JP5368011B2 - 吸収型ワイヤグリッド偏光子 - Google Patents

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Description

本発明は、吸収型ワイヤグリッド偏光子に関する。
近年のフォトリソグラフィー技術の発達により、光の波長レベルのピッチを有する微細構造パターンを形成することができるようになってきた。この様に非常に小さいピッチのパターンを有する部材や製品は、半導体分野だけでなく、光学分野において利用範囲が広く有用である(非特許文献1)。
例えば、金属などで構成された導電体線が特定のピッチで格子状に配列してなるワイヤグリッドは、そのピッチが入射光(例えば、可視光の波長400nmから800nm)に比べてかなり小さいピッチ(例えば、2分の1以下)であれば、導電体線に対して平行に振動する電場ベクトル成分の光をほとんど反射し、導電体線に対して垂直な電場ベクトル成分の光をほとんど透過させるため、単一偏光を作り出す偏光子として使用できる。このワイヤグリッド偏光子は、透過しない光を反射し再利用することができるので、光の有効利用の観点からも望ましいものである。
このようなワイヤグリッド偏光子としては、例えば、特許文献1に開示されているものがある。このワイヤグリッド偏光子は、入射光の波長より小さいグリッド周期で間隔が置かれた金属ワイヤを備えている。このワイヤグリッド偏光子は、電場成分が金属線と平行な偏光成分(TM波)を反射し、金属線と垂直な偏光成分(TE波)を透過する偏光特性を有し、ビームスプリッタとして多く使用されている。
しかしながら、反射により偏光成分を分離するために、反射される偏光成分が好ましくない用途への適用が難しい問題があり、ワイヤグリッド偏光子を液晶表示装置のような表示装置に配設した場合に、特許文献1に開示されている構成では、金属ワイヤがバックライト側からの光だけでなく、外光側からの光も反射するので、十分な色再現性や黒表示を行なうことができないという問題があった。
また、他の偏光子として、吸収型二色性偏光子が広く使用されている。吸収型二色性偏光子は、光の吸収異方性を有する化合物(ヨウ素、二色性色素)を塗布した高分子フィルムを延伸することで得られる。この吸収型の偏光子を表示装置に用いると、透過率は原理的に50%を超えないために、光の利用効率が低いという課題があった。さらに、高温高湿環境における耐久性に劣る問題もあった(非特許文献2)。
上記課題に対して、ワイヤグリッド材料にクロムを使用し非透過光の反射を軽減させたワイヤグリッド偏光子(特許文献2)や、光吸収性薄膜層を設けたワイヤグリッド偏光子(特許文献3)が提案され、さらには反射型ワイヤグリッド偏光子と光吸収性材料を組み合わせた偏光子(特許文献4)が提案されている。
日本女子大学紀要 理学部 第14号(2006) FPDの光学材料 月刊ディスプレイ10月号別冊(2007) テクノタイムズ社 特開2003−502708号公報 特開2004−309903号公報 特開2006−330616号公報 特開2005−37900号公報
しかしながら、特許文献2に記載の構成では、アルミニウムをワイヤグリッド材料に適用した場合に比べて反射率は低下するが、吸収型二色性偏光子と比較すると反射率は高く、非透過光の反射を抑制するという課題解決には至っていない。さらに偏光度が低く、偏光子としては実用上使用できない。
また、特許文献3に記載の構成においては、反射率は低下するが、同時に偏光度と透過率も低下し、偏光子としての実用性がない問題があった。さらに、特許文献2、3に記載の偏光子では、光利用効率が低下する問題もあった。
また、特許文献4に記載されているような平坦基板にストライプ状の光吸収性材料のグレーティング層を設ける構成においても、反射率が低下すると、同時に偏光度と透過率が低下する問題があった。
さらに本発明者の検討により、特許文献4に記載の構成では、吸収性材料側からの入射において、TM波の反射率を抑制できるが、TE波の反射率も高く、結果として観察される自然光としての反射率を完全に抑制できないこと、さらに、TE透過率の波長分散が大きく十分な色再現性ができないことがわかっている。
また吸収型偏光子の使用方法として、反射型偏光子と積層する方法が提案される。しかし、従来提案されている吸収型偏光子では、透過率が低く、反射型偏光子と積層して複合型偏光子とした場合に、透過率が低い偏光子になり実用上問題があった。また、透過率を上げると、積層した反射型偏光子の反射の影響が強くなり、外光側の入射光に対する反射抑制が不十分であるという問題があった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、高透過率と低反射率の両性能を満たし、反射型ワイヤグリッド偏光子と積層した複合型偏光子において、バックライト側の光利用効率を高め、外光側の入射光に対する反射率を抑制し、十分な色再現性や黒表示を実現することができる吸収型ワイヤグリッド偏光子を提供することを目的とする。
本発明の吸収型ワイヤグリッド偏光子は、格子状に凸部を有する基材と、前記基材の凸部上の断面視における斜面部の片面のみを覆うように前記基材に密着して形成された、吸収型偏光成分で構成された層と、を具備し、前記吸収型偏光成分が、W、V、Cr、Co、Mo、Ge、Ir、Ni、Os、Ti、Fe、Nb、Hf、Mn、Ta、及びこれらのうち少なくとも一つを主成分とする合金からなる群から選ばれた少なくとも一つの金属若しくは合金であり、前記層が、5nm以上30nm以下の厚さで形成されていることを特徴とする。
本発明の吸収型ワイヤグリッド偏光子においては、前記凸部の断面形状が、台形、矩形、方形、プリズム状、又は正弦波状であることが好ましい。
