JP2008258302A - 有機el発光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】輝度の向上と外光反射の防止とを両立させることができる有機EL発光装置を提供する。
【解決手段】基材の上の一対の電極の間に有機化合物層が挟まれてなる有機EL素子を有し、前記有機EL素子の光取り出し側にプリズム部材、偏光部材、位相差部材を有する有機EL発光装置において、前記偏光部材は前記プリズム部材よりも光取り出し側に配置されており、前記プリズム部材のプリズム面に微細構造による反射防止処理が施されていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は自発光タイプの有機EL発光装置に関し、更に言うと、発光素子(画素)からの光の取り出し効率が向上した有機EL発光装置に関する。
有機EL素子などの自発光素子からの光は、例えば素子基板と空気界面とで、臨界角よりも大きな角度で入射した光は全反射される。そのため実際は全発光の20%程度の光しか外部に取り出せないという問題がある。そこで素子の光取り出し面に凹凸などを設けることで、光取り出し効率を高くする提案が多数なされている。
表示(発光)装置の高輝度化技術として、特許文献1、特許文献2に開示の技術がある。すなわち、バックライト光源からの光が液晶表示パネルに導かれる途中部分に、三角柱、四角錐などの形状を最適化したプリズムシートを挿入し、正面観察方向へ効率良く集光させるものである。
特許文献3には、光源が自発光タイプの有機EL素子に、プリズムシートを設けた有機EL発光装置が開示されている。
特許文献4には、光源が自発光タイプの有機EL素子に、円偏光板とプリズムシートとを積層した有機EL発光装置が開示されている。
特許文献5には、光源が自発光タイプの有機EL素子に、プリズムシートに相当するものと円偏光板とを積層した有機EL発光装置が開示されている。
特開平4−67016号公報 特開平6−308485号公報 特開2005−55481号公報 特開2002−216947号公報 特許第3543951号公報
従来のプリズムシートを付加した有機EL発光装置は、光源としての利用検討が主であった。しかし、映り込みの少ない、高精彩画像を表示できる有機EL発光装置への応用は十分検討なされていない。また円偏光板を利用して外光反射を抑える構成が開示されているが、不十分なものであった。
本発明は、輝度の向上と外光反射の防止とを両立させることができる有機EL発光装置を提供することを目的とする。
上記背景技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る有機EL発光装置は、
基材の上の一対の電極の間に有機化合物層が挟まれてなる有機EL素子を有し、前記有機EL素子の光取り出し側にプリズム部材、偏光部材、位相差部材を有する有機EL発光装置において、
前記偏光部材は前記プリズム部材よりも光取り出し側に配置されており、
前記プリズム部材のプリズム面に微細構造による反射防止処理が施されていることを特徴とする。
本発明に係る有機EL発光装置は、輝度の向上と外光反射の防止とを両立させることができる。
本発明に係る有機EL発光装置の実施形態を説明する。
図1にトップエミッション型の有機EL発光装置に、本発明の構成を適用した例を示す。
図1に示す有機EL発光装置は、基材の上の一対の電極の間に有機化合物層が挟まれてなる有機EL素子1を有する。ちなみに、本実施形態の有機EL素子1はトップエミッション素子である。
図1(a)に示す有機EL発光装置は、前記有機EL素子1の光取り出し側にプリズム部材(シート)2、円偏光板3を有する構成である。この円偏光板3は、自然光を直線偏光に変える偏光部材(直線偏光板)と、位相差を与えて直線偏光を円偏光に変える位相差部材とからなる。
図1(b)に示す有機EL発光装置は、円偏光板3を構成する偏光部材31と位相差部材32とが上下に分かれて配置されており、それらの間にプリズムシート2が配置された構成である。
これらの有機EL発光装置は、前記偏光部材が前記プリズムシート2よりも光取り出し側に配置されており、前記プリズムシート2のプリズム面に微細構造による反射防止処理が施されていることを特徴とする。
