JP2012108468A - ワイヤグリッド偏光板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のワイヤグリッド偏光板1は、表面上の特定方向に延在する凹凸構造を有する基材11と、凹凸構造の凸部11aの一方の側面11bに偏在するように設けられた導電体12とを有したワイヤグリッド偏光板1であって、特定点C1及び特定点C2を通る第一の仮想線L1の傾きと、特定点C3及び特定点C4を通る第二の仮想線L2の傾きと、の絶対値の平均値が1以上6以下であり、第一の高さ位置における凸部11aの幅Whが、第二の高さ位置における凸部11aの幅Wlの0.45倍以下であり、凸部高さHが凸部11aのピッチP1の1/2以上であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
図1は、本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板1の断面模式図である。なお、図1においては、ワイヤグリッド偏光板1の基材11の凹凸構造の延在方向(図1の紙面奥行き方向)に対する垂直断面(断面視)における模式図を示している。
基材11としては、例えば、ガラスなどの無機材料や樹脂材料を用いることができる。中でも樹脂材料を用いて基材11を形成することにより、ロールプロセスが可能になる、ワイヤグリッド偏光板1にフレキシブル性(屈曲性)を持たすことができる、等のメリットがあるため好ましい。基材11として用いることができる樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線(UV)硬化型樹脂や熱硬化型樹脂が挙げられる。また、UV硬化型樹脂や熱硬化型樹脂と、ガラスなどの無機基板、上記熱可塑性樹脂、トリアセテート樹脂とを組み合わせたり、単独で用いて基材11を構成させたりすることもできる。また、基材11と導電体12の密着性を向上させるための薄膜を、基材11の表面に備えても構わない。
導電体12は、基材11の凹凸構造面に設けられる。前述したように、表面に凹凸構造が形成された基材11上に導電体12を設ける場合には、凸部11aの一方の側面11bに接し、導電体12の上部が基材11の凸部11aの頂部(最高部11c)より上方に延在するように設けることが好ましい。
導電体12の形成方法は、生産性や光学特性等を考慮し、凹凸構造を有した基材11表面の垂直方向に対して傾斜した方向から蒸着を行う、斜め蒸着法を用いることが好ましい。斜め蒸着法とは、基材11の断面視において、蒸着源が基材11表面の垂直方向に対して、所定の入射角度を持ちながら金属を蒸着、積層させていく方法である。入射角度は、凹凸構造の凸部11aと作製する導電体12の断面形状から好ましい範囲が決まり、一般には、5度〜45度が好ましく、より好ましくは5度〜35度である。さらに、蒸着中に積層した金属の射影効果を考慮しながら、入射角度を徐々に減少又は増加させることは、導電体12の高さなど断面形状を制御する上で好適である。なお、基材11表面が湾曲している場合には、基材11表面の法線方向に対して傾斜した方向から蒸着を行うこととしてもよい。
本実施の形態で示すワイヤグリッド偏光板1において、基材11を構成する材料と導電体12との密着性向上のため、両者の間に両者と密着性が高い誘電体材料を含んでなる誘電体層を好適に用いることができる。例えば、二酸化珪素などの珪素(Si)の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体又はその複合物(誘電体単体に他の元素、単体又は化合物が混じった誘電体)や、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、イットリウム(Y)、ジルコニア(Zr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、銅(Cu)などの金属の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体又はそれらの複合物を用いることができる。誘電体材料としては、透過偏光性能を得ようとする波長領域において実質的に透明な材料であればよい。誘電体材料の積層方法には特に限定は無く、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的蒸着法を好適に用いることができる。
