層90の厚み(隣り合う凸部60の対向する側面60sの間の距離)を意味する。
次に図2(b)に示した複屈折部11bについて説明する。複屈折部11bは、図2(a)の複屈折部11aと同様の透明基体40と、透明基体40の凸部60の上面60t及び側面60sに形成された高屈折率層30と、凸部60の上面60t上の高屈折率層30上に形成された中屈折率層20とを備える。隣り合う凸部60の対向する側面60s上に形成された高屈折率層30の間には、空気層90が存在する。
高屈折率層30は、透明基体40の凹凸構造層50よりも高い屈折率を有する層である。高屈折率層30は、屈折率が2.3以上である材料から構成されることが好ましい。高屈折率層30を構成する材料としては、例えば、Ti、In、Zr、Ta、Nb、Zn等の金属、それら金属の酸化物、窒化物、硫化物、酸窒化物、ハロゲン化物等の無機材料を用いることができる。
高屈折率層30は、凸部60を被覆している。すなわち、高屈折率層30は凸部60の上面60t及び側面60sを被覆している。凸部60が高屈折率層30で被覆されることにより、凸部60と空気層90の周期配列により生じる複屈折性が大きくなる。そのため、凸部60の高さを小さく、すなわち、凸部60のアスペクト比を小さくすることができるため、凹凸パターン80の形成が容易になる。凸部60の上面60t上に形成された高屈折率層30の厚みThtは50〜250nmの範囲内であることが好ましい。
また、光学位相差部材10Aを特定の波長λの光に位相差を与える目的で用いる場合、凸部60の側面60s上に形成された高屈折率層30の厚みTbhsは、0.03λ〜0.11λであることが好ましい。高屈折率層30の厚みTbhsが上記範囲内であることにより、複屈折部11bの透過率をより高くすることが容易になる。なお、複屈折部11bにおける「凸部60の側面60s上の高屈折率層30の厚みTbhs」とは、凸部60の底面から中屈折率層20の最上部までの高さをHbとすると、凸部60の底面からHb/2の高さの位置における高屈折率層30の厚みを意味する。
中屈折率層20は、高屈折率層30よりも低い屈折率を有する層である。中屈折率層20は、屈折率が1.5〜1.7の範囲内である材料から構成されることが好ましい。中屈折率層20を構成する材料の屈折率は1.55〜1.65であることがより好ましい。中屈折率層20を構成する材料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化窒化ケイ素、フッ化ランタン、酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム等が挙げられる。
中屈折率層20は、凸部60の上面60t上の高屈折率層30上に形成されている。それにより光の反射が抑制されるため、複屈折部11bは高い透過率を有することができる。光学位相差部材10Aを特定の波長λの光に位相差を与える目的で用いる場合、凸部60の上面60t上の高屈折率層30上に形成されている中屈折率層20の厚みTmtは、0.9λ/4n〜1.3λ/4n(nは中屈折率層20の屈折率を表す)の範囲内であることが好ましい。中屈折率層20の厚みTmtが上記範囲内であることにより、複屈折部11bの透過率をより高くすることが容易になる。
なお、中屈折率層20が凸部60の側面60s上の高屈折率層30上にも形成されていてもよい。凸部60の側面60s上の高屈折率層30上に形成される中屈折率層20の厚み(凸部60の側面60sにおける中屈折率層20の厚み)は、光学位相差部材10Aを特定の波長λの光に位相差を与える目的で用いる場合、0.03λ以下であることが好ましい。凸部60の側面60sにおける中屈折率層20の厚みが0.03λを超えると、複屈折部11bにより生じる位相差が小さくなる傾向がある。なお、複屈折部11bにおける「凸部60の側面60sにおける中屈折率層20の厚み」とは、凸部60の底面から中屈折率層20の最上部までの高さの1/2の高さの位置における中屈折率層20の厚みを意味する。
隣り合う凸部60の対向する側面60s上に形成された高屈折率層30の間の空間(隙間)に空気層90が存在する。空気層90と凸部60を被覆する高屈折率層30が周期的に配列されていることにより、複屈折性が生じ、それにより位相差を生じさせることができる。空気層90の幅Wbは、前記入射光の波長の0.08〜0.18倍の範囲内であることが好ましい。空気層90の幅Wbが上記範囲内であることにより、複屈折部11bの透過率をより高くすることが容易になり、また、十分な大きさの位相差を生じさせることが可能となる。なお、複屈折部11bにおける「空気層90の幅Wb」とは、凸部60の底面から中屈折率層20の最上部までの高さをHbとすると、凸部60の底面からHb/2の高さの位置における空気層90の厚み(隣り合う凸部60の対向する側面60s上に形成された高屈折率層30の表面の間の距離)を意味する。
次に図2(c)に示した複屈折部11cについて説明する。複屈折部11cは、図2(b)の複屈折部11aと同様の透明基体40及び高屈折率層30と、凸部60の上面60t上の高屈折率層30上に形成された積層体25とを備える。隣り合う凸部60の対向する側面60s上に形成された高屈折率層30の間には、空気層90が存在する。
高屈折率層30は、図2(b)の複屈折部11bの高屈折率層30と同様に構成される。凸部60の側面60s上に形成された高屈折率層30の厚みTchsは、光学位相差部材10Aを特定の波長λの光に位相差を与える目的で用いる場合、0.03λ〜0.11λであることが好ましい。高屈折率層30の厚みTchsが上記範囲内であることにより、より高い透過率を有しつつ、所望の位相差を確保することが出来る。なお、複屈折部11cにおける「凸部60の側面60s上の高屈折率層30の厚みTchs」とは、凸部60の底面から積層体25の最上部までの高さをHcとすると、凸部60の底面からHc/2の高さの位置における高屈折率層30の厚みを意味する。
積層体25は、凸部60の上面60t上の高屈折率層30上に形成されている。積層体25は、2n+1個(nは正の整数)の層、すなわち、3以上の奇数個の層から構成されてよい。図2(c)では、積層体25は第1層22、第2層24及び第3層26の3個の層から構成される。第1層22は高屈折率層30の上に直接形成され、第2層24は第1層22上に直接形成され、第3層26は第2層24上に直接形成される。
第1層22の屈折率は高屈折率層30よりも低く、第3層26の屈折率は第2層24の屈折率よりも低い。それにより、複屈折部11cは広い波長範囲において高い透過率を有することができる。
第2層24の屈折率は第1層22の屈折率よりも高くてよく、あるいは、第2層24の屈折率が第1層22の屈折率よりも低くてもよい。
