JP2015135459A - 偏光子および光配向装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 紫外光に対して透過性を有する透明基板の上に、複数本の細線が並列に配置された偏光子であって、前記偏光子の細線を、モリブデンシリサイドを含有する材料から構成し、細線の膜厚、ピッチ、線幅を所定の範囲とすることにより、上記課題を解決する。
【選択図】 図1
Description
配向膜としては、例えば、ポリイミドに代表される高分子材料が用いたものが知られており、この高分子材料を布等により摩擦するラビング処理が施されることによって配向規制力を有するものとなる。
しかしながら、このようなラビング処理により配向規制力が付与された配向膜では、布等が異物として残存するといった問題があった。
このような光配向膜への配向規制力付与のための直線偏光の照射方法としては、偏光子を介して露光する方法が一般的に用いられる。偏光子としては、平行に配置された複数の細線を有するものが用いられ、細線を構成する材料としては、アルミや酸化チタンが用いられている(特許文献1等)。
また、本発明に係る偏光子を備えた光配向装置においては、波長240nm以上400nm以下の紫外光、特に、波長が240nm以上260nm以下の紫外光、および、波長が355nm以上375nm以下の紫外光に感度を有する光配向膜に配向規制力を付与することを効率良く行うことができ、生産性を向上させることができる。
まず、本発明に係る偏光子について説明する。
本発明の偏光子は、紫外光に対して透過性を有する透明基板の上に、複数本の細線が並列に配置された偏光子であって、前記細線が、モリブデンシリサイドを含有する材料から構成されており、波長が240nm以上400nm以下の紫外光に対し、消光比が50以上であって、P波透過率が50%以上の偏光特性を有するものである。
この場合、細線2の構成は、図2に示すモリブデンシリサイド系材料層3の上であって、酸化膜4の下に、上記のクロム系材料層を有する構成であることが好ましい。クロム系材料層を有する細線2の上面および側面に酸化膜4を有することで、上記のように、耐久性や洗浄耐性に優れた偏光子とすることができるからである。
本発明における細線は、直線状に形成され、かつ、平行に配置されるものであり、モリブデンシリサイド系材料層を有するものである。
上記モリブデンシリサイド系材料層は、モリブデンシリサイド系材料を含有する層である。
ここで、主原料として含むとは、具体的には、上記モリブデンシリサイド系材料層中のモリブデンシリサイド系材料の含有量が、70質量%以上であることをいうものであり、なかでも本発明においては、90質量%以上であることが好ましく、特に100質量%、すなわち、モリブデンシリサイド系材料層がモリブデンシリサイド系材料からなるものであることが好ましい。上記含有量であることにより、消光比およびP波透過率に優れたものとすることができるからである。
また、上記含有量の測定方法としては、含有量を精度良く測定できる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、上記細線の断面について、XPS表面分析を行う方法を挙げることができる。
本発明における細線は、上記モリブデンシリサイド系材料層を少なくとも有するものであり、上記モリブデンシリサイド系材料層のみを有するものであっても良いが、必要に応じてモリブデンシリサイド系材料以外の他の材料を主原料として含む非モリブデンシリサイド系材料層を有するものであっても良い。
具体的には、上記モリブデンシリサイド系材料層の上記細線中の含有量が70質量%以上であることが好ましく、なかでも80質量%以上であることが好ましく、特に、90質量%以上であることが好ましい。上記含有量であることにより、消光比およびP波透過率に優れたものとすることができるからである。また、上限については、含有量が大きい程好ましいため特に限定されるものではないが、上記モリブデンシリサイド系材料層の形成容易のため、95質量%以下であることが好ましい。
また、上記含有量は、上記細線の幅方向の断面に占めるモリブデンシリサイド系材料層の質量割合をいうものであり、この測定方法としては、上記含有量を精度良く測定できる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、上記モリブデンシリサイド系材料の含有量の測定方法と同様の方法を用いることができる。
なお、上記酸化ケイ素層の膜厚は、上記モリブデンシリサイド系材料層表面からの厚みの最大の厚みをいうものであり、具体的には図2中のdで示される厚みをいうものである。
