JP6006479B2 - 偏光ビームスプリッター及び、投影型映像表示機器 - Google Patents

偏光ビームスプリッター及び、投影型映像表示機器 Download PDF

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Description

本発明は、接着性物質で導電体を包埋しても、光学特性の低下が小さいワイヤグリッド偏光板及びこれを用いた偏光ビームスプリッターに関する。
投影型映像表示機器であるプロジェクターとしては、反射型液晶表示素子を利用した反射型液晶プロジェクターがある。反射型液晶プロジェクターでは偏光を利用するため、光源光を偏光させる必要がある。このため、反射型液晶プロジェクターを構成する一偏光分離部材として、偏光ビームスプリッターが用いられている。
偏光ビームスプリッターとしては、2つの三角柱状のプリズムを接着して形成されるキューブ型偏光ビームスプリッターがある。従来のキューブ型偏光ビームスプリッターは、その接着面が多層の誘電体薄膜で積層された構造を有しており、ブリュースター角を利用することによって、偏光分離を行っていた。この偏光分離性能を決定する要素は、積層される誘電体間の屈折率差、及び各誘電体の膜厚であるが、キューブ型偏光ビームスプリッターの入光角度が変化すると、見かけ上の各誘電体の膜厚が変化することになるため、偏光分離性能が大きく変化してしまう。そのため、Fナンバーの大きな光、つまり平行光に近い光を偏光ビームスプリッターに入光させる必要があり、反射型液晶プロジェクターを構成する投射レンズとしては、Fナンバーが大きい、比較的暗いレンズしか使用することができなかった。
この偏光分離特性の入光角度依存性を改善する(小さくする)一つの方法として、ワイヤグリッド偏光板を用いたキューブ型偏光ビームスプリッターが提案されている(例えば、特許文献1参照)。これは、偏光分離特性が良好で、入光角度に対する偏光分離特性の変化が小さいワイヤグリッド偏光板をキューブ型偏光ビームスプリッターに用いるというものである。しかしながら、従来のワイヤグリッド偏光板の導電体を接着性物質で包埋すると、偏光分離特性は大きく低下してしまう。このため、特許文献1に記載されているような、接着性物質を介して三角柱状のプリズム2つとワイヤグリッド偏光板を接着し、作製したキューブ型偏光ビームスプリッターの偏光分離特性は悪く、それは偏光分離特性の入光角度依存性にも悪影響を与えていた。つまり、これまでは、偏光分離特性が良好で、且つ偏光分離特性の入光角度依存性が小さいというワイヤグリッド偏光板を用いたキューブ型偏光ビームスプリッターは、作製することができなかった。
また、基材表面に凹凸構造を有し、凹凸構造の凸部の一方側面に導電体が偏在するワイヤグリッド偏光板の導電体を接着性物質で包埋すると、平行透過率の著しい低下が生じてしまう。つまり、ワイヤグリッド偏光板の導電体を接着性物質で包埋すると、偏光分離特性と平行透過率の著しい低下が生じていた。
これに対し、ワイヤグリッド偏光板の導電体を接着性物質で包埋せずに三角プリズム等を含む光学部材をワイヤグリッド偏光板の導電体に重畳したワイヤグリッド偏光板が提案されている(例えば、特許文献2参照)。これは、ワイヤグリッド偏光板の導電体の先端部のみと粘着層を有した光学シートとを接着させるものである。つまり、粘着層の流動性及び粘着力を制御することで、粘着層によるワイヤグリッド偏光板の導電体の完全な包埋を防止し、その結果、偏光性能の低下を軽減できる。しかしながら、この方法では、温度及び湿度が変化する環境下で長期間使用する場合、光学シートは剥離してしまう可能性がある。粘着層の流動性及び粘着力を制御した粘着層によってワイヤグリッド偏光板の導電体の完全な包埋の防止を行う場合、粘着層は弱粘着性を示し易くなり、さらに、温度及び湿度が変化する環境下でのワイヤグリッド偏光板と光学シートの熱や水分に対する膨張性の違いにより、粘着層はワイヤグリッド偏光板の導電体から容易に剥離してしまう。つまり、長期信頼性に問題が生じる可能性は否定できずにいた。
特開2003−131212号公報 特開2008−96677号公報
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、ワイヤグリッド偏光板の導電体を接着性物質で包埋しても平行透過率と偏光分離特性(偏光度)の低下を小さくすることができ、平行透過率と偏光分離特性(偏光度)が良好なワイヤグリッド偏光板及びこれを用いた偏光ビームスプリッターを提供すること目的とする。
本発明の偏光ビームスプリッターは、145nm以下の間隔をもって所定の方向に延在する凹凸構造が形成された基材と、前記凹凸構造の凸部の一方側面に偏在するように設けられた導電体とを有するワイヤグリッド偏光板と、前記凹凸構造上及び前記凹凸構造の反対面に接着性物質を介してそれぞれ設けられた一対のプリズムとを具備する偏光ビームスプリッターであって、前記基材の前記凹凸構造が延在する方向に対する垂直断面において、前記凹凸構造の凸部の最高部から高さ方向に1/10下った位置における基材凸部の幅が、前記凹凸構造の凹部の最低部から高さ方向に1/10上った位置における前記基材凸部の幅に対して0.35倍以下であり、前記垂直断面において、前記凹凸構造の凸部の最高部から高さ方向に1/3下った位置で、前記導電体の幅が、前記基材凸部の幅以上であり、前記垂直断面において、前記凹凸構造の凸部の頂部より上方の導電体の側面が、前記高さ方向に対して傾斜すると共に、その形状の先端が尖鋭形状であり、前記垂直断面において、前記凹凸構造の凸部の最高部から高さ方向に1/10下った位置及び前記凹凸構造の凹部の最低部から高さ方向に1/10上った位置において、前記基材表面の面内方向に引いた直線と前記導電体の輪郭との4つの交点のうち、前記凹凸構造の凸部と近接する2つの交点を結んだ直線及び残りの2つの交点を結んだ直線の傾きの符号が同じであり、前記垂直断面において、前記凹凸構造が正弦波形状であることを特徴とする。
本発明の偏光ビームスプリッターにおいては、前記光学部材は、MD方向と前記ワイヤグリッド偏光板の透過軸方向が直交するように設けられることが好ましい
本発明の偏光ビームスプリッターにおいては、前記凹凸構造の凸部の頂部を通り凸部の立設方向に沿う凸部軸と、前記導電体の頂部を通り立設方向に沿う導電体軸とが異なり、前記導電体の少なくとも一部が前記凹凸構造の凸部の頂部より上方に存在することが好ましい。
本発明の偏光ビームスプリッターにおいては、前記基材が樹脂であることが好ましい。
本発明の偏光ビームスプリッターにおいては、前記接着性物質が粘着シートであることが好ましい。
本発明の偏光ビームスプリッターにおいては、前記ワイヤグリッド偏光板を除くすべての構成部材の屈折率差が0.1以内であることが好ましい。
本発明の偏光ビームスプリッターにおいては、前記一対のプリズムの屈折率が、前記凹凸構造上の接着性物質の屈折率よりも低いことが好ましい。
本発明の偏光ビームスプリッターにおいては、前記凹凸構造上の接着性物質及び/又は前記凹凸構造の反対面の接着性物質が、粘着シートであることが好ましい。
本発明の偏光ビームスプリッターにおいては、前記凹凸構造上の接着性物質及び/又は前記凹凸構造の反対面の接着性物質が、硬化型樹脂であることが好ましい。
本発明の偏光ビームスプリッターにおいては、前記一対のプリズムのうち少なくとも一方が、樹脂材料を含んでなることが好ましい。
本発明の偏光ビームスプリッターにおいては、前記一対のプリズムのうち少なくとも一方が、ガラスを含んでなることが好ましい。
本発明の偏光ビームスプリッターにおいては、表面に設けられた光学機能層を、少なくとも一面に備えたことが好ましい。
本発明の偏光ビームスプリッターにおいては、プリズムの光弾性定数が1.5×10−11Pa−1以下であることが好ましい。
本発明の投影型映像表示機器は、光源と、上記偏光ビームスプリッターと、反射型液晶表示素子と、を具備し、前記偏光ビームスプリッターは、前記光源から出光した光を透過及び反射して偏光分離し、前記偏光ビームスプリッターを透過または前記偏光ビームスプリッターで反射された偏光が前記反射型液晶表示素子に入光し、前記反射型液晶表示素子において変調された光を、前記偏光ビームスプリッターで透過または反射して映像を投影することを特徴とする。
本発明の投影型映像表示機器においては、前記偏光ビームスプリッターへの入光角度範囲が、中心角度±10度以上であることが好ましい。
本発明によれば、ワイヤグリッド偏光板の導電体を接着性物質で包埋しても平行透過率と偏光分離特性(偏光度)の低下を小さくすることができ、平行透過率と偏光分離特性(偏光度)が良好なワイヤグリッド偏光板及びこれを用いた偏光ビームスプリッターを実現することが可能となる。
本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板の断面模式図である。 本発明の実施の形態に係る偏光ビームスプリッターの具体例の一態様を示す図である。 本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板の導電体の形状の説明図である。
本発明の実施の形態について、添付図面を参照して以下詳細に説明する。
<ワイヤグリッド偏光板>
