JP2010048999A - ワイヤグリッド偏光子及びそれを用いた表示装置 - Google Patents

ワイヤグリッド偏光子及びそれを用いた表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な構成によって、耐久性に優れ、光利用効率が高く、液晶表示装置のような表示装置に配設した場合に、十分な色再現性や黒表示を実現することができるワイヤグリッド偏光子を提供すること。
【解決手段】本発明のワイヤグリッド偏光子は、基材上に吸収型偏光成分を格子状に配置した吸収型ワイヤグリッド偏光子1と、基材上に反射型偏光成分を格子状に配置した反射型ワイヤグリッド偏光子2と、を積層してなる複合型ワイヤグリッド偏光子であって、少なくとも前記吸収型ワイヤグリッド偏光子1は、格子状に凸部を有する基材1bと、前記基材1bの凸部上に形成された吸収型偏光成分で構成された層1aと、を具備し、吸収型偏光成分は、可視光の波長領域において、消衰係数k及び屈折率nが所定の関係を満たす材料であり、かつ、吸収型偏光成分で構成された層が所定の厚さを有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ワイヤグリッド偏光子及びそれを用いた表示装置に関する。
近年のフォトリソグラフィー技術の発達により、光の波長レベルのピッチを有する微細構造パターンを形成することができるようになってきた。この様に非常に小さいピッチのパターンを有する部材や製品は、半導体分野だけでなく、光学分野において利用範囲が広く有用である(非特許文献1)。
例えば、金属などで構成された導電体線が特定のピッチで格子状に配列してなるワイヤグリッドは、そのピッチが入射光(例えば、可視光の波長400nmから800nm)に比べてかなり小さいピッチ(例えば、2分の1以下)であれば、導電体線に対して平行に振動する電場ベクトル成分の光をほとんど反射し、導電体線に対して垂直な電場ベクトル成分の光をほとんど透過させるため、単一偏光を作り出す偏光子として使用できる。このワイヤグリッド偏光子は、透過しない光を反射し再利用することができるので、光の有効利用の観点からも望ましいものである。
このようなワイヤグリッド偏光子としては、例えば、特許文献1に開示されているものがある。このワイヤグリッド偏光子は、入射光の波長より小さいグリッド周期で間隔が置かれた金属ワイヤを備えている。このワイヤグリッド偏光子は、電場成分が金属線と平行な偏光成分(TM波)を反射し、金属線と垂直な偏光成分(TE波)を透過する偏光特性を有し、ビームスプリッタとして多く使用されている。
しかし、反射により偏光成分を分離するために、反射される偏光成分が好ましくない用途への使用が難しい問題があり、ワイヤグリッド偏光子を液晶表示装置のような表示装置に配設した場合に、特許文献1に開示されている構成では、金属ワイヤがバックライト側からの光だけでなく、外光側からの光も反射するので、十分な色再現性や黒表示を行なうことができないという問題があった。
また、他の偏光子として、吸収型二色性偏光子が広く使用されている。吸収型二色性偏光子は、光の吸収異方性を有する化合物(ヨウ素、二色性色素)を塗布した高分子フィルムを延伸することで得られる。この吸収型の偏光子を表示装置に用いると、透過率は原理的に50%を超えないために、光の利用効率が低いという課題があった。さらに、高温高湿環境における耐久性に劣る問題もあった(非特許文献2)。
上記課題に対して、ワイヤグリッド偏光子と吸収型二色性偏光子を組み合わせた偏光子(特許文献2)や、反射型ワイヤグリッド偏光子と光吸収性材料を組み合わせた偏光子(特許文献3、特許文献4)が提案されている。
日本女子大学紀要 理学部 第14号(2006) FPDの光学材料 月刊ディスプレイ10月号別冊(2007) テクノタイムズ社 特表2003−502708号公報 特開2007−57873号公報 特開2005−37900号公報 特開2008−46637号公報
しかしながら、特許文献2に記載の構成では、偏光子の一部に吸収型二色性偏光子を用いているために、高温高湿環境における耐久性が劣りやすく、偏光度の経時変化が起きやすい問題があった。
また、特許文献3、4に記載されているように反射型ワイヤグリッド偏光子のワイヤグリッドに光吸収性材料を積層する構成では、誘電体、低反射金属、酸化物などの多層膜を真空蒸着などにより製膜、さらに、該多層膜を数百nmのパターンでワイヤ形状に加工する必要があるため、多層膜の製膜及び加工に時間がかかってしまうという問題点を有している。
さらに、多層膜を構成している金属、誘電体、酸化物のワイヤ状への微細加工におけるドライエッチングに最適なガスの種類が金属層と酸化物層、誘電体層とで互いに異なるため、エッチングが困難である問題があり、ウェットエッチングにおいても、同様に最適なエッチング液の選定が困難である問題がある。