凹凸構造を有する基材11を保持するものとして、基板を用いることも可能である。基板としては、ガラスなどの無機材料や樹脂材料を用いることができるが、ロールプロセスによりワイヤグリッド偏光板の製造が可能となり、また他光学部材との接着が容易となる平板状の樹脂材料を用いることが好ましい。
次に、本発明の実施の形態に係る投影型映像表示機器について説明する。本実施の形態に係る投影型映像表示機器としては、反射型液晶表示素子を利用した反射型液晶プロジェクターがあり、反射型液晶プロジェクターの偏光ビームスプリッタとして、上記実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板を好適に用いることができる。
透過率及び反射率の測定には、分光光度計(日立ハイテクノロジー社製、U−4100)を用いた。この分光光度計は光源近傍に偏光子を備えており、測定サンプルを保持する測定サンプル台と受光器が同一の一軸動作回転軸を有し、測定の目的に合わせて各々を可動できる。
面内位相差値の測定機器として、平行ニコル法を利用した偏光解析装置(王子計測機器社製、KOBRA−WR)を用いた。測定光の波長を550nmとし、入射角度が0度の場合の位相差値を面内位相差値とした。
屈折率の測定には、屈折率測定装置(メトリコン社製、レーザー屈折率測定モデル2010)を用いた。硬化型樹脂の測定を行う場合には、硬化処理を行った後に屈折率を測定した。屈折率測定装置による波長532nm、633nm及び824nmの屈折率の測定結果から、コーシーの分散式を利用して屈折率の波長分散図を求め、波長589nmの屈折率を求めた。
次に、本実施例で用いたワイヤグリッド偏光板の作製方法について以下に説明する。
凹凸構造が一方向に延在し、断面視における凹凸構造が矩形形状であって、凹凸構造のピッチが145nm、130nm及び100nmである各シリコン系基板を、フォトリソグラフィにより作製した。PETフィルム(A−4300、東洋紡社製)上にアクリル系UV硬化型樹脂(屈折率1.52)を約3μm塗布し、各シリコン系基板の凹凸構造面がUV硬化型樹脂と接するようにしてそれぞれ重畳した。中心波長が365nmであるUVランプを用いて、PETフィルム側から1000mJ/cm2のUV照射を行い、シリコン系基板の凹凸構造をPETフィルム上に転写した。PETフィルムの表面と断面視における凹凸構造をSEMで観察したところ、凹凸構造が一方向に延在し、そのピッチは145nm、130nm及び100nmであり、シリコン系基板の凹凸構造が転写できていることを確認した。上記PETフィルムの凹凸構造面に、導電化処理として、スパッタリングにより白金パラジウムで凹凸構造を被覆した後、それぞれにニッケルを電気メッキし、凹凸構造を表面に有するニッケルスタンパを作製した。なお、ピッチが145nmである凹凸構造を表面に有するPETフィルムから作製したニッケルスタンパを金型A、130nmであるものを金型C、100nmであるものを金型Eとする。
前述した金型A、B、D、E及びFを用いて、表面に凹凸構造を有する転写フィルムの作製を行った。基材は、厚み80μmのトリアセチルセルロース系樹脂からなるTACフィルム(TD80UL−H、富士フイルム社製)とし、TACフィルムの波長550nmにおける面内位相差値は3.5nmであった。TACフィルムにアクリル系UV硬化型樹脂(屈折率1.52)を約3μm塗布し、TACフィルム上に金型を重畳した。中心波長が365nmであるUVランプを操作して、TACフィルム側から1000mJ/cm2のUV照射を行い、金型の凹凸構造をUV硬化型樹脂上に転写した。TACフィルムを金型から剥離し、UV硬化型樹脂からなる基材表面に凹凸構造を転写した転写フィルムを作製した。以上の操作を各金型A、B、D、E及びFに関して行い、下記表1に示す転写フィルムA、B、D、E及びFを作製した。下記表1に各転写フィルムの表面と断面視における凹凸構造をSEMで観察した結果を示す。下記表1における「凹凸構造」は、断面視における凹凸構造の形状を示す。「ピッチP1」は凹凸構造の間隔(ピッチ)であり、「凸部高さH」は、凹凸構造の凸部の最高部から凹部の最低部までの高さの差であり、「凸部幅比」は、下記関係式(1)によって算出される値である。
