JP5291424B2 - 吸収型ワイヤグリッド偏光子及び液晶表示装置 - Google Patents
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(黒表示光量)=Ic+R・Iin
と与えられる。十分な黒表示を行うには黒表示光量が小さいほど良いので、バックライト透過光量Icを低下させるか、外光反射率Rを低下させることが必要となる。一般的に光量の値はIin>Icであるので、外光反射率Rを低下させることが最も効果的である。
日本女子大学紀要 理学部 第14号(2006) FPDの光学材料 月刊ディスプレイ10月号別冊(2007) テクノタイムズ社
本発明の液晶表示装置は、照明装置と、前記照明装置上に配置された一対の複合型ワイヤグリッド偏光子と、前記一対の複合型ワイヤグリッド偏光子に挟まれた液晶パネルと、を具備し、前記複合型ワイヤグリッド偏光子は、前記照明装置側に反射型ワイヤグリッド偏光子が配置され、前記照明装置と逆側に上記吸収型ワイヤグリッド偏光子が位置することを特徴とする。
図1は、本発明の実施の形態に係る吸収型ワイヤグリッド偏光子の一例を示す概略断面斜視図であり、図2は、図1の吸収型ワイヤグリッド偏光子1を拡大図示した概略断面斜視図である。
4R=R1c+(T1c)2・R2a/(1−R1c・R2a) 1)
ここで、
R1c:低反射材料ワイヤ1c,1dの反射率
T1c:低反射材料ワイヤ1c,1dの透過率
R2a:反射型金属ワイヤ2aの反射率
(格子状凸部を有する基材の作製)
・微細凹凸格子形状の作製
ガラス上にフォトレジストを塗布した基板に、電子線ビーム描画法を用いて、微細凹凸格子を形成した。このレジストパターンの表面と断面を、電界放出形走査電子顕微鏡(STEM、日立ハイテクノロジーズ製S−5500)で観察したところ、微細凹凸格子のピッチと高さがそれぞれ、145nm/130nm(ピッチ/高さ)であり、その断面形状がほぼ台形形状で、上面からの形状が縞状格子状となっており凸部の幅が45nmで谷部の幅が70nmであることがわかった。
得られた145nmピッチのレジストパターン表面に、導電化処理として金をスパッタリング法により30nm被覆した後、ニッケルを電気メッキし、厚さ0.3mmの微細凹凸格子を表面に有するニッケルスタンパを作製した。
厚さ0.1mmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(以下、PETフィルム)に紫外線硬化樹脂(東洋合成株式会社製PAK01)を約0.03mm塗布し、塗布面を下にして前記145nmピッチの微細凹凸格子を表面に有するニッケルスタンパ上に、それぞれ端部からニッケルスタンパとPETフィルムとの間に空気が入らないように載せ、PETフィルム側から中心波長365nmの紫外線ランプを用いて紫外線を1000mJ/cm2照射し、ニッケルスタンパの微細凹凸格子を転写した。得られた格子状凸部転写フィルムをSTEMにより観察し、その断面形状がほぼ台形形状で、上面からの形状が縞状格子状となっていることを確認した。
前記した紫外線硬化性樹脂を用いて作製した格子状凸部転写フィルムに、スパッタリング法を用いて誘電体を被覆した。本実施例では、誘電体として窒化ケイ素を用いた場合について、説明する。Arガス圧力0.67Pa、スパッタパワー4W/cm2、被覆速度0.22nm/秒にて誘電体の被覆を行なった。層厚み比較用サンプルとして表面が平滑なガラス基板を格子状凸部転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑ガラス基板への誘電体積層厚みが5nmとなるように製膜を行なった。
実施例1と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、スパッタリング法を用いて、タンタルワイヤを膜厚12.1nmとなるように形成し、更にタンタル層の上にタングステンワイヤを膜厚9.5nmとなるように積層し、吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、タングステン/タンタル積層ワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ約21nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTM波透過率89.3%、TE波透過率15.3%、TM波反射率4.4%、TE波反射率20.7%、偏光度70.7%であった。
実施例1と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、スパッタリング法を用いて、タングステンワイヤを膜厚9.5nmとなるように形成し、更にタングステン層の上にニッケルタングステン合金ワイヤ(ニッケル81重量%、タングステン19重量%)を膜厚10.3nmとなるように積層し、吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、ニッケルタングステン合金/タングステン積層ワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ約20nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTM波透過率87.9%、TE波透過率16.3%、TM波反射率4.1%、TE波反射率20.6%、偏光度68.7%であった。
実施例1と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、スパッタリング法を用いて、ジルコニウムワイヤを膜厚11.7nmとなるように形成し、更にジルコニウム層の上にモリブデンワイヤを膜厚11.8nmとなるように積層し、吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、モリブデン/ジルコニウム積層ワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ約22nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTM波透過率89.2%、TE波透過率18.9%、TM波反射率3.9%、TE波反射率19.1%、偏光度65.0%であった。
実施例1と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、スパッタリング法を用いて、クロムワイヤを膜厚9.3nmとなるように形成し、更にクロム層の上にジルコニウムワイヤを膜厚12.4nmとなるように積層し、吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、ジルコニウム/クロム積層ワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ約22nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTM波透過率88.8%、TE波透過率16.2%、TM波反射率4.1%、TE波反射率17.4%、偏光度69.1%であった。
実施例1と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、スパッタリング法を用いて、ジルコニウムワイヤを膜厚12.4nmとなるように形成し、更にジルコニウム層の上にクロムワイヤを膜厚9.3nmとなるように積層し、吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、クロム/ジルコニウム積層ワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ約22nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTM波透過率89.7%、TE波透過率17.7%、TM波反射率3.7%、TE波反射率18.4%、偏光度67.0%であった。