また、特許文献3に記載されているように、基材表裏に各々反射性材料、吸収性材料でストライプ状のグレーティング層を設ける構成においては、平板基板の表裏に光学的に平行な位置で設置されなければならないが、手順として、平板基板の片面にストライプ状のグレーティング層を設け、光学的な平行位置を保ちながら、もう片面の平面にストライプ状のグレーティング層を設ける、ことになり、光学的な平行を保ちながら基材両面にグレーティング層を設けることは、実際の製造においては困難という問題点がある。ここで、光学的な平行位置とは、偏光子を透過する偏光軸が互いに平行になる位置をいう。
さらに本発明者の検討により、特許文献3に記載の構成では、吸収性材料側からの入射において、TM波の反射率を抑制できるが、TE波の反射率も高く、結果として観察される自然光としての反射率を完全に抑制できないことがわかっている。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、簡易な構成によって、耐久性に優れ、光利用効率が高く、液晶表示装置のような表示装置に配設した場合に、十分な色再現性や黒表示を実現することができるワイヤグリッド偏光子を提供することを目的とする。
本発明のワイヤグリッド偏光子は、基材上に吸収型偏光成分を格子状に配置した吸収型ワイヤグリッド偏光子と、基材上に反射型偏光成分を格子状に配置した反射型ワイヤグリッド偏光子と、を積層してなる複合型ワイヤグリッド偏光子であって、少なくとも前記吸収型ワイヤグリッド偏光子は、格子状に凸部を有する基材と、前記基材の凸部上に形成された吸収型偏光成分で構成された層と、を具備し、前記吸収型偏光成分は、可視光の波長領域において、消衰係数k及び屈折率nが下記(1)式を満たす材料であり、前記層の厚さが5nm以上30nm以下であることを特徴とする。
0.1092n−1.348n+6.247n−13.18n+11.91<k<−0.0022n+0.2036n−1.967n+6.918n−3.597
…(1)式
本発明のワイヤグリッド偏光子においては、前記吸収型ワイヤグリッド偏光子において、前記基材の格子状凸部の断面斜面部の片側にのみ吸収型偏光成分が形成されていることを特徴とする。
本発明のワイヤグリッド偏光子においては、前記反射型ワイヤグリッド偏光子は、格子状に凸部を有する基材と、前記基材の凸部上に形成された反射型偏光成分で構成された層と、を具備することが好ましい。
本発明の表示装置は、表示デバイスと、前記表示デバイスに光を照射する照明手段と、上記ワイヤグリッド偏光子と、を具備し、前記反射型ワイヤグリッド偏光子が前記照明手段側に配置されることを特徴とする。
本発明のワイヤグリッド偏光子は、基材上に吸収型偏光成分を格子状に配置した吸収型ワイヤグリッド偏光子と、基材上に反射型偏光成分を格子状に配置した反射型ワイヤグリッド偏光子と、を積層してなる複合型ワイヤグリッド偏光子であって、少なくとも前記吸収型ワイヤグリッド偏光子は、格子状に凸部を有する基材と、前記基材の凸部上に形成された吸収型偏光成分で構成された層と、を具備し、吸収型偏光成分は、可視光の波長領域において、消衰係数k及び屈折率nが所定の関係を満たす材料であり、かつ、吸収型偏光成分で構成された層が所定の厚さを有するので、簡易な構成によって、耐久性に優れ、光利用効率が高く、LCDのような表示装置に配設した場合に十分な色再現性と黒表示を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光子の一例を示す概略断面斜視図である。偏光子3は、入射光4を吸収する吸収型ワイヤグリッド偏光子1と、基板1b、基板2bとを挟んで配設された反射型ワイヤグリッド偏光子2とから主に構成されており、反射型ワイヤグリッド偏光子2は前記した入射光4と偏光子3をはさんで180度逆側からの入射光5を反射して偏光する。
さらに図1に示したような吸収型ワイヤグリッド偏光子1と反射型ワイヤグリッド偏光子2の基材同士が接する態様の場合は、基材はあらかじめ一体化していても構わない。
本発明のワイヤグリッド偏光子において、本発明に係るワイヤグリッド型偏光子を液晶表示装置のような表示装置に配設した場合において、十分な色再現性や黒表示を実現するためには、入射光4について、TM波の透過率が0.1%以下であり、反射率が30%以下であり、TE波の透過率が70%以上であり、反射率が20%以下であると好ましく、入射光5について、TM波の透過率が0.1%以下であり、反射率が60%以上であり、TE波の透過率が70%以上であり、反射率が20%以下であると好ましい。このような光学特性であると、外光は反射せず、バックライト側のみ反射により偏光させるため、バックライトの光利用効率を高く維持したまま、十分な色再現性や黒表示を達成できる。TM波、TE波の透過率、反射率は、分光光度計を用いて測定される。
図2は図1の吸収型ワイヤグリッド偏光子1を拡大図示した概略断面斜視図である。図2に示す吸収型ワイヤグリッド型偏光子は、表面に格子状凸部1cを有する基材1bと、格子状凸部1cを含む基材1b上の領域に立設された、吸収型偏光成分で構成された吸収型偏光成分ワイヤ1aとから主に構成されている。