第2層24の屈折率が第1層22の屈折率よりも高い場合、積層体25は相対的に高い屈折率を有する層と相対的に低い屈折率を有する層とが交互に積層された構造を有する。この場合、第1層22及び第3層26の屈折率は1.3〜1.55の範囲内であってよい。第1層22又は第3層26の屈折率が1.55を超える場合、複屈折部11cの平均透過率(波長430nm〜680nmにおける光の透過率の平均)が低い傾向がある。屈折率が1.3未満の材料は、安定性が低い傾向がある。また、第2層24の屈折率は2.1以上であってよく、好ましくは2.1〜2.6の範囲内であってよい。第2層24の屈折率が2.1未満の場合、光学位相差部材100の平均透過率が低い傾向がある。屈折率が2.6を超える材料は、その材料自体の可視光領域における透明性が低い傾向がある。また、第1層22及び第3層26は同じ材料から形成されていてよく、第2層24は高屈折率層30と同じ材料から形成されていてよい。それにより、光学位相差部材10Aを少ない種類の材料で製造できるため、製造コストを低減できる。
第2層24の屈折率が第1層22の屈折率よりも低い場合、積層体25において、高屈折率層30から遠い層ほど低い屈折率を有する。この場合、積層体25の最表層(最上層)である第3層26の屈折率は1.3〜1.4の範囲内であってよい。
第1層22及び第3層26を構成する材料としては、例えばSiO、MgFのようなSi、Al、Li、Mg、Ca、Kの酸化物、フッ化物が挙げられる。第2層74を構成する材料としては、例えばTi、In、Zr、Ta、Nb、Zn等の金属、それら金属の酸化物、窒化物、硫化物、酸窒化物、ハロゲン化物等の無機材料が挙げられる。
凸部60の上面60t上の高屈折率層30上に形成されている第1層22の厚みTst1は20〜40nmの範囲内であってよく、その上の第2層24の厚みTst2は20〜55nmの範囲内であってよく、さらにその上の第3層26の厚みTst3は70〜140nmの範囲内であってよく、第1層22、第2層24、第3層26の厚みの合計である積層体25の厚みTstは110〜235nmの範囲内であってよい。この場合、複屈折部11cの平均透過率が高い傾向がある。また、第1層22の厚みTst1が20〜35nmの範囲内であってよく、第2層24の厚みTst2が20〜45nmの範囲内であってよく、第3層26の厚みTst3が70〜125nmの範囲内であってよく、積層体25の厚みTstが110〜205nmの範囲内であってよい。この場合、複屈折部11cの平均透過率がより高い傾向がある。
なお、積層体25が凸部60の側面60s上の高屈折率層30上にも形成されていてもよい。凸部60の側面60s上の高屈折率層30上に形成された積層体25の厚み(凸部60の側面60sにおける積層体25の厚み)は、5〜40nmの範囲内であることが好ましい。積層体25の厚みが上記範囲内であることにより、積層体25が側面60sに成膜されることによる位相差の低減を押さえながら複屈折部11cの透過率を高めることが出来る。また、第2層24の屈折率を大きくすると側面に形成される第2層24によっても構造複屈折による位相差が発生するため、積層体25が側面に形成されることによる位相差の低下を抑えることが出来る。なお、複屈折部11cにおける「凸部60の側面60sにおける積層体25の厚み」とは、凸部60の底面から積層体25の最上部までの高さをHcとすると、凸部60の底面からHc/2の高さの位置における積層体25の厚みを意味する。
積層体が5以上の奇数個の層からなる場合、すなわち、積層体の層数が、2n+1(nは2以上の整数)である場合、積層体は、高屈折率層の上に直接形成された第1層と、第2k−1層(kは1〜nの整数)上に直接形成された第2k層と、第2k層上に直接形成された第2k+1層を備え、積層体の最表層は第2n+1層となる。第1層の屈折率は高屈折率層よりも低く、第2k+1層の屈折率は第2k層の屈折率よりも低い。それにより、複屈折部10cは広い波長範囲において高い透過率を有することができる。第2k層の屈折率は第2k−1層の屈折率よりも高くてよく、あるいは、第2k層の屈折率が第2k−1層の屈折率よりも低くてもよい。第2k層の屈折率が第2k−1層の屈折率よりも高い場合、積層体は、その層が接する層に対して相対的に高い屈折率を有する層と相対的に低い屈折率を有する層とが交互に積層された構造を有する。この場合において、第2k−1層及び第2k+1層は同じ材料から形成されていてよく、第2k層は高屈折率層と同じ材料から形成されていてよい。それにより、光学位相差部材10Aを少ない種類の材料で製造できるため、製造コストを低減できる。
隣り合う凸部60の対向する側面60s上に形成された高屈折率層30の間の空間(隙間)に空気層90が存在する。空気層90と凸部60を被覆する高屈折率層30が周期的に配列されていることにより、複屈折性が生じ、それにより位相差を生じさせることができる。空気層90の幅Wcは、35〜100nmの範囲内であることが好ましい。空気層90の幅Wcが上記範囲内であることにより、低い凹凸高さでも大きな位相差を確保することが出来る。なお、複屈折部11cにおける「空気層90の幅Wc」とは、凸部60の底面から積層体25の最上部までの高さをHcとすると、凸部60の底面からHc/2の高さの位置における空気層90の厚み(隣り合う凸部60の対向する側面60s上に形成された高屈折率層30の表面の間の距離)を意味する。
なお、図2(a)〜(c)においては、隣り合う凸部60が凸部60の底面(又は凸部60の裾)において互いに接しているが、隣り合う凸部の底面(又は隣り合う凸部の裾)同士が所定の距離を隔てていてもよい。この場合、図2(b)、(c)に示す複屈折部11b、11cにおいては、凹部とその上に形成された高屈折率層の界面で複屈折部11b、11cを通過する光の一部が反射されるため、透過率が低くなる傾向がある。ゆえに、複屈折部を高透過率にするという観点から、隣り合う凸部の底面同士の間隔、すなわち、凹凸構造層50の表面において隣り合う凸部に挟まれた領域(凹部)の幅は、凹凸パターンのピッチの0〜0.2倍の範囲内であることが好ましい。言い換えると、凸部の底面の幅は、凹凸パターンのピッチの0.8〜1倍の範囲内であることが好ましい。凹凸パターンのピッチに対する凹部の幅の比が0.2以下、すなわち、凹凸パターンのピッチに対する凸部の底面の幅の比が0.8以上であることにより、複屈折部の透過率をより高くすることが容易になる。
なお、図2(a)〜(c)に示される複屈折部11a、11b、11cは、基材42上に凹部70及び凸部60を有する凹凸構造層50が形成された透明基体40を備えているが、それに代えて、基材と基材上に形成された独立した複数の凸部とから構成される透明基体を備えていてもよい。隣り合う凸部底面(又は凸部の裾)同士は接していてもよいし、あるいは、隣り合う凸部の底面同士が所定の距離を隔てて設けられ、基材の表面が凸部間で露出していてもよい。独立した凸部は、上述した凹凸構造層50を構成する材料と同様の材料で構成されてよい。
また、透明基体は、基材の表面自体が凹部及び凸部からなる凹凸パターンを構成するように形状化された基材によって構成されてもよい。
<非位相差部>
光学位相差部材10Aの非位相差部9Aは、複屈折性のない非複屈折部13から構成される。非複屈折部13は、複屈折性を有さなければ任意の表面形状(構造)を有してよく、例えば、凹凸のない平坦な構造を有していてもよいし、異方性の無い凹凸、可視光よりピッチの長い凹凸等を有していてもよい。
[光学位相差部材10B(第2実施形態)]
図3に示す光学位相差部材10Bは、第1実施形態の光学位相差部材10Aと同様に、直交する偏光成分の間に位相差を生じさせる位相差部7Bと、位相差を生じさせない非位相差部9Bとを有する。位相差部7B及び非位相差部9Bの配列、形状及び位相差特性は、第1実施形態の光学位相差部材10Aの位相差部7A及び非位相差部9Aと同様である。
