JP2010085917A - 透明熱線反射フィルム及びこれを用いた熱線遮断窓ガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】可視光領域において高い透過性を有し、かつ、赤外光領域において高い反射性を有すると共に、安価に大面積である透明熱線反射フィルムを提供すること。
【解決手段】本発明の透明熱線反射フィルムは、透明なフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板上に配置され、反射性材料で構成されたワイヤグリッドと、を具備することを特徴とする。さらに好ましくは、透明なフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板上に格子状に配置してなるワイヤグリッドと、を具備する透明熱線反射フィルムであって、前記ワイヤグリッドは、反射性材料で構成されており、300nm〜700nmの平均格子ピッチを有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、可視光領域において高い反射性を有し、かつ、近赤外線から赤外線にかけての赤外光領域において高い反射性を有する透明熱線反射フィルム、及び、このフィルムを用いた熱線遮断窓ガラスに関する。
近年、住宅やビルの室内、自動車の車内に流入する太陽光線の熱線領域を遮蔽して、熱暑感の低減、及びエアコンの負荷の低減を図る熱線遮断ガラスの要求が高まってきている。特に、自動車や、窓ガラスの壁面占有率が大きい建物では、太陽光線の室内への入射量が大きく、夏季における室温上昇は著しいものがある。この室温上昇を抑制して適温化するためには、エアコンの出力を相当高めなければならないので、単にエアコンに負担がかかるだけでなく、エネルギー消費量も相当なものとなる。また、自動車の場合は、エアコンのコンプレッサーもエンジン駆動されるので、ガソリン消費量や排気ガス放出量が多くなる。さらに、寒冷地において、冬季に暖房による熱が窓ガラスを通して室外に逸散してしまい余分な暖房エネルギーを必要とすることになり省エネという観点から好ましくないといえる。
上記のような問題の解決を図るため、窓ガラスの表面に熱線反射膜を設け、室内あるいは車内の温度上昇を抑制する試み、寒冷地の冬季の暖房熱を逃がさない試み等がなされている。
太陽から放射される光は、紫外域から赤外域まで幅広いスペクトルを持っている。可視光は、紫色から黄色を経て赤色光にいたる波長380nm〜780nmまでの範囲であり、太陽光の約45%を占めている。赤外光については、可視光に近いものは近赤外線(波長780nm〜2500nm)と呼ばれ、それ以上を中赤外線と称し、太陽光の約50%を占めている。この領域の光エネルギーは、紫外線と比較するとその強さは約10分の1以下と小さいが熱的作用は大きく、物質に吸収されると熱として放出され温度上昇をもたらす。このことから熱線とも呼ばれ、これらの光線を遮蔽することにより、室内の温度上昇を抑制することが出来る。また、寒冷地の冬季の暖房熱を室外に逸散することを抑制することも出来る。
単一の材料で熱線を反射する能力を有する物質としては、金属や錫ドープ酸化インジウム(ITO)をはじめとする導電性物質がある。これらの物質では、ある程度以上の自由電子密度を有し、この自由電子によるプラズマ反射により、ある波長より長波長側の光を反射し、短波長側の光を透過するという固有の性質を持っている。この境界となる波長は、金属では可視光域に、半導体では近赤外域に存在することが知られている。
最も一般的な熱線反射膜は、主として直接太陽光の遮蔽に的を絞ったもので、蒸着やスパッタリングでガラス上に金属の薄膜を形成してなるものである(特許文献1)。しかし、より多くの熱を遮蔽するためには金属膜を厚くしなければならず、その結果、透明性が低下してしまう欠点がある。また、金属膜によって電磁波の反射が起こり、携帯電話が通じにくくなるといった問題もある。
一方、透明性を重視する場合には、プラズマ反射の立ち上がりが近赤外域にある半導体、例えば錫ドープ酸化インジウム(ITO)、酸化錫、あるいは酸化亜鉛のような透明導電酸化物材料をスパッタリング法やスプレー熱分解法で形成する方法がある(特許文献2、特許文献3)。また、別の方法として、光散乱が小さくなるように酸化物の粒子径を0.1μm以下にし、その酸化物を均一に分散してなる塗料をコーティングする方法がある(特許文献4)。この方法によれば、安価な製法で透明の高い熱線反射膜が得られる。しかし、これらの場合、可視光域での透明性は高いものの、赤外域での反射が十分ではない。
