JP2010237437A - ワイヤグリッド偏光子 - Google Patents

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Abstract

【課題】無偏光の平面照明からの出射光のうち不要な偏光成分をバックライトに戻し多重反射により所望の偏光に変換し、所望の偏光成分のみを効率よく出射できるワイヤグリッド偏光子を提供すること。
【解決手段】本発明のワイヤグリッド偏光子は、可視光波長域において透明な基材と、前記基材上に周期的に設けられた金属細線と、を具備し、前記金属細線は、少なくともAu,Cuあるいはこれらを主成分とする合金で構成されたコア材と、前記コア材を被覆し、Al,Agあるいはこれらを主成分とする合金で構成された被覆材と、を有することを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、液晶ディスプレイなどに使用される光学部材であるワイヤグリッド偏光子に関する。
近年薄型で大画面のディスプレイが急速に市場を広げている。その中でも特に液晶ディスプレイは低消費電力、高明所コントラストなど優れた特徴を持ち、市場が大きく広がっている。液晶ディスプレイはバックライトから出射された光を偏光板により揃った偏光成分のみを取り出し、液晶層への電圧印加の有無によりスイッチングすることで画像の表示を行っている。通常に使用される偏光板は延伸したポリビニルアルコール(PVA)フィルムに色素やヨウ素などを吸着させたもので、PVAフィルムの延伸方向に平行な電界成分を有する偏光を吸収することにより偏光分離を行う。従ってバックライトから出射された光の少なくとも半分は画像の表示には使用されていない。液晶ディスプレイにはブラウン管テレビ、プラズマテレビ、有機ELディスプレイなどに比較して視野角が狭い、動画表示が苦手といった欠点があり、現在その改良が盛んに進められている。これら欠点の改良は液晶の材料や動作モードの改良、バックライトによる黒挿入などでなされつつあるが、ほとんどの場合ディスプレイ表面から出射される光の量(輝度)を減少させてしまう。そこで近年、従来は吸収型の偏光板によって吸収されていた光を有効に利用する方法が幾つか提案されている。例えば住友3M社製のDBEFや日東電工社製のPCFなどの光学フィルムがその一例である。これら反射型偏光板と呼ばれる部材は、吸収型偏光板が偏光を作り出すために吸収していた一方の偏光成分をバックライト側に反射させ、反射型偏光板とバックライトの反射板間を多重反射させることにより所望の偏光成分に変換させる機能を有する。
また液晶プロジェクターでは光源から出射された光を効率よく利用するため、ガラス基材上に周期的に金属細線を並べたワイヤグリッド偏光子が偏光分離・変換に使用されている。ワイヤグリッド偏光子の構成として最も一般的なものはガラス基板上に波長に比較して十分短い周期でAlなどの金属細線を並べた構造である。液晶プロジェクターなどのカラー表示を行う装置に用いられるワイヤグリッド偏光子には可視光全波長域において均一な反射及び透過特性が要求される。このためワイヤグリッド偏光子に使用される金属は、特定の波長に吸収を有さないAl又はAgあるいはこれらの合金に限られている(特許文献1 段落番号[0034])。
特開2005−195824号公報
しかし、DBEFやPCFなどの光学フィルムは数百層もの積層構造の膜厚や、連続的なコレステリック液晶の螺旋ピッチなどの制御などが必要であり、容易に作製することはできなかった。またこれらは単独では偏光度が低く、液晶ディスプレイに使用するには従来の吸収型偏光フィルムと組み合わせる必要がある。このため薄型化、部材の低コスト化を阻む要因の一つとなっている。
またワイヤグリッド偏光子は、AlあるいはAl合金を金属細線に用いた場合には不要偏光の反射率が低いため、不要偏光の再利用効率を高くすることが出来ない。AgあるいはAg合金を金属細線に用いた場合には波長500nm以下の不要偏光の透過率が増加し、偏光度の低下を生じる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、無偏光の平面照明からの出射光のうち不要な偏光成分をバックライトに戻し多重反射により所望の偏光に変換し、所望の偏光成分のみを効率よく出射できるワイヤグリッド偏光子を提供することを目的とする。
本発明のワイヤグリッド偏光子は、可視光波長域において透明な基材と、前記基材上に周期的に設けられた金属細線と、を具備し、前記金属細線は、少なくともAu,Cuあるいはこれらを主成分とする合金で構成されたコア材と、前記コア材を被覆し、Al,Agあるいはこれらを主成分とする合金で構成された被覆材と、を有することを特徴とする。