ここで、主原料として含むとは、具体的には、上記クロム系材料層中のクロム系材料の含有量が、70質量%以上であることをいうものであり、なかでも本発明においては、90質量%以上であることが好ましく、特に100質量%、すなわち、クロム系材料層がクロム系材料からなるものであることが好ましい。クロム系材料層を形成容易なものとすることができるからである。
また、上記含有量の測定方法としては、含有量を精度良く測定できる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、上記細線の断面について、XPS表面分析を行う方法を挙げることができる。
また、上記細線の厚みは一の偏光子内に異なる厚みのものを含むものであっても良いが、通常、同一の厚みで形成される。
また、上記細線のピッチは一の偏光子内に異なるピッチのものを含むものであっても良いが、通常、同一ピッチで形成される。
また、上記細線の幅は一の偏光子内に異なる幅のものを含むものであっても良いが、通常、同一幅で形成される。
本発明の偏光子は上記細線を有するものであるが、上記細線は、紫外光に対して透過性を有する透明基板の上に配置されるものである。
上記透明基板の厚みとしては、本発明の偏光子の用途やサイズ等に応じて適宜選択することができる。
本発明の偏光子は、上記細線を有するものである。
上記偏光子は、波長が240nm以上400nm以下の紫外光に対し、消光比(P波透過率/S波透過率)が40以上であることが好ましく、なかでも、50以上であることが好ましい。上記範囲であることにより、光配向層への配向規制力を安定的に付与できるからである。
また、上記消光比については大きければ大きい程好ましいので、特に上限は限定されるものではない。
なお、上記消光比の測定方法は、偏光子の分野における一般的な測定方法を用いることができ、例えば、紫外光の偏光特性を測定することが可能な透過型エリプソメータ、例えばウーラム社製VUV-VASEなどの透過型エリプソメータを用いることで測定することができる。
なお、P波透過率の測定方法としては、偏光子の分野における一般的な測定方法を用いることができ、例えば、紫外光の偏光特性を測定することが可能な透過型エリプソメータ、例えばウーラム社製VUV-VASEなどの透過型エリプソメータを用いることで測定することができる。
そのため、従来の偏光子においては、消光比が低くなる波長範囲の光をバンドパスフィルターによりカットしていた。例えば、アルミから構成される細線を備えた偏光子では、300nm以下の波長範囲の光をカットしており、酸化チタンから構成される細線を備えた偏光子では、300nm以上の波長範囲の光をカットしていた。
しかしながら、上記の方法では、光のカットにより、光配向層に配向規制力を付与する効率も低下してしまうという不具合があった。
一方、本発明の偏光子は、上記のように広い波長範囲において一定以上の消光比を確保できるため、バンドパスフィルターを用いる必要はなくなり、広い波長範囲の光を、光配向層への配向規制力の付与に効率的に用いることができる。
また、本発明においては、液晶表示装置において液晶材料を挟持する液晶表示装置用光配向膜への配向規制力付与に用いられることが好ましい。光配向膜への配向規制力付与を効果的に行うことができるからである。
次に、本発明に係る光配向装置について説明する。
本発明の光配向装置は、紫外光を偏光して光配向膜に照射する光配向装置であって、上記の本発明に係る偏光子を備え、偏光子により偏光した光を光配向膜に照射するものである。
図4に示す光配向装置20は、本発明の偏光子10が収められた偏光子ユニット21と紫外光ランプ22を備えており、紫外光ランプ22から照射された紫外光を偏光子ユニット21に収められた偏光子10により偏光し、この偏光された光(偏光光24)をワーク26の上に形成された光配向膜25に照射することで、光配向膜25に配向規制力を付与するものである。
また、光配向装置20には、光配向膜25を形成したワーク26を移動させる機構が備えられており、ワーク26を移動させることにより、光配向膜25の全面に偏光光24を照射することができる。例えば、図4に示す例において、ワーク26は図中右方向(図4における矢印方向)に移動する。
光配向装置20は、上記の波長の範囲の紫外光に対して消光比に優れ、高いP波透過率を有する本発明に係る偏光子10を備えているため、上記の波長の範囲の紫外光に感度を有する光配向膜に配向規制力を付与することを効率良く行うことができ、生産性を向上させることができるからである。