吸収型偏光成分ワイヤ1aは、格子状凸部1cの横断面視において少なくとも一部を覆うことが必要である。特に、格子状凸部1cの断面視における斜面部のみを覆うと所定の光学性能を得ることができ好ましく、図2に示すように断面視における斜面部の片側のみを覆うと、高透過率、低反射率で透過率、反射率の波長分散を抑制でき、さらに好ましい。凸部の断面視における斜面部を片側のみを覆うと高透過率で光学特性の波長分散を抑制できる理由は不明だが、有効媒質理論より、光の入射方向に対する吸収型偏光成分ワイヤ1aと凸部1cの断面変化により、光の入射方向に対して光学特性の急激な変化が抑制されるためであると推定される。
本発明における吸収型ワイヤグリッド偏光子において、TM波においては、透過率が50%以下で、かつ、反射率が40%以下であると好ましく、透過率が40%以下で、かつ、反射率が20%以下であるとより好ましい。TE波においては、透過率が80%以上で、かつ、反射率が10%以下であると好ましく、透過率が85%以上で、かつ、反射率が8%以下であるとより好ましい。
基材1bに用いる素材は、可視光領域で実質的に透明な素材であれば良いが、加工性に優れた樹脂であることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線(UV)硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。また、基材1bとして、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂と、ガラスなどの無機基板、上記熱可塑性樹脂、トリアセテート樹脂とを組み合わせた複合基材を用いても良い。
基材1b上の格子状凸部1cのピッチは、可視光領域の広帯域にわたる偏光特性を考慮すると、150nm以下であり、好ましくは80nmから120nmである。ピッチが小さくなるほど偏光特性が良くなるが、可視光に対しては、80nmから120nmのピッチで十分な偏光特性が得られる。400nm近傍の短波長光の偏光特性を重視しない場合は、ピッチを150nm程度まで大きくしてもよい。
本発明において、基材1b上の格子状凸部1cのピッチと吸収型偏光成分ワイヤ1aのピッチとは、ほぼ等しく、同じピッチをとることができる。
基材1b上の格子状凸部1cの断面形状に制限はない。これらの断面形状は、例えば、台形、矩形、方形、プリズム状や、半円状などの正弦波状を挙げることができる。ここで、正弦波状とは、凹部と凸部の繰り返しからなる曲線部をもつことを意味する。なお、曲線部は湾曲した曲線であれば、よく、例えば凸部にくびれがある形状も正弦波状に含める。また、基材1b上の格子状凸部1c及びその側面の少なくとも一部を吸収型偏光成分が覆いやすくする観点から、前記形状の端部又は頂部、谷部は穏やかな曲率をもって湾曲していることが好ましい。また、基材1b、格子状凸部1cと吸収型偏光成分ワイヤ1aとの密着強度を高くする観点から、これらの断面形状は正弦波状であることがより好ましい。さらに、同様に基材1b、格子状凸部1cと吸収型偏光成分ワイヤ1aとの密着強度を高くする観点から、図示しない透明誘電体層の薄膜を設けることも好ましい。
基材1bに格子状凸部1cを設ける方法としては、表面にピッチが150nm以下の格子状凸部を有する型を用いて、基材の表面に格子状凸部を転写して成型する方法が挙げられる。ここで、表面にピッチが150nm以下の格子状凸部を有する型は、電子線ビーム描画法や干渉露光法により得た、ピッチが150nm以下の格子状凸部を有するレジストパターンを、順に導電化処理、メッキ処理、基材の除去処理を施すことで作成できる。
図2における吸収型偏光成分ワイヤ1aを構成する吸収型偏光成分としては、入射する光の垂直反射率を低下させる機能を発揮する材料を用いる。具体的には、吸収型偏光成分は、消衰係数k及び屈折率nが下記(1)式を満たす、すなわち図3における斜線領域にある材料であると好ましく、かつ、吸収型偏光成分で構成された層は、TM透過率やTM反射率を考慮すると、5nm以上30nm以下が好ましい。さらに好ましくは8nm以上20nm以下である。
0.1092n−1.348n+6.247n−13.18n+11.91<k<−0.0022n+0.2036n−1.967n+6.918n−3.597
…(1)式
本発明における吸収型偏光成分ワイヤ1aは、図2に示すように断面視における斜面部の片側のみを覆うと、高透過率、低反射率で透過率、反射率の波長分散を抑制できる。この場合、消衰係数kと屈折率nが所定の範囲である必要がある。なんとなれば、消衰係数が小さいとTM透過率が増え望ましい範囲を逸脱し、大きくなるとTM反射率が増加し、望ましい範囲を逸脱する。さらに、その透過と反射への消衰係数kの寄与は屈折率nに大きく左右される。そこで、本発明者は、吸収型偏光成分が所定の層厚における、TM反射率が望ましい範囲になる消衰係数kと屈折率nの関係を調べ、(1)式を満足することにより、高透過率、低反射率で透過率、反射率の波長分散の抑制を実現した。
図3は、消衰係数k及び屈折率nの関係を示す図であり、横軸が屈折率nを示し、縦軸が消衰係数kを示している。図3において、2つの曲線で囲まれた斜線で示した領域が(1)式で示された範囲である。特に、吸収型偏光成分が上記した、格子状凸部の断面視における斜面部の片側のみを覆った薄膜であり、屈折率n、消衰係数kがこの領域であると、ワイヤグリッド偏光子であるにもかかわらずTM波の反射率と透過率を低く抑え、吸収率を高めることができる。図示した領域のn、kにおいて薄膜である吸収型偏光成分ワイヤのTM波の吸収率が高くなる詳細は明確でないが、吸収型偏光成分の侵入長と膜厚が同程度であるために吸収型偏光成分内部での吸収が高まるためと推定される。
