JP2012155163A - ワイヤグリッド偏光板 - Google Patents

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Abstract

【課題】可視領域の光に対する高い透過性と、近赤外領域以上の長波長の光に対する低い透過性とを備えたワイヤグリッド偏光板を提供すること。
【解決手段】表面に周期的な凹凸構造を有する基材11と、基材11の凹凸構造表面に配置された金属層12と、を有し、凹凸構造の周期が100nm以上400nm以下であり、前記凹凸構造の凸部の頂点と凹部の底との高低差が70nm以上400nm以下であり、可視領域の光の全光透過率が60%以上であり、かつ赤外領域の光の全光透過率と全光反射率の和が90%以下であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ワイヤグリッド偏光板に関する。
近年のフォトリソグラフィー技術の発達により、光の波長レベルのピッチを有する微細構造パターンを形成することができるようになってきた。このように非常に小さいピッチのパターンを有する部材や製品は、半導体分野だけでなく、光学分野において利用範囲が広く有用である。
例えば、金属などで構成された導電体線が特定のピッチで格子状に配列してなる凸凹構造を持つワイヤグリッドは、そのピッチが入射光(例えば、可視光の波長400nmから700nm)に比べてかなり小さいピッチ(例えば、2分の1以下)であれば、導電体線に対して平行に振動する電場ベクトル成分の光をほとんど反射し、導電体線に対して直交する電場ベクトル成分の光をほとんど透過させるため、単一偏光を作り出す偏光板として使用できる。ワイヤグリッド偏光板は、透過しない光を反射し再利用することができるので、光の有効利用の観点からも望ましいものである。
このようなワイヤグリッド偏光板としては、例えば、特許文献1に開示されているものがある。このワイヤグリッド偏光板は、入射光の波長より小さいグリッド周期で間隔が置かれた金属ワイヤを備えている。
特開2002−328234号公報
ワイヤグリッド偏光板は、上記のような原理から、可視光から近赤外光、赤外光に至る広い範囲で優れた偏光特性を有する。そのため、近年、近赤外光や赤外光の利用が盛んなセキュリティ分野などにおいて、ワイヤグリッド偏光板は有用な偏光子として期待されている。
一方で、近年における様々な製品設計のニーズから、偏光特性以外の他の機能を備えたワイヤグリッド偏光板が求められている。例えば、可視領域および赤外領域における偏光特性に加え、可視領域の光に対する高い透過性と、近赤外領域以上の長波長の光に対する低い透過性とを備えたワイヤグリッド偏光板が望まれている。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、可視領域の光に対する高い透過性と、近赤外領域以上の長波長の光に対する低い透過性とを備えたワイヤグリッド偏光板を提供することを目的とする。
本発明のワイヤグリッド偏光板は、表面に周期的な凹凸構造を有する基材と、前記基材の凹凸構造表面に配置された金属層と、を有し、前記凹凸構造の周期が100nm以上400nm以下であり、前記凹凸構造の凸部の頂点と凹部の底との高低差が70nm以上400nm以下であり、可視領域の光の全光透過率が60%以上であり、かつ赤外領域の光の全光透過率と全光反射率との和が90%以下であることを特徴とする。
本発明のワイヤグリッド偏光板において、前記可視領域の光は、450nm以上650nm以下の波長の光であっても良い。
本発明のワイヤグリッド偏光板において、前記赤外領域の光は、800nm以上1200nm以下の波長の光であっても良い。
本発明のワイヤグリッド偏光板において、前記金属層のデューティー比が0.2以下であり、アスペクト比が10以上であっても良い。
本発明のワイヤグリッド偏光板において、前記金属層の平均膜厚が10nm以下であっても良い。
本発明のワイヤグリッド偏光板において、前記金属層は、アルミニウムを含んで構成されても良い。
本発明のワイヤグリッド偏光板において、前記金属層は、前記凹凸構造表面において、凸部の一方側面より他方側面に厚く配置されても良い。
本発明のワイヤグリッド偏光板において、前記金属層は、斜め蒸着法によって形成されても良い。
本発明によれば、可視領域の光に対する高い透過性と、近赤外領域以上の長波長の光に対する低い透過性とを備えたワイヤグリッド偏光板を提供することができる。
実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板の構成例を説明する図である。 実施例に係るワイヤグリッド偏光板の透過率の測定結果を示す図である。 実施例に係るワイヤグリッド偏光板の反射率の測定結果を示す図である。
