JP6201025B1 - 偏光子、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】温度変化に伴うクラックが発生し難い偏光子を提供する。【解決手段】フィルム状の偏光子2の端面2aにおける粗さ曲線要素の平均高さRcが、0.05〜1.7μmである。【選択図】図1
Description
本発明は、偏光子、偏光板及び画像表示装置に関する。
近年、液晶セル又は有機EL素子等を備える画像表示装置の薄肉化が求められている。したがって、画像表示装置用の偏光子も、薄いフィルム状に成形される。フィルム状の偏光子は脆くて裂け易いため、偏光子を保護するために、偏光板の製造では偏光子の両面に保護フィルムを貼合する。また偏光板の製造では、偏光板の寸法精度を高めるために、保護フィルム及び偏光子等から構成される積層体の端部を研磨する(例えば、特許文献1参照。)。
近年では、偏光板を薄くするために、偏光子の片面にのみ保護フィルムが貼合された偏光板の開発が行われている。しかしながら、片面にのみに保護フィルムが重なる偏光子では、両面に保護フィルムが重なる偏光子に比べて、クラック(亀裂)が生じ易い。このクラックは、温度変化に伴う偏光子の膨張又は収縮に起因する。特に偏光子の急激な温度変化(ヒートショック)によって、クラックが発生し易いことが判明した。
また近年では、デザイン性の向上のために、画像表示装置の額縁が狭いことが要求される。この要求に応じて、偏光板の端部にも高い寸法精度が要求される。偏光板の寸法を高い精度で調整するためには、保護フィルム及び偏光子等から構成される積層体の端部を高い精度で切削(研磨)する必要がある。しかし、片面にのみに保護フィルムが重なる偏光子では、両面に保護フィルムが重なる偏光子に比べて、切削時に偏光子の端面に負荷が掛かり易く、偏光子の端面が荒れ易い。この端面の粗さが、温度変化に伴う偏光子のクラックを引き起こす。特に、保護フィルムがない表面側に位置する偏光子の端面では、保護フィルムが重なる表面側に位置する偏光子の端面に比べて、クラックが発生し易いことが判明した。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、寸法の精度が高く、温度変化に伴うクラックが発生し難い偏光子、当該偏光子を備える偏光板、及び当該偏光板を含む画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る偏光子は、フィルム状の偏光子であって、偏光子の端面における粗さ曲線要素の平均高さRcが、0.05〜1.7μmである。平均高さRcが、0.05〜0.28μmであってもよい。
本発明の一側面に係る偏光板は、上記の偏光子と、偏光子の一方の表面に重なる第一光学フィルムと、を備える。
本発明の一側面において、偏光子の一つの端面を囲む辺のうち第一辺は、第一光学フィルムに隣接し、端面を囲む辺のうち第二辺は、第一辺の反対側に位置し、端面のうち第二辺に沿う部分における二乗平均平方根粗さRqが、0.03〜0.15μmであってよい。
本発明の一側面においては、第一光学フィルムが、保護フィルムであってよい。
本発明の一側面に係る偏光板は、偏光子の他方の表面に重なる粘着剤層と、粘着剤層に重なる第二光学フィルムと、を更に備えてよい。
本発明の一側面に係る偏光板は、第一光学フィルムに重なる粘着剤層と、粘着剤層に重なる第二光学フィルムと、を更に備えてもよい。
本発明の一側面においては、第二光学フィルムが、反射型偏光子であってよい。
本発明の一側面に係る画像表示装置は、上記の偏光板を含む。
本発明によれば、寸法の精度が高く、温度変化に伴うクラックが発生し難い偏光子、当該偏光子を備える偏光板、及び当該偏光板を含む画像表示装置を提供することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。図面において、同等の構成要素には同等の符号を付す。本発明は下記実施形態に限定されるものではない。各図に示すX,Y及びZは、互いに直交する3つの座標軸を意味する。各座標軸が示す方向は、全図に共通する。図視された寸法及び寸法の比率は、必ずしも実際のものとは一致しない。
[偏光子、偏光板及び画像表示装置]
図1中の(a)に示されるように、本実施形態に係る偏光板1は、フィルム状の偏光子2と、偏光子2の一方の表面に重なる第一光学フィルム(3)と、偏光子2の他方の表面に重なる感圧式粘着剤層5と、感圧式粘着剤層5に重なる第二光学フィルム(4)と、を備える。第一光学フィルムは、例えば保護フィルム3である。第二光学フィルムは、例えば反射型偏光子4である。偏光板1が備える偏光子2、並びに光学フィルム及び層の全ては、透明であってよい。本実施形態に係る偏光板1では、偏光子2の片面のみにおいて、光学フィルム(第一光学フィルム)が、感圧式粘着剤層を介することなく、接着剤層を介して偏光子2に直接密着している。
図1中の(a)に示されるように、本実施形態に係る偏光板1は、フィルム状の偏光子2と、偏光子2の一方の表面に重なる第一光学フィルム(3)と、偏光子2の他方の表面に重なる感圧式粘着剤層5と、感圧式粘着剤層5に重なる第二光学フィルム(4)と、を備える。第一光学フィルムは、例えば保護フィルム3である。第二光学フィルムは、例えば反射型偏光子4である。偏光板1が備える偏光子2、並びに光学フィルム及び層の全ては、透明であってよい。本実施形態に係る偏光板1では、偏光子2の片面のみにおいて、光学フィルム(第一光学フィルム)が、感圧式粘着剤層を介することなく、接着剤層を介して偏光子2に直接密着している。
偏光子2、第一光学フィルム(3)、感圧式粘着剤層5及び第二光学フィルム(4)のいずれも、略同じ寸法を有する矩形である。偏光板1全体も矩形のフィルムである。ただし、偏光子2及び偏光板1等の各形状は、偏光板1が貼着される画像表示素子の表面の形状に依るので、限定されない。偏光子2及び偏光板1それぞれの形状は、例えば、多角形、円形又は楕円形であってよい。偏光子2及び偏光板1それぞれの輪郭の一部又は全部は、直線であってよく、曲線であってもよい。
本実施形態に係る画像表示装置は、例えば、液晶表示装置又は有機EL表示装置であってよい。液晶表示装置は、例えば、液晶セルと、液晶セルの一方の表面又は両表面に貼着された偏光板1とを含んでよい。有機EL表示装置は、例えば、有機EL素子と、有機EL素子の表面に貼着された偏光板1、とを含んでよい。液晶セルには、通常2枚の偏光板が配置される。液晶セルの背面側に配置される偏光板が備える偏光子は、液晶セルの視認側に配置される偏光板が備える偏光子に比べて、熱に晒され易い。したがって、本実施形態に係る偏光子2を備える偏光板1を、液晶セルの背面側に配置すると、温度変化に伴う偏光子2のクラックが抑制される。その理由は後述する。
偏光子2の端面2aにおける粗さ曲線要素の平均高さRcは、0.05〜1.7μmである。平均高さRcは、0.05〜0.28μm、0.07〜1.7μm、0.07〜1.604μm、0.07〜1.0μm、又は0.07〜0.28μmであってもよい。端面2aにおける粗さ曲線要素の平均高さRcは、例えば、下記式1で定義されてよい。
式1中、Rcは、基準長さlにおける粗さ曲線要素(輪郭曲線要素)の高さZtの平均である。iは、1以上m以下の自然数であり、mは2以上の自然数である。Ztiは、基準長さlにおけるi番目の輪郭曲線要素の高さである。輪郭曲線要素とは、隣り合う一組の山と谷であり、輪郭曲線要素の高さZtとは、隣り合う一組の山(極大値)と谷(極小値)との差である。Rcは、例えば、レーザー顕微鏡によって偏光子2の端面2a上で測定されてよい。
