JP2012108468A - ワイヤグリッド偏光板 - Google Patents

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昌治 杉村
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Abstract

【課題】断面視における基材表面に対する45度の角度方向を中心とした広角度で入射する光の平行透過率の変化率が小さく、しかも平行透過率が高いワイヤグリッド偏光板の提供すること。
【解決手段】本発明のワイヤグリッド偏光板1は、表面上の特定方向に延在する凹凸構造を有する基材11と、凹凸構造の凸部11aの一方の側面11bに偏在するように設けられた導電体12とを有したワイヤグリッド偏光板1であって、特定点C1及び特定点C2を通る第一の仮想線L1の傾きと、特定点C3及び特定点C4を通る第二の仮想線L2の傾きと、の絶対値の平均値が1以上6以下であり、第一の高さ位置における凸部11aの幅Whが、第二の高さ位置における凸部11aの幅Wlの0.45倍以下であり、凸部高さHが凸部11aのピッチP1の1/2以上であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ワイヤグリッド偏光板に関する。
近年のフォトリソグラフィの発達は目覚しく、光の波長レベルである微細構造の形成を可能なものとした。このような微細構造を有した部材や製品は、半導体分野、光学分野等で好適に用いることができる。例えば、基材表面上に金属等で構成された導電体の細線を入射光の波長の2分の1以下の間隔(ピッチ)で整列させることにより、導電体の延在方向に対して平行に振幅する電場ベクトル成分の光を反射し、直交する電場ベクトル成分の光を透過できる偏光板(ワイヤグリッド偏光板)が得られる。ワイヤグリッド偏光板は、上記のような偏光分離特性を有することから、反射型液晶プロジェクターや光ピックアップ装置等の偏光ビームスプリッタとして好適に用いることができる。
偏光ビームスプリッタを用いる反射型液晶プロジェクターに目を向けると、装置サイズの小型化が急速に進んでいる。装置サイズの小型化のためには、反射型液晶プロジェクター内の光学システムの光路長を短くする必要があり、光源を出光した光源光を十分な平行光とすることが難しい。したがって、偏光ビームスプリッタに入射する光は広角度となる。ワイヤグリッド偏光板は、広角度入射する光を偏光分離できるため、偏光ビームスプリッタとして好ましい偏光分離特性を有している。
近年、反射型液晶プロジェクターの開発が進むに従い、投影した映像の品位の向上が求められるようになっている。広角度入射する光を高偏光度の光に偏光分離する偏光分離特性のみでは、映像品位の向上は達成できない。このため、入射する光の角度に対する平行透過率の変化率が小さい(平行透過率の角度依存性が小さい)偏光ビームスプリッタが求められるようになった。
偏光ビームスプリッタとして用いられるワイヤグリッド偏光板の偏光特性の向上のため、基材の凹凸構造の凸部のピッチを縮小するワイヤグリッド偏光板の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のワイヤグリッド偏光板の製造方法を用いた場合、基材上の凹凸構造の延在方向と垂直な面(以下、「断面視」とも言う)における凹凸構造の凸部に沿うような形状の導電体を形成でき、ワイヤグリッド偏光板の偏光特性の向上が可能となる。また、ワイヤグリッド偏光板の光学特性の向上のため、断面視において凹凸構造の凸部の一方の側面に偏在するように導電層を設けたワイヤグリッド偏光板が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2記載のワイヤグリッド偏光板においては、基材の延在方向に対する垂直面内における基材の凸部の断面形状と導電体の断面形状とが非対称形状となる。このため、光の入射角度の変化に伴い平行透過率が変化し、偏光度や透過率の波長依存性を低減することが可能となる。
特開2008−83656号公報 特開2010−85990号公報
ところで、偏光ビームスプリッタの多くは、偏光分離層に対して45度の角度方向から光が入射し、反射光と透過光とに偏光分離するように作製及び配置される。したがって、ワイヤグリッド偏光板を偏光ビームスプリッタとして用いる場合には、ワイヤグリッド偏光板の基材表面に対して傾斜した方向から光が入射することとなる。このため、45度の角度方向を中心とした広角度で入射する光の平行透過率の変化率が小さいワイヤグリッド偏光板が、小型化した反射型液晶プロジェクターの偏光ビームスプリッタとして好ましいこととなる。
一方で、ワイヤグリッド偏光板の光学性能は、主として、導電体の構造及びピッチに依存する。一般的に、ワイヤグリッド偏光板の導電体は、基材表面に対して垂直方向に伸びるよう作製される。したがって、ワイヤグリッド偏光板においては、基材表面に対する垂直方向から入射する光の透過率は高くなるが、基材表面に対して傾斜した方向から入射する場合には低透過率となり、45度の角度方向を中心とした広角度で入射する光の平行透過率の変化率が大きくなってしまう傾向がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、断面視における基材表面に対する45度の角度方向を中心とした広角度で入射する光の平行透過率の変化率が小さく、しかも平行透過率が高いワイヤグリッド偏光板の提供を目的の一とする。
本発明のワイヤグリッド偏光板は、表面上の特定方向に延在する凹凸構造を有する基材と、前記凹凸構造の凸部の一方の側面に偏在するように設けられた導電体とを有したワイヤグリッド偏光板であって、断面視における前記凸部の最高部から凹部の最低部までの高さの差を凸部高さHとし、前記最低部の高さ位置から高さ方向に概略9/10Hの位置を第一の高さ位置とし、前記最低部の高さ位置から高さ方向に概略1/10Hの位置を第二の高さ位置としたときに、前記第一の高さ位置の前記凹凸構造の特定点C1、前記第一の高さ位置の前記導電体の特定点C3、前記第二の高さ位置の前記凹凸構造の特定点C2及び前記第二の高さ位置の前記導電体の特定点C4を設定した際に、前記特定点C1及び前記特定点C2を通る第一の仮想線の傾きと、前記特定点C3及び前記特定点C4を通る第二の仮想線の傾きと、の絶対値の平均値が1以上6以下であり、前記第一の高さ位置における前記凸部の幅が、前記第二の高さ位置における前記凸部の幅の0.45倍以下であり、前記凸部高さHが前記凸部のピッチP1の1/2以上であることを特徴とする。
本発明のワイヤグリッド偏光板においては、前記導電体の少なくとも一部が、前記凹凸構造の凸部の最高部より上方に設けられたことが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光板においては、前記凹凸構造の凸部のピッチが、130nm以下であることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光板においては、前記凹凸構造の凸部の最低部から高さ方向に1/3H上った第三の高さ位置における導電体の幅が、40nm以下であることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光板においては、前記凹凸構造と前記導電体の配置関係を少なくとも含む情報を示す標識を有していることが好ましい。例えば、前記標識は、前記基材の凹凸構造の延在方向と概略平行となる直線状の絶縁膜で形成され、且つ導電体構造面に設けた構成とすることができる。
