JP6006479B2 - 偏光ビームスプリッター及び、投影型映像表示機器 - Google Patents
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Description
本発明に係るワイヤグリッド偏光板は、150nm以下の間隔(ピッチ)をもって所定の方向に延在する凹凸構造を有する基材と、凹凸構造の凸部の一方側面に偏在するよう設けられた導電体を有する。また、基材の凹凸構造が延在する方向(以下、「延在方向」ともいう)に垂直断面(以下、単に「垂直断面」ともいう)において、凹凸構造の凸部の最高部から高さ方向に1/10下った位置の基材凸部の幅は、基材表面の凹部の最低部から高さ方向に1/10上った位置の基材凸部の幅に対して0.45倍以下である。以下、図1を参照して本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板の一例について説明する。
基材11としては、例えば、ガラスなどの無機材料や樹脂材料を用いることができる。中でも樹脂材料を用いて基材11を形成することにより、ロールプロセスが可能になる、ワイヤグリッド偏光板1にフレキシブル性(屈曲性)を持たすことができる、等のメリットがあるため好ましい。基材11として用いることができる樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線(UV)硬化型樹脂や熱硬化型樹脂が挙げられる。また、UV硬化型樹脂や熱硬化型樹と、ガラスなどの無機基板、上記熱可塑性樹脂、トリアセテート樹脂、トリアセチルセルロース樹脂とを組み合わせたり、単独で用いて基材11を構成させたりすることもできる。また、基材11と導電体12の密着性を向上させるための薄膜を、基材11の表面に備えても構わない。
導電体12は、基材11の表面のうち、凹凸構造が形成された主面(以下、「凹凸構造形成面」ともいう)に設けられている。前述したように、表面に凹凸構造が形成された基材11上に導電体12を設ける場合には、凸部11aの一方の側面11bに接し、上部が基材11の凸部11aの頂部より上方に伸びるように設けることが好ましい。
導電体12の形成方法は、生産性や光学特性等を考慮し、凹凸構造を有した基材11表面の垂直方向に対して傾斜した方向から蒸着を行う、斜め蒸着法を用いることが好ましい。斜め蒸着法とは、基材11の垂直断面において、蒸着源が基材11表面の垂直方向に対して、所定の入射角度を持ちながら金属を蒸着、積層させていく方法である。入射角度は、凹凸構造の凸部11aと作製する導電体12の断面形状から好ましい範囲が決まり、一般には、5°〜45°が好ましく、より好ましくは5°〜35°である。さらに、蒸着中に積層した金属の射影効果を考慮しながら、入射角度を徐々に減少または増加させることは、導電体12の高さなど断面形状を制御する上で好適である。なお、基材11表面が湾曲している場合には、基材11表面の法線方向に対して傾斜した方向から蒸着を行うこととしてもよい。
本実施の形態で示すワイヤグリッド偏光板1において、基材11を構成する材料と導電体12との密着性向上のため、両者の間に両者と密着性が高い誘電体材料を含んでなる誘電体層を好適に用いることができる。例えば、二酸化珪素などの珪素(Si)の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体またはその複合物(誘電体単体に他の元素、単体または化合物が混じった誘電体)や、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、イットリウム(Y)、ジルコニア(Zr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、銅(Cu)などの金属の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体またはそれらの複合物を用いることができる。誘電体材料は、透過偏光性能を得ようとする波長領域において実質的に透明であればよい。誘電体材料の積層方法には特に限定は無く、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的蒸着法を好適に用いることができる。
凹凸構造を有する基材を保持するものとして、基板を用いることも可能である。基板としては、ガラスなどの無機材料や樹脂材料を用いることができるが、ロールプロセスによりワイヤグリッド偏光板1の製造が可能となり、また他光学部材との接着が容易となる平板状の樹脂材料を用いることが好ましい。また、基板により基材を保持する方法としては、特に限定はなく、例えば後述する接着性物質の使用や、加熱による融着などが挙げられる。