端面2aにおける粗さ曲線要素の平均高さRcが大きいほど、つまり、端面2aが粗いほど、温度変化に伴う膨張又は収縮によって、端面2aが不均一に変形する。特にヒートショックに伴う急激な膨張又は収縮によって、端面2aが不均一且つ急激に変形する。偏光子2が一軸方向又は二軸方向に延伸されている場合、偏光子2の膨張又は収縮は異方的(anisotropic)である。これらの因子により、偏光子2の温度変化に伴って、端面2aを起点して偏光子2にクラックが発生じ易い。例えば、輪郭曲線要素の谷(つまり端面2aにおける深い窪み)を起点としてクラックが発生する。しかし、本実施形態では、端面2aにおける粗さ曲線要素の平均高さRcは、0.05〜1.7μmであるため、上記のようなクラックの諸因子が低減され、温度変化に伴う偏光子2のクラックの発生が抑制される。平均高さRcが0.05〜1.7μmである端面2aに形成されるクラックの長さは、平均高さRcが1.7μmよりも大きい端面2aに形成されるクラックの長さよりも短い傾向がある。偏光子2の両面に保護フィルムが密着している場合、偏光子2の端面2aにおける粗さ曲線要素の平均高さRcは、端面2aの全体に亘ってほぼ均一である。一方、偏光子2の片面側にのみ保護フィルムが密着している場合、偏光子2の端面2aにおける粗さ曲線要素の平均高さRcは、偏光子2と保護フィルムとの界面(接着面)から遠ざかるにつれて大きくなる傾向がある。偏光子2は延伸フィルムであるため裂け易く、特に保護フィルムがない表面側に位置する偏光子の端面は、研磨刃によって扱かれて荒れ易い。したがって、偏光子2の端面2aにおける粗さ曲線要素の平均高さRcは、偏光子2と保護フィルムとの界面から遠ざかるにつれて大きくなり易い。偏光子2の端面2aにおける粗さ曲線要素の平均高さRcが均一でない場合、偏光子2の端面2aにおいて測定された粗さ曲線要素の平均高さRcのうち最大値が、例えば、0.05〜0.28μmであってよい。偏光子2の端面2aにおける粗さ曲線要素の平均高さRcが均一でない場合、平均高さRcの最大値が0.05〜0.28μmである端面2aに形成されるクラックの長さは、平均高さRcの最大値が0.28μmよりも大きい端面2aに形成されるクラックの長さよりも短い傾向がある。さらに、偏光子2の端面2aにおける粗さ曲線要素の平均高さRcが均一でない場合、平均高さRcの最大値が0.05〜0.28μmである端面2aに形成されるクラックの数は、平均高さRcの最大値が0.28μmよりも大きい端面2aに形成されるクラックの数よりも少ない傾向がある。
偏光子又は偏光板の端面が研磨されない場合、偏光子の端面が研磨によって粗くならないので、偏光子の端面の平均高さRcは略ゼロであり、偏光子の端面にクラックが生じ難い。換言すると、端面2aの平均高さRcが小さいほど、偏光子の端面にクラックが生じ難い。しかし、偏光子又は偏光板の端面を研磨しない場合、偏光子又は偏光板の寸法を高い精度で所望の値(例えば、製品規格の公差の範囲)に調整することは困難である。したがって、端面2aの平均高さRcが0.05μm未満である偏光子の寸法の精度は、端面2aの平均高さRcが0.05μm以上である偏光子の寸法の精度よりも劣る。換言すると、研磨された端面を有する偏光子の寸法精度は、研磨されていない端面を有する偏光子の寸法精度よりも高い。
矩形状の偏光子2は、4つの端面2aを有する。偏光子2が有する複数の端面2aのうち、一部の端面2aにおける粗さ曲線要素の平均高さRcが、0.05〜1.7μmであってよい。偏光子2が有する全ての端面2aにおける粗さ曲線要素の平均高さRcが、0.05〜1.7μmであってもよい。Rcが0.05〜1.7μmである端面2aが多いほど、偏光子2におけるクラックの発生が抑制され易い。
図1中の(b)に示されるように、偏光子2の一つの端面2aは、第一辺S1、第二辺S2、第三辺S3及び第四辺S4によって囲まれている。換言すれば、端面2aの周縁は、第一辺S1、第二辺S2、第三辺S3及び第四辺S4から構成されている。端面2aを囲む四辺のうち第一辺S1は、保護フィルム3(第一光学フィルム)に隣接している。端面2aを囲む四辺のうち第二辺S2は、第一辺S1の反対側に位置している。換言すれば、第二辺S2は、感圧式粘着剤層5に隣接している。第二辺S2は、保護フィルム3に隣接していない辺である。
端面2aのうち第二辺S2に沿う部分(2as)における二乗平均平方根粗さRqは、0.03〜0.50μmであってよい。以下では、端面2aのうち第二辺S2に沿う部分を、端面2aの「側部2as」と記す場合がある。二乗平均平方根粗さRqは、0.03〜0.466μm、0.03〜0.30μm、0.03〜0.15μm、又は0.031〜0.081μmであってもよい。端面2aの側部2asにおける二乗平均平方根粗さRqは、例えば、下記式2で定義されてよい。
式2中、l(アルファベットのエル)は、端面2aの側部2asにおける基準長さである。Z(x)は、基準長さl上の任意の位置xにおける粗さ曲線の高さである。Rqは、例えば、レーザー顕微鏡によって、端面2aの側部2asにおいて測定されてよい。換言すれば、Rqは、偏光子2の端面2aの第二辺S2に沿って測定されてよい。偏光子2の厚さ方向(Z軸方向)における側部2asの幅は、Rqの測定が可能な限り、狭くてよい。仮に、偏光子2の端面2aを第一辺S1と第二辺S2との真中(中央)で二つの領域に等分する場合、Rqは、二つの領域のうち保護フィルム3が無い第二辺S2側にある半分の機械的強度を示す指標といえる。したがって、偏光子2の厚さ方向(Z軸方向)における側部2asの幅は、偏光子2の厚さの半分以下であってよい。偏光子2の厚さ方向(Z軸方向)における側部2asの幅は、Rqの測定に用いるレーザーのスポット径と略同じであってもよい。偏光子2の厚さ方向(Z軸方向)における側部2asの幅は、レーザー顕微鏡を用いたRqの測定限界に相当する幅であってもよい。
保護フィルム3が密着した第一辺S1側では、保護フィルム3が無い第二辺S2側に比べて、温度変化に伴う偏光子2の膨張又は収縮が保護フィルム3によって抑制され易い。対照的に、保護フィルム3が無い第二辺S2側に位置する側部2asは、保護フィルム3が密着した第一辺S1側に比べて、温度変化に伴って膨張又は収縮し易い。そして、保護フィルム3が無い第二辺S2側に位置する側部2asのRqが大きいほど、温度変化に伴う膨張又は収縮によって、側部2asが不均一に変形する。つまり、側部2asが粗いほど、温度変化に伴う膨張又は収縮によって、側部2asが不均一に変形し易い。特にヒートショックに伴う急激な膨張又は収縮によって、側部2asが不均一且つ急激に変形し易い。偏光子2が一軸方向又は二軸方向に延伸されている場合、偏光子2の膨張又は収縮は異方的(anisotropic)である。これらの因子により、偏光子2の温度変化に伴って、側部2asを起点して偏光子2にクラックが発生じ易い。換言すれば、偏光子2の温度変化に伴って、端面2aのうち保護フィルムに隣接しない第二辺S2に沿う部分でクラックが発生じ易い。例えば、粗さ曲線の谷(つまり側部2asにおける深い窪み)を起点としてクラックが発生し易い。しかし、偏光子2の第二辺S2側の表面に保護フィルムが重なっていない場合であっても、保護フィルム3が無い第二辺S2側に位置する側部2asにおけるRqが低減することにより、上記のようなクラックの諸因子が低減され易く、温度変化に伴う偏光子2のクラックの発生が抑制され易い。つまり、保護フィルム3が無い第二辺S2側に位置する側部2asにおけるRqが小さい場合、第二辺S2側に位置する側部2asにおけるクラックの発生が抑制され易い。例えば、二乗平均平方根粗さRqが、0.03〜0.15μmである場合、第二辺S2側に位置する側部2asにおけるクラックの発生が抑制され易い。偏光子又は偏光板の端面を研磨しない場合、偏光子の端面が研磨によって粗くならないので、二乗平均平方根粗さRqは略ゼロであり、偏光子の端面にクラックが生じ難い。しかし、偏光子又は偏光板の端面を研磨しない場合、偏光子又は偏光板の寸法を高い精度で所望の値(例えば、製品規格の公差の範囲)に調整することは困難である。したがって、二乗平均平方根粗さRqが0.03μm未満である偏光子の寸法の精度は、二乗平均平方根粗さRqが0.03μm以上である偏光子の寸法の精度よりも低い傾向がある。