可視光域での透明性を出来る限り保ちつつ、赤外域の反射率を高めるために、別の態様として、Agなどの金属薄膜と酸化物薄膜とを交互に積層した積層膜や(特許文献5)、屈折率の異なる酸化物薄膜を複数層積層してなる積層膜が開示されている(特許文献6)。しかし、この方法で熱線反射膜を大面積に形成する場合は製造コストが高くなるという問題があった。また、用途や顧客の要望に応じて透過・反射特性を自由に設計変更することが難しく、構成材料の制約を受けることが多かった。
特開2001−179887号公報 特開2005−343732号公報 特開2007−152773号公報 特開平7−70363号公報 特開2004−217432号公報 特開平8−239244号公報
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、可視光領域において高い透過性を有し、かつ、赤外光領域において高い反射性を有すると共に、安価に大面積である透明熱線反射フィルムを提供することを目的とする。
本発明の透明熱線反射フィルムは、透明なフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板上に配置され、反射性材料で構成されたワイヤグリッドと、を具備することを特徴とする。
本発明の透明熱線反射フィルムは、透明なフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板上に格子状に配置してなるワイヤグリッドと、を具備する透明熱線反射フィルムであって、前記ワイヤグリッドは、反射性材料で構成されており、300nm〜700nmの平均格子ピッチを有することを特徴とする。
本発明の透明熱線反射フィルムは、前記反射性材料が、Al、Al合金、Ag、及びAg合金からなる群より選ばれたもので構成されていることが好ましい。
本発明の熱線遮断窓ガラスは、板ガラスと、前記板ガラス上に貼り付けられた上記透明熱線反射フィルムと、を具備することを特徴とする。この場合において、この熱線遮断窓ガラス2枚を、それぞれのワイヤグリッドが略直交するように重ねることにより複層型熱線遮断窓ガラスを構成しても良い。
本発明の光線分離方法は、上記透明熱線反射フィルムに全波長域の光線を照射することによって、可視光線と赤外光線とを分離することを特徴とする。
本発明の透明熱線反射フィルムは、透明なフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板上に配置され、反射性材料で構成されたワイヤグリッドと、を具備するので、可視光領域において高い透過性を有し、かつ、赤外光領域において高い反射性を有すると共に、安価に大面積の反射フィルムである。また、この透明熱線反射フィルムは、反射や吸収による電磁波の減衰が小さく、携帯電話などの電子機器を障害なく使用することが出来ると共に、ワイヤグリッドが無機物であるので、熱や光に対する耐久性にも優れている。さらには、用途や顧客の要望に応じて透過・反射特性を自由に設計変更することも可能である。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明の実施の形態に係る透明熱線反射フィルムの一例を示す概略断面図である。図1に示す透明熱線反射フィルムは、透明なフレキシブル基板1と、このフレキシブル基板1上に形成されたワイヤグリッド2とから主に構成されている。ワイヤグリッド2は、紙面手前側から奥側に直線状に延在しており、各ワイヤは所定の間隔(ピッチ)で設けられている。
フレキシブル基板1を構成する材料としては、可視光領域で実質的に透明な樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線(UV)硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。特に、複屈折が極めて小さいトリアセチルアセテート樹脂からなる基板が特性上好ましい。また、PET樹脂やポリカーボネート樹脂からなる基板は安価でかつ耐候性も良好であるので好ましい。
ワイヤグリッド2は、赤外光領域に対して反射性を示す材料(反射性材料)で構成されていることが好ましい。この反射性材料としては、Al,In,Sn,Sb,Bi,Cu,Ag,Au,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Fe,Co,Ni,Pd,Ptなどの金属やこれらの合金、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛、酸化錫、ニオビウム添加酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化イリジウムなどの導電性酸化物を用いることが出来る。特に、Al、Al合金、Ag、Ag合金が赤外光領域の反射性が高いので好ましい。