本発明のワイヤグリッド偏光子においては、前記金属細線は、横断面視において略矩形形状であることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光子においては、前記金属細線は、前記基材上に形成され、その長手方向に沿って延在する溝を有する被覆材と、前記溝に埋設されるように設けられたコア材と、で構成されていることが好ましい。この場合においては、前記基材からの前記被覆材の厚さが5nm以上前記金属細線の厚さの50%以下であることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光子においては、前記金属細線は、前記基材上に形成され、その長手方向に沿って延在するコア材と、前記コア材を覆うように設けられた被覆材と、で構成されていることが好ましい。この場合においては、前記コア材上の前記被覆材の厚さが5nm以上前記金属細線の厚さの50%以下であることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光子においては、前記金属細線の周期が50nm以上200nm以下であることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光子においては、横断面視における前記金属細線の幅が、前記金属細線の周期の30%以上70%以下であることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光子においては、横断面視において、前記コア材の側面を覆う被覆材の厚さが2nm以上前記金属細線の幅の40%以下であることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光子においては、前記金属細線の厚さが、前記金属細線の周期の50%以上200%以下であることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光子の製造方法は、周期的に配置される金属細線に対応する凹凸形状を有するドライフィルムレジストに、気相法により被覆材を形成する工程と、前記被覆材上にメッキ法により溝を充填するようにコア材を形成して複合フィルムを作製する工程と、前記複合フィルムの前記コア材が配置された面を、可視光波長域において透明な基材の上に貼り合わせた後に、前記ドライフィルムレジストを除去する工程と、を具備することを特徴とする。
本発明のワイヤグリッド偏光子の製造方法においては、周期的に配置される金属細線に対応する凹凸形状を有する型を用いて、前記ドライフィルムレジストに前記凹凸形状を転写することが好ましい。
本発明によれば、無偏光の平面照明からの出射光のうち不要な偏光成分をバックライトに戻し、多重反射により所望の偏光に変換し、所望の偏光成分のみを効率よく出射できるワイヤグリッド偏光子を提供することができる。
ワイヤグリッド偏光子の機能を説明するための図である。 本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光子を示す図である。 本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光子の他の例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
ワイヤグリッド偏光子の原理を図1に示す。ワイヤグリッド偏光子は、基材上に周期的に配列させた金属細線を有する。金属細線の周期(ピッチ)Pを使用する波長に対して十分に小さくした場合、金属細線と垂直な電場成分を有する光(s偏光)は金属細線に影響されることなく透過することができる。一方、金属細線と平行な電場成分を有する光(p偏光)は金属細線に反射される。全ての光はs偏光成分とp偏光成分とに分離することが可能であり、これにより無偏光の光をs偏光とp偏光とに分離することができる。一般にこのような偏光子を反射型偏光子と呼んでいる。
ここで、液晶ディスプレイのバックライトの出射側に前記反射型偏光子を用いた場合を考える。不要偏光成分であるp偏光はバックライト側に戻され再利用されるため、反射率が高いほど光の利用効率を高くする(バックライトの輝度を高くする)ことができる。また、反射型偏光子を通して出射される偏光成分はs偏光であり、この透過率が高いほど光の利用効率は高くすることができる。通常p偏光の反射率を高めようとするとs偏光の透過率が低下したり、s偏光の透過率を高めようとするとp偏光の透過率も高くなり偏光度が低下したりする。このため、偏光度を保ったままでp偏光の反射率を高める、あるいはs偏光の透過率を高めることが重要である。