矩形状の偏光子2は、4つの端面2aを有する。偏光子2が有する複数の端面2aのうち、一部の端面2aの側部2asにおける二乗平均平方根粗さRqが、0.03〜0.15μmであってよい。偏光子2が有する全ての端面2aの側部2asにおける二乗平均平方根粗さRqが、0.03〜0.15μmであってもよい。Rqが0.03〜0.15μmである側部2asを有する端面2aが多いほど、偏光子2の第二辺S2側におけるクラックの発生が抑制され易い。
偏光子2を構成する樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)樹脂、ポリアミド樹脂、又はポリエステル系樹脂であってよい。偏光子2は、一軸方向又は二軸方向に延伸されてよい。偏光子2は、ヨウ素又は二色性染料によって染色されてよい。染色後の偏光子2は、ホウ酸で処理されてよい。偏光子2は、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向したものであってもよい。
偏光子2の厚さは、例えば、2〜30μm、2〜15μm、又は2〜10μmであってよい。一般的に、偏光子の厚みが薄いほど、偏光子にクラックが発生し易い。しかし、本実施形態に係る偏光子2を備える偏光板1では、偏光子2の厚みが10μm以下である場合であっても、偏光子2におけるクラックを好適に抑制することができる。
保護フィルム3は、例えば、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状オレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)、アクリル系樹脂(ポリメチルメタクリレート系樹脂等)、又はポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート系樹脂等)であってよい。
保護フィルム3の厚さは、5〜90μm、5〜80μm、又は5〜50μmであってよい。
保護フィルム3は、接着剤層を介して偏光子2の表面に貼合されてよい。保護フィルム3を構成する樹脂の溶液を偏光子2上に塗布して塗膜を形成し、塗膜を乾燥することにより、保護フィルムを偏光子2の表面に直接形成してもよい。
接着剤層を構成する樹脂は、例えば、エポキシ樹脂であってよい。エポキシ樹脂は、例えば、水素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、又は脂肪族エポキシ樹脂であってよい。重合開始剤(光カチオン重合開始剤、熱カチオン重合開始剤、光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤等)、又は他の添加剤(増感剤等)をエポキシ樹脂に添加してもよい。接着剤層を構成する樹脂は、例えば、アクリルアミド、アクリレート、ウレタンアクリレート、及びエポキシアクリレート等のアクリル系樹脂であってもよい。ポリビニルアルコール系樹脂を含む水系接着剤を接着剤層に用いてもよい。
感圧式粘着剤層5を構成する樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、又はポリエーテル等であってよい。これらの樹脂及び任意の添加成分を含む溶液を偏光子2の表面に塗布して塗膜を形成し、塗膜を乾燥することによって、感圧式粘着剤層5を形成してよい。
感圧式粘着剤層5の厚さは、例えば、2〜500μm、2〜200μm、又は2〜50μmであってよい。
セパレータ上に形成された感圧式粘着剤層5を、偏光子2の表面に転写してもよい。セパレータは、感圧式粘着剤層の保護、又は異物の付着の防止等を目的として、偏光子2その他の光学フィルムに貼着される。セパレータは、剥離可能なフィルムである。例えば、偏光板1を画像表示素子に貼着する場合、セパレータが剥がされて感圧式粘着剤層が露出される。セパレータは、偏光板1の製造過程において一時的に使用され、その後、偏光板1から剥離されてもよい。セパレータを構成する樹脂は、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、又はポリエステル系樹(ポリエチレンテレフタレート等)であってよい。
セパレータの厚さは、例えば、2〜500μm、2〜200μm、又は2〜100μmであってよい。
反射型偏光子4(第二光学フィルム)は、例えば、ポリカーボネート等からなる多層フィルムであってよい。反射型偏光子4の厚みは、例えば、15〜200μmであってよい。
偏光板1全体の厚さは、例えば、10〜500μm、10〜300μm、又は10〜200μmであってよい。
[偏光板の端部の切削加工]
以下に説明する偏光板1の端部の切削加工により、偏光板1が備える偏光子2の端面2aにおける粗さ曲線要素の平均高さRcを、0.05〜1.7μmの範囲内に制御することができる。また、以下に説明する切削加工により、偏光板1が備える偏光子2の端面2aの側部2asにおける二乗平均平方根粗さRqを、0.03〜0.15μmの範囲内に制御することができる。以下では、図2〜5を参照しながら、切削加工を詳説する。
以下に説明する偏光板1の端部の切削加工により、偏光板1が備える偏光子2の端面2aにおける粗さ曲線要素の平均高さRcを、0.05〜1.7μmの範囲内に制御することができる。また、以下に説明する切削加工により、偏光板1が備える偏光子2の端面2aの側部2asにおける二乗平均平方根粗さRqを、0.03〜0.15μmの範囲内に制御することができる。以下では、図2〜5を参照しながら、切削加工を詳説する。
まず、本実施形態に係る偏光板1と同様の積層構造を有する複数の偏光板1Aを作製する。各偏光板1Aは、その端面が切削されていないことを除いて、本実施形態に係る偏光板1と同じである。切削されていない偏光板1Aの端面2aは粗くなっていないので、各偏光板1Aが備える偏光子2の端面2aのRcは、0.05未満である。また、切削されていない各偏光板1Aの端面2aの側部2asにおけるRqは、0.03未満である。図4及び図5に示すように、複数の偏光板1Aを重ねて積層体100を形成する。各偏光板1Aの寸法は全く同じであり、積層体100において各偏光板1Aの表面全体が互いに完全に重なり合っている。図4に示す積層体100の端面100aは、偏光子2の端面を包含する面である。つまり、積層体100の端面100a内において、各偏光板1Aが備える偏光子2の端面が揃っている。図4に示すように、積層体100の端面100a(つまり、偏光子2の端面)は、切削工具10の切削面Sに対面し、切削面S上の切削刃に接触する。図示の便宜上、積層体100は4つの偏光板1Aから構成されているが、積層体100を構成する偏光板1Aの数は、特に限定されない。