光学位相差部材10Bは、第1位相差部材110a及び第2位相差部材110bを備える。第1位相差部材110aは、複屈折部111a及び非複屈折部113aを有し、第2位相差部材110bは、複屈折部111b及び非複屈折部113bを有する。複屈折部111a、111b及び非複屈折部113a、113bはいずれも一方向に延在する矩形の形状を有し、同一面上でこれらの延在方向に直交する方向に隣接して交互に配列されている。複屈折部111a、111bは一次元周期凹凸構造(一次元周期凹凸パターン)を有し、それにより複屈折性を有する。一方非複屈折部113a、113bは複屈折性を有さない。第1位相差部材110a及び第2位相差部材110bとして、第1実施形態の光学位相差部材10Aを用いることができる。
位相差部7Bは、第1位相差部材110aの複屈折部111a及び第2位相差部材110bの複屈折部111bから構成される。非位相差部9Bは第1位相差部材110aの非複屈折部113a及び第2位相差部材110bの非複屈折部113bから構成される。すなわち、第1位相差部材110a及び第2位相差部材110bは、複屈折部111a、111bが位相差部7Bにおいて重なり合い、非複屈折部113a、113bが非位相差部9Bにおいて重なり合うように重ね合わせられている。例えば、第1位相差部材110a及び第2位相差部材110bとして2個の第1実施形態の光学位相差部材10Aを用い、複屈折部11同士、非複屈折部13同士が重なり合うように貼り合せることで、第2実施形態の光学位相差部材10Bが得られる。
位相差部7Bにより生じる位相差の大きさは、第1位相差部材110aの複屈折部111aにより生じる位相差と第2位相差部材110bの複屈折部111bにより生じる位相差を足し合わせた大きさとなる。そのため、位相差部7Bにより大きな位相差を生じさせることができる。位相差部7Bにより生じる位相差は、任意の大きさでよいが、λ/4又はλ/2(λは入射光の波長を示す)であることが好ましく、λ/2であることがより好ましい。例えば、λ/4の位相差を生じる複屈折部111a、111bを有する位相差部材110a、110bを用いることで、位相差部7Bによりλ/2の位相差を生じさせることができる。非位相差部9Bは、非複屈折部113a、113bから構成されるため、位相差は生じない。
通常、構造複屈折を利用してλ/2等の大きな位相差を生じさせるためには、凹凸構造の高さ(深さ)を十分に大きくする必要があるが、そのようなアスペクト比の大きな凹凸構造は離形性や機械強度が低いため形成が難しい。しかし、本実施形態の光学位相差部材10Bは、2つの位相差部材110a、110bを重ね合わせることで、大きな位相差を発生させることができるとともに、容易に製造することができる。
また、液晶プロジェクタの偏光変換素子は、可視領域全域において光の偏光を揃えることができることが求められる。そのため、液晶プロジェクタの偏光変換素子に用いられる1/2波長板は、理想的には、可視領域の広帯域において1/2波長の位相差を生じさせることができる特性(本願において、このような位相差特性を「理想分散」と呼ぶ)を有することが求められる。水晶の複屈折は光の波長に依存し、短波長ほど大きくなる。そのため、従来の水晶板を用いた1/2波長板は、図4において一点鎖線で示すように、短波長において位相差が大きい位相差特性(このような位相差特性を「通常分散」と呼ぶ)を有する。一方、本実施形態の光学位相差部材10Bの位相差部7Bは、図4において破線で示すように、理想分散に近い特性、すなわち、入射光の波長λが短いほど生じる位相差が小さい(入射光の波長λが長いほど生じる位相差が大きい)特性(このような位相差特性を「逆分散」と呼ぶ)を有する。そのため本実施形態の光学位相差部材10Bは、偏光変換素子に好適に用いることができる。なお、図4において、理想分散の位相差特性を実線で表している。
なお、本実施形態の変形として、光学位相差部材が、3以上の位相差部材が重ね合わせられたものであってもよい。例えば、複屈折部11において1/6波長の位相差を生じる第1実施形態の光学位相差部材10Aを3個を用意し、これらを第1位相差部材、第2位相差部材、第3位相差部材として重ね合わせることで、位相差部で1/2波長の位相差が生じる光学位相差部材を得ることができる。
[光学位相差部材10C(第3実施形態)]
図5(a)に示す光学位相差部材10Cは、第1実施形態の光学位相差部材10Aと同様に、直交する偏光成分の間に位相差を生じさせる位相差部7Cと、位相差を生じさせない非位相差部9Cとを有する。位相差部7C及び非位相差部9Cの配列、形状及び位相差特性は、第1実施形態の光学位相差部材10Aの位相差部7A及び非位相差部9Aと同様である。
光学位相差部材10Cは、第1位相差部材130及び第2位相差部材150を備える。
第1位相差部材130は、図5(b)に示すように、第1複屈折部131及び第2複屈折部133を有する。第1複屈折部131及び第2複屈折部133はいずれも一方向(図5(b)において矢印A2で示される)に延在する矩形形状であり、同一面上でこれらの延在方向に直交する方向に隣接して交互に配列されている。第1複屈折部131と第2複屈折部133は、いずれも、第1実施形態の光学位相差部材10Aの複屈折部11と同様の一次元周期凹凸構造(一次元周期凹凸パターン)を有する。それにより、第1複屈折部131及び第2複屈折部133は複屈折性を有する。第1複屈折部131の凹凸構造の凹部及び凸部の延在方向は、後述する第2位相差部材150の第3複屈折部151の凹凸構造の凹部及び凸部の延在方向と略平行である。第2複屈折部133の凹凸構造の凹部及び凸部の延在方向は、第2位相差部材150の第3複屈折部151の凹凸構造の凹部及び凸部の延在方向と略直交する。そのため、第1複屈折部131と第2複屈折部133の凹凸構造の凹部及び凸部の延在方向は、互いに略直交する。すなわち、第1複屈折部131と第2複屈折部133の遅相軸は略直交する。例えば、第1複屈折部131において第1複屈折部131の延在方向に対して45度の角度をなす方向に凹部及び凸部が延在し、第2複屈折部133において第2複屈折部133の延在方向に対して135度の角度をなす方向に凹部及び凸部が延在してよい。すなわち、第1複屈折部131と第2複屈折部133の遅相軸角度が、それぞれ、第1複屈折部131及び第2複屈折部133の延在方向に対して45度、135度であってよい。なお、本願において「略平行」とは、延在方向又は遅相軸が一致している場合だけでなく、延在方向又は遅相軸のなす角度が−10°〜10°の範囲内である場合も含む。「略直交」及び「略垂直」とは、延在方向又は遅相軸のなす角度が90°である場合だけでなく、延在方向又は遅相軸のなす角度が80°〜100°の範囲内である場合も含む。