図5は、本発明に係る光配向装置の他の構成例を示す図である。
図5に示すように、光配向装置30は、2個の紫外光ランプ32を備えており、各紫外光ランプ32とワーク36の間には、それぞれ、本発明の偏光子10が収められた偏光子ユニット31が備えられている。また、各紫外光ランプ32には、それぞれ反射鏡33が備えられている。
言い換えれば、本発明においては、光配向膜の移動方向に直交する方向において隣り合う複数個の偏光子間の境界部が、光配向膜の移動方向に連続的に繋がらないように、複数個の偏光子が配置されていることが、好ましい。
偏光子間の境界部においては、通常、偏光光が生じないため、この境界部が光配向膜に与える弊害を抑制するためである。
また、図6(d)に示す配置形態は、配置される複数個の偏光子が、いずれも同じ形状、同じサイズを有し、左右方向において隣り合う偏光子の上下方向の位置が、偏光子の上下方向の大きさの1/2よりも小さいステップで上下方向にシフトしている配置形態である。
図6(c)に示す配置形態において、上下方向に隣接配置された偏光子10aと偏光子10bの境界部41は、左右方向に配置された偏光子10cと偏光子10dによって、左右方向に伸びていくことを阻まれている。
すなわち、図6(c)に示す配置形態においては、上下方向に隣接配置された偏光子間の境界部が左右方向に連続的に繋がっていくことを、阻止している。
それゆえ、図6(c)に示す配置形態を採用して、光配向膜に偏光光を照射する場合、上記偏光子間の境界部に起因する弊害が光配向膜に連続的に及ぶことを抑制することができる。
それゆえ、図6(d)に示す配置形態を採用して、光配向膜に偏光光を照射する場合、上記偏光子間の境界部に起因する弊害が光配向膜に連続的に及ぶことを抑制することができる。
一方、図6(d)に示す配置形態においては、偏光子の上下方向の大きさの1/2よりも小さいステップで上下方向にシフトしているため、境界部42の上下方向の位置は、より揃い難くなる。
それゆえ、図6(d)に示す配置形態においては、上記偏光子間の境界部に起因する弊害が光配向膜に連続的に及ぶことを、より抑制することができる。
(偏光子の製造)
透明基板として膜厚6.35mmの合成石英ガラスを準備し、モリブデンとシリコンとの混合ターゲット(Mo:Si=1:2mol%)を用いアルゴンガス雰囲気で反応性スパッタリング法により、モリブデンシリサイド系材料膜として、膜厚100nmのモリブデンシリサイド膜を形成した。
次いで、モリブデンシリサイド系材料膜上に、ピッチが100nmのラインアンドスペースパターンを有するパターン状レジストを形成した。その後、エッチングガスとして、SF6を用いて、モリブデンシリサイド系材料膜をドライエッチングし、その後パターン状レジストを剥離することにより、実施例1の偏光子を得た。
この実施例1の偏光子の細線の幅、厚み、およびピッチをVistec社製SEM測定装置LWM9000とVEECO社製AFM装置DIMENSION−X3Dにより測定したところ、それぞれ、36nm、100nm、および100nmであった。
実施例1の偏光子の細線について透過型エリプソメータ(ウーラム社製VUV-VASE)により構造を評価した。
その結果、上記細線が、幅および厚みがそれぞれ31.8nmおよび95.8nmのモリブデンシリサイド系材料からなるモリブデンシリサイド系材料層と、上記モリブデンシリサイド系材料層の上面の膜厚および側面の膜厚がそれぞれ4.2nmおよび4.2nmnmの酸化ケイ素からなる酸化膜と、を有することが確認できた。
実施例1の偏光子について透過型エリプソメータ(ウーラム社製VUV-VASE)により波長200nm〜400nmの範囲内の紫外光のP波透過率(出射光中のP波成分/入射光中のP波成分)およびS波透過率(出射光中のS波成分/入射光中のS波成分)を測定し、消光比(P波透過率/S波透過率)を算出した。結果を表1および図7に示す。
表1および図7に示すように、波長240nm〜400nmの範囲において、実施例1の偏光子のP波透過率は64.3%以上であり、消光比は55.1以上であった。
なお、波長240nm〜260nmの範囲において、実施例1の偏光子のP波透過率は64.3%以上であり、消光比は55.1以上であった。また、波長355nm〜375nmの範囲において、実施例1の偏光子のP波透過率は77.1%以上であり、消光比は277.9以上であった。
(偏光子の製造)
実施例1と同様にして、細線の幅が実施例1とは異なる実施例2の偏光子を得た。