図2は、本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光子を示す図である。図2に示すワイヤグリッド偏光子は、可視光波長域において透明な基材21上に、金属細線が周期的に設けられている。なお、図2は横断面図であり、金属細線は、紙面向って手前側から奥側に延在している。
金属細線は、少なくともAu,Cuあるいはこれらを主成分とする合金で構成されたコア材22と、コア材22を被覆し、Al,Agあるいはこれらを主成分とする合金で構成された被覆材23とを含む。被覆材23は、コア材22の周囲を覆うように形成されるが、光の入射側に対して反対側には存在しないように設ける。図2においては、基材21の下方から光が入射するため、コア材22の下方、すなわちコア材22と基材21との間には被覆材23を設けるが、外界に露出するコア材22の部分には被覆材23は設けていない。すなわち、金属細線は、基材21上に形成されており、その長手方向に沿って延在する溝を有する被覆材23と、この溝に埋設されるように設けられたコア材22とで構成されている。このように特定材料を用いたコア材の特定の面のみ、即ち、コア材に対して光が入射する側とは反対側の面のみ覆わず、それ以外の面を、特定材料を用いた被覆材で覆うことにより、不要な偏光成分の反射率が高く、必要な偏光成分の透過率が高いという本発明の効果を奏することが可能となると考えられる。ちなみにコア材の全面を被覆材で覆うと可視光波長域の短波長成分の吸収が大きくなり白色光を利用することが不可能となる。
図3は、本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光子の他の例を示す図である。図3に示すワイヤグリッド偏光子も、可視光波長域において透明な基材31上に、金属細線が周期的に設けられている。なお、図3は横断面図であり、金属細線は、紙面向って手前側から奥側に延在している。
金属細線は、少なくともAu,Cuあるいはこれらを主成分とする合金で構成されたコア材32と、コア材32を被覆し、Al,Agあるいはこれらを主成分とする合金で構成された被覆材33とを含む。被覆材33は、コア材32の周囲を覆うように形成されるが、光の入射側に対して反対側には存在しないように設ける。図3においては、金属細線の上方から光が入射するため、コア材32上、すなわち外界に露出する部分には被覆材33を設けるが、コア材32の下方、すなわち基材31とコア材32との間には被覆材33は設けていない。すなわち、金属細線は、基材31上に形成されており、その長手方向に沿って延在するコア材32と、このコア材32を覆うように設けられた被覆材33とで構成されている。
図2及び図3においては、基材21,31、コア材22,32、被覆材23,33の3つの部材で本発明のワイヤグリッド偏光子が構成されているが、基材21,31の裏面側に反射防止のためのフィルムや膜を設けても良く、被覆材23,33の表面を保護するために透明な誘電体層を設けても良く、基材21,31とコア材22,32との間や、基材21,31と被覆材23,33との間に接着剤層としてUV硬化樹脂層などを設けても良い。すなわち、基材21,31、コア材22,32、被覆材23,33以外に別の構成部材が含まれていても良い。
ここで、Au,Cuを主成分とする合金とは、Au単独あるいはCu単独又はAuとCuの合計のいずれかが全体の50原子%以上である合金を指す。また、Al,Agを主とする合金とは、Al単独あるいはAg単独又はAlとAgの合計のいずれかが全体の50原子%以上である合金を指す。
金属細線の横断面形状については、略矩形形状であることが好ましい。横断面において、金属細線の基材21,31の表面に平行な2辺の長さの差が長い辺の30%以下で、金属細線の側面の辺が基材21,31の表面に対して90°±20°の傾きの範囲内である形状も矩形形状として含める。また、全ての辺が正確な直線である必要はなく、また頂角が丸められた形状でも構わない。
被覆材23,33は、再利用する偏光の色付きを考慮すると、光を入射させる面の反対側を除く全ての面を覆っていることが好ましい。すなわち、図2及び図3に示すように、光の入射側に対して反対側には被覆材23,33を設けないようにすることが好ましい。これより、波長600nm以下の反射光成分を減少させず、再利用する偏光が赤みを帯びることを防止できる。なお、光が入射する面とは、入射光によって最も明るく照らされる面を指す。金属細線の横断面形状が略矩形形状である場合には、被覆材23は光を入射させる面の反対側を除く3面を覆っていることが好ましい。