このような屈折率n、消衰係数kを有する具体的な材料としては、W、V、Cr、Co、Mo、Ge、Ir、Ni、Os、Ti、Fe、Nb、Hf、Mn、Taからなる群から選ばれた少なくとも一つの低反射金属、あるいは群から選ばれた少なくとも一つの材料を主成分とする合金などの低反射金属が挙げられる。あるいは、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化銅、酸化バナジウム、酸化クロムなども好ましい。なお、これらの酸化物においては、金属に対する酸素量が完全酸化状態よりも少ない不定比酸化物であると、n、kを任意に変えることが可能となり好ましい。
本発明者らの検討により、基材の格子状凸部1cがなく、平坦な基材を用いた場合は吸収型偏光成分ワイヤの形状、膜厚によらず、i)高透過率と低反射率は相反する特性を示すこと、ii)透過率、反射率の波長分散性が大きくなること、がわかっている。このことから、格子状凸部を有する基材に吸収型偏光成分ワイヤの薄膜を形成する本発明の構成の有効性がわかる。
吸収型偏光成分として、前記した薄膜材料を使用すると、後述する反射型ワイヤグリッド偏光子と一体化した時、吸収型ワイヤグリッド偏光子側の反射率は低く、反射型ワイヤグリッド偏光子側からの入射光の反射率が増加するので、液晶などの表示デバイスに適用した場合、バックライト側の光利用効率が向上し特に好ましい。
吸収型偏光成分ワイヤ1aを形成するために吸収型偏光成分を基材1b,1c上に形成する方法としては、吸収型偏光成分と基材との間で十分な密着性が得られる方法であれば特に限定されない。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的蒸着方法を好適に用いることができる。格子状凸部の一方の斜面部に偏って選択積層できる方法が好ましく、斜め蒸着法などを挙げることができる。
さらに、吸収型偏光成分ワイヤ1aの保護の観点から、図示しない透明誘電体層の薄膜を吸収型偏光成分ワイヤ1aに積層して設けても良い。誘電体層を吸収型偏光成分ワイヤ1a上に形成する方法としては、誘電体層を構成する材料により適宜選択する。例えば、スパッタリング法、真空蒸着法などの物理的蒸着法を好適に用いることができる。
次に本発明の偏光子における反射型偏光子について、図を用いて説明する。
図4は図1の反射型ワイヤグリッド偏光子2を拡大図示した概略断面斜視図である。図4に示す反射型ワイヤグリッド型偏光子は、表面に格子状凸部2cを有する基材2bと、格子状凸部2cを被覆し、格子状凸部2cを含む基材2b上の領域に立設された、反射型偏光成分で構成された金属ワイヤ2aとから主に構成されている。
本発明における反射型ワイヤグリッド偏光子においては、TM波においては、透過率が1%以下で、かつ、反射率が40%以上であると好ましく、透過率が0.1%以下で、かつ、反射率が50%以上であるとより好ましい。TE波においては、透過率が70%以上で、かつ、反射率が20%以下であると好ましく、透過率が75%以上で、かつ、反射率が10%以下であるとより好ましい。
基材2bに用いる素材は、可視光領域で実質的に透明な素材であれば良いが、加工性に優れた樹脂であることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線(UV)硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。また、基材2bとして、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂と、ガラスなどの無機基板、上記熱可塑性樹脂、トリアセテート樹脂とを組み合わせた複合基材を用いても良い。
基材2bの格子状凸部2cのピッチは、可視光領域の広帯域にわたる偏光特性を考慮すると、150nm以下であり、好ましくは80nmから120nmである。ピッチが小さくなるほど偏光特性が良くなるが、可視光に対しては、80nmから120nmのピッチで十分な偏光特性が得られる。400nm近傍の短波長光の偏光特性を重視しない場合は、ピッチを150nm程度まで大きくしてもよい。
本発明において、基材2b上の格子状凸部2cのピッチと金属ワイヤ2aのピッチとは、ほぼ等しく、同じピッチをとることができる。また、前記した吸収型ワイヤグリッド偏光子1とピッチを同一とする必要はなく、吸収型、反射型各々に最適なピッチを適宜、独立したピッチとすることができる。
基材2b上の格子状凸部2cの断面形状に制限はない。これらの断面形状は、例えば、台形、矩形、方形、プリズム状や、半円状などの正弦波状を挙げることができる。ここで、正弦波状とは、凹部と凸部の繰り返しからなる曲線部をもつことを意味する。なお、曲線部は湾曲した曲線であれば、よく、例えば凸部にくびれがある形状も正弦波状に含める。また、基材2b上の格子状凸部2c及びその側面の少なくとも一部を金属材料が覆いやすくする観点から、前記形状の端部又は頂部、谷部は穏やかな曲率をもって湾曲していることが好ましい。また、基材2b、格子状凸部2cと金属ワイヤ2aとの密着強度を高くする観点から、これらの断面形状は正弦波状であることがより好ましい。さらに、同様に基材2b、格子状凸部2cと金属ワイヤ2aとの密着強度を高くする観点から、図示しない透明誘電体層の薄膜を設けることも好ましい。