本発明に係るワイヤグリッド偏光板は、150nm以下の間隔(ピッチ)をもって所定の方向に延在する凹凸構造を有する基材と、凹凸構造の凸部の一方側面に偏在するよう設けられた導電体を有する。また、基材の凹凸構造が延在する方向(以下、「延在方向」ともいう)に垂直断面(以下、単に「垂直断面」ともいう)において、凹凸構造の凸部の最高部から高さ方向に1/10下った位置の基材凸部の幅は、基材表面の凹部の最低部から高さ方向に1/10上った位置の基材凸部の幅に対して0.45倍以下である。以下、図1を参照して本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板の一例について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板1の断面模式図である。なお、図1においては、ワイヤグリッド偏光板1の基材11の凹凸構造の延在方向に対する垂直断面を模式的に示している。図1に示すように、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板1は、対向する一対の主面を有し、一方の主面に所定に間隔(ピッチP1)をもって所定の方向に延在する凹凸構造が形成された基材11と、基材11表面の凹凸構造の凸部11aの一方の側面11bに偏在するように設けられた導電体12とを有する。なお、基材11の凹凸構造は、必ずしも基材11の主面に設ける必要はなく、端面に設けてもよい。
基材11の凸部11aは、150nm以下のピッチP1で設けられる。この基材11の凸部11aは、基材11の凸部11aの最高部11cと凹部11dの最低部11eとの間の高さHにおいて、凸部11aの最高部11cから高さ方向に1/10H下がった位置における幅Thが、凹部11dの最低部11eから1/10H上った位置の幅Tlに対して0.45倍以下となっている。なお、導電体12は、基材11上に有する凹凸構造の凸部11aのいずれか一方の側面11bに、選択的に設けることが好ましい。
基材11表面の凹凸構造は、垂直断面において、正弦波形状であることが好ましい。正弦波形状とは、凹部11dと凸部11aの繰り返しからなり、放物線のようになだらかに曲率が変化する曲線部を意味し、それは、台形形状、矩形形状、方形形状や、半円状などの正弦波形状であってもよい。これらの断面形状の曲線部は湾曲した曲線であればよく、例えば、凸部11aにくびれがある形状も正弦波形状に含む。凹凸構造の形状により、基材11の表面にある凹凸形状の凸部11aの頂部から凹部11dの底部にかけての凸部11aの一方の側面11bに、斜め蒸着法で連続した導電体を形成することが容易となる。また、凹凸構造の形状に対して、斜め蒸着法と等方性エッチングで導電体12を形成することにより、垂直断面における凸部11aの頂部より上方の導電体12の側面12aは基材11表面の垂直方向に対して傾斜する。このため、導電体12は先細った形状とすることができ、先端形状が三角形に似た尖鋭形状の導電体12を形成することが容易となる。このような導電体12を形成することで、接着性物質で包埋した際の平行透過率及び偏光度の低下の抑制が可能となる。
また、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板1の導電体12においては、上記凹凸構造の形状により、基材11表面の垂直方向に対して傾斜させることもでき、傾斜入光時の平行透過率が優れるワイヤグリッド偏光板1を作製することで、好ましい特性を呈する偏光ビームスプリッターを提供することが可能となる。
また、上述の製法により、垂直断面における基材11表面の凹凸構造の凸部11aの最高部11cから高さ方向に1/3下った位置において、導電体12の幅T(ここで幅Tとは、基材11表面に平行な方向での導電体12の厚みをいう)を、凸部11aの幅Tm(ここで幅Tmとは、基材11表面に平行な方向での基材11の厚みをいう)以上とすることが容易となり、これにより、ワイヤグリッド偏光板1の導電体12の体積を増加させることができる。接着性物質で包埋した場合の導電体の層の有効屈折率は、導電体の体積に応じて変化し、導電体の体積を増加させることで接着性物質、あるいは基材との屈折率差を大きくすることができるため、偏光特性の低下を抑制できる。なお、凸部11aの幅Tm及び導電体12の幅Tは、垂直断面における基材11表面の凹凸構造及び導電体12の形状を走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、任意に選択した3つの凸部11aに関する凸部11a及び凸部11aに偏在する導電体12の基材11表面の平行方向の幅を測定し、その平均値を用いる。
また垂直断面において、凹凸構造の凸部11aの頂部を通り凸部11aの立設方向に沿う凸部軸A1(図1の一点鎖線参照)と、導電体12の頂部を通り立設方向に沿う導電体軸A2(図1の二点鎖線参照)とは異なる(重畳しない)構成であることが好ましい。これにより、導電体12と基材11の接触面積を増やすことができるため、導電体12の剥離を防止でき、また、高さが高い導電体12を形成し易くなるため、ワイヤグリッド偏光板1の偏光分離特性を向上できる。
また、導電体12の少なくとも一部が、凹凸構造の凸部11aの頂部より上方に存在する構成であることが好ましく、凸部11aの高さHに対して1.1倍以上上方に導電体12の頂部が存在することがさらに好ましい。導電体12を基材11の凸部11aの頂部より上方に、伸びるよう設けることで導電体12の体積を増加させることができ、その結果、ワイヤグリッド偏光板1の偏光分離特性は向上し、光の損失を減らすことができる。なお、導電体12の形状は、少なくとも基材11の凸部11aの頂部から上方に突出する形状であればよく、導電体12の体積を増加でき、偏光分離特性を向上できる範囲であれば適時変更可能である。
(基材)
基材11としては、例えば、ガラスなどの無機材料や樹脂材料を用いることができる。中でも樹脂材料を用いて基材11を形成することにより、ロールプロセスが可能になる、ワイヤグリッド偏光板1にフレキシブル性(屈曲性)を持たすことができる、等のメリットがあるため好ましい。基材11として用いることができる樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線(UV)硬化型樹脂や熱硬化型樹脂が挙げられる。また、UV硬化型樹脂や熱硬化型樹と、ガラスなどの無機基板、上記熱可塑性樹脂、トリアセテート樹脂、トリアセチルセルロース樹脂とを組み合わせたり、単独で用いて基材11を構成させたりすることもできる。また、基材11と導電体12の密着性を向上させるための薄膜を、基材11の表面に備えても構わない。
また、基材11の垂直断面において、凹凸構造は正弦波形状であることが好ましい。また、基材11は、目的とする波長領域において実質的に透明であればよい。なお、所定の方向に延在するとは、凹凸構造が所定の方向に実質的に延在していればよく、凹凸構造の凹部11dと凸部11aの各々が厳密に平行に延在している必要はない。また凹凸構造の間隔は、150nm以下が好ましく、等間隔であることが好ましい。なお、等間隔であるとは、実質的に等間隔であればよく、±10%程度までのばらつきは許容できる。
表面に凹凸構造を有する基材11の製造方法は特に限定されない。例えば、本出願人の出願による特許第4147247号公報に記載の製造方法を挙げることができる。特許第4147247号公報によれば、干渉露光法を用いて作製した凹凸構造を有する金属スタンパを用いて、凹凸構造を熱可塑性樹脂に熱転写し、凹凸構造を付与した熱可塑性樹脂の凹凸構造の延在方向と平行な方向に自由端一軸延伸加工を施す。その結果、熱可塑性樹脂に転写された凹凸構造のピッチが縮小され、微細な凹凸構造を有する樹脂版(延伸済み)が得られる。続いて、得られた微細な凹凸構造を有する樹脂版(延伸済み)から、電解メッキ法などを用いて、微細な凹凸構造を有する金属スタンパを作製する。この金属スタンパにより、基材11表面に微細な凹凸構造を転写、形成することで、凹凸構造を有する基材11を得ることが可能となる。その他、微細な凹凸構造を半導体製造のフォトリソグラフィを応用して作製したシリコン系基板等を用いる方法がある。例えば、微細な凹凸構造を有するシリコン系基板を鋳型として、微細な凹凸構造を表面に有する樹脂版を作製する。樹脂版から、電解メッキ法などを用いて、微細な凹凸構造を有する金属スタンパを作製することも可能である。
垂直断面における凹凸構造の形状が矩形形状である金属スタンパを用いて、凹凸構造を熱可塑性樹脂に熱転写し、凹凸構造を付与した熱可塑性樹脂の凹凸構造の延在方向と平行な方向に自由端一軸延伸加工を施した場合、延伸加工による凹凸構造の変化に伴い、凹凸構造の断面形状を正弦波形状とすることができる。ここで、得られた微細な凹凸構造を有する樹脂版(延伸済み)から、電解メッキ法などを用いて、微細な凹凸構造を有する金属スタンパを作製した場合、それは、垂直断面における凹凸構造の形状が正弦波形状となる凹凸構造を転写、形成できる金属スタンパとすることができる。
垂直断面における凹凸構造の形状が正弦波形状であり、且つ垂直断面における凹凸構造の凸部11aの最高部11cから高さ方向に1/10H下った位置の基材11の凸部11aの幅Thが、基材11表面の凹部11dの最低部11eから高さ方向に1/10H上った位置の基材11の凸部11aの幅Tlに対して0.45倍以下とした凹凸構造の形状を転写、形成できる金属スタンパの作製方法としては、例えば、以下のような方法を挙げることができる。