図2に示す構成においては、基材21からの被覆材23の厚さ(t23)は、表示に使用する光の色付きや不要偏光成分の反射率の低下を考慮すると、5nm以上前記金属細線の厚さの50%以下であることが好ましい。また、図3に示す構成においては、コア材32上の被覆材33の厚さ(t33)は、表示に使用する光の色付きや不要偏光成分の反射率の低下を考慮すると、5nm以上前記金属細線の厚さの50%以下であることが好ましい。
金属細線の周期(図2及び図3におけるピッチP)は50nm以上200nm以下であることが好ましい。偏光分離を行うためには、金属細線の高さは100nm以上である必要があり、金属細線の周期が50nmより小さいと金属細線のアスペクト比が大きくなり作製が非常に困難となる。また、偏光分離を行うためには、使用波長の半分以下の周期とする必要がある。可視光波長の最も短い波長はおよそ400nmであるため、金属細線の周期は200nnm以下にすることが好ましい。
横断面視における金属細線の幅(w)は、偏光度や所望の偏光成分の透過率を考慮すると、金属細線の周期の30%以上70%以下であることが好ましい。
また、横断面視において、コア材22,32の側面を覆う被覆材23,33の厚さ(w23,w33)は、表示に使用する光の色付きや所望の偏光成分の透過率の低下や不要偏光成分の反射率の低下を考慮すると、2nm以上前記金属細線の幅の40%以下であることが好ましい。
金属細線の厚さ(t22,t32)は、偏光度の低下や偏光成分の透過率の低下を考慮すると、金属細線の周期の50%以上200%以下であることが好ましい。
被覆材23とコア材22の形成順序はどちらが先でも良い。例えば、基材21上にコア材22を所望の膜厚に成膜しておき、フォトリソグラフィーの技術を用いて所望の線幅に加工した後、被覆材23を形成しても良く、また、溝を有する適当な型に被覆材23を形成した後、その溝内にコア材22を充填し、その後にコア材22及び被覆材23を転写しても良い。
被覆材23は、蒸着法、スパッタリング法、CVD法などの気相法で成膜することができる。成膜雰囲気、投入パワーなどを制御することにより、膜厚を調整することができる。
コア材22は、予め溝を有する被覆材23を形成した型に対してAuやCuをメッキすることにより形成することができる。現在メッキによる溝充填は、溝幅が数10nmまで可能となっており、気相法による溝充填では到達できない幅の溝を充填するのに最適な方法である。
本発明のワイヤグリッド偏光子は、周期的に配置される金属細線に対応する凹凸形状を有するドライフィルムレジストに、気相法により被覆材を形成し、前記被覆材上にメッキ法により溝を充填するようにコア材を形成して複合フィルムを作製し、前記複合フィルムの前記コア材が配置された面を、可視光波長域において透明な基材の上に貼り合わせた後に、前記ドライフィルムレジストを除去することにより製造することができる。なお、被覆材23又はコア材22が不要な部分に形成されている場合は、基材21上に貼り合わせる前にエッチングを行って不要な部分の除去を行うことも可能である。また、基材21上に前記複合フィルムのコア材22が配置された面を貼り合わせる方法としては、予め基材21又は前記複合フィルムのコア材22が配置された面にUV硬化樹脂を塗布しておき、両者を接触させた後にUV光を照射してUV硬化樹脂を硬化する方法が簡便で好ましい。
この場合においては、周期的に配置される金属細線に対応する凹凸形状を有する型を用いて、前記ドライフィルムレジストに前記凹凸形状を転写することが好ましい。予め所望の周期、溝幅、溝深さの溝が形成されたスリーブ形状の型を使用することにより連続的に、かつ大面積に周期構造の転写が可能となる。また、ドライフィルムレジストへの転写率を考慮し、型の溝幅や溝深さを調整することも本発明の範囲内である。
上述した適切な構成や製造方法を選ぶことにより、無偏光の光を効率よく偏光分離することが可能となる。
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されない。
[実施例1]
電子線リソグラフィー及びニッケルメッキにより作製したピッチ140nm、溝幅70nm、溝深さ140nmのニッケル製金型を、加熱したドライフィルムレジスト(旭化成エレクトロニクス株式会社製サンフォートTM)押し当てた後、ドライフィルムレジスト側よりUV光を照射してドライフィルムレジストに金型形状を転写した。このようにして形成した溝形状が転写されたドライフィルムレジスト側にスパッタリングにより銀を溝底部に膜厚が20nmになるよう成膜した。このとき、溝側壁には10nmの厚さの銀が成膜されるように成膜条件を調節した。なお、成膜はスパッタリング以外に蒸着法、CVD法などでも行うことができる。