第一の高さ位置における凸部の幅Wh/第二の高さ位置における凸部の幅Wl…式(1)
次に各転写フィルムA、B、D、E及びFの凹凸構造を有する基材表面に、スパッタリング法により誘電体層として二酸化珪素を成膜した。スパッタリング装置条件は、Arガス圧力0.2Pa、スパッタリングパワー770W/cm2、被覆速度0.1nm/sとし、転写フィルム上の誘電体厚みが平膜換算で3nmとなるように成膜した。
次に、各転写フィルムA、B、D、E及びFの凹凸構造を有する基材表面に、真空蒸着によりアルミニウム(Al)を成膜した。Alの蒸着条件は、常温下、真空度2.0×10−3Pa、蒸着速度40nm/sとした。断面視において、転写フィルムA及びBにおいては、基材の垂直方向に対する蒸着角を20度とし、Al平均厚みが120nmとなるようにAlを蒸着した。転写フィルムDにおいては、蒸着角を18度とし、Al平均厚みは110nmとした。転写フィルムE及びFにおいては、蒸着角度を15度とし、Al平均厚みは100nmとした。なお、Al平均厚みとは、表面が平滑なガラス基板を各転写フィルムA、B、D、E及びFと共に蒸着装置内に挿入し、蒸着された平滑ガラス基板上のAl厚みを測定したものであり、平滑ガラス基板上に垂直方向から物質を蒸着させたと仮定した時の蒸着物の厚みのことを指し、蒸着量の目安として使用している。
次に不要Alの除去のため、Alを蒸着した各転写フィルムを0.1重量%水酸化ナトリウム水溶液に室温下で70秒間浸漬させ、その後すぐに水洗してフィルムを乾燥させた。このようにして各転写フィルムA、B、D、E及びFからワイヤグリッド偏光板A、B、D、E、及びFを作製した。
(仮想線L1の傾きの絶対値+仮想線L2の傾きの絶対値)/2…式(2)
ピッチP1が145nmであるワイヤグリッド偏光板A、B、ピッチP1が130nmであるワイヤグリッド偏光板D、ピッチP1が100nmであるワイヤグリッド偏光板F、Gの平行透過率を分光光度計(日立ハイテクノロジー社製、U−4100)により測定した。平衡透過率は、測定サンプル台の動作回転軸と、偏光子及び測定対象である各ワイヤグリッド偏光板の透過軸方向とが直交する条件で測定した。各ワイヤグリッド偏光板A、B、D、E及びFに入射する測定光の角度は、ワイヤグリッド偏光板の垂直方向を0度として、30度、45度及び60度とし、入射角度における平行透過率を測定した。なお、測定光は導電体構造面に入射するよう、各ワイヤグリッド偏光板A、B、D、E及びFを測定サンプル台に備え、断面視における凹凸構造の凸部の導電体偏在面の逆側から測定光が入射するようにし、測定波長は、人間の目が光を強く感じるとされる波長555nmとした。下記表3に測定した各入射角度における平行透過率を示す。また、得られた平行透過率の測定結果より、入射角度30度、45度、又は60度の平行透過率Tp(λ=555nm、θ)の最大値をMaxTp(λ)、最小値をMinTp(λ)とし、入射角度における平行透過率の変化率(角度変化率)ΔTp(λ=555nm)(%)を下記関係式(3)により算出した。下記表3に、算出した角度変化率ΔTp(λ=555nm)を示す。
ΔTp(λ=555nm)=100−(MinTp(λ)/MaxTp(λ))×100…式(3)
ピッチP1が145nmであるワイヤグリッド偏光板B、ピッチP1が130nmであるワイヤグリッド偏光板D、及びピッチP1が100nmであるワイヤグリッド偏光板Eの導電体構造面に測定光を入射させた場合の直交反射率と、その逆側の面である基板面の直交反射率とを、分光光度計(日立ハイテクノロジー社製、U−4100)により測定した。測定サンプル台の動作回転軸と測定対象の各ワイヤグリッド偏光板の透過軸方向とは平行とし、測定サンプル台の動作回転軸と測定装置の光源近傍の偏光子の透過軸方向とは直交とした。各ワイヤグリッド偏光板B、D、Eに入射する測定光の角度は、ワイヤグリッド偏光板B、D、Eの垂直方向を0度として、各ワイヤグリッド偏光板B、D、Eの基板及び基材の概略ブリュースター角である56.5度とし、入射角度における波長555nmの直交反射率を測定した。測定後、導電体構造面の直交反射率をRAl(λ=555nm)、基板面の直交反射率をRTAC(λ=555nm)とし、直交反射率比RRatio(λ=555nm)を下記関係式(4)により算出した。直交反射率比RRatio(λ=555nm)が1に近づくほど両面の直交反射率には差が無いことを意味し、直交反射率比RRatio(λ=555nm)が1以下となる場合、基板面の直交反射率の低下を意味する。