本発明者は、ワイヤグリッド偏光板の金属層の厚みを一定以下に抑えることで、可視領域の光に対する高い透過性と、近赤外領域以上の長波長の光に対する低い透過性とを実現できることを見出した。以下に、本発明の赤外線用ワイヤグリッド偏光板について説明する。
図1は、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板の構成例を示す模式図である。図1に示されるワイヤグリッド偏光板1は、表面に凹凸構造を有する基材11と、当該基材11の凹凸構造表面に設けられた金属層12と、を有する。
ワイヤグリッド偏光板1において、基材11の一方の主面には微細な凹凸構造が形成されている。当該凹凸構造は、複数の凸部および凹部を含んで構成されており、複数の凸部および凹部は、互いに略平行となるように一方向に延在している。ここで、凸部とは平均高さより高い部位を指し、凹部とは平均高さより低い部位を指す。なお、凹凸構造表面に形成される金属層12が所定の形状となるように、凹凸構造は周期的かつ所定の高低差を有するものであることが望ましい。
金属層12は、基材11の凹凸構造に対応して周期的に配置されている。凹凸構造の周期は特に限定されないが、例えば100nm以上400nm以下とすることができる。また、凹凸構造においては、凸部の頂点と凹部の底との高低差が70nm以上400nm以下であることが望ましい。また、金属層12は、可視領域の光の透過率(全光透過率)が所定以上となり、赤外領域の光の吸収が所定以上となるような態様で配置されている。より具体的には、金属層12は、可視領域の光の全光透過率が60%以上となり、赤外領域の光の全光透過率と全光反射率との和が90%以下となるように、そのデューティー比が0.2以下、アスペクト比が10以上であることが望ましい。ここで、金属層12のデューティー比とは、断面視における金属層12の幅wと、それ以外の部分(空気や樹脂など)の幅Wとの比w/Wをいい、例えば、凹凸構造の平均高さ(半値幅となる高さ)において算出される値である。つまり、デューティー比が十分に小さいということは、平面視において金属層12が十分に細いことを示す。また、金属層12のアスペクト比とは、金属層12の幅wと、金属層12の高さhとの比h/wをいうものとする。つまり、アスペクト比が十分に大きいということは、平面視において金属層12が十分に細いことを示す。なお、金属層12がアルミニウムを主成分として構成される場合、その厚み(平均厚み)は10nm以下であると、より望ましい。このような態様の金属層12を用いることにより、可視領域の光に対する高い透過性と、近赤外領域以上の長波長の光に対する低い透過性とを備えたワイヤグリッド偏光板1が実現する。なお、赤外領域の光に対する低い透過性は、吸収と反射との相乗効果によって実現される。このため、上述した金属層12は、赤外領域の光の吸収が大きいだけでなく、反射も十分に大きいものであることが望ましい。
ワイヤグリッド偏光板1において、上述したように金属層12の周期(ピッチ)、デューティー比、アスペクト比、厚みなどを制御するのは、金属層12の形状が、可視領域における透過特性と赤外領域における透過抑制特性(吸収特性、反射特性等)に大きな影響を与えるためである。通常、金属層12の長手方向に対して垂直に振動する電場ベクトル成分の光(P偏光)は、金属層12中の自由電子の振動が起こりにくいため透過する。また、金属層12の長手方向に対して平行に振動する電場ベクトル成分の光(S偏光)は、金属層12中の自由電子の振動方向が金属層12の長手方向となり、振動が起こりやすいため反射する。ここで、金属層12を薄く形成する場合、本来反射するS偏光成分において十分な自由電子の振動が得られず、S偏光成分の一部が透過成分になる。このため、金属層12を薄く形成することにより、可視光の透過率を十分に高めることができる。特に、ピッチに対して波長が小さい場合には透過率が高くなる。つまり、短波長側では透過率が高くなる。このためアスペクト比等を調整することにより、赤外領域での反射能を保ったまま可視領域では透過能を高めることができる。また、金属層12を薄くすることで、金属材料の特性が変化し、光(特に赤外領域の光)を吸収することができるようになる。
なお、本明細書において、前記可視領域とは、波長が400nm以上750nm以下の領域を指す。ただし、少なくとも450nm以上650nm以下の領域において上記効果が得られていれば、実用上は問題なく使用することができる。また、赤外領域とは、波長が800nm以上2000nm以下の領域を指す。ただし、少なくとも800nm以上1200nm以下の領域において上記効果が得られていれば、実用上は問題なく使用することができる。