図2に示されているとおり、切削工具10は、支持体10a(アーバー)に固定されている。切削工具10は、回転軸線Aに対して回転する。切削工具10の回転数(回転速度)は自在に調整される。なお、図2〜5に示されているように、切削工具10は円盤状である。切削工具10の回転軸線Aは、切削される積層体100の端面100a(つまり、各偏光子2の端面)に直交する。積層体100が水平方向に1mm移動する時間を単位時間とみなすとき、単位時間当たりの切削工具10の回転数は、偏光子2の端面2aにおける粗さ曲線要素の平均高さRcに影響する。また単位時間当たりの切削工具10の回転数は、偏光子2の端面2aの側部2asにおける二乗平均平方根粗さRqにも影響する。単位時間当たりの切削工具10の回転数は、例えば、3.5〜14回、又は5.6〜10.2回であってよい。切削工具10の回転数がこれらの範囲内である場合、偏光子2の端面2aにおける粗さ曲線要素の平均高さRcが、0.05〜1.7μmに制御され易い。また切削工具10の回転数が上記の範囲内である場合、偏光子2の端面2aの側部2asにおける二乗平均平方根粗さRqが、0.03〜0.15に制御され易い。
切削工具10は、回転軸線Aに対して垂直な切削面Sを有している。従って、切削面Sは、切削される積層体100の端面100aに平行である。換言すれば、切削面Sは、切削される偏光子2の端面2aに平行である。図2及び図3に示されているように、切削面S上には、切削部11a,11b及び11cからなる第1の切削部群と、切削部11d,11e及び11fからなる第2の切削部群とが設けられている。各切削部は、端面を削り取るための切削刃Bを有している。各切削部は、回転軸線Aの周りに略等間隔で配置される。各切削部は、切削される積層体100の端面100aに向かって切削面Sから突出している。切削刃Bは、各切削部の突出した頂面に配置される。各切削部が有する切削刃Bは、切削面Sに対して平行に延在するように配置される。換言すると、各切削部が有する切削刃Bは、積層体100中の各偏光子2の端面2aに対して平行に延在するように配置される。なお、図示の便宜上、図4及び図5では、切削工具10の切削面Sに設けられた各切削部を省略しているが、図2〜5に示す切削工具10の全ては同じものである。
切削工具10を回転方向(図2〜5中の矢印の方向)に回転させたとき、切削部11a,11b及び11cは、この順で積層体100の端面100aに当接し、該端面100a(各偏光子2の端面2a)を切削する。切削面Sから切削部11aの切削刃Bまでの距離は、切削面Sから切削部11bの切削刃Bまでの距離よりも小さい。切削面Sから切削部11bの切削刃Bまでの距離は、切削面Sから切削部11cの切削刃Bまでの距離よりも小さい。すなわち、切削部11bの切削刃Bの突出高さは、切削部11aの切削刃Bの突出高さより高く、切削部11cの切削刃Bの突出高さは、切削部11bの切削刃Bの突出高さより高い。
切削工具10を回転方向に回転させたとき、切削部11d,11e及び11fは、この順で積層体100の端面100aに当接し、該端面100a(各偏光子2の端面2a)を切削する。切削面Sから切削部11dの切削刃Bまでの距離は、切削面Sから切削部11eの切削刃Bまでの距離よりも小さい。切削面Sから切削部11eの切削刃Bまでの距離は、切削面Sから切削部11fの切削刃Bまでの距離よりも小さい。すなわち、切削部11eの切削刃Bの突出高さは、切削部11dの切削刃Bの突出高さより高く、切削部11fの切削刃Bの突出高さは、切削部11eの切削刃Bの突出高さより高い。
図3に示されているとおり、回転軸線Aから切削部11bの切削刃Bまでの距離は、回転軸線Aから切削部11aの切削刃Bまでの距離よりも短い。回転軸線Aから切削部11cの切削刃Bまでの距離は、回転軸線Aから切削部11bの切削刃Bまでの距離よりも短い。回転軸線Aから切削部11eの切削刃Bまでの距離は、回転軸線Aから切削部11dの切削刃Bまでの距離よりも短い。回転軸線Aから切削部11fの切削刃Bまでの距離は、切削部11eの切削刃Bまでの距離よりも短い。
切削部11a,11b,11d,11eは荒削り用であり、これらの切削刃Bは、例えば多結晶ダイヤモンドで構成されている。各切削部群において最後尾に位置する切削部11c,11fは仕上げ用であり、これらの切削刃Bは、例えば単結晶ダイヤモンドで構成されている。ただし、各切削刃Bの材質は限定されるものではない。
切削工具10の回転により各切削部が描く円が、積層体100中の各偏光子2の表面(Z軸方向を向く各偏光子2の表面)にほぼ垂直に交わることが好ましい。例えば、回転軸線Aとの距離が最も短い切削部11c及び11fの各切削刃Bが描く円が、積層体100中の各偏光子2の表面にほぼ垂直に交わることが好ましい。換言すれば、図5に示すように、各偏光子2の表面に対する各切削刃Bの進入角θが90°に近いほど好ましい。つまり、Z軸方向を向く積層体100の表面に対する各切削刃Bの進入角θが90°に近いほど好ましい。例えば、回転軸線Aとの距離が最も短い切削部11c及び11fの各切削刃Bの進入角θが90°に近いほど好ましい。進入角θを90°に近づけるためには、切削工具10の切削面Sの直径が積層体100の厚さよりも大きいことが好ましい。また切削工具10の切削面Sの直径は、積み重ねられた全ての偏光板1Aの各端面をまとめて均一に切削することができる程度に十分な大きさであることが好ましい。図4及び図5に示すように、積層体100が配置される高さは、切削工具10の回転軸線Aの高さと略同じであることが好ましい。換言すれば、各偏光子2の端面2aに平行な方向(Z軸方向)おける積層体100の位置は、同方向における切削工具10の回転軸線Aの位置と略同じであることが好ましい。換言すれば、積層体100の端面100aに平行な方向における積層体100の位置は、同方向における切削工具10の回転軸線Aの位置と略同じであることが好ましい。切削刃Bの進入角θの調整を目的として、積層体100の厚さを調整してよい。換言すれば、切削刃Bの進入角θの調整を目的として、積層体100を構成する偏光板1Aの数を調整してもよい。切削工具10の直径に比べて積層体100の厚さが小さいほど、切削刃Bの進入角θは90°に近づく。積層体100と切削工具10の回転軸線Aとの相対的な位置関係を調整することを目的として、積層体100の厚さを調整してよい。換言すれば、積層体100と切削工具10の回転軸線Aとの相対的な位置関係を調整することを目的として、積層体100を構成する偏光板1Aの数を調整してもよい。以上のように、各切削刃Bの進入角θを略垂直に調整し、積層体100の位置と切削工具10の回転軸線Aとの位置とを合わせて、且つ切削工具10の回転数を適宜調整することにより、偏光板1が備える偏光子2の端面2aにおける粗さ曲線要素の平均高さRcを、0.05〜1.7μmの範囲内に制御し易い。また、各切削刃Bの進入角θを略垂直に調整し、積層体100の位置と切削工具10の回転軸線Aとの位置とを合わせて、且つ切削工具10の回転数を適宜調整することにより、偏光板1が備える偏光子2の側部2asにおける二乗平均平方根粗さRqを、0.03〜0.15μmの範囲内に制御し易い。Rc及びRqそれぞれを上記の範囲内に制御するために必要な切削工具10の回転数は、予備的な実験によって把握することが可能である。積層体100と切削工具10の回転軸線Aとの相対的な位置関係を調整するために、積層体100の端面100a(各偏光子2の端面2a)に対して平行な方向において、切削工具10が自在に動いてよい。例えば、Z軸方向(上下方向)において切削工具10の位置を自在に調整してよい。この場合、Z軸方向における積層体100の位置は固定してよい。積層体100の端面100a(各偏光子2の端面2a)に対して平行な方向において、積層体100のが自在に動いてもよい。例えば、Z軸方向(例えば上下方向)において積層体100の位置を自在に調整してもよい。この場合、Z軸方向における切削工具10の位置は固定してよい。