RRatio(λ=555nm)=RTAC(λ=555nm)/RAl(λ=555nm)…式(4)
2 反射型液晶プロジェクター
11 基材
11a 凸部
11b 側面
11c、12a 最高部
11d 凹部
11e 最低部
12 導電体
21 光源
22 反射型液晶表示素子
23 投射レンズ
L1、L2 仮想線
C1〜C4 特定点
H 凸部高さ
Claims (8)
- 表面上の特定方向に延在する凹凸構造を有する基材と、前記凹凸構造の凸部の一方の側面に偏在するように設けられた導電体とを有したワイヤグリッド偏光板であって、
前記凹凸構造の延在方向に対する垂直方向の断面視において、前記凸部の最高部から凹部の最低部までの高さの差を凸部高さHとし、前記最低部の高さ位置から高さ方向に概略9/10Hの位置を第一の高さ位置とし、前記最低部の高さ位置から高さ方向に概略1/10Hの位置を第二の高さ位置としたときに、前記第一の高さ位置の前記凹凸構造の特定点C1、前記第一の高さ位置の前記導電体の特定点C3、前記第二の高さ位置の前記凹凸構造の特定点C2及び前記第二の高さ位置の前記導電体の特定点C4を設定した際に、前記特定点C1及び前記特定点C2を通る第一の仮想線の傾きと、前記特定点C3及び前記特定点C4を通る第二の仮想線の傾きと、の絶対値の平均値が1以上6以下であり、
前記第一の高さ位置における前記凸部の幅が、前記第二の高さ位置における前記凸部の幅の0.45倍以下であり、前記凸部高さHが前記凸部のピッチP1の1/2以上であることを特徴とするワイヤグリッド偏光板。 - 前記導電体の少なくとも一部が、前記凹凸構造の凸部の最高部より上方に設けられたことを特徴とする請求項1に記載のワイヤグリッド偏光板。
- 前記凹凸構造の凸部のピッチが、130nm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のワイヤグリッド偏光板。
- 前記凹凸構造の凸部の最低部から高さ方向に1/3H上った第三の高さ位置における導電体の幅が、40nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のワイヤグリッド偏光板。
- 前記凹凸構造と前記導電体の配置関係を少なくとも含む情報を示す標識を有していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワイヤグリッド偏光板。
- 前記標識は、前記基材の凹凸構造の延在方向と概略平行となる直線状の絶縁膜で形成され、且つ導電体構造面に設けられていることを特徴とする請求項5に記載のワイヤグリッド偏光板。
- 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のワイヤグリッド偏光板と、光源と、反射型液晶表示素子と、を有する投影型映像表示機器であって、前記光源から出光した光が、前記ワイヤグリッド偏光板を透過し、又は反射されて前記反射型液晶表示素子に入射し、前記反射型液晶表示素子により変調された光が前記ワイヤグリッド偏光板で反射し、又は透過して映像を投影することを特徴とする投影型映像表示機器。
- 前記ワイヤグリッド偏光板の導電体構造面が、反射型液晶表示素子と面するよう配置されていることを特徴とする請求項7に記載の投影型映像表示機器。
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A02 | Decision of refusal |
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