本発明の投影型映像表示機器は、上記ワイヤグリッド偏光板と、光源と、反射型液晶表示素子と、を有する投影型映像表示機器であって、前記光源から出光した光が、前記ワイヤグリッド偏光板を透過し、又は反射されて前記反射型液晶表示素子に入射し、前記反射型液晶表示素子により変調された光が前記ワイヤグリッド偏光板で反射し、又は透過して映像を投影することを特徴とする。
本発明の投影型映像表示機器においては、前記ワイヤグリッド偏光板の導電体構造面が、反射型液晶表示素子と面するよう配置されていることが好ましい。
本発明によれば、断面視における基材表面に対する45度の角度方向を中心とした広角度で入射する光の平行透過率の変化率が小さく、しかも平行透過率が高いワイヤグリッド偏光板の提供が実現できる。これにより、偏光ビームスプリッタとして好ましい特性を備えたワイヤグリッド偏光板の提供が可能となる。
本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板の断面模式図である。 本発明の実施の形態に係る投影型映像表示機器の模式図である。 本発明の実施例に係るワイヤグリッド偏光板の断面写真である。 本発明の比較例に係るワイヤグリッド偏光板の断面写真である。 本発明の実施の形態に係る標識が付されたワイヤグリッド偏光板の模式図である。
本発明の実施の形態について、添付図面を参照して以下詳細に説明する。
<ワイヤグリッド偏光板>
図1は、本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板1の断面模式図である。なお、図1においては、ワイヤグリッド偏光板1の基材11の凹凸構造の延在方向(図1の紙面奥行き方向)に対する垂直断面(断面視)における模式図を示している。
図1に示すように、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板1は、表面上の特定方向に延在する凹凸構造を有する基材11と、基材11表面の凸部11aの一方の側面11bに偏在するように設けられた導電体12とを有する。基材11の凹凸構造は、複数の凸部11aと複数の凹部11dとが繰り返されて構成される。本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板1においては、基材11の凸部11aが導電体12を支えるように構成されており、断面視における導電体12の形状が、基材11表面の垂直方向に対して相対的に傾斜する形状を有するように構成されている。
次に、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板1の構成について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、断面視における凸部11aの最高部11cから凹部11dの最低部11eまでの高さの差を凸部高さHとし、凹部11dの最低部11eから高さ方向(基材表面に対する垂直方向)に概略9/10Hの位置を「第一の高さ位置(図1の点線L3参照)」とし、凹部11dの最低部11eから高さ方向に概略1/10Hの位置を「第二の高さ位置(図1の点線L4参照)」とする。また、第一の高さ位置における凸部11aの導電体12との接触点を「特定点C1」とし、第一の高さ位置における導電体12の凸部11aとの非接触点を「特定点C3」とする。さらに、第二の高さ位置における凸部11aの導電体12との接触点を「特定点C2」とし、第二の高さ位置における導電体12の凸部11aとの非接触点を「特定点C4」とする。
基材11は、第一の高さ位置における凸部11aの幅Whが、第二の高さ位置における幅Wlに対して0.45倍以下となるように形成される。また、基材11は、凸部高さHが、隣接する凸部11aの最高部11c間のピッチP1の1/2以上となるように形成される。
導電体12は、特定点C1及び特定点C2を通る仮想線L1(図1の一点鎖線L1参照)の傾きの絶対値と、特定点C3及び特定点C4を通る仮想線L2(図1の一点鎖線参照L2)の傾きの絶対値とが、1以上6以下となるように設けられる。また、導電体12は、断面視での基材11表面に対する平行方向をx軸方向とし、基材11表面に対する垂直方向をy軸方向とするx−y平面座標系の一次関数とした場合において、仮想線L1の傾きの符号と、仮想線L2の傾きの符号とが、同じとなるように設けられる。
これにより、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板1の導電体12の形状は、断面視において、相対的に傾斜する。断面視において、凹凸構造の凸部の導電体偏在面の逆側から傾斜入光する場合、導電体12の形状が相対的に傾斜することにより、導電体12の見かけ上の高さ(入光角度方向における基材11表面上から導電体12の最高部12aまでの高さ)は高くなるため、傾斜入光時の平行透過率と偏光特性が相対的に高くなり、また、基材11表面に対する45度の入射角度方向を中心とした広角度で入射する光の平行透過率の変化率を小さくすることが可能となる。
本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板1においては、光学特性の観点から、凸部11aの概略最高部11cから凸部11aの一方の側面11bに偏在するよう導電体12を設ける。また、凸部高さHを凸部11aのピッチP1の1/2以上とすることにより、導電体12形成が容易となる。これにより、仮想線L1の傾きの絶対値と仮想線L2の傾きの絶対値との平均値が1以上6以下であるワイヤグリッド偏光板1を作製することが可能となる。
また、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板1においては、基材11は、第一の高さ位置における凸部11aの幅Whが、第二の高さ位置における凸部の幅Wlに対して、0.45倍以下である。これにより、断面視における導電体12の形状を相対的に傾斜させることが容易となると共に、相対的に傾斜した形状の導電体12を生産性に優れた斜め蒸着法で作製することが可能となる。また、強度の観点から、幅Whが幅Wlの0.1倍以上であることが好ましい。なお、凸部11aの幅Wh、Wlは、断面視における基材11表面の凹凸構造の形状を走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、任意に選択した3つの凸部11aに関する凸部11aの基材11表面に対する平行方向の幅を測定し、その平均値を用いる。
さらに、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板1においては、導電体12の少なくとも一部が、凸部11aの最高部11cより高さ方向において上方に設けられることが好ましい。この場合、導電体12の最高部12aが、凹部11dの最低部11eから凸部高さHに対して高さ方向に1.1倍以上、上方に延在することがさらに好ましい。導電体12が基材11の凸部11aの最高部11cより上方に、延在するよう設けることで導電体12の体積を増加させることができる。その結果、ワイヤグリッド偏光板1の偏光分離特性が向上し、光の損失を減らすことができる。なお、導電体12の形状は、少なくとも基材11の凸部11aの最高部11cから上方に突出する形状であればよく、導電体12の体積を増加でき、偏光分離特性を向上できる範囲であれば適時変更可能である。