ワイヤグリッド2は、そのピッチが入射光の波長に比べてかなり小さいピッチ(例えば、2分の1以下)であれば、導電体線に対して平行に振動する電場ベクトル成分の光(s偏光)をほとんど反射し、導電体線に対して垂直な電場ベクトル成分の光(p偏光)をほとんど透過させる。したがって、ワイヤグリッドの平均格子ピッチを所定の間隔範囲に設定することによって、s偏光成分に対して、赤外光領域は反射し、可視光領域は透過させることが可能と出来る。好ましい平均格子ピッチは300nm〜700nmである。格子ピッチが300nmよりも短いと可視光領域の透過率が低下して視認性が極端に悪化する。また、格子ピッチが700nm以上になると可視光領域の透過率は高く保つことが出来るが、赤外光領域の反射率が低下して熱線反射の効果が低減してしまう。可視光線の透過率及び赤外線の反射率は、共に50%以上であることが好ましい。
ワイヤグリッドのワイヤの幅と前記平均格子ピッチとの比が0.25の場合に、平均格子ピッチは400nm〜700nmであることが好ましい。あるいは、ワイヤの幅と平均格子ピッチとの比が0.1の場合に、前記平均格子ピッチは300nm〜500nmであることが好ましい。
ワイヤグリッド2は、真空蒸着やスパッタリングなどの方法で形成することが出来る。ワイヤグリッド2は、基板の平滑表面にAlなどを膜形成した後に、Al膜をワイヤ状にパターニング加工することによって得ることが出来る。また、凹凸を有する基板に斜め入射の蒸着やスパッタリングでAlなどを形成することによってもワイヤグリッドを形成することが出来る。
図2は、本発明の透明熱線反射フィルムにおけるワイヤグリッド構造の別形態を示す概略断面図である。ここでは、金属材料でワイヤを形成する場合を例に説明する。図1がフレキシブル基板1の平滑な表面にワイヤグリッド2が形成された構造であったのに対し、図2(a)に示す構成では、紙面手前側から奥側に直線状に延在し、所定の間隔で設けられた凹部を有するフレキシブル基板1の凹部に反射性材料を埋め込んでワイヤグリッド2を形成している。また、図2(b)に示す構成では、紙面手前側から奥側に直線状に延在し、所定の間隔で設けられた凸部を有するフレキシブル基板1の凸部上に反射性材料を成膜してワイヤグリッド2を形成している。また、図2(c)に示す構成では、紙面手前側から奥側に直線状に延在し、所定の間隔で設けられた凸部を有するフレキシブル基板1の凸部上に凸部の片側を覆うような形で側面に反射性材料を成膜してワイヤグリッド2を形成している。このように、反射性材料が所定の間隔で直線状に配列していればよく、ワイヤグリッドの断面形状は特に限定されるものではない。すなわち、矩形、台形、方形、プリズム状や、半円状などの正弦波状、されにはこれらを組み合わせた形状などが挙げられる。例えば、図2(d)に示すように、凸部の断面形状が略三角形状であっても良い。
ワイヤグリッド2は、空気中の水分との接触、手で触った時の油脂や塩分などによる腐食、取扱い中や通常の使用中に受ける傷などから保護する目的で、フレキシブル基板1のワイヤグリッド2が形成された面に保護フィルムを貼ることが好ましい。
図3は、本発明の実施の形態に係る熱線遮断窓ガラスの概略断面図である。この熱線遮断窓ガラスは、板ガラス3と、板ガラス3上に貼り付けられた透明熱線反射フィルムとから主に構成されている。すなわち、熱線遮断窓ガラスは、図1に示す透明熱線反射フィルムを、透明接着層4を介して板ガラス3に貼り付けた構造を有する。なお、図3では、ワイヤグリッド2が外側に配設されるように構成されているが、ワイヤグリッド2が内側(板ガラス側)になるように貼り合せても良い。このような構成によれば、フレキシブル基板1が保護フィルムの役割を兼ね、ワイヤグリッド2を保護することが出来る。
図4は、複層型窓ガラスの一例を示す概略断面斜視図である。複層型窓ガラスは、スペーサ7で2枚の板ガラス5,6の間に中空層9を持たせた窓ガラスであり、湿気の侵入や内部空気の拡散を防ぐシーラント剤8により各部材は固定される。このように2枚のガラスの間に中空層9を介することによって断熱性能が向上する。この構成においては、断熱性能をより向上し、部屋の内外の温度差が原因となる結露も防ぐために、中空層9と接触する部分に乾燥剤を設置して、封入された空気を乾燥状態に保つことが好ましい。この場合において、中空層9内にアルゴンガスなどの希ガスを封入しても良い。
図5は、本発明の実施の形態に係る複層型熱線遮断窓ガラスの一部を拡大図示した概略断面斜視図である。全体の構造は図4に示す複層型窓ガラスと同様である。この構成においては、板ガラス31上に透明接着層41を介して設けられた透明熱線反射フィルム51で構成された熱線遮断窓ガラス板61と、板ガラス32上に透明接着層42を介して設けられた透明熱線反射フィルム52で構成された熱線遮断窓ガラス板62とを、フレキシブル基板11,12にそれぞれ設けられたワイヤグリッド21,22のワイヤ延在方向が互いに略直交するように配置する(重ねる)。