積層体100を構成する各偏光板1Aにおいて、偏光子2は、保護フィルム3よりも上に位置することが好ましい。また保護フィルム3の弾性率は、偏光子2の弾性率よりも高いことが好ましい。図2〜5に示されるように、切削工具10の各切削刃Bは、積層体100の上側から下側へ移動する。したがって、偏光子2が保護フィルム3よりも上に位置する場合、各切削刃Bは、先に偏光子2に接触し、続いて保護フィルム3に接触する。換言すれば、各切削刃Bは、弾性率が低い偏光子2から入り、続いて弾性率が高い保護フィルム3に入る。このように偏光子2及び保護フィルム3を配置する場合、偏光子2の端面2aにおける粗さ曲線要素の平均高さRcを、0.05〜1.7μmの範囲内に制御し易く、偏光子2の側部2asにおける二乗平均平方根粗さRqを、0.03〜0.15μmの範囲内に制御し易い。
回転する切削工具10を、積層体100の端面100aに平行な方向(Y方向)において一定の速度で移動させてよい。切削工具10の移動に伴い、積層体100の端面100a(各偏光子2の端面2a)が徐々に切削される。この場合、積層体100の位置を固定してよい。積層体100の端面100aに平行な方向(Y方向)において、積層体100を一定の速度で切削工具10へ近づけてもよい。積層体100の移動に伴い、積層体100の端面100a(各偏光子2の端面2a)が徐々に切削される。この場合、切削工具10の位置は固定してよい。
上記の切削方法によれば、従来行われていたレーザーによる積層体100の切断に比べて、積層体100を構成する各偏光板1Aの寸法を高い精度で調整することが可能である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
例えば、偏光板は、偏光子と、偏光子に重なる第一光学フィルム(例えば保護フィルム)と、第一光学フィルムに重なる感圧式粘着剤層と、感圧式粘着剤層に重なる第二光学フィルム(例えば反射型偏光子)と、を備えてもよい。
第一光学フィルム又は第二光学フィルムが、防眩機能付フィルム、表面反射防止機能付フィルム、反射フィルム、半透過反射フィルム、視野角補償フィルム、離型フィルム、光学補償層、タッチセンサー層、帯電防止層又は防汚層であってもよい。もちろん、第一光学フィルムは、反射型偏光子であってもよいし、第二光学フィルムは、保護フィルムであってもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(1)偏光子の作製
厚みが20μmのポリビニルアルコールフィルムを準備した。このポリビニルアルコールフィルムの平均重合度は約2400であり、ケン化度は99.9モル%以上であった。ポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約4倍に一軸延伸した。延伸によるポリビニルアルコールフィルムの展張状態を保ちながら、ポリビニルアルコールフィルムを40℃の純水に1分間浸漬した。次に、ポリビニルアルコールフィルムを第一染色液(水溶液)に60秒間浸漬した。第一染色液の温度は、28℃に調整した。第一染色液におけるヨウ素:ヨウ化カリウム:水の質量比は、0.1:5:100であった。次に、ポリビニルアルコールフィルムを第二染色液(水溶液)に300秒間浸漬した。第二染色液の温度は、68℃に調整した。第二染色液におけるヨウ化カリウム:ホウ酸:水の質量比は10.5:7.5:100であった。次に、ポリビニルアルコールフィルムを純水で5秒間洗浄した。純水の温度は、5℃に調整した。洗浄後のポリビニルアルコールフィルムを70℃で180秒間乾燥した。以上の手順により、長尺な帯状のフィルムである偏光子を得た。偏光子では、一軸延伸されたポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向していた。偏光子の厚さは、7μmであった。
(1)偏光子の作製
厚みが20μmのポリビニルアルコールフィルムを準備した。このポリビニルアルコールフィルムの平均重合度は約2400であり、ケン化度は99.9モル%以上であった。ポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約4倍に一軸延伸した。延伸によるポリビニルアルコールフィルムの展張状態を保ちながら、ポリビニルアルコールフィルムを40℃の純水に1分間浸漬した。次に、ポリビニルアルコールフィルムを第一染色液(水溶液)に60秒間浸漬した。第一染色液の温度は、28℃に調整した。第一染色液におけるヨウ素:ヨウ化カリウム:水の質量比は、0.1:5:100であった。次に、ポリビニルアルコールフィルムを第二染色液(水溶液)に300秒間浸漬した。第二染色液の温度は、68℃に調整した。第二染色液におけるヨウ化カリウム:ホウ酸:水の質量比は10.5:7.5:100であった。次に、ポリビニルアルコールフィルムを純水で5秒間洗浄した。純水の温度は、5℃に調整した。洗浄後のポリビニルアルコールフィルムを70℃で180秒間乾燥した。以上の手順により、長尺な帯状のフィルムである偏光子を得た。偏光子では、一軸延伸されたポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向していた。偏光子の厚さは、7μmであった。
(2)水系接着剤の調製
ポリビニルアルコール粉末を95℃の熱水に溶解して、ポリビニルアルコール水溶液を調製した。水溶液におけるポリビニルアルコールの濃度は、3質量%に調整した。ポリビニルアルコール粉末としては、株式会社クラレ製の「KL−318」を用いた。ポリビニルアルコール粉末の平均重合度は、1800であった。ポリビニルアルコール水溶液に架橋剤を混合して、水系接着剤を得た。架橋剤としては、田岡化学工業株式会社製の「スミレーズレジン650」を用いた。ポリビニルアルコール水溶液へ添加した架橋剤の質量は、ポリビニルアルコール粉末2質量部に対して1質量部に調整した。
ポリビニルアルコール粉末を95℃の熱水に溶解して、ポリビニルアルコール水溶液を調製した。水溶液におけるポリビニルアルコールの濃度は、3質量%に調整した。ポリビニルアルコール粉末としては、株式会社クラレ製の「KL−318」を用いた。ポリビニルアルコール粉末の平均重合度は、1800であった。ポリビニルアルコール水溶液に架橋剤を混合して、水系接着剤を得た。架橋剤としては、田岡化学工業株式会社製の「スミレーズレジン650」を用いた。ポリビニルアルコール水溶液へ添加した架橋剤の質量は、ポリビニルアルコール粉末2質量部に対して1質量部に調整した。
(3)片面保護偏光板の作製