本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板1においては、導電体12は、微小な間隔(ピッチP2)を持って配列される。このように、導電体12が微小な間隔で配列されるワイヤグリッド偏光板においては、導電体12のピッチP2が小さくなるほど、幅広い波長領域で良好な偏光特性を示すことが可能となるが、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板1においては、導電体12が空気(屈折率1.0)と接するため、導電体12のピッチP2を入射光の波長の1/4〜1/3以下とすることで、実用的に十分な偏光特性を有することとなる。本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板1の導電体12は、断面視において、凸部11aの一方の側面11bに偏在するよう設けられるため、隣り合う凸部11aの非対向面となる一方の側面11bに導電体12を設けることにより、凸部11のピッチP1と導電体12のピッチP2とは概略同一の間隔で整列することとなる。これは、光学特性の観点から、好ましい配列であり、したがって、可視光領域の光の利用を考慮する場合、ピッチP1を150nm以下とすることが好ましく、130nm以下とすることがさらに好ましい。
ここで、本発明者らは、幅広い波長帯域で良好な偏光特性を示すワイヤグリッド偏光板1を作製するため、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板1の断面視における凸部11aのピッチP1を130nm以下としたところ、導電体12を有する面(以下、「導電体構造面」ともいう)側から入射した光の反射率に比較して、導電体構造面の逆側の面の反射率が低くなることを見出した。これは、導電体12を蒸着する際の製造方法の特性上、基材11の凸部11aの遮蔽効果により、断面視における基材11表面の凹凸構造の凸部11aの最低部11eから高さ方向に1/3H上った高さ位置(以下、「第三の高さ位置(図1の点線L5参照)」という。)の導電体12の幅Wm(ここでいう導電体12の幅Wmとは、基材11表面と平行な方向の導電体12の幅をいう)が薄くなるためである。特に、幅Wmを40nm以下とすると、導電体構造面の反射率に比較して、導電体構造面の逆側の面の反射率は低くなる。このような特性を有したワイヤグリッド偏光板1は、反射型液晶プロジェクターの偏光ビームスプリッタに用いた場合、不要な光の反射光量を低下させることができ、映像光の映像品位を向上できるため、好ましい。
上記導電体構造面における反射率と導電体構造面の逆側の面の反射率との差異は、断面視における導電体12の幅Wmによるものである。また、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板1においては、導電体12の幅Wmは、凸部11aの最高部11cの導電体12の厚みに比較して、薄くなり易い。ワイヤグリッド偏光板1の有効屈折率を考慮すると、導電体12の幅Wmは有効屈折率を変化させる因子であり、有効屈折率の変化に伴って反射特性が変化する。凹部11dの最低部11eの導電体12の幅Wmが薄い場合、基材11の導電体構造面側から入射する光の反射率は低下することとなる。特に、断面視における第三の高さ位置の導電体12の幅Wmが40nm以下の場合、基材11の導電体構造面側から入射する光の反射率が低くなる。
生産性に優れた斜め蒸着法を用いて、断面視における凹部11dの最低部11eの導電体12の厚みを薄くする方法としては、凹凸構造の凸部11aのピッチP1を小さくする、凸部高さHを高くする、凸部11aの幅Wh、Wlを大きくする等を挙げることができる。ただし、断面視における凸部高さHを極度に高くした場合、凹凸構造の凸部11aの上部に比較し、下部に蒸着される導電体12量が少なくなる。そのため、例えば正弦波状凹凸構造のように凸部11aの最高部11cから凹部11dの最低部11eまで、連続的に凸部11aの幅が変化する構造の場合、凸部11aの上部に対して下部に蒸着される導電体12量が少なくなることで、導電体12の凸部11aとの非接触面側の側面の輪郭は垂直方向近づく(仮想線L2の傾きが大きくなる)ため、導電体12の形状を相対的に傾斜させることは難しくなる。このため、凸部11aの高さHは、凸部11aのピッチP1の1.5倍以下であることが好ましい。
また、凸部11aの幅Wh、Wlを大きくした場合、凹凸構造における凸部11aの占有割合が変化することに伴う有効屈折率の変化によって、光学特性が低下してしまう。このため、基材11面側から入射する光の反射率が低いワイヤグリッド偏光板1を作製する最良の条件としては、凸部11aのピッチP1を小さくすることである。また、断面視における凸部11aのピッチP1を130nm以下とすることで、断面視における第三の高さ位置の導電体12の幅Wmを、容易に40nm以下とすることができる。ただし、凹凸構造の凸部11aの一方の側面11bにある導電体12は、部分的に欠けることなく、連続的に存在することが、光学特性の観点から好ましい。このため、断面視における第三の高さ位置に導電体12を有することが好ましく、さらに好ましくは、当該幅Wmが5nm以上の導電体12が連続的に存在することである。ここで、凸部11aのピッチP1を小さくし過ぎると、基材11凸部11aの遮蔽効果により、導電体12の幅Wmが薄くなり過ぎてしまい、部分的に欠けてしまうことがある。したがって、凸部11aのピッチP1は80nm以上130nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは100nm以上130nm以下である。
なお、蒸着時の断面視における蒸着角度を変更することによって、凹部11dの最低部11eへの蒸着量を減少させ、凹部11dの最低部11eの導電体12幅Wmを薄くすることが可能である。しかし、蒸着角度の変更は、断面視における導電体12形状を変化させることとなる。このため、導電体12の形状を相対的に傾斜させつつ、凹部11dの最低部11eへの蒸着量を減少させるためには、蒸着条件の制御及び管理を厳しくする必要が生じ、生産性の低下や、製造ロットごとの光学特性のばらつきが大きくなる等の問題を生じさせてしまう。このため、導電体12の幅Wmは、凸部11aのピッチP1で調整することが望ましい。
本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板1は、導電体構造面側あるいはその逆側の面を接着材料等によって光学的に他の光学部材と接合し、使用することができる。ここでいう光学部材とは、プリズム、複屈折性フィルムを含む光学フィルム、拡散フィルム、偏光フィルム等であるが、特に制限は無い。なお、ワイヤグリッド偏光板1の導電体構造面を接着材料等で光学部材等と接合し、前述の光学部材等と接合した場合においても、ワイヤグリッド偏光板1の導電体構造面側に比較し、基材11面側の反射率は低くなる。これは、光学特性が良好なワイヤグリッド偏光板1の断面視において、凹凸構造の凸部11aの最高部11cより上方に存在する導電体12の厚みに比較して、凹部11dの最低部11eに存在する導電体12の幅Wmが薄くなるためである。