本発明の吸収型ワイヤグリッド偏光子は、格子状に凸部を有する基材と、前記基材の凸部上に形成されており、吸収型偏光成分で構成された層と、を具備するので、高透過率と低反射率の両性能を満たし、反射型ワイヤグリッド偏光子と積層した複合型偏光子において、バックライト側の光利用効率を高め、外光側の入射光に対する反射率を抑制し、LCDのような表示装置に配設した場合に十分な色再現性と黒表示を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る吸収型ワイヤグリッド偏光子の一例を示す概略断面斜視図であり、図2は、図1の吸収型ワイヤグリッド偏光子1を拡大図示した概略断面斜視図である。
図2に示す吸収型ワイヤグリッド型偏光子は、表面に格子状凸部1cを有する基材1bと、格子状凸部1cの横断断面側部の一部を覆った低反射材料ワイヤ1aとから主に構成されている。
図2における低反射材料ワイヤ1aを構成する材料としては、W、V、Cr、Co、Mo、Ge、Ir、Ni、Os、Ti、Fe、Nb、Hf、Mn、Taからなる群から選ばれた少なくとも一つの低反射材料、あるいはこの群から選ばれた少なくとも一つの材料を主成分とする合金などの低反射材料が挙げられる。
もしくは、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、In、Sn、Sb、Te、Hf、Ta、W、Ir、Tl、Biからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素の酸化物を主成分とする材料が挙げられる。化学量論的組成で透明性を示す酸化物は、非化学量論的組成、つまり非完全酸化状態にすることで吸収効率が高くなり好ましく、これらの酸化物は単体でも良く、混合状態にあってもよい。
低反射材料ワイヤ1aは、格子状凸部1cの横断面視において少なくとも一部を覆うことが必要である。特に、格子状凸部1cの断面視における斜面部のみを覆うと所定の光学性能を得ることができ好ましく、図2に示すように断面視における斜面部の片側のみを覆うと、高透過率、低反射率で透過率、反射率の波長分散を抑制でき、さらに好ましい。凸部の断面視における斜面部を片側のみを覆うと高透過率で光学特性の波長分散を抑制できる理由は不明だが、有効媒質理論より、光の入射方向に対する低反射材料ワイヤ1aと格子状凸部1cの断面変化により、光の入射方向に対して光学特性の急激な変化が抑制されるためであると推定される。
また、低反射材料ワイヤ1aは、基材1cの断面視における片側の斜面部に5nm以上250nm以下の厚さの薄膜で形成されることが好ましい。膜厚が前記範囲であると吸収型偏光子として最適なTM波、TE波の透過率を得られ好ましく、より好ましくは5nm以上30nm以下である。
低反射材料ワイヤ1aは薄膜であるために、ワイヤグリッド偏光子であるにもかかわらずTM波の反射率と透過率を低く抑え、吸収率を高めることができる。薄膜の低反射材料ワイヤでTM波の吸収率が高くなる詳細は明確ではないが、低反射材料の侵入長と同程度であるために低反射材料内部での吸収が高まるためと推定される。
本発明者らの検討により、基材の格子状凸部1cがなく、平坦な基材を用いた場合は低反射材料ワイヤの形状、膜厚によらず、i)高透過率と低反射率は相反する特性を示すこと、ii)反射率の波長分散性が大きくなること、がわかっている。このことから、格子状凸部を有する基材に低反射材料薄膜を形成する本発明の構成の有効性がわかる。
また、低反射材料ワイヤ1aの保護の観点から、図示しない透明誘電体層の薄膜を低反射材料ワイヤ1aに積層して設けても良い。誘電体層を低反射材料ワイヤ1a上に形成する方法としては、誘電体層を構成する材料により適宜選択する。例えば、スパッタリング法、真空蒸着法などの物理的蒸着法を好適に用いることができる。
基材1bに用いる素材は、可視光領域で実質的に透明な素材であれば良いが、加工性に優れた樹脂であることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線(UV)硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。また、基材1bとして、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂と、ガラスなどの無機基板、上記熱可塑性樹脂、トリアセテート樹脂とを組み合わせた複合基材を用いても良い。
基材1b上の格子状凸部1cのピッチは、可視光領域の広帯域にわたる偏光特性を考慮すると、150nm以下であり、好ましくは80nmから120nmである。ピッチが小さくなるほど偏光特性が良くなるが、可視光に対しては、80nmから120nmのピッチで十分な偏光特性が得られる。400nm近傍の短波長光の偏光特性を重視しない場合は、ピッチを150nm程度まで大きくしてもよい。
本発明において、基材1b上の格子状凸部1cのピッチと低反射材料ワイヤ1aのピッチとは、ほぼ等しく、同じピッチをとることができる。
基材1b上の格子状凸部1cの断面形状に制限はない。これらの断面形状は、例えば、台形、矩形、方形、プリズム状や、半円状などの正弦波状を挙げることができる。ここで、正弦波状とは、凹部と凸部の繰り返しからなる曲線部をもつことを意味する。なお、曲線部は湾曲した曲線であれば、よく、例えば凸部にくびれがある形状も正弦波状に含める。また、基材1b上の格子状凸部1c及びその側面の少なくとも一部を低反射材料が覆いやすくする観点から、前記形状の端部または頂部、谷部は穏やかな曲率をもって湾曲していることが好ましい。また、基材1b、格子状凸部1cと低反射材料ワイヤ1aとの密着強度を高くする観点から、これらの断面形状は正弦波状であることがより好ましい。さらに、同様に基材1b、格子状凸部1cと低反射材料ワイヤ1aとの密着強度を高くする観点から、図示しない透明誘電体層の薄膜を設けることも好ましい。