まず、垂直断面における凹凸構造の形状が矩形形状である金属スタンパを用いて、凹凸構造を熱可塑性樹脂に熱転写し、凹凸構造を付与した熱可塑性樹脂の凹凸構造の延在方向と平行な方向に自由端一軸延伸加工を施す。次に、得られた微細な凹凸構造を有する樹脂版(延伸済み)表面の一方の主面(凹凸構造形成面)に、UV−オゾンによる表面処理を施し、電解メッキ法などを用いて、微細な凹凸構造を有する金属スタンパを作製する。このようにして、垂直断面における凹凸構造の形状が正弦波形状であり、且つ垂直断面における基材11表面の凹凸構造の凸部11aの最高部11cから高さ方向に1/10H下った位置の凸部の幅Thが、凹部11dの最低部11eから高さ方向に1/10H上った位置の凸部11aの幅Tlに対して0.45以下となる凹凸構造の形状を転写、形成できる金属スタンパを作製することができる。
なお、微細な凹凸構造を有する樹脂版(延伸済み)の凹凸構造形成面に表面処理を実施する方法としては制限がなく、UV−オゾン法、コロナ放電法、プラズマ法、ドライエッチング法等を用いることができる。なお、垂直断面における所望の凹凸構造を有する金属スタンパの作製方法は、前述した方法に限定されるものでなく、例えば、表面処理を実施する対象を微細な凹凸構造を有する樹脂版(延伸済み)から金属スタンパに変更し、金属スタンパの凹凸構造形成面を表面処理するといった方法や、フォトリソグラフィによる微細加工を用いて所望の凹凸形状を有した鋳型を作製し、表面処理を不要なものとするといった方法も容易に考案できる。
(導電体)
導電体12は、基材11の表面のうち、凹凸構造が形成された主面(以下、「凹凸構造形成面」ともいう)に設けられている。前述したように、表面に凹凸構造が形成された基材11上に導電体12を設ける場合には、凸部11aの一方の側面11bに接し、上部が基材11の凸部11aの頂部より上方に伸びるように設けることが好ましい。
導電体12は、所定の方向に延在する基材11表面の凹凸構造の凸部11aと概略平行に所定の間隔(周期)をもって直線状に形成されるが、この直線状の導電体12の周期が可視光の波長よりも小さい場合、導電体12に対して平行方向に振幅する偏光成分を反射し、垂直方向に振幅する偏光成分は透過する偏光分離部材となる。導電体12としては、アルミニウム、銀、銅、白金、金またはこれらの各金属を主成分とする合金を使用することができ、斜めスパッタリング法や斜め蒸着法により形成することができる。特に、アルミニウムもしくは銀を用いて導電体を形成することにより、可視域光の吸収損失を小さくすることができるため、好ましい。
一般にワイヤグリッド構造を有する偏光板は、導電体12の間隔(ピッチP2)が小さくなるほど幅広い波長帯域で良好な偏光特性を示す。導電体12が空気(屈折率1.0)と接し、接着性物質で包埋されない場合には、導電体12のピッチP2を対象とする光の波長の1/4〜1/3とすることで、実用的に十分な偏光特性を示すことになるが、導電体を接着性物質で包埋する場合、接着性物質の屈折率の影響を考慮して、対象とする光の波長の1/5〜1/4のピッチP2とすることがさらに好ましい。このため、可視光領域の光の利用を考慮する場合、ピッチP2を150nm以下とすることが好ましく、さらに好ましくは130nm以下とすることであり、最も好ましくは100nm以下とすることである。
<導電体形成方法>
導電体12の形成方法は、生産性や光学特性等を考慮し、凹凸構造を有した基材11表面の垂直方向に対して傾斜した方向から蒸着を行う、斜め蒸着法を用いることが好ましい。斜め蒸着法とは、基材11の垂直断面において、蒸着源が基材11表面の垂直方向に対して、所定の入射角度を持ちながら金属を蒸着、積層させていく方法である。入射角度は、凹凸構造の凸部11aと作製する導電体12の断面形状から好ましい範囲が決まり、一般には、5°〜45°が好ましく、より好ましくは5°〜35°である。さらに、蒸着中に積層した金属の射影効果を考慮しながら、入射角度を徐々に減少または増加させることは、導電体12の高さなど断面形状を制御する上で好適である。なお、基材11表面が湾曲している場合には、基材11表面の法線方向に対して傾斜した方向から蒸着を行うこととしてもよい。
具体的には、特定方向に所定のピッチをもって概略平行に延在する凹凸構造を表面に有した基材11表面の被蒸着領域の中心における垂直方向に対して5°以上45°未満となる方向に蒸着源の中心を設け、凹凸構造上に導電体12を形成する。さらに好ましくは、基材11表面の被蒸着領域の中心における垂直方向に対して5°以上35°未満となる角度方向に蒸着源の中心を設けることである。これにより、導電体12を、基材11表面の凹凸構造の凸部11aのいずれか一方側面11bに選択的に設けることが可能となる。なお、基材11を搬送しながら蒸着する場合には、ある瞬間における被蒸着領域の中心と蒸着源の中心が前述した条件となるように蒸着を行ってもよい。
前述した斜め蒸着法を用いた場合、基材11表面の凹凸構造の凸部11aと導電体12の延在方向は等しくなる。導電体12の形状を達成するための金属蒸着量は、凹凸構造の凸部11aの形状によって決まるが、一般には、平均蒸着厚みは50nm〜200nm程度である。ここでいう平均厚みとは、平滑ガラス基板上にガラス面に垂直方向から物質を蒸着させたと仮定した時の蒸着物の厚みのことを指し、金属蒸着量の目安として使用する。
また、光学特性の観点から、不要な導電体はエッチングにより除去することが好ましい。エッチング方法は、基材11や誘電体層に悪影響を及ぼさず、導電体部分が選択的に除去できる方法であれば特に限定は無いが、生産性の観点及び導電体12の形状制御の観点から、等方性エッチングが好ましく、例えば、アルカリ性の水溶液に浸漬させるエッチング方法が好ましい。
(誘電体)
本実施の形態で示すワイヤグリッド偏光板1において、基材11を構成する材料と導電体12との密着性向上のため、両者の間に両者と密着性が高い誘電体材料を含んでなる誘電体層を好適に用いることができる。例えば、二酸化珪素などの珪素(Si)の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体またはその複合物(誘電体単体に他の元素、単体または化合物が混じった誘電体)や、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、イットリウム(Y)、ジルコニア(Zr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、銅(Cu)などの金属の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体またはそれらの複合物を用いることができる。誘電体材料は、透過偏光性能を得ようとする波長領域において実質的に透明であればよい。誘電体材料の積層方法には特に限定は無く、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的蒸着法を好適に用いることができる。
(基板)
凹凸構造を有する基材を保持するものとして、基板を用いることも可能である。基板としては、ガラスなどの無機材料や樹脂材料を用いることができるが、ロールプロセスによりワイヤグリッド偏光板1の製造が可能となり、また他光学部材との接着が容易となる平板状の樹脂材料を用いることが好ましい。また、基板により基材を保持する方法としては、特に限定はなく、例えば後述する接着性物質の使用や、加熱による融着などが挙げられる。
樹脂材料としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、トリアセチルセルロース樹脂(TAC)等や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線(UV)硬化型樹脂や熱硬化型樹脂が挙げられる。また、UV硬化型樹脂や熱硬化型樹脂と、ガラスなどの無機基板、熱可塑性樹脂等を組み合わせたり、単独で用いたりしてもよい。
基板の面内位相差は、偏光度低下を避けるため、所定の波長における面内位相差値を低くすることが好ましく、例えば可視光の利用を考えるのであれば、波長550nmにおける位相差値を30nm以下とすることが好ましい。さらに好ましくは、15nm以下である。また、ワイヤグリッド偏光板1が与える偏光の偏光度の面内ムラ発生を防止するため、基板面内の任意の2点における位相差値管理が必要であり、例えば可視光の利用を考えるのであれば、波長550nmにおける面内位相差値差が10nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは位相差値差5nm以下である。このような特性を有する基板としては、トリアセチルセルロース樹脂(TAC)、シクロオレフィンポリマー樹脂(COP)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)などがあり、これらの樹脂材料を用いることが好ましい。
(接着性物質)
本発明においては、接着性物質でワイヤグリッド偏光板1の基材11表面に形成された導電体12を包埋するために、ワイヤグリッド偏光板1の凹凸構造上に接着性物質を介して光学部材を設けることが好ましい。これにより、導電体12の傷付き防止が可能になる等の効果が期待できる他、光学部材等とワイヤグリッド偏光板の重畳が可能になり、ワイヤグリッド偏光板を用いたキューブ型偏光ビームスプリッターの作製を容易とすることができる。また、ワイヤグリッド偏光板1の凹凸構造形成面及び凹凸構造形成面の反対面の少なくとも一方の面に、接着性物質を介して光学部材が設けることが好ましい。
なお、導電体12を接着性物質で包埋するとは、実質的に導電体12を接着性物質で包埋していればよく、例えば、導電体12を非接着性物質で包埋した後に非接着性物質を接着性物質で覆っていれば、導電体12を接着性物質で包埋していると見なすことができる。接着性物質としては、特に制限は無く、目的とする波長領域において実質的に透明であればよい。例えば、UVの照射により硬化するUV硬化型樹脂や、加熱処理によって硬化する熱硬化型樹脂、粘着剤をシート状にした粘着シートを用いることができる。その他、硬化処理前は粘着シートと同様の性状を示すが、硬化処理によって架橋密度が変化し、硬化する粘接着シートといった接着性物質を用いることもできる。