この実施例2の偏光子の細線の幅、厚み、およびピッチをVistec社製SEM測定装置LWM9000とVEECO社製AFM装置DIMENSION−X3Dにより測定したところ、それぞれ、39nm、100nm、および100nmであった。
実施例2の偏光子の細線について透過型エリプソメータ(ウーラム社製VUV-VASE)により構造を評価した。
その結果、上記細線が、幅および厚みがそれぞれ34.8nmおよび95.8nmのモリブデンシリサイド系材料からなるモリブデンシリサイド系材料層と、上記モリブデンシリサイド系材料層の上面の膜厚および側面の膜厚がそれぞれ4.2nmおよび4.2nmnmの酸化ケイ素からなる酸化膜と、を有することが確認できた。
実施例2の偏光子について透過型エリプソメータ(ウーラム社製VUV-VASE)により波長200nm〜400nmの範囲内の紫外光のP波透過率(出射光中のP波成分/入射光中のP波成分)およびS波透過率(出射光中のS波成分/入射光中のS波成分)を測定し、消光比(P波透過率/S波透過率)を算出した。結果を表2および図8に示す。
表2および図8に示すように、波長240nm〜400nmの範囲において、実施例2の偏光子のP波透過率は60.2%以上であり、消光比は70.8以上であった。
なお、波長240nm〜260nmの範囲において、実施例2の偏光子のP波透過率は60.2%以上であり、消光比は70.8以上であった。また、波長355nm〜375nmの範囲において、実施例2の偏光子のP波透過率は72.6%以上であり、消光比は505.8以上であった。
(偏光子の製造)
実施例1と同様にして、細線の幅が実施例1および実施例2とは異なる実施例3の偏光子を得た。
この実施例3の偏光子の細線の幅、厚み、およびピッチをVistec社製SEM測定装置LWM9000とVEECO社製AFM装置DIMENSION−X3Dにより測定したところ、それぞれ、41nm、100nm、および100nmであった。
実施例3の偏光子の細線について透過型エリプソメータ(ウーラム社製VUV-VASE)により構造を評価した。
その結果、上記細線が、幅および厚みがそれぞれ36.8nmおよび95.8nmのモリブデンシリサイド系材料からなるモリブデンシリサイド系材料層と、上記モリブデンシリサイド系材料層の上面の膜厚および側面の膜厚がそれぞれ4.2nmおよび4.2nmnmの酸化ケイ素からなる酸化膜と、を有することが確認できた。
実施例3の偏光子について透過型エリプソメータ(ウーラム社製VUV-VASE)により波長200nm〜700nmの範囲内の光のP波透過率(出射光中のP波成分/入射光中のP波成分)およびS波透過率(出射光中のS波成分/入射光中のS波成分)を測定し、消光比(P波透過率/S波透過率)を算出した。結果を表3および図9に示す。
なお、波長240nm〜260nmの範囲において、実施例3の偏光子のP波透過率は58.4%以上であり、消光比は80.9以上であった。
また、波長355nm〜375nmの範囲において、実施例3の偏光子のP波透過率は70.6%以上であり、消光比は655.0以上であった。
また、波長220nm以上500nm以下の範囲において、実施例3の偏光子のS波透過率は1.97%以下であり、消光比は42.7以上であった。
(偏光子の製造)
実施例1と同様にして、細線の幅が実施例1〜実施例3とは異なる実施例4の偏光子を得た。
この実施例4の偏光子の細線の幅、厚み、およびピッチをVistec社製SEM測定装置LWM9000とVEECO社製AFM装置DIMENSION−X3Dにより測定したところ、それぞれ、42nm、100nm、および100nmであった。
実施例4の偏光子の細線について透過型エリプソメータ(ウーラム社製VUV-VASE)により構造を評価した。
その結果、上記細線が、幅および厚みがそれぞれ37.8nmおよび95.8nmのモリブデンシリサイド系材料からなるモリブデンシリサイド系材料層と、上記モリブデンシリサイド系材料層の上面の膜厚および側面の膜厚がそれぞれ4.2nmおよび4.2nmの酸化ケイ素からなる酸化膜と、を有することが確認できた。
実施例4の偏光子について透過型エリプソメータ(ウーラム社製VUV-VASE)により波長240nm〜400nmの範囲内の紫外光のP波透過率(出射光中のP波成分/入射光中のP波成分)およびS波透過率(出射光中のS波成分/入射光中のS波成分)を測定し、消光比(P波透過率/S波透過率)を算出した。結果を表4および図10に示す。
表4および図10に示すように、波長240nm〜400nmの範囲において、実施例4の偏光子のP波透過率は56.0%以上であり、消光比は90.5以上であった。
