JP5291435B2 - ワイヤグリッド偏光子及びその製造方法 - Google Patents
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日本女子大学紀要 理学部 第14号(2006) FPDの光学材料 月刊ディスプレイ10月号別冊(2007) テクノタイムズ社
また、本発明のワイヤグリッド偏光子においては、前記吸収型ワイヤグリッド偏光子を構成する前記格子状凸部を有する前記基材の断面形状が、正弦波形状であることが好ましい。
また、本発明のワイヤグリッド偏光子においては、前記反射型ワイヤグリッド偏光子を構成する前記格子状凸部を有する前記基材が、正弦波形状であることが好ましい。
図1は、本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光子の一例を示す概略断面斜視図である。ワイヤグリッド偏光子3は、基材上に吸収型偏光成分を格子状に配置した吸収型ワイヤグリッド偏光子1と、基材上に反射型偏光成分を格子状に配置した反射型ワイヤグリッド偏光子2と、を積層してなるワイヤグリッド偏光子である。ワイヤグリッド偏光子3は、入射光4を吸収する吸収型ワイヤグリッド偏光子1と入射光5を反射する反射型ワイヤグリッド偏光子2とから主に構成されており、吸収型ワイヤグリッド偏光子1の基材1cと反射型ワイヤグリッド偏光子2の基材2cとが対面してそれぞれの格子状凸部が1a,2aが外側を向くように組み合わせて複合化されている。したがって、このワイヤグリッド偏光子3においては、吸収型ワイヤグリッド偏光子1で入射光4を吸収すると共に、反射型ワイヤグリッド偏光子2でワイヤグリッド偏光子3をはさんで180度逆側からの入射光5を反射して偏光する。
図3は本発明の製造方法の概略を示した図であり、格子状凸部を有する基材17を物理的製膜装置18内に設置し、基材17の格子状凸部の格子方向と製膜材料源15の入射方向との角度θを固定板16で一定に保持し、格子状凸部の斜面上の片側に吸収型偏光成分と透明保護膜とを製膜する。基材に対する製膜材料の入射方向の角度θは、吸収型偏光成分ワイヤ1aの格子状凸部を覆う面積や、格子状凸部の斜面上の片側にのみ吸収型偏光成分と透明保護膜を形成することを考慮すると、20度以上60度以下が好ましい。また、角度θは25度以上50度以下の範囲であると、得られる吸収型ワイヤグリッドの光学特性が好ましい範囲になりやすくより好ましい。
n=7.25×1016・P/T
で与えられ、このとき、平均自由工程Λは、それぞれの分子の半径をr,r´とすると、
Λ=1/(√2・nπ・(r+r´)2)
で与えられる。
図4は図1の反射型ワイヤグリッド偏光子2を拡大図示した概略断面斜視図である。図4に示す反射型ワイヤグリッド型偏光子は、表面に格子状凸部2dを有する基材2cと、格子状凸部2dを被覆し、格子状凸部2dを含む基材2c上の領域に立設された、反射型偏光成分で構成された金属ワイヤ2aとから主に構成されている。
図8は、本発明の実施の形態にかかる偏光子を用いた液晶表示装置を示す断面概略図である。
(格子状凸部を有する基材の作成)
・微細凹凸格子形状の作成
ガラス上にフォトレジストを塗布した基板に、電子線ビーム描画法を用いて、微細凹凸格子を形成した。このレジストパターンの表面と断面を、電界放出形走査電子顕微鏡(STEM)で観察したところ、微細凹凸格子のピッチと高さがそれぞれ、145nm/130nm(ピッチ/高さ)であり、その断面形状がほぼ台形形状で、上面からの形状が縞状格子状となっており凸部の幅が45nmで谷部の幅が70nmであることがわかった。
得られた145nmピッチのレジストパターン表面に、導電化処理として金をスパッタ法により30nm被覆した後、ニッケルを電気メッキし、厚さ0.3mmの微細凹凸格子を表面に有するニッケルスタンパを作成した。
厚さ0.1mmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(以下、PETフィルム)に紫外線硬化樹脂(東洋合成株式会社製PAK01)を約0.03mm塗布し、塗布面を下にして前記145nmピッチの微細凹凸格子を表面に有するニッケルスタンパ上に、それぞれ端部からニッケルスタンパとPETフィルムとの間に空気が入らないように載せ、PETフィルム側から中心波長365nmの紫外線ランプを用いて紫外線を1000mJ/cm2照射し、ニッケルスタンパの微細凹凸格子を転写した。得られた格子状凸部転写フィルムをSTEMにより観察し、その断面形状がほぼ台形形状で、上面からの形状が縞状格子状となっていることを確認した。
前記した紫外線硬化性樹脂を用いて作成した格子状凸部転写フィルムに、スパッタ法を用いて誘電体を被覆した。本実施例では、誘電体として窒化ケイ素を用いた場合について、説明する。Arガス圧力0.67Pa、スパッタパワー4W/cm2、被覆速度0.22nm/秒にて誘電体の被覆を行なった。層厚み比較用サンプルとして表面が平滑なガラス基板を格子状凸部転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑ガラス基板への誘電体積層厚みが5nmとなるように製膜を行った。
前記と同様の手順で紫外線硬化性樹脂を用いて作成した格子状凸部転写フィルムに、スパッタ法を用いてSiNxを被覆した。本実施例ではシリコン(Si)ターゲットを使用し、Arガス圧力0.25Pa、N2ガス圧力0.15Pa、スパッタパワー4.4W/cm2とし、製膜速度14nm/分で蒸着した。シリコンと格子状凸部転写フィルムとの間隔は105mmであり、Λは2.77cmである。層厚み比較用サンプルとして表面が平滑なガラス基板を格子状凸部転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑基板へのSiNx蒸着厚みが10nmとなるように蒸着をおこなった。なお、格子の長手方向と垂直に交わる平面内において基材面の法線と蒸着源とのなす角度は40度とした。