プリズムシート2は、光取り出し側の面(本実施形態では上面)に凸部が複数設けられた光透過性を有する部材である。凸部の形状は角錐、角錐台、三角柱などが好ましいが、凸部の高さ、底面の形状が最適化され、凸部の傾斜が所定の角度に近くなるように、適宜、錐状体、三角柱が選択される。具体的には、底辺が1μm〜100μm、高さが0.1μm〜200μm程度で、傾斜角度は錐状体、三角柱の頂角が30度〜160度程度となるように選択される。プリズムシート2の凸部の頂角は、後述するように輝度の向上と外光反射の防止とを両立させるべく、90度〜140度となるように選択されることが好ましい。
ちなみに、角錐形状は光取り出し方向への集光効果が大きいことが期待されるが、反面、シート成形用の金型作製や、シート製造プロセスが難しくなる難点がある。これに対して三角柱形状は、バックライトの輝度上昇フィルムとして、既に商品化されていることもあり、低コストで導入できる利点がある。
凸部の形状に起因する回折の影響でプリズムシート2が色味を帯びないようにするには、1μm以上のピッチサイズが好ましい。また有機EL発光装置を観察する際、画像の滲みを感じないためには、プリズムシート2と、発光面との距離が、画素ピッチ以下(通常100μm程度)であることが好ましい。ちなみに、本実施形態では、単層のプリズムシート2であるが、複数層のプリズムシート2を有する場合は、有機EL素子の最も近くに配置されたプリズムシート2と、発光面との距離が、画素ピッチ以下とされる。
プリズムシート2を作製するには、透明シートを用いて凸部を連続的に形成する。シート材料としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、ガラスなどを用いることができる。列挙した材料の屈折率はそれぞれ1.49〜1.57で、ほぼ同じ値である。なお、外光反射防止のため円偏光板3をプリズムシート2の光取り出し側に配置する場合は、特に材料の複屈折の少ないシート材料を選ぶ必要がある。
凸部を形成するには、先ずフォトリソグラフィ技術を用いてレジスト凸パターンを形成し、電鋳技術を用いてパターン転写した凹金型を作製する。次に、この凹金型を用いて上記透明シートを加熱圧縮成形して凸部を連続的に形成する。或いは、光硬化性樹脂を用いて透明シート上に凸パターンを転写した後、この光硬化性樹脂を紫外線硬化するなどの工程により凸部を連続的に形成する。
上記したバックライトの輝度上昇フィルムなどとして用いられる三角柱形状の凸部が連続的に形成されたプリズムシートを作製するには、シリンダーの金型が用いられる場合がある。銅メッキなどで表面平坦処理をしたシリンダーを回転させて、ダイヤモンドバイトなどで所定の溝凹パターンを切削形成する。次に、このシリンダーを用いて印刷の要領で、凸部を連続的に形成する。すなわち、シリンダーの凹溝部に光硬化性樹脂を含ませ、シリンダーを回転させながら、透明シート面に光硬化性樹脂による凸パターンを転写する。次に、紫外線照射により前記凸パターンを硬化する。この方式では透明シートの厚さを数μmまで薄くしても良好な凸部が得られ、金型の作製、プリズムシート作製ともに低コストで行える利点がある。
上記プリズムシート2のプリズム面に施される微細構造を形成するには、半導体微細加工技術を利用して、数枚のマスクを使って、上記したプリズム面のレジスト凸パターン上に露光とエッチングを重ねることで、階段状(錐状)の微細構造を連続的に形成する。或いは、プリズム面のレジスト凸パターン上に、電子線やレーザビームの直接描画によって錐状のレリーフ形状を形成する。
例えば、周期0.3μm、高さ0.45μmの四角錐形状のアクリル樹脂(屈折率1.51)微細構造をアクリル樹脂平滑表面に設けると可視域で、0.1%以下の反射防止膜となる。この表面構造は光波の入射方向に依存せず、低反射特性を示す。これは、微細構造の平均屈折率が、アクリル樹脂(プリズムシートのシート材料)の屈折率1.51から空気の屈折率1.0まで膜厚方向に連続的に変化して、反射が起こる屈折率段差が形成されないためである。
この他、微細構造を形成するには、ゾル−ゲル法で例えばNa2O−B23−SiO2膜をコートし、加熱処理により分相させ、その後フッ化水素酸でエッチングして多孔性のシリカ膜に変え、反射防止膜とすることも可能である。