また、導電体構造面(凹凸構造)に接着性物質を設けて導電体12を包埋する場合には、接着性物質に酸を極力含まない材料を用いることが好ましい。酸を極力含まない材料でワイヤグリッド偏光板1の導電体12を被覆することにより、接着性物質に含まれる酸に起因した導電体12の劣化が生じる可能性を小さくすることができる。あるいは、例えば、ワイヤグリッド偏光板の導電体構造面に透光性に優れるバリア層をあらかじめ形成し、接着性物質を設けることも有効である。
接着性物質を介してワイヤグリッド偏光板1の両主面と光学部材等とを接着する場合、少なくとも一方の接着性物質が粘着シートであることが好ましい。これは、粘着シートを用いることで接着時に発生する収縮等の応力を緩和させ、作製した接着体の複屈折率が上昇することを抑制するためである。粘着シートとしては、ガラスに対する粘着力が1.5N/25mm以上であることが好ましく、更に好ましくは、5.0N/25mm以上である。これにより、温度及び湿度が変化する環境下での長期間の使用で粘着シートは剥離し難いものとなるため、十分な長期信頼性を得ることができる。また、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等の樹脂からなる粘着シートは、光学特性や接着力、コストなどの観点から好ましい。
また、接着性物質を介してワイヤグリッド偏光板の一方の主面及び他方の主面と光学部材等とを接着する場合、少なくとも一方の接着性物質が硬化型樹脂であることが好ましい。これは、例えば、接着する光学部材が剛体同士の場合、液状である硬化型樹脂を塗布し、気泡が混入しないようにして剛体である光学部材を重畳した後に硬化型樹脂を硬化させるといった作業を通常環境下(大気圧下)で実施することができるため、作業性が向上する。なお硬化型樹脂としては、粘度と硬化処理方法の観点から、UV硬化型樹脂を用いることが好ましい。UV硬化型樹脂の硬化処理前後での体積収縮率は、10%以下とすることが好ましく、より好ましい体積収縮率は5%以下である。また粘度は、5000mPa・s(温度25度)以下が好ましく、更に好ましくは、1000mPa・s(温度25度)以下である。
(光学部材)
接着性物質を介してワイヤグリッド偏光板と接着する光学部材としては、特に制限は無く、目的とする波長領域において実質的に透明であれば、例えば、平板、プリズム、レンズ、フィルム等を用いることができる。また、表面に凹凸構造を施すことで拡散性を発現させたフィルムや、表面に微細な凹凸構造や誘電体を積層することによって反射防止性を付与したフィルムなど、特殊な光学特性を付与する機能層を表面に有した光学部材を用いることも可能である。
(偏光ビームスプリッター)
次に、図2を参照して、本発明の実施の形態に係る偏光ビームスプリッターについて説明する。図2は、本発明の実施の形態に係るキューブ型偏光ビームスプリッターの模式図である。図2に示すように、本実施の形態に係るキューブ型偏光ビームスプリッター2は、上記実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板22と、ワイヤグリッド偏光板22上に設けられた一対のプリズム21a、21bと、を備える。ワイヤグリッド偏光板22の凹凸構造上(一方の主面22a)及び基材の他方の主面22bには、それぞれ接着性物質(不図示)が設けられており、この接着性物質を介して基材11の一方の主面22aとプリズム21aとが接着され、他方の主面22bとプリズム21bとが接着されている。このように、接着性物質を介してプリズム21a、21bとワイヤグリッド偏光板22とを接着することで、ワイヤグリッド偏光板22を用いた偏光ビームスプリッター2を作製することができる。ここで、プリズム21bと接着される他方の主面22bは、凹凸構造が形成されていない平坦面であってもよい。
プリズム21a,21bとしては、ワイヤグリッド偏光板22の両主面に対して、それぞれ接着できるものであれば、特に限定されず、概略三角柱形状や概略四角柱形状などの角柱形状や、その他各種形状のものを用いることが可能である。これらの中でも、概略三角柱形状のプリズムを用いることが好ましく、上面及び底面が二等辺三角形の三角柱のプリズムを用いることがより好ましく、キューブ型偏光ビームスプリッターを作製する観点から、上面及び底面が直角二等辺三角形のプリズムを用いることがさらに好ましい。上面及び底面が直角二等辺三角形の三角柱形状のプリズムを用いる場合には、互いに直交する両側面と交差する斜面をワイヤグリッド偏光板22の両主面に接着することが好ましい。例えば、図2に示した例では、一対のプリズム21a,21bは、一方のプリズム21aの斜面がワイヤグリッド偏光板22の一方の主面に接着され、他方のプリズム21bの斜面がワイヤグリッド偏光板22の他方の主面に接着される。このように偏光ビームスプリッター2を構成することにより、平面視において、偏光ビームスプリッターの形状が概略矩形状となるので、キューブ型偏光ビームスプリッターを作製することが可能となる。なお、所望の形状を有する偏光ビームスプリッターを作製するために、用いるプリズムの形状は、適宜変更することが可能であり、また、用いる材料も自由に選択することができる。なお、キューブ型とは、ワイヤグリッド偏光板の一方の主面及び他方の主面とプリズムとが接着性物質を介して接着された形状を意味しており、必ずしも立方体形状を示すものではない。
一般に市販される立方体の偏光ビームスプリッターは、底面が直角二等辺三角形である三角柱状のプリズム2つと偏光分離層を形成する偏光材から構成され、偏光材はプリズムの上面と底面の斜辺と接する面に挟まれるが、本発明に係るワイヤグリッド偏光板22を用いて同様の偏光ビームスプリッターを作製する場合、偏光材がワイヤグリッド偏光板22となる。偏光材としてワイヤグリッド偏光板22を用いる場合、ワイヤグリッド偏光板22の導電体(不図示)の延在方向D1は自由に選択できるが、底面が直角二等辺三角形であるプリズムの底面に対して、ワイヤグリッド偏光板の導電体の延在方向D1が垂直の関係となるように配置することが、ワイヤグリッド偏光板22およびこれを用いたキューブ型偏光ビームスプリッターの偏光透過特性及び偏光反射特性の観点から、好ましい。
本実施の形態に係るキューブ型偏光ビームスプリッター2においては、ワイヤグリッド偏光板22を除くすべての構成部材の屈折率差を0.1以内にすることが好ましい。これにより、界面反射による透過率の低下を防止でき、偏光分離のできる入光角度範囲を広範囲なものとすることができる。
ワイヤグリッド偏光板は、特定方向に延在する導電体によって、偏光分離を行うため、入光角度の変化による偏光分離性能の変化は小さい。そのため、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板22を偏光分離層に使用することで、入光角度の変化による偏光分離性能の変化が小さいキューブ型偏光ビームスプリッターとすることができる。
一般に、キューブ型偏光ビームスプリッターにおいては、プリズムに誘電体積層膜を成膜する。このため、誘電体の成膜時に、プリズムに加わる熱の影響を考慮すると、光弾性定数が1.5×10−11Pa−1以下のプリズムを用いることが好ましい。しかしながら、このようなプリズムの多くは、屈折率が1.80以上であり、また高価である。これに対して、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板22を用いたキューブ型偏光ビームスプリッター2においては、誘電体積層膜のプリズムへの成膜といった工程が不要であり、またプリズム21a,21bとワイヤグリッド偏光板22とを接着する接着性物質に粘着シートを用いるなど、接着時の応力を緩和した構成とすることも可能である。このため、光弾性定数が1.5×10−11Pa−1以上のプリズムを用いることが可能となり、屈折率が1.80以下の安価なプリズムも使用できる。
本実施の形態に係るキューブ型ビームスプリッター2においては、偏光分離にブリュースター角を利用せず、プリズムに誘電体積層膜を成膜しない。これにより、プリズム21a、21b以外の構成部材の屈折率も自由に調整することが可能となり、構成部材の屈折率差を小さくすることができる。この結果、ワイヤグリッド偏光板22を除くすべての構成部材の屈折率差を0.1以内とすることが可能となり、界面反射による透過率の低下防止や、偏光分離ができる入光角度範囲を広範囲なものとすることができる。
また、本実施の形態に係るキューブ型偏光ビームスプリッターにおいては、プリズムの屈折率が、ワイヤグリッド偏光板の凹凸構造上の接着性物質の屈折率よりも低いことが好ましい。これにより、入光角度を平行透過率が最大となる前記入光角度範囲に近づけることができ、平行透過率の向上が可能となる。
本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板22においては、凹凸構造の凸部11aの最高部から高さ方向に1/10下った位置の基材凸部11aの幅が、基材11表面の凹部の最低部から高さ方向に1/10上った位置の基材凸部11aの幅に対して0.45倍以下となっているため、導電体12を凹凸構造表面に対して相対的に傾斜させることが可能である。このため、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板22を用いたキューブ型偏光ビームスプリッター2においては、導電体12のこのような傾斜の影響によって、平行透過率は偏光分離層への入光角度が35度から40度でピークとなる入光角度依存性を持つ傾向がある。