なお、波長240nm〜260nmの範囲において、実施例4の偏光子のP波透過率は56.0%以上であり、消光比は90.5以上であった。また、波長355nm〜375nmの範囲において、実施例4の偏光子のP波透過率は68.8%以上であり、消光比は866.4以上であった。
(偏光子の製造)
透明基板として膜厚6.35mmの合成石英ガラスを準備し、モリブデンとシリコンとの混合ターゲット(Mo:Si=1:2mol%)を用いアルゴンガス雰囲気で反応性スパッタリング法により、モリブデンシリサイド系材料膜として、膜厚100nmのモリブデンシリサイド膜を形成した。
次に、クロムターゲットを用いアルゴンガス雰囲気で反応性スパッタリング法により、クロム系材料膜として、膜厚5nmのクロム膜を形成した。
次に、クロム系材料膜上に、ピッチが100nmのラインアンドスペースパターンを有するパターン状レジストを形成した。その後、エッチングガスとして、塩素と酸素の混合ガスを用いて、クロム系材料膜をドライエッチングし、次いで、エッチングガスとして、SF6を用いて、モリブデンシリサイド系材料膜をドライエッチングし、その後パターン状レジストを剥離することにより、実施例5の偏光子を得た。
この実施例5の偏光子の細線の幅、厚み、およびピッチをVistec社製SEM測定装置LWM9000とVEECO社製AFM装置DIMENSION−X3Dにより測定したところ、それぞれ、41nm、103.5nm、および100nmであった。
実施例5の偏光子の細線について透過型エリプソメータ(ウーラム社製VUV-VASE)により構造を評価した。
その結果、上記細線が、幅および厚みがそれぞれ36.8nmおよび100nmのモリブデンシリサイド系材料からなるモリブデンシリサイド系材料層と、幅および厚みがそれぞれ32.8nmおよび3nmのクロム系材料からなるクロム系材料層と、上記モリブデンシリサイド系材料層とクロム系材料層の2層から構成される構造体の上面に0.5nmの酸化クロムからなる酸化膜および側面に4.2nmの酸化ケイ素からなる酸化膜と、を有することが確認できた。
実施例5の偏光子について透過型エリプソメータ(ウーラム社製VUV-VASE)により波長200nm〜400nmの範囲内の紫外光のP波透過率(出射光中のP波成分/入射光中のP波成分)およびS波透過率(出射光中のS波成分/入射光中のS波成分)を測定し、消光比(P波透過率/S波透過率)を算出した。結果を表5および図11に示す。
表5および図11に示すように、波長240nm〜400nmの範囲において、実施例5の偏光子のP波透過率は55.6%以上であり、消光比は89.4以上であった。
なお、波長240nm〜260nmの範囲において、実施例5の偏光子のP波透過率は55.6%以上であり、消光比は89.4以上であった。また、波長355nm〜375nmの範囲において、実施例5の偏光子のP波透過率は68.3%以上であり、消光比は809.2以上であった。
(偏光子の製造)
透明基板として膜厚6.35mmの合成石英ガラスを準備し、モリブデンとシリコンとの混合ターゲット(Mo:Si=1:2mol%)を用いアルゴンガス雰囲気で反応性スパッタリング法により、モリブデンシリサイド系材料膜として、膜厚120nmのモリブデンシリサイド膜を形成した。
次いで、モリブデンシリサイド系材料膜上に、ピッチが100nmのラインアンドスペースパターンを有するパターン状レジストを形成した。その後、エッチングガスとして、SF6を用いて、モリブデンシリサイド系材料膜をドライエッチングし、その後パターン状レジストを剥離することにより、実施例6の偏光子を得た。
この実施例6の偏光子の細線の幅、厚み、およびピッチをVistec社製SEM測定装置LWM9000とVEECO社製AFM装置DIMENSION−X3Dにより測定したところ、それぞれ、36.5nm、120nm、および100nmであった。
実施例6の偏光子の細線について透過型エリプソメータ(ウーラム社製VUV-VASE)により構造を評価した。
その結果、上記細線が、幅および厚みがそれぞれ32.3nmおよび115.8nmのモリブデンシリサイド系材料からなるモリブデンシリサイド系材料層と、上記モリブデンシリサイド系材料層の上面の膜厚および側面の膜厚がそれぞれ4.2nmおよび4.2nmの酸化ケイ素からなる酸化膜と、を有することが確認できた。
実施例6の偏光子について透過型エリプソメータ(ウーラム社製VUV-VASE)により波長200nm〜700nmの範囲内の光のP波透過率(出射光中のP波成分/入射光中のP波成分)およびS波透過率(出射光中のS波成分/入射光中のS波成分)を測定し、消光比(P波透過率/S波透過率)を算出した。結果を表6および図12に示す。