(基材)
基材11としては、例えば、ガラスなどの無機材料や樹脂材料を用いることができる。中でも樹脂材料を用いて基材11を形成することにより、ロールプロセスが可能になる、ワイヤグリッド偏光板1にフレキシブル性(屈曲性)を持たすことができる、等のメリットがあるため好ましい。基材11として用いることができる樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線(UV)硬化型樹脂や熱硬化型樹脂が挙げられる。また、UV硬化型樹脂や熱硬化型樹脂と、ガラスなどの無機基板、上記熱可塑性樹脂、トリアセテート樹脂とを組み合わせたり、単独で用いて基材11を構成させたりすることもできる。また、基材11と導電体12の密着性を向上させるための薄膜を、基材11の表面に備えても構わない。
基材11表面の凹凸構造は、断面視において、正弦波形状であることが好ましい。正弦波形状とは、凹部11dと凸部11aの繰り返しからなり、放物線のようになだらかに曲率が変化する曲線部を意味し、それは、台形形状、矩形形状、方形形状や、半円状などの正弦波形状であってもよい。これらの断面形状の曲線部は湾曲した曲線であればよく、例えば、凸部11dにくびれがある形状も正弦波形状に含む。凹凸構造の形状により、基材11の表面にある凹凸形状の凸部11aの側面11b及び凹部11dの底部に、斜め蒸着法で連続した導電体12を形成することが容易となる。
また、基材11は目的とする波長領域において、実質的に透明であればよい。なお、所定の方向に延在するとは、凹凸構造が所定の方向に実質的に延在していればよく、凹凸構造の凹部11dと凸部11aの各々が厳密に平行に延在している必要はない。また凹凸構造の間隔(ピッチP1)は、150nm以下が好ましく、等間隔であることが好ましい。なお、等間隔であるとは、実質的に等間隔であればよく、±10%程度までのばらつきは許容できる。
表面に凹凸構造を有する基材11の製造方法は特に限定されない。例えば、本件出願人の出願による特許第4147247号公報に記載の製造方法を挙げることができる。特許第4147247号公報によれば、干渉露光法を用いて作製した凹凸構造を有する金属スタンパを用いて、凹凸構造を熱可塑性樹脂に熱転写し、凹凸構造を付与した熱可塑性樹脂の凹凸構造の延在方向と平行な方向に自由端一軸延伸加工を施す。その結果、熱可塑性樹脂に転写された凹凸構造のピッチが縮小され、微細な凹凸構造を有する樹脂版(延伸済み)が得られる。続いて、得られた微細な凹凸構造を有する樹脂版(延伸済み)から、電解メッキ法などを用いて、微細な凹凸構造を有する金属スタンパを作製する。この金属スタンパにより、基材11表面に微細な凹凸構造を転写、形成することで、凹凸構造を有する基材11を得ることが可能となる。その他、微細な凹凸構造を半導体製造のフォトリソグラフィを応用して作製したシリコン系基板等を用いる方法がある。例えば、微細な凹凸構造を有するシリコン系基板を鋳型として、微細な凹凸構造を表面に有する樹脂版を作製する。樹脂版から、電解メッキ法などを用いて、微細な凹凸構造を有する金属スタンパを作製することも可能である。
断面視における凹凸構造の形状が矩形形状である金属スタンパを用いて、凹凸構造を熱可塑性樹脂に熱転写し、凹凸構造を付与した熱可塑性樹脂の凹凸構造の延在方向と平行な方向に自由端一軸延伸加工を施した場合、延伸加工による凹凸構造の変化に伴い、凹凸構造の断面形状を正弦波形状とすることができる。ここで、得られた微細な凹凸構造を有する樹脂版(延伸済み)から、電解メッキ法などを用いて、微細な凹凸構造を有する金属スタンパを作製した場合、それは、断面視における凹凸構造の形状が正弦波形状となる凹凸構造を転写、形成できる金属スタンパとすることができる。
断面視における第一の高さ位置の凸部11aの幅Whが、第二の高さ位置の凸部11aの幅Wlに対して0.45倍以下とした凹凸構造の形状を転写、形成できる金属スタンパの作製方法としては、例えば、以下のような方法を挙げることができる。
まず、断面視における凹凸構造の形状が矩形形状である金属スタンパを用いて、凹凸構造を熱可塑性樹脂に熱転写し、凹凸構造を付与した熱可塑性樹脂の凹凸構造の延在方向と平行な方向に自由端一軸延伸加工を施す。次に、得られた微細な凹凸構造を有する樹脂版(延伸済み)表面の凹凸構造を有する面(以下、「凹凸構造面」ともいう)に、UV−オゾンによる表面処理を施し、電解メッキ法などを用いて、微細な凹凸構造を有する金属スタンパを作製する。このようにして、断面視における基材11表面の凹凸構造の形状は正弦波形状で、第一の高さ位置における凸部11aの幅Whは、第二の高さ位置における凸部の幅Wlに対して0.45以下である凹凸構造の形状が転写、形成できる金属スタンパを作製することができる。
ここで、前述の表面処理を実施しない場合、断面視における第一の高さ位置における凸部11aの幅Whが、第二の高さ位置における凸部11aの幅Wlに対して0.45以下とできないばかりでなく、基材凸部11aの最高部11cの水平方向の厚みを薄くできない。凸部11aの最高部11cの水平方向の厚みが厚いと、蒸着時に、導電体12が凸部11aの最高部11cから上方に成長し易くなり、成長した導電体12そのものが、遮蔽効果を与える構造体となってしまう。その結果、導電体12蒸着時に導電体12が基材11表面に対し垂直方向に成長し易くなり、第一の仮想線L1の傾きと、第二の仮想線L2の傾きと、の符号は同じとなっても、第一及び第二の仮想線L1、L2の傾きの絶対値の平均値が6より大きくなり、相対的に傾斜した導電体形状とすることが難しくなる。
なお、微細な凹凸構造を有する樹脂版(延伸済み)の凹凸構造面に表面処理を実施する方法としては制限がなく、UV−オゾン法、コロナ放電法、プラズマ法、ドライエッチング法等を用いることができる。なお、断面視における所望の凹凸構造を有する金属スタンパの作製方法は、前述した方法に限定されるものでなく、例えば、表面処理を実施する対象を微細な凹凸構造を有する樹脂版(延伸済み)から金属スタンパに変更し、金属スタンパの凹凸構造面を表面処理するといった方法や、フォトリソグラフィによる微細加工を用いて所望の凹凸形状を有した鋳型を作製し、表面処理を不要なものとするといった方法も容易に考案できる。
(導電体)
導電体12は、基材11の凹凸構造面に設けられる。前述したように、表面に凹凸構造が形成された基材11上に導電体12を設ける場合には、凸部11aの一方の側面11bに接し、導電体12の上部が基材11の凸部11aの頂部(最高部11c)より上方に延在するように設けることが好ましい。
導電体12は、所定の方向に延在する基材11表面の凹凸構造の凸部11aと概略平行に所定のピッチP2をもって直線状に形成されるが、この直線状の導電体12の周期が可視光の波長よりも小さい場合、導電体12に対して平行方向に振幅する偏光成分を反射し、垂直方向に振幅する偏光成分は透過する偏光分離部材となる。導電体12としては、アルミニウム、銀、銅、白金、金又はこれらの各金属を主成分とする合金を使用することができ、斜めスパッタリング法や斜め蒸着法により形成することができる。特に、アルミニウムもしくは銀を用いて導電体12を形成することにより、可視域光の吸収損失を小さくすることができるため、好ましい。