通常、キューブ型偏光ビームスプリッター2においては、界面反射や偏光分離可能な入光角度範囲の影響を考慮すると、構成部材の屈折率差をできる限り0に近づけることが好ましい。一方で、本実施の形態に係るキューブ型偏光ビームスプリッター2においては、入光角度依存性の影響により、ワイヤグリッド偏光板22を除くすべての構成部材の屈折率差を0.1以内とした場合は、屈折率差を0に近づけるよりも、入光角度を最適化するように屈折率を調整することで、偏光分離可能な入光角度範囲を損なうことなく、平行透過率をより向上できる。ここで、本実施の形態に係るキューブ型偏光ビームスプリッター2においては、一対のプリズム21a,21b及び一対のプリズム21a,21b間の構成部材の屈折率を自由に調整できるため、プリズム21a,21bの屈折率をワイヤグリッド偏光板22の一方の主面22aを接着する接着性物質の屈折率よりも低くすることで、入光角度を平行透過率が最大となる入光角度範囲に近づけることができ、平行透過率の向上が可能となる。
なお、ワイヤグリッド偏光板22を三角柱状のプリズムに接着する際、ワイヤグリッド偏光板22の導電体(不図示)を包埋する接着性物質の屈折率は低いことが好ましい。これにより、ワイヤグリッド偏光板22を用いたキューブ型偏光ビームスプリッターの偏光分離特性を向上させることができる。また、ワイヤグリッド偏光板22の導電体を包埋する接着性物質は、架橋密度の低い樹脂、あるいは粘着シートからなることが好ましい。これにより、接着時等に発生しやすいワイヤグリッド偏光板の導電体の破壊を防止することができる。
上述した通り、本発明に係る偏光ビームスプリッター2の偏光分離層は、ワイヤグリッド偏光板22により形成される。ワイヤグリッド偏光板22の垂直断面において、隣り合う導電体(不図示)の形状は互いに近似し合い、一列で等間隔に整列することが、偏光分離特性上、好ましい。偏光ビームスプリッター2の偏光分離層は、ワイヤグリッド偏光板22の導電体に由来する導電性物質が概略同一面上を概略同一方向に延在することとなるため、同様に、導電性物質が延在する方向と垂直な面において、隣り合う導電性物質の形状が互いに近似し合い、一列で等間隔に導電体を整列させることが可能となる。
また、ワイヤグリッド偏光板の垂直断面における基材表面の凹凸構造の凸部の最高部から凸部の高さ方向に1/10下った位置及び凹凸構造の凹部の最低部から凸部の高さ方向に1/10上った位置において、基材表面の面内方向(基材表面に対する平行方向)の直線を引くことで生じる導電体の輪郭との4つの交点のうち、凹凸構造の凸部と近接する2つの交点を結んだ直線及び残りの2つの交点を結んだ直線の傾きの符号は、同じであることが好ましい。なお傾きとは、垂直断面をx−y平面座標系として取り扱い、その基材表面と平行の方向をx軸方向、その垂直方向をy軸方向とした場合、交点を結んだ各直線は、x−y平面座標系上の一次関数として表現できるが、この各直線を表現する一次関数の傾きのことを意味する。以下、図3を参照して本発明の実施の形態に係る偏光ビームスプリッターに用いられるワイヤグリッド偏光板の導電体の形状について詳細に説明する。
図3は、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板の導電体の形状の説明図である。図3においては、ワイヤグリッド偏光板の凹凸構造の延在方向に対する垂直断面のSEM写真を示している。図3に示すように、凹凸構造の凸部と近接する2つの交点を結んだ直線L1及び残りの2つの交点を結んだ直線L2の2直線の方向から、垂直断面におけるワイヤグリッド偏光板の基材表面にある導電体が、基材表面に対する平行方向に対して、相対的に垂直方向へ伸びているのか、あるいは相対的に傾斜しているのかを理解することができる。つまり、直線L1と直線L2の傾きの符号が一致している場合、垂直断面における導電体は相対的に傾斜していて、その傾斜方向は、2つの直線L1、L2が示す方向となる。
本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板は、垂直断面において、基材表面にある凹凸構造の凸部が先細る形状であることが好ましいが、凸部の一方側面に偏在する導電体は、基材表面に対する平行方向に対して、相対的に傾斜し易い。ワイヤグリッド偏光板は、表面の導電体に入光する光の入光角度に応じて導電体の見かけ上の高さ(厚み)が変化し、導電体の高さ(厚み)が高く(厚く)なる方向から入光する場合の平行透過率と偏光特性は、相対的に高くなる。したがって、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板は、垂直断面における基材の垂直方向に対して、凹凸構造の凸部と近接する2つの交点及び残りの2つの交点を結んだ2つの直線L1、L2の方向から傾斜入光する光の平行透過率と偏光特性を高くすることができ、偏光層に傾斜入光する偏光ビームスプリッターに好ましく用いることができる。
また、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板においては、垂直断面において導電体の形状が、凹凸構造の凸部の頂部における基材表面と平行な方向の導電体の幅に対して、凹部の最低部から凸部の高さ方向に1/10上った位置における基材表面と平行な方向の導電体の幅を0.9倍以上とすることが好ましい。これにより、基材表面に対して傾斜した角度から入光する光の平行透過率及び偏光特性を高くできるため、偏光ビームスプリッターにより好ましく用いることができる。
逆に、表面の導電体に入光する光の入光角度に応じて導電体の見かけ上の高さ(厚み)が低く(薄く)なる方向から入光する場合の平行透過率と偏光特性は、相対的に低くなる。つまり、ワイヤグリッド偏光板の垂直断面において、導電体が相対的に傾斜する場合、基材表面に対する垂直方向(入光角度0度)を中心としたワイヤグリッド偏光板の平行透過率の角度依存性は、非対称性を示すこととなる。例えば、ワイヤグリッド偏光板の垂直断面において、基材表面に対する垂直方向を入光角度0度として、任意に設定した+45度から入光した場合の平行透過率と、−45度から入光した場合の平行透過率は、異なる。
以上から、例えば、底面が直角二等辺三角形である三角柱状のプリズム2つとワイヤグリッド偏光板とを、接着性物質を介して接着することで作製したキューブ型偏光ビームスプリッターは、偏光ビームスプリッターが有する面のうち、入光した光を偏光分離することが可能な任意の面に対して、垂直方向から入光する所定の波長の光の平行透過率と、隣接する面に垂直方向から入光する所定の波長の光の平行透過率とは異なるといった特性を呈することとなる。
また、偏光ビームスプリッターの偏光層を形成するワイヤグリッド偏光板の凹凸構造の凸部と近接する2つの交点及び残りの2つの交点を結んだ2つの直線L1、L2の方向と、偏光層に入光する光の入光方向が、偏光層の垂直方向に対して同様の方向となるように偏光ビームスプリッターを配置することが、透過光の平行透過率と偏光特性の観点から、好ましい。
また、偏光ビームスプリッターは、光が入光あるいは出光する面にワイヤグリッド偏光板を設けることができる。反射型プロジェクターの光学系では、光源と偏光ビームスプリッターの間にプレ偏光板を、偏光ビームスプリッターと投射レンズの間にクリーンアップ偏光板を備えることがある。ワイヤグリッド偏光板を偏光ビームスプリッターの入出光面の表面に備えることで、入出光面の反射防止層が不要となる他、偏光ビームスプリッターを透過しない光のリサイクル率が向上する。
また、偏光ビームスプリッターは、光が入光する、または出光する面に光学機能層を備えることができる。光学機能層としては、レンズ効果の発現する凹凸構造、入出光する光の反射防止層、不要な光を吸収する光吸収層、吸収した光の波長を変換し発光する発光層、非透過光を吸収する偏光板等であり、偏光ビームスプリッターの使用方法に応じて、これらの機能を選択したり、複合的に用いたりすることができる。これにより、偏光ビームスプリッターを用いた反射型プロジェクターの映像光の明るさ、コントラストを改善でき、反射型プロジェクターの光学系を小型化することが可能となる。
また、偏光ビームスプリッターを構成するプリズムの材料に制限はなく、ガラス、樹脂等を用いることが可能である。ただし、光弾性定数は、温度変化等による複屈折性変化を抑制するため、1.5×10−11Pa−1以下であることが好ましく、プリズムの面内及び厚み方向の位相差値は小さいことが好ましい。
(投影型映像表示機器)
投影型映像表示機器であるプロジェクターとしては、反射型液晶表示素子を利用した反射型液晶プロジェクターがある。反射型液晶プロジェクターとして、本発明に係る偏光ビームスプリッターが好適に用いられる。本発明に係る反射型液晶プロジェクターは、光源と、上記実施の形態に係る偏光ビームスプリッターと、反射型液晶表示素子と、を具備する。偏光ビームスプリッターは、光源から出光した光を透過及び反射して偏光分離した偏光を出光すると共に、反射型液晶表示素子において変調された光を透過または反射して出光する。本実施の形態に係る反射型液晶プロジェクターにおいては、偏光ビームスプリッターは、光源から出光した光を透過及び反射して偏光分離した偏光を出光し、反射型液晶表示素子が、偏光を変調した光を出光してから、偏光ビームスプリッターが、変調された光を透過または反射して出光することで映像を投影する。この偏光ビームスプリッターとして、本発明に係るワイヤグリッド偏光板を用いて作製されたキューブ型の偏光ビームスプリッターを用いることができる。