基材2bに格子状凸部2cを設ける方法としては、表面にピッチが150nm以下の格子状凸部を有する型を用いて、機材の表面に格子状凸部を転写して成型する方法が挙げられる。ここで、表面にピッチが150nm以下の格子状凸部を有する型は、電子線ビーム描画法や干渉露光法により得た、ピッチが150nm以下の格子状凸部を有するレジストパターンを、順に導電化処理、メッキ処理、基材の除去処理を施すことで作成できる。
反射型偏光成分で構成された層である金属ワイヤ2aを構成する金属としては、可視光領域で光の反射率が高く、基材2b、2cなどとの密着性のよいものであることが好ましい。例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)又は、その合金で構成されていることが好ましい。コストの観点から、Al又はAl合金で構成されていることが好ましい。
以上前記した吸収型ワイヤグリッド偏光子と反射型ワイヤグリッド偏光子を、光学的な平行位置で積層、固定し本発明の偏光子を得る。光学的な平行位置で積層、固定する方法としては、以下の方法が挙げられる。
図5において、既存の偏光子12を透過した直線偏光を吸収型偏光子11に透過させる。透過光10の光量が最小になるように吸収型偏光子11を、透過光10の光軸を中心にして回転させる。図示しない偏光子12を固定しているベースにあわせて、吸収型偏光子11の辺11aを切断する。このような操作により辺11aは偏光子12の偏光軸と平行となる。同様にして反射型偏光子についても、偏光子12の偏光軸と平行な辺を得る。つぎに、この辺を機械的に合わせながら積層、固定することで、光学的な平行位置で吸収型偏光子と反射型偏光子が一体化した本発明のワイヤグリッド型偏光子を得る。
積層する方向は、反射型、吸収型各々のワイヤグリッドが入射光と180度相対した向きであってもよく、図6に示すように、吸収型ワイヤグリッド偏光子1のワイヤグリッドが反射型ワイヤグリッド偏光子2の背面に接着層7を介して積層されていてもよく、図示しない吸収型と反射型のワイヤグリッドが対面する位置で積層されても良い。ワイヤグリッドが対面する位置で積層する場合、接着層がワイヤグリッドのワイヤ間に充填されると光学特性が変わるので、接着層がワイヤ頂部のみに接している状態が好ましい。
以上のように簡便に光学的な平行位置でワイヤグリッド偏光子が揃ったワイヤグリッド偏光子を得られるために、簡便な装置で安価に製造することが可能である。さらに、各々の偏光子は接着するまで独立であるので、それぞれに最適で容易な製造方法を選択でき、生産効率、コストの点から鑑みて実際の工業生産において大きな利点を有する。
以上は、反射型、吸収型ワイヤグリッド偏光子を個別に作成して積層、固定する製造方法の例示であるが、本発明のワイヤグリッド偏光子を、一体化した基材の表裏に反射型、吸収型ワイヤグリッド偏光子を積層する方法でも得られる。
図7は前記した一体化した表裏に反射型、吸収型を積層するための、表裏に格子状凸部を有する基材8の一例を示す概略断面斜視図である。表裏の格子状凸部は、互いに平行な位置で形成されている。表裏に互いに平行な格子状凸部を形成する方法は、表面にピッチが150nm以下の格子状凸部を有する型を用いて、基材の表面に格子状凸部を転写する方法が挙げられ、基材表裏に転写する型の格子状凸部の平行位置を機械的に保持しながら転写する方法や、片面に転写した後、型の格子状凸部と平行な回転軸に沿って180度回転させもう片面に転写する方法、などが挙げられる。
本発明のワイヤグリッド型偏光子においては、偏光特性を具現化する金属ワイヤ、吸収型偏光成分ワイヤの方向は、基材表面の格子状凸部でその偏光方向が決定されるので、基材表裏の格子状凸部の平行を維持した基材を使用すれば、光学的な平行位置で表裏に反射型、吸収型ワイヤグリッド偏光子を有する本発明の偏光子を簡易に得ることができる。
さらに、得られる偏光子の特性は、前記したような反射型、吸収型ワイヤグリッド偏光子を個別に作成し積層固定して得られる偏光子と同等の性能を有するので、各面の製造条件は、単品ワイヤグリッド偏光子と同様で良く、基板表裏に形成されているので、表裏において最適で容易な製造方法を選択でき、生産効率、コストの点において実用上の工業生産において大きな利点を有する。
本発明のワイヤグリッド型偏光子においては、偏光機能を有しているのは、無機物であるので、熱や光に対する耐久性に優れている。
次に、本発明に係る液晶表示装置に用いた場合について、図面で説明する。
図8は、本発明の実施の形態にかかる偏光子を用いた液晶表示装置を示す断面外略図である。