本発明においては、接着性物質でワイヤグリッド偏光板1の基材11表面に形成された導電体12を包埋するために、ワイヤグリッド偏光板1の凹凸構造上に接着性物質を介して光学部材を設けることが好ましい。これにより、導電体12の傷付き防止が可能になる等の効果が期待できる他、光学部材等とワイヤグリッド偏光板の重畳が可能になり、ワイヤグリッド偏光板を用いたキューブ型偏光ビームスプリッターの作製を容易とすることができる。また、ワイヤグリッド偏光板1の凹凸構造形成面及び凹凸構造形成面の反対面の少なくとも一方の面に、接着性物質を介して光学部材が設けることが好ましい。
接着性物質を介してワイヤグリッド偏光板と接着する光学部材としては、特に制限は無く、目的とする波長領域において実質的に透明であれば、例えば、平板、プリズム、レンズ、フィルム等を用いることができる。また、表面に凹凸構造を施すことで拡散性を発現させたフィルムや、表面に微細な凹凸構造や誘電体を積層することによって反射防止性を付与したフィルムなど、特殊な光学特性を付与する機能層を表面に有した光学部材を用いることも可能である。
次に、図2を参照して、本発明の実施の形態に係る偏光ビームスプリッターについて説明する。図2は、本発明の実施の形態に係るキューブ型偏光ビームスプリッターの模式図である。図2に示すように、本実施の形態に係るキューブ型偏光ビームスプリッター2は、上記実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板22と、ワイヤグリッド偏光板22上に設けられた一対のプリズム21a、21bと、を備える。ワイヤグリッド偏光板22の凹凸構造上(一方の主面22a)及び基材の他方の主面22bには、それぞれ接着性物質(不図示)が設けられており、この接着性物質を介して基材11の一方の主面22aとプリズム21aとが接着され、他方の主面22bとプリズム21bとが接着されている。このように、接着性物質を介してプリズム21a、21bとワイヤグリッド偏光板22とを接着することで、ワイヤグリッド偏光板22を用いた偏光ビームスプリッター2を作製することができる。ここで、プリズム21bと接着される他方の主面22bは、凹凸構造が形成されていない平坦面であってもよい。
投影型映像表示機器であるプロジェクターとしては、反射型液晶表示素子を利用した反射型液晶プロジェクターがある。反射型液晶プロジェクターとして、本発明に係る偏光ビームスプリッターが好適に用いられる。本発明に係る反射型液晶プロジェクターは、光源と、上記実施の形態に係る偏光ビームスプリッターと、反射型液晶表示素子と、を具備する。偏光ビームスプリッターは、光源から出光した光を透過及び反射して偏光分離した偏光を出光すると共に、反射型液晶表示素子において変調された光を透過または反射して出光する。本実施の形態に係る反射型液晶プロジェクターにおいては、偏光ビームスプリッターは、光源から出光した光を透過及び反射して偏光分離した偏光を出光し、反射型液晶表示素子が、偏光を変調した光を出光してから、偏光ビームスプリッターが、変調された光を透過または反射して出光することで映像を投影する。この偏光ビームスプリッターとして、本発明に係るワイヤグリッド偏光板を用いて作製されたキューブ型の偏光ビームスプリッターを用いることができる。
平行透過率及び直交透過率は、日本分光社製VAP−7070を用いて測定した。測定装置は光源近傍に測定用偏光子を備えるものとし、ワイヤグリッド偏光板の平行透過率及び直交透過率を測定する際は、ワイヤグリッド偏光板の凹凸構造を有する基材表面から入光するように配置した。
P’(λ)=[(Imax−Imin)/(Imax+Imin)]×100 % (1)
面内位相差値の測定機器として、平行ニコル法を利用した偏光解析装置である王子計測機器社製KOBRA−WRを用いた。測定光の波長を550nmとし、入光角度が0度の場合の位相差値を面内位相差値とした。
粘着シートの接着強度は、試験板をSUS鋼板からガラス板へと変更した以外は、JIS−Z−0237に則って測定した。両面に剥離フィルムを有する粘着シートを幅25mmに切り出し、その一方の面をPETフィルムに貼合して作製した試験片を、試験板であるガラス板に貼合した。試験板に貼合し、20分間室温放置後、引張試験機(剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件)を用いてガラスと粘着剤の接着力を測定した。
屈折率の測定は、メトリコン社製レーザー屈折計モデル2010を用いて、測定対象のサンプルを24時間、25度の恒温室で養生した後、屈折率を測定した。同装置による波長532nm、632.8nm及び824nmの屈折率の測定結果からコーシーの分散式を利用して屈折率の波長分散図を求め、波長589nmの屈折率を求めた。なお、硬化型樹脂につては、硬化型樹脂を硬化させた後、屈折率測定を行った。