<導電体形成方法>
導電体12の形成方法は、生産性や光学特性等を考慮し、凹凸構造を有した基材11表面の垂直方向に対して傾斜した方向から蒸着を行う、斜め蒸着法を用いることが好ましい。斜め蒸着法とは、基材11の断面視において、蒸着源が基材11表面の垂直方向に対して、所定の入射角度を持ちながら金属を蒸着、積層させていく方法である。入射角度は、凹凸構造の凸部11aと作製する導電体12の断面形状から好ましい範囲が決まり、一般には、5度〜45度が好ましく、より好ましくは5度〜35度である。さらに、蒸着中に積層した金属の射影効果を考慮しながら、入射角度を徐々に減少又は増加させることは、導電体12の高さなど断面形状を制御する上で好適である。なお、基材11表面が湾曲している場合には、基材11表面の法線方向に対して傾斜した方向から蒸着を行うこととしてもよい。
具体的には、特定方向に所定のピッチP1をもって概略平行に延在する凹凸構造を表面に有した基材11表面の被蒸着領域の中心における垂直方向に対して5度以上45度未満となる方向に蒸着源の中心を設け、凹凸構造上に導電体12を形成する。さらに好ましくは、基材11表面の被蒸着領域の中心における垂直方向に対して5度以上35度未満となる角度方向に蒸着源の中心を設けることである。これにより、導電体12を、基材11表面の凹凸構造の凸部11aのいずれか一方の側面11bに選択的に設けることが可能となる。なお、基材11を搬送しながら蒸着する場合には、ある瞬間における被蒸着領域の中心と蒸着源の中心が前述した条件となるように蒸着を行ってもよい。
前述した斜め蒸着法を用いた場合、基材11表面の凹凸構造の凸部11aと導電体12の延在方向は等しくなる。導電体12の形状を達成するための金属蒸着量は、凹凸構造の凸部11aの形状によって決まるが、一般には、平均蒸着厚みは50nmから200nm程度である。ここでいう平均厚みとは、平滑ガラス基板上にガラス面に垂直方向から物質を蒸着させたと仮定した時の蒸着物の厚みのことを指し、金属蒸着量の目安として使用する。
また、光学特性の観点から、不要な導電体12はエッチングにより除去することが好ましい。エッチング方法は、基材11や後述する誘電体層に悪影響を及ぼさず、導電体12部分が選択的に除去できる方法であれば特に限定は無いが、生産性の観点及び導電体12の形状制御の観点から、等方性エッチングが好ましく、例えば、アルカリ性の水溶液に浸漬させるエッチング方法が好ましい。
(誘電体)
本実施の形態で示すワイヤグリッド偏光板1において、基材11を構成する材料と導電体12との密着性向上のため、両者の間に両者と密着性が高い誘電体材料を含んでなる誘電体層を好適に用いることができる。例えば、二酸化珪素などの珪素(Si)の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体又はその複合物(誘電体単体に他の元素、単体又は化合物が混じった誘電体)や、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、イットリウム(Y)、ジルコニア(Zr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、銅(Cu)などの金属の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体又はそれらの複合物を用いることができる。誘電体材料としては、透過偏光性能を得ようとする波長領域において実質的に透明な材料であればよい。誘電体材料の積層方法には特に限定は無く、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的蒸着法を好適に用いることができる。
(基板)
凹凸構造を有する基材11を保持するものとして、基板を用いることも可能である。基板としては、ガラスなどの無機材料や樹脂材料を用いることができるが、ロールプロセスによりワイヤグリッド偏光板の製造が可能となり、また他光学部材との接着が容易となる平板状の樹脂材料を用いることが好ましい。
樹脂材料としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、トリアセチルセルロース樹脂(TAC)等や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線(UV)硬化型樹脂や熱硬化型樹脂が挙げられる。また、UV硬化型樹脂や熱硬化型樹脂と、ガラスなどの無機基板、熱可塑性樹脂等を組み合わせたり、単独で用いたりしてもよい。
基板の面内位相差は、偏光度低下を避けるため、所定の波長における面内位相差値を低くすることが好ましく、例えば可視光の利用を考えるのであれば、波長550nmにおける位相差値を30nm以下とすることが好ましい。さらに好ましくは、15nm以下である。また、ワイヤグリッド偏光板が与える偏光の偏光度の面内ムラ発生を防止するため、基板面内の任意の2点における位相差値管理が必要であり、例えば可視光の利用を考えるのであれば、波長550nmにおける面内位相差値差が10nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは位相差値差5nm以下である。このような特性を有する基板としては、トリアセチルセルロース樹脂(TAC)、シクロオレフィンポリマー樹脂(COP)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)などがあり、これらの樹脂材料を用いることが好ましい。
(反射型液晶プロジェクター)
次に、本発明の実施の形態に係る投影型映像表示機器について説明する。本実施の形態に係る投影型映像表示機器としては、反射型液晶表示素子を利用した反射型液晶プロジェクターがあり、反射型液晶プロジェクターの偏光ビームスプリッタとして、上記実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板を好適に用いることができる。
図2を参照して、上記実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板を用いた投影型映像表示機器について説明する。図2は、投影型映像表示機器である反射型液晶プロジェクターの一例(概念図)である。図2に示すように、本実施の形態に係る反射型液晶プロジェクター2は、LEDなどの光源21と、偏光ビームスプリッタとしてのワイヤグリッド偏光板1と、光源光に映像情報を付加する反射型液晶表示素子22とを備える。必要に応じて、映像光を拡大投影する投射レンズ23等を備えることができる。
光源21から出射した光源光は、偏光ビームスプリッタであるワイヤグリッド偏光板1に入射する。ワイヤグリッド偏光板1で偏光分離され反射した偏光は、反射型液晶表示素子22に入射する。反射型液晶表示素子22に入射し、反射された出射光のうち、前記反射型液晶表示素子22で偏光状態が変調された光(影像光)は、ワイヤグリッド偏光板1を透過し、投射レンズ23で拡大された後、スクリーンに投影される。
偏光ビームスプリッタとして、前述したワイヤグリッド偏光板1を用いる場合、ワイヤグリッド偏光板1の断面視における第一の仮想線L1の傾きと、第二の仮想線L2の傾きと、前記ワイヤグリッド偏光板1に入射する映像光の入射方向の傾きとが、同一の符号となるように配置することが好ましい。このように配置することにより、断面視における凹凸構造の凸部11aの導電体12が設けられた一方の側面11bの反対側の側面から入射することとなるため、前記ワイヤグリッド偏光板1を透過した映像光は、明るく、高コントラストなものとなる。