なお、波長240nm以上260nm以下の範囲において、実施例6の偏光子のP波透過率は67.0%以上であり、消光比は114.7以上であった。
また、波長355nm以上375nm以下の範囲において、実施例6の偏光子のP波透過率は76.9%以上であり、消光比は723.6以上であった。
また、波長220nm以上500nm以下の範囲において、実施例6の偏光子のS波透過率は1.84%以下であり、消光比は48.1以上であった。
(偏光子の製造)
実施例6と同様にして、細線の幅が実施例6とは異なる実施例7の偏光子を得た。
この実施例7の偏光子の細線の幅、厚み、およびピッチをVistec社製SEM測定装置LWM9000とVEECO社製AFM装置DIMENSION−X3Dにより測定したところ、それぞれ、34nm、120nm、および100nmであった。
実施例7の偏光子の細線について透過型エリプソメータ(ウーラム社製VUV-VASE)により構造を評価した。
その結果、上記細線が、幅および厚みがそれぞれ29.8nmおよび115.8nmのモリブデンシリサイド系材料からなるモリブデンシリサイド系材料層と、上記モリブデンシリサイド系材料層の上面の膜厚および側面の膜厚がそれぞれ4.2nmおよび4.2nmの酸化ケイ素からなる酸化膜と、を有することが確認できた。
実施例7の偏光子について透過型エリプソメータ(ウーラム社製VUV-VASE)により波長200nm〜700nmの範囲内の光のP波透過率(出射光中のP波成分/入射光中のP波成分)およびS波透過率(出射光中のS波成分/入射光中のS波成分)を測定し、消光比(P波透過率/S波透過率)を算出した。結果を表7および図13に示す。
なお、波長240nm以上260nm以下の範囲において、実施例7の偏光子のP波透過率は70.5%以上であり、消光比は79.5以上であった。
また、波長355nm以上375nm以下の範囲において、実施例7の偏光子のP波透過率は79.6%以上であり、消光比は346.5以上であった。
また、波長220nm以上500nm以下の範囲において、実施例7の偏光子のS波透過率は2.69%以下であり、消光比は33.5以上であった。
実施例1〜4から、細線の厚みが100nm、ピッチが100nmであって、細線の幅が35nm以上45nm以下の範囲の本発明の偏光子であれば、波長が240nm以上400nm以下の紫外光に対し、消光比が50以上であって、P波透過率が50%以上の偏光特性を満たすことが可能なことを確認できた。
また、波長が240nm以上260nm以下の紫外光に対し、消光比が50以上であって、P波透過率が50%以上の偏光特性を満たすことが可能なことを確認できた。
また、波長が355nm以上375nm以下の紫外光に対し、消光比が100以上であって、P波透過率が60%以上の偏光特性を満たすことが可能なことを確認できた。
また、波長が240nm以上260nm以下の紫外光に対し、消光比が50以上であって、P波透過率が50%以上の偏光特性を満たすことが可能なことを確認できた。
また、波長が355nm以上375nm以下の紫外光に対し、消光比が100以上であって、P波透過率が60%以上の偏光特性を満たすことが可能なことを確認できた。
また、波長が220nm以上500nm以下の光に対し、消光比が20以上の偏光特性を有することを確認できた。
下記のモデル1について、「回折光学素子の数値解析とその応用」(丸善出版、小館香椎子慣習)に記載のRCWA(Regorous Coupled Wave Analysis)に基づくシミュレーションモデルを作成し、細線の幅が30nm〜60nmの範囲における波長255nmの紫外光についてのP波透過率および消光比のシミュレーションを行った。結果を図14に示す。
なお、図14において、TpとはP波透過率のことであり、Sim_Tpはシミュレーションにより得られたP波透過率のことであり、Exp_Tpは実施例1〜4により得られたP波透過率のことである。また、同様に、Sim_消光比はシミュレーションにより得られた消光比のことであり、Exp_Tpは実施例1〜4により得られた消光比のことである。
膜厚が95.8nm、ピッチが100nmのモリブデンシリサイド系材料層の上面および側面に、上面方向の膜厚および側面方向の膜厚が、いずれも4.2nmの酸化ケイ素からなる酸化膜を有する細線モデル。
図14に示すように、シミュレーション結果は、実施例1〜4のP波透過率および消光比とほぼ同様の値となることが確認できた。