上記の偏光子をその長尺方向において連続的に搬送した。偏光子の搬送と同時に、ロール体から保護フィルムを連続的に送り出し、保護フィルムを搬送しながら、保護フィルムに対してコロナ処理を施した。保護フィルムとしては、日本ゼオン株式会社製のゼオノアフィルム「ZF14−023」を用いた。保護フィルムの厚さは、23μmであった。偏光子及び保護フィルムの搬送と同時に、ロール体から剥離フィルムを連続的に送り出し、剥離フィルムを搬送した。剥離フィルムとしては、コニカミノルタオプト株式会社製のトリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)である「KC8UX2MW」を用いた。剥離フィルムの厚さは、80μmであった。剥離フィルムにはケン化処理を施さなかった。
上記の偏光子をその長尺方向において連続的に搬送した。偏光子の搬送と同時に、ロール体から保護フィルムを連続的に送り出し、保護フィルムを搬送しながら、保護フィルムに対してコロナ処理を施した。保護フィルムとしては、日本ゼオン株式会社製のゼオノアフィルム「ZF14−023」を用いた。保護フィルムの厚さは、23μmであった。偏光子及び保護フィルムの搬送と同時に、ロール体から剥離フィルムを連続的に送り出し、剥離フィルムを搬送した。剥離フィルムとしては、コニカミノルタオプト株式会社製のトリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)である「KC8UX2MW」を用いた。剥離フィルムの厚さは、80μmであった。剥離フィルムにはケン化処理を施さなかった。
次いで、偏光子と保護フィルムとの間に上記の水系接着剤を介在させ、偏光子と剥離フィルムとの間に純水を介在させ、これらを一対の貼合ロールで挟むことにより、積層フィルムを得た。この積層フィルムは、偏光子と、偏光子の一方の表面に重なる水系接着剤層と、水系接着剤層に重なる保護フィルムと、偏光子の他方の表面に重なる純水層と、純水層に重なる剥離フィルムと、を備えるものであった。この積層フィルムを乾燥装置へ搬送し、水系接着剤層を乾燥するとともに、純水層を揮発させて除去した。乾燥装置内の温度は、80℃に調整した。乾燥時間は300秒であった。乾燥後の積層体から剥離フィルムを剥離することにより、片面保護偏光板を得た。この片面保護偏光板は、偏光子と、偏光子の一方の表面に重なる、乾燥した水系接着剤層と、水系接着剤層に重なる保護フィルムと、を備えるものであった。
(4)輝度向上フィルム付偏光板の作製
上記の片面保護偏光板が備える偏光子の表面に、感圧式粘着剤層を介して、輝度向上フィルムを貼合して、輝度向上フィルム付偏光板を得た。貼合の際には、偏光子の延伸方向が輝度向上フィルムの延伸軸と平行になるように、片面保護偏光板及び輝度向上フィルムそれぞれの向きを調整した。感圧式粘着剤層には、アクリル系樹脂を用いた。輝度向上フィルムとしては、3M株式会社製の反射型偏光子である「APF」を用いた。
上記の片面保護偏光板が備える偏光子の表面に、感圧式粘着剤層を介して、輝度向上フィルムを貼合して、輝度向上フィルム付偏光板を得た。貼合の際には、偏光子の延伸方向が輝度向上フィルムの延伸軸と平行になるように、片面保護偏光板及び輝度向上フィルムそれぞれの向きを調整した。感圧式粘着剤層には、アクリル系樹脂を用いた。輝度向上フィルムとしては、3M株式会社製の反射型偏光子である「APF」を用いた。
(5)セパレータ付偏光板の作製
感圧式粘着剤層で覆われたフィルム状のセパレータを準備した。感圧式粘着剤層には、アクリル系樹脂を用いた。上記の輝度向上フィルム付偏光板が備える輝度向上フィルムの表面に、感圧式粘着剤層を介して、セパレータを貼付して、セパレータ付偏光板を得た。セパレータ付偏光板は、偏光子と、偏光子の一方の表面に重なる水系接着剤層と、水系接着剤層に重なる保護フィルム(第一光学フィルム)と、偏光子の他方の表面に重なる第一感圧式粘着剤層と、第一感圧式粘着剤層に重なる輝度向上フィルム(第二光学フィルム)と、輝度向上フィルムに重なる第二感圧式粘着剤層と、第二感圧式粘着剤層に重なるセパレータと、を備えるものであった。
感圧式粘着剤層で覆われたフィルム状のセパレータを準備した。感圧式粘着剤層には、アクリル系樹脂を用いた。上記の輝度向上フィルム付偏光板が備える輝度向上フィルムの表面に、感圧式粘着剤層を介して、セパレータを貼付して、セパレータ付偏光板を得た。セパレータ付偏光板は、偏光子と、偏光子の一方の表面に重なる水系接着剤層と、水系接着剤層に重なる保護フィルム(第一光学フィルム)と、偏光子の他方の表面に重なる第一感圧式粘着剤層と、第一感圧式粘着剤層に重なる輝度向上フィルム(第二光学フィルム)と、輝度向上フィルムに重なる第二感圧式粘着剤層と、第二感圧式粘着剤層に重なるセパレータと、を備えるものであった。
(6)切削加工
上記のセパレータ付偏光板を120mm×70mmのサイズに裁断して、100枚の偏光板を得た。裁断には、スーパーカッターを用いた。100枚の偏光板の構造、組成及び寸法は同じであった。100枚の偏光板の四辺を揃えて、100枚の偏光板を重ねることにより、積層体を得た。以下では、説明の便宜のために、100枚の偏光板からなる積層体を、図4及び図5に示す積層体100と同一視する。切削工具を用いて、積層体100が有する4つの端面100aを切削した。4つの端面100aの切削加工の方法は全く同じであった。実施例で用いた切削工具は、第1切削部群及び第2切削部群それぞれが5つの切削部を有すること以外は、図2〜5に示された切削工具10と同じであった。以下では、説明の便宜のために、実施例で用いた切削工具を、図2〜5に示された切削工具10と同一視する。以下では、各図中のZ軸方向を上方向とみなし、X軸方向及びY軸方向を水平方向とみなす。積層体100を形成する際には、各偏光板1Aにおいて偏光子2が保護フィルム3の上に位置するように、100枚の偏光板1Aを重ねた。
上記のセパレータ付偏光板を120mm×70mmのサイズに裁断して、100枚の偏光板を得た。裁断には、スーパーカッターを用いた。100枚の偏光板の構造、組成及び寸法は同じであった。100枚の偏光板の四辺を揃えて、100枚の偏光板を重ねることにより、積層体を得た。以下では、説明の便宜のために、100枚の偏光板からなる積層体を、図4及び図5に示す積層体100と同一視する。切削工具を用いて、積層体100が有する4つの端面100aを切削した。4つの端面100aの切削加工の方法は全く同じであった。実施例で用いた切削工具は、第1切削部群及び第2切削部群それぞれが5つの切削部を有すること以外は、図2〜5に示された切削工具10と同じであった。以下では、説明の便宜のために、実施例で用いた切削工具を、図2〜5に示された切削工具10と同一視する。以下では、各図中のZ軸方向を上方向とみなし、X軸方向及びY軸方向を水平方向とみなす。積層体100を形成する際には、各偏光板1Aにおいて偏光子2が保護フィルム3の上に位置するように、100枚の偏光板1Aを重ねた。
切削工具10の回転方向とは逆の方向に沿って、5つの切削刃Bの突出高さが徐々に高くなるように、各切削部群の5つの切削刃Bが切削面S上に配置されていた。また切削工具10の回転方向とは逆の方向に沿って、回転軸線Aから切削部の切削刃Bまでの距離が徐々に短くなるように、各切削部群の5つの切削部が切削面S上に配置されていた。第1の切削部群及び第2の切削部群を構成する計10個の切削部は、回転軸線Aを囲むように、等間隔に配置されていた。回転軸線Aを介して対向する一対の切削刃Bの高さは同じであった。回転軸線Aを介して対向する一対の切削部の切削刃Bと回転軸線Aとの距離は同じであった。切削工具10の各切削刃群が、高さが異なる5つの切削刃Bを有するので、切削工具10の一回の回転は、深さの異なる5段階の切削に相当する。