なお、金属層12は、基材11の凹凸構造表面において、凸部の一方側面より他方側面に厚く配置されていることが望ましい。また、凸部の頂点を含む領域(頂部)を覆うように配置されていることが望ましい。このような配置とすることにより、偏光特性を保ちつつ、可視領域の光に対する高い透過性と、近赤外領域以上の長波長の光に対する低い透過性とを得ることができるためである。なお、偏光特性を保つためには凹部に金属層12が配置されないようにして、金属層12を細線状(ワイヤー状)にすることが望ましいが、偏光特性を重視しない場合には凹部に金属層12を配置しても構わない。
以下、ワイヤグリッド偏光板1を構成する各部材について詳述する。
<基材>
基材11は、目的とする波長領域において実質的に透明であればよい。例えば、ガラスなどの無機材料や樹脂材料を基材11に用いることができる。他にも、樹脂材料を基材11に用いることができる。基材11として樹脂基材を用いることにより、ロールプロセスが可能になる、ワイヤグリッド偏光板1にフレキシブル性を持たすことができる、等のメリットがある。基材11に用いることができる樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線(UV)硬化性樹脂や熱硬化性樹脂などが挙げられる。
また、基材11は、表面に所定の周期を有する凹凸構造を有している。所定方向に凸部および凹部が延在する凹凸構造を用いて、凸部に金属膜を選択的に設けることにより金属層12を形成することができる。凹凸構造の周期は特に限定されないが、金属層12に要求される周期に対応させることが望ましい。例えば、凹凸構造の周期は、100nm以上160nm以下とすることができる。基材11表面に形成する凹凸構造の形状としては、例えば、台形、矩形、方形、プリズム状や、半円状などの正弦波状などが挙げられる。ここで、正弦波状とは凹部と凸部の繰り返しからなる曲線部をもつことを意味する。なお、曲線部は湾曲した曲線であればよく、例えば、凸部にくびれがある形状も正弦波状に含める。透過率の観点から基材断面形状は矩形または正弦波状であることが好ましい。
また、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等の樹脂被膜と、ガラスなどの無機基材、または熱可塑性樹脂やトリアセテート樹脂等の樹脂基材とを組み合わせて基材11を構成してもよい。この場合、無機基材または樹脂基材上に形成された樹脂被膜の表面に所定の周期を有する凹凸構造を形成することもできる。鏡面性に優れた平滑性の高い表面が得られるという観点から、樹脂被膜の膜厚は、0.005μm以上3μm以下とすることが好ましい。
<金属層>
金属層12は、基材11上に所定の周期で一定の方向に略平行に延在するように形成することができる。例えば、図1に示されるように格子状に配置された凸部の少なくとも一方の側面に接して設けることができる。金属層12として用いる金属としては、アルミニウム、銀、銅、白金、金またはこれらの各金属を主成分とする合金などが挙げられる。特に、アルミニウムまたは銀を用いて金属層12を形成することにより、可視域での吸収損失を小さくすることができるため好ましい。
金属層12の周期は、例えば、100nm以上400nm以下とすることができる。好ましくは、200nm以上300nm以下である。また、所定の方向に対する断面視(図1(a))において、金属層12のデューティー比は0.01以上0.2以下であることが好ましい。また、金属層12のアスペクト比は10以上100以下であることが好ましい。このようにすることで、全光透過率を60%以上にすることができる。ここで、金属層12のデューティー比とは、断面視における金属層12の幅wと、それ以外の部分(空気や樹脂など)の幅Wとの比w/Wをいい、例えば、凹凸構造の平均高さ(半値幅となる高さ)において算出される値である。つまり、デューティー比が十分に小さいということは、平面視において金属層12が十分に細いことを示す。また、金属層12のアスペクト比とは、金属層12の幅wと、金属層12の高さhとの比h/wをいうものとする。つまり、アスペクト比が十分に大きいということは、平面視において金属層12が十分に細いことを示す。
金属層12の形成方法に特に制限は無い。例えば、電子線リソグラフィ法または干渉露光法によるマスクパターンニングとドライエッチングとを用いて形成する方法や、斜め蒸着法によって形成する方法などが挙げられる。金属層12は非常に薄く形成する必要があるため、生産性、光学対称性の観点からは、斜め蒸着法を用いることが好ましい。また、光学特性の観点から、不要な金属はエッチングにより除去しても良い。エッチング方法は、基材や誘電体層に悪影響を及ぼさず、金属部分が選択的に除去できる方法であれば特に限定は無いが、生産性の観点からアルカリ性の水溶液に浸漬させる方法が好ましい。ただし、金属層12は非常に薄く形成されるため上述のエッチング除去は必須ではない。
<誘電体層>