第2位相差部材150は、図5(c)に示すように、第3複屈折部151を有する。第3複屈折部151は、第1位相差部材130の第1複屈折部131及び第2複屈折部133に重ねられる領域全体に形成されている。すなわち、第2位相差部材は、第1位相差部材130の第1複屈折部131及び第2複屈折部133に重ねられる領域において、均一の複屈折性を有する。第3複屈折部151は、第1実施形態の光学位相差部材10Aの複屈折部11と同様の凹凸構造(凹凸パターン)を有する。第3複屈折部151の凹凸構造の凹部及び凸部の延在方向は、第1位相差部材130の第1複屈折部131の凹凸構造の凹部及び凸部の延在方向と略平行であり、第1位相差部材130の第2複屈折部133の凹凸構造の凹部及び凸部の延在方向と略直交する。すなわち、第3複屈折部151の遅相軸は、第1複屈折部131の遅相軸に略平行であり、第2複屈折部133の遅相軸に略垂直である。また、第3複屈折部151の位相差の絶対値は、第2複屈折部133の位相差の絶対値と実質的に等しい。例えば、第3複屈折部151と第2複屈折部133の構造を、凹部及び凸部の延在方向を除いて同じにすることにより、第3複屈折部151と第2複屈折部133の位相差の絶対値を実質的に同じにすることができる。なお、「位相差の絶対値が実質的に等しい」とは、位相差の絶対値が一致している場合だけでなく、位相差の絶対値の差が10nm未満である場合も含む。
位相差部7Cは、第1位相差部材130の第1複屈折部131及び第2位相差部材150の第3複屈折部151から構成される。非位相差部9Cは第1位相差部材130の第2複屈折部133及び第2位相差部材150の第3複屈折部151から構成される。すなわち、第1位相差部材130及び第2位相差部材150は、第1複屈折部131と第3複屈折部151が位相差部7Cにおいて重なり合い、第2複屈折部133と第3複屈折部151が非位相差部9Cにおいて重なり合うように重ね合わせられている。
位相差部7Cにより生じる位相差の大きさは、第1複屈折部131と第3複屈折部151により生じる位相差を足し合わせた大きさとなる。第1複屈折部131と第3複屈折部151の遅相軸が略平行であることにより、位相差部7Cにおいてより大きな位相差を生じさせることができる。位相差部7Cにより生じる位相差は、任意の大きさでよいが、λ/4又はλ/2であることが好ましく、λ/2であることがより好ましい。例えば、第1複屈折部131と第3複屈折部151がλ/4の位相差を生じさせることで、位相差部7Cによりλ/2の位相差を生じさせることができる。
一方、非位相差部9Cにおいては、第2複屈折部133と第3複屈折部151は遅相軸が略直交し、位相差の絶対値が実施的に等しいため、第2複屈折部133の位相差と第3複屈折部151の位相差が相殺する。すなわち、第2複屈折部133の位相差と第3複屈折部151の位相差の合計は0(位相差が10nm未満であり実質的に0である場合も含む)になる。そのため、非位相差部9Cは位相差を生じさせない。
以上の第1〜3実施形態の光学位相差部材は、位相差部と非位相差部が交互に形成されているため、光学位相差部材をそのまま偏光ビームスプリッタアレイに貼り合せることで偏光変換素子を製造することができる。従来の延伸樹脂フィルムや水晶板からなる光学位相差部材を用いて偏光変換素子を製造する場合は、複数の短冊状の小片を切り出して各小片を偏光ビームスプリッタアレイに一つずつ貼り合せる必要があるのに対し、第1〜3実施形態の光学位相差部材は、小片を切り出す必要がないため、偏光変換素子の製造を容易にする。
また、第1〜3実施形態の光学位相差部材は、従来の水晶板からなる位相差部材と比べて安価である。さらに、第1〜3実施形態の光学位相差部材を無機材料等の耐熱性の高い材料から形成することにより、従来の延伸樹脂フィルムと比べて耐熱性の高い光学位相差部材が得られるという利点もある。
[偏光変換素子]
上述した光学位相差部材を用いた偏光変換素子について、図6を参照しながら説明する。偏光変換素子100は、光学位相差部材10と、偏光ビームスプリッタアレイ101を備える。
偏光ビームスプリッタアレイ101は、入射光軸AXに対して45°の角度をなす互いに平行な偏光膜102a及び反射膜102bと、偏光膜102aまたは反射膜102bを挟み込む透明部材104a、104bを備える。透明部材104a、104bとしては、例えばガラスが用いられる。偏光膜102a及びそれを挟み込む透明部材104aから構成されるブロック106aと、反射膜102b及びそれを挟み込む透明部材104bから構成されるブロック106bが交互に配設される。それにより、偏光膜102a及び反射膜102bが所定の間隔で交互に設けられる。偏光膜102aは、所定の偏光方向の偏光光を透過させ、これに直交する偏光方向の偏光光を反射させるものである。反射膜102bは入射光を反射すればよいため、反射膜の代わりに偏光膜を設置して、その反射機能のみを用いてもよい。
光学位相差部材10としては、上述した光学位相差部材10A、10B、10Cを用いることができる。光学位相差部材10の位相差部7は、入射光にλ/2(λは入射光の波長を示す)の位相差を生じさせる。光学位相差部材10は、偏光ビームスプリッタアレイ101の光出射面に配置され、透明部材104a、104bに貼り付けられている。光学位相差部材10の位相差部7は偏光膜102aを備えるブロック106a上に位置し、光学位相差部材10の非位相差部9は反射膜102bを備えるブロック106b上に位置する。
次に、偏光変換素子100の作用を説明する。光源(不図示)からの波長λの光Lが、レンズアレイ(不図示)等を経てブロック106aに入射する。光Lは、偏光膜102aに対してs偏光成分(図6において“〇”で表される)とp偏光成分(図6において両矢印で表される)とを含む。光Lは偏光膜102aに入射し、s偏光の成分が反射され、p偏光の成分は透過する。反射されたs偏光成分は隣の反射膜102bにて再度反射され、偏光ビームスプリッタアレイ101から出て、光学位相差部材10の非位相差部9に入射する。非位相差部9は位相差を生じさせないため、s偏光成分はそのまま光学位相差部材10から出射する。一方、偏光膜102aを透過したp偏光成分は、偏光ビームスプリッタアレイ101から出て、光学位相差部材10の位相差部7に入射する。位相差部7によりλ/2の位相差が生じるため、p偏光光はs偏光光に変換されて光学位相差部材10から出射する。したがって、偏光変換素子100を出射する光は、すべてs偏光となる。
なお、光学位相差部材10の位相差部7が反射膜102bを備えるブロック106b上に位置し、光学位相差部材10の非位相差部9が偏光膜102aを備えるブロック106a上に位置してもよい。この場合、偏光変換素子100を出射する光は、すべてp偏光となる。また、偏光膜102aとしてp偏光成分を反射し、s偏光成分を透過する偏光膜を用いてもよい。この場合、偏光変換素子100を出射する光は、すべてp偏光となる。つまり、光学位相差部材10の位相差部7が偏光ビームスプリッタアレイ101のp偏光成分及びs偏光成分の一方の出射面上に設けられ、非位相差部9が偏光ビームスプリッタアレイ101のp偏光成分及びs偏光成分の他方の出射面上に設けられればよい。
このように、偏光変換素子100は入射光を所定の偏光方向に揃える作用を有する。このような偏光変換素子100はプロジェクタ(投影型表示装置)、反射型あるいは半透過型液晶表示装置等の各種デバイス等に用いられる。
[光学位相差部材の製造方法]