積層体100の端面100aの切削加工では、一対の切削工具10を用いた。一対の切削工具10の切削面Sを向い合せた。一対の切削工具10の間に積層体100が収まるように、一対の切削工具10の間隔を調整した。切削工具10の回転軸線Aが水平になるように、切削工具10の向きを調整した。各切削工具10の位置を固定して、回転軸線Aを中心に各切削工具10を回転させた。積層体100の端面100aが、切削工具10の回転軸線A(切削面Sの法線)に垂直になるように、積層体100の端面100aの向きを調整した。また、積層体100の表面が水平になるように、積層体100の向きを調整した。
積層体100と同じ厚みを有し、積層体100よりも一回り小さい合成樹脂プレートを積層体100の下に配置して、積層体100が配置される高さを調整した。図4及び図5に示すように、積層体100が配置される高さの調整により、積層体100中の各偏光子2の表面に対する各切削刃Bの進入角θが略垂直になり、積層体100が配置される高さが切削工具10の回転軸線Aの高さと略同じになった。積層体100が配置される高さの調整に用いた合成樹脂プレートの厚さは、60mmであった。
切削加工では、積層体100が配置される高さを、一定に維持した。切削加工では、積層体100を水平方向(Y軸方向)に一定の速度で移動させ、積層体100を、回転する一対の切削工具10の間へ徐々に導入した。つまり、一方の切削工具10の切削面Sによって積層体100の一方の端面100aを徐々に切削すると同時に、他方の切削工具10の切削面Sによって積層体100の他方の端面100aを徐々に切削した。積層体100の端面100aの全体が切削されるまで、積層体100を水平方向(Y軸方向)に移動させ続けた。
各偏光板1において、偏光子2は保護フィルム3の上に配置したので、切削工具10の一回の回転では、切削工具10の各切削刃Bが、先ず積層体100中の各偏光子2の端面を切削し、続いて各偏光子2に隣接する各保護フィルム3の端面を切削した。
積層体100が水平方向に1mm移動する時間を単位時間とみなすとき、単位時間当たりの切削工具10の回転数を10.2回に調整した。
以上の工程により、100枚の偏光板(実施例1の偏光板)を得た。
(7−1)粗さ曲線要素の平均高さRcの測定
以下の手順で、実施例1の偏光板1が備える偏光子2の端面2aにおける粗さ曲線要素の平均高さRcを測定した。測定の対象である偏光子2の端面2aとは、切削工具10による切削を施された端面を意味する。Rcの測定には、オリンパス株式会社製の3D測定レーザー顕微鏡「OLS4100」を用いた。実施例1の偏光板100枚から無作為に5枚の偏光板1を抜き取った。一つの偏光板1が備える偏光子2の4つの端面のうち、偏光子2の延伸軸方向に対して垂直である2つの端面2aのRcを測定し、2つの端面2aのRcの平均値を算出した。同様の方法で、5枚の偏光板1が備える偏光子2其々のRcの平均値を算出し、これら5通りのRcの平均値を更に平均した。以上の手順で算出された実施例1のRcは、0.07μmであった。
以下の手順で、実施例1の偏光板1が備える偏光子2の端面2aにおける粗さ曲線要素の平均高さRcを測定した。測定の対象である偏光子2の端面2aとは、切削工具10による切削を施された端面を意味する。Rcの測定には、オリンパス株式会社製の3D測定レーザー顕微鏡「OLS4100」を用いた。実施例1の偏光板100枚から無作為に5枚の偏光板1を抜き取った。一つの偏光板1が備える偏光子2の4つの端面のうち、偏光子2の延伸軸方向に対して垂直である2つの端面2aのRcを測定し、2つの端面2aのRcの平均値を算出した。同様の方法で、5枚の偏光板1が備える偏光子2其々のRcの平均値を算出し、これら5通りのRcの平均値を更に平均した。以上の手順で算出された実施例1のRcは、0.07μmであった。
(7−2)二乗平均平方根粗さRqの測定
以下の手順で、実施例1の偏光板1が備える偏光子2の端面2aの側部2asにおける二乗平均平方根粗さRqを測定した。測定の対象である偏光子2の端面2aとは、切削工具10による切削を施された端面を意味する。Rqの測定には、オリンパス株式会社製の3D測定レーザー顕微鏡「OLS4100」を用いた。実施例1の偏光板100枚から無作為に5枚の偏光板1を抜き取った。一つの偏光板1が備える偏光子2の4つの端面のうち、偏光子2の延伸軸方向に対して垂直である2つの端面2aのRqを測定し、2つの端面2aのRqの平均値を算出した。同様の方法で、5枚の偏光板1が備える偏光子2其々のRqの平均値を算出し、これら5通りのRqの平均値を更に平均した。以上の手順で算出された実施例1のRqは、0.031μmであった。
以下の手順で、実施例1の偏光板1が備える偏光子2の端面2aの側部2asにおける二乗平均平方根粗さRqを測定した。測定の対象である偏光子2の端面2aとは、切削工具10による切削を施された端面を意味する。Rqの測定には、オリンパス株式会社製の3D測定レーザー顕微鏡「OLS4100」を用いた。実施例1の偏光板100枚から無作為に5枚の偏光板1を抜き取った。一つの偏光板1が備える偏光子2の4つの端面のうち、偏光子2の延伸軸方向に対して垂直である2つの端面2aのRqを測定し、2つの端面2aのRqの平均値を算出した。同様の方法で、5枚の偏光板1が備える偏光子2其々のRqの平均値を算出し、これら5通りのRqの平均値を更に平均した。以上の手順で算出された実施例1のRqは、0.031μmであった。
(8)ヒートショック試験
以下の手順で、実施例1の一枚の偏光板(切削加工後の偏光板)を用いたヒートショック試験を行った。
以下の手順で、実施例1の一枚の偏光板(切削加工後の偏光板)を用いたヒートショック試験を行った。
セパレータ付偏光板からセパレータを剥離し、粘着剤層を介して、偏光板を無アルカリガラス板に貼着して、試験用のサンプルを得た。無アルカリガラス板としては、コーニング社製の「Eagle−XG」を用いた。サンプルをオートクレーブ内に20分間閉じ込めて、サンプルに加圧処理を施した。オートクレーブ内の温度は、50℃に維持した。オートクレーブ内の圧力は、5MPaに維持した。加圧処理後のサンプルを、温度が23℃であり相対湿度が60%である雰囲気下で、1日放置した。
以上の工程を経たサンプルを冷熱衝撃試験器の試験槽内に設置した。そして、以下のステップ1〜3からなるサイクルを12回繰り返した。冷熱衝撃試験器としては、株式会社エスペック製の「TSA−301L−W」を用いた。
ステップ1:30分間、試験槽内の温度を−40℃に維持するステップ。
ステップ2:ステップ1後、5分間、試験槽内の温度を23℃に維持するステップ。
ステップ3:ステップ2後、30分間、試験槽内の温度を85℃に維持するステップ。
ステップ1:30分間、試験槽内の温度を−40℃に維持するステップ。
ステップ2:ステップ1後、5分間、試験槽内の温度を23℃に維持するステップ。
ステップ3:ステップ2後、30分間、試験槽内の温度を85℃に維持するステップ。
サイクルを12回繰り返した後、サンプルを試験槽から取り出した。次に、サンプルの端辺を光学顕微鏡で観察して、偏光子2の端面2aにおけるクラックの有無を調べた。光学顕微鏡としては、株式会社キーエンス製の「VHX−5000」を用いた。偏光子2の端面2aにおける単位長さ当りのクラック数を求めた。「単位長さ」とは、偏光子の端面内にあり、偏光子の厚さ方向に垂直であり、長さが10mmである線分である。「単位長さ当りのクラック数」とは、偏光子の端面において単位長さと交わるクラックの数を意味する。実施例1のクラック数はゼロであった。