基材11を構成する材料と金属層12との密着性向上の為に、両者の間に両者と密着性の高い誘電体材料を含む層(誘電体層)を設けてもよい。基材11と金属層12との密着性を高めることで、基材11からの金属層12の剥離を防ぎ、偏光度の低下を抑えることが出来る。誘電体材料としては、例えば、珪素(Si)の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体またはその複合物(誘電体単体に他の元素、単体または化合物が混じった誘電体)や、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、イットリウム(Y)、ジルコニア(Zr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、銅(Cu)などの金属の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体またはそれらの複合物を用いることができる。誘電体材料は、目的とする波長領域において実質的に透明であることが好ましい。誘電体材料の積層方法に特に限定は無く、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的蒸着法を好適に用いることができる。
<使用形態>
本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板1は、可視領域の光に対する高い透過性と、近赤外領域以上の長波長の光に対する低い透過性(高い吸収性)と有するため、可視領域の光を透過し、赤外領域の光を遮断する用途に好適に用いられる。
例えば、自動車や鉄道などの車両が備える窓ガラスなどにワイヤグリッド偏光板1を貼り付けて、太陽光に含まれる赤外光の車両内への侵入を低減し、車両内の温度上昇を抑制することが可能である。ワイヤグリッド偏光板1は、可視領域において高い透過性を有するため、車両の運転に支障をきたすこと無く上述の車両内の温度上昇抑制の効果を得ることができる。また、ワイヤグリッド偏光板1は可視領域および赤外領域において十分な偏光特性を備えているため、一方の偏光(例えばS偏光)を分離して、反射または吸収させることができる。これにより、本来は窓を透過する赤外線を遮断することができるため、赤外線による車両室内の温度上昇を抑制することが可能である。
また、上記ワイヤグリッド偏光板1は、透過低偏光サングラスなどの用途に用いても良い。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することができる。また、上記実施の形態における材質、数量などについては一例であり、適宜変更することができる。その他、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施することができる。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例)
まず、本実施例で用いたワイヤグリッド偏光板の作製方法について以下に説明する。
〈紫外線硬化樹脂を用いた格子状凹凸形状を有する転写フィルムの作製〉
基材として用いる格子状凹凸形状を有する転写フィルムの作製には、Ni製金型(以下、「金型」とする)を用いた。金型はピッチ幅145nmの格子状凹凸形状を有し、格子の延在する方向に垂直な断面における凹凸形状が略正弦波状であった。基材は、厚み80μmのトリアセチルセルロース樹脂(以下、「TAC」とする)フィルム(TD80UL−H:富士写真フィルム社製)とし、該TACフィルムの波長550nmにおける面内位相差値は3.2nmで、遅相軸はMD方向と略一致していた。該TACフィルムにアクリル系紫外線硬化樹脂(屈折率1.52)を約3μm塗布し、塗布面を下にして金型とTACフィルムとを重畳させた。この際、TACフィルムのTD方向と金型の格子状凹凸形状の延在方向が略平行になるように配置した。また、金型とTACフィルム間に空気が入らないように配置した。その後、TACフィルム側から中心波長365nmの紫外線ランプを用いて紫外線を1000mJ/cmの条件で照射し、金型の格子状凹凸形状を転写した。TACフィルムを金型から剥離し、縦300mm、横200mmの格子状凹凸形状を転写したフィルムを作製した。以下、これを、「転写フィルム」とする。
〈真空蒸着法を用いた金属の蒸着〉
次に、転写フィルムの格子状凹凸形状転写表面に、真空蒸着によりアルミニウム(Al)膜を成膜した。Alの蒸着は、常温下、真空度2.0×10−3Pa、蒸着速度2.5nm/sの条件で約3秒間行った。形成されるAl膜の厚みを測定するため、表面が平滑なガラス基板を転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑ガラス基板上のAl膜の厚みをAl膜の平均厚みとした。蒸着は、蒸着角θが20°とし、Al平均厚みが5nmとなるように行った。なお、ここでは、蒸着角θを、格子の長手方向と垂直に交わる平面内において基材面の法線と蒸着源のなす角度と定義する。また、ここでいう平均厚みとは、平滑ガラス基板上にガラス面に垂直方向から物質を蒸着させたと仮定した時の蒸着物の厚みのことを指す。