例えば、特開平10−133002号公報には次のような微細構造を形成する方法が開示されている。すなわち、ゾル−ゲル法により親水性有機溶剤に酸化物微粒子(例えばシリカ粒子)、有機ケイ素シロキサン液を混合し、膜を形成する。この後、有機溶剤により膜中の有機材料を除去することで多孔質反射防止膜が得られる。
偏光部材(板)は、あらゆる方向に振動している光から一定方向にのみ振動する直線偏光を取り出すフィルターである。例えば、一軸に延伸されたポリビニルアルコールフィルムにヨウ素などのニ色性色素を吸着配向させたものが使用される。
位相差部材は、偏光板によって偏光状態になった光に位相差を与える。本発明では、ほぼ1/4λの位相差を与え、直線偏光を円偏光に、円偏光を直線偏光に、それぞれ偏光状態を変える働きをもつ。材料としては、例えばポリカーボネートの一軸延伸配向フィルムなどが用いられる。
上記偏光板と1/4λ板(位相差部材)を積層してなる円偏光板3を透過する光は、円偏光に変換される。また、円偏光板3を透過する円偏光は1/4λ板を透過する際に、直線偏光に変換される。一度、この円偏光板3を透過して、反射した円偏光は再度、この円偏光板3を透過する際に偏光板と直交する向きの偏光に変換されるため、偏光板で吸収されて透過することはできない。
有機EL素子は、公知の素子構成、素子材料を適宜利用することができ、本実施形態では図2に示すトップエミッションの有機EL素子を以下の工程で作製した。
駆動用回路などが予め設けられた基板11に真空蒸着法で有機EL膜を形成する。基板11には予め50nmの厚さ、100μ□のCrの金属アノード電極(下部電極)12が、200μmピッチで2次元パターン形成されている。アノード電極材料としては、他に反射率の高いAl、Agなどでも良く、正孔注入性を高めるために、ITO、IZOなどの透明導電膜をこの上に積層することも可能である。
下部電極12の上に有機化合物層13を形成する。具体的には、有機EL材料である正孔輸送層としてα−NPDを20nmの厚さに積層、発光層としてAlq3を30nmの厚さに積層、電子注入層として炭酸セシウムとAlq3の混合膜を50nmの厚さに積層した。
透明カソード電極(上部電極)14としてITO膜をスパッタ法により60nmの厚さに積層する。
外部から水分が有機化合物層13に浸透しないように、防湿層15としてSiN膜をスパッタ法により640nmの厚さに積層して、有機EL素子を完成した。この素子構成では、Alq3分子のEL発光は、正孔輸送層と発光層との界面で起こる。
透明保護膜(不図示)としては、ケイ素、ホウ素、ゲルマニウムなどを主成分とした酸化物、窒化物、硫化物材料の膜が適している。酸素、水分などの遮断効果が得られる膜厚は300nm〜10μmほどである。膜応力を小さくすること、成膜時間を短くして生産性を高めることを考えると、好ましくは300nm〜5μm程度が望ましい。
本発明に係る有機EL発光装置の輝度向上メカニズムについて検討する。
例えばプリズムシート2の凸部の頂角が110度に設定されると、従来の平面形状では全反射で取り出されない光を含めて、垂直方向へ出射される光の成分が多くなる。
図3に、頂角110度のプリズムシートを貼り合わせた有機EL素子の取り出し発光強度の角度依存性を示す。結果として、有機EL素子に頂角110度のプリズムシートを重ねたものは、有機EL素子だけに比べて正面の発光強度は約1.4倍に増加している。なお、正面方向を放射角度0度としている。
表1に、プリズムシートの凸部の頂角を20度から170度まで変化させた時の発光強度の角度依存を調べた結果を示す。
Figure 2008258302
プリズムシートの凸部の頂角が50度より大きな場合は、正面方向の発光強度が増大するが、頂角が120度を越えると斜め方向の発光強度の低下がある。頂角が150度を越えると、平坦な(つまりプリズムシートを貼り合せていない)REF素子の特性に近づいていく。また、全放射角度で積分した強度は平坦なREF素子と同じか、やや小さくなる。
そこで、光取り出し効率を向上させる観点から、プリズムシートの凸部の頂角としては正面方向へ出射される光の成分が、フラット面(REF)より大きくなる50度から140度程度が好ましい。
しかし、視野角特性の良い発光装置を実現するには、プリズムシートを透過した光が、斜め方向でも強度が大きい角度特性を示す必要がある。