図8に示す液晶表示装置は、発光するバックライトのような照明装置20と、この照明装置上に配置された本発明の偏光子21と偏光子22に挟まれた液晶パネル23とから主に構成される。本発明に係る偏光子21、22は、バックライト側に反射型偏光子21a、22aを向けて配置される。液晶パネル23は透過型液晶パネルであり、ガラスや透明樹脂基板間に液晶材料などを挟持して構成されている。なお、図8の液晶表示装置中において、通常使用されている偏光子保護フィルム、位相差フィルム、拡散板、配向膜、透明電極、カラーフィルターなどの各種光学素子については、説明を省略する。
このような構成の液晶表示装置においては、照明装置20から出射された光がワイヤグリッド偏光子21の反射型ワイヤグリッド偏光子21aから入射し、液晶セル23を通過し、再びワイヤグリッド偏光子22の反射型ワイヤグリッド偏光子22aから入射、外界に出射される(図中30)。この場合において、ワイヤグリッド偏光子21、22が可視光領域において、優れた偏光度を発揮するので、コントラストの高い表示を得ることが可能となる。また、透過しない照明装置20からの入射光は、照明装置側に向けて反射され、再利用されることで高い輝度を得ることができる。
一方、外光は、ワイヤグリッド偏光子22の吸収型ワイヤグリッド偏光子22bから入射し、液晶セル23を通過し、再びワイヤグリッド偏光子21の吸収型ワイヤグリッド偏光子21bから入射、照明装置20に出射される(図中31)。この場合においては、透過しない外光は、本発明のワイヤグリッド偏光子により効率良く吸収される。以上、まとめると液晶表示装置において、十分な色再現性や黒表示を実現することができる。
次に、本発明の効果を明確にするために行なった実施例について説明する。なお、下記実施の形態における寸法、材質などは例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、適宜変更して実施することが可能である。
(実施例1)
(格子状凸部を有する基材の作成)
・微細凹凸格子形状の作成
ガラス上にフォトレジストを塗布した基板に、電子線ビーム描画法を用いて、微細凹凸格子を形成した。このレジストパターンの表面と断面を、電界放出形走査電子顕微鏡(STEM)で観察したところ、微細凹凸格子のピッチと高さがそれぞれ、145nm/130nm(ピッチ/高さ)であり、その断面形状がほぼ台形形状で、上面からの形状が縞状格子状となっており凸部の幅が45nmで谷部の幅が70nmであることがわかった。
・ニッケルスタンパ作成
得られた145nmピッチのレジストパターン表面に、導電化処理として金をスパッタ法により30nm被覆した後、ニッケルを電気メッキし、厚さ0.3mmの微細凹凸格子を表面に有するニッケルスタンパを作成した。
・紫外線硬化性樹脂を用いた格子状凸部転写フィルムの作成
厚さ0.1mmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(以下、PETフィルム)に紫外線硬化樹脂(東洋合成株式会社製PAK01)を約0.03mm塗布し、塗布面を下にして前記145nmピッチの微細凹凸格子を表面に有するニッケルスタンパ上に、それぞれ端部からニッケルスタンパとPETフィルムとの間に空気が入らないように載せ、PETフィルム側から中心波長365nmの紫外線ランプを用いて紫外線を1000mJ/cm照射し、ニッケルスタンパの微細凹凸格子を転写した。得られた格子状凸部転写フィルムをSTEMにより観察し、その断面形状がほぼ台形形状で、上面からの形状が縞状格子状となっていることを確認した。
・反射型ワイヤグリッド偏光子の作成
前記した紫外線硬化性樹脂を用いて作成した格子状凸部転写フィルムに、スパッタ法を用いて誘電体を被覆した。本実施例では、誘電体として窒化ケイ素を用いた場合について、説明する。Arガス圧力0.67Pa、スパッタパワー4W/cm、被覆速度0.22nm/秒にて誘電体の被覆を行なった。層厚み比較用サンプルとして表面が平滑なガラス基板を格子状凸部転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑ガラス基板への誘電体積層厚みが5nmとなるように製膜を行った。
格子状凸部転写フィルムに誘電体層を形成した後、電子ビーム真空蒸着法(EB蒸着法)を用いて金属ワイヤを形成した。本実施例では、金属としてアルミニウム(Al)を用いた。真空度2.5×10−3Pa、蒸着速度20nm/s、基板温度は常温として蒸着を行なった。層厚み比較用サンプルとして表面が平滑なガラス基板を誘電体積層格子状凸部転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑基板へのAl蒸着厚みが170nmとなるように蒸着を行った。なお、格子の長手方向と垂直に交わる平面内において基材面の法線と蒸着源とのなす角度は20度とした。
格子状凸部転写フィルムに誘電体及びAlを積層した後、フィルムを室温下の0.1重量%水酸化ナトリウム水溶液中で、処理時間を30秒〜120秒の間において10秒間隔で変えながら洗浄(エッチング)し、すぐに水洗してエッチングを停止させた。フィルムを乾燥して反射型ワイヤグリッド偏光子を得た。下記の偏光性能評価から、90秒エッチングをした反射型ワイヤグリッド偏光子を選定した。