次に、本実施例で用いたワイヤグリッド偏光板の作製方法について以下に説明する。
凹凸構造が一方向に延在し、垂直断面における凹凸構造が矩形形状であり、ピッチが160nm、145nm、130nm、100nmの各シリコン系基板を、半導体製造のフォトリソグラフィを応用して作製した。PETフィルム(A−4300:東洋紡社製)上にアクリル系UV硬化型樹脂(屈折率1.52)を約3μm塗布し、シリコン系基板の凹凸構造形成面がUV硬化型樹脂と接するようにして、重畳した。中心波長が365nmであるUVランプを操作して、PETフィルム側から1000mJ/cm2のUV照射を行い、シリコン系基板の凹凸構造をPETフィルム上に転写した。得られたPETフィルムの凹凸構造形成面に、導電化処理として、スパッタリングにより白金パラジウムで凹凸構造を被覆した後、それぞれにニッケルを電気メッキし、凹凸構造を表面に有するニッケルスタンパを作製した。下記表1に作製したニッケルスタンパを記載する。
前述した各金型AからFを用いて、表面に凹凸構造を有する転写フィルムの作製を行った。基材は、厚み80μmのトリアセチルセルロース系樹脂からなるTACフィルム(TD80UL−H:富士フイルム社製)とし、TACフィルムの波長550nmにおける面内位相差値は3.5nmであった。TACフィルムにアクリル系UV硬化型樹脂(屈折率1.52)を約3μm塗布し、TACフィルムのMD方向(フィルムの巻き取り方向、あるいは流れ方向)と金型の凹凸構造の延在方向が直交するようにして、TACフィルム上に金型を重畳した。中心波長が365nmであるUVランプを操作して、TACフィルム側から1000mJ/cm2のUV照射を行い、金型の凹凸構造をUV硬化型樹脂上に転写した。TACフィルムを金型から剥離し、UV硬化型樹脂からなる基材表面に凹凸構造を転写した転写フィルムを作製した。以上の操作を各金型に関して行い、下記表3に示す転写フィルムAからFを作製した。下記表3は、各転写フィルムの表面と垂直断面における凹凸構造をSEMで観察した結果であり、下記表3における「凹凸構造」は、垂直断面における凹凸構造の形状を示す。「ピッチ」は凹凸構造の間隔(ピッチ)であり、「(ア)」は、垂直断面おいて、(基材表面の凹凸構造の凸部の最高部から高さ方向へ1/10下った位置の凸部の幅)/(凹凸構造の凹部の最低部から高さ方向へ1/10上った位置の凸部の幅)である。
次に各転写フィルムの凹凸構造を有する基材表面に、スパッタリング法により誘電体層として二酸化珪素を成膜した。スパッタリング装置条件は、Arガス圧力0.2Pa、スパッタリングパワー770W/cm2、被覆速度0.1nm/sとし、転写フィルム上の誘電体厚みが平膜換算で3nmとなるように成膜した。
次に、各転写フィルムの凹凸構造を有する基材表面に、真空蒸着によりアルミニウム(Al)を成膜した。Alの蒸着条件は、常温下、真空度2.0×10−3Pa、蒸着速度40nm/sとした。Alの厚みを測定するため、表面が平滑なガラス基板を転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑ガラス基板上のAl厚みをAl平均厚みとした。基材の凹凸構造の延在方向と垂直に交わる平面内において、凹凸構造を有した基材表面の法線に対して蒸着角を20度とし、転写フィルムA及びBはAl平均厚みが120nmとなるように、転写フィルムCはAl平均厚みが100nmとなるように、転写フィルムD、E及びFはAl平均厚みが90nmとなるように、各転写フィルムにAlを蒸着した。なお、ここでいう平均厚みとは、平滑ガラス基板上にガラス面に垂直方向から物質を蒸着させたと仮定した時の蒸着物の厚みのことを指し、蒸着量の目安として使用している。
次に不要Alの除去を目的として、Alを蒸着した各転写フィルムを0.1重量%水酸化ナトリウム水溶液に室温下で70秒間浸漬させ、その後すぐに水洗し、フィルムを乾燥させた。このようにして各転写フィルムから得られたワイヤグリッド偏光板を、ワイヤグリッド偏光板AからFとし、下記表4に示す。
垂直断面における凹凸構造の間隔が145nmであるワイヤグリッド偏光板A及びBと、凹凸構造の間隔が100nmであるワイヤグリッド偏光板D、E及びFを用いて、接着性物質による導電体の包埋前後の平行透過率及び直交透過率を測定した。なお、ワイヤグリッド偏光板への測定光の入光角度は、ワイヤグリッド偏光板に対して垂直方向とした。まず、各ワイヤグリッド偏光板の平行透過率及び直交透過率を測定後、ワイヤグリッド偏光板の一方の主面(導電体形成面)にアクリル系粘着シート(RA−600N:スミロン社製)を貼合し、TACフィルムのMD方向とワイヤグリッド偏光板の透過軸方向が直交関係となるようにして、貼り合わせた。その後、室温25度環境下で1日保管し、貼合したTACフィルムから測定光が入光するようにVAP−7070の測定台に備え、平行透過率及び直交透過率を測定した。なお、アクリル系粘着シート(RA−600N:スミロン社製)の屈折率は1.47であり、粘着力は6.8N/25mmであった。また、測定波長は、人間の目が光を強く感じるとされる波長555nmとした。