光学位相差部材の製造方法について、第1実施形態に従う光学位相差部材10Aの製造方法を例に挙げて説明する。光学位相差部材10Aの製造方法は、図7に示すように、主に、一方向に延在する凹部及び凸部から構成される凹凸パターン面を有する樹脂構造体を作製する工程S1と、前記樹脂構造体の凹凸パターン面上に、開口部と遮蔽部が同一面上で隣接して交互に配置されたマスクを配置する工程S2と、前記開口部に位置する前記樹脂構造体の凸部をエッチングして、凹凸部と非凹凸部が同一面上で隣接して交互に配置された表面を備えるテンプレート(転写用の型)を得る工程S3と、前記テンプレートの前記表面の形状を被転写材料に転写して、透明基体を得る工程S4と、高屈折率層を形成する工程S5と、中屈折率層または積層体を形成する工程S6とを有する。なお、S5、S6は任意の工程である。各工程について図8(a)〜(h)を参照しながら説明する。
<樹脂構造体の作製>
一方向に延在する凹部及び凸部から構成される凹凸パターン面を有する樹脂構造体は、任意の方法で作製することができるが、例えば以下のようにして製造することができる。
図8(a)に示すように、凹凸パターン(第1凹凸パターン)84を有する母型240を用意する。第1凹凸パターン84は一方向に延在する凸部及び凹部が周期的に配列した一次元周期パターンである。以下に母型240の製造方法の例を説明する。
最初に、シリコン、金属、石英、樹脂等の基板上にレジストを塗布する。フォトリソグラフィ法、電子線リソグラフィ法等によってレジストパターンを形成する。レジストパターンをマスクとしてドライエッチング法により基板をエッチングし、基板の表面に第1凹凸パターンを形成する。その後残存するレジストパターンを除去する。それにより、凹凸パターンを有する母型が得られる。
上記方法に代えて、以下の方法によっても凹凸パターンを有する母型を製造することができる。最初に、熱酸化膜付きシリコン基板上にレジストを塗布する。リソグラフィ法によりレジストパターンを形成する。レジストパターンをマスクとしてドライエッチングまたはウェットエッチングにより熱酸化膜をエッチングし、熱酸化膜パターンを形成する。その後残存するレジストパターンを除去する。次いで、熱酸化膜パターンをマスクとしてドライエッチング法によりシリコン基板をエッチングする。それにより、凹凸パターンを有する母型が得られる。
なお、母型において、凹凸パターンは基板の表面全体に形成されてよい。凹凸パターンが形成されていない領域を有する母型を形成する場合、パターン密度の違いにより、当該領域の近傍におけるドライエッチングのレートがその他の領域と異なり、その結果、母型の凹凸パターンの凹凸深さや凸部の側面の傾き等が不均一になることがあるためである。
次に、母型240の第1凹凸パターン84を樹脂材料に転写することで、第1凹凸パターンに対応する第2凹凸パターン82を有する樹脂構造体140を作製することができる。
具体的には、例えば、図8(b)に示すように、硬化性樹脂を支持基板142に塗布して樹脂層144を形成した後、母型240の凹凸パターン84を樹脂層144に押し付けつつ樹脂層144を硬化させる。支持基板142として、例えば、ガラス、石英、シリコン等の無機材料からなる基材;シリコーン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリイミド(PI)、ポリアリレート等の有機材料からなる基材、ニッケル、銅、アルミ等の金属材料が挙げられる。また、支持基板142の厚みは、1〜500μmの範囲にし得る。
硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系、アクリル系、メタクリル系、ビニルエーテル系、オキセタン系、ウレタン系、メラミン系、ウレア系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、フェノール系、架橋型液晶系、フッ素系、シリコーン系、ポリアミド系等のモノマー、オリゴマー、ポリマー等の各種樹脂が挙げられる。硬化性樹脂の厚みは0.5〜500μmの範囲内であることが好ましい。厚みが前記下限未満では、樹脂層144の表面に形成される凹凸の高さが不十分となり易く、前記上限を超えると、硬化時に生じる樹脂層144の体積変化の影響が大きくなり凹凸形状が良好に形成できなくなる可能性がある。
硬化性樹脂を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、滴下法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、ダイコート法、カーテンコート法、インクジェット法、スパッタ法等の各種コート方法を採用することができる。さらに、硬化性樹脂を硬化させる条件としては、使用する樹脂の種類により異なるが、例えば、硬化温度が室温〜250℃の範囲内であり、硬化時間が0.5分〜24時間の範囲内であることが好ましい。また、紫外線や電子線のようなエネルギー線を照射することで硬化させる方法でもよく、その場合には、照射量は20mJ/cm〜10J/cmの範囲内であることが好ましい。
次いで、硬化後の樹脂層144から母型240を取り外す。母型を取り外す方法としては、機械的な剥離法に限定されず、公知の方法を採用することができる。それにより、図8(c)に示すように、母型240の第1凹凸パターン84が樹脂層144に転写され、第1凹凸パターン84に対応する第2凹凸パターン82が表面(凹凸パターン面)に形成された樹脂構造体140が得られる。
なお、母型を取り外した後、樹脂構造体の第2凹凸パターンを1回以上転写して作製した別の樹脂構造体を用いて、後続のマスク配置工程以降の工程を行ってもよい。例えば、樹脂構造体を電鋳処理して金属モールドを作製し、該金属モールドの凹凸パターンを別の樹脂層に転写することにより別の樹脂構造体を作製することができる。
具体的には、電鋳処理のための導電層となるシード層を、無電解めっき、スパッタまたは蒸着等により樹脂構造体上に形成する。シード層は、後続の電鋳工程における電流密度を均一にして後続の電鋳工程により堆積される金属層の厚みを一定にするために10nm以上が好ましい。シード層の材料として、例えば、ニッケル、銅、金、銀、白金、チタン、コバルト、錫、亜鉛、クロム、金・コバルト合金、金・ニッケル合金、ホウ素・ニッケル合金、はんだ、銅・ニッケル・クロム合金、錫ニッケル合金、ニッケル・パラジウム合金、ニッケル・コバルト・リン合金、またはそれらの合金などを用いることができる。次に、シード層上に電鋳(電界めっき)により金属層を堆積させる。金属層の厚みは、例えば、シード層の厚みを含めて全体で10〜30000μmの厚みにすることができる。電鋳により堆積させる金属層の材料として、シード層として用いることができる上記金属種のいずれかを用いることができる。形成した金属層は、後続の樹脂層の押し付け、剥離及び洗浄などの処理の容易性からすれば、適度な硬度及び厚みを有することが望ましい。
上記のようにして得られたシード層を含む金属層を、凹凸パターンを有する第1モールドから剥離して金属モールドを得る。剥離方法としては、物理的に剥がしても構わないし、樹脂構造体の樹脂層を、それらを溶解する有機溶媒や酸、アルカリ等用いて溶解して除去することによって剥離してもよい。金属モールドを樹脂構造体から剥離するときに、残留している材料成分を洗浄にて除去することができる。洗浄方法としては、界面活性剤などを用いた湿式洗浄や紫外線やプラズマを使用した乾式洗浄を用いることができる。また、例えば、粘着剤や接着剤を用いて残留している材料成分を付着除去するなどしてもよい。