偏光ビームスプリッターは、ワイヤグリッド偏光板の垂直断面における基材表面の凹凸構造の凸部の最高部から凸部の高さ方向に1/10下った位置及び凹凸構造の凹部の最低部から凸部の高さ方向に1/10上った位置に水平方向の直線を引くことで生じる導電体の輪郭との4つの交点のうち、凹凸構造の凸部と近接する2つの交点を結んだ直線及び残りの2つの交点を結んだ直線の傾きの符号と、偏光ビームスプリッターの偏光層に入光する光の入光方向の傾きの符号が、同じとなるように配置することが好ましい。これは、ワイヤグリッド偏光板の垂直断面をx−y平面座標系として取り扱い、その基材表面と平行の方向をx軸方向、その垂直方向をy軸方向とし、交点を結んだ各直線と光の入光方向を一次関数で表現した場合における各一次関数の傾きを同じとすることで、透過光の平行透過率と偏光特性を高くすることができる。
また、偏光ビームスプリッターを用いて反射型液晶プロジェクターを作製する場合、反射型偏光液晶表示素子から出光した光が偏光ビームスプリッターを透過することで映像を投影するように光学系を設計することが、投影する映像の品位向上の観点から、好ましい。
また、本発明に係るワイヤグリッド偏光板は、接着性物質で導電体を包埋しても光学特性の低下が小さいため、偏光ビームスプリッターは偏光分離特性に優れ、且つ偏光分離特性を低角度依存性とすることができる。したがって、偏光ビームスプリッターへの光の入光角度範囲を中心角度±10度以上の広角としても、偏光分離特性の低下が生じることはない。偏光ビームスプリッターへの光の入光角度範囲を広角とすることにより、反射型液晶プロジェクターの投影レンズの選択肢は多くなり、反射型液晶プロジェクターの光学系の設計の自由度を高くすることが可能となる。なお入射角度範囲とは、入光する光の強度が最も高い入光角度における光の強度を100とした際に、強度が50以上である角度範囲をいう。
なお、本発明に係るワイヤグリッド偏光板は、可視光、近赤外光、そして赤外光の領域において、光学特性を損なうことなく用いることができるため、領域を用いる映像表示用途、ピックアップ用途やセンサー用途等において好ましく用いられる。ただし、上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することができる。また、上記実施の形態における材質、数量などについては一例であり、適宜変更することができる。その他、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施することができる。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。まず、実施例中の測定値の測定方法について説明する。
<透過率の測定及び偏光度の算出方法>
平行透過率及び直交透過率は、日本分光社製VAP−7070を用いて測定した。測定装置は光源近傍に測定用偏光子を備えるものとし、ワイヤグリッド偏光板の平行透過率及び直交透過率を測定する際は、ワイヤグリッド偏光板の凹凸構造を有する基材表面から入光するように配置した。
波長λにおける偏光度P’(λ)は、導電体に対して平行に振動する波長λの光の透過率をImin、直交方向に振動する波長λの光の透過率をImaxとし、以下の関係式(1)から求めた。
P’(λ)=[(Imax−Imin)/(Imax+Imin)]×100 % (1)
<面内位相差値の測定>
面内位相差値の測定機器として、平行ニコル法を利用した偏光解析装置である王子計測機器社製KOBRA−WRを用いた。測定光の波長を550nmとし、入光角度が0度の場合の位相差値を面内位相差値とした。
<粘着シートの接着強度測定方法>
粘着シートの接着強度は、試験板をSUS鋼板からガラス板へと変更した以外は、JIS−Z−0237に則って測定した。両面に剥離フィルムを有する粘着シートを幅25mmに切り出し、その一方の面をPETフィルムに貼合して作製した試験片を、試験板であるガラス板に貼合した。試験板に貼合し、20分間室温放置後、引張試験機(剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件)を用いてガラスと粘着剤の接着力を測定した。
<屈折率の測定方法>
屈折率の測定は、メトリコン社製レーザー屈折計モデル2010を用いて、測定対象のサンプルを24時間、25度の恒温室で養生した後、屈折率を測定した。同装置による波長532nm、632.8nm及び824nmの屈折率の測定結果からコーシーの分散式を利用して屈折率の波長分散図を求め、波長589nmの屈折率を求めた。なお、硬化型樹脂につては、硬化型樹脂を硬化させた後、屈折率測定を行った。
(ワイヤグリッド偏光子の作製方法)
次に、本実施例で用いたワイヤグリッド偏光板の作製方法について以下に説明する。
(金型の作製)
凹凸構造が一方向に延在し、垂直断面における凹凸構造が矩形形状であり、ピッチが160nm、145nm、130nm、100nmの各シリコン系基板を、半導体製造のフォトリソグラフィを応用して作製した。PETフィルム(A−4300:東洋紡社製)上にアクリル系UV硬化型樹脂(屈折率1.52)を約3μm塗布し、シリコン系基板の凹凸構造形成面がUV硬化型樹脂と接するようにして、重畳した。中心波長が365nmであるUVランプを操作して、PETフィルム側から1000mJ/cmのUV照射を行い、シリコン系基板の凹凸構造をPETフィルム上に転写した。得られたPETフィルムの凹凸構造形成面に、導電化処理として、スパッタリングにより白金パラジウムで凹凸構造を被覆した後、それぞれにニッケルを電気メッキし、凹凸構造を表面に有するニッケルスタンパを作製した。下記表1に作製したニッケルスタンパを記載する。
上記表1におけるニッケルスタンパのうち、ニッケルスタンパAとニッケルスタンパDは、凹凸構造を表面に有する転写フィルムを作製するための金型A、金型Dとする。また、ニッケルスタンパB、C、E及びFを用いて、熱プレス法により厚さ0.5mmのシクロオレフィン樹脂(以下、COPと略す)板の表面に凹凸構造を転写し、表面に凹凸構造を有したCOP板を作製した。
COP板は、延伸によるピッチの縮小を行うため、COP板の表面にシリコーンオイルを塗布し、約80℃の循環式空気オーブン中に30分放置した。次いで、凹凸構造の延在方向が延伸方向となるようにしてCOP板を延伸機のチャックで固定し、その状態で113±1℃に温度調節された循環式空気オーブン中に延伸用COP板を10分間放置した。その後、250mm/分の速度で、凹凸構造の間隔(ピッチ)が下記表2に示す所定のピッチとなるように延伸した。延伸終了後、延伸済みCOP板を室温雰囲気下に取り出し、チャック間の距離を維持したまま、延伸済みCOP板を冷却した。
続いて、ニッケルスタンパB、C及びFの表面の凹凸構造を転写し、表面に凹凸構造を有したCOP板を延伸して得られた延伸済みCOP板については、その凹凸構造形成面にUV―オゾンによる表面処理を行った。紫外線表面処理装置(Photo Surface Processor、型式:PM906N−2、セン特殊光源社製)を用いて、凹凸構造形成面に波長254nmの照度が34mW/cmであるUVを30秒間照射した。
以上の延伸済みCOP板の表面と垂直断面における凹凸構造をSEMで観察したところ、各COP板B、C、E及びFの凹凸構造のピッチは下記表2に記載のようであった。
続いて、COP板表面B、C、E及びFの凹凸構造形成面に、導電化処理として、スパッタリングにより白金パラジウムで凹凸構造を被覆した後、それぞれにニッケルを電気メッキし、凹凸構造を表面に有するニッケルスタンパを作製した。これを金型B、金型C、金型E及び金型Fとした。
(UV硬化型樹脂を用いた表面に凹凸構造を有する転写フィルムの作製)
前述した各金型AからFを用いて、表面に凹凸構造を有する転写フィルムの作製を行った。基材は、厚み80μmのトリアセチルセルロース系樹脂からなるTACフィルム(TD80UL−H:富士フイルム社製)とし、TACフィルムの波長550nmにおける面内位相差値は3.5nmであった。TACフィルムにアクリル系UV硬化型樹脂(屈折率1.52)を約3μm塗布し、TACフィルムのMD方向(フィルムの巻き取り方向、あるいは流れ方向)と金型の凹凸構造の延在方向が直交するようにして、TACフィルム上に金型を重畳した。中心波長が365nmであるUVランプを操作して、TACフィルム側から1000mJ/cmのUV照射を行い、金型の凹凸構造をUV硬化型樹脂上に転写した。TACフィルムを金型から剥離し、UV硬化型樹脂からなる基材表面に凹凸構造を転写した転写フィルムを作製した。以上の操作を各金型に関して行い、下記表3に示す転写フィルムAからFを作製した。下記表3は、各転写フィルムの表面と垂直断面における凹凸構造をSEMで観察した結果であり、下記表3における「凹凸構造」は、垂直断面における凹凸構造の形状を示す。「ピッチ」は凹凸構造の間隔(ピッチ)であり、「(ア)」は、垂直断面おいて、(基材表面の凹凸構造の凸部の最高部から高さ方向へ1/10下った位置の凸部の幅)/(凹凸構造の凹部の最低部から高さ方向へ1/10上った位置の凸部の幅)である。
(スパッタリング法を用いた誘電体層の形成)
次に各転写フィルムの凹凸構造を有する基材表面に、スパッタリング法により誘電体層として二酸化珪素を成膜した。スパッタリング装置条件は、Arガス圧力0.2Pa、スパッタリングパワー770W/cm、被覆速度0.1nm/sとし、転写フィルム上の誘電体厚みが平膜換算で3nmとなるように成膜した。