その後、無電解メッキにより銅を溝部に埋め込んだ。凸部にも銀、銅が成膜されるが、これらはウエットエッチングにより除去した。TACフィルムにUV硬化樹脂を1μmの厚みに塗布し、これをドライフィルムレジストの銀被覆層、銅コアのワイヤ(金属細線)を形成した側に貼り合せ、TACフィルム側からUV光を照射し硬化させた。最後に、アルカリ性のドライフィルムレジスト除去液を用い、ドライフィルムレジストを除去した。このようにして作製した銅コア銀被覆層ワイヤグリッド偏光子にワイヤ側から光を入射したところ、波長400nmから700nmの間でp偏光の反射率は90%以上、s偏光の透過率は80%以上、偏光度は99.9%以上を満足することが確認された。本ワイヤグリッドを液晶ディスプレイのバックライトに用いた場合、高偏光度、無着色、高光利用効率(高輝度)を実現することが可能である。
[実施例2]
電子線リソグラフィー及びニッケルメッキにより作製したピッチ140nm、溝幅70nm、溝深さ140nmのニッケル製金型を、加熱したドライフィルムレジスト(旭化成エレクトロニクス株式会社製サンフォートTM)押し当てた後、ドライフィルムレジスト側よりUV光を照射してドライフィルムレジストに金型形状を転写した。このようにして形成した溝形状が転写されたドライフィルムレジスト側にスパッタリングによりアルミニウムを溝底部に膜厚が20nmになるよう成膜した。このとき溝側壁には10nmの厚さのアルミニウムが成膜されるように成膜条件を調節した。
その後、無電解メッキにより銅を溝部に埋め込んだ。凸部にもアルミニウム、銅が成膜されるが、これらはウエットエッチングにより除去した。TACフィルムにUV硬化樹脂を1μmの厚みに塗布し、これをドライフィルムレジストのアルミニウム被覆層、銅コアのワイヤを形成した側に貼り合せ、TACフィルム側からUV光を照射し硬化させた。最後に、アルカリ性のドライフィルムレジスト除去液を用い、ドライフィルムレジストを除去した。このようにして作製した銅コアアルミニウム被覆層ワイヤグリッド偏光子にワイヤ側から光を入射したところ、波長400nmから700nmの間でp偏光の反射率は85%以上、s偏光の透過率は80%以上、偏光度は99.9%以上を満足することが確認された。本ワイヤグリッドを液晶ディスプレイのバックライトに用いた場合、高偏光度、無着色、高光利用効率(高輝度)を実現することが可能である。
[実施例3]
ドライフィルムレジスト(旭化成エレクトロニクス株式会社製サンフォートTM)を厚さ144μmのPETフィルムに貼り合せた後加熱して、電子線リソグラフィー及びニッケルメッキにより作製したピッチ140nm、溝幅70nm、溝深さ140nmのニッケル製金型に押し当てた後、PETフィルム側よりUV光を照射してドライフィルムレジストに金型形状を転写した。この後、酸素アッシングを適切な条件で行い溝底部のドライフィルムレジストを除去した。このようにして形成したPETフィルム上の、溝形状が転写されたドライフィルムレジスト側にスパッタリングにより銀を溝底部に膜厚が20nmになるよう成膜した。このとき、溝側壁には10nmの厚さの銀が成膜されるように成膜条件を調節した。なお、成膜はスパッタリング以外に蒸着法、CVD法などでも行うことができる。その後、無電解メッキにより銅を溝部に埋め込んだ。凸部にも銀、銅が成膜されるが、これらはウエットエッチングにより除去した。最後に、アルカリ性のドライフィルムレジスト除去液を用い、ドライフィルムレジストを除去した。このようにして作製した銅コア銀被覆層ワイヤグリッド偏光子にPETフィルム側から光を入射したところ、波長400nmから700nmの間でp偏光の反射率は90%以上、s偏光の透過率は80%以上、偏光度は99.9%以上を満足することが確認された。本ワイヤグリッドを液晶ディスプレイのバックライトに用いた場合、高偏光度、無着色、高光利用効率(高輝度)を実現することが可能である。
[比較例1]
ガラス基材上にスパッタリングにより膜厚140nmのアルミニウム薄膜を成膜し、電子線リソグラフィー法及びドライエッチング法を用い、ピッチ140nm、線幅70nm、線高さ140nmのアルミニウムのワイヤグリッド偏光子を作製した。このようにして作製したアルミニウムワイヤグリッド偏光子にワイヤ側より光を入射したところ波長400nmでのs偏光の透過率が75%以下となることを確認した。本ワイヤグリッドを液晶ディスプレイのバックライトに用いた場合、赤色の着色、光利用効率の低下(輝度低下)が発生すると考えられる。
[比較例2]
ガラス基材上にスパッタリングにより膜厚140nmの銀薄膜を成膜し、電子線リソグラフィー法及びドライエッチング法を用い、ピッチ140nm、線幅70nm、線高さ140nmの銀のワイヤグリッド偏光子を作製した。このようにして作製した銀ワイヤグリッド偏光子にワイヤ側より光を入射したところ波長500nm以下でのp偏光の反射率の低下と、波長550nm以下のs偏光の透過率の急激な低下を確認した。波長400nmにおけるp偏光の反射率及びs偏光の透過率はそれぞれ75%、10%であった。本ワイヤグリッドを液晶ディスプレイのバックライトに用いた場合、赤色の着色、光利用効率の低下(輝度低下)が発生すると考えられる。