次いで、金属モールドの凹凸パターンを樹脂材料に転写することで、新たな樹脂構造体(別の樹脂構造体)を作製することができる。例えば、硬化性樹脂を支持基板に塗布した後、金属モールドの凹凸パターンを樹脂層に押し付けつつ樹脂層を硬化させる。支持基板の材料及び厚み、硬化性樹脂及びその厚み、硬化性樹脂の塗布方法、硬化性樹脂の硬化条件は、上述の樹脂構造体の作製におけるものと同様にし得る。
次いで、硬化後の樹脂層から金属モールドを取り外す。金属モールドを取り外す方法としては、機械的な剥離法に限定されず、公知の方法を採用することができる。
また、上述の金属モールドの凹凸パターン上にゴム系の樹脂材料を塗布し、塗布した樹脂材料を硬化させ、金属モールドから剥離することにより、金属モールドの凹凸パターンが転写されたゴムモールドを作製し、これを樹脂構造体として用いて後続の工程を行ってもよい。ゴム系の樹脂材料として、天然ゴム及び合成ゴムを用いることができ、特に、シリコーンゴム、またはシリコーンゴムと他の材料との混合物もしくは共重合体が好ましい。シリコーンゴムとしては、例えば、ポリオルガノシロキサン、架橋型ポリオルガノシロキサン、ポリオルガノシロキサン/ポリカーボネート共重合体、ポリオルガノシロキサン/ポリフェニレン共重合体、ポリオルガノシロキサン/ポリスチレン共重合体、ポリトリメチルシリルプロピン、ポリ4メチルペンテンなどが用いられる。シリコーンゴムは、他の樹脂材料と比べて安価で、耐熱性に優れ、熱伝導性が高く、弾性があり、高温条件下でも変形しにくいことから、凹凸パターン転写プロセスを高温条件下で行う場合には好適である。さらに、シリコーンゴム系の材料は、ガスや水蒸気透過性が高いため、被転写材の溶媒や水蒸気を容易に透過することができる。そのため、後述するような樹脂材料または無機材料の前駆体溶液の膜に凹凸パターンを転写する目的でゴムモールドを用いる場合には、シリコーンゴム系の材料が好適である。また、ゴム系材料の表面自由エネルギーは25mN/m以下が好ましい。これによりゴムモールドの凹凸パターンを基材上の塗膜に転写するときの離形性が良好となり、転写不良を防ぐことができる。ゴムモールドは、例えば、長さ50〜1000mm、幅50〜3000mm、厚み1〜50mmにし得る。また、必要に応じて、ゴムモールドの凹凸パターン面上に離型処理を施してもよい。
<マスクの配置>
図8(d)に示すように、樹脂構造体140の凹凸パターン面(第2凹凸パターン82が形成された表面)の上に、開口部162及び遮蔽部164を有するマスク160を配置する。マスク160としては金属製マスク等を用いることができる。開口部162及び遮蔽部164はいずれも一方向に延在する矩形の形状を有し、開口部162及び遮蔽部164の延在方向に直交する方向に隣接して交互に配列されている。なお、樹脂構造体140は一方向に延在する凹部及び凸部から構成される凹凸パターン82を表面に有するが(図9(a)参照)、マスクの160の開口部162及び遮蔽部164の延在方向が凹凸パターン82の凹部及び凸部の延在方向に対して20度〜70度または110度〜160度の角度、特に45度または135度の角度をなすように、マスク160を配置してよい(図9(b)参照)。
<エッチング>
次に、マスク160を介してエキシマUV光等の紫外線に代表されるエネルギー線を樹脂構造体140に照射する。それにより、マスク160の開口部162の下に位置する樹脂構造体140の凸部がエッチングされて、図8(e)に示すようにテンプレート180が得られる。テンプレート180は、一方向に延在する複数の凸部186及び凹部187から構成される凹凸部181と非凹凸部183とが形成された表面を有する。凹凸部181と非凹凸部183はいずれも一方向に延在する矩形形状であり、同一面上でこれらの延在方向に直交する方向に隣接して交互に配列されている。凹凸部181の凸部187及び凹部187は、凹凸部181と非凹凸部183の延在方向に対して20度〜70度または110度〜160度の角度、特に45度または135度の角度をなす方向に延在してよい。なお、非凹凸部183は平坦であってよいが、位相差を生じない程度に十分低い(浅い)凹凸を有していてもよい。
<転写>
次に、テンプレート180の表面形状を被転写材料(凹凸構造層材料)に転写して、透明基体を形成する。被転写材料として無機材料を用いる場合、無機材料の前駆体溶液を調製する溶液調製工程、調製された前駆体溶液を基材に塗布して塗膜を形成する塗布工程、塗膜を乾燥する乾燥工程、テンプレートを塗膜に押し付ける押圧工程、テンプレートが押し付けられた塗膜を仮焼成する仮焼成工程、テンプレートを塗膜から剥離する剥離工程、及び塗膜を硬化させる硬化工程により透明基体を形成することができる。
(1)溶液調整工程
最初に無機材料の前駆体の溶液を調製する。ゾルゲル法を用いて無機材料からなる凹凸構造層を形成する場合、無機材料の前駆体の溶液としてSi、Ti、Sn、Al、Zn、Zr、In等のアルコキシド(金属アルコキシド)の溶液を調製する。例えば、WO2016/056277号に記載される無機材料の前駆体を用いることができる。前駆体溶液の溶媒としては、WO2016/056277号に記載される溶媒を用いることができる。前駆体溶液には、WO2016/056277号に記載される添加物を添加してよい。また、無機材料の前駆体としてWO2016/056277号に記載されるポリシラザンを用いてもよい。
(2)塗布工程
上記のように調製した無機材料の前駆体溶液を基材上に塗布して塗膜を形成する。基材上には密着性を向上させるために、表面処理や易接着層を設けるなどをしてもよい。前駆体溶液の塗布方法として、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法などの任意の塗布方法を使用することができるが、比較的大面積の基材に前駆体溶液を均一に塗布可能であること、前駆体溶液が硬化する前に素早く塗布を完了させることができることからすれば、バーコート法、ダイコート法及びスピンコート法が好ましい。
(3)乾燥工程
前駆体溶液の塗布後、塗膜(前駆体膜)中の溶媒を蒸発させるために基材を大気中もしくは減圧下で保持してもよい。パターン形成の安定性の観点から、パターン転写が良好にできる乾燥時間範囲が十分広いことが望ましく、これは乾燥温度(保持温度)、乾燥圧力、前駆体の材料種、前駆体の材料種の混合比、前駆体溶液調製時に使用する溶媒量(前駆体の濃度)等によって調整することができる。なお、基材をそのまま保持するだけでも塗膜中の溶媒が蒸発するので、必ずしも加熱や送風などの積極的な乾燥操作を行う必要はなく、塗膜を形成した基材をそのまま所定時間だけ放置したり、後続の工程を行うために所定時間の間に搬送したりするだけでもよい。
(4)押圧工程