(斜め蒸着法を用いた導電体の形成)
次に、各転写フィルムの凹凸構造を有する基材表面に、真空蒸着によりアルミニウム(Al)を成膜した。Alの蒸着条件は、常温下、真空度2.0×10−3Pa、蒸着速度40nm/sとした。Alの厚みを測定するため、表面が平滑なガラス基板を転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑ガラス基板上のAl厚みをAl平均厚みとした。基材の凹凸構造の延在方向と垂直に交わる平面内において、凹凸構造を有した基材表面の法線に対して蒸着角を20度とし、転写フィルムA及びBはAl平均厚みが120nmとなるように、転写フィルムCはAl平均厚みが100nmとなるように、転写フィルムD、E及びFはAl平均厚みが90nmとなるように、各転写フィルムにAlを蒸着した。なお、ここでいう平均厚みとは、平滑ガラス基板上にガラス面に垂直方向から物質を蒸着させたと仮定した時の蒸着物の厚みのことを指し、蒸着量の目安として使用している。
(不要Alの除去)
次に不要Alの除去を目的として、Alを蒸着した各転写フィルムを0.1重量%水酸化ナトリウム水溶液に室温下で70秒間浸漬させ、その後すぐに水洗し、フィルムを乾燥させた。このようにして各転写フィルムから得られたワイヤグリッド偏光板を、ワイヤグリッド偏光板AからFとし、下記表4に示す。
各ワイヤグリッド偏光板の垂直断面における凹凸構造及び導電体の形状を、SEMにて観察したところ、導電体は、基材上の凹凸構造の凸部の一方側面に偏在し、凹凸構造の凸部の頂部より導電体の一部が上方に存在していて、基材上の凹凸構造の凸部の頂部を通り、凸部の立設方向に沿う凸部軸と、導電体の頂部を通り、立設方向に沿う導電体軸は異なっていた。また、下記表4は、SEMで観察した各ワイヤグリッド偏光板の垂直断面における凹凸構造及び導電体の形状を記載した表である。下記表4における「凹凸構造」は、垂直断面における凹凸構造の形状、「ピッチ」は凹凸構造の間隔(ピッチ)、「(ア)」は、垂直断面おいて、基材表面の凹凸構造の凸部の最高部から凸部の高さの1/10下った位置の凸部の幅に対する凹凸構造の凹部の最低部から凸部の高さの1/10上った位置の凸部の幅の比であり、「(イ)」は、垂直断面おいて、基材表面の凹凸構造の凸部の最高部から凸部の高さの1/3下った位置の凸部の幅に対する導電体の幅である。
なお、ワイヤグリッド偏光板B、C及びFの垂直断面における基材表面の凹凸構造の凸部の頂部より上方の導電体の形状は、凸部の頂部より上方の導電体の側面が基材の垂直方向に対して傾斜していて、その形状は先細りし、三角形に似た尖鋭形状であった。
(実施例1、実施例2、比較例1〜比較例3)
垂直断面における凹凸構造の間隔が145nmであるワイヤグリッド偏光板A及びBと、凹凸構造の間隔が100nmであるワイヤグリッド偏光板D、E及びFを用いて、接着性物質による導電体の包埋前後の平行透過率及び直交透過率を測定した。なお、ワイヤグリッド偏光板への測定光の入光角度は、ワイヤグリッド偏光板に対して垂直方向とした。まず、各ワイヤグリッド偏光板の平行透過率及び直交透過率を測定後、ワイヤグリッド偏光板の一方の主面(導電体形成面)にアクリル系粘着シート(RA−600N:スミロン社製)を貼合し、TACフィルムのMD方向とワイヤグリッド偏光板の透過軸方向が直交関係となるようにして、貼り合わせた。その後、室温25度環境下で1日保管し、貼合したTACフィルムから測定光が入光するようにVAP−7070の測定台に備え、平行透過率及び直交透過率を測定した。なお、アクリル系粘着シート(RA−600N:スミロン社製)の屈折率は1.47であり、粘着力は6.8N/25mmであった。また、測定波長は、人間の目が光を強く感じるとされる波長555nmとした。
下記表5は、凹凸構造の間隔が145nmであるワイヤグリッド偏光板A及びBの、粘着シート及びTACフィルムの貼合前後の平行透過率及び算出した偏光度の増減率である。下記表5における「平行透過率」は、粘着シートとTACフィルムの貼合前に対する貼合後の平行透過率の増減率(%)、「偏光度」は、粘着シートとTACフィルムの貼合前に対する貼合後の偏光度の増減率(%)を示す。ワイヤグリッド偏光板Bは、ワイヤグリッド偏光板Aに比較して、導電体を接着性物質で包埋した場合の平行透過率及び偏光度の低下幅を小さくすることができた。
下記表6は、凹凸構造の間隔が100nmであるワイヤグリッド偏光板D、E及びFの、粘着シート及びTACフィルムの貼合前後の平行透過率及び算出した偏光度の増減率である。ワイヤグリッド偏光板E及びFは、ワイヤグリッド偏光板Dに比較して、導電体を接着性物質で包埋した場合の平行透過率の低下幅を小さくすることができた。しかし、ワイヤグリッド偏光板Eでは偏光度の低下を抑制できなかったが、ワイヤグリッド偏光板Fは偏光度の低下幅も小さくすることができた。
ワイヤグリッド偏光板BとFの垂直断面における基材表面の凹凸構造は正弦波形状で、好ましい「(ア)」(0.45以下)と好ましい「(イ)」(厚い、あるいは同等の幅)を有していた。また、垂直断面における基材表面の凹凸構造の凸部の頂部より上方の導電体の形状は、凸部の頂部より上方の導電体の側面が基材の垂直方向に対して傾斜していて、その形状は先細りし、三角形に似た尖鋭形状であった。以上のように、ワイヤグリッド偏光板BとFは好ましい凹凸構造及び導電体の形状を有していたため、接着性物質による導電体の包埋による平行透過率及び偏光度の低下を抑制することができた。
なお、ワイヤグリッド偏光板Bの凹凸構造の間隔(ピッチ)は145nmであり、ワイヤグリッド偏光板Dのピッチは100nmであった。粘着シート及びTACフィルム貼合後の波長555nmにおける偏光度は、ワイヤグリッド偏光板Bは99.2%であったが、ワイヤグリッド偏光板Dは99.0%であり、凹凸構造のピッチの大きなワイヤグリッド偏光板Bの偏光度が、ピッチの小さいワイヤグリッド偏光板Dより優れていた。従来、ワイヤグリッド構造を有する偏光板の偏光特性は、導電体の間隔(ピッチ)の効果が大きく、ピッチが小さくなるほど良好な偏光特性を示すとされてきたが、導電体の包埋時には、ピッチだけでなく、凹凸構造及び導電体の形状も重要な要素となることが、本結果より理解でき、本発明に係るワイヤグリッド偏光板の垂直断面における凹凸構造及び導電体の形状を調整し(ア)を0.45以下とすることで、偏光度の低下を抑止する顕著な効果を得ることができた。
(実施例3、実施例4、実施例5)
ワイヤグリッド偏光板B、C、またはFと、底面が直角二等辺三角形である三角柱状のPMMA樹脂からなるプリズムを用いて、偏光ビームスプリッターを作製し、その平行透過率及び直交透過率の測定結果から偏光度を算出した。底面が直角二等辺三角形である三角柱状のプリズム2つとワイヤグリッド偏光板のうち一つを用い、ワイヤグリッド偏光板の一方の主面(凹凸構造形成面)にはアクリル系粘着シート(RA−600N:スミロン社製)を介して、ワイヤグリッド偏光板の基板面(凹凸構造形成面の反対面)にはUV硬化型樹脂(LCR0643:東亜合成社製)を介してプリズムの互いに直交する両側面と交差する斜面を接着し、キューブ型偏光ビームスプリッターを作製した。なお、底面が直角二等辺三角形であるプリズムはPMMA樹脂板(カナセライト1300クリア:カナセ工業社製)を切削して作製し、その底面(直角二等辺三角形形状面)に対して、ワイヤグリッド偏光板の導電体の延在方向が、垂直の関係となるように配置した。また、UV硬化型樹脂(LCR0643:東亜合成社製)の屈折率は1.49であった。
作製したキューブ型偏光ビームスプリッターのうち、ワイヤグリッド偏光板Bを用いた偏光ビームスプリッターを偏光ビームスプリッターB、ワイヤグリッド偏光板Cを用いたものを偏光ビームスプリッターC、ワイヤグリッド偏光板Fを用いたものを偏光ビームスプリッターFとした。
下記表7は、各偏光ビームスプリッターの波長465nm、555nm及び630nmにおける平行透過率及び直交透過率を測定し、各偏光ビームスプリッターを透過する各波長の光の偏光度を算出した結果である。なお、偏光ビームスプリッターの偏光層への測定光の入光角度は概略45度であった。以下表7において、「ピッチ」は偏光ビームスプリッターに用いられたワイヤグリッド偏光板の垂直断面における凹凸構造の間隔(ピッチ)であり、「465nm」は波長465nmの偏光度、「555nm」は波長555nmの偏光度、「630nm」は波長630nmの偏光度である。
偏光ビームスプリッターB、C、またはFに用いられた各ワイヤグリッド偏光板の垂直断面における凹凸構造及び導電体は、接着性物質によるワイヤグリッド偏光板の導電体の包埋に適した形状であったが、ピッチは異なっていた。上記表7のように、ピッチの大小で、波長465nmという短波長側の光の偏光特性は大きな差を示し、ピッチ145nmとピッチ130nmの間には偏光特性の大きな差があり、また、ピッチ130nmとピッチ100nmの間にも偏光特性の大きな差があるといえる。ピッチが145nmである本発明に係るワイヤグリッド偏光板を用いた偏光ビームスプリッターの、人間の目が光を強く感じるとされる光の波長555nmの偏光分離特性は良好であるため、偏光ビームスプリッターを用いることは可能であるが、好ましくは、ピッチが130nm以下である本発明に係るワイヤグリッド偏光板を用いることであり、さらに好ましくは、ピッチが100nm以下である本発明に係るワイヤグリッド偏光板を用いることである。ピッチを100nm以下とすると、接着性物質による波長465nmの偏光度の低下はほぼ完全に抑止できた。