前記した方法で、得られた吸収型、反射型ワイヤグリッド偏光子の周囲4辺のうち1辺について、既存偏光子を基準として偏光軸を合わせた。つづいて偏光軸をあわせた1辺を機械的に合わせながら、互いのワイヤグリッドの基板側を光学的に透明な粘着材を用いて接着、積層した。なお、接着には、日東電工(株)製透明両面接着テープCS9621を使用した。
・吸収型ワイヤグリッド偏光子の作成
SiNxを設けない以外は、実施例1と同様の方法で厚さ27のタンタルワイヤが格子状凸部の斜面上の片側に形成された吸収型ワイヤグリッド偏光子を得た。
実施例1に用いた反射型ワイヤグリッド偏光子を用いて、実施例1と同様の方法で接着積層した。得られた偏光子について、分光光度計を用い、直線偏光に対する透過光強度、反射光強度を測定した。
1a 吸収型偏光成分ワイヤ
1b 透明保護膜
1c,2c,8,17 基材
1d,2d 格子状凸部
2,21a,22a 反射型ワイヤグリッド偏光子
2a 金属ワイヤ
3,21,22 ワイヤグリッド偏光子
4,5 入射光
7 接着層
10 偏光軸
11a 変更軸と一致した辺
12 偏光子
15 製膜材料源
16 固定板
18 物理的製膜装置
20 照明装置
23 液晶セル
30 バックライト入射光
31 外光入射光
Claims (10)
- 基材上に吸収型偏光成分を格子状に配置した吸収型ワイヤグリッド偏光子と、基材上に反射型偏光成分を格子状に配置した反射型ワイヤグリッド偏光子と、を積層してなるワイヤグリッド偏光子であって、前記吸収型ワイヤグリッド偏光子は、表面に格子状凸部を有する基材と、前記格子状凸部上に、横断面視において前記格子状凸部の片側の側面の全部にわたって片寄った状態で設けられた透明保護膜と、前記透明保護膜で全体を被覆されており、前記透明保護層を介して、前記格子状凸部上に配置され、かつ、前記格子状凸部の片側の側面の全部にわたって片寄った状態で設けられた吸収型偏光成分と、で構成されていることを特徴とするワイヤグリッド偏光子。
- 横断面視において前記吸収型偏光成分の厚さが5nm以上30nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のワイヤグリッド偏光子。
- 前記吸収型偏光成分がW、V、Cr、Co、Mo、Ge、Ir、Ni、Os、Ti、Fe、Nb、Hf、Mn、Ta及びこれらのうち少なくとも一つを主成分とする合金からなる群から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のワイヤグリッド偏光子。
- 横断面視において前記透明保護膜の厚さが5nm以上15nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光子。
- 前記透明保護膜がSiNxを含む無機材料で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光子。
- 前記反射型ワイヤグリッド偏光子が、表面に格子状凸部を有する前記基材と、前記反射型偏光成分と、で構成され、前記反射型偏光成分は、前記格子状凸部を含む前記基材上の領域に立設され、かつ、前記格子状凸部の片側の側面の全部にわたって片寄った状態で設けられたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光子。
- 前記吸収型ワイヤグリッド偏光子を構成する前記格子状凸部を有する前記基材の断面形状が、正弦波形状であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光子。
- 前記反射型ワイヤグリッド偏光子を構成する前記格子状凸部を有する前記基材が、正弦波形状であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のワイヤグリッド偏光子。
- 表示デバイスと、前記表示デバイスに光を照射する照明手段と、請求項1から請求項8のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光子と、を具備し、前記反射型ワイヤグリッド偏光子が前記照明手段側に配置されることを特徴とする表示装置。
- 基材上に吸収型偏光成分を格子状に配置した吸収型ワイヤグリッド偏光子と、基材上に反射型偏光成分を格子状に配置した反射型ワイヤグリッド偏光子と、を積層してなるワイヤグリッド偏光子の製造方法であって、前記吸収型ワイヤグリッド偏光子は、表面に格子状凸部を有する基材を準備する工程と、横断面視において前記格子状凸部の片側の側面の全部にわたって片寄った状態で透明保護膜を製膜する第1製膜工程と、前記透明保護膜上に吸収型偏光成分を製膜する第2製膜工程と、前記吸収型偏光成分を覆うように前記透明保護膜を製膜する第3製膜工程と、を具備して製造され、前記第1製膜工程、前記第2製膜工程及び前記第3製膜工程において、前記基材に対する製膜材料の入射角度が同一に保持され、前記第1製膜工程及び/又は前記第3製膜工程における製膜材料源−基材間距離(Ts)と平均自由工程(Λ)との間の比N(Ts/Λ)が、前記第2製膜工程における比Nの1.5倍以上であることを特徴とするワイヤグリッド偏光子の製造方法。
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