〈光学特性の測定〉
上述のように作製されたワイヤグリッド偏光板について、透過率および反射率の測定を行った。なお、透過率および反射率の測定は、Alワイヤの延在方向に平行な方向の偏光、Alワイヤの延在方向に垂直な方向の偏光を用いて行った。図2は透過率の測定結果を示すグラフであり、図3は反射率の測定結果を示すグラフである。図2には、平行透過率および垂直(直交)透過率に加え、これらの平均値(全光透過率)を併せて示す。図3には、平行反射率および垂直(直交)反射率に加え、これらの平均値(全光反射率)を示す。
図2から、本実施例のワイヤグリッド偏光板は、可視領域(特に、400nm以上650nm以下の領域)の全光透過率が60%以上であることが分かる。また、赤外領域(特に、800nm以上1200nm以下の領域)の全光透過率も60%以上であることが分かる。また、図3から、本実施例のワイヤグリッド偏光板は、赤外領域(特に、800nm以上1200nm以下の領域)の全光反射率が、10%〜16%程度であることが分かる。このことから、本実施例のワイヤグリッド偏光板は、赤外領域(特に、800nm以上1200nm以下の領域)の全光透過率と全光反射率との和が90%以下であることが分かる。
上述のように、赤外領域(特に、800nm以上1200nm以下の領域)における全光透過率と全光反射率との和が90%以下となるのは、Al膜による光吸収が生じているためと考えられる。このように、Al膜が赤外領域の光を吸収することで、赤外領域の光の透過を抑制することができる。
〈温度上昇抑制効果の算出〉
上述のように作製されたワイヤグリッド偏光板を用い、室内温度上昇について検証した。特に熱作用の高い太陽光スペクトルの近赤外領域である800nm以上の波長において、PVAにヨウ素を吸着した従来の吸収型偏光板ではほぼ全光透過してしまう。また耐熱性も良くない。
一方、本実例のワイヤグリッド偏光板は全光線透過率が全領域で約70%であり、従来の吸収型ワイヤグリッド偏光板よりも赤外光で約20%以上透過率が低い。このため温度上昇率は抑制され約0.8倍になる。従来のワイヤグリッド偏光板は偏光度が高いため、反射率と透過率がそれぞれ50%を上回る事はないが、本実施例のワイヤグリッド偏光板は透過率が向上している分、視認性にも優れた。
本発明のワイヤグリッド偏光板は、窓ガラスやサングラスなどの用途において、好適に用いることができる。
1 ワイヤグリッド偏光板
11 基材
12 金属層

Claims (8)

  1. 表面に周期的な凹凸構造を有する基材と、
    前記基材の凹凸構造表面に配置された金属層と、を有し、
    前記凹凸構造の周期が100nm以上400nm以下であり、前記凹凸構造の凸部の頂点と凹部の底との高低差が70nm以上400nm以下であり、可視領域の光の全光透過率が60%以上であり、かつ赤外領域の光の全光透過率と全光反射率との和が90%以下であることを特徴とするワイヤグリッド偏光板。
  2. 前記可視領域の光は、450nm以上650nm以下の波長の光であることを特徴とする請求項1に記載のワイヤグリッド偏光板。
  3. 前記赤外領域の光は、800nm以上1200nm以下の波長の光であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワイヤグリッド偏光板。
  4. 前記金属層のデューティー比が0.2以下であり、アスペクト比が10以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光板。
  5. 前記金属層の平均膜厚が10nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光板。
  6. 前記金属層は、アルミニウムを含んで構成されたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光板。
  7. 前記金属層は、前記凹凸構造表面において、凸部の一方側面より他方側面に厚く配置されたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光板。
  8. 前記金属層は、斜め蒸着法によって形成されたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光板。
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