前記したように、ワイヤグリッドの平均格子ピッチを所定の間隔に設定することによって、ワイヤに対して平行に振動する電場ベクトル成分の光(s偏光)に対して、赤外光領域は反射し、可視光領域は透過させることが可能と出来る。しかし、ワイヤに対して垂直に振動する電場ベクトル成分の光(p偏光)に対しては、波長による依存性はあるものの全波長域で透過率が反射率を上回ることが多く、s偏光に対するような透明熱線反射効果は得られない。このため、室外から入射する太陽光のような自然の光は、s偏光とp偏光が混在しており、透明熱線反射効果はs偏光に対してしか得られないことになる。
図5に示すように、本発明の熱線遮断窓ガラス2枚を、それぞれのワイヤグリッド21,22が略直交するように相対して組み立てた本発明の複層型熱線遮断窓ガラスでは、室外側の熱線遮断窓ガラス板61を透過したp偏光の赤外光は、室内側の熱線遮断窓ガラス板62のワイヤグリッド22に対してはs偏光であるので反射され、室内に入射する赤外光を大幅に抑制することが可能となる。このようにして、透明熱線反射フィルム51,52に、全波長域の光線を照射することによって、可視光線と赤外光線とを分離することが可能となる。
以上のように、本発明によれば、可視光領域において高い透過性を有し、かつ、赤外光領域において高い反射性を有する透明熱線反射フィルム及びこれを用いた熱線遮断窓ガラスを得ることが可能となり、室内あるいは車内の温度上昇を抑制することによって冷房に要するエネルギーの大幅な削減が可能となる。また、安価に大面積の透明熱線反射フィルムを製造することが出来る。さらには、熱線を反射する機能を有するワイヤグリッドは、無機物であるので、熱や光に対する耐久性に優れている。
次に、本発明の効果を明確にするために本発明の実施例について説明する。
図1に示す透明熱線反射フィルムにおいて、フレキシブル基板1を厚さ100μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルムとし、ワイヤグリッド2にアルミニウム(Al)を用いた場合のs偏光に対する透過率及び反射率を図6に示す。なお、ワイヤグリッド2の平均格子ピッチを420nmとし、Alワイヤの高さを100nmとした。
以下に、この透明熱線反射フィルムの作製方法を説明する。
まず、フレキシブル基板1の表面にアルミニウム膜を100nmの膜厚になるようにスパッタリングで形成する。次いで、このアルミニウム膜の表面にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフ法を用いてライン/スペースのレジストパターンを形成した後、塩素系ガスを用いた反応性エッチングを行い、レジストパターンから露出している部分のアルミニウムを除去する。最後にレジストを薬液によって溶解除去することによって、ピッチ420nmのアルミニウムワイヤグリッドを得た。
図6では、格子ピッチを固定してデューティ、すなわちアルミニウムワイヤの幅とピッチの比を変化させた場合のs波成分の透過率と反射率を示す。図6(a)〜(c)から明らかなように、デューティが大きくなるに従い、可視光領域の透過率が減少し、その一方で赤外光領域の反射率が増加する。図6において透過率と反射率がクロスする波長(以下、クロス波長と呼ぶこととする)は、透明領域と反射領域を分ける一つの指標とすることが出来る。
また、熱線反射の指標として、波長1500nmでの反射率(以下、熱線反射率と呼ぶこととする)を取り上げる。図7は、格子ピッチが250nm、300nm、420nm、560nm、650nm、700nm及び1000nmで、デューティが0.1、0.25及び0.5の場合の、クロス波長及び熱線反射率のピッチ依存性を示す。図7(a)から、ピッチが300nm以上であればクロス波長が700nmとなる条件が存在することが分かる。すなわち、ピッチを300nm以上にすれば、波長700nm以下の領域で透過率が反射率を上回り、その結果、可視光領域での透明度が高い。また、図7(b)から、ピッチが狭くなるのに伴い熱線反射率が高くなる。図7(a),(b)両者から、透明熱線反射フィルムとして適した格子ピッチが存在する。例えば、デューティが0.25の場合、ピッチが400nm〜700nmの範囲が好ましく、デューティが0.1の場合は、ピッチが300nm〜500nmの範囲が好ましい。このようなデューティ及びピッチでは、50%以上の可視光線透過率及び赤外線反射率を得ることが出来る。
図8は、波長20cmの電波が外部から侵入した場合の、透明熱線反射フィルムを透過した電波の減衰率をプロットしたものである。なお、電波減衰率は、下記の数式で定義した。
電波減衰率(dB)=20log[(透過強度)/(反射強度)]