ワイヤグリッド偏光板B、C、またはFと、底面が直角二等辺三角形である三角柱状のPMMA樹脂からなるプリズムを用いて、偏光ビームスプリッターを作製し、その平行透過率及び直交透過率の測定結果から偏光度を算出した。底面が直角二等辺三角形である三角柱状のプリズム2つとワイヤグリッド偏光板のうち一つを用い、ワイヤグリッド偏光板の一方の主面(凹凸構造形成面)にはアクリル系粘着シート(RA−600N:スミロン社製)を介して、ワイヤグリッド偏光板の基板面(凹凸構造形成面の反対面)にはUV硬化型樹脂(LCR0643:東亜合成社製)を介してプリズムの互いに直交する両側面と交差する斜面を接着し、キューブ型偏光ビームスプリッターを作製した。なお、底面が直角二等辺三角形であるプリズムはPMMA樹脂板(カナセライト1300クリア:カナセ工業社製)を切削して作製し、その底面(直角二等辺三角形形状面)に対して、ワイヤグリッド偏光板の導電体の延在方向が、垂直の関係となるように配置した。また、UV硬化型樹脂(LCR0643:東亜合成社製)の屈折率は1.49であった。
ワイヤグリッド偏光板B、及び底面が直角二等辺三角形である三角柱形状のプリズム2つを用いてキューブ型偏光ビームスプリッターを作製した。プリズムとしては、硼珪酸ガラス(BK7:屈折率1.52:実施例6)、もしくは光学用ガラス(S−FPL53:オハラ社製:屈折率1.44:比較例4)からなるプリズムを用い、互いに直交する両側面に反射防止コートを施して使用した。ワイヤグリッド偏光板Bの一方の主面(凹凸構造形成面)にはUV硬化型樹脂(OP−1045K:電気化学工業社製)(屈折率1.55)を介して一方のプリズムの斜面を接着し、ワイヤグリッド偏光板Bの基板面(凹凸構造形成面の反対面)にはアクリル系粘着シート(RA−600N:スミロン社製:屈折率1.47)を介して他方のプリズムの斜面を接着した。なお、それぞれのプリズムに施した反射防止コートは、コート面の垂直方向より入光する場合に、同等の反射率となるよう設計した。合成石英もしくはBK7のプリズムを用いたキューブ型偏光ビームスプリッターを、それぞれキューブ型偏光ビームスプリッターB2(BK7プリズム使用)、キューブ型偏光ビームスプリッターB3(S−FPL53プリズム使用)とした。なお、プリズムの底面(直角二等辺三角形形状面)に対して、ワイヤグリッド偏光板Bの導電体の延在方向が、垂直の関係となるように配置した。表8は、プリズムとプリズム間に存在するワイヤグリッド偏光板以外の構成部材における屈折率差の最大値および、波長465nm、555nm及び630nmにおける平行透過率を測定した結果である。
ワイヤグリッド偏光板B、及び底面が直角二等辺三角形である三角柱形状のプリズム2つを用いてキューブ型偏光ビームスプリッターを作製した。プリズムとしては、合成石英(屈折率1.46:実施例7)もしくは、硼珪酸ガラス(BK7:屈折率1.52:実施例8)からなるプリズムを用い、互いに直交する両側面に反射防止コートを施して使用した。ワイヤグリッド偏光板Bの一方の主面(凹凸構造形成面)にはUV硬化型樹脂(LCR0643:東亜合成社製:屈折率1.49)を介して一方のプリズムの斜面を接着し、ワイヤグリッド偏光板Bの基板面(導電体構造の反対面)にはアクリル系粘着シート(RA−600N:スミロン社製:屈折率1.47)を介して他方のプリズムの斜面を接着した。なお、それぞれのプリズムに施した反射防止コートは、コート面の垂直方向より入光する場合に、同等の反射率となるよう設計した。合成石英もしくはBK7のプリズムを用いたキューブ型偏光ビームスプリッターを、それぞれキューブ型偏光ビームスプリッターB4(合成石英プリズム使用)、キューブ型偏光ビームスプリッターB5(BK7プリズム使用)とした。なお、プリズムの底面(直角二等辺三角形形状面)に対して、ワイヤグリッド偏光板Bの導電体の延在方向が、垂直の関係となるように配置した。表9は、各偏光ビームスプリッターの偏光層への入光角度および、凹凸構造上の接着性物質の屈折率に対するプリズムの屈折率の高低、そして、波長465nm、555nm及び630nmにおける平行透過率を測定した結果である。
2 偏光ビームスプリッター
11 基材
11a 凸部
11b、12a 側面
11c 最高部
11d 凹部
11e 最低部
12 導電体
21a、21b プリズム
22a 一方の主面
22b 他方の主面
Claims (15)