次に、本発明に係る有機EL発光装置の外光反射防止向上メカニズムについて検討する。
有機EL発光装置の外から入射した外光は偏光板を通過する。好ましくはP偏光成分だけが入射する偏光板を選択する。貼り合わせシートの構成図である図1で、円偏光板3、プリズムシート2からなる構成では、プリズム面に入射する外光は円偏光となる。また、偏光板31、プリズムシート2、1/4λ板32からなる構成では、プリズム面に入射する外光はP偏光となる。
偏光成分はプリズムシートのプリズム面に入射する。外光の実効入射角度は、プリズム面が傾斜しているので、重畳されて大きな角度になる場合がある。例えば、頂角60度のプリズムシートに、正面方向から入射する外光は実効的には斜め60度入射になり、プリズム面で複数回反射して、外光反射として観察される。特にプリズムシートの凸部の頂角が60度より小さなものは、外光反射が大きくなる(正面方向からの外光が60度以上の実効入射角度となり高い外光反射を示す)。
表2にP偏光と円偏光とが空気層から屈折率1.5の平面に入射する際の入射角度と反射率、反射時の位相変化の計算値を示す(ここで円偏光成分はP偏光とS偏光との平均値とする)。
Figure 2008258302
斜め方向の入射になるとP偏光、円偏光ともに反射率が高くなる傾向を示すが、P偏光は円偏光に比べて反射率の上昇が小さく、プリズムシートでの反射を抑えるため、P偏光を選択するのが好ましい(P偏光では入射角度65度まで反射率は3%以下である)。
プリズムシートからの反射光が、偏光板を透過して有機EL発光装置の外に出てしまうと、有機EL発光と重なり映り込みが起こり、表示品質が低下する。P偏光では反射時の位相変化が入射角度55度を越えると位相反転して、偏光板への反射偏光はS偏光となり、偏光板で吸収され外光反射は起こらない。すなわち、プリズムシート/空気界面の反射は全ての入射角度で3%以内であり、さらに反射防止(AR)コート処理をすれば1%以内にすることも容易である。
一方、円偏光板を透過した円偏光は入射角度55度以下では反射率が5%程度で、反射時に位相反転し、反射光は円偏光板を通過せず、外光反射は起こらない。
しかし、60度を越えた入射光は10%以上の高い反射率で円偏光板に戻る。このとき、反射による位相変化は起こらないので円偏光板での反射光の吸収は起こらない。そのため、円偏光板を最も光取り出し側に配置した構成では、有機EL発光装置の正面方向からの外光反射は比較的抑えられるが、斜め方向から入射した外光の映り込みが大きく実用に適さないことが分かる。
また、次に考えるプリズム面で複数回反射する場合では、60度以下の入射でも偶数回の反射光は円偏光の位相が反転していないので、そのまま円偏光板を通過して外光反射が大きくなってしまう。
ここで、プリズム面で複数回反射が起こる場合を考える。
P偏光では55度以下の入射角度で位相変化が起こらないが、円偏光では55度以下の入射角度でも複数回反射があると反射光が吸収されずに円偏光板を通過する場合がある。また、55度以上の入射角度ではP偏光は位相反転し、円偏光は位相反転しない。
このような複数回反射が起こる場合は、複雑な位相変化があるので、晴れた日の屋外のように強い外光があらゆる方向から有機EL発光装置に入射するような場合は円偏光板を使用しても外光反射を抑えることは難しい。
実際に外光反射の影響を評価するために、ガラス基板にAlを蒸着した基板を用意し、それぞれ頂角の異なるプリズムシートをアクリル樹脂で接着し、この上に円偏光板を設けた。これらのサンプルを村上色彩(株)製「変角分光測定装置」で外光反射の影響を観察、評価した。具体的には、標準白色光源(キセノンランプ)のほぼ平行光線を、入射角度を変えながらサンプルに照射して、サンプル面を観察した。
表3に、この結果を示す。正面及び斜め方向から観察して真っ黒に見えるもの(外光反射防止効果OKなもの)は◎、ほぼ黒く見えるものは○、プリズムシートからの反射で白っぽく見えるものは×、プリズムシートの反射が注意すると見えるものは△で評価した。
Figure 2008258302
同様に外光反射の影響を評価するために、ガラス基板にAlを蒸着した基板を用意し、それぞれ頂角の異なるプリズムパターンを1/4λ板上に設けたシートをアクリル樹脂で接着し、この上に偏光板を設けた。これらのサンプルを同様の方法で外光反射の影響を観察、同様に評価した。この結果を表4に示す。