得られた反射型ワイヤグリッド偏光子について、分光光度計を用いて、直線偏光に対する平行ニコル、直交ニコルでの透過光強度、反射光強度を測定した。その結果、反射型ワイヤグリッド型偏光子のTE波透過率88.7%、TM波透過率0.04%、TE波反射率3.4%、TM波反射率84.8%、偏光度99.91%であった。
・吸収型ワイヤグリッド偏光子の作成
前記と同様に窒化ケイ素が表面に形成された格子状凸部転写フィルムにスパッタ法を用いて不定比酸化アルミニウムワイヤを形成した。本実施例では、アルミニウム(Al)を用いて、Arガス圧力0.245Pa、酸素ガス圧力0.026Pa、スパッタパワー4W/cmとし、製膜速度47nm/分で蒸着した。層厚み比較用サンプルとして表面が平滑なガラス基板を誘電体積層格子状凸部転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑基板への酸化アルミニウム蒸着厚みが10nmとなるように蒸着を行った。なお、格子の長手方向と垂直に交わる平面内において基材面の法線と蒸着源とのなす角度は50度とした。得られた不定比酸化アルミニウムの550nmにおける屈折率nは2.71、消衰係数kは1.41であった。したがって、図3における斜線領域内である、すなわち上記(1)式を満たすものであった。
格子状凸部転写フィルムに誘電体及び不定比酸化アルミニウムを積層した後、フィルムを室温下の0.1重量%水酸化ナトリウム水溶液中で、20秒エッチングし、フィルムを乾燥して吸収型ワイヤグリッド型偏光子を得た。
得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子を、STEMにより観察したところ、不定比酸化アルミニウムワイヤが格子状凸部の断面斜面部の片側に垂線方向に高さ14nmで形成されていることが確認された。また、得られた吸収型ワイヤグリッド型偏光子について、分光光度計を用いて、直線偏光に対する平行ニコル、直交ニコルでの透過光強度、反射光強度を測定した。その結果、吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTE波透過率94.1%、TM波透過率34.9%、TE波反射率4.3%、TM波反射率7.7%、偏光度45.9%であった。
・吸収型、反射型ワイヤグリッド偏光子の積層
前記した方法で、得られた吸収型、反射型ワイヤグリッド偏光子の周囲4辺のうち1辺について、既存偏光子を基準として偏光軸を合わせた。つづいて偏光軸をあわせた1辺を機械的に合わせながら、互いのワイヤグリッドの基板側を光学的に透明な粘着材を用いて接着、積層した。なお、接着には、日東電工(株)製透明両面接着テープCS9621を使用した。
得られた偏光子について、分光光度計を用い、直線偏光に対する透過光強度、反射光強度を測定した。TE波透過率83.6%、TM波透過率0.014%、吸収型ワイヤグリッド偏光子側の全光反射率8.9%。反射型ワイヤグリッド偏光子側の全光反射率41.3%、偏光度99.97%であった。
(実施例2〜実施例5、比較例1)
・吸収型ワイヤグリッド偏光子の作成
実施例1と同様に窒化ケイ素が表面に形成された格子状凸部転写フィルムを用い、スパッタ法により酸素分圧を変えて種々のn、kを有する不定比酸化アルミニウムを得た。STEMで観察したところ、いずれも14nmの膜厚であった。
・吸収型、反射型ワイヤグリッド偏光子の積層
実施例1に用いた反射型ワイヤグリッド偏光子を用いて、実施例1と同様の方法で接着積層した。得られた偏光子について、分光光度計を用い、直線偏光に対する透過光強度、反射光強度を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2010048999
(実施例6)
・吸収型ワイヤグリッド偏光子の作成
実施例1と同様に窒化ケイ素が表面に形成された格子状凸部転写フィルムにスパッタ法を用いてタングステンワイヤを形成した。本実施例では、タンスグステン(W)を用いて、Arガス圧力0.21Pa、スパッタパワー4.4W/cmとし、製膜速度20nm/分で蒸着した。層厚み比較用サンプルとして表面が平滑なガラス基板を誘電体積層格子状凸部転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑基板へのW蒸着厚みが10nmとなるように蒸着を行った。なお、格子の長手方向と垂直に交わる平面内において基材面の法線と蒸着源とのなす角度は50度とした。なお、タングステンも図3における斜線領域内である、すなわち上記(1)式を満たすものであった。
得られた偏光子について、分光光度計を用い、直線偏光に対する透過光強度、反射光強度を測定した。その結果、吸収型ワイヤグリッド型偏光子のTE波透過率91.6%、TM波透過率23.2%、TE波反射率3.8%、TM波反射率12.0%、偏光度59.56%であった。
・吸収型、反射型ワイヤグリッド偏光子の積層
実施例1に用いた反射型ワイヤグリッド偏光子を用いて、実施例1と同様の方法で接着積層した。得られた偏光子について、分光光度計を用い、直線偏光に対する透過光強度、反射光強度を測定した。TE波透過率79.25%、TM波透過率0.012%、吸収型ワイヤグリッド側の全光反射率10.7%。反射型ワイヤグリッド偏光子側の全光反射率41.4%、偏光度99.97%であった。