基材1bに格子状凸部1cを設ける方法としては、表面にピッチが150nm以下の格子状凸部を有する型を用いて、機材の表面に格子状凸部を転写して成型する方法が挙げられる。ここで、表面にピッチが150nm以下の格子状凸部を有する型は、電子線ビーム描画法や干渉露光法により得た、ピッチが150nm以下の格子状凸部を有するレジストパターンを、順に導電化処理、メッキ処理、基材の除去処理を施すことで作成できる。
低反射材料ワイヤ1aを形成するために低反射材料を基材1bおよび1c上に形成する方法としては、低反射材料と基材との間で十分な密着性が得られる方法であれば特に限定されない。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的蒸着方法を好適に用いることができる。格子状凸部の一方の斜面部に偏って選択積層できる方法が好ましく、斜め蒸着法などを挙げることができる。また、酸化物材料を低反射材料ワイヤ1aとする場合は、反応性スパッタリング法によって任意に光学定数(n,k)を変化させることができるので、本発明における吸収型ワイヤグリッド偏光子の光学設計上、スパッタリング法が好ましい。
本発明における吸収型ワイヤグリッド偏光子1において、TM波においては、透過率が50%以下で、かつ、反射率が40%以下であると好ましく、透過率が40%以下で、かつ、反射率が20%以下であるとより好ましい。TE波においては、透過率が80%以上で、かつ、反射率が10%以下であると好ましく、透過率が85%以上で、かつ、反射率が8%以下であるとより好ましい。TM波、TE波の透過率、反射率は、分光光度計を用いて測定される。
本発明の吸収型ワイヤグリッド偏光子は、高透過率と低反射率の両性能を満たし、高い偏光度を有しているので、それのみで偏光子として機能するが、反射型ワイヤグリッド偏光子と積層一体化すると、液晶表示装置のような表示装置に配設した場合に、反射型ワイヤグリッド偏光子の特性である、バックライトの光利用効率を高くした状態で、外光側の反射を抑制でき好ましい。
図3は、本発明の実施の形態に係る吸収型ワイヤグリッド偏光子の応用の一例を示す概略断面斜視図である。吸収型ワイヤグリッド偏光子1は、反射型ワイヤグリッド偏光子2と積層し一体化し複合型ワイヤグリッド偏光子3を構成している。
TE透過率が高いために、反射型ワイヤグリッド2に積層して一体化した複合型ワイヤグリッド偏光子3の透過率が低くならない。さらに、外光4の反射光について図4で詳細に述べる。
図4は吸収型ワイヤグリッド偏光子と反射型ワイヤグリッド偏光子を積層一体化した複合型ワイヤグリッド偏光子の断面概略図であり、吸収型ワイヤグリッド偏光子の低反射材料ワイヤ1aと反射型ワイヤグリッド偏光子の反射型金属ワイヤ2aと両ワイヤの透明基板、接着層を概略して透明基板層6で示している。
外光4のTM波は、低反射材料ワイヤ1aで一部反射され、一部は透過する。透過した光は、反射型ワイヤ2aにより一部反射され、再び低反射材料ワイヤ1aに戻り、反射光と透過光が分離する。この多重反射の和が反射光4Rとして認識され、次式で概算される。
4R=R1a+(T1a)・R2a/(1−R1a・R2a) 1)
ここで、
R1a:低反射材料ワイヤ1aの反射率
T1a:低反射材料ワイヤ1aの透過率
R2a:反射型金属ワイヤ2aの反射率
反射型ワイヤ2aの反射率は高いので、式1)より外光4のTM波の反射率は、低反射材料ワイヤ1aの反射率R1aと透過率Taの二乗に大きく影響されることがわかり、透過率T1aは反射率R1aほど低い必要はないことがわかる。
上記はTM波の反射についてであるが、TE波についても同様の式となるが、R2aが小さいので、透過率T1aはTM波ほど抑制される必要はない。
上記吸収型ワイヤグリッド偏光子と反射型ワイヤグリッド偏光子を、光学的な平行位置で接着して図3に示す偏光子3を得る。接着する反射型ワイヤグリッド偏光子としては、少なくとも基材と基材上に配設されている金属ワイヤグリッドとで構成されている反射型ワイヤグリッド偏光子が挙げられる。反射型ワイヤグリッドを構成する基材とは、可視光領域で実質的に透明な素材であれば特に限定されるものではなく、ガラスや透明な無機物結晶、透明プラスチックが挙げられる。ガラスとしては、石英ガラスや、BK(硼珪クラウン)、BaK(バリウムクラウン)、LF(軽フリント)、SF(重フリント)などの既存の光学ガラスを挙げることができる。なかでも石英ガラスは、表面微細加工に適しているので好ましい。透明無機物結晶としては、サファイヤ、水晶、方解石、アルカリハライドなどが挙げられる。透明プラスチックとしては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線(UV)硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。
基板表面は平面である必要はなく、100nm程度の凹凸が賦形されていても良い。
金属ワイヤグリッドに使用される材料としては、可視光領域で光の反射率が高く、基材との密着性がよいものであることが好ましい。例えば、アルミニウムや銀、錫、又はその合金で構成されていることが好ましい。コストの観点から、Al又はAl合金で構成されているとさらに好ましい。
金属ワイヤグリッドの形状、金属ワイヤグリッドの断面形状は可視光領域で十分な偏光特性を維持できれば、特に限定されるものではなく、矩形、台形、方形、プリズム状や、半円状などの正弦波状、されにはこれらを組み合わせた形状などが挙げられる。ピッチは、可視光領域の広帯域における偏光特性を考慮すると150nm以下であり、好ましくは80nmから120nmである。
基板表面に金属ワイヤグリッドを形成する方法としては、公知である種々の方法が挙げられ、例えば、極紫外レーザーを用いた干渉露光法、電子線リソグラフィを用いた方法、あるいはあらかじめ所望のピッチで凸状格子を設けた基板に金属ワイヤを形成する方法などが挙げられる。
吸収型ワイヤグリッド偏光子と反射型ワイヤグリッド偏光子をと光学的な平行位置で積層する方法としては、以下の方法が挙げられる。
図5において、既存の偏光子12を透過した直線偏光を吸収型ワイヤグリッド偏光子11に透過させる。透過光10の光量が最小になるように吸収型ワイヤグリッド偏光子11を、透過光10の光軸を中心にして回転させる。図示しない偏光子12を固定しているベースにあわせて、吸収型ワイヤグリッド偏光子11の辺11aを切断する。このような操作により辺11aは偏光子12の偏光軸と平行となる。同様にして反射型偏光子についても、偏光子12の偏光軸と平行な辺を得る。つぎに、この辺を機械的に合わせながら積層することで、光学的な平行位置で吸収型偏光子と反射型偏光子が一体化した偏光子を得る。
積層する方向は、反射型、吸収型各々のワイヤグリッドが入射光と180度相対した向きであってもよく、図6に示すように、吸収型ワイヤグリッド偏光子1のワイヤグリッド1aが反射型ワイヤグリッド偏光子2の背面に接着層7を介して積層されてもよく、図示しない吸収型と反射型のワイヤグリッドが相対する位置で積層されても良い。ワイヤグリッドを積層面とする場合、接着層がワイヤグリッドのワイヤ間に充填されると光学特性が変わるので、接着層がワイヤ頂部のみに接している状態が好ましい。
以上のように簡便に光学的な平行位置でワイヤグリッド偏光子がそろったワイヤグリッド偏光子を得られるために、簡便な装置で安価に製造することが可能である。さらに、各々の偏光子は接着するまで独立であるので、それぞれに最適で容易な製造方法を選択でき、生産効率、コストの点から鑑みて実際の工業生産において大きな利点を有する。
本発明の吸収型ワイヤグリッド偏光子においては、偏光機能を有しているのは、無機物であるので、熱や光に対する耐久性に優れている。
次に、本発明に係る吸収型ワイヤグリッド偏光子を液晶表示装置に用いた場合について説明する。
図7は、本発明の実施の形態にかかる吸収型ワイヤグリッド偏光子と反射型ワイヤグリッド偏光子から構成される複合型ワイヤグリッド偏光子を用いた液晶表示装置を示す断面外略図である。
図7に示す液晶表示装置は、発光するバックライトのような照明装置20とこの照明装置上に配置された複合型ワイヤグリッド偏光子21、22に挟まれた液晶セル23とから主に構成される。複合型ワイヤグリッド偏光子21、22は、バックライト側に反射型ワイヤグリッド偏光子21a、22aを向けて配置され、逆側に本発明の吸収型ワイヤグリッド偏光子21b、22bが位置する。液晶セル23は透過型液晶セルであり、ガラスや透明樹脂基板間に液晶材料などを挟持して構成されている。なお、図7の液晶表示装置中において、通常使用されている偏光子保護フィルム、位相差フィルム、拡散板、配向膜、透明電極、カラーフィルターなどの各種光学素子については、説明を省略する。
このような構成の液晶表示装置においては、照明装置20から出射された光が複合型ワイヤグリッド偏光子21の反射型ワイヤグリッド偏光子21aから入射し、液晶セル23を通過し、再び複合型ワイヤグリッド型偏光子22の反射型ワイヤグリッド偏光子22aから入射、外界に出射される(図中30)。この場合において、複合型ワイヤグリッド偏光子21、22が可視光領域において、優れた偏光度を発揮するので、コントラストの高い表示を得ることが可能となる。また、透過しない照明装置20からの入射光は、照明装置側に向けて反射され、再利用されることで高い輝度を得ることができる。
一方、外光は、複合型ワイヤグリッド偏光子22における本発明の吸収型ワイヤグリッド偏光子22bから入射し、液晶セル23を通過し、再び複合型ワイヤグリッド偏光子21の吸収型ワイヤグリッド偏光子21bから入射、照明装置20に出射される(図中31)。この場合においては、透過しない外光は、本発明の吸収型ワイヤグリッド偏光子22a、22bにより効率良く吸収される。以上、まとめると液晶表示装置において、十分な色再現性や黒表示を実現することができる。
次に、本発明の効果を明確にするために行なった実施例について説明する。なお、下記実施の形態における寸法、材質などは例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、適宜変更して実施することが可能である。
[実施例1]
(格子状凸部を有する基材の作成)
・微細凹凸格子形状の作成
ガラス上にフォトレジストを塗布した基板に、電子線ビーム描画法を用いて、微細凹凸格子を形成した。このレジストパターンの表面と断面を、電界放出形走査電子顕微鏡(STEM、日立ハイテクノロジーズ製S−5500)で観察したところ、微細凹凸格子のピッチと高さがそれぞれ、145nm/130nm(ピッチ/高さ)であり、その断面形状がほぼ台形形状で、上面からの形状が縞状格子状となっており凸部の幅が45nmで谷部の幅が70nmであることがわかった。
・ニッケルスタンパ作成
得られた145nmピッチのレジストパターン表面に、導電化処理として金をスパッタ法により30nm被覆した後、ニッケルを電気メッキし、厚さ0.3mmの微細凹凸格子を表面に有するニッケルスタンパを作成した。
・紫外線硬化性樹脂を用いた格子状凸部転写フィルムの作成
厚さ0.1mmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(以下、PETフィルム)に紫外線硬化樹脂(東洋合成株式会社製PAK01)を約0.03mm塗布し、塗布面を下にして前記145nmピッチの微細凹凸格子を表面に有するニッケルスタンパ上に、それぞれ端部からニッケルスタンパとPETフィルムとの間に空気が入らないように載せ、PETフィルム側から中心波長365nmの紫外線ランプを用いて紫外線を1000mJ/cm照射し、ニッケルスタンパの微細凹凸格子を転写した。得られた格子状凸部転写フィルムをSTEMにより観察し、その断面形状がほぼ台形形状で、上面からの形状が縞状格子状となっていることを確認した。
・吸収型偏光子の作成
前記した紫外線硬化性樹脂を用いて作成した格子状凸部転写フィルムに、スパッタ法を用いて誘電体を被覆した。本実施例では、誘電体として窒化ケイ素を用いた場合について、説明する。Arガス圧力0.67Pa、スパッタパワー4W/cm、被覆速度0.22nm/秒にて誘電体の被覆を行なった。層厚み比較用サンプルとして表面が平滑なガラス基板を格子状凸部転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑ガラス基板への誘電体積層厚みが5nmとなるように製膜をおこなった。
格子状凸部転写フィルムに誘電体層を形成した後、スパッタ法を用いてタングステンワイヤを形成した。本実施例では、タンスグステン(W)を用いて、Arガス圧力0.21Pa、ターゲット印加電圧366Vとし、製膜速度20nm/分で蒸着した。層厚み比較用サンプルとして表面が平滑なガラス基板を誘電体積層格子状凸部転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑基板へのW蒸着厚みが12nmとなるように蒸着を行った。なお、格子の長手方向と垂直に交わる平面内において基材面の法線と蒸着源とのなす角度は50度とした。
得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、Wワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ12nmで形成されていることが確認された。
得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子について、分光光度計を用いて、直線偏光に対する平行ニコル、直交ニコルでの透過光強度、反射光強度を測定した。その結果、吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTE波透過率81.9%、TM波透過率11.0%、TE波反射率3.9%、TM波反射率15.0%、偏光度76.4%であった。
[実施例2]
実施例1と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、スパッタ法を用いて、Crワイヤを膜厚10nmとなるように形成して吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、Crワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ10nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTE波透過率81.9%、TM波透過率9.1%、TE波反射率3.9%、TM波反射率18.1%、偏光度80.0%であった。
[実施例3]
実施例2と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、スパッタ法を用いて、Coワイヤを膜厚10nmとなるように形成して吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、Coワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ10nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTE波透過率80.0%、TM波透過率20.5%、TE波反射率4.1%、TM波反射率14.6%、偏光度59.2%であった。
[実施例4]
実施例2と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、スパッタ法を用いて、Moワイヤを膜厚10nmとなるように形成して吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、Moワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ10nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTE波透過率81.9%、TM波透過率9.3%、TE波反射率4.0%、TM波反射率15.3%、偏光度78.8%であった。
[実施例5]
実施例2と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、スパッタ法を用いて、Niワイヤを膜厚10nmとなるように形成して吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、Niワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ10nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTE波透過率85.0%、TM波透過率33.2%、TE波反射率4.0%、TM波反射率11.0%、偏光度44.1%であった。
[実施例6]
実施例2と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、スパッタ法を用いて、Hfワイヤを膜厚10nmとなるように形成して吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、Hfワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ10nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTE波透過率89.4%、TM波透過率38.5%、TE波反射率4.2%、TM波反射率8.9%、偏光度34.8%であった。
[実施例7]
実施例2と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、スパッタ法を用いて、Mnワイヤを膜厚10nmとなるように形成して吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、Mnワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ10nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTE波透過率86.0%、TM波透過率24.4%、TE波反射率3.8%、TM波反射率10.3%、偏光度55.6%であった。
[実施例8]
実施例2と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、スパッタ法を用いて、Taワイヤを膜厚10nmとなるように形成して吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、Taワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ10nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTE波透過率90.0%、TM波透過率19.0%、TE波反射率4.0%、TM波反射率7.9%、偏光度65.1%であった。
[実施例9]
実施例1と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、反応性スパッタ法を用いて酸化アルミニウムワイヤを形成した。本実施例では、アルミニウムターゲットを用いて、アルゴンガス(純度99.999%)と酸素ガス(純度99.999%)を導入し、製膜圧力0.21Pa、ターゲット印加電力密度4.4W/cmとし、製膜速度50nm/分で蒸着した。層厚み比較用サンプルとして表面が平滑なガラス基板を誘電体積層格子状凸部転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑基板への酸化アルミニウム蒸着厚みが16nmとなるように蒸着を行った。なお、格子の長手方向と垂直に交わる平面内において基材面の法線と蒸着源とのなす角度は50度とした。
得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、酸化アルミニウムワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ16nmで形成されていることが確認された。
得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子について、分光光度計を用いて、直線偏光に対する平行ニコル、直交ニコルでの透過光強度、反射光強度を測定した。その結果、吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTE波透過率85.4%、TM波透過率14.3%、TE波反射率3.9%、TM波反射率16.1%、偏光度70.8%であった。
[実施例10]
実施例9と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、鉄ターゲットを用いた反応性スパッタ法により、酸化鉄ワイヤを膜厚30nmとなるように形成して吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、酸化鉄ワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ30nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTE波透過率80.5%、TM波透過率38.9%、TE波反射率3.3%、TM波反射率5.3%、偏光度34.3%であった。
[実施例11]
実施例9と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、ニッケルターゲットを用いた反応性スパッタ法により、酸化ニッケルワイヤを膜厚18nmとなるように形成して吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、酸化ニッケルワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ18nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTE波透過率85.6%、TM波透過率26.7%、TE波反射率3.9%、TM波反射率7.3%、偏光度52.4%であった。
比較例1
実施例9と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、銅ターゲットを用いた反応性スパッタ法により、酸化銅ワイヤを膜厚70nmとなるように形成して吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、酸化銅ワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ70nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTE波透過率60.0%、TM波透過率15.2%、TE波反射率8.3%、TM波反射率17.4%、偏光度59.0%であった。
[実施例13]
実施例9と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、コバルトターゲットを用いた反応性スパッタ法により、酸化コバルトワイヤを膜厚16nmとなるように形成して吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、酸化コバルトワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ16nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTE波透過率84.0%、TM波透過率20.0%、TE波反射率3.8%、TM波反射率13.6%、偏光度61.6%であった。
このように、実施例1から実施例13の吸収型ワイヤグリッド型偏光子については、吸収型偏光成分で構成された層としての材料ワイヤを、格子状凸部の断面斜面部の片側に所定の厚さで設けたので、低反射率及び高透過率を実現することができた。
[実施例14]
・吸収型偏光子の作成
実施例1と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体およびWを積層した後、フィルムを室温下の0.025重量%水酸化ナトリウム水溶液中で、処理時間を30秒〜100秒の間において10秒間隔で変えながら洗浄(エッチング)し、すぐに水洗してエッチングを停止させた。その後、フィルムを乾燥して吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。偏光性能評価から、50秒エッチングをした吸収型ワイヤグリッド型偏光子を選定した。
吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTE波透過率91.6%、TM波透過率23.2%、TE波反射率3.8%、TM波反射率12.0%、偏光度59.56%であった。
・反射型偏光子の作成
前記と同様に窒化ケイ素が表面に形成された格子状凸部転写フィルムに、電子ビーム真空蒸着法(EB蒸着法)を用いて金属ワイヤを形成した。本実施例では、金属としてアルミニウム(Al)を用いた。真空度2.5×10−3Pa、蒸着速度20nm/s、基板温度は常温として蒸着を行なった。層厚み比較用サンプルとして表面が平滑なガラス基板を誘電体積層格子状凸部転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑基板へのAl蒸着厚みが170nmとなるように蒸着をおこなった。なお、格子の長手方向と垂直に交わる平面内において基材面の法線と蒸着源とのなす角度は20度とした。
格子状凸部転写フィルムに誘電体及びAlを積層した後、フィルムを室温下の0.1重量%水酸化ナトリウム水溶液中で、処理時間を30秒〜120秒の間において10秒間隔で変えながら洗浄(エッチング)し、すぐに水洗してエッチングを停止させた。その後、フィルムを乾燥して反射型ワイヤグリッド偏光子を得た。下記の偏光性能評価から、90秒エッチングをした反射型ワイヤグリッド偏光子を選定した。
得られた反射型ワイヤグリッド偏光子について、分光光度計を用いて、直線偏光に対する平行ニコル、直交ニコルでの透過光強度、反射光強度を測定した。その結果、反射型ワイヤグリッド型偏光子のTE波透過率88.7%、TM波透過率0.04%、TE波反射率3.4%、TM波反射率54.8%、偏光度99.91%であった。
・吸収型、反射型偏光子の積層
前記した方法で、得られた吸収型、反射型ワイヤグリッド偏光子の周囲4辺のうち1辺について、既存偏光子を基準として偏光軸を合わせた。続いて偏光軸をあわせた1辺を機械的にあわせながら、互いのワイヤグリッドの基板側を光学的に透明な粘着材を用いて接着、貼り合わせた。
得られた偏光子について、分光光度計を用い、直線偏光に対する透過光強度、反射光強度を測定した。TE波透過率79.25%、TM波透過率0.012%、吸収型ワイヤグリッド偏光子側のTE波反射率4.2%、TM波反射率17.1%、全光反射率10.7%。反射型ワイヤグリッド偏光子側のTE波反射率4.9%、TM波反射率77.8%、全光反射率41.4%、偏光度99.97%であった。
比較例2
・吸収型偏光子の作成
実施例1と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体および酸化アルミニウムを、格子の長手方向と垂直に交わる平面内において基材面の法線と蒸着源とのなす角度を30度として積層した後、フィルムを室温下の0.1重量%水酸化ナトリウム水溶液中で、処理時間を120秒〜200秒の間において10秒間隔で変えながら洗浄(エッチング)し、すぐに水洗してエッチングを停止させた。その後、フィルムを乾燥して吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。偏光性能評価から、160秒エッチングをした吸収型ワイヤグリッド型偏光子を選定した。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、酸化アルミニウムワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に垂直方向に厚さ200nmで形成されていることが確認された。
吸収型ワイヤグリッド型偏光子はTE波透過率89.4%、TM波透過率47.5%、TE波反射率5.4%、TM波反射率7.6%、偏光度30.6%であった。
・反射型偏光子の作成
前記と同様に窒化ケイ素が表面に形成された格子状凸部転写フィルムに、電子ビーム真空蒸着法(EB蒸着法)を用いて金属ワイヤを形成した。本実施例では、金属としてアルミニウム(Al)を用いた。真空度2.5×10−3Pa、蒸着速度20nm/s、基板温度は常温として蒸着を行なった。層厚み比較用サンプルとして表面が平滑なガラス基板を誘電体積層格子状凸部転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑基板へのAl蒸着厚みが170nmとなるように蒸着をおこなった。なお、格子の長手方向と垂直に交わる平面内において基材面の法線と蒸着源とのなす角度は20度とした。
格子状凸部転写フィルムに誘電体及びAlを積層した後、フィルムを室温下の0.1重量%水酸化ナトリウム水溶液中で、処理時間を30秒〜120秒の間において10秒間隔で変えながら洗浄(エッチング)し、すぐに水洗してエッチングを停止させた。その後、フィルムを乾燥して反射型ワイヤグリッド偏光子を得た。下記の偏光性能評価から、90秒エッチングをした反射型ワイヤグリッド偏光子を選定した。
得られた反射型ワイヤグリッド偏光子について、分光光度計を用いて、直線偏光に対する平行ニコル、直交ニコルでの透過光強度、反射光強度を測定した。その結果、反射型ワイヤグリッド型偏光子のTE波透過率88.7%、TM波透過率0.04%、TE波反射率3.4%、TM波反射率54.8%、偏光度99.91%であった。
・吸収型、反射型偏光子の積層
前記した方法で、得られた吸収型、反射型ワイヤグリッド偏光子の周囲4辺のうち1辺について、既存偏光子を基準として偏光軸を合わせた。続いて偏光軸をあわせた1辺を機械的にあわせながら、互いのワイヤグリッドの基板側を光学的に透明な粘着材を用いて接着、貼り合わせた。
得られた偏光子について、分光光度計を用い、直線偏光に対する透過光強度、反射光強度を測定した。TE波透過率81.5%、TM波透過率0.025%、吸収型ワイヤグリッド偏光子側のTE波反射率4.3%、TM波反射率29.9%、全光反射率17.1%。反射型ワイヤグリッド偏光子側のTE波反射率4.3%、TM波反射率76.6%、全光反射率40.5%、偏光度99.93%であった。
このように本発明にかかる吸収型ワイヤグリッド偏光子は、高透過率と低反射率の両性能を満たし、反射型ワイヤグリッド偏光子と積層した複合型偏光子において、バックライト側の光利用効率を高め、外光側の入射光に対する反射率を抑制し、LCDのような表示装置に配設した場合に十分な色再現性と黒表示を実現できる。さらには偏光機能の発現を全て無機材料で構成しているために、耐久性に優れる。
本発明の実施の形態に係る吸収型ワイヤグリッド偏光子である。 本発明を構成する吸収型ワイヤグリッド偏光子を、拡大図示した概略断面斜視図である。 本発明の実施の形態に係る吸収型ワイヤグリッド偏光子と、反射型ワイヤグリッド偏光子を積層一体化した偏光子の概略断面斜視図である。 吸収型ワイヤグリッド偏光子と、吸収型ワイヤグリッド偏光子を積層一体化した偏光子における反射光の挙動を示す断面概略図 本発明の吸収型ワイヤグリッド偏光子と、反射型ワイヤグリッド偏光子を接着するための接着工程の一例を示す概略図である。 本発明の吸収型ワイヤグリッド偏光子と、反射型ワイヤグリッド偏光子を積層する他の構成の一例を示す概略断面斜視図である。 本発明の実施の形態に係る吸収型ワイヤグリッド偏光子を用いた液晶表示装置を示す断面概略図である。
符号の説明
1,11,21b,22b 吸収型ワイヤグリッド偏光子
1a 低反射材料ワイヤ
1b 基材
1c 格子状凸部
2,21a,22a 反射型ワイヤグリッド偏光子
2a 反射型金属ワイヤ
3 複合型ワイヤグリッド偏光子
4,5 入射光
6 透明基板層
7 接着層
10 偏光軸
11a 偏光軸と一致した辺
12 偏光子
20 照明装置
21,22 ワイヤグリッド偏光子
23 液晶セル
30 バックライト入射光
31 外光入射光

Claims (2)

  1. 格子状に凸部を有する基材と、前記基材の凸部上の断面視における斜面部の片面のみを覆うように前記基材に密着して形成された、吸収型偏光成分で構成された層と、を具備し、
    前記吸収型偏光成分が、
    W、V、Cr、Co、Mo、Ge、Ir、Ni、Os、Ti、Fe、Nb、Hf、Mn、Ta、及びこれらのうち少なくとも一つを主成分とする合金からなる群から選ばれた少なくとも一つの金属若しくは合金であり、前記層が、5nm以上30nm以下の厚さで形成されていることを特徴とする吸収型ワイヤグリッド偏光子。
  2. 前記凸部の断面形状が、台形、矩形、方形、プリズム状、又は正弦波状であることを特徴とする請求項1に記載の吸収型ワイヤグリッド偏光子。
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