また、ワイヤグリッド偏光板1は、導電体構造面が反射型液晶表示素子22と面するよう配置することが好ましい。これは、ワイヤグリッド偏光板1の導電体構造面の逆側の面は、反射率が相対的に低いため、不要な反射光の低減、つまり迷光の低減が可能となり、投影する映像光の品位を向上させることが可能となるからである。特に、凹凸構造の凸部のピッチが130nm以下である場合、不要な迷光の低減が大幅に達成できる。つまり、ワイヤグリッド偏光板1の導電体構造面を反射型液晶表示素子22と面するよう配置することで、映像の表示精度を向上させることができる。
前述したように、本発明のワイヤグリッド偏光板1には、偏光ビームスプリッタとして用いる場合の好ましい配置が存在する。しかし、ワイヤグリッド偏光板を自然光下で目視観察した場合、導電体構造面とそうでない面を判別することや、導電体の延在方向と直交ないし平行となる直線偏光の透過軸方向および反射軸方向を判別することは難しい。さらに、断面視において、凹凸構造の凸部11aの導電体12偏在面の逆側から映像光が傾斜入光するように配置するためには、ワイヤグリッド偏光板1の光学特性を確認しながら組込み作業を行う必要があるため、多くの作業時間を要することとなる。
したがって、本発明のワイヤグリッド偏光板1を反射型液晶プロジェクターの偏光ビームスプリッタとして用いる場合には、作業性の観点から、前記ワイヤグリッド偏光板1に、導電体構造面や凹凸構造と導電体の配置関係等の情報を示すためのマーキング(標識)を付加することが好ましい。また、標識は、透過軸方向、導電体構造面および好ましい傾斜入光方向等を作業者が判別できるマークであればよい。例えば、外形形状に特定部位に切れ欠きを施したり、映像光が入射しない領域(有効領域外)に点状や線状等の印刷を施したり、有効領域外に刃物等で半裁断(ハーフカット)傷を付与すること等ができる。ただし、反射型液晶プロジェクターの小型化に伴った偏光ビームスプリッタの小サイズ化は、標識の付加工程を複雑なものとし、例えば、端部に切れ欠き部を作製することは、歩留まりと作業性、製造コストの観点から不適となる場合もある。
したがって、小サイズの偏光ビームスプリッタにおいては、有効領域外に点状や線状等の印刷を施したり、有効領域外に刃物等で半裁断(ハーフカット)傷を付与したりすること等が好ましい。特に、図5Aに示すように、標識として基材の凹凸構造の延在方向(グリッド方向)と概略平行な方向に、樹脂等を用いて、直線状の絶縁層を導電体構造面に付加することが好ましい。直線状とすることにより、非常に小さな面積の有効領域外に付加する絶縁層(例えば、樹脂等)の付加面積を大きくできるため、擦れといった塗布不良等の防止が可能となる。また、前記絶縁層を導電体構造面に付加することにより、前記導電体構造面の凹凸構造が標識となる樹脂との密着性を良好なものとするため、標識となる樹脂の脱離が生じ難くなる。また、基材の凹凸構造の延在方向と概略平行な方向に直線状の樹脂を形成することで、標識となる樹脂が微細な凹凸構造による毛細管現象によって映像光が入射する領域(有効領域)内に拡散し、前記ワイヤグリッド偏光板1の偏光分離性能が低下してしまうことを防止できる。さらに、通常の樹脂にマーキングする場合と異なり、ワイヤグリッド偏光板にマーキングする場合は、図5に示すとおり、マーキングとなる樹脂が付される面(図5B参照)の反対側の面(図5C)側からみた場合であっても、偏光によりマーキングが薄く見えるため、判別が容易となる(マーキングの効果が大きい)。
標識となる樹脂としては、特に制限は無いが、硬化型を用いる場合、高粘度であることが好ましく、例えば、1000cps(温度25度)以上が好ましい。これにより、樹脂が凹凸構造を侵す可能性を低くすることができる。硬化型の樹脂としては、例えば、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系等の光硬化型樹脂などがあり、必要に応じて、窒素雰囲気下で硬化処理(光照射)を実施することが好ましい。また、樹脂に無機フィラーや、染料、顔料、溶剤、その他の添加剤を必要に応じて、適宜加えることができる。印刷の方法としては、スクリーン印刷法を挙げることができるが、これに限定するものではない。
また、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板1を偏光ビームスプリッタとして用いる場合、平滑なガラス平板や光学フィルムに貼合して用いたり、湾曲させて用いたりすることができる。前記ワイヤグリッド偏光板1の導電体構造面の逆側の面には、AR(アンチリフレクション)処理やモスアイ構造を付加することも可能であり、付加の方法の一例としては、前記AR(アンチリフレクション)処理やモスアイ構造を付加されたガラス平板や光学フィルムを貼合することである。
なお、本発明に係るワイヤグリッド偏光板1は、可視光、近赤外光、そして赤外光の領域において、光学特性を損なうことなく用いることができるため、領域を用いる映像表示用途、ピックアップ用途やセンサー用途等において好ましく用いられる。ただし、上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することができる。また、上記実施の形態における材質、数量などについては一例であり、適宜変更することができる。また、その他、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施することができる。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。まず、実施例中の測定値の測定方法について説明する。
<透過率及び反射率の測定>
透過率及び反射率の測定には、分光光度計(日立ハイテクノロジー社製、U−4100)を用いた。この分光光度計は光源近傍に偏光子を備えており、測定サンプルを保持する測定サンプル台と受光器が同一の一軸動作回転軸を有し、測定の目的に合わせて各々を可動できる。
<面内位相差値の測定>
面内位相差値の測定機器として、平行ニコル法を利用した偏光解析装置(王子計測機器社製、KOBRA−WR)を用いた。測定光の波長を550nmとし、入射角度が0度の場合の位相差値を面内位相差値とした。
<屈折率の測定方法>
屈折率の測定には、屈折率測定装置(メトリコン社製、レーザー屈折率測定モデル2010)を用いた。硬化型樹脂の測定を行う場合には、硬化処理を行った後に屈折率を測定した。屈折率測定装置による波長532nm、633nm及び824nmの屈折率の測定結果から、コーシーの分散式を利用して屈折率の波長分散図を求め、波長589nmの屈折率を求めた。
(ワイヤグリッド偏光板の作製方法)
次に、本実施例で用いたワイヤグリッド偏光板の作製方法について以下に説明する。
(金型の作製)