[比較例3]
ガラス基材上にスパッタリングにより膜厚120nmの銅薄膜、膜厚20nmの銀薄膜を順次成膜し、電子線リソグラフィー法及びドライエッチング法を用い、ピッチ140nm、線幅70nm、線高さ140nmの銅ワイヤのガラスと反対側の面のみ銀で覆われたワイヤグリッド偏光子を作製した。このようにして作製したワイヤグリッド偏光子にワイヤ側より光を入射したところ波長600nm以下のs偏光の透過率の急激な低下を確認した。波長400nmにおけるs偏光の透過率は20%であった。本ワイヤグリッドを液晶ディスプレイのバックライトに用いた場合、赤色の着色、光利用効率の低下(輝度低下)が発生すると考えられる。
本発明は、光の利用効率の高い液晶ディスプレイに使用することができる。
21,31 基材
22,32 コア材
23,33 被覆材

Claims (12)

  1. 可視光波長域において透明な基材と、前記基材上に周期的に設けられた金属細線と、を具備し、前記金属細線は、少なくともAu,Cuあるいはこれらを主成分とする合金で構成されたコア材と、前記コア材を被覆し、Al,Agあるいはこれらを主成分とする合金で構成された被覆材と、を有することを特徴とするワイヤグリッド偏光子。
  2. 前記金属細線は、横断面視において略矩形形状であることを特徴とする請求項1に記載のワイヤグリッド偏光子。
  3. 前記金属細線は、前記基材上に形成され、その長手方向に沿って延在する溝を有する被覆材と、前記溝に埋設されるように設けられたコア材と、で構成されていることを特徴とする請求項2記載のワイヤグリッド偏光子。
  4. 前記基材からの前記被覆材の厚さが5nm以上前記金属細線の厚さの50%以下であることを特徴とする請求項3に記載のワイヤグリッド偏光子。
  5. 前記金属細線は、前記基材上に形成され、その長手方向に沿って延在するコア材と、前記コア材を覆うように設けられた被覆材と、で構成されていることを特徴とする請求項2記載のワイヤグリッド偏光子。
  6. 前記コア材上の前記被覆材の厚さが5nm以上前記金属細線の厚さの50%以下であることを特徴とする請求項5に記載のワイヤグリッド偏光子。
  7. 前記金属細線の周期が50nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光子。
  8. 横断面視における前記金属細線の幅が、前記金属細線の周期の30%以上70%以下であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光子。
  9. 横断面視において、前記コア材の側面を覆う被覆材の厚さが2nm以上前記金属細線の幅の40%以下であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光子。
  10. 前記金属細線の厚さが、前記金属細線の周期の50%以上200%以下であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光子。
  11. 周期的に配置される金属細線に対応する凹凸形状を有するドライフィルムレジストに、気相法により被覆材を形成する工程と、前記被覆材上にメッキ法により溝を充填するようにコア材を形成して複合フィルムを作製する工程と、前記複合フィルムの前記コア材が配置された面を、可視光波長域において透明な基材の上に貼り合わせた後に、前記ドライフィルムレジストを除去する工程と、を具備することを特徴とするワイヤグリッド偏光子の製造方法。
  12. 周期的に配置される金属細線に対応する凹凸形状を有する型を用いて、前記ドライフィルムレジストに前記凹凸形状を転写することを特徴とする請求項11に記載のワイヤグリッド偏光子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015007763A (ja) * 2013-05-27 2015-01-15 旭化成イーマテリアルズ株式会社 映像表示システム及び映像表示装置の設定方法
US11112550B2 (en) 2018-07-31 2021-09-07 Dexerials Corporation Polarizing plate, optical apparatus and method of manufacturing polarizing plate
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