- 145nm以下の間隔をもって所定の方向に延在する凹凸構造が形成された基材と、前記凹凸構造の凸部の一方側面に偏在するように設けられた導電体とを有するワイヤグリッド偏光板と、前記凹凸構造上及び前記凹凸構造の反対面に接着性物質を介してそれぞれ設けられた一対のプリズムとを具備する偏光ビームスプリッターであって、
前記基材の前記凹凸構造が延在する方向に対する垂直断面において、前記凹凸構造の凸部の最高部から高さ方向に1/10下った位置における基材凸部の幅が、前記凹凸構造の凹部の最低部から高さ方向に1/10上った位置における前記基材凸部の幅に対して0.35倍以下であり、
前記垂直断面において、前記凹凸構造の凸部の最高部から高さ方向に1/3下った位置で、前記導電体の幅が、前記基材凸部の幅以上であり、
前記垂直断面において、前記凹凸構造の凸部の頂部より上方の導電体の側面が、前記高さ方向に対して傾斜すると共に、その形状の先端が尖鋭形状であり、
前記垂直断面において、前記凹凸構造の凸部の最高部から高さ方向に1/10下った位置及び前記凹凸構造の凹部の最低部から高さ方向に1/10上った位置において、前記基材表面の面内方向に引いた直線と前記導電体の輪郭との4つの交点のうち、前記凹凸構造の凸部と近接する2つの交点を結んだ直線及び残りの2つの交点を結んだ直線の傾きの符号が同じであり、
前記垂直断面において、前記凹凸構造が正弦波形状であることを特徴とする偏光ビームスプリッター。 - 前記光学部材は、MD方向と前記ワイヤグリッド偏光板の透過軸方向が直交するように設けられることを特徴とする請求項1に記載の偏光ビームスプリッター。
- 前記凹凸構造の凸部の頂部を通り凸部の立設方向に沿う凸部軸と、前記導電体の頂部を通り立設方向に沿う導電体軸とが異なり、前記導電体の少なくとも一部が前記凹凸構造の凸部の頂部より上方に存在することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の偏光ビームスプリッター。
- 前記基材が樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の偏光ビームスプリッター。
- 前記接着性物質が粘着シートであることを特徴とする請求項4に記載の偏光ビームスプリッター。
- 前記偏光ビームスプリッターの、前記ワイヤグリッド偏光板を除くすべての構成部材の屈折率差が0.1以内であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の偏光ビームスプリッター。
- 前記一対のプリズムの屈折率が、前記凹凸構造上の接着性物質の屈折率よりも低いことを特徴とする請求項6に記載の偏光ビームスプリッター。
- 前記凹凸構造上の接着性物質及び/又は前記凹凸構造の反対面の接着性物質が、粘着シートであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の偏光ビームスプリッター。
- 前記凹凸構造上の接着性物質及び/又は前記凹凸構造の反対面の接着性物質が、硬化型樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の偏光ビームスプリッター。
- 前記一対のプリズムのうち少なくとも一方が、樹脂材料を含んでなることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の偏光ビームスプリッター。
- 前記一対のプリズムのうち少なくとも一方が、ガラスを含んでなることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の偏光ビームスプリッター。
- 表面に設けられた光学機能層を、少なくとも一面に備えたことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の偏光ビームスプリッター。
- 前記プリズムの光弾性定数が1.5×10−11Pa−1以下であることを特徴とする請求項8から請求項15のいずれか1項に記載の偏光ビームスプリッター。
- 光源と、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の偏光ビームスプリッターと、反射型液晶表示素子と、を具備し、前記偏光ビームスプリッターは、前記光源から出光した光を透過及び反射して偏光分離し、前記偏光ビームスプリッターを透過または前記偏光ビームスプリッターで反射された偏光が前記反射型液晶表示素子に入光し、前記反射型液晶表示素子において変調された光を、前記偏光ビームスプリッターで透過または反射して映像を投影することを特徴とする投影型映像表示機器。
- 前記偏光ビームスプリッターへの入光角度範囲が、中心角度±10度以上であることを特徴とする請求項14に記載の投影型映像表示機器。
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