凹凸構造が一方向に延在し、断面視における凹凸構造が矩形形状であって、凹凸構造のピッチが145nm、130nm及び100nmである各シリコン系基板を、フォトリソグラフィにより作製した。PETフィルム(A−4300、東洋紡社製)上にアクリル系UV硬化型樹脂(屈折率1.52)を約3μm塗布し、各シリコン系基板の凹凸構造面がUV硬化型樹脂と接するようにしてそれぞれ重畳した。中心波長が365nmであるUVランプを用いて、PETフィルム側から1000mJ/cmのUV照射を行い、シリコン系基板の凹凸構造をPETフィルム上に転写した。PETフィルムの表面と断面視における凹凸構造をSEMで観察したところ、凹凸構造が一方向に延在し、そのピッチは145nm、130nm及び100nmであり、シリコン系基板の凹凸構造が転写できていることを確認した。上記PETフィルムの凹凸構造面に、導電化処理として、スパッタリングにより白金パラジウムで凹凸構造を被覆した後、それぞれにニッケルを電気メッキし、凹凸構造を表面に有するニッケルスタンパを作製した。なお、ピッチが145nmである凹凸構造を表面に有するPETフィルムから作製したニッケルスタンパを金型A、130nmであるものを金型C、100nmであるものを金型Eとする。
作製した金型A、C及びEを用いて、熱プレス法により厚さ0.5mmのシクロオレフィン樹脂(以下、COPと略す)板の表面に凹凸構造を転写し、表面に凹凸構造を有したCOP板A、C及びEを各1枚ずつ作製した。続いて、上記各金型A、C及びE表面の凹凸構造を転写したCOP板A、C及びEに対して、その凹凸構造面にUV―オゾンによる表面処理を行った。紫外線表面処理装置(Photo Surface Processor、型式:PM906N−2、セン特殊光源社製)を用いて、凹凸構造面に波長254nmの照度が34mW/cmであるUVをCOP板A、C及びEにそれぞれ30秒照射した。UV―オゾンによる表面処理後のCOP板A、C及びEの表面及び断面視における凹凸構造をSEMで観察したところ、第一の高さ位置における凸部の幅Wh(図1参照)が、第二の高さ位置における凸部の幅Wl(図1参照)の0.45倍以下であり、その形状は正弦波状であった。表面処理後のCOP板A、C及びEに、導電化処理として、スパッタリングにより白金パラジウムで凹凸構造を被覆した後、それぞれにニッケルを電気メッキし、ニッケルスタンパを作製した。表面処理後のCOP板Aから作製したニッケルスタンパを金型B、COP板Cから作製したニッケルスタンパを金型D、表面処理後のCOP板Eから作製したニッケルスタンパを金型Fとする。
(UV硬化型樹脂を用いた凹凸構造転写フィルムの作製)
前述した金型A、B、D、E及びFを用いて、表面に凹凸構造を有する転写フィルムの作製を行った。基材は、厚み80μmのトリアセチルセルロース系樹脂からなるTACフィルム(TD80UL−H、富士フイルム社製)とし、TACフィルムの波長550nmにおける面内位相差値は3.5nmであった。TACフィルムにアクリル系UV硬化型樹脂(屈折率1.52)を約3μm塗布し、TACフィルム上に金型を重畳した。中心波長が365nmであるUVランプを操作して、TACフィルム側から1000mJ/cmのUV照射を行い、金型の凹凸構造をUV硬化型樹脂上に転写した。TACフィルムを金型から剥離し、UV硬化型樹脂からなる基材表面に凹凸構造を転写した転写フィルムを作製した。以上の操作を各金型A、B、D、E及びFに関して行い、下記表1に示す転写フィルムA、B、D、E及びFを作製した。下記表1に各転写フィルムの表面と断面視における凹凸構造をSEMで観察した結果を示す。下記表1における「凹凸構造」は、断面視における凹凸構造の形状を示す。「ピッチP1」は凹凸構造の間隔(ピッチ)であり、「凸部高さH」は、凹凸構造の凸部の最高部から凹部の最低部までの高さの差であり、「凸部幅比」は、下記関係式(1)によって算出される値である。
第一の高さ位置における凸部の幅Wh/第二の高さ位置における凸部の幅Wl…式(1)
(スパッタリング法を用いた誘電体層の形成)
次に各転写フィルムA、B、D、E及びFの凹凸構造を有する基材表面に、スパッタリング法により誘電体層として二酸化珪素を成膜した。スパッタリング装置条件は、Arガス圧力0.2Pa、スパッタリングパワー770W/cm、被覆速度0.1nm/sとし、転写フィルム上の誘電体厚みが平膜換算で3nmとなるように成膜した。
(斜め蒸着法を用いた導電体の形成)
次に、各転写フィルムA、B、D、E及びFの凹凸構造を有する基材表面に、真空蒸着によりアルミニウム(Al)を成膜した。Alの蒸着条件は、常温下、真空度2.0×10−3Pa、蒸着速度40nm/sとした。断面視において、転写フィルムA及びBにおいては、基材の垂直方向に対する蒸着角を20度とし、Al平均厚みが120nmとなるようにAlを蒸着した。転写フィルムDにおいては、蒸着角を18度とし、Al平均厚みは110nmとした。転写フィルムE及びFにおいては、蒸着角度を15度とし、Al平均厚みは100nmとした。なお、Al平均厚みとは、表面が平滑なガラス基板を各転写フィルムA、B、D、E及びFと共に蒸着装置内に挿入し、蒸着された平滑ガラス基板上のAl厚みを測定したものであり、平滑ガラス基板上に垂直方向から物質を蒸着させたと仮定した時の蒸着物の厚みのことを指し、蒸着量の目安として使用している。
(不要Alの除去)
次に不要Alの除去のため、Alを蒸着した各転写フィルムを0.1重量%水酸化ナトリウム水溶液に室温下で70秒間浸漬させ、その後すぐに水洗してフィルムを乾燥させた。このようにして各転写フィルムA、B、D、E及びFからワイヤグリッド偏光板A、B、D、E、及びFを作製した。
各ワイヤグリッド偏光板A、B、D、E及びFの断面視における凹凸構造及び導電体の形状をSEMにて観察したところ、導電体は、基材上の凹凸構造の凸部の一方の側面に偏在し、凹凸構造の凸部の頂部より導電体の一部が上方に存在していた。また、断面視における第三の高さ位置の導電体の幅W(図1参照)が、凹凸構造凸部の最高部における導電体の幅に対して、薄くなっていた。下記表2にSEMで観察した各ワイヤグリッド偏光板の断面視における凹凸構造及び導電体の形状を示す。下記表2における「ピッチP1」は凹凸構造の間隔(ピッチ)であり、「凸部高さH」は、凹凸構造の凸部の最高部から凹部の最低部までの高さの差であり、「凸部幅比」は、上記関係式(1)で算出される値であり、「傾き平均値」は、下記関係式(2)で算出される値である。と、仮想線L2の傾きと、の平均値である。
(仮想線L1の傾きの絶対値+仮想線L2の傾きの絶対値)/2…式(2)
(実施例1から実施例3、及び比較例1、比較例2)
ピッチP1が145nmであるワイヤグリッド偏光板A、B、ピッチP1が130nmであるワイヤグリッド偏光板D、ピッチP1が100nmであるワイヤグリッド偏光板F、Gの平行透過率を分光光度計(日立ハイテクノロジー社製、U−4100)により測定した。平衡透過率は、測定サンプル台の動作回転軸と、偏光子及び測定対象である各ワイヤグリッド偏光板の透過軸方向とが直交する条件で測定した。各ワイヤグリッド偏光板A、B、D、E及びFに入射する測定光の角度は、ワイヤグリッド偏光板の垂直方向を0度として、30度、45度及び60度とし、入射角度における平行透過率を測定した。なお、測定光は導電体構造面に入射するよう、各ワイヤグリッド偏光板A、B、D、E及びFを測定サンプル台に備え、断面視における凹凸構造の凸部の導電体偏在面の逆側から測定光が入射するようにし、測定波長は、人間の目が光を強く感じるとされる波長555nmとした。下記表3に測定した各入射角度における平行透過率を示す。また、得られた平行透過率の測定結果より、入射角度30度、45度、又は60度の平行透過率Tp(λ=555nm、θ)の最大値をMaxTp(λ)、最小値をMinTp(λ)とし、入射角度における平行透過率の変化率(角度変化率)ΔTp(λ=555nm)(%)を下記関係式(3)により算出した。下記表3に、算出した角度変化率ΔTp(λ=555nm)を示す。