(実施例7〜実施例17、比較例2)
・吸収型ワイヤグリッド偏光子の作成
実施例6と同様に窒化ケイ素が表面に形成された格子状凸部転写フィルムを用い、スパッタ法により種々の金属薄膜によるワイヤグリッド偏光子を得た。各々の膜厚は、STEMで観察、測定した。なお、実施例7〜実施例17で使用した材料も図3における斜線領域内である、すなわち上記(1)式を満たすものであった。
・吸収型、反射型ワイヤグリッド偏光子の積層
実施例1に用いた反射型ワイヤグリッド偏光子を用いて、実施例1と同様の方法で接着積層した。得られた偏光子について、分光光度計を用い、直線偏光に対する透過光強度、反射光強度を測定した。その結果を表2にまとめて示す。
Figure 2010048999
このように本発明にかかるワイヤグリッド偏光子は、簡易な構成で、外光を効率良く吸収し、かつ、バックライト側の高反射率のために光利用効率が高く、LCDのような表示装置に配設した場合に十分な色再現性と黒表示を実現できる。また、本発明にかかるワイヤグリッド偏光子は、偏光機能の発現を全て無機材料で構成しているために、耐久性に優れるものである。
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態における寸法、材質などは例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。また、上記実施の形態における偏光板については、板状の部材である必要はなく、必要に応じてシート状、フィルム状であっても良い。上記実施の形態においては、ワイヤグリッド偏光板を液晶表示装置に適用した場合について説明しているが、本発明は偏光が必要とされる液晶表示装置以外のデバイスなどに同様に適用することができる。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光子の概略断面斜視図である。 本発明を構成する吸収型ワイヤグリッド偏光子を拡大図示した概略断面斜視図である。 本発明における吸収型ワイヤグリッド偏光子を構成する吸収偏光成分における(1)式の範囲を示した図である。 本発明を構成する反射型ワイヤグリッド偏光子を拡大図示した概略断面斜視図である。 本発明のワイヤグリッド偏光子を構成するための積層、固定する工程の一例を示す概略図である。 本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光子の、他の構成の一例を示す概略断面斜視図である。 本発明を構成する基材の一例を示す概略断面斜視図である。 本発明の実施の形態に係る偏光子を用いた液晶表示装置を示す断面概略図である。
符号の説明
1,11,21b,22b 吸収型ワイヤグリッド偏光子
1a 吸収型偏光成分ワイヤ
1b,2b,8 基材
1c,2c 格子状凸部
2,21a,22a 反射型ワイヤグリッド偏光子
2a 金属ワイヤ
3,21,22 低反射ワイヤグリッド偏光子
4,5 入射光
7 接着層
10 偏光軸
11a 変更軸と一致した辺
12 偏光子
20 照明装置
23 液晶セル
30 バックライト入射光
31 外光入射光

Claims (4)

  1. 基材上に吸収型偏光成分を格子状に配置した吸収型ワイヤグリッド偏光子と、基材上に反射型偏光成分を格子状に配置した反射型ワイヤグリッド偏光子と、を積層してなる複合型ワイヤグリッド偏光子であって、少なくとも前記吸収型ワイヤグリッド偏光子は、格子状に凸部を有する基材と、前記基材の凸部上に形成された吸収型偏光成分で構成された層と、を具備し、前記吸収型偏光成分は、可視光の波長領域において、消衰係数k及び屈折率nが下記(1)式を満たす材料であり、前記層の厚さが5nm以上30nm以下であることを特徴とするワイヤグリッド偏光子。
    0.1092n−1.348n+6.247n−13.18n+11.91<k<−0.0022n+0.2036n−1.967n+6.918n−3.597
    …(1)式
  2. 前記吸収型ワイヤグリッド偏光子において、前記基材の格子状凸部の断面斜面部の片側にのみ吸収型偏光成分が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のワイヤグリッド偏光子。
  3. 前記反射型ワイヤグリッド偏光子は、格子状に凸部を有する基材と、前記基材の凸部上に形成された反射型偏光成分で構成された層と、を具備することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のワイヤグリッド偏光子。
  4. 表示デバイスと、前記表示デバイスに光を照射する照明手段と、請求項1から請求項3のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光子と、を具備し、前記反射型ワイヤグリッド偏光子が前記照明手段側に配置されることを特徴とする表示装置。
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