(9)偏光板の寸法の精度の評価
実施例1の偏光板の一辺の長さを測定し、その測定値が目標値±50μmの公差の範囲内にあるか否かを評価した。実施例1の偏光板の一辺の長さの測定値は、目標値±50μmの公差の範囲内であった。つまり、実施例1の偏光板の寸法の精度は高いことが確認された。
実施例1の偏光板の一辺の長さを測定し、その測定値が目標値±50μmの公差の範囲内にあるか否かを評価した。実施例1の偏光板の一辺の長さの測定値は、目標値±50μmの公差の範囲内であった。つまり、実施例1の偏光板の寸法の精度は高いことが確認された。
[実施例2〜9]
実施例2〜9では、単位時間当たりの切削工具10の回転数を下記表1に示す値に調整した。実施例5〜7及び9の切削加工では、合成樹脂プレートを積層体100の下に配置しなかった。つまり、実施例5〜7及び9それぞれの切削加工では、積層体100が配置される高さが実施例1の場合に比べて低かった。したがって、実施例5〜7及び9それぞれの切削加工では、積層体100中の各偏光子2の表面に対する各切削刃Bの進入角θが、垂直ではなかった。また、実施例5〜7及び9それぞれの切削加工では、積層体100が配置される高さが、切削工具10の回転軸線Aの高さと略同じではなかった。
実施例2〜9では、単位時間当たりの切削工具10の回転数を下記表1に示す値に調整した。実施例5〜7及び9の切削加工では、合成樹脂プレートを積層体100の下に配置しなかった。つまり、実施例5〜7及び9それぞれの切削加工では、積層体100が配置される高さが実施例1の場合に比べて低かった。したがって、実施例5〜7及び9それぞれの切削加工では、積層体100中の各偏光子2の表面に対する各切削刃Bの進入角θが、垂直ではなかった。また、実施例5〜7及び9それぞれの切削加工では、積層体100が配置される高さが、切削工具10の回転軸線Aの高さと略同じではなかった。
切削加工に関する上記事項を除いて、実施例1と同様の方法で、実施例2〜9それぞれの偏光板を作製した。実施例1と同様の方法で、実施例2〜9それぞれのRc及びRqを測定した。実施例2〜9それぞれのRc及びRqを下記表1に示す。実施例1と同様の方法で、実施例2〜9それぞれのクラック数を測定した。偏光子の端面にクラックが形成されていた場合、クラックの長さも測定した。クラックの長さとは、偏光子の端面に位置するクラックの端部から他方のクラックの端部までの距離である。実施例2〜9それぞれのクラック数及びクラック長さを下記表1に示す。表1に示されるクラックの長さは、各偏光子の端面に形成されるクラックのうち最も長いクラックの長さである。実施例1と同様の方法で、実施例2〜9それぞれの偏光板の寸法の精度を評価した。実施例2〜9それぞれの偏光板の寸法の精度を、下記表1に示す。
[比較例1]
比較例1の切削加工では、合成樹脂プレートを積層体100の下に配置しなかった。つまり、比較例1の切削加工では、積層体100が配置される高さが実施例1の場合に比べて低かった。したがって、比較例1の切削加工では、積層体100中の各偏光子2の表面に対する各切削刃Bの進入角θが、垂直ではなかった。また、比較例1の切削加工では、積層体100が配置される高さが、切削工具10の回転軸線Aの高さと略同じではなかった。さらに、比較例1の切削加工では、単位時間当たりの切削工具10の回転数を下記表1に示す値に調整した。
比較例1の切削加工では、合成樹脂プレートを積層体100の下に配置しなかった。つまり、比較例1の切削加工では、積層体100が配置される高さが実施例1の場合に比べて低かった。したがって、比較例1の切削加工では、積層体100中の各偏光子2の表面に対する各切削刃Bの進入角θが、垂直ではなかった。また、比較例1の切削加工では、積層体100が配置される高さが、切削工具10の回転軸線Aの高さと略同じではなかった。さらに、比較例1の切削加工では、単位時間当たりの切削工具10の回転数を下記表1に示す値に調整した。
切削加工に関する上記事項を除いて、実施例1と同様の方法で、比較例1の偏光板を作製した。実施例1と同様の方法で、比較例1のRc及びRqを測定した。比較例1のRc及びRqを下記表1に示す。実施例1〜9と同様の方法で、比較例1のクラック数及びクラック長さを測定した。比較例1のクラック数及びクラック長さを下記表1に示す。実施例1と同様の方法で、比較例1の偏光板の寸法の精度を評価した。比較例1の偏光板の寸法の精度を、下記表1に示す。
[比較例2]
切削加工を行わなかったこと以外は実施例1と同様の方法で、比較例2の偏光板を作製した。実施例1と同様の方法で、比較例2のRc及びRqを測定した。比較例2のRc及びRqを下記表1に示す。実施例1と同様の方法で、比較例2のクラック数を測定した。比較例2のクラック数を下記表1に示す。実施例1と同様の方法で、比較例2の偏光板の寸法の精度を評価した。比較例2の偏光板の一辺の長さの測定値は、目標値±50μmの公差の範囲を外れた。つまり、比較例2の偏光板の寸法の精度は低いことが確認された。
切削加工を行わなかったこと以外は実施例1と同様の方法で、比較例2の偏光板を作製した。実施例1と同様の方法で、比較例2のRc及びRqを測定した。比較例2のRc及びRqを下記表1に示す。実施例1と同様の方法で、比較例2のクラック数を測定した。比較例2のクラック数を下記表1に示す。実施例1と同様の方法で、比較例2の偏光板の寸法の精度を評価した。比較例2の偏光板の一辺の長さの測定値は、目標値±50μmの公差の範囲を外れた。つまり、比較例2の偏光板の寸法の精度は低いことが確認された。
本発明に係る偏光板は、例えば、液晶セル又は有機EL素子等に貼着され、液晶テレビ、有機ELテレビ又はスマートフォン等の画像表示装置を構成する光学部品として適用される。
1…偏光板、2…フィルム状の偏光子、2a…偏光子の端面、2as…端面の側部(端面のうち第二辺に沿う部分)、3…保護フィルム(第一光学フィルム)、4…反射型偏光子(第二光学フィルム)、5…感圧式粘着剤層、S1…第一辺、S2…第二辺、S3…第三辺、S4…第四辺。
Claims (4)
- フィルム状の偏光子と、
前記偏光子の一方の表面に重なる第一光学フィルムと、
を備え、
前記偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂を含む延伸フィルムであり、
前記第一光学フィルムは、セルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、
前記偏光子の延伸方向に対して垂直である前記偏光子の端面における粗さ曲線要素の平均高さRcが、0.05〜1.7μmである、
偏光板。 - 前記偏光子の一つの前記端面を囲む辺のうち第一辺は、前記第一光学フィルムに隣接し、
前記端面を囲む辺のうち第二辺は、前記第一辺の反対側に位置し、
前記端面のうち前記第二辺に沿う部分における二乗平均平方根粗さRqが、0.03〜0.15μmである、
請求項1に記載の偏光板。 - 前記偏光子の他方の表面に重なる粘着剤層と、
前記粘着剤層に重なる第二光学フィルムと、
を更に備える、
請求項1又は2に記載の偏光板。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の偏光板を含む、
画像表示装置。
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