次いで、図8(f)に示すように、テンプレート180を基材42上の塗膜(前駆体膜)52に押圧して、テンプレート180の表面の形状を塗膜52に転写する。テンプレート180をロール体に巻きつけてロール状モールドを作製し、ロールプロセスによりテンプレート180の表面形状を転写してもよい。ロール状モールドを用いたロールプロセスは、プレート状モールドを用いたプレス式プロセスと比較してモールドと塗膜とが接する時間が短いため、モールド、基材及び基材を設置するステージなどの熱膨張係数の差によるパターンくずれを防ぐことができること、塗膜中の溶媒の突沸によってパターン中にガスの気泡が発生したり、ガス痕が残ったりすることを防止することができること、塗膜とモールドが線接触するため転写圧力及び剥離力を小さくでき、大面積化に対応し易いこと、押圧時に気泡をかみ込むことがないことなどの利点を有する。また、テンプレート180を塗膜52に押し付けながら塗膜52を加熱してもよい。
(5)仮焼成工程
塗膜(前駆体膜)にテンプレートを押し付けた後、塗膜を仮焼成してもよい。仮焼成することにより前駆体が無機材料に転化して塗膜が硬化し、剥離の際に崩れにくくなる。仮焼成を行う場合は、大気中で室温〜300℃の温度で加熱することが好ましい。なお、仮焼成は必ずしも行う必要はない。また、前駆体溶液に紫外線などの光を照射することによって酸やアルカリを発生する材料を添加した場合には、前駆体膜を仮焼成する代わりに、例えばエキシマUV光等の紫外線に代表されるエネルギー線を照射することによって塗膜を硬化してもよい。
(6)剥離工程
テンプレートの押圧または前駆体膜の仮焼成の後、塗膜(前駆体膜又は前駆体膜を転化することにより形成された無機材料膜)からテンプレートを剥離する。それにより、テンプレートの表面形状が転写された凹凸構造層が得られる。テンプレートの剥離方法として公知の剥離方法を採用することができる。テンプレートの凹凸部の凸部及び凹部は一様な方向に延在して配列されているため、離形性がよい。テンプレートの剥離方向は凸部及び凹部の延在方向と平行な方向にしてよい。それによりテンプレートの離形性をさらに向上することができる。塗膜を加熱しながらテンプレートを剥離してもよく、それにより塗膜から発生するガスを逃がし、塗膜内に気泡が発生することを防ぐことができる。ロールプロセスを使用する場合、プレス式に比べて剥離力は小さくてよく、塗膜がテンプレートに残留することなく容易にモールドを塗膜から剥離することができる。特に、塗膜を加熱しながら押圧することで反応が進行し易く、押圧直後にモールドが塗膜から剥離し易くなる。
(7)硬化工程
塗膜(凹凸構造層)からテンプレートを剥離した後、凹凸構造層を本硬化してもよい。本焼成により凹凸構造層を本硬化させることができる。ゾルゲル法によりシリカに転化する前駆体を用いた場合、凹凸構造層を構成するシリカ(アモルファスシリカ)中に含まれている水酸基などが本焼成により脱離して凹凸構造層がより強固となる。本焼成は、200〜1200℃の温度で、5分〜6時間程度行うのが良い。この時、凹凸構造層がシリカからなる場合、焼成温度、焼成時間に応じて非晶質または結晶質、または非晶質と結晶質の混合状態となる。なお、硬化工程は必ずしも行う必要はない。また、前駆体溶液に紫外線などの光を照射することによって酸やアルカリを発生する材料を添加した場合には、凹凸構造層を焼成する代わりに、例えばエキシマUV光等の紫外線に代表されるエネルギー線を照射することによって、凹凸構造層を本硬化することができる。
以上のようにして、図8(g)に示すように、テンプレートの表面形状が転写された凹凸構造層50が形成され、基材42及び凹凸構造層50から構成される透明基体40が得られる。透明基体40は、位相差部7と非位相差部9が同一面上で隣接して交互に配置された表面を備える。位相差部7は、周期的な凹凸パターン80が形成された複屈折部11から構成され、非位相差部9は、複屈折性のない非複屈折部13から構成される。
またゾルゲル法のほか、無機材料の微粒子の分散液を用いる方法、液相堆積法(LPD:Liquid Phase Deposition)などを用いて凹凸構造層を形成してもよい。
また、被転写材料(凹凸構造層材料)として、上述の無機材料に代えて硬化性樹脂材料を用いて、凹凸構造層を形成してもよい。硬化性樹脂を用いて凹凸構造層を形成する場合、例えば、硬化性樹脂を基材に塗布した後、塗布した硬化性樹脂層にテンプレートを押し付けつつ塗膜を硬化させることによって、硬化性樹脂層にテンプレートの表面形状を転写することができる。硬化性樹脂は有機溶剤で希釈してから塗布してもよい。この場合に用いる有機溶剤としては硬化前の樹脂を溶解するものを選択して使用することができる。例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)などのアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、などのケトン系溶剤等の公知のものから選択できる。硬化性樹脂を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、滴下法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、ダイコート法、カーテンコート法、インクジェット法、スパッタ法等の各種コート方法を採用することができる。硬化性樹脂を硬化させる条件としては、使用する樹脂の種類により異なるが、例えば、硬化温度が室温〜250℃の範囲内であり、硬化時間が0.5分〜3時間の範囲内であることが好ましい。また、紫外線や電子線のようなエネルギー線を照射することで硬化させる方法でもよく、その場合には、照射量は20mJ/cm〜10J/cmの範囲内であることが好ましい。
<高屈折率層の形成>
次いで、図8(h)に示すように、透明基体40の上に高屈折率層30を形成してよい。上述のような膜厚を有する高屈折率層30を複屈折部11の凸部の上面及び側面に形成するためには、高屈折率層30を付き回り性(カバレッジ性)の高い成膜方法で形成することが好ましく、例えば、メッキ法、原子層堆積法、化学気相成長法、スパッタ法、蒸着法等により形成することができる。
<中屈折層または積層体の形成>
さらに、高屈折率層30上に中屈折率層20を形成してよい。中屈折率層20は、付き回り性の低い成膜方法、例えば、スパッタ法、蒸着法等により形成することが好ましい。それにより、凸部の側面の高屈折率層30上に中屈折率層20が形成されないようにしながら、あるいは凸部の側面の高屈折率層30上に形成される中屈折率層20の膜厚を上述のような範囲内に制御しながら、凸部の上面の高屈折率層30上に中屈折率層20を形成することができる。
あるいは、高屈折率層30上に積層体25を構成する2n+1個(nは正の整数)の各層を順に形成してよい。各層は、付き回り性の低い成膜方法、例えば、スパッタ法、蒸着法等により形成することが好ましい。それにより、凸部の側面の高屈折率層30上に積層体25を構成する材料が堆積されないようにしながら、あるいは凸部の側面の高屈折率層30上に形成される積層体25の膜厚を上述のような範囲内に制御しながら、凸部の上面の高屈折率層30上に積層体25を形成することができる。
なお、母型の凹凸パターンを樹脂層に転写するときに、一方向に延在する矩形形状の開口部及び遮蔽部を有するマスクを用いて樹脂層にエネルギー線を照射して、樹脂層を部分的に硬化させることにより、凹凸部と非凹凸部を有するテンプレートを作製することも可能である。また、樹脂構造体の凹凸パターンを凹凸構造層材料に転写した後、形成された凹凸構造層の凹部を部分的に埋めることで、凹凸部(複屈折部)と非凹凸部(非複屈折部)を有する透明基体を作製することもできる。