ΔTp(λ=555nm)=100−(MinTp(λ)/MaxTp(λ))×100…式(3)
角度変化率ΔTP(λ、θ)とは、入射角度変化に伴う平行透過率の透過特性変化を示し、0に近づくほど、入射角度45度±15度といった広角度で入射する光の平行透過率の変化率が小さいワイヤグリッド偏光板であることを意味する。
表3から分かるように、比較例1、比較例2は、実施例1から実施例3に比較し、入射角度45度における平行透過率は85%未満と低く、また、角度変化率は10%以上と、非常に大きなものであった。実施例1から実施例3は、導電体が概略傾斜していたため、比較例1、比較例2に対し、傾斜入光時の光学特性は良好なものとなった。以上のように、実施例1から実施例3は、45度の角度方向を中心とした広角度で入射する光の平行透過率の変化率が小さいワイヤグリッド偏光板であるといえる。図3にワイヤグリッド偏光板E(実施例2)を、図4にワイヤグリッド偏光板A(比較例1)を示す。図3に示すように、実施例2に係るワイヤグリッド偏光板Eは、仮想線L1及び仮想線L2がそれぞれX軸方向の一端側に傾斜しており、仮想線L1の傾きと仮想線L2傾きとの平均値が1以上6以下を満たしている。一方、図4に示すように、比較例1に係るワイヤグリッド偏光板Aは、仮想線L1及び仮想線L2の傾斜が小さいことが分かる。
(実施例4、実施例5、比較例3)
ピッチP1が145nmであるワイヤグリッド偏光板B、ピッチP1が130nmであるワイヤグリッド偏光板D、及びピッチP1が100nmであるワイヤグリッド偏光板Eの導電体構造面に測定光を入射させた場合の直交反射率と、その逆側の面である基板面の直交反射率とを、分光光度計(日立ハイテクノロジー社製、U−4100)により測定した。測定サンプル台の動作回転軸と測定対象の各ワイヤグリッド偏光板の透過軸方向とは平行とし、測定サンプル台の動作回転軸と測定装置の光源近傍の偏光子の透過軸方向とは直交とした。各ワイヤグリッド偏光板B、D、Eに入射する測定光の角度は、ワイヤグリッド偏光板B、D、Eの垂直方向を0度として、各ワイヤグリッド偏光板B、D、Eの基板及び基材の概略ブリュースター角である56.5度とし、入射角度における波長555nmの直交反射率を測定した。測定後、導電体構造面の直交反射率をRAl(λ=555nm)、基板面の直交反射率をRTAC(λ=555nm)とし、直交反射率比RRatio(λ=555nm)を下記関係式(4)により算出した。直交反射率比RRatio(λ=555nm)が1に近づくほど両面の直交反射率には差が無いことを意味し、直交反射率比RRatio(λ=555nm)が1以下となる場合、基板面の直交反射率の低下を意味する。
Ratio(λ=555nm)=RTAC(λ=555nm)/RAl(λ=555nm)…式(4)
下記表4に、各ワイヤグリッド偏光板B、EのピッチP1、導電体幅W(図1参照)、RRatio(λ=555nm)、を示す。
表4から分かるように、比較例3のワイヤグリッド偏光板Bの両面の直交反射率差は無いに等しい。これに対して、ピッチP1が130nm以下である実施例4、実施例5のワイヤグリッド偏光板D、ワイヤグリッド偏光板Eにおいては、両面の直交反射率差があり、導電体構造面の直交反射率に比較して、基板面の直交反射率は低いことが分かる。これは、断面視における凸部のピッチP1が130nm以下であるため、断面視における第三の高さ位置の導電体幅Wを40nm以下とすることができたためである。
本発明は、断面視における基材表面に対する45度の角度方向を中心とした広角度で入射する光の平行透過率の変化率が小さく、しかも平行透過率が高いという効果を有し、例えば、偏光ビームスプリッタとして好適に用いることができる。
1 ワイヤグリッド偏光板
2 反射型液晶プロジェクター
11 基材
11a 凸部
11b 側面
11c、12a 最高部
11d 凹部
11e 最低部
12 導電体
21 光源
22 反射型液晶表示素子
23 投射レンズ
L1、L2 仮想線
C1〜C4 特定点
H 凸部高さ

Claims (8)

  1. 表面上の特定方向に延在する凹凸構造を有する基材と、前記凹凸構造の凸部の一方の側面に偏在するように設けられた導電体とを有したワイヤグリッド偏光板であって、
    前記凹凸構造の延在方向に対する垂直方向の断面視において、前記凸部の最高部から凹部の最低部までの高さの差を凸部高さHとし、前記最低部の高さ位置から高さ方向に概略9/10Hの位置を第一の高さ位置とし、前記最低部の高さ位置から高さ方向に概略1/10Hの位置を第二の高さ位置としたときに、前記第一の高さ位置の前記凹凸構造の特定点C1、前記第一の高さ位置の前記導電体の特定点C3、前記第二の高さ位置の前記凹凸構造の特定点C2及び前記第二の高さ位置の前記導電体の特定点C4を設定した際に、前記特定点C1及び前記特定点C2を通る第一の仮想線の傾きと、前記特定点C3及び前記特定点C4を通る第二の仮想線の傾きと、の絶対値の平均値が1以上6以下であり、
    前記第一の高さ位置における前記凸部の幅が、前記第二の高さ位置における前記凸部の幅の0.45倍以下であり、前記凸部高さHが前記凸部のピッチP1の1/2以上であることを特徴とするワイヤグリッド偏光板。
  2. 前記導電体の少なくとも一部が、前記凹凸構造の凸部の最高部より上方に設けられたことを特徴とする請求項1に記載のワイヤグリッド偏光板。
  3. 前記凹凸構造の凸部のピッチが、130nm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のワイヤグリッド偏光板。
  4. 前記凹凸構造の凸部の最低部から高さ方向に1/3H上った第三の高さ位置における導電体の幅が、40nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のワイヤグリッド偏光板。
  5. 前記凹凸構造と前記導電体の配置関係を少なくとも含む情報を示す標識を有していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワイヤグリッド偏光板。
  6. 前記標識は、前記基材の凹凸構造の延在方向と概略平行となる直線状の絶縁膜で形成され、且つ導電体構造面に設けられていることを特徴とする請求項5に記載のワイヤグリッド偏光板。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のワイヤグリッド偏光板と、光源と、反射型液晶表示素子と、を有する投影型映像表示機器であって、前記光源から出光した光が、前記ワイヤグリッド偏光板を透過し、又は反射されて前記反射型液晶表示素子に入射し、前記反射型液晶表示素子により変調された光が前記ワイヤグリッド偏光板で反射し、又は透過して映像を投影することを特徴とする投影型映像表示機器。
  8. 前記ワイヤグリッド偏光板の導電体構造面が、反射型液晶表示素子と面するよう配置されていることを特徴とする請求項7に記載の投影型映像表示機器。
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