Figure 2008258302
また、上記サンプルを晴れた屋外で観察した。円偏光板を設けたサンプルでは140度以上の頂角のプリズムシートでは外光反射防止効果があり、偏光板と1/4λ板を設けたサンプルでは120度以上の頂角のプリズムシートでは外光反射防止効果があることを確認できた。これは表3、表4の結果と一致するものであった。
しかし、実際にはプリズムシートを挿入しない光取り出し面が平滑な有機EL発光装置に比べて、表示画像品質が同等以上で、かつ光取り出し効率が優れたものが望まれる。
以上のように、プリズムシートのプリズム面を用いて光取り出し効率を向上させる効果と引換えに、外光のプリズム面への入射角度が大きくなり、外光反射が大きくなるという不都合がある。入射角度によらずプリズム面が低反射になる反射防止膜は通常の光干渉効果を利用した反射防止膜では得られない。
最近になって「波長より細かい周期構造をもつ光学素子技術」(電子情報通信学会論文誌C 2000年3月号PP173−181での解説)が注目されている。例えばプリズム面に波長より細かい周期構造(微細構造)を有する膜を設けると、この膜は光波に対して平均的な屈折率をもった媒質と等価になる。
微細構造による反射防止の効果は、例えば凹凸をプリズム面上の微小角錐の集まりと考えて、以下のように説明される。空気と角錐の占有率は、錐の先端層ではほとんどが空気、錐の根元層では錐材料で占められている。プリズム面と錐の屈折率が等しい場合、微細構造の平均屈折率は深さ方向に対して空気から基板の値に徐々に変わっている。光の反射は屈折率の急激な変化で生じるので、連続的な屈折率変化に対して光はほとんど反射されない。
このような微細構造はプリズムシートに斜め方向から入射した外光に対しても効果があり、本発明の構成のプリズムシートの反射防止に特に有効である。
そのため、有機EL素子1からの発光は、プリズムシート2を透過中にプリズム面で屈折し、正面方向へ集光された後、円偏光板3を透過して、観察方向へ取り出される。一方、有機EL発光装置の外から入射した外光は円偏光板3を通過する。円偏光成分はプリズムシート2を透過後、有機EL素子1の金属電極で、反射される。反射時に円偏光の回転向きが反転する。この反射光はプリズムシート2を透過後、円偏光板3に入射するが、回転方向が反転した円偏光成分は吸収されてしまい、最終的に有機EL発光装置の外から入射した外光は、観察方向へは取り出されず、外光反射防止の効果を示す。
以上より、本発明の有機EL表示装置は、輝度の向上と外光反射の防止とを両立させることができる。なお、上述した輝度向上メカニズム及び外光反射防止向上メカニズム、つまり表1及び表3、表4からプリズムシートの凸部の頂角は、90度から140度であることが好ましい。ちなみに、本実施形態では、単層のプリズムシートであるが、複数層のプリズムシートを有する場合は、有機EL素子の最も近くに配置されたプリズムシートの頂角が90度から140度とされる。
本発明に係る有機EL発光装置の実施例を説明する。なお、本実施例では有機EL発光装置の構成を製造方法に沿って説明するが、有機EL素子を作製する工程までは省略する。
頂角110度、ピッチ15μmの三角柱プリズムパターンを、1/4λ板(サンリッツ製厚さ70μmシート)上に、アクリル系光硬化性樹脂を転写、紫外線硬化により成形した。この時、1/4λ板の延伸方向と三角柱プリズムの凸部の長軸方向とは45度傾斜させる。これがプリズムシートに相当する。
有機EL素子と前記プリズムシートを貼り合わせ、さらに予め用意しておいた偏光板(サンリッツ製厚さ100μmシート)を設けることで本発明の有機EL発光装置が完成する。
このとき、次の方向に重ねることが好ましい。つまり、有機EL発光装置の主たる観察方向が決まっている場合(通常、有機EL発光装置が横長形状の場合は正面から見て長辺方向を横位置として観察する。)、プリズムシートの凸部の長軸方向と有機EL発光装置の長辺方向とが一致するように、貼り合わせる。こうすると有機EL発光装置を横方向、斜めから観察しても輝度の低下が少ない。ちなみに、複数のプリズムシートを積層している場合、有機EL素子の最も近くに配置されたプリズムシートの凸部の長軸方向と有機EL発光装置の長辺方向とが一致するように、貼り合わせる。