また、図14から、モデル1の条件において、細線の幅が、35nm以上45nm以下の範囲であれば、波長が255nmの紫外光に対し、消光比が50以上であって、P波透過率が50%以上の偏光特性を満たすことも確認できた。
膜厚が115.8nm、ピッチが100nmのモリブデンシリサイド系材料層の上面および側面に、上面方向の膜厚および側面方向の膜厚が、いずれも4.2nmの酸化ケイ素からなる酸化膜を有する細線モデル。
図15に示すように、シミュレーション結果は、実施例6〜7のP波透過率および消光比とほぼ同様の値となることが確認できた。
また、図15から、モデル2の条件において、細線の幅が、25nm以上40nm以下の範囲であれば、波長が255nmの紫外光に対し、消光比が50以上であって、P波透過率が50%以上の偏光特性を満たすことも確認できた。
2・・・細線
3・・・モリブデンシリサイド系材料層
3´・・・モリブデンシリサイド系材料膜
4・・・酸化膜
10、10a、10b、10c、10d・・・偏光子
11・・・パターン状レジスト
20、30・・・光配向装置
21、31・・・偏光子ユニット
22、32・・・紫外光ランプ
23、33・・・反射鏡
24、34・・・偏光光
25、35・・・光配向膜
26、36・・・ワーク
41、42・・・境界部
Claims (12)
- 紫外光に対して透過性を有する透明基板の上に、複数本の細線が並列に配置された偏光子であって、
前記細線が、モリブデンシリサイドを含有する材料から構成されており、
波長が240nm以上400nm以下の紫外光に対し、消光比が50以上であって、P波透過率が50%以上の偏光特性を有することを特徴とする偏光子。 - 紫外光に対して透過性を有する透明基板の上に、複数本の細線が並列に配置された偏光子であって、
前記細線が、モリブデンシリサイドを含有する材料から構成されており、
波長が240nm以上260nm以下の紫外光に対し、消光比が50以上であって、P波透過率が50%以上の偏光特性を有することを特徴とする偏光子。 - 紫外光に対して透過性を有する透明基板の上に、複数本の細線が並列に配置された偏光子であって、
前記細線が、モリブデンシリサイドを含有する材料から構成されており、
波長が355nm以上375nm以下の紫外光に対し、消光比が100以上であって、P波透過率が60%以上の偏光特性を有することを特徴とする偏光子。 - 波長が200nm以上600nm以下の光に対し、消光比が5以上の偏光特性を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の偏光子。
- 波長が220nm以上500nm以下の光に対し、消光比が20以上の偏光特性を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の偏光子。
- 前記細線のデューティー比が、0.25以上0.45以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の偏光子。
- 前記細線のアスペクト比が、2.22以上4.8以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の偏光子。
- 前記細線の幅が、25nm以上45nm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の偏光子。
- 前記細線が、前記モリブデンシリサイドを含有する材料から構成される層の上に、クロムを含有する層を有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の偏光子。
- 前記細線が、その上面および側面に、酸化膜を有することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の偏光子。
- 紫外光を偏光して光配向膜に照射する光配向装置であって、
請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の偏光子を備え、
前記偏光子により偏光した光を前記光配向膜に照射することを特徴とする光配向装置。 - 前記光配向膜を移動させる機構が備えられており、
前記偏光子が前記光配向膜の移動方向および前記光配向膜の移動方向に直交する方向の両方向に複数個備えられており、
前記光配向膜の移動方向に直交する方向において隣り合う前記複数個の偏光子間の境界部が、前記光配向膜の移動方向に連続的に繋がらないように、前記複数個の偏光子が配置されていることを特徴とする請求項11に記載の光配向装置。
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