(実施例6、比較例4)
ワイヤグリッド偏光板B、及び底面が直角二等辺三角形である三角柱形状のプリズム2つを用いてキューブ型偏光ビームスプリッターを作製した。プリズムとしては、硼珪酸ガラス(BK7:屈折率1.52:実施例6)、もしくは光学用ガラス(S−FPL53:オハラ社製:屈折率1.44:比較例4)からなるプリズムを用い、互いに直交する両側面に反射防止コートを施して使用した。ワイヤグリッド偏光板Bの一方の主面(凹凸構造形成面)にはUV硬化型樹脂(OP−1045K:電気化学工業社製)(屈折率1.55)を介して一方のプリズムの斜面を接着し、ワイヤグリッド偏光板Bの基板面(凹凸構造形成面の反対面)にはアクリル系粘着シート(RA−600N:スミロン社製:屈折率1.47)を介して他方のプリズムの斜面を接着した。なお、それぞれのプリズムに施した反射防止コートは、コート面の垂直方向より入光する場合に、同等の反射率となるよう設計した。合成石英もしくはBK7のプリズムを用いたキューブ型偏光ビームスプリッターを、それぞれキューブ型偏光ビームスプリッターB(BK7プリズム使用)、キューブ型偏光ビームスプリッターB(S−FPL53プリズム使用)とした。なお、プリズムの底面(直角二等辺三角形形状面)に対して、ワイヤグリッド偏光板Bの導電体の延在方向が、垂直の関係となるように配置した。表8は、プリズムとプリズム間に存在するワイヤグリッド偏光板以外の構成部材における屈折率差の最大値および、波長465nm、555nm及び630nmにおける平行透過率を測定した結果である。
表8より、キューブ型偏光ビームスプリッターBが、すべての波長でキューブ型偏光ビームスプリッターBよりも高い透過率を示した。本結果から、キューブ型偏光ビームスプリッターのワイヤグリッド偏光板を除くすべての構成部材の屈折率差を0.1以下としたことで、界面反射による平行透過率の低下を抑制することができた。
(実施例7、実施例8)
ワイヤグリッド偏光板B、及び底面が直角二等辺三角形である三角柱形状のプリズム2つを用いてキューブ型偏光ビームスプリッターを作製した。プリズムとしては、合成石英(屈折率1.46:実施例7)もしくは、硼珪酸ガラス(BK7:屈折率1.52:実施例8)からなるプリズムを用い、互いに直交する両側面に反射防止コートを施して使用した。ワイヤグリッド偏光板Bの一方の主面(凹凸構造形成面)にはUV硬化型樹脂(LCR0643:東亜合成社製:屈折率1.49)を介して一方のプリズムの斜面を接着し、ワイヤグリッド偏光板Bの基板面(導電体構造の反対面)にはアクリル系粘着シート(RA−600N:スミロン社製:屈折率1.47)を介して他方のプリズムの斜面を接着した。なお、それぞれのプリズムに施した反射防止コートは、コート面の垂直方向より入光する場合に、同等の反射率となるよう設計した。合成石英もしくはBK7のプリズムを用いたキューブ型偏光ビームスプリッターを、それぞれキューブ型偏光ビームスプリッターB(合成石英プリズム使用)、キューブ型偏光ビームスプリッターB(BK7プリズム使用)とした。なお、プリズムの底面(直角二等辺三角形形状面)に対して、ワイヤグリッド偏光板Bの導電体の延在方向が、垂直の関係となるように配置した。表9は、各偏光ビームスプリッターの偏光層への入光角度および、凹凸構造上の接着性物質の屈折率に対するプリズムの屈折率の高低、そして、波長465nm、555nm及び630nmにおける平行透過率を測定した結果である。
表9より、偏光層への入光角度が43.9度となるキューブ型偏光ビームスプリッターBが、すべての波長でキューブ型偏光ビームスプリッターBよりも高い透過率を示した。特に465nmでは、透過率が顕著に向上している。よって本結果より、本発明に係るワイヤグリッド偏光板を用いて、屈折率差を0.1以下とした場合は、プリズムの屈折率を、その一方の主面(導電体形成面)を包埋した接着性物質の屈折率よりも低くすることで、平行透過率の向上を達成できたと言える。
本発明は、導電体を接着性物質で包埋しても平行透過率と偏光分離特性(偏光度)の低下を小さくすることができ、平行透過率と偏光分離特性(偏光度)が良好なワイヤグリッド偏光板を実現できるという効果を有し、例えば、反射型液晶プロジェクターとして好適に用いることができる。
1、22 ワイヤグリッド偏光板
2 偏光ビームスプリッター
11 基材
11a 凸部
11b、12a 側面
11c 最高部
11d 凹部
11e 最低部
12 導電体
21a、21b プリズム
22a 一方の主面
22b 他方の主面

Claims (15)

  1. 45nm以下の間隔をもって所定の方向に延在する凹凸構造が形成された基材と、前記凹凸構造の凸部の一方側面に偏在するように設けられた導電体とを有するワイヤグリッド偏光板と、前記凹凸構造上及び前記凹凸構造の反対面に接着性物質を介してそれぞれ設けられた一対のプリズムとを具備する偏光ビームスプリッターであって、
    前記基材の前記凹凸構造が延在する方向に対する垂直断面において、前記凹凸構造の凸部の最高部から高さ方向に1/10下った位置における基材凸部の幅が、前記凹凸構造の凹部の最低部から高さ方向に1/10上った位置における前記基材凸部の幅に対して0.35倍以下であり、
    前記垂直断面において、前記凹凸構造の凸部の最高部から高さ方向に1/3下った位置で、前記導電体の幅が、前記基材凸部の幅以上であり、
    前記垂直断面において、前記凹凸構造の凸部の頂部より上方の導電体の側面が、前記高さ方向に対して傾斜すると共に、その形状の先端が尖鋭形状であり、
    前記垂直断面において、前記凹凸構造の凸部の最高部から高さ方向に1/10下った位置及び前記凹凸構造の凹部の最低部から高さ方向に1/10上った位置において、前記基材表面の面内方向に引いた直線と前記導電体の輪郭との4つの交点のうち、前記凹凸構造の凸部と近接する2つの交点を結んだ直線及び残りの2つの交点を結んだ直線の傾きの符号が同じであり、
    前記垂直断面において、前記凹凸構造が正弦波形状であることを特徴とする偏光ビームスプリッター
  2. 前記光学部材は、MD方向と前記ワイヤグリッド偏光板の透過軸方向が直交するように設けられることを特徴とする請求項1に記載の偏光ビームスプリッター
  3. 前記凹凸構造の凸部の頂部を通り凸部の立設方向に沿う凸部軸と、前記導電体の頂部を通り立設方向に沿う導電体軸とが異なり、前記導電体の少なくとも一部が前記凹凸構造の凸部の頂部より上方に存在することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の偏光ビームスプリッター
  4. 前記基材が樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の偏光ビームスプリッター
  5. 前記接着性物質が粘着シートであることを特徴とする請求項に記載の偏光ビームスプリッター
  6. 前記偏光ビームスプリッターの、前記ワイヤグリッド偏光板を除くすべての構成部材の屈折率差が0.1以内であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の偏光ビームスプリッター。
  7. 前記一対のプリズムの屈折率が、前記凹凸構造上の接着性物質の屈折率よりも低いことを特徴とする請求項に記載の偏光ビームスプリッター。
  8. 前記凹凸構造上の接着性物質及び/又は前記凹凸構造の反対面の接着性物質が、粘着シートであることを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の偏光ビームスプリッター。
  9. 前記凹凸構造上の接着性物質及び/又は前記凹凸構造の反対面の接着性物質が、硬化型樹脂であることを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の偏光ビームスプリッター。
  10. 前記一対のプリズムのうち少なくとも一方が、樹脂材料を含んでなることを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の偏光ビームスプリッター。
  11. 前記一対のプリズムのうち少なくとも一方が、ガラスを含んでなることを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の偏光ビームスプリッター。
  12. 表面に設けられた光学機能層を、少なくとも一面に備えたことを特徴とする請求項から請求項11のいずれか1項に記載の偏光ビームスプリッター。
  13. 前記プリズムの光弾性定数が1.5×10−11Pa−1以下であることを特徴とする請求項8から請求項15のいずれか1項に記載の偏光ビームスプリッター。
  14. 光源と、請求項から請求項13のいずれか1項に記載の偏光ビームスプリッターと、反射型液晶表示素子と、を具備し、前記偏光ビームスプリッターは、前記光源から出光した光を透過及び反射して偏光分離し、前記偏光ビームスプリッターを透過または前記偏光ビームスプリッターで反射された偏光が前記反射型液晶表示素子に入光し、前記反射型液晶表示素子において変調された光を、前記偏光ビームスプリッターで透過または反射して映像を投影することを特徴とする投影型映像表示機器。
  15. 前記偏光ビームスプリッターへの入光角度範囲が、中心角度±10度以上であることを特徴とする請求項14に記載の投影型映像表示機器。
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