プリズムシートを付加した有機EL素子上に偏光板を設ける場合は、偏光板の延伸方向とプリズムシートの長軸方向がほぼ直交するように、貼り合わせる。こうすると外光が反射したときに干渉縞が現れることがない。
有機EL素子にプリズムシート、円偏光板を重ねる場合は、次のように行う。
同様のプリズムパターンを、例えば帝人化成製光学等方フイルム(厚さ70μm)上に形成し、このプリズムシートを有機EL素子に上述した方向で貼り合わせる。
次に、予め偏光板と1/4λ板とを積層した円偏光板(サンリッツ製厚さ100μmシート)を用意し、その偏光板の延伸方向とプリズムシートの長軸方向とがほぼ直交するように、前記円偏光板をプリズムシート上に設ける。
ここで、本発明の微細構造を形成する手法を詳細に説明すると共に、形成された微細構造を有する有機EL発光装置について評価実験を行ない、実験結果を考察する。
<その1>
特開平11−200090号公報、特開2000−258607号公報、特開2005−76039号公報には、アルミニウム膜表面に微細構造を形成する手法が開示されている。
例えば、上述の銅メッキ表面平坦処理を行ったアルミニウム製シリンダーを回転させて、頂角90度のダイヤモンドバイトを用いて、ピッチ30μmの溝凹パターンを形成した。
次に、スパッタ法によって、チタン(Ti)を100nmの厚さに成膜した。これは次に積層するアルミニウム膜の密着性を向上させる目的のためである。次にスパッタ法によりアルミニウム膜を厚さ1μmに形成した。
陽極酸化装置を用いてアルミニウム膜を陽極酸化処理した。電界液には0.3Mシュウ酸水溶液を用い、恒温水槽により電解液を17℃に保持、陽極酸化電圧をDC40Vとして、陽極酸化電流が低下後安定になった10分後に処理を終えた。
形状安定化処理としてリン酸5wt%溶液に30分間浸漬した後、純水及びイソプロピルアルコールで洗浄してナノ構造膜を形成した。
この表面を電子顕微鏡で観察したところ直径が約50nmの円柱状細孔が均一に形成されていた。さらに2%H2、98%Heの還元雰囲気中で、500℃、1時間の熱処理を行い、表面強度、密着性を向上させた。
このシリンダーを用いて、凸パターンを形成した。すなわちシリンダーの凹溝部に光硬化性樹脂を含ませ、シリンダーを回転させながら、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート透明シート面にアクリル光硬化性樹脂による凸パターンを転写する。次に紫外線照射により凸パターンを硬化した。
このプリズムシート表面を電子顕微鏡で観察したところ、プリズム面全域に直径が約50nm、高さ50nmの円錐状突起が均一に形成されていた。
実際に外光反射の影響を評価するために、上述した微細構造を設けないプリズムシートと同様の評価を行った。すなわち、ガラス基板にAlを蒸着した基板を用意し、上記プリズムシートをアクリル樹脂で接着し、この上に円偏光板を設けた。これらのサンプルを村上色彩(株)製「変角分光測定装置」で外光反射の影響を観察、評価した。具体的には標準白色光源(キセノンランプ)のほぼ平行光線の入射角度を変えながらサンプルに照射して、サンプル面を観察した。この結果すべての条件で、真っ黒に見えるもの◎(外光反射防止効果OKなもの)と評価された。
<その2>
プラスチックシートなどへ低温で微細構造を形成する手法は、特開2001−17907号公報に開示されている。
上記実施例1と同様にして、厚さ50μmのポリカーボネート(PC)のシートにアクリル光硬化樹脂による頂角90度、ピッチ30μmのプリズム形状を転写形成した。
アルミニウム−sec−プトキシド3wt%と、2プロパノール96.5wt%と、平均分子量600のポリエチレングリコールPEG600 0.5wt%とからなるアルミナゾル塗布溶液を調液した。プリズムシート表面にディッピング法により塗布膜を形成した。
続いて、室温で乾燥して、透明なアルミナ膜を形成した。次に、約60℃の温水中に10分間浸漬後、室温で再び乾燥した。形成された薄膜は可視域で90%以上の高い透過率を示し、膜厚は約200nmであった。