以上、本発明を実施形態により説明してきたが、本発明の光学位相差部材の製造方法は上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で適宜改変することができる。
本発明の光学位相差部材は、低コストであるとともに、偏光変換素子の製造に要する工数を軽減することができる。それゆえ、本発明の光学位相差部材は、プロジェクタ(投影型表示装置)、反射型あるいは半透過型液晶表示装置等に用いられる偏光変換素子の製造に好適に用いることができる。
1,100…偏光変換素子
2…光学薄膜
3…プリズムアレイ
4…1/2波長板
7,7A,7B,7C…位相差部
9,9A,9B,9C…非位相差部
10,10A,10B,10C…光学位相差部材
11,11a,11b,11c,111a,111b…複屈折部
13,113a,113b…非複屈折部、20…中屈折率層、25…積層体
22…第1層、24…第2層、26…第3層、30…高屈折率層
40…透明基体、42…基材、50…凹凸構造層、60…凸部
70…凹部、90…空気層、80…凹凸パターン
100…偏光変換素子、101…偏光ビームスプリッタアレイ
102a…偏光膜、102b…反射膜、104a,104b…透明部材
106a,106b…ブロック
140…樹脂構造体、142…支持基板、144…樹脂層、160…マスク
162…開口部、164…遮蔽部、180…テンプレート、181…凹凸部
183…非凹凸部

Claims (11)

  1. 一方向に延在する複数の凸部及び隣接する該凸部の間の凹部が周期的に配列している凹凸構造により位相差を生じさせる位相差部と、
    位相差を生じさせない非位相差部とを有し、
    前記位相差部と前記非位相差部が、同一面上で交互に配置されている光学位相差部材。
  2. 前記光学位相差部材が、交互に配置された複屈折部及び非複屈折部を各々有する第1位相差部材及び第2位相差部材を重ねた構造を有し、
    前記位相差部が、前記第1位相差部材の前記複屈折部及び前記第2位相差部材の前記複屈折部から構成され、
    前記非位相差部が、前記第1位相差部材の前記非複屈折部及び前記第2位相差部材の前記非複屈折部から構成される請求項1に記載の光学位相差部材。
  3. 前記光学位相差部材が、交互に配置された第1複屈折部及び第2複屈折部を有する第1位相差部材と、第3複屈折部を有する第2位相差部材を重ねた構造を有し、
    前記位相差部が、前記第1位相差部材の前記第1複屈折部及び前記第2位相差部材の前記第3複屈折部から構成され、
    前記非位相差部が、前記第1位相差部材の前記第2複屈折部及び前記第2位相差部材の前記第3複屈折部から構成される請求項1に記載の光学位相差部材。
  4. 前記位相差部により生じる位相差がλ/4またはλ/2である請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学位相差部材。
  5. 前記光学位相差部材の前記位相差部が、
    前記複数の凸部の延在方向に垂直な面における断面が略台形状である前記凹凸構造を有する透明基体と、
    前記透明基体の前記凸部の上面及び側面に形成された、前記凸部よりも高い屈折率を有する高屈折率層と、
    前記凸部の上面の前記高屈折率層上に形成された、前記高屈折率層よりも低い屈折率を有する層から構成される中屈折率層とを備え、
    隣り合う前記凸部の対向する前記側面に形成された前記高屈折率層の間に空気層が存在する請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学位相差部材。
  6. 前記中屈折率層が、前記凸部の上面及び側面の前記高屈折率層上に形成されている請求項5に記載の光学位相差部材。
  7. 前記光学位相差部材の前記位相差部が、
    前記複数の凸部の延在方向に垂直な面における断面が略台形状である前記凹凸構造を有する透明基体と、
    前記透明基体の前記凸部の上面及び側面に形成された、前記凸部よりも高い屈折率を有する高屈折率層と、
    前記凸部の上面の前記高屈折率層上に形成された、2n+1個(nは正の整数)の層から構成される積層体とを備え、
    隣り合う前記凸部の対向する前記側面に形成された前記高屈折率層の間に空気層が存在し、
    前記積層体は、前記高屈折率層上に形成された第1層と、第2k−1層(kは1〜nの整数)上に形成された第2k層と、前記第2k層上に形成された第2k+1層を備え、
    前記第1層の屈折率が前記高屈折率層の屈折率よりも低く、
    前記第2k+1層の屈折率が前記第2k層の屈折率よりも低い請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学位相差部材。
  8. 偏光変換素子に用いる請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学位相差部材。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学位相差部材と、
    偏光ビームスプリッタアレイとを備え、
    前記偏光ビームスプリッタアレイが、
    光源からの入射光のうち第1の偏光方向の光を透過し、前記第1の偏光方向に直交する第2の偏光方向の光を反射する複数の偏光膜と、
    前記偏光膜で反射された前記第2の偏光方向の光を反射する複数の反射膜を備え、
    前記偏光膜及び前記反射膜は、互いに平行であり、所定の間隔で交互に設けられ、
    前記偏光ビームスプリッタアレイの前記第1の偏光方向の光及び前記第2の偏光方向の光の一方の出射面上に、前記光学位相差部材の位相差部が位置づけられ、
    前記偏光ビームスプリッタアレイの前記第1の偏光方向の光及び前記第2の偏光方向の光の他方の出射面上に、前記光学位相差部材の非位相差部が位置づけられる偏光変換素子。
  10. 第1方向に延在する複数の凸部及び凹部からなる凹凸部と、
    非凹凸部とを備えるテンプレートであって、
    前記凹凸部及び前記非凹凸部は、第2方向に延在する矩形形状を有し、前記第2方向に直交する方向に隣接して交互に配置され、
    前記第1方向と前記第2方向のなす角度が20度〜70度または110度〜160度である光学位相差部材製造用のテンプレート。
  11. 一方向に延在する凹部及び凸部から構成される凹凸パターン面を有する樹脂構造体を作製することと、
    前記樹脂構造体の凹凸パターン面上に、開口部と遮蔽部が交互に配置されたマスクを配置することと、
    前記開口部に位置する前記樹脂構造体の凸部をエッチングして、凹凸部と非凹凸部が交互に配置された表面を有するテンプレートを得ることと、
    前記テンプレートの前記表面の形状を被転写材料に転写して、透明基体を得ることとを有する光学位相差部材の製造方法。
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