この場合、ワイヤグリッドのピッチは420nmであり、デューティは0.5であり、Alワイヤの高さは100nmである。参考のため、ワイヤグリッドではなくAl膜をTACフィルムに形成した場合の電波減衰率も合わせてプロットしてある。図8から、Alをワイヤグリッドにすることによって電波減衰率が大幅に抑制され、この場合、50%近くの電波が透過する。これに対して、Al膜のみでは僅か10nmの厚みでも約100分の1に減衰してしまうことが分かる。したがって、本発明の透明熱線反射フィルムでは従来の金属膜フィルムとは異なり、携帯電話などの電子機器を障害なく使用することが出来る。
図9は、ピッチ420nmであり、デューティ0.1であり、高さ100nmであるAlワイヤグリッドをTACフィルム上に形成した透明熱線反射フィルムを板ガラスに貼り付けたもの2枚を、ワイヤグリッドが略直交するように相対した場合の全光線透過率及び全光線反射率を示す。ここで、全光線とは、s偏光成分とp偏光成分の両者を合わせた光線をいう。参考のために、透明熱線反射フィルムが1枚だけの全光線透過率と全光線反射率を図10に示す。図9と図10を比較して分かるように、2枚のワイヤグリッドを略直交するように相対して組み合わせることによって、可視光領域での透過率を大幅に低下させることなく赤外光領域の反射率を増加させることが出来る。
このように本発明に係る透明熱線反射フィルムは、可視光領域において高い透過性を有し、かつ、赤外光領域において高い反射性を有し、このフィルムを用いた熱線遮断窓ガラスにより、室内あるいは車内の温度上昇を抑制することによって冷房に要するエネルギーの大幅な削減が可能となる。また、安価に大面積の透明熱線反射フィルムを製造することが出来る。さらには、室内や車内において、携帯電話などの電子機器を障害なく使用することが出来る。
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することができる。例えば、上記実施の形態における寸法、材質などは例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、適宜変更して実施することが可能である。
本発明の実施の形態に係る透明熱線反射フィルムの概略断面図である。 本発明の実施の形態に係る透明熱線反射フィルムの概略断面図である。 本発明の実施に係る熱線遮断窓ガラス板の概略断面図である。 本発明の実施に係る複層型熱線遮断窓ガラスの概略断面斜視図である。 本発明の複層型熱線遮断窓ガラスの一部を拡大図示した概略断面斜視図である。 (a)〜(c)は、本発明の透明熱線反射フィルムにおけるs偏光の透過スペクトル及び反射スペクトルを示すグラフである。 (a),(b)は、本発明の透明熱線反射フィルムにおける可視光透明性と熱線反射性のワイヤグリッド寸法依存性を示すグラフである。 本発明の透明熱線反射フィルムにおける電波減衰率のAl膜との比較を示すグラフである。 本発明の複層型熱線遮断窓ガラスにおける全光線透過率と全光線反射率のスペクトルを示す図である。 本発明の複層型熱線遮断窓ガラスの効果を示すための比較グラフである。
符号の説明
1,11,12 フレキシブル基板
2,21,22 ワイヤグリッド
3,31,32 板ガラス
4,41,42 透明接着層
5,51,52 透明熱線反射フィルム
6,61,62 熱線遮断窓ガラス板
7 スペーサ
8 シーラント
9 中空層

Claims (6)

  1. 透明なフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板上に配置され、反射性材料で構成されたワイヤグリッドと、を具備することを特徴とする透明熱線反射フィルム。
  2. 透明なフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板上に格子状に配置してなるワイヤグリッドと、を具備する透明熱線反射フィルムであって、前記ワイヤグリッドは、反射性材料で構成されており、300nm〜700nmの平均格子ピッチを有することを特徴とする透明熱線反射フィルム。
  3. 前記反射性材料が、Al、Al合金、Ag、及びAg合金からなる群より選ばれたもので構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の透明熱線反射フィルム。
  4. 板ガラスと、前記板ガラス上に貼り付けられた請求項1から請求項3のいずれかに記載の透明熱線反射フィルムと、を具備することを特徴とする熱線遮断窓ガラス。
  5. 請求項4記載の熱線遮断窓ガラス2枚を、それぞれのワイヤグリッドが略直交するように重ねてなることを特徴とする複層型熱線遮断窓ガラス。
  6. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の透明熱線反射フィルムに全光線を照射することによって、可視光線と赤外光線とを分離することを特徴とする光線分離方法。
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