得られた薄膜を電子顕微鏡(SEM)観察すると表面粗さRaが10〜50nm、50〜500nmの大きさの花弁状の微細凹凸組織が形成されていることを確認できた。
実際に外光反射の影響を評価するために、上述した微細構造を設けないプリズムシートと同様の評価を行った。すなわち、ガラス基板にAlを蒸着した基板を用意し、上記プリズムシートをアクリル樹脂で接着し、この上に円偏光板を設けた。これらのサンプルを村上色彩(株)製「変角分光測定装置」で外光反射の影響を観察、評価した。具体的には標準白色光源(キセノンランプ)のほぼ平行光線を、入射角度を15度から80度まで変えながらサンプルに照射して、サンプル面を観察した。この結果すべての条件で、真っ黒に見えるもの◎(外光反射防止効果OKなもの)と評価された。
次にプリズムシートを村上色彩(株)製「変角分光測定装置」で外光反射の影響を評価した。具体的には標準白色光源(キセノンランプ)のほぼ平行光線を、入射角度を15度から75度まで変えながらサンプルに照射して、受光部を正反射角度に調整しながら反射光強度の角度依存を測定した。この結果を表5に示す。
Figure 2008258302
測定サンプルは、次の3種である。
(1)比較用白板ガラス(表面平滑)
(2)微細構造膜1:「ナノ構造体を表面に形成した金型による無反射プリズムシートの作製(上記した<その1>の例)」と同じ手法で、シリンダーに代えて平滑面を有するAl板を使用して、白板ガラス上に微細構造を形成したもの。
(3)微細構造膜2:「ナノ構造体を表面に形成した無反射プリズムシートの作製(<上記した<その2>の例)」と同じ手法で、白板ガラス上に微細構造を形成したもの。
表5の結果から、上記した手法で微細構造を形成したサンプル(2)、(3)は外光の入射角度が大きい斜め入射であっても、低反射であることが分かる。
これらの結果から波長以下の反射防止微細構造膜(微細構造)を形成したプリズムシートを用いることで、外光反射の少ない有機EL発光装置が得られることが分かった。
本発明に係る有機EL発光装置の構成を示す立体模式図である。 本発明に係る有機EL発光装置の有機EL素子の層構成の一例を示す断面模式図である。 頂角110度のプリズムシートを貼った有機EL素子の発光強度の放射角特性を示す図である。
符号の説明
1 有機EL素子
2 プリズム部材
3 円偏光部材
11 基板
12 下部電極
13 有機化合物層
14 上部電極
15 防湿層
31 偏光部材
32 位相差部材

Claims (6)

  1. 基材の上の一対の電極の間に有機化合物層が挟まれてなる有機EL素子を有し、前記有機EL素子の光取り出し側にプリズム部材、偏光部材、位相差部材を有する有機EL発光装置において、
    前記偏光部材は前記プリズム部材よりも光取り出し側に配置されており、
    前記プリズム部材のプリズム面に微細構造による反射防止処理が施されていることを特徴とする有機EL発光装置。
  2. 微細構造の平均屈折率は、プリズム部材の屈折率から空気の屈折率まで膜厚方向に連続的に変化し、屈折率段差が形成されていないことを特徴とする請求項1に記載の有機EL発光装置。
  3. 単層又は複数層のプリズム部材を有し、
    有機EL素子の最も近くに配置されたプリズム部材の頂角は90度から140度であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の有機EL発光装置。
  4. 有機EL発光装置は横長形状であって、有機EL素子の最も近くに配置されたプリズム部材の凸部の長軸方向と有機EL発光装置の長辺方向が一致していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の有機EL発光装置。
  5. 有機EL素子の最も近くに配置されたプリズム部材の凸部のピッチサイズは、有機EL素子の画素ピッチ以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の有機EL発光装置。
  6. 有機EL素子はトップエミッション素子であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の有機EL発光装置。
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