実施例1と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、スパッタリング法を用いて、ハフニウムワイヤを膜厚10.2nmとなるように形成し、更にハフニウム層の上にニオブワイヤを膜厚10.2nmとなるように積層し、吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、ニオブ/ハフニウム積層ワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ約20nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTM波透過率88.4%、TE波透過率22.1%、TM波反射率3.9%、TE波反射率12.7%、偏光度60.0%であった。
実施例1と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、スパッタリング法を用いて、ステンレスSUS304を膜厚14.7nmとなるように形成し、更にステンレスSUS304層の上に、酸素反応性スパッタリング法を用いて酸化鉄ワイヤを膜厚14.6nmとなるように積層し、吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、酸化鉄/ステンレスSUS304積層ワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ約28nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTM波透過率91.7%、TE波透過率46.5%、TM波反射率4.5%、TE波反射率5.9%、偏光度32.7%であった。
実施例1と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、酸素反応性スパッタリング法を用いて、酸化ニッケルを膜厚20.0nmとなるように形成し、更に酸化ニッケル層の上に、酸素反応性スパッタリング法を用いて酸化鉄ワイヤを膜厚14.6nmとなるように積層し、吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、酸化鉄/酸化ニッケル積層ワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ約24nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTM波透過率88.8%、TE波透過率32.2%、TM波反射率3.9%、TE波反射率8.9%、偏光度46.8%であった。
実施例1と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、スパッタリング法を用いて、ニッケルを膜厚15.0nmとなるように形成し、更にニッケル層の上に、酸素反応性スパッタリング法を用いて酸化アルミニウムワイヤを膜厚9.5nmとなるように積層し、吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、酸化アルミニウム/ニッケル積層ワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ約24nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTM波透過率86.0%、TE波透過率30.8%、TM波反射率3.8%、TE波反射率11.9%、偏光度47.3%であった。
実施例1と同様に格子状凸部転写フィルムに誘電体を形成した後、スパッタリング法を用いて、コバルトを膜厚10.0nmとなるように形成し、更にコバルト層の上に、スパッタリング法を用いてニッケルワイヤを膜厚6.0nmとなるように積層し、更にニッケル層の上に、スパッタリング法を用いてコバルトワイヤを膜厚10.0nmとなるように積層し、吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、コバルト/ニッケル/コバルト積層ワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に厚さ約25nmで形成されていることが確認された。得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTM波透過率84.7%、TE波透過率15.6%、TM波反射率3.0%、TE波反射率27.8%、偏光度68.9%であった。
・反射型偏光子の作製
前記と同様に窒化ケイ素が表面に形成された格子状凸部転写フィルムに、電子ビーム真空蒸着法(EB蒸着法)を用いて金属ワイヤを形成した。本実施例では、金属としてアルミニウムを用いた。真空度2.5×10−3Pa、蒸着速度20nm/s、基板温度は常温として蒸着を行なった。層厚み比較用サンプルとして表面が平滑なガラス基板を誘電体積層格子状凸部転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑基板へのアルミニウム蒸着厚みが170nmとなるように蒸着をおこなった。なお、格子の長手方向と垂直に交わる平面内において基材面の法線と蒸着源とのなす角度は20度とした。
前記した方法で得られた反射型ワイヤグリッド偏光子と実施例1の吸収型ワイヤグリッド偏光子の周囲4辺のうち1辺について、既存偏光子を基準として偏光軸を合わせた。続いて偏光軸をあわせた1辺を機械的に合わせながら、互いのワイヤグリッドの基板側を光学的に透明な粘着材を用いて接着、貼り合わせた。
1a 格子状凸部
1b 基材
1c,1d 低反射材料ワイヤ
2,21c,22a 反射型ワイヤグリッド偏光子
2a 反射型金属ワイヤ
3 複合型ワイヤグリッド偏光子
4,5 入射光
6 透明基板層
7 接着層
10 透過光
11a 変更軸と一致した辺
12 偏光子
20 照明装置
21,22 ワイヤグリッド偏光子
23 液晶パネル
30 バックライト入射光
31 外光入射光
Claims (6)
- 格子状に凸部を有する可視光に対して透明な基材と、前記基材の凸部上に形成され、それぞれ吸収型偏光成分で構成された少なくとも2層の積層体と、を具備し、前記積層体が、横断面視において前記凸部の側面の頂点から根元にわたって片寄った状態で形成されていることを特徴とする吸収型ワイヤグリッド偏光子。
- 前記積層体は、厚さ5nm以上250nm以下で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吸収型ワイヤグリッド偏光子。
- 前記積層体の厚さが5nm以上30nm以下であることを特徴とする請求項2に記載の吸収型ワイヤグリッド偏光子。
- 前記吸収型偏光成分が、モリブデン、クロム、タングステン、ジルコニウム、タンタル、ニッケル、鉄、ニオブ、ハフニウム、コバルト及びこれらのうち少なくとも一つを主成分とする合金からなる群から選ばれた少なくとも一つの低反射材料であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の吸収型ワイヤグリッド偏光子。
- 前記吸収型偏光成分が、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ニッケルからなる群から選ばれた少なくとも一つの材料を主成分とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の吸収型ワイヤグリッド偏光子。
- 照明装置と、前記照明装置上に配置された一対の複合型ワイヤグリッド偏光子と、前記一対の複合型ワイヤグリッド偏光子に挟まれた液晶パネルと、を具備し、前記複合型ワイヤグリッド偏光子は、前記照明装置側に反射型ワイヤグリッド偏光子が配置され、前記照明装置と逆側に請求項1から請求項5のいずれかに記載の吸収型ワイヤグリッド偏光子が位置することを特